説明

検査装置

【課題】 x軸方向及びy軸方向にマトリクス状に配置される配線を有するタッチパネルを、非接触検査方式にて検査を実施することで、検査時間を短縮して効率良く検査を実施することが可能となる検査装置の提供。
【解決手段】 x軸表示配線及びx軸タブ配線からなるx軸配線とy軸表示配線及びy軸タブ配線からなるy軸配線とを有する検査物の検査装置であって、検査物を載置する導電性の載置台と、検査対象となるx軸表示配線の一端に非接触で配置される一端検出部と、他端に非接触で配置される他端検出部と、中央に非接触で配置される中央検出部と、x軸タブ配線の接続端に非接触で配置される第二検出部と、一端検出部と中央検出部の一端検出信号、他端検出部と該中央検出部の他端検出信号並びに、第二検出部のタブ検出信号とを基に、x軸配線の導通状態を判定する判定手段を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルの如き検査物の電気的特性を検出して、検査物を検査する検査装置に関し、より詳しくは、非接触の供給電極及び検出電極を用いることにより検査物を傷つけることなく、検査物に形成される配線の良/不良の検査を迅速に且つ効率良く実施することができる検査装置に関する。
尚、本発明は、タッチパネルのように、x軸方向及びy軸方向にマトリクス状に配列される配線を有する検査対象物に対して検査を好適に実施することができ、そのような検査対象物を総称して、「タッチパネル」と称する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル(又は、タッチスクリーンやタッチ画面)と呼ばれるITO膜上に形成されるx軸方向及びy軸方向に形成されるマトリクス状に配置される配線を有する検査対象物は、x軸方向とy軸方向に配置される夫々の配線に夫々接触子(針状の導通プローブ)を接触させて、各配線の導通と隣接する配線との短絡の検査が実施されていた。
【0003】
しかしながら、このように接触子を各配線に接触させて検査を実施する方法では、ITO膜に形成される配線と接触子に安定性がなく、酸化膜による接触抵抗の不安定性から電気的特性が正確に測定できない問題を有していた。また、接触子が検査対象の配線と圧接されることになるため、配線に接触子が触れることによる打痕が形成される問題を有していた。
【0004】
一方、特許文献1に開示されるように、組み立てられたタッチパネル上の所定のタッチ入力位置の検出を精度良く行うことができるタッチパネル全体の抵抗値等の電気的特性を正確に検査する検査技術が提案されている。このように、組み立てられたタッチパネルの機能の電気的特性を検査する技術が開示されている。
しかしながら、上記の如き組立て前の配線の導通及び短絡を検査する技術は開示されていない。
【0005】
また従来、表面上に形成される配線を有するガラス基板として、プラズマディスプレイパネル(PDP)などが存在する。PDPのガラス基板は、一方向に複数の棒状の配線が形成されている。製造工程では、一方向に複数配列される配線の導通及び短絡を検査する必要がある。
【0006】
このようなPDPの検査装置として、特許文献2に開示されるような非接触検査技術が提案されている。この特許文献2に開示される非接触検査技術では、検査対象となる配線に信号を供給し、この配線から検出される信号と、この配線から4又は5パターン間隔離れた配線からの検出される信号を比較して差分を検出して検査を実施している。
【0007】
しかしながら、このような特許文献2に開示される技術は、一方向に並設される配線に対して検査を実施することが可能であり、タッチパネルのようなx軸方向とy軸方向にマトリクス状に配置される配線を検査することはできなかった。
【0008】
特に近年では、生産性を向上させる要求が高まっており、例えば、タクトタイムを短縮するため、短時間での検査を完了させたり、多種多様なタッチパネルの検査を行ったりすることのできる検査装置が望まれている。また、配線の抵抗検出による高速検査の必要性が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−274225号公報
【特許文献2】特開2006−200992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、検査対象物がx軸方向及びy軸方向にマトリクス状に配置される配線を有するタッチパネルのような検査物であっても、非接触検査方式にて検査を実施することで、検査時間を短縮して効率良く検査を実施することが可能となるタッチパネル検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、棒状の配線であるx軸表示配線及び外部と該x軸表示配線を電気的に接続するための接続端となるx軸タブ配線からなるx軸配線並びに、棒状の配線であるy軸表示配線及び外部と該y軸表示配線を電気的に接続するための接続端となるy軸タブ配線からなるy軸配線とがマトリクス状に複数形成されてなる検査物を検査する検査装置であって、前記検査物の検査を実施するために該検査物を載置する導電性の載置台と、検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に交流信号を供給する第一供給手段と、前記第一供給手段の一方側と電気的に接続されるとともに、前記x軸表示配線の一端に非接触で配置される一端給電部と、前記第一供給手段の他方側と電気的に接続されるとともに、前記x軸表示配線の他端に非接触で配置される他端給電部と、前記検査対象となるx軸表示配線の一端に非接触で配置され、該一端から電気信号を非接触で検出する一端検出部と、前記検査対象となるx軸表示配線の他端に非接触で配置され、該他端から電気信号を非接触で検出する他端検出部と、前記検査対象となるx軸表示配線の中央に非接触で配置され、該中央から電気信号を検出する中央検出部と、検査対象となるx軸タブ配線に交流信号を供給するとともに、前記載置台に一方側が電気的に接続される第二供給手段と、前記第二供給手段の他方側と電気的に接続されるとともに、前記x軸タブ配線に非接触で配置される第二給電部と、前記x軸タブ配線の接続端に非接触で配置される第二検出部と、前記一端検出部と前記中央検出部から検出される一端検出信号、前記他端検出部と該中央検出部から検出される他端検出信号並びに、前記第二検出部から検出されるタブ検出信号とを基に、前記x軸配線の導通状態を判定する判定手段と、前記一端検出部、前記他端検出部、前記中央検出部、前記一端給電部、前記他端給電部、前記第二検出部と前記第二給電部を有する検査ヘッド部と、前記検査ヘッド部を前記検査物の表面上をy軸方向に移動させる移動手段を有していることを特徴とする検査装置を提供する。
請求項2記載の発明は、前記検査装置は、検査対象となるx軸配線と隣接するx軸配線同士の短絡異常を検出するための交流信号を供給する第三供給手段を有し、前記検査ヘッド部は、前記検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に隣接する一片側のx軸表示配線に非接触で配置されるとともに、前記第三供給手段の一方側と電気的に接続される第三上給電部と、前記検査対象となるx軸表示配線に隣接する他片側のx軸表示配線に非接触で配置されるとともに、前記第三供給手段の他方側と電気的に接続される第三下給電部と、前記検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に非接触で配置される第三検出部とを有してなり、前記判定手段が、前記第三検出部からの検出信号を基に、前記検査対象となるx軸配線の短絡状態を判定することを特徴とする請求項1記載の検査装置を提供する。
請求項3記載の発明は、前記検査装置は、検査対象となるx軸配線と全てのy軸配線の短絡異常を検出するための交流信号を供給するとともに、前記載置台に一方側が電気的に接続される第四供給手段を有し、前記検査ヘッド部は、前記検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に非接触で配置される第四給電部と、前記検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に非接触で配置される第四検出部とを有し、前記判定手段が、前記第四検出部からの検出信号を基に、前記検査対象となるx軸配線と全てのy軸配線の短絡状態を判定することを特徴とする請求項1記載の検査装置を提供する。
請求項4記載の発明は、前記検査ヘッド部は、前記中央検出部を中心として、前記一端検出部と前記他端検出部が相対的に近接離間可能な駆動機構を有していることを特徴とする請求項1記載の検査装置を提供する。
請求項5記載の発明は、前記移動手段は、前記検査ヘッド部を前記検査物の表面上をx軸方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、一端給電部、他端給電部、一端検出部、他端検出部、中央検出部、第二給電部と第二検出部が検査ヘッド部に配置され、この検査ヘッド部が検査物上を移動可能に形成されているので、検査ヘッド部が検査物上を移動することにより、検査対象物がx軸方向及びy軸方向にマトリクス状に配置される配線を有するタッチパネルのような検査物であっても、非接触検査方式にて検査を実施することができ、検査時間を短縮して効率良く検査を実施することが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、第三上給電部、第三下給電部、第三検出部が検査ヘッド部に配置されているので、検査ヘッド部が検査物上を移動することにより、x軸配線同士の短絡検査も実施することができ、非接触検査方式にて検査を実施することができ、検査時間を短縮して効率良く検査を実施することが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、第四給電部と第四検出部が検査ヘッド部に配置されているので、検査ヘッド部が検査物上を移動することにより、x軸配線とy軸配線の短絡検査も実施することができ、非接触検査方式にて検査を実施することができ、検査時間を短縮して効率良く検査を実施することが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、一端検出部と他端検出部が駆動機構により、中央検出部を中心に相対的に近接離間可能に設けられているので、タッチエリアの大きさに応じて検査を実施することができ、汎用性の高い検査装置を提供することができる。
請求項5記載の発明によれば、検査ヘッド部がx軸方向とy軸方向に移動可能になるため、検査ヘッド部が検査物上を移動することで、検査を迅速に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の検査対象となるタッチパネルの一実施形態を示す概略平面図である。
【図2】本検査装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】本検査装置にタッチパネルが載置された状態を表す概略構成図である。
【図4】本発明にかかる検査装置の検査状態を示す概略構成図である。なお、検査装置の配線は省略している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本検査装置は、タッチパネルのようなx軸方向とy軸方向のマトリクス状に配置される複数の配線を有する基板やガラス基板に対して、検査効率を向上させることができる。
このため、まず、本検査装置の検査対象となるタッチパネルについて説明する。
図1は、本発明の検査対象となるタッチパネルの一実施形態を示す概略平面図である。この図1のタッチパネルTPでは、ガラス基板上にx軸方向に配置されるx軸配線とy軸方向に配置されるy軸配線が夫々複数配置されている。この図1では、x軸配線が14本(符号で示されるLine:X1〜Line:Xe)形成され、y軸配線が8本(符号で示されるLine:Y1〜Line:Y8)形成されている。
タッチパネルTPのx軸配線とy軸配線は、これらの配線にて画面上のタッチエリア(P1とP2で覆われる部分)を覆うように配置されるため、図1で示す如き1本のx軸配線(及びy軸配線)が幅広部と幅狭部が繰り返して形成されることにより、タッチエリア全体を覆うように形成される。このように形成されることにより、タッチパネルTPが使用された場合に、タッチされた箇所(接触箇所)がどのx軸配線とどのy軸配線上に位置するのかを検出することができる。このタッチエリアは、x軸配線のx軸表示配線xPとy軸配線のy軸表示配線yPから形成される。
【0015】
図1のタッチパネルTPでは、x軸配線とy軸配線が、夫々14本と8本に形成されているが、これは特に限定されるものではなく、タッチパネル製造者によって適宜調整される。また、タッチパネルTPのタッチエリアや後述するタブ配線もその製造者により適宜調整されて形成され、幅広部と幅狭部の長さやその大きさもタッチパネル製造者により適宜調整される。
【0016】
これらのx軸配線とy軸配線は、その一端がドライバなどの電子部品と接続が可能なように夫々、x軸タブ配線xTとy軸タブ配線yT(タブ配線部T)が形成されており、他の電子部品との電気的接続部が夫々延設されて形成されている。このタブ配線部Tは、タッチエリア(P1〜P2)から平面視において離間した場所に形成され、電気的接続ができるようにされている。図1のタッチパネルTPでは、紙面に向かって右側に夫々(x軸配線とy軸配線)のタブ配線部Tが形成されている。このタブ配線部Tは、タッチエリア以外の場所に一箇所に並列して形成されることができる。
なお、x軸配線は、x軸表示配線xPとx軸タブ配線xTとから形成されてなり、y軸配線は、y軸表示配線yPとy軸タブ配線yTとから形成されている。
【0017】
本検査装置1は、第一供給手段11、一端給電部12、他端給電部13、一端検出部14、他端検出部15、中央検出部16、第二供給手段21、第二給電部22、第二検出部23、第三供給手段31、第三上給電部32、第三下33、第三検出部34、第四供給手段41、第四給電部42、第四検出部43、検査ヘッド部5、移動手段6、載置台7、判定手段8を有している。図2では、本検査装置1の概略構成を示す平面図である。
【0018】
第一供給手段11は、検査対象となるx軸配線の導通検査を実施するための交流信号を供給する。この第一供給手段11は、x軸配線のx軸表示配線xPに第一交流信号を供給する。第一供給手段11は、一つの交流電源を用いて構成することもできるし、180度位相の相違する二つの交流電源を、アースを介して接続して構成することもできる。
この第一供給手段11は、一方側が一端給電部12に電気的に接続され、他方側が他端給電部13に電気的に接続されている。このため、第一供給手段21は、一端給電部12と他端給電部13を介して、x軸表示配線xPに検査用の第一交流信号を供給することになる。
【0019】
一端給電部12は、第一供給手段11の一方側と電気的に接続されるとともに、x軸表示配線xPの一端に非接触で配置される。このため、一端給電部12は、x軸表示配線xPの一端と所定間隔を有して配置されるため、この一端と静電容量結合することになる。この一端給電部12は、検査対象となる一本のx軸表示配線xPに第一交流信号を供給することができれば、その大きさや形状は特に限定されないが、幅広部よりも小さく幅狭部よりも大きく形成されることが好ましい。この一端給電部12は、検査対象となるx軸表示配線xPの最も一端側(x軸タブ配線xTより遠い側)にある幅広部と静電容量結合するように配置されることが好ましい。
なお、一端給電部12は、x軸表示配線xPと非接触で配置されるため、x軸表示配線xPの表面より僅かに離間して配置されることになる。
【0020】
他端給電部13は、第一供給手段11の他方側と電気的に接続されるとともに、x軸表示配線xPの他端に非接触で配置される。このため、他端給電部13は、x軸表示配線xPの他端と所定間隔を有して配置されるため、この他端と静電容量結合することになる。この他端給電部13は、検査対象となる一本のx軸表示配線xPに第一交流信号を供給することができれば、その大きさや形状は特に限定されないが、幅広部よりも小さく幅狭部よりも大きく形成されることが好ましい。この他端給電部13は、検査対象となるx軸表示配線xPの最も他端側(x軸タブ配線xTに近い側)にある幅広部と静電容量結合するように配置されることが好ましい。
なお、他端給電部12は、x軸表示配線xPと非接触で配置されるため、x軸表示配線xPの表面より僅かに離間して配置されることになる。また、一端給電部12と他端給電部13は、夫々x軸表示配線xPの一端と他端に配置されるが、x軸表示配線xPの一端と他端が入れ替わっても構わない。
【0021】
一端検出部14は、検査対象となるx軸表示配線xPの一端から電気信号を非接触で検出する。この一端検出部14は、x軸表示配線xPと所定間隔を有して配置されるため、この一端と静電容量結合することになる。一端検出部14は、x軸表示配線xPの一端にある幅広部に静電容量結合するように配置されるが、この幅広部はx軸表示配線xPの最も一端側(x軸タブ配線xTより遠い側)にある幅広部であることが好ましい。これは、一端検出部14と後述する他端検出部15がx軸表示配線xPの導通検査エリアになるため、できるだけ広い検査エリアを確保することが好ましいからである。なお、一端検出部14と上記の一端給電部12は、いずれもx軸表示配線xPの一端に配置されることが好ましいが、一端給電部12を一端検出部14よりも外側に配置することが好ましい。これは、検査対象エリアを広くすることができるためである。
【0022】
他端検出部15は、検査対象となるx軸表示配線xPの他端から電気信号を非接触で検出する。この他端検出部15は、x軸表示配線xPと所定間隔を有して配置されるため、この他端と静電容量結合することになる。他端検出部15は、x軸表示配線xPの他端にある幅広部に静電容量結合するように配置されるが、この幅広部はx軸表示配線xPの最も他端側(x軸タブ配線xTに近い側)にある幅広部であることが好ましい。なお、他端検出部15と上記の他端給電部13は、いずれもx軸表示配線xPの他端に配置されることが好ましいが、他端給電部13を他端検出部15よりも外側に配置することが好ましい。これは、検査対象エリアを広くすることができるためである。
【0023】
中央検出部16は、検査対象となるx軸表示配線xPの中央に非接触で配置され、この中央から電気信号を検出する。この中央検出部16は、x軸表示配線xPと所定間隔を有して配置されるため、この中央と静電容量結合することになる。中央検出部16は、x軸表示配線xPの中央にある幅広部に静電容量結合するように配置されることが好ましいが、幅狭部であっても良い。このように中央検出部16が幅狭部に配置される場合には、検査対象となるx軸表示配線xPの隣接するx軸表示配線xPからの電気信号の影響を受けないように設定する必要がある。
【0024】
中央検出部16からの一端検出部14と他端検出部15の夫々の距離は、等しくなるように設定される。詳細は後述するが、夫々の距離が等しくなるように設置されることにより、中央検出部16と一端検出部14間に対向配置されるx軸表示配線xPの抵抗値と、中央検出部16と他端検出部15間に対向配置されるx軸表示配線xPの抵抗値を比較することにより、x軸表示配線xPの抵抗値の良否を判定することができるようになるからである。
【0025】
駆動機構(図示せず)は、中央検出部16と一端検出部14の距離と、中央検出部16と他端検出部15の距離とを調整することができる。この駆動機構は、x軸表示配線xPの長さに応じて、一端検出部14と他端検出部15を、中央検出部16を中心として近接離間に相対的に移動させることができる。このため、タッチパネルTPのタッチエリアの大きさ(x軸表示配線xPの長さ)に応じて、適宜調整可能となる。
【0026】
x軸表示配線xPから電気信号を検出する検出部として、一端検出部14、他端検出部15と中央検出部16を説明したが、中央検出部16を中心として、等距離に配置される一対の他の検出部(図示せず)を複数設けることもできる。
【0027】
第二供給手段21は、検査対象となるx軸タブ配線xTに交流信号を供給するとともに、後述する載置台7に一方側が電気的に接続される。第二供給手段21は、x軸タブ配線xTの導通状態を検出するための第二交流信号を供給することになる。この第二供給手段21は、他方側が後述する第二給電部22に電気的に接続され、x軸タブ配線xTにこの第二交流信号が供給される。
なお、この第二供給手段21は、x軸タブ配線xTに交流信号を供給することになるが、y軸タブ配線yTにも供給することになる。
【0028】
第二給電部22は、第二供給手段21の他方側と電気的に接続されるとともに、x軸タブ配線xTの接続端に非接触で配置される。このため、この第二給電部22は、x軸タブ配線xTと所定間隔を有して配置されるため、この接続端と静電容量結合することになる。この第二給電部22は、検査対象となる一本のx軸タブ配線xTに第二交流信号を供給することができれば、その大きさや形状は特に限定されないが、図1に示される如きタブ配線部Tはx軸タブ配線xTとy軸タブ配線yTが並列配置されているため、x軸タブ配線xT又はy軸タブ配線yTの幅と略同じ幅(又はいずれか短い幅と略同じ幅)を有するように形成される。
【0029】
第二給電部22は、検査対象となる一のx軸タブ配線xT又はy軸タブ配線yTに電気信号を供給することができれば、特に限定されないが、全てのx軸タブ配線xTとy軸タブ配線yTが並列配置されている場所を、移動することができるように配置される。なお、この第二給電部22がx軸タブ配線xTとy軸タブ配線yTが並列配置される場所に非接触で配置される場合には、x軸タブ配線xTのみならず、y軸タブ配線yTにも第二交流信号を供給することができる(図3参照)。
【0030】
第二検出部23は、x軸タブ配線xTに非接触で配置される。この第二検出部23は、x軸タブ配線xTと所定間隔を有して配置されるため、このx軸タブ配線xTと静電容量結合することになる。第二検出部23は、x軸タブ配線xT(又はy軸タブ配線yT)に静電容量結合するように配置されるが、第二検出部23が設けられるx軸タブ配線xTの位置は第二給電部22と同じ全てのx軸タブ配線xTとy軸タブ配線yTが並列配置されている場所を移動できるように配置されることが好ましい。この第二検出部23は、検査対象となる一本のx軸タブ配線xTに第二交流信号を供給することができれば、その大きさや形状は特に限定されないが、図1に示される如きタブ配線部Tはx軸タブ配線xTとy軸タブ配線yTが並列配置されているため、x軸タブ配線xT又はy軸タブ配線yTの幅と略同じ幅(又はいずれか短い幅と略同じ幅)を有するように形成されることが好ましい。なお、この第二検出部23がx軸タブ配線xTとy軸タブ配線yTが並列配置される移動可能な場所に非接触で配置される場合には、x軸タブ配線xTのみならず、y軸タブ配線yTからも電気信号を検出することができる(図3参照)。また、第二給電部22と第二検出部23は、第二給電部22が外側に配置されるように設定されることが好ましい。これは、検査対象エリアを広く設定することができるためである。
【0031】
第三供給手段31は、x軸配線同士の短絡異常を検出するための交流信号を供給する。第三供給手段31は、検査対象のx軸表示配線xPに隣接する二つのx軸表示配線xPに第三交流信号を供給する。この第三供給手段31は、一つの交流電源を用いて構成することもできるし、180度位相の相違する二つの交流電源を、アースを介して接続して構成することもできる。
この第三供給手段31は、詳細は後述するが、一方側が第三上給電部32に電気的に接続され、他方側が第三下給電部33に電気的に接続されている。このため、第三供給手段31は、第三上給電部32と第三下給電部33を介して、x軸表示配線xPの両隣のx軸表示配線xPに第三交流信号を供給することになる。
【0032】
第三給電部となる第三上給電部32と第三下給電部33は、検査対象となるx軸表示配線xPの両隣に配置される二つのx軸表示配線xPに夫々非接触で配置される。第三上給電部32と第三下給電部33は、夫々x軸表示配線xPと所定間隔を有して配置されるため、夫々のx軸表示配線xPと静電容量結合することになる。これら第三上給電部32と第三下給電部33は、夫々のx軸表示配線xPに第三交流信号を供給することができれば、その大きさや形状は特に限定されないが、幅広部よりも小さく幅狭部よりも大きく形成されることが好ましい。なお、図3の実施形態では、x軸表示配線xPの幅広部と静電容量結合するように配置されている。
【0033】
第三検出部34は、検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に非接触で配置される。この第三検出部34は、上記の第三上給電部32と第三下給電部33の間に配置されるx軸表示配線xP(検査対象のx軸表示配線xP)と静電容量結合することができるように配置される。
【0034】
第四供給手段41は、x軸配線とy軸配線の短絡異常を検出するための交流信号を供給するとともに、載置台7に一方側が電気的に接続される。第四供給手段41は、x軸配線とy軸配線の短絡状態を検出するための第四交流信号を供給することになる。この第四供給手段41は、他方側が後述する第四給電部42に電気的に接続され、x軸配線にこの第四交流信号が供給される。
【0035】
第四給電部42は、第四供給手段41の他方側と電気的に接続されるとともに、x軸配線に非接触で配置される。このため、この第四給電部42は、x軸配線と所定間隔を有して配置されるが、第四給電部42は検査対象のx軸表示配線xPの幅広部と静電容量結合するように配置されることが好ましい。このように配置されることにより、x軸配線(x軸表示配線xP)に確実に第四交流信号を供給することができるからである。
この第四給電部42は、検査対象となる一本のx軸表示配線xPに第四交流信号を供給することができれば、その大きさや形状は特に限定されないが、x軸表示配線xPの幅広部に電気信号を確実に供給することができる形状や大きさが好ましい。
【0036】
第四検出部43は、検査対象となるx軸配線のx軸表示配線xPに非接触で配置される。この第四検出部43は、x軸表示配線xPと所定間隔を有して配置されるため、このx軸表示配線xPと静電容量結合することになる。この第四検出部43は、x軸配線とy軸配線に短絡異常が存在しなければ、検査対象のx軸配線と載置台7の静電容量分が検出されることになるが、短絡異常が存在すれば相違する静電容量分が検出されることになる。
第四検出部43と第四給電部44は、最も離間したx軸表示配線xPの幅広部に配置されることが好ましい。
【0037】
検査ヘッド部5は、一端給電部12、他端給電部13、一端検出部14、他端検出部15、中央検出部16、第二給電部22、第二検出部23を備えてなる。この検査ヘッド部5は、非導電性の板状の部材で形成されており、上記の各部を所定の位置に配置している。この検査ヘッド部5は、図2で示される如く、一端給電部12、他端給電部13、一端検出部14、他端検出部15と中央検出部16は、一列に並んで配置される。これは、検査対象となるx軸配線(又はy軸配線)に非接触で同時に静電容量結合させるためである。
第二給電部22と第二検出部23は、タブ配線部Tのx軸タブ配線xTとy軸タブ配線yTが並列配置される場所で、一列に並んで配置される。
【0038】
この検査ヘッド部5は、更に、第三上給電部32、第三下給電部33と第三検出部34を備えてなる。この第三検出部34は、検査対象のx軸表示配線xPの幅広部に非接触で静電容量結合するように配置され、第三上給電部32と第三下給電部33は第三検出部34が対象とするx軸表示配線xPの幅広部に対して、両隣に配置されるx軸表示配線xPの幅広部に配置されるように、検査ヘッド部5に取り付けられている。
【0039】
この検査ヘッド部5は、更に、第四給電部42と第四検出部43を備えている。第四給電部42は、検査対象となるx軸表示配線xPの幅広部に非接触で静電容量結合するように配置され、第四検出部43は第四給電部42に隣接する検査対象のx軸表示配線xPの幅広部と非接触で静電容量結合するように配置される。
【0040】
図3の一実施形態では、一端給電部12、他端給電部13、一端検出部14、他端検出部15と中央検出部16が、検査対象となるx軸表示配線xPと対向するように一列に配置されており、更に、第四給電部42と第四検出部43が一つ隣のx軸表示配線xPの幅広部と対向して配置されている。
第三検出部34は、上記の検査対象となるx軸表示配線xPとは相違するx軸表示配線xP(図3では、二つ隣のx軸表示配線xP)を検査対象として配置されている。
【0041】
移動手段6は、検査ヘッド部5を検査物の表面上をy軸方向に移動させる。この移動手段6は、例えば、図2で示される如く、一方向に移動することができるガイドレールを採用することができ、このガイドレールに沿って検査ヘッド部5が移動するようになる。この移動手段6による検査ヘッド部5の移動は、手動及び/又は自動を適宜選択して設けることができる。
なお、この移動手段6による検査ヘッド部5の移動により、検査物に設けられる一方向の配線(本実施形態ではx軸配線の検査)の検査を行うことができる。このため、他方向の配線(本実施形態ではy軸配線の検査)の検査を行う場合には、検査物を90度回転させて載置しなおしたり、移動手段6に設けられるガイドレールを直行する二本目のガイドレールを設けたりすることにより対応することができる。
この移動手段6は、検査ヘッド部5を所定方向(x軸方向やy軸方向)に移動させることができるが、本検査装置1の検査方法では、検査ヘッド部5が検査物上を止まることなく、各x軸配線やy軸配線の検査を連続的に実施することできる。
【0042】
載置台7は、検査対象となる検査物を載置するとともに導電性の素材で形成される。この載置台7は、上記の如く、第二供給手段21と第四供給手段41の一方側と電気的に接続される。このため、載置台7自体が電極板の役割を果たすことになる。この載置台7は導電性の素材より形成されるが、その素材は特に限定されるものではなく、検査装置製造者により適宜に選択される。
なお、この載置台7には、複数の微細な貫通孔(図示せず)を形成することもできる。この場合、この貫通孔は、吸着機構に接続されており、載置面に載置された検査物を固定して保持することができるようになる。
【0043】
判定手段8は、一端検出部14と中央検出部16から検出される一端検出信号と他端検出部15と中央検出部16から検出される他端検出信号並びに、第二検出手段23から検出されるタブ検出信号とを基に、x軸配線の導通状態を判定する。
この判定手段8は、一端検出部14からの検出信号、他端検出部15からの検出信号と中央検出部16からの検出信号を利用するが、まず、一端検出部14からの検出信号と中央検出部15からの検出信号を基に、一端検出信号を算出する。また、この判定手段8は、他端検出部15からの検出信号と中央検出部16からの検出信号を基に、他端検出信号を算出する。
この一端検出信号は、例えば、一端検出部14と中央検出部16をオペアンプ81に夫々接続することにより得ることができる。他端検出信号は、例えば、他端検出部15と中央検出部16をオペアンプ82に夫々接続することにより得ることができる。
【0044】
判定手段8は、一端検出信号と他端検出信号を比較して、x軸表示配線xPの導通状態を判定する。この判定手段8が行うこの比較は、一端検出部14から中央検出部16までのx軸表示配線xPの抵抗値と他端検出部15から中央検出部16までのx軸表示配線xPとの抵抗値の比較を基に行われることになる。この比較結果に応じて、判定手段8は、x軸表示配線xPの導通状態を判断する。
一端検出部14と中央検出部16の間のx軸表示配線xPと、他端検出部15と中央検出部16の間のx軸表示配線xPは、導通異常が存在しない場合に略同一の抵抗値を有するように、三つの検出部が配置されている。このため、一端検出部14から中央検出部16までのx軸表示配線xPの抵抗値と、他端検出部15から中央検出部16までのx軸表示配線xPの抵抗値は、夫々導通異常が存在しなければ略同一の値となる。このため、一端検出信号と他端検出信号を比較することにより、x軸表示配線xPの導通状態を判定することができる。
【0045】
上記のような比較を行うため、オペアンプ81から得られる一端検出信号とオペアンプ82から得られる他端検出信号は、判定手段8に入力されるように設定する。この入力された信号は、x軸表示配線xPの導通状態を判定するための値として設定される。この場合、例えば、一端検出信号と他端検出信号の比較結果が略ゼロに等しければ、x軸表示配線xPの導通状態は良好として判断され、いずれかの信号の出力に差異があればいずれかのx軸表示配線xPの導通状態が不良であるとして判断されることになる。
【0046】
このように一端検出部14、他端検出部15と中央検出部16を用いて、夫々の検出部から検出される検出信号を基に、一端検出部14と中央検出部16の間に対向配置されるx軸表示配線xPの抵抗値と、他端検出部15と中央検出部16の間に対向配置されるx軸表示配線xPの抵抗値を比較することになるので、単にx軸表示配線xPの導通の有無を検査するだけでなく、抵抗値分を考慮した導通状態から良不良を判定することができる。
【0047】
判定手段8は、上記の如き検出信号を判定するが、各検出部からの検出信号を各供給手段からの入力される交流信号を基に90度検波することにより、検出信号を生成することができる。なお、図2の一実施形態では、オペアンプ81とオペアンプ82から出力される段階で各電気信号を検波するように設定することができる。
【0048】
判定手段8は、第二検出部23から検出されるタブ検出信号を基に、x軸タブ配線xTの導通状態を判定する。この判定手段8は、第二給電部22を介して第二交流信号がx軸タブ配線xTから供給されて、載置台7と静電容量結合することになる。このため、x軸タブ配線xTに導通状態が不良であれば、第二検出部23が導通状態が良好である場合とは相違する検出信号を検出することになり、第二検出部23が検出する検出信号を基に判定することができる。図2の一実施形態では、第二検出部23が検出した検出信号をオペアンプ84を介して、判定手段8へ入力される。この判定手段8で判定される検出信号は、第二交流信号を基に90度検波して生成される。
なお、上記説明は、x軸タブ配線xTについて説明したが、y軸タブ配線yTについても同様である。
【0049】
判定手段8は、更に、第三検出部34からの検出信号を基に、x軸配線の短絡状態を判定する。第三検出部34が配置される検査対象のx軸配線の両隣のx軸配線のx軸表示配線xPには、第三上給電部32と第三下給電部33が夫々配置されている。このため、両隣のいずれかに短絡が存在している場合には、検査対象のx軸配線は、短絡しているいずれかからの第三交流信号の影響を受けることになる。つまり、検査対象のx軸配線に短絡異常が存在しない場合には、第三検出部34は検出信号を検出しないが、短絡異常が存在する場合には、第三検出部34は第三交流信号の影響を受けた検出信号を検出することになる。図2の一実施形態では、第三検出部34が検出した検出信号をオペアンプ85を介して、判定手段8へ入力するように構成されている。この判定手段8で判定される検出信号は、第三交流信号を基に90度検波して生成される。
【0050】
判定手段8は、更に、第四検出部43からの検出信号を基に、x軸配線とy軸配線の短絡状態を判定する。この場合、第四検出手段43から検出される検出信号を基に、x軸配線とy軸配線の短絡状態を判定する。この判定手段8は、第四給電部42を介して第四交流信号がx軸表示配線xPから供給されて、載置台7と静電容量結合することになる。このため、x軸配線とy軸配線の短絡異常が存在すれば、第四検出部43が短絡異常が存在しない場合とは相違する検出信号を検出することになり、第四検出部43が検出する検出信号を基に判定することができる。図2の一実施形態では、第四検出部43が検出した検出信号をオペアンプ86を介して、判定手段8へ入力される。この判定手段8で判定される検出信号は、第四交流信号を基に90度検波して生成される。
【0051】
この判定手段8の判定の基になる各検出部からの検出信号は、上限値と下限値が設定されており、この範囲内にある出力値が利用されることになる。これら上限値と下限値の間に出力値が存在しない場合には、導通及び/又は短絡異常が存在する場合であり、この場合には、検査対象の配線に異常が存在することになる。なお、このように上限値と下限値を判定するために、図3の実施形態では、一端検出部14に接続されるオペアンプAが接続され、オペアンプAが判定手段8に接続されている。一端検出部14に接続されるオペアンプAが接続され、オペアンプAが判定手段8に接続されている。他端検出部15に接続されるオペアンプCが接続され、オペアンプCが判定手段8に接続されている。中央端検出部16に接続されるオペアンプBが接続され、オペアンプBが判定手段8に接続されている。
以上が本検査装置の基本的な構成である。
【0052】
次に本検査装置の動作を説明する。
本検査装置の所定位置にタッチパネルTPが配置されて、タッチパネルTPの検査が開始される(図3参照)。
図3で示される如く、検査ヘッド部5は、紙面に向かって下方に移動手段6により移動される。なお、図1のタッチパネルTPを検査する場合には、紙面に向かって最も上に配置されているx軸配線(Line:X1)上に、一端給電部12、他端給電部13、一端検出部14、他端検出部15と中央検出部16が、このx軸配線Line:X1のx軸表示配線xPの幅広部に夫々配置された場合に検査が開始されることになる。
【0053】
このとき、図3では、第二給電部22と第二検出部23は、y軸タブ配線Line:Y5の接続端に対向する位置に配置されている。
検査が開始されると、第二供給手段21の第二交流信号が、第二給電部22を介して、y軸配線Line:Y5のy軸タブ配線yTに供給される。次に、第二検出部23は、y軸タブ配線yTからの検出信号を検出する。このとき、この検出信号を基に、y軸タブ配線yTの導通状態が判定される。なお、この場合、判定手段8は、y軸タブ配線yTの導通状態の良好状態の電気信号値(基準値)と比較され、y軸タブ配線yTの導通状態の判定が実施される。
なお、検査ヘッド部5は、図3で示される如く、黒塗り矢印の方向へ移動するが、この移動に伴って、第二検出部23は、y軸配線Line:Y5のy軸タブ配線yTの導通状態の検査が実施され、次に、y軸配線Line:Y6のy軸タブ配線yTの導通状態の検査が実施され、y軸配線Line:Y8のy軸タブ配線yTまで実施されると、次いで、x軸配線Line:X1のx軸タブ配線xTの導通状態の検査が実施され、x軸配線Line:Xeのx軸タブ配線xTまで検査が実施され、更に、y軸配線Line:Y4のy軸タブ配線yTの導通状態の検査が実施され、y軸配線Line:Y1のy軸タブ配線yTの導通状態の検査が実施されることになる。
【0054】
図3の如き検査ヘッド部5が配置されると、x軸配線Line:X1のx軸表示配線xPの導通検査が実施される。この場合、一端給電部12と他端給電部13がx軸表示配線xPの夫々の幅広部に配置された際に、一端検出部14、他端検出部15と中央検出部16からの検出信号を検出することになる。次に、一端検出部14と中央検出部16から一端検出信号が算出され、他端検出部15と中央検出部16から他端検出信号が算出され、これらの一端検出信号と他端検出信号が判定手段8により、x軸表示配線xPの導通状態が判定される。
つまり、一端検出信号と他端検出信号が同一であれば、x軸表示配線xPの導通状態が良好であり、一端検出信号と他端検出信号が相違していれば、x軸表示配線xPの導通状態が不良であると判定することになる。
【0055】
これら一端検出部14、他端検出部15と中央検出部16も、検査ヘッド部5の移動に伴い、x軸配線Line:X1のx軸表示配線xPからx軸配線Line:Xeのx軸表示配線xPまで同様に検査されることになる。
【0056】
判定手段8は、第三検出部34の検出信号から、x軸配線同士の短絡状態を判定する。この場合、第三検出部34が検出する検出信号は、x軸配線に短絡異常が存在しなければ、略ゼロ出力(出力無し)となる。このため、第三検出部34が検出信号を検出した場合には、検査対象のx軸配線は隣接するx軸配線のどちらかと短絡異常を有することになる。この第三検出部34による検出も、検査ヘッド部5の移動に伴い、x軸配線の順番に従って実施されることになる。
【0057】
判定手段8は、第四検出部43の検出信号から、x軸配線とy軸配線の短絡状態を判定する。第四給電部42と第四検出部43が、検査対象のx軸配線のx軸表示配線xPの幅広部に夫々配置されると、第四給電部42は、x軸配線に第四交流信号を供給することになる。このとき、第四検出部43が検出する検出信号は、判定手段8に送られ、検査対象のx軸配線とy軸配線が短絡異常が存在しない場合の電気信号値(基準値)と比較されることになる。短絡異常が存在する場合には、検出信号が載置台7と形成する静電容量が正常時の基準値と相違することになり、短絡異常を発見することができる。この第四検出部43による検出も、検査ヘッド部5の移動に伴い、x軸配線の順番に従って実施されることになる。
【0058】
図4は、本検査装置1の検査の状態を示す一実施形態である。この図4では、x軸配線Line:X6のx軸表示配線xPの導通検査が実施されるとともに、y軸配線Line:Y4のy軸タブ配線yTの導通検査が実施される。また、この場合、x軸配線Line:X8とx軸配線Line:X7とx軸配線Line:X9の短絡検査が実施されるとともに、x軸配線Line:X5と全てのy軸配線との短絡検査が実施されていることになる。
【0059】
x軸配線の導通・短絡検査が実施され、全てのx軸配線の検査が完了すると、y軸配線の導通検査が実施される。この場合、タッチパネルTPのx軸方向に検査ヘッド部5を移動させることにより、y軸配線の検査を実施することになる。なお、この際には、タッチパネルTPを90度回転させるか、又は移動手段5をx軸方向にも移動させるように移動手段6を設けることで対応することができる。
このように、y軸配線の検査は、その導通検査を実施することにより、タッチパネルTPのx軸配線とy軸配線の検査が実行されることになる。つまり、検査ヘッド部5をy軸方向とx軸方向の2回の移動で、全ての配線の導通・短絡の検査を実施することができる。
【0060】
このy軸配線の導通検査は、一端給電部12、他端給電部13、一端検出部14、他端検出部15と中央検出部16を用いて実施されるが、一端検出部14と他端検出部15は、中央検出部16に対して駆動機構を用いることにより、y軸表示配線yPの長さに応じてその配置位置を適宜調整することができる。このため、x軸配線とy軸配線の長さが相違している場合でも、上記のx軸表示配線xPと同様に、的確に対応して、タッチパネルTPの検査を実施することができる。
以上が本発明の動作の説明である。
【0061】
本検査装置1は、検査ヘッド部5がx軸方向とy軸方向に2回移動することにより、タッチパネルTPのx軸配線とy軸配線の導通・短絡検査を実施することができ、従来の検査用プローブを接触させて検査を行う接触式の検査装置に比して処理速度を向上させることができる。特に、検査ヘッド部5を移動手段6により連続移動させて検査することができるので、処理速度を向上させることができる。
【0062】
また、タッチパネルTPのタッチエリアの配線(x軸表示配線xPやy軸表示配線yP)の検査方法が、電気的な導通状態の有無に留まらず、一端給電部12、他端給電部13、一端検出部14、他端検出部15と中央検出部16を用いて、各検出部間の抵抗値による導通状態の判定を実施するため、タッチエリアの配線の正確な検査を実施することができる。
【0063】
また、一端検出部14と他端検出部15が、駆動機構により、中央検出部16を中心にして相対移動することができるので、タッチエリアの配線の長さに応じて適宜調整して検査ができ、汎用性の高い検査装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・・検査装置
11・・・第一供給手段
12・・・一端給電部
13・・・他端給電部
14・・・一端検出部
15・・・他端検出部
16・・・中央検出部
21・・・第二供給手段
22・・・第二給電部
23・・・第二検出部
31・・・第三供給部
41・・・第四供給手段
42・・・第四給電部
43・・・第四検出部
5・・・・検査ヘッド部
6・・・・移動手段
7・・・・載置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の配線であるx軸表示配線及び外部と該x軸表示配線を電気的に接続するための接続端となるx軸タブ配線からなるx軸配線並びに、棒状の配線であるy軸表示配線及び外部と該y軸表示配線を電気的に接続するための接続端となるy軸タブ配線からなるy軸配線とがマトリクス状に複数形成されてなる検査物を検査する検査装置であって、
前記検査物の検査を実施するために該検査物を載置する導電性の載置台と、
検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に交流信号を供給する第一供給手段と、
前記第一供給手段の一方側と電気的に接続されるとともに、前記x軸表示配線の一端に非接触で配置される一端給電部と、
前記第一供給手段の他方側と電気的に接続されるとともに、前記x軸表示配線の他端に非接触で配置される他端給電部と、
前記検査対象となるx軸表示配線の一端に非接触で配置され、該一端から電気信号を非接触で検出する一端検出部と、
前記検査対象となるx軸表示配線の他端に非接触で配置され、該他端から電気信号を非接触で検出する他端検出部と、
前記検査対象となるx軸表示配線の中央に非接触で配置され、該中央から電気信号を検出する中央検出部と、
検査対象となるx軸タブ配線に交流信号を供給するとともに、前記載置台に一方側が電気的に接続される第二供給手段と、
前記第二供給手段の他方側と電気的に接続されるとともに、前記x軸タブ配線に非接触で配置される第二給電部と、
前記x軸タブ配線の接続端に非接触で配置される第二検出部と、
前記一端検出部と前記中央検出部から検出される一端検出信号、前記他端検出部と該中央検出部から検出される他端検出信号並びに、前記第二検出部から検出されるタブ検出信号とを基に、前記x軸配線の導通状態を判定する判定手段と、
前記一端検出部、前記他端検出部、前記中央検出部、前記一端給電部、前記他端給電部、前記第二検出部と前記第二給電部を有する検査ヘッド部と、
前記検査ヘッド部を前記検査物の表面上をy軸方向に移動させる移動手段を有していることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記検査装置は、
検査対象となるx軸配線と隣接するx軸配線同士の短絡異常を検出するための交流信号を供給する第三供給手段を有し、
前記検査ヘッド部は、
前記検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に隣接する一片側のx軸表示配線に非接触で配置されるとともに、前記第三供給手段の一方側と電気的に接続される第三上給電部と、
前記検査対象となるx軸表示配線に隣接する他片側のx軸表示配線に非接触で配置されるとともに、前記第三供給手段の他方側と電気的に接続される第三下給電部と、
前記検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に非接触で配置される第三検出部とを有してなり、
前記判定手段が、前記第三検出部からの検出信号を基に、前記検査対象となるx軸配線の短絡状態を判定することを特徴とする請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査装置は、
検査対象となるx軸配線と全てのy軸配線の短絡異常を検出するための交流信号を供給するとともに、前記載置台に一方側が電気的に接続される第四供給手段を有し、
前記検査ヘッド部は、
前記検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に非接触で配置される第四給電部と、
前記検査対象となるx軸配線のx軸表示配線に非接触で配置される第四検出部とを有し、
前記判定手段が、前記第四検出部からの検出信号を基に、前記検査対象となるx軸配線と全てのy軸配線の短絡状態を判定することを特徴とする請求項1記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査ヘッド部は、
前記中央検出部を中心として、前記一端検出部と前記他端検出部が相対的に近接離間可能な駆動機構を有していることを特徴とする請求項1記載の検査装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記検査ヘッド部を前記検査物の表面上をx軸方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−220916(P2011−220916A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92008(P2010−92008)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(392019709)日本電産リード株式会社 (160)
【Fターム(参考)】