説明

検出機能を有する可溶性フィルム

フィルムが水溶液と接触したときに、ビジュアル・キューを呈するのに十分な量で存在するビジュアル・キュー剤を有するフィルム及びフィルムが水溶液と接触したときの検出方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フィルムは、ランドリー、皿洗い、トイレ、種々の表面又は他のクリーニング応用のためのものを含む、芳香剤を付与する及び/又は組成物をクリーニングするための便利なプラットフォームを提供する。これらのフィルム製品は、また、通常、液体製品中で非相溶性である成分の組合せを可能にする。
【0002】
可溶性フィルムは、最終ユーザーによって用意された水溶液と接触した際に、急速に溶解するように設計されている。溶解のためのフィルムの性質及び幾つかの配合物に於いて、周囲環境からの水分吸収が与えられると、製造及び包装の間に、このようなフィルムを、水溶液との接触及び空気への長期間曝露から保護するための注意が払われる。しかしながら、妥協されたフィルムの認定は、必ずしも簡単とは限らない。例えば、フィルムは、このフィルムを溶解するのには不十分であるが、フィルム性能を低下させるのには十分である、一定量の水溶液によって汚染されることがある。低下した性能は、例えば、水不安定性成分、例えば過酸化物前駆体若しくは活性化剤を意図的でなく活性化する又はフィルム原形を構成する、例えば、次の包装を妨害する粘着性を作ることからもたらされるであろう。製品性能を最良に維持することは、メーカーにとって重要な目標である。従って、必要なものは、水溶液との接触の容易な検出を可能にするための、含有された保護手段を有する可溶性フィルムである。
【0003】
更に、消費者クリーニング又は芳香知覚はブランドロイヤルティを決定する際に非常に重要である。従って、クリーニングの知覚を増大させることができる又は他の方法で有効であるフィルムは消費者の経験を向上させるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの態様に於いて、本発明は、フィルムが水溶液と接触したときに、ビジュアル・キュー(visual cue)を呈するために十分な量で存在するビジュアル・キュー剤を有するフィルムを提供する。
【0005】
他の態様に於いて、本発明は、フィルムが水溶液と接触したときに、フィルムが色変化及び発泡を示すフィルムを提供する。
【0006】
更に他の態様に於いて、本発明は、フィルムが水溶液と接触したときを検出する方法であって、フィルムが水溶液と接触したときにビジュアル・キューを呈するのに十分な量で存在するフィルム中のビジュアル・キュー剤を提供することを含んでなる方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一つの態様に於いて、本発明は、フィルムが水溶液と接触したときに、ビジュアル・キューを呈するのに十分な量で存在するビジュアル・キュー剤を有するフィルムを提供する。
【0008】
用語「ビジュアル・キュー」は、人の目によって、単独で又はエネルギー源、例えばブラックライトの助けによって検出することができる変化を指す。ビジュアル・キューの二つの例には色変化及び発泡が含まれる。従って、一つの態様に於いて、本発明のフィルムには色変化又は発泡を呈するビジュアル・キュー剤が含有されている。また、2個以上のビジュアル・キューをフィルムによって示すことができ、例えば、一つの態様に於いて、複数のビジュアル・キュー剤が存在し、このフィルムは、水溶液によって接触されたとき、色変化及び発泡を示す。
【0009】
色変化を作るビジュアル・キュー剤には、pH指示薬、光活性顔料、熱変色性顔料及びサプレッスド顔料(suppressed pigment)(主要な顔料が分散するか又は他の方法で除去された後でのみ現れるもの)が含まれる。
【0010】
一つの態様に於いて、ビジュアル・キュー指示薬は、pH感受性色変化成分である。このような成分の例には、表Iに列挙されたものが含まれる。
【0011】
【表1】

【0012】
一つの態様に於いて、このフィルムは、赤から青まで、赤から黄まで、黄から青まで、黄から赤まで、黄から緑まで、青から赤まで、無色から有色まで又は有色から無色まで変化する。
【0013】
一つの態様に於いて、色変化剤はブロモクレゾールグリーンである。
【0014】
フィルム中の色変化を作るのに必要なビジュアル・キュー剤の量は、そのビジュアル・キュー剤と共に変化するが、容易に決定可能である。ビジュアル・キュー剤がpH感受性成分である一つの態様に於いて、ビジュアル・キュー剤は、フィルムの約0.01重量%〜約0.5重量%の量で存在する。
【0015】
他の態様に於いて、色変化は、色変化剤を環境に露出させるように種々の層を溶解させることによって達成される。
【0016】
pH指示薬が単独のビジュアル・キュー剤であるフィルムに於いて、このフィルムはフィルムの少なくとも5重量%の水を含有していてよい。
【0017】
発泡を作るビジュアル・キュー剤には、酸の存在下でガスを放出する塩が含まれる。このガス放出塩には、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩、特にナトリウム及びカリウムの炭酸塩及び重炭酸塩並びにマグネシウム及びカルシウムの炭酸塩が含まれる。好ましくは、ガス放出塩は重炭酸ナトリウムである。この酸には、アスコルビン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸又はこれらの混合物が含まれる。好ましくは、この酸はクエン酸である。
【0018】
過ホウ酸塩及び過炭酸塩を含む過酸化物システムは、また、発泡を作るビジュアル・キュー剤としても意図される。実際に、フィルム親和性であり、フィルムと水溶液との接触の際にガスの小さい泡を放出することができる材料の全ての組合せが意図される。
【0019】
フィルム中の発泡を作るのに必要なビジュアル・キュー剤の量は、ビジュアル・キュー剤と共に変化するが、容易に決定可能である。一つの態様に於いて、発泡を作るためのビジュアル・キュー剤は、フィルムの約1重量%〜約80重量%の量で存在する。一つの態様に於いて、ビジュアル・キュー剤は、フィルムの約10重量%〜約70重量%の量で存在する。一つの態様に於いて、ビジュアル・キュー剤は、フィルムの約20重量%〜約65重量%の量で存在する。一つの態様に於いて、ビジュアル・キュー剤は、フィルムの約40重量%〜約65重量%の量で存在する。一つの態様に於いて、ビジュアル・キュー剤は、フィルムの約50重量%〜約60重量%の量で存在する。発泡性フィルムは、水を含有していないフィルム形成性組成物から形成されることが理解される。
【0020】
ビジュアル・キュー剤に加えて、本発明のフィルムは、ポリマー及び芳香剤、界面活性剤、クリーニング溶媒、キレート化剤、ビルダー、泡ブースター、研磨剤、ヒドロトロピー剤、酸、アルカリ剤、緩衝剤、機能性ポリマー、イオン強度添加剤、再析出防止剤、抗菌剤又は殺生物剤の少なくとも1種を含む。一つの態様に於いて、このフィルムは、家庭使用のために適しているクリーニング配合物である。一つの態様に於いて、このフィルムは、施設及び工業使用のために適しているクリーニング配合物である。一つの態様に於いて、このフィルムは、芳香剤付与フィルム、例えばアロマテラピーフィルムである。全ての態様に於いて、このフィルムは摂取可能ではない。
【0021】
一つの態様に於いて、このポリマーは、セルロースエーテル系ポリマーである。セルロースエーテル系ポリマーには、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばザ・ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)から商品名METHOCELで販売されているもの)、エチルセルロース(例えばザ・ダウ・ケミカル社から商品名ETHOCELで販売されているもの)、ヒドロキシエチルセルロース(例えばザ・ダウ・ケミカル社から商品名CELLOSIZEで販売されているもの)、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース(例えばザ・ダウ・ケミカル社から商品名CELLOCAT及びUCAREで販売されているもの)、疎水性に変性されたヒドロキシエチルセルロース(例えばザ・ダウ・ケミカル社から商品名CELLOSIZE HMHECで販売されているもの)及びカチオン性疎水性に変性されたヒドロキシエチルセルロース(例えばザ・ダウ・ケミカル社から商品名CELLOCAT及びSOFTCATで販売されているもの)が含まれる。
【0022】
分子量は溶解の速度に決定可能な影響を有する。適切なセルロースエーテル系ポリマーは約15,000〜約5,880,000の重量平均分子量を有する。勿論、アルキル−アリール置換の程度はセルロースエーテル系ポリマーの種類によって変化する。一つの態様に於いて、セルロースエーテル系ポリマーはフィルムの約15重量%〜約70重量%の量で存在する。
【0023】
一つの態様に於いて、セルロースエーテル系ポリマーには、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの少なくとも1種が含まれる。この態様に於いて、このポリマーはフィルムの少なくとも19重量%を構成する。この態様内で、このポリマーはフィルムの少なくとも30重量%、好ましくはフィルムの少なくとも40重量%を構成する。幾つかの態様に於いて、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーはフィルムの70重量%未満、好ましくはフィルムの60重量%未満を構成する。一つの態様に於いて、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーはフィルムの約19重量%〜約70重量%、好ましくはフィルムの約30重量%〜約60重量%、更に好ましくはフィルムの約40〜約52重量%の範囲内で存在する。1種の特に好ましいポリマーはザ・ダウ・ケミカル社から入手可能なMETHOCELヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0024】
一つの態様に於いて、このポリマーはポリオキシエチレンである。適切なポリオキシエチレンポリマーは約50,000〜約10MM平均分子量の分子量を有する。1種の特に好ましいポリマーはザ・ダウ・ケミカル社から入手可能なPOLYOXポリオキシエチレンである。一つの態様に於いて、ポリオキシエチレンはフィルムの約10重量%〜約70重量%の量で存在する。一つの態様に於いて、ポリオキシエチレンはフィルムの約30重量%〜約60重量%の量で存在する。一つの態様に於いて、ポリオキシエチレンはフィルムの約40重量%〜約50重量%の量で存在する。
【0025】
本発明のフィルムがクリーニングフィルムであるときには、その成分は種々の公知の組合せから選択することができる。例えば、適切は配合物の例は、Advanced Cleaning Products Formulations Database、Flick,E,(2006)、William Andrew Publishing(その全体を本明細書中に組み入れる)に記載されている。その選択は、フィルムの最終用途、例えば、汚染除去、汚れ再析出防止、布柔軟化などを含む洗濯、皿洗い、手皿洗い及び皿洗い機の両方、トイレクリーニング、一般的な表面クリーニング、布クリーニング、自動車クリーニング、ガラスクリーニング、セラミッククリーニング又は木材クリーニングによって指示される。
【0026】
幾つかの態様に於いて、このクリーナーは界面活性剤及び溶媒を含有する。この界面活性剤はアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤であってよい。アニオン性界面活性剤には、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウムが含まれる。好ましいアニオン性界面活性剤はザ・ダウ・ケミカル社から入手可能なDOWFAXアニオン性界面活性剤である。
【0027】
非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル及びトリアルキルアミンオキシドが含まれる。好ましい非イオン性界面活性剤はザ・ダウ・ケミカル社から入手可能なTERGITOL非イオン性界面活性剤である。
【0028】
カチオン性界面活性剤には、第四級アンモニウム塩、例えば第一級−第三級脂肪族アミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルホリニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪族アミド塩、ポリエチレンポリアミン脂肪族アミドの尿素縮合物の塩及びポリエチレンポリアミン脂肪族アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム塩が含まれる。
【0029】
界面活性剤の他の例には、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボキシラート、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウムスルファートベタイン及び2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが含まれる。
【0030】
一つの態様に於いて、界面活性剤は、用途に依存してフィルムの約5重量%〜約70重量%の量で存在する。界面活性剤のブレンド及び共界面活性剤が同様に意図されることが理解される。
【0031】
前記溶媒はクリーニング用途で典型的に使用されるものである。一つの態様に於いて、この溶媒は低臭気のグリコールエーテルである。好ましい低臭気のグリコールエーテルは、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能な、DOWANOL PnB プロピレンn−ブタノールグリコールエーテルである。他の態様に於いて、この溶媒はテルペン、例えばリモネン又はピネン油である。更に他の態様に於いて、この溶媒は比較的高分子量のアルコール、例えばC5及びそれ以上である。
【0032】
一つの態様に於いて、前記溶媒はフィルムの約5重量%〜約70重量%の量で存在する。一つの態様に於いて、この溶媒はフィルムの約10重量%〜約50重量%の量で存在する。一つの態様に於いて、この溶媒はフィルムの約20重量%〜約30重量%の量で存在する。相溶性である溶媒のブレンド及び共溶媒が同様に意図されることが理解される。
【0033】
一つの態様に於いて、このフィルムはフィルムの少なくとも20重量%のセルロースエーテル系ポリマー、界面活性剤及び低臭気グリコールエーテルを含むクリーナー並びにフィルムが水溶液によって接触されたときビジュアル・キューを呈するのに十分な量で存在するビジュアル・キュー剤を含む。
【0034】
本発明のフィルムは、更に、芳香剤、ビルダー、泡ブースター、キレート化剤、ゼオライト、水軟化剤、アルカリ剤、中性塩、再析出防止剤及び殺生物剤を含む追加の成分からなっていてよい。また、或る種の成分は一つより多くカテゴリーに現れてよいこと及び下記のリストは例示であり、他の一般的な添加物が含有されてよいことが理解される。
【0035】
芳香剤には、フィルム自体に又は溶解した際に心地よい香りを与える任意の成分が含まれる。芳香剤は一般的にはアルデヒド又はケトンであり、しばしば、天然物質の抽出によって得られる又は合成的に製造される油である。芳香剤は、補助物質、例えば定着剤、増量剤、安定剤及び溶媒を伴ってよい。理論によって結び付けられることなく、本発明のフィルム中に含有された芳香剤は、驚くべき輝きを示すことが観察される。一つの態様に於いて、芳香剤はフィルムの約0.05重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0036】
ビルダーには、リン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(例えばトリポリリン酸アルカリ金属、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸アンモニウム、オルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸カリウム、ポリメタリン酸ナトリウム及びフィチン酸塩又はこれらの混合物)、ポリカルボン酸塩、ポリカルボン酸、乳酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩並びにこれらの混合物が含まれる。キレート化剤の例には、有機ホスホン酸エステル、例えばアミノアルキレンポリ(アルキレンホスホナート)、アルカリ金属エタン 1−ヒドロキシジスホスホナート及びニトリロトリメチレンホスホナートが含まれる。一つの態様に於いて、キレート化剤はジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(DDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシ−エチレン 1,1−ジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセタート(HEDTA;VERSENOL120)、ニトリロ三酢酸塩(NTA)、メチルグリシンジアセタート(MGDA)、イミノジスクシナート(IDS)、ヒドロキシエチルイミノジスクシナート(HIDS)、ヒドロキシエチルイミノジアセタート(HEIDA)、グリシンジアセタート(GLDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はこれらの混合物である。水軟化剤には、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)、ニトリロ三酢酸ナトリウム(NTA)、クエン酸ナトリウム又はトリポリリン酸ナトリウムが含まれる。
【0037】
このビルダーはフィルムの約0.01重量%〜約50重量%の量で存在してよい。
【0038】
泡ブースターには、アミンオキシド(アルキルアミンオキシド及びエトキシル化アミンオキシドを含む)、ベタイン、スルタイン(sultaine)及びアルカノールアミドが含まれる。一つの態様に於いて、この泡ブースターは、フィルムの約0.01重量%〜約20重量%の量で存在する。
【0039】
アルカリ剤には、ポリリン酸ナトリウム、例えばトリポリリン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又はホウ酸ナトリウムが含まれる。
【0040】
中性塩には、グラウバー塩又は塩化マグネシウムが含まれる。
【0041】
再析出防止剤には、カルボキシメチルセルロース及びその他の水溶性ポリマーが含まれる。
【0042】
殺生物剤には、抗菌剤、殺菌剤、殺真菌剤、アルジサイド、ミルジサイド(mildicide)、消毒剤、防腐剤及び殺虫剤が含まれる。
【0043】
幾つかの態様に於いて、このフィルムは、更に、デンプン、ゼラチン、ポリアクリルイミド又はプルラン(pullan)を含む追加のポリマーを含む。一つの態様に於いて、この追加のポリマーはフィルムの約0.01重量%〜約40重量%の量で存在する。
【0044】
他の態様に於いて、本発明は、フィルムが水溶液と接触したときを検出する方法であって、フィルムが水溶液と接触したときに、ビジュアル・キューを呈するのに十分な量で存在するフィルム中のビジュアル・キュー剤を提供することを含む方法を提供する。
【0045】
他の態様に於いて、フィルムが水溶液と接触したときに、フィルムが色変化及び発泡を示すクリーニングフィルムが提供される。
【0046】
本発明の別の態様に於いて、a)セルロースエーテル系ポリマー(但しセルロースエーテル系ポリマーはメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはこれらのブレンドであるとき、セルロースエーテル系ポリマーはフィルムの少なくとも19重量%を構成する)か又はb)ポリオキシエチレンポリマーの少なくとも1種を含むポリマー及びフィルムが水溶液によって接触されたときビジュアル・キューを呈するのに十分な量で存在するビジュアル・キュー剤を含む芳香フィルムが提供される。一つの態様に於いて、この芳香フィルムは、アロマテラピーのために有用である。
【0047】
本発明のフィルムは、任意の一般的な方法、例えば熱加工(例えば押出、溶融混合及びプラッキング(plaquing))及び溶媒系方法、例えば溶媒流延によって製造することができる。
【実施例】
【0048】
下記の実施例は、例示目的のみのためであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。全てのパーセントは、他の方法によって特定しない限り、重量基準である。
【0049】
実施例1
代表的な水を含まない配合のフィルムには、表II中の成分が含有されている。
【0050】
【表2】

【0051】
フィルムは下記のプロトコルによって製造することができる。泡立ち(ビジュアル・キュー)剤が水によって活性化されたとき、配合物を製造するために、溶媒系手順を使用する。水を含有しない界面活性剤も使用する。ポリマーは最初に適切な溶媒中に溶解する。例えばPOLYOXは、室温でアセトニトリル中に溶解させることができ、他方、METHOCELは、溶解するまで85℃以上で撹拌しながら、DMF(ジメチルホルムアミド)中で加熱する。カチオン性HEC及び疎水性に変性されたHECは、室温でDMSO(ジメチルスルホキシド)中に溶解させることができる。典型的な溶液濃度はアセトニトリル中で約18%POLYOX、DMF中で約6.2%METHOCEL、DMSO中で約1〜2%カチオン性HECである。
【0052】
サンプル2及び4は本発明のフィルムであるが、アロマテラピー又は他の界面活性剤を含まない芳香剤放出ニーズのために設計されている。
【0053】
ポリマー溶解に続いて、残りの工程を室温で実施する。溶液を撹拌するために、機械式羽根車を使用する。
【0054】
クエン酸を撹拌しながらポリマー溶液に添加する。METHOCELの場合に、クエン酸添加の間に加熱を止める。クエン酸をポリマー溶液にゆっくり添加して、塊になるのを回避し、この混合物を溶解が完結するまで撹拌する。その代わりに、クエン酸を最初に溶媒に添加し、続いてポリマーを添加することができる。
【0055】
他の成分(例えば界面活性剤、可塑剤、泡ブースター、香料)を添加し、十分に混合することができる。柑橘油芳香剤を、小さい使い捨てガラスピペットを使用して、添加する。
【0056】
次いで、重炭酸ナトリウムを添加し、撹拌して均一な分散液を得る。溶媒が、活性化を回避するように予め選択されるので、重炭酸ナトリウムは溶解しない。
【0057】
色変化(ビジュアル・キュー)フィルムのために、pH指示薬、例えばブロモクレゾールグリーン指示薬を増分しながら(incrementally)添加し、フィルムを控えめに着色する(即ち、ほぼ5〜50mgのブロモクレゾールグリーン粉末を、フィルム形成溶液に直接添加する)。第二ビジュアル・キューとして色変化を有する、サンプル3と実質的に類似のフィルムを製造した。
【0058】
攪拌機を止め、スラリーを静置させて、溶液中に捕捉された泡を外に移動させる。重炭酸塩は、殆どの溶液について懸濁したままであるが、沈殿する場合には、フィルムを流延する前にゆっくり撹拌して、重炭酸塩を再懸濁させる。
【0059】
前記スラリーを、例えば正方形フィルム流延機上で40ミル隙間を使用して、フィルムに溶媒流延する。任意的に、フィルムが未だ濡れている間に、固体の重炭酸ナトリウム−クエン酸粒子を溶媒流延フィルムの上に振りかけることによって、ビジュアル・キュー効果を増強させる。粒子を製造するために、クエン酸及び重炭酸ナトリウムを粉砕し、#35USメッシュ篩に通して篩い分けすることができる。クエン酸(FW 192.2g)対重炭酸ナトリウム(FW 84.01g)の1:2モル比を使用する。錠剤プレス及び2000ポンドの圧力を使用して、篩い分けした粒子を、3.5g錠剤に成形することができる。次いで、この錠剤を、粉砕し、一連のメッシュ#10、#14、#20、#35に通して篩い分けして、異なったサイズの粒子を得る。これらの粒子を、フィルムの上に振りかけ、その後、これらを、余分の泡立ち剤として機能させるために、完全に乾燥させる。
このフィルムを、一夜乾燥させる。
【0060】
実施例2
他の代表的フィルムには、表III中に列挙した成分が含有されていてよい。
【0061】
【表3】

【0062】
実施例2は、調製物及び最終フィルムが水を含有している点で、実施例1とは異なっている。実施例2の調製は、下記の点で実施例1の調製とは異なっている。20gのポリマーを、最初に、60gのイソプロピルアルコール中にスラリーにより懸濁させる。次に、10gのグリコールエーテル溶媒を添加し、この溶液を着色するのに十分なグラム数(<0.1g)の色指示薬を添加する。最後に、40gの水を15gのアニオン性界面活性剤溶液(水溶液中40%活性)に添加し、この組合せを調製物に添加する。この溶液をガラス板の上に溶媒流延するが、どのような一般的な流延方法も使用することができる。
【0063】
実施例3
他の代表的界面活性剤系フィルムには、表IV中に列挙した成分が含有されていてよい。
【0064】
【表4】

【0065】
このフィルムの調製は、7gの非イオン性界面活性剤を60gの水と一緒にし、この混合物を次いで調製物に添加する以外は、実施例2と同じものである。
【0066】
実施例4
代表的な界面活性剤系フィルムには、表V中に列挙した成分が含有されていてよい。
【0067】
【表5】

【0068】
種々のポリマーブレンドの使用は、フィルム原形の程度及び他の性能計量、例えば溶解速度に影響を与え得る。METHOCELと他の水溶性ポリマーとのポリマーマトリックスブレンドは、本発明内に含まれる。
【0069】
サンプル10〜12は、発泡ビジュアル・キューのための溶媒系(水を含有していない)技術によって製造した。PVOH又はヒドロキシエチルデンプンを、最初に、DMSO中に溶解し、次にMEHOCELを添加し、続いて残りの活性成分を添加する。
【0070】
色変化キュー単独を含有するサンプルは、溶媒系又は水系配合物によって製造することができる。サンプル13の場合に、このサンプルは、最初に、METHOCEL及びカラゲナンのブレンドを水中に溶解し、次いで、色変化剤を含む他の活性成分を添加することによって製造した。
【0071】
全ての配合物はフィルムを形成した。しかしながら、サンプル13は、最適よりも低い原形を示した。
【0072】
本発明は、本明細書中に具体的に開示され、例示された態様に限定されないことが理解される。本発明の種々の修正が、当業者に明らかであろう。このような変化及び修正は、付属の特許請求の範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0073】
更に、それぞれ列挙した範囲は、範囲及びその中に含まれる特定の数値の全ての組合せ及び下位の組合せを含む。更に、本明細書中に引用し、記載したそれぞれの特許、特許出願及び刊行物の開示を、それらの全部を参照して本明細書中に組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)セルロースエーテル系ポリマー、但し、このセルロースエーテル系ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはこれらのブレンドであるとき、このセルロースエーテル系ポリマーは、フィルムの少なくとも19重量%を構成する又は
b)ポリオキシエチレンポリマー
の少なくとも1種を含んでなるポリマー、
芳香剤、界面活性剤、クリーニング溶媒、キレート化剤、ビルダー、泡ブースター、ヒドロトロピー剤、研磨剤、酸、アルカリ剤、緩衝剤、機能性ポリマー、イオン強度添加剤、再析出防止剤、抗菌剤又は殺生物剤の少なくとも1種並びに
フィルムが水溶液と接触したときにビジュアル・キューを呈するのに十分な量で存在するビジュアル・キュー剤
を含んでなるフィルム。
【請求項2】
前記ビジュアル・キュー剤が色変化又は発泡を呈する請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
複数のビジュアル・キュー剤が存在し、前記フィルムが、水溶液と接触したときに、色変化及び発泡を示す請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記ビジュアル・キュー剤が色変化剤である請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記色変化剤がpH指示薬、光活性顔料、熱変色性顔料及びサプレスド顔料である請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記色変化剤がブロモクレゾールグリーンである請求項4に記載のフィルム。
【請求項7】
前記ビジュアル・キューが、前記フィルムを、赤から青まで、赤から黄まで、黄から青まで、黄から赤まで、黄から緑まで、青から赤まで、無色から有色まで又は有色から無色まで変化させることである請求項4に記載のフィルム。
【請求項8】
前記ビジュアル・キュー剤が、フィルムの約0.01重量%〜約0.5重量%の量で存在する請求項4に記載のフィルム。
【請求項9】
前記フィルムの少なくとも5重量%の水を更に含む請求項4に記載のフィルム。
【請求項10】
前記ビジュアル・キュー剤が発泡剤である請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記発泡剤が酸の存在下でガスを放出する塩、過酸化物前駆体、過炭酸塩又は過ホウ酸塩である請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
前記発泡剤がクエン酸の存在下での重炭酸ナトリウムである請求項10に記載のフィルム。
【請求項13】
前記ビジュアル・キュー剤がフィルムの約1重量%〜約80重量%の量で存在する請求項10に記載のフィルム。
【請求項14】
前記ポリマーが、セルロースエーテル系ポリマーであり、そしてメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、疎水性に変性されたヒドロキシエチルセルロース又はカチオン性疎水性に変性されたヒドロキシエチルセルロースの少なくとも1種である請求項1に記載のフィルム。
【請求項15】
前記ポリマーがセルロースエーテル系ポリマーであり、そしてメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの少なくとも1種を含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項16】
前記ポリマーがフィルムの約10重量%〜約70重量%の量のポリオキシエチレンである請求項1に記載のフィルム。
【請求項17】
前記フィルムがデンプン、ゼラチン、プルラン又はポリアクリルアミドの少なくとも1種を含む追加のポリマーを更に含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項18】
前記フィルムが、水溶液と接触したときに、色変化又は発泡の少なくとも1個を示すクリーニングフィルム。
【請求項19】
前記フィルムが、水溶液と接触したときに、色変化又は発泡の少なくとも1個を示すアロマテラピーフィルム。
【請求項20】
フィルムが水溶液と接触したときに、ビジュアル・キューを呈するのに十分な量でフィルム中にビジュアル・キュー剤を存在させることを含んでなるフィルムが水溶液と接触したときの検出方法。

【公表番号】特表2010−532421(P2010−532421A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515216(P2010−515216)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/068732
【国際公開番号】WO2009/006378
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】