説明

検出装置

【課題】検出装置を提供する。
【解決手段】本発明は、光を受け取り、電気信号を生成するように具現化され、光入射面を備える光センサを有し、冷却要素を有する検出装置に関する。本発明によれば、冷却要素が、光センサの光入射面において、光センサと、および/または光センサを担持する基板と直接接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を受け取り、電気信号を生成するように具現化され、光入射面を備える光センサを有し、冷却要素を有する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような種類の検出装置はしばしば、温度に依存する暗電流を発生させ、これがノイズの原因となる。この暗電流は、冷却によって低減できる。
【0003】
特許文献1が開示している光電子検出器は、検出器に熱伝導的に接続された冷却装置、特にペルティエ素子を備える。光電子検出器の表面上の結露の発生を防止するために、周囲の相対湿度と周囲の露点温度に関する瞬時値を確認するためにセンサが設けられる。センサは、冷却装置をこの数値に応じて制御する制御ユニットに接続される。この光電子検出器は、ある程度の冷却が行われるという利点を有する。しかしながら、これには実際の冷却出力が小さく、すなわち結露が発生しない程度に限定されるという欠点がある。その結果、最終的に、検出器のノイズは十分に除去されない。
【0004】
同じ文献に記載されている別の検出装置では、検出器と冷却装置、一般にペルティエ素子が、乾性ガスが充填されたか、または真空とされた気密筐体内に封入されている。この装置によれば、冷却装置の廃熱を、冷却装置に熱伝導的に接続された冷却素子に伝えることができ、および/または他の構成要素、たとえば筐体の入射窓を加熱するために使用できる。しかしながら、この検出装置は、気密封入が複雑であるため、不利であるとみなされる。
【0005】
現実には、この検出装置には他にも不利な点があることが実際にわかっている。特に、冷却があまり有効でないことが多い。これに加えて、検出器を筐体とは異なる電位レベルにする必要がある場合に、冷却が特に困難であることが判明した。この場合、ペルティエ素子を筐体と検出器の間に簡単に配置できない。このような電位差は、検出器内で光電子を加速させようとする場合、一般的に必要である。
【0006】
能動的冷却装置がそれぞれ光センサの光入射面とは反対の面に設置されている検出装置が、たとえば特許文献2、特許文献3または特許文献4から知られている。これらの検出装置には、冷却出力の多くが使用されずに失われるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE 10 2009 036 066 A1
【特許文献2】US 5,508,740
【特許文献3】US 5,596,228
【特許文献4】US 4,833,889
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特に、筐体と電位レベルが異なる検出器が使用されている場合を含め、より効率的な冷却を可能にする検出装置を説明することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、冷却要素が、光センサの光入射面において、光センサと、および/または光センサを担持する基板と直接接触することを特徴とする検出装置により達成される。
【0010】
特に、光センサおよび/または光センサを含む検出器が危険電圧で作動される実施形態のために、さらに光センサおよび/または下流の電子部品を保護するために、有利な態様として、検出装置が筐体を備え、および/または光センサと冷却要素が筐体内に配置されるようになすことができる。
【0011】
非常に特別に有利な実施形態において、追加の冷却要素が、特に筐体内に設置される。特に、冷却要素と熱伝導的に接触する追加の冷却要素を有利な態様として設けることができる。
【0012】
特に有効な冷却は、冷却要素および/または追加の冷却要素を通る光路を検出対象の光のために画定することにより、特に有利な態様として実現できる。特に、冷却要素および/または追加の冷却要素が、たとえば円形で、検出対象の光が到達できるセンサ表面を取り囲むようになすことができる。
【0013】
たとえば、冷却要素および/または追加の冷却要素が、その中を検出対象の光が通過してセンサへと進む通路、特に貫通穴を備えるようになすことができる。ここで、特に、開口部を円錐形に、および/または傾斜した壁を有するように具現化して、光センサの表面に斜めに入射した光であっても、妨害されずに冷却要素および/または追加の冷却要素を通って光センサへと進めるようになすことができる。
【0014】
しかしながら、冷却要素および/または追加の冷却要素が、2つの部品または複数の部品により構成されるようになすこともでき、これらの部品が相互に関して、検出対象の光のための光路がそこを通って延びる隙間ができるように配置される。
【0015】
追加の冷却要素はまた、熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子として、有利な態様として具現化できる。特に、詳しくは後述するように、追加の冷却要素は、受動的冷却要素として、特に放熱リングとして具現化することができ、これは検出器と能動的冷却要素、たとえばペルティエ素子との間に配置される。
【0016】
特別な実施形態において、冷却要素は、熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子として具現化される。このような実施形態は、センサがたとえばそれを取り囲む筐体に関して異なる電圧レベル、特に1000Vを超える、特に2000Vを超える、特に4000Vを超える、特に約8000Vの電圧レベルであっても、熱を光センサから遠くへ向けて伝導できるという点で特に有利である。この種の熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子は、特に、たとえば熱がその中を伝導されるような受動的冷却要素として具現化できる。
【0017】
有利な実施形態において、追加の冷却要素もまた、それが検出器の光センサ、たとえば光電陰極と直接接触するように配置できる。また、その代わりに、またはそれに加えて、追加の冷却要素を光センサ、たとえば光電陰極を担持する基板と直接接触するようになすことができる。
【0018】
特に有効な冷却は、冷却要素および/または追加の冷却要素を検出器の光センサおよび/または光センサを担持する基板と直接接触させることによって実現される。このような実施形態は、特に、実際に温度依存性のノイズ挙動を示す要素だけが冷却されるという利点を有する。
【0019】
これに加えて、有利な態様として、このような実施形態では必要な冷却出力が実質的に小さくてよく、これは冷却要素および/または追加の冷却要素が能動的冷却要素、たとえばペルティエ素子として具現化されている時に特に有利である。冷却要素および/または追加の冷却要素が能動的冷却要素として具現化されている場合、有利な結果として、外側に伝送しなければならない廃熱も減少する。
【0020】
特別な実施形態において、光センサと筐体が冷却要素および/または追加の冷却要素によって熱伝導的に接続され、冷却要素および/または追加の冷却要素の光センサとの接触面積が、冷却要素および/または追加の冷却要素と筐体との接触面積より小さいようになされる。このような実施形態は、一方で、確実に熱センサから熱が特に良好に遠くへ伝送され、もう一方で、検出対象の光が光センサの受光面へ自由に到達することが、最大でもわずかしか限定されないという、非常に特別な利点を有する。
【0021】
前述のように、冷却要素および/または追加の冷却要素は、有利な態様として、能動的冷却要素として、特にペルティエ素子として、またはヒートポンプとしてまたはヒートパイプとして具現化できる。1つの特に有利な実施形態において、冷却要素は環状のペルティエ要素として具現化される。このような実施形態により、検出対象の光のための光路がリングの中心を通って延びることができ、それによって、環状のペルティエ素子を通過する際、光路が環状のペルティエ素子の回転対称軸と実質的に同軸に配置されるという利点が得られる。
【0022】
非常に特に有利な変化型において、冷却要素および/または追加の冷却要素は、冷却要素および/または追加の冷却要素からの廃熱が筐体の少なくとも1つの入射窓および/または筐体の入射光学系を加熱できるように配置される。このような実施形態は、入射窓の表面上または入射光学系、たとえばレンズまたは複数のレンズの配列等の表面上に結露が付着しないという非常に特別な利点を有する。これは、特に、廃熱を利用して、入射窓の、または光学系の表面の温度を露点以上に保持することによって確実となる。
【0023】
特に有利な方法では、その中を熱が流れるような受動的冷却要素として、冷却要素および/または追加の冷却要素が具現化されるようになすことができる。急速な熱伝達が確実に行われるように、受動的冷却要素および/または追加の受動的冷却要素の熱伝導率が良好であれば特に有利である。この点において、有利な態様として、冷却要素および/または追加の冷却要素の熱伝導率が1W/mKより高く、特に10W/mKより高く、特に100W/mKより高く、非常に特別に500W/mKより高く示されるようになすことができる。
【0024】
非常に特別に有利な実施形態において、受動的冷却要素および/または追加の受動的冷却要素は、それが正確にフィットする状態で、できるだけ大きな面積にわたって、冷却対象の検出装置の構成要素に、特に光センサに、および/または光センサを担持する基板に適合できるような形状および寸法とされる。それによって特に良好な冷却が可能となる。同じことが、冷却要素が能動的冷却要素として具現化され、および/または追加の冷却要素が追加の能動的冷却要素として具現化された場合にも同様に当てはまる。しかしながら、冷却要素の、または追加の冷却要素の構成は常に、たとえば光路の遮蔽によって検出器の機能および/または検出器の部品の機能が不利に損なわれることがないように実行される。
【0025】
特に検出器および/または検出器の部品が筐体とは異なる電位レベルにある時に使用可能な非常に特別に有利な実施形態において、冷却要素および/または追加の冷却要素は、電気的に大きく絶縁する状態で具現化される。特に、冷却要素および/または追加の冷却要素の導電率が10−7S/m未満、特に10−8S/m未満となるようになすことができる。
【0026】
このような実施形態は、検出器を、冷却要素または追加の冷却要素を介して筐体と機械的に接触させることができ、その一方で、検出器をそれでもなお、少なくともこれが必要な電位レベルで動作できる程度まで電気的に絶縁させるという点で、特に有利である。たとえば、検出器が光電陰極によって生成された電子を加速させるための加速装置を備えるようになすことができ、これに関して、加速された電子は、たとえばアバランシェダイオードへと向けることができる。あるいは、検出器が二次電子増倍管を含むようになすこともできる。その点で、数千ボルトの電圧差を検出器または検出器の部品と筐体との間に印加しなければならないことがありうる。
【0027】
特に、このような電位差に耐えるために、検出器の具体的な実施形態において、冷却要素および/または追加の冷却要素が、少なくとも部分的に、電気絶縁性と熱伝導性を有する材料、特に窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、ダイヤモンド、人工ダイヤモンドまたは前記材料の組み合わせで作製される。これらの物質は、一方で高い熱伝導率、他方で非常に低い導電率で知られている。これに加えて、これらの材料は、たとえば粉砕、旋回またはフライス加工によって容易かつ正確に機械加工できるという利点を提供する。
【0028】
すでに説明したように、有利な態様として、冷却要素および/または追加の冷却要素は、電気絶縁体であり、かつ熱伝導体であるようになすことができる。特に、これを実現するために、冷却要素および/または追加の冷却要素は、少なくとも部分的に複合的な材料で作製することができる。たとえば、冷却要素および/または追加の冷却要素にはそれぞれ、熱伝導材料、たとえば、例としてアルミニウムまたは銅等の金属で作製したコアを少なくとも部分的に電気絶縁体によって取り囲んだものを含めることができる。特に、周囲の電気絶縁体は、熱伝導方向に関して、コアより薄くなるようになすことができる。コアの厚さは、特に、数ミリメートル、さらには数センチメートルとすることができる。
【0029】
特に、たとえば金属コアの容易な機械加工性から、冷却要素および/または追加の冷却要素は、特殊な形状であっても、複合的な構成要素としてそれほど複雑なものとならずに製造できる。
【0030】
一方で、コアは、たとえば光センサと筐体との間または、たとえば光センサと冷却要素および/または、特にペルティエ素子として具現化された追加の冷却要素との間のスペーサとして機能する。このブロックの良好な熱伝導性がさらに利用される。電気的に絶縁するために、このブロックを電気絶縁体で取り囲む。特定の実施形態において、電気絶縁体は絶縁膜として、特にプラスチック膜として具現化される。たとえばカプトンフィルムの使用が適切である。好適なプラスチック膜、特にカプトンフィルムは、1ミリメートルの何分の1かの厚さであっても、すでに非常に高い誘電強度を示すことができるため、電気絶縁膜をコアより実質的に薄くすることができる。その結果、特に、電気絶縁膜にはほとんど断熱効果がなくなる。熱伝導性コアと、より薄い電気絶縁フォイルとの特定の組み合わせにより、冷却要素および/または追加の冷却要素が電気絶縁性と熱伝導性の両方を持ち合わせることになる。
【0031】
周囲を取り囲む電気絶縁体はまた、当初は液体である材料を、たとえば塗布、噴霧または浸漬によってコアの上に付着させ、その上で硬化させることによって作製できる。
【0032】
特に、大きな電位差が存在する実施形態については、冷却要素および/または追加の冷却要素のいずれの具体的な構成とも別に実現可能な独立した発明的着想によれば、有利な態様として、冷却要素および/または追加の冷却要素が、外面のリーク電流に対する抵抗を高めるために、ラビリンスにより、および/または隆起部により、および/または少なくとも1つの溝により、および/または少なくとも1つの突出部により長くされたリーク経路を有するようになすことができる。
【0033】
非常に特別な実施形態では、冷却要素および/または追加の冷却要素が、特にリーク電流に対する抵抗を高めるために、少なくとも1つの周縁突出部または少なくとも1つの周縁溝を有するようになされる。このような実施形態は、冷却要素の、または追加の冷却要素の表面に沿ったリーク経路が長くなり、それによって電気フラッシュオーバの危険性が少なくとも低減されるという点で特に有利である。
【0034】
特に、大きな電位差が存在する実施形態について、冷却要素および/または追加の冷却要素のいずれの具体的な構成とも別に実現可能な独立した発明的着想によれば、有利な態様として、冷却要素および/または追加の冷却要素の隙間が電気絶縁材料で充填されるようになすことができる。特に、熱電コンバータ、特にペルティア素子を使用する場合、さらに有利な態様として、充填材料が電気絶縁性と断熱性を兼ね備えるものとして具現化されるようになすことができる。特定の実施形態において、冷却要素および/または追加の冷却要素は熱電コンバータとして、特にペルティエ素子として具現化し、その隙間をエポキシ樹脂またはシリコーンで充填し、特に封入する。
【0035】
不要な電圧フラッシュオーバは、冷却要素および/または追加の冷却要素の隙間を電気絶縁材料で充填することによって、有効に避けることができる。電気絶縁材料による充填は、内部の構成要素、たとえば、ペルティエ素子の一般的に円柱状の半導体素子等の表面に沿ったスパークのフラッシュオーバを有効に抑制する。
【0036】
有利な態様として、冷却要素および/または追加の冷却要素は、実質的に環状または円筒状に構成してもよい。前述のように、これによって、有効な冷却にとって有利なやり方で、冷却要素または追加の冷却要素をたとえば光センサまたは光センサを担持する基板と接触させるという点での特別な利点と、他方で、検出対象の光の光路のために開口部が存在するという別の利点の両方が得られる。
【0037】
特に有効に、かつ高い信頼性で機能する実施形態において、冷却要素および追加の冷却要素は熱的に直列に接続される。特に、非常に有利な態様として、冷却要素を受動的冷却要素として、たとえば窒化ホウ素のリングとして具現化し、またこれを光センサおよび/または光センサを担持する基板と直接接触させるようになすことができる。
【0038】
これに加えて、有利な態様として、前記冷却要素を、能動的冷却要素として、たとえば環状のペルティエ素子として具現化された追加の冷却要素と、熱的に接触させるようになすことができる。
【0039】
環状の冷却要素および環状の追加の冷却要素は、好ましくは、互いに同軸に配置され、検出対象の光のための光路が、冷却要素および追加の冷却要素の回転対称軸に沿って延びる。これに加えて、有利な態様として、追加の能動的冷却要素、たとえばペルティエ素子の高温側を筐体の入射窓または入射光学系と接触させるようになすことができる。このような構成は、検出器の光センサを特に有効に冷却できるという事実から重要であり、これは、光センサまたはその基板から受動的冷却要素を通って能動的冷却要素へと熱が直接伝達されるからである。これに加えて、能動的冷却要素の廃熱は、有利な態様として、入射窓または入射光学系の結露の発生を防止するために使用される。電気的絶縁性の高い材料、たとえば窒化ホウ素をこの構成の冷却要素として使用すれば、非常に有利な態様として、検出器を筐体の電位レベルとは異なる電位レベルで動作させることが可能となる。
【0040】
特に、結露の発生を防止するために、有利な態様として、筐体が気密となり、および/または筐体内が真空となるようになすことができる。たとえば、気密筐体に露点が特に低いガス、好ましくは乾性ガスを充填するようになすことができる。たとえば、筐体内に乾燥剤を導入することも有利である。これは、依然として存在しているかもしれない残留水分を除去し、またはその中に浸透する水分を吸収する役割を果たす。
【0041】
特に効率的に冷却する実施形態において、冷却要素は、光センサから、および/または光センサの基板から、光センサとも、または光センサの基板とも直接接触していない他の能動的冷却要素、特にペルティエ素子へと、熱を伝達する受動的冷却要素である。さらに、追加の能動的冷却要素が熱を筐体へと放出するようになされる。このような特定の順序の構成の結果として、能動的冷却要素の付加的な処理熱を、受動的冷却要素を通じて伝達させる必要がない。
【0042】
非常に特に好ましくは、本発明による検出装置は、顕微鏡、特に走査顕微鏡または共焦点顕微鏡とともに、またはその中で使用することができる。共焦点走査顕微鏡の非常に特に有利な実施形態において、この顕微鏡は本発明による検出装置を複数有する。たとえば、異なる検出スペクトル領域を個々の検出装置に割り当てるように、および/または割り当てることができるようになしてもよい。
【0043】
本発明の他の目的、利点、特徴および考えられる応用は、図面に関する例示的実施形態の以下の説明から明らかとなるかもしれない。これに関して、説明または図示された特徴はすべて、単独でも、いずれの有益な組み合わせでも、またそれらが特許請求の範囲またはその中での言及における組み合わせに関係なく、本発明の趣旨をなす。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による検出装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【図2】本発明による他の検出装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【図3】本発明による第三の検出装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【図4】本発明による第四の検出装置の例示的実施形態を概略的に示す。
【図5】本発明による検出装置の別の例示的実施形態の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1に示す検出装置1は、光2を受け取り、電気出力3において電気信号を供給するように具現化されている。検出装置1は筐体4を備え、その中に検出器5が配置されている。
【0046】
検出器5は、光センサ6、すなわち基板7の上に配置された光電陰極8を備え、これは透過式の構成で動作する。これは、光電陰極8が、その筐体4の入射光学系9に面する側で検出対象の光2を受け取り、その反対の面で光電子を放出することを意味する。
【0047】
光電陰極8とその基板7の電位レベルは−8000Vであり、その一方で、筐体4の電位レベルは0Vである。
【0048】
検出器5はさらに、電位レベルが−400Vのアバランシェダイオード10を備える。光電陰極8によって生成された光電子は、光電陰極8とアバランシェダイオード10の間に存在する電位差によって加速し、アバランシェダイオード10に衝突すると、これが電気出力3を介して電気信号を出力する。
【0049】
検出装置1は、筐体4の中に、受動的冷却要素として具現化される冷却要素11を備える。具体的には、冷却要素11は、熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子12として具現化される。中間素子12は環状の形状であり、中間要素の中心軸は検出対象の光2の光路と同軸的に延びる。
【0050】
検出装置1はさらに、筐体4の中に、環状のペルティエ素子14として具現化される追加の冷却要素13を備える。環状のペルティエ素子14は、環状の中間素子12と同軸的に配置される。
【0051】
環状のペルティエ素子14は、熱伝導的に中間素子12と接触している。中間素子12は、熱伝導的に基板7と接触している。
【0052】
熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子12により、冷却出力は、特に有効に基板7と光電陰極8を冷却するために利用できる。さらに、環状のペルティエ素子14の高温側が筐体4と入射光学系9とに面するようになされる。その結果、入射光学系9が再び加熱されるため、水は結露しえない。検出器5、中間素子12、環状のペルティエ素子14の、筐体4に関する残りの隙間は、断熱性および電気絶縁性を有する埋込用樹脂で充填される。入射光学系9と光電陰極8の間の領域は、乾性ガスで充填される。
【0053】
図2は他の検出装置を示しており、中間素子12が熱伝導的に光電陰極8と直接接触している。
【0054】
図3は、本発明による第三の検出装置の例示的実施形態を示しており、これは実質的に、基本的構成の点で、図1と図2とに示す検出装置に対応する。しかしながら、熱伝導性と電気絶縁性とを有する中間要素12として具現化された冷却要素11は、検出対象の光2の円錐状の通路を有する。これに加えて、追加の冷却要素13には、より径の大きな(図1と図2に示す実施形態と比較して)通路が設けられている。さらに、筐体4の、より大きな入射窓9が設けられている。この実施形態は、開口数が実質的に増大されている点で特に有利である。その結果、斜めに入射した光であっても、妨害されることなく、光電陰極8として具現化された光センサへと進むことができる。
【0055】
特に、入射窓は光センサ、この例では光電陰極8より実質的に大きく具現化される。冷却要素11の、および追加の冷却要素13の内部開口部の半径はしたがって、光電陰極8から入射窓に向かって増加する。また別の結果として、中間素子12として具現化された冷却要素11と、追加の冷却要素13、すなわちペルティエ素子14との間の接触面積が実質的に増大し、これによって特に、良好な放熱が確実に行われる。
【0056】
図3に示される実施形態において、冷却要素11と光センサ6の基板7との接触面積はまた、冷却要素11と追加の冷却要素13との接触面積より大きいが、冷却要素11は検出器5の他の構成要素とは直接接触しない。この目的のために、特に冷却要素11の外側形状もまた、円錐形に具現化される。
【0057】
冷却要素11を取り囲む環状の断熱体15は、筐体に関してさらに断熱するために設けられる。
【0058】
図4は、本発明による第四の検出装置の例示的実施形態を概略的に示しており、これは実質的に、構成の点で図3に示す実施形態に対応する。リーク電流に対する抵抗を高めるために、光2のための中間素子12の通路には周縁隆起部15が設けられている。これによって、光センサ6から追加の冷却要素13へのリーク経路が長くなり、その結果、電気フラッシュオーバのリスクが実質的に低減する。
【0059】
図5は、本発明による検出装置の別の例示的実施形態の詳細図である。
【0060】
この実施形態において、追加の冷却要素13の、すなわちペルティエ素子14の隙間は電気絶縁材料16で、たとえばシリコーンで充填される。隙間を電気絶縁材料16で充填することによって、不要な電圧フラッシュオーバを有効に避けることができる。電気絶縁材料16での充填は、内部の構成要素、たとえばペルティエ素子14の円注状の半導体素子17の表面に沿ったスパークのフラッシュオーバを有効に抑制する。
【0061】
これに加えて、外面上の、および光2の通路の領域内の電気絶縁材料16には、リーク経路を長くするために隆起部15が設けられている。
【符号の説明】
【0062】
1 検出装置
2 検出対象の光
3 電気出力
4 筐体
5 検出器
6 光センサ
7 基板
8 光電陰極
9 入射光学系
10 アバランシェダイオード
11 冷却要素
12 中間素子
13 追加の冷却要素
14 ペルティエ素子
15 隆起部
16 電気絶縁材料
17 半導体素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光(2)を受け取り、電気信号を生成するように具現化され、光入射面を備える光センサ(6)を有し、冷却要素を有する検出装置(1)にして、
前記冷却要素が、前記光センサ(6)の光入射面にて、前記光センサと、および/または前記光センサ(6)を担持する基板(7)と直接接触する、検出装置(1)。
【請求項2】
筐体(4)を備え、および/または前記光センサ(6)と前記冷却要素(11)が筐体(4)の中に配置される、請求項1に記載の検出装置(1)。
【請求項3】
前記冷却要素(11)を通過する光路(2)が、検出対象の光(2)のために画定される、請求項1または2に記載の検出装置(1)。
【請求項4】
前記冷却要素(11)が、熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子(12)として具現化される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項5】
追加の冷却要素(13)が、特に前記筐体(4)の中に設置され、および/または前記冷却要素(11)と熱伝導的に接触する追加の冷却要素(13)が設置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項6】
a.前記追加の冷却要素(13)を通って延びる、検出対象の光(2)のための光路(2)が画定され、および/または
b.前記追加の冷却要素(13)が、熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子(12)として具現化され、および/または
c.前記追加の冷却要素(13)が、検出器(5)の光センサ(6)、特に光電陰極(8)と直接接触し、および/または光センサ(6)、特に光電陰極(8)を担持する基板(7)と直接接触する、
請求項5に記載の検出装置(1)。
【請求項7】
前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が、能動的冷却要素として、特にペルティエ素子(14)として、またはヒートポンプとして、またはヒートパイプとして具現化されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項8】
前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が、前記冷却要素(11)の、および/または前記追加の冷却要素(13)の廃熱が少なくとも前記筐体(4)の入射窓および/または前記筐体(4)の入射光学系(9)を加熱するように配置される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項9】
前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が、その中を熱が流れる受動的冷却要素(11)として具現化される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項10】
前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が、少なくとも部分的に、電気絶縁性および熱伝導性を有する材料で、特に窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、ダイヤモンド、人工ダイヤモンド、または前記材料の組み合わせで作製される、請求項9に記載の検出装置(1)。
【請求項11】
a.前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が電気絶縁体と熱導電体の両方であり、および/または
b.前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が、少なくとも部分的に複合材料で作製され、および/または
c.前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が、熱伝導性材料で、特にアルミニウムで作製されたコアを備え、これが少なくとも部分的に電気絶縁体、特に電気絶縁体膜、たとえばプラスチック膜で取り囲まれ、および/または
d.前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が、熱伝導性材料で、特にアルミニウムで作製されたコアを備え、これが少なくとも部分的に、前記熱伝導方向に関して、前記コアより薄い電気絶縁体により取り囲まれている、
請求項9に記載の検出装置(1)。
【請求項12】
前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)の熱伝導率が1W/mKより高く、特に10W/mKより高く、特に100W/mKより高く、特に500W/mKより高い、請求項1〜11のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項13】
前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)の導電率が10−7S/m未満、特に10−8S/m未満である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項14】
前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が、外面上のリーク電流に対する抵抗を高めるために、ラビリンスにより、および/または隆起部により、および/または少なくとも1つの溝により、および/または少なくとも1つの突出部により長くされたリーク経路を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項15】
前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)が実質的に環状または円筒状に具現化される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項16】
a.前記冷却要素および/または前記追加の冷却要素の隙間が、電気絶縁材料で充填され、および/または
b.前記冷却要素および/または前記追加の冷却要素の隙間が、電気的絶縁性および断熱性を有する材料で充填され、および/または
c.前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素が熱電コンバータとして、特にペルティエ素子として具現化され、その隙間が電気絶縁材料で充填され、および/または
d.前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素が熱電コンバータとして、特にペルティエ素子として具現化され、その隙間が電気絶縁性および断熱性を有する材料で充填され、および/または
e.前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素が熱電コンバータとして、特にペルティエ素子として具現化され、その隙間がエポキシ樹脂またはシリコーンで充填される、
請求項1〜14のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項17】
前記冷却要素(11)および前記追加の冷却要素(13)が熱的に直列に接続される、請求項5〜16のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項18】
前記筐体(4)が気密であり、および/または前記筐体(4)内が真空である、請求項2〜17のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項19】
a.前記検出器(5)と前記筐体(4)の間に電位差があり、および/または
b.前記検出器(5)と前記筐体(4)の間に、1000Vより大きい、特に2000Vより大きい、特に4000Vより大きい、特に6000Vより大きい、特に8000Vの電位差がある、
請求項2〜18のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項20】
a.前記光センサ(6)が少なくとも1つの光電陰極(8)を備え、および/または
b.前記光センサ(6)または、前記光センサを備える検出器(5)が光ダイオード(8)、特にアバランシェダイオードを備え、および/または
c.電子加速器および/または電子増倍管が前記光センサ(6)の下流側に位置付けられ、および/または
d.光センサ(6)を備え、1000Vより大きい、特に2000Vより大きい、特に4000Vより大きい、特に6000Vより大きい、特に8000Vの電圧で動作する検出器(5)を備える、
請求項1〜19のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項21】
前記光センサ(6)と前記筐体(4)とが、前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)によって熱伝導的に接続され、前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)の前記光センサ(6)との接触面積が、前記冷却要素(11)および/または前記追加の冷却要素(13)の前記筐体(4)との接触面積より小さい、請求項2〜20のいずれか一項に記載の検出器(1)。
【請求項22】
前記冷却要素(11)が、熱を前記光センサ(6)から、および/または前記光センサ(6)の前記基板から、前記光センサ(6)とも前記光センサ(6)の前記基板とも直接接触していない追加の能動的冷却要素へと伝導する受動的冷却要素であり、前記追加の能動的冷却要素が前記筐体(4)へと熱を排出する、請求項2〜21のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の検出装置(1)を少なくとも1つ有する光学装置、特に顕微鏡または走査顕微鏡または共焦点走査顕微鏡。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−40939(P2013−40939A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−180130(P2012−180130)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(500178876)ライカ マイクロシステムス ツェーエムエス ゲーエムベーハー (80)
【Fターム(参考)】