説明

検診台

【課題】検診者が検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ行う検診に際して、検診者の負担を大幅に軽減する。
【解決手段】検診時に患者が横臥可能な寝台11に、検診者の身体を支えるためのポケット部21を、前記寝台11から分離させて設け、ポケット部21を、支持体25に設けた昇降機構30を介して、所要の昇降位置に位置決め調整自在に支持させたので、例えば、検診者が検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ行う検診に際して、検診者は、ポケット部21の昇降位置を適切に調整して、検診用器具を把持している自身の腕を、位置調整済みのポケット部21に支持させることによって、検診用器具の持ち重りから開放された状態で検診を遂行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、超音波診断装置の探触子等の検診用器具を把持しながら、検診者が患者の検診を行う際に用いられる検診台に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、超音波診断装置の探触子(以下、「超音波プローブ」という。)等の検診用器具を把持しながら、検診者が患者の検診を行うに際しては、検診用に設計された検診台を用いるのが通常である。
【0003】
従来の検診台の一例として、例えば特許文献1には、落込部を下方に回動して検診台面から待避させ、患者の胸部や腹部の脇、あるいは背中等の身体部分を露出できるようにして、患者の体位転換に伴う負担の軽減を図ると共に、検診の効率化を図る超音波診断用の検診台が開示されている。
【0004】
しかしながら超音波診断に際して検診者は、超音波プローブを片手で把持しながら、長時間に亘って患者の身体における所要箇所を探触してゆく関係上、検診者の腕に大きな負担がかかり、検診の効率や精度の低下を招来し、ひいては腱鞘炎を患うなどといった問題が指摘されている。なお、こうした問題は上述した超音波診断の例に限るものではない。従って、検診者が検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ患者の検診を行うに際し、検診者の負担軽減を図るために、何らかの方策を講じることが社会的に強く要請されていた。
【特許文献1】特許第3140711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、例えば超音波診断等、検診者が検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ行う検診では、検診者の腕に大きな負担がかかり、検診の効率や精度の低下を招来するおそれがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検診台は、検診者が検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ行う検診に際して、検診者の負担を大幅に軽減することを目的として、検診時に患者が横臥可能な寝台と、前記寝台の支持体と、を備えて構成される検診台であって、前記寝台に、検診者の身体を支えるためのポケット部を、前記寝台から分離させて設け、前記ポケット部を、前記支持体に設けた昇降機構を介して、所要の昇降位置に位置決め調整自在に支持させた、ことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る検診台では、検診時に患者が横臥可能な寝台に、検診者の身体を支えるためのポケット部を、前記寝台から分離させて設け、前記ポケット部を、前記支持体に設けた昇降機構を介して、所要の昇降位置に位置決め調整自在に支持させたので、例えば、検診者が検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ行う検診に際して、検診者は、ポケット部の昇降位置を適切に調整して、検診用器具を把持している自身の腕を、位置調整済みのポケット部に支持させることによって、検診用器具の持ち重りから開放された状態で検診を遂行することができる。従って、検診者の肉体的な負担を大幅に軽減することが可能となる結果として、検診の効率や精度の向上を図ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
検診者が検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ行う検診に際して、検診者の負担を大幅に軽減するという目的を、検診時に患者が横臥可能な寝台に、検診者の身体を支えるためのポケット部を、前記寝台から分離させて設け、前記ポケット部を、前記寝台の支持体に設けた昇降機構を介して、所要の昇降位置に位置決め調整自在に支持させた検診台によって実現した。
【実施例】
【0009】
以下、本発明に係る検診台の複数の実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
[実施例1]
図1は、本発明第1実施例に係る検診台の全体構成を示す斜視説明図、図2は、ポケット部を下降させた状態を示す要部斜視説明図、図3は、ポケット部を、その上面がリクライニング部の上面と面一になる昇降位置まで上昇させた状態を示す要部斜視説明図、図4は、ポケット部を昇降駆動させる昇降機構を示す正面視分解説明図、図5は、ポケット部を上昇させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図、図6は、ポケット部を下降させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図、図7は、ポケット部を下降させた状態での昇降機構を示す要部斜視説明図、図8は、リクライニング部の正面図、図9は、図8に示したリクライニング部の矢視A−A断面図である。
【0011】
図1に示すように、実施例1に係る検診台11は、検診時に患者が横臥可能な寝台13と、寝台13を下方から支持する支持体15と、を備えて構成されている。
【0012】
寝台13は、図1に示すように、フラット部17と、フラット部17における自由端側17aに起伏自在に軸支されるリクライニング部19と、を含んで構成されている。なお、寝台13の通常の使用状態では、フラット部17側に患者の下半身が位置する一方、リクライニング部19側に患者の上半身が位置することになる。また、リクライニング部19には、図1に示すように、寝台13上に左側臥位で検診を受けるために横たわっている患者の右手を誘導するための姿勢保持用グリップ20が設けられている。
【0013】
寝台13の一部を構成するリクライニング部19には、図1〜図3及び図8に示すように、検診者の身体、特に、例えば腕を支えるためのポケット部21が、リクライニング部19(寝台13)から分離させて設けられている。このポケット部21は、リクライニング部19(寝台13)において、検診時に横臥している患者の検診箇所、例えば胸部を臨む位置に設けられている。このポケット部21は、支持体15に設けた後述する昇降機構30を介して、その姿勢を略水平に維持した状態で、所要の昇降位置に、無段階で位置決め調整自在に支持されている。これにより、例えば、検診者が検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ行う検診に際して、検診者は、ポケット部21の昇降位置を適切に調整して、検診用器具を把持している自身の腕を、位置調整済みのポケット部21に支持させることによって、検診用器具の持ち重りから開放された状態で検診を遂行することができる。
【0014】
また、リクライニング部19には、図1〜図3及び図8に示すように、患者の背中を支えるための背凭れ部23が、リクライニング部19(寝台13)から分離させて設けられている。この背凭れ部23は、支持体15に軸支されており、支持体15に設けた後述する支持機構40を介して、所要の起伏位置に位置決め調整自在に支持されている。
【0015】
さて、寝台13は、図1に示すように、支持体15の一部を構成する脚部25によって支持されている。この脚部25に内蔵された支持体昇降機構(不図示)を介して、寝台13は、所要の昇降位置に、無段階で位置決め調整自在に支持されている。これにより、例えば、身体が不自由な患者や小児患者などの検診台11への乗り降りを容易化することができる。この脚部25は、例えばH形状の鋼材等よりなる脚部フレーム19で支持され、脚部フレーム27における四隅には、検診台11を移動自在とするためのキャスター29がそれぞれ設けられている。
【0016】
ところで、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で昇降可能とする昇降機構30は、図4に示すように、主として、第1,第2トルクアーム31,32と、連結部材33と、電動式のアクチュエータ34と、から構成されている。
【0017】
第1,第2トルクアーム31,32は、略同一形状であり、本実施例1では、各2本ずつ、都合4本が用いられている。
【0018】
第1トルクアーム31は、例えば図4及び図7に示すように、略L字状に形成した第1アーム31aにおける折り曲げ側の第1端部31rに、直線状に形成した第1リンク31bの一端を、連桿37を介して所定の角度θで一体的に連結することにより構成されている。
【0019】
一方、第2トルクアーム32は、例えば図4及び図7に示すように、略L字状に形成した第2アーム32aにおける折り曲げ側の第2端部32rに、直線状に形成した第2リンク32bの一端を、連桿38を介して所定の角度θで一体的に連結することにより構成されている。
【0020】
また、図4に示すように、この第1トルクアーム31における第1アーム31aの自由端側31jを、ポケット部21の下面に取り付けられているポケットフレーム22の第1連結部22jに回動可能に連結し、第1リンク31bの自由端側31kを、連結部材33における第1連結部33kに回動可能に連結する。
【0021】
同様に、図4に示すように、第2トルクアーム32における第2アーム32aの自由端側32nを、ポケットフレーム22の第2連結部22nに回動可能に連結し、第2リンク32bの自由端側32mを、連結部材33における第2連結部33mに回動可能に連結する。
【0022】
さらに、図4及び図7に示すように、リクライニング部19の下面に取り付けられているリクライニングフレーム24に固着された第1トルクアーム取付ブラケット26に、前記連桿37を回動可能に連結する。
【0023】
同様に、図4及び図7に示すように、リクライニングフレーム24に固着された第2トルクアーム取付ブラケット28に、前記連桿38を回動可能に連結する。
【0024】
そして、図4に示すように、リクライニングフレーム24に設けたアクチュエータ取付ブラケット24aに、アクチュエータ34の基部35を回動可能に連結すると共に、ロッド36の先端部36aを、連結部材33における取付ブラケット33pに回動可能に連結する。なお、例えば電動式のアクチュエータ34は、ポケット部21の昇降位置を入力操作するための昇降コントローラ(不図示)に接続されており、昇降コントローラの入力操作に応じて、ロッド36の伸縮位置を無段階に調整自在に構成されている。
【0025】
すなわち、第1実施例に係る昇降機構30は、一端が連結部材33に、他端が取付ブラケット(支持体)26,28に回転自在に連結された第1の平行リンク31b,32bと、第1の平行リンク31b,32bの他端に一端が固着され、他端がポケット部21側に回転自在に結合された第2の平行リンク31a,32aと、連結部材33を駆動するアクチュエータ34と、を備え、アクチュエータ34のロッド36を伸縮駆動することにより、第1及び第2の平行リンク31a,32a,31b,32bを介してポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で昇降させ得るように構成されている。
【0026】
ここで、図4に示すように、ポケットフレーム22における第1連結部22j及び第2連結部22nの間隔を22Lとし、連結部材33における第1連結部33k及び第2連結部33mの間隔を33Lとし、第1トルクアーム取付ブラケット26における前記連桿37との連結部37r及び第2トルクアーム取付ブラケット28における前記連桿38との連結部38rの間隔をLとすると、「間隔22L=間隔33L=間隔L」の関係が成立するように、各間隔が設定されている。つまり、上記各間隔が均等になるように設定されている。
【0027】
従って、アクチュエータ34を動作させてロッド36を伸長駆動させると、図3及び図5に示すように、各一対の第1,第2トルクアーム31,32が、トルクアーム取付ブラケット26,28における連結部37r,38rを回転中心として同期しつつ反時計方向に回転することにより、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で上昇させることになる。
【0028】
一方、アクチュエータ34を動作させてロッド36を萎縮駆動させると、図2及び図6に示すように、各一対の第1,第2トルクアーム31,32が、トルクアーム取付ブラケット26,28における連結部37r,38rを回転中心として同期しつつ時計方向に回転することにより、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で下降させることになる。
【0029】
なお、背凭れ部23を所要の起伏位置に位置決め調整自在に支持する支持機構40は、図9に示すように、背凭れ部23の下面に取り付けられている背凭れフレーム41に固着された取付ブラケット43と、所要の伸縮位置で係止自在なロッドを内蔵した無段階フリーロック装置45と、から構成されており、無段階フリーロック装置45の基端側45aは支持体15に回転自在に連結される一方、自由端側45bは取付ブラケット43に回転自在に連結されている。これにより、例えば、検診者が図1の符号17bで示す腰掛け部付近に腰掛けて、寝台13に横臥している患者にあたかも覆い被さるような体勢で、検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ行う検診に際して、起立状態にある背凭れ部23が、検診者と患者の間を隔てる隔壁のように機能することで、検診者と患者が身体的に密着することを抑止することが可能となる結果として、特に、検診者と患者の性別が異なる場合であっても、検診者あるいは患者の精神的な負担を大幅に軽減することができる。
【0030】
ここで、例えば、超音波診断業務に携わる検診者は、超音波プローブを片手に把持した状態で、比較的長時間に亘って患者の所要箇所を探触してゆく関係上、検診者には肉体的に大きな負担がかかっていた。また、例えば心エコー用の超音波プローブでは、その長手方向における寸法が装置メーカーによって異なる等の事情から、ポケット部21の昇降に係る位置調整範囲を可及的に大きくし、かつ、その位置調整段階を微調整可能なように可及的に小さくしたい、といった現実的な要請も存在していた。さらに、実際の検診の現場では、検診者が検診業務に熱中していると、検診者と患者が身体的に密着する傾向にあり、特に、検診者と患者の性別が異なる場合には、かかる身体的な密着が、検診者あるいは患者の精神的な負担となる、といった現実的な課題も存在していた。
【0031】
これに対し、本発明第1実施例に係る検診台11によれば、検診者は、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で無段階に移動させ、所要の昇降位置で停止させることができるので、検診者の腕や肘などをポケット部21の上面に支持させた状態で、楽な姿勢で検診を遂行することができる。
【0032】
また、例えば、検診者が図1の符号17bで示す腰掛け部付近に腰掛けて、寝台13に横臥している患者にあたかも覆い被さるような体勢で、検診用器具を比較的長時間に亘って把持しつつ行う検診に際して、起立状態にある背凭れ部23が、検診者と患者の間を隔てる隔壁のように機能することで、検診者と患者が身体的に密着することを抑止することが可能となる結果として、特に、検診者と患者の性別が異なる場合であっても、検診者あるいは患者の精神的な負担を大幅に軽減することができる。
【0033】
従って、本発明第1実施例に係る検診台11によれば、検診者若しくは患者の肉体的或いは精神的な負担を大幅に軽減することが可能となる結果として、検診の効率や精度の向上を図ることができるようになる。
【0034】
[実施例2]
次に、実施例2に係る検診台について、図面を参照して説明する。
【0035】
図10は、ポケット部を昇降駆動させる昇降機構を示す正面視分解説明図、図11は、ポケット部を上昇させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図、図12は、ポケット部を下降させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図である。
【0036】
なお、実施例1と実施例2とは、検診台としての基本的な構成は共通であり、その主な相違点は昇降機構の構成である。そこで、実施例1と実施例2とで共通の部材には共通の符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0037】
すなわち、実施例1と実施例2の主な相違点は、実施例1の昇降機構30では、アクチュエータ34は、基部35を中心に回転するとともに、アクチュエータ34の伸長駆動によってポケット部21を上昇駆動させる一方、同アクチュエータ34の萎縮駆動によってポケット部21を下降駆動させるように動作するのに対し、実施例2では、図10〜図12に示すように、アクチュエータ34は、リクライニングフレーム24に沿って配置されるとともに、実施例1とは逆に、アクチュエータ34の萎縮駆動によってポケット部21を上昇駆動(図10及び図11参照)させる一方、同アクチュエータの伸長駆動によってポケット部21を下降駆動(図10及び図12参照)させるように動作する。
【0038】
具体的には、実施例2に係る検診台の昇降機構51は、図10に示すように、第1,第2トルクアーム31,32における各取付ブラケット26,28への連結部近傍にそれぞれ設けられる第1,第2リンク部材53,55と、第1,第2トルクアーム31,32のうち少なくともいずれか一方、例えば第1トルクアーム31における反ポケット部側に設けられる延長アーム57と、一対の第1,第2リンク部材53,55間を、回転自在に連結するための第1,第2リンクバー59,61と、を備えて構成されている。
【0039】
さらに詳しく説明すると、第1,第2トルクアーム31,32は、そのポケット部側をポケットフレーム22に、反ポケット部側をリクライニングフレーム24(支持体)に設けた各取付ブラケット26,28に、それぞれ同一間隔を置いて回転自在に連結されている。
【0040】
リクライニングフレーム24の取付ブラケット24a(支持体)と、第1延長アーム57の自由端57pと、の間には、伸縮自在のロッド36を有するアクチュエータ34が連結されている。具体的には、ロッド36における取付部36aに、第1延長アーム57の自由端57pが、回転自在に連結されている。
【0041】
第1リンク部材53における両端には、通孔53a,53bが開設されており、同様に、第2リンク部材55における両端にも、通孔55a,55bが開設されている。
【0042】
一方、第1リンクバー59における両端には、ピン59x,59yが立設されており、同様に、第2リンクバー61における両端にも、ピン61x,61yが立設されている。
【0043】
一対の第1,第2リンク部材53,55間は、第1リンク部材53における通孔53aに、第1リンクバー59におけるピン59xを回転自在に係合させ、第2リンク部材55における通孔55aに、第1リンクバー59におけるピン59yを回転自在に係合させる一方、第1リンク部材53における通孔53bに、第2リンクバー61におけるピン61xを回転自在に係合させ、第2リンク部材55における通孔55bに、第2リンクバー61におけるピン61yを回転自在に係合させることによって、平行四辺形リンク60が構成されている。
【0044】
すなわち、第2実施例に係る昇降機構51は、一端が連結部材57,59,61に、他端が取付ブラケット(支持体)26,28に回転自在に連結された第1の平行リンク53,55と、第1の平行リンク53,55の他端に一端が固着され、他端がポケット部21側に回転自在に結合された第2の平行リンク31,32と、連結部材57,59,61を駆動するアクチュエータ34と、を備え、アクチュエータ34のロッド36を伸縮駆動することにより、第1及び第2の平行リンク31,32,53,55を介してポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で昇降させ得るように構成されている。
【0045】
従って、アクチュエータ34を動作させてロッド36を萎縮駆動させると、図11に示すように、第1,第2トルクアーム31,32が、トルクアーム取付ブラケット26,28における連結部37r,38rを回転中心として同期しつつ反時計方向に回転することにより、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で上昇させることになる。
【0046】
一方、アクチュエータ34を動作させてロッド36を伸長駆動させると、図12に示すように、第1,第2トルクアーム31,32が、トルクアーム取付ブラケット26,28における連結部37r,38rを回転中心として同期しつつ時計方向に回転することにより、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で下降させることになる。
【0047】
このように、本発明第2実施例に係る検診台によれば、本発明第1実施例と同様に、検診者は、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で無段階に移動させ、所要の昇降位置で停止させることができるので、検診者の腕や肘などをポケット部21の上面に支持させた状態で、楽な姿勢で検診を遂行することができる。
【0048】
[実施例3]
次に、実施例3に係る検診台について、図面を参照して説明する。
【0049】
図13は、ポケット部を昇降駆動させる昇降機構を示す正面視分解説明図、図14は、ポケット部を上昇させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図、図15は、ポケット部を下降させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図である。
【0050】
なお、実施例1,2と実施例3とは、検診台としての基本的な構成は共通であり、その主な相違点は昇降機構の構成である。そこで、実施例1,2と実施例3とで共通の部材には共通の符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0051】
すなわち、実施例1,2と実施例3の主な相違点は、実施例1,2の昇降機構30,51では、一対の連結部37r,38rは、水平方向に所定間隔離隔して配置されており、かかる一対の連結部37r,38rをそれぞれ回転中心として、一対の各第1,第2トルクアーム31,32が回転駆動されるように動作するのに対し、実施例3では、図13〜図15に示すように、一対の連結部37r,38rは、垂直方向に所定間隔離隔して配置されており、かかる一対の連結部37r,38rをそれぞれ回転中心として、一対の各第1,第2トルクアーム31,32が回転駆動されるように動作する。
【0052】
具体的には、実施例3に係る検診台の昇降機構71は、図10に示すように、略L字形状の一対の第1,第2トルクアーム31,32(一対の平行リンク)と、第1,第2トルクアーム31,32のうち少なくともいずれか一方、例えば第1トルクアーム31における反ポケット部側に設けられる延長アーム73と、を備えて構成されている。
【0053】
さらに詳しく説明すると、第1,第2トルクアーム31,32は、そのポケット部側31j,32nが、ポケットフレーム22における各取付孔22j,22nに回転自在に連結される一方、反ポケット部側31r,32rが、リクライニングフレーム24(支持体)に設けた取付ブラケット26に、それぞれ垂直方向に同一間隔を置いて回転自在に連結されている。
【0054】
リクライニングフレーム24の取付ブラケット24a(支持体)と、延長ーム73の自由端73aと、の間には、伸縮自在のロッド36を有するアクチュエータ34が連結されている。具体的には、ロッド36における取付部36aに、延長アーム73の自由端73aが、回転自在に連結されている。
【0055】
すなわち、第3実施例に係る昇降機構71は、一端が前記ポケット部(ポケットフレーム22)に、他端が支持体(取付ブラケット26)にそれぞれ回転自在に連結された一対の平行リンク(第1,第2トルクアーム31,32)と、一対の平行リンク(第1,第2トルクアーム31,32)のうち少なくともいずれか一方、例えば第1トルクアーム31における非ポケット部側に一端が固着された第2延長アーム73と、第2延長アーム73における自由端側73aを駆動するアクチュエータ34と、を備え、アクチュエータ34のロッド36を伸縮駆動することにより、一対の平行リンク(第1,第2トルクアーム31,32)を介してポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で昇降させ得るように構成されている。
【0056】
従って、アクチュエータ34を動作させてロッド36を伸長駆動させると、図14に示すように、第1,第2トルクアーム31,32が、トルクアーム取付ブラケット26における垂直方向に配置された連結部37r,38rを回転中心として同期しつつ反時計方向に回転することにより、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で上昇させることになる。
【0057】
一方、アクチュエータ34を動作させてロッド36を萎縮駆動させると、図15に示すように、第1,第2トルクアーム31,32が、トルクアーム取付ブラケット26における垂直方向に配置された連結部37r,38rを回転中心として同期しつつ時計方向に回転することにより、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で下降させることになる。
【0058】
このように、本発明第3実施例に係る検診台によれば、本発明第1及び第2実施例と同様に、検診者は、ポケット部21を、その姿勢を略水平に維持した状態で無段階に移動させ、所要の昇降位置で停止させることができるので、検診者の腕や肘などをポケット部21の上面に支持させた状態で、楽な姿勢で検診を遂行することができる。
【0059】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う検診台もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0060】
すなわち、本発明実施例1〜3の説明において、リクライニング部19(寝台13)にポケット部21を設けるに際し、リクライニング部19の側縁部を所要形状に切り欠いて図2に示す落ち込み部(リクライニング部19の上面を基準として凹んだ部分)を形成する例をあげて説明したが、この例に代えて、リクライニング部19の側縁部を所要形状に切り欠いてせり上がり部(リクライニング部19の上面を基準として突き出た部分)を形成してもよいし、あるいは、リクライニング部19の中央部(側縁部を除く部分)を所要形状に切り欠くことで穴部を形成し、この穴部においてポケット部を設けることにより、前述と同様の落ち込み部或いはせり上がり部を形成してもよい。
【0061】
また、本実施例1〜3の説明において、リクライニング部19(寝台13)にポケット部21を設ける例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されず、検診内容に適合させて、必要に応じてフラット部17側にポケット部を設けてもよい。この場合において、フラット部17の側縁部を所要形状に切り欠いて落ち込み部(フラット部17の上面を基準として落ち込んだ部分)を形成するか、フラット部17の側縁部を所要形状に切り欠いてせり上がり部(フラット部17の上面を基準としてせり上がった部分)を形成してもよいし、あるいは、フラット部17の中央部(側縁部を除く部分)を所要形状に切り欠くことで穴部を形成し、この穴部においてポケット部を設けることにより、前述と同様の落ち込み部或いはせり上がり部を形成してもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明第1実施例に係る検診台の全体構成を示す斜視説明図である。
【図2】第1実施例に係るポケット部を下降させた状態を示す要部斜視説明図である。
【図3】第1実施例に係るポケット部を、その上面がリクライニング部の上面と面一になる昇降位置まで上昇させた状態を示す要部斜視説明図である。
【図4】第1実施例に係るポケット部を昇降駆動させる昇降機構を示す正面視分解説明図である。
【図5】第1実施例に係るポケット部を上昇させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図である。
【図6】第1実施例に係るポケット部を下降させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図である。
【図7】第1実施例に係るポケット部を下降させた状態での昇降機構を示す要部斜視説明図である。
【図8】第1実施例に係るリクライニング部の正面図である。
【図9】第1実施例に係るリクライニング部(図8参照)の矢視A−A断面図である。
【図10】第2実施例に係るポケット部を昇降駆動させる昇降機構を示す正面視分解説明図である。
【図11】第2実施例に係るポケット部を上昇させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図である。
【図12】第2実施例に係るポケット部を下降させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図である。
【図13】第3実施例に係るポケット部を昇降駆動させる昇降機構を示す正面視分解説明図である。
【図14】第3実施例に係るポケット部を上昇させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図である。
【図15】第3実施例に係るポケット部を下降させた状態での昇降機構を示す要部正面視説明図である。
【符号の説明】
【0063】
11 検診台
13 寝台
15 支持体
17 フラット部
19 リクライニング部
21 ポケット部
23 背凭れ部
26,28 取付ブラケット(支持体)
30 第1実施例に係る昇降機構
31 第1トルクアーム(第3実施例における平行リンクに相当する。)
31a 第1アーム(第2の平行リンク)
31b 第1リンク(第1の平行リンク)
32 第2トルクアーム(第3実施例における平行リンクに相当する。)
32a 第2アーム(第2の平行リンク)
32b 第2リンク(第1の平行リンク)
33 連結部材
34 アクチュエータ
37r,38r 連結部
40 支持機構
45 無段階フリーロック装置
51 第2実施例に係る昇降機構
53 第1リンク部材(第1の平行リンク)
55 第2リンク部材(第1の平行リンク)
57 第1延長アーム(連結部材)
59 第1リンクバー(連結部材)
61 第2リンクバー(連結部材)
71 第3実施例に係る昇降機構
73 第2延長アーム(延長アーム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検診時に患者が横臥可能な寝台と、前記寝台の支持体と、を備えて構成される検診台であって、
前記寝台に、検診者の身体を支えるためのポケット部を、前記寝台から分離させて設け、
前記ポケット部を、前記支持体に設けた昇降機構を介して、所要の昇降位置に位置決め調整自在に支持させた、
ことを特徴とする検診台。
【請求項2】
請求項1記載の検診台であって、
前記ポケット部を、前記支持体に設けた昇降機構を介して、所要の昇降位置に無段階で位置決め調整自在に支持させた、
ことを特徴とする検診台。
【請求項3】
請求項1又は2記載の検診台であって、
前記寝台は、
平坦なフラット部と、当該フラット部における自由端側に起伏自在に軸支されるリクライニング部と、を含んで構成され、
前記ポケット部を、前記リクライニング部側に設けた、
ことを特徴とする検診台。
【請求項4】
請求項3記載の検診台であって、
前記ポケット部を、検診時に横臥している患者の検診箇所を臨む前記リクライニング部側の位置に設けた、
ことを特徴とする検診台。
【請求項5】
請求項3記載の検診台であって、
前記ポケット部を、検診時に横臥している患者の胸部を臨む前記リクライニング部側の位置に設けた、
ことを特徴とする検診台。
【請求項6】
請求項1記載の検診台であって、
前記寝台は、
フラット部と、当該フラット部における自由端側に起伏自在に軸支されるリクライニング部と、を含んで構成され、
前記リクライニング部側に、前記ポケット部を設けるとともに、患者の背中を支えるための背凭れ部を、前記寝台から分離させて起伏自在に設け、
前記背凭れ部を、前記支持体に設けた支持機構を介して、所要の起伏位置に位置決め調整自在に支持させた、
ことを特徴とする検診台。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の検診台であって、
前記昇降機構は、
一端が連結部材に、他端が前記支持体に回転自在に連結された第1の平行リンクと、
前記第1の平行リンクの他端に一端が固着され、他端が前記ポケット部側に回転自在に結合された第2の平行リンクと、
前記連結部材を駆動するアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータを駆動することにより、前記第1及び第2の平行リンクを介して前記ポケット部を、当該ポケット部の姿勢を略水平に維持した状態で昇降させ得る、
ことを特徴とする検診台。
【請求項8】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の検診台であって、
前記昇降機構は、
一端が前記ポケット部に、他端が前記支持体に回転自在にそれぞれ連結された一対の平行リンクと、
前記一対の平行リンクのうち少なくともいずれか一方に一端が固着された延長アームと、
前記延長アームにおける自由端側を駆動するアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータを駆動することにより、前記一対の平行リンクを介して前記ポケット部を、当該ポケット部の姿勢を略水平に維持した状態で昇降させ得る、
ことを特徴とする検診台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−279095(P2009−279095A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132464(P2008−132464)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(392030623)株式会社ランダルコーポレーション (6)
【Fターム(参考)】