検査デバイス、検査装置及び検査システム、並びにそれらの駆動方法
胃腸管からのデータを収集するために特に最適な、また他の環境からのデータを収集するための最適な検査デバイス及び装置が開示されている。検査装置は、第1のモジュール(1)と第2のモジュール(50)を含んでいる。第1のモジュールは、コントローラ(15)、トランスミッタ(25)、及びセンサ素子(482)のアレイを含んでいる。コントローラは、アレイにおける1つ以上のセンサ素子を、アレイにおける他のものから独立して、活性化することができる。各センサ素子は、センサアレイが配置されている環境において同じ分析物(例えば、血液)の存在を検出するための生物学的センサである。そのようなデバイスのセンサの最適な較正スキームとルーチンが開示されている。また、電力節約及び空間節約の仕組み、特に、検査デバイスとベースステーションとの間の非同期通信プロトコル、及び検査デバイスの電力供給における変動によるセンサデータにおける変化を補償するための補償の仕組みが開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査デバイス、検査装置及び検査システムに関する。また、本発明は、そのようなデバイス、装置及び/又はシステムを駆動するための方法に関する。本発明は、限定するものではないが、特に生物医学的なデータ及び/又は情報を収集することに関連する。
【0002】
本発明は、センサを持つ飲み込むことが可能な嚥下型カプセルが患者により飲み込まれ、無線又は他の通信リンクを介して収集されたデータを体内から体外のベースステーションに送信するシステムにおいて特に有用である。しかしながら、本発明は、この適用に限定されるものではなく、人体に移植するためにデザインされた検査デバイスにも使用可能である。また、本発明は局部的な適用、例えば創傷被覆材にも使用できる。さらに、本発明は動物、限定するものではないが、特に家畜、例えば羊及び豚などに使用することができる。適用はほ乳類だけでなく、ほ乳類以外のもの、例えば漁場の魚などにも適用可能である。
【背景技術】
【0003】
公知の嚥下型カプセルは、センサとして極小型カメラを組み込み、そのカメラが胃腸管を通過するときに胃腸(GI)管の一連の画像を取得する。カメラにより取得された画像は、無線リンクによりベースステーションに送信される。そこで、一連の画像は、胃腸管における異常を探す熟練のオペレータにより調べられる。そのような画像は有用な診断情報を提供することができるが、各患者のために熟練のオペレータに多くの時間が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以下に述べるように、3つの関連する展開の形態をとっている。各展開のために、幾つかの観点が存在する。事情が別の方法を求めない限り、いずれの展開の観点も互いに組み合わせ可能であることが理解できるであろう。同様に、事情が別の方法を求めない限り、いずれの展開の如何なる観点も単独で、若しくは一緒に、好ましい及び/又は任意の特徴を組み合わせることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の展開
本発明の第1の展開において、公知の嚥下型カプセルのカメラセンサに代替センサを設けることが有利であろうと発明者は理解した。特に、胃腸管の幾つかの病気はカメラセンサを使って検出することが困難である。例えば、胃腸管における出血は、幾つかの病状、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、潰瘍、及び癌などの共通の徴候である。胃腸管における出血は、例えば貧血症などの他の症状が現れるまで、又は鮮血が便に現れるまで分からない。通常、このときまでには、病状は悪化している。腸癌の場合において、ポリープはそれらが癌になる前にしばしば出血する。したがって、もしそれらを早い段階で検出することができるならば、ポリープは安全に取り除くことができ、癌を上手く処理することができる。
【0006】
便の中の血の存在を検査するために便潜血(FOB)検査が知られている。これは、一般的に、ヘモグロビンのペルオキシターゼのような行動に基づくか、若しくは免疫学的検定法に基づくものである。
【0007】
公知のFOB検査の一つとしてはグワイヤック樹脂含浸カードが使用される。(木から抽出された)グワイヤック樹脂は、酸化剤の存在により色が変化する。そのような検査は、高く共役された青色キノン化合物を形成するように、水素ペルオキシターゼによってグワイヤック樹脂(アルファグアイアコール酸)の中のフェノール化合物の酸化にヘモグロビンが触媒作用を及ぼすという事実を利用している。グワイヤックに基づくFOB検査において、便のサンプルは、グワイヤック樹脂で含浸されたカードに病人により塗りつけられる。典型的には、3つの便のそれぞれからの2つのサンプルは、カードが分析のために送られる前に集められるよう要求される。分析室において、水素ペルオキシターゼ顕色液がカードにかけられ、もし血液がサンプルの中に存在していれば、結果として青緑色が現れる。
【0008】
前述のFOB検査は、患者がメールを経由して、又はかれらの地元の医者からテストを受け取り、自分のサンプルを取り、カードに塗りつけて、そのカードを分析のため分析室に返還するというスクリーニング検査において使用されている。サンプルを取り、それらをカードに塗りつけることが多分不愉快と感じる、特に年配の人々において、及び特定の民族又は社会背景の人々において、そのようなテストの実行は変更可能である。
【0009】
したがって、第1の展開の第1の観点において、本発明は、第1のモジュールと第2のモジュールを含む検査装置であって、前記第1のモジュールは、コントローラ、トランスミッタ、及びセンサ素子のアレイを有し、前記コントローラは、前記アレイの中の異なるセンサ素子を使用して異なる時間で前記アレイからのセンサ出力を得るために、前記アレイにおける1つ以上のセンサ素子をアレイにおける他と独立して活性化させることが可能であり、前記トランスミッタは、前記センサ出力から抽出されたセンサデータを、前記第1のモジュールから前記第2のモジュールのレシーバへ送信するよう構成されており、各センサ素子は、センサアレイが配置されるところの環境において同じ分析物の存在を検出するための生物学的なセンサである。
【0010】
好ましくは、第1のモジュールが、
(i)人間若しくは動物の体を通過するために、飲み込むことが可能であるように、
(ii)人間若しくは動物の体の中に移植できるように、又は
(iii)人間若しくは動物の体の表面の場所に配置されるように、構成されている。
【0011】
(i)の適用のためには、第1のモジュールの物理的寸法、及び形状についての限定がなされる。形状に関して、典型的には第1のモジュールが、2.5:1以上、好ましくは3:1又は4:1またはそれ以上のアスペクト比(縦横比)で細長く形成される。勿論、特定の寸法は第1のモジュールが通過すべき胃腸管に従うものである。(ii)の適用のためには、第1のモジュールの寸法又は形状について特定される幾つかの一般的な限定が存在する。しかしながら、(i)と(ii)の両方のために、第1のモジュールは生体適合性、及び/又は非毒性の材料で形成されるべきである。(iii)の適用のためには、第1のモジュールは平板な形状を有し、必要に応じて屈曲可能な形状を有することが好ましい。例えば、第1のモジュールは、体の傷をした箇所に設けられるかもしれず、好ましくは、傷を手当てした包帯の上又は内部に設けられるかもしれない。
【0012】
前記環境における前記分析物の存在を検出するように、各センサ素子が一度だけ活性化されることが好ましい。この方法において、各センサ素子は一度の動作だけ可能であることが好ましい。典型的には、これは、センサ素子が少なくとも一つの反応物を使用する化学反応に頼っているためであり、センサ素子がさらなる測定を実行することが出来ないことを意味する測定のためのセンサ素子における反応物の使用に頼っているためである。
【0013】
好ましくは、前記センサ出力は、分析物の存在、分析物の非存在;検出された分析物の濃度の定量的な測定値、の少なくとも1つの分析物状態に対応する。したがって、各センサ素子は分析物の濃度の測定を提供することが可能である。しかし、特定の実施例においては、各センサ素子が、分析物濃度が特定の閾値を超える(分析物の存在)、若しくは特定の閾値を下回る(分析物の非存在)のいずれかを決定するだけで十分かもしれない。
【0014】
好ましくは、前記分析物は、血液、又はヘモグロビン、又は血液の他の構成物、又は血液の分解生成物である。また、分析物は、他の体液、又はその構成物、例えばルーメン(内腔)、消化酵素、食料消化時の食料若しくは生産物、傷からの液体であるかもしれない。
【0015】
好ましくは、前記アレイにおけるセンサ素子を活性化することは、第1の反応物と第2の反応物との間の化学反応に触媒作用を及ぼすように、センサ素子の環境における分析物の存在を可能とし、センサ素子出力を決定する前記センサ素子により前記化学反応の検出を可能とする。好ましくは、各センサ素子は、少なくとも前記第1の反応物を収容している反応物空間を含んでいる。また、前記反応物空間は前記第2の反応物を収容してもよい。第2の反応物は、前記第1の反応物に接触してもよい。第1と第2の反応物は、互いに接触し、他の反応物の中に1つの反応物の島に形成するか、若しくは他の反応物の中に1つの反応物の粒子を形成してもよい。一般的に、2つの反応物の間の接触の形態は、分析物の欠如において、2つの反応物の互いの反応性に依存し、そしてセンサ素子の有効寿命に依存するものである。
【0016】
好ましくは、前記反応物空間は、半透過性膜により電解質空間から分けられている。半透過性膜は、酸素、酸素イオン、プロトン、又は他の予め決められたスペシーズを透過できる構成でもよい。典型的には、電解質空間は、作用電極、対向電極及び任意に参照電極を有しており、前記電極が前記電解質空間の電解質と電気的に接触している。この方法において、電極は、反応物空間において第1と第2の反応物の間の反応をモニタするために使用することができ、例えば、第1と第2の反応物の間の反応により生じた酸素、又は酸素イオンをモニタするために使用することができる。
【0017】
好ましくは、反応物空間は、前記センサ素子の活性化状態で、前記環境に晒されている。各センサ素子は、前記反応物空間をカバーするためのカバー部材を含み、前記カバー部材は、前記反応物空間に晒すことが可能なように少なくとも部分的に取り外すことができる。好ましくは、前記カバー部材は、前記カバー部材に電圧を印加することにより少なくとも部分的に取り外すことが可能である。前記電圧は、前記カバー部材の腐食、溶解、溶融、昇華及び破損の少なくとも1つを誘因するかもしれない。
【0018】
好ましくは、第1の反応物は、アルファ−グアイアコニック酸又はその誘導体を具備している。好ましくは、第2の反応物は、触媒が存在する状態において第1の反応物を酸化することが可能なメディエータである。
【0019】
好ましくは、第1のモジュールが配置されるところの環境と接触するよう設けるために、前記センサアレイは前記第1のモジュールの外側表面に設けられている。この方法において、装置における溝や管に沿って移動するように環境から液体を要求することなく、各センサ素子は、(少なくとも活性化のときに)、環境に直接的に晒される。この構成は、胃腸管(例えば、大腸)の幾つかの部位が実質的に固体で、密に固められた状態を有している場合、そこを流れるのが困難であるため、特に好ましい。
【0020】
センサアレイは、共通の基板上に形成されていてもよい。例えば、各センサ素子は公知のフォトリソグラフィ(写真製版)技術により形成されてもよい。基板は、平面、例えばシリコン単結晶基板でもよい。基板は、第1のモジュールの曲がった外側表面にフィットするように屈曲可能でもよい。基板はそれ自身が第1のモジュールの外側ケースであってもよい。
【0021】
センサアレイは、少なくとも4個のセンサ素子を含んでもよい。しかしながら、好ましくは、前記アレイは、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、又は少なくとも50個のセンサ素子を有してもよい。
【0022】
好ましくは、前記コントローラは、前記センサ素子を予め決められた時間間隔で活性化するように駆動する。
【0023】
第1のモジュールのセンサアレイは、第1のセンサを形成するかもしれない。第1のモジュールはさらに、第2のセンサを含み、前記第2のセンサは第1のモジュールが配置されるところの環境のパラメータを測定するよう駆動する。好ましくは、第2のセンサの出力は、センサアレイのセンサ素子が活性化される時間を決定するために、コントローラにより使用される。例えば、第2のセンサは、第2の展開に関連して述べたように、pHセンサ、又は温度センサの1つかもしれない。
【0024】
特定の場合において、センサ素子の出力は、分析物の濃度より、環境状態他に依存するかもしれない。例えば、その出力はpH及び/又は温度に依存するかもしれない。その場合、第2のセンサの出力は、第1のセンサの出力を較正するために使用してもよい。さらに、この特徴は第2の展開に関連して述べる。
【0025】
第1のモジュールがさらに第3のセンサを含み、前記第3のセンサは、第2のセンサにより測定されるパラメータと異なる、第1のモジュールが配置されるところの環境のパラメータを測定するために駆動される。好ましくは、第2と第3のセンサの両方の出力は、センサアレイのセンサ素子が活性化される時間を決定するためにコントローラにより使用される。
【0026】
好ましくは、第2及び第3のセンサは、pHセンサ、温度センサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、バイオケミカルセンサ、オプチカルセンサ、音響センサから選択される。
【0027】
第1の展開の第2の観点において、本発明は、第1のモジュール及び第2のモジュールを含み、前記第1のモジュールがコントローラ、トランスミッタ、及びセンサ素子のアレイを有する検査装置の駆動方法を提供することであって、この駆動方法は、
(i)第1の時間t1で少なくとも1つのセンサ素子からセンサ出力を得るために、前記コントローラが、前記アレイにおける前記少なくとも1つのセンサ素子を、前記アレイにおける他のセンサ素子から独立して活性化するステップ;
(ii)t1と異なる時間t2で少なくとも1つのさらなるセンサ素子からのセンサ出力を得るために、前記コントローラが、前記アレイにおける前記少なくとも1つのさらなるセンサ素子を、前記アレイにおける他のセンサ素子からと独立して活性化するステップ;
(iii)センサデータを前記第1のモジュールから前記第2のモジュールのレシーバに送信するステップを含み、
各センサ素子は、センサアレイが配置されるところの環境における同じ分析物の存在を検出するための生物的なセンサである。
【0028】
好ましくは、異なる時間tで前記環境における前記分析物の検出又は欠如に応答して、前記アレイからの一連のセンサ出力を得るために、コントローラが前記異なる時間tで連続的に前記センサ素子を活性化するステップをさらに含んでいる。
【0029】
好ましくは、前記分析物の存在を検出するために、各センサ素子が一度だけ最大に活性化される。
【0030】
好ましい及び/又は任意の特徴を含む第1の展開のいずれの観点も、他の事情の要求が無い限り、好ましい及び/又は任意の特徴を含む第2又は第3の展開のいずれの観点も組み合わせることができる。
【0031】
第2の展開
現在の嚥下型カプセル又は移植検査装置が持つ問題は、それらがユーザにより較正することができない点である。それ故、それらは相対的な表示(例えば、pHにおける変化)を提供するだけであり、絶対的な値は提供できなかった。それらのダイナミックレンジを変更することは出来ないし、それでデータの多くはセンサの増幅器の飽和状態を通して失われる。
【0032】
したがって、第2の展開の第1の観点において、本発明は、人間若しくは動物の体の消化器系を通る通路のために、又は人間若しくは動物の体に移植するためにデザインされた検査デバイスを提供することであり、このデバイスは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサ、較正ルーチンに従って第1のセンサを較正するための電気回路若しくはソフトウエア、及び第1のセンサの出力から抽出されたデータを外部装置に送信するためのトランスミッタを有している。
【0033】
ここで、用語「較正」は次に示すあらゆる、又は幾つかの状態を示すためによく一般的に用いられている。
センサ出力に対する真の物理的な値を対応付けること(例えば、pH、℃、酸素濃度、又はセンサにより出力された電圧に対して他の値を対応付けること)、センサのダイナミックレンジを調整又は適正化すること、センサに零出力を行うこと、公知の値に対する相対的なセンサ出力を形成すること、及び/又はセンサにおけるずれを補償すること;である。
【0034】
この方法において、センサは、更に正確な情報若しくは絶対的な値、又はユーザに対して特に関連する情報を与えるように較正することができる。
【0035】
第2の展開の第2の観点において、本発明は、パラメータを測定するためのシステムを提供するものであり、このシステムは、第2の展開の第1の観点による検査デバイスの形態における第1のモジュールと、前記第1のモジュールのトランスミッタにより送信されたデータを受信するためのレシーバを有する第2のモジュールとを具備している。第2のモジュールは、第2の展開の第1の観点において述べた「外部装置」として動作する。
【0036】
第2の展開の第3の観点において、本発明は、パラメータを測定するためのシステムを提供するものであり、このシステムは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサと、前記第1のセンサにより作成された測定値と前記第1のモジュールにより生成された較正データとを第2のモジュールへ送信するためのトランスミッタとを有する検査デバイスの形態の第1のモジュール、
前記第1のモジュールのトランスミッタにより出力されたデータを受信するためのレシーバと、前記データを処理するためのプロセッサとを有する第2のモジュール、を具備し、
前記第2のモジュールのプロセッサは、第1のセンサにより作成された測定値を、較正ルーチンに従って及び前記第1のモジュールにより送られた較正データに基づいて較正するよう構成されている。好ましくは、検査デバイスは、嚥下型カプセルであるか、又は人間若しくは動物の体に移植するために設計されている。
【0037】
上記の観点における較正ルーチンは、センサのダイナミックレンジを適正化するためのルーチンでもよい。ここで、適正化とは改良することを意味し、可能な限り最高のダイナミックレンジとすることを要求するものではない。
【0038】
較正ルーチンは、前記第1のセンサの出力の時が経つにつれて生じるずれを補償するためのルーチンであり、この補償は、センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルに従って実行される。
【0039】
センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルは、メモリに記憶された予め決められたモデルでもよい。この予め決められたモデルは、実験的に得られたモデル、若しくは理論的なモデル(もし、センサのずれの物理理論が十分に理解されているのであれば)でもよい。
【0040】
また、センサのずれのモデルは、センサにより測定された以前のデータポイントを外挿することにより、センサが使用されている間に計算してもよい。例えば、一定のずれが存在しているのであれば、それは興味のある不連続である。この場合、多項式フィット(polynomial fit)、又は移動平均法(moving average method)が実時間におけるずれをモデル化するために使用することができる。
【0041】
好ましくは、センサ出力は、センサずれを補償するために、前記モデルに従って、規則的な時間間隔で調整される。
【0042】
第2の展開の第4の観点において、本発明は、嚥下型カプセルの形態における検査デバイス、若しくは人間若しくは動物の体に移植するためにデザインされたデバイスを提供することであり、そのデバイスは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサと、第2のパラメータを測定するための第2のセンサと、前記第1及び/又は第2のセンサからの出力に基づくデータを外部装置に送信するためのトランスミッタ、及び第2のセンサからの出力が予め決められた特性を表示したとき、第1のセンサをオン状態に切り替える、又は第2のセンサからの出力が前記予め決められた特性を表示してから設定された時間経過後に第1のセンサをオン状態に切り替えるためのコントローラ、を具備している。
【0043】
第2の展開の第5の観点において、本発明は、飲み込むことが可能な嚥下型カプセルの形態における検査デバイスを提供することであり、そのデバイスは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサ、前記第1及び/又は前記第2のセンサからの出力に基づくデータを外部装置に送信するためのトランスミッタ、及び検査デバイスが身体の特定の位置にあることを示す第1のセンサ出力における特性の事象を検出するよう構成され、そして検査デバイスの位置を示す位置データを、メモリに記憶し、及び/又は外部装置に送信するよう構成されているプロセッサを具備している。
【0044】
好ましい及び/又は任意の特徴を含む第2の展開のいずれの観点も、他の事情の要求が無い限り、好ましい及び/又は任意の特徴を含む第1又は第3の展開のいずれの観点をも組み合わせることができる。
【0045】
第3の展開
公知のシステムにおいて、カメラ及び無線トランスミッタを有する飲み込むことができる嚥下型カプセルは、病人により飲み込まれる。そのようなシステムにおける困難性は、カプセルの寸法が、飲み込むことができることを必要とするという事実に限定されることである。それ故、カプセルの内側空間と、それにより運ぶことができる構成物の数は、非常に限定されている。
【0046】
カプセルを小さく形成し、又はカプセルの内側にある必要な電気構成物を簡略化することによりカプセルの内側の利用可能な空間を増大することは望ましいことである。また、カプセルの電力消費を最少化することは望ましいことである。しかしながら、カプセルの機能性及びデータの完全性に影響を与えることなくこれをなすことは困難である。
【0047】
したがって、最も一般的には、第3の展開の第1の観点において、本発明は、第1のデータ検査及び送信モジュール、及び第1のモジュールからのデータを受信し、第1のモジュールの電力における変動によるずれを補償するよう構成された第2の受信モジュールとを具備するシステムを提供することである。この方法において、第1のモジュールは非常にシンプルに作成することが可能であり、そしてユーザにかなり正確なデータを常に提供できるように、第2のモジュールが、これらの欠点を補償することができるので、比較的に不正確なクロック、及び/又は電力の変動を有している。
【0048】
本発明は、人間若しくは動物の体からデータを収集するために特に有用であると同時に、また食料及びプロセスコントロール産業において、並びに、実際のところ、データ検出及び送信デバイスが小型若しくは軽量に維持されるように、又は最少の消費電力を持つようにあらゆる状況において適用される。
【0049】
第3の展開の第1の観点において、本発明は、データを収集するための装置を提供することであり、その装置は、
第1のクロックと、少なくとも1つのセンサと、前記第1のクロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給と、及び前記少なくとも1つのセンサからのセンサデータを送信するためのトランスミッタと、を有する第1のモジュール、並びに
第2のクロックと、レシーバと、及び前記第1のモジュールのトランスミッタから送られたデータを受信し、第1のクロックのクロックレートを推定し、前記推定され第1のクロックレートに基づいてセンサデータを調整することにより、前記第1のモジュールの電力源の電力における変動について、受信したセンサデータを補償するプロセッサと、を有する第2のモジュールを具備している。
【0050】
センサデータは、少なくとも1つのセンサによりなされた測定に基づくものでもよい。好ましくは、第1のモジュールは、人間若しくは動物の体の内部、又は通路に配置されていると都合がよい。
【0051】
上記の構成は、第1のモジュールの電力供給から出力された電力における変動ために生じる、第1のモジュールからのセンサデータにおけるずれを、第2のモジュールが補償することが可能である。通常、電力供給から出力された電力における変動は、センサにより測定された値における変動に応動するものであろう(例えば、幾つかのセンサ及びADCのための、与えられた刺激に反応する出力は、電力供給により供給された電力と比例関係を有するものである。)。それ故、上記の装置では、第1のモジュールの電力供給からの電圧を調整するために大きな(及び電力を消耗する)電圧調整回路を無くすことが可能となる。
【0052】
これは、第1のクロックの周波数、又はクロックレートが電力供給から受け取った電圧に関連することを発明者の観察により可能となったものである。それ故、第1のクロックのクロックレートを推定し、その変動を通知することにより、センサデータにおける変動を(に対応する)補償を行うことが可能となる
【0053】
第1のクロックのクロックレートを「推定」するということは、データが第2のモジュールにより受け取られるときのレートを通知し、そしてデータが受け取られたときのレートに基づいてセンサデータを補償することを含んでいる(なぜなら、データが第2のモジュールにより受け取られたときのレートが、幾つかの送信プロトコルの中にあり、第1のクロックのクロックレートに直接関連するためである)。
【0054】
好ましくは、第1のモジュールのトランスミッタはワイヤレスのトランスミッタであり、そして第2のモジュールのレシーバはワイヤレスのレシーバである。「ワイヤレス」とは、二つのものが有線通信リンクにより互いに接続されているものではない(これは可能であるが、好ましくはない)。好ましくは、トランスミッタがラジオトランスミッタ(ラジオ周波数トランスミッタ)であり、レシーバはラジオレシーバ(ラジオ周波数レシーバ)である。他の可能性としては、磁気誘導、音又は光の通信リンクが含まれる。
【0055】
好ましくは、第1のモジュールは飲み込むことが可能な嚥下型カプセルである。それは、人間の消化器系を通る通路、特に腸のためにデザインされてもよい。典型的には、約大きなビタミン錠剤の大きさであるが、如何なる場合においても通常は40mmx12mmより大きくないであろう。
【0056】
また、カプセルを動物の消化器系を通る通路のためにデザインしてもよく、特に家畜、例えば畜牛、羊及び豚などを含むが、これらに限定されるものではない。カプセルが動物の胃の中に止まらないように、カプセルは50mmより短い大きさが好ましい。ほ乳類に追加して、本発明は非ほ乳類、例えば養殖の魚に使用してもよい。
【0057】
また、第1のモジュールは体、好ましくは人間の身体に植え込むためにデザインされた移植物でもよい。好ましくは、モジュールを通りすぎて体液が通路を流れるようにモジュールは開口を有しており、例えば環状でもよい。好ましくは、第1のモジュールが大腸に挿入されるよう設計されていてもよい。
【0058】
また、第1のモジュールは、動物の体に植え込むために設計されたインプラントでもよく、例えばそれは動物の胃の中に「刺さる」又は配置されるものであろう。この場合において、典型的に、13cmより短く、好ましくは畜牛用としては12−13cmであり、羊用としては10cm以下である。
【0059】
一般的に、第1のモジュールは、各時間で測定されたセンサの読みにそれぞれ対応する一連のセンサの値を出力し、そしてそれぞれのセンサの値のために、第2のモジュールのプロセッサは、前記センサの値が読み取られたときの第1のクロックのクロックレートを推定し、前記第1のモジュールの電力供給からの電力における変動を補償するようそれぞれのセンサの値を調整する。
【0060】
好ましくは、予め決められたデータ量を受け取るように第2のモジュールのために設定された第2のクロック、及び予め決められたデータ量を出力するように第1のモジュールのために設定された第1のクロックのクロック周期の公知の数に従った、時間区分に基づいて、第1のクロックのレートは推定される。クロック周期の数は、データを出力するための第1のモジュールにおけるプロセッサの構成又はプログラミングから知ることが可能であり、及び/又は第1のモジュールにより使用された送信プロトコルから知ることができる。予め決められた量としては、例えば単一ビットのデータ、又は1バイトのデータでもよい。
【0061】
例えば、1バイトのデータを伝送するために、第1のモジュールのための第1のクロック周期がxであり、第2のモジュールがt秒間に1バイトを受け取ることが知られている場合、第1のクロックレートは、x/t Hzである。
【0062】
好ましくは、補償は、センサと電力供給により供給された電圧との予め決められた関係(i)、及び第1のクロックのクロックレートと電力供給により第1のクロックに供給された電圧との間の予め決められた関係(ii)に基づいて実行される。例えば、センサにより読み取られたセンサの値は、それらが読み取られるときの電力供給電圧に比例してもよく、若しくはセンサデータの値は、センサに接続されたADC又は増幅器に対して電力供給により供給された電圧に比例してもよい。電力供給電圧(V)は、指数関数的な式、対数の式、又は多項式に従って第1のクロックのクロックレート(f)に関連してもよい。他の可能性は、当業者に明白であろう。これらの予め決められた関係は、実験上、又は理論上でもよい。電力供給電圧(V)と一実施例における第1のクロックのクロックレートとの間の関係は、
V=Alog10f+B
である。ここで、AとBは一定である。
【0063】
好ましくは、センサデータは、そのデータが1つ又はそれ以上のデータパケットに分かれるプロトコルに従ってトランスミッタにより送信され、各データパケットは予め決められた固定長を持っており、この構成において、各データパケットは、信号送信のない期間(「ゼロ期間」)により、他のデータパケットから分離されている。これは、データパケット間のギャップ(「ゼロ期間」)に基づくノイズからデータパケットを容易に識別することができるように、第2のモジュールためになされている。例えば、繰り返しルーチンは、信号が送信されていない「ゼロ」期間に挟まれた期間のデータパケットを見つけるために、信号の両端からサーチすることができる。好ましくは、信号が送信されていない期間の長さは、データパケットの期間の長さより長い。一実施例において、マンチェスタシステム(Manchester system)は通信プロトコルとして使用されている。
【0064】
好ましくは、各データパケットは、データパケットの開始をマークする1つ以上のビットのスタートシーケンスと、データパケットの終了をマークする1つ以上のビットのストップシーケンスを有している。これはデータパケットの識別をさらに補助するものである。
【0065】
好ましくは、前記第1のモジュールから前記第2のモジュールへの信号送信は非同期である。ここで非同期とは、信号送信が、データが送られたときの時間に関連するデータを含まないことを意味する。一般的に、送信プロトコルに同期し認識するために、2つのモジュールが互いに通信するという事前の「ハンドシェーキング」ステップを、非同期送信では要求するものではない。好ましくは、第1のモジュールは、次のデータパケットを送る前にデータパケットの受け取りを確認するよう、第2のモジュールを待たない(例えば、RS322プロトコルにおけるように)。これは、可能であるけれども、第1のモジュールのサイズと電力消費が増大するという、第1のモジュールのレシーバが求められるであろう。
【0066】
好ましくは、少なくとも1つのセンサは、温度センサ、カメラ、血液センサ。pHセンサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、又は圧力センサから選ばれる。他の可能性のあるセンサは、この明細書を読んでいる当業者であれば明白であろう。特に、センサは、第1の展開に関して述べたセンサアレイであることが好ましい。
【0067】
好ましくは、第1のモジュールは、第1のモジュールの電力供給から出力された電圧を調整するためのレギュレータを持つものではない。これは、電力を削減するものであり、実現可能である、なぜなら第2のモジュールが第1のモジュールの電力供給における変動を補償することができるためである。
【0068】
第1のクロックは、20より少ない代表値Qを有する低Qクロックを持ってもよい。発振器の品質因子、Qは、その共振幅により分割されたその共振周波数として定義されている。
【0069】
一般的に言えば、高Qということは発振器が自然共振周波数に近い周波数だけを出力すると言うことであるので、Qが高くなれば、その出力周波数はより純粋になる。しかし、このシステムは、中心周波数を使うことにより低Qの共振器でさえ扱うことができる。さらに、より正確なクロックは、送信されたセンサデータに時刻を刻印する(時刻を対応付ける)ように第2のモジュールの中で使用することができるので、第1のモジュールのクロックに対する正確で安定した要求はさらに緩和され得る。
【0070】
それ故、低消費電力を持つ小型で低価格の発振器は、第1のモジュールにおけるデータの処理と送信を調整するために、水晶発振器に代わって使用することができる。例えば、RC緩和発振器、リング発振器、双安定マルチバイブレータ、コルピッツ発振器、又はハートレー発振器が使用されるであろう。他の安定した低Qの発振器は、当業者には明らかであろう。
【0071】
好ましくは、第1のモジュールのトランスミッタは、CDMAシステムに従って送信する。これは、(ベースステーションとして機能する)第2のモジュールと通信するための幾つかのチャンネルを持つ可能性を含んでいるという幾つかの有利な点を持つものである。好ましくは、上記で定義したように、複数の第1のモジュールがあり、各第1のモジュールは異なるチャンネルで送信する。また、複数の第1のモジュールは、周波数分割多重方式を使用する第2のモジュールで通信してもよい。
【0072】
第1のモジュールは、第2のモジュールにおけるトランスミッタから送信された信号を受け取るためのレシーバを有してもよい。この場合、第1と第2のモジュールとの間の通信リンクは、単方向又は双方向でもよい。複数の第1のモジュールのそれぞれにおけるレシーバの存在は、時間分割多元接続方式に従って第1のモジュールと第2のモジュールとの間で実行されるように通信を可能とするものである。
【0073】
第2のモジュールのトランスミッタは、好ましくはワイヤレストランスミッタであり、そして第2のモジュールのレシーバは、ワイヤレスレシーバである。「ワイヤレス」とは2つが有線通信リンクにより互いに接続されていないものを意味する(有線リンクは可能であるが、好ましくはない)。好ましくは、トランスミッタはラジオトランスミッタ(ラジオ周波数トランスミッタ)であり、そしてレシーバはラジオレシーバ(ラジオ周波数レシーバ)である。他の可能性のあるものとしては、磁気誘導、音又は光通信リンクが含まれる。
【0074】
好ましくは、プロセッサは、確率ヒストグラムを形成し、電圧閾値を決定し、アナログ信号における「0」と「1」を識別するために、レシーバからのアナログ信号を前処理するよう構成されている。この方法において、「0」と「1」のための閾値が動作状況に適合するよう調整され、精度を改良することができるので、弱い信号でさえ検出することが容易となる。
【0075】
第1のモジュールは、通常それ自身のプロセッサとメモリを有している。メモリは、読み出し専用メモリ、読み出し書き込み可能なメモリ、例えばDRAM,SRAM若しくはFLASHでもよく、又はメモリの両方の形式を含むものでもよい。読み出し書き込み可能なメモリは(もし存在するなら)、プロセッサで使用するためのプログラムを記憶するために使用してもよく、この方法において、第1のモジュールの動作は柔軟になされる。また、メモリは第2のモジュールから送られた指令、若しくは検出されたデータ等に関連するデータを記憶してもよい。
【0076】
第1のモジュールから第2のモジュールに送信されたデータは、第2のモジュールからさらなる分析のため、若しくはユーザに表示するために他のデバイスに送信してもよい。例えば、データを携帯電話や他のデバイスにブルートゥース又は他のプロトコルを介して送信するよう構成してもよい。第2のモジュールはサーバに連結してもよく、それによりデータを見ることができ、及び/又は第2のモジュールはインターネット又は他のネットワークを介して遠隔的に操作される。モジュール間及び他のいかなるデバイスへのデータ送信、そしてネットワークを介したいかなるアクセスでも、暗号化、個人鍵と公開鍵の技術、又は他の安全性のプロトコルによりセキュリティを確保してもよい。
【0077】
第3の展開の第2の観点において、本発明は、嚥下型カプセル、又は人間の体に植え込むためのインプラントの形態における検査デバイスを提供するものであり、この検査デバイスは、クロック、少なくとも1つのセンサ、前記クロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給、及びセンサデータを前記少なくとも1つのセンサから送信するためのトランスミッタを具備するものであり、この構成において、検査デバイスは、電力供給から出力された電圧を調整するためのレギュレータを有しておらず、及び/又は非同期プロトコルに従って外部装置にデータを送信するよう構成されている。
【0078】
この構成は、低消費電力で低価格の構成で小型の検査デバイスを提供することができる。
【0079】
第3の展開のこの第2の観点の検査デバイスは、第3の展開の第1の観点に関連する前述の第1のモジュールのすべての特徴を持ってもよい。
【0080】
好ましくは、検査デバイスは、外部装置からのデータを受信するためのレシーバを持つものではない。これは、検査デバイスを小型で電力消費の低減の維持を可能とする。
【0081】
好ましくは、検査デバイスのクロックは20より小さいQの値を有する低Qクロックである。
【0082】
好ましくは、少なくとも1つのセンサが血液センサである。しかしながら、例えば第3の展開の第1の観点で述べたように、多くの他のセンサが使用できる。さらに、第3の展開の第1の観点におけるように、検査デバイスは1つより多くのセンサを有している。
【0083】
好ましくは、検査デバイスは1つ以上の溝を持つ外側ケースを有しており、その溝は外側ケースの1つ以上の開口に向かって流動体を流すためのものである。また、この特徴は、第3の展開の第1の観点、若しくはいかなる展開の観点に対しても適用してもよい。これはセンサとこれらのセンサが検出している環境との間の接触を容易なものとするものである。
【0084】
第3の展開の第3の観点において、本発明は、外側ケース、少なくとも1つのセンサ、及び前記少なくとも1つのセンサにより測定された値に基づくセンサデータを送信するためのトランスミッタを具備する嚥下型カプセルを提供するものであり、この構成において、カプセルの外側ケースは、腸の器官を通過するときにカプセルが回転するよう、少なくとも1つのヘリカル溝、突起、又は刻みを有している。カプセルの回転は、それらが示している方向における一方向だけでなく、周りの環境の全てからデータを収集することができることを意味し、それにより利用できるデータが増大し、センサの数量が削減される。
【0085】
第3の展開の第3の観点の嚥下型カプセルは、第1のモジュール、若しくは前記の観点と展開における検査デバイスの全ての特徴を有してもよい。また、本発明の如何なる展開において他の観点の全てを組み合わせることも自由に行うことが可能である。
【0086】
第3の展開の第4の観点において、本発明は、第1のクロックと、少なくとも1つのセンサと、前記第1のクロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給と、及び前記少なくとも1つのセンサからセンサデータを送信するためのトランスミッタと、を有する第1のモジュール、及び
第2のクロックと、レシーバと、及びプロセッサと、を有する第2のモジュール、を具備するシステムにおけるデータの送受信の方法であって、
前記少なくとも1つのセンサの出力に基づいたセンサデータを第2のモジュールのレシーバに送信するステップ、及び
第1のクロックのクロックレートを推定し、前記推定された第1のクロックレートに基づき、センサデータを調整することにより、前記第1のモジュールの電力供給部の電力における変動について、前記受信されたセンサデータを補償するために第2のモジュールのプロセッサを使用するステップ、を有する方法。
【0087】
好ましい及び/又は任意の特徴を含む第3の展開のいずれの観点も、他の事情の要求が無い限り、好ましい及び/又は任意の特徴を含む第1又は第2の展開のいずれの観点も組み合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0088】
図1は飲み込むことが可能な嚥下型カプセルの形態における検査デバイスを示している。カプセルは、患者が飲み込むことができるように、そして胃腸管を通るようにデザインされている。これは、胃腸病の診断において使用される、胃及び腸からのデータを収集するために特に有用である。しかしながら、本発明はこのような適用に限定されるものではなく、カプセルを体の他の部位、若しくは他の環境からのデータを収集するために使用してもよい。
【0089】
カプセルは、体内の液体及び酸から検査デバイスの内部電気構成品を保護する外側ケース2を有している。嚥下型カプセルは、典型的には、大きなビタミン剤のサイズであり、しかし消化器官を通る大きさであり、胃袋に止まらないような大きさでなければならず、それ故、約40mmx12mm(人間の場合)の最大サイズを有している。もし、動物に使用する場合には、カプセルは動物の胃袋に止まらないように50mmより短い大きさにすべきである。カプセルとその構成品は、好ましくは、人間若しくは動物の体の中で使用して安全で、且つ関連する規制された機関(例えば、FDA、又はMHRA 規格)により承認された材料で形成されるべきである。
【0090】
本発明は嚥下型カプセルに限定されるものではなく、人間若しくは動物の体に植え込むためにデザインされた検査デバイスに適用することも可能である。例えば、検査デバイスは内臓の1つ、特に下部腸に植え込むようにデザインされていてもよい。この場合(人間の場合)、それは40mmx12mmの最大サイズを持つであろうし、体液が通るための開口を有する環状のリング、若しくは他のデバイスの形態が好ましい。他の実施例において、検査デバイスは、100mmx100mmの最大サイズを持つ腹部又は胸部の移植デバイスでもよい。動物のための場合、例えば突き刺されるように設計されたり、若しくは動物の胃の中に移植したり、配置されるようデザインしてもよい。この場合、デバイスは、典型的に、13cmより短く、好ましくは畜牛のためには12−13cmであり、羊のためには10cm以下である。全ての場合において、移植デバイスは適切な材料で、関連する規準に従ってデザインされることが好ましい。
【0091】
図1の実施例における検査デバイスは、第1の物理的パラメータを測定するための第1のセンサ5と、第1のパラメータと異なる第2の物理的なパラメータを測定するための第2のセンサ10を有している。典型的には、センサは、検査デバイスのケース2における開口により体に晒されるか、又はケース2の外側から突出して、若しくはケース2の外側上に実装されてもよい。検査デバイスは、例えば、pHセンサ、温度センサ、血液センサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、生物化学的センサ、音響センサから選択される。このリストは本発明を限定するものではなく、他の可能性は当業者にとって明らかであろう。本実施例においては2つのセンサの場合であるが、たった1つのセンサ、若しくは3つ、4つ、若しくはそれ以上のセンサを持つ検査デバイスを有することも可能であろう。
【0092】
また、検査デバイス1は、プロセッサ15、メモリ20及びトランスミッタ25を具備している。第1及び第2のセンサ5,10は、トランスミッタ25を介して外部装置に送信できるように、センサ5,10から出力されたデータを処理するよう構成されたプロセッサ15に接続されている。また、プロセッサ15は、後でさらに詳細に述べるように、センサ5,10の較正を実行するよう構成されている。第1のメモリ20はプロセッサ15に接続されており、そしてプロセッサで実行するためのプログラムと、プロセッサにより生成された較正データを記憶するよう使用される。プロセッサ15とメモリ20は、好ましくは、システムオンチップ(SoCデザイン手法)によりデザインされた単一集積チップ上に設けられている。センサ5,10とトランスミッタ25は、混信を少なくするために分割した回路に設けられ、互いに絶縁されている。
【0093】
トランスミッタ25は有線送信でもよいが、好ましくはワイヤレス送信、例えばラジオ周波数トランスミッタ、又は磁気誘導トランスミッタである。それはデータを検査デバイス1から外部装置に送信するよう構成されており、標準のプロトコル、例えばRS232、又は特別注文のプロトコルを使用してもよい。また、検査デバイス1は、1つ以上の酸化銀電池の形態で、図1に示していない、電力供給を具備している。他の実施例においては、他の電池、又は外部の無線電源により電力供給される誘導ループが代わりに用いられるであろう。
【0094】
図2は身体からのデータを収集するためのモジュラーシステムを示している。システムは、第1のモジュール1と第2のモジュール50を具備している。第1のモジュール1は嚥下型カプセルであり、これは図1を参照して既に述べたものであり、同じ参照符号を付けている。また、第1のモジュールは、既に述べたように人間に移植するようデザインされた検査デバイスである。第2のモジュール50はベースステーションである。ベースステーションは、第1のモジュール1から送信されたデータを受信するためのレシーバ60、受信したデータを処理するための第2のプロセッサ70、第2のプロセッサ70を実行するためのプログラムを記憶し、データを記憶するための第2のメモリ80、及びベースステーションにより受信され処理されたデータを表示するためのディスプレイユニット90、を具備している。ベースステーションは多くの形態を採ることができる。例えばラップトップコンピュータ、PC、又は特別注文のデバイスでもよい。後の場合、例えばベルトのように、ユーザの腰に巻き付けられるようにすることはベースステーションにとって便利かもしれない。また、検査デバイスとベースステーション50との間に1つ以上の中間モジュールを有することはシステムにとって可能である。例えば、検査デバイスのトランスミッタ25により送信された信号を受信し、そしてその信号をベースステーションに中継するための中間モジュールが存在するであろう。中間デバイスはデータの処理を行ってもよいし、行わなくてもよい。それはベルトの中に設けてもよいし、患者が身につけることができる他のものに設けても便利である。
【0095】
図3は第1のモジュール1と第2のモジュール50を有するモジュラーシステムの他の例を示している。第1のモジュール1と第2のモジュール50は、図2に示した第1と第2のモジュールとほぼ同じであり、同じような部品には同じ参照符号を付している。それ故、違いのみ以下に述べる。図2においては、検査デバイス1とベースステーション50との間の一方向通信リンク、即ち検査デバイスからベースステーションへの通信システムであるが、図3のシステムにおいては、双方向に通信が可能である。検査デバイス1はトランスミッタ25とレシーバ30の両方を有している。同様に、ベースステーション50はレシーバ60とトランスミッタ100の両方を有している。この方法において、データは検査デバイス1からトランスミッタ25及びレシーバ60を介してベースステーション50に送ることができる。また、データ及び/又はインストラクションは、ベースステーションのトランスミッタ100と検査デバイスのレシーバ30を介してベースステーション50から検査デバイス1に送ることができる。検査デバイスのトランスミッタ25とレシーバ30が図3において分かれた構成物として示されているが、単一の構成物、例えばトランシーバとして設けてもよい。同じことはベースステーションのレシーバ60とトランスミッタ10についても言える。双方向通信は半二重又は全二重リンクを介してもよい。図3のシステムにおいて、図2のシステムの場合と同様に、検査デバイス1とベースステーション50との間の信号を中継するために1つ以上の中間モジュールを設けてもよい。
【0096】
嚥下型カプセルと移植(インプラント)検査デバイスの両方のために考慮すべき重要な点は、電気部品から要求される電力を削減し、又は最少とすることである。利用可能な電力量は、デバイスのサイズにより限定され、特に、検査デバイスが嚥下型カプセルの場合や、体の小さな部分に移植するためにデザインする場合において限定される。さらに、電力供給が電池により供給される場合、検査デバイスが体から取り出されるか、通過するまで電池を再充電することができません。嚥下型カプセルの場合、電力供給は、19時間、及び、この時間においてなされる測定の全てが興味の無いものとなるまで持続しなければならない。例えば、検査デバイスが大腸からデータを収集するために使用される場合、カプセルが小腸にあるときに採られた読みは興味のないものである。
【0097】
それ故、検査デバイス1は、第1のセンサ5が第2のセンサ10により活性化され得るように構成されている。プロセッサ15は、第2のセンサ10からの出力の中に特定の特性が検出されたとき、第1のセンサ5をオン状態とするようにコントローラとして動作する。これらの特性及びそれらを検出する方法は、メモリ20に記憶されている。
【0098】
一例を挙げると、第1のセンサ5が血液センサであり、更に特定すると、便潜血検査(FOB:Faecal Occult Blood)センサであり、そして第2のセンサ10はpHセンサである。図4は、人間の消化器系を通る第2のセンサにより検出されたpHを示している。検査デバイスが小腸から大腸を通るときにpHの110において特徴的な急落があることを見ることができる。小腸において、pHは7の上で若アルカリ性であり、しかし大腸に入った直後では、pHが7の下で少し酸性である。プロセッサ15は、第2のセンサ10(pH測定)からの出力の中の急峻に下降する特性を検出し、それにより第1のスイッチ5がオン状態に切り替えられる。この方法により、第1のセンサが動作初めの6,7時間がオフ状態に切り替えられているので、電力は削減される。
【0099】
この原理は、血液センサのオンオフの切り替えを調整するpHセンサに限定するものではない。第2のセンサの出力に基づいて第1のセンサを活性化することが望ましい他のいかなる状況においても使用することができる。他の適用は当業者にとっては明白であろう。この方法において、センサにおける1つを少なくともしばらくの間オフ状態とすることができるため、電力を削減することができる。この技術は、第1のセンサがその動作に多くの電力を必要とし、しかし第2のセンサが比較的少ない電力量を必要とする場合には特に価値のあるものである。また、この技術は、第1のセンサが短い動作寿命を有する場合、第1のセンサを必要なときのみオン状態に切り替えることができるように使用され得る。
【0100】
上記例においては、メモリ20には、第2のセンサの出力における特性を検出するように、プロセッサ15を実行するためのプログラムが含まれていた。検査デバイス1がデータを送信のみできるように、検査デバイス1とベースステーション50との間の一方向通信リンクがある図1と図2の実施例において使用されているのが、この技術の一例である。図3の実施例は、第2のセンサの出力に基づき第1のセンサを独立してオンオフ切り替えるように検査デバイスを動作させるために、メモリ20にプログラムを持つことができる。しかしながら、図3の検査デバイスはレシーバを持っているので、代替実行が可能である。この代替実行において、検査デバイスのプロセッサ15は、第1と第2のセンサからベースステーション50へのデータの送信を制御している。ベースステーション50のプロセッサ70は、そこでこのデータを処理し、メモリ80に記憶し、そして必要に応じてディスプレイ90に表示する。プロセッサ70は、第2のセンサからの出力における特性を検出するよう構成されており、この特性の検出に応答して、検査デバイスのプロセッサ15に(ベースステーションのトランスミッタ100と検査デバイスのレシーバ30を介して)インストラクションを送る。このインストラクションは、第1のセンサ5をオン状態に切り替えるようにプロセッサ15に指令するものである。言い換えると、プロセッサ15は、ベースステーション50からのインストラクションに従って、第1のセンサ5のオンオフを切り替えるよう制御する。特性を検出するベースステーション50のプロセッサ70の代わりに、又は追加して、ベースステーション50に指令を入力することにより第1のセンサのオンオフを切り替えるように直接的に指示することは、ベースステーション50のユーザにとって可能であろう。ユーザは、ベースステーションのディスプレイ90に表示されたデータに応答してこれを行うことができる。また、特定の事象が経過した後の設定された期間、第1のセンサをオン状態に1度切り替えることは、制御プログラム又はユーザにとって可能である。
【0101】
センサからの出力における特定の事象が第2のセンサのオンオフを切り替えることを制御するために使用されるだけでなく、検査デバイスの位置を決定するためにも用いることができる。これは、検査デバイスが体を通過する嚥下型カプセルである場合に特に有用である。これを実行するために、マイクロプロセッサ15は、検査デバイス1の位置を示す第1又は第2のセンサ5,10のいずれかから特定事象を検出するように、構成されている。例えば、図4を参照して前述したように、アルカリ性から酸性へのpHにおける特性変化は、カプセルが小腸から離れて大腸へ入ったことを示している。この原理はpHに限定するものではなく、他のパラメータが検査デバイス1の位置を示すために使用され得る。デバイスの位置を示す特性は、センサの出力が、予め決められたしきい値を過ぎる場合、特定の方法において上下する場合、又は他の認識できるパターンを示した場合がある。
【0102】
検査デバイス1のセンサ5,10が較正される方法について、以下に説明する。この明細書において、較正は、センサのダイナミックレンジを適正化すること、実際のパラメータ値をセンサ出力に対応付けること、センサ出力におけるずれを補償すること、センサ出力をオートゼロにすること、及び/又はセンサ出力を所望値と比較すること、を意味するように、一般的な観念において使用されている。これらの較正技術のいずれか、又は全てが、センサの寿命における同じ時点で、或いは異なった時点のいずれかにおいて使用される。以下に、各技術について順に説明する。
【0103】
第1の較正技術はセンサのダイナミックレンジを調整することである。センサのダイナミックレンジは、正確に測定することができる実際の値の範囲である。例えば、0℃から100℃までの領域のどこでも温度を測定することができ、0℃を下回るとき、及び100℃を越えるとき不正確となる温度センサは、0℃から100度のダイナミックレンジを有している。正確に測定することができる値の範囲を改良し、適正化するために、そしてダイナミックレンジがセンサの晒されるおそれのある環境に対応するように、ダイナミックレンジを調整することが望ましい。センサのダイナミックレンジは、センサに接続されたアナログ回路により制御される。例えば、センサに印加されたオフセット電圧は、調整することができる。また、センサが増幅器に接続されている場合、増幅器に印加されたオフセット電圧、又は増幅器のゲインは、センサのダイナミックレンジを調整するために、変更することができる。いくつかの場合において、センサ自身が増幅器(例えば、ISFETがpHセンサとして時々使用される)でもよく、そしてこの場合、センサ自身のゲイン又はオフセット電圧を調整することができる。また、増幅器でない幾つかのセンサは、オフセット電圧を有しており、このオフセット電圧は同じ効果を達成するために調整することができる。
【0104】
図5はセンサ205のダイナミックレンジを制御するための回路を示す図である(同じ手法は検査デバイスの他のいずれのセンサにも使用することができる。)。センサ205は、晒される物理的な刺激、(例えば、周りの環境、又は晒されている物質)に反応してアナログ電圧を出力する。このアナログ電圧は、センサレジスタ210を通って可変増幅器240に入る。可変増幅器240はこの信号を増幅し、増幅した信号をADC250に出力する。ADCはアナログ信号をコントローラ15に入力するデジタル信号に変換する。この実施例において、コントローラ15は図1のプロセッサ15と同じであるが、他の実施例において、これは検査デバイスのプロセッサに接続された分割チップでもよい。ゲイン可変の増幅器240のゲインと増幅器240に印加されたオフセット電圧は、コントローラ15により制御される。オフセット電圧は、所望のオフセット設定を示すデジタル信号をDAC260に出力するコントローラにより制御される。DAC260は、デジタ信号を可変増幅器240の端子241にオフセット電圧として入力されるアナログ電圧に変換する。可変増幅器のゲインは、ゲイン設定を含む制御信号をマルチプレクサ230に出力するコントローラ15により制御されており、このマルチプレクサ230はゲイン設定抵抗215,220及び225に対応する電圧を印加して、その結果ゲイン可変増幅器240の端子242にゲイン設定信号が入力されることになる。プロセッサ15に対するセンサの影響を受けた出力は、ADC250からの出力270である。
【0105】
次に、センサ205(若しくは他の如何なるセンサ)のダイナミックレンジを調整するための較正ルーチンを、図6を参照して述べる。較正ルーチンはステップ301において始まる。通常、センサ205のダイナミックレンジの調整又は適正化のための較正ルーチンは、検査デバイス1が最初にオン状態に切り替わったときに実行される。検査デバイス1は、デバイス内部の電磁スイッチを励起することにより都合よくオン状態に切り替えることができる。ステップ302において、ダイナミックレンジが調整されるセンサ205は、オン状態に切り替えられる。ステップ303において、センサ205は較正標準(即ち、公知の刺激)に晒される。較正標準は、参照電圧、デバイスが乾燥(即ち、空気中)している時の公知の反応、又は公知の物質でもよい。好ましい技術は、検査デバイスが較正流体で満たされた包みの中に入って販売され、そして包みのシールが剥がされる前に較正は実行される(例えば、デバイスをオン状態に電磁的に切り替えることにより)、ことである。この方法においては、較正がユーザに不便をかけることなく素晴らしく制御された状態の基で行われる。
【0106】
ステップ304において、初期の較正パラメータが設定される。この較正パラメータは、増幅器240(若しくは、他の実施例におけるセンサ205自身)に印加されるべきゲイン又はオフセット電圧のいずれかに関連している。初期較正パラメータは検査デバイス1のメモリ20に記憶されている値でもよい。
【0107】
ステップ305において、出力信号270は、センサ205から取得される。ステップ206において、コントローラ15は、センサ205の取得した出力信号270を較正基準と比較する。較正基準は、センサ205の出力のために望ましい値である。較正基準は、検査デバイス1のメモリ20に記憶されていてもよい。それは、センサ205のための望ましい(例えば、最適の)ダイナミックレンジを与えるために選択された値でもよい。例えば、センサ205がpHセンサであり、較正標準はpH7を有する反応物であり、増幅器240は0−12mVの出力レンジを有している場合、そこで較正標準は7mVにセットされるかもしれない。これは、センサに対して大きなダイナミックレンジを与えるであろう。しかし、pH7に反応するセンサ出力270が11mVであるならば、センサ205のダイナミックレンジはそこで妥協するであろう。この場合、増幅器270は飽和した状態となり、pH8程度で12mVの最大電圧を出力し、ダイナミックレンジはpH8で上限を有することとなる。
【0108】
ステップ306で、センサ205の出力信号270が較正基準を満たした場合、そこで較正パラメータは第1の検査デバイス1のメモリ20に記憶され、そして必要であればベースステーション50に送信される。ステップ306において、センサ出力270が較正基準を満たさなかった場合、コントローラ15は増幅器240のゲイン設定、又はオフセット設定を変更することにより、状況に応じて較正パラメータを増減させる。そこで、出力信号270は再び確認され、ステップ206は較正基準を満たすまで必要なだけ繰り返される。一度、較正基準が満たされたならば、そのルーチンは前述のステップ307に進む。
【0109】
前述において、図6の較正ルーチンは検査デバイス1により自動的に実行される。即ち、較正ルーチンはメモリ20に記憶され、検査デバイスのプロセッサ15により実行される。即ち、検査デバイス1がレシーバを有していない図1,2の実施例においてのみ可能な構成である。しかし、図3の実施例に示したように、検査デバイスがレシーバを有している場合には、ベースステーション50で部分的に実施される較正ルーチンが可能である。この場合、コントローラ15は、センサ出力を単純にベースステーション50に送り、そしてベースステーション50により送られた指令に応じて較正パラメータ(ゲイン及びオフセット)を制御する。ステップ304での初期較正パラメータ及びセンサ出力がステップ306での較正標準を満たしたどうかに関する評価は、全てベースステーションのプロセッサ70により実行され得る。また、ベースステーションのプロセッサ70は、必要であれば、ステップ308で較正パラメータを増減するように、検査デバイスのプロセッサ15を指示することができる。
【0110】
センサのダイナミックレンジの調整が検査デバイス1により独立して、若しくはベースステーション50と共同で実行されようが、最終の較正パラメータを較正データとしてベースステーションに送ることはシステムデバイス1にとって望ましいことである。
【0111】
ADCにより変換された後のセンサ出力は、デジタルであり、通常、センサにより出力された電圧に関連する一連の数である。ただ若干、このセンサデータを測定されたパラメータを示す実際の物理量(例えば、センサの形式に依存しているpH、℃、酸素濃度など)に変換することが必要である。実際の値をセンサデータに対応付けるこの較正ルーチンは、センサのダイナミックレンジを調整するために図6のルーチンと同じときに実行されることが都合がよい。しかしながら、これらの2つのルーチンは、互いに依存するものではなく、独立して実行されてもよい。センサのダイナミックレンジが適正化されるが、実際の値をセンサデータに対応付けない(それで相対的な変化及び絶対的でない値だけが測定される)というシステムを持つことは可能である。また、センサのダイナミックレンジの調整は行わずに、絶対的な値をセンサデータに対応付けるというシステムを持つことも可能である。しかしながら、システムが最適化されたダイナミックレンジより絶対的な物理量を提供するように、これらの較正の機能の両方を実行することは好ましいものである。
【0112】
図7は実際の物理量をセンサデータに対応付けるための較正ルーチンを示す。ステップ401において、図6のルーチンにおけるステップ303で述べたように、センサが較正標準に晒される。実際、このステップは、図6のステップ303と同時に実行される。次に、較正標準に応答してセンサにより出力されたデータを少なくとも含む較正データは、収集される。ダイナミックレンジを調整するために、このルーチンは図6のルーチンと同時に実行される場合、センサ較正データは、ダイナミックレンジが最終的に調整された後に収集されるべきであり、較正基準が満たされたことを単に確認するフラグの形態を取るかもしれない。ステップ403において、較正標準に応答するセンサ出力と実際の物理量との間の関係は、プロセッサにより決定される。例えば、較正されたセンサが温度センサである場合、較正標準は30℃であり、較正標準に反応するセンサの出力は300mVであるとすると、そこでプロセッサは、℃の温度を与えるために、センサ出力を10で割ることができることを決定する。別の場合、特に、関連性が非直線である場合、もっと複雑な関係が決定されねばならないだろうし、1組の較正データより多いデータが必要となるかもしれない。
【0113】
一般的に、実際の値をセンサ出力に対応付けるために、ベースステーション50で実行することは最も効果的である。そのため、ステップ401と402だけを、検査デバイス1により実行し、そしてステップ403をベースステーションで実行することは好ましいことである。この場合、ベースステーション50は、ステップ402において検査デバイスのプロセッサ15により較正データの収集を指示することができる。ベースステーション50が較正標準及び較正基準を既に知っている場合、較正データは、較正基準が満たされていることを示す検査デバイス1から送られた単なるフラグであるかもしれない。別の場合、検査デバイス1は、較正標準及びこの較正標準に応答するセンサの実際の出力の両方に関連するデータを送ることが必要かもしれない。別の場合、ベースステーション50のプロセッサ70は、検査デバイス1のメモリ20に記憶され、ベースステーション50に送信された較正パラメータ(例えば、ゲイン及びオフセット)と、較正標準(即ち、公知の刺激の絶対的な値、例えば、pH8、30℃)とに基づいて関連性を解決することが可能であるかもしれない。
【0114】
また、実際の物理量にセンサ出力を関連させる較正を、検査デバイス1で全体的に実行することが可能かもしれない。この場合において、検査デバイス1は、ステップ403において関連性を決定し、送信プロトコルに従って符号化してベースステーションに送信するために、センサ出力の全てを実際の物理量に変換するよう構成されている。しかしながら、この方法はかなり大きな負荷を検査デバイスのプロセッサに与えるものである。
【0115】
次に、図8を参照して、オートゼロ較正ルーチンについて述べる。センサを無反応で応答するようにすることが望ましい場合がある(若しくはゼロに近い出力)。例えば、絶対的な値よりむしろ、物理パラメータにおける相対的な変化を測定することが望ましいとき、これが使用される。この場合において、最大感度はオートゼロセンサにより達成される。これは、典型的に、検査デバイス1が興味ある場所に到達したときに実行される。オートゼロルーチンは、メモリ20に記憶されたインストラクション20に従って、独立して、検査デバイス1のプロセッサ15により制御される。また、検査デバイス1がレシーバを持っている場合、図3の実施例のように、較正ルーチンは、ベースステーション50のプロセッサ70により発行された指令に従って、検査デバイス1のプロセッサ15により実行される。
【0116】
オートゼロルーチンのステップ501において、較正されたセンサからの出力信号が取得される。ステップ502において、取得された信号が、オートゼロのためにゼロであるかゼロに近いという較正基準を満たしているかどうかをプロセッサは確認する。もし、出力がこの較正基準を満たしている場合、較正パラメータ(ゲイン及び/又はオフセット)が検査デバイス1のメモリ20に記憶され、そして、必要であればベースステーション50に送信される。もし、較正基準が満たされていない場合、較正パラメータ(増幅器又はセンサのゲイン又はオフセット)がステップ503において増減されて、ステップ501及び502において再び確認される。このプロセスは、センサからの出力が較正基準を満たすゼロ又はゼロに近づくまで繰り返される。較正基準が一度満たされると、較正パラメータは、前述のように、ステップ504において記憶される。
【0117】
また、図8のルーチンは、センサが所望値に関連する値を出力するように使用してもよい。例えば、モニタされる体の部分がpH6を有するべきであると知っていれば、較正基準は、全てのセンサ出力がpH6に関連するように設定され得る。この実行において、今までにセンサがpH6に晒された経験の必要がなく、そして較正基準がpH6で期待された出力に基づいて計算される名目上のものであるのに対して、オートゼロルーチンおいて、現在の環境に反応してセンサが0を出力するよう強制される場合を除いて、これはpH6に対するオートゼロとほぼ同じである。
【0118】
最終的に、ずれを補償するためにセンサを較正することは望ましいことである。一定の状況に晒されているときでさえ、多くのセンサはそれらの出力においてずれが徐々に大きくなることが発見されていた。
【0119】
このずれは、検出される物質に物理的に接触する状態となるセンサにおいて、センサに入る物質からのイオンのために、しばしば発生し、物質が無くなった後でさえそのずれは残っている。
【0120】
徐々に生じるセンサずれのための補償用較正ルーチンを図9に示す。ベースステーションのプロセッサ70は、ステップ601において、検査デバイス1から送信されたセンサデータを受け取る。そこで、ステップ602において、センサずれのモデルを調べる。このモデルはベースステーションのメモリ80に記憶されている。このモデルは、時間の経過とともに生じるその形式のセンサのずれに関連する経験的なデータに基づいたモデルでもよい。または、その形式のセンサのためのセンサずれの理論的なモデルに基づくセンサずれの理論的なモデルでもよい。または、ベースステーションのメモリに記憶された予め決められたモデルではなく、センサにより返信された以前の読みに基づき実際に計算されたセンサずれのモデルでもよい。例えば、移動平均法、又は多項式フィットが実際のずれをモデル化するために使用される。この場合において、センサからのデータが変化するのにつれてモデルは変化するだろう。好適な多項式方法は、イルビン他(Irvine et al)、「修正アダムス法を使用した低電力マイクロシステムのための可変レートデータサンプリング(Variable-Rate Data Sampling for Low-Power Microsystems using Modified Adams Methods)、「信号処理のIEEEトランザクション(IEEE Transactions on Signal Processing)」、第51巻、No,12、2003年、12月、に述べられている。その書面において、この方法は、サンプルデータの変化率を反映するように、サンプル率を制御することにより、検査デバイスにおける電力削減の状況において説明されているが、しかし同じ数学的な技術はセンサずれモデルに適用され得る。ずれ補償は、ベースステーションのプロセッサ70により最善に実行される。しかしながら、ベースステーションのプロセッサと検査デバイスのプロセッサとが協同して、若しくは検査デバイスのプロセッサだけで独立して補償を実行することも可能である。補償の一部又は全部が、検査デバイスにおいて実行される場合、これはセンサ、又はセンサに接続された増幅器のゲイン及びオフセット電圧を変更することにより実行してもよい。
【0121】
次に、ISFETのpHセンサにおけるずれのモデル化に関して詳細に検討する。この検討におけるISFETは、約−5Vの、大きな、負極性のスレッショルド電圧を有している。一般的に、ISFETは、それらのCMOS ISFETのために大きなスレッショルド電圧の範囲を有している。フローディング電極のISFETは、メモリに「1」又は「0」を記憶するようにトランジスタのフローディングゲートにトラップされた電荷を使用するEPROM2デバイスと同様の構造を有している。これらのチップは、紫外線(UV)に晒されることによりそれらを消去することを可能とするようパッケージの中に石英窓を有している。
【0122】
UV光は、酸素エネルギバリアを越えて漏れ、ゲートを放電することができるというほどまで、ゲートの電荷を励起する。UV放射は、標準P型MOSFETの値(−0.7V)に対してCMOS ISFETのスレッショルド電圧を増大する効果的な方法であることが示されていた。
【0123】
また、ISFETは、一定のバイアスの状況において、著しいスレッショルド電圧のずれを示していた。これは、電源が15時間の間に次第に900mVまで降下することを示す図10(a)に見ることができる。非CMOSシリコン窒化膜ISFETのためのスレッショルド電圧のずれは、「伸張した指数関数的」な時間依存性により上手くモデル化されていた。水溶液に晒されたとたん、シリコン窒化膜は、水素イオンが物質中に拡散するので、水化した表面層を薄く形成することが知られている。改質された表面層の成長は、スレッショルド電圧に順に作用する全体の絶縁容量に影響を及ぼす。アモルファスシリコンにおいて、表面層は「分散型輸送」として知られている機構により成長することが知られており、その厚みは伸張した指数関数的な時間依存性に追随している。他のガラス質の材料、例えばシリコン窒化膜、の表面層が同じ手段において成長すると考えることは妥当である。層の厚みは伸張した指数関数的な時間依存性を有しているので、それでスレッショルド電圧のずれは:
VT(t)=VT(∞){1−exp_-t/τ}β (式1)
である。
【0124】
ここで、水素の分散型輸送を特徴としている、VT(∞)はずれの結果として生じたスレッショルド電圧における最終の変化であり、τは時間常数であり、及びβは分散パラメータである。非線形曲線当てはめアルゴリズム(Levenberg-Marquardt法)は、式1のパラメータ、[VT(∞)、τ、β]をVT(t)(−□VS(t)に等しい)の測定された値に当てはめるように使用された。この方法により計算された値は:
VT(∞)=963mV、τ=3.48h、β=0.722であった。
【0125】
図10(b)の曲線は、5mV/hより小さい123のモデル化されたずれレートが溶液中で、且つバイアスの下で18時間後に達成されることを示している。対照的に、他の研究において、非CMOSシリコン窒化膜ISEFETのために抽出された値は:
VT(∞)=79.7mV、τ=53.4h、β=0.613であった。
【0126】
その研究において、ここで測定された値より、最終的なずれVT(∞)は12分の1と小さく、そして時間常数τは15倍長かった。小さいずれと長い時間常数は、窒化層を形成するために使用された析出方法により説明できるであろう。その研究では、幾つかのピンホールを有する高密度フィルムを結果としてもたらす高温度(700−800℃)方法である低圧化学蒸着法を使用した。aCMOS処理において使用される窒化膜パッシベーション層は、金属層の後に析出され、それで低温度(250−350℃)のプラズマ促進化学蒸着(PECVD)処理が使用されねばならない。PECVDにより析出されたフィルムは、低密度で、ピンホールを含んでいる。これは、水素を窒化物にさらに素早く拡散するものであり、そしてこの研究において測定されたより大きなずれと小さな時間常数を説明できるものであろう。
【0127】
同じ曲線当てはめ技術は、図11におけるpH感度測定からのずれを除去するために使用された。スレッショルド電圧は、−3.3ユニットのpHの変化により約−159mV変化し、pH当たり48mV/pHの感度が与えられている。図11(a)は測定されたpH溶液における変化に反応するISFETスレッショルド電圧のグラフであり、図11(b)は適用されたずれ補正に対する反応を示す。
【0128】
前述のpHセンサに適用された較正ルーチン及び手法がセンサの他の形態にも応用できるということは、当業者は分かるであろう。特に、同様の較正ルーチン及び手法がセンサ素子のアレイで構成されたセンサに適用でき、例えば、以下に詳細に述べる便潜血(FOB)を検査することができるセンサ素子のアレイに適用できる。好ましい実施例において、そのようなアレイの各素子は、一回限りのセンサ(ワンショットセンサ)である。したがって、1つのセンサ素子の出力がアレイにおける他のセンサ素子の出力を較正するよう使用できるように、較正が動作することができる。また、センサの異なった形式(例えば、pH又は温度センサ)の出力は、センサ素子の1つ以上の出力を較正するために使用することができる。
【0129】
図12から14は図1から3のデバイスとシステムの変形例を示す。このため、同様の参照番号が使用される。以下、追加の特徴部分だけを詳細に述べる。
【0130】
図12から14において、メモリ20はROM及び書き換え可能なメモリ(例えば、EPROM)の両方を具備し、書き換え可能なメモリは、プロセッサ15において実行するためのプログラム、及びプロセッサにより生じたデータを記憶する。メモリは書き換え可能な部分を持っているので、検査デバイスは製造後、及び動作中においてさえプログラムを書き換えることができる。
【0131】
また、検査デバイス1は、検査デバイスの各種コンポネントに電力を供給するための電力供給12、及びプロセッサ15の動作を調整するための第1のクロックを具備している。電力供給は、1つ以上の酸化銀電池の形態である。他の実施例においては、他の電池、即ち外部のラジオ周波数源により励起される誘導ループが代わりに使用されるであろう。
【0132】
図13はデータを収集するためのモジュールのシステムを示す。このシステムは第1のモジュール1と第2のモジュール50を具備している。第1のモジュール1は、図12を参照して既に述べたように、飲み込むことが可能な嚥下型カプセルであり、これには同じ参照符号を付している。または、第1のモジュールは、既に検討したように人間若しくは動物の体に移植するためにデザインされた検査デバイスであってもよい。また、さらなる実施例において、検査デバイスはセンサを有し、そして第2のモジュールにリンクされている如何なるデバイスでもよく、嚥下型カプセルや体に移植するものでなくてもよい。例えば、検査デバイスは局所適用のために、例えば包帯の中に用いてもよい。
【0133】
第2のモジュール50はベースステーションである。ベースステーションは第1のモジュール1から送信されたデータを受信するためのレシーバ60、受信したデータを処理するための第2のプロセッサ70、第2のクロック23、第2のプロセッサ70を実行するためのプログラムを記録しデータを記憶するための第2のメモリ80、及びベースステーションにより受信されたデータ及び処理されたデータを表示するための表示ユニット90を具備している。ベースステーションとしては、多くの形態がある。例えば、ラップトップコンピュータ、PC、又は特別注文のデバイス等である。後段のデバイスの場合、ユーザの腰に巻き付けられるベースステーション、例えばベルト、が便利かもしれない。第2のクロック23としては正確な時計、例えば水晶発振器が好ましい。それは、後で詳細に述べるように、第2のプロセッサ70を調整し、第1のモジュールから受け取ったデータに時刻を刻印するために用いられる。これらの2つの機能は、必要であれば、第2のモジュールの中の2つに分かれたクロックにより実施されてもよい。
【0134】
図13と14には示されていないけれど、システムは、検査デバイス1とベースステーション50の間に1つ以上の中間モジュールを有することが可能である。例えば、検査デバイスのトランスミッタ25により送信された信号を受信するため、及びベースステーション50に対して信号を中継するための中間モジュールである。中間デバイスは、データの処理を実行してもしなくてもよい。それは、患者に巻き付けられるベルト、又は他のアイテムの中に設けると便利かもしれない。図15は、本発明で使用され得る第1と第2のモジュールの各種構成例を示す。図15(a)において、小さい(s)第1のモジュール1は大きな(L)第2のモジュール50に連結されている。ここには、図13及び14に示されているように、1つの第1のモジュール及び1つの第2のモジュールがある。図15(b)においては、ベースステーションとして動作する第2のモジュール50とそれぞれが交信する複数の第1のモジュール1aから1fがある。これは、例えば、CDMA、又はTDMA等の手法を用いて複数のチャンネルに通信帯域を分割することにより達成することができる。TDMAを働かせるためには、第2のモジュール50から送信された信号を受信するためのレシーバを有することが、第1のモジュール1aから1fには必要である(図14に示されているように)。図15(c)において、第1のモジュール1aから1cは、中間モジュール7aに繋がる通信リンクを有している。中間モジュール7aは大きな第2のモジュール50に繋がる通信リンクを有している。中間モジュール7aは、第1のモジュール1aから1cの信号を受信し、ベースステーションとして動作する第2のモジュール50に信号を中継するよう構成されている。第1のモジュール1dから1fは、ベースステーション50に信号を中継する中間モジュール7bに繋がる通信リンクを有している。
【0135】
他の実施例において、モジュール7aがベースステーション(即ち、本発明に係る第2のモジュール)となることも可能であり、そして大きなモジュール50がベースステーション7a又は7bから送られたデータを記憶、及び/又はそのデータのさらなる処理を実行するための遠隔デバイスとなることも可能である。この場合において、遠隔デバイス50は、例えばコンピュータネットワーク、若しくはインターネットによりモジュール7aと7bに繋がったコンピュータ又は記憶装置でもよい。
【0136】
検査デバイスの電力需要を規制するためには、検査デバイス1の電力供給回路が単純な構成を維持し、電圧調整器を含むものでないことが好ましい。電圧調整器が無いと、空間は節約され、電力消費は削減される。さらに、検査デバイス1(以下、第1のモジュールという。)の第1のクロック3は、RC緩和発振器である。第1のクロックのための可能性のある他の代替物には、非安定発振器、マルチバイブレータ、コルピッツ発振器、またはハートレー発振器が含まれる。これらのクロックは、水晶発振器を使用した従来のものより、小さく、低価格で、消費電力が少ないものである。他に可能性のあるものとしては当業者には明らかであろう。水晶発振器と異なる前述のクロックは、低いQを有している。しかしながら、10から20のQであれば、中心周波数を簡単に識別できるので、システムはそれでも動作することができる。2−10の範囲のQを有するクロックでもまた動作可能であろう。この実施例においては、空間を節約するために、第1のクロック3が、プロセッサ15とメモリ20と同じICに設けられている。しかしながら、分割チップや回路基板上に実装されたものでも可能であろう。
【0137】
電源供給が調整されていないので、その出力電圧は不安定である。出力電圧は、時間経過(例えば、電池が消耗するように)により、及び環境条件の変化(例えば、温度)に反応して、変動する。第1のモジュールの電子部品は、電源供給電圧における変化により影響を受ける。例えば、センサの全ては、ADCによりプロセッサ15に接続されている。ADCの反応は、電源供給電圧に依存して変動する(通常、比例)。センサの幾つかは、電源供給から供給された電圧に依存し、(例えば、多くの温度センサの出力は一定温度で電源供給電圧に比例して変動する)、反応してそれら自身がまた変動する。したがって、第2のモジュールに送信されたセンサデータは、センサにより測定された値を全体的に正確に反映していない、なぜならこれは電源供給電圧による変動により破壊されたものであるためである。第1のモジュールの第1のクロック3の周波数(クロックレート)が電源供給電圧に従ってまた変動するので、第2のモジュールは、これらの変動を補償することが可能である。
【0138】
したがって、各センサの値、又はセンサの組の値がセンサ5,10により測定されたときに、ベースステーション50(第2のモジュール)が第1のクロック3の周波数を検出し、又は評価することができる場合、これらのセンサの値をそれ相応に補償することができる。
【0139】
補償は、センサデータの各部分のために(即ち、センサ値又はセンサ値の組のそれぞれのために)第1のクロック周波数を最初に決定することにより実行され得る。第1のクロック周波数を評価するための方法は、後で述べる。第1のクロック周波数から、電源供給電圧と第1のクロック周波数との間の予め決められた関係に基づき電源供給により供給された電圧を算出することは可能である。この予め決められた関係は、実験的に又は理論的に計算でき、そして確実なクロックの場合には製造業者により特定されるであろう。一実験において、電源供給電圧(V)は第1のクロック周波数(f)に対数的に依存することが見つけられた。これは、V=Alog10f+B、の式で表され、ここで、AとBは一定である。これは、ほんの一例を示したものであり、他のクロックとしては、対数の依存性、又は指数的若しくは多項式の依存性を示すものがある。電源供給電圧が一度算出されると、電源供給電圧とベースステーション50に送信されたセンサデータにおけるセンサ値との間の予め決められた関係に基づいて、補償を実行することができる。予め決められた関係は、理論的又は実験的に算出される。最も多くの場合、第1のモジュールのADCが電源供給電圧における変化に反応して一般的に直線的に変動する出力を有するので、それは比例関係である。
【0140】
第1のモジュールの構造及び機能性について、図16と図17を参照しつつさらに詳細に説明する。図16は、構成物と、第1のモジュール1におけるデータの流れのブロックごとの図である。第1のセンサ5、第2のセンサ10及びN番目のセンサ115が示されているN個のセンサが存在する。これらは、それぞれのセンサ回路121,122,123を介してマルチプレックス130にリンクされている。マルチプレックス130は、センサ回路121,122,123からADC140に信号を多重送信している。そこで、ADC140はセンサ5,10,115により測定された値に基づく信号をプロセッサ15に入力する。プロセッサ15は、メモリ20(外部又は内部)に記憶されたプログラムに従って第1のモジュールの動作を制御する。メモリ20はオンチップのRAMでもよい。また、モジュールはセンサ5,10,115により測定されたパラメータ値に基づくセンサデータをメモリ20に記憶してもよい。プロセッサ15は、測定されたセンサ値に基づくセンサデータをエンコーダ160に転送してもよい。エンコーダ160は、トランスミッタ170を介して第2のモジュール50(又は中間モジュール7a,7b)に送信するために適切なフォーマットにデータをエンコードする。この実施例において、エンコーダは、疑似ランダム(PN)ノイズコード発生器を含むDS−SSエンコーダブロックである。PNコードの長さは、データ送信するための暗号化された乗算処理を提供するために、プロセッサ15により制御されている。PNコードは、符号分割多重アクセスを使用して、幾つかの第1のモジュールが同じベースステーションを分けることができるように配列されている。プロセッサ15の動作及びプロセッサとそれに接続された構成物との間のデータの流れは、第1のモジュールクロック3により規制されている。第1のモジュールは、プロセッサ15をアナログ回路、例えばセンサ又はクロック3を制御することができるDACを含んでもよい。
【0141】
図17は、第1のモジュールの構成物が分かれたチップ上にどのように分けられているかを示すブロック図である。センサチップ5,10,115は、分割されて、又は1つのブロックとして配置されていてもよい。センサ5は、例えば、pHセンサでもよい。プロセッサ15、メモリ20及びクロック3は、1つのチップ上に全て集積されている。クロック3は分かれて設けられてもよいが、この選択は、さらに場所を取るので好ましくはない。この実施例において、センサ回路121,122,123は、プロセッサ15とメモリ20と同じ集積されたチップに設けられている1つのセンサ回路120に結合されている。また、この集積されたチップは、結合されたマルチプレクサ及びADCユニット130,140を含んでいる。専用のハードウエアブロック15a,15bはSPI(シリアル周辺インタフェース)及びDS−SSエンコーダを提供している。しかしながら、一般的な解説においては、これらのハードウエアブロックはプロセッサ15の一部であると考えられる。図17において、「C]はデカップリングコンデンサを示し、クロック信号は細い矢印で示される。
【0142】
前述の集積されたチップ200から分かれてトランスミッタ回路25が設けられている。この実施例において、トランスミッタ回路は磁気カップラとして機能する表面実装コイルインダクタを具備している。これは、RFアンテナの必要が無く、空間を節約している。また、チップ200に集積されたオンチップRFデバイスを使用することも可能である。
【0143】
この実施例において、集積されたチップ200はアナログセンサ5,10,115及びアナログトランスミッタ回路25から分かれていることに注意することが重要である。これは、パッドリング190とデカップリングコンデンサ180により絶縁されている。
【0144】
プロセッサ15は、マンチェスタプロトコル(Manchester protocol)に従って送信するためにセンサデータをエンコードする。しかしながら、異なるプロトコルを使用することもでき、それは当業者であれば明らかであろう。データ送信は、測定されたセンサデータが入手された時刻に関連する如何なる情報も含まれていないという点で、非同期的である。さらに、第1のモジュール1による送信は、次のパケットを送信する前に、ベースステーション50によりデータパケットの受信確認を待たないという点で、連続的である。したがって、第1のモジュールがレシーバを持つ必要はない。必要であれば、図14の実施例において示したように、レシーバ30を設けることができ、この場合において、同期データエクスチェンジプロトコルが使用されるが、この選択は、第1のモジュールにおいてレシーバ30が余分な電力と空間を必要とするため好ましいものではない。
【0145】
192ビットのデータパケットにおいて送信され、データが送信されない58ビット「ゼロ期間」により追従されるように、センサデータはエンコードされる。このゼロ期間は、ベースステーション50が各データパケットの位置を確認することを、より簡単なものとしている。各データパケットは、センサデータを示す2つの同一の64ビットコードと、64ビット認証とパリティ冗長量を含んでいる。明らかに、データパケットの正確なコンテンツと長さ、及びゼロ期間の正確な長さは変化するものであり、上記の番号はほんの一例として与えられたものである。
【0146】
図18は、外側ケースを取り除いた第1のモジュール1の一実施例の斜視図である。複数の電力供給電池12はトランスミッタ25及び集積回路200にライン上に接続されている。フレキシブルケーブル206,207(例えば、リボンケーブル)は、センサ5,10を集積回路200に接続している。図19は、組み立てられていない外側ケース211を有する第1のモジュールの斜視図である。図19の実施例において、外側ケース211は、外側ケースを形成するように、第2のケース部分211bにねじ込まれる第1の部分211aを有する。センサ5,10はホルダクランプ216に設けられており、フレキシブルケーブル(例えば、リボンケーブル)206,207はセンサ5,10が所望の位置に配置されるように曲げられている。ホルダクランプ216は、センサと外部環境との間が接触するように、外側ケースの開口231と位置が合う開口221を有している。カプセルが組み立てられるとき、第1のモジュールの内部電気部品は、外側ケース211により外部環境から保護されている。そこで、モジュールは嚥下型カプセルの形態となっており、大きなビタミン剤とほぼ同様のサイズを有している。
【0147】
第2のモジュール50は、例えば、オンオフ変調されたRF信号の形態で第1のモジュールから送信された信号を受信する。それはセンサからのデータ値を回復しており、第1のモジュールのタイミングは不正確であり、変動するので、(第1のモジュールのクロック3より更に正確であり、安定している)それ自身のクロック23を用いて全てのセンサ値又はセンサの組の値に時刻を刻印する。また、第2のモジュールは、前述のように、第1のモジュールの電力供給電圧における変動を補償するためにセンサ値を調整する。
【0148】
図20は、本発明の一実施例に係る第2のモジュールの詳細な動作を示すフローチャートである。ステップ300において、第2のモジュールのスキャンしているレシーバは、予め設定されたチャンネル帯域幅内の受信された送信周波数に基づいたアナログ電圧を出力する。この信号は、電磁干渉により破壊された送信データを含んでいる。
【0149】
第2のモジュールは、ステップ310において、このアナログ出力をオーバサンプリングによりデジタル化するDAQ(データ収集)装置を有している。サンプリングレートは、ナイキストレートの少なくとも2倍、好ましくはナイキストレートの少なくとも3倍である。サンプリングは、2つの連続的な信号取得の間のいかなるデータサンプルも失わないように、連続トリガモデルに従って実行される。
【0150】
上記のように、第1のモジュールからの各「信号」は少なくともデータパケットと「ゼロ期間」とを具備している。また、上記したように、第1のモジュールは、連続ストリームの中の信号を送信する。例えば、4Kbpsデータレートのマンチェスター符号化ビットストリームは、第1のモジュールにより送信されるであろうし、第2のモジュールのDAQデバイスにより20KSpsのオーバサンプリングレートでサンプリングされるであろう。図21は、データパケット、ゼロ期間、及び信号取得と図20のフローチャートの他のサブ処理を行うためにとられた時間を示す時系列である。DAQ期間(図21において示されたT)は完全なデータパケットより長く、各データパケットの間の期間より短く設定されている。一例として、1つのデータパケットは、5KB(例えば、サンプリング期間0.25s×オーバサンプリングレート20KSps×分解能8ビット)、又は20KB(例えば、サンプリング期間1s×20KSps×分解能8ビット)まで、瞬時のプロセスのための局部バッファ空間で占有される。勿論、他のサンプリング期間やレートも使用できるものである。如何なる場合においても、信号取得(DAQ)の処理は、(図10において示した時間Tpにおいて)次の信号のデコーディング、パケットデシメーション、及びパケット翻訳処理のために十分な時間を空けるために、比較的に短い時間(図21においてTsで示し、典型的には2,3ミリセコンド)で完全に行われるべきであろう。
【0151】
ステップ310のDAQの後、低域通過フィルタリング及び他の前処理は、ステップ320において収集されたデータサンプルで実行される。そこで、サンプルデータから第1のモジュール1により送られた信号を抽出するために、ステップ330において、DS−SS相関が実行される。DS−SS方法の各種の可能性としては当業者にとっては明らかであろう。
【0152】
ステップ330の後、受信した信号は、一連のデジタル化されたアナログ値に変換される。ステップ340において、確率ヒストグラムが形成され、「0」と「1」との間を識別するためのスレッショルドを決定するよう使用される。スレッショルドは受信された信号に基づき適応して設定され得るので、2進値の間の識別が改良され、弱い信号でさえ実行可能となる。
【0153】
次に、デコーディングステップ350において、データパケットが探索され、認証されて、2値データが抽出される。各パケットにおけるデータ(例えば、センサ値)を処理する前に、これを行うことが必要である。通信リンクが使用されていない間中、長い「ゼロ期間」は、ポテンシャルなデータパケットを粗く探索するために使用される。もし、ポテンシャルなデータパケットが実際に存在していたならば、予め定義されたスタートシーケンス(1つ以上のスタートビットのシーケンス)とフィニッシュシーケンス(1つ以上のストップビットのシーケンス)がデータパケットの正確な探索を行うために使用される。
【0154】
データパケットを見つけるために、信号の両端からサーチする反復ルーチンが行使される。
【0155】
データパケットを探索するための単一のデコーディングルーチンの例としては、
{
0:ポインタF=ポインタF+ステップF; ポインタB=ポインタB−ステップB;
1:ポインタFとポインタBの間のデータセットは、有効データパケットか?
2:もし、否であれば、0に戻る;
3:もし、正であれば、データパケット=データパケット・×デコーディング信号;
4:ステップFとステップBを更新する;
}*Bは初めのシーケンスを意味し、Fは終わりのシーケンスを意味する。
【0156】
スタート及びストップシーケンスに加えて、ビットインテグリティ及びビット長等の特徴がデータパケットを有効にするために使用される。
【0157】
次に、ステップ360において、自動回帰移動平均(auto-regression moving-average)(ARMA)評価器のような中央値フィルタは、信号をノイズ比に対して向上するように使用される。図22は、中間値フィルタによりフィルタされたノイズスパイク400とともに時間に対するデータパケットの一部からのデータビットを示している。
【0158】
中央値フィルタを行った後、オーバサンプリングにより生成された追加のデータポイントを取り除くために、データパケットはデシメーションされている(間引かれている)。この段階の出力は、デシメーション後(間引かれた後)、完全なデータパケットを構成するデータインフォメーションビットを有している。多くの異なるフォーマットは、データのために使用されるであろうが、以下に1つの可能な例を挙げる。
【0159】
セグメント1:(左から右へ送信された)初めのシーケンス 0,1,0,1,0,1,0,1
セグメント2から7:48ビットデータ
セグメント8:最後のシーケンス1,0,1,0,1,0,1,0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
サブパケットI
セグメント9:初めのシーケンス 0,1,0,1,0,1,0,1
セグメント10から15:48ビットデータ
セグメント16:最後のシーケンス1,0,1,0,1,0,1,0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
サブパケットII
セグメント17:初めのシーケンス 0,1,0,1,0,1,0,1
セグメント18から23:48ビットデータ
セグメント24:最後のシーケンス1,0,1,0,1,0,1,0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
サブパケットIII
【0160】
上記の例において、サブパケットI及びIIはセンサデータを含んでおり、サブパケットIIIはパリティデータを含んでいる。
【0161】
次に、ステップ370において、パケット翻訳ルーチンは、データパケットからセンサデータを抽出し、第2のモジュールのクロック23に従って、データパケットが第2のモジュール50により受信された時刻に基づいた時間情報でそれに刻印する。また、パケット翻訳ルーチン370は、センサデータが正確に回復されているかを確かめるためにパリティデータ(例えば、サブパケットIII)を確認する。もし、パリティと他の真実性のチェックが肯定的であるならば、インディケータビットはデータが有効であることを示す「1」にセットされる、反対であればインディケータビットは「0」にセットされる。このステップからの出力は、タイムスタンプ(時刻刻印)、センサデータ及びインディケータビットである。タイムスタンプは、データパケットにおける(予め決められた長さ、例えば各センサ値の)センサデータの各部分のためであってもよく、若しくは全体としてのデータパケットのためでもよい。
【0162】
次に、ステップ380において、データパケットが送信された時の第1のモジュールのクロック3のクロックレートが推定される。この実施例において、クロックレートは、データパケットを形成し送信するために第1のモジュールが採用する第1のモジュールクロックサイクルの公知の数と、及び第2のモジュールのクロックに従って、データパケットのスタートとエンドが第2のモジュールに到達した時間と、に基づいて推定される。他の実施例では第1のモジュールのクロックレートを推定する異なる方法を使用してもよいが、しかし、それらの実施例では、典型的に、いつもデータが第2のモジュールにより受信されたときのレートに基づいている。
【0163】
センサデータがセンサ5,10により集められた時に第1のモジュールの電力供給により供給された電圧は、第1のモジュールの電力供給12により供給された電圧(V)と第1のモジュールのクロック3のクロックレート(f)との間の予め決められた関係に基づいて推定される。この予め決められた関係は、実験的に又は理論的に決定されてもよい。1つの第1のモジュールのための一実施例において、その関係は、
V=Alog10f+B
となることが見つけられた。ここで、A=2.35であり、Bは補償処理において必要としない定数である。
【0164】
電力供給電圧(V)が一度決定されると、センサデータにおけるセンサデータ値は、電力供給電圧における変動を補償するよう調整される。この補償は、センサ値(即ち、第1のモジュールにより送信されたセンサデータ値)と電力供給電圧との間の予め決められた関係に基づいて実行される。一般的に、第1のモジュールにより送信されたセンサ値は、センサ10,15からのアナログ出力、及びこの出力に対するADC140(及び全ての増幅器)の応答、及び第1のモジュールのプロセッサ15によりなされた全ての調整に基づいたものである。多くの場合、センサ値と電力供給電圧との間の関係は、直線的である。この関係は、理論的に又は実験的に決定される。それが一度分かれば、電力供給電圧における変化により生じた変動についてセンサデータ値を補償するために、それが推定された電力供給電圧と共に使用することができるであろう。
【0165】
また、第2のモジュールのプロセッサ70は、第2のセンサ10により同じ時間又は対応する時間に得られたセンサデータ値に基づいて、第1のセンサ5からのセンサデータ値を補償してもよい。例えば、第1のセンサはpHセンサであり、第2のセンサは温度センサの場合、第1のセンサ5からのセンサデータ値は、異なる温度でのpHセンサ10の応答における知られている変動に従って補償することができる。
【0166】
最後に、ステップ390において、処理されたセンサデータは、ディスプレイ、メモリ又はリモートデバイス(遠隔装置)に出力される。その出力には、補償されたセンサ値、及びこれらの値が測定された推定時刻が含まれる。
【0167】
また、第2のモジュールのプロセッサ70は、第1のモジュールのクロック3の推定されたクロックレート、及び/又は以前に推定されたクロックレート、及び/又は以前のデータパケットの位置(時間)に基づいて、次のデータパケットの位置を予測するよう構成されている。パケット位置のこの予測は、データパケットをサーチするデコーディングルーチンを最適化するように、そして第1と第2のモジュールの間の接触損失を補助するために用いられる。
【0168】
図18と19に示した嚥下型カプセル1は、滑らかな外表面を有する外側ケースを持っている。しかしながら、外側ケースがヘリカルパターンをその表面に持つことは可能である。このヘリカルパターンは、弾丸がライフルの銃身を進むのと同じように、検査デバイスが腸管を通過するように回転させるものである。腸を通って移動するカプセルの場合、前方への推進力は腸の蠕動運動により提供されてもよい。ヘリカルパターンは、少なくとも1つの螺旋であるべきであり、そしてカプセルの外側ケースの内側又は外側に、刻み、突起、又は溝により形成されてもよい。図23は、外側ケースに溝510により形成された2.5回の螺旋巻きを持つ嚥下型カプセル1の上部から見た図である。図24は、外側ケースの表面上に突起516により形成された2.5回の螺旋巻きを持つ嚥下型カプセル1の上部から見た図である。両方のカプセルは、周囲の環境の中の液体がカプセル内のセンサと接触するように開口515を有している。
【0169】
図1−24に関する上記の記述は、システムレベル動作での検査デバイス及びシステムに関連しており、特に、第1のモジュールと第2のモジュールの間の通信、及び(第1のモジュールのプロセッサ、又は第2のモジュールのいずれかによる)センサの較正並びにセンサ出力の分析に関連するものである。
【0170】
図28及び29に関して、これらの図面には本発明の好ましい実施例において使用するためのセンサ素子450が図示されている。センサ素子450は「ワンショット」のセンサ素子であり、分析物のあるなしを一度だけ検出するよう動作することができるものである。図29の断面図に示されているように、センサ素子は基板452の上に形成されている。電極454,456及び463(作用電極454、対向電極456及び参照電極463)は、基板452の上面に形成されており、互いに接触しないようにギャップ458により分けられている。これらの電極は、金、金−プラチナ合金、又はプラチナにより形成されている。典型的には、電極は異なる材料により形成されており、作用電極はその表面で酸素レドックス反応に触媒作用を及ぼすように選択された材料により形成される(例えば、プラチナ又は金)。作用電極は代表的には銀により形成される。参照電極の目的は(当業者であれば容易に理解されるように)、作用電極におけるレドックス反応の効果を補償するために、作用電極で安定した電圧を提供するためである。絶縁層460は、穴内でそれぞれがむき出しの作用電極454、対向電極456及び参照電極463の部分を離すように、基板と電極の上に形成されている。絶縁層460の壁における段差のために、この穴は段差を有する形状を持つ。穴の基底において、作用、対向及び参照電極のむき出しの部分を覆って接触し、そして電極の間のギャップ458に充填されているものは、電解質462である。好ましい電解質は、イオン伝導ジェル又は固体電解質、例えば固体ポリマー電解質(例えば、ポリエチレンオキサイド、デュポンの「Nafion」(登録商標)などのフッ化スルホン酸コポリマー)。電解質を覆うものは、半透過性膜464、即ち水と電解質を透過せず、酸素を透過するものである。代表的な半透過性膜としては「Teflon」(登録商標)から形成されている。絶縁層460の中に形成されている穴を横切って広がっているものは、保護層466である。これは、代表的には、厚みが約0.2−0.3μmの金又は金合金の層である。電極468は保護層466に接続している。
【0171】
保護層466と半透過性膜464との間の空間は、分析空間である。この分析空間内に、第1の分析層470と第2の分析層472が設けられている。第1と第2の分析層は異なった構成でもよく、例えば多層形状に、又は一方が他の分析体の中で島となるように、又は密接して混ざった分析体などがある。最適な配置は、後述する触媒コンポネントが存在するしないにおいて、分析体の互いの反応によるであろう。
【0172】
本実施例において、センサ素子450は血液センサである。ヘモグロビン(血液の構成物)は、第2の分析体において存在するメディエータ又は酸素ドナーにより、第1の分析体におけるフェノール化合物の酸化に触媒作用を及ぼす。この実施例における第1の分析体は、アルファ−グアイアコニック酸であるか、又はこれを含んでいる。第1の分析体の代替物としては、テトラメチルベンジジン(TMB)がある。第2の分析体は、ヨウ素酸塩若しくは過ヨウ素酸塩であるか、又はこれを含む。第2の分析層の代替物としては、酸素ドナーとしての2.5−ジメチルヘキサン−2.5−ジヒドロベルオキシドがある。さらなる代替物としては、過酸化水素があるが、腸への漏洩が望ましいものではないので、好ましいものではない。
【0173】
異なった層が公知の製造技術により基板452に適用され得る。特に、例えば、基板452がシリコン基板等のように平板であれば、スピンキャスティングを使用することができる。最適なスピンキャスティング法は、フォトマスクを組み合わせて、若しくはマスクとエッチング処理を介する組み合わせで達成することができる。グワイヤックは有機であるため、エッチングは酸素プラズマを使用して実施することができる。しかしながら、他の析出技術を使用することができ、例えばスパッタリング、薄膜析出、射出成形、蒸着、マイクロピペットを使用した析出等である。例えば、分析空間にグワイヤック樹脂を析出することは、アルコール(例えば、エタノール、N―メチル−2−ピロリジノン(NMP)、又はジメチルスルホキシド(DMSO))に樹脂を溶解し、そして溶液をスピンキャスティングすることにより実行することができる。
【0174】
絶縁層460は、好ましくはポリイミド又はSU−8で形成される。
【0175】
使用において、検査素子は、活動するまで、保護層466により保護されて、活性化されず、そして保護されて残っている。検査素子を活性化するために、電極468を介して保護層466に電圧が印加される。最適な電圧は、+1.0V(又はそれより高い電圧)である。カソード(図示なし)は、電気化学回路を完成するよう他の場所に設けられている。カソードは、毒性の電気分解製品を生み出すものでない如何なる導体又は電気活性物質で形成され得る。検査素子が水溶性の塩化物イオン(例えば、GIトラクト(胃腸管))の環境にあるとき、この電圧の保護層への印加は、クロロ金錯体の形成による保護層の腐食を起こす。これらはカソードで低減される。保護層は、環境に対して第1及び第2の分析体を晒すことによって、このメカニズムにより10−30秒の僅かな時間で除去され得る。この方法における金の保護層の除去は、サンチニ他(Santini et al.)、「制御された薬物供給装置としてのマイクロチップ(Microchips as controlled drug-delivery devices)」、Angew. Chem. Int. Ed. 2000、39、2396−2407、に示されており、その内容はここに参照として組み込む。
【0176】
GIトラクト(胃腸管)の環境に一度晒されると、GIトラクトの中の血液の存在は、第1と第2の分析体の間の反応に触媒作用を及ぼす。第1と第2の分析体の間の反応は、最終生成物として、特別の反応が行われた状態及び溶解状態に依存して、任意的に反応性のある中間生成物により、溶解された酸素を生み出す。半透過性膜は酸素を通す。センサ素子の電解質空間の中に形成された電気化学電池は、実質的に、当業者には容易に理解できるクラーク電池である。この電池は、作用電極と対向電極の間のレドックス反応を制御するか、若しくはモニタしている。この方法において、第1と第2の分析体の間の反応は、モニタすることが可能であり、そしてセンサ素子に達した分析物(血液)の濃度の計測値を得ることができる。
【0177】
他の実施例において、クラーク電池は、LED(好ましくは、白色LED)からの光が分析空間を通過する光電検出器に置き換えられる。光電検出器は、第1と第2の分析体が血液の存在に反応して青−緑色を生成するとき、分析空間の中に色の変化を検出することができる。また、色の変化は、例えば異なる分析体が用いられている、同様な方法においても、勿論モニタすることも可能であろう。
【0178】
特定の環境(例えば、温度及び/又はpHに依存する環境)において、第1と第2の分析体の間の反応レートは、血液が存在しないときでさえ、変化する。このため、センサ素子の保存履歴、及びセンサ素子の使用履歴(例えば、それがどれくらい体内にあるか)に依存して、センサ素子からの出力(即ち、作用電極及び対向電極の間のポテンシャル)は、活性する前、又は活性する後のいずれかにおいて変化する。したがって、上記のスキーム及びルーチンの1つに従って、例えばpHセンサ及び/又は温度センサの出力、及び/又はセンサ素子が配置されていた計測時間に従って、センサ素子を補償することが必要である。
【0179】
センサ素子は、単一の測定を採るために、ただ一度だけ活性化され得る。したがって、検査デバイスは、多くの同様のセンサ素子を有して設けられている。好適な検査デバイス480aとセンサ素子アレイ482aの概略図が図25Aに示されている。この例において、センサ素子アレイ482aは、曲面形状を有しており、そして検査デバイスの曲がった外面に配置されている。また、各センサ素子の活性化について保護フィルムを除去することを要求された電気化学回路を完全なものとするための、共通のカソード481aは、デバイスの外面に配置されている。このセンサアレイは、屈曲可能な基板(例えば、ポリイミド)上に好ましくは平板に製造されており、検査デバイスの曲面の外観に密接するように曲げられている。しかしながら、センサ素子アレイが平板な形状に形成されて、検査デバイスの平坦な部分(又は曲がりが少ない部分)に配置することも可能である。この例が図25Cの別の検査デバイスに示されており、この図において、検査デバイス480cは、非対称形状を有しており、一端483cが丸められ、他端484cが平坦に形成され、センサアレイ482cは平坦な端部484cに配置されている。共通のカソード481cは、望ましい便利な位置に配置されている。他の実施例において、例えば、検査デバイスは、デバイスの長手方向の中央部分に平坦な形状を有していたり、平坦な端部を有していたり、平面がデバイスの主軸に対して傾いた角度で形成されている面を有する端部を持つことも出来るであろう。また、センサ素子アレイは、検査デバイスの周りを実質的にすべて取り囲むように広げることも可能である。これは、センサ素子によりデバイスの環境についてさらに多くのサンプルを取ることを可能となるため、好ましいものである。これは図25Bに示されており、この図において検査デバイス480bは丸まった円筒状の形状を有し、センサアレイ482bはデバイスの外側表面を円周上に取り囲むように、共通のカソード481bに沿って広がっている。既に述べたように、センサ素子を平坦形状の屈曲可能なポリイミド基板上に設けることが可能であり、そこで基板をデバイスに密接するように曲げることが可能である。また、検査デバイスの外側ケースの一部分としてセンサ素子アレイを設けることも可能である。例えば、好ましい穴形状がモルディング成形で、又は精密機械加工でデバイスの外側ケースに形成することができ、及び/又は電極が外側ケースに鋳造されてもよい。
【0180】
図26は、5×5のセンサ素子アレイの概略図である。各センサ素子485は、制御信号入力487とセンサ出力486の、2つの形式の電気接続を有している。これらの接続は、図26において、ただ概略的に示されている。各センサ素子のための制御信号入力は、保護層466に対する電気接続により構成されている。センサ出力486は、実際には、作用電極、対向電極及び参照電極のそれぞれ1つのために、セルあたり3つの電気接続により構成されている。これらの電極から及びこれらの電極に対する信号が、以前の図面を参照して既に述べたように、同様の制御、及びオペアンプ回路により制御できることは当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0181】
図27は、第1のモジュール490と第2のモジュール492の検査システムを示す概略図である。第1のセンサ494が、既に述べたようにバイオセンサのアレイのようなセンサ素子アレイであることを除いて、配置は、図2のものと機能上の条件において同様である。コントローラ495は、第2のセンサ496(例えば、既に述べたpHセンサ又は温度センサ)の出力又は、記憶された若しくはコントローラ495に入手可能な予め決められたタイミングスケジュールの結果のいずれかに応答して、一度にセンサ素子の1つ(又はそれ以上)を制御(即ち活性化)する。センサ出力(活性化されたセンサ素子の作用電極と対向電極との間の電圧)は、コントローラ495により検出される。そこで、この出力から抽出されたセンサデータは、第1のモジュールのトランスミッタ497により、第2のモジュールのレシーバ498に送信される。
【0182】
センサアレイにおける全てのセンサ素子の動作は、比較的に電力消費である、特に、保護層466の除去により各センサ素子を活性化すること、及び作用電極と対向電極との間に適切なポテンシャルを適用することは、比較的に電力消費である。検査デバイスの使用期間(例えば、19−24時間)を通して十分にセンサ素子のそれぞれが動作するよう十分な電力を確保するために、前の実施例に関して述べた各種の電力節約及び空間節約の手法がこの実施例においてもまた適用される。
【0183】
これらの実施例の変更、更なる実施例、及びこれらの更なる実施例の変更は、この明細書を読んでいる当業者には明らかであろうし、そのようなものは本発明の範囲内にある。
【0184】
本発明のさらなる特徴及び観点は、添付の明細書と付属のクレームの中に見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】図1は検査デバイスの概略図である。
【図2】図2は検査デバイスとベースステーションを具備するシステムの概略図である。
【図3】図3はレシーバとベースステーションを持つ検査デバイスを具備するシステムの他の実施例の概略図である。
【図4】図4は検査デバイスが消化器系を通って移動するときのpHにおける変動を示すグラフである。
【図5】図5はセンサとそのダイナミックレンジを調整するための周辺回路の概略図である。
【図6】図6はセンサのダイナミックレンジを調整するためのルーチンを示す。
【図7】図7はセンサ出力に実際の物理量を対応付けるためのルーチンを示す。
【図8】図8はセンサ出力をオートゼロにするための、又はそれを所望値に照合するためのルーチンである。
【図9】図9はセンサ出力における時間の経過と共に徐々にずれるのを補償するためのルーチンである。
【図10】図10(a)は、図10(b)に示されたISFETの測定され及びモデル化されたスレッショルド電圧のずれから導かれるISFETの電圧源における測定された変化を示す。
【図11】図11(a)はpH溶液における変化に反応して測定されたISFETのスレッショルド電圧の応答を示すグラフであり、図11(b)はずれ補償が適用された後の同じスレッショルド電圧を示す。
【図12】図12は図1の変形例であり、別の実施例を示す。
【図13】図13は図2の変形例であり、別の実施例を示す。
【図14】図14は図3の変形例であり、別の実施例を示す。
【図15】図15(a)から(c)はモジュラーシステムの可能性のある配置を示す概略図である。
【図16】図16は検査デバイスの構成物を示す概略図である。
【図17】図17は、図16の検査デバイスの構成物が分割チップ又は複数の回路基板上でどのように分かれているかを示す他の概略図である。
【図18】図18は検査デバイスの電気構成品を示す斜視図である。
【図19】図19は検査デバイスの電気構成品とカプセルの周りのケースが隠されているときの状態を示す概略図である。
【図20】図20は第2のモジュールによる受信データの処理を示すフローチャートである。
【図21】図21はゼロ期間及びデータパケットを示す時系列であり、並びにデータ取得のために採られた時間と第2のモジュールにより実行されるべき他の処理を示している。
【図22】図22は時間に対するデータビット及びノイズスパイクを示すグラフである。
【図23】図23はヘリカル溝を有するカプセルの下向き図である。
【図24】図24はヘリカル突起を有するカプセルの下向き図である。
【図25A】図25Aは検査デバイスの外側表面の概略図である。
【図25B】図25Bは他の検査デバイスの外側表面の概略図である。
【図25C】図25Cは他の検査デバイスの外側表面の概略図である。
【図26】図26は検査デバイスのセンサ素子アレイの概略図である。
【図27】図27は第1のモジュールと第2のモジュールの検査システムを示す概略図である。
【図28】図28は検査デバイスの平面図である。
【図29】図29は図28の検査デバイスの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査デバイス、検査装置及び検査システムに関する。また、本発明は、そのようなデバイス、装置及び/又はシステムを駆動するための方法に関する。本発明は、限定するものではないが、特に生物医学的なデータ及び/又は情報を収集することに関連する。
【0002】
本発明は、センサを持つ飲み込むことが可能な嚥下型カプセルが患者により飲み込まれ、無線又は他の通信リンクを介して収集されたデータを体内から体外のベースステーションに送信するシステムにおいて特に有用である。しかしながら、本発明は、この適用に限定されるものではなく、人体に移植するためにデザインされた検査デバイスにも使用可能である。また、本発明は局部的な適用、例えば創傷被覆材にも使用できる。さらに、本発明は動物、限定するものではないが、特に家畜、例えば羊及び豚などに使用することができる。適用はほ乳類だけでなく、ほ乳類以外のもの、例えば漁場の魚などにも適用可能である。
【背景技術】
【0003】
公知の嚥下型カプセルは、センサとして極小型カメラを組み込み、そのカメラが胃腸管を通過するときに胃腸(GI)管の一連の画像を取得する。カメラにより取得された画像は、無線リンクによりベースステーションに送信される。そこで、一連の画像は、胃腸管における異常を探す熟練のオペレータにより調べられる。そのような画像は有用な診断情報を提供することができるが、各患者のために熟練のオペレータに多くの時間が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以下に述べるように、3つの関連する展開の形態をとっている。各展開のために、幾つかの観点が存在する。事情が別の方法を求めない限り、いずれの展開の観点も互いに組み合わせ可能であることが理解できるであろう。同様に、事情が別の方法を求めない限り、いずれの展開の如何なる観点も単独で、若しくは一緒に、好ましい及び/又は任意の特徴を組み合わせることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の展開
本発明の第1の展開において、公知の嚥下型カプセルのカメラセンサに代替センサを設けることが有利であろうと発明者は理解した。特に、胃腸管の幾つかの病気はカメラセンサを使って検出することが困難である。例えば、胃腸管における出血は、幾つかの病状、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、潰瘍、及び癌などの共通の徴候である。胃腸管における出血は、例えば貧血症などの他の症状が現れるまで、又は鮮血が便に現れるまで分からない。通常、このときまでには、病状は悪化している。腸癌の場合において、ポリープはそれらが癌になる前にしばしば出血する。したがって、もしそれらを早い段階で検出することができるならば、ポリープは安全に取り除くことができ、癌を上手く処理することができる。
【0006】
便の中の血の存在を検査するために便潜血(FOB)検査が知られている。これは、一般的に、ヘモグロビンのペルオキシターゼのような行動に基づくか、若しくは免疫学的検定法に基づくものである。
【0007】
公知のFOB検査の一つとしてはグワイヤック樹脂含浸カードが使用される。(木から抽出された)グワイヤック樹脂は、酸化剤の存在により色が変化する。そのような検査は、高く共役された青色キノン化合物を形成するように、水素ペルオキシターゼによってグワイヤック樹脂(アルファグアイアコール酸)の中のフェノール化合物の酸化にヘモグロビンが触媒作用を及ぼすという事実を利用している。グワイヤックに基づくFOB検査において、便のサンプルは、グワイヤック樹脂で含浸されたカードに病人により塗りつけられる。典型的には、3つの便のそれぞれからの2つのサンプルは、カードが分析のために送られる前に集められるよう要求される。分析室において、水素ペルオキシターゼ顕色液がカードにかけられ、もし血液がサンプルの中に存在していれば、結果として青緑色が現れる。
【0008】
前述のFOB検査は、患者がメールを経由して、又はかれらの地元の医者からテストを受け取り、自分のサンプルを取り、カードに塗りつけて、そのカードを分析のため分析室に返還するというスクリーニング検査において使用されている。サンプルを取り、それらをカードに塗りつけることが多分不愉快と感じる、特に年配の人々において、及び特定の民族又は社会背景の人々において、そのようなテストの実行は変更可能である。
【0009】
したがって、第1の展開の第1の観点において、本発明は、第1のモジュールと第2のモジュールを含む検査装置であって、前記第1のモジュールは、コントローラ、トランスミッタ、及びセンサ素子のアレイを有し、前記コントローラは、前記アレイの中の異なるセンサ素子を使用して異なる時間で前記アレイからのセンサ出力を得るために、前記アレイにおける1つ以上のセンサ素子をアレイにおける他と独立して活性化させることが可能であり、前記トランスミッタは、前記センサ出力から抽出されたセンサデータを、前記第1のモジュールから前記第2のモジュールのレシーバへ送信するよう構成されており、各センサ素子は、センサアレイが配置されるところの環境において同じ分析物の存在を検出するための生物学的なセンサである。
【0010】
好ましくは、第1のモジュールが、
(i)人間若しくは動物の体を通過するために、飲み込むことが可能であるように、
(ii)人間若しくは動物の体の中に移植できるように、又は
(iii)人間若しくは動物の体の表面の場所に配置されるように、構成されている。
【0011】
(i)の適用のためには、第1のモジュールの物理的寸法、及び形状についての限定がなされる。形状に関して、典型的には第1のモジュールが、2.5:1以上、好ましくは3:1又は4:1またはそれ以上のアスペクト比(縦横比)で細長く形成される。勿論、特定の寸法は第1のモジュールが通過すべき胃腸管に従うものである。(ii)の適用のためには、第1のモジュールの寸法又は形状について特定される幾つかの一般的な限定が存在する。しかしながら、(i)と(ii)の両方のために、第1のモジュールは生体適合性、及び/又は非毒性の材料で形成されるべきである。(iii)の適用のためには、第1のモジュールは平板な形状を有し、必要に応じて屈曲可能な形状を有することが好ましい。例えば、第1のモジュールは、体の傷をした箇所に設けられるかもしれず、好ましくは、傷を手当てした包帯の上又は内部に設けられるかもしれない。
【0012】
前記環境における前記分析物の存在を検出するように、各センサ素子が一度だけ活性化されることが好ましい。この方法において、各センサ素子は一度の動作だけ可能であることが好ましい。典型的には、これは、センサ素子が少なくとも一つの反応物を使用する化学反応に頼っているためであり、センサ素子がさらなる測定を実行することが出来ないことを意味する測定のためのセンサ素子における反応物の使用に頼っているためである。
【0013】
好ましくは、前記センサ出力は、分析物の存在、分析物の非存在;検出された分析物の濃度の定量的な測定値、の少なくとも1つの分析物状態に対応する。したがって、各センサ素子は分析物の濃度の測定を提供することが可能である。しかし、特定の実施例においては、各センサ素子が、分析物濃度が特定の閾値を超える(分析物の存在)、若しくは特定の閾値を下回る(分析物の非存在)のいずれかを決定するだけで十分かもしれない。
【0014】
好ましくは、前記分析物は、血液、又はヘモグロビン、又は血液の他の構成物、又は血液の分解生成物である。また、分析物は、他の体液、又はその構成物、例えばルーメン(内腔)、消化酵素、食料消化時の食料若しくは生産物、傷からの液体であるかもしれない。
【0015】
好ましくは、前記アレイにおけるセンサ素子を活性化することは、第1の反応物と第2の反応物との間の化学反応に触媒作用を及ぼすように、センサ素子の環境における分析物の存在を可能とし、センサ素子出力を決定する前記センサ素子により前記化学反応の検出を可能とする。好ましくは、各センサ素子は、少なくとも前記第1の反応物を収容している反応物空間を含んでいる。また、前記反応物空間は前記第2の反応物を収容してもよい。第2の反応物は、前記第1の反応物に接触してもよい。第1と第2の反応物は、互いに接触し、他の反応物の中に1つの反応物の島に形成するか、若しくは他の反応物の中に1つの反応物の粒子を形成してもよい。一般的に、2つの反応物の間の接触の形態は、分析物の欠如において、2つの反応物の互いの反応性に依存し、そしてセンサ素子の有効寿命に依存するものである。
【0016】
好ましくは、前記反応物空間は、半透過性膜により電解質空間から分けられている。半透過性膜は、酸素、酸素イオン、プロトン、又は他の予め決められたスペシーズを透過できる構成でもよい。典型的には、電解質空間は、作用電極、対向電極及び任意に参照電極を有しており、前記電極が前記電解質空間の電解質と電気的に接触している。この方法において、電極は、反応物空間において第1と第2の反応物の間の反応をモニタするために使用することができ、例えば、第1と第2の反応物の間の反応により生じた酸素、又は酸素イオンをモニタするために使用することができる。
【0017】
好ましくは、反応物空間は、前記センサ素子の活性化状態で、前記環境に晒されている。各センサ素子は、前記反応物空間をカバーするためのカバー部材を含み、前記カバー部材は、前記反応物空間に晒すことが可能なように少なくとも部分的に取り外すことができる。好ましくは、前記カバー部材は、前記カバー部材に電圧を印加することにより少なくとも部分的に取り外すことが可能である。前記電圧は、前記カバー部材の腐食、溶解、溶融、昇華及び破損の少なくとも1つを誘因するかもしれない。
【0018】
好ましくは、第1の反応物は、アルファ−グアイアコニック酸又はその誘導体を具備している。好ましくは、第2の反応物は、触媒が存在する状態において第1の反応物を酸化することが可能なメディエータである。
【0019】
好ましくは、第1のモジュールが配置されるところの環境と接触するよう設けるために、前記センサアレイは前記第1のモジュールの外側表面に設けられている。この方法において、装置における溝や管に沿って移動するように環境から液体を要求することなく、各センサ素子は、(少なくとも活性化のときに)、環境に直接的に晒される。この構成は、胃腸管(例えば、大腸)の幾つかの部位が実質的に固体で、密に固められた状態を有している場合、そこを流れるのが困難であるため、特に好ましい。
【0020】
センサアレイは、共通の基板上に形成されていてもよい。例えば、各センサ素子は公知のフォトリソグラフィ(写真製版)技術により形成されてもよい。基板は、平面、例えばシリコン単結晶基板でもよい。基板は、第1のモジュールの曲がった外側表面にフィットするように屈曲可能でもよい。基板はそれ自身が第1のモジュールの外側ケースであってもよい。
【0021】
センサアレイは、少なくとも4個のセンサ素子を含んでもよい。しかしながら、好ましくは、前記アレイは、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、又は少なくとも50個のセンサ素子を有してもよい。
【0022】
好ましくは、前記コントローラは、前記センサ素子を予め決められた時間間隔で活性化するように駆動する。
【0023】
第1のモジュールのセンサアレイは、第1のセンサを形成するかもしれない。第1のモジュールはさらに、第2のセンサを含み、前記第2のセンサは第1のモジュールが配置されるところの環境のパラメータを測定するよう駆動する。好ましくは、第2のセンサの出力は、センサアレイのセンサ素子が活性化される時間を決定するために、コントローラにより使用される。例えば、第2のセンサは、第2の展開に関連して述べたように、pHセンサ、又は温度センサの1つかもしれない。
【0024】
特定の場合において、センサ素子の出力は、分析物の濃度より、環境状態他に依存するかもしれない。例えば、その出力はpH及び/又は温度に依存するかもしれない。その場合、第2のセンサの出力は、第1のセンサの出力を較正するために使用してもよい。さらに、この特徴は第2の展開に関連して述べる。
【0025】
第1のモジュールがさらに第3のセンサを含み、前記第3のセンサは、第2のセンサにより測定されるパラメータと異なる、第1のモジュールが配置されるところの環境のパラメータを測定するために駆動される。好ましくは、第2と第3のセンサの両方の出力は、センサアレイのセンサ素子が活性化される時間を決定するためにコントローラにより使用される。
【0026】
好ましくは、第2及び第3のセンサは、pHセンサ、温度センサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、バイオケミカルセンサ、オプチカルセンサ、音響センサから選択される。
【0027】
第1の展開の第2の観点において、本発明は、第1のモジュール及び第2のモジュールを含み、前記第1のモジュールがコントローラ、トランスミッタ、及びセンサ素子のアレイを有する検査装置の駆動方法を提供することであって、この駆動方法は、
(i)第1の時間t1で少なくとも1つのセンサ素子からセンサ出力を得るために、前記コントローラが、前記アレイにおける前記少なくとも1つのセンサ素子を、前記アレイにおける他のセンサ素子から独立して活性化するステップ;
(ii)t1と異なる時間t2で少なくとも1つのさらなるセンサ素子からのセンサ出力を得るために、前記コントローラが、前記アレイにおける前記少なくとも1つのさらなるセンサ素子を、前記アレイにおける他のセンサ素子からと独立して活性化するステップ;
(iii)センサデータを前記第1のモジュールから前記第2のモジュールのレシーバに送信するステップを含み、
各センサ素子は、センサアレイが配置されるところの環境における同じ分析物の存在を検出するための生物的なセンサである。
【0028】
好ましくは、異なる時間tで前記環境における前記分析物の検出又は欠如に応答して、前記アレイからの一連のセンサ出力を得るために、コントローラが前記異なる時間tで連続的に前記センサ素子を活性化するステップをさらに含んでいる。
【0029】
好ましくは、前記分析物の存在を検出するために、各センサ素子が一度だけ最大に活性化される。
【0030】
好ましい及び/又は任意の特徴を含む第1の展開のいずれの観点も、他の事情の要求が無い限り、好ましい及び/又は任意の特徴を含む第2又は第3の展開のいずれの観点も組み合わせることができる。
【0031】
第2の展開
現在の嚥下型カプセル又は移植検査装置が持つ問題は、それらがユーザにより較正することができない点である。それ故、それらは相対的な表示(例えば、pHにおける変化)を提供するだけであり、絶対的な値は提供できなかった。それらのダイナミックレンジを変更することは出来ないし、それでデータの多くはセンサの増幅器の飽和状態を通して失われる。
【0032】
したがって、第2の展開の第1の観点において、本発明は、人間若しくは動物の体の消化器系を通る通路のために、又は人間若しくは動物の体に移植するためにデザインされた検査デバイスを提供することであり、このデバイスは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサ、較正ルーチンに従って第1のセンサを較正するための電気回路若しくはソフトウエア、及び第1のセンサの出力から抽出されたデータを外部装置に送信するためのトランスミッタを有している。
【0033】
ここで、用語「較正」は次に示すあらゆる、又は幾つかの状態を示すためによく一般的に用いられている。
センサ出力に対する真の物理的な値を対応付けること(例えば、pH、℃、酸素濃度、又はセンサにより出力された電圧に対して他の値を対応付けること)、センサのダイナミックレンジを調整又は適正化すること、センサに零出力を行うこと、公知の値に対する相対的なセンサ出力を形成すること、及び/又はセンサにおけるずれを補償すること;である。
【0034】
この方法において、センサは、更に正確な情報若しくは絶対的な値、又はユーザに対して特に関連する情報を与えるように較正することができる。
【0035】
第2の展開の第2の観点において、本発明は、パラメータを測定するためのシステムを提供するものであり、このシステムは、第2の展開の第1の観点による検査デバイスの形態における第1のモジュールと、前記第1のモジュールのトランスミッタにより送信されたデータを受信するためのレシーバを有する第2のモジュールとを具備している。第2のモジュールは、第2の展開の第1の観点において述べた「外部装置」として動作する。
【0036】
第2の展開の第3の観点において、本発明は、パラメータを測定するためのシステムを提供するものであり、このシステムは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサと、前記第1のセンサにより作成された測定値と前記第1のモジュールにより生成された較正データとを第2のモジュールへ送信するためのトランスミッタとを有する検査デバイスの形態の第1のモジュール、
前記第1のモジュールのトランスミッタにより出力されたデータを受信するためのレシーバと、前記データを処理するためのプロセッサとを有する第2のモジュール、を具備し、
前記第2のモジュールのプロセッサは、第1のセンサにより作成された測定値を、較正ルーチンに従って及び前記第1のモジュールにより送られた較正データに基づいて較正するよう構成されている。好ましくは、検査デバイスは、嚥下型カプセルであるか、又は人間若しくは動物の体に移植するために設計されている。
【0037】
上記の観点における較正ルーチンは、センサのダイナミックレンジを適正化するためのルーチンでもよい。ここで、適正化とは改良することを意味し、可能な限り最高のダイナミックレンジとすることを要求するものではない。
【0038】
較正ルーチンは、前記第1のセンサの出力の時が経つにつれて生じるずれを補償するためのルーチンであり、この補償は、センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルに従って実行される。
【0039】
センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルは、メモリに記憶された予め決められたモデルでもよい。この予め決められたモデルは、実験的に得られたモデル、若しくは理論的なモデル(もし、センサのずれの物理理論が十分に理解されているのであれば)でもよい。
【0040】
また、センサのずれのモデルは、センサにより測定された以前のデータポイントを外挿することにより、センサが使用されている間に計算してもよい。例えば、一定のずれが存在しているのであれば、それは興味のある不連続である。この場合、多項式フィット(polynomial fit)、又は移動平均法(moving average method)が実時間におけるずれをモデル化するために使用することができる。
【0041】
好ましくは、センサ出力は、センサずれを補償するために、前記モデルに従って、規則的な時間間隔で調整される。
【0042】
第2の展開の第4の観点において、本発明は、嚥下型カプセルの形態における検査デバイス、若しくは人間若しくは動物の体に移植するためにデザインされたデバイスを提供することであり、そのデバイスは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサと、第2のパラメータを測定するための第2のセンサと、前記第1及び/又は第2のセンサからの出力に基づくデータを外部装置に送信するためのトランスミッタ、及び第2のセンサからの出力が予め決められた特性を表示したとき、第1のセンサをオン状態に切り替える、又は第2のセンサからの出力が前記予め決められた特性を表示してから設定された時間経過後に第1のセンサをオン状態に切り替えるためのコントローラ、を具備している。
【0043】
第2の展開の第5の観点において、本発明は、飲み込むことが可能な嚥下型カプセルの形態における検査デバイスを提供することであり、そのデバイスは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサ、前記第1及び/又は前記第2のセンサからの出力に基づくデータを外部装置に送信するためのトランスミッタ、及び検査デバイスが身体の特定の位置にあることを示す第1のセンサ出力における特性の事象を検出するよう構成され、そして検査デバイスの位置を示す位置データを、メモリに記憶し、及び/又は外部装置に送信するよう構成されているプロセッサを具備している。
【0044】
好ましい及び/又は任意の特徴を含む第2の展開のいずれの観点も、他の事情の要求が無い限り、好ましい及び/又は任意の特徴を含む第1又は第3の展開のいずれの観点をも組み合わせることができる。
【0045】
第3の展開
公知のシステムにおいて、カメラ及び無線トランスミッタを有する飲み込むことができる嚥下型カプセルは、病人により飲み込まれる。そのようなシステムにおける困難性は、カプセルの寸法が、飲み込むことができることを必要とするという事実に限定されることである。それ故、カプセルの内側空間と、それにより運ぶことができる構成物の数は、非常に限定されている。
【0046】
カプセルを小さく形成し、又はカプセルの内側にある必要な電気構成物を簡略化することによりカプセルの内側の利用可能な空間を増大することは望ましいことである。また、カプセルの電力消費を最少化することは望ましいことである。しかしながら、カプセルの機能性及びデータの完全性に影響を与えることなくこれをなすことは困難である。
【0047】
したがって、最も一般的には、第3の展開の第1の観点において、本発明は、第1のデータ検査及び送信モジュール、及び第1のモジュールからのデータを受信し、第1のモジュールの電力における変動によるずれを補償するよう構成された第2の受信モジュールとを具備するシステムを提供することである。この方法において、第1のモジュールは非常にシンプルに作成することが可能であり、そしてユーザにかなり正確なデータを常に提供できるように、第2のモジュールが、これらの欠点を補償することができるので、比較的に不正確なクロック、及び/又は電力の変動を有している。
【0048】
本発明は、人間若しくは動物の体からデータを収集するために特に有用であると同時に、また食料及びプロセスコントロール産業において、並びに、実際のところ、データ検出及び送信デバイスが小型若しくは軽量に維持されるように、又は最少の消費電力を持つようにあらゆる状況において適用される。
【0049】
第3の展開の第1の観点において、本発明は、データを収集するための装置を提供することであり、その装置は、
第1のクロックと、少なくとも1つのセンサと、前記第1のクロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給と、及び前記少なくとも1つのセンサからのセンサデータを送信するためのトランスミッタと、を有する第1のモジュール、並びに
第2のクロックと、レシーバと、及び前記第1のモジュールのトランスミッタから送られたデータを受信し、第1のクロックのクロックレートを推定し、前記推定され第1のクロックレートに基づいてセンサデータを調整することにより、前記第1のモジュールの電力源の電力における変動について、受信したセンサデータを補償するプロセッサと、を有する第2のモジュールを具備している。
【0050】
センサデータは、少なくとも1つのセンサによりなされた測定に基づくものでもよい。好ましくは、第1のモジュールは、人間若しくは動物の体の内部、又は通路に配置されていると都合がよい。
【0051】
上記の構成は、第1のモジュールの電力供給から出力された電力における変動ために生じる、第1のモジュールからのセンサデータにおけるずれを、第2のモジュールが補償することが可能である。通常、電力供給から出力された電力における変動は、センサにより測定された値における変動に応動するものであろう(例えば、幾つかのセンサ及びADCのための、与えられた刺激に反応する出力は、電力供給により供給された電力と比例関係を有するものである。)。それ故、上記の装置では、第1のモジュールの電力供給からの電圧を調整するために大きな(及び電力を消耗する)電圧調整回路を無くすことが可能となる。
【0052】
これは、第1のクロックの周波数、又はクロックレートが電力供給から受け取った電圧に関連することを発明者の観察により可能となったものである。それ故、第1のクロックのクロックレートを推定し、その変動を通知することにより、センサデータにおける変動を(に対応する)補償を行うことが可能となる
【0053】
第1のクロックのクロックレートを「推定」するということは、データが第2のモジュールにより受け取られるときのレートを通知し、そしてデータが受け取られたときのレートに基づいてセンサデータを補償することを含んでいる(なぜなら、データが第2のモジュールにより受け取られたときのレートが、幾つかの送信プロトコルの中にあり、第1のクロックのクロックレートに直接関連するためである)。
【0054】
好ましくは、第1のモジュールのトランスミッタはワイヤレスのトランスミッタであり、そして第2のモジュールのレシーバはワイヤレスのレシーバである。「ワイヤレス」とは、二つのものが有線通信リンクにより互いに接続されているものではない(これは可能であるが、好ましくはない)。好ましくは、トランスミッタがラジオトランスミッタ(ラジオ周波数トランスミッタ)であり、レシーバはラジオレシーバ(ラジオ周波数レシーバ)である。他の可能性としては、磁気誘導、音又は光の通信リンクが含まれる。
【0055】
好ましくは、第1のモジュールは飲み込むことが可能な嚥下型カプセルである。それは、人間の消化器系を通る通路、特に腸のためにデザインされてもよい。典型的には、約大きなビタミン錠剤の大きさであるが、如何なる場合においても通常は40mmx12mmより大きくないであろう。
【0056】
また、カプセルを動物の消化器系を通る通路のためにデザインしてもよく、特に家畜、例えば畜牛、羊及び豚などを含むが、これらに限定されるものではない。カプセルが動物の胃の中に止まらないように、カプセルは50mmより短い大きさが好ましい。ほ乳類に追加して、本発明は非ほ乳類、例えば養殖の魚に使用してもよい。
【0057】
また、第1のモジュールは体、好ましくは人間の身体に植え込むためにデザインされた移植物でもよい。好ましくは、モジュールを通りすぎて体液が通路を流れるようにモジュールは開口を有しており、例えば環状でもよい。好ましくは、第1のモジュールが大腸に挿入されるよう設計されていてもよい。
【0058】
また、第1のモジュールは、動物の体に植え込むために設計されたインプラントでもよく、例えばそれは動物の胃の中に「刺さる」又は配置されるものであろう。この場合において、典型的に、13cmより短く、好ましくは畜牛用としては12−13cmであり、羊用としては10cm以下である。
【0059】
一般的に、第1のモジュールは、各時間で測定されたセンサの読みにそれぞれ対応する一連のセンサの値を出力し、そしてそれぞれのセンサの値のために、第2のモジュールのプロセッサは、前記センサの値が読み取られたときの第1のクロックのクロックレートを推定し、前記第1のモジュールの電力供給からの電力における変動を補償するようそれぞれのセンサの値を調整する。
【0060】
好ましくは、予め決められたデータ量を受け取るように第2のモジュールのために設定された第2のクロック、及び予め決められたデータ量を出力するように第1のモジュールのために設定された第1のクロックのクロック周期の公知の数に従った、時間区分に基づいて、第1のクロックのレートは推定される。クロック周期の数は、データを出力するための第1のモジュールにおけるプロセッサの構成又はプログラミングから知ることが可能であり、及び/又は第1のモジュールにより使用された送信プロトコルから知ることができる。予め決められた量としては、例えば単一ビットのデータ、又は1バイトのデータでもよい。
【0061】
例えば、1バイトのデータを伝送するために、第1のモジュールのための第1のクロック周期がxであり、第2のモジュールがt秒間に1バイトを受け取ることが知られている場合、第1のクロックレートは、x/t Hzである。
【0062】
好ましくは、補償は、センサと電力供給により供給された電圧との予め決められた関係(i)、及び第1のクロックのクロックレートと電力供給により第1のクロックに供給された電圧との間の予め決められた関係(ii)に基づいて実行される。例えば、センサにより読み取られたセンサの値は、それらが読み取られるときの電力供給電圧に比例してもよく、若しくはセンサデータの値は、センサに接続されたADC又は増幅器に対して電力供給により供給された電圧に比例してもよい。電力供給電圧(V)は、指数関数的な式、対数の式、又は多項式に従って第1のクロックのクロックレート(f)に関連してもよい。他の可能性は、当業者に明白であろう。これらの予め決められた関係は、実験上、又は理論上でもよい。電力供給電圧(V)と一実施例における第1のクロックのクロックレートとの間の関係は、
V=Alog10f+B
である。ここで、AとBは一定である。
【0063】
好ましくは、センサデータは、そのデータが1つ又はそれ以上のデータパケットに分かれるプロトコルに従ってトランスミッタにより送信され、各データパケットは予め決められた固定長を持っており、この構成において、各データパケットは、信号送信のない期間(「ゼロ期間」)により、他のデータパケットから分離されている。これは、データパケット間のギャップ(「ゼロ期間」)に基づくノイズからデータパケットを容易に識別することができるように、第2のモジュールためになされている。例えば、繰り返しルーチンは、信号が送信されていない「ゼロ」期間に挟まれた期間のデータパケットを見つけるために、信号の両端からサーチすることができる。好ましくは、信号が送信されていない期間の長さは、データパケットの期間の長さより長い。一実施例において、マンチェスタシステム(Manchester system)は通信プロトコルとして使用されている。
【0064】
好ましくは、各データパケットは、データパケットの開始をマークする1つ以上のビットのスタートシーケンスと、データパケットの終了をマークする1つ以上のビットのストップシーケンスを有している。これはデータパケットの識別をさらに補助するものである。
【0065】
好ましくは、前記第1のモジュールから前記第2のモジュールへの信号送信は非同期である。ここで非同期とは、信号送信が、データが送られたときの時間に関連するデータを含まないことを意味する。一般的に、送信プロトコルに同期し認識するために、2つのモジュールが互いに通信するという事前の「ハンドシェーキング」ステップを、非同期送信では要求するものではない。好ましくは、第1のモジュールは、次のデータパケットを送る前にデータパケットの受け取りを確認するよう、第2のモジュールを待たない(例えば、RS322プロトコルにおけるように)。これは、可能であるけれども、第1のモジュールのサイズと電力消費が増大するという、第1のモジュールのレシーバが求められるであろう。
【0066】
好ましくは、少なくとも1つのセンサは、温度センサ、カメラ、血液センサ。pHセンサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、又は圧力センサから選ばれる。他の可能性のあるセンサは、この明細書を読んでいる当業者であれば明白であろう。特に、センサは、第1の展開に関して述べたセンサアレイであることが好ましい。
【0067】
好ましくは、第1のモジュールは、第1のモジュールの電力供給から出力された電圧を調整するためのレギュレータを持つものではない。これは、電力を削減するものであり、実現可能である、なぜなら第2のモジュールが第1のモジュールの電力供給における変動を補償することができるためである。
【0068】
第1のクロックは、20より少ない代表値Qを有する低Qクロックを持ってもよい。発振器の品質因子、Qは、その共振幅により分割されたその共振周波数として定義されている。
【0069】
一般的に言えば、高Qということは発振器が自然共振周波数に近い周波数だけを出力すると言うことであるので、Qが高くなれば、その出力周波数はより純粋になる。しかし、このシステムは、中心周波数を使うことにより低Qの共振器でさえ扱うことができる。さらに、より正確なクロックは、送信されたセンサデータに時刻を刻印する(時刻を対応付ける)ように第2のモジュールの中で使用することができるので、第1のモジュールのクロックに対する正確で安定した要求はさらに緩和され得る。
【0070】
それ故、低消費電力を持つ小型で低価格の発振器は、第1のモジュールにおけるデータの処理と送信を調整するために、水晶発振器に代わって使用することができる。例えば、RC緩和発振器、リング発振器、双安定マルチバイブレータ、コルピッツ発振器、又はハートレー発振器が使用されるであろう。他の安定した低Qの発振器は、当業者には明らかであろう。
【0071】
好ましくは、第1のモジュールのトランスミッタは、CDMAシステムに従って送信する。これは、(ベースステーションとして機能する)第2のモジュールと通信するための幾つかのチャンネルを持つ可能性を含んでいるという幾つかの有利な点を持つものである。好ましくは、上記で定義したように、複数の第1のモジュールがあり、各第1のモジュールは異なるチャンネルで送信する。また、複数の第1のモジュールは、周波数分割多重方式を使用する第2のモジュールで通信してもよい。
【0072】
第1のモジュールは、第2のモジュールにおけるトランスミッタから送信された信号を受け取るためのレシーバを有してもよい。この場合、第1と第2のモジュールとの間の通信リンクは、単方向又は双方向でもよい。複数の第1のモジュールのそれぞれにおけるレシーバの存在は、時間分割多元接続方式に従って第1のモジュールと第2のモジュールとの間で実行されるように通信を可能とするものである。
【0073】
第2のモジュールのトランスミッタは、好ましくはワイヤレストランスミッタであり、そして第2のモジュールのレシーバは、ワイヤレスレシーバである。「ワイヤレス」とは2つが有線通信リンクにより互いに接続されていないものを意味する(有線リンクは可能であるが、好ましくはない)。好ましくは、トランスミッタはラジオトランスミッタ(ラジオ周波数トランスミッタ)であり、そしてレシーバはラジオレシーバ(ラジオ周波数レシーバ)である。他の可能性のあるものとしては、磁気誘導、音又は光通信リンクが含まれる。
【0074】
好ましくは、プロセッサは、確率ヒストグラムを形成し、電圧閾値を決定し、アナログ信号における「0」と「1」を識別するために、レシーバからのアナログ信号を前処理するよう構成されている。この方法において、「0」と「1」のための閾値が動作状況に適合するよう調整され、精度を改良することができるので、弱い信号でさえ検出することが容易となる。
【0075】
第1のモジュールは、通常それ自身のプロセッサとメモリを有している。メモリは、読み出し専用メモリ、読み出し書き込み可能なメモリ、例えばDRAM,SRAM若しくはFLASHでもよく、又はメモリの両方の形式を含むものでもよい。読み出し書き込み可能なメモリは(もし存在するなら)、プロセッサで使用するためのプログラムを記憶するために使用してもよく、この方法において、第1のモジュールの動作は柔軟になされる。また、メモリは第2のモジュールから送られた指令、若しくは検出されたデータ等に関連するデータを記憶してもよい。
【0076】
第1のモジュールから第2のモジュールに送信されたデータは、第2のモジュールからさらなる分析のため、若しくはユーザに表示するために他のデバイスに送信してもよい。例えば、データを携帯電話や他のデバイスにブルートゥース又は他のプロトコルを介して送信するよう構成してもよい。第2のモジュールはサーバに連結してもよく、それによりデータを見ることができ、及び/又は第2のモジュールはインターネット又は他のネットワークを介して遠隔的に操作される。モジュール間及び他のいかなるデバイスへのデータ送信、そしてネットワークを介したいかなるアクセスでも、暗号化、個人鍵と公開鍵の技術、又は他の安全性のプロトコルによりセキュリティを確保してもよい。
【0077】
第3の展開の第2の観点において、本発明は、嚥下型カプセル、又は人間の体に植え込むためのインプラントの形態における検査デバイスを提供するものであり、この検査デバイスは、クロック、少なくとも1つのセンサ、前記クロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給、及びセンサデータを前記少なくとも1つのセンサから送信するためのトランスミッタを具備するものであり、この構成において、検査デバイスは、電力供給から出力された電圧を調整するためのレギュレータを有しておらず、及び/又は非同期プロトコルに従って外部装置にデータを送信するよう構成されている。
【0078】
この構成は、低消費電力で低価格の構成で小型の検査デバイスを提供することができる。
【0079】
第3の展開のこの第2の観点の検査デバイスは、第3の展開の第1の観点に関連する前述の第1のモジュールのすべての特徴を持ってもよい。
【0080】
好ましくは、検査デバイスは、外部装置からのデータを受信するためのレシーバを持つものではない。これは、検査デバイスを小型で電力消費の低減の維持を可能とする。
【0081】
好ましくは、検査デバイスのクロックは20より小さいQの値を有する低Qクロックである。
【0082】
好ましくは、少なくとも1つのセンサが血液センサである。しかしながら、例えば第3の展開の第1の観点で述べたように、多くの他のセンサが使用できる。さらに、第3の展開の第1の観点におけるように、検査デバイスは1つより多くのセンサを有している。
【0083】
好ましくは、検査デバイスは1つ以上の溝を持つ外側ケースを有しており、その溝は外側ケースの1つ以上の開口に向かって流動体を流すためのものである。また、この特徴は、第3の展開の第1の観点、若しくはいかなる展開の観点に対しても適用してもよい。これはセンサとこれらのセンサが検出している環境との間の接触を容易なものとするものである。
【0084】
第3の展開の第3の観点において、本発明は、外側ケース、少なくとも1つのセンサ、及び前記少なくとも1つのセンサにより測定された値に基づくセンサデータを送信するためのトランスミッタを具備する嚥下型カプセルを提供するものであり、この構成において、カプセルの外側ケースは、腸の器官を通過するときにカプセルが回転するよう、少なくとも1つのヘリカル溝、突起、又は刻みを有している。カプセルの回転は、それらが示している方向における一方向だけでなく、周りの環境の全てからデータを収集することができることを意味し、それにより利用できるデータが増大し、センサの数量が削減される。
【0085】
第3の展開の第3の観点の嚥下型カプセルは、第1のモジュール、若しくは前記の観点と展開における検査デバイスの全ての特徴を有してもよい。また、本発明の如何なる展開において他の観点の全てを組み合わせることも自由に行うことが可能である。
【0086】
第3の展開の第4の観点において、本発明は、第1のクロックと、少なくとも1つのセンサと、前記第1のクロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給と、及び前記少なくとも1つのセンサからセンサデータを送信するためのトランスミッタと、を有する第1のモジュール、及び
第2のクロックと、レシーバと、及びプロセッサと、を有する第2のモジュール、を具備するシステムにおけるデータの送受信の方法であって、
前記少なくとも1つのセンサの出力に基づいたセンサデータを第2のモジュールのレシーバに送信するステップ、及び
第1のクロックのクロックレートを推定し、前記推定された第1のクロックレートに基づき、センサデータを調整することにより、前記第1のモジュールの電力供給部の電力における変動について、前記受信されたセンサデータを補償するために第2のモジュールのプロセッサを使用するステップ、を有する方法。
【0087】
好ましい及び/又は任意の特徴を含む第3の展開のいずれの観点も、他の事情の要求が無い限り、好ましい及び/又は任意の特徴を含む第1又は第2の展開のいずれの観点も組み合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0088】
図1は飲み込むことが可能な嚥下型カプセルの形態における検査デバイスを示している。カプセルは、患者が飲み込むことができるように、そして胃腸管を通るようにデザインされている。これは、胃腸病の診断において使用される、胃及び腸からのデータを収集するために特に有用である。しかしながら、本発明はこのような適用に限定されるものではなく、カプセルを体の他の部位、若しくは他の環境からのデータを収集するために使用してもよい。
【0089】
カプセルは、体内の液体及び酸から検査デバイスの内部電気構成品を保護する外側ケース2を有している。嚥下型カプセルは、典型的には、大きなビタミン剤のサイズであり、しかし消化器官を通る大きさであり、胃袋に止まらないような大きさでなければならず、それ故、約40mmx12mm(人間の場合)の最大サイズを有している。もし、動物に使用する場合には、カプセルは動物の胃袋に止まらないように50mmより短い大きさにすべきである。カプセルとその構成品は、好ましくは、人間若しくは動物の体の中で使用して安全で、且つ関連する規制された機関(例えば、FDA、又はMHRA 規格)により承認された材料で形成されるべきである。
【0090】
本発明は嚥下型カプセルに限定されるものではなく、人間若しくは動物の体に植え込むためにデザインされた検査デバイスに適用することも可能である。例えば、検査デバイスは内臓の1つ、特に下部腸に植え込むようにデザインされていてもよい。この場合(人間の場合)、それは40mmx12mmの最大サイズを持つであろうし、体液が通るための開口を有する環状のリング、若しくは他のデバイスの形態が好ましい。他の実施例において、検査デバイスは、100mmx100mmの最大サイズを持つ腹部又は胸部の移植デバイスでもよい。動物のための場合、例えば突き刺されるように設計されたり、若しくは動物の胃の中に移植したり、配置されるようデザインしてもよい。この場合、デバイスは、典型的に、13cmより短く、好ましくは畜牛のためには12−13cmであり、羊のためには10cm以下である。全ての場合において、移植デバイスは適切な材料で、関連する規準に従ってデザインされることが好ましい。
【0091】
図1の実施例における検査デバイスは、第1の物理的パラメータを測定するための第1のセンサ5と、第1のパラメータと異なる第2の物理的なパラメータを測定するための第2のセンサ10を有している。典型的には、センサは、検査デバイスのケース2における開口により体に晒されるか、又はケース2の外側から突出して、若しくはケース2の外側上に実装されてもよい。検査デバイスは、例えば、pHセンサ、温度センサ、血液センサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、生物化学的センサ、音響センサから選択される。このリストは本発明を限定するものではなく、他の可能性は当業者にとって明らかであろう。本実施例においては2つのセンサの場合であるが、たった1つのセンサ、若しくは3つ、4つ、若しくはそれ以上のセンサを持つ検査デバイスを有することも可能であろう。
【0092】
また、検査デバイス1は、プロセッサ15、メモリ20及びトランスミッタ25を具備している。第1及び第2のセンサ5,10は、トランスミッタ25を介して外部装置に送信できるように、センサ5,10から出力されたデータを処理するよう構成されたプロセッサ15に接続されている。また、プロセッサ15は、後でさらに詳細に述べるように、センサ5,10の較正を実行するよう構成されている。第1のメモリ20はプロセッサ15に接続されており、そしてプロセッサで実行するためのプログラムと、プロセッサにより生成された較正データを記憶するよう使用される。プロセッサ15とメモリ20は、好ましくは、システムオンチップ(SoCデザイン手法)によりデザインされた単一集積チップ上に設けられている。センサ5,10とトランスミッタ25は、混信を少なくするために分割した回路に設けられ、互いに絶縁されている。
【0093】
トランスミッタ25は有線送信でもよいが、好ましくはワイヤレス送信、例えばラジオ周波数トランスミッタ、又は磁気誘導トランスミッタである。それはデータを検査デバイス1から外部装置に送信するよう構成されており、標準のプロトコル、例えばRS232、又は特別注文のプロトコルを使用してもよい。また、検査デバイス1は、1つ以上の酸化銀電池の形態で、図1に示していない、電力供給を具備している。他の実施例においては、他の電池、又は外部の無線電源により電力供給される誘導ループが代わりに用いられるであろう。
【0094】
図2は身体からのデータを収集するためのモジュラーシステムを示している。システムは、第1のモジュール1と第2のモジュール50を具備している。第1のモジュール1は嚥下型カプセルであり、これは図1を参照して既に述べたものであり、同じ参照符号を付けている。また、第1のモジュールは、既に述べたように人間に移植するようデザインされた検査デバイスである。第2のモジュール50はベースステーションである。ベースステーションは、第1のモジュール1から送信されたデータを受信するためのレシーバ60、受信したデータを処理するための第2のプロセッサ70、第2のプロセッサ70を実行するためのプログラムを記憶し、データを記憶するための第2のメモリ80、及びベースステーションにより受信され処理されたデータを表示するためのディスプレイユニット90、を具備している。ベースステーションは多くの形態を採ることができる。例えばラップトップコンピュータ、PC、又は特別注文のデバイスでもよい。後の場合、例えばベルトのように、ユーザの腰に巻き付けられるようにすることはベースステーションにとって便利かもしれない。また、検査デバイスとベースステーション50との間に1つ以上の中間モジュールを有することはシステムにとって可能である。例えば、検査デバイスのトランスミッタ25により送信された信号を受信し、そしてその信号をベースステーションに中継するための中間モジュールが存在するであろう。中間デバイスはデータの処理を行ってもよいし、行わなくてもよい。それはベルトの中に設けてもよいし、患者が身につけることができる他のものに設けても便利である。
【0095】
図3は第1のモジュール1と第2のモジュール50を有するモジュラーシステムの他の例を示している。第1のモジュール1と第2のモジュール50は、図2に示した第1と第2のモジュールとほぼ同じであり、同じような部品には同じ参照符号を付している。それ故、違いのみ以下に述べる。図2においては、検査デバイス1とベースステーション50との間の一方向通信リンク、即ち検査デバイスからベースステーションへの通信システムであるが、図3のシステムにおいては、双方向に通信が可能である。検査デバイス1はトランスミッタ25とレシーバ30の両方を有している。同様に、ベースステーション50はレシーバ60とトランスミッタ100の両方を有している。この方法において、データは検査デバイス1からトランスミッタ25及びレシーバ60を介してベースステーション50に送ることができる。また、データ及び/又はインストラクションは、ベースステーションのトランスミッタ100と検査デバイスのレシーバ30を介してベースステーション50から検査デバイス1に送ることができる。検査デバイスのトランスミッタ25とレシーバ30が図3において分かれた構成物として示されているが、単一の構成物、例えばトランシーバとして設けてもよい。同じことはベースステーションのレシーバ60とトランスミッタ10についても言える。双方向通信は半二重又は全二重リンクを介してもよい。図3のシステムにおいて、図2のシステムの場合と同様に、検査デバイス1とベースステーション50との間の信号を中継するために1つ以上の中間モジュールを設けてもよい。
【0096】
嚥下型カプセルと移植(インプラント)検査デバイスの両方のために考慮すべき重要な点は、電気部品から要求される電力を削減し、又は最少とすることである。利用可能な電力量は、デバイスのサイズにより限定され、特に、検査デバイスが嚥下型カプセルの場合や、体の小さな部分に移植するためにデザインする場合において限定される。さらに、電力供給が電池により供給される場合、検査デバイスが体から取り出されるか、通過するまで電池を再充電することができません。嚥下型カプセルの場合、電力供給は、19時間、及び、この時間においてなされる測定の全てが興味の無いものとなるまで持続しなければならない。例えば、検査デバイスが大腸からデータを収集するために使用される場合、カプセルが小腸にあるときに採られた読みは興味のないものである。
【0097】
それ故、検査デバイス1は、第1のセンサ5が第2のセンサ10により活性化され得るように構成されている。プロセッサ15は、第2のセンサ10からの出力の中に特定の特性が検出されたとき、第1のセンサ5をオン状態とするようにコントローラとして動作する。これらの特性及びそれらを検出する方法は、メモリ20に記憶されている。
【0098】
一例を挙げると、第1のセンサ5が血液センサであり、更に特定すると、便潜血検査(FOB:Faecal Occult Blood)センサであり、そして第2のセンサ10はpHセンサである。図4は、人間の消化器系を通る第2のセンサにより検出されたpHを示している。検査デバイスが小腸から大腸を通るときにpHの110において特徴的な急落があることを見ることができる。小腸において、pHは7の上で若アルカリ性であり、しかし大腸に入った直後では、pHが7の下で少し酸性である。プロセッサ15は、第2のセンサ10(pH測定)からの出力の中の急峻に下降する特性を検出し、それにより第1のスイッチ5がオン状態に切り替えられる。この方法により、第1のセンサが動作初めの6,7時間がオフ状態に切り替えられているので、電力は削減される。
【0099】
この原理は、血液センサのオンオフの切り替えを調整するpHセンサに限定するものではない。第2のセンサの出力に基づいて第1のセンサを活性化することが望ましい他のいかなる状況においても使用することができる。他の適用は当業者にとっては明白であろう。この方法において、センサにおける1つを少なくともしばらくの間オフ状態とすることができるため、電力を削減することができる。この技術は、第1のセンサがその動作に多くの電力を必要とし、しかし第2のセンサが比較的少ない電力量を必要とする場合には特に価値のあるものである。また、この技術は、第1のセンサが短い動作寿命を有する場合、第1のセンサを必要なときのみオン状態に切り替えることができるように使用され得る。
【0100】
上記例においては、メモリ20には、第2のセンサの出力における特性を検出するように、プロセッサ15を実行するためのプログラムが含まれていた。検査デバイス1がデータを送信のみできるように、検査デバイス1とベースステーション50との間の一方向通信リンクがある図1と図2の実施例において使用されているのが、この技術の一例である。図3の実施例は、第2のセンサの出力に基づき第1のセンサを独立してオンオフ切り替えるように検査デバイスを動作させるために、メモリ20にプログラムを持つことができる。しかしながら、図3の検査デバイスはレシーバを持っているので、代替実行が可能である。この代替実行において、検査デバイスのプロセッサ15は、第1と第2のセンサからベースステーション50へのデータの送信を制御している。ベースステーション50のプロセッサ70は、そこでこのデータを処理し、メモリ80に記憶し、そして必要に応じてディスプレイ90に表示する。プロセッサ70は、第2のセンサからの出力における特性を検出するよう構成されており、この特性の検出に応答して、検査デバイスのプロセッサ15に(ベースステーションのトランスミッタ100と検査デバイスのレシーバ30を介して)インストラクションを送る。このインストラクションは、第1のセンサ5をオン状態に切り替えるようにプロセッサ15に指令するものである。言い換えると、プロセッサ15は、ベースステーション50からのインストラクションに従って、第1のセンサ5のオンオフを切り替えるよう制御する。特性を検出するベースステーション50のプロセッサ70の代わりに、又は追加して、ベースステーション50に指令を入力することにより第1のセンサのオンオフを切り替えるように直接的に指示することは、ベースステーション50のユーザにとって可能であろう。ユーザは、ベースステーションのディスプレイ90に表示されたデータに応答してこれを行うことができる。また、特定の事象が経過した後の設定された期間、第1のセンサをオン状態に1度切り替えることは、制御プログラム又はユーザにとって可能である。
【0101】
センサからの出力における特定の事象が第2のセンサのオンオフを切り替えることを制御するために使用されるだけでなく、検査デバイスの位置を決定するためにも用いることができる。これは、検査デバイスが体を通過する嚥下型カプセルである場合に特に有用である。これを実行するために、マイクロプロセッサ15は、検査デバイス1の位置を示す第1又は第2のセンサ5,10のいずれかから特定事象を検出するように、構成されている。例えば、図4を参照して前述したように、アルカリ性から酸性へのpHにおける特性変化は、カプセルが小腸から離れて大腸へ入ったことを示している。この原理はpHに限定するものではなく、他のパラメータが検査デバイス1の位置を示すために使用され得る。デバイスの位置を示す特性は、センサの出力が、予め決められたしきい値を過ぎる場合、特定の方法において上下する場合、又は他の認識できるパターンを示した場合がある。
【0102】
検査デバイス1のセンサ5,10が較正される方法について、以下に説明する。この明細書において、較正は、センサのダイナミックレンジを適正化すること、実際のパラメータ値をセンサ出力に対応付けること、センサ出力におけるずれを補償すること、センサ出力をオートゼロにすること、及び/又はセンサ出力を所望値と比較すること、を意味するように、一般的な観念において使用されている。これらの較正技術のいずれか、又は全てが、センサの寿命における同じ時点で、或いは異なった時点のいずれかにおいて使用される。以下に、各技術について順に説明する。
【0103】
第1の較正技術はセンサのダイナミックレンジを調整することである。センサのダイナミックレンジは、正確に測定することができる実際の値の範囲である。例えば、0℃から100℃までの領域のどこでも温度を測定することができ、0℃を下回るとき、及び100℃を越えるとき不正確となる温度センサは、0℃から100度のダイナミックレンジを有している。正確に測定することができる値の範囲を改良し、適正化するために、そしてダイナミックレンジがセンサの晒されるおそれのある環境に対応するように、ダイナミックレンジを調整することが望ましい。センサのダイナミックレンジは、センサに接続されたアナログ回路により制御される。例えば、センサに印加されたオフセット電圧は、調整することができる。また、センサが増幅器に接続されている場合、増幅器に印加されたオフセット電圧、又は増幅器のゲインは、センサのダイナミックレンジを調整するために、変更することができる。いくつかの場合において、センサ自身が増幅器(例えば、ISFETがpHセンサとして時々使用される)でもよく、そしてこの場合、センサ自身のゲイン又はオフセット電圧を調整することができる。また、増幅器でない幾つかのセンサは、オフセット電圧を有しており、このオフセット電圧は同じ効果を達成するために調整することができる。
【0104】
図5はセンサ205のダイナミックレンジを制御するための回路を示す図である(同じ手法は検査デバイスの他のいずれのセンサにも使用することができる。)。センサ205は、晒される物理的な刺激、(例えば、周りの環境、又は晒されている物質)に反応してアナログ電圧を出力する。このアナログ電圧は、センサレジスタ210を通って可変増幅器240に入る。可変増幅器240はこの信号を増幅し、増幅した信号をADC250に出力する。ADCはアナログ信号をコントローラ15に入力するデジタル信号に変換する。この実施例において、コントローラ15は図1のプロセッサ15と同じであるが、他の実施例において、これは検査デバイスのプロセッサに接続された分割チップでもよい。ゲイン可変の増幅器240のゲインと増幅器240に印加されたオフセット電圧は、コントローラ15により制御される。オフセット電圧は、所望のオフセット設定を示すデジタル信号をDAC260に出力するコントローラにより制御される。DAC260は、デジタ信号を可変増幅器240の端子241にオフセット電圧として入力されるアナログ電圧に変換する。可変増幅器のゲインは、ゲイン設定を含む制御信号をマルチプレクサ230に出力するコントローラ15により制御されており、このマルチプレクサ230はゲイン設定抵抗215,220及び225に対応する電圧を印加して、その結果ゲイン可変増幅器240の端子242にゲイン設定信号が入力されることになる。プロセッサ15に対するセンサの影響を受けた出力は、ADC250からの出力270である。
【0105】
次に、センサ205(若しくは他の如何なるセンサ)のダイナミックレンジを調整するための較正ルーチンを、図6を参照して述べる。較正ルーチンはステップ301において始まる。通常、センサ205のダイナミックレンジの調整又は適正化のための較正ルーチンは、検査デバイス1が最初にオン状態に切り替わったときに実行される。検査デバイス1は、デバイス内部の電磁スイッチを励起することにより都合よくオン状態に切り替えることができる。ステップ302において、ダイナミックレンジが調整されるセンサ205は、オン状態に切り替えられる。ステップ303において、センサ205は較正標準(即ち、公知の刺激)に晒される。較正標準は、参照電圧、デバイスが乾燥(即ち、空気中)している時の公知の反応、又は公知の物質でもよい。好ましい技術は、検査デバイスが較正流体で満たされた包みの中に入って販売され、そして包みのシールが剥がされる前に較正は実行される(例えば、デバイスをオン状態に電磁的に切り替えることにより)、ことである。この方法においては、較正がユーザに不便をかけることなく素晴らしく制御された状態の基で行われる。
【0106】
ステップ304において、初期の較正パラメータが設定される。この較正パラメータは、増幅器240(若しくは、他の実施例におけるセンサ205自身)に印加されるべきゲイン又はオフセット電圧のいずれかに関連している。初期較正パラメータは検査デバイス1のメモリ20に記憶されている値でもよい。
【0107】
ステップ305において、出力信号270は、センサ205から取得される。ステップ206において、コントローラ15は、センサ205の取得した出力信号270を較正基準と比較する。較正基準は、センサ205の出力のために望ましい値である。較正基準は、検査デバイス1のメモリ20に記憶されていてもよい。それは、センサ205のための望ましい(例えば、最適の)ダイナミックレンジを与えるために選択された値でもよい。例えば、センサ205がpHセンサであり、較正標準はpH7を有する反応物であり、増幅器240は0−12mVの出力レンジを有している場合、そこで較正標準は7mVにセットされるかもしれない。これは、センサに対して大きなダイナミックレンジを与えるであろう。しかし、pH7に反応するセンサ出力270が11mVであるならば、センサ205のダイナミックレンジはそこで妥協するであろう。この場合、増幅器270は飽和した状態となり、pH8程度で12mVの最大電圧を出力し、ダイナミックレンジはpH8で上限を有することとなる。
【0108】
ステップ306で、センサ205の出力信号270が較正基準を満たした場合、そこで較正パラメータは第1の検査デバイス1のメモリ20に記憶され、そして必要であればベースステーション50に送信される。ステップ306において、センサ出力270が較正基準を満たさなかった場合、コントローラ15は増幅器240のゲイン設定、又はオフセット設定を変更することにより、状況に応じて較正パラメータを増減させる。そこで、出力信号270は再び確認され、ステップ206は較正基準を満たすまで必要なだけ繰り返される。一度、較正基準が満たされたならば、そのルーチンは前述のステップ307に進む。
【0109】
前述において、図6の較正ルーチンは検査デバイス1により自動的に実行される。即ち、較正ルーチンはメモリ20に記憶され、検査デバイスのプロセッサ15により実行される。即ち、検査デバイス1がレシーバを有していない図1,2の実施例においてのみ可能な構成である。しかし、図3の実施例に示したように、検査デバイスがレシーバを有している場合には、ベースステーション50で部分的に実施される較正ルーチンが可能である。この場合、コントローラ15は、センサ出力を単純にベースステーション50に送り、そしてベースステーション50により送られた指令に応じて較正パラメータ(ゲイン及びオフセット)を制御する。ステップ304での初期較正パラメータ及びセンサ出力がステップ306での較正標準を満たしたどうかに関する評価は、全てベースステーションのプロセッサ70により実行され得る。また、ベースステーションのプロセッサ70は、必要であれば、ステップ308で較正パラメータを増減するように、検査デバイスのプロセッサ15を指示することができる。
【0110】
センサのダイナミックレンジの調整が検査デバイス1により独立して、若しくはベースステーション50と共同で実行されようが、最終の較正パラメータを較正データとしてベースステーションに送ることはシステムデバイス1にとって望ましいことである。
【0111】
ADCにより変換された後のセンサ出力は、デジタルであり、通常、センサにより出力された電圧に関連する一連の数である。ただ若干、このセンサデータを測定されたパラメータを示す実際の物理量(例えば、センサの形式に依存しているpH、℃、酸素濃度など)に変換することが必要である。実際の値をセンサデータに対応付けるこの較正ルーチンは、センサのダイナミックレンジを調整するために図6のルーチンと同じときに実行されることが都合がよい。しかしながら、これらの2つのルーチンは、互いに依存するものではなく、独立して実行されてもよい。センサのダイナミックレンジが適正化されるが、実際の値をセンサデータに対応付けない(それで相対的な変化及び絶対的でない値だけが測定される)というシステムを持つことは可能である。また、センサのダイナミックレンジの調整は行わずに、絶対的な値をセンサデータに対応付けるというシステムを持つことも可能である。しかしながら、システムが最適化されたダイナミックレンジより絶対的な物理量を提供するように、これらの較正の機能の両方を実行することは好ましいものである。
【0112】
図7は実際の物理量をセンサデータに対応付けるための較正ルーチンを示す。ステップ401において、図6のルーチンにおけるステップ303で述べたように、センサが較正標準に晒される。実際、このステップは、図6のステップ303と同時に実行される。次に、較正標準に応答してセンサにより出力されたデータを少なくとも含む較正データは、収集される。ダイナミックレンジを調整するために、このルーチンは図6のルーチンと同時に実行される場合、センサ較正データは、ダイナミックレンジが最終的に調整された後に収集されるべきであり、較正基準が満たされたことを単に確認するフラグの形態を取るかもしれない。ステップ403において、較正標準に応答するセンサ出力と実際の物理量との間の関係は、プロセッサにより決定される。例えば、較正されたセンサが温度センサである場合、較正標準は30℃であり、較正標準に反応するセンサの出力は300mVであるとすると、そこでプロセッサは、℃の温度を与えるために、センサ出力を10で割ることができることを決定する。別の場合、特に、関連性が非直線である場合、もっと複雑な関係が決定されねばならないだろうし、1組の較正データより多いデータが必要となるかもしれない。
【0113】
一般的に、実際の値をセンサ出力に対応付けるために、ベースステーション50で実行することは最も効果的である。そのため、ステップ401と402だけを、検査デバイス1により実行し、そしてステップ403をベースステーションで実行することは好ましいことである。この場合、ベースステーション50は、ステップ402において検査デバイスのプロセッサ15により較正データの収集を指示することができる。ベースステーション50が較正標準及び較正基準を既に知っている場合、較正データは、較正基準が満たされていることを示す検査デバイス1から送られた単なるフラグであるかもしれない。別の場合、検査デバイス1は、較正標準及びこの較正標準に応答するセンサの実際の出力の両方に関連するデータを送ることが必要かもしれない。別の場合、ベースステーション50のプロセッサ70は、検査デバイス1のメモリ20に記憶され、ベースステーション50に送信された較正パラメータ(例えば、ゲイン及びオフセット)と、較正標準(即ち、公知の刺激の絶対的な値、例えば、pH8、30℃)とに基づいて関連性を解決することが可能であるかもしれない。
【0114】
また、実際の物理量にセンサ出力を関連させる較正を、検査デバイス1で全体的に実行することが可能かもしれない。この場合において、検査デバイス1は、ステップ403において関連性を決定し、送信プロトコルに従って符号化してベースステーションに送信するために、センサ出力の全てを実際の物理量に変換するよう構成されている。しかしながら、この方法はかなり大きな負荷を検査デバイスのプロセッサに与えるものである。
【0115】
次に、図8を参照して、オートゼロ較正ルーチンについて述べる。センサを無反応で応答するようにすることが望ましい場合がある(若しくはゼロに近い出力)。例えば、絶対的な値よりむしろ、物理パラメータにおける相対的な変化を測定することが望ましいとき、これが使用される。この場合において、最大感度はオートゼロセンサにより達成される。これは、典型的に、検査デバイス1が興味ある場所に到達したときに実行される。オートゼロルーチンは、メモリ20に記憶されたインストラクション20に従って、独立して、検査デバイス1のプロセッサ15により制御される。また、検査デバイス1がレシーバを持っている場合、図3の実施例のように、較正ルーチンは、ベースステーション50のプロセッサ70により発行された指令に従って、検査デバイス1のプロセッサ15により実行される。
【0116】
オートゼロルーチンのステップ501において、較正されたセンサからの出力信号が取得される。ステップ502において、取得された信号が、オートゼロのためにゼロであるかゼロに近いという較正基準を満たしているかどうかをプロセッサは確認する。もし、出力がこの較正基準を満たしている場合、較正パラメータ(ゲイン及び/又はオフセット)が検査デバイス1のメモリ20に記憶され、そして、必要であればベースステーション50に送信される。もし、較正基準が満たされていない場合、較正パラメータ(増幅器又はセンサのゲイン又はオフセット)がステップ503において増減されて、ステップ501及び502において再び確認される。このプロセスは、センサからの出力が較正基準を満たすゼロ又はゼロに近づくまで繰り返される。較正基準が一度満たされると、較正パラメータは、前述のように、ステップ504において記憶される。
【0117】
また、図8のルーチンは、センサが所望値に関連する値を出力するように使用してもよい。例えば、モニタされる体の部分がpH6を有するべきであると知っていれば、較正基準は、全てのセンサ出力がpH6に関連するように設定され得る。この実行において、今までにセンサがpH6に晒された経験の必要がなく、そして較正基準がpH6で期待された出力に基づいて計算される名目上のものであるのに対して、オートゼロルーチンおいて、現在の環境に反応してセンサが0を出力するよう強制される場合を除いて、これはpH6に対するオートゼロとほぼ同じである。
【0118】
最終的に、ずれを補償するためにセンサを較正することは望ましいことである。一定の状況に晒されているときでさえ、多くのセンサはそれらの出力においてずれが徐々に大きくなることが発見されていた。
【0119】
このずれは、検出される物質に物理的に接触する状態となるセンサにおいて、センサに入る物質からのイオンのために、しばしば発生し、物質が無くなった後でさえそのずれは残っている。
【0120】
徐々に生じるセンサずれのための補償用較正ルーチンを図9に示す。ベースステーションのプロセッサ70は、ステップ601において、検査デバイス1から送信されたセンサデータを受け取る。そこで、ステップ602において、センサずれのモデルを調べる。このモデルはベースステーションのメモリ80に記憶されている。このモデルは、時間の経過とともに生じるその形式のセンサのずれに関連する経験的なデータに基づいたモデルでもよい。または、その形式のセンサのためのセンサずれの理論的なモデルに基づくセンサずれの理論的なモデルでもよい。または、ベースステーションのメモリに記憶された予め決められたモデルではなく、センサにより返信された以前の読みに基づき実際に計算されたセンサずれのモデルでもよい。例えば、移動平均法、又は多項式フィットが実際のずれをモデル化するために使用される。この場合において、センサからのデータが変化するのにつれてモデルは変化するだろう。好適な多項式方法は、イルビン他(Irvine et al)、「修正アダムス法を使用した低電力マイクロシステムのための可変レートデータサンプリング(Variable-Rate Data Sampling for Low-Power Microsystems using Modified Adams Methods)、「信号処理のIEEEトランザクション(IEEE Transactions on Signal Processing)」、第51巻、No,12、2003年、12月、に述べられている。その書面において、この方法は、サンプルデータの変化率を反映するように、サンプル率を制御することにより、検査デバイスにおける電力削減の状況において説明されているが、しかし同じ数学的な技術はセンサずれモデルに適用され得る。ずれ補償は、ベースステーションのプロセッサ70により最善に実行される。しかしながら、ベースステーションのプロセッサと検査デバイスのプロセッサとが協同して、若しくは検査デバイスのプロセッサだけで独立して補償を実行することも可能である。補償の一部又は全部が、検査デバイスにおいて実行される場合、これはセンサ、又はセンサに接続された増幅器のゲイン及びオフセット電圧を変更することにより実行してもよい。
【0121】
次に、ISFETのpHセンサにおけるずれのモデル化に関して詳細に検討する。この検討におけるISFETは、約−5Vの、大きな、負極性のスレッショルド電圧を有している。一般的に、ISFETは、それらのCMOS ISFETのために大きなスレッショルド電圧の範囲を有している。フローディング電極のISFETは、メモリに「1」又は「0」を記憶するようにトランジスタのフローディングゲートにトラップされた電荷を使用するEPROM2デバイスと同様の構造を有している。これらのチップは、紫外線(UV)に晒されることによりそれらを消去することを可能とするようパッケージの中に石英窓を有している。
【0122】
UV光は、酸素エネルギバリアを越えて漏れ、ゲートを放電することができるというほどまで、ゲートの電荷を励起する。UV放射は、標準P型MOSFETの値(−0.7V)に対してCMOS ISFETのスレッショルド電圧を増大する効果的な方法であることが示されていた。
【0123】
また、ISFETは、一定のバイアスの状況において、著しいスレッショルド電圧のずれを示していた。これは、電源が15時間の間に次第に900mVまで降下することを示す図10(a)に見ることができる。非CMOSシリコン窒化膜ISFETのためのスレッショルド電圧のずれは、「伸張した指数関数的」な時間依存性により上手くモデル化されていた。水溶液に晒されたとたん、シリコン窒化膜は、水素イオンが物質中に拡散するので、水化した表面層を薄く形成することが知られている。改質された表面層の成長は、スレッショルド電圧に順に作用する全体の絶縁容量に影響を及ぼす。アモルファスシリコンにおいて、表面層は「分散型輸送」として知られている機構により成長することが知られており、その厚みは伸張した指数関数的な時間依存性に追随している。他のガラス質の材料、例えばシリコン窒化膜、の表面層が同じ手段において成長すると考えることは妥当である。層の厚みは伸張した指数関数的な時間依存性を有しているので、それでスレッショルド電圧のずれは:
VT(t)=VT(∞){1−exp_-t/τ}β (式1)
である。
【0124】
ここで、水素の分散型輸送を特徴としている、VT(∞)はずれの結果として生じたスレッショルド電圧における最終の変化であり、τは時間常数であり、及びβは分散パラメータである。非線形曲線当てはめアルゴリズム(Levenberg-Marquardt法)は、式1のパラメータ、[VT(∞)、τ、β]をVT(t)(−□VS(t)に等しい)の測定された値に当てはめるように使用された。この方法により計算された値は:
VT(∞)=963mV、τ=3.48h、β=0.722であった。
【0125】
図10(b)の曲線は、5mV/hより小さい123のモデル化されたずれレートが溶液中で、且つバイアスの下で18時間後に達成されることを示している。対照的に、他の研究において、非CMOSシリコン窒化膜ISEFETのために抽出された値は:
VT(∞)=79.7mV、τ=53.4h、β=0.613であった。
【0126】
その研究において、ここで測定された値より、最終的なずれVT(∞)は12分の1と小さく、そして時間常数τは15倍長かった。小さいずれと長い時間常数は、窒化層を形成するために使用された析出方法により説明できるであろう。その研究では、幾つかのピンホールを有する高密度フィルムを結果としてもたらす高温度(700−800℃)方法である低圧化学蒸着法を使用した。aCMOS処理において使用される窒化膜パッシベーション層は、金属層の後に析出され、それで低温度(250−350℃)のプラズマ促進化学蒸着(PECVD)処理が使用されねばならない。PECVDにより析出されたフィルムは、低密度で、ピンホールを含んでいる。これは、水素を窒化物にさらに素早く拡散するものであり、そしてこの研究において測定されたより大きなずれと小さな時間常数を説明できるものであろう。
【0127】
同じ曲線当てはめ技術は、図11におけるpH感度測定からのずれを除去するために使用された。スレッショルド電圧は、−3.3ユニットのpHの変化により約−159mV変化し、pH当たり48mV/pHの感度が与えられている。図11(a)は測定されたpH溶液における変化に反応するISFETスレッショルド電圧のグラフであり、図11(b)は適用されたずれ補正に対する反応を示す。
【0128】
前述のpHセンサに適用された較正ルーチン及び手法がセンサの他の形態にも応用できるということは、当業者は分かるであろう。特に、同様の較正ルーチン及び手法がセンサ素子のアレイで構成されたセンサに適用でき、例えば、以下に詳細に述べる便潜血(FOB)を検査することができるセンサ素子のアレイに適用できる。好ましい実施例において、そのようなアレイの各素子は、一回限りのセンサ(ワンショットセンサ)である。したがって、1つのセンサ素子の出力がアレイにおける他のセンサ素子の出力を較正するよう使用できるように、較正が動作することができる。また、センサの異なった形式(例えば、pH又は温度センサ)の出力は、センサ素子の1つ以上の出力を較正するために使用することができる。
【0129】
図12から14は図1から3のデバイスとシステムの変形例を示す。このため、同様の参照番号が使用される。以下、追加の特徴部分だけを詳細に述べる。
【0130】
図12から14において、メモリ20はROM及び書き換え可能なメモリ(例えば、EPROM)の両方を具備し、書き換え可能なメモリは、プロセッサ15において実行するためのプログラム、及びプロセッサにより生じたデータを記憶する。メモリは書き換え可能な部分を持っているので、検査デバイスは製造後、及び動作中においてさえプログラムを書き換えることができる。
【0131】
また、検査デバイス1は、検査デバイスの各種コンポネントに電力を供給するための電力供給12、及びプロセッサ15の動作を調整するための第1のクロックを具備している。電力供給は、1つ以上の酸化銀電池の形態である。他の実施例においては、他の電池、即ち外部のラジオ周波数源により励起される誘導ループが代わりに使用されるであろう。
【0132】
図13はデータを収集するためのモジュールのシステムを示す。このシステムは第1のモジュール1と第2のモジュール50を具備している。第1のモジュール1は、図12を参照して既に述べたように、飲み込むことが可能な嚥下型カプセルであり、これには同じ参照符号を付している。または、第1のモジュールは、既に検討したように人間若しくは動物の体に移植するためにデザインされた検査デバイスであってもよい。また、さらなる実施例において、検査デバイスはセンサを有し、そして第2のモジュールにリンクされている如何なるデバイスでもよく、嚥下型カプセルや体に移植するものでなくてもよい。例えば、検査デバイスは局所適用のために、例えば包帯の中に用いてもよい。
【0133】
第2のモジュール50はベースステーションである。ベースステーションは第1のモジュール1から送信されたデータを受信するためのレシーバ60、受信したデータを処理するための第2のプロセッサ70、第2のクロック23、第2のプロセッサ70を実行するためのプログラムを記録しデータを記憶するための第2のメモリ80、及びベースステーションにより受信されたデータ及び処理されたデータを表示するための表示ユニット90を具備している。ベースステーションとしては、多くの形態がある。例えば、ラップトップコンピュータ、PC、又は特別注文のデバイス等である。後段のデバイスの場合、ユーザの腰に巻き付けられるベースステーション、例えばベルト、が便利かもしれない。第2のクロック23としては正確な時計、例えば水晶発振器が好ましい。それは、後で詳細に述べるように、第2のプロセッサ70を調整し、第1のモジュールから受け取ったデータに時刻を刻印するために用いられる。これらの2つの機能は、必要であれば、第2のモジュールの中の2つに分かれたクロックにより実施されてもよい。
【0134】
図13と14には示されていないけれど、システムは、検査デバイス1とベースステーション50の間に1つ以上の中間モジュールを有することが可能である。例えば、検査デバイスのトランスミッタ25により送信された信号を受信するため、及びベースステーション50に対して信号を中継するための中間モジュールである。中間デバイスは、データの処理を実行してもしなくてもよい。それは、患者に巻き付けられるベルト、又は他のアイテムの中に設けると便利かもしれない。図15は、本発明で使用され得る第1と第2のモジュールの各種構成例を示す。図15(a)において、小さい(s)第1のモジュール1は大きな(L)第2のモジュール50に連結されている。ここには、図13及び14に示されているように、1つの第1のモジュール及び1つの第2のモジュールがある。図15(b)においては、ベースステーションとして動作する第2のモジュール50とそれぞれが交信する複数の第1のモジュール1aから1fがある。これは、例えば、CDMA、又はTDMA等の手法を用いて複数のチャンネルに通信帯域を分割することにより達成することができる。TDMAを働かせるためには、第2のモジュール50から送信された信号を受信するためのレシーバを有することが、第1のモジュール1aから1fには必要である(図14に示されているように)。図15(c)において、第1のモジュール1aから1cは、中間モジュール7aに繋がる通信リンクを有している。中間モジュール7aは大きな第2のモジュール50に繋がる通信リンクを有している。中間モジュール7aは、第1のモジュール1aから1cの信号を受信し、ベースステーションとして動作する第2のモジュール50に信号を中継するよう構成されている。第1のモジュール1dから1fは、ベースステーション50に信号を中継する中間モジュール7bに繋がる通信リンクを有している。
【0135】
他の実施例において、モジュール7aがベースステーション(即ち、本発明に係る第2のモジュール)となることも可能であり、そして大きなモジュール50がベースステーション7a又は7bから送られたデータを記憶、及び/又はそのデータのさらなる処理を実行するための遠隔デバイスとなることも可能である。この場合において、遠隔デバイス50は、例えばコンピュータネットワーク、若しくはインターネットによりモジュール7aと7bに繋がったコンピュータ又は記憶装置でもよい。
【0136】
検査デバイスの電力需要を規制するためには、検査デバイス1の電力供給回路が単純な構成を維持し、電圧調整器を含むものでないことが好ましい。電圧調整器が無いと、空間は節約され、電力消費は削減される。さらに、検査デバイス1(以下、第1のモジュールという。)の第1のクロック3は、RC緩和発振器である。第1のクロックのための可能性のある他の代替物には、非安定発振器、マルチバイブレータ、コルピッツ発振器、またはハートレー発振器が含まれる。これらのクロックは、水晶発振器を使用した従来のものより、小さく、低価格で、消費電力が少ないものである。他に可能性のあるものとしては当業者には明らかであろう。水晶発振器と異なる前述のクロックは、低いQを有している。しかしながら、10から20のQであれば、中心周波数を簡単に識別できるので、システムはそれでも動作することができる。2−10の範囲のQを有するクロックでもまた動作可能であろう。この実施例においては、空間を節約するために、第1のクロック3が、プロセッサ15とメモリ20と同じICに設けられている。しかしながら、分割チップや回路基板上に実装されたものでも可能であろう。
【0137】
電源供給が調整されていないので、その出力電圧は不安定である。出力電圧は、時間経過(例えば、電池が消耗するように)により、及び環境条件の変化(例えば、温度)に反応して、変動する。第1のモジュールの電子部品は、電源供給電圧における変化により影響を受ける。例えば、センサの全ては、ADCによりプロセッサ15に接続されている。ADCの反応は、電源供給電圧に依存して変動する(通常、比例)。センサの幾つかは、電源供給から供給された電圧に依存し、(例えば、多くの温度センサの出力は一定温度で電源供給電圧に比例して変動する)、反応してそれら自身がまた変動する。したがって、第2のモジュールに送信されたセンサデータは、センサにより測定された値を全体的に正確に反映していない、なぜならこれは電源供給電圧による変動により破壊されたものであるためである。第1のモジュールの第1のクロック3の周波数(クロックレート)が電源供給電圧に従ってまた変動するので、第2のモジュールは、これらの変動を補償することが可能である。
【0138】
したがって、各センサの値、又はセンサの組の値がセンサ5,10により測定されたときに、ベースステーション50(第2のモジュール)が第1のクロック3の周波数を検出し、又は評価することができる場合、これらのセンサの値をそれ相応に補償することができる。
【0139】
補償は、センサデータの各部分のために(即ち、センサ値又はセンサ値の組のそれぞれのために)第1のクロック周波数を最初に決定することにより実行され得る。第1のクロック周波数を評価するための方法は、後で述べる。第1のクロック周波数から、電源供給電圧と第1のクロック周波数との間の予め決められた関係に基づき電源供給により供給された電圧を算出することは可能である。この予め決められた関係は、実験的に又は理論的に計算でき、そして確実なクロックの場合には製造業者により特定されるであろう。一実験において、電源供給電圧(V)は第1のクロック周波数(f)に対数的に依存することが見つけられた。これは、V=Alog10f+B、の式で表され、ここで、AとBは一定である。これは、ほんの一例を示したものであり、他のクロックとしては、対数の依存性、又は指数的若しくは多項式の依存性を示すものがある。電源供給電圧が一度算出されると、電源供給電圧とベースステーション50に送信されたセンサデータにおけるセンサ値との間の予め決められた関係に基づいて、補償を実行することができる。予め決められた関係は、理論的又は実験的に算出される。最も多くの場合、第1のモジュールのADCが電源供給電圧における変化に反応して一般的に直線的に変動する出力を有するので、それは比例関係である。
【0140】
第1のモジュールの構造及び機能性について、図16と図17を参照しつつさらに詳細に説明する。図16は、構成物と、第1のモジュール1におけるデータの流れのブロックごとの図である。第1のセンサ5、第2のセンサ10及びN番目のセンサ115が示されているN個のセンサが存在する。これらは、それぞれのセンサ回路121,122,123を介してマルチプレックス130にリンクされている。マルチプレックス130は、センサ回路121,122,123からADC140に信号を多重送信している。そこで、ADC140はセンサ5,10,115により測定された値に基づく信号をプロセッサ15に入力する。プロセッサ15は、メモリ20(外部又は内部)に記憶されたプログラムに従って第1のモジュールの動作を制御する。メモリ20はオンチップのRAMでもよい。また、モジュールはセンサ5,10,115により測定されたパラメータ値に基づくセンサデータをメモリ20に記憶してもよい。プロセッサ15は、測定されたセンサ値に基づくセンサデータをエンコーダ160に転送してもよい。エンコーダ160は、トランスミッタ170を介して第2のモジュール50(又は中間モジュール7a,7b)に送信するために適切なフォーマットにデータをエンコードする。この実施例において、エンコーダは、疑似ランダム(PN)ノイズコード発生器を含むDS−SSエンコーダブロックである。PNコードの長さは、データ送信するための暗号化された乗算処理を提供するために、プロセッサ15により制御されている。PNコードは、符号分割多重アクセスを使用して、幾つかの第1のモジュールが同じベースステーションを分けることができるように配列されている。プロセッサ15の動作及びプロセッサとそれに接続された構成物との間のデータの流れは、第1のモジュールクロック3により規制されている。第1のモジュールは、プロセッサ15をアナログ回路、例えばセンサ又はクロック3を制御することができるDACを含んでもよい。
【0141】
図17は、第1のモジュールの構成物が分かれたチップ上にどのように分けられているかを示すブロック図である。センサチップ5,10,115は、分割されて、又は1つのブロックとして配置されていてもよい。センサ5は、例えば、pHセンサでもよい。プロセッサ15、メモリ20及びクロック3は、1つのチップ上に全て集積されている。クロック3は分かれて設けられてもよいが、この選択は、さらに場所を取るので好ましくはない。この実施例において、センサ回路121,122,123は、プロセッサ15とメモリ20と同じ集積されたチップに設けられている1つのセンサ回路120に結合されている。また、この集積されたチップは、結合されたマルチプレクサ及びADCユニット130,140を含んでいる。専用のハードウエアブロック15a,15bはSPI(シリアル周辺インタフェース)及びDS−SSエンコーダを提供している。しかしながら、一般的な解説においては、これらのハードウエアブロックはプロセッサ15の一部であると考えられる。図17において、「C]はデカップリングコンデンサを示し、クロック信号は細い矢印で示される。
【0142】
前述の集積されたチップ200から分かれてトランスミッタ回路25が設けられている。この実施例において、トランスミッタ回路は磁気カップラとして機能する表面実装コイルインダクタを具備している。これは、RFアンテナの必要が無く、空間を節約している。また、チップ200に集積されたオンチップRFデバイスを使用することも可能である。
【0143】
この実施例において、集積されたチップ200はアナログセンサ5,10,115及びアナログトランスミッタ回路25から分かれていることに注意することが重要である。これは、パッドリング190とデカップリングコンデンサ180により絶縁されている。
【0144】
プロセッサ15は、マンチェスタプロトコル(Manchester protocol)に従って送信するためにセンサデータをエンコードする。しかしながら、異なるプロトコルを使用することもでき、それは当業者であれば明らかであろう。データ送信は、測定されたセンサデータが入手された時刻に関連する如何なる情報も含まれていないという点で、非同期的である。さらに、第1のモジュール1による送信は、次のパケットを送信する前に、ベースステーション50によりデータパケットの受信確認を待たないという点で、連続的である。したがって、第1のモジュールがレシーバを持つ必要はない。必要であれば、図14の実施例において示したように、レシーバ30を設けることができ、この場合において、同期データエクスチェンジプロトコルが使用されるが、この選択は、第1のモジュールにおいてレシーバ30が余分な電力と空間を必要とするため好ましいものではない。
【0145】
192ビットのデータパケットにおいて送信され、データが送信されない58ビット「ゼロ期間」により追従されるように、センサデータはエンコードされる。このゼロ期間は、ベースステーション50が各データパケットの位置を確認することを、より簡単なものとしている。各データパケットは、センサデータを示す2つの同一の64ビットコードと、64ビット認証とパリティ冗長量を含んでいる。明らかに、データパケットの正確なコンテンツと長さ、及びゼロ期間の正確な長さは変化するものであり、上記の番号はほんの一例として与えられたものである。
【0146】
図18は、外側ケースを取り除いた第1のモジュール1の一実施例の斜視図である。複数の電力供給電池12はトランスミッタ25及び集積回路200にライン上に接続されている。フレキシブルケーブル206,207(例えば、リボンケーブル)は、センサ5,10を集積回路200に接続している。図19は、組み立てられていない外側ケース211を有する第1のモジュールの斜視図である。図19の実施例において、外側ケース211は、外側ケースを形成するように、第2のケース部分211bにねじ込まれる第1の部分211aを有する。センサ5,10はホルダクランプ216に設けられており、フレキシブルケーブル(例えば、リボンケーブル)206,207はセンサ5,10が所望の位置に配置されるように曲げられている。ホルダクランプ216は、センサと外部環境との間が接触するように、外側ケースの開口231と位置が合う開口221を有している。カプセルが組み立てられるとき、第1のモジュールの内部電気部品は、外側ケース211により外部環境から保護されている。そこで、モジュールは嚥下型カプセルの形態となっており、大きなビタミン剤とほぼ同様のサイズを有している。
【0147】
第2のモジュール50は、例えば、オンオフ変調されたRF信号の形態で第1のモジュールから送信された信号を受信する。それはセンサからのデータ値を回復しており、第1のモジュールのタイミングは不正確であり、変動するので、(第1のモジュールのクロック3より更に正確であり、安定している)それ自身のクロック23を用いて全てのセンサ値又はセンサの組の値に時刻を刻印する。また、第2のモジュールは、前述のように、第1のモジュールの電力供給電圧における変動を補償するためにセンサ値を調整する。
【0148】
図20は、本発明の一実施例に係る第2のモジュールの詳細な動作を示すフローチャートである。ステップ300において、第2のモジュールのスキャンしているレシーバは、予め設定されたチャンネル帯域幅内の受信された送信周波数に基づいたアナログ電圧を出力する。この信号は、電磁干渉により破壊された送信データを含んでいる。
【0149】
第2のモジュールは、ステップ310において、このアナログ出力をオーバサンプリングによりデジタル化するDAQ(データ収集)装置を有している。サンプリングレートは、ナイキストレートの少なくとも2倍、好ましくはナイキストレートの少なくとも3倍である。サンプリングは、2つの連続的な信号取得の間のいかなるデータサンプルも失わないように、連続トリガモデルに従って実行される。
【0150】
上記のように、第1のモジュールからの各「信号」は少なくともデータパケットと「ゼロ期間」とを具備している。また、上記したように、第1のモジュールは、連続ストリームの中の信号を送信する。例えば、4Kbpsデータレートのマンチェスター符号化ビットストリームは、第1のモジュールにより送信されるであろうし、第2のモジュールのDAQデバイスにより20KSpsのオーバサンプリングレートでサンプリングされるであろう。図21は、データパケット、ゼロ期間、及び信号取得と図20のフローチャートの他のサブ処理を行うためにとられた時間を示す時系列である。DAQ期間(図21において示されたT)は完全なデータパケットより長く、各データパケットの間の期間より短く設定されている。一例として、1つのデータパケットは、5KB(例えば、サンプリング期間0.25s×オーバサンプリングレート20KSps×分解能8ビット)、又は20KB(例えば、サンプリング期間1s×20KSps×分解能8ビット)まで、瞬時のプロセスのための局部バッファ空間で占有される。勿論、他のサンプリング期間やレートも使用できるものである。如何なる場合においても、信号取得(DAQ)の処理は、(図10において示した時間Tpにおいて)次の信号のデコーディング、パケットデシメーション、及びパケット翻訳処理のために十分な時間を空けるために、比較的に短い時間(図21においてTsで示し、典型的には2,3ミリセコンド)で完全に行われるべきであろう。
【0151】
ステップ310のDAQの後、低域通過フィルタリング及び他の前処理は、ステップ320において収集されたデータサンプルで実行される。そこで、サンプルデータから第1のモジュール1により送られた信号を抽出するために、ステップ330において、DS−SS相関が実行される。DS−SS方法の各種の可能性としては当業者にとっては明らかであろう。
【0152】
ステップ330の後、受信した信号は、一連のデジタル化されたアナログ値に変換される。ステップ340において、確率ヒストグラムが形成され、「0」と「1」との間を識別するためのスレッショルドを決定するよう使用される。スレッショルドは受信された信号に基づき適応して設定され得るので、2進値の間の識別が改良され、弱い信号でさえ実行可能となる。
【0153】
次に、デコーディングステップ350において、データパケットが探索され、認証されて、2値データが抽出される。各パケットにおけるデータ(例えば、センサ値)を処理する前に、これを行うことが必要である。通信リンクが使用されていない間中、長い「ゼロ期間」は、ポテンシャルなデータパケットを粗く探索するために使用される。もし、ポテンシャルなデータパケットが実際に存在していたならば、予め定義されたスタートシーケンス(1つ以上のスタートビットのシーケンス)とフィニッシュシーケンス(1つ以上のストップビットのシーケンス)がデータパケットの正確な探索を行うために使用される。
【0154】
データパケットを見つけるために、信号の両端からサーチする反復ルーチンが行使される。
【0155】
データパケットを探索するための単一のデコーディングルーチンの例としては、
{
0:ポインタF=ポインタF+ステップF; ポインタB=ポインタB−ステップB;
1:ポインタFとポインタBの間のデータセットは、有効データパケットか?
2:もし、否であれば、0に戻る;
3:もし、正であれば、データパケット=データパケット・×デコーディング信号;
4:ステップFとステップBを更新する;
}*Bは初めのシーケンスを意味し、Fは終わりのシーケンスを意味する。
【0156】
スタート及びストップシーケンスに加えて、ビットインテグリティ及びビット長等の特徴がデータパケットを有効にするために使用される。
【0157】
次に、ステップ360において、自動回帰移動平均(auto-regression moving-average)(ARMA)評価器のような中央値フィルタは、信号をノイズ比に対して向上するように使用される。図22は、中間値フィルタによりフィルタされたノイズスパイク400とともに時間に対するデータパケットの一部からのデータビットを示している。
【0158】
中央値フィルタを行った後、オーバサンプリングにより生成された追加のデータポイントを取り除くために、データパケットはデシメーションされている(間引かれている)。この段階の出力は、デシメーション後(間引かれた後)、完全なデータパケットを構成するデータインフォメーションビットを有している。多くの異なるフォーマットは、データのために使用されるであろうが、以下に1つの可能な例を挙げる。
【0159】
セグメント1:(左から右へ送信された)初めのシーケンス 0,1,0,1,0,1,0,1
セグメント2から7:48ビットデータ
セグメント8:最後のシーケンス1,0,1,0,1,0,1,0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
サブパケットI
セグメント9:初めのシーケンス 0,1,0,1,0,1,0,1
セグメント10から15:48ビットデータ
セグメント16:最後のシーケンス1,0,1,0,1,0,1,0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
サブパケットII
セグメント17:初めのシーケンス 0,1,0,1,0,1,0,1
セグメント18から23:48ビットデータ
セグメント24:最後のシーケンス1,0,1,0,1,0,1,0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
サブパケットIII
【0160】
上記の例において、サブパケットI及びIIはセンサデータを含んでおり、サブパケットIIIはパリティデータを含んでいる。
【0161】
次に、ステップ370において、パケット翻訳ルーチンは、データパケットからセンサデータを抽出し、第2のモジュールのクロック23に従って、データパケットが第2のモジュール50により受信された時刻に基づいた時間情報でそれに刻印する。また、パケット翻訳ルーチン370は、センサデータが正確に回復されているかを確かめるためにパリティデータ(例えば、サブパケットIII)を確認する。もし、パリティと他の真実性のチェックが肯定的であるならば、インディケータビットはデータが有効であることを示す「1」にセットされる、反対であればインディケータビットは「0」にセットされる。このステップからの出力は、タイムスタンプ(時刻刻印)、センサデータ及びインディケータビットである。タイムスタンプは、データパケットにおける(予め決められた長さ、例えば各センサ値の)センサデータの各部分のためであってもよく、若しくは全体としてのデータパケットのためでもよい。
【0162】
次に、ステップ380において、データパケットが送信された時の第1のモジュールのクロック3のクロックレートが推定される。この実施例において、クロックレートは、データパケットを形成し送信するために第1のモジュールが採用する第1のモジュールクロックサイクルの公知の数と、及び第2のモジュールのクロックに従って、データパケットのスタートとエンドが第2のモジュールに到達した時間と、に基づいて推定される。他の実施例では第1のモジュールのクロックレートを推定する異なる方法を使用してもよいが、しかし、それらの実施例では、典型的に、いつもデータが第2のモジュールにより受信されたときのレートに基づいている。
【0163】
センサデータがセンサ5,10により集められた時に第1のモジュールの電力供給により供給された電圧は、第1のモジュールの電力供給12により供給された電圧(V)と第1のモジュールのクロック3のクロックレート(f)との間の予め決められた関係に基づいて推定される。この予め決められた関係は、実験的に又は理論的に決定されてもよい。1つの第1のモジュールのための一実施例において、その関係は、
V=Alog10f+B
となることが見つけられた。ここで、A=2.35であり、Bは補償処理において必要としない定数である。
【0164】
電力供給電圧(V)が一度決定されると、センサデータにおけるセンサデータ値は、電力供給電圧における変動を補償するよう調整される。この補償は、センサ値(即ち、第1のモジュールにより送信されたセンサデータ値)と電力供給電圧との間の予め決められた関係に基づいて実行される。一般的に、第1のモジュールにより送信されたセンサ値は、センサ10,15からのアナログ出力、及びこの出力に対するADC140(及び全ての増幅器)の応答、及び第1のモジュールのプロセッサ15によりなされた全ての調整に基づいたものである。多くの場合、センサ値と電力供給電圧との間の関係は、直線的である。この関係は、理論的に又は実験的に決定される。それが一度分かれば、電力供給電圧における変化により生じた変動についてセンサデータ値を補償するために、それが推定された電力供給電圧と共に使用することができるであろう。
【0165】
また、第2のモジュールのプロセッサ70は、第2のセンサ10により同じ時間又は対応する時間に得られたセンサデータ値に基づいて、第1のセンサ5からのセンサデータ値を補償してもよい。例えば、第1のセンサはpHセンサであり、第2のセンサは温度センサの場合、第1のセンサ5からのセンサデータ値は、異なる温度でのpHセンサ10の応答における知られている変動に従って補償することができる。
【0166】
最後に、ステップ390において、処理されたセンサデータは、ディスプレイ、メモリ又はリモートデバイス(遠隔装置)に出力される。その出力には、補償されたセンサ値、及びこれらの値が測定された推定時刻が含まれる。
【0167】
また、第2のモジュールのプロセッサ70は、第1のモジュールのクロック3の推定されたクロックレート、及び/又は以前に推定されたクロックレート、及び/又は以前のデータパケットの位置(時間)に基づいて、次のデータパケットの位置を予測するよう構成されている。パケット位置のこの予測は、データパケットをサーチするデコーディングルーチンを最適化するように、そして第1と第2のモジュールの間の接触損失を補助するために用いられる。
【0168】
図18と19に示した嚥下型カプセル1は、滑らかな外表面を有する外側ケースを持っている。しかしながら、外側ケースがヘリカルパターンをその表面に持つことは可能である。このヘリカルパターンは、弾丸がライフルの銃身を進むのと同じように、検査デバイスが腸管を通過するように回転させるものである。腸を通って移動するカプセルの場合、前方への推進力は腸の蠕動運動により提供されてもよい。ヘリカルパターンは、少なくとも1つの螺旋であるべきであり、そしてカプセルの外側ケースの内側又は外側に、刻み、突起、又は溝により形成されてもよい。図23は、外側ケースに溝510により形成された2.5回の螺旋巻きを持つ嚥下型カプセル1の上部から見た図である。図24は、外側ケースの表面上に突起516により形成された2.5回の螺旋巻きを持つ嚥下型カプセル1の上部から見た図である。両方のカプセルは、周囲の環境の中の液体がカプセル内のセンサと接触するように開口515を有している。
【0169】
図1−24に関する上記の記述は、システムレベル動作での検査デバイス及びシステムに関連しており、特に、第1のモジュールと第2のモジュールの間の通信、及び(第1のモジュールのプロセッサ、又は第2のモジュールのいずれかによる)センサの較正並びにセンサ出力の分析に関連するものである。
【0170】
図28及び29に関して、これらの図面には本発明の好ましい実施例において使用するためのセンサ素子450が図示されている。センサ素子450は「ワンショット」のセンサ素子であり、分析物のあるなしを一度だけ検出するよう動作することができるものである。図29の断面図に示されているように、センサ素子は基板452の上に形成されている。電極454,456及び463(作用電極454、対向電極456及び参照電極463)は、基板452の上面に形成されており、互いに接触しないようにギャップ458により分けられている。これらの電極は、金、金−プラチナ合金、又はプラチナにより形成されている。典型的には、電極は異なる材料により形成されており、作用電極はその表面で酸素レドックス反応に触媒作用を及ぼすように選択された材料により形成される(例えば、プラチナ又は金)。作用電極は代表的には銀により形成される。参照電極の目的は(当業者であれば容易に理解されるように)、作用電極におけるレドックス反応の効果を補償するために、作用電極で安定した電圧を提供するためである。絶縁層460は、穴内でそれぞれがむき出しの作用電極454、対向電極456及び参照電極463の部分を離すように、基板と電極の上に形成されている。絶縁層460の壁における段差のために、この穴は段差を有する形状を持つ。穴の基底において、作用、対向及び参照電極のむき出しの部分を覆って接触し、そして電極の間のギャップ458に充填されているものは、電解質462である。好ましい電解質は、イオン伝導ジェル又は固体電解質、例えば固体ポリマー電解質(例えば、ポリエチレンオキサイド、デュポンの「Nafion」(登録商標)などのフッ化スルホン酸コポリマー)。電解質を覆うものは、半透過性膜464、即ち水と電解質を透過せず、酸素を透過するものである。代表的な半透過性膜としては「Teflon」(登録商標)から形成されている。絶縁層460の中に形成されている穴を横切って広がっているものは、保護層466である。これは、代表的には、厚みが約0.2−0.3μmの金又は金合金の層である。電極468は保護層466に接続している。
【0171】
保護層466と半透過性膜464との間の空間は、分析空間である。この分析空間内に、第1の分析層470と第2の分析層472が設けられている。第1と第2の分析層は異なった構成でもよく、例えば多層形状に、又は一方が他の分析体の中で島となるように、又は密接して混ざった分析体などがある。最適な配置は、後述する触媒コンポネントが存在するしないにおいて、分析体の互いの反応によるであろう。
【0172】
本実施例において、センサ素子450は血液センサである。ヘモグロビン(血液の構成物)は、第2の分析体において存在するメディエータ又は酸素ドナーにより、第1の分析体におけるフェノール化合物の酸化に触媒作用を及ぼす。この実施例における第1の分析体は、アルファ−グアイアコニック酸であるか、又はこれを含んでいる。第1の分析体の代替物としては、テトラメチルベンジジン(TMB)がある。第2の分析体は、ヨウ素酸塩若しくは過ヨウ素酸塩であるか、又はこれを含む。第2の分析層の代替物としては、酸素ドナーとしての2.5−ジメチルヘキサン−2.5−ジヒドロベルオキシドがある。さらなる代替物としては、過酸化水素があるが、腸への漏洩が望ましいものではないので、好ましいものではない。
【0173】
異なった層が公知の製造技術により基板452に適用され得る。特に、例えば、基板452がシリコン基板等のように平板であれば、スピンキャスティングを使用することができる。最適なスピンキャスティング法は、フォトマスクを組み合わせて、若しくはマスクとエッチング処理を介する組み合わせで達成することができる。グワイヤックは有機であるため、エッチングは酸素プラズマを使用して実施することができる。しかしながら、他の析出技術を使用することができ、例えばスパッタリング、薄膜析出、射出成形、蒸着、マイクロピペットを使用した析出等である。例えば、分析空間にグワイヤック樹脂を析出することは、アルコール(例えば、エタノール、N―メチル−2−ピロリジノン(NMP)、又はジメチルスルホキシド(DMSO))に樹脂を溶解し、そして溶液をスピンキャスティングすることにより実行することができる。
【0174】
絶縁層460は、好ましくはポリイミド又はSU−8で形成される。
【0175】
使用において、検査素子は、活動するまで、保護層466により保護されて、活性化されず、そして保護されて残っている。検査素子を活性化するために、電極468を介して保護層466に電圧が印加される。最適な電圧は、+1.0V(又はそれより高い電圧)である。カソード(図示なし)は、電気化学回路を完成するよう他の場所に設けられている。カソードは、毒性の電気分解製品を生み出すものでない如何なる導体又は電気活性物質で形成され得る。検査素子が水溶性の塩化物イオン(例えば、GIトラクト(胃腸管))の環境にあるとき、この電圧の保護層への印加は、クロロ金錯体の形成による保護層の腐食を起こす。これらはカソードで低減される。保護層は、環境に対して第1及び第2の分析体を晒すことによって、このメカニズムにより10−30秒の僅かな時間で除去され得る。この方法における金の保護層の除去は、サンチニ他(Santini et al.)、「制御された薬物供給装置としてのマイクロチップ(Microchips as controlled drug-delivery devices)」、Angew. Chem. Int. Ed. 2000、39、2396−2407、に示されており、その内容はここに参照として組み込む。
【0176】
GIトラクト(胃腸管)の環境に一度晒されると、GIトラクトの中の血液の存在は、第1と第2の分析体の間の反応に触媒作用を及ぼす。第1と第2の分析体の間の反応は、最終生成物として、特別の反応が行われた状態及び溶解状態に依存して、任意的に反応性のある中間生成物により、溶解された酸素を生み出す。半透過性膜は酸素を通す。センサ素子の電解質空間の中に形成された電気化学電池は、実質的に、当業者には容易に理解できるクラーク電池である。この電池は、作用電極と対向電極の間のレドックス反応を制御するか、若しくはモニタしている。この方法において、第1と第2の分析体の間の反応は、モニタすることが可能であり、そしてセンサ素子に達した分析物(血液)の濃度の計測値を得ることができる。
【0177】
他の実施例において、クラーク電池は、LED(好ましくは、白色LED)からの光が分析空間を通過する光電検出器に置き換えられる。光電検出器は、第1と第2の分析体が血液の存在に反応して青−緑色を生成するとき、分析空間の中に色の変化を検出することができる。また、色の変化は、例えば異なる分析体が用いられている、同様な方法においても、勿論モニタすることも可能であろう。
【0178】
特定の環境(例えば、温度及び/又はpHに依存する環境)において、第1と第2の分析体の間の反応レートは、血液が存在しないときでさえ、変化する。このため、センサ素子の保存履歴、及びセンサ素子の使用履歴(例えば、それがどれくらい体内にあるか)に依存して、センサ素子からの出力(即ち、作用電極及び対向電極の間のポテンシャル)は、活性する前、又は活性する後のいずれかにおいて変化する。したがって、上記のスキーム及びルーチンの1つに従って、例えばpHセンサ及び/又は温度センサの出力、及び/又はセンサ素子が配置されていた計測時間に従って、センサ素子を補償することが必要である。
【0179】
センサ素子は、単一の測定を採るために、ただ一度だけ活性化され得る。したがって、検査デバイスは、多くの同様のセンサ素子を有して設けられている。好適な検査デバイス480aとセンサ素子アレイ482aの概略図が図25Aに示されている。この例において、センサ素子アレイ482aは、曲面形状を有しており、そして検査デバイスの曲がった外面に配置されている。また、各センサ素子の活性化について保護フィルムを除去することを要求された電気化学回路を完全なものとするための、共通のカソード481aは、デバイスの外面に配置されている。このセンサアレイは、屈曲可能な基板(例えば、ポリイミド)上に好ましくは平板に製造されており、検査デバイスの曲面の外観に密接するように曲げられている。しかしながら、センサ素子アレイが平板な形状に形成されて、検査デバイスの平坦な部分(又は曲がりが少ない部分)に配置することも可能である。この例が図25Cの別の検査デバイスに示されており、この図において、検査デバイス480cは、非対称形状を有しており、一端483cが丸められ、他端484cが平坦に形成され、センサアレイ482cは平坦な端部484cに配置されている。共通のカソード481cは、望ましい便利な位置に配置されている。他の実施例において、例えば、検査デバイスは、デバイスの長手方向の中央部分に平坦な形状を有していたり、平坦な端部を有していたり、平面がデバイスの主軸に対して傾いた角度で形成されている面を有する端部を持つことも出来るであろう。また、センサ素子アレイは、検査デバイスの周りを実質的にすべて取り囲むように広げることも可能である。これは、センサ素子によりデバイスの環境についてさらに多くのサンプルを取ることを可能となるため、好ましいものである。これは図25Bに示されており、この図において検査デバイス480bは丸まった円筒状の形状を有し、センサアレイ482bはデバイスの外側表面を円周上に取り囲むように、共通のカソード481bに沿って広がっている。既に述べたように、センサ素子を平坦形状の屈曲可能なポリイミド基板上に設けることが可能であり、そこで基板をデバイスに密接するように曲げることが可能である。また、検査デバイスの外側ケースの一部分としてセンサ素子アレイを設けることも可能である。例えば、好ましい穴形状がモルディング成形で、又は精密機械加工でデバイスの外側ケースに形成することができ、及び/又は電極が外側ケースに鋳造されてもよい。
【0180】
図26は、5×5のセンサ素子アレイの概略図である。各センサ素子485は、制御信号入力487とセンサ出力486の、2つの形式の電気接続を有している。これらの接続は、図26において、ただ概略的に示されている。各センサ素子のための制御信号入力は、保護層466に対する電気接続により構成されている。センサ出力486は、実際には、作用電極、対向電極及び参照電極のそれぞれ1つのために、セルあたり3つの電気接続により構成されている。これらの電極から及びこれらの電極に対する信号が、以前の図面を参照して既に述べたように、同様の制御、及びオペアンプ回路により制御できることは当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0181】
図27は、第1のモジュール490と第2のモジュール492の検査システムを示す概略図である。第1のセンサ494が、既に述べたようにバイオセンサのアレイのようなセンサ素子アレイであることを除いて、配置は、図2のものと機能上の条件において同様である。コントローラ495は、第2のセンサ496(例えば、既に述べたpHセンサ又は温度センサ)の出力又は、記憶された若しくはコントローラ495に入手可能な予め決められたタイミングスケジュールの結果のいずれかに応答して、一度にセンサ素子の1つ(又はそれ以上)を制御(即ち活性化)する。センサ出力(活性化されたセンサ素子の作用電極と対向電極との間の電圧)は、コントローラ495により検出される。そこで、この出力から抽出されたセンサデータは、第1のモジュールのトランスミッタ497により、第2のモジュールのレシーバ498に送信される。
【0182】
センサアレイにおける全てのセンサ素子の動作は、比較的に電力消費である、特に、保護層466の除去により各センサ素子を活性化すること、及び作用電極と対向電極との間に適切なポテンシャルを適用することは、比較的に電力消費である。検査デバイスの使用期間(例えば、19−24時間)を通して十分にセンサ素子のそれぞれが動作するよう十分な電力を確保するために、前の実施例に関して述べた各種の電力節約及び空間節約の手法がこの実施例においてもまた適用される。
【0183】
これらの実施例の変更、更なる実施例、及びこれらの更なる実施例の変更は、この明細書を読んでいる当業者には明らかであろうし、そのようなものは本発明の範囲内にある。
【0184】
本発明のさらなる特徴及び観点は、添付の明細書と付属のクレームの中に見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】図1は検査デバイスの概略図である。
【図2】図2は検査デバイスとベースステーションを具備するシステムの概略図である。
【図3】図3はレシーバとベースステーションを持つ検査デバイスを具備するシステムの他の実施例の概略図である。
【図4】図4は検査デバイスが消化器系を通って移動するときのpHにおける変動を示すグラフである。
【図5】図5はセンサとそのダイナミックレンジを調整するための周辺回路の概略図である。
【図6】図6はセンサのダイナミックレンジを調整するためのルーチンを示す。
【図7】図7はセンサ出力に実際の物理量を対応付けるためのルーチンを示す。
【図8】図8はセンサ出力をオートゼロにするための、又はそれを所望値に照合するためのルーチンである。
【図9】図9はセンサ出力における時間の経過と共に徐々にずれるのを補償するためのルーチンである。
【図10】図10(a)は、図10(b)に示されたISFETの測定され及びモデル化されたスレッショルド電圧のずれから導かれるISFETの電圧源における測定された変化を示す。
【図11】図11(a)はpH溶液における変化に反応して測定されたISFETのスレッショルド電圧の応答を示すグラフであり、図11(b)はずれ補償が適用された後の同じスレッショルド電圧を示す。
【図12】図12は図1の変形例であり、別の実施例を示す。
【図13】図13は図2の変形例であり、別の実施例を示す。
【図14】図14は図3の変形例であり、別の実施例を示す。
【図15】図15(a)から(c)はモジュラーシステムの可能性のある配置を示す概略図である。
【図16】図16は検査デバイスの構成物を示す概略図である。
【図17】図17は、図16の検査デバイスの構成物が分割チップ又は複数の回路基板上でどのように分かれているかを示す他の概略図である。
【図18】図18は検査デバイスの電気構成品を示す斜視図である。
【図19】図19は検査デバイスの電気構成品とカプセルの周りのケースが隠されているときの状態を示す概略図である。
【図20】図20は第2のモジュールによる受信データの処理を示すフローチャートである。
【図21】図21はゼロ期間及びデータパケットを示す時系列であり、並びにデータ取得のために採られた時間と第2のモジュールにより実行されるべき他の処理を示している。
【図22】図22は時間に対するデータビット及びノイズスパイクを示すグラフである。
【図23】図23はヘリカル溝を有するカプセルの下向き図である。
【図24】図24はヘリカル突起を有するカプセルの下向き図である。
【図25A】図25Aは検査デバイスの外側表面の概略図である。
【図25B】図25Bは他の検査デバイスの外側表面の概略図である。
【図25C】図25Cは他の検査デバイスの外側表面の概略図である。
【図26】図26は検査デバイスのセンサ素子アレイの概略図である。
【図27】図27は第1のモジュールと第2のモジュールの検査システムを示す概略図である。
【図28】図28は検査デバイスの平面図である。
【図29】図29は図28の検査デバイスの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモジュールと第2のモジュールを含む検査装置であって、
前記第1のモジュールは、コントローラ、トランスミッタ、及びセンサ素子のアレイを有し、
前記コントローラは、前記アレイの中の異なるセンサ素子を使用して異なる時間で前記アレイからのセンサ出力を得るために、前記アレイにおける1つ以上のセンサ素子をアレイにおける他と独立して活性化することが可能であり、
前記トランスミッタは、前記センサ出力から抽出されたセンサデータを、前記第1のモジュールから前記第2のモジュールのレシーバへ送信するよう構成されており、
各センサ素子は、センサアレイが配置されるところの環境において同じ分析物の存在を検出するための生物学的なセンサである検査装置。
【請求項2】
第1のモジュールが、
(i)人間若しくは動物の体を通過するために、飲み込むことが可能であるように、
(ii)人間若しくは動物の体の中に移植できるように、又は
(iii)人間若しくは動物の体の表面の場所(例えば、傷した位置)に配置されるように、構成された請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記環境における前記分析物の存在を検出するように、各センサ素子が一度だけ活性化される請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記センサ出力は、分析物の存在、分析物の非存在、検出された分析物の濃度の定量的な測定値、の少なくとも1つの分析物状態に対応する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記分析物は、血液、又はヘモグロビン、又は血液の他の構成物、又は血液の分解生成物である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記アレイにおけるセンサ素子を活性化することは、第1の反応物と第2の反応物との間の化学反応に触媒作用を及ぼすように、センサ素子の環境における分析物の存在を可能とし、センサ素子出力を決定する前記センサ素子により前記化学反応の検出を可能とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
各センサ素子は、少なくとも前記第1の反応物を収容している反応物空間を含む請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記反応物空間は、前記第2の反応物を収容している請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記第2の反応物は、第1の反応物に接触している請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記反応物空間は、半透過性膜により電解質空間から分けられており、前記電解質空間が作用電極、対向電極及び任意に参照電極を有しており、前記電極が前記電解質空間の電解質と電気的に接触している請求項7乃至9のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項11】
前記反応物空間は、前記センサ素子の活性化状態で、前記環境に晒されている請求項7乃至10のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項12】
各センサ素子は、前記反応物空間をカバーするためのカバー部材を含み、前記カバー部材は、前記反応物空間を晒すことが可能なように少なくとも部分的に取り外すことが可能な請求項11に記載の検査装置。
【請求項13】
前記カバー部材は、前記カバー部材に電圧を印加することにより少なくとも部分的に取り外すことが可能な請求項12に記載の検査装置。
【請求項14】
前記電圧は、前記カバー部材の腐食、溶解、溶融、昇華及び破損の少なくとも1つを誘因する請求項13に記載の検査装置。
【請求項15】
第1の反応物は、アルファ−グアイアコニック酸又はその誘導体を具備する請求項6乃至14に記載の検査装置。
【請求項16】
第2の反応物は、触媒が存在する状態において第1の反応物を酸化することが可能なメディエータである請求項6乃至15記載の検査装置。
【請求項17】
第1のモジュールが配置されるところの環境と接触するよう設けるために、前記センサアレイは前記第1のモジュールの外側表面に設けられた請求項1乃至16のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項18】
前記アレイは少なくとも4個のセンサ素子を含む請求項1乃至17のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項19】
前記アレイは少なくとも9個のセンサ素子を含む請求項1乃至18のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項20】
前記コントローラは、前記センサ素子を予め決められた時間間隔で活性化するよう駆動することができる請求項1乃至19のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項21】
第1のモジュールのセンサアレイは、第1のセンサを形成し、そして第1のモジュールはさらに第2のセンサを含み、前記第2のセンサは第1のモジュールが配置されるところの環境のパラメータを測定するよう駆動することができる請求項1乃至20のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項22】
第2のセンサの出力は、センサアレイのセンサ素子が活性化される時間を決定するために、コントローラにより使用される請求項21に記載の検査装置。
【請求項23】
第1のモジュールがさらに第3のセンサを含み、前記第3のセンサは、第2のセンサにより測定されたパラメータと異なる、第1のモジュールが配置されるところの環境のパラメータを測定するために駆動することができる請求項21又は請求項22に記載の検査装置。
【請求項24】
第2及び第3のセンサの両方の出力は、センサアレイのセンサ素子が活性化される時間を決定するために、コントローラにより使用される請求項23に記載の検査装置。
【請求項25】
第2及び第3のセンサは、pHセンサ、温度センサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、バイオケミカルセンサ、オプチカルセンサ、及び音響センサから選択される請求項23又は請求項24に記載の検査装置。
【請求項26】
第1のモジュールと第2のモジュールを含み、前記第1のモジュールがコントローラ、トランスミッタ、及びセンサ素子のアレイを有する検査装置の駆動方法であって、この駆動方法は、
(i)第1の時間t1で少なくとも1つのセンサ素子からのセンサ出力を得るために、前記コントローラが、前記アレイにおける少なくとも1つのセンサ素子を、前記アレイにおける他のセンサ素子から独立して活性化するステップ、
(ii)t1と異なる時間t2で少なくとも1つのさらなるセンサ素子からのセンサ出力を得るために、前記コントローラが、前記アレイにおける前記少なくとも1つのさらなるセンサ素子を、前記アレイにおける他のセンサ素子から独立して活性化するステップ、及び
(iii)センサデータを前記第1のモジュールから前記第2のモジュールのレシーバに送信するステップを含み、
各センサ素子は、センサアレイが配置されるところの環境における同じ分析物の存在を検出するための生物学的なセンサである検査装置の駆動方法。
【請求項27】
異なる時間tで前記環境における前記分析物の検出又は欠如に応答して、前記アレイからの一連のセンサ出力を得るために、コントローラが異なる時間tで連続的に前記センサ素子を活性化するステップをさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記分析物の存在を検出するために、各センサ素子が一度だけ最大に活性化される請求項26又は請求項27に記載の方法。
【請求項29】
人間若しくは動物の体の消化器系を通る通路のために、又は人間若しくは動物の体に移植するためにデザインされた検査デバイスであり、このデバイスは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサ、較正ルーチンに従って第1のセンサを較正するための電気回路若しくはソフトウエア、及び第1のセンサの出力から抽出されたデータを外部装置に送信するためのトランスミッタを有する検査デバイスであって、この検査デバイスにおいて、
前記回路は、センサに接続された可変ゲイン増幅器のゲインを変化させることにより、及び/又はセンサに印加されるオフセット電圧を変化することにより、又はセンサに接続された増幅器に印加されたオフセット電圧を変化させることにより、センサを較正するよう構成されている検査デバイス。
【請求項30】
デバイスが飲み込むことが可能なカプセルである請求項29に記載の検査デバイス。
【請求項31】
較正ルーチンがセンサのダイナミックレンジを適正化するためのルーチンである請求項29又は請求項30に記載の検査デバイス。
【請求項32】
較正ルーチンは、センサ出力と測定されたパラメータの実際の物理的値との間の関係を決定するステップを有する請求項29乃至31のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項33】
較正ルーチンは、センサ又は周辺回路がセンサのゼロ出力まで調整されるルーチンである請求項29乃至32のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項34】
前記較正ルーチンは、前記第1のセンサ出力の時が経つにつれて生じるずれを補償するためのルーチンであり、この補償は、センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルに従って実施される請求項29乃至32のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項35】
センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルは、メモリに記憶された予め決められたモデルである請求項34に記載の検査デバイス。
【請求項36】
センサのずれのモデルは、センサにより測定された以前のデータポイントを外挿することにより、センサが使用中に計算される請求項34に記載の検査デバイス。
【請求項37】
センサのずれを補償するために、センサ出力は前記モデルに従って規則的な間隔で調整される請求項34乃至36のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項38】
較正ルーチンは、センサ出力が特定された規準値に対して検査されたパラメータの値を示すように調整されるルーチンである請求項29乃至32のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項39】
較正ルーチンは、センサが公知の刺激に晒され、センサ出力が予め決められた値と同じ値となるまで、又は前記公知の刺激のために特定された予め決められた範囲内に調整されるルーチンである請求項29乃至32のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項40】
検査デバイスは、第1のセンサが測定するようデザインされた物理的パラメータのための公知の値を有する液体又はジェルを収容しているケースの中に設けられており、そして前記較正ルーチンは、前記液体又はジェルの測定に応答するセンサ出力を参照してセンサを較正するよう構成された請求項39に記載の検査デバイス。
【請求項41】
検査デバイスは、較正データを外部装置に送信するよう構成された請求項29乃至40のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項42】
検査デバイスは、外部の電気デバイスからのインストラクション、又はデータを参照することなく独立して前記較正を実行するよう構成された請求項29乃至41のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項43】
前記検査デバイスは、外部装置からのコントロールインストラクション、及び/又は較正データを受け取るためのレシーバを有し、そして外部装置から受け取った前記コントロールインストラクション、及び/又は較正データを参照して前記較正を実行するよう構成された請求項29乃至41のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項44】
第1のセンサは、pHセンサ、温度センサ、血液センサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、バイオケミカルセンサ、オプチカルセンサ、又は音響センサである請求項29乃至43のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項45】
第1のセンサは、ISFETを具備する請求項29乃至44のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項46】
検査デバイスのトランスミッタは、高周波トランスミッタ、誘起磁場トランスミッタ、又は音響トランスミッタである請求項29乃至45のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項47】
前記第1のパラメータと異なる第2のパラメータを測定するための第2のセンサをさらに具備し、較正ルーチンは前記第2のセンサからの読みに基づいて前記第1のセンサの出力を調整するように構成された請求項29乃至46のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項48】
第2のセンサからの出力が予め決められた特性を表示したとき第1のセンサをオン状態に切り替え、又は第2のセンサからの出力が前記予め決められた特性を表示してから設定された時間後に第1のセンサをオン状態に切り替えるためのコントローラをさらに具備する請求項47に記載の検査デバイス。
【請求項49】
前記第1のセンサが血液センサであり、前記第2のセンサがpHセンサである請求項47又は請求項48に記載の検査デバイス。
【請求項50】
コントローラは、外部装置からの入力なしで独立して前記第1のセンサをオン状態に切り替えるよう構成された請求項48に記載の検査デバイス。
【請求項51】
検査デバイスが体における特定の位置にあることを示す第1のセンサ出力における特徴的事象を検出し、そして検査デバイスの位置を示す位置データを、メモリに記憶し、及び/又は外部装置に送信するよう構成されているプロセッサをさらに具備する請求項29乃至50のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項52】
第1のセンサはpHセンサである請求項51に記載の検査デバイス。
【請求項53】
プロセッサは、第1のセンサからの出力が酸性のpHからアルカリ性のpHに切り替わったpHを示したとき、検査デバイスが小腸から離れ、大腸に入ったことを検出するよう構成された請求項51又は請求項52に記載の検査デバイス。
【請求項54】
請求項29乃至53のいずれか一項に記載の検査デバイスの形態の第1のモジュールと、前記第1のモジュールのトランスミッタにより送信されたデータを受信するためのレシーバを有する第2のモジュールとを具備する、パラメータを測定するためのシステム。
【請求項55】
前記第1のモジュールは、前記第2のモジュールからのインストラクション及び/又はデータを受信するためのレシーバを具備し、前記第2のモジュールは、前記第2のモジュールへインストラクション及び/又はデータを送信するためのトランスミッタ、及びプロセッサをさらに具備し、第2のモジュールの前記プロセッサは、前記第1のモジュールへ較正インストラクション及び/又は較正データを送信するよう構成されており、前記第1のモジュールは前記受信したインストラクション及び/又はデータに基づき第1のセンサを較正するよう構成された請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
パラメータを測定するためのシステムであって、このシステムは、人間若しくは動物の体の中で使用するための検査デバイスの形態の第1のモジュールと第2のモジュールを具備し、前記第1のモジュールが、第1のパラメータを測定するための第1のセンサと、前記第1のセンサにより作成された測定値と前記第1のモジュールにより生成された較正データとを第2のモジュールへ送信するためのトランスミッタとを有し、前記第2のモジュールが、前記第1のモジュールのトランスミッタにより出力されたデータを受信するためのレシーバと、前記データを処理するためのプロセッサとを有し、前記第2のモジュールのプロセッサは、第1のセンサにより作成された測定値を、較正ルーチンに従って及び前記第1のモジュールにより送られた較正データに基づいて較正するよう構成されたシステム。
【請求項57】
前記較正ルーチンは、前記第1のセンサ出力の時が経つにつれて生じるずれを補償するためのルーチンであり、この補償は、センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルに従って実行される請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
較正ルーチンは、第1のセンサ出力を測定されたパラメータの実際の物理的値に関連付けるためのルーチンである請求項56に記載のシステム。
【請求項59】
請求項48に記載の検査デバイスを有するシステムであって、コントローラが、第2のセンサの読みに基づき、第2のモジュールにより送られたインストラクションに反応して、第1のセンサの出力の前記調整を実行するよう構成された請求項56に記載のシステム。
【請求項60】
人間若しくは動物の体の内側又は通路に適切に配置された第1のモジュールであって、前記第1のモジュールは、第1のクロックと、少なくとも1つのセンサと、前記第1のクロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給と、及び前記少なくとも1つのセンサからのセンサデータを送信するためのトランスミッタと、を有し、並びに
第2のモジュールは、第2のクロックと、レシーバと、及び前記第1のモジュールのトランスミッタから送られたデータを受信し、第1のクロックのクロックレートを推定し、前記推定された第1のクロックレートに基づいてセンサデータを調整することにより、前記第1のモジュールの電力源の電力における変動について、受信したセンサデータを補償するプロセッサを有し、前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとを具備する、データを収集するための装置。
【請求項61】
第1のモジュールのトランスミッタは高周波トランスミッタであり、第2のモジュールのレシーバは高周波レシーバである請求項60に記載の装置。
【請求項62】
第1のモジュールは、嚥下型カプセル、又は体液が通る開口を有する大腸に挿入するための移植デバイスである請求項60又は請求項61に記載の装置。
【請求項63】
第1のモジュールの少なくとも1つのセンサは、それぞれの時間で取得されたセンサの読みにそれぞれが対応している一連のセンサ値を出力する装置において、それぞれのセンサ値のために、第2のモジュールのプロセッサは、前記センサ値が取得された時に第1のクロックのクロックレートを推定し、そして前記第1のモジュールの電力供給からの電力における変動を補償するようそれぞれのセンサ値を調整する請求項60乃至62のいずれか一項に記載の装置。
【請求項64】
第1のクロックのクロックレートは、第1のモジュールからのデータが第2のモジュールにより受信されたときのレートに基づいて推定される請求項60乃至63のいずれか一項に記載の装置。
【請求項65】
補償は、センサと電力供給により供給された電圧との予め決められた関係、及び第1のクロックのクロックレートと電力供給により第1のクロックに供給された電圧との予め決められた関係に基づいて実行される請求項60乃至64のいずれか一項に記載の装置。
【請求項66】
センサデータがプロトコルに従ってトランスミッタにより送信され、このプロトコルにおいて、前記データが1つ以上のデータパケットに分けられ、各データパケットが固定された予め決められた長さを有しており、各データパケットは、固定された予め決められた長さを有して、無信号送信の期間により他のデータパケットから分かれている請求項60乃至65のいずれか一項に記載の装置。
【請求項67】
各データパケットは、データパケットの開始をマークする1つ以上のビットのスタートシーケンスと、データパケットの終わりをマークする1つ以上のビットのストップシーケンスとを有する請求項66に記載の装置。
【請求項68】
前記第1のモジュールから前記第2のモジュールへの信号送信は、非同期である請求項60乃至67のいずれか一項に記載の装置。
【請求項69】
少なくとも1つのセンサは、温度センサ、カメラ、血液センサ、pHセンサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、及び圧力センサから選ばれた請求項60乃至68のいずれか一項に記載の装置。
【請求項70】
第1のモジュールは、第1のモジュールの電力供給から出力された電圧を調整するためのレギュレータを有していない請求項60乃至69のいずれか一項に記載の装置。
【請求項71】
第1のクロックは、20より小さいQの値を有する低Qクロックである請求項60乃至70のいずれか一項に記載の装置。
【請求項72】
第1のモジュールのトランスミッタがCDMA方式に従って送信する装置であって、それぞれが異なるチャンネルで送信する複数の前記第1のモジュールを持つ請求項60乃至71のいずれか一項に記載の装置。
【請求項73】
プロセッサは、レシーバからのアナログ信号を前処理し、確率ヒストグラムを生成し、電圧スレッショルドを決定し、アナログ信号において0と1を識別するよう構成された請求項60乃至72のいずれか一項に記載の装置。
【請求項74】
第1のモジュールは第1のセンサと第2のセンサとを有し、第2のモジュールのプロセッサは、第2のセンサからのセンサデータにおけるセンサ値に基づき、第1のセンサからのセンサデータにおけるセンサ値を調整するよう構成された請求項60乃至73のいずれか一項に記載の装置。
【請求項75】
前記第2のセンサは温度センサである請求項74に記載の装置。
【請求項76】
第1のモジュールは、外部装置からのデータを受け取るためのレシーバを有していない請求項60乃至75のいずれか一項に記載の装置。
【請求項77】
第1のモジュールは、外側ケースを有し、その外側ケースの1つ以上の開口に向かって流体を流すための1つ以上の溝を持つ外側ケースを有する請求項60乃至76のいずれか一項に記載の装置。
【請求項78】
第1のモジュールは、飲み込むことが可能なカプセルであり、そのカプセルが腸管を通過するとき回転するように、少なくとも1つのヘリカルの溝、突起、又は刻みを有する外側ケースを具備する請求項60乃至77のいずれか一項に記載の装置。
【請求項79】
第1のクロックと、少なくとも1つのセンサと、前記第1のクロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給と、及び前記少なくとも1つのセンサからセンサデータを送信するためのトランスミッタと、を有する第1のモジュール、
第2のクロックと、レシーバと、及びプロセッサと、を有する第2のモジュール、を具備するシステムにおけるデータの送受信方法であって、
前記少なくとも1つのセンサの出力に基づいたセンサデータを第2のモジュールのレシーバに送信するステップ、及び
第1のクロックのクロックレートを推定し、前記推定された第1のクロックレートに基づき、センサデータを調整することにより、前記第1のモジュールの電力供給の電力における変動について受信されたセンサデータを補償するために第2のモジュールのプロセッサを使用するステップを有する、システムにおけるデータの送受信方法。
【請求項1】
第1のモジュールと第2のモジュールを含む検査装置であって、
前記第1のモジュールは、コントローラ、トランスミッタ、及びセンサ素子のアレイを有し、
前記コントローラは、前記アレイの中の異なるセンサ素子を使用して異なる時間で前記アレイからのセンサ出力を得るために、前記アレイにおける1つ以上のセンサ素子をアレイにおける他と独立して活性化することが可能であり、
前記トランスミッタは、前記センサ出力から抽出されたセンサデータを、前記第1のモジュールから前記第2のモジュールのレシーバへ送信するよう構成されており、
各センサ素子は、センサアレイが配置されるところの環境において同じ分析物の存在を検出するための生物学的なセンサである検査装置。
【請求項2】
第1のモジュールが、
(i)人間若しくは動物の体を通過するために、飲み込むことが可能であるように、
(ii)人間若しくは動物の体の中に移植できるように、又は
(iii)人間若しくは動物の体の表面の場所(例えば、傷した位置)に配置されるように、構成された請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記環境における前記分析物の存在を検出するように、各センサ素子が一度だけ活性化される請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記センサ出力は、分析物の存在、分析物の非存在、検出された分析物の濃度の定量的な測定値、の少なくとも1つの分析物状態に対応する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記分析物は、血液、又はヘモグロビン、又は血液の他の構成物、又は血液の分解生成物である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記アレイにおけるセンサ素子を活性化することは、第1の反応物と第2の反応物との間の化学反応に触媒作用を及ぼすように、センサ素子の環境における分析物の存在を可能とし、センサ素子出力を決定する前記センサ素子により前記化学反応の検出を可能とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
各センサ素子は、少なくとも前記第1の反応物を収容している反応物空間を含む請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記反応物空間は、前記第2の反応物を収容している請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記第2の反応物は、第1の反応物に接触している請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記反応物空間は、半透過性膜により電解質空間から分けられており、前記電解質空間が作用電極、対向電極及び任意に参照電極を有しており、前記電極が前記電解質空間の電解質と電気的に接触している請求項7乃至9のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項11】
前記反応物空間は、前記センサ素子の活性化状態で、前記環境に晒されている請求項7乃至10のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項12】
各センサ素子は、前記反応物空間をカバーするためのカバー部材を含み、前記カバー部材は、前記反応物空間を晒すことが可能なように少なくとも部分的に取り外すことが可能な請求項11に記載の検査装置。
【請求項13】
前記カバー部材は、前記カバー部材に電圧を印加することにより少なくとも部分的に取り外すことが可能な請求項12に記載の検査装置。
【請求項14】
前記電圧は、前記カバー部材の腐食、溶解、溶融、昇華及び破損の少なくとも1つを誘因する請求項13に記載の検査装置。
【請求項15】
第1の反応物は、アルファ−グアイアコニック酸又はその誘導体を具備する請求項6乃至14に記載の検査装置。
【請求項16】
第2の反応物は、触媒が存在する状態において第1の反応物を酸化することが可能なメディエータである請求項6乃至15記載の検査装置。
【請求項17】
第1のモジュールが配置されるところの環境と接触するよう設けるために、前記センサアレイは前記第1のモジュールの外側表面に設けられた請求項1乃至16のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項18】
前記アレイは少なくとも4個のセンサ素子を含む請求項1乃至17のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項19】
前記アレイは少なくとも9個のセンサ素子を含む請求項1乃至18のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項20】
前記コントローラは、前記センサ素子を予め決められた時間間隔で活性化するよう駆動することができる請求項1乃至19のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項21】
第1のモジュールのセンサアレイは、第1のセンサを形成し、そして第1のモジュールはさらに第2のセンサを含み、前記第2のセンサは第1のモジュールが配置されるところの環境のパラメータを測定するよう駆動することができる請求項1乃至20のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項22】
第2のセンサの出力は、センサアレイのセンサ素子が活性化される時間を決定するために、コントローラにより使用される請求項21に記載の検査装置。
【請求項23】
第1のモジュールがさらに第3のセンサを含み、前記第3のセンサは、第2のセンサにより測定されたパラメータと異なる、第1のモジュールが配置されるところの環境のパラメータを測定するために駆動することができる請求項21又は請求項22に記載の検査装置。
【請求項24】
第2及び第3のセンサの両方の出力は、センサアレイのセンサ素子が活性化される時間を決定するために、コントローラにより使用される請求項23に記載の検査装置。
【請求項25】
第2及び第3のセンサは、pHセンサ、温度センサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、バイオケミカルセンサ、オプチカルセンサ、及び音響センサから選択される請求項23又は請求項24に記載の検査装置。
【請求項26】
第1のモジュールと第2のモジュールを含み、前記第1のモジュールがコントローラ、トランスミッタ、及びセンサ素子のアレイを有する検査装置の駆動方法であって、この駆動方法は、
(i)第1の時間t1で少なくとも1つのセンサ素子からのセンサ出力を得るために、前記コントローラが、前記アレイにおける少なくとも1つのセンサ素子を、前記アレイにおける他のセンサ素子から独立して活性化するステップ、
(ii)t1と異なる時間t2で少なくとも1つのさらなるセンサ素子からのセンサ出力を得るために、前記コントローラが、前記アレイにおける前記少なくとも1つのさらなるセンサ素子を、前記アレイにおける他のセンサ素子から独立して活性化するステップ、及び
(iii)センサデータを前記第1のモジュールから前記第2のモジュールのレシーバに送信するステップを含み、
各センサ素子は、センサアレイが配置されるところの環境における同じ分析物の存在を検出するための生物学的なセンサである検査装置の駆動方法。
【請求項27】
異なる時間tで前記環境における前記分析物の検出又は欠如に応答して、前記アレイからの一連のセンサ出力を得るために、コントローラが異なる時間tで連続的に前記センサ素子を活性化するステップをさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記分析物の存在を検出するために、各センサ素子が一度だけ最大に活性化される請求項26又は請求項27に記載の方法。
【請求項29】
人間若しくは動物の体の消化器系を通る通路のために、又は人間若しくは動物の体に移植するためにデザインされた検査デバイスであり、このデバイスは、第1のパラメータを測定するための第1のセンサ、較正ルーチンに従って第1のセンサを較正するための電気回路若しくはソフトウエア、及び第1のセンサの出力から抽出されたデータを外部装置に送信するためのトランスミッタを有する検査デバイスであって、この検査デバイスにおいて、
前記回路は、センサに接続された可変ゲイン増幅器のゲインを変化させることにより、及び/又はセンサに印加されるオフセット電圧を変化することにより、又はセンサに接続された増幅器に印加されたオフセット電圧を変化させることにより、センサを較正するよう構成されている検査デバイス。
【請求項30】
デバイスが飲み込むことが可能なカプセルである請求項29に記載の検査デバイス。
【請求項31】
較正ルーチンがセンサのダイナミックレンジを適正化するためのルーチンである請求項29又は請求項30に記載の検査デバイス。
【請求項32】
較正ルーチンは、センサ出力と測定されたパラメータの実際の物理的値との間の関係を決定するステップを有する請求項29乃至31のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項33】
較正ルーチンは、センサ又は周辺回路がセンサのゼロ出力まで調整されるルーチンである請求項29乃至32のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項34】
前記較正ルーチンは、前記第1のセンサ出力の時が経つにつれて生じるずれを補償するためのルーチンであり、この補償は、センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルに従って実施される請求項29乃至32のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項35】
センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルは、メモリに記憶された予め決められたモデルである請求項34に記載の検査デバイス。
【請求項36】
センサのずれのモデルは、センサにより測定された以前のデータポイントを外挿することにより、センサが使用中に計算される請求項34に記載の検査デバイス。
【請求項37】
センサのずれを補償するために、センサ出力は前記モデルに従って規則的な間隔で調整される請求項34乃至36のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項38】
較正ルーチンは、センサ出力が特定された規準値に対して検査されたパラメータの値を示すように調整されるルーチンである請求項29乃至32のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項39】
較正ルーチンは、センサが公知の刺激に晒され、センサ出力が予め決められた値と同じ値となるまで、又は前記公知の刺激のために特定された予め決められた範囲内に調整されるルーチンである請求項29乃至32のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項40】
検査デバイスは、第1のセンサが測定するようデザインされた物理的パラメータのための公知の値を有する液体又はジェルを収容しているケースの中に設けられており、そして前記較正ルーチンは、前記液体又はジェルの測定に応答するセンサ出力を参照してセンサを較正するよう構成された請求項39に記載の検査デバイス。
【請求項41】
検査デバイスは、較正データを外部装置に送信するよう構成された請求項29乃至40のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項42】
検査デバイスは、外部の電気デバイスからのインストラクション、又はデータを参照することなく独立して前記較正を実行するよう構成された請求項29乃至41のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項43】
前記検査デバイスは、外部装置からのコントロールインストラクション、及び/又は較正データを受け取るためのレシーバを有し、そして外部装置から受け取った前記コントロールインストラクション、及び/又は較正データを参照して前記較正を実行するよう構成された請求項29乃至41のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項44】
第1のセンサは、pHセンサ、温度センサ、血液センサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、バイオケミカルセンサ、オプチカルセンサ、又は音響センサである請求項29乃至43のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項45】
第1のセンサは、ISFETを具備する請求項29乃至44のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項46】
検査デバイスのトランスミッタは、高周波トランスミッタ、誘起磁場トランスミッタ、又は音響トランスミッタである請求項29乃至45のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項47】
前記第1のパラメータと異なる第2のパラメータを測定するための第2のセンサをさらに具備し、較正ルーチンは前記第2のセンサからの読みに基づいて前記第1のセンサの出力を調整するように構成された請求項29乃至46のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項48】
第2のセンサからの出力が予め決められた特性を表示したとき第1のセンサをオン状態に切り替え、又は第2のセンサからの出力が前記予め決められた特性を表示してから設定された時間後に第1のセンサをオン状態に切り替えるためのコントローラをさらに具備する請求項47に記載の検査デバイス。
【請求項49】
前記第1のセンサが血液センサであり、前記第2のセンサがpHセンサである請求項47又は請求項48に記載の検査デバイス。
【請求項50】
コントローラは、外部装置からの入力なしで独立して前記第1のセンサをオン状態に切り替えるよう構成された請求項48に記載の検査デバイス。
【請求項51】
検査デバイスが体における特定の位置にあることを示す第1のセンサ出力における特徴的事象を検出し、そして検査デバイスの位置を示す位置データを、メモリに記憶し、及び/又は外部装置に送信するよう構成されているプロセッサをさらに具備する請求項29乃至50のいずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項52】
第1のセンサはpHセンサである請求項51に記載の検査デバイス。
【請求項53】
プロセッサは、第1のセンサからの出力が酸性のpHからアルカリ性のpHに切り替わったpHを示したとき、検査デバイスが小腸から離れ、大腸に入ったことを検出するよう構成された請求項51又は請求項52に記載の検査デバイス。
【請求項54】
請求項29乃至53のいずれか一項に記載の検査デバイスの形態の第1のモジュールと、前記第1のモジュールのトランスミッタにより送信されたデータを受信するためのレシーバを有する第2のモジュールとを具備する、パラメータを測定するためのシステム。
【請求項55】
前記第1のモジュールは、前記第2のモジュールからのインストラクション及び/又はデータを受信するためのレシーバを具備し、前記第2のモジュールは、前記第2のモジュールへインストラクション及び/又はデータを送信するためのトランスミッタ、及びプロセッサをさらに具備し、第2のモジュールの前記プロセッサは、前記第1のモジュールへ較正インストラクション及び/又は較正データを送信するよう構成されており、前記第1のモジュールは前記受信したインストラクション及び/又はデータに基づき第1のセンサを較正するよう構成された請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
パラメータを測定するためのシステムであって、このシステムは、人間若しくは動物の体の中で使用するための検査デバイスの形態の第1のモジュールと第2のモジュールを具備し、前記第1のモジュールが、第1のパラメータを測定するための第1のセンサと、前記第1のセンサにより作成された測定値と前記第1のモジュールにより生成された較正データとを第2のモジュールへ送信するためのトランスミッタとを有し、前記第2のモジュールが、前記第1のモジュールのトランスミッタにより出力されたデータを受信するためのレシーバと、前記データを処理するためのプロセッサとを有し、前記第2のモジュールのプロセッサは、第1のセンサにより作成された測定値を、較正ルーチンに従って及び前記第1のモジュールにより送られた較正データに基づいて較正するよう構成されたシステム。
【請求項57】
前記較正ルーチンは、前記第1のセンサ出力の時が経つにつれて生じるずれを補償するためのルーチンであり、この補償は、センサの時が経つにつれて生じるずれのモデルに従って実行される請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
較正ルーチンは、第1のセンサ出力を測定されたパラメータの実際の物理的値に関連付けるためのルーチンである請求項56に記載のシステム。
【請求項59】
請求項48に記載の検査デバイスを有するシステムであって、コントローラが、第2のセンサの読みに基づき、第2のモジュールにより送られたインストラクションに反応して、第1のセンサの出力の前記調整を実行するよう構成された請求項56に記載のシステム。
【請求項60】
人間若しくは動物の体の内側又は通路に適切に配置された第1のモジュールであって、前記第1のモジュールは、第1のクロックと、少なくとも1つのセンサと、前記第1のクロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給と、及び前記少なくとも1つのセンサからのセンサデータを送信するためのトランスミッタと、を有し、並びに
第2のモジュールは、第2のクロックと、レシーバと、及び前記第1のモジュールのトランスミッタから送られたデータを受信し、第1のクロックのクロックレートを推定し、前記推定された第1のクロックレートに基づいてセンサデータを調整することにより、前記第1のモジュールの電力源の電力における変動について、受信したセンサデータを補償するプロセッサを有し、前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとを具備する、データを収集するための装置。
【請求項61】
第1のモジュールのトランスミッタは高周波トランスミッタであり、第2のモジュールのレシーバは高周波レシーバである請求項60に記載の装置。
【請求項62】
第1のモジュールは、嚥下型カプセル、又は体液が通る開口を有する大腸に挿入するための移植デバイスである請求項60又は請求項61に記載の装置。
【請求項63】
第1のモジュールの少なくとも1つのセンサは、それぞれの時間で取得されたセンサの読みにそれぞれが対応している一連のセンサ値を出力する装置において、それぞれのセンサ値のために、第2のモジュールのプロセッサは、前記センサ値が取得された時に第1のクロックのクロックレートを推定し、そして前記第1のモジュールの電力供給からの電力における変動を補償するようそれぞれのセンサ値を調整する請求項60乃至62のいずれか一項に記載の装置。
【請求項64】
第1のクロックのクロックレートは、第1のモジュールからのデータが第2のモジュールにより受信されたときのレートに基づいて推定される請求項60乃至63のいずれか一項に記載の装置。
【請求項65】
補償は、センサと電力供給により供給された電圧との予め決められた関係、及び第1のクロックのクロックレートと電力供給により第1のクロックに供給された電圧との予め決められた関係に基づいて実行される請求項60乃至64のいずれか一項に記載の装置。
【請求項66】
センサデータがプロトコルに従ってトランスミッタにより送信され、このプロトコルにおいて、前記データが1つ以上のデータパケットに分けられ、各データパケットが固定された予め決められた長さを有しており、各データパケットは、固定された予め決められた長さを有して、無信号送信の期間により他のデータパケットから分かれている請求項60乃至65のいずれか一項に記載の装置。
【請求項67】
各データパケットは、データパケットの開始をマークする1つ以上のビットのスタートシーケンスと、データパケットの終わりをマークする1つ以上のビットのストップシーケンスとを有する請求項66に記載の装置。
【請求項68】
前記第1のモジュールから前記第2のモジュールへの信号送信は、非同期である請求項60乃至67のいずれか一項に記載の装置。
【請求項69】
少なくとも1つのセンサは、温度センサ、カメラ、血液センサ、pHセンサ、溶解酸素センサ、導電率センサ、及び圧力センサから選ばれた請求項60乃至68のいずれか一項に記載の装置。
【請求項70】
第1のモジュールは、第1のモジュールの電力供給から出力された電圧を調整するためのレギュレータを有していない請求項60乃至69のいずれか一項に記載の装置。
【請求項71】
第1のクロックは、20より小さいQの値を有する低Qクロックである請求項60乃至70のいずれか一項に記載の装置。
【請求項72】
第1のモジュールのトランスミッタがCDMA方式に従って送信する装置であって、それぞれが異なるチャンネルで送信する複数の前記第1のモジュールを持つ請求項60乃至71のいずれか一項に記載の装置。
【請求項73】
プロセッサは、レシーバからのアナログ信号を前処理し、確率ヒストグラムを生成し、電圧スレッショルドを決定し、アナログ信号において0と1を識別するよう構成された請求項60乃至72のいずれか一項に記載の装置。
【請求項74】
第1のモジュールは第1のセンサと第2のセンサとを有し、第2のモジュールのプロセッサは、第2のセンサからのセンサデータにおけるセンサ値に基づき、第1のセンサからのセンサデータにおけるセンサ値を調整するよう構成された請求項60乃至73のいずれか一項に記載の装置。
【請求項75】
前記第2のセンサは温度センサである請求項74に記載の装置。
【請求項76】
第1のモジュールは、外部装置からのデータを受け取るためのレシーバを有していない請求項60乃至75のいずれか一項に記載の装置。
【請求項77】
第1のモジュールは、外側ケースを有し、その外側ケースの1つ以上の開口に向かって流体を流すための1つ以上の溝を持つ外側ケースを有する請求項60乃至76のいずれか一項に記載の装置。
【請求項78】
第1のモジュールは、飲み込むことが可能なカプセルであり、そのカプセルが腸管を通過するとき回転するように、少なくとも1つのヘリカルの溝、突起、又は刻みを有する外側ケースを具備する請求項60乃至77のいずれか一項に記載の装置。
【請求項79】
第1のクロックと、少なくとも1つのセンサと、前記第1のクロックと前記少なくとも1つのセンサに電力を供給するための電力供給と、及び前記少なくとも1つのセンサからセンサデータを送信するためのトランスミッタと、を有する第1のモジュール、
第2のクロックと、レシーバと、及びプロセッサと、を有する第2のモジュール、を具備するシステムにおけるデータの送受信方法であって、
前記少なくとも1つのセンサの出力に基づいたセンサデータを第2のモジュールのレシーバに送信するステップ、及び
第1のクロックのクロックレートを推定し、前記推定された第1のクロックレートに基づき、センサデータを調整することにより、前記第1のモジュールの電力供給の電力における変動について受信されたセンサデータを補償するために第2のモジュールのプロセッサを使用するステップを有する、システムにおけるデータの送受信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2008−529631(P2008−529631A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554639(P2007−554639)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000465
【国際公開番号】WO2006/085087
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(301008419)ザ ユニバーシティー コート オブ ザ ユニバーシティー オブ グラスゴー (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000465
【国際公開番号】WO2006/085087
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(301008419)ザ ユニバーシティー コート オブ ザ ユニバーシティー オブ グラスゴー (8)
【Fターム(参考)】
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