検知システムおよびその信号処理方法、プログラム
【課題】光源または光源に照射された被写体の状態を検知できることはもとより、撮像装置と光源の間の遮断物によって検知が行えない場合に、その遮断情報を検出することができ、時間的な要因に左右されず、目的の検出対象を高精度で検出することが可能な検知システムおよびその信号処理方法、プログラムを提供する。
【解決手段】演算部134の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定部136と、光源抽出判定部136の判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出部137と、遮断発生位置抽出部137の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント部138と、遮断発生数カウント部のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定部139と、を含む。
【解決手段】演算部134の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定部136と、光源抽出判定部136の判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出部137と、遮断発生位置抽出部137の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント部138と、遮断発生数カウント部のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定部139と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、撮像装置等を用いて被写体の状態を検知する検知システムおよびその信号処理方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1に示す夜間の防犯システム等に用いられる撮像装置が提案されている。
この撮像装置は、信号処理部を有し、光源を周波数100Hzまたは120Hz(電源に50Hzまたは60Hzの商用電源を用いた場合、光源はその倍の100Hzまたは120Hzでその明るさが変動する)より高い高周波で変調する。さらに、信号処理部はこの高周波変調信号を検出する検出部を有している。
ただし、この撮像装置はその変調周波数より高いフレームレートを持っている必要がある。
【0003】
ところで、一般に広く普及している撮像装置はNTSC(National Television Standards Committee)方式またはPAL(Phase Alternating Line)方式と呼ばれる規格が採用されている。
このような規格を採用した撮像装置はフレームレートが遅いため、たとえば特許文献1に示すような防犯システムの撮像装置として使用できない。
【0004】
そこで、光源または光源に照射された被写体の状態を検知でき、NTSC等の規格を採用した防犯システムに適用可能な検知システムが提案されている(特許文献2参照)。
この検知システムは、光源の周波数成分の被写体の状態を検知する。
【0005】
また、従来監視カメラシステムにおいて、移動物体の検知を行う手法として背景差分法やフレーム間差分法が知られている。
背景差分法では、たとえば屋内に固定されたカメラによって撮影された移動物体を含んでいない画像、すなわち背景画像を取得し、その背景画像とカメラによって撮影される動画像の各フレームとの比較から差分画像を求めることで移動物体の検知を行う。
フレーム間差分法では、カメラによって撮影される動画像の連続する2フレームft-1、ftの差分を求める。静止物体についてはフレーム間の差分が0となるため、この方法においても移動物体を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3019309号公報
【特許文献2】特開2008−141251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記検知システムでは、光源または光源に照射された被写体の検知において、撮像装置と光源の間の遮断物によって検知が行えない場合に、その遮断情報を検出することができない場合がある。
【0008】
また、背景差分法およびフレーム間差分法には以下に挙げるような問題点がある。
背景差分法では、たとえば撮影を行うカメラを屋外に設置した場合に、天候や日照等の時間的に変化する撮像画像によって背景を容易に決定することができない。
フレーム間差分法では、たとえばカメラの目前に物が置かれた場合その瞬間の差分は抽出されるが、その後フレーム間の差分は無くなるため検知が行えなくなる。このとき、カメラの撮像映像が目的とする映像かどうかの判定は困難であり、人によるカメラ映像の確認が必要となる。
【0009】
また、両方法に共通して、移動物体全てを検知するため特定の検知対象、たとえば人間を検知したいといった場合に、落ち葉や風で飛ばされたゴミ等の外乱を検出し誤検知に繋がることがある。
両方法では、画像中の差分を抽出するため、移動物体と背景の色や明るさが近い場合検知できないことがある。
そのため天候や日照等の時間的な要因に左右されず、目的の検出対象を高精度で検出し、それ以外の移動物体に対しては検知を行わない動体検知システムが求められている。
【0010】
本発明は、光源または光源に照射された被写体の状態を検知できることはもとより、撮像装置と光源の間の遮断物によって検知が行えない場合に、その遮断情報を検出することができ、時間的な要因に左右されず、目的の検出対象を高精度で検出することが可能な検知システムおよびその信号処理方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点の検知システムは、光源と、上記光源または上記光源によって照射された被写体を撮像する撮像装置と、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理部と、を有し、上記信号処理部は、上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出部と、検出可能な光源の位置を記憶する光源位置記憶部と、上記信号抽出部から所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、上記光源位置記憶部から取得した光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算部と、上記演算部の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定部と、上記光源抽出判定部の判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出部と、上記遮断発生位置抽出部の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント部と、上記遮断発生数カウント部のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定部と、を含む。
【0012】
本発明の第2の観点の検知システムの信号処理方法は、光源または上記光源によって照射された被写体を撮像装置で撮像し、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理ステップを有し、上記信号処理ステップは、上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出ステップと、上記信号抽出ステップから所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、あらかじめ取得した検出可能な光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算ステップと、上記演算ステップの演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定ステップと、上記光源抽出判定ステップの判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出ステップと、上記遮断発生位置抽出ステップの抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウントステップと、上記遮断発生数カウントステップのカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定ステップと、を含む。
【0013】
本発明の第3の観点は、光源または上記光源によって照射された被写体を撮像装置で撮像し、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理を有し、上記信号処理は、上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出処理と、上記信号抽出処理から所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、あらかじめ取得した検出可能な光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算処理と、上記演算処理の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定処理と、上記光源抽出判定ステップの判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出処理と、上記遮断発生位置抽出処理の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント処理と、上記遮断発生数カウント処理のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定処理と、を含む検知システムの信号処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光源または光源に照射された被写体の状態を検知できることはもとより、撮像装置と光源の間の遮断物によって検知が行えない場合に、その遮断情報を検出することができ、時間的な要因に左右されず、目的の検出対象を高精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る検知システムの構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る光源位置記憶部に記憶される光源位置と演算範囲を関連付けて示す図である。
【図3】被写体を含むカメラ(撮像装置)の撮像範囲の一例を示す図である。
【図4】カメラ(撮像装置)の基本構成を示す図である。
【図5】1画素あたりの撮像範囲IRNGと遮断発生数との関連から遮断物の情報を得る具体例を説明するための図である。
【図6】遮断の位置情報による判定について説明するための撮像映像の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るCCDの構造を説明するための一例を示す図である。
【図8】図7のCCDの時系列を説明するための図である。
【図9】単板補色フィルタ型CCDの画素の一配列例を示す図である。
【図10】奇数フィールドOFDと偶数フィールドEFDにおける色信号の組み合わせの一例を示す図である。
【図11】本実施形態に係る第1の演算部および第2の演算部における輝度信号の信号処理法を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】光源に含まれる周波数成分についての波形W6を示す図である。
【図13】デューティー比Dと2乗和SACBDとの関係の一例を示す図である。
【図14】本実施形態に係る検知システムの一連の動作概要を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に関連づけて説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る検知システムの構成例を示す図である。
【0018】
本検知システム10は、光源11、撮像装置12、および信号処理部13を有する。
本実施形態において、撮像装置12は、撮像装置の走査面周期の所定倍で変化する光源またはその光源によって照射された被写体(以下光源に含む)を撮像する。
信号処理部13は、撮像装置12から取得した出力信号を処理し、光源11を安定して検知している状況において検知が行えなかった時に、光源11と撮像装置12の間の領域に移動物体が侵入したことを検知する。このとき光源11は複数個あってもよい。
【0019】
光源11は、所定の輝度で被写体を照明する。光源11の輝度は可変であり、撮像装置12が有する撮像素子の電荷蓄積時間内の輝度が、撮像装置12のフィールド周期の4n倍周期で変化する。ここで、n=1、2、3、…である。
【0020】
本実施形態に係る検知システム10で使用する撮像装置12は、以下のような仕様の撮像装置を採用している。
本撮像装置12を構成する撮像素子は一例として、単板補色フィルタ、フィールド蓄積型インターライン転送CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ(以後、単にCCDと記述する)を用いる。
また、一例として撮像装置12のテレビジョン方式はNTSC方式、走査方式はインターレースを採用し、走査周波数は水平周波数が15.734KHzで垂直周波数は59.94Hzである。
このような構成の撮像装置12は、光源11によって照明された被写体を撮像し、撮像して得られた撮像信号を信号処理部13の輝度信号抽出部に出力する。
【0021】
信号処理部13は、輝度信号抽出部131、第1の演算部(A)132、第2の演算部(B)133、演算処理部(時間平均2乗和演算処理部)134、および光源位置記憶部135、光源抽出判定部136を含む。
さらに、信号処理部13は、遮断発生位置抽出部137、遮断発生数カウント部138、遮断情報判定部139、判定テーブル部140、および出力部141を含んで構成されている。
【0022】
信号処理部13の輝度信号抽出部131は、入力された信号から輝度信号を抽出し、この輝度信号を第1の演算部132および第2の演算部133に出力する。
輝度信号抽出部133により抽出される輝度信号は、演算に最適化された信号レベルに調節される。
その信号レベルは、第1の演算部132、第2の演算部133、演算処理部134の出力値においてオーバーフローしない信号レベルである必要がある。そのため、輝度信号抽出部131は、輝度信号レベルを調整する回路を含む。
輝度信号レベルの調整値はいくつかのモードがある場合には、モード切り替えが可能なテーブルをもっていてもかまわない。そのモードはNTSCやPALなどの映像信号規格、撮像装置の周波数モードであってもよい。
【0023】
第1の演算部132は、入力された輝度信号を撮像素子の同一領域において、m番目と(m+2)番目のフィールドにおける輝度信号のレベル差の時間平均を求める。
この第1の演算部132の出力結果Aは、演算処理部134に出力される。
第2の演算部133は、入力された輝度信号の同一領域において、(m+1)番目と(m+3)番目のフィールドにおける輝度信号のレベル差の時間平均を求める。
この第2の演算部133の出力結果Bは、演算処理部134に出力される。
なお、この第1の演算部132と第2の演算部133の動作の詳細については後述する。
【0024】
第1の演算部132と第2の演算部133からそれぞれ出力される出力結果Aと出力結果Bは演算処理部134に入力される。
演算処理部134は、光源位置記憶部135から取得した光源11の位置において演算を行って、被写体の周数成分の検出値を求める。
演算処理部134は出力結果の検出値としての2乗和の値(A2+B2)を求め、その結果を光源抽出判定部136に出力する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る光源位置記憶部135に記憶される光源位置と演算範囲を関連付けて示す図である。
光源位置記憶部135は、図2に示すように、安定検出されている光源11−1,11−2の位置が記憶されている。
演算処理部134は、その位置情報で形成される座標情報等に指定される演算範囲RNG1、RNG2で上記した演算処理を行う。
演算範囲RNG1は、{(Xs1,Ys1)−(Xe1,Ye1)}で与えられる。
演算範囲RNG2は、{(Xs2,Ys2)−(Xe2,Ye2)}で与えられる。
【0026】
光源抽出判定部136は、演算処理部134の演算結果から、閾値での判定により光源を抽出しているか否かの判定を行い、判定結果を遮断発生位置抽出部137に出力する。
このとき、光源11と撮像装置12の間に遮断物が存在すると、その演算結果は0に近い値を取り光源11が抽出されていないものと判定される。
【0027】
遮断発生位置抽出部137は、光源抽出判定部136の判定結果から光源11が抽出されていない、すなわち遮断が発生していると判定された位置を検出し、検出結果を遮断発生数カウント部138に出力する。
【0028】
遮断発生数カウント部138は、遮断が発生した回数をカウントし、カウント値を遮断情報判定部139に出力する。
ここで発生数とは映像信号におけるフレーム数のことであり、遮断が発生したフレームの枚数をカウントする。
具体的には、たとえばNTSCではフレームレートが30FPSと規定されており、1秒間の遮断であれば30回、0.5秒の間遮断されれば15回カウントされる。
【0029】
遮断情報判定部139は、遮断発生位置抽出部137および遮断発生数カウント部138での結果から、判定テーブル部140のテーブルを参照して遮断物に関する情報を抽出し判定を行う。
【0030】
ここで遮断物に関する情報の抽出に関連して、撮像装置12であるカメラで撮像された移動物体の幅や速度、カメラとの距離といった移動物体の情報と、カメラの映像における画素との関係について説明する。
以下の説明では、撮像装置12をカメラとして説明する。
【0031】
[移動物体の情報と、カメラの映像における画素との関係]
まず、カメラと被写体、およびその構成や設置に関連する各パラメータを図3および図4に示すように定義する。
図3は、被写体OBJを含むカメラ(撮像装置)12の撮像範囲の一例を示す図である。
図4は、カメラ(撮像装置)12の基本構成を示す図である。
【0032】
図3に示すように、撮像範囲IRNGは(幅W×高さH)の大きさであり、1画素当たりの撮像範囲PRNGは(幅Wpixel×高さHpixel)の大きさである。
カメラ(撮像装置)12は、レンズ121およびイメージセンサ(固体撮像素子)122を有する。レンズ121から被写体OBJまでの距離はL、レンズ121の焦点距離はfに設定される。
イメージセンサ122は、センサ幅はWIS、センサ高さはHIS、画素配列(横)はarrayW、画素配列(縦)はarrayHに設定される。
単位はarrayW、arrayHについては(dot)、その他は(m)であるものとする。
【0033】
各パラメータの相関は式(1)、(2)のように表わされる。
【0034】
【数1】
【0035】
また、1画素あたりの撮像範囲IRNGは式(3)、(4)で表わされる。
【0036】
【数2】
【0037】
以上のことから、式(3)、(4)と先に述べた遮断発生数との関連から遮断物の情報を得ることができる。
【0038】
その具体例を図5に関連付けて説明する。
図5は、1画素あたりの撮像範囲IRNGと遮断発生数との関連から遮断物の情報を得る具体例を説明するための図である。
【0039】
まず、カメラ(撮像装置)12と光源11の間を移動物体MOBJが通過した場合、光源11が完全に遮断されそれが検知されるには次に挙げる条件が必要となる。
第1は、移動物体MOBJはカメラ(撮像装置)12で撮像された映像中にて、光源11の検知範囲Mnよりも大きいことである。
第2は、移動物体MOBJの速度vは、規定のフレームレートにおいて最低1フレーム光源を遮断する速度であることである。
【0040】
たとえば今、フレームレート30(FPS)のカメラ12によって撮像された映像中で光源11が検知されており、その範囲は[n(dot)×m(dot)](x軸方向×y軸方向)となっているものとする。
このとき、幅b(m)の移動物体が速度v(m/s)でx軸方向に移動し光源11とカメラ12の間を横切るものとすると、その遮断発生数は次のようになる。まず、幅bを画素数に変換すると、次のようになる。
【0041】
【数3】
【0042】
また、速度vについても画素およびフレームでの値に変換すると、次にようになる。
【0043】
【数4】
【0044】
このとき、光源11が完全に遮断されるには上記条件から次のようになる
【0045】
【数5】
【0046】
また、このときカウントされる遮断発生数Iは、次式で与えられる。
【0047】
【数6】
【0048】
これらは、y軸方向についても同様である。
【0049】
以上のことから遮断情報判定部139は、まずその遮断発生数Iにより検知対象が目的の移動物体MOBJかどうかの判定を行う。
たとえば今、人の通過を検知する場合を考える。
カメラ12と光源11の幅は10(m)とし、光源は[20(dot)×20(dot)]で認識されており、その他各パラメータは次に示すとおりであるとする。
【0050】
【数7】
【0051】
今、人が光源11の直前を通過したものとすると、その時の遮断発生数Iは次式で与えられる。
【0052】
【数8】
【0053】
このときの速度vと遮断発生数Iの関係は表1に示すようになる。
【0054】
【表1】
【0055】
人の歩行速度は4(km/h)=1.1(m/s)程度とされており、このとき最低4フレームの遮断が検出される。
このような速度vと遮断発生数Iの関連からこれらの値をテーブルとして、自分が目的とする速度vで移動する人をその遮断発生数Iから検知することができる。
【0056】
[遮断の位置情報による判定]
次に、遮断の位置情報による判定について説明する。
図6は、遮断の位置情報による判定について説明するための撮像映像の一例を示す図である。
【0057】
まず、光源11とカメラ(撮像装置)12の設置において、光源11の形状や位置、個数は撮像映像中において任意である。
今、撮像映像が図6のようになっているものとする。
【0058】
光源11は移動物体MOBJである人の胸と膝のあたりに設置されており、人がこの間を通過すると光源11−1と11−3もしくは光源11−2と11−4の縦方向の2つの光源が同時に遮断されるように配置されている。
このとき、木の葉LVSが落ちてきたとすると、その大きさから2つ同時に遮断されることはない。
また、小動物SAMが通過した場合に、その設置高さから光源11−1および11−2が遮断されることはない。
また、光源11は各々について認識されているため、小動物SAMが光源11−3の前に停滞し光源を遮断し続けていた場合に木の葉LVSが光源11−1を遮断した場合にも、その遮断が発生したタイミングや遮断発生数Iの違いから人かどうかの判定が可能である。
また、カメラ12の前に物が置かれたり、カメラ12に布が被せられた場合に多数の光源11が遮断され続けるため、目的とする映像かどうかの判定が可能である。また、隣り合う光源11の遮断発生のタイミングから、人が通過した場合の移動方向も検知することができる。
【0059】
これらの処理においては、一つの光源11であってもその形状、たとえば光源11−2と11−4を繋げた縦長の光源等でも実現できるため、その個数は複数に限定されない。これらの項目においてそれぞれ判定テーブルを用いることで検知の精度を向上させることができる。
【0060】
以上のことから遮断情報判定部139は、遮断発生位置および遮断発生数Iを基に移動物体検知の判定を行う。
【0061】
出力部141は、遮断情報判定部139の判定結果からその情報を出力する。その出力はLEDの点灯であったり、ディスプレイへの表示等形式は問わない。
【0062】
以上の結果より、以下の効果を得ることができる。
光源11を認識しその遮断を検知するため、天候や日照などの時間的変化に左右されない。
光源11とカメラ(撮像装置)12の間に常駐する遮断物が発生した場合、常に遮断判定が出されるため目的の映像が撮像されているかどうかリアルタイムで判定可能である。
遮断発生数のカウント、またカメラと光源の設置方法により目的とする検知対象と落ち葉やゴミといった外乱との区別ができる。
点滅光源の周波数を検知しているため、移動物体の色や明るさに左右されずに検知を行うことができる。
【0063】
次に、本実施形態に係る検知システムの他の構成および機能について詳細に説明する。
はじめに、本実施形態に係る撮像装置12のCCDの構成について説明する。
【0064】
図7は、本実施形態に係るCCDの構造を説明するための一例を示す図である。
【0065】
図7のCCD20はインターライン転送で、フォトダイオードPD21、垂直転送CCD22、水平転送CCD23、増幅器24を有する。
フォトダイオードPD21は、マトリクス状に配列されている。垂直ライン方向に配列されるフォトダイオードPD21は、列ごとにそれぞれ電荷を転送するための垂直転送CCD22に接続されている。各垂直転送CCD22の端部は、電荷を増幅部に転送する水平転送CCD23にそれぞれ接続されている。また、水平転送CCD23の出力側には増幅器24が接続されている。
【0066】
映像の走査方式はインターレースであり、一画面は飛び越し走査で、奇数フィールドと偶数フィールドとで構成される。
まず、光がフォトダイオードPD21に入射し、電荷蓄積時間にフォトダイオードPD21で電荷が蓄積されていく。この間、フォトダイオードPD21と垂直転送CCD22間は遮断されている。
電荷蓄積時間が終了すると、フォトダイオードPD21と垂直転送CCD22間が導通し、蓄積された電荷が垂直転送CCD22に転送される。この直後に、フォトダイオードPD21と垂直転送CCD22間は遮断され、フォトダイオードPD21で次の電荷蓄積が開始する。垂直転送CCD22に転送された電荷は、1水平ライン毎に水平転送CCD23に転送され、増幅器24に入力される。
この1水平ライン毎に、電荷が垂直転送CCD22から水平転送CCD23へ転送されるまでの周波数は、CCD20の水平走査周波数15.734KHzで行われる。垂直転送CCD22のすべての電荷が水平転送CCD23に転送されると、再び垂直転送CCD22とフォトダイオードPD21間が導通し、フォトダイオードPD21の電荷が垂直転送CCD22に移される。フィールド蓄積CCDの場合、光電変換によってフォトダイオードPD21で電荷が蓄積され、この電荷がフォトダイオードPD21から垂直転送CCD22へ転送されるまでの転送周波数は、59.94Hzとなる。
【0067】
図8は、図7のCCD20の時系列を説明するための図である。
【0068】
図8に示すように、光電変換によってフォトダイオードPD21で電荷が蓄積されるまでの所要時間をΔT1とし、この電荷がフォトダイオードPD21から垂直転送CCD22へ転送されるまでの所要時間をΔT2とする。
図8から分かるように、CCD20に入射した光エネルギーは、電荷蓄積時間ΔT1の間積分されながら、電荷蓄積周期ΔT=ΔT1+ΔT2=(1/59.94)秒でサンプリングされていることになる。
【0069】
さて、図1に示すように、撮像装置12によって撮像された撮像画像の信号は輝度信号抽出部131で輝度信号が抽出され、この輝度信号は、第1の演算部132および第2の演算部133に入力される。
ここで、本実施例に係るCCD20(図7を参照)からの画素の読み出し方法について説明する。
【0070】
図9は、単板補色フィルタ型CCDの画素の一配列例を示す図である。
また、図10は、奇数フィールドOFDと偶数フィールドEFDにおける色信号の組み合わせの一例を示す図である。
【0071】
画素のカラーフィルタは、Ye(イエロ)、Cy(シアン)、Mg(マジェンタ)、G(グリーン)で構成され、図9に示すような配列になっている。画素の読み出しは、上下の画素を加算して読み出される。この加算する組み合わせは、奇数フィールドOFDと偶数フィールドEFDで、1列ずれる。具体的には、奇数フィールドOFDのnラインでは、(C11+C21)、(C12+C22)、(C13+C23)、(C14+C24)、(C15+C25)、…のようになる。また、偶数フィールドEFDのnラインでは、(C21+C31)、(C22+C32)、(C23+C33)、(C24+C34)、(C25+C35)、…のようになる。
したがって、図10に示すような奇数フィールドOFD、偶数フィールドEFDで色信号が出力される。
いずれも、2画素周期で同一のYe、Cy、Mg、Gの組み合わせの色パターンが繰り返されている。
つまり言い換えると、色信号は2画素周期以上の周波数に重畳して現れる。よって、この色信号を、2画素周期を遮断周波数とするローパスフィルタに通せば、色信号は失われ、輝度信号のみが得られる。
したがって、輝度情報は2画素周期でサンプリングされることになる。
【0072】
図9の円形で図示される投影領域REGは、光源による被写体の映像が投影されている様子を示している。なお、画素C35、C36、C45、C46、C55、C56は完全に投影領域REGにはいっており、均一に光が照射されているとする。
輝度情報は、奇数フィールドOFDでは、水平ライン(n+1)のC35、C36、C45、C46の組み合わせに、偶数フィールドEFDでは、水平ラインの(n+1)ラインのC45、C46、C55、C56の組み合わせによって読み出しされる。
【0073】
以上に述べたようにして、撮像装置12からの信号のうち輝度信号が第1の演算部132および第2の演算部133に入力される。この輝度信号は、第1の演算部132および第2の演算部133に入力されて所定の処理が行われる。
【0074】
次に、第1の演算部132および第2の演算部133で行われる輝度信号の処理方法について図11に関連付けて説明する。
【0075】
図11は、本実施形態に係る第1の演算部132および第2の演算部133における輝度信号の信号処理法を説明するためのタイミングチャートである。
【0076】
図11(A)は、撮像装置121のインターライン走査を示す図で、偶数フィールドEFDもしくは奇数フィールドOFDのいずれかの状態を示す。図11(B)〜(E)はそれぞれ、演算部で処理される輝度信号レベルの時間変化を表す波形W1、W2、W3、W4を示し、図11(F)は一定周期で変化する正弦波の波形W5を示す図である。
なお、奇数フィールドOFDと偶数フィールドEFDとで1フレームの走査である。つまり、図11(A)に示すように、AとB、CとDで1フレームの走査である。
また、以降の説明において、fは周波数を、tは時刻を、θは位相差をそれぞれ示し、ωは(ω=2πf)を満たす。なお、πは円周率である。
【0077】
図11(B)、(C)に図示する波形W1と波形W2は、後で説明する波形W3と波形W4で示される波形の関数を導出するための波形である。
図11(D)に図示する波形W3は、Aのフィールドの輝度信号とCのフィールドの輝度信号との輝度レベルの差をレベル差ACとした時の、レベル差ACを求める関数の時間発展分布を示す。
また、図11(E)に図示する波形W4は、Bのフィールドの輝度信号とDのフィールドの輝度信号との輝度レベルの差をレベル差BDとした時の、レベル差BDを求める関数の時間発展分布を示す。
なお、波形W3は、波形W1と波形W2から導出され、波形W1と波形W2を足して2で割ったものである。また、波形W4は波形W1と波形W2から導出され、波形W2から波形W1を引いて2で割ったものである。
【0078】
このとき、レベル差ACの第1の時間平均である時間平均SACは図1に示す第1の演算部132で算出される。また、レベル差BDの第2の時間平均である時間平均SBDは第2の演算部133で算出される。
具体的には、時間平均SACは、C35、C36、C45、C46の組み合わせによるAフィールドとCフィールドとの輝度レベル差ACから算出される。
同様に、時間平均SBDは、C45、C46、C55、C56の組み合わせによるBフィールドとDフィールドとのレベル差BDから算出される。
【0079】
その時間平均の算出方法について述べる。
AフィールドとCフィールドとのレベル差ACの時間平均SACは、波形W1に、図11(D)に示す波形W3を掛けてこの時間平均SACを計算する。
また同様に、BフィールドとDフィールドとのレベル差BDの時間平均SBDは、C45、C46、C55、C56の組み合わせによる画素に照射される光の時間変化を表す波形に、図11(E)に示す波形W4を掛けてこの時間平均SBDを計算する。
【0080】
はじめに、時間平均SACの算出方法について具体的に説明する。
波形W3を数式で表す。まず、波形W1、波形W2は以下のようなフーリエ級数で表せる。
【0081】
【数9】
【0082】
ここで、波形W1とW2は同一周期f2を有するものとする。(9)式と(10)式より、波形W3は(12)式のように表せる。
【0083】
【数10】
【0084】
ところで、図11(F)に図示する周期f1を有する波形W5は(13)式のような正弦波で表せる。
【0085】
【数11】
【0086】
(12)式によって表される波形W3に(13)式で表せる正弦波W5を掛けると(15)式となる。
【0087】
【数12】
【0088】
次に、時刻0から時刻Tまでにおける(15)式の時間平均をとる。(15)式の右辺に示す各項の内、時間tを含む項は交流信号であるから、その時間平均は0である。
したがって、(ω1−(2n−1)ω2=0)である時のみ、定数cosθ1と定数sinθ1が残り、時間平均SACは(15)式のようになる。
【0089】
【数13】
【0090】
このようにして、時間平均SACが第1の演算部132にて求まる。時間平均SBDも同様にして第2の演算部133にて求められ、(17)式で表される。
【0091】
【数14】
【0092】
さて、(16)式と(17)式で表される時間平均SACとSBDとの2乗和(SAC2+SBD2)は(18)式で表される。
【0093】
【数15】
【0094】
この(18)式より、CCD20(図7を参照)に入射される光に(f1=(2n−1)f2)なる周波数成分が含まれているとき、(18)式で表される波形の成分が検出される。
【0095】
次に、光源11に含まれる周波数成分について考察する。
図12は、光源11に含まれる周波数成分についての波形W6を示す図である。なお、光源11は、周波数f3で時間τの間、輝度レベルL1で発光している。
【0096】
この波形W6をフーリエ級数に展開する。波形W6は、周期(T3=1/f3)の周期関数であり、(ω3=2πf3)とすると、(19)式のようにフーリエ級数の一般式で表される。
【0097】
【数16】
【0098】
(19)式の各係数a0、an、bnは波形W6より(20)〜(22)式のように求まる。
【0099】
【数17】
【0100】
したがって、波形W6のフーリエ級数は、(23)式で表される。
【0101】
【数18】
【0102】
よって、光源11の点滅周期をフィールド周期の4倍にした時、すなわち(f3=f2)である時、(15)式と(23)式より奇数項で周波数が一致し、時間平均SACとSBDの2乗和は(24)式のようになる。
【0103】
【数19】
【0104】
光源11の点灯のデューティー比をDとすると(25)式で表される。
【0105】
【数20】
【0106】
よって、(24)式で表される時間平均SACとSBDとの2乗和SACBDは、(25)式を用いると(26)式のようになる。
【0107】
【数21】
【0108】
ところで、以下に示す(26)式の右辺の項(27)は収束する。
【0109】
【数22】
【0110】
この(26)式の右辺の項(27)は、デューティー比Dに対し、表2のような値をとる。以下に、表2を示す。
【0111】
【表2】
【0112】
表2に基づいて、横軸にデューティー比Dをとり、縦軸に時間平均SACとSBDとの2乗和SACBDをとると、デューティー比Dと2乗和SACBDとの関係は図13に示すようになる。
【0113】
図13より、2乗和SACBDはデューティー比D=0.5で最大となることが分かる。
したがって、(26)式で表される2乗和SACBDは、次式のようになる。
【0114】
[数23]
SAC2+SBD2=0.08333L12 …(28)
【0115】
(28)式に示すように、演算処理部134は光源11(図1を参照)の輝度を検出し、この検出結果(2乗和SACBD)は光源抽出判定部136にて光源を抽出処理の判定に用いられる。
【0116】
本実施形態に係る光源11は特定の光源に依存しない。そこで、他の光源についても輝度を検出できるかについて考察する。
光源として広く使われている白熱電球と蛍光燈は、電源周波数50Hzの地域で100Hz、60Hzの地域で120Hzである。NTSC方式のテレビジョンのフィールド周波数は59.94Hz、パーソナルコンピュータに使用されるモニタのフィールド周波数は、ちらつきがないように60Hz以上である。
【0117】
NTSC方式のテレビジョンのフィールド周波数は59.94Hzであり、その1/4倍周期で光源を発光させるとすると、輝度レベル差の周波数f2は次式のようになる。
【0118】
[数24]
f2=59.94/4=14.985Hz …(29)
【0119】
(15)式と(23)式より、周波数f2の奇数倍と光源11の周波数f3の整数倍が一致したときに信号成分が検出される。
【0120】
表3は、異なる光源の発光周波数と輝度信号レベルの差における周波数との関係を示す値の表である。
【0121】
【表3】
【0122】
表3のf1は(13)式の正弦波の有する周波数で、f2は(29)式に示す周波数で、f3はそれぞれ、光源11の周波数、50Hz地域での照明の周波数、60Hz地域での照明の周波数、NTSC方式のテレビジョンのフィールド周波数、パーソナルコンピュータに使用されるモニタのフィールド周波数である。
表3によると、m=30まで、f3が100、120、59.94Hzであり、(n×f3=(2m−1)×f2)が成立するものはない。
【0123】
たとえばパーソナルコンピュータのモニタに関して、そのフィールド周波数が60Hz以上であるとすると、本検知システム10の信号処理出力に最も大きな出力が検出される可能性としては、74.925Hzでスキャンされているモニタが存在したときである。
すなわち、f3=74.925Hzの時であり、表2に示すように、(5×f2)、(15×f2)、(25×f2)…と(1×f3)、(3×f3)、(5×f3)…が一致する。この時検出される信号レベルは、次式で示される。
【0124】
【数25】
したがって、(30)式で示される信号レベルは光源11の1/25のレベルであり、図1に図示していない信号処理で別に除去できる。
【0125】
以上に述べたように、本検知システム10は、光源の発光周波数に依存せず、光源または光源に照射された被写体の状態を検知する。
【0126】
以下に、本実施形態に係る検知システムの一連の動作を図14に関連付けて説明する。
【0127】
図14は、本実施形態に係る検知システムの一連の動作概要を説明するためのフローチャート図である。
【0128】
たとえば、撮像装置12の電荷蓄積時間内の光源11の輝度を撮像装置12のフィールド周期の4n倍で変化させる(ST1)。
次に、撮像装置12からフィールド単位でnフィールド毎に輝度信号抽出部131で輝度信号を取得し(ST2)、この輝度信号を第1の演算部132と第2の演算部133に出力する。
ここで、検出位置が決定され(ST3)、第1の演算部132にて、m番目と(m+2)番目のフィールドの投影領域REGにおける輝度信号レベルのレベル差ACの時間平均SACを求める。また、第2の演算部133にて、(m+1)番目と(m+3)番目のフィールドの投影領域REGにおける輝度信号レベルのレベル差BDの時間平均SBDを求める(ST4)。
これら時間平均SACとSBDは演算処理部134に出力される。
次いで、演算処理部134にて時間平均SACとSBDの2乗和SACBDが求められ(ST5)、その結果が光源抽出判定部136に出力される。
【0129】
光源抽出判定部136においては、演算処理部134の演算結果から、閾値での判定により光源を抽出しているか否かの判定が行われ(ST6)、判定結果を遮断発生位置抽出部137に出力される。
このとき、光源11と撮像装置12の間に遮断物が存在すると、その演算結果は0に近い値を取り光源11が抽出されていないものと判定される。
ステップST6において、光源が抽出されていないと判定されると、遮断発生位置抽出部137において、光源抽出判定部136の判定結果から光源11が抽出されていない、すなわち遮断が発生していると判定された位置が検出され(ST7)、検出結果を遮断発生数カウント部138に出力される。
遮断発生数カウント部138においては、遮断が発生した回数がカウント(+1され)され(ST8)、カウント値が遮断情報判定部139に出力される。
ステップST6において、光源が抽出されていると判定されると、遮断発生位置抽出部137により遮断発生数カウント部138の遮断発生数Iがクリアされる(ST9)。
そして、遮断情報判定部139において、遮断発生位置抽出部137および遮断発生数カウント部138での結果から、判定テーブル部140のテーブルを参照して遮断物に関する情報が抽出され、判定が行われ(ST10)、判定結果が出力部141から出力される(ST11)。
【0130】
以上に説明したように、本実施形態によれば、撮像画像の背景ノイズを除去し、光源もしくは光源によって照射された被写体の状態を検出できる。
【0131】
光源を認識しその遮断を検知するため、天候や日照などの時間的変化に左右されない。
光源とカメラ(撮像装置)の間に常駐する遮断物が発生した場合、常に遮断判定が出されるため目的の映像が撮像されているかどうかリアルタイムで判定可能である。
遮断発生数のカウント、またカメラと光源の設置方法により目的とする検知対象と落ち葉やゴミといった外乱との区別ができる。
点滅光源の周波数を検知しているため、移動物体の色や明るさに左右されずに検知を行うことができる。
そして、本実施形態に係る検知システムによれば、カメラを用いた移動物体の検知において、天候や日照等の時間的要因に左右されず、非検知時に撮像状態の異常を検知することができ、目的の検知対象以外の外乱とを区別することができ、移動物体を高精度で検知することができる。
【0132】
さらに本検知システムは、複数の光源を使用し、信号を並列に信号処理部に伝送することができる。
あるいは、光源の色を複数設け、信号の波長多重伝送も可能である。
また、光源を適宜点滅させて信号を処理することも可能である。
【0133】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
【0134】
本第2の実施形態は、第1の実施形態に係るフィールド蓄積、インターレース型の撮像装置12をフレーム蓄積、インターレース型の撮像装置に置き換えたものである。また同時に、第1実施形態に係る光源11の輝度の変化周期をフィールド周期の4n倍からフレーム周期の4n倍に変更したものである。この変化周期の変更に伴い、輝度信号の取得もnフィールドごとから2nフィールドごとに輝度信号の取得周期を変更する。
このように、光源11の輝度の変化周期と輝度信号の取得周期を変更することで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
したがって、本実施形態によれば、撮像画像の背景ノイズを除去し、光源もしくは光源によって照射された被写体の状態を検出でき、被写体が複数存在する場合であっても被写体別に検知することができる。
【0135】
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。
【0136】
本第3の実施形態は、第1の実施形態に係るフィールド蓄積、インターレース走査型の撮像装置12をフレーム蓄積、ノンインターレース走査型の撮像装置に置き換えたものである。
このように、ノンインターレース走査の撮像装置を用いても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
したがって、本実施形態によれば、撮像画像の背景ノイズを除去し、光源もしくは光源によって照射された被写体の状態を検出でき、被写体が複数存在する場合であっても被写体別に検知することができる。
【0137】
なお、以上詳細に説明した方法は、上記手順に応じたプログラムとして形成し、CPU等のコンピュータで実行するように構成することも可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
【符号の説明】
【0138】
10・・・検知システム、11・・・光源、12・・・撮像装置、13・・・信号処理部、131・・・輝度信号抽出部、132・・・第1の演算部(A)、133・・・第2の演算部(B)、134・・・演算処理部(時間平均2乗和演算処理部)、135・・・光源位置記憶部、136・・・光源抽出判定部、137・・・遮断発生位置抽出部、138・・・遮断発生数カウント部、139・・・遮断情報判定部、140・・・判定テーブル部、141・・・出力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、撮像装置等を用いて被写体の状態を検知する検知システムおよびその信号処理方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1に示す夜間の防犯システム等に用いられる撮像装置が提案されている。
この撮像装置は、信号処理部を有し、光源を周波数100Hzまたは120Hz(電源に50Hzまたは60Hzの商用電源を用いた場合、光源はその倍の100Hzまたは120Hzでその明るさが変動する)より高い高周波で変調する。さらに、信号処理部はこの高周波変調信号を検出する検出部を有している。
ただし、この撮像装置はその変調周波数より高いフレームレートを持っている必要がある。
【0003】
ところで、一般に広く普及している撮像装置はNTSC(National Television Standards Committee)方式またはPAL(Phase Alternating Line)方式と呼ばれる規格が採用されている。
このような規格を採用した撮像装置はフレームレートが遅いため、たとえば特許文献1に示すような防犯システムの撮像装置として使用できない。
【0004】
そこで、光源または光源に照射された被写体の状態を検知でき、NTSC等の規格を採用した防犯システムに適用可能な検知システムが提案されている(特許文献2参照)。
この検知システムは、光源の周波数成分の被写体の状態を検知する。
【0005】
また、従来監視カメラシステムにおいて、移動物体の検知を行う手法として背景差分法やフレーム間差分法が知られている。
背景差分法では、たとえば屋内に固定されたカメラによって撮影された移動物体を含んでいない画像、すなわち背景画像を取得し、その背景画像とカメラによって撮影される動画像の各フレームとの比較から差分画像を求めることで移動物体の検知を行う。
フレーム間差分法では、カメラによって撮影される動画像の連続する2フレームft-1、ftの差分を求める。静止物体についてはフレーム間の差分が0となるため、この方法においても移動物体を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3019309号公報
【特許文献2】特開2008−141251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記検知システムでは、光源または光源に照射された被写体の検知において、撮像装置と光源の間の遮断物によって検知が行えない場合に、その遮断情報を検出することができない場合がある。
【0008】
また、背景差分法およびフレーム間差分法には以下に挙げるような問題点がある。
背景差分法では、たとえば撮影を行うカメラを屋外に設置した場合に、天候や日照等の時間的に変化する撮像画像によって背景を容易に決定することができない。
フレーム間差分法では、たとえばカメラの目前に物が置かれた場合その瞬間の差分は抽出されるが、その後フレーム間の差分は無くなるため検知が行えなくなる。このとき、カメラの撮像映像が目的とする映像かどうかの判定は困難であり、人によるカメラ映像の確認が必要となる。
【0009】
また、両方法に共通して、移動物体全てを検知するため特定の検知対象、たとえば人間を検知したいといった場合に、落ち葉や風で飛ばされたゴミ等の外乱を検出し誤検知に繋がることがある。
両方法では、画像中の差分を抽出するため、移動物体と背景の色や明るさが近い場合検知できないことがある。
そのため天候や日照等の時間的な要因に左右されず、目的の検出対象を高精度で検出し、それ以外の移動物体に対しては検知を行わない動体検知システムが求められている。
【0010】
本発明は、光源または光源に照射された被写体の状態を検知できることはもとより、撮像装置と光源の間の遮断物によって検知が行えない場合に、その遮断情報を検出することができ、時間的な要因に左右されず、目的の検出対象を高精度で検出することが可能な検知システムおよびその信号処理方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点の検知システムは、光源と、上記光源または上記光源によって照射された被写体を撮像する撮像装置と、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理部と、を有し、上記信号処理部は、上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出部と、検出可能な光源の位置を記憶する光源位置記憶部と、上記信号抽出部から所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、上記光源位置記憶部から取得した光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算部と、上記演算部の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定部と、上記光源抽出判定部の判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出部と、上記遮断発生位置抽出部の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント部と、上記遮断発生数カウント部のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定部と、を含む。
【0012】
本発明の第2の観点の検知システムの信号処理方法は、光源または上記光源によって照射された被写体を撮像装置で撮像し、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理ステップを有し、上記信号処理ステップは、上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出ステップと、上記信号抽出ステップから所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、あらかじめ取得した検出可能な光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算ステップと、上記演算ステップの演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定ステップと、上記光源抽出判定ステップの判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出ステップと、上記遮断発生位置抽出ステップの抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウントステップと、上記遮断発生数カウントステップのカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定ステップと、を含む。
【0013】
本発明の第3の観点は、光源または上記光源によって照射された被写体を撮像装置で撮像し、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理を有し、上記信号処理は、上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出処理と、上記信号抽出処理から所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、あらかじめ取得した検出可能な光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算処理と、上記演算処理の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定処理と、上記光源抽出判定ステップの判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出処理と、上記遮断発生位置抽出処理の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント処理と、上記遮断発生数カウント処理のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定処理と、を含む検知システムの信号処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光源または光源に照射された被写体の状態を検知できることはもとより、撮像装置と光源の間の遮断物によって検知が行えない場合に、その遮断情報を検出することができ、時間的な要因に左右されず、目的の検出対象を高精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る検知システムの構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る光源位置記憶部に記憶される光源位置と演算範囲を関連付けて示す図である。
【図3】被写体を含むカメラ(撮像装置)の撮像範囲の一例を示す図である。
【図4】カメラ(撮像装置)の基本構成を示す図である。
【図5】1画素あたりの撮像範囲IRNGと遮断発生数との関連から遮断物の情報を得る具体例を説明するための図である。
【図6】遮断の位置情報による判定について説明するための撮像映像の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るCCDの構造を説明するための一例を示す図である。
【図8】図7のCCDの時系列を説明するための図である。
【図9】単板補色フィルタ型CCDの画素の一配列例を示す図である。
【図10】奇数フィールドOFDと偶数フィールドEFDにおける色信号の組み合わせの一例を示す図である。
【図11】本実施形態に係る第1の演算部および第2の演算部における輝度信号の信号処理法を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】光源に含まれる周波数成分についての波形W6を示す図である。
【図13】デューティー比Dと2乗和SACBDとの関係の一例を示す図である。
【図14】本実施形態に係る検知システムの一連の動作概要を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に関連づけて説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る検知システムの構成例を示す図である。
【0018】
本検知システム10は、光源11、撮像装置12、および信号処理部13を有する。
本実施形態において、撮像装置12は、撮像装置の走査面周期の所定倍で変化する光源またはその光源によって照射された被写体(以下光源に含む)を撮像する。
信号処理部13は、撮像装置12から取得した出力信号を処理し、光源11を安定して検知している状況において検知が行えなかった時に、光源11と撮像装置12の間の領域に移動物体が侵入したことを検知する。このとき光源11は複数個あってもよい。
【0019】
光源11は、所定の輝度で被写体を照明する。光源11の輝度は可変であり、撮像装置12が有する撮像素子の電荷蓄積時間内の輝度が、撮像装置12のフィールド周期の4n倍周期で変化する。ここで、n=1、2、3、…である。
【0020】
本実施形態に係る検知システム10で使用する撮像装置12は、以下のような仕様の撮像装置を採用している。
本撮像装置12を構成する撮像素子は一例として、単板補色フィルタ、フィールド蓄積型インターライン転送CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ(以後、単にCCDと記述する)を用いる。
また、一例として撮像装置12のテレビジョン方式はNTSC方式、走査方式はインターレースを採用し、走査周波数は水平周波数が15.734KHzで垂直周波数は59.94Hzである。
このような構成の撮像装置12は、光源11によって照明された被写体を撮像し、撮像して得られた撮像信号を信号処理部13の輝度信号抽出部に出力する。
【0021】
信号処理部13は、輝度信号抽出部131、第1の演算部(A)132、第2の演算部(B)133、演算処理部(時間平均2乗和演算処理部)134、および光源位置記憶部135、光源抽出判定部136を含む。
さらに、信号処理部13は、遮断発生位置抽出部137、遮断発生数カウント部138、遮断情報判定部139、判定テーブル部140、および出力部141を含んで構成されている。
【0022】
信号処理部13の輝度信号抽出部131は、入力された信号から輝度信号を抽出し、この輝度信号を第1の演算部132および第2の演算部133に出力する。
輝度信号抽出部133により抽出される輝度信号は、演算に最適化された信号レベルに調節される。
その信号レベルは、第1の演算部132、第2の演算部133、演算処理部134の出力値においてオーバーフローしない信号レベルである必要がある。そのため、輝度信号抽出部131は、輝度信号レベルを調整する回路を含む。
輝度信号レベルの調整値はいくつかのモードがある場合には、モード切り替えが可能なテーブルをもっていてもかまわない。そのモードはNTSCやPALなどの映像信号規格、撮像装置の周波数モードであってもよい。
【0023】
第1の演算部132は、入力された輝度信号を撮像素子の同一領域において、m番目と(m+2)番目のフィールドにおける輝度信号のレベル差の時間平均を求める。
この第1の演算部132の出力結果Aは、演算処理部134に出力される。
第2の演算部133は、入力された輝度信号の同一領域において、(m+1)番目と(m+3)番目のフィールドにおける輝度信号のレベル差の時間平均を求める。
この第2の演算部133の出力結果Bは、演算処理部134に出力される。
なお、この第1の演算部132と第2の演算部133の動作の詳細については後述する。
【0024】
第1の演算部132と第2の演算部133からそれぞれ出力される出力結果Aと出力結果Bは演算処理部134に入力される。
演算処理部134は、光源位置記憶部135から取得した光源11の位置において演算を行って、被写体の周数成分の検出値を求める。
演算処理部134は出力結果の検出値としての2乗和の値(A2+B2)を求め、その結果を光源抽出判定部136に出力する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る光源位置記憶部135に記憶される光源位置と演算範囲を関連付けて示す図である。
光源位置記憶部135は、図2に示すように、安定検出されている光源11−1,11−2の位置が記憶されている。
演算処理部134は、その位置情報で形成される座標情報等に指定される演算範囲RNG1、RNG2で上記した演算処理を行う。
演算範囲RNG1は、{(Xs1,Ys1)−(Xe1,Ye1)}で与えられる。
演算範囲RNG2は、{(Xs2,Ys2)−(Xe2,Ye2)}で与えられる。
【0026】
光源抽出判定部136は、演算処理部134の演算結果から、閾値での判定により光源を抽出しているか否かの判定を行い、判定結果を遮断発生位置抽出部137に出力する。
このとき、光源11と撮像装置12の間に遮断物が存在すると、その演算結果は0に近い値を取り光源11が抽出されていないものと判定される。
【0027】
遮断発生位置抽出部137は、光源抽出判定部136の判定結果から光源11が抽出されていない、すなわち遮断が発生していると判定された位置を検出し、検出結果を遮断発生数カウント部138に出力する。
【0028】
遮断発生数カウント部138は、遮断が発生した回数をカウントし、カウント値を遮断情報判定部139に出力する。
ここで発生数とは映像信号におけるフレーム数のことであり、遮断が発生したフレームの枚数をカウントする。
具体的には、たとえばNTSCではフレームレートが30FPSと規定されており、1秒間の遮断であれば30回、0.5秒の間遮断されれば15回カウントされる。
【0029】
遮断情報判定部139は、遮断発生位置抽出部137および遮断発生数カウント部138での結果から、判定テーブル部140のテーブルを参照して遮断物に関する情報を抽出し判定を行う。
【0030】
ここで遮断物に関する情報の抽出に関連して、撮像装置12であるカメラで撮像された移動物体の幅や速度、カメラとの距離といった移動物体の情報と、カメラの映像における画素との関係について説明する。
以下の説明では、撮像装置12をカメラとして説明する。
【0031】
[移動物体の情報と、カメラの映像における画素との関係]
まず、カメラと被写体、およびその構成や設置に関連する各パラメータを図3および図4に示すように定義する。
図3は、被写体OBJを含むカメラ(撮像装置)12の撮像範囲の一例を示す図である。
図4は、カメラ(撮像装置)12の基本構成を示す図である。
【0032】
図3に示すように、撮像範囲IRNGは(幅W×高さH)の大きさであり、1画素当たりの撮像範囲PRNGは(幅Wpixel×高さHpixel)の大きさである。
カメラ(撮像装置)12は、レンズ121およびイメージセンサ(固体撮像素子)122を有する。レンズ121から被写体OBJまでの距離はL、レンズ121の焦点距離はfに設定される。
イメージセンサ122は、センサ幅はWIS、センサ高さはHIS、画素配列(横)はarrayW、画素配列(縦)はarrayHに設定される。
単位はarrayW、arrayHについては(dot)、その他は(m)であるものとする。
【0033】
各パラメータの相関は式(1)、(2)のように表わされる。
【0034】
【数1】
【0035】
また、1画素あたりの撮像範囲IRNGは式(3)、(4)で表わされる。
【0036】
【数2】
【0037】
以上のことから、式(3)、(4)と先に述べた遮断発生数との関連から遮断物の情報を得ることができる。
【0038】
その具体例を図5に関連付けて説明する。
図5は、1画素あたりの撮像範囲IRNGと遮断発生数との関連から遮断物の情報を得る具体例を説明するための図である。
【0039】
まず、カメラ(撮像装置)12と光源11の間を移動物体MOBJが通過した場合、光源11が完全に遮断されそれが検知されるには次に挙げる条件が必要となる。
第1は、移動物体MOBJはカメラ(撮像装置)12で撮像された映像中にて、光源11の検知範囲Mnよりも大きいことである。
第2は、移動物体MOBJの速度vは、規定のフレームレートにおいて最低1フレーム光源を遮断する速度であることである。
【0040】
たとえば今、フレームレート30(FPS)のカメラ12によって撮像された映像中で光源11が検知されており、その範囲は[n(dot)×m(dot)](x軸方向×y軸方向)となっているものとする。
このとき、幅b(m)の移動物体が速度v(m/s)でx軸方向に移動し光源11とカメラ12の間を横切るものとすると、その遮断発生数は次のようになる。まず、幅bを画素数に変換すると、次のようになる。
【0041】
【数3】
【0042】
また、速度vについても画素およびフレームでの値に変換すると、次にようになる。
【0043】
【数4】
【0044】
このとき、光源11が完全に遮断されるには上記条件から次のようになる
【0045】
【数5】
【0046】
また、このときカウントされる遮断発生数Iは、次式で与えられる。
【0047】
【数6】
【0048】
これらは、y軸方向についても同様である。
【0049】
以上のことから遮断情報判定部139は、まずその遮断発生数Iにより検知対象が目的の移動物体MOBJかどうかの判定を行う。
たとえば今、人の通過を検知する場合を考える。
カメラ12と光源11の幅は10(m)とし、光源は[20(dot)×20(dot)]で認識されており、その他各パラメータは次に示すとおりであるとする。
【0050】
【数7】
【0051】
今、人が光源11の直前を通過したものとすると、その時の遮断発生数Iは次式で与えられる。
【0052】
【数8】
【0053】
このときの速度vと遮断発生数Iの関係は表1に示すようになる。
【0054】
【表1】
【0055】
人の歩行速度は4(km/h)=1.1(m/s)程度とされており、このとき最低4フレームの遮断が検出される。
このような速度vと遮断発生数Iの関連からこれらの値をテーブルとして、自分が目的とする速度vで移動する人をその遮断発生数Iから検知することができる。
【0056】
[遮断の位置情報による判定]
次に、遮断の位置情報による判定について説明する。
図6は、遮断の位置情報による判定について説明するための撮像映像の一例を示す図である。
【0057】
まず、光源11とカメラ(撮像装置)12の設置において、光源11の形状や位置、個数は撮像映像中において任意である。
今、撮像映像が図6のようになっているものとする。
【0058】
光源11は移動物体MOBJである人の胸と膝のあたりに設置されており、人がこの間を通過すると光源11−1と11−3もしくは光源11−2と11−4の縦方向の2つの光源が同時に遮断されるように配置されている。
このとき、木の葉LVSが落ちてきたとすると、その大きさから2つ同時に遮断されることはない。
また、小動物SAMが通過した場合に、その設置高さから光源11−1および11−2が遮断されることはない。
また、光源11は各々について認識されているため、小動物SAMが光源11−3の前に停滞し光源を遮断し続けていた場合に木の葉LVSが光源11−1を遮断した場合にも、その遮断が発生したタイミングや遮断発生数Iの違いから人かどうかの判定が可能である。
また、カメラ12の前に物が置かれたり、カメラ12に布が被せられた場合に多数の光源11が遮断され続けるため、目的とする映像かどうかの判定が可能である。また、隣り合う光源11の遮断発生のタイミングから、人が通過した場合の移動方向も検知することができる。
【0059】
これらの処理においては、一つの光源11であってもその形状、たとえば光源11−2と11−4を繋げた縦長の光源等でも実現できるため、その個数は複数に限定されない。これらの項目においてそれぞれ判定テーブルを用いることで検知の精度を向上させることができる。
【0060】
以上のことから遮断情報判定部139は、遮断発生位置および遮断発生数Iを基に移動物体検知の判定を行う。
【0061】
出力部141は、遮断情報判定部139の判定結果からその情報を出力する。その出力はLEDの点灯であったり、ディスプレイへの表示等形式は問わない。
【0062】
以上の結果より、以下の効果を得ることができる。
光源11を認識しその遮断を検知するため、天候や日照などの時間的変化に左右されない。
光源11とカメラ(撮像装置)12の間に常駐する遮断物が発生した場合、常に遮断判定が出されるため目的の映像が撮像されているかどうかリアルタイムで判定可能である。
遮断発生数のカウント、またカメラと光源の設置方法により目的とする検知対象と落ち葉やゴミといった外乱との区別ができる。
点滅光源の周波数を検知しているため、移動物体の色や明るさに左右されずに検知を行うことができる。
【0063】
次に、本実施形態に係る検知システムの他の構成および機能について詳細に説明する。
はじめに、本実施形態に係る撮像装置12のCCDの構成について説明する。
【0064】
図7は、本実施形態に係るCCDの構造を説明するための一例を示す図である。
【0065】
図7のCCD20はインターライン転送で、フォトダイオードPD21、垂直転送CCD22、水平転送CCD23、増幅器24を有する。
フォトダイオードPD21は、マトリクス状に配列されている。垂直ライン方向に配列されるフォトダイオードPD21は、列ごとにそれぞれ電荷を転送するための垂直転送CCD22に接続されている。各垂直転送CCD22の端部は、電荷を増幅部に転送する水平転送CCD23にそれぞれ接続されている。また、水平転送CCD23の出力側には増幅器24が接続されている。
【0066】
映像の走査方式はインターレースであり、一画面は飛び越し走査で、奇数フィールドと偶数フィールドとで構成される。
まず、光がフォトダイオードPD21に入射し、電荷蓄積時間にフォトダイオードPD21で電荷が蓄積されていく。この間、フォトダイオードPD21と垂直転送CCD22間は遮断されている。
電荷蓄積時間が終了すると、フォトダイオードPD21と垂直転送CCD22間が導通し、蓄積された電荷が垂直転送CCD22に転送される。この直後に、フォトダイオードPD21と垂直転送CCD22間は遮断され、フォトダイオードPD21で次の電荷蓄積が開始する。垂直転送CCD22に転送された電荷は、1水平ライン毎に水平転送CCD23に転送され、増幅器24に入力される。
この1水平ライン毎に、電荷が垂直転送CCD22から水平転送CCD23へ転送されるまでの周波数は、CCD20の水平走査周波数15.734KHzで行われる。垂直転送CCD22のすべての電荷が水平転送CCD23に転送されると、再び垂直転送CCD22とフォトダイオードPD21間が導通し、フォトダイオードPD21の電荷が垂直転送CCD22に移される。フィールド蓄積CCDの場合、光電変換によってフォトダイオードPD21で電荷が蓄積され、この電荷がフォトダイオードPD21から垂直転送CCD22へ転送されるまでの転送周波数は、59.94Hzとなる。
【0067】
図8は、図7のCCD20の時系列を説明するための図である。
【0068】
図8に示すように、光電変換によってフォトダイオードPD21で電荷が蓄積されるまでの所要時間をΔT1とし、この電荷がフォトダイオードPD21から垂直転送CCD22へ転送されるまでの所要時間をΔT2とする。
図8から分かるように、CCD20に入射した光エネルギーは、電荷蓄積時間ΔT1の間積分されながら、電荷蓄積周期ΔT=ΔT1+ΔT2=(1/59.94)秒でサンプリングされていることになる。
【0069】
さて、図1に示すように、撮像装置12によって撮像された撮像画像の信号は輝度信号抽出部131で輝度信号が抽出され、この輝度信号は、第1の演算部132および第2の演算部133に入力される。
ここで、本実施例に係るCCD20(図7を参照)からの画素の読み出し方法について説明する。
【0070】
図9は、単板補色フィルタ型CCDの画素の一配列例を示す図である。
また、図10は、奇数フィールドOFDと偶数フィールドEFDにおける色信号の組み合わせの一例を示す図である。
【0071】
画素のカラーフィルタは、Ye(イエロ)、Cy(シアン)、Mg(マジェンタ)、G(グリーン)で構成され、図9に示すような配列になっている。画素の読み出しは、上下の画素を加算して読み出される。この加算する組み合わせは、奇数フィールドOFDと偶数フィールドEFDで、1列ずれる。具体的には、奇数フィールドOFDのnラインでは、(C11+C21)、(C12+C22)、(C13+C23)、(C14+C24)、(C15+C25)、…のようになる。また、偶数フィールドEFDのnラインでは、(C21+C31)、(C22+C32)、(C23+C33)、(C24+C34)、(C25+C35)、…のようになる。
したがって、図10に示すような奇数フィールドOFD、偶数フィールドEFDで色信号が出力される。
いずれも、2画素周期で同一のYe、Cy、Mg、Gの組み合わせの色パターンが繰り返されている。
つまり言い換えると、色信号は2画素周期以上の周波数に重畳して現れる。よって、この色信号を、2画素周期を遮断周波数とするローパスフィルタに通せば、色信号は失われ、輝度信号のみが得られる。
したがって、輝度情報は2画素周期でサンプリングされることになる。
【0072】
図9の円形で図示される投影領域REGは、光源による被写体の映像が投影されている様子を示している。なお、画素C35、C36、C45、C46、C55、C56は完全に投影領域REGにはいっており、均一に光が照射されているとする。
輝度情報は、奇数フィールドOFDでは、水平ライン(n+1)のC35、C36、C45、C46の組み合わせに、偶数フィールドEFDでは、水平ラインの(n+1)ラインのC45、C46、C55、C56の組み合わせによって読み出しされる。
【0073】
以上に述べたようにして、撮像装置12からの信号のうち輝度信号が第1の演算部132および第2の演算部133に入力される。この輝度信号は、第1の演算部132および第2の演算部133に入力されて所定の処理が行われる。
【0074】
次に、第1の演算部132および第2の演算部133で行われる輝度信号の処理方法について図11に関連付けて説明する。
【0075】
図11は、本実施形態に係る第1の演算部132および第2の演算部133における輝度信号の信号処理法を説明するためのタイミングチャートである。
【0076】
図11(A)は、撮像装置121のインターライン走査を示す図で、偶数フィールドEFDもしくは奇数フィールドOFDのいずれかの状態を示す。図11(B)〜(E)はそれぞれ、演算部で処理される輝度信号レベルの時間変化を表す波形W1、W2、W3、W4を示し、図11(F)は一定周期で変化する正弦波の波形W5を示す図である。
なお、奇数フィールドOFDと偶数フィールドEFDとで1フレームの走査である。つまり、図11(A)に示すように、AとB、CとDで1フレームの走査である。
また、以降の説明において、fは周波数を、tは時刻を、θは位相差をそれぞれ示し、ωは(ω=2πf)を満たす。なお、πは円周率である。
【0077】
図11(B)、(C)に図示する波形W1と波形W2は、後で説明する波形W3と波形W4で示される波形の関数を導出するための波形である。
図11(D)に図示する波形W3は、Aのフィールドの輝度信号とCのフィールドの輝度信号との輝度レベルの差をレベル差ACとした時の、レベル差ACを求める関数の時間発展分布を示す。
また、図11(E)に図示する波形W4は、Bのフィールドの輝度信号とDのフィールドの輝度信号との輝度レベルの差をレベル差BDとした時の、レベル差BDを求める関数の時間発展分布を示す。
なお、波形W3は、波形W1と波形W2から導出され、波形W1と波形W2を足して2で割ったものである。また、波形W4は波形W1と波形W2から導出され、波形W2から波形W1を引いて2で割ったものである。
【0078】
このとき、レベル差ACの第1の時間平均である時間平均SACは図1に示す第1の演算部132で算出される。また、レベル差BDの第2の時間平均である時間平均SBDは第2の演算部133で算出される。
具体的には、時間平均SACは、C35、C36、C45、C46の組み合わせによるAフィールドとCフィールドとの輝度レベル差ACから算出される。
同様に、時間平均SBDは、C45、C46、C55、C56の組み合わせによるBフィールドとDフィールドとのレベル差BDから算出される。
【0079】
その時間平均の算出方法について述べる。
AフィールドとCフィールドとのレベル差ACの時間平均SACは、波形W1に、図11(D)に示す波形W3を掛けてこの時間平均SACを計算する。
また同様に、BフィールドとDフィールドとのレベル差BDの時間平均SBDは、C45、C46、C55、C56の組み合わせによる画素に照射される光の時間変化を表す波形に、図11(E)に示す波形W4を掛けてこの時間平均SBDを計算する。
【0080】
はじめに、時間平均SACの算出方法について具体的に説明する。
波形W3を数式で表す。まず、波形W1、波形W2は以下のようなフーリエ級数で表せる。
【0081】
【数9】
【0082】
ここで、波形W1とW2は同一周期f2を有するものとする。(9)式と(10)式より、波形W3は(12)式のように表せる。
【0083】
【数10】
【0084】
ところで、図11(F)に図示する周期f1を有する波形W5は(13)式のような正弦波で表せる。
【0085】
【数11】
【0086】
(12)式によって表される波形W3に(13)式で表せる正弦波W5を掛けると(15)式となる。
【0087】
【数12】
【0088】
次に、時刻0から時刻Tまでにおける(15)式の時間平均をとる。(15)式の右辺に示す各項の内、時間tを含む項は交流信号であるから、その時間平均は0である。
したがって、(ω1−(2n−1)ω2=0)である時のみ、定数cosθ1と定数sinθ1が残り、時間平均SACは(15)式のようになる。
【0089】
【数13】
【0090】
このようにして、時間平均SACが第1の演算部132にて求まる。時間平均SBDも同様にして第2の演算部133にて求められ、(17)式で表される。
【0091】
【数14】
【0092】
さて、(16)式と(17)式で表される時間平均SACとSBDとの2乗和(SAC2+SBD2)は(18)式で表される。
【0093】
【数15】
【0094】
この(18)式より、CCD20(図7を参照)に入射される光に(f1=(2n−1)f2)なる周波数成分が含まれているとき、(18)式で表される波形の成分が検出される。
【0095】
次に、光源11に含まれる周波数成分について考察する。
図12は、光源11に含まれる周波数成分についての波形W6を示す図である。なお、光源11は、周波数f3で時間τの間、輝度レベルL1で発光している。
【0096】
この波形W6をフーリエ級数に展開する。波形W6は、周期(T3=1/f3)の周期関数であり、(ω3=2πf3)とすると、(19)式のようにフーリエ級数の一般式で表される。
【0097】
【数16】
【0098】
(19)式の各係数a0、an、bnは波形W6より(20)〜(22)式のように求まる。
【0099】
【数17】
【0100】
したがって、波形W6のフーリエ級数は、(23)式で表される。
【0101】
【数18】
【0102】
よって、光源11の点滅周期をフィールド周期の4倍にした時、すなわち(f3=f2)である時、(15)式と(23)式より奇数項で周波数が一致し、時間平均SACとSBDの2乗和は(24)式のようになる。
【0103】
【数19】
【0104】
光源11の点灯のデューティー比をDとすると(25)式で表される。
【0105】
【数20】
【0106】
よって、(24)式で表される時間平均SACとSBDとの2乗和SACBDは、(25)式を用いると(26)式のようになる。
【0107】
【数21】
【0108】
ところで、以下に示す(26)式の右辺の項(27)は収束する。
【0109】
【数22】
【0110】
この(26)式の右辺の項(27)は、デューティー比Dに対し、表2のような値をとる。以下に、表2を示す。
【0111】
【表2】
【0112】
表2に基づいて、横軸にデューティー比Dをとり、縦軸に時間平均SACとSBDとの2乗和SACBDをとると、デューティー比Dと2乗和SACBDとの関係は図13に示すようになる。
【0113】
図13より、2乗和SACBDはデューティー比D=0.5で最大となることが分かる。
したがって、(26)式で表される2乗和SACBDは、次式のようになる。
【0114】
[数23]
SAC2+SBD2=0.08333L12 …(28)
【0115】
(28)式に示すように、演算処理部134は光源11(図1を参照)の輝度を検出し、この検出結果(2乗和SACBD)は光源抽出判定部136にて光源を抽出処理の判定に用いられる。
【0116】
本実施形態に係る光源11は特定の光源に依存しない。そこで、他の光源についても輝度を検出できるかについて考察する。
光源として広く使われている白熱電球と蛍光燈は、電源周波数50Hzの地域で100Hz、60Hzの地域で120Hzである。NTSC方式のテレビジョンのフィールド周波数は59.94Hz、パーソナルコンピュータに使用されるモニタのフィールド周波数は、ちらつきがないように60Hz以上である。
【0117】
NTSC方式のテレビジョンのフィールド周波数は59.94Hzであり、その1/4倍周期で光源を発光させるとすると、輝度レベル差の周波数f2は次式のようになる。
【0118】
[数24]
f2=59.94/4=14.985Hz …(29)
【0119】
(15)式と(23)式より、周波数f2の奇数倍と光源11の周波数f3の整数倍が一致したときに信号成分が検出される。
【0120】
表3は、異なる光源の発光周波数と輝度信号レベルの差における周波数との関係を示す値の表である。
【0121】
【表3】
【0122】
表3のf1は(13)式の正弦波の有する周波数で、f2は(29)式に示す周波数で、f3はそれぞれ、光源11の周波数、50Hz地域での照明の周波数、60Hz地域での照明の周波数、NTSC方式のテレビジョンのフィールド周波数、パーソナルコンピュータに使用されるモニタのフィールド周波数である。
表3によると、m=30まで、f3が100、120、59.94Hzであり、(n×f3=(2m−1)×f2)が成立するものはない。
【0123】
たとえばパーソナルコンピュータのモニタに関して、そのフィールド周波数が60Hz以上であるとすると、本検知システム10の信号処理出力に最も大きな出力が検出される可能性としては、74.925Hzでスキャンされているモニタが存在したときである。
すなわち、f3=74.925Hzの時であり、表2に示すように、(5×f2)、(15×f2)、(25×f2)…と(1×f3)、(3×f3)、(5×f3)…が一致する。この時検出される信号レベルは、次式で示される。
【0124】
【数25】
したがって、(30)式で示される信号レベルは光源11の1/25のレベルであり、図1に図示していない信号処理で別に除去できる。
【0125】
以上に述べたように、本検知システム10は、光源の発光周波数に依存せず、光源または光源に照射された被写体の状態を検知する。
【0126】
以下に、本実施形態に係る検知システムの一連の動作を図14に関連付けて説明する。
【0127】
図14は、本実施形態に係る検知システムの一連の動作概要を説明するためのフローチャート図である。
【0128】
たとえば、撮像装置12の電荷蓄積時間内の光源11の輝度を撮像装置12のフィールド周期の4n倍で変化させる(ST1)。
次に、撮像装置12からフィールド単位でnフィールド毎に輝度信号抽出部131で輝度信号を取得し(ST2)、この輝度信号を第1の演算部132と第2の演算部133に出力する。
ここで、検出位置が決定され(ST3)、第1の演算部132にて、m番目と(m+2)番目のフィールドの投影領域REGにおける輝度信号レベルのレベル差ACの時間平均SACを求める。また、第2の演算部133にて、(m+1)番目と(m+3)番目のフィールドの投影領域REGにおける輝度信号レベルのレベル差BDの時間平均SBDを求める(ST4)。
これら時間平均SACとSBDは演算処理部134に出力される。
次いで、演算処理部134にて時間平均SACとSBDの2乗和SACBDが求められ(ST5)、その結果が光源抽出判定部136に出力される。
【0129】
光源抽出判定部136においては、演算処理部134の演算結果から、閾値での判定により光源を抽出しているか否かの判定が行われ(ST6)、判定結果を遮断発生位置抽出部137に出力される。
このとき、光源11と撮像装置12の間に遮断物が存在すると、その演算結果は0に近い値を取り光源11が抽出されていないものと判定される。
ステップST6において、光源が抽出されていないと判定されると、遮断発生位置抽出部137において、光源抽出判定部136の判定結果から光源11が抽出されていない、すなわち遮断が発生していると判定された位置が検出され(ST7)、検出結果を遮断発生数カウント部138に出力される。
遮断発生数カウント部138においては、遮断が発生した回数がカウント(+1され)され(ST8)、カウント値が遮断情報判定部139に出力される。
ステップST6において、光源が抽出されていると判定されると、遮断発生位置抽出部137により遮断発生数カウント部138の遮断発生数Iがクリアされる(ST9)。
そして、遮断情報判定部139において、遮断発生位置抽出部137および遮断発生数カウント部138での結果から、判定テーブル部140のテーブルを参照して遮断物に関する情報が抽出され、判定が行われ(ST10)、判定結果が出力部141から出力される(ST11)。
【0130】
以上に説明したように、本実施形態によれば、撮像画像の背景ノイズを除去し、光源もしくは光源によって照射された被写体の状態を検出できる。
【0131】
光源を認識しその遮断を検知するため、天候や日照などの時間的変化に左右されない。
光源とカメラ(撮像装置)の間に常駐する遮断物が発生した場合、常に遮断判定が出されるため目的の映像が撮像されているかどうかリアルタイムで判定可能である。
遮断発生数のカウント、またカメラと光源の設置方法により目的とする検知対象と落ち葉やゴミといった外乱との区別ができる。
点滅光源の周波数を検知しているため、移動物体の色や明るさに左右されずに検知を行うことができる。
そして、本実施形態に係る検知システムによれば、カメラを用いた移動物体の検知において、天候や日照等の時間的要因に左右されず、非検知時に撮像状態の異常を検知することができ、目的の検知対象以外の外乱とを区別することができ、移動物体を高精度で検知することができる。
【0132】
さらに本検知システムは、複数の光源を使用し、信号を並列に信号処理部に伝送することができる。
あるいは、光源の色を複数設け、信号の波長多重伝送も可能である。
また、光源を適宜点滅させて信号を処理することも可能である。
【0133】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
【0134】
本第2の実施形態は、第1の実施形態に係るフィールド蓄積、インターレース型の撮像装置12をフレーム蓄積、インターレース型の撮像装置に置き換えたものである。また同時に、第1実施形態に係る光源11の輝度の変化周期をフィールド周期の4n倍からフレーム周期の4n倍に変更したものである。この変化周期の変更に伴い、輝度信号の取得もnフィールドごとから2nフィールドごとに輝度信号の取得周期を変更する。
このように、光源11の輝度の変化周期と輝度信号の取得周期を変更することで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
したがって、本実施形態によれば、撮像画像の背景ノイズを除去し、光源もしくは光源によって照射された被写体の状態を検出でき、被写体が複数存在する場合であっても被写体別に検知することができる。
【0135】
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。
【0136】
本第3の実施形態は、第1の実施形態に係るフィールド蓄積、インターレース走査型の撮像装置12をフレーム蓄積、ノンインターレース走査型の撮像装置に置き換えたものである。
このように、ノンインターレース走査の撮像装置を用いても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
したがって、本実施形態によれば、撮像画像の背景ノイズを除去し、光源もしくは光源によって照射された被写体の状態を検出でき、被写体が複数存在する場合であっても被写体別に検知することができる。
【0137】
なお、以上詳細に説明した方法は、上記手順に応じたプログラムとして形成し、CPU等のコンピュータで実行するように構成することも可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
【符号の説明】
【0138】
10・・・検知システム、11・・・光源、12・・・撮像装置、13・・・信号処理部、131・・・輝度信号抽出部、132・・・第1の演算部(A)、133・・・第2の演算部(B)、134・・・演算処理部(時間平均2乗和演算処理部)、135・・・光源位置記憶部、136・・・光源抽出判定部、137・・・遮断発生位置抽出部、138・・・遮断発生数カウント部、139・・・遮断情報判定部、140・・・判定テーブル部、141・・・出力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
上記光源または上記光源によって照射された被写体を撮像する撮像装置と、
上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理部と、を有し、
上記信号処理部は、
上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出部と、
検出可能な光源の位置を記憶する光源位置記憶部と、
上記信号抽出部から所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、上記光源位置記憶部から取得した光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算部と、
上記演算部の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定部と、
上記光源抽出判定部の判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出部と、
上記遮断発生位置抽出部の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント部と、
上記遮断発生数カウント部のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定部と、を含む
検知システム。
【請求項2】
上記遮断情報判定部は、
遮断発生位置および遮断発生数を基に移動物体検知の判定を行う
請求項1記載の検知システム。
【請求項3】
上記遮断情報判定部は、
遮断発生数により検知対象が目的の移動物体であるか否かの判定を行う
請求項2記載の検知システム。
【請求項4】
上記遮断発生数カウント部は、
上記光源が抽出されていない場合にはクリアされる
請求項1から3のいずれか一に記載の検知システム。
【請求項5】
上記遮断発生数は、
映像信号において遮断が発生したフレーム数である
請求項1から4のいずれか一に記載の検知システム。
【請求項6】
光源または上記光源によって照射された被写体を撮像装置で撮像し、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理ステップを有し、
上記信号処理ステップは、
上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出ステップと、
上記信号抽出ステップから所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、あらかじめ取得した検出可能な光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算ステップと、
上記演算ステップの演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定ステップと、
上記光源抽出判定ステップの判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出ステップと、
上記遮断発生位置抽出ステップの抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウントステップと、
上記遮断発生数カウントステップのカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定ステップと、を含む
検知システムの信号処理方法。
【請求項7】
光源または上記光源によって照射された被写体を撮像装置で撮像し、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理を有し、
上記信号処理は、
上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出処理と、
上記信号抽出処理から所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、あらかじめ取得した検出可能な光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算処理と、
上記演算処理の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定処理と、
上記光源抽出判定ステップの判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出処理と、
上記遮断発生位置抽出処理の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント処理と、
上記遮断発生数カウント処理のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定処理と、を含む
検知システムの信号処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
光源と、
上記光源または上記光源によって照射された被写体を撮像する撮像装置と、
上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理部と、を有し、
上記信号処理部は、
上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出部と、
検出可能な光源の位置を記憶する光源位置記憶部と、
上記信号抽出部から所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、上記光源位置記憶部から取得した光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算部と、
上記演算部の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定部と、
上記光源抽出判定部の判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出部と、
上記遮断発生位置抽出部の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント部と、
上記遮断発生数カウント部のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定部と、を含む
検知システム。
【請求項2】
上記遮断情報判定部は、
遮断発生位置および遮断発生数を基に移動物体検知の判定を行う
請求項1記載の検知システム。
【請求項3】
上記遮断情報判定部は、
遮断発生数により検知対象が目的の移動物体であるか否かの判定を行う
請求項2記載の検知システム。
【請求項4】
上記遮断発生数カウント部は、
上記光源が抽出されていない場合にはクリアされる
請求項1から3のいずれか一に記載の検知システム。
【請求項5】
上記遮断発生数は、
映像信号において遮断が発生したフレーム数である
請求項1から4のいずれか一に記載の検知システム。
【請求項6】
光源または上記光源によって照射された被写体を撮像装置で撮像し、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理ステップを有し、
上記信号処理ステップは、
上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出ステップと、
上記信号抽出ステップから所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、あらかじめ取得した検出可能な光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算ステップと、
上記演算ステップの演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定ステップと、
上記光源抽出判定ステップの判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出ステップと、
上記遮断発生位置抽出ステップの抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウントステップと、
上記遮断発生数カウントステップのカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定ステップと、を含む
検知システムの信号処理方法。
【請求項7】
光源または上記光源によって照射された被写体を撮像装置で撮像し、上記撮像装置から取得した信号に対して信号処理を行って被写体の状態を検知する信号処理を有し、
上記信号処理は、
上記撮像装置から取得した信号から上記被写体の状態検知のために信号処理に用いる信号を抽出する信号抽出処理と、
上記信号抽出処理から所定走査面周期ごとに上記信号を取得し、複数の異なる走査面間で当該信号の信号レベル差から当該信号レベル差の時間平均を求め、あらかじめ取得した検出可能な光源位置において上記時間平均の値をもとに時間平均の2乗和を求める演算処理と、
上記演算処理の演算結果により光源を抽出しているか否かを判定する光源抽出判定処理と、
上記光源抽出判定ステップの判定結果から光源が抽出されず遮断が発生していると判定された位置を検出する遮断発生位置抽出処理と、
上記遮断発生位置抽出処理の抽出結果により遮断発生数をカウントする遮断発生数カウント処理と、
上記遮断発生数カウント処理のカウント結果から遮断物に関する情報を抽出して判定処理を行う遮断情報判定処理と、を含む
検知システムの信号処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−15780(P2012−15780A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150114(P2010−150114)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】
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