説明

検査選別システム

【課題】 検査装置の制御手段のCPUが暴走したときに、未検査物品が下流側の装置へ搬送されることを防止することができる検査選別システムを提供する。
【解決手段】 コンベヤ10,11と、コンベヤ11上を搬送される物品の重量を計量する重量センサ65と、重量センサ65の計量結果に基づいて物品が良品であるか不良品であるかを判定し、その判定結果を示す判定信号を出力するとともに、一定周期のパルス信号を出力することを、CPUが所定のプログラムを実行することにより行う重量検査装置制御部61と、パルス信号を入力し、一定周期より長い所定時間の間、パルス信号が入力されないときに、重量検査装置制御部61が異常状態であることを検出し、コンベヤ10,11を停止させる異常検出回路62と、重量検査装置制御部61から判定信号を入力し、不良品と判定された物品をコンベヤ12上から排除する振分装置7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ライン上を搬送される物品を検査して不良品を排除するための検査選別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポテトチップス、キャンデー、畜産物、農産物、海産物等の物品を所定重量範囲内の重量に計量して包装し、市場に出荷する工場の生産ラインには、例えば、組合せ秤等の計量機器と、包装機と、検査装置(X線異物検出装置、金属検出機、重量検査装置等)と、振分装置と、箱詰め装置とが備えられている。
【0003】
このような生産ラインでは、いくつかの検査装置と振分装置とによって検査選別システムが構成され、検査装置の下流側に振分装置が配置されている。検査装置及び振分装置には、それぞれコンベヤが備えられており、検査装置は、包装機等から搬送されてきた物品をコンベヤで搬送しながら所定の検査に対応する処理を実施し、その処理結果に基づいて検査装置の制御手段が例えば良品であるか不良品であるかの判定を行い、その判定結果(検査結果)を振分装置に渡し、振分装置では、不良品と判定された物品をコンベヤ上から排除し、良品と判定された物品を下流側の装置へ送るように構成されている。検査装置の制御手段は、例えば、CPUを有するマイクロコンピュータによって構成される。
【0004】
例えば、特許文献1には、重量検査装置及び振分装置を備えた重量選別機が開示されている。また、特許文献2には、CPUが誤動作する状態のときにCPUの出力をマスクして外部へ出力させないようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−138426号公報
【特許文献2】特開昭61−249145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような検査選別システムにおいて、検査装置の制御手段は、CPU及びメモリ等を有するマイクロコンピュータ等によって構成されるが、検査装置を含む生産ラインを稼動中に、検査装置の制御手段のCPUが暴走すると、同制御手段において検査の判定が行われなくなる。このような状態になると、振分装置では、検査結果が得られないので、不良品を搬送経路から排除することなく、全ての物品が振分装置より下流側の装置へ搬送されてしまう。このように検査結果が得られていない物品(未検査物品)は、振分装置で不良品が排除されることなく通過してしまい、下流側の箱詰め装置で不良品が箱詰めされてしまう場合がある。例えば、組合せ秤で計量が行われる生産ラインでは、一分間に数十袋ないし100袋以上の物品が生成される場合が多く、検査選別システムを通過した未検査物品を再検査のために検査選別システムの初段から流す手間は相当なものとなる。また、どの物品が未検査物品であるかを特定できないので結果的に未検査であろうと判断される物品の数も多くなり、より多くの物品を再検査しなければならなくなる。さらに、箱詰めされている場合には、箱から物品を一つ一つ取り出して検査選別システムの初段から流す手間は相当なものとなる。
【0007】
CPUが暴走する原因としては、ソフトウェアのバグ、外部からの外乱ノイズ、CPUを実装している制御基板の半田付け不良あるいはIC等の電子部品の不良等が想定される。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、検査装置の制御手段のCPUが暴走したときに、検査結果が得られていない未検査物品が下流側の装置へ搬送されることを防止することができる検査選別システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の検査選別システムは、搬送経路を上流側から下流側へ搬送される物品に対して所定の検査を行い、その検査結果を出力する検査装置と、前記検査装置より下流側に配置され、前記検査装置から出力される検査結果に基づいて不良品と判定された物品を前記搬送経路上から排除する振分装置とを備え、前記検査装置は、前記検査結果を出力するとともに所定信号を一定時間ごとに出力する制御手段と、前記制御手段から出力される前記所定信号を入力し、前記一定時間より長い所定時間の間、前記所定信号が入力されないときに、前記制御手段が異常状態であることを検出する異常検出手段とを有するように構成され、前記異常検出手段が前記制御手段の異常状態を検出したときに前記検査装置に存在する物品及び前記異常状態を検出後に前記検査装置に到達する物品である未検査物品を前記振分装置より下流側へ搬送しないように構成されている。
【0010】
この構成によれば、搬送経路を順次搬送される物品の検査を行う検査装置の制御手段のCPUが暴走すると制御手段から所定信号が出力されなくなることにより異常検出手段が制御手段の異常状態を検出し、その検出時以降の未検査物品を振分装置より下流側へ搬送しないように構成されているので、検査結果が得られていない未検査物品が下流側の装置へ搬送されることを防止することができる。そのため、再検査が必要である物品を特定することができ、再検査を行う物品数を低減することができ、再検査に要する手間を大幅に軽減することができる。
【0011】
また、本発明の検査選別システムは、上流側から下流側へ物品を搬送する搬送経路の一部を構成する第1の搬送手段と、前記第1の搬送手段上を搬送される物品に対して所定の検査に対応する処理を実施するための検査実施手段と、CPUを有し、前記検査実施手段の処理結果に基づいて前記物品が良品であるか不良品であるかを判定し、その判定結果を示す判定信号を出力するとともに、前記第1の搬送手段及び前記検査実施手段の動作の開始及び停止を制御し、前記第1の搬送手段及び前記検査実施手段の動作の開始制御をしてから停止制御をするまでの間、一定周期のパルス信号を出力することを、前記CPUが所定のプログラムを実行することにより行う制御手段と、前記制御手段から出力される前記パルス信号を入力し、前記一定周期より長い所定時間の間、前記パルス信号が入力されないときに、前記制御手段が異常状態であることを検出する異常検出手段とを有する検査装置を備えるとともに、前記第1の搬送手段より下流側に配置され、前記搬送経路の一部を構成する第2の搬送手段を有し、前記制御手段から出力される前記判定信号を入力し、前記第1の搬送手段から搬送されてくる物品のうち前記判定信号に基づいて不良品と判定された物品を前記第2の搬送手段上から排除するとともに他の物品を前記第2の搬送手段によって下流側へ搬送する振分装置を備え、前記異常検出手段が前記制御手段の異常状態を検出したときに前記第1の搬送手段上に存在する物品及び前記異常状態を検出後に前記第1の搬送手段に到達する物品である未検査物品を前記振分装置より下流側へ搬送しないように構成されている。
【0012】
この構成によれば、搬送経路を順次搬送される物品の検査を行う検査装置の制御手段のCPUが暴走すると制御手段からパルス信号が出力されなくなることにより異常検出手段が制御手段の異常状態を検出し、その検出時以降の未検査物品を振分装置より下流側へ搬送しないように構成されているので、良品であるか不良品であるかの判定結果である検査結果が得られていない未検査物品が下流側の装置へ搬送されることを防止することができる。そのため、再検査が必要である物品を特定することができ、再検査を行う物品数を低減することができ、再検査に要する手間を大幅に軽減することができる。
【0013】
また、前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態を検出したときに前記第1の搬送手段の動作を強制停止させるように構成されていてもよい。
【0014】
この構成により、未検査物品が第1の搬送手段より下流側へ搬送されることを防止することができる。
【0015】
また、前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態を検出したときに前記振分装置へ異常検出信号を出力するように構成されるとともに、前記制御手段の異常状態を検出してから所定時間経過後に前記第1の搬送手段の動作を強制停止させるように構成され、前記振分装置は、前記異常検出手段からの前記異常検出信号を入力した後に搬送されてくる全ての物品を前記第2の搬送手段上から排除するように構成されていてもよい。
【0016】
第1の搬送手段を強制停止させる場合、第1の搬送手段の上流側の装置も停止させることが好ましいが、上流側の装置をすぐに停止できない場合には、上記のように、制御手段の異常状態を検出してから所定時間経過後に第1の搬送手段の動作を強制停止させるようにして、上記所定時間の間に振分装置に搬送されてくる未検査物品を、振分装置によって第2の搬送手段上から排除して例えば第2の搬送手段の側方に集めることができる。
【0017】
また、前記第1の搬送手段の動作を強制停止させるために、前記第1の搬送手段へ電力供給を行う電路を遮断する手段が設けられていてもよい。
【0018】
また、前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態を検出したときに前記振分装置へ異常検出信号を出力するように構成され、前記振分装置は、前記異常検出手段からの前記異常検出信号を入力した後に搬送されてくる全ての物品を前記第2の搬送手段上から排除するように構成されていてもよい。
【0019】
この構成により、未検査物品が振分装置より下流側へ搬送されることがなく、振分装置によって未検査物品を第2の搬送手段上から排除して例えば第2の搬送手段の側方に集めることができる。
【0020】
また、前記異常検出手段が前記制御手段の異常状態を検出したときに警報を出力する警報手段をさらに備えていてもよい。
【0021】
この構成により、制御手段が異常であることを作業者に報知することができる。
【0022】
また、前記制御手段は、前記第1の搬送手段及び前記検査実施手段の動作の開始制御をしてから停止制御をするまでの間、前記第1の搬送手段が動作中であることを示す動作状態信号を、前記異常検出手段へ出力するように構成され、前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態の検出を、前記制御手段から前記動作状態信号が入力されているときにのみ行うように構成され、前記異常検出手段が前記制御手段の異常状態を検出したときに警報を出力する警報手段をさらに備えていてもよい。
【0023】
この構成により、制御手段が異常であることを作業者に報知することができる。また、第1の搬送手段が動作していないときに、警報手段が作動することがないようにできる。
【0024】
また、前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態を検出したときに前記第1の搬送手段より上流側の装置の動作を停止させるために前記上流側の装置へ異常検出信号を出力するように構成されていてもよい。
【0025】
この構成により、制御手段の異常状態が検出された後、上流側の装置から物品が搬送されてくるのを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、以上に説明した構成を有し、検査選別システムにおいて、検査装置の制御手段のCPUが暴走したときに、検査結果が得られていない未検査物品が下流側の装置へ搬送されることを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施形態の検査選別システムが用いられている生産ラインの一例を示す概略模式図である。
【図2】(a)は、本発明の実施形態の検査選別システムを構成する重量検査装置及び振分装置の一例を側方から視た構成を示す概略模式図であり、(b)は、同重量検査装置及び振分装置の一例を上方から視た構成を示す概略模式図である。
【図3】本発明の実施形態における重量検査装置及び振分装置の主要部分を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態における重量検査装置の主要な信号等のタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施形態における重量検査装置において異常検出回路をプログラマブルコントローラで構成した場合の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態における重量検査装置において異常検出回路をタイマで構成した場合の一例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態の検査選別システムを構成する重量検査装置及び振分装置の主要部分を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施形態の検査選別システムが用いられている生産ラインの一例を示す概略模式図である。
【0030】
図1(a)に示す生産ラインは、組合せ秤2へ被計量物を供給する供給ライン1と、組合せ秤2と、包装機3と、機器間の搬送コンベヤ4と、金属検出機5と、重量検査装置6と、振分装置7と、機器間の搬送コンベヤ13と、箱詰め装置8とを備えている。
【0031】
被計量物供給ライン1から供給される被計量物は、組合せ秤2によって計量されて、所定重量範囲内の被計量物が順次、包装機3へ供給されて梱包される。この被計量物が梱包された物品は、機器間の搬送コンベヤ4、金属検出機5の搬送コンベヤ9、重量検査装置6の送り込みコンベヤ10及び計量コンベヤ11、振分装置7の振分コンベヤ12、機器間の搬送コンベヤ13上を順次搬送されて箱詰め装置8へ送られる。
【0032】
この図1(a)の場合、検査選別システムは、金属検出機5と重量検査装置6と振分装置7とによって構成されている。金属検出機5は、包装機2で包装され搬送コンベヤ9上に搬送されてきた物品に対し金属が混入されているか否かを検査する装置であり、金属検出機制御部51は金属の混入を検出した場合に不良品と判定して振分信号(不良品判定信号)S2を振分装置制御部71へ出力する。また、重量検査装置6は、包装機で包装された物品の重量が所定重量範囲内の重量であるか否かを検査する装置であり、重量検査装置制御部61は物品の重量が所定重量範囲内の重量ではない場合に不良品と判定して振分信号(不良品判定信号)S1を振分装置制御部71へ出力する。
【0033】
振分装置7では、金属検出機5及び重量検査装置6のいずれかで不良品と判定された物品に対しては、その物品を振分コンベヤ12上から排除して箱詰め装置8へは送らない。一方、金属検出機5及び重量検査装置6の両方で良品と判定された物品(不良品と判定されなかった物品)は、振分コンベヤ12から機器間搬送コンベヤ13を介して箱詰め装置8へ送られて箱詰めされる。
【0034】
次に、図1(b)に示す生産ラインは、充填機22へ充填物を供給する供給ライン21と、充填機22と、機器間の搬送コンベヤ24と、X線異物検出装置25と、重量検査装置6と、振分装置7と、機器間の搬送コンベヤ30と、箱詰め装置28とを備えている。
【0035】
充填物供給ライン21から供給される充填物は、充填機22によって所定重量範囲内の充填物が順次、容器等に充填される。この充填物が容器等に充填された物品は、機器間の搬送コンベヤ24、X線異物検出装置25の搬送コンベヤ29、重量検査装置6の送り込みコンベヤ10及び計量コンベヤ11、振分装置7の振分コンベヤ12、機器間の搬送コンベヤ30上を順次搬送されて箱詰め装置28へ送られる。
【0036】
この図1(b)の場合、検査選別システムは、X線異物検出装置25と重量検査装置6と振分装置7とによって構成されている。X線異物検出装置25は、充填機22で充填された充填物に対し異物が混入されているか否かを検査する装置であり、X線異物検出装置制御部251は異物の混入を検出した場合に不良品と判定して振分信号(不良品判定信号)S3を振分装置制御部71へ出力する。また、重量検査装置6は、充填機22で充填された充填物の重量が所定重量範囲内の重量であるか否かを検査する装置であり、重量検査装置制御部61は充填物の重量が所定重量範囲内の重量ではない場合に不良品と判定して振分信号(不良品判定信号)S1を振分装置制御部71へ出力する。
【0037】
振分装置7では、X線異物検出装置25及び重量検査装置6のいずれかで不良品と判定された物品に対しては、その物品を振分コンベヤ12上から排除して箱詰め装置28へは送らない。一方、X線異物検出装置25及び重量検査装置6の両方で良品と判定された物品(不良品と判定されなかった物品)は、振分コンベヤ12から機器間搬送コンベヤ13を介して箱詰め装置28へ送られて箱詰めされる。
【0038】
図2(a)は、本実施形態の検査選別システムを構成する重量検査装置及び振分装置の一例を側方から視た構成を示す概略模式図であり、図2(b)は、同重量検査装置及び振分装置の一例を上方から視た構成を示す概略模式図である。
【0039】
重量検査装置6は、電装品収納ボックス6Bと、送り込みコンベヤ10と、ロードセル等からなる重量センサ65により支持された計量コンベヤ11と、警報装置64とを備えている。各コンベヤ10,11は、モータによって駆動されるベルトコンベヤである。電装品収納ボックス6Bには、その前面の上部に操作表示器60が嵌め込まれるようにして取り付けられ、その内部に重量検査装置制御部61、異常検出回路62及びコンベヤ駆動回路63等が収納され、電装品収納ボックス6Bの上に例えば警報ランプを用いた警報装置64が設けられている。ここで、送り込みコンベヤ10及び計量コンベヤ11は第1の搬送手段であり、重量センサ65は検査実施手段である。
【0040】
送り込みコンベヤ10は、金属検出機5(図1(a)の場合)あるいはX線異物検出装置25(図1(b)の場合)から順次搬送されてくる物品Wを受け取り、計量コンベヤ11へ移送する。計量コンベヤ11は、送り込みコンベヤ10によって搬送されてくる物品を受け取り、振分装置7の振分コンベヤ12へ移送する。物品が計量コンベヤ11上の所定位置に移送されてきたときに重量センサ65によって物品の重量が計量され、この重量センサ65の計量信号は重量検査装置制御部61へ入力される。
【0041】
重量検査装置制御部61は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成され、CPU61aと、RAM及びCPUの実行プログラム等が記憶されたROM等を有するメモリ61bとを有している。そして、CPU61aがメモリ61bから実行プログラムを読み出して実行することにより重量検査装置6の主要動作の制御を行う。この制御部61では、重量センサ65によって計量された物品の重量が、予め設定された所定重量範囲内であると良品と判定し、所定重量範囲外であれば不良品と判定し、不良品と判定した場合に振分信号S1を振分装置制御部71へ送信する。また、制御部61は、コンベヤ駆動回路63を介して送り込みコンベヤ10及び計量コンベヤ11の駆動及び停止の制御を行う。
【0042】
操作表示器60は、例えばタッチパネルディスプレイ等を用いて構成され、重量検査装置6の運転開始や運転停止等の操作等を行うための入力手段と、物品の重量値、集計データ等をスクリーンに表示する表示手段とを備えている。また、重量検査装置制御部61は、操作表示器60からの信号を入力するとともに、操作表示器60へそのスクリーンに表示するデータ等の信号を出力する。
【0043】
次に、振分装置7は、電装品収納ボックス7Bと、第2の搬送手段である振分コンベヤ12と、振分アーム74(74a、74b)とを備えている。振分コンベヤ12は、モータによって駆動されるベルトコンベヤである。電装品収納ボックス7Bには、振分装置制御部71、振分コンベヤ駆動回路72及び振分アーム駆動回路73等が収納されている。
【0044】
振分装置制御部71は、振分コンベヤ駆動回路72を介して振分コンベヤ12の駆動及び停止の制御を行い、振分アーム駆動回路73を介して振分アーム74a、74bの動作を制御する。一方の振分アーム74aを矢印aのように回動させることにより、振分コンベヤ12上の物品が重量不良品バスケットAに振り分けられ、他方の振分アーム74bを矢印bのように回動させることにより、振分コンベヤ12上の物品が異物混入不良品バスケットBに振り分けられる。
【0045】
図1(a)の場合、振分装置制御部71は、金属検出機制御部51からの振分信号S2に基づいて金属検出機制御部51で不良品と判定された物品を異物混入不良品バスケットBに振り分け、それ以外の物品の中で、重量検査装置制御部61からの振分信号S1に基づいて重量検査装置制御部61で不良品と判定された物品を重量不良品バスケットAに振り分けるように、振分アーム74a、74bを制御する。したがって、金属検出機5及び重量検査装置6のいずれにおいても良品と判定された物品が、振分コンベヤ12を通過して箱詰め装置8へ搬送される。
【0046】
また、図1(b)の場合、振分装置制御部71は、X線異物検出装置制御部251からの振分信号S3に基づいてX線異物検出装置制御部251で不良品と判定された物品を異物混入不良品バスケットBに振り分け、それ以外の物品の中で、重量検査装置制御部61からの振分信号S1に基づいて重量検査装置制御部61で不良品と判定された物品を重量不良品バスケットAに振り分けるように、振分アーム74a、74bを制御する。したがって、X線異物検出装置制御部251及び重量検査装置6のいずれにおいても良品と判定された物品が、振分コンベヤ12を通過して箱詰め装置28へ搬送される。
【0047】
なお、重量検査装置6、金属検出機5、X異物検出装置25及び振分装置7のそれぞれの装置には、搬送されてきた物品を検出する物品検出センサ(図示せず)が備えられており、各装置の制御部では、物品検出センサからの検出信号に基づいて、各装置に搬送されてきた物品が何番目の物品であるかを判断するように構成されている。そして、重量検査装置6、金属検出機5及びX異物検出装置25の各検査装置の制御部が振分装置制御部71へ振分信号を送出するとき、その振分信号に対応する物品が運転開始から何番目の物品であるかという情報(物品特定情報)とともに送出するように構成されている。この情報に基づいて、振分装置制御部71では、振分信号に対応する物品を識別するように構成されている。
【0048】
また、本実施形態では、重量検査装置6、金属検出機5及びX異物検出装置25の各検査装置の制御部では、不良品と判定したときのみ、検査結果として振分信号(不良品判定信号)を振分装置制御部71へ送出するようにしているが、良品と判定したときの検査結果、すなわち良品判定信号も運転開始から何番目の物品であるかという物品特定情報とともに振分装置制御部71へ送出するようにしてもよい。但し、振分装置制御部71は、良品判定信号に対応する物品に対して振分アーム74a、74bを動作させることはない。
【0049】
図3は、本実施形態における重量検査装置6及び振分装置7の主要部分を示すブロック図である。また、図4は、本実施形態における重量検査装置6の主要な信号等のタイミングチャートである。
【0050】
本実施形態では、重量検査装置6の電源が投入された後、操作者が操作表示器60を用いて重量検査装置6の運転開始操作を行うと、重量検査装置制御部61は、重量検査装置6の運転(動作)を開始し、重量検査装置6の運転中に操作者が操作表示器60を用いて重量検査装置6の運転停止操作を行うと、重量検査装置制御部61は、重量検査装置6の運転(動作)を停止する。
【0051】
重量検査装置制御部61は、前述の運転開始操作が行われると、コンベヤ駆動回路63へコンベヤ駆動開始信号Dbを出力し、コンベヤ10,11を駆動させる。また、前述の運転停止操作が行われると、コンベヤ駆動回路63へコンベヤ駆動停止信号Dsを出力し、コンベヤ10,11の駆動を停止させる。また、重量検査装置制御部61は、コンベヤ10,11の駆動を開始してから停止するまでの間(コンベヤ駆動開始信号Dbを出力してからコンベヤ駆動停止信号Dsを出力するまでの間)、コンベヤ10,11を駆動中であることを示すコンベヤ駆動中信号Dmを異常検出回路62へ出力するとともに、一定周期T1のパルス信号Pを異常検出回路62へ出力するように構成されている。
【0052】
重量検査装置6の運転中に、重量検査装置制御部61のCPU61aが暴走すると、検査不能状態となり、振分信号S1が出力されなくなる。また、コンベヤ駆動中信号Dmは出力された状態のままとなり、パルス信号Pが出力されなくなる。そこで、異常検出回路62では、コンベヤ駆動中信号Dmが入力されているときに、パルス信号Pが所定時間T2(>T1)以上入力されなくなると、重量検査装置制御部61が異常であると判定し、コンベヤ駆動回路63を停止させることによりコンベヤ10,11の駆動を停止させるとともに、警報装置64を作動させることにより警報ランプを点灯させ、作業者等に重量検査装置6の異常を報知するように構成されている。
【0053】
なお、ここでは、重量検査装置制御部61がコンベヤ駆動開始信号Dbとコンベヤ駆動停止信号Dsを出力し、コンベヤ駆動回路63では、コンベヤ駆動開始信号Dbを入力してからコンベヤ駆動停止信号Dsを入力するまでの間、コンベヤ10,11を駆動させるようにしているが、重量検査装置制御部61が、重量検査装置6の運転開始操作が行われてから運転停止操作が行われるまでの間、コンベヤ駆動信号を出力するようにし、コンベヤ駆動回路63では、コンベヤ駆動信号を入力している間、コンベヤ10,11を駆動させるように構成してもよい。この場合、コンベヤ駆動信号は、図4のコンベヤ駆動中信号Dmと同様の信号波形となる。
【0054】
上記では、検査選別システムを構成する検査装置の一例として、重量検査装置6について説明したが、他の検査装置、例えば金属検出機5やX線異物検出装置25についても検査機能は異なるが、検査装置のブロック構成は、図3に示す重量検査装置6と同様であり、その検査装置の制御部(51、251)、コンベヤ駆動回路、異常検出回路及び警報装置を有し、これらの間の関係も図3に示す重量検査装置6の場合と同様である。また、金属検出機5及びX線異物検出装置25のいずれの検査装置も、重量検査装置6の操作表示器60と同様、その検査装置の運転開始や運転停止等の操作等を行うための入力手段及び表示手段として機能する操作表示器を備えている。
【0055】
金属検出機5は、その詳細は図示しないが、例えば、サーチコイルの中空部分を貫通するように搬送コンベヤ9が配設され、サーチコイルは、その内部に、送信コイル及び2つの受信コイルが略矩形に巻かれた状態で収納された公知の構成を有している。ここで、搬送コンベヤ9は第1の搬送手段であり、サーチコイルは検査実施手段である。
【0056】
金属検出機制御部51は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成され、CPUと、RAM及びCPUの実行プログラム等が記憶されたROM等を有するメモリとを有している。そして、CPUがメモリから実行プログラムを読み出して実行することにより金属検出機5の主要動作の制御を行う。この金属検出機制御部51は、送信コイルに高周波電流を流したときに、2つの受信コイルに誘起される電圧の差を検出信号として取り出し、その検出信号に基づいて物品に金属が含まれているか否かを判定し、金属が含まれない場合はその物品を良品とし、含まれる場合には不良品として処理する。そして、金属検出機制御部51は、不良品と判定した場合に振分信号S2を振分装置制御部71へ出力する。また、金属検出機制御部51は、コンベヤ駆動回路を介して搬送コンベヤ9の駆動及び停止の制御を行う。また、前述のように金属検出機制御部51に対する異常検出回路及び警報装置が重量検査装置6の場合と同様に設けられ、異常検出回路は金属検出機制御部51が異常であるときに、例えばコンベヤ駆動回路を停止させることにより搬送コンベヤ9の駆動を停止させるとともに、警報装置を作動させることにより警報ランプを点灯させる。
【0057】
また、X線異物検出装置25は、その詳細は図示しないが、例えば、X線発生装置とX線ラインセンサとを搬送コンベヤ29を挟んで対向して配置した公知の構成を有している。ここで、搬送コンベヤ29は第1の搬送手段であり、X線発生装置及びX線ラインセンサは検査実施手段である。
【0058】
X線ラインセンサは、搬送コンベヤ29で搬送されてくる物品の撮像を行い、X線画像処理部は前記撮像した透過X線画像を処理して、透過X線画像データを生成する。また、画像データは異物検出判定部に入力され、異物検出判定部では、物品に異物が含まれるか否かの判定を行い、異物が含まれない場合はその物品を良品とし、含まれる場合には不良品として処理する。
【0059】
X線異物検出装置制御部251は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成され、CPUと、RAM及びCPUの実行プログラム等が記憶されたROM等を有するメモリとを有している。そして、CPUがメモリから実行プログラムを読み出して実行することによりX線異物検出装置25の主要動作の制御を行う。このX線異物検出装置制御部251は、上記のX線画像処理部及び異物検出判定部としても機能し、不良品と判定した場合に振分信号S3を振分装置制御部71へ出力する。また、X線異物検出装置制御部251は、コンベヤ駆動回路を介して搬送コンベヤ29の駆動及び停止の制御を行う。また、前述のようにX線異物検出装置制御部251に対する異常検出回路及び警報装置が重量検査装置6の場合と同様に設けられ、異常検出回路はX線異物検出装置制御部251が異常であるときに、例えばコンベヤ駆動回路を停止させることにより搬送コンベヤ29の駆動を停止させるとともに、警報装置を作動させることにより警報ランプを点灯させる。
【0060】
図5は、重量検査装置6において異常検出回路62をプログラマブルコントローラ(以下、「PLC」と記す)621で構成した場合の一例を示す図である。
【0061】
図5において、重量検査装置制御部61とPLC621とコンベヤ駆動回路63及び警報装置64とは、異なる電源電圧が供給されるように構成されている。そのため、重量検査装置制御部61は第1の電源電圧が印加される電源ラインL1,L2間に接続され、PLC621は第2の電源電圧が印加される電源ラインL3,L4間に接続され、コンベヤ駆動回路63及び警報装置64はそれぞれPLC621を介して第3の電源電圧が印加される電源ラインL5,L6間に接続されている。
【0062】
また、重量検査装置制御部61とPLC621間において、パルス信号Pの授受は、発光素子D1及び受光素子T1からなるフォトカプラPC1を用いて行われるように構成され、コンベヤ駆動中信号Dmの授受も、発光素子D2及び受光素子T2からなるフォトカプラPC2を用いて行われるように構成されている。フォトカプラPC1、PC2を用いることにより、異なる電源電圧によって動作する
コンベヤ駆動回路63は、PLC621によって実現される仮想限時復帰接点Tbiを介して電源ラインL5に接続されている。また、警報装置64は、PLC621によって実現される仮想限時動作接点Taiを介して電源ラインL5に接続されている。
【0063】
なお、この図5では、重量検査装置制御部61とコンベヤ駆動回路63との間において、コンベヤ駆動開始信号Db及びコンベヤ駆動停止信号Dsが入出力される構成については図示していないが、例えば重量検査装置制御部61とPLC621との間のコンベヤ駆動中信号Dmやパルス信号Pの場合と同様、フォトカプラを用いて入出力されるように構成すればよい。
【0064】
PLC621は、コンベヤ駆動中信号Dmが入力されているときに、周期T1で入力されるべきはずのパルス信号Pが所定時間T2(>T1)の間、入力されなくなると、仮想限時復帰接点Tbiをオフにするとともに、仮想限時動作接点Taiをオンにする。仮想限時復帰接点Tbiをオフにすることによりコンベヤ駆動回路63への電源電圧の供給ラインを遮断して、コンベヤ10,11の駆動を停止(強制停止)させる。また、仮想限時動作接点Taiをオンにすることにより警報装置64へ電源電圧を供給して警報ランプを点灯させる。
【0065】
本実施形態では、重量検査装置6を運転中に、何らかの原因によって重量検査装置制御部61のCPUが暴走した場合、重量検査装置6の検査機能が働かず、振分信号S1が出力されなくなる。また、この場合、パルス信号Pも出力されなくなり、コンベヤ駆動中信号Dmは出力されたままの状態となる。パルス信号Pが所定時間T2(>T1)の間、出力されないと、異常検出回路62(例えばPLC621)によってコンベヤ10,11の駆動が停止されるので、不良品であるかもしれない未検査物品が下流側の装置へ搬送されることがなくなる。そのため、再検査が必要である物品を特定することができ、再検査を行う物品数を低減することができ、再検査に要する手間を大幅に軽減することができる。また、異常検出回路62(例えばPLC621)によって警報装置64が作動することによって、作業者に重量検査装置制御部61が異常であることを知らせることができる。
【0066】
なお、コンベヤ駆動中信号Dmを異常検出回路62へ入力するようにしているのは、コンベヤ駆動中信号Dmが入力されないとき、言い換えればコンベヤ10、11が駆動されていないとき、すなわち重量検査装置6が運転中ではないときに警報装置64を作動させないようにするためである。図3において、異常検出回路62を、コンベヤ駆動中信号Dmの入力の有無にかかわらず、パルス信号Pが所定時間T2(>T1)以上入力されなくなると、重量検査装置制御部61が異常であると判定するように構成した場合には、運転中ではないとき、例えば、図4において、運転停止の後に、2点鎖線αで示すように警報装置64が作動してしまうからであり、これを防止するためにコンベヤ駆動中信号Dmを異常検出回路62へ入力するようにしている。
【0067】
なお、重量検査装置6が運転中ではないときに警報装置64を作動させないようにできれば、他の構成を用いてもよい。例えば、警報装置64と電源ラインL6との間に挿入されたスイッチを設け、操作表示器60を用いて運転開始操作を行うことにより重量検査装置制御部61の制御によって上記スイッチをオンし、運転停止操作を行うことにより重量検査装置制御部61の制御によって上記スイッチをオフするように構成してもよい。あるいは、上記スイッチを、コンベヤ駆動中信号Dmによって制御し、コンベヤ駆動中信号Dmが出力されているときにオンし、出力されていないときにオフするように構成してもよい。
【0068】
したがって、上記他の構成によって重量検査装置6が運転中ではないときに警報装置64を作動させないようにした場合や警報装置64を設けない場合には、コンベヤ駆動中信号Dmを異常検出回路62へ入力しないように構成することができる。この場合の一例を図6に示す。図6は、重量検査装置6において、警報装置64を設けず、異常検出回路62をタイマ622で構成した場合の一例を示す図である。
【0069】
図6において、重量検査装置制御部61とタイマ622とコンベヤ駆動回路63とは、異なる電源電圧が供給されるように構成され、タイマ622は電源ラインL3,L4間に接続されている。また、電源ラインL5,L6間に接続されるコンベヤ駆動回路63は、タイマ622の限時復帰接点Tbを介して電源ラインL5に接続されている。その他、図5と同様のものには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
タイマ622は、重量検査装置6の運転中に重量検査装置制御部61から一定周期T1で出力されるパルス信号Pをリセット信号として入力するように構成されている。タイマ622は、パルス信号Pが入力されるとリセットされ、周期T1より長い所定時間T2をタイムアップ時間とし、この所定時間T2の間、パルス信号Pが入力されないと、タイムアップ信号を出力し、限時復帰接点Tbをオフにする。これにより、コンベヤ駆動回路63によって駆動されているコンベヤ10,11を停止(強制停止)させることできる。
【0071】
なお、タイマ622及び限時復帰接点Tbの機能をPLCによって実現するように構成してもよい。
【0072】
また、警報装置64を設ける場合には、タイマ622のタイムアップ信号を用いて、警報装置64を作動させるように構成することができる。但し、前述のように、重量検査装置6が運転中ではないときには警報装置64を作動させないように構成する。
【0073】
以上のように、異常検出回路62は、PLC621やタイマ622を用いて構成してもよいし、電子回路基板を用いて製作した専用の回路を用いて構成しても安価なものになる。なお、金属検出機5の異常検出回路及びX線異物検出装置25の異常検出回路も同様にして構成することができる。
【0074】
上記実施形態では、異常検出回路62において重量検査装置制御部61が異常であると判定されたときに、その重量検査装置6のコンベヤ10,11を停止させるようにしたが、これに代えて、振分装置7において未検査物品を全て不良品として振り分けるように構成してもよい。この場合の一例を図7に示す。
【0075】
図7は、本発明の他の実施形態の検査選別システムを構成する重量検査装置6及び振分装置7の主要部分を示すブロック図であり、図3と同様のものには同一符号を付している。
【0076】
ここで、重量検査装置6以外の他の検査装置、例えば金属検出機5やX線異物検出装置25についても検査機能は異なるが、検査装置のブロック構成は、図7に示す重量検査装置6と同様であり、その検査装置の制御部(51、251)、コンベヤ駆動回路、異常検出回路及び警報装置を有し、これらの間の関係も図7に示す重量検査装置6の場合と同様である。
【0077】
この図7の場合、重量検査装置6の異常検出回路62は、コンベヤ駆動中信号Dmが入力されているときに、パルス信号Pがパルス周期T1より長い所定時間T2以上入力されなくなると重量検査装置制御部61が異常であると判定し、振分装置制御部71へ異常検出信号E1を出力するとともに、図3の場合と同様、警報装置64を作動させる。
【0078】
ここで、図1(a)の生産ラインにおいて、金属検出機5の異常検出回路も図7に示す重量検査装置6の異常検出回路62と同様に構成されていてもよく、その場合、金属検出機制御部51が異常であると判定すると、振分装置制御部71へ異常検出信号E2を出力するとともに、警報装置を作動させる。この場合、振分装置制御部71では、金属検出機5の異常検出回路からの異常検出信号E2が入力されると、振分コンベヤ12へ搬送されてくる全ての物品を異物混入不良品バスケットBへ排出させるように振分アーム駆動回路73を制御する。また、金属検出機5からの異常検出信号E2の入力がなく、重量検査装置6からの異常検出信号E1が入力されると、振分コンベヤ12へ搬送されてくる全ての物品を重量不良品バスケットAへ排出させるように振分アーム駆動回路73を制御する。この場合、振分コンベヤ12へ搬送されてくる物品のうち、金属検出機5からの振分信号S2に対応する物品があればその物品については異物混入不良品バスケットBへ排出させるように構成してもよい。
【0079】
また、図1(b)の生産ラインにおいて、X線異物検出装置25の異常検出回路も図7に示す重量検査装置6の異常検出回路62と同様に構成されていてもよく、その場合、X線異物検出装置制御部251が異常であると判定すると、振分装置制御部71へ異常検出信号E3を出力するとともに、警報装置を作動させる。この場合、振分装置制御部71では、X線異物検出装置25の異常検出回路からの異常検出信号E3が入力されると、振分コンベヤ12へ搬送されてくる全ての物品を異物混入不良品バスケットBへ排出させるように振分アーム駆動回路73を制御する。また、X線異物検出装置25からの異常検出信号E3の入力がなく、重量検査装置6からの異常検出信号E1が入力されると、振分コンベヤ12へ搬送されてくる全ての物品を重量不良品バスケットAへ排出させるように振分アーム駆動回路73を制御する。この場合、振分コンベヤ12へ搬送されてくる物品のうち、X線異物検出装置25からの振分信号S3に対応する物品があればその物品については異物混入不良品バスケットBへ排出させるように構成してもよい。
【0080】
上記に述べた他の実施形態では、不良品であるかもしれない未検査物品が振分装置7より下流側の装置へ搬送されるのを防止することができる。そのため、再検査が必要である物品を特定することができ、再検査を行う物品数を低減することができ、再検査に要する手間を大幅に軽減することができる。また、再検査を行う物品を、バスケットA,Bに集めることができる。
【0081】
なお、上記説明したいずれの実施形態においても、制御部の異常が検出された検査装置よりも上流側(前段)の装置を停止させるように構成することが好ましい。例えば、図1(a)の生産ラインの場合、重量検査装置6の異常検出回路62が重量検査装置制御部61の異常を検出したときに、異常検出回路62が重量検査装置6より上流側の装置の制御部(金属検出機制御部51、包装機3の制御部、組合せ秤2の制御部等)へ異常検出信号を送信し、この異常検出信号を受信した装置の制御部は、その装置の動作を停止させるように構成されている。同様に、金属検出機5の異常検出回路が金属検出機制御部51の異常を検出したときには、異常検出回路が金属検出機5より上流側の装置の制御部(包装機3の制御部、組合せ秤2の制御部等)へ異常検出信号を送信し、この異常検出信号を受信した装置の制御部は、その装置の動作を停止させるように構成されている。これにより、異常が検出された検査装置へ物品が搬送されてくるのを防止できる。
【0082】
また、図3のように、制御部の異常が検出された検査装置において、そのコンベヤを停止させるように構成した場合において、同検査装置の異常検出回路が異常を検出したときに上流側の装置へ異常検出信号を送信しても上流側の装置は異常検出信号を受信して即座にその動作を停止させることができない場合がある。その場合、上流側の装置へ異常検出信号を送信した後も上流側の装置から物品が搬送されてくるので、同検査装置の異常検出回路を、制御部の異常を検出(判定)したときに振分装置制御部71へ異常検出信号を出力するように構成するとともに、制御部の異常を検出してから所定時間(tx)経過後に同検査装置のコンベヤを停止させるように構成し、振分装置制御部71に上記異常検出信号が入力されると、図7の場合と同様に振分装置7を動作させるようにしてもよい。これにより、所定時間(tx)の間に同検査装置のコンベヤを通過して振分装置7に搬送されてくる未検査物品を、振分装置7より下流側の装置へ搬送しないでバスケットA,Bに集めることができる。上記所定時間(tx)は、上流側の装置へ異常検出信号を送信してから上流側の装置が停止し上流側の装置からの物品が同検査装置のコンベヤへ搬送されてこなくなるまでに要する時間に設定すればよい。
【0083】
また、重量検査装置6、金属検出機5、X線異物検出装置25のそれぞれの警報装置を警報ランプを用いて構成したが警報ブザーを用いて構成してもよい。
【0084】
なお、上記実施形態では、図1(a)の場合、金属検出機5及び重量検査装置6の2つの検査装置と振分装置7とからなる検査選別システムを一例に挙げ、図1(b)の場合、X線異物検出装置25及び重量検査装置6の2つの検査装置と振分装置7とからなる検査選別システムを一例に挙げたが、検査選別システムは1つ以上の検査装置と同検査装置より下流側に配置される振分装置とから構成されていればよい。また、1つの生産ラインに検査選別システムが複数設けられていてもよい。
【0085】
例えば、図1(a)または図1(b)において、金属検出機5またはX線異物検出装置25の下流側(後段)に第1の振分装置を配置してこれらによって第1の検査選別システムを構成し、重量検査装置6と振分装置(第2の振分装置)7とで第2の検査選別システムを構成するようにしてもよい。この場合、第1の振分装置は、振分アームを1個のみ有し、金属検出機5またはX線異物検出装置25から搬送されてくる物品のうち不良品と判定された物品を振分コンベヤ上から排除するように構成されている。また、重量検査装置6では、例えば、重量センサ65によって計量された物品の重量が、予め設定された所定重量範囲内であると良品と判定し、所定重量範囲の下限値未満であれば過少不良品と判定し、所定重量範囲の上限値を超えれば過量不良品と判定し、過少不良品と判定した場合には第1の振分信号を、過量不良品と判定した場合には第2の振分信号を振分装置制御部71へ送信するように構成され、振分装置7では、過少不良品と判定された物品を例えば不良品バスケットAに振り分け、過量不良品と判定された物品を例えば不良品バスケットBに振り分けるように、振分アーム74a、74bを制御するように構成されている。
【0086】
また、振分装置は、例えば振分コンベヤを長くして振分アームが3個以上設けられて3種類以上の不良品を振り分けるように構成されていてもよい。例えば、金属検出機5とX線異物検出装置25と重量検査装置6とが同一の生産ラインに配置され、それらの後段に例えば1つの振分装置を配置し、同振分装置が例えば3個の振分アーム(第1〜第3の振分アーム)を有する構成とし、第1の振分アームで金属検出機5で不良品と判定された物品を振り分け、第2の振分アームでX線異物検出装置25で不良品と判定された物品を振り分け、第3の振分アームで重量検査装置6で不良品と判定された物品を振り分けるように構成してもよい。
【0087】
以上のように、検査選別システムを構成する検査装置と振分装置の組合せは種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、検査装置の制御手段に不具合が生じ、検査が行われていない物品が下流側の装置へ搬送されるのを防止できる検査選別システム等として有用である。
【符号の説明】
【0089】
5 金属検出機
6 重量検査装置
7 振分装置
4,9〜13,23,24,29,30 コンベヤ
25 X線異物検出装置
51 金属検出機制御部
61 重量検査装置制御部
62 異常検出回路
63 コンベヤ駆動回路
64 警報装置
71 振分装置制御部
251 X線異物検出装置制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路を上流側から下流側へ搬送される物品に対して所定の検査を行い、その検査結果を出力する検査装置と、
前記検査装置より下流側に配置され、前記検査装置から出力される検査結果に基づいて不良品と判定された物品を前記搬送経路上から排除する振分装置とを備え、
前記検査装置は、
前記検査結果を出力するとともに所定信号を一定時間ごとに出力する制御手段と、
前記制御手段から出力される前記所定信号を入力し、前記一定時間より長い所定時間の間、前記所定信号が入力されないときに、前記制御手段が異常状態であることを検出する異常検出手段とを有するように構成され、
前記異常検出手段が前記制御手段の異常状態を検出したときに前記検査装置に存在する物品及び前記異常状態を検出後に前記検査装置に到達する物品である未検査物品を前記振分装置より下流側へ搬送しないように構成された、検査選別システム。
【請求項2】
上流側から下流側へ物品を搬送する搬送経路の一部を構成する第1の搬送手段と、
前記第1の搬送手段上を搬送される物品に対して所定の検査に対応する処理を実施するための検査実施手段と、
CPUを有し、前記検査実施手段の処理結果に基づいて前記物品が良品であるか不良品であるかを判定し、その判定結果を示す判定信号を出力するとともに、前記第1の搬送手段及び前記検査実施手段の動作の開始及び停止を制御し、前記第1の搬送手段及び前記検査実施手段の動作の開始制御をしてから停止制御をするまでの間、一定周期のパルス信号を出力することを、前記CPUが所定のプログラムを実行することにより行う制御手段と、
前記制御手段から出力される前記パルス信号を入力し、前記一定周期より長い所定時間の間、前記パルス信号が入力されないときに、前記制御手段が異常状態であることを検出する異常検出手段とを有する検査装置を備えるとともに、
前記第1の搬送手段より下流側に配置され、前記搬送経路の一部を構成する第2の搬送手段を有し、前記制御手段から出力される前記判定信号を入力し、前記第1の搬送手段から搬送されてくる物品のうち前記判定信号に基づいて不良品と判定された物品を前記第2の搬送手段上から排除するとともに他の物品を前記第2の搬送手段によって下流側へ搬送する振分装置を備え、
前記異常検出手段が前記制御手段の異常状態を検出したときに前記第1の搬送手段上に存在する物品及び前記異常状態を検出後に前記第1の搬送手段に到達する物品である未検査物品を前記振分装置より下流側へ搬送しないように構成された、検査選別システム。
【請求項3】
前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態を検出したときに前記第1の搬送手段の動作を強制停止させるように構成された、請求項2に記載の検査選別システム。
【請求項4】
前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態を検出したときに前記振分装置へ異常検出信号を出力するように構成されるとともに、前記制御手段の異常状態を検出してから所定時間経過後に前記第1の搬送手段の動作を強制停止させるように構成され、
前記振分装置は、前記異常検出手段からの前記異常検出信号を入力した後に搬送されてくる全ての物品を前記第2の搬送手段上から排除するように構成された、請求項2に記載の検査選別システム。
【請求項5】
前記第1の搬送手段の動作を強制停止させるために、前記第1の搬送手段へ電力供給を行う電路を遮断する手段が設けられた、請求項3または4に記載の検査選別システム。
【請求項6】
前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態を検出したときに前記振分装置へ異常検出信号を出力するように構成され、
前記振分装置は、前記異常検出手段からの前記異常検出信号を入力した後に搬送されてくる全ての物品を前記第2の搬送手段上から排除するように構成された、請求項2に記載の検査選別システム。
【請求項7】
前記異常検出手段が前記制御手段の異常状態を検出したときに警報を出力する警報手段をさらに備えた、請求項1〜6のいずれかに記載の検査選別システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1の搬送手段及び前記検査実施手段の動作の開始制御をしてから停止制御をするまでの間、前記第1の搬送手段が動作中であることを示す動作状態信号を、前記異常検出手段へ出力するように構成され、
前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態の検出を、前記制御手段から前記動作状態信号が入力されているときにのみ行うように構成され、
前記異常検出手段が前記制御手段の異常状態を検出したときに警報を出力する警報手段をさらに備えた、請求項2〜6のいずれかに記載の検査選別システム。
【請求項9】
前記異常検出手段は、前記制御手段の異常状態を検出したときに前記第1の搬送手段より上流側の装置の動作を停止させるために前記上流側の装置へ異常検出信号を出力するように構成された、請求項2〜6のいずれかに記載の検査選別システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−31200(P2011−31200A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181399(P2009−181399)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】