説明

検査用血液バッグおよび採血器具

【課題】採血(初流血の採取)を行う際、その操作性がよく、また、確実に必要量の血液(初流血)を採取することができる検査用血液バッグおよび採血器具を提供すること。
【解決手段】初流血バッグ20は、初流血を貯留する袋状のバッグ本体21と、バッグ本体21の上端部に設けられ、バッグ本体21内に初流血を導入する血液流入口24と、バッグ本体21の側端部に設けられ、バック本体21内に貯留された初流血を採取するサンプリングポート71と、バッグ本体内21を血液貯留領域231と空気貯留領域232とに仕切る仕切り部26と、仕切り部26の長手方向の一端側に設けられ、血液貯留領域231と空気貯留領域232とを連通する連通部27とを備えている。サンプリングポート71は、仕切り部26の長手方向の他端側のバッグ本体21の縁部に設けられ、血液貯留領域231に連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査用血液バッグおよびそれを有する採血器具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、血液を採取するには、採血針からチューブを介して血液バッグ(採血バッグ)に血液を採取する採血器具を用いる。この採血器具としては、例えば特許文献1に記載された採血器具(採血用器具)が知られている。
【0003】
特許文献1に記載されている採血器具は、採血針と、採血針を介して採取された血液を収納する血液バッグと、採血針と血液バッグとを連結する採血チューブと、採血チューブの途中から分岐した分岐チューブと、分岐チューブを介して採血チューブと連通する初流血バッグ(検査用血液バッグ)と、初流血バッグの下端部に接続されたサンプリングポート(採血ポート)とを有している。この採血器具では、ドナー(供血者)から血液を採血バッグに採取する前に、すなわち、本採血を行なう前に、ドナーから採取された血液の初流(初流血)を初流血バッグに採取(貯留)する。なお、この採取された初流血は、数本の採血管に採取して各種検査に用いられる。
【0004】
このような採血器具においては、初流血を初流血バッグに採取する際に、初流血が通過した採血チューブや分岐チューブ内に存在していた空気が初流血バッグ内に集まるため、この空気が、採血管をサンプリングポートに接続して、初流血バッグ内の初流血を採取する際に、採血管内に入り込まないように、サンプリングポートを下向きにして、サンプリング操作を行うこととなる。このため、しゃがんでサンプリング操作を行わなければならないので、作業者(採取者)から操作性の向上が望まれている。
【0005】
そこで、前記特許文献1に記載されている採血器具では、サンプリングポートに接続され、初流血バッグ内の端部まで延びる延長チューブが設けられており、サンプリングポートを持ち上げて、初流血バッグの上下を反転させた状態で、採血管に初流血を採取しても、延長チューブの先端から空気がサンプリングポートに入り込まないようになっている。これにより、作業者は、しゃがんでサンプリング操作を行わなくてもよい。
【0006】
しかしながら、延長チューブが比較的長く、その延長チューブ内にもともと入っていた空気は、サンプリング操作の際に、採血管内に入り込んでしまうため、最初(1本目)の採血管には必要量(予定量)の初流血を採取できないおそれがあった。
【0007】
【特許文献1】特表2003−505185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、採血(初流血の採取)を行う際、その操作性がよく、また、確実に必要量の血液(初流血)を採取することができる検査用血液バッグおよび採血器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(22)の本発明により達成される。
(1) 血液を貯留する袋状のバッグ本体と、
前記バッグ本体内に連通し、該バッグ本体内に血液を導入する血液流入口と、
前記バッグ本体内に連通する血液取出口を有し、該血液取出口を介して前記バッグ本体内の血液を採取する採血ポートと、
前記バッグ本体内を、血液を貯留する血液貯留領域と、空気を貯留する空気貯留領域とに仕切る長手形状の仕切り部と、
前記血液貯留領域と前記空気貯留領域とを連通する連通部とを備え、
前記連通部は、前記仕切り部の長手方向の一端側または途中に設けられ、
前記採血ポートは、前記バッグ本体の前記連通部から離間した位置に設けられ、前記血液貯留領域に連通していることを特徴とする検査用血液バッグ。
【0010】
(2) 前記採血ポートは、前記仕切り部の長手方向の他端側の前記バッグ本体の縁部に設けられている上記(1)に記載の検査用血液バッグ。
【0011】
(3) 前記バッグ本体は、シート材を重ね、その周縁のシール部において接合したものであり、
前記仕切り部は、前記対向するシート材同士を部分的に融着して形成したものである上記(1)または(2)に記載の検査用血液バッグ。
【0012】
(4) 前記仕切り部は、前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際の姿勢において前記バッグ本体内を上側部分と下側部分とに仕切り、
前記血液流入口は、前記バッグ本体の上端部に設けられ、
前記採血ポートは、前記バッグ本体の側端部に設けられている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0013】
(5) 前記血液流入口から前記バッグ本体内に血液を導入する際と、前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際とで、前記バッグ本体の姿勢が異なる上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0014】
(6) 前記血液流入口は、前記血液貯留領域に連通している上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0015】
(7) 前記血液流入口は、前記空気貯留領域に連通しており、
前記仕切り部の前記空気貯留領域側の面は、前記採血ポート側より前記連通路側が鉛直下方に位置するように傾斜している上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0016】
(8) 前記仕切り部の前記血液貯留領域側の面は、前記採血ポート側より前記連通路側が鉛直上方に位置するように傾斜している上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0017】
(9) 前記血液貯留領域と前記空気貯留領域との位置関係は、前記空気貯留領域が前記血液流入口側に位置し、
前記血液流入口から前記バッグ本体内に血液を導入する際は、前記空気貯留領域は、前記血液貯留領域より鉛直上方に位置し、前記空気貯留領域に空気が貯留され、
前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際、それに先立って、前記バッグ本体の前記採血ポート側を鉛直上方に向けて使用するものである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0018】
(10) 前記血液流入口は、前記血液貯留領域に連通しており、
前記仕切り部の前記血液貯留領域側の面は、前記採血ポート側より前記連通路側が鉛直下方に位置するように傾斜している上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0019】
(11) 前記仕切り部の前記空気貯留領域側の面は、前記採血ポート側より前記連通路側が鉛直上方に位置するように傾斜している上記(1)ないし(5)、(10)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0020】
(12) 前記血液貯留領域と前記空気貯留領域との位置関係は、前記血液貯留領域が前記血液流入口側に位置し、
前記血液流入口から前記バッグ本体内に血液を導入する際は、前記血液貯留領域は、前記空気貯留領域より鉛直上方に位置し、前記血液貯留領域に空気が貯留され、
前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際、それに先立って、前記バッグ本体の鉛直方向の上下を反転させ、これにより、前記血液貯留領域の空気を前記空気貯留領域に移動させて使用するものである上記(1)ないし(5)、(10)、(11)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0021】
(13) 前記バッグ本体は、シート材を重ね、その周縁のシール部において接合したものであり、
前記シール部より内側において、前記対向するシート材同士を部分的に融着してなる融着部で構成され、前記バッグ本体の膨らみを規制する規制手段を有する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0022】
(14) 前記融着部は、前記血液貯留領域のみに設けられている上記(13)に記載の検査用血液バッグ。
【0023】
(15) 前記融着部は、前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際、前記バッグ本体内において前記血液取出口の方向に流れる空気を捕集する機能を有する形状をなしている上記(13)または(14)に記載の検査用血液バッグ。
【0024】
(16) 前記融着部は、前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際、前記バッグ本体内において前記血液取出口の方向に流れる空気を該血液取出口からずれるように導く機能を有する形状をなしている上記(13)または(14)に記載の検査用血液バッグ。
【0025】
(17) 前記採血ポートは、一端に採血管を挿入する開口部を有する筒状のホルダーと、前記ホルダーの他端側に装着され、前記血液取出口に連通する中空針とを有する上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0026】
(18) 前記血液取出口は、前記バッグ本体の内部に突出した管体で構成されている上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0027】
(19) 前記採血ポートが鉛直下方と異なる方向に向いた状態で、前記採血ポートを保持する保持手段を備える上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【0028】
(20) 前記保持手段は、前記採血ポートがほぼ鉛直上方を向くか、または前記採血ポートの中心軸が鉛直上方に対して鋭角をなすように傾斜した状態で、前記採血ポートを保持するものである上記(19)に記載の検査用血液バッグ。
【0029】
(21) 採血針と、
前記採血針を介して採取された血液を収納する貯留容器と、
前記採血針と前記貯留容器とを連結する採血ラインと、
前記採血ラインの途中から分岐した分岐ラインと、
前記分岐ラインを介して、前記採血ラインと連通する上記(1)ないし(20)のいずれかに記載の検査用血液バッグとを備えることを特徴とする採血器具。
【0030】
(22) 前記貯留容器は、採血バッグまたは血液分離器である上記(21)に記載の採血器具。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、バッグ本体内に貯留された血液(初流血)を採血ポートから採取する際、仕切り部により、空気貯留領域の空気が血液貯留領域に移行するのを防止することができる。すなわち、採血管を採血ポートに接続する(採血を行なう)際、バッグ本体の姿勢を、採血ポートが鉛直下方と異なる方向、例えば、鉛直上方に向くようにしても、仕切り部により、空気貯留領域の空気が血液貯留領域に移行するのを防止することができる。
【0032】
これにより、採血ポートが鉛直上方に向いた状態となった場合、採血管を採血ポートに接続する際、採血管を上方から採血ポートに接続することとができる。すなわち、作業者が作業し易い姿勢で、その操作(接続操作)を行なうことができる。よって、採血ポートから血液(初流血)を容易に(楽に)採取することができる。
【0033】
また、採血管に初流血を採取する際に、空気が入り込まないので、確実に必要量の初流血を採血管に採取することができる。これにより、初流血を検査用血液として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の検査用血液バッグおよび採血器具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0035】
なお、本発明の採血器具には、血液バッグシステムの他に、採血針と、採血針を介して採取された血液を収納する血液分離器(遠心分離器)と、採血針と血液分離器とを連結する採血ラインと、採血ラインの途中から分岐した分岐ラインと、分岐ラインに接続された検査用血液バッグと、採血ラインに接続された抗凝固剤注入ラインと、血液分離器によって分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグとを有し、ドナーから採取された血液を分離して所定の血液成分を採取する血液成分採取回路(成分採血に用いるディスポ回路キット)も含まれるが、以下の実施形態では、代表的に、本発明の採血器具を血液バッグシステムに適用した場合について説明する。
【0036】
<第1実施形態>
図1は、本発明の採血器具の第1実施形態を示す概略図、図2は、図1に示す採血器具が有する本発明の検査用血液バッグ(第1実施形態)の部分縦断面図、図3は、図1に示す採血器具が有する本発明の検査用血液バッグ(第1実施形態)の斜視図、図4は、図2および図3に示す検査用血液バッグの採血ポート付近の平面図、図5は、図2および図3に示す検査用血液バッグの採血ポート付近および減圧採血管を示す縦断面図、図6は、図1に示す採血器具が有する封止部材の構成例を示す縦断面図である。
【0037】
なお、以下では、説明の都合上、図2および図3中(図7〜図10)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、図5中の右側を「先端」、左側を「基端」と言う。また、図1および図3では、融着部(規制手段)25および仕切り部26等のバッグ本体21の内部の図示を省略する。
【0038】
図1に示す採血器具1は、採血針151と、採血針151を介して採取された血液を収納する採血バッグ(貯留容器)10と、採血針151を介して採取された血液の初流、すなわち、初流血(検査用の血液(採血初流))を採取(貯留)する初流血バッグ(検査用血液バッグ)20と、これらを連結するラインとしての複数のチューブとを有している。以下、各部の構成について説明する。
【0039】
採血バッグ10は、例えばポリ塩化ビニルのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部12において、融着(熱融着、高周波融着等)または接着(接合)し、袋状としたバッグ本体11を有している。
【0040】
このバッグ本体11のシール部12で囲まれる内側の部分に、採取された血液が収納される血液収納部13が形成されている。なお、採血バッグ10は、赤血球を保存する赤血球バッグとして兼用されることもあり、その場合には、血液収納部13には、最終的に赤血球保存液が添加された濃厚赤血球が収納、保存される。
【0041】
バッグ本体11の上部には、ピールタブにより開封可能に封止された2つの開口部14、14が形成され、また、一方の開口部14の側部には、排出口18が形成されている。この排出口18には、封止部材(破断連通部材)17を介してチューブ61の一端が接続されている。封止部材17としては、後述する封止部材93と同様の構成のものを用いることができる。
【0042】
図示されていないが、チューブ61の他端には、白血球除去フィルター、回収バッグ、血漿バッグ、赤血球保存液入りバッグがチューブにより接続されている。また、白血球除去フィルターとしては、白血球と一緒に血小板を捕捉するタイプのものが用いられる。すなわち、採血器具1は、血液バッグシステムを構成している。
【0043】
なお、白血球除去フィルターとして、白血球のみを選択的に捕捉し、血小板を通過させるタイプを用いてもよく、この場合には、さらに、血小板バッグが設けられている。
【0044】
また、本発明では、前述した封止部材17、排出口18、チューブ61が省略されていてもよい。
【0045】
また、採血バッグ10内には、予め抗凝固剤が入れられていることが好ましい。この抗凝固剤は、通常液体であり、例えば、ACD−A液、CPD液、CPDA−1液、ヘパリンナトリウム液等が挙げられる。これらの抗凝固剤の量は、予定採血量に応じた適正な量とされる。
【0046】
さらに、バッグ本体11の上部には、血液収納部13に連通するよう可撓性を有するチューブ(採血ライン(採血チューブ))97の一端が接続されて(連結されて)いる。このチューブ97は、分岐コネクタ(分岐部)92より上流側(採血針151側)の部分と、下流側(採血バッグ10側)の部分とに分けることができる。以下、チューブ97の、分岐コネクタ92より上流側の部分、すなわち、分岐コネクタ92と採血針151とを接続する部分を「チューブ94」と言う。また、チューブ97の、分岐コネクタ92より下流側の部分、すなわち、採血バッグ10(バッグ本体11)と分岐コネクタ92とを接続する部分を「チューブ15」と言う。
【0047】
分岐コネクタ92の第1のポート921、第2のポート922、第3のポート923には、それぞれ、チューブ94の一端、チューブ(分岐ライン(分岐チューブ))91の一端およびチューブ15の一端が接続されている。
【0048】
チューブ94の他端には、採血針151が装着(接続)されている。この採血針151は、針体152と、針体152とチューブ94とを接続するハブ153と、針体152を被包するキャップ154とを有する。
【0049】
このように、採血器具1では、分岐コネクタ92を介して、チューブ15、91、94がそれぞれ、3方向に延出している。
【0050】
なお、分岐コネクタ92は、図示の構成ではト字管であるが、これに限定されず、例えば、Y字管、T字管や、ト字管、Y字管の向きを逆にしたもの等であってもよい。
【0051】
また、分岐コネクタ92と採血バッグ10との間のチューブ15には、封止部材93が設けられている。この封止部材93は、好ましくは分岐コネクタ92の近傍に配置される。
【0052】
図6に示すように、封止部材93は、例えば軟質ポリ塩化ビニルのような可撓性を有する樹脂により構成された短チューブ930と、この短チューブ930内に液密に嵌入され、中実柱状部932によりその一端が閉塞された筒体931とで構成されている。
【0053】
短チューブ930の図6中上端部には、チューブ15の途中(一端)が液密に接続され、短チューブ930の図6中下端部には、分岐コネクタ92の第3のポート923が液密に接続されている。
【0054】
筒体931の外周には、薄肉で脆弱な破断部933が形成されている。手指等により短チューブ930の外部から短チューブ930ごと中実柱状部932を折り曲げて破断部933を破断し、中実柱状部932を分離する。これにより、前記中実柱状部932で閉塞(遮断)されていた状態のチューブ15が開通する。
【0055】
筒体931の構成材料としては、特に限定されず、例えば、硬質ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエステル等の硬質材料が挙げられる。
【0056】
また、中実柱状部932の図6中上方は、くさび形状をなし、その上端部(頂部)934は、幅方向の寸法が筒体931の外径より小さく、チューブ15の内径より大きい寸法とされ、中実柱状部932の破断分離後に中実柱状部932がチューブ15を閉塞しないような構成とするのが好ましい。さらに、図示のごとく、中実柱状部932の上端部934には、血液の流通を促進する溝935を設けてもよい。
【0057】
チューブ91の図1中右側の端部には、初流血バッグ20が接続されている。この初流血バッグ20は、袋状のバッグ本体21と、バッグ本体21の上端部(上側の縁部)に設けられ、バッグ本体21内に初流血(血液)を導入する血液流入口(血液流入部)24と、バッグ本体21の側端部(図2中左側の縁部)に設けられ、バック本体21内に貯留された初流血を採取するサンプリングポート(採血ポート)71とを有している(図1〜図3参照)。サンプリングポート71には、減圧採血管85が着脱自在に接続され、バック本体21内の初流血は、そのサンプリングポート71を介して、減圧採血管85に採取される。
【0058】
バッグ本体21は、例えばポリ塩化ビニルのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部22において、融着(熱融着、高周波融着等)または接着(接合)したものである。
【0059】
このバッグ本体21のシール部22で囲まれる内側の部分に、収納部(内部空間)23が形成されている。収納部23(バッグ本体21内)には、採血針151(針体152)、チューブ94、分岐コネクタ92、チューブ91を順に通過した初流血が収納(貯留)される。
【0060】
バッグ本体21の上端部(上側の縁部)の図2中左側の端部には、管状(チューブ状)の血液流入口24が設けられている。すなわち、血液流入口24は、バッグ本体21の内部に突出した管状体(管体)で構成され、収納部23に連通しており、その血液流入口24を介して、チューブ91と収納部23とが連通する。
【0061】
なお、血液流入口24は、バッグ本体21と一体的に形成されていてもよいし、バッグ本体21と別体で構成した管状体をバッグ本体21に連結してもよい。また、血液流入口24の長さは、特に限定されず、図示例よりも長くてもよく、また、短くてもよいがサンプリングポート71からバッグ本体21内に初流血を採取する際に空気が混入するリスクを低減できるので、短い方が好ましい。
【0062】
また、チューブ91には、クレンメ(クランプ部材)95が設けられている。これにより、初流血バッグ20への血流を遮断することができ、すなわち、チューブ91を閉塞することができ、よって、血液の流路の切替を行うことができる。なお、初流血バッグ20(収納部23)に血液を収納するときには、クレンメ95は、開放状態になっており、チューブ91の流路が開いている。
【0063】
バッグ本体21の側端部(図2中左側の縁部)の中央部には、後述するサンプリングポート71の管状(チューブ状)の血液取出口96が設けられている。すなわち、血液取出口96は、バッグ本体21の内部に突出した管状体(管体)で構成され、収納部23に連通しており、その血液取出口96を介して、サンプリングポート71の中空針84と収納部23とが連通する。
【0064】
なお、血液取出口96は、バッグ本体21と一体的に形成されていてもよいし、バッグ本体21と別体で構成した管状体をバッグ本体21に連結してもよい。また、血液取出口96の長さは、特に限定されず、図示例よりも長くてもよく、また、短くてもよい。また、血液取出口96は、バッグ本体21の内部に突出していなくてもよい。
【0065】
次に、サンプリングポート71の構成について説明する。
図2、図3および図5に示すように、サンプリングポート71は、針組立体73と、ホルダー82と、蓋体51、前記血液取出口96とを有しており、血液取出口96を介してバッグ本体内に貯留されている初流血を採取する。
【0066】
針組立体73は、先端に鋭利な針先を有する中空針(針管)84と、中空針84の基端部に固着されたハブ841と、中空針84を被包するゴム鞘842とで構成されている。
【0067】
ハブ841は、血液取出口96の基端部(端部)に接続されている。このハブ841を介して、中空針84と血液取出口96とが連通する。
【0068】
なお、中空針84の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、Ni−Ti合金等の超弾性合金等の各種金属材料、ポリフェニレンサルファイド等の各種硬質樹脂材料等が挙げられる。
【0069】
また、ハブ841の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィンが挙げられる。
【0070】
また、ゴム鞘842の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料が挙げられる。
【0071】
ホルダー82は、一端に減圧採血管(採血管)85を挿入する開口部822を有する筒状の部材である。このホルダー82は、中空針84の外周側に設置され、当該中空針84と同心的に、基端部821がハブ841に接合されている。
【0072】
図5に示すように、サンプリングポート71のホルダー82には、例えば、減圧採血管(容器)85が着脱自在に装着(接続)される。
【0073】
ここで、減圧採血管85について説明する。減圧採血管85は、バッグ本体21内に貯留された初流血を採取するための器具である。この減圧採血管85は、採血管本体86と、この採血管本体86に嵌入されているゴム栓87とで構成されている。減圧採血管85内は、真空または減圧状態になっている。
【0074】
この減圧採血管85は、ホルダー82に接続されたとき、ゴム栓87が中空針84により刺通される。これにより、減圧採血管85内と血液取出口96とが連通し、当該血液取出口96からの初流血が減圧採血管85に回収される。
【0075】
また、開口部822の外周部(縁部)には、フランジ部823が形成されている。このフランジ部823は、板状をなす部位である。
【0076】
図3、図4に示すように、フランジ部823には、板状をなす蓋体51が、ヒンジ(回動機構)52を介して、支持されている。蓋体51は、ヒンジ52の作用により、フランジ部823(開口部822)に対して回動することができる。これにより、蓋体51は、開口部822を覆った第1の状態(図1に示す状態)と、開口部822を開放した第2の状態(図3や図4に示す状態)とを取ることができる。
【0077】
ホルダー82に減圧採血管85を接続しないときには、蓋体51は、第1の状態となっている。この状態では、例えば、手指がホルダー82内に入るのを禁止される。これにより、手指を誤ってホルダー82内に入れてしまい、中空針84で傷つけてしまうことを防止することができる。
【0078】
また、蓋体51は、フランジ部823と係合する爪部511を有している。この爪部511がフランジ部823に形成された欠損部824に入り込むことにより、蓋体51とフランジ部823とが係合仕合う。これにより、第1の状態を維持することができる、すなわち、蓋体51が不本意に第2の状態に変位するのを防止することができる。
【0079】
また、蓋体51は、リング状(C字状)をなすリブ512を有している。このリブ512は、ホルダー82の開口部822の内径とほぼ同等またはそれより若干小さい外径を有している。第1の状態で、リブ512が開口部822に嵌合する。
【0080】
ホルダー82に減圧採血管85を接続するときには、蓋体51は、第2の状態となる。これにより、ホルダー82の開口部822が開放した状態となり、よって、ホルダー82に減圧採血管85を確実に接続することができる。
【0081】
なお、ホルダー82および蓋体51の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ハブ841についての説明で挙げたような材料を用いることができる。
【0082】
また、回動機構の構成としては、特に限定されないが、ヒンジ52を用いたものの他、フランジ部823と蓋体51とを連結する薄肉部で構成されたもの等を挙げることができる。
【0083】
また、図3に示すように、初流血バッグ20は、サンプリングポート71のホルダー82とバッグ本体21の上端部付近(例えば、血液流入口24)またはチューブ91(図3に示す構成ではチューブ91)とを連結する連結部材(保持手段)41を有している。この連結部材41の作用により、ホルダー82は、バッグ本体21とともに、開口部822側が持ち上げられ、保持される。この状態では、ホルダー82の開口部822は、鉛直下方と異なる方向に向く、すなわち、ほぼ鉛直上方を向くかまたは開口部822の中心軸822aが鉛直上方に対して鋭角をなすように傾斜する。この鋭角の大きさとしては、特に限定されないが、例えば、0〜45°であるのが好ましい。
【0084】
本実施形態では、連結部材41は、蓋体51(採血ポート71)の縁部に突出して設けられた係合部(リング)411で構成されている。この係合部411は、C字状をなすものである。係合部411の内径は、チューブ91の外径とほぼ同等またはそれより若干小さく設定されている。これにより、係合部411が、蓋体51の第2の状態で、チューブ91の外周部に確実に係合(嵌合)する。よって、サンプリングポート71が鉛直下方に向かって戻ろう(懸垂しよう)とするのを確実に防止する、すなわち、サンプリングポート71(初流血バッグ20)の図3に示す状態が確実に維持される。
【0085】
前述した減圧採血管85をサンプリングポート71(ホルダー82)に接続するときには、サンプリングポート71を係合部411で血液流入口24に固定する、すなわち、図3に示す状態とする。これにより、サンプリングポート71の開口部822が上方を向くため、サンプリングポート71を介して初流血を採取するときの、作業者(採取者)の作業姿勢が作業し易い姿勢となる。すなわち、作業者がかがむことなく、サンプリングポート71を介して初流血を容易に(楽に)採取することができる。
【0086】
また、減圧採血管85への初流血の採取は、通常、複数回(例えば4回)行なわれる。初流血バッグ20では、前述したように図3に示す状態が維持されるため、作業者が減圧採血管85の交換をする際、サンプリングポート71から手を離して、その操作(交換操作)を行なうことができる。また、サンプリングポート71の開口部822が上方を向いたままとなっているため、サンプリングポート71に交換した(未使用の)減圧採血管85を迅速に接続する、すなわち、交換した減圧採血管85への初流血の採取を迅速に行なうことができる。
【0087】
図3、図4に示すように、サンプリングポート71を上方に持ち上げた際、第2の状態の蓋体51は、ホルダー82の開口部822よりもチューブ91に近い位置に配置される。このような蓋体51に対する係合部411の設置位置は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、図3(図4も同様)に示すように、開口部822と反対側である。
【0088】
また、係合部411がチューブ91に係合した際、バッグ本体21は、そのサンプリングポート71側(サンプリングポート71が設けられた縁部側)が鉛直上方に向いた姿勢となっている。
【0089】
なお、このような構成の係合部411は、蓋体51と一体的に形成されていてもよいし、蓋体51と別体で構成した部材を蓋体51に連結して(接合して)もよい。
【0090】
さて、図2に示すように、初流血バッグ20は、そのバッグ本体21の収納部23(バッグ本体21内)を、上側部分と下側部分とに仕切る仕切り部(壁部)26を有している。この仕切り部26は、収納部23を、初流血(血液)を貯留する血液貯留領域231と、空気を貯留する空気貯留領域232とに仕切る部材(手段)であり、前述した血液流入口24は、血液貯留領域231に連通している。血液貯留領域231と空気貯留領域232との位置関係は、空気貯留領域232が上側(血液流入口24側)に位置し、血液貯留領域231が下側に位置している。
【0091】
なお、仕切り部26は、収納部23に貯留された初流血をサンプリングポート71から減圧採血管85に採取する際に、収納部23を血液貯留領域231と空気貯留領域232とに仕切るようになっていればよい。
【0092】
また、仕切り部26は、バッグ本体21の対向するシート材同士を部分的に融着(熱融着、高周波融着等)して形成したものであり、棒状(長手形状)(長尺状)をなしている。すなわち、仕切り部26は、棒状の単位融着部で構成されており、血液流入口24の図2中の右側に配置されている。仕切り部26と血液流入口24とは、密着または溶着(接合)されている。そして、この仕切り部26および後述する単位融着部251により、血液流入口24の下端がバッグ本体21に固定されている。
【0093】
また、収納部23における仕切り部26の血液流入口24から遠位側の端部262の付近(仕切り部26の長手方向の一端側(図2中右側))、すなわち、端部262とシール部22との間には、血液貯留領域231と空気貯留領域232とを連通する連通部(連通路)27が形成されている。
【0094】
また、仕切り部26は、その血液流入口24から遠位側の端部262が血液流入口24から近位側の端部263よりも鉛直上方に位置するように傾斜している。すなわち、仕切り部26の血液貯留領域231側(図2中の下側)の面は、サンプリングポート71側(端部263側)より連通路27側(端部262側)が鉛直上方に位置するように傾斜している。これにより、血液流入口24から収納部23に初流血を導入する際、血液貯留領域231の空気を空気貯留領域232に、円滑かつ確実に、移動させることができる。
【0095】
また、仕切り部26は、その血液流入口24から遠位側の端部262の近傍で、鉛直上方に向かって、屈曲または湾曲している。
【0096】
なお、仕切り部26は、その血液流入口24から遠位側の端部262の近傍で屈曲または湾曲していなくてもよい。
【0097】
また、仕切り部26は、初流血を採取する際の採取量(目標採取量)の指標となり、初流血の目標液位(液面の目標位置)を示す標線としての機能を有する。すなわち、初流血が連通部27を介して空気貯留領域232に流入し始めるまで、収納部23に初流血を採取するようになっている。これにより、作業者は、目線を初流血の液面に対して水平に合わせることなく、初流血の液面が仕切り部26に到達し、初流血が空気貯留領域232に流入し始め、目標採取量の初流血が採取されたことを目視で容易に確認することができる。これによって、作業者は、かがむ等の無理な姿勢をすることなく、立位のままの楽な姿勢で、前記確認作業を行うことができる。
【0098】
また、前述したサンプリングポート71は、バッグ本体21の連通部27から十分に(相当な距離)離間した位置に設けられ、血液貯留領域231に連通している。本実施形態では、サンプリングポート71は、仕切り部26の長手方向の他端側(図2中左側)のバッグ本体21の縁部に設けられている。ここで、前記バッグ本体21の連通部27から十分に離間した位置とは、バッグ本体21における連通部27から血液貯留領域231を跨いだ位置、すなわち、バッグ本体21において、連通部27から、バッグ本体21の収納部23(バッグ本体21の内部)の幅Wの2/3以上の距離だけ離れた位置、好ましくは、幅Wの3/4以上の距離だけ離れた位置、さらに好ましくは、幅W以上の距離だけ離れた位置である。
【0099】
また、初流血バッグ20は、バッグ本体21のシール部22より内側において、そのバッグ本体21の膨らみ(膨らみ具合)を規制する規制手段を有している。この規制手段は、バッグ本体21の対向するシート材同士を部分的に融着(熱融着、高周波融着等)してなる融着部25で構成されている。これにより、収納部23(バッグ本体21内)に初流血(血液)を採取する際、バッグ本体21の膨らみ具合を一定にすることができ、これによって、収納部23に、一定量(目標量)の初流血を確実に採取(貯留)することができる。
【0100】
融着部25は、その各部(各部位)が、連続していてもよく、また、離間していてもよいが、本実施形態では、融着部25は、互いに離間して設けられた複数の単位融着部251の集合体で構成されている。
【0101】
また、各単位融着部251(融着部25)は、血液貯留領域231のみに設けられている。これにより、血液貯留領域231と空気貯留領域232とを目視で容易に区別することができるとともに、バッグ本体21の血液貯留領域231の膨らみ具合を規制して一定の容積にすることができるので、予め設定した容量(一定量)の初流血を採取することが可能である。
【0102】
また、本実施形態では、各単位融着部251は、行列状に、等間隔で配置されている。
また、融着部25は、バッグ本体21の血液貯留領域231の部分が最大に膨らんだときに、その血液貯留領域231の容積(体積)が、目標採取量と略等しくなるように、すなわち、初流血をその液面が仕切り部26に到達し、初流血が空気貯留領域232に流入し始めるまで採取したときに、血液貯留領域231の容積が、目標採取量と略等しくなるように設けられている。
【0103】
また、目標採取量は、20〜30mL程度であるのが好ましく、25mL程度が特に好ましい。これにより、ドナーから採取された血液から、細菌汚染の可能性がある初流血を過不足なく、採取(除去)することができる。これによって、採血バッグ10に採取された血液への細菌の混入が抑制され、血液製剤の安全性が向上するとともに、本来は、採血バッグ10に採取すべき、細菌汚染のない良好な血液を無駄に初流血バッグ20に採取してしまうのを防止することができる。
【0104】
また、単位融着部251の形状、寸法、姿勢(向き)、数、間隔(ピッチ)、配置(規則、不規則のいずれでもよい)、配列パターン等の諸条件は、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0105】
なお、単位融着部251の平面視での形状は、図示例では、円形であるが、この他、例えば、楕円形、半円形、半楕円形、三角形や四角形(例えば、菱形)等の多角形、直線状(棒状)や曲線状等の長尺状等が挙げられる。
【0106】
次に、採血器具1の作用(採血器具1を用いた血液処理方法)の一例について説明する。
【0107】
図2に示すように、血液流入口24からバッグ本体21の収納部23に初流血(血液)を導入する際は、空気貯留領域232は、血液貯留領域231より鉛直上方に位置している。
【0108】
また、図1および図2に示すように、初流血バッグ20では、蓋体51は、第1の状態、すなわち、閉じた状態となっている。
【0109】
また、クレンメ95が開放状態になっており、チューブ15は、封止部材93により閉塞した(封止された)状態となっている。これにより、ドナーに採血針151を穿刺した際、チューブ94からの血液は、分岐コネクタ92の第1のポート921および第2のポート922を順次通過して、チューブ91に流入することができる。
【0110】
また、この採血器具1の採血バッグ10および初流血バッグ20を、それぞれ、採血針151を穿刺する部位より低い位置に設置する。
【0111】
次いで、採血針151からキャップ154を取り外し(図1参照)、ドナーの静脈(血管)に採血針151を穿刺し、採血針151が静脈を捉えていることが確認されたら、ハブ153をドナーの穿刺部位付近に例えば粘着テープで固定する。また、これと同様に、チューブ97(チューブ94)も穿刺部位付近に粘着テープで固定するのが好ましい。
【0112】
このような操作により、初流血(血液)は、採血針151、チューブ94、分岐コネクタ92を経て、チューブ91へ流入し、このチューブ91を流れ、初流血バッグ20の収納部23に導入される。この場合、チューブ15の流路は、前述したように封止部材93で遮断されているので、血液は、チューブ94から分岐コネクタ92を経てチューブ91に確実に流れ込む。
【0113】
また、この血液の導入の際は、その前に、チューブ94、91および分岐コネクタ92内の空気が、チューブ91から排出され、初流血バッグ20に回収される。これにより、チューブ94および91内の圧力や、チューブ94および91の内腔の容積は、ほぼ一定に保持され、血液細胞に対し過度の負荷がかかるのを防止することができ、よって、血液に溶血等が生じるのを防止することができる。また、血液が、分岐コネクタ92において、封止部材93側に入り込んで残ってしまうこともない。
【0114】
初流血バッグ20の収納部23の初流血の液面が仕切り部26に到達し、初流血が空気貯留領域232に流入し始めたら、クレンメ95を閉じて、チューブ91の流路を閉塞状態にする。このようにして、血液が初流血バッグ20に所定量(目標量)採血(採取)される。また、空気は、空気貯留領域232に貯留される。
【0115】
この初流血採取操作により、ドナーから採取された血液から、細菌汚染の可能性がある初流血を採取(除去)することができ、これにより、後述する採血バッグ10に採取された血液への細菌の混入が抑制され、血液製剤の安全性が向上する。
【0116】
次いで、採血バッグ10への採血(本採血)を開始する。
この場合、封止部材93の破断部933を破断して中実柱状部932を分離し、封止部材93内の流路を開通させる。この操作により、チューブ97は、上流側から下流側までの流路が連通(開放)する。これにより、採血された血液が、チューブ97を流れ、採血バッグ10の血液収納部13に導入される。
【0117】
また、この採血バッグ10への採血と並行して、初流血バッグ20内に収納されている初流血を減圧採血管85内に回収(サンプリング)する。
なお、サンプリングは、採血バッグ10への採血が終了した後に行ってもよい。
【0118】
サンプリングを行なうには、そのサンプリングに先立って、まず、ホルダー82の蓋体51を開く、すなわち、第2の状態とする。次に、前述したように、図3に示すように、サンプリングポート71を係合部411でチューブ91に係止する。これにより、サンプリングポート71は、その開口部822が鉛直上方を向いた姿勢となり、バッグ本体21は、そのサンプリングポート71側(サンプリングポート71が設けられた縁部側)が鉛直上方を向いた姿勢となる。そして、空気が空気貯留領域232に貯留された状態が保持される。
【0119】
このように、血液流入口24から収納部23に初流血を導入する際と、収納部23に貯留された初流血をサンプリングポート71から回収(採取)する際とでは、バッグ本体21の姿勢が異なる。
【0120】
なお、仮に、血液貯留領域231の血液中に微小量の空気(気泡)があったとしても、血液取出口96がバッグ本体21の内部に突出しているので、その空気は、血液取出口96の端面より鉛直上方に移動し、これにより、その空気を減圧採血管85内に吸引してしまうのを防止することができる。
【0121】
次に、係止されたサンプリングポート71(ホルダー82)に減圧採血管85を挿入して、サンプリングポート71(ホルダー82)の最奥部まで押し込み、中空針84をゴム栓87に穿刺し、貫通させる。これにより、初流血バッグ20内に収納されている初流血は、血液取出口96を流れ、減圧採血管85内に吸引され、回収される。この場合、仕切り部26により、空気貯留領域232の空気が血液貯留領域231に移行するのが阻止され、減圧採血管85に空気が入り込むのを防止することができる。また、サンプリングポート71は、開口部822が上方を向いた状態となっているため、当該サンプリングポート71に減圧採血管85を上方から楽に挿入することができる。採取後、減圧採血管85をサンプリングポート71から抜去する。なお、複数本の減圧採血管85へ初流血のサンプリングを行う場合には、この操作を繰り返す。その後、係合部411による係合を解除して、蓋体51を閉じる、すなわち、再度第1の状態とする。
【0122】
なお、採血バッグ10への採血において、血液を採血バッグ10に所定量採血した後、ドナーの血管から採血針151を抜き取り、必要に応じて、チューブシーラー等により、チューブ91、94や15を融着により封止する。その後、初流血バッグ20や採血針151を切り離す。
【0123】
これにより、初流血の除去された採取された血液が収納された採血バッグ10が得られる。
【0124】
また、採血バッグ10に収納(採取)された血液は、白血球除去フィルターに通して、白血球および血小板を分離し、残りの血液成分を回収バッグに回収して、採血バッグ10および白血球除去フィルターを切り離す。その後、回収バッグ内の血液を遠心分離操作を行って、赤血球層と血漿層とに分離し、血漿を血漿バッグに移行した後に、回収バッグに残った濃厚赤血球に赤血球保存液入りバッグ内の赤血球保存液を添加して混和する。
【0125】
一方、減圧採血管85内に回収された初流血は、例えば、血清の生化学検査、感染症ウィルス(例えば、エイズ、肝炎等)の核酸増幅検査等の検査等に用いられる。
【0126】
以上説明したように、この初流血バッグ20および採血器具1によれば、初流血バッグ20の収納部23に貯留された初流血をサンプリングポート71を介して減圧採血管85に採取する際、仕切り部26により、空気貯留領域232の空気が血液貯留領域231に移行するのを防止することができる。これにより、減圧採血管85に空気が入り込まないので、確実に必要量の初流血を採取することができる。これによって、初流血を検査用血液として用いることができる。
【0127】
また、作業者は、立位のままの作業し易い姿勢で、収納部23に貯留された初流血を、サンプリングポート71を介して減圧採血管85に、容易かつ迅速に、採取することができる。
【0128】
また、初流血バッグ20の収納部23に初流血を採取する際、バッグ本体21の膨らみ具合を一定にすることができ、また、仕切り部26が目標採取量の指標となり、初流血の目標液位を示す標線としての機能を有するので、作業者は、立位のままの作業し易い姿勢で、収納部23に、一定量(目標量)の初流血を容易かつ確実に採取することができる。
【0129】
<第2実施形態>
図7は、本発明の検査用血液バッグの第2実施形態を示す部分縦断面図である。
【0130】
以下、図7を参照して本発明の検査用血液バッグおよび採血器具の第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0131】
図7に示すように、第2実施形態では、初流血バッグ(検査用血液バッグ)20の融着部(規制手段)25は、収納部23(バッグ本体21内)に貯留された初流血(血液)をサンプリングポート71から減圧採血管85に採取する際、収納部23において血液取出口96の方向に流れる空気を血液取出口96からずれるように導く機能を有するパターン形状(形状)をなしている。すなわち、融着部25は、棒状(長尺状)の複数の単位融着部252を有し、各単位融着部252は、血液取出口96の方向に流れる空気を血液取出口96からずれるように(図示例では、図7中の上側または下側に)導くように配置されている。
【0132】
これにより、収納部23に貯留された初流血を減圧採血管85に採取する際、仮に、空気貯留領域232に貯留された空気が空気貯留領域232から血液貯留領域231に移行してしまった場合でも、その空気(気泡)は、単位融着部252によって、血液取出口96からずれるように、図7中の左上または左下に導かれ、これにより、空気を減圧採血管85に採取してしまうのを(空気の混入を)防止することができる。
【0133】
この初流血バッグ20および採血器具1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0134】
<第3実施形態>
図8は、本発明の検査用血液バッグの第3実施形態を示す部分縦断面図である。
【0135】
以下、図8を参照して本発明の検査用血液バッグおよび採血器具の第3実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0136】
図8に示すように、第3実施形態では、初流血バッグ(検査用血液バッグ)20の融着部(規制手段)25は、収納部23(バッグ本体21内)に貯留された初流血(血液)をサンプリングポート71から減圧採血管85に採取する際、収納部23において血液取出口96の方向に流れる空気を捕集する機能を有する形状をなしている。すなわち、融着部25は、複数の凹部を有し、各凹部内に空気が捕集されるように構成されている。図示例では、融着部25は、平面視で略V字状をなす複数の単位融着部253を有し、初流血をサンプリングポート71から回収する際の姿勢において、各単位融着部253は、その凹部254側が下側を向くような姿勢で配置されている。
【0137】
これにより、収納部23に貯留された初流血を減圧採血管85に採取する際、仮に、空気貯留領域232に貯留された空気が空気貯留領域232から血液貯留領域231に移行してしまった場合でも、その空気(気泡)は、単位融着部253の凹部254内に捕集され、これにより、空気を減圧採血管85に採取してしまうのを(空気の混入を)防止することができる。
【0138】
なお、単位融着部253の形状は、空気を捕集し得る凹部を有していれば、特に限定されず、その平面視での形状は、前記V字状の他、例えば、C字状、U字状、W字状、コ字状等が挙げられる。
【0139】
この初流血バッグ20および採血器具1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0140】
<第4実施形態>
図9は、本発明の検査用血液バッグの第4実施形態を示す部分縦断面図である。
【0141】
以下、図9を参照して本発明の検査用血液バッグおよび採血器具の第4実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0142】
図9に示すように、第4実施形態では、初流血バッグ(検査用血液バッグ)20では、血液流入口24は、バッグ本体21の上端部の中央部に設けられており、空気貯留領域232に連通している。
【0143】
また、仕切り部26は、平面視で、1つの角が他の2つの角に対して小さい略三角形をなしており、バッグ本体21の図9中の左側の側部のシール部22から右側に向かって延びている。
【0144】
すなわち、仕切り部26の空気貯留領域232側(図9中の上側)の面は、サンプリングポート71側(端部263側)より連通路27側(端部262側)が鉛直下方に位置するように傾斜している。これにより、血液流入口24から収納部23に初流血を導入する際、その初流血を血液貯留領域231に、円滑かつ確実に、導入することができる。
【0145】
また、仕切り部26の血液貯留領域231側(図9中の下側)の面は、サンプリングポート71側(端部263側)より連通路27側(端部262側)が鉛直上方に位置するように傾斜している。これにより、血液流入口24から収納部23に初流血を導入する際、血液貯留領域231の空気を空気貯留領域232に、円滑かつ確実に、移動させることができる。
【0146】
この初流血バッグ20および採血器具1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0147】
なお、血液流入口24は、バッグ本体21の上端部の中央部に限らず、例えば、バッグ本体21の上端部の図9中の右側の端部、左側の端部等に設けられていてもよい。
【0148】
また、この第4実施形態は、前述した第2および第3実施形態にも適用することができる。
【0149】
<第5実施形態>
図10は、本発明の検査用血液バッグの第5実施形態を示す部分縦断面図である。
【0150】
以下、図10を参照して本発明の検査用血液バッグおよび採血器具の第5実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0151】
図10に示すように、第5実施形態の初流血バッグ(検査用血液バッグ)20では、血液貯留領域231と空気貯留領域232との位置関係は、血液貯留領域231が上側(血液流入口24側)に位置し、空気貯留領域232が下側に位置している。すなわち、この初流血バッグ20は、血液流入口24からバッグ本体21の収納部23に初流血(血液)を導入する際は、血液貯留領域231は、空気貯留領域232より鉛直上方に位置し、血液貯留領域に空気が貯留されるようになっている。そして、収納部23に貯留された初流血をサンプリングポート71から採取する際、それに先立って、バッグ本体21の鉛直方向の上下を反転させ(バッグ本体21を逆様にし)、これにより、血液貯留領域231の空気を空気貯留領域232に移動させて使用する。また、サンプリングポート71は、その開口部822が鉛直上方を向いた状態(姿勢)にする。
【0152】
これにより、収納部23に貯留された初流血をサンプリングポート71を介して減圧採血管85に採取する際は、貯留部23の空気が初流血よりも上方に位置し、かつ、仕切り部26により、空気貯留領域232の空気が血液貯留領域231に移行するのを確実に防止することができ、これによって、減圧採血管85に、血液のみが流入し(採取され)、空気が流入するのを確実に防止することができる。
【0153】
また、血液流入口24は、バッグ本体21の上端部の中央部に設けられており、血液貯留領域231に連通している。
【0154】
また、サンプリングポート71の血液取出口96は、バッグ本体21の側端部(図10中左側の縁部)の上側に設けられている。
【0155】
また、仕切り部26は、平面視で、1つの角が他の2つの角に対して小さい略三角形をなしており、バッグ本体21の図10中の左側の側部のシール部22から右側に向かって延びている。
【0156】
すなわち、仕切り部26の血液貯留領域231側(図10中の上側)の面は、サンプリングポート71側(端部263側)より連通路27側(端部262側)が鉛直下方に位置するように傾斜している。これにより、血液流入口24から収納部23に初流血を導入する際、一旦、その初流血を空気貯留領域232に、円滑かつ確実に、導入することができる。そして、バッグ本体21の鉛直方向の上下を反転させた際、血液貯留領域231の空気を空気貯留領域232に、円滑かつ確実に、移動させることができる。
【0157】
また、仕切り部26の空気貯留領域232側(図10中の下側)の面は、サンプリングポート71側(端部263側)より連通路27側(端部262側)が鉛直上方に位置するように傾斜している。これにより、バッグ本体21の鉛直方向の上下を反転させた際、空気貯留領域232の初流血を血液貯留領域231に、円滑かつ確実に、移動させることができる。
【0158】
また、本実施形態では、融着部(規制手段)25のうちの最上行(最上端)の単位融着部251は、水平方向の一直線上に配置されており、初流血を採取する際の採取量(目標採取量)の指標となり、初流血の目標液位(液面の目標位置)を示す標線としての機能を有する。すなわち、初流血の液面が前記最上行の単位融着部251に到達するまで、収納部23に初流血を採取するようになっている。これにより、作業者は、目線を初流血の液面に対して水平に合わせることなく、初流血の液面が前記最上行の単位融着部251に到達し、目標採取量の初流血が採取されたことを目視で容易に確認することができる。これによって、作業者は、かがむ等の無理な姿勢をすることなく、立位のままの楽な姿勢で、前記確認作業を行うことができる。
【0159】
また、本実施形態では、サンプリングポート71を保持する連結部材(保持手段)41が省略されているが、その保持手段を設けてもよい。
【0160】
この初流血バッグ20および採血器具1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0161】
なお、血液流入口24は、バッグ本体21の上端部の中央部に限らず、例えば、バッグ本体21の上端部の図10中の右側の端部、左側の端部等に設けられていてもよい。
【0162】
また、サンプリングポート71の血液取出口96は、バッグ本体21の側端部(図10中左側の縁部)の上側に限らず、例えば、バッグ本体21の側端部(図10中左側の縁部)の中央部、仕切り部26の近傍等に設けられていてもよい。
【0163】
また、連通部27は、仕切り部26の長手方向の途中に設けられていてもよい。すなわち、仕切り部26は、例えば、2つの単位融着部で構成されており、この2つの単位融着部の間に、連通部27が形成されていてもよい。また、連通部27を複数設けてもよい。
【0164】
以上、本発明の検査用血液バッグおよび採血器具を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、検査用血液バッグおよび採血器具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0165】
また、本発明の検査用血液バッグおよび採血器具は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0166】
また、前記実施形態では、仕切り部26は、バッグ本体21の対向するシート材同士を部分的に融着して形成したものであるが、本発明は、これに限定されず、例えば、シート材と別体で構成した長手形状の部材(壁部材)をシート材に融着または接着(接合)して形成してもよい。
【0167】
また、融着部は、対向するシート材同士の間に別部材を介在させて接合(融着または接着)して形成した接合部により構成されていてもよい。
【0168】
また、前記実施形態では、サンプリングポートを保持する保持手段として、連結部材を挙げたが、本発明は、これに限定されず、例えば、初流血バッグの外側からサンプリングポートを保持するスタンドやマジックテープ(マジックテープは登録商標)のような別体で構成されたものであってもよい。
【0169】
また、本発明では、保持手段が省略されていてもよい。
また、本発明の採血器具では、貯留容器として、採血バッグの代わりに血液分離器が設けられていてもよい。すなわち、本発明の採血器具は、採血針を用いて血液を採血バッグ(血液バッグ)に採取する方式用のもの(血液バッグシステム)に限らず、採血針を用いて血液を血液分離器に採取して、その場でその血液を所定の血液成分に分離する方式用のもの(血液成分採取回路)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】本発明の採血器具の第1実施形態を示す概略図である。
【図2】図1に示す採血器具が有する本発明の検査用血液バッグ(第1実施形態)の部分縦断面図である。
【図3】図1に示す採血器具が有する本発明の検査用血液バッグ(第1実施形態)の斜視図である。
【図4】図2および図3に示す検査用血液バッグの採血ポート付近の平面図である。
【図5】図2および図3に示す検査用血液バッグの採血ポート付近および減圧採血管を示す縦断面図である。
【図6】図1に示す採血器具が有する封止部材の構成例を示す縦断面図である。
【図7】本発明の検査用血液バッグの第2実施形態を示す部分縦断面図である。
【図8】本発明の検査用血液バッグの第3実施形態を示す部分縦断面図である。
【図9】本発明の検査用血液バッグの第4実施形態を示す部分縦断面図である。
【図10】本発明の検査用血液バッグの第5実施形態を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0171】
1 採血器具
10 採血バッグ
11 バッグ本体
12 シール部
13 血液収納部
14 開口部
15 チューブ
151 採血針
152 針体
153 ハブ
154 キャップ
17 封止部材
18 排出口
20 初流血バッグ(検査用血液バッグ)
21 バッグ本体
22 シール部
23 収納部
231 血液貯留領域
232 空気貯留領域
24 血液流入口
25 融着部
251〜253 単位融着部
254 凹部
26 仕切り部
262、263 端部
27 連通部
41 連結部材(保持手段)
411 係合部
51 蓋体
511 爪部
512 リブ
52 ヒンジ(回動機構)
61 チューブ
71 サンプリングポート(採血ポート)
73 針組立体
82 ホルダー
821 基端部
822 開口部
822a 中心軸
823 フランジ部
824 欠損部
84 中空針(針管)
841 ハブ
842 ゴム鞘
85 減圧採血管(採血管)
86 採血管本体
87 ゴム栓
91 チューブ(分岐ライン)
92 分岐コネクタ
921 第1のポート
922 第2のポート
923 第3のポート
93 封止部材
930 短チューブ
931 筒体
932 中実柱状部
933 破断部
934 上端部
935 溝
94 チューブ
95 クレンメ
96 血液取出口
97 チューブ(採血ライン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を貯留する袋状のバッグ本体と、
前記バッグ本体内に連通し、該バッグ本体内に血液を導入する血液流入口と、
前記バッグ本体内に連通する血液取出口を有し、該血液取出口を介して前記バッグ本体内の血液を採取する採血ポートと、
前記バッグ本体内を、血液を貯留する血液貯留領域と、空気を貯留する空気貯留領域とに仕切る長手形状の仕切り部と、
前記血液貯留領域と前記空気貯留領域とを連通する連通部とを備え、
前記連通部は、前記仕切り部の長手方向の一端側または途中に設けられ、
前記採血ポートは、前記バッグ本体の前記連通部から離間した位置に設けられ、前記血液貯留領域に連通していることを特徴とする検査用血液バッグ。
【請求項2】
前記採血ポートは、前記仕切り部の長手方向の他端側の前記バッグ本体の縁部に設けられている請求項1に記載の検査用血液バッグ。
【請求項3】
前記仕切り部は、前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際の姿勢において前記バッグ本体内を上側部分と下側部分とに仕切り、
前記血液流入口は、前記バッグ本体の上端部に設けられ、
前記採血ポートは、前記バッグ本体の側端部に設けられている請求項1または2に記載の検査用血液バッグ。
【請求項4】
前記血液流入口から前記バッグ本体内に血液を導入する際と、前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際とで、前記バッグ本体の姿勢が異なる請求項1ないし3のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【請求項5】
前記血液流入口は、前記血液貯留領域に連通している請求項1ないし4のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【請求項6】
前記血液流入口は、前記空気貯留領域に連通しており、
前記仕切り部の前記空気貯留領域側の面は、前記採血ポート側より前記連通路側が鉛直下方に位置するように傾斜している請求項1ないし4のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【請求項7】
前記仕切り部の前記血液貯留領域側の面は、前記採血ポート側より前記連通路側が鉛直上方に位置するように傾斜している請求項1ないし6のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【請求項8】
前記血液貯留領域と前記空気貯留領域との位置関係は、前記空気貯留領域が前記血液流入口側に位置し、
前記血液流入口から前記バッグ本体内に血液を導入する際は、前記空気貯留領域は、前記血液貯留領域より鉛直上方に位置し、前記空気貯留領域に空気が貯留され、
前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際、それに先立って、前記バッグ本体の前記採血ポート側を鉛直上方に向けて使用するものである請求項1ないし7のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【請求項9】
前記血液流入口は、前記血液貯留領域に連通しており、
前記仕切り部の前記血液貯留領域側の面は、前記採血ポート側より前記連通路側が鉛直下方に位置するように傾斜している請求項1ないし4のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【請求項10】
前記仕切り部の前記空気貯留領域側の面は、前記採血ポート側より前記連通路側が鉛直上方に位置するように傾斜している請求項1ないし4、9のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【請求項11】
前記血液貯留領域と前記空気貯留領域との位置関係は、前記血液貯留領域が前記血液流入口側に位置し、
前記血液流入口から前記バッグ本体内に血液を導入する際は、前記血液貯留領域は、前記空気貯留領域より鉛直上方に位置し、前記血液貯留領域に空気が貯留され、
前記バッグ本体内に貯留された血液を前記採血ポートから採取する際、それに先立って、前記バッグ本体の鉛直方向の上下を反転させ、これにより、前記血液貯留領域の空気を前記空気貯留領域に移動させて使用するものである請求項1ないし4、9、10のいずれかに記載の検査用血液バッグ。
【請求項12】
採血針と、
前記採血針を介して採取された血液を収納する貯留容器と、
前記採血針と前記貯留容器とを連結する採血ラインと、
前記採血ラインの途中から分岐した分岐ラインと、
前記分岐ラインを介して、前記採血ラインと連通する請求項1ないし11のいずれかに記載の検査用血液バッグとを備えることを特徴とする採血器具。
【請求項13】
前記貯留容器は、採血バッグまたは血液分離器である請求項12に記載の採血器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−178554(P2008−178554A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14324(P2007−14324)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】