説明

業務用トレーラの空気式ブレーキシステム

本システムは、
少なくとも1つの車軸の各車輪に結合されたスプリングブレーキ(1)が組み込まれたブレーキシリンダと、
駐車時のブレーキのためのエアライン又はパイプ(3)と接続された制御入口(8a)と、常用ブレーキのための第1ライン又はパイプ(2)と接続された別の入口(8b)と、前記少なくとも1つの車軸の各車輪に結合されたブレーキシリンダ(1)の第1入口(1a)に接続された出口(8c)と、を有するリレーバルブ(8)を、備えるバルブ制御ユニット(7)と、
リレーバルブ(8)の出口(8c)及び常用ブレーキライン又はパイプ(2)の、それぞれと接続された、第1及び第2入口(11a、11b)と、前記ブレーキシリンダ(1)の第1入口(1a)と接続された出口(11c)と、を有する2重逆止バルブ(11)と、
を備えており、
前記ブレーキシリンダは、両入口(1a、1b)が加圧下にあるときにエアブレーキを実行し、第2入口(1b)が解放されるときには、スプリングブレーキを実行し、加圧空気が再度第2入口(1b)に供給されるときには、スプリングブレーキを解除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用被けん引車、例えば、トレーラ又はセミトレーラの、エアブレーキシステムに関するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の1つの目的は、特に駐車や緊急ブレーキに関して、簡単な制御構造を有し、信頼性の極めて高い方法で操作する、エアシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、添付の請求項1に規定される、主要な特徴である、エアブレーキシステムによる、本発明によって、他の目的と一緒に、達成される。
【0004】
更に、本発明の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、限定されない例によって、純粋に提供される、以下の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1に関して、第1実施形態において、被けん引車の、本発明に関するエアブレーキシステムは、少なくとも1つの車軸の各車輪に、スプリングブレーキが組み込まれた、各ブレーキシリンダを備えている。このブレーキシリンダの1.A(限定されない)実施形態によって、示されている全体は、以下、図2及び図3で、詳細に記載されている。
【0006】
図1に示されているブレーキシステムは、言わば本来のものとして知られている、常用ブレーキとしてのライン又はパイプ2と、駐車及び緊急ブレーキとしてのライン又はパイプ3と、を備えている。
【0007】
このシステムはまた、7によって全体が示される、バルブ制御ユニットを備えている。
【0008】
図1で一例として示される実施形態において、このバルブ制御ユニット7は、停止バルブ4によって駐車及び緊急ブレーキを制御するためのライン又はパイプ3と接続されている負の制御入口8aと、ライン又はパイプ3に直接接続されている供給入口8bと、を有するリレーバルブ8を備えている。
【0009】
バルブ制御ユニット7はまた、2重逆止バルブ11を備えている。2重逆止バルブ11は、リレーバルブ8の出口8cと接続された入口11aと、ライン又はパイプ2に接続された第2入口11bと、上記車輌の少なくとも1つの車軸の、各車輪のスプリングブレーキ1が組み込まれたブレーキシリンダの第1入口1aに接続された出口11cと、を有している。これらブレーキシリンダ1のそれぞれはまた、ライン又はパイプ3に直接接続された第2入口1bを有している。
【0010】
図2及び図3に関して、スプリングブレーキ1が組み込まれた各ブレーキシリンダは、本質的にカップ状の本体21を有する、剛体のケーシング20を備えている。本体21の端部では、蓋22がシールするよう係合されている。中央入口23は、カップ状の本体21の底壁に形成されている。ブレーキシリンダの入口1aを構成する、入口結合体24は、蓋22の第1開口の内部に固定されている。チューブ25は、蓋22の別の中央入口の内部に固定されており、ケーシング20の内部に軸方向に延びている。ブレーキシリンダ1の第2入口1bを形成する結合体26は、このチューブ25と接続されている。
【0011】
主ピストン27は、ケーシング20の内部、特に、カップ状の本体21の内部に、スライド可能に取り付けられている。スプリング28は、カップ状の本体21の底壁と主ピストン27との間に配置され、後者を蓋22に対して押すようになっている。
【0012】
中間の外部にある半径方向フランジ30を有する、空洞が形成された本体29は、本体21の内部の主ピストン27の下部に、移動可能に、取り付けられている。一例として示された実施形態において、本体29は、互いに溶接された、上部管状部材31及び下部カップ状部材32によって形成されている。
【0013】
らせんスプリング33は、主ピストン27と本体29のフランジ30との間に配置され、後者を下方に押すようになっている。
【0014】
管状ピストン34は、チューブ25の周囲に、シールするように、スライド可能に、取り付けられている。このピストンの底部端部は、カップ状部材32の上部の内部に、シールするように、スライド可能に、取り付けられている。ピストン34の頂部端部は、カップリングリング35に係合し、特に、カップリングリング35の内部にそれ自身が押し込まれている、上方でまとまった載頭円錐の外部側面34aを有している。
【0015】
リング35は、半径方向に拡張収縮可能に、形成されている。
【0016】
主ピストン27は、チューブ25と同軸の中央開口を有し、カップリングリング35は、成形された本体29の管状部材31の対応する上端部31aと同様に、前記開口を囲むピストン27の端部を受け入れることができる溝の形で、周辺環状シート36を有している。管状部材31のこの端部31は、チューブ25の軸に対して、半径方向に向いており、断面図で見て、図3の右側部分の31bによって示される、傾いた、端部を面取りした面を有している。それに対応して、カップリングリング35のシート36の底部は、断面図で見て、図3の右側部分の36aによって示される、傾いた面を有している。
【0017】
らせんスプリング37は、成形された本体29の上端部31aと内部ピストン34の軸方向低部との間に配置される。
【0018】
示されていない方法において、成形部材29は、ドライブシステムの前車軸の車輪と結合されたブレーキ要素(示していない)と一体となっている。以下でより明らかになるように、成形された本体29は、図2及び図3の左側部分に示される、対応する車輪のブレーキを無効とする、停止位置と、図2及び図3の右側部分に示される、この車輪のブレーキを生じさせる、作動位置と、の間を移動可能である。
【0019】
上記ブレーキシリンダ1は、基本的に、次のように作動する。
【0020】
[走行(ドライブ)状態]
車輌が通常の走行状態にあるときには、入口1aに加圧空気は存在せず、代わりに、入口結合体1bに加圧空気が存在する。この状態において、装置は、図2及び図3の左側部分に示される状態となる。管状ピストン34は、空気圧によって、上方へ押され、その上端部は、半径方向に拡張している状態で、上部ピストン27と成形された本体29とを互いに固定する、カップリングリング35の内部と係合している。このピストン27と本体29とによって形成された集合体は、スプリング28の作動の結果示される位置に維持される。中央スプリング33は、圧縮されている。
【0021】
[常用ブレーキ]
常用ブレーキを作動させるためには、加圧空気が入口1aに供給される。同様に、加圧空気は入口1bに供給される。常用ブレーキの間、装置は、図2の右側部分に示された配置である。ピストン27の上部に圧力が加えられると、このピストン、成形された本体29、それらの間に位置しているスプリング33、管状ピストン34、及び、スプリング37によって形成された集合体を、下方へ移動させる。成形された本体29の移動により、対応している車輪に結合されたブレーキ装置の、対応する作動を生じさせる。
【0022】
[駐車ブレーキ]
走行状態から駐車ブレーキ状態への移行は、入口1bに存在する圧力を解放することによって、行われる。入口1aには、圧力は、存在する場合もあれば、存在しない場合もある。装置1は、図3の右側部分に示された状態である。入口1bの圧力の解放により、スプリング37が、管状ピストン34を下方に押すようにし、その結果、管状ピストン34の上端部は、カップリングリング35から離れる。そして、中央スプリング33は、成形された本体29を下方に押し、成形された本体29の上端31aは、圧縮下で半径方向にへこんでいるリング35から、それ自身を解除する。リング35は、主ピストン27に依然として「固定されて」おり、本体29、管状ピストン34、及び、それらの間に配置されているスプリング37によって形成された集合体は、位置決め又は駐車ブレーキを作動させるスプリング33の作動において、下方に移動する。
【0023】
[駐車ブレーキの解除]
駐車ブレーキの解除のために、最初に、入口1aに加圧下で空気を導入する必要がある。その結果、頂部ピストン27は、それといっしょに、カップリングリング35を運ぶ、スプリング28の作動に対して、下方に移動する。ピストン27が図2の右側部分に示された位置に達すると、リング35は、管状ピストン34の載頭円錐部分の上に適合し、成形された本体29の要素31の上端31aの下部にまた係合する。この本体29はまた、主ピストン27に対して、軸方向に固定されている。この点で、入口1bは加圧されており、入口1aの圧力は解放され、主ピストン27はスプリング28の押圧により上方に戻る。そして、集合体はまた、図2及び図3の左側部分に示された状態となる。
【0024】
すでに上記で更に述べたように、リレーバルブ8の制御入口8aは、停止バルブ4を通るライン3と接続されている。図1の実施形態におけるこのバルブは、3方向で2段階位置の、通常閉のタイプであり、ライン又はパイプ3に接続された入口4aと、リレーバルブ8の制御入口8aと接続された出口と、を有している。停止バルブ4は、入口4aに接続された制御入口4bを有している。このように、バルブ4は、ライン又はパイプ3内の空気の圧力によって駆動される。入口4bを駆動する圧力が、所定の値より高いか低いと、バルブ4は各々、リレーバルブ8の入口8aに対するライン3との接続を、行ったり、行わなかったりする。
【0025】
加圧空気タンクが完全に空又はほとんど空で車輌が作動するときには、リレーバルブ8と結合された停止バルブ4は、常用ブレーキの解除を遅らせるようにする。
【0026】
図4は、定性的な観点での、リレーバルブ8を含むバルブ制御ユニット7に関して、制御圧力に対する供給圧力の特性カーブを示している。
【0027】
図5は、停止バルブ4に関して、時間に対する圧力の特性カーブを示している。
【0028】
図1に関する上記のエアブレーキシステムは、基本的に、以下の方法で機能する。
【0029】
[走行(ドライブ)状態]
この状態において、常用ブレーキのパイプ2は加圧されておらず、一方パイプ3は加圧されている。
【0030】
したがって、リレーバルブ8の出口8cは加圧されていない。ブレーキシリンダ1の入口1aは加圧されておらず、その結果入口1bは加圧されている。
【0031】
[駐車ブレーキ]
駐車時のブレーキの間、ライン又はパイプ3は解放されており、ライン又はパイプ2も同様である。
【0032】
ブレーキシリンダ1の入口1a及び1bには圧力がかかっていない。
【0033】
図6は、図1に関する上記のブレーキシステムの実施形態の変形例を示している。図6では、既に記載した部分や要素は、上記で使用したのと同じ参照番号を再度割り当てている。
【0034】
図1で示されたシステムと比較して、図6によるシステムは、基本的には、以下の点で異なっている。
【0035】
図1の停止バルブ4は、図6の4で同様に示されるように、バルブユニットに置き換えられている。バルブユニットは、2方向で2段階位置のバルブ5と、後者と平行に、逆止バルブ6を備えている。
【0036】
図6によるシステムの操作モードは、図1によるシステムのものと同様である。
【0037】
明らかに、原理の修正なしに、本発明の範囲から逸脱することなく、添付の請求の範囲に記載されているとおりに、純粋に限定されない一例として記載及び図示されたものに関して、実施形態及び構造上の詳細は、広い変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のエアブレーキシステムのダイアグラムである。
【図2】本発明のブレーキシステムに含まれるスプリングブレーキが組み込まれたブレーキシリンダの断面図である。このブレーキシリンダは、2つの異なる操作状態を示している。
【図3】図2と同様の断面図であり、2つの異なる操作状態における、スプリングブレーキが組み込まれたブレーキシリンダを示している。
【図4】本発明に関するブレーキシステムに含まれる、リレーバルブ及び加圧停止バルブの特徴を示すダイアグラムである。
【図5】本発明に関するブレーキシステムに含まれる、リレーバルブ及び加圧停止バルブの特徴を示すダイアグラムである。
【図6】本発明に関するブレーキシステムの実施形態の変形例のダイアグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常用ブレーキのための第1エアライン又はパイプ(2)と、
駐車時のブレーキのための第2エアライン又はパイプ(3)と、を有する、
業務用被けん引車のための、エアブレーキシステムであって、
エアブレーキシステムが、
車輌の少なくとも1つの車軸の各車輪に結合され、加圧空気のための第1及び第2入口(1a、1b)を有する、スプリングブレーキ(1)が組み込まれたブレーキシリンダと、
前記第2エアライン又はパイプ(3)と接続された制御入口(8a)と、前記第1エアライン又はパイプ(2)と接続された別の制御入口(8b)と、前記少なくとも1つの車軸の各車輪に結合されたブレーキシリンダ(1)の前記第1入口(1a)に接続された出口(8c)と、を有するリレーバルブ(8)を、備えるバルブ制御ユニット(7)と、
前記リレーバルブ(8)の出口(8c)及び前記第1エアブレーキライン又はパイプ(2)の、それぞれと接続された、第1及び第2入口(11a、11b)と、前記少なくとも1つの車軸の車輪の前記ブレーキシリンダ(1)の第1入口(1a)と接続された出口(11c)と、を有する2重逆止バルブ(11)と、
を備えており、
前記ブレーキシリンダ(1)は、両前記入口(1a、1b)が加圧下にあるときには、エアブレーキを実行し、前記第2入口(1b)が解放されるときには、スプリングブレーキを実行し、加圧空気が再度第2入口(1b)に供給されるときには、スプリングブレーキを解除することができる、ことを特徴とする、エアブレーキシステム。
【請求項2】
前記リレーバルブ(8)の制御入口(8a)が、前記第2エアライン又はパイプ(3)内の空気圧によって駆動される圧力停止バルブユニット(4)によって、前記第2エアライン又はパイプ(3)と接続されている、請求項1記載のエアブレーキシステム。
【請求項3】
圧力停止バルブユニット(4)が、3方向で2段階位置のバルブを備えている、請求項2記載のエアブレーキシステム。
【請求項4】
圧力停止バルブユニット(4)が、2方向で2段階位置のバルブ(5)と、平行な1方向バルブ(6)と、を備えている、請求項2記載のエアブレーキシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−502624(P2009−502624A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523516(P2008−523516)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052541
【国際公開番号】WO2007/013027
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(502224386)クノール−ブレムセ・システミ・ペル・アウトヴェイコーリ・コンメルチアリ・ソシエタ・ペル・アチオニ (2)
【氏名又は名称原語表記】KNORR−BREMSE SISTEMI PER AUTOVEICOLI COMMERCIALI SPA
【Fターム(参考)】