説明

検出回路

【課題】 より簡素な回路構成で、天絡、地絡および断線をそれぞれ判別して検出することができる検出回路を提供する。
【解決手段】 第1および第2の入力端子にそれぞれ入力された電圧を比較した比較結果を出力する比較部12と、電源2の電源電圧VBよりも低く且つ基準電圧部3の基準電圧GNDよりも高い比較用電圧を生成して第2の入力端子に入力する比較用電圧生成部20と、電源2と基準電圧部3の間の電圧を検出用電圧として第2の入力端子に入力するための検出用電圧入力部Tr1と、第2の入力端子に入力される電圧に応じて設定された互いに異なる閾値電圧Vth1、Vth2のいずれかを生成して第1の入力端子に入力する閾値電圧生成部30と、比較部12による比較結果に応じて、電源2と基準電圧部3との間における天絡、地絡および断線の発生をそれぞれ判定する判定部40と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源と基準電圧部との間で生じた天絡、地絡および断線をそれぞれ判別して検出する検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の検出回路として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この検出回路は、負荷を駆動するためのプリドライバ回路に接続されており、このプリドライバ回路は、制御回路と、制御回路によって制御されるCMOS回路を有している。制御回路は、制御回路への入力電圧をCMOS回路のトランジスタに供給してトランジスタをオン/オフすることによって、CMOS回路に入力された入力電圧を負荷に出力電圧として出力端子から出力する。
【0003】
検出回路は、閾値電圧生成回路およびコンパレータを有しており、プリドライバ回路から出力される出力電圧と閾値電圧生成回路によって生成される一定の閾値電圧とをコンパレータで比較し、その比較結果と、制御回路に入力される入力電圧との排他的論理和を論理回路で求める。プリドライバ回路の出力端子に天絡または地絡が生じた場合、コンパレータに入力される出力電圧が、一定の閾値電圧に対して正常動作時から変化し、コンパレータによる比較結果もまた、天絡異常時および地絡異常時には、正常動作時から変化するので、天絡および地絡が確実に検出される。
【0004】
図23もまた、従来の検出回路を示している。この検出回路110は、例えば車両に搭載されており、電源電圧VBを供給する電源102と、負荷104を介して電源102に接続された基準電圧部103との間に設けられている。負荷104と基準電圧部103の間にはスイッチ素子Trが設けられており、駆動信号INによってスイッチ素子Trがオン/オフされるのに伴って、負荷104が駆動される。
【0005】
また、検出回路110は、いずれもコンパレータで構成された第1および第2の比較部112、115を有しており、この検出回路110では、各比較部の反転入力端子には、負荷104とスイッチ素子Trの間の電圧が入力される。また、比較用電圧Vcが、比較用電圧生成部120によって生成され、各比較部の反転入力端子に入力される。この比較用電圧Vcの大きさは、電源電圧VBと、電源電圧VBよりも電圧の低い基準電圧部103の基準電圧GNDとの中間に設定されている。
【0006】
また、抵抗R30〜R50によって電源部113の電圧を分割して生成された第1および第2の閾値電圧が、第1および第2の比較部112、115にそれぞれ入力される。第1の閾値電圧は、電源電圧VBよりも低く、且つ比較用電圧Vcよりも高い電圧に設定され、第2の閾値電圧は、基準電圧GNDよりも高く、且つ比較用電圧Vcよりも低い電圧に設定されている。
【0007】
第1の比較部112による比較結果を表す第1の出力電圧Vout1は、第1のAND回路142に電圧レベルを反転させて入力され、反転された第1の出力電圧Vout1と駆動信号INとの論理積が、第1時間フィルタ143を介して、天絡信号DGVBとして判定回路114に入力される。また、第1の出力電圧Vout1と、反転された第2の出力電圧Vout2との論理積が、第2のAND回路147から出力され、第2時間フィルタ148を介して断線判定信号DGOGとして判定回路114に入力される。また、第2の出力電圧Vout2と、反転された駆動信号INとの論理積が、第3のAND回路152から出力され、第3時間フィルタ155を介して地絡判定信号DGGNDとして判定回路114に入力される。各時間フィルタは、ノイズによる誤判定が生じないように、入力時間が所定の時間以下の信号を遮断するように構成されている。
【0008】
以上のような構成により、例えば電源102とECU101の接続端子105の間に天絡が生じたときには、スイッチ素子Trのオン/オフにかかわらず、各比較部の反転入力端子に入力される電圧が電源電圧VBに固定されるので、そのことが第1の比較部112から出力される第1の出力電圧Vout1に、ひいては天絡信号DGVBに反映される。すなわち、第1AND回路142から電圧レベルの高い信号が出力されることによって、判定回路114は天絡が発生したものと判定する。
【0009】
また、例えば接続端子105に地絡が発生した場合、スイッチ素子Trのオン/オフにかかわらず、各比較部の反転入力端子に入力される電圧が基準電圧GNDに固定されるので、そのことが第2の比較部115から出力される第2の出力電圧Vout2に、ひいては地絡信号DGGNDに反映される。すなわち、第3AND回路152から電圧レベルの高い信号が出力されることによって、判定回路114は地絡が発生したものと判定する。
【0010】
また、例えば電源102と接続端子105の間に断線が発生した場合、各比較部の反転入力端子には、スイッチ素子Trがオフのときには比較用電圧Vcが入力され、そのことが第1および第2の出力電圧Vout1、Vout2に、ひいては断線信号DGOGに反映される。すなわち、第2のAND回路147から電圧レベルの高い信号が出力されることによって、判定回路114は断線が発生したものと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−168712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述した特許文献に係る検出回路では、天絡または地絡をそれぞれ判別して検出することは可能であるものの、回路の断線を検出することはできない。また、上述した従来の検出回路110では、天絡、地絡および断線をそれぞれ判別して検出することが可能であるものの、そのために2つのコンパレータが用いられ、検出回路全体の構成が複雑で規模の大きなものになっており、製造コストを低減することが困難である。
【0013】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、より簡素な回路構成で、天絡、地絡および断線をそれぞれ判別して検出することができる検出回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、特許請求の範囲に記載の請求項1に係る検出回路は、電源2および電源2よりも電圧の低い基準電圧部3の間に設けられ、電源2および基準電圧部3の間における天絡、地絡および断線を検出する検出回路10、10a〜10cであって、第1および第2の入力端子を有し、第1および第2の入力端子にそれぞれ入力された電圧を比較した比較結果(実施形態における(以下、本項において同じ)出力電圧Vout)を出力する比較部12と、電源2の電源電圧VB/Vccよりも低く且つ基準電圧部3の基準電圧GNDよりも高い比較用電圧Vcを生成し、生成した比較用電圧Vcを第2の入力端子に入力する比較用電圧生成部20と、電源2と基準電圧部3の間の電圧を検出用電圧として第2の入力端子に入力するための検出用電圧入力部(第1スイッチ素子Tr1)と、第2の入力端子に入力される電圧に応じて設定された互いに異なる複数の閾値電圧(第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2)のいずれかを生成し、生成した複数の閾値電圧のいずれかに切り換えて第1の入力端子に入力する閾値電圧生成部30、30a、30bと、比較部12による比較結果に応じて、電源2および基準電圧部3の間における天絡、地絡および断線の発生をそれぞれ判定する判定部40、40a、40bと、を備えていることを特徴とする。
【0015】
この検出回路によれば、比較部の第2の入力端子には、比較用電圧生成部によって生成された比較用電圧が入力される。また、第2の入力端子には、電源と基準電圧部の間の電圧もまた、検出用電圧として検出用電圧入力部によって入力される。電源および基準電圧部の間に天絡および地絡のいずれかが発生したときには、検出用電圧には、それらによる影響が反映され、断線が発生したときには、比較用電圧生成部によって生成された比較用電圧が第2の入力端子に入力される。すなわち、天絡などが発生していない正常動作時の検出用電圧に対して第2の入力端子に実際に入力される電圧が変化する。
【0016】
また、閾値電圧生成部により、第2の入力端子に入力される電圧に応じて複数の閾値電圧が生成され、生成された複数の閾値電圧は、それらのいずれかに切り換えて第1の入力端子に入力される。入力された閾値電圧および第2の入力端子に入力された電圧は、比較部によって比較され、その比較結果に応じて、判定部により、天絡、地絡および断線のいずれが発生したかが判定される。
【0017】
以上のように、天絡、地絡および断線のいずれかが発生した場合には、第2の入力端子に入力される電圧が正常動作時に対して変化し、このような天絡などの影響が反映された電圧に応じて、互いに異なる複数の閾値電圧を適切に設定することによって、天絡などのいずれが発生したかを、単一の比較部による比較結果に反映させることができる。したがって、比較結果に応じて、天絡、地絡および断線のいずれが発生したかを、判定部によって適切に判定して検出することができる。
【0018】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の検出回路において、電源2と基準電圧部3の間には、電源電圧VB/Vccを供給されることにより駆動される負荷4が設けられ、検出用電圧入力部は、基準電圧部3と負荷4の間の電圧を、検出用電圧として第2の入力端子に入力することを特徴とする。
【0019】
この検出回路によれば、電源から基準電圧部に供給される電源電圧によって、両者の間に設けられた負荷が駆動される。また、検出用電圧として基準電圧部と負荷の間の電圧が、第2の入力端子に入力されるので、基準電圧部と負荷の間において天絡などが生じたときに、それらを適切に検出することができる。
【0020】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の検出回路において、電源2と基準電圧部3の間には、電源電圧VB/Vccを供給されることにより駆動される負荷4が設けられ、検出用電圧入力部は、電源2と負荷4の間の電圧を、検出用電圧として第2の入力端子に入力することを特徴とする。
【0021】
この検出回路によれば、電源から基準電圧部に供給される電源電圧によって、両者の間に設けられた負荷が駆動される。また、検出用電圧として電源と負荷の間の電圧が、第2の入力端子に入力されるので、電源と負荷の間において天絡などが生じたときに、それらを適切に検出することができる。
【0022】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の検出回路において、閾値電圧生成部30、30a、30bは、複数の閾値電圧として、電源電圧VB/Vccよりも低く且つ比較用電圧Vcよりも高い第1の閾値電圧Vth1と、基準電圧GNDよりも高く且つ比較用電圧Vcよりも低い第2の閾値電圧Vth2を生成することを特徴とする。
【0023】
この検出回路によれば、電源電圧よりも低く且つ比較用電圧よりも高い第1の閾値電圧と、基準電圧よりも高く且つ比較用電圧よりも低い第2の閾値電圧が、閾値電圧生成部によって生成され、第1および第2の閾値電圧のいずれかが、第2の入力端子に入力される電圧と比較される。このように、比較用電圧が第1および第2の閾値電圧の中間の電圧になるように両閾値電圧を設定することによって、第1および第2の閾値電圧のいずれかと、天絡などの影響により正常動作時から変化した、第2の入力端子に入力される電圧との比較結果に、天絡などの影響を適切に反映させることができ、比較結果に応じた天絡などの判定を適切に実行することができる。
【0024】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の検出回路において、検出用電圧入力部は、電源2と基準電圧部3の間に設けられたスイッチ素子(第1スイッチ素子Tr1)を有し、電源2とスイッチ素子の間の電圧を第2の入力端子に入力し、閾値電圧生成部30、30bは、第1の入力端子に入力する閾値電圧を、スイッチ素子がオンされたときには第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2のいずれかに固定し、スイッチ素子がオフされたときには第1および第2の閾値電圧の間で変動させることを特徴とする。
【0025】
この検出回路によれば、検出用電圧入力部のスイッチ素子がオンされているときには、第1の入力端子に入力される電圧が、第1および第2の閾値電圧のいずれかに固定され、オフされているときには、第1および第2の閾値電圧の間で変動する。天絡または地絡の発生時には、第2の入力端子には、比較用電圧との関係から電源電圧または基準電圧が実際に入力される。第1および第2の閾値電圧は、いずれも電源電圧および基準電圧の中間に設定されているので、閾値電圧を第1および第2の閾値電圧のいずれかに固定しても、比較部は適切な比較結果を出力することができる。また、断線の発生時には、比較用電圧が第2の入力端子に実際に入力され、閾値電圧の変動に伴って比較結果も変動するので、それにより断線の発生を適切に検出することができる。
【0026】
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の検出回路において、検出用電圧入力部は、電源2と基準電圧部3の間に設けられたスイッチ素子(第1スイッチ素子Tr1)を有し、電源2とスイッチ素子の間の電圧を第2の入力端子に入力し、閾値電圧生成部30aは、第1の入力端子に入力する閾値電圧を、スイッチ素子がオンされたときおよびオフされたときのいずれも第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2の間で変動させることを特徴とする。
【0027】
この検出回路によれば、検出用電圧入力部のスイッチ素子がオンされているとき、およびオフされているときのいずれも、第1の入力端子に入力される電圧が第1および第2の閾値電圧の間で変動する。前述したように、天絡または地絡が発生しているときには、第2の入力端子には電源電圧または基準電圧が実際に入力されるので、電源電圧と基準電圧の中間電圧である第1および第2の閾値電圧の間で閾値電圧を変動させても、比較部は適切な比較結果を出力することができる。また、上述した請求項5に係る発明と同様、断線の発生時にも、断線の発生を適切に検出することができる。
【0028】
請求項7に係る発明は、請求項4に記載の検出回路において、検出用電圧入力部は、電源2と基準電圧部3の間に設けられたスイッチ素子(第1スイッチ素子Tr1)を有し、電源2とスイッチ素子の間の電圧を第2の入力端子に入力し、閾値電圧生成部30bは、第1の入力端子に入力する閾値電圧を、スイッチ素子がオンされたときには第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2のいずれかに固定し、スイッチ素子がオフされたときに、第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2の間で変動させるための順序回路33を有していることを特徴とする。
【0029】
この検出回路によれば、上述した請求項5に係る発明と同様、スイッチ素子がオンされているときには、閾値電圧を第1および第2の閾値電圧のいずれに固定しても、比較部は適切な比較結果を出力することができる。また、スイッチ素子がオフされているときには、第1の入力端子に入力される閾値電圧は、順序回路によって第1および第2の閾値電圧の間で切り換えられる。したがって、前述した請求項5に係る発明と同様、断線の発生を適切に検出することができる。
【0030】
請求項8に係る発明は、請求項5または6に記載の検出回路において、判定部40は、比較部12による比較結果(出力電圧Vout)と、スイッチ素子のオン/オフを切り換えるための信号(駆動信号IN)と、第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2を切り換えるための信号(クロック信号CLK)とに応じて、天絡、地絡および断線の判定をそれぞれ行うことを特徴とする。
【0031】
この検出回路によれば、検出用電圧または比較用電圧と閾値電圧とを比較した比較結果と、スイッチ素子のオン/オフを切り換えることで比較部に入力される検出用電圧を切り換えるための信号と、比較部の第2の入力端子に入力される電圧に応じて設定された閾値電圧を切り換えるための信号とに応じて、判定部により天絡、地絡および断線の判定が行われる。それにより、判定部は、天絡、地絡および断線が発生した場合のそれぞれについて、判定部に入力される互いに異なる比較結果や各種の信号に基づき、判定を行うことができる。その結果、天絡、地絡および断線のうちのいずれが発生した場合でも適切な判定結果を得ることができ、それらを確実に判別して検出することができる。
【0032】
請求項9に係る発明は、請求項7に記載の検出回路において、判定部40aは、比較部12による比較結果(出力電圧Vout)と、スイッチ素子のオン/オフを切り換えるための信号(駆動信号IN)とに応じて天絡の判定を行い、比較部12による比較結果と、順序回路33から出力された信号とに応じて、地絡および断線の判定をそれぞれ行うことを特徴とする。
【0033】
この検出回路によれば、検出用電圧または比較用電圧と閾値電圧とを比較した比較結果と、スイッチ素子のオン/オフを切り換えることで比較部に入力される検出用電圧を切り換えるための信号とに応じて、判定部により天絡の判定が行われる。また、比較結果と、スイッチ素子がオフされたときに、閾値電圧を第1および第2の閾値電圧の間で変動させるための順序回路から出力された信号とに応じ、判定部によって地絡および断線の判定が行われる。
【0034】
それにより、上述した請求項8に係る発明と同様、判定部は、天絡、地絡および断線が発生した場合のそれぞれについて、判定部に入力される互いに異なる比較結果や各種の信号に基づき、判定を行うことができ、天絡、地絡および断線を確実に判別して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る検出回路を示す回路図である。
【図2】図1の比較部の反転入力端子に入力される電圧を、(A)天絡発生時、(B)地絡発生時および(C)断線発生時のそれぞれについて、正常動作時と比較して示す説明図である。
【図3】図1の検出回路の(A)正常動作時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図4】図1の検出回路の(A)天絡発生時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図5】図1の検出回路の(A)地絡発生時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図6】図1の検出回路の(A)断線発生時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る検出回路を示す回路図である。
【図8】図7の検出回路の(A)正常動作時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図9】図7の検出回路の(A)天絡発生時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図10】図7の検出回路の(A)地絡発生時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図11】図7の検出回路の(A)断線発生時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る検出回路を示す回路図である。
【図13】図12の検出回路の(A)正常動作時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図14】図12の検出回路の(A)天絡発生時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図15】図12の検出回路の(A)地絡発生時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図16】図12の検出回路の(A)断線発生時における動作例を示すタイミングチャートと、(B)駆動電圧および各判定部から出力される判定信号の関係を示す図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係る検出回路を示す回路図である。
【図18】図17の回路図の比較部の反転入力端子に入力される電圧を、(A)天絡発生時、(B)地絡発生時および(C)断線発生時のそれぞれについて、正常動作時と比較して示す説明図である。
【図19】(A)第5実施形態に係る検出回路を示す回路図と、(B)天絡発生時において比較部の反転入力端子に入力される電圧を、正常動作時と比較して示す説明図である。
【図20】(A)第6実施形態に係る検出回路を示す回路図と、(B)地絡発生時または断線発生時において比較部の反転入力端子に入力される電圧を、正常動作時と比較して示す説明図である。
【図21】(A)第7実施形態に係る検出回路を示す回路図と、(B)天絡発生時において比較部の反転入力端子に入力される電圧を、正常動作時と比較して示す説明図である。
【図22】(A)第8実施形態に係る検出回路を示す回路図と、(B)地絡発生時または断線発生時において比較部の反転入力端子に入力される電圧を、正常動作時と比較して示す説明図である。
【図23】従来の検出回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の第1実施形態に係る検出回路について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、この検出回路10は、例えば、車両(図示せず)に搭載された電子制御装置(以下「ECU」という)1に設けられている。車両には、バッテリー(図示せず)からの電圧を供給する電源2と、電源2から供給される電源電圧VB/Vcc(以下、「電源電圧VB」を用いて説明する。)よりも電圧の低い基準電圧部3と、両者2、3の間に設けられ、電源電圧VBを供給されることにより駆動される負荷4を備えており、ECU1は、車両の運転状態に応じて負荷4の駆動を制御する。
【0037】
負荷4は、例えばエンジンのインジェクタやリレーであり、負荷4と基準電圧部3の間には、第1スイッチ素子Tr1(検出用電圧入力部)が設けられていて、この第1スイッチ素子Tr1は、例えばNチャンネル型のMOSFETで構成されている。この第1スイッチ素子Tr1のドレインには、ECU1の接続端子5を介して負荷4が、ソースには基準電圧部3がそれぞれ接続されており、ゲートには、バッファ6を介して制御回路(図示せず)が接続されている。
【0038】
第1スイッチ素子Tr1は、制御回路から供給された駆動信号INによって駆動される。駆動信号INは例えばPWM信号で構成され、そのデューティ比に応じた駆動信号INの電圧レベルが高いとき(以下「Hのとき」という)に、第1スイッチ素子Tr1がオンされる一方、低いとき(以下「Lのとき」という)にはオフされる。第1スイッチ素子Tr1がオンされているときには、電源2から基準電圧部3への導通が確保され、負荷4に電源電圧VBが供給されることによって負荷4が駆動され、燃料の噴射などが実行される一方、オフされているときには、負荷4が停止状態に制御される。
【0039】
検出回路10は、電源2と基準電圧部3の間の回路で天絡、地絡および断線が発生した場合に、それらのいずれが発生したかを判定して検出するものであり、コンパレータで構成された比較部12と、この比較部12の非反転入力端子(第1の入力端子)に接続された閾値電圧生成部30と、比較部12の反転入力端子(第2の入力端子)に接続された比較用電圧生成部20を備えている。
【0040】
比較用電圧生成部20は、変圧されたバッテリーの電圧を供給する電源部13と、この電源部13と基準電圧部3との間に、直列に接続された第1抵抗R1および第2抵抗R2を有している。また、比較用電圧生成部20は、第1および第2抵抗R1、R2の間の中間端子21に接続されたオペアンプOAを有している。中間端子21は、オペアンプOAの非反転入力端子に接続されており、この非反転入力端子には、第1および第2抵抗R1、R2の抵抗値に応じて分割された電源部13の電圧が入力される。また、オペアンプOAからの出力は、その反転入力端子にフィードバックされている。
【0041】
また、オペアンプOAから出力された電圧は、比較部12に反転入力端子から比較用電圧Vcとして入力される。比較用電圧Vcは、電源2から出力される電源電圧VBと基準電圧部3の基準電圧GNDの中間の電圧に設定されている。また、反転入力端子からは、電源2と第1スイッチ素子Tr1の間の電圧もまた、検出用電圧として入力される。したがって、第1スイッチ素子Tr1がオンされているときには基準電圧部3の基準電圧GNDが、オフされているときには電源電圧VBが、それぞれ実際に反転入力端子から比較部12に入力されている。
【0042】
閾値電圧生成部30は、電源部13および基準電圧部3の間に直列に接続された第3抵抗R3および第4抵抗R4を有しており、両者R3、R4の間の中間端子31が、比較部12の非反転入力端子に接続されている。また、この中間端子31と基準電圧部3との間には、互いに直列に接続された第5抵抗R5および第2スイッチ素子Tr2が、第4抵抗R4と並列に接続されている。第2スイッチ素子Tr2は、例えばnpn型のバイポーラトランジスタで構成されており、そのコレクタが第5抵抗R5に接続され、エミッタが基準電圧部3に接続されている。
【0043】
また、閾値電圧生成部30はOR回路32を有しており、このOR回路32には、駆動信号INと、所定の周期で電圧レベルがHとLの間で変動するクロック信号CLKとが、制御回路からそれぞれ入力される。OR回路32は、入力されたこれらの信号の論理和を出力し、この出力信号は、第6抵抗R6を介して、第2スイッチ素子Tr2のベースに入力される。
【0044】
第2スイッチ素子Tr2は、OR回路32からの電流の大きさに応じ、OR回路32から出力された信号がHのときにはオンされ、Lのときにはオフされる。第2スイッチ素子Tr2がオフされているときには、上述した第3および第4抵抗R3、R4の抵抗値に応じて分割された電源部13からの電圧が、第1の閾値電圧Vth1として比較部12に入力される。第2スイッチ素子Tr2がオンされているときには、中間端子31と第2トランジスタTr2を介した基準電圧部3との間の導通が確保されることによって、オフされているときよりも低い電圧が、第2の閾値電圧Vth2として比較部12に入力される。第1の閾値電圧Vth1は、前述した電源電圧VBと比較用電圧Vcの中間の電圧に設定されており、第2の閾値電圧Vth2は、比較用電圧Vcと基準電圧GNDの中間の電圧に設定されている。
【0045】
比較部12は、非反転入力端子に入力された電圧と、反転入力端子に入力された電圧との比較を実行し、その比較結果を表す出力電圧Voutを出力する。すなわち、非反転入力端子に入力された電圧が反転入力端子に入力された電圧よりも大きいときには、電圧レベルがHの出力電圧Voutを出力し、小さいときには、電圧レベルがLの出力電圧Voutを出力する。比較部12から出力された出力電圧Voutは、判定部40に入力される。
【0046】
判定部40は、天絡判定部41、地絡判定部46、断線判定部51および判定回路14を有している。天絡判定部41は、電源2および基準電圧部3の間における天絡の発生を検出するためのものであり、第1AND回路42と、この第1AND回路42からの出力信号が入力される第1フィルタ回路43を有しており、第1AND回路42には、比較部12から出力された出力電圧Voutの電圧レベルが反転されて入力される。すなわち、出力電圧VoutがHのときにはLに、LのときにはHに、それぞれ反転して入力される。また、第1AND回路42には、前述した駆動信号INおよびクロック信号CLKと同じ信号が、制御回路からそれぞれ入力される。
【0047】
第1AND回路42は、入力された3つの信号の論理積を出力し、第1AND回路42から出力された信号は第1フィルタ回路43に入力される。第1フィルタ回路43は時間フィルタであり、ノイズによる誤判定が生じないように、例えば、入力時間が所定の時間以下の信号を遮断する一方、所定の時間を上回る信号をそのまま通過させるように構成されている。第1フィルタ回路43から出力された信号は、天絡判定信号DGVBとして判定回路14に入力され、判定回路14は、入力された天絡判定信号DGVBに基づいて、天絡が発生しているか否かを判定する。
【0048】
また、地絡判定部46は、第2AND回路47および第2フィルタ回路48を有しており、第2AND回路47には、比較部12からの出力電圧Voutがそのまま入力され、制御回路からの駆動信号INおよびクロック信号CLKは、いずれも電圧レベルを反転して入力される。また、この第2AND回路47からの出力信号は、第2フィルタ回路48に入力される。この第2フィルタ回路48は、天絡判定部41の第1フィルタ回路43と同様、入力時間が所定の時間以下の信号を遮断する一方、所定の時間を上回る信号を通過させるように構成されており、地絡判定信号DGGNDを判定回路14に出力する。判定回路14は、入力された地絡判定信号DGGNDに基づいて、地絡が発生しているか否かを判定する。
【0049】
断線判定部51は、第3AND回路52と、第3フィルタ回路53を有しており、第3AND回路52には、比較部12からの出力電圧Voutおよび駆動信号INがそれぞれ反転されて入力される。また、第3AND回路52には、クロック信号CLKがそのまま入力される。また、この第3AND回路52からの出力信号は、第3フィルタ回路53に入力される。この第3フィルタ回路53は、天絡判定部41および地絡判定部46の第1および第2フィルタ回路43、48と同様、入力時間が所定の時間以下の信号を遮断する一方、所定の時間を上回る信号を通過させるように構成されている。また、断線判定部51は、第1および第2ラッチ回路54、55と、第4AND回路56をさらに有している。
【0050】
第1ラッチ回路54は、入力された電圧の立上がりに応じて出力が変化する立上がりラッチであり、この第1ラッチ回路54では、地絡判定部46の第2フィルタ回路48から出力された信号が入力され、入力された信号の電圧レベルがLからHに変化したときに、出力する判定信号A2がLからHに変化し、その後は、Hレベルの判定信号A2を出力し続ける。第2ラッチ回路55もまた、第1ラッチ回路54と同様に構成されており、第3フィルタ回路53から出力された信号がHレベルに変化した後は、Hレベルの判定信号A1を出力し続ける。なお、第1および第2のラッチ回路54、55は、天絡などの検出を開始した時から所定の期間が経過した後、エンジンの始動時、およびECU1の電源投入時などにリセットされ、初期状態に戻される。
【0051】
第1および第2ラッチ回路54、55からそれぞれ出力された判定信号A2、A1は、第4AND回路56および判定回路14に入力される。第4AND回路56は、入力された判定信号A2、A1の論理積を、断線判定信号DGOGとして判定回路14に出力する。判定回路14は、入力された判定信号A2、A1および断線判定信号DGOGに基づいて、断線が発生しているか否かを判定する。
【0052】
次いで、比較部12の反転入力端子および非反転入力端子に入力される電圧と、比較部12から出力される出力電圧Voutの電圧レベルとの関係について説明する。天絡や地絡などが発生しておらず、第1スイッチ素子Tr1のオン/オフに応じて電源電圧VBが負荷4に正常に供給されている場合(以下、「正常動作時」という)においては、第1スイッチ素子Tr1がオンのとき(以下、「出力オンのとき」という)には基準電圧GNDが、また、オフのとき(以下、「出力オフのとき」という)には電源電圧VBが、比較部12の反転入力端子にそれぞれ入力される。前述したように、第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2はいずれも、電源電圧VBよりも低く、且つ基準電圧GNDより高いので、正常動作時においては、出力オンのときにはHレベルの出力電圧Voutが、また、出力オフのときにはLレベルの出力電圧Voutが、それぞれ出力される。
【0053】
一方、図4(C)に示すように、例えばECU1の接続端子5および電源2の間がショートし、天絡が発生した場合、図2(A)に示すように、出力オンのときには正常動作時と異なり、電源電圧VBが反転入力端子に入力されることによって、比較部12からはLレベルの出力電圧Voutが出力される。一方、出力オフのときには、正常動作時と同じく電源電圧VBが反転入力端子から入力され、比較部12からはLレベルの信号が出力される。
【0054】
また、図5(C)に示すように、例えばECU1の接続端子5で地絡が発生した場合、図2(B)に示すように、出力オンのときには正常動作時と同じく基準電圧GNDが入力され、比較部12からはHレベルの出力電圧Voutが出力される一方、出力オフのときには正常動作時と異なり、基準電圧GNDが入力され、Hレベルの信号が出力される。
【0055】
また、図6(C)に示すように、例えば負荷4とECU1の接続端子5の間で断線が発生した場合、図2(C)に示すように、出力オンのときには正常動作時と同じく基準電圧GNDが反転入力端子から入力され、比較部12からはHレベルの出力電圧Voutが出力される一方、出力オフのときには正常動作時と異なり、比較用電圧生成部20から出力された比較用電圧Vcが入力される。その際、比較部12から出力される出力電圧Voutの電圧レベルは、非反転入力端子に入力される第1または第2の閾値電圧Vth1、Vth2によって変化する。すなわち、前述した第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2と比較用電圧Vcとの関係から、比較用電圧Vcよりも高圧の第1の閾値電圧Vth1が入力されているときにはHレベルの出力電圧Voutが出力され、比較用電圧Vcよりも低圧の第2の閾値電圧Vth2が入力されているときにはLレベルの出力電圧Voutが出力される。
【0056】
したがって、比較部12からの出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKの電圧レベルが、それぞれL、HおよびHのときに、天絡判定部41は、Hレベルの天絡判定信号DGVBを出力し、それ以外のときにはLレベルの天絡判定信号DGVBを出力する。また、出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKの電圧レベルが、それぞれH、LおよびLのときに、地絡判定部46は、Hレベルの地絡判定信号DGGNDを出力し、それ以外のときにはLレベルの地絡判定信号DGGNDを出力する。
【0057】
また、出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKの電圧レベルが、それぞれL、LおよびHのときに、第3AND回路52は、Hレベルの信号を出力し、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。そして、第2および第3AND回路47、52の双方から少なくとも1回、Hレベルの信号が出力されたとき以降、断線判定部51は、第4AND回路56からHレベルの断線判定信号DGOGを出力し、それよりも前のときにはLレベルの断線判定信号DGOGを出力する。
【0058】
判定回路14によって、電源2および基準電圧部3の間に天絡、地絡および断線のいずれかが発生していると判定された場合には、判定回路14は、天絡などが発生した時刻や場所を表すデータを、例えばECU1の記憶装置(図示せず)に記憶させる。そして、これらのデータは、例えば車両の整備を行う際にECU1に接続された整備用の端末(図示せず)に転送され、整備用端末に表示されるなどして、車両の整備に用いられる。
【0059】
次いで、上述した検出回路10の動作を、図3〜図6を参照しながら説明する。図3(A)は、正常動作時における検出回路10の動作の一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、検出開始時において、制御回路から第1スイッチ素子Tr1およびOR回路32にそれぞれ入力される駆動信号IN、およびクロック信号CLKの電圧レベルがいずれもLで、第1の閾値電圧Vth1が比較部12に入力されている状態においては、Lレベルの出力電圧Voutが出力され、天絡判定部41、地絡判定部46、および断線判定部51からは、いずれもLレベルの天絡判定信号DGVB、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGがそれぞれ出力される。
【0060】
この状態からタイミングt1において、クロック信号CLKがHレベルに切り換えられると、OR回路32から出力される信号がHレベルに切り換えられるのに伴って、閾値電圧が、第1の閾値電圧Vth1から第2の閾値電圧Vth2に切り換えられるが、駆動信号INはLレベルのままであるので、比較部12からの出力電圧VoutもLレベルに維持される。したがって、この状態においても、各判定部からは、いずれもLレベルの判定信号が出力される。
【0061】
クロック信号CLKの変動周期に従い、タイミングt2においてクロック信号CLKがLレベルに戻されるとともに、閾値電圧が第1の閾値電圧Vth1に切り換えられた後、負荷4の駆動要求に応じ、タイミングt3において、駆動信号INがHレベルに切り換えられる。これにより、閾値電圧が再度、第2の閾値電圧Vth2に切り換えられるのに伴い、出力電圧VoutがHに切り換えられるものの、各判定部からは、いずれもLレベルの信号が出力される。また、タイミングt4においてクロック信号CLKがHレベルに切り換えられ、駆動信号IN、クロック信号CLKおよび出力電圧VoutがいずれもHレベルの場合においても、各判定部からはいずれもLレベルの信号が出力される。
【0062】
また、タイミングt4以降、クロック信号CLKが変動しても、出力電圧VoutはHレベルに維持され、タイミングt5において駆動信号INがLレベルに切り換えられると、出力電圧VoutはLレベルに切り換えられ、この間も、各判定部からの判定信号はLレベルに維持される。タイミングt5以降、駆動信号INおよびクロック信号CLKが切り換えられ、これらの信号の電圧レベルの組合わせが変化しても、各判定部からはいずれもLレベルの信号が出力される。それにより、電源2および基準電圧部3の間には天絡などが発生しておらず、負荷4が正常に駆動されているものと判定回路14によって判定される。
【0063】
以上のように、正常動作時においては、図3(B)に示すように、駆動信号INの電圧レベルにかかわらず、天絡判定部41、地絡判定部46および断線判定部51からは、いずれもLレベルの天絡判定信号DGVB、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGがそれぞれ出力される。したがって、検出回路10は、電源2および基準電圧部3の間において、天絡、地絡および断線のいずれも検出しない。
【0064】
図4(A)は、天絡が発生した場合に、上述した正常動作時と同様に駆動信号INおよびクロック信号CLKが変動したときの検出回路10の動作を示すタイミングチャートである。天絡が発生しているときには、前述したように、反転入力端子から電源電圧VBが比較部12に常時、入力されるので、比較部12からの出力電圧Voutは、常時、Lレベルに維持される。また、上述した正常動作時と同様、駆動信号INおよびクロック信号CLKがいずれもLレベルのときには、第1の閾値電圧Vth1が非反転入力端子から比較部12に入力される。
【0065】
この状態からタイミングt21においてクロック信号CLKがHレベルに切り換えられると、それに応じて閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられる。この状態では、各判定部からはいずれもLレベルの信号が出力される。タイミングt22において、クロック信号CLKがLレベルに戻されるのに伴い、閾値電圧が第1の閾値電圧Vth1に切り換えられ、タイミングt23において、駆動信号INがHレベルに切り換えられると、閾値電圧が再度、第2の閾値電圧Vth2に切り換えられる。この状態においても、各判定部からはLレベルの信号が出力される。
【0066】
そして、タイミングt24において、クロック信号CLKがHレベルに切り換えられると、閾値電圧は第2の閾値電圧Vth2に維持され、地絡判定部46および断線判定部51からの出力信号はLレベルに維持される一方、天絡判定部41からはHレベルの天絡判定信号DGVBが出力され、このHレベルの天絡判定信号DGVBが判定回路14に入力される。タイミングt25において、クロック信号CLKがLレベルに戻されるのに伴い、天絡判定信号DGVBもまた、Lレベルに戻る。
【0067】
また、タイミングt25以降、駆動信号INおよびクロック信号CLKが切り換えられ、これらの信号の電圧レベルの組合わせがいずれもHのときに、天絡判定部41からHレベルの天絡判定信号DGVBが出力される一方、地絡判定部46および断線判定部51からは常時、Lレベルの信号が出力される。従って、判定回路14は、天絡判定部41からのHレベルの天絡判定信号DGVBの入力と、地絡判定部46および断線判定部51からのLレベルのみの信号の入力に基づいて、天絡が発生したものと判定する。
【0068】
以上のように、天絡発生時においては、図4(B)に示すように、駆動信号INがHのとき、すなわち負荷4を駆動するときに、天絡判定信号DGVBのみがHになる。検出回路10は、それに基づいて、電源2および基準電圧部3の間において、天絡が発生したことを検出する。
【0069】
図5は、地絡発生時における検出回路10の動作を示している。地絡が発生しているときには、前述したように、反転入力端子から基準電圧GNDが比較部12に常時、入力されるので、出力電圧Voutは常時、Hレベルに維持される。また、上述した正常動作時と同様、駆動信号INおよびクロック信号CLKがLレベルのときには、第1の閾値電圧Vth1が非反転入力端子から比較部12に入力される。したがって、駆動信号INおよびクロック信号CLKがいずれもLレベルのときには、天絡判定部41および断線判定部51からはLレベルの信号が出力される一方、地絡判定部46からはHレベルの信号が出力される。
【0070】
この状態から、タイミングt31においてクロック信号CLKがHレベルに切り換えられると、それに応じて閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられる。この状態では、各判定部からはいずれもLレベルの信号が出力される。タイミングt32において、クロック信号CLKがLレベルに戻されるのに伴い、閾値電圧が第1の閾値電圧Vth1に切り換えられることによって、地絡判定信号DGGNDがHレベルに切り換えられる。
【0071】
また、タイミングt33において、駆動信号INがHレベルに切り換えられると、閾値電圧が再度、第2の閾値電圧Vth2に切り換えられ、各AND回路に入力される駆動信号INの電圧レベルが切り換えられることによって、各判定部からは、いずれもLレベルの信号が出力される。
【0072】
このように駆動信号INがHレベルのときに、タイミングt34〜t37において、クロック信号CLKがHレベルとLレベルの間で変動しても、各判定部からの判定信号はLレベルに維持される。そして、タイミングt38において、駆動信号INがLレベルに切り換えられると、地絡判定信号DGGNDがHレベルに切り換えられる。
【0073】
また、タイミングt38以降、駆動信号INおよびクロック信号CLKが切り換えられ、これらの信号の電圧レベルの組合わせがいずれもLレベルのときに、地絡判定部46からHレベルの地絡信号DGGNDが出力される一方、天絡判定部41および断線判定部51からは常時、Lレベルの信号が出力される。従って、判定回路14は、地絡判定部46からHレベルの地絡信号DGGNDが入力され、天絡判定部41および断線判定部51からはLレベルの信号のみが入力されることに基づいて、地絡が発生したものと判定する。
【0074】
以上のように、地絡発生時においては、図5(B)に示すように、駆動信号INがLレベルのときに、地絡判定信号DGGNDのみがHレベルになる。検出回路10は、それに基づいて、電源2および基準電圧部3の間において、地絡が発生したことを検出する。
【0075】
図6(A)は、断線発生時における検出回路10の動作を示している。断線が発生している場合、前述したように、出力オンのときには正常動作時と同様に基準電圧GNDが、出力オフのときには第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2の中間の比較用電圧Vcが、反転入力端子から比較部12にそれぞれ入力される。
【0076】
同図に示すように、断線判定の開始時において、駆動信号INおよびクロック信号CLKがいずれもLレベルで、第1の閾値電圧Vth1が比較部12に入力されているときには、出力電圧VoutはHになり、それにより、第2AND回路47からはHレベルの信号が出力され、第3AND回路52からはLレベルの信号が出力される。この第2AND回路47から出力されたHレベルの信号は、第1ラッチ回路54に記憶され、したがって、第1ラッチ回路54からはHレベルの判定信号A2が出力される。また、第3AND回路52からはLレベルの信号が出力され、したがって、第2ラッチ回路55からはLレベルの判定信号A1が出力されるので、第4AND回路56からはLレベルの断線判定信号DGOGが出力される。
【0077】
この状態から、タイミングt41においてクロック信号CLKがHレベルに切り換えられると、それに応じて閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられるのに伴い、出力電圧VoutがLレベルに切り換えられる。これにより、第3AND回路52からはHレベルの信号が出力され、この信号は、第2ラッチ回路55に記憶されるので、第2ラッチ回路55からの判定信号A1はLレベルからHレベルに切り換えられる。上述したように、判定の開始時において、第1ラッチ回路54にはHレベルの信号がすでに記憶されているので、タイミングt41以降、第4AND回路56からはHレベルの断線信号DGOGが常時、出力される。
【0078】
タイミングt42において、クロック信号CLKがLレベルに切り換えられると、それに応じて、第2AND回路47および第3AND回路52からの出力信号が、HレベルおよびLレベルにそれぞれ切り換えられる。また、タイミングt43において、負荷4の駆動要求に応じて駆動信号INがHレベルに切り換えられ、閾値電圧が第1の閾値電圧Vth1に切り換えられると、第3AND回路52からの出力信号はLレベルに維持されるとともに、第2AND信号47からの出力信号はLレベルに切り換えられる。また、断線判定信号DGOGはHレベルに維持される。
【0079】
また、タイミングt44以降、駆動信号INおよびクロック信号CLKが変動し、それに伴って出力電圧Voutが変動しても、断線信号DGOGはHレベルに維持される。このように、駆動信号INおよびクロック信号CLKの組合せが変動しても、断線判定信号DGOGは、第1および第2ラッチ回路54、55によって、タイミングt41以降、Hレベルに維持されることに基づいて、判定回路14は断線が発生したものと判定する。
【0080】
以上のように、断線発生時においては、図6(B)に示すように、駆動信号INがLのときに、第1ラッチ回路54および第2ラッチ回路55から、いずれもHレベルの判定信号A2およびA1が出力される結果、断線判定信号DGOGがHになる。検出回路10は、断線判定信号DGOGがHになったことに基づいて、電源2および基準電圧部3の間において、断線が発生したことを検出する。
【0081】
以上のように、第1実施形態に係る検出回路10によれば、第1スイッチ素子Tr1がオンされているときには、比較部12に入力される閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に固定され、オフされているときには、第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2の間で変動する。前述したように、天絡発生時には、電源電圧VBが比較部12に入力されるので、閾値電圧との関係から、Lレベルの出力電圧Voutが比較部12から出力され、この出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKに基づいて、Hレベルの天絡判定信号DGVBが天絡判定部41から出力される。
【0082】
また、地絡発生時には、基準電圧GNDが比較部12に入力されるので、Hレベルの出力電圧Voutが出力され、この出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKに基づいて、Hレベルの地絡判定信号DGGNDが地絡判定部46から出力される。また、断線発生時には、比較用電圧Vcおよび基準電圧GNDが変動して比較部12に入力されるので、出力電圧VoutもまたHレベルとLレベルの間で変動し、変動する出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKに基づいて、Hレベルの断線判定信号DGOGが断線判定部51から出力される。
【0083】
したがって、判定部40は、天絡、地絡または断線が発生した場合に、これらの影響を反映した互いに異なる出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKに基づいて、適切な天絡判定信号DGVB、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGを得ることができ、これらの判定信号に基づいて、適切な判定を行うことができる。それにより、検出回路10は、天絡、地絡および断線のいずれが発生したかを、確実に判別して検出することができる。
【0084】
また、検出回路10は、単一のコンパレータで構成された比較部12や第1および第2ラッチ回路54、55などによって、全体としてより簡素な回路構成を有しているので、検出回路10の製造コストを削減することができる。
【0085】
図7は、第2実施形態に係る検出回路10aを示している。この検出回路10aは、上述した第1実施形態の検出回路10と比較して、閾値電圧生成部の構成が異なっている。以下、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を用いて、第1実施形態との差異を中心として説明する。
【0086】
前述した第1実施形態の閾値電圧生成部30では、第2スイッチ素子Tr2のベースには、OR回路32から出力された、駆動信号INおよびクロック信号CLKの論理和に基づく信号が入力されるのに対し、本実施形態の閾値電圧生成部30aでは、第1実施形態の閾値電圧生成部30と異なり、クロック信号CLKが制御回路から入力される。したがって、クロック信号CLKがLレベルのときには、第2スイッチ素子Tr2がオフされ、第1の閾値電圧Vth1が比較部12に入力される。また、クロック信号CLKがHレベルのときには第2スイッチ素子Tr2がオンされ、第2の閾値電圧Vth2が比較部12に入力される。すなわち、閾値電圧生成部30aは、クロック信号CLKの電圧レベルの変動に同期して、閾値電圧を、第1の閾値電圧Vth1と第2の閾値電圧Vth2の間で周期的に切り換えて比較部12に入力する。他の構成は、前述した検出回路10と同様である。
【0087】
図8(A)は、正常動作時において、駆動信号INおよびクロック信号CLKが前述した第1実施形態と同様に変動した場合における、第2実施形態に係る検出回路10aの動作を示すタイミングチャートである。本実施形態においては、上述したように、第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2の間の切換えが、クロック信号CLKに同期して行われることが、前述した第1実施形態と異なっている。
【0088】
同図に示すように、検出開始時において、駆動信号INおよびクロック信号CLKがいずれもLレベルのときには、第1の閾値電圧が比較部12に入力され、Lレベルの出力電圧Voutが出力される。それにより、いずれもLレベルの天絡判定信号DGVB、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGが、判定回路14に入力される。
【0089】
この状態から、タイミングt51において、クロック信号CLKがHレベルに切り換えられると、それに伴い、閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられるが、各判定部から出力される信号は、いずれもLレベルに維持される。また、タイミングt52においてクロック信号CLKがLレベルに戻され、さらに、タイミングt53において、駆動信号INがHレベルに切り換えられると、出力電圧VoutがHに切り換えられるものの、各判定部から出力される信号はLレベルに維持される。
【0090】
また、駆動信号INがHレベルの状態で、クロック信号CLKが、タイミングt54においてHレベルに切り換えられ、タイミングt55においてLレベルに戻されても、各判定部から出力される信号は、いずれもLレベルに維持される。また、タイミングt55以以降において、駆動信号INおよびクロック信号CLKの電圧レベルの組合わせが変化しても、各判定部から出力される信号は、常時、Lレベルに維持される。
【0091】
以上のように、正常動作時においては、図8(B)に示すように、駆動信号INの電圧レベルにかかわらず、地絡判定部41、天絡判定部46および断線判定部51からは、いずれもLレベルの天絡判定信号DGVB、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGがそれぞれ出力される。したがって、検出回路10は、電源2および基準電圧部3の間において、天絡、地絡および断線のいずれも検出しない。
【0092】
図9(A)は、検出回路10aの天絡発生時における動作の一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、検出開始時において、駆動信号INおよびクロック信号CLKがいずれもLレベルのときには、第1の閾値電圧Vth1が比較部12に入力され、各判定部からはLレベルの信号が出力される。
【0093】
この状態から、タイミングt61においてクロック信号CLKがHレベルに切り換えられると、閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられ、タイミングt62においてクロック信号CLKがLレベルに戻されると、閾値電圧も第1の閾値電圧Vth1に戻される。この間、各判定部から出力される信号は、いずれもLレベルに維持される。
【0094】
また、タイミングt63において、駆動信号INがHレベルに切り換えられても、各判定部からの出力信号はいずれもLレベルに維持され、駆動信号INがHレベルの状態で、クロック信号CLKが、タイミングt64においてHレベルに切り換えられると、天絡判定信号DGVBがHレベルに切り換えられる一方、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGは、いずれもLレベルに維持される。
【0095】
タイミングt65において、クロック信号CLKがLレベルに戻されると、それに伴って天絡判定信号DGVBもLレベルに戻り、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGは、いずれもLレベルに維持される。また、タイミングt65以降、駆動信号INおよびクロック信号CLKの電圧レベルの組合わせがいずれもHレベルのときに、Hレベルの天絡判定信号DGVBが出力され、他の組合わせのときにはLレベルの天絡判定信号DGVBが出力される。地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGは、いずれもLレベルに維持される。
【0096】
以上のように、天絡発生時においては、図9(B)に示すように、駆動信号INの電圧レベルがHのときに、天絡判定信号DGVBのみがHになることに基づいて、検出回路10は、電源2および基準電圧部3の間において、天絡が発生したことを検出する。
【0097】
図10は、検出回路10aの地絡発生時における動作の一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、駆動信号INおよびクロック信号CLKがいずれもLレベルの状態では、第1の閾値電圧Vth1が比較部12に入力され、Hレベルの地絡判定信号DGGNDが出力されるとともに、Lレベルの天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGが出力される。
【0098】
この状態から、タイミングt71において、クロック信号CLKがHレベルに切り換えられると、閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられ、それに伴い、地絡判定信号DGGNDがLレベルに切り換えられる一方、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGはLレベルに維持される。また、タイミングt72において、クロック信号CLKがLレベルに戻されると、閾値電圧が第1の閾値電圧Vth1に戻されるとともに、地絡判定信号DGGNDもHレベルに戻り、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGはLレベルに維持される。
【0099】
タイミングt73において、駆動信号INがHレベルに切り換えられると、第2AND回路47からの出力が変化し、地絡判定信号DGGNDがLレベルに切り換えられる一方、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGはLレベルに維持される。また、駆動信号INがHレベルの状態において、タイミングt74でクロック信号CLKがHレベルに切り換えられ、タイミングt75でLレベルに戻されても、各判定信号は、いずれもLレベルに維持される。
【0100】
タイミングt76において、クロック信号CLKがLレベルのときに、駆動信号INがLレベルに切り換えられると、地絡判定信号DGGNDがHレベルに切り換えられる一方、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGはLレベルに維持される。また、タイミングt76以降、駆動信号INおよびクロック信号CLKの電圧レベルの組合わせが、いずれもLレベルのときに、Hレベルの地絡判定信号DGGNDが出力され、他の組合わせのときには、Lレベルの地絡判定信号DGGNDが出力される。天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGは、駆動信号INおよびクロック信号CLKの組合わせに関わらず、常時、Lレベルに維持される。
【0101】
以上のように、地絡発生時においては、図10(B)に示すように、駆動信号INの電圧レベルがLのときに、地絡判定信号DGGNDのみがHになることに基づいて、検出回路10は、電源2および基準電圧部3の間において、地絡が発生したことを検出する。
【0102】
図11は、検出回路10aの断線発生時における動作の一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、検出の開始時において、駆動信号INおよびクロック信号CLKがいずれもLレベルのときには、第1の閾値電圧Vth1が比較部12に入力され、第2AND回路47からはHレベルの信号が出力されるとともに、第3AND回路52からはLレベルの信号が出力される。それにより、第1および第2ラッチ回路54、55からはHレベルの判定信号A2およびLレベルの判定信号A1がそれぞれ出力され、両判定信号A1、A2は、第4AND回路56および判定回路14にそれぞれ入力される。したがって、Lレベルの断線判定信号DGOGが出力される。
【0103】
この状態から、タイミングt81において、クロック信号CLKがHレベルに切り換えられ、閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられると、第3AND回路52からの出力信号がHレベルに、第2AND回路47からの出力信号がLレベルに、それぞれ切り換えられる。また、第3AND回路52からの信号が、Hレベルになることにより第2ラッチ回路55に記憶され、第2ラッチ回路55からの判定信号A1がHレベルに切り換えられることによって、断線判定信号DGOGもまた、Hレベルに切り換えられる。また、タイミングt82において、クロック信号CLKがLレベルに切り換えられるのに伴い、第3AND回路52からの出力信号がLレベルに、第2AND回路47からの出力信号がHレベルに、それぞれ切り換えられる。また、断線判定信号DGOGは、第1および第2ラッチ回路54、55によって、Hレベルに維持される。
【0104】
また、タイミングt83において、駆動信号INがHレベルに切り換えられると、第2AND回路47からの出力が変化し、Lレベルに切り換られる。また、駆動信号INがHレベルの状態で、クロック信号CLKが、タイミングt84においてHレベルに、また、タイミングt85においてLレベルに切り換えられても、各判定信号はいずれも変化せず、第3AND回路52からの出力信号および第2AND回路47からの出力信号はいずれもLレベルに、断線判定信号DGOGはHレベルに、それぞれ維持される。
【0105】
タイミングt86において、駆動信号INがLレベルに戻されると、それに伴い、第2AND回路47からの出力信号がHレベルに切り換えられる一方、第3AND回路52からの出力信号はLレベルに、断線判定信号DGOGはHレベルに、それぞれ維持される。また、タイミングt86以降、駆動信号INおよびクロック信号CLKの変動に伴い、地絡判定信号DGGNDもまた変動する一方、断線判定信号DGOGは、駆動信号INおよびクロック信号CLKにかかわらず、Hレベルに維持される。
【0106】
以上のように、断線発生時においては、図11(B)に示すように、駆動信号INの電圧レベルがHのときに、第1ラッチ回路54および第2ラッチ回路55から、いずれもHレベルの判定信号A2およびA1が出力される結果、断線判定信号DGOGがHになり、検出回路10は、断線判定信号DGOGがHになったことに基づいて、電源2および基準電圧部3の間において、断線が発生したことを検出する。
【0107】
以上のように、第2実施形態に係る検出回路10aによれば、第1スイッチ素子Tr1がオンされているとき、およびオフされているときのいずれも、比較部12に入力される閾値電圧が、第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2の間で変動する。前述したように、天絡発生時には、電源電圧VBが比較部12に入力され、地絡発生時には、基準電圧GNDが比較部12に入力され、また、断線発生時には、比較用電圧Vcおよび基準電圧GNDが変動して比較部12に入力される。したがって、閾値電圧が第1スイッチ素子Tr1のオン/オフにかかわらず変動しても、前述した第1実施形態と同様、天絡などの影響が反映された出力電圧Voutが出力されるので、判定部40は、出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKに基づいて、適切な判定を行うことができ、検出回路10aは、天絡、地絡および断線のいずれが発生したかを、確実に判別して検出することができる。
【0108】
図12は、第3実施形態に係る検出回路10bを示している。この検出回路10bは、前述した第1実施形態の検出回路10と比較して、閾値電圧生成部および判定部の構成が主に異なっている。以下、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を用いて、第1実施形態との差異を中心として説明する。
【0109】
前述した第1実施形態の閾値電圧生成部30では、OR回路32には、駆動信号INおよびクロック信号CLKが制御回路から入力されるのに対し、本実施形態の閾値電圧生成部30bでは、第1実施形態と異なり、駆動信号INおよび順序回路33から出力された信号が入力される。この順序回路33では、駆動信号INがHのときには入力された信号をそのまま出力し、駆動信号INがLのときには、駆動信号INがLに切り換わる直前に入力された信号を維持して出力する。順序回路33には、順序回路33から出力された信号が、インバータ34を介して入力される。
【0110】
また、本実施形態の判定部40aは、天絡判定部41a、地絡判定部46aおよび断線判定部51aを有している。天絡判定部41aの第5AND回路42aには、電圧レベルを反転させた出力電圧Vout、および駆動信号INが入力される。これにより、出力電圧Voutおよび駆動信号INの電圧レベルがそれぞれLおよびHのときに、Hレベルの天絡判定信号DGVBが判定回路14に入力される。また、地絡判定部46aの第6AND回路47aには、出力電圧Voutと、電圧レベルが反転された駆動信号INと、OR回路32から出力され、電圧レベルが反転された信号とが入力される。これにより、出力電圧Vout、駆動信号IN、およびOR回路32からの信号がそれぞれH、LおよびLのときに、Hレベルの地絡判定信号DGGNDが判定回路14に入力される。
【0111】
また、断線判定部51aの第7AND回路52aには、電圧レベルが反転された出力電圧Voutと、電圧レベルが反転された駆動信号INと、OR回路32から出力された信号とが入力される。これにより、出力電圧Vout、駆動信号IN、およびOR回路32からの信号がそれぞれL、LおよびHのときに、第7AND回路52aは、Hレベルの信号を出力する。そして、第6および第7AND回路47a、52aからそれぞれ出力された信号の双方の電圧レベルが、少なくとも1回、Hになった時以降、第4AND回路56は、第1および第2ラッチ回路54、55によってHレベルの信号を出力し、それよりも前のときにはLレベルの信号を出力する。他の構成は、前述した第1実施形態と同様である。
【0112】
図13は、正常動作時における検出回路10bの動作の一例を示すタイミングチャートである。検出の開始時において、同図に示すように、駆動信号INがLで、順序回路33からはLレベルの信号が出力され、OR回路32からLレベルの信号が出力される結果、第1の閾値電圧Vth1が比較部12に入力され、Lレベルの出力電圧Voutが出力される。それにより、いずれもLレベルの天絡判定信号DGVBおよび地絡判定信号DGGNDが出力される。また、第7AND回路52aおよび第6AND回路47aからはいずれもLレベルの信号が出力されることから、Lレベルの断線判定信号DGOGが出力される。
【0113】
この状態から、タイミングt91において、負荷4の駆動要求に応じて駆動信号INがHレベルに切り換えられると、OR回路32からの出力がHレベルに切り換えられる。それにより、閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられるが、比較部12の反転入力端子には基準電圧GNDが入力されるので、出力電圧VoutはHレベルに切り換えられる。この状態においても、各判定部から出力される信号は、いずれもLレベルに維持される。
【0114】
また、タイミングt92において、駆動信号INがLレベルに戻されると、順序回路33からの出力がHレベルに切り換えられ、OR回路32からの出力信号がHレベルに維持されることによって、閾値電圧もまた、第2の閾値電圧Vth2に維持される。また、電源電圧VBが比較部12に入力されるので、出力電圧VoutはLレベルに切り換えられ、その結果、各判定部からの判定信号も、Lレベルに維持される。
【0115】
また、タイミング93において、駆動信号INが再度、Hレベルに切り換えられると、閾値電圧は、順序回路33によって第2の閾値電圧Vth2に維持され、出力電圧VoutがHレベルに切り換えられる結果、各判定部からの判定信号もLレベルに維持される。
【0116】
また、タイミングt94において、駆動信号INがLレベルに戻されると、順序回路33からの出力がLレベルに切り換えられ、それにより、閾値電圧が第1の閾値電圧Vth1に切り換えられる。その際、各判定部から出力される判定信号はLレベルに維持される。
【0117】
以上のように、正常動作時においては、図13(B)に示すように、駆動信号INの電圧レベルにかかわらず、天絡判定部41a、地絡判定部46aおよび断線判定部51aからは、いずれもLレベルの天絡判定信号DGVB、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGがそれぞれ出力される。したがって、検出回路10は、電源2および基準電圧部3の間において、天絡、地絡および断線のいずれも検出しない。
【0118】
図14は、検出回路10bの天絡発生時における動作の一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、検出の開始時において、駆動信号INがLレベルのときには、正常動作時と同様に、OR回路32からLレベルの信号が出力され、第1の閾値電圧Vth1が比較部12に入力される。また、天絡の発生時には、電源電圧VBが反転入力端子から比較部12に入力されるので、Lレベルの出力電圧Voutが比較部12から出力される。したがって、いずれもLレベルの天絡判定信号DGVB、断線判定信号DGOGおよび地絡判定信号DGGNDが出力される。
【0119】
この状態から、タイミングt101において、駆動信号INがHレベルに切り換えられると、OR回路32からHレベルの信号が出力され、閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられるが、比較部12には、電源電圧VBが入力されていることから、出力電圧VoutはLレベルに維持される。その結果、天絡判定信号DGVBがHレベルに切り換えられる一方、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGはLレベルに維持される。
【0120】
タイミングt102において、駆動信号INがLレベルに戻されると、順序回路32によってOR回路32からの出力信号がHレベルに維持されるので、閾値電圧もまた、第2の閾値電圧Vth2に維持される。それにより、天絡判定信号DGVBはLレベルに切り換えられ、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGは、いずれもLレベルに維持される。また、タイミングt103において、駆動信号INが再度、Hレベルに切り換えられると、閾値電圧は第2の閾値電圧Vth2に維持されるとともに、上記のタイミングt101のときと同様、Hレベルの天絡判定信号DGVBが出力される一方、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGはLレベルに維持される。
【0121】
そして、タイミングt104において、駆動信号INがLレベルに戻されるとともに、順序回路33によってOR回路32からの出力信号もLレベルに切り換えられるのに応じて、閾値電圧が第1の閾値電圧Vth1に切り換えられる。また、天絡判定信号DGVBがLレベルに切り換えられるとともに、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGがLレベルに維持される。また、タイミングt104以降も、駆動信号INがHレベルのときに、天絡判定信号DGVBもHレベルになる一方、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGは、Lレベルに維持される。
【0122】
以上のように、天絡発生時においては、図14(B)に示すように、駆動信号INの電圧レベルがHのときに、天絡判定信号DGVBのみがHになることに基づいて、検出回路10bは、電源2および基準電圧部3の間において、天絡が発生したことを検出する。
【0123】
図15は、検出回路10bの地絡発生時における動作の一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、検出の開始時において、駆動信号INがLレベルのときには、正常動作時などと同様、OR回路32からLレベルの信号が出力され、第1の閾値電圧Vth1が非反転入力端子から比較部12に入力されており、反転入力端子には基準電圧GNDが入力されていることから、Hレベルの出力電圧Voutが出力される。したがって、Hレベルの地絡判定信号DGGNDが出力される一方、いずれもLレベルの天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGが出力される。
【0124】
この状態から、タイミングt111において、駆動信号INがHレベルに切り換えられると、正常動作時および天絡発生時と同様、閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられる。また、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGがLレベルに維持されるとともに、地絡判定信号DGGNDがLレベルに切り換えられる。
【0125】
また、正常動作時および天絡発生時と同様、タイミングt112において、駆動信号INがLレベルに戻され、タイミングt113において、駆動信号INがHレベルに再度、切り換えられても、閾値電圧は第2の閾値電圧Vth2に維持される。したがって、各判定部からの信号もまた、Lレベルに維持される。また、タイミングt114において、駆動信号INがLレベルに切り換えられ、OR回路32からの出力信号がLレベルに切り換えられると、それに伴い、閾値電圧が第1の閾値電圧Vth1に切り換えられるとともに、地絡判定信号DGGNDがHレベルに切り換えられる一方、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGはLレベルに維持される。
【0126】
また、タイミングt114以降、駆動信号INの変動に伴って第1の閾値電圧Vth1が比較部12に入力されているときに、Hレベルの地絡判定信号DGGNDが出力され、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGがLレベルに常時、維持される。判定回路14は、このことに基づいて、地絡が発生したものと判定する。
【0127】
以上のように、地絡発生時においては、図15(B)に示すように、駆動信号INがLレベルのときに、地絡判定信号DGGNDのみがHレベルになる。検出回路10は、それに基づいて、電源2および基準電圧部3の間において、地絡が発生したことを検出する。
【0128】
図16は、検出回路10bの断線発生時における動作の一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、駆動信号INがLレベルのときには、第1の閾値電圧Vth1および比較用電圧Vcが比較部12に入力され、地絡発生時と同様、Lレベルの天絡判定信号DGVBおよびHレベルの地絡判定信号DGGNDが出力される。また、このHレベルの信号が第1ラッチ回路54に記憶され、第1ラッチ回路54からHレベルの判定信号A2が出力される一方、断線判定部51aの第7AND回路52aからはLレベルの信号が出力され、第2ラッチ回路55からLレベルの判定信号A1が出力されることから、第4AND回路56からはLレベルの断線判定信号DGOGが出力される。
【0129】
タイミングt121において、駆動信号INがHレベルに切り換えられ、OR回路32からの出力信号がHレベルに切り換えられると、それに伴い、閾値電圧が第2の閾値電圧Vth2に切り換えられる。その際、反転入力端子から比較部12に入力される電圧が、比較用電圧Vcから基準電圧GNDに切り換えられることから、出力電圧VoutはHレベルに維持される。それにより、地絡判定信号DGGNDがLレベルに切り換えられるとともに、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGはLレベルに維持される。
【0130】
また、タイミングt122において、駆動信号INがLレベルに戻されると、閾値電圧は第2の閾値電圧Vth2に維持される一方、比較部12には第2の閾値電圧Vth2よりも高圧の比較用電圧Vcが入力されることから、出力電圧VoutがLレベルに切り換えられる。それにより、第7AND回路52aから出力される信号がHレベルに切り換えられることによって、第2ラッチ回路55から出力される判定信号A1もまた、Hレベルに切り換えられる。その結果、断線判定信号DGOGがHレベルに切り換えられる。一方、天絡判定信号DGVBおよび地絡判定信号DGGNDはLレベルに維持される。
【0131】
タイミングt123において、駆動信号INがHレベルに再度、切り換えられると、第2の閾値電圧Vth2が維持される一方、比較部12には基準電圧GNDが入力されることから、出力電圧VoutがHレベルに切り換えられる。それにより、Lレベルの地絡判定信号DGGNDおよび天絡判定信号DGVBと、Hレベルの断線判定信号DGOGとが維持される。
【0132】
そして、タイミングt124において、駆動信号INがLレベルに再度、戻されると、閾値電圧が第1の閾値電圧Vth1に切り換えられるとともに、地絡判定信号DGGNDがHレベルに切り換えられる。また、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGは、LレベルおよびHレベルにそれぞれ維持される。タイミングt124以降、地絡判定信号DGGNDは、駆動信号INに応じて変動し、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGは、LレベルおよびHレベルにそれぞれ維持される。したがって、判定回路14は、Hレベルの断線判定信号DGOGに基づいて、断線が発生したものと判定する。
【0133】
以上のように、断線発生時においては、図16(B)に示すように、駆動信号INの電圧レベルがLのときに、第1ラッチ回路54および第2ラッチ回路55から、いずれもHレベルの判定信号A2およびA1が出力される結果、断線判定信号DGOGがHになり、検出回路10bは、断線判定信号DGOGがHになったことに基づいて、電源2および基準電圧部3の間において、断線が発生したことを検出する。
【0134】
以上のように、第3実施形態に係る検出回路10bによれば、比較部12に入力される閾値電圧は、順序回路33からの出力信号に応じて、第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2の間で変動する。したがって、前述した第1および第2実施形態と同様、天絡などの影響が反映された出力電圧Voutが出力されるので、判定部40aは、出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKに基づいて、適切な判定を行うことができ、検出回路10bは、天絡、地絡および断線のいずれが発生したかを、確実に判別して検出することができる。
【0135】
図17は、第4実施形態に係る検出回路10cを示している。この検出回路10cは、第1〜第3実施形態に係る検出回路10、10aおよび10bと異なり、電源2とこれによって駆動される負荷4の間に設けられている。また、閾値電圧生成部および判定部の構成もまた、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を用いて、第1実施形態との差異を中心として説明する。
【0136】
本実施形態では、電源2と負荷4の間に第3スイッチ素子Tr3(検出用電圧入力部)が設けられている。この第3スイッチ素子Tr3は、例えばPチャンネル型のMOSFETで構成されており、そのドレインに電源2が接続され、ソースに負荷4が接続されている。
【0137】
したがって、正常動作時の場合、Lレベルの駆動信号INが第3スイッチ素子Tr3のゲートに入力され、第3スイッチ素子Tr3がオンされたときに、反転入力端子から比較部12に電源電圧VBが入力される。また、Hレベルの駆動信号INが第3スイッチ素子Tr3のゲートに入力され、第3スイッチ素子Tr3がオフされたときに、反転入力端子から基準電圧GNDが入力される。
【0138】
また、例えばECU1の接続端子5に天絡が発生した場合、図18(A)に示すように、比較部12の反転入力端子には、第3スイッチ素子Tr3がオンされたときには電源電圧VBが入力される一方、正常動作時と異なり、オフされたときにも電源電圧VBが入力される。
【0139】
また、例えば接続端子5に地絡が発生した場合、同図(B)に示すように、反転入力端子には、第3スイッチ素子Tr3がオンされたときには正常動作時と異なり、基準電圧GNDが入力される一方、オフされたときにも基準電圧GNDが入力される。また、例えば接続端子5と負荷4の間に断線が発生した場合、同図(C)に示すように、反転入力端子には、第3スイッチ素子Tr3がオンされたときには電源電圧VBが入力される一方、出力オフされたときには正常時と異なり、第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2の中間の比較用電圧Vcが入力される。
【0140】
また、閾値電圧生成部は、第2実施形態の閾値電圧生成部30aと同様に構成されており、比較部12は、クロック信号CLKに応じて切り換えられ、非反転入力端子から入力される第1または第2の閾値電圧Vth1、Vth2と、第3スイッチ素子Tr3がオンまたはオフされたときに反転入力端子に入力される電圧とを比較し、その比較結果を出力電圧Voutとして出力する。
【0141】
また、判定部40bの断線判定部51bは、第3AND回路52に代えて第8AND回路52bを有しており、この第8AND回路52bには、出力電圧Voutおよび駆動信号INがそのまま入力されるとともに、クロック信号CLKが反転して入力される。また、第1実施形態では地絡判定部46の第2時間フィルタ48からの信号が、第1ラッチ回路54に入力されるのに対し、本実施形態の断線判定部51bでは、天絡判定部41の第1時間フィルタ43からの信号が、第1ラッチ回路54に入力される。
【0142】
したがって、前述した第1実施形態と同様に、出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKがそれぞれL、HおよびHのときに、Hレベルの天絡判定信号DGVBが、天絡判定部41から出力され、出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKがそれぞれH、LおよびLのときに、Hレベルの地絡判定信号DGGNDが、地絡判定部第46から出力される。
【0143】
また、第1実施形態と異なり、天絡判定部41から出力されたHレベルの信号が、第1ラッチ回路54に記憶される。また、出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKがそれぞれL、LおよびHのときに、Hレベルの信号が第8AND回路52bから出力され、この信号が、第2ラッチ回路55に記憶される。比較用電圧生成部20および閾値電圧生成部30などの他の構成は、前述した第2実施形態と同様である。
【0144】
判定回路14には、前述した第1〜第3実施形態と同様、ノイズによる誤判定が生じないように、第1〜第3フィルタ回路43、48、53への入力時間が所定の時間よりも長い信号が、各フィルタ回路を通過して入力される。そして、Hレベルの天絡判定信号DGVBが判定回路14に入力され、地絡判定信号DGGNDおよび断線判定信号DGOGがいずれもLレベルに維持されたときに、判定回路14は、電源2および基準電圧部3の間において天絡が発生したものと判定する。また、Hレベルの地絡判定信号DGGNDが入力され、天絡判定信号DGVBおよび断線判定信号DGOGがいずれもLレベルに維持されたときに、判定回路14は地絡が発生したものと判定する。また、Hレベルの断線判定信号DGOGが入力されたときには、天絡判定信号DGVBおよび地絡判定信号DGGNDの電圧レベルにかかわらず、判定回路14は断線が発生したものと判定する。
【0145】
以上のように、第4実施形態に係る検出回路10cによれば、前述した各実施形態と同様、天絡などの影響が反映された出力電圧Voutが出力されるので、判定部40bは、出力電圧Vout、駆動信号INおよびクロック信号CLKに基づいて、適切な判定を行うことができる。その結果、負荷4よりも電源2側の電圧を検出用電圧として比較部12に入力する場合でも、検出回路10cは、天絡、地絡および断線のいずれが発生したかを、確実に判別して検出することができる。
【0146】
なお、本実施形態では、比較部12に入力する閾値電圧を、クロック信号CLKに同期するように変動させているが、前述した第1実施形態のように、第3スイッチ素子Trがオンされているときには閾値電圧を固定し、オフされているときには変動するようにしてもよい。また、前述した第3実施形態のように、比較部12に入力する閾値電圧を、順序回路33を用いて、その出力信号に応じて変動させてもよい。
【0147】
図19(A)は、第5実施形態に係る検出回路10dを示している。この検出回路10dは、前述した第1〜第3実施形態に係る検出回路10、10a、10bと同様、負荷4と基準電圧部3の間に設けられており、比較用電圧生成部に代えて、一方の端子が基準電圧部3に接続され、他方の端子が比較部12の反転入力端子に接続された第7抵抗R7を有している。また、閾値電圧生成部30cは、抵抗R3および抵抗R4によって分割された電圧を第3の閾値電圧Vth3として出力する。この第3の閾値電圧Vth3は、電源電圧VBおよび基準電圧GNDの中間の電圧に設定されている。
【0148】
また、図19(B)に示すように、正常動作時の場合、出力オンのときには基準電圧GNDが、出力オフのときには電源電圧VBが、比較部12の反転入力端子にそれぞれ入力される。また、天絡発生時の場合、出力オンのときには、正常動作時と異なり電源電圧VBが、また、出力オフのときには電源電圧VBが、反転入力端子にそれぞれ入力される。比較部12は、非反転入力端子から入力される第3の閾値電圧Vth3と反転入力端子から入力される電圧との比較結果を、出力電圧Voutとして出力する。
【0149】
また、本実施形態の判定部41dは、第9AND回路57および判定回路14で構成されており、この第9AND回路57には、比較部12からの出力電圧Voutが反転して入力されるとともに、駆動信号INがそのまま入力される。第9AND回路57は、これらの論理積に基づく信号を、天絡判定信号DGVBとしてから判定回路14に入力する。具体的には、出力電圧VoutがLで、駆動信号INがHのときに、Hレベルの天絡判定信号DGVBが判定回路14に対して出力され、それ以外のときにLレベルの天絡判定信号DGVBが出力される。
【0150】
したがって、第9AND回路57は、天絡の発生時において出力オンのときに、Hレベルの天絡判定信号DGVBを出力する一方、それ以外のときにはLレベルの天絡判定信号DGVBを出力する。判定回路14は、出力オンのときにおけるHレベルの天絡判定信号DGVBに基づいて、天絡が発生しているものと判定する。
【0151】
以上のように、第5実施形態に係る検出回路10dによれば、単一のコンパレータによる比較部12を用いたより簡素な回路構成で、天絡の発生を確実に検出することができる。
【0152】
図20(A)は、第6実施形態に係る検出回路10eを示している。この検出回路10eは、前述した第5実施形態とほぼ同じ構成を有しており、判定部41eの第10AND回路57aに、比較部12から出力電圧Voutがそのまま入力されるとともに、駆動信号INが反転して入されることが、第5実施形態と異なっている。
【0153】
図20(B)に示すように、正常動作時の場合、比較部12の反転入力端子には、出力オフのときには電源電圧VBが入力される一方、出力オンのときには基準電圧GNDが入力される。地絡または断線発生時の場合、反転入力端子には、出力オフのときには正常動作時と異なり基準電圧GNDが入力される一方、出力オンのときには基準電圧GNDが入力される。比較部12は、非反転入力端子から入力される第3の閾値電圧Vth3と反転入力端子から入力される電圧との比較結果を、出力電圧Voutとして出力する。
【0154】
第10AND回路57aは、比較部12から入力された出力電圧Voutと、反転して入力された駆動信号INの論理積を、断線または地絡判定信号として出力する。すなわち、第10AND回路57aは、地絡または断線の発生時には、出力オフのときにHレベルの信号を出力する一方、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。判定回路14は、出力オフのときにおけるHレベルの信号に基づいて、断線または地絡が発生しているものと判定する。
【0155】
以上のように、第6実施形態に係る検出回路10eによれば、上述した第5実施形態と同様、単一のコンパレータによる比較部12を用いたより簡素な回路構成で、断線および地絡の発生を確実に検出することができる。
【0156】
図21(A)は、第7実施形態に係る検出回路10fを示している。この検出回路10fは、前述した第5実施形態とほぼ同じ構成を有しており、閾値電圧生成部の構成のみが異なっている。本実施形態の閾値電圧生成部30dは、前述した第1実施形態の閾値電圧生成部30のように、第3抵抗R3と第4抵抗の間の中間端子31に接続された第5抵抗R5および第2スイッチ素子Tr2を有しており、第2スイッチ素子Tr2のベースには、抵抗R6を介して駆動信号INが入力される。したがって、閾値電圧生成部30dは、出力オフのときには第1の閾値電圧Vth1を出力する一方、出力オンのときには第2の閾値電圧Vth2を出力する。
【0157】
また、図21(B)に示すように、比較部12の反転入力端子には、正常動作時および天絡発生時の双方において、前述した第5実施形態に係る検出回路10dと同様の電圧が入力される。他の構成は、第5実施形態に係る検出回路10dと同様である。
【0158】
以上のように、第7実施形態に係る検出回路10fによれば、上述した第5および第6実施形態と同様、単一のコンパレータによる比較部12を用いたより簡素な回路構成で、天絡の発生を確実に検出することができる。
【0159】
また、反転入力端子から比較部12に入力される電圧が閾値電圧を上回っているときに、Lレベルの出力電圧Voutが出力されるので、閾値電圧を基準電圧GNDにより近い第2の閾値電圧Vth2に切り換えることによって、検出用電圧がより低い場合でも、天絡の発生を出力電圧Voutに反映させて検出することができる。具体的には、ショートした電源2と接続端子5の間の抵抗が比較的、大きく、比較部12に入力される検出用電圧が電源電圧VBから降下していた場合でも、第2の閾値電圧Vth2を上回っていれば、天絡の発生を検出することができる。
【0160】
図22(A)は、第8実施形態に係る検出回路10gを示している。この検出回路10gは、前述した第7実施形態とほぼ同じ構成を有しており、判定部41eの第10AND回路57aに、比較部12から出力電圧Voutがそのまま入力されるとともに、駆動信号INが反転して入されることが、第7実施形態と異なっている。
【0161】
また、図22(B)に示すように、比較部12の反転入力端子には、正常動作時と、地絡または断線発生時との双方において、前述した第6実施形態に係る検出回路10eと同様の電圧が入力される。他の構成は、第7実施形態に係る検出回路10fと同様である。
【0162】
以上のように、第8実施形態に係る検出回路10eによれば、上述した第5〜第7実施形態と同様、単一のコンパレータによる比較部12を用いたより簡素な回路構成で、断線および地絡の発生を確実に検出することができる。
【0163】
また、反転入力端子から比較部12に入力される電圧が、閾値電圧を下回っているときに、Hレベルの出力電圧Voutが出力されるので、閾値電圧を電源電圧VBにより近い第1の閾値電圧Vth1に切り換えることによって、検出用電圧がより高い場合でも、地絡の発生を出力電圧Voutに反映させ、検出することができる。具体的には、ショートした接続端子5と基準電圧部との間の抵抗が比較的、大きく、比較部12に入力される検出用電圧が基準電圧GNDよりも高い場合でも、第1の閾値電圧Vth1を下回っていれば、地絡の発生を検出することができる。
【0164】
なお、前述した第1実施形態では、駆動信号INがHレベルで第1スイッチ素子Tr1がオンされているときに、比較部12に入力する閾値電圧を第2の閾値電圧に固定する例を説明したが、これに限定されることなく、例えば、第1の閾値電圧Vth1に固定するように、閾値電圧生成部30を構成してもよい。
【0165】
また、第1〜第4実施形態の比較用電圧生成部20では、オペアンプOAで増幅した電圧を比較用電圧Vcとして比較部12に出力しているが、第1および第2の閾値電圧Vth1、Vth2の中間の電圧を確保できるときには、第1および第2抵抗R1、R2で単純に分割した電圧を、比較用電圧Vcとしてそのまま比較部12に出力してもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0166】
2 電源
4 負荷
3 基準電圧部
10、10a〜10c 検出回路
12 比較部
20 比較用電圧生成部
30、30a、30b 閾値電圧生成部
33 順序回路
40、40a、40b 判定部
VB、Vcc 電源電圧
Vc 比較用電圧
GND 基準電圧
Vout 出力電圧(比較結果)
Tr1 第1スイッチ素子Tr1(検出用電圧入力部)
Vth1 第1の閾値電圧
Vth2 第2の閾値電圧
IN 駆動信号
CLK クロック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源および当該電源よりも電圧の低い基準電圧部の間に設けられ、前記電源および前記基準電圧部の間における天絡、地絡および断線を検出する検出回路であって、
第1および第2の入力端子を有し、当該第1および第2の入力端子にそれぞれ入力された電圧を比較した比較結果を出力する比較部と、
前記電源の電源電圧よりも低く且つ前記基準電圧部の基準電圧よりも高い比較用電圧を生成し、当該生成した比較用電圧を前記第2の入力端子に入力する比較用電圧生成部と、
前記電源と前記基準電圧部の間の電圧を検出用電圧として前記第2の入力端子に入力するための検出用電圧入力部と、
前記第2の入力端子に入力される電圧に応じて設定された互いに異なる複数の閾値電圧のいずれかを生成し、当該生成した複数の閾値電圧のいずれかに切り換えて前記第1の入力端子に入力する閾値電圧生成部と、
前記比較部による比較結果に応じて、前記電源および前記基準電圧部の間における天絡、地絡および断線の発生をそれぞれ判定する判定部と、
を備えていることを特徴とする検出回路。
【請求項2】
前記電源と前記基準電圧部の間には、前記電源電圧を供給されることにより駆動される負荷が設けられ、
前記検出用電圧入力部は、前記基準電圧部と前記負荷の間の電圧を、前記検出用電圧として前記第2の入力端子に入力することを特徴とする請求項1に記載の検出回路。
【請求項3】
前記電源と前記基準電圧部の間には、前記電源電圧を供給されることにより駆動される負荷が設けられ、
前記検出用電圧入力部は、前記電源と前記負荷の間の電圧を、前記検出用電圧として前記第2の入力端子に入力することを特徴とする請求項1に記載の検出回路。
【請求項4】
前記閾値電圧生成部は、前記複数の閾値電圧として、前記電源電圧よりも低く且つ前記比較用電圧よりも高い第1の閾値電圧と、前記基準電圧よりも高く且つ前記比較用電圧よりも低い第2の閾値電圧を生成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の検出回路。
【請求項5】
前記検出用電圧入力部は、前記電源と前記基準電圧部の間に設けられたスイッチ素子を有し、前記電源と前記スイッチ素子の間の電圧を前記第2の入力端子に入力し、
前記閾値電圧生成部は、前記第1の入力端子に入力する閾値電圧を、前記スイッチ素子がオンされたときには前記第1および第2の閾値電圧のいずれかに固定し、前記スイッチ素子がオフされたときには前記第1および第2の閾値電圧の間で変動させることを特徴とする請求項4に記載の検出回路。
【請求項6】
前記検出用電圧入力部は、前記電源と前記基準電圧部の間に設けられたスイッチ素子を有し、前記電源と前記スイッチ素子の間の電圧を前記第2の入力端子に入力し、
前記閾値電圧生成部は、前記第1の入力端子に入力する閾値電圧を、前記スイッチ素子がオンされたときおよびオフされたときのいずれも前記第1および第2の閾値電圧の間で変動させることを特徴とする請求項4に記載の検出回路。
【請求項7】
前記検出用電圧入力部は、前記電源と前記基準電圧部の間に設けられたスイッチ素子を有し、前記電源と前記スイッチ素子の間の電圧を前記第2の入力端子に入力し、
前記閾値電圧生成部は、前記第1の入力端子に入力する閾値電圧を、前記スイッチ素子がオンされたときには前記第1および第2の閾値電圧のいずれかに固定し、前記スイッチ素子がオフされたときに、前記第1および第2の閾値電圧の間で変動させるための順序回路を有していることを特徴とする請求項4に記載の検出回路。
【請求項8】
前記判定部は、前記比較部による比較結果と、前記スイッチ素子のオン/オフを切り換えるための信号と、前記第1および第2の閾値電圧を切り換えるための信号とに応じて、天絡、地絡および断線の判定をそれぞれ行うことを特徴とする請求項5または6に記載の検出回路。
【請求項9】
前記判定部は、前記比較部による比較結果と、前記スイッチ素子のオン/オフを切り換えるための信号とに応じて天絡の判定を行い、前記比較部による比較結果と、前記順序回路から出力された信号とに応じて、地絡および断線の判定をそれぞれ行うことを特徴とする請求項7に記載の検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−108819(P2013−108819A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253466(P2011−253466)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】