検査用搬送装置
【課題】容器をキャリアカップに出没させる動作を円滑に行え、しかも容器の全体を視覚的に検査するのに適した検査用搬送装置を提供する。
【解決手段】検査用搬送装置9は、容器5の投入されたキャリアカップ1を搬送する搬送コンベヤと、互いに一列に連なる複数の支持部材23と、複数の支持部材23を矢印Tの向きに走行させる走行手段25と、キャリアカップ1を着脱自在に保持する下側保持手段27と、容器5の上部を着脱自在に保持する上側保持手段29と、下側保持手段27を昇降させる昇降手段99とを備え、昇降手段99が下側保持手段27を下降させることにより、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1を、上側保持手段29に保持された容器5から分離する。
【解決手段】検査用搬送装置9は、容器5の投入されたキャリアカップ1を搬送する搬送コンベヤと、互いに一列に連なる複数の支持部材23と、複数の支持部材23を矢印Tの向きに走行させる走行手段25と、キャリアカップ1を着脱自在に保持する下側保持手段27と、容器5の上部を着脱自在に保持する上側保持手段29と、下側保持手段27を昇降させる昇降手段99とを備え、昇降手段99が下側保持手段27を下降させることにより、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1を、上側保持手段29に保持された容器5から分離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する過程でその視覚的検査を行うための検査用搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の薬剤を封入するための容器(物品)が流通されている。このような容器は成形された後、コンベヤに載せられ工場内を搬送される過程で、その検査が行われる。即ち、容器の傷、変形、又は異物の付着の有無について、コンベヤの近傍でオペレータが目視で検査し、或いはモニターカメラで撮影した物品の画像情報に基づきコンピュータが判定する。これにより不具合の認められた物品は、不良品としてコンベヤから排除される。
【0003】
例えば点滴のための薬剤の封入される容器は、ハンガー等に吊り下げて使用されるものがある。このような容器は形状的には変形しやすく不安定である。容器を安定させるために、上向きの開口部を有するキャリアカップをコンベヤに載せ、このキャリアカップの開口部に容器を投入するようにしている。この場合、上記のオペレータ、又はモニターカメラの視野を容器が通過するときに、容器をキャリアカップから上昇させることにより容器を露出させることが試みられている。
【0004】
上記のキャリアカップは次の理由で不可欠である。複数のキャリアカップをコンベヤの搬送方向に一列に並べ互いに隣接させれば、これらのキャリアカップに投入された容器をコンベヤに等間隔で位置決めするのが容易である。また、コンベヤが摩擦係数の比較的小さなプラスチック製のベルトを有する場合、コンベヤの搬送方向を横切る停止バーにキャリアカップを突き当てるだけで、キャリアカップを停止させコンベヤによる容器の搬送を中断できる。この間、コンベヤのベルトはキャリアカップに滑り接触するので、停止バーに突き当てられたキャリアカップと、これに後続するキャリアカップをコンベヤのベルト上に溜めておくことができる。
【0005】
しかしながら、容器の材質が柔軟である場合、容器の昇降に伴う慣性力によって容器が変形し、キャリアカップに容器が収まらなくなるという事態になることがある。或いは、容器の一部がキャリアカップの内側に残る程度に、容器の上昇する高さを制限すれば、上記の事態を回避できるが、キャリアカップが容器を遮り検査の妨げとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−322067号公報
【特許文献2】特開平10−338343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、容器をキャリアカップに出没させる動作を円滑に行え、しかも容器の全体を視覚的に検査するのに適した検査用搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上向きの開口部を有するキャリアカップと、前記開口部に投入され前記開口部の上方に上部を突出させる容器とを搬送する過程で、前記キャリアカップから前記容器を分離する検査用搬送装置であって、前記キャリアカップの載せられる搬送ベルトを走行させる搬送コンベヤと、前記搬送ベルトの走行する向きの下流側に配置され、互いに一列に連なる複数の支持部材と、前記複数の支持部材を前記搬送ベルトの走行に同期する速度で走行させる走行手段と、前記支持部材に昇降自在に支持され、前記キャリアカップを着脱自在に保持する下側保持手段と、前記下側保持手段を昇降させる昇降手段と、前記下側保持手段の上方で前記支持部材に支持され、前記容器の上部を着脱自在に保持する上側保持手段とを備え、前記搬送コンベヤの搬送ベルトに載せられたキャリアカップを前記下側保持手段が保持し、このキャリアカップに投入された容器の上部を前記上側保持手段が保持し、前記昇降手段が前記下側保持手段を下降させることにより、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップを、前記上側保持手段に保持された容器に対して下降させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記支持部材の走行する向きの下流側に配置され、前記支持部材の走行に同期する速度で、前記キャリアカップの載せられる搬出ベルトを走行させる搬出コンベヤを備え、前記支持部材が前記搬送コンベヤから前記搬出コンベヤまで走行する過程で、前記昇降手段は、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップが前記上側保持手段に保持された容器から分離する位置まで、前記下側保持手段を下降させ、前記下側保持手段を上昇させる動作に転じることにより、前記キャリアカップの開口部に前記容器を没入させ、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップが前記搬出コンベヤに達する位置で、前記下側保持手段は前記キャリアカップを解放し、前記上側保持手段が前記容器の上部を解放することにより、前記支持部材から離脱するキャリアカップを、前記搬出コンベヤの搬出ベルトが受け止めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る検査用搬送装置によれば、キャリアカップと、この開口部に投入された容器とを搬送コンベヤで搬送し、上側保持手段が容器の上部を保持する一方、下側保持手段がキャリアカップを保持する。この状態で、昇降手段が下側保持手段と共にキャリアカップを下降させることにより、キャリアカップから容器を分離できるので、容器にそれ自体の変形するような慣性力は発生しない。続いて、昇降手段が下側保持手段を上昇させる動作に転じることにより、容器をキャリアカップに収めることができる。
【0011】
更に、本発明に係る検査用搬送装置によれば、容器の全体がキャリアカップから引き離される位置まで、昇降手段が下側保持手段を下降させるので、例えばオペレータの目視、又はモニターカメラによる容器の全体の検査を正確に行うのに有利である。続いて、キャリアカップが下側保持手段から解放される。このとき、支持部材の走行する向きの下流側に配置された搬出コンベヤがキャリアカップを受け止めるので、当該検査用搬送装置は、キャリアカップと共に検査を終えた容器を速やかに他所へ搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置により搬送されるキャリアカップ、及び容器の斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置の動作を説明する概略図。
【図3】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置の上流側の要部の平面図。
【図4】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置の下流側の要部の平面図。
【図5】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した搬送コンベヤ、及び支持部材の配置図。
【図6】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した支持部材の支持構造を示す背面図。
【図7】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した上側保持手段、及び下側保持手段の支持構造の一部を破断した背面図。
【図8】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した下側保持手段の一部を破断した側面図。
【図9】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した下側保持手段の一部を破断した平面図。
【図10】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した支持部材の一部を破断した上側保持手段の支持構造を示す平面図。
【図11】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した上側保持手段の要部の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、キャリアカップ1は、上向きに開放した開口部3を有する。容器5は、その上部のボトルネック7をキャリアカップ1の開口部3から突出させる直立姿勢で開口部3に投入される。図2に示すように、検査用搬送装置9は、キャリアカップ1と共に容器5を水平方向の矢印Tの向きに搬送する過程で、容器5を一定の高さに保持する一方、キャリアカップ1を容器5に対して下降することにより、キャリアカップ1を容器5から引き離すものである。
【0014】
検査用搬送装置9は、搬送コンベヤ11と、保持分離装置13と、搬出コンベヤ15とを備える。搬送コンベヤ11は、プーリー17に巻掛された搬送ベルト19を、サーボモータ等の駆動源によるプーリー17の回転に従わせて矢印Tの向きに走行させるベルトコンベヤである。搬送ベルト19に載せられたキャリアカップ1が搬送ベルト19に対して適度に滑ることのできるように、搬送ベルト19の材質はプラスチックであるのが好ましい。搬出コンベヤ15は、搬出ベルト21を走行させる行程が保持分離装置13に対して矢印Tの向きの下流側である点を除き、搬送コンベヤ11と同様のベルトコンベヤである。
【0015】
図3,4は、図2の矢印a,bの向きに保持分離装置13をそれぞれ俯瞰した平面図である。保持分離装置13は、互いに一列に連なる複数の支持部材23と、複数の支持部材23を搬送コンベヤ11の搬送ベルト19の走行に同期する速度で走行させる走行手段25と、キャリアカップ1を着脱自在に保持する下側保持手段27と、下側保持手段27を昇降させる後述の昇降手段と、容器5のボトルネック7を着脱自在に保持する上側保持手段29とを備える。
【0016】
図5は、図3の矢印c−c線で保持分離装置13を破断した断面として支持部材23、搬送コンベヤ11、無端状駆動ベルト31、ガイドレール33,35、及びカムレール37,39,41を表している。図5の矢印dの向きから見える支持部材23、及び無端状駆動ベルト31が図6に表れている。図3,4に示した2本の回転軸43,45には、図示されていないプーリーが各々設けられており、これらのプーリーに、図6に示す2本の無端状駆動ベルト31が巻掛されている。
【0017】
図5,6に示すように、支持部材23は、方形枠47の上下の端部から延出した延出片49を無端状駆動ベルト31に固定し、4つのガイドローラ51を軸受けする軸受基材53,55を方形枠47の上下の端部に取付けている。ガイドローラ51は、ガイドレール33によって水平方向に案内される。走行手段25は、回転軸43,45を回転させることにより無端状駆動ベルト31と共に複数の支持部材23を走行させる駆動源である。
【0018】
以下で、図3,4の矢印Tの向きに支持部材23が走行する行程を「往動区間」と記し、矢印Tの反対向きに支持部材23が走行する行程を「復動区間」と記す。また、支持部材23が回転軸43の周りで180度向きを転じる行程を「送り周回区間」と記し、支持部材23が回転軸45の周りで180度向きを転じる行程を「戻り周回区間」と記す。
【0019】
図7は、図5の矢印dの向きから見える下側保持手段27の一部を破断した背面図として、支持部材23に下側保持手段27が支持される構造を表している。図8は、図3の矢印c−c線で保持分離装置13を破断したときに見える下側保持手段27を、その一部を破断した側面図として表している。図9は、図8の矢印e−e線で破断した下側保持手段27を表している。
【0020】
下側保持手段27は、図7〜図9の中にドットを付した昇降部材57と、進退部材59と、圧縮コイルスプリング61と、一対の把持アーム63,65と、進退部材59の後端部に取付けられた従動ローラ67と、図3〜図5に示すカムレール37とを備える。昇降部材57は、挿通口69の形成された起立板材71を上板材73と下板材75との間に固定したものである。上板材73にはスライドレール77が取付けられている。進退部材59は、昇降部材57の挿通口69に挿通され、進退滑子79を介してスライドレール77に係合しており、矢印f,gの向きに進退できる。
【0021】
下板材75の後端部にはガイドローラ81が取付けられている。ガイドローラ81は、進退部材59の蛇行を規制するためのガイドレール35に係合している。進退部材59の段部83は、進退部材59が矢印gの向きに後退できる限度に達したとき、昇降部材57の挿通口69の下縁部に突き当たる。圧縮コイルスプリング61は、進退部材59を矢印gの向きに付勢するものである。
【0022】
把持アーム63,65は、昇降部材57の上板材73と下板材75との間に固定された固定ピン85に回転自在に支持されている。把持アーム63の後端部は連結ピン87を介してリンク部材89に連結し、把持アーム65の後端部は連結ピン91を介してリンク部材93に連結している。リンク部材89,93は、相互に共有する進退ピン95を介して進退部材59に連結している。把持アーム63,65の先端部には当接片97が取付けられている。
【0023】
昇降手段99は、図6に示す軸受基材53,55の間に架け渡され鉛直方向に延びる2本のガイドポール101と、昇降部材57の起立板材71の両側に取付けられガイドポール101に昇降自在に係合する昇降滑子103と、昇降部材57の下板材75の下面から突出する懸架片105に取付けられた従動ローラ107と、従動ローラ107を受け止めるカムレール39とを備える。従動ローラ107は、支持部材23の走行する全行程でカムレール39に転がり接触し、昇降部材57の支持部材23に対する高さは、カムレール39が従動ローラ107を受け止める高さに従うことになる。
【0024】
図3,4に略U字形に湾曲したカムレール37,41が表れているが、ガイドレール33,35、及びカムレール39については同図において省略している。また、ガイドレール33,35、及びカムレール37,39,41は、図5に示すように互いに高さを違え、それぞれが検査用搬送装置9の筐体等に支持されていれば良い。
【0025】
図10は、支持部材23の一部を破断した平面図として、支持部材23に上側保持手段29が支持される構造を表している。上側保持手段29は、2本の平行軸109と、2本の平行軸109に接合された一対の挟着ブレード111,113と、2本の平行軸109に結合され互いに噛み合う一対の平歯車115と、平行軸109に取付けられたトーションスプリング117と、片方の平行軸109の後端部に連結された従動クランク119と、従動クランク119の先端部に取付けられた従動ローラ121と、図3〜図5に示すカムレール41とを備える。
【0026】
平行軸109は、支持部材23の方形枠47、及び軸受基材を貫き、これらに軸受けされている。図11に示すように、挟着ブレード111,113の先端部は平行軸109から略L字形に延出し、掛止片123を取付けられている。矢印h,iは、平行軸109の回転する方向を指している。トーションスプリング117は、矢印hの向きの力を発生し、挟着ブレード111,113のそれぞれの掛止片123が互いに接近する向きに平行軸109を付勢するものである。
【0027】
次に検査用搬送装置9の動作について説明する。検査用搬送装置9は、走行手段25により走行する複数の支持部材23が順次に同じ動作をするものであるが、以下の説明は一つの支持部材23に注目する。特に断らない限り図面は図2〜図4を参照する。また、以下の文頭に付した英文字は動作の工程を区分する指標である。
【0028】
A:支持部材23が復動区間から送り周回区間に達する手前で、図7,8に示す下側保持手段27の従動ローラ67が回転軸43の周りに配置されたカムレール37に転がり接触する。カムレール37は、従動ローラ67と共に進退部材59を圧縮コイルスプリング61の弾性力に抗して矢印fの向きに案内する。これにより図9に示す進退ピン95が固定ピン85に接近する分、連結ピン87,91の間隔が広がるので、把持アーム63,65が固定ピン85を支点に、それぞれの当接片97の間を開く向きに回動する。
【0029】
B:上記Aの工程と同時に、図10に示す上側保持手段29の従動ローラ121が回転軸43の周りに配置されたカムレール41に転がり接触する。カムレール41は、従動ローラ121を下方へ案内するので、従動クランク119が平行軸109をトーションスプリング117の弾性力に抗して図11の矢印iの向きに回転させる。これにより、挟着ブレード111,113が平行軸109を支点に、それぞれの掛止片123の間を開く向きに回動する。
【0030】
C:支持部材23は、送り周回区間を走行する過程で、搬送コンベヤ11の搬送ベルト19に載せられたキャリアカップ1に接近する。そして、支持部材23が往動区間に達したところで、把持アーム63,65の間にキャリアカップ1が進入し、挟着ブレード111,113の間の真下に容器5のボトルネック7が進入する。
【0031】
D:支持部材23が往動区間に達した直後、図7,8に示す下側保持手段27の従動ローラ67がカムレール37から離脱し、圧縮コイルスプリング61によって従動ローラ67と共に進退部材59が矢印gの向きに押し戻される。これにより図9に示す進退ピン95が固定ピン85から離れる分、連結ピン87,91の間隔が狭くなるので、把持アーム63,65が固定ピン85を支点に、それぞれの当接片97の間を閉じる向きに回動する。この時点で、把持アーム63,65のそれぞれの当接片97の間にキャリアカップ1が挟まれ、下側保持手段27がキャリアカップ1を保持する。このようにキャリアカップ1の保持が完了したとき、キャリアカップ1の下面が搬送ベルト19に接していても良い。
【0032】
E:上記Dの工程と同時に、図10に示す上側保持手段29の従動ローラ121がカムレール41から離脱し、トーションスプリング117によって従動クランク119が上方に復帰するのと同時に、平行軸109が図11の矢印iの向きに回転する。これにより、挟着ブレード111,113のそれぞれの掛止片123の間に容器5のボトルネック7が挟まれ、上側保持手段29が容器5を保持する。
【0033】
F:支持部材23が往動区間を走行する過程で、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1は、搬送コンベヤ11から矢印Tの向きの下流側へ離れる。図7,8に示す従動ローラ107をカムレール39が下方へ案内する。これにより、昇降部材57が把持アーム63,65と共に下降し、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1が、上側保持手段29に保持された容器5から分離したところで、言い換えると、容器5の全体が露出する位置までキャリアカップ1が下降した状態で、昇降部材57の下降が停止する。
【0034】
上記Fの工程で、把持アーム63,65の下降が停止してから支持部材23が約50〜100cmの距離を走行する間に、例えばオペレータは容器5を目視で検査することができる。或いは、容器5を撮影するモニターカメラの画像情報に基づき、コンピュータが容器5の不具合の有無を判定しても良い。
【0035】
G:支持部材23が更に往動区間を走行する過程で、図7,8に示す従動ローラ107をカムレール39が上方へ案内する。これにより、昇降部材57が把持アーム63,65と共に上昇し、キャリアカップ1の開口部3に容器5が没入したところで、昇降部材57の上昇が停止する。この時点で、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1の下面の高さは、搬出コンベヤ15の搬出ベルト21の高さを僅かに超えている。
【0036】
H:支持部材23が往動区間から戻り周回区間に達する手前で、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1が、搬出コンベヤ15の搬出ベルト21に乗り上げる。続いて、図7,8に示す下側保持手段27の従動ローラ67が回転軸45の周りに配置されたカムレール37に転がり接触する。これにより、把持アーム63,65がそれぞれの当接片97の間を開く向きに回動し、下側保持手段27がキャリアカップ1を解放する。キャリアカップ1は直ちに搬出コンベヤ15の搬出ベルト21に受け止められる。
【0037】
I:上記Hの工程と同時に、図10に示す上側保持手段29の従動ローラ121が回転軸45の周りに配置されたカムレール41に転がり接触する。これにより、挟着ブレード111,113がそれぞれの掛止片123の間を開く向きに回動し、上側保持手段29が容器5を解放する。
【0038】
J:支持部材23は、戻り周回区間を走行する過程で、搬出コンベヤ15の搬出ベルト21に載せられたキャリアカップ1から離れる一方、キャリアカップ1は搬出コンベヤ15によって搬出される。支持部材23が復動区間に達し、図7,8に示す下側保持手段27の従動ローラ67がカムレール37から離脱することにより、把持アーム63,65がそれぞれの当接片97の間を閉じる向きに回動する。同時に、図10に示す上側保持手段29の従動ローラ121がカムレール41から離脱することにより、挟着ブレード111,113がそれぞれの掛止片123の間を閉じる向きに回動する。この後、上記Aの工程が繰り返される。
【0039】
以上に述べた検査用搬送装置9によれば、キャリアカップ1を下降させることにより、キャリアカップ1を容器5から分離できるので、容器5にそれ自体の変形するような慣性力が発生しない。更に、検査用搬送装置9によれば、容器5の全体がキャリアカップ1から抜け出る位置まで、昇降手段99が下側保持手段27を下降させるので、例えばオペレータは、容器5を一見するだけで容器5の全体を即時に検査することができる。また、搬出コンベヤ15は、検査を終えた容器5をキャリアカップ1と共に速やかに保持分離装置13の下流側へ搬出することができる。
【0040】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施することができる。図1に示すように、キャリアカップ1の両側に溝125を設け、図9に示す把持アーム63,65のそれぞれの当接片97に設けた爪127を上記Dの工程で溝125に掛止しても良い。また、上記Fの工程で挟着ブレード111,113と容器5との摩擦力だけで容器5の保持ができる場合、ボトルネックの無い容器を挟着ブレード111,113の間に挟んでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、容器の用途、材質、又は形状に関わらず、キャリアカップに投入されたあらゆる物品を手早く検査するのに有益な技術である。
【符号の説明】
【0042】
1…キャリアカップ、3…開口部、5…容器、7…ボトルネック(上部)、9…検査用搬送装置、11…搬送コンベヤ、13…保持分離装置、15…搬出コンベヤ、17…プーリー、19…搬送ベルト、21…搬出ベルト、23…支持部材、25…走行手段、27…下側保持手段、29…上側保持手段、31…無端状駆動ベルト、33,35…ガイドレール、37,39,41…カムレール、43,45…回転軸、47…方形枠、49…延出片、51,81…ガイドローラ、53,55…軸受基材、57…昇降部材、59…進退部材、61…圧縮コイルスプリング、63,65…把持アーム、67,107,121…従動ローラ、69…挿通口、71…起立板材、73…上板材、75…下板材、77…スライドレール、79…進退滑子、83…段部、85…固定ピン、87,91…連結ピン、89,93…リンク部材、95…進退ピン、97…当接片、99…昇降手段、101…ガイドポール、103…昇降滑子、105…懸架片、109…平行軸、111,113…挟着ブレード、115…平歯車、117…トーションスプリング、119…従動クランク、123…掛止片、125…溝、127…爪。
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する過程でその視覚的検査を行うための検査用搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の薬剤を封入するための容器(物品)が流通されている。このような容器は成形された後、コンベヤに載せられ工場内を搬送される過程で、その検査が行われる。即ち、容器の傷、変形、又は異物の付着の有無について、コンベヤの近傍でオペレータが目視で検査し、或いはモニターカメラで撮影した物品の画像情報に基づきコンピュータが判定する。これにより不具合の認められた物品は、不良品としてコンベヤから排除される。
【0003】
例えば点滴のための薬剤の封入される容器は、ハンガー等に吊り下げて使用されるものがある。このような容器は形状的には変形しやすく不安定である。容器を安定させるために、上向きの開口部を有するキャリアカップをコンベヤに載せ、このキャリアカップの開口部に容器を投入するようにしている。この場合、上記のオペレータ、又はモニターカメラの視野を容器が通過するときに、容器をキャリアカップから上昇させることにより容器を露出させることが試みられている。
【0004】
上記のキャリアカップは次の理由で不可欠である。複数のキャリアカップをコンベヤの搬送方向に一列に並べ互いに隣接させれば、これらのキャリアカップに投入された容器をコンベヤに等間隔で位置決めするのが容易である。また、コンベヤが摩擦係数の比較的小さなプラスチック製のベルトを有する場合、コンベヤの搬送方向を横切る停止バーにキャリアカップを突き当てるだけで、キャリアカップを停止させコンベヤによる容器の搬送を中断できる。この間、コンベヤのベルトはキャリアカップに滑り接触するので、停止バーに突き当てられたキャリアカップと、これに後続するキャリアカップをコンベヤのベルト上に溜めておくことができる。
【0005】
しかしながら、容器の材質が柔軟である場合、容器の昇降に伴う慣性力によって容器が変形し、キャリアカップに容器が収まらなくなるという事態になることがある。或いは、容器の一部がキャリアカップの内側に残る程度に、容器の上昇する高さを制限すれば、上記の事態を回避できるが、キャリアカップが容器を遮り検査の妨げとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−322067号公報
【特許文献2】特開平10−338343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、容器をキャリアカップに出没させる動作を円滑に行え、しかも容器の全体を視覚的に検査するのに適した検査用搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上向きの開口部を有するキャリアカップと、前記開口部に投入され前記開口部の上方に上部を突出させる容器とを搬送する過程で、前記キャリアカップから前記容器を分離する検査用搬送装置であって、前記キャリアカップの載せられる搬送ベルトを走行させる搬送コンベヤと、前記搬送ベルトの走行する向きの下流側に配置され、互いに一列に連なる複数の支持部材と、前記複数の支持部材を前記搬送ベルトの走行に同期する速度で走行させる走行手段と、前記支持部材に昇降自在に支持され、前記キャリアカップを着脱自在に保持する下側保持手段と、前記下側保持手段を昇降させる昇降手段と、前記下側保持手段の上方で前記支持部材に支持され、前記容器の上部を着脱自在に保持する上側保持手段とを備え、前記搬送コンベヤの搬送ベルトに載せられたキャリアカップを前記下側保持手段が保持し、このキャリアカップに投入された容器の上部を前記上側保持手段が保持し、前記昇降手段が前記下側保持手段を下降させることにより、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップを、前記上側保持手段に保持された容器に対して下降させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記支持部材の走行する向きの下流側に配置され、前記支持部材の走行に同期する速度で、前記キャリアカップの載せられる搬出ベルトを走行させる搬出コンベヤを備え、前記支持部材が前記搬送コンベヤから前記搬出コンベヤまで走行する過程で、前記昇降手段は、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップが前記上側保持手段に保持された容器から分離する位置まで、前記下側保持手段を下降させ、前記下側保持手段を上昇させる動作に転じることにより、前記キャリアカップの開口部に前記容器を没入させ、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップが前記搬出コンベヤに達する位置で、前記下側保持手段は前記キャリアカップを解放し、前記上側保持手段が前記容器の上部を解放することにより、前記支持部材から離脱するキャリアカップを、前記搬出コンベヤの搬出ベルトが受け止めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る検査用搬送装置によれば、キャリアカップと、この開口部に投入された容器とを搬送コンベヤで搬送し、上側保持手段が容器の上部を保持する一方、下側保持手段がキャリアカップを保持する。この状態で、昇降手段が下側保持手段と共にキャリアカップを下降させることにより、キャリアカップから容器を分離できるので、容器にそれ自体の変形するような慣性力は発生しない。続いて、昇降手段が下側保持手段を上昇させる動作に転じることにより、容器をキャリアカップに収めることができる。
【0011】
更に、本発明に係る検査用搬送装置によれば、容器の全体がキャリアカップから引き離される位置まで、昇降手段が下側保持手段を下降させるので、例えばオペレータの目視、又はモニターカメラによる容器の全体の検査を正確に行うのに有利である。続いて、キャリアカップが下側保持手段から解放される。このとき、支持部材の走行する向きの下流側に配置された搬出コンベヤがキャリアカップを受け止めるので、当該検査用搬送装置は、キャリアカップと共に検査を終えた容器を速やかに他所へ搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置により搬送されるキャリアカップ、及び容器の斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置の動作を説明する概略図。
【図3】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置の上流側の要部の平面図。
【図4】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置の下流側の要部の平面図。
【図5】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した搬送コンベヤ、及び支持部材の配置図。
【図6】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した支持部材の支持構造を示す背面図。
【図7】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した上側保持手段、及び下側保持手段の支持構造の一部を破断した背面図。
【図8】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した下側保持手段の一部を破断した側面図。
【図9】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した下側保持手段の一部を破断した平面図。
【図10】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した支持部材の一部を破断した上側保持手段の支持構造を示す平面図。
【図11】本発明の実施形態に係る検査用搬送装置に適用した上側保持手段の要部の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、キャリアカップ1は、上向きに開放した開口部3を有する。容器5は、その上部のボトルネック7をキャリアカップ1の開口部3から突出させる直立姿勢で開口部3に投入される。図2に示すように、検査用搬送装置9は、キャリアカップ1と共に容器5を水平方向の矢印Tの向きに搬送する過程で、容器5を一定の高さに保持する一方、キャリアカップ1を容器5に対して下降することにより、キャリアカップ1を容器5から引き離すものである。
【0014】
検査用搬送装置9は、搬送コンベヤ11と、保持分離装置13と、搬出コンベヤ15とを備える。搬送コンベヤ11は、プーリー17に巻掛された搬送ベルト19を、サーボモータ等の駆動源によるプーリー17の回転に従わせて矢印Tの向きに走行させるベルトコンベヤである。搬送ベルト19に載せられたキャリアカップ1が搬送ベルト19に対して適度に滑ることのできるように、搬送ベルト19の材質はプラスチックであるのが好ましい。搬出コンベヤ15は、搬出ベルト21を走行させる行程が保持分離装置13に対して矢印Tの向きの下流側である点を除き、搬送コンベヤ11と同様のベルトコンベヤである。
【0015】
図3,4は、図2の矢印a,bの向きに保持分離装置13をそれぞれ俯瞰した平面図である。保持分離装置13は、互いに一列に連なる複数の支持部材23と、複数の支持部材23を搬送コンベヤ11の搬送ベルト19の走行に同期する速度で走行させる走行手段25と、キャリアカップ1を着脱自在に保持する下側保持手段27と、下側保持手段27を昇降させる後述の昇降手段と、容器5のボトルネック7を着脱自在に保持する上側保持手段29とを備える。
【0016】
図5は、図3の矢印c−c線で保持分離装置13を破断した断面として支持部材23、搬送コンベヤ11、無端状駆動ベルト31、ガイドレール33,35、及びカムレール37,39,41を表している。図5の矢印dの向きから見える支持部材23、及び無端状駆動ベルト31が図6に表れている。図3,4に示した2本の回転軸43,45には、図示されていないプーリーが各々設けられており、これらのプーリーに、図6に示す2本の無端状駆動ベルト31が巻掛されている。
【0017】
図5,6に示すように、支持部材23は、方形枠47の上下の端部から延出した延出片49を無端状駆動ベルト31に固定し、4つのガイドローラ51を軸受けする軸受基材53,55を方形枠47の上下の端部に取付けている。ガイドローラ51は、ガイドレール33によって水平方向に案内される。走行手段25は、回転軸43,45を回転させることにより無端状駆動ベルト31と共に複数の支持部材23を走行させる駆動源である。
【0018】
以下で、図3,4の矢印Tの向きに支持部材23が走行する行程を「往動区間」と記し、矢印Tの反対向きに支持部材23が走行する行程を「復動区間」と記す。また、支持部材23が回転軸43の周りで180度向きを転じる行程を「送り周回区間」と記し、支持部材23が回転軸45の周りで180度向きを転じる行程を「戻り周回区間」と記す。
【0019】
図7は、図5の矢印dの向きから見える下側保持手段27の一部を破断した背面図として、支持部材23に下側保持手段27が支持される構造を表している。図8は、図3の矢印c−c線で保持分離装置13を破断したときに見える下側保持手段27を、その一部を破断した側面図として表している。図9は、図8の矢印e−e線で破断した下側保持手段27を表している。
【0020】
下側保持手段27は、図7〜図9の中にドットを付した昇降部材57と、進退部材59と、圧縮コイルスプリング61と、一対の把持アーム63,65と、進退部材59の後端部に取付けられた従動ローラ67と、図3〜図5に示すカムレール37とを備える。昇降部材57は、挿通口69の形成された起立板材71を上板材73と下板材75との間に固定したものである。上板材73にはスライドレール77が取付けられている。進退部材59は、昇降部材57の挿通口69に挿通され、進退滑子79を介してスライドレール77に係合しており、矢印f,gの向きに進退できる。
【0021】
下板材75の後端部にはガイドローラ81が取付けられている。ガイドローラ81は、進退部材59の蛇行を規制するためのガイドレール35に係合している。進退部材59の段部83は、進退部材59が矢印gの向きに後退できる限度に達したとき、昇降部材57の挿通口69の下縁部に突き当たる。圧縮コイルスプリング61は、進退部材59を矢印gの向きに付勢するものである。
【0022】
把持アーム63,65は、昇降部材57の上板材73と下板材75との間に固定された固定ピン85に回転自在に支持されている。把持アーム63の後端部は連結ピン87を介してリンク部材89に連結し、把持アーム65の後端部は連結ピン91を介してリンク部材93に連結している。リンク部材89,93は、相互に共有する進退ピン95を介して進退部材59に連結している。把持アーム63,65の先端部には当接片97が取付けられている。
【0023】
昇降手段99は、図6に示す軸受基材53,55の間に架け渡され鉛直方向に延びる2本のガイドポール101と、昇降部材57の起立板材71の両側に取付けられガイドポール101に昇降自在に係合する昇降滑子103と、昇降部材57の下板材75の下面から突出する懸架片105に取付けられた従動ローラ107と、従動ローラ107を受け止めるカムレール39とを備える。従動ローラ107は、支持部材23の走行する全行程でカムレール39に転がり接触し、昇降部材57の支持部材23に対する高さは、カムレール39が従動ローラ107を受け止める高さに従うことになる。
【0024】
図3,4に略U字形に湾曲したカムレール37,41が表れているが、ガイドレール33,35、及びカムレール39については同図において省略している。また、ガイドレール33,35、及びカムレール37,39,41は、図5に示すように互いに高さを違え、それぞれが検査用搬送装置9の筐体等に支持されていれば良い。
【0025】
図10は、支持部材23の一部を破断した平面図として、支持部材23に上側保持手段29が支持される構造を表している。上側保持手段29は、2本の平行軸109と、2本の平行軸109に接合された一対の挟着ブレード111,113と、2本の平行軸109に結合され互いに噛み合う一対の平歯車115と、平行軸109に取付けられたトーションスプリング117と、片方の平行軸109の後端部に連結された従動クランク119と、従動クランク119の先端部に取付けられた従動ローラ121と、図3〜図5に示すカムレール41とを備える。
【0026】
平行軸109は、支持部材23の方形枠47、及び軸受基材を貫き、これらに軸受けされている。図11に示すように、挟着ブレード111,113の先端部は平行軸109から略L字形に延出し、掛止片123を取付けられている。矢印h,iは、平行軸109の回転する方向を指している。トーションスプリング117は、矢印hの向きの力を発生し、挟着ブレード111,113のそれぞれの掛止片123が互いに接近する向きに平行軸109を付勢するものである。
【0027】
次に検査用搬送装置9の動作について説明する。検査用搬送装置9は、走行手段25により走行する複数の支持部材23が順次に同じ動作をするものであるが、以下の説明は一つの支持部材23に注目する。特に断らない限り図面は図2〜図4を参照する。また、以下の文頭に付した英文字は動作の工程を区分する指標である。
【0028】
A:支持部材23が復動区間から送り周回区間に達する手前で、図7,8に示す下側保持手段27の従動ローラ67が回転軸43の周りに配置されたカムレール37に転がり接触する。カムレール37は、従動ローラ67と共に進退部材59を圧縮コイルスプリング61の弾性力に抗して矢印fの向きに案内する。これにより図9に示す進退ピン95が固定ピン85に接近する分、連結ピン87,91の間隔が広がるので、把持アーム63,65が固定ピン85を支点に、それぞれの当接片97の間を開く向きに回動する。
【0029】
B:上記Aの工程と同時に、図10に示す上側保持手段29の従動ローラ121が回転軸43の周りに配置されたカムレール41に転がり接触する。カムレール41は、従動ローラ121を下方へ案内するので、従動クランク119が平行軸109をトーションスプリング117の弾性力に抗して図11の矢印iの向きに回転させる。これにより、挟着ブレード111,113が平行軸109を支点に、それぞれの掛止片123の間を開く向きに回動する。
【0030】
C:支持部材23は、送り周回区間を走行する過程で、搬送コンベヤ11の搬送ベルト19に載せられたキャリアカップ1に接近する。そして、支持部材23が往動区間に達したところで、把持アーム63,65の間にキャリアカップ1が進入し、挟着ブレード111,113の間の真下に容器5のボトルネック7が進入する。
【0031】
D:支持部材23が往動区間に達した直後、図7,8に示す下側保持手段27の従動ローラ67がカムレール37から離脱し、圧縮コイルスプリング61によって従動ローラ67と共に進退部材59が矢印gの向きに押し戻される。これにより図9に示す進退ピン95が固定ピン85から離れる分、連結ピン87,91の間隔が狭くなるので、把持アーム63,65が固定ピン85を支点に、それぞれの当接片97の間を閉じる向きに回動する。この時点で、把持アーム63,65のそれぞれの当接片97の間にキャリアカップ1が挟まれ、下側保持手段27がキャリアカップ1を保持する。このようにキャリアカップ1の保持が完了したとき、キャリアカップ1の下面が搬送ベルト19に接していても良い。
【0032】
E:上記Dの工程と同時に、図10に示す上側保持手段29の従動ローラ121がカムレール41から離脱し、トーションスプリング117によって従動クランク119が上方に復帰するのと同時に、平行軸109が図11の矢印iの向きに回転する。これにより、挟着ブレード111,113のそれぞれの掛止片123の間に容器5のボトルネック7が挟まれ、上側保持手段29が容器5を保持する。
【0033】
F:支持部材23が往動区間を走行する過程で、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1は、搬送コンベヤ11から矢印Tの向きの下流側へ離れる。図7,8に示す従動ローラ107をカムレール39が下方へ案内する。これにより、昇降部材57が把持アーム63,65と共に下降し、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1が、上側保持手段29に保持された容器5から分離したところで、言い換えると、容器5の全体が露出する位置までキャリアカップ1が下降した状態で、昇降部材57の下降が停止する。
【0034】
上記Fの工程で、把持アーム63,65の下降が停止してから支持部材23が約50〜100cmの距離を走行する間に、例えばオペレータは容器5を目視で検査することができる。或いは、容器5を撮影するモニターカメラの画像情報に基づき、コンピュータが容器5の不具合の有無を判定しても良い。
【0035】
G:支持部材23が更に往動区間を走行する過程で、図7,8に示す従動ローラ107をカムレール39が上方へ案内する。これにより、昇降部材57が把持アーム63,65と共に上昇し、キャリアカップ1の開口部3に容器5が没入したところで、昇降部材57の上昇が停止する。この時点で、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1の下面の高さは、搬出コンベヤ15の搬出ベルト21の高さを僅かに超えている。
【0036】
H:支持部材23が往動区間から戻り周回区間に達する手前で、下側保持手段27に保持されたキャリアカップ1が、搬出コンベヤ15の搬出ベルト21に乗り上げる。続いて、図7,8に示す下側保持手段27の従動ローラ67が回転軸45の周りに配置されたカムレール37に転がり接触する。これにより、把持アーム63,65がそれぞれの当接片97の間を開く向きに回動し、下側保持手段27がキャリアカップ1を解放する。キャリアカップ1は直ちに搬出コンベヤ15の搬出ベルト21に受け止められる。
【0037】
I:上記Hの工程と同時に、図10に示す上側保持手段29の従動ローラ121が回転軸45の周りに配置されたカムレール41に転がり接触する。これにより、挟着ブレード111,113がそれぞれの掛止片123の間を開く向きに回動し、上側保持手段29が容器5を解放する。
【0038】
J:支持部材23は、戻り周回区間を走行する過程で、搬出コンベヤ15の搬出ベルト21に載せられたキャリアカップ1から離れる一方、キャリアカップ1は搬出コンベヤ15によって搬出される。支持部材23が復動区間に達し、図7,8に示す下側保持手段27の従動ローラ67がカムレール37から離脱することにより、把持アーム63,65がそれぞれの当接片97の間を閉じる向きに回動する。同時に、図10に示す上側保持手段29の従動ローラ121がカムレール41から離脱することにより、挟着ブレード111,113がそれぞれの掛止片123の間を閉じる向きに回動する。この後、上記Aの工程が繰り返される。
【0039】
以上に述べた検査用搬送装置9によれば、キャリアカップ1を下降させることにより、キャリアカップ1を容器5から分離できるので、容器5にそれ自体の変形するような慣性力が発生しない。更に、検査用搬送装置9によれば、容器5の全体がキャリアカップ1から抜け出る位置まで、昇降手段99が下側保持手段27を下降させるので、例えばオペレータは、容器5を一見するだけで容器5の全体を即時に検査することができる。また、搬出コンベヤ15は、検査を終えた容器5をキャリアカップ1と共に速やかに保持分離装置13の下流側へ搬出することができる。
【0040】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施することができる。図1に示すように、キャリアカップ1の両側に溝125を設け、図9に示す把持アーム63,65のそれぞれの当接片97に設けた爪127を上記Dの工程で溝125に掛止しても良い。また、上記Fの工程で挟着ブレード111,113と容器5との摩擦力だけで容器5の保持ができる場合、ボトルネックの無い容器を挟着ブレード111,113の間に挟んでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、容器の用途、材質、又は形状に関わらず、キャリアカップに投入されたあらゆる物品を手早く検査するのに有益な技術である。
【符号の説明】
【0042】
1…キャリアカップ、3…開口部、5…容器、7…ボトルネック(上部)、9…検査用搬送装置、11…搬送コンベヤ、13…保持分離装置、15…搬出コンベヤ、17…プーリー、19…搬送ベルト、21…搬出ベルト、23…支持部材、25…走行手段、27…下側保持手段、29…上側保持手段、31…無端状駆動ベルト、33,35…ガイドレール、37,39,41…カムレール、43,45…回転軸、47…方形枠、49…延出片、51,81…ガイドローラ、53,55…軸受基材、57…昇降部材、59…進退部材、61…圧縮コイルスプリング、63,65…把持アーム、67,107,121…従動ローラ、69…挿通口、71…起立板材、73…上板材、75…下板材、77…スライドレール、79…進退滑子、83…段部、85…固定ピン、87,91…連結ピン、89,93…リンク部材、95…進退ピン、97…当接片、99…昇降手段、101…ガイドポール、103…昇降滑子、105…懸架片、109…平行軸、111,113…挟着ブレード、115…平歯車、117…トーションスプリング、119…従動クランク、123…掛止片、125…溝、127…爪。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きの開口部を有するキャリアカップと、前記開口部に投入され前記開口部の上方に上部を突出させる容器とを搬送する過程で、前記キャリアカップから前記容器を分離する検査用搬送装置であって、
前記キャリアカップの載せられる搬送ベルトを走行させる搬送コンベヤと、
前記搬送ベルトの走行する向きの下流側に配置され、互いに一列に連なる複数の支持部材と、
前記複数の支持部材を前記搬送ベルトの走行に同期する速度で走行させる走行手段と、
前記支持部材に昇降自在に支持され、前記キャリアカップを着脱自在に保持する下側保持手段と、
前記下側保持手段を昇降させる昇降手段と、
前記下側保持手段の上方で前記支持部材に支持され、前記容器の上部を着脱自在に保持する上側保持手段とを備え、
前記搬送コンベヤの搬送ベルトに載せられたキャリアカップを前記下側保持手段が保持し、このキャリアカップに投入された容器の上部を前記上側保持手段が保持し、前記昇降手段が前記下側保持手段を下降させることにより、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップを、前記上側保持手段に保持された容器に対して下降させることを特徴とする検査用搬送装置。
【請求項2】
前記支持部材の走行する向きの下流側に配置され、前記支持部材の走行に同期する速度で、前記キャリアカップの載せられる搬出ベルトを走行させる搬出コンベヤを備え、
前記支持部材が前記搬送コンベヤから前記搬出コンベヤまで走行する過程で、前記昇降手段は、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップが前記上側保持手段に保持された容器から分離する位置まで、前記下側保持手段を下降させ、前記下側保持手段を上昇させる動作に転じることにより、前記キャリアカップの開口部に前記容器を没入させ、
前記下側保持手段に保持されたキャリアカップが前記搬出コンベヤに達する位置で、前記下側保持手段は前記キャリアカップを解放し、前記上側保持手段が前記容器の上部を解放することにより、前記支持部材から離脱するキャリアカップを、前記搬出コンベヤの搬出ベルトが受け止めることを特徴とする請求項1に記載の検査用搬送装置。
【請求項1】
上向きの開口部を有するキャリアカップと、前記開口部に投入され前記開口部の上方に上部を突出させる容器とを搬送する過程で、前記キャリアカップから前記容器を分離する検査用搬送装置であって、
前記キャリアカップの載せられる搬送ベルトを走行させる搬送コンベヤと、
前記搬送ベルトの走行する向きの下流側に配置され、互いに一列に連なる複数の支持部材と、
前記複数の支持部材を前記搬送ベルトの走行に同期する速度で走行させる走行手段と、
前記支持部材に昇降自在に支持され、前記キャリアカップを着脱自在に保持する下側保持手段と、
前記下側保持手段を昇降させる昇降手段と、
前記下側保持手段の上方で前記支持部材に支持され、前記容器の上部を着脱自在に保持する上側保持手段とを備え、
前記搬送コンベヤの搬送ベルトに載せられたキャリアカップを前記下側保持手段が保持し、このキャリアカップに投入された容器の上部を前記上側保持手段が保持し、前記昇降手段が前記下側保持手段を下降させることにより、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップを、前記上側保持手段に保持された容器に対して下降させることを特徴とする検査用搬送装置。
【請求項2】
前記支持部材の走行する向きの下流側に配置され、前記支持部材の走行に同期する速度で、前記キャリアカップの載せられる搬出ベルトを走行させる搬出コンベヤを備え、
前記支持部材が前記搬送コンベヤから前記搬出コンベヤまで走行する過程で、前記昇降手段は、前記下側保持手段に保持されたキャリアカップが前記上側保持手段に保持された容器から分離する位置まで、前記下側保持手段を下降させ、前記下側保持手段を上昇させる動作に転じることにより、前記キャリアカップの開口部に前記容器を没入させ、
前記下側保持手段に保持されたキャリアカップが前記搬出コンベヤに達する位置で、前記下側保持手段は前記キャリアカップを解放し、前記上側保持手段が前記容器の上部を解放することにより、前記支持部材から離脱するキャリアカップを、前記搬出コンベヤの搬出ベルトが受け止めることを特徴とする請求項1に記載の検査用搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−162338(P2011−162338A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29722(P2010−29722)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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