極端紫外光生成装置
【課題】極端紫外光生成装置において、EUV集光ミラーによってEUV光が集光される位置のずれを低減する。
【解決手段】この極端紫外光生成装置は、ターゲット物質に少なくとも1つのレーザ光を照射してターゲット物質をプラズマ化することにより極端紫外光を生成する極端紫外光生成装置であって、ターゲット物質に照射される少なくとも1つのレーザ光が入射する開口部を有するチャンバと、チャンバが搭載された基準部材と、チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するターゲット供給装置と、ターゲット供給装置によって所定の領域に供給されるターゲット物質に少なくとも1つのレーザ光を集光してターゲット物質をプラズマ化するレーザ光集光光学系と、基準部材に固定され、プラズマから放射される極端紫外光を反射して集光する集光ミラーとを備えてもよい。
【解決手段】この極端紫外光生成装置は、ターゲット物質に少なくとも1つのレーザ光を照射してターゲット物質をプラズマ化することにより極端紫外光を生成する極端紫外光生成装置であって、ターゲット物質に照射される少なくとも1つのレーザ光が入射する開口部を有するチャンバと、チャンバが搭載された基準部材と、チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するターゲット供給装置と、ターゲット供給装置によって所定の領域に供給されるターゲット物質に少なくとも1つのレーザ光を集光してターゲット物質をプラズマ化するレーザ光集光光学系と、基準部材に固定され、プラズマから放射される極端紫外光を反射して集光する集光ミラーとを備えてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外(EUV)光を生成するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度のEUV光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、軌道放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0051832号明細書
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、ターゲット物質に少なくとも1つのレーザ光を照射して前記ターゲット物質をプラズマ化することにより極端紫外光を生成するための装置であって、前記ターゲット物質に照射される前記少なくとも1つのレーザ光を導入するための開口部が設けられたチャンバと、前記チャンバが搭載された基準部材と、前記チャンバ内の所定の領域に前記ターゲット物質を供給するためのターゲット供給装置と、前記ターゲット供給装置によって前記所定の領域に供給される前記ターゲット物質に前記少なくとも1つのレーザ光を集光するためのレーザ光集光光学系と、前記基準部材に固定され、プラズマ化した前記ターゲット物質から放射される極端紫外光を集光するための集光ミラーと、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図1】図1は、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
【図2A】図2Aは、第1の実施形態に係るEUV光生成装置が露光装置に接続された状態を示す平面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示すEUV光生成装置及び露光装置のIIB−IIB面における断面図である。
【図3A】図3Aは、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の平面図である。
【図3B】図3Bは、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の断面図である。
【図4A】図4Aは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の平面図である。
【図4B】図4Bは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の側面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aに示すEUV光生成装置のIVC−IVC面における断面図である。
【図4D】図4Dは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置においてチャンバ基準部材を移動させた状態を示す平面図である。
【図4E】図4Eは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置においてチャンバ基準部材を移動させた状態を示す側面図である。
【図5A】図5Aは、EUV光生成装置にレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第4の実施形態を示す平面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。
【図6】図6は、プリパルスレーザ光が用いられる第5の実施形態に係るEUV光生成装置の断面図である。
【図7A】図7Aは、EUV光生成装置にプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第6の実施形態を示す平面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。
【図8A】図8Aは、EUV光生成装置にプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第7の実施形態を示す平面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。
【図9】図9は、レーザ光計測器の一実施形態を示す図である。
【図10】図10は、レーザ光の進行方向調整機構の動作を説明するための図である。
【図11】図11は、レーザ光の進行方向調整機構の別の実施形態を示す図である。
【実施形態】
【0007】
<内容>
1.概要
2.用語の説明
3.極端紫外光生成システムの全体説明
3.1 構成
3.2 動作
4.EUV光生成装置と露光装置
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用
5.EUV光生成装置の第2の実施形態
6.EUV光生成装置の第3の実施形態
7.EUV光生成装置にレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム
8.プリパルスレーザ光が用いられるEUV光生成装置
9.EUV光生成装置に2系統のレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム(1)
10.EUV光生成装置に2系統のレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム(2)
11.補足説明
11.1 レーザ光計測器の実施形態
11.2 レーザ光の進行方向調整機構の説明
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
1.概要
LPP式のEUV光生成装置では、チャンバ内のプラズマ生成領域にターゲット物質を供給し、ターゲット物質にレーザ光を照射してターゲット物質をプラズマ化することにより、EUV光を生成してもよい。生成されたEUV光は、チャンバ内に配置されたEUV集光ミラーによって集光され、露光装置等に供給されてもよい。しかしながら、EUV集光ミラーとレーザ光集光光学系との間の位置関係が変化すると、露光装置等に入射するEUV光の集光点の位置が変化してしまうおそれがある。
【0010】
そこで、本開示の1つの観点によれば、LPP式のEUV光生成装置において、少なくともEUV集光ミラーが、チャンバが搭載されたチャンバ基準部材に固定されてもよい。また、チャンバ内のプラズマ生成領域に供給されるターゲット物質にレーザ光を集光するためのレーザ光集光光学系が、チャンバ基準部材に固定されてもよい。さらに、レーザ光集光光学系が固定されるチャンバ基準部材に、レーザ光を導入するためのレーザ光導入光学系が固定されてもよい。あるいは、レーザ光導入光学系に供給されるレーザ光を計測するためのレーザ光計測器が、チャンバ基準部材に固定されてもよい。このような構成によれば、各光学装置の位置、角度等の安定性が改善され得る。
【0011】
2.用語の説明
本願において使用される幾つかの用語を以下に定義する。「チャンバ」は、LPP式のEUV光生成装置において、プラズマの生成が行われる空間を外部から隔絶するための容器である。「ターゲット供給装置」は、EUV光を生成するために用いられる溶融スズ等のターゲット物質をドロップレットの形状でチャンバ内に供給するための装置である。「EUV集光ミラー」は、プラズマから放射されるEUV光を反射してチャンバ外に出力するためのミラーである。
【0012】
3.極端紫外光生成システムの全体説明
3.1 構成
図1に、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。本願においては、EUV光生成装置1及びレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。図1に示し、かつ、以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置1は、チャンバ2及びターゲット供給装置26を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。ターゲット供給装置26は、例えば、チャンバ2の壁を貫通するように取り付けられてもよい。ターゲット供給装置から供給されるターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0013】
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられてもよい。その貫通孔には、ウインドウ21が設けられてもよく、ウインドウ21をレーザ装置3から出力されてレーザ光進行方向制御部34を経由したパルスレーザ光32が透過してもよい。チャンバ2の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を有し得る。EUV集光ミラー23の表面には、例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点が、プラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が、中間集光点(IF)292に位置するように配置されるのが好ましい。EUV集光ミラー23の中央部には、パルスレーザ光33を通過させるための貫通孔24が設けられてもよい。
【0014】
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御部5及びターゲットセンサ4をさらに含んでもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよく、ターゲットの存在、軌道、位置等を検出してもよい。
【0015】
さらに、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2の焦点位置に位置するように配置されてもよい。
【0016】
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光ミラー22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収部28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備えてもよい。
【0017】
3.2 動作
図1を参照に、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過してチャンバ2内に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内に進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのターゲット27に照射されてもよい。
【0018】
ターゲット供給装置26は、ターゲット27をチャンバ2内のプラズマ生成領域25に向けて出力するよう構成されてもよい。ターゲット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されてもよい。パルスレーザ光33が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射され得る。放射光251に含まれるEUV光252は、EUV集光ミラー23によって選択的に反射されてもよい。EUV集光ミラー23によって反射されたEUV光252は、中間集光点292を通って露光装置6に出力されてもよい。なお、1つのターゲット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
【0019】
EUV光生成制御部5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括するよう構成されてもよい。EUV光生成制御部5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたターゲット27のイメージデータ等を処理してもよい。また、EUV光生成制御部5は、例えば、ターゲット27を出力するタイミング、ターゲット27の出力方向等を制御するよう構成されてもよい。さらに、EUV光生成制御部5は、例えば、レーザ装置3の発振タイミング、パルスレーザ光32の進行方向、パルスレーザ光33の集光位置等を制御するよう構成されてもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
【0020】
4.EUV光生成装置と露光装置
4.1 構成
図2Aは、第1の実施形態に係るEUV光生成装置が露光装置に接続された状態を示す平面図であり、図2Bは、図2Aに示すEUV光生成装置及び露光装置のIIB−IIB面における断面図である。
【0021】
図2A及び図2Bに示すように、EUV光生成装置1は、移動機構7と、位置決め機構8と、チャンバ基準部材9と、レーザ光導入光学系35と、レーザ光集光光学系36と、レーザ光計測器37と、チャンバ2とを含んでもよい。図2Bに示す床の表面が、EUV光生成装置1及び露光装置6等が設置される基準面とされてもよい。基準面である床の表面上に設置された移動機構7によってチャンバ基準部材9が支持され、EUV光生成装置1の主要部が、移動機構7と共に、露光装置6に対して移動可能となってもよい。移動のための構造の例については、後で詳しく説明する。位置決め機構8によってチャンバ基準部材9が位置決めされて、EUV光生成装置1が露光装置6に接続されてもよい。
【0022】
図2Bに示すように、チャンバ2には、ターゲット物質に照射されるレーザ光を導入するための開口部2aが設けられ、チャンバ2は、開口部2aがチャンバ基準部材9によって覆われるように、チャンバ基準部材9上に搭載されてもよい。例えば、チャンバ基準部材9に傾斜面が形成され、チャンバ2がチャンバ基準部材9の傾斜面に固定されてもよい。
【0023】
チャンバ2には、ターゲット供給装置26(図1)が取り付けられ、チャンバ2内には、EUV集光ミラー23が配置されてもよい。ターゲット供給装置26は、チャンバ2に固定されてもよく、プラズマ生成領域25にターゲットを供給するよう構成されてもよい。
【0024】
EUV集光ミラー23は、好ましくは、EUV集光ミラーホルダ23aを介してチャンバ基準部材9に固定されてもよい。EUV集光ミラー23をチャンバ基準部材9に固定することにより、チャンバ基準部材9を基準としてEUV集光ミラー23の位置、姿勢等の精度が高められると共に、位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、露光装置6に対するチャンバ基準部材9の位置を正確に調整することにより、露光装置6に対するEUV集光ミラー23の位置も正確に調整されてもよい。
【0025】
また、レーザ光導入光学系35、レーザ光集光光学系36、及び、レーザ光計測器37等の光学素子も、チャンバ基準部材9に固定されることが好ましい。EUV集光ミラー23と同様に、レーザ光集光光学系36をチャンバ基準部材9に固定することにより、EUV集光ミラー23に対するレーザ光集光光学系36の相対的な位置、姿勢等の精度が高められると共に、位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、レーザ光集光光学系36によってレーザ光が集光される位置が、EUV集光ミラー23に対して正確に設定され得る。
【0026】
さらに、レーザ光導入光学系35をチャンバ基準部材9に固定することにより、レーザ光集光光学系36に対するレーザ光導入光学系35の相対的な位置、姿勢等の精度が高められると共に、位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、レーザ光がレーザ光集光光学系36に入射する位置が正確に設定され得る。加えて、レーザ光計測器37をチャンバ基準部材9に固定することにより、レーザ光導入光学系35に対するレーザ光計測器37の相対的な位置、姿勢等の精度が高められると共に、位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、レーザ光導入光学系35を介して供給されるレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等を正確に計測することが可能となる。
【0027】
レーザ光導入光学系35、レーザ光集光光学系36、及び、レーザ光計測器37等の光学素子を収納するために、チャンバ基準部材9は、貫通孔を介してチャンバ2の開口部2aに連通する収納室9aと、収納室9aに隣接する収納室9bとを含んでもよい。収納室9aと収納室9bとの間には、ウインドウ38が設けられてもよい。これにより、チャンバ2内の圧力が維持されると共に、チャンバ2内のガスが密閉されてもよい。例えば、収納室9a内にレーザ光集光光学系36が配置され、収納室9b内にレーザ光導入光学系35及びレーザ光計測器37が配置されてもよい。
【0028】
チャンバ基準部材9には、フレキシブル管44を介して光学ユニット42が取り付けられてもよい。光学ユニット42には、光路管41が接続されると共に、少なくとも1つの高反射ミラー43が配置されてもよい。光路管41内を、例えば、レーザ装置30(図5B)から出力されるレーザ光が光学ユニット42に向かって通過してもよい。光学ユニット42において、高反射ミラー43で、光路管41を通過したレーザ光がチャンバ基準部材9の収納室9bに向けて反射されることにより、レーザ光がレーザ光導入光学系35に供給されてもよい。
【0029】
レーザ光導入光学系35は、光学ユニット42を経由して供給されるレーザ光を、ウインドウ38を介してチャンバ基準部材9の収納室9a内に導入するよう構成されてもよい。レーザ光導入光学系35は、高反射ミラー51と、ビームスプリッタ52と、高反射ミラー53と、それらのミラー及びビームスプリッタを保持するホルダとを含んでもよい。
【0030】
高反射ミラー51は、光学ユニット42を経由して供給されるレーザ光をビームスプリッタ52に向けて反射してもよい。ビームスプリッタ52は、入射したレーザ光を高い透過率で高反射ミラー53に向けて透過させると共に、入射したレーザ光の一部をレーザ光計測器37に向けて反射してもよい。高反射ミラー53は、入射したレーザ光を、ウインドウ38及びレーザ光集光光学系36に向けて反射してもよい。
【0031】
レーザ光集光光学系36は、レーザ光導入光学系35によって収納室9a内に導入されたレーザ光が、ターゲット供給装置26(図1)からプラズマ生成領域25に供給されるターゲットに集光されるよう構成されてもよい。レーザ光集光光学系36は、高反射ミラー61と、レーザ光集光ミラー62と、それらのミラーを保持するホルダとを含んでもよい。
【0032】
高反射ミラー61は、レーザ光導入光学系35から供給されるレーザ光をレーザ光集光ミラー62に向けて反射してもよい。レーザ光集光ミラー62は、例えば、軸外放物面ミラーでよく、入射したレーザ光をプラズマ生成領域25に集光してもよい。プラズマ生成領域25において、レーザ光がターゲット物質に照射されることにより、ターゲット物質がプラズマ化し、EUV光が生成され得る。
【0033】
EUV集光ミラー23は、チャンバ2内において、EUV集光ミラーホルダ23aを介して、チャンバ基準部材9の傾斜面に固定されてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するミラーでよく、第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、第2の焦点が中間集光点(IF)292に位置するように配置されてもよい。
【0034】
露光装置6は、マスク照射部6aと、ワークピース照射部6bとを含んでもよい。マスク照射部6aは、マスクテーブルMT上のマスクにEUV光を照射するための光学系であり、複数の高反射ミラーを含む反射光学系として構成されてもよい。ワークピース照射部6bは、マスクの像をワークピーステーブルWT上のワークピース(半導体ウエハ等)に投影するための光学系であり、複数の高反射ミラーを含む反射光学系として構成されてもよい。
【0035】
4.2 動作
レーザ装置から出力されるレーザ光は、光学ユニット42の高反射ミラー43によって反射され、レーザ光導入光学系35の高反射ミラー51に入射してもよい。高反射ミラー51によって反射されたレーザ光は、ビームスプリッタ52に入射してもよい。ビームスプリッタ52に入射したレーザ光の大部分は、ビームスプリッタ52を透過して、高反射ミラー53に入射してもよい。ビームスプリッタ52に入射したレーザ光の一部は、ビームスプリッタ52によって反射され、レーザ光計測器37に入射してもよい。レーザ光計測器37は、レーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等を計測してもよい。
【0036】
高反射ミラー53によって反射されたレーザ光は、ウインドウ38を介して、レーザ光集光光学系36に入射してもよい。ウインドウ38を透過したレーザ光は、レーザ光集光光学系36の高反射ミラー61及びレーザ光集光ミラー62によって反射され、チャンバ基準部材9に形成された貫通孔を通過してチャンバ2の開口部2aに入射してもよい。さらに、開口部2aに入射したレーザ光は、EUV集光ミラー23に形成された貫通孔を通過してプラズマ生成領域25に集光されてもよい。
【0037】
プラズマ生成領域25に集光されたレーザ光は、ターゲット供給装置26から出力されてプラズマ生成領域25に供給されるターゲット物質に照射されてもよい。その結果、ターゲット物質がプラズマ化し、EUV光が生成され得る。生成されたEUV光は、EUV集光ミラー23によって中間集光点292に集光されて、露光装置6に入射してもよい。
【0038】
露光装置6において、マスク照射部6aによって、中間集光点292に集光されたEUV光が、反射光学系を介してマスクテーブルMT上のマスクに照射されてもよい。また、ワークピース照射部6bによって、マスクによって反射されたEUV光が、反射光学系を介してワークピーステーブルWT上のワークピース(半導体ウエハ等)上に結像されてもよい。ここで、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同時に平行移動させることにより、マスクのパターンがワークピース上に転写され得る。
【0039】
4.3 作用
第1の実施形態によれば、EUV集光ミラー23をチャンバ基準部材9に固定することにより、チャンバ基準部材9を基準としてEUV集光ミラー23の位置、姿勢等の精度が高められ得る。また、EUV集光ミラー23と同様に、レーザ光導入光学系35及びレーザ光集光光学系36をチャンバ基準部材9に固定することにより、EUV集光ミラー23に対するレーザ光導入光学系35及びレーザ光集光光学系36の相対的な位置、姿勢等の精度が高められ、相対的な位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、光学ユニット42を経由して供給されるレーザ光がEUV集光ミラー23の第1の焦点が位置するプラズマ生成領域25に集光される際の位置精度が向上すると共に、EUV光が中間集光点292に集光される際の位置精度が向上し得る。
【0040】
5.EUV光生成装置の第2の実施形態
図3Aは、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の平面図であり、図3Bは、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の断面図である。第2の実施形態においては、図2A及び図2Bに示す第1の実施形態における移動機構7として、複数のガイドレール71及び複数の車輪72が用いられ、位置決め機構8として、位置決めブロック81、固定プレート82、及び、ボルト又はピン83が用いられてもよい。なお、車輪72の替わりに、車輪を備えたキャスタが用いられてもよい。その他の点に関しては、第1の実施形態と同様でよい。
【0041】
図3A及び図3Bに示すように、基準面となる床上に、2本のガイドレール71が設置されてもよい。チャンバ基準部材9には、複数の車輪72が回転可能に取り付けられてもよい。それらの車輪72が2本のガイドレール71上で回転することにより、EUV光生成装置1の主要部が、露光装置6に対して移動可能となってもよい。
【0042】
このように、複数のガイドレール71及び複数の車輪72が用いられることにより、チャンバ基準部材9の移動が容易となり得る。従って、露光装置6に対するチャンバ基準部材9の位置を正確に調整することにより、露光装置6に対するEUV集光ミラー23の位置も正確に調整され得る。
【0043】
ここで、チャンバ基準部材9の露光装置側における第1の面(図中右側の正面)を位置決めブロック81に当接させることにより、チャンバ基準部材9の位置決めを行うように構成されてもよい。及び/又は、チャンバ基準部材9の第1の面と反対側の第2の面(図中左側の背面)に固定プレート82を当接させて、ボルト又はピン83によって固定プレート82をガイドレール71に固定することにより、位置決め後のチャンバ基準部材9の移動を抑制してもよい。
【0044】
6.EUV光生成装置の第3の実施形態
図4Aは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の平面図であり、図4Bは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の側面図である。また、図4Cは、図4Aに示すEUV光生成装置のIVC−IVC面における断面図である。
【0045】
第3の実施形態においては、図2A及び図2Bに示す第1の実施形態における移動機構7として、複数のガイドレール71と、複数の車輪72及び複数のエアシリンダ73を備えた台車74とが用いられてもよい。また、図2A及び図2Bに示す第1の実施形態における位置決め機構8として、位置決め台84が用いられてもよい。チャンバ基準部材9は、少なくとも3つのキネマティックマウント100を用いて位置決め台84上に配置されてもよい。さらに、図4Cに示すように、チャンバ2とチャンバ基準部材9との接続部において、Oリングシール93が用いられてもよい。その他の点に関しては、第1の実施形態と同様でよい。
【0046】
図4A及び図4Bに示すように、基準面となる床上に、2本のガイドレール71が設置されてもよい。チャンバ基準部材9は、台車74のエアシリンダ73上に載置されてもよい。台車74には、複数の車輪72が回転可能に取り付けられてもよい。それらの車輪72が2本のガイドレール71上で回転することにより、EUV光生成装置1の主要部が、露光装置6に対して移動可能となってもよい。
【0047】
第3実施形態においては、チャンバ基準部材9を位置決め台84上に配置する際に、台車74のエアシリンダ73を用いてチャンバ基準部材9を降下させてもよい。これにより、チャンバ基準部材9が、キネマティックマウント100を介して、位置決め台84によって支持されてもよい。
【0048】
キネマティックマウント100は、位置決め台84に一体化又は固定されたハウジング部材85と、チャンバ基準部材9に一体化又は固定されたハウジング部材91と、ハウジング部材85とハウジング部材91との間に配置された内部球体92とを含んでもよい。内部球体92は、ハウジング部材85とハウジング部材91との間にゴム、バネ等の弾性材を介して配置されてもよい。また、弾性部材を配さない場合には、ハウジング部材85の幾つかは、内部球体92と接する部分にV溝が構成されていてもよい。これにより、キネマティックマウント100は、位置決め台84とチャンバ基準部材9との間に生じる構造歪や熱歪等を吸収して、位置決め台84に対するチャンバ基準部材9の位置を正確に設定してもよい。
【0049】
図4Dは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置においてチャンバ基準部材を移動させた状態を示す平面図であり、図4Eは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置においてチャンバ基準部材を移動させた状態を示す側面図である。部品の交換等のためにチャンバ2を露光装置から切り離す場合には、台車74のエアシリンダ73を用いてチャンバ基準部材9を持ち上げ、ハウジング部材91及び内部球体92をハウジング部材85から分離してもよい。その後、チャンバ基準部材9を載せた台車74を水平方向(図中左方向)に移動させてもよい。この例においては、内部球体92がハウジング部材91と共に移動するようになっているが、内部球体92がハウジング部材85と共に残留するように構成されてもよい。
【0050】
7.EUV光生成装置にレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム
以下において、EUV光生成装置にレーザ光を導入するためにレーザ光の光路を制御するシステムのことを、レーザ光路制御システムという。図5Aは、レーザ光路制御システムが用いられる第4の実施形態を示す平面図であり、図5Bは、図5Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。第4の実施形態においては、レーザ装置30からEUV光生成装置1に供給されるレーザ光の光路を制御するために、レーザ光路制御システムが用いられてもよい。EUV光生成装置1は、第1〜第3の実施形態において説明したものと同様でもよい。図5Bに示すように、EUV光生成装置1がクリーンルームフロアに設置され、レーザ装置30がサブファブフロアに設置されてもよい。
【0051】
レーザ装置30から出力されるレーザ光は、複数の高反射ミラー45〜47及び43によって反射されて、EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内に供給されてもよい。高反射ミラー45及び46は、それぞれ、アクチュエータ部45b及び46bが取り付けられたミラーホルダ45a及び46aに装着されてもよい。以下において、高反射ミラー45及び46、ミラーホルダ45a及び46a、並びに、アクチュエータ部45b及び46bが構成する機構を、レーザ光の進行方向調整機構という。
【0052】
ドライバ48及び49がアクチュエータ部45b及び46bをそれぞれ駆動することにより、アクチュエータ部45b及び46bが高反射ミラー45及び46の姿勢をそれぞれ調整するよう構成されてもよい。レーザ光軸制御部39は、レーザ光計測器37の計測結果から、レーザ光の断面における中心位置等を算出してもよい。レーザ光軸制御部39が、この検出結果に基づいてドライバ48及び49を制御することにより、高反射ミラー45及び46の姿勢が制御されて、レーザ光がチャンバ基準部材9内の所定の位置に所定の角度で供給されてもよい。ここで、レーザ光計測器37、レーザ光軸制御部39、ドライバ48及び49は、レーザ光の進行方向調整機構と共に、レーザ光路制御システムを構成してもよい。
【0053】
8.プリパルスレーザ光が用いられるEUV光生成装置
図6は、プリパルスレーザ光が用いられる第5の実施形態に係るEUV光生成装置の断面図である。第5の実施形態は、プリパルスレーザ光が用いられるように第1〜第3の実施形態を変形したものであり、その他の点に関しては第1〜第3の実施形態と同様でよい。以下においては、少なくとも3つのキネマティックマウントが用いられる第3の実施形態を変形した例について説明する。
【0054】
第5の実施形態においては、1次ターゲットにプリパルスレーザ光を照射して2次ターゲットを生成し、この2次ターゲットにメインパルスレーザ光を照射してプラズマを生成する方式が用いられてもよい。例えば、プリパルスレーザ光を生成するためにYAGレーザ装置が用いられ、メインパルスレーザ光を生成するために炭酸ガス(CO2)レーザ装置が用いられてもよい。
【0055】
ドロップレット形状のターゲットの径やプリパルスレーザ光の光強度等の条件にもよるが、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射すると、プリパルスレーザ光が照射されたターゲットの表面からプリプラズマが生成され得る。プリプラズマとは、ターゲットの内で、プリパルスレーザ光が照射された表面付近の部分がイオン又は中性粒子を含む蒸気になったものをいう。このようなプリプラズマが生成される現象を、レーザアブレーションともいう。
【0056】
あるいは、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射すると、ターゲットが破壊され得る。破壊されたターゲットは、プリプラズマの噴出による反力等によって、プリパルスレーザ光の進行方向に対してほぼ同方向に拡散し得る。
【0057】
このように、ターゲットに対するプリパルスレーザ光の照射により生成されたプリプラズマ及び破壊されたターゲットの内の少なくとも一方を含むターゲットを、以下では拡散ターゲットと称する。
【0058】
次に、プリパルスレーザ光の照射により生成された拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射することにより、拡散ターゲットがプラズマ化し得る。この方式によれば、メインパルスレーザ光のみでターゲットをプラズマ化してEUV光を生成する方式よりも、デブリの発生量を抑制することができると推測される。
【0059】
図6に示すように、チャンバ基準部材9の内部には、レーザ光導入光学系35a、レーザ光集光光学系36、及び、レーザ光計測器37aが設けられてもよい。図6に示すレーザ光導入光学系35aが図4C等に示すレーザ光導入光学系35と異なる点は、メインパルスレーザ光(実線)を導入するための高反射ミラー51に加えて、プリパルスレーザ光(破線)を導入するための高反射ミラー54が追加されていることである。
【0060】
高反射ミラー54は、プリパルスレーザ光を高い反射率で反射してもよい。高反射ミラー51は、メインパルスレーザ光を高い反射率で反射してもよい。高反射ミラー54によって反射されたプリパルスレーザ光は、ビームスプリッタ52aの第1の面(図中右側の面)に入射し、高反射ミラー51によって反射されたメインパルスレーザ光は、ビームスプリッタ52aの第2の面(図中左側の面)に入射してもよい。
【0061】
ビームスプリッタ52aは、第1の面に入射したプリパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー53に向けて反射すると共に、入射したプリパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて透過させてもよい。また、ビームスプリッタ52aは、第2の面に入射したメインパルスレーザ光を高い透過率で高反射ミラー53に向けて透過させると共に、入射したメインパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて反射してもよい。
【0062】
ビームスプリッタ52aによって反射されたプリパルスレーザ光、及び、ビームスプリッタ52aを透過したメインパルスレーザ光は、高反射ミラー53に入射してもよい。高反射ミラー53は、入射したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を、ウインドウ38及びレーザ光集光光学系36に向けて高い反射率で反射してもよい。
【0063】
ビームスプリッタ52aを透過したプリパルスレーザ光、及び、ビームスプリッタ52aによって反射されたメインパルスレーザ光は、レーザ光計測器37aに入射してもよい。レーザ光計測器37aは、入射したプリパルスレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等と、入射したメインパルスレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等とを計測してもよい。ここで、レーザ光計測器37aは、プリパルスレーザ光を計測するためのプリパルスレーザ光計測器と、メインパルスレーザ光を計測するためのメインパルスレーザ光計測器とによって構成されていてもよい。
【0064】
このように、ビームスプリッタ52aによって、プリパルスレーザ光とメインパルスレーザ光とが略同一方向に進行するように調節されるので、ビームスプリッタ52aは、プリパルスレーザ光の進行方向とメインパルスレーザ光の進行方向とを一致させるビームコンバイナーとして機能してもよい。ビームスプリッタ52aの材料としては、ダイアモンドが用いられてもよい。また、ビームスプリッタ52aのプリパルスレーザ光の入射面には、プリパルスレーザ光に対して高い反射率を有し、メインパルスレーザ光に対して高い透過率を有する光学薄膜がコーティングされていてもよい。
【0065】
高反射ミラー53によって反射されたプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、ウインドウ38を介して、レーザ光集光光学系36に入射してもよい。レーザ光集光光学系36において、高反射ミラー61及びレーザ光集光ミラー62は、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を高い反射率で反射してもよい。これにより、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、ターゲット供給装置26からプラズマ生成領域25に供給されるターゲットに集光されてもよい。ターゲットにプリパルスレーザ光を照射することによって拡散ターゲットが生成され、この拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射することによってプラズマが生成され、このプラズマからEUV光が放射され得る。
【0066】
以上において、高反射ミラー51を介してプリパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内に導入され、高反射ミラー54を介してメインパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内に導入されるように構成されてもよい。その場合、ビームスプリッタ52aは、第2の面(図中左側の面)に入射したプリパルスレーザ光を高い透過率で高反射ミラー53に向けて透過させると共に、入射したプリパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて反射してもよい。また、ビームスプリッタ52aは、第1の面(図中右側の面)に入射したメインパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー53に向けて反射すると共に、入射したメインパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて透過させてもよい。
【0067】
第5の実施形態によれば、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射してから拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射する場合においても、EUV集光ミラー23をチャンバ基準部材9に固定することにより、チャンバ基準部材9を基準としてEUV集光ミラー23の位置、姿勢等の精度が高められる。また、EUV集光ミラー23と同様に、レーザ光導入光学系35a及びレーザ光集光光学系36をチャンバ基準部材9に固定することにより、EUV集光ミラー23に対するレーザ光導入光学系35a及びレーザ光集光光学系36の相対的な位置、姿勢等の精度が高められ、相対的な位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光がEUV集光ミラー23の第1の焦点が位置するプラズマ生成領域25に集光される際の位置精度が向上すると共に、EUV光が中間集光点292に集光される際の位置精度が向上し得る。
【0068】
9.EUV光生成装置に2系統のレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム(1)
図7Aは、EUV光生成装置にプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第6の実施形態を示す平面図であり、図7Bは、図7Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。第6の実施形態においては、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132からEUV光生成装置1にそれぞれ供給されるプリパルスレーザ光(破線)及びメインパルスレーザ光(実線)の光路を制御するために、レーザ光路制御システムが用いられてもよい。図7Bに示すように、EUV光生成装置1がクリーンルームフロアに設置され、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132がサブファブフロアに設置されてもよい。
【0069】
メインパルスレーザ装置132から出力されるメインパルスレーザ光は、複数の高反射ミラー45〜47及び43によって反射されて、EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内に供給されてもよい。高反射ミラー45及び46は、それぞれ、アクチュエータ部45b及び46bが取り付けられたミラーホルダ45a及び46aに装着されてもよい。ここで、高反射ミラー45及び46、ミラーホルダ45a及び46a、及び、アクチュエータ部45b及び46bは、メインパルスレーザ光の進行方向調整機構を構成してもよい。
【0070】
ドライバ(メインパルスレーザ光用)148がアクチュエータ部45b及び46bを駆動することにより、アクチュエータ部45b及び46bが高反射ミラー45及び46の姿勢をそれぞれ調整してもよい。レーザ光軸制御部39が、レーザ光計測器37aの計測結果に基づいてドライバ148を制御することにより、高反射ミラー45及び46の姿勢が制御されて、メインパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内の所定の位置に所定の角度で供給されてもよい。
【0071】
プリパルスレーザ装置131から出力されるプリパルスレーザ光は、複数の高反射ミラー145〜147及び143によって反射されて、EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内に供給されてもよい。高反射ミラー145及び146は、高反射ミラー45及び46と同様に、それぞれ、アクチュエータ部が取り付けられたミラーホルダに装着されてもよい。ここで、高反射ミラー145及び146、それらのミラーホルダ、及び、アクチュエータ部は、プリパルスレーザ光の進行方向調整機構を構成してもよい。
【0072】
ドライバ(プリパルスレーザ光用)149が高反射ミラー145及び146のアクチュエータ部を駆動することにより、それらのアクチュエータ部が高反射ミラー145及び146の姿勢をそれぞれ調整してもよい。レーザ光軸制御部39が、レーザ光計測器37aの計測結果に基づいてドライバ149を制御することにより、高反射ミラー145及び146の姿勢が制御されて、プリパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内の所定の位置に所定の角度で供給されてもよい。ここで、レーザ光計測器37a、レーザ光軸制御部39、ドライバ148及び149は、メインパルスレーザ光の進行方向調整機構及びプリパルスレーザ光の進行方向調整機構と共に、レーザ光路制御システムを構成してもよい。
【0073】
EUV光生成装置1の光学系は、第5の実施形態において説明した光学系と同様でもよい。図7Aに示すように、チャンバ基準部材9には、プリパルスレーザ光を導入するために、フレキシブル管144を介して光学ユニット142が取り付けられてもよい。光学ユニット142には、光路管141が接続されると共に、少なくとも1つの高反射ミラー143が配置されてもよい。光路管141を、プリパルスレーザ装置131(図7B)から出力されるプリパルスレーザ光が光学ユニット142に向けて通過してもよい。光学ユニット142において、高反射ミラー143が、光路管141を通過したプリパルスレーザ光をチャンバ基準部材9内の高反射ミラー54に向けて反射することにより、プリパルスレーザ光をレーザ光導入光学系に供給してもよい。
【0074】
さらに、チャンバ基準部材9には、メインパルスレーザ光を導入するために、フレキシブル管44を介して光学ユニット42が取り付けられてもよい。光学ユニット42には、光路管41が接続されると共に、少なくとも1つの高反射ミラー43が配置されてもよい。光路管41を、例えば、メインパルスレーザ装置132から出力されるメインパルスレーザ光が光学ユニット42に向けて通過してもよい。光学ユニット42において、高反射ミラー43が、光路管41を通過したメインパルスレーザ光をチャンバ基準部材9内の高反射ミラー51に向けて反射することにより、メインパルスレーザ光をレーザ光導入光学系に供給してもよい。
【0075】
10.EUV光生成装置に2系統のレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム(2)
図8Aは、EUV光生成装置にプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第7の実施形態を示す平面図であり、図8Bは、図8Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。
【0076】
第7の実施形態においては、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132を含むレーザ部130において、光路調節用ミラー133によって、プリパルスレーザ光の光路とメインパルスレーザ光の光路とが略一致するように調節されてもよい。さらに、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132からEUV光生成装置1にそれぞれ供給されるプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光の光路を制御するために、レーザ光路制御システムが用いられてもよい。図8Bに示すように、EUV光生成装置1がクリーンルームフロアに設置され、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132がサブファブフロアに設置されてもよい。
【0077】
レーザ部130に設けられた光路調節用ミラー133は、プリパルスレーザ装置131から出力されるプリパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー45に向けて反射すると共に、メインパルスレーザ装置132から出力されるメインパルスレーザ光を高い透過率で高反射ミラー45に向けて透過させる。これにより、プリパルスレーザ光の光路とメインパルスレーザ光の光路とが略一致するように調節されてもよい。また、光路調節用ミラー133は、図6におけるビームスプリッタ52aと同様の構成であってもよい。
【0078】
さらに、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、高反射ミラー45〜47及び43によって反射されて、EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内に供給されてもよい。高反射ミラー45及び46は、それぞれ、アクチュエータ部45b及び46bが取り付けられたミラーホルダ45a及び46aに装着されてもよい。ここで、高反射ミラー45及び46、ミラーホルダ45a及び46a、及び、アクチュエータ部45b及び46bは、レーザ光の進行方向調整機構を構成してもよい。
【0079】
ドライバ134がアクチュエータ部45b及び46bを駆動することにより、アクチュエータ部45b及び46bが高反射ミラー45及び46の姿勢をそれぞれ調整してもよい。レーザ光軸制御部39が、レーザ光計測器37aの計測結果に基づいてドライバ134を制御することにより、高反射ミラー45及び46の姿勢が制御されて、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内の所定の位置に所定の角度で供給されてもよい。ここで、レーザ光計測器37a、レーザ光軸制御部39、及び、ドライバ134は、レーザ光の進行方向調整機構と共に、レーザ光路制御システムを構成してもよい。
【0080】
EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内において、レーザ光導入光学系は、高反射ミラー54と、光路調節用ミラー(ビームスプリッタ)52bと、高反射ミラー53と、レーザ光計測器37aとを含んでもよい。
【0081】
高反射ミラー54は、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を高い反射率で反射してもよい。高反射ミラー54によって反射されたプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、光路調節用ミラー52bに入射してもよい。光路調節用ミラー52bは、入射したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー53に向けて反射すると共に、入射したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて透過させてもよい。
【0082】
光路調節用ミラー52bによって反射されたプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、高反射ミラー53に入射してもよい。高反射ミラー53は、入射したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を、ウインドウ38及びレーザ光集光光学系に向けて高い反射率で反射してもよい。レーザ光集光光学系以降の構成及び動作は、第5の実施形態における構成及び動作と同様でもよい。
【0083】
光路調節用ミラー52bを透過したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、レーザ光計測器37aに入射してもよい。レーザ光計測器37aは、入射したプリパルスレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等と、入射したメインパルスレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等とを計測してもよい。
【0084】
第7の実施形態によれば、レーザ部130においてプリパルスレーザ光の光路とメインパルスレーザ光の光路とが略一致するように調節されるので、第6の実施形態と比較して、レーザ部130とチャンバ基準部材9との間の光路、及び、レーザ光導入光学系の構成を簡略化することができる。
11.補足説明
11.1 レーザ光計測器の実施形態
図9は、レーザ光計測器の一実施形態を示す図である。図9に示すように、レーザ光計測器37は、ビームスプリッタ101と、レンズ102及び103と、ビームプロファイラ104及び105とを含んでもよい。ビームスプリッタ101は、ウェッジ(くさび)型の形状を有してもよく、入射するレーザ光の一部を透過させ、入射するレーザ光の他の一部を反射してもよい。
【0085】
ビームスプリッタ101を透過したレーザ光は、レンズ102を介して、ビームプロファイラ104に入射してもよい。ビームスプリッタ101によって反射されたレーザ光は、レンズ103を介して、ビームプロファイラ105に入射してもよい。図9に示すように、ビームプロファイラ104は、レンズ102の焦点とは異なる位置に配置され、レーザ光の断面強度プロファイルを計測してもよい。ビームプロファイラ105は、焦点距離Fを有するレンズ103の焦点の位置に配置され、レーザ光の集光点におけるプロファイル(ポインティング及び広がり角度)を計測してもよい。
【0086】
レーザ光の断面強度プロファイルの計測結果から、レーザ光の断面における中心位置及び大きさを算出してもよい。また、レーザ光の集光点におけるプロファイルの計測結果から、レーザ光のビームダイバージェンス(波面の曲率)及び進行方向を求めてもよい。
【0087】
11.2 レーザ光の進行方向調整機構の説明
図10は、レーザ光の進行方向調整機構の動作を説明するための図である。2つの高反射ミラー45及び46のそれぞれの姿勢角度(θx、θy)を制御することによって、レーザ光路を所望の光路となるように調整してもよい。ここで、角度θxの方向と角度θyの方向とは、互いに直交してもよい。例えば、2つの高反射ミラー45及び46がそれぞれ装着されるミラーホルダ45a及び46a(図5B)は、互いに直交する2軸を中心として物体を回転させる回転台の一種であるジンバル機構を有してもよい。
【0088】
図11は、レーザ光の進行方向調整機構の別の実施形態を示す図である。図10に示す高反射ミラー45及び46の替わりに、ウェッジ(くさび)型の形状を有し、レーザ光を透過させる2つの基板111及び112が用いられてもよい。レーザ光路に基板111及び112を配置して、レーザ光路を中心に基板111及び112を回転させることによって、レーザ光路を所望の光路となるように調節してもよい。その場合においても、基板111及び112の姿勢角度(θx、θy)を制御するために、ドライバによって駆動されるアクチュエータ部113及び114が設けられてもよい。または、このレーザ光の進行方向調整機構には図10に示す高反射ミラー45及び46を設けて、アクチュエータ部113及び114を駆動することにより、高反射ミラー45及び46の姿勢角度を制御するように構成されてもよい。
【0089】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0090】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0091】
1…EUV光生成装置、11…EUV光生成システム、2…チャンバ、2a…開口部、21…ウインドウ、22…レーザ光集光ミラー、23…EUV集光ミラー、23a…EUV集光ミラーホルダ、24…貫通孔、25…プラズマ生成領域、251、252…EUV光、26…ターゲット供給装置、27…ターゲット、28…ターゲット回収部、29…接続部、291…壁、292…中間集光点(IF)、3…レーザ装置、30…レーザ装置、31〜33…パルスレーザ光、34…レーザ光進行方向制御部、35、35a…レーザ光導入光学系、36…レーザ光集光光学系、37、37a…レーザ光計測器、38…ウインドウ、39…レーザ光軸制御部、4…ターゲットセンサ、41、141…光路管、42、142…光学ユニット、43、45〜47、143、145〜147…高反射ミラー、44、144…フレキシブル管、45a、46a…ミラーホルダ、45b、46b…アクチュエータ部、48、49、134、148、149…ドライバ、5…EUV光生成制御部、51、53、54…高反射ミラー、52、52a…ビームスプリッタ、52b、133…光路調節用ミラー、6…露光装置、6a…マスク照射部、6b…ワークピース照射部、61…高反射ミラー、62…レーザ光集光ミラー、7…移動機構、71…ガイドレール、72…車輪、73…エアシリンダ、74…台車、8…位置決め機構、81…位置決めブロック、82…固定プレート、83…ボルト又はピン、84…位置決め台、85…ハウジング部材、9…チャンバ基準部材、9a、9b…収納室、91…ハウジング部材、92…内部球体、93…Oリングシール、100…キネマティックマウント、101…ビームスプリッタ、102、103…レンズ、104、105…ビームプロファイラ、111、112…基板、113、114…アクチュエータ部、130…レーザ部、131…プリパルスレーザ装置、132…メインパルスレーザ装置
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外(EUV)光を生成するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度のEUV光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、軌道放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0051832号明細書
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、ターゲット物質に少なくとも1つのレーザ光を照射して前記ターゲット物質をプラズマ化することにより極端紫外光を生成するための装置であって、前記ターゲット物質に照射される前記少なくとも1つのレーザ光を導入するための開口部が設けられたチャンバと、前記チャンバが搭載された基準部材と、前記チャンバ内の所定の領域に前記ターゲット物質を供給するためのターゲット供給装置と、前記ターゲット供給装置によって前記所定の領域に供給される前記ターゲット物質に前記少なくとも1つのレーザ光を集光するためのレーザ光集光光学系と、前記基準部材に固定され、プラズマ化した前記ターゲット物質から放射される極端紫外光を集光するための集光ミラーと、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図1】図1は、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
【図2A】図2Aは、第1の実施形態に係るEUV光生成装置が露光装置に接続された状態を示す平面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示すEUV光生成装置及び露光装置のIIB−IIB面における断面図である。
【図3A】図3Aは、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の平面図である。
【図3B】図3Bは、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の断面図である。
【図4A】図4Aは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の平面図である。
【図4B】図4Bは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の側面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aに示すEUV光生成装置のIVC−IVC面における断面図である。
【図4D】図4Dは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置においてチャンバ基準部材を移動させた状態を示す平面図である。
【図4E】図4Eは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置においてチャンバ基準部材を移動させた状態を示す側面図である。
【図5A】図5Aは、EUV光生成装置にレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第4の実施形態を示す平面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。
【図6】図6は、プリパルスレーザ光が用いられる第5の実施形態に係るEUV光生成装置の断面図である。
【図7A】図7Aは、EUV光生成装置にプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第6の実施形態を示す平面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。
【図8A】図8Aは、EUV光生成装置にプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第7の実施形態を示す平面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。
【図9】図9は、レーザ光計測器の一実施形態を示す図である。
【図10】図10は、レーザ光の進行方向調整機構の動作を説明するための図である。
【図11】図11は、レーザ光の進行方向調整機構の別の実施形態を示す図である。
【実施形態】
【0007】
<内容>
1.概要
2.用語の説明
3.極端紫外光生成システムの全体説明
3.1 構成
3.2 動作
4.EUV光生成装置と露光装置
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用
5.EUV光生成装置の第2の実施形態
6.EUV光生成装置の第3の実施形態
7.EUV光生成装置にレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム
8.プリパルスレーザ光が用いられるEUV光生成装置
9.EUV光生成装置に2系統のレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム(1)
10.EUV光生成装置に2系統のレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム(2)
11.補足説明
11.1 レーザ光計測器の実施形態
11.2 レーザ光の進行方向調整機構の説明
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
1.概要
LPP式のEUV光生成装置では、チャンバ内のプラズマ生成領域にターゲット物質を供給し、ターゲット物質にレーザ光を照射してターゲット物質をプラズマ化することにより、EUV光を生成してもよい。生成されたEUV光は、チャンバ内に配置されたEUV集光ミラーによって集光され、露光装置等に供給されてもよい。しかしながら、EUV集光ミラーとレーザ光集光光学系との間の位置関係が変化すると、露光装置等に入射するEUV光の集光点の位置が変化してしまうおそれがある。
【0010】
そこで、本開示の1つの観点によれば、LPP式のEUV光生成装置において、少なくともEUV集光ミラーが、チャンバが搭載されたチャンバ基準部材に固定されてもよい。また、チャンバ内のプラズマ生成領域に供給されるターゲット物質にレーザ光を集光するためのレーザ光集光光学系が、チャンバ基準部材に固定されてもよい。さらに、レーザ光集光光学系が固定されるチャンバ基準部材に、レーザ光を導入するためのレーザ光導入光学系が固定されてもよい。あるいは、レーザ光導入光学系に供給されるレーザ光を計測するためのレーザ光計測器が、チャンバ基準部材に固定されてもよい。このような構成によれば、各光学装置の位置、角度等の安定性が改善され得る。
【0011】
2.用語の説明
本願において使用される幾つかの用語を以下に定義する。「チャンバ」は、LPP式のEUV光生成装置において、プラズマの生成が行われる空間を外部から隔絶するための容器である。「ターゲット供給装置」は、EUV光を生成するために用いられる溶融スズ等のターゲット物質をドロップレットの形状でチャンバ内に供給するための装置である。「EUV集光ミラー」は、プラズマから放射されるEUV光を反射してチャンバ外に出力するためのミラーである。
【0012】
3.極端紫外光生成システムの全体説明
3.1 構成
図1に、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。本願においては、EUV光生成装置1及びレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。図1に示し、かつ、以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置1は、チャンバ2及びターゲット供給装置26を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。ターゲット供給装置26は、例えば、チャンバ2の壁を貫通するように取り付けられてもよい。ターゲット供給装置から供給されるターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0013】
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられてもよい。その貫通孔には、ウインドウ21が設けられてもよく、ウインドウ21をレーザ装置3から出力されてレーザ光進行方向制御部34を経由したパルスレーザ光32が透過してもよい。チャンバ2の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を有し得る。EUV集光ミラー23の表面には、例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点が、プラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が、中間集光点(IF)292に位置するように配置されるのが好ましい。EUV集光ミラー23の中央部には、パルスレーザ光33を通過させるための貫通孔24が設けられてもよい。
【0014】
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御部5及びターゲットセンサ4をさらに含んでもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよく、ターゲットの存在、軌道、位置等を検出してもよい。
【0015】
さらに、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2の焦点位置に位置するように配置されてもよい。
【0016】
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光ミラー22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収部28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備えてもよい。
【0017】
3.2 動作
図1を参照に、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過してチャンバ2内に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内に進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのターゲット27に照射されてもよい。
【0018】
ターゲット供給装置26は、ターゲット27をチャンバ2内のプラズマ生成領域25に向けて出力するよう構成されてもよい。ターゲット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されてもよい。パルスレーザ光33が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射され得る。放射光251に含まれるEUV光252は、EUV集光ミラー23によって選択的に反射されてもよい。EUV集光ミラー23によって反射されたEUV光252は、中間集光点292を通って露光装置6に出力されてもよい。なお、1つのターゲット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
【0019】
EUV光生成制御部5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括するよう構成されてもよい。EUV光生成制御部5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたターゲット27のイメージデータ等を処理してもよい。また、EUV光生成制御部5は、例えば、ターゲット27を出力するタイミング、ターゲット27の出力方向等を制御するよう構成されてもよい。さらに、EUV光生成制御部5は、例えば、レーザ装置3の発振タイミング、パルスレーザ光32の進行方向、パルスレーザ光33の集光位置等を制御するよう構成されてもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
【0020】
4.EUV光生成装置と露光装置
4.1 構成
図2Aは、第1の実施形態に係るEUV光生成装置が露光装置に接続された状態を示す平面図であり、図2Bは、図2Aに示すEUV光生成装置及び露光装置のIIB−IIB面における断面図である。
【0021】
図2A及び図2Bに示すように、EUV光生成装置1は、移動機構7と、位置決め機構8と、チャンバ基準部材9と、レーザ光導入光学系35と、レーザ光集光光学系36と、レーザ光計測器37と、チャンバ2とを含んでもよい。図2Bに示す床の表面が、EUV光生成装置1及び露光装置6等が設置される基準面とされてもよい。基準面である床の表面上に設置された移動機構7によってチャンバ基準部材9が支持され、EUV光生成装置1の主要部が、移動機構7と共に、露光装置6に対して移動可能となってもよい。移動のための構造の例については、後で詳しく説明する。位置決め機構8によってチャンバ基準部材9が位置決めされて、EUV光生成装置1が露光装置6に接続されてもよい。
【0022】
図2Bに示すように、チャンバ2には、ターゲット物質に照射されるレーザ光を導入するための開口部2aが設けられ、チャンバ2は、開口部2aがチャンバ基準部材9によって覆われるように、チャンバ基準部材9上に搭載されてもよい。例えば、チャンバ基準部材9に傾斜面が形成され、チャンバ2がチャンバ基準部材9の傾斜面に固定されてもよい。
【0023】
チャンバ2には、ターゲット供給装置26(図1)が取り付けられ、チャンバ2内には、EUV集光ミラー23が配置されてもよい。ターゲット供給装置26は、チャンバ2に固定されてもよく、プラズマ生成領域25にターゲットを供給するよう構成されてもよい。
【0024】
EUV集光ミラー23は、好ましくは、EUV集光ミラーホルダ23aを介してチャンバ基準部材9に固定されてもよい。EUV集光ミラー23をチャンバ基準部材9に固定することにより、チャンバ基準部材9を基準としてEUV集光ミラー23の位置、姿勢等の精度が高められると共に、位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、露光装置6に対するチャンバ基準部材9の位置を正確に調整することにより、露光装置6に対するEUV集光ミラー23の位置も正確に調整されてもよい。
【0025】
また、レーザ光導入光学系35、レーザ光集光光学系36、及び、レーザ光計測器37等の光学素子も、チャンバ基準部材9に固定されることが好ましい。EUV集光ミラー23と同様に、レーザ光集光光学系36をチャンバ基準部材9に固定することにより、EUV集光ミラー23に対するレーザ光集光光学系36の相対的な位置、姿勢等の精度が高められると共に、位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、レーザ光集光光学系36によってレーザ光が集光される位置が、EUV集光ミラー23に対して正確に設定され得る。
【0026】
さらに、レーザ光導入光学系35をチャンバ基準部材9に固定することにより、レーザ光集光光学系36に対するレーザ光導入光学系35の相対的な位置、姿勢等の精度が高められると共に、位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、レーザ光がレーザ光集光光学系36に入射する位置が正確に設定され得る。加えて、レーザ光計測器37をチャンバ基準部材9に固定することにより、レーザ光導入光学系35に対するレーザ光計測器37の相対的な位置、姿勢等の精度が高められると共に、位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、レーザ光導入光学系35を介して供給されるレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等を正確に計測することが可能となる。
【0027】
レーザ光導入光学系35、レーザ光集光光学系36、及び、レーザ光計測器37等の光学素子を収納するために、チャンバ基準部材9は、貫通孔を介してチャンバ2の開口部2aに連通する収納室9aと、収納室9aに隣接する収納室9bとを含んでもよい。収納室9aと収納室9bとの間には、ウインドウ38が設けられてもよい。これにより、チャンバ2内の圧力が維持されると共に、チャンバ2内のガスが密閉されてもよい。例えば、収納室9a内にレーザ光集光光学系36が配置され、収納室9b内にレーザ光導入光学系35及びレーザ光計測器37が配置されてもよい。
【0028】
チャンバ基準部材9には、フレキシブル管44を介して光学ユニット42が取り付けられてもよい。光学ユニット42には、光路管41が接続されると共に、少なくとも1つの高反射ミラー43が配置されてもよい。光路管41内を、例えば、レーザ装置30(図5B)から出力されるレーザ光が光学ユニット42に向かって通過してもよい。光学ユニット42において、高反射ミラー43で、光路管41を通過したレーザ光がチャンバ基準部材9の収納室9bに向けて反射されることにより、レーザ光がレーザ光導入光学系35に供給されてもよい。
【0029】
レーザ光導入光学系35は、光学ユニット42を経由して供給されるレーザ光を、ウインドウ38を介してチャンバ基準部材9の収納室9a内に導入するよう構成されてもよい。レーザ光導入光学系35は、高反射ミラー51と、ビームスプリッタ52と、高反射ミラー53と、それらのミラー及びビームスプリッタを保持するホルダとを含んでもよい。
【0030】
高反射ミラー51は、光学ユニット42を経由して供給されるレーザ光をビームスプリッタ52に向けて反射してもよい。ビームスプリッタ52は、入射したレーザ光を高い透過率で高反射ミラー53に向けて透過させると共に、入射したレーザ光の一部をレーザ光計測器37に向けて反射してもよい。高反射ミラー53は、入射したレーザ光を、ウインドウ38及びレーザ光集光光学系36に向けて反射してもよい。
【0031】
レーザ光集光光学系36は、レーザ光導入光学系35によって収納室9a内に導入されたレーザ光が、ターゲット供給装置26(図1)からプラズマ生成領域25に供給されるターゲットに集光されるよう構成されてもよい。レーザ光集光光学系36は、高反射ミラー61と、レーザ光集光ミラー62と、それらのミラーを保持するホルダとを含んでもよい。
【0032】
高反射ミラー61は、レーザ光導入光学系35から供給されるレーザ光をレーザ光集光ミラー62に向けて反射してもよい。レーザ光集光ミラー62は、例えば、軸外放物面ミラーでよく、入射したレーザ光をプラズマ生成領域25に集光してもよい。プラズマ生成領域25において、レーザ光がターゲット物質に照射されることにより、ターゲット物質がプラズマ化し、EUV光が生成され得る。
【0033】
EUV集光ミラー23は、チャンバ2内において、EUV集光ミラーホルダ23aを介して、チャンバ基準部材9の傾斜面に固定されてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するミラーでよく、第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、第2の焦点が中間集光点(IF)292に位置するように配置されてもよい。
【0034】
露光装置6は、マスク照射部6aと、ワークピース照射部6bとを含んでもよい。マスク照射部6aは、マスクテーブルMT上のマスクにEUV光を照射するための光学系であり、複数の高反射ミラーを含む反射光学系として構成されてもよい。ワークピース照射部6bは、マスクの像をワークピーステーブルWT上のワークピース(半導体ウエハ等)に投影するための光学系であり、複数の高反射ミラーを含む反射光学系として構成されてもよい。
【0035】
4.2 動作
レーザ装置から出力されるレーザ光は、光学ユニット42の高反射ミラー43によって反射され、レーザ光導入光学系35の高反射ミラー51に入射してもよい。高反射ミラー51によって反射されたレーザ光は、ビームスプリッタ52に入射してもよい。ビームスプリッタ52に入射したレーザ光の大部分は、ビームスプリッタ52を透過して、高反射ミラー53に入射してもよい。ビームスプリッタ52に入射したレーザ光の一部は、ビームスプリッタ52によって反射され、レーザ光計測器37に入射してもよい。レーザ光計測器37は、レーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等を計測してもよい。
【0036】
高反射ミラー53によって反射されたレーザ光は、ウインドウ38を介して、レーザ光集光光学系36に入射してもよい。ウインドウ38を透過したレーザ光は、レーザ光集光光学系36の高反射ミラー61及びレーザ光集光ミラー62によって反射され、チャンバ基準部材9に形成された貫通孔を通過してチャンバ2の開口部2aに入射してもよい。さらに、開口部2aに入射したレーザ光は、EUV集光ミラー23に形成された貫通孔を通過してプラズマ生成領域25に集光されてもよい。
【0037】
プラズマ生成領域25に集光されたレーザ光は、ターゲット供給装置26から出力されてプラズマ生成領域25に供給されるターゲット物質に照射されてもよい。その結果、ターゲット物質がプラズマ化し、EUV光が生成され得る。生成されたEUV光は、EUV集光ミラー23によって中間集光点292に集光されて、露光装置6に入射してもよい。
【0038】
露光装置6において、マスク照射部6aによって、中間集光点292に集光されたEUV光が、反射光学系を介してマスクテーブルMT上のマスクに照射されてもよい。また、ワークピース照射部6bによって、マスクによって反射されたEUV光が、反射光学系を介してワークピーステーブルWT上のワークピース(半導体ウエハ等)上に結像されてもよい。ここで、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同時に平行移動させることにより、マスクのパターンがワークピース上に転写され得る。
【0039】
4.3 作用
第1の実施形態によれば、EUV集光ミラー23をチャンバ基準部材9に固定することにより、チャンバ基準部材9を基準としてEUV集光ミラー23の位置、姿勢等の精度が高められ得る。また、EUV集光ミラー23と同様に、レーザ光導入光学系35及びレーザ光集光光学系36をチャンバ基準部材9に固定することにより、EUV集光ミラー23に対するレーザ光導入光学系35及びレーザ光集光光学系36の相対的な位置、姿勢等の精度が高められ、相対的な位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、光学ユニット42を経由して供給されるレーザ光がEUV集光ミラー23の第1の焦点が位置するプラズマ生成領域25に集光される際の位置精度が向上すると共に、EUV光が中間集光点292に集光される際の位置精度が向上し得る。
【0040】
5.EUV光生成装置の第2の実施形態
図3Aは、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の平面図であり、図3Bは、第2の実施形態に係るEUV光生成装置の断面図である。第2の実施形態においては、図2A及び図2Bに示す第1の実施形態における移動機構7として、複数のガイドレール71及び複数の車輪72が用いられ、位置決め機構8として、位置決めブロック81、固定プレート82、及び、ボルト又はピン83が用いられてもよい。なお、車輪72の替わりに、車輪を備えたキャスタが用いられてもよい。その他の点に関しては、第1の実施形態と同様でよい。
【0041】
図3A及び図3Bに示すように、基準面となる床上に、2本のガイドレール71が設置されてもよい。チャンバ基準部材9には、複数の車輪72が回転可能に取り付けられてもよい。それらの車輪72が2本のガイドレール71上で回転することにより、EUV光生成装置1の主要部が、露光装置6に対して移動可能となってもよい。
【0042】
このように、複数のガイドレール71及び複数の車輪72が用いられることにより、チャンバ基準部材9の移動が容易となり得る。従って、露光装置6に対するチャンバ基準部材9の位置を正確に調整することにより、露光装置6に対するEUV集光ミラー23の位置も正確に調整され得る。
【0043】
ここで、チャンバ基準部材9の露光装置側における第1の面(図中右側の正面)を位置決めブロック81に当接させることにより、チャンバ基準部材9の位置決めを行うように構成されてもよい。及び/又は、チャンバ基準部材9の第1の面と反対側の第2の面(図中左側の背面)に固定プレート82を当接させて、ボルト又はピン83によって固定プレート82をガイドレール71に固定することにより、位置決め後のチャンバ基準部材9の移動を抑制してもよい。
【0044】
6.EUV光生成装置の第3の実施形態
図4Aは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の平面図であり、図4Bは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置の側面図である。また、図4Cは、図4Aに示すEUV光生成装置のIVC−IVC面における断面図である。
【0045】
第3の実施形態においては、図2A及び図2Bに示す第1の実施形態における移動機構7として、複数のガイドレール71と、複数の車輪72及び複数のエアシリンダ73を備えた台車74とが用いられてもよい。また、図2A及び図2Bに示す第1の実施形態における位置決め機構8として、位置決め台84が用いられてもよい。チャンバ基準部材9は、少なくとも3つのキネマティックマウント100を用いて位置決め台84上に配置されてもよい。さらに、図4Cに示すように、チャンバ2とチャンバ基準部材9との接続部において、Oリングシール93が用いられてもよい。その他の点に関しては、第1の実施形態と同様でよい。
【0046】
図4A及び図4Bに示すように、基準面となる床上に、2本のガイドレール71が設置されてもよい。チャンバ基準部材9は、台車74のエアシリンダ73上に載置されてもよい。台車74には、複数の車輪72が回転可能に取り付けられてもよい。それらの車輪72が2本のガイドレール71上で回転することにより、EUV光生成装置1の主要部が、露光装置6に対して移動可能となってもよい。
【0047】
第3実施形態においては、チャンバ基準部材9を位置決め台84上に配置する際に、台車74のエアシリンダ73を用いてチャンバ基準部材9を降下させてもよい。これにより、チャンバ基準部材9が、キネマティックマウント100を介して、位置決め台84によって支持されてもよい。
【0048】
キネマティックマウント100は、位置決め台84に一体化又は固定されたハウジング部材85と、チャンバ基準部材9に一体化又は固定されたハウジング部材91と、ハウジング部材85とハウジング部材91との間に配置された内部球体92とを含んでもよい。内部球体92は、ハウジング部材85とハウジング部材91との間にゴム、バネ等の弾性材を介して配置されてもよい。また、弾性部材を配さない場合には、ハウジング部材85の幾つかは、内部球体92と接する部分にV溝が構成されていてもよい。これにより、キネマティックマウント100は、位置決め台84とチャンバ基準部材9との間に生じる構造歪や熱歪等を吸収して、位置決め台84に対するチャンバ基準部材9の位置を正確に設定してもよい。
【0049】
図4Dは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置においてチャンバ基準部材を移動させた状態を示す平面図であり、図4Eは、第3の実施形態に係るEUV光生成装置においてチャンバ基準部材を移動させた状態を示す側面図である。部品の交換等のためにチャンバ2を露光装置から切り離す場合には、台車74のエアシリンダ73を用いてチャンバ基準部材9を持ち上げ、ハウジング部材91及び内部球体92をハウジング部材85から分離してもよい。その後、チャンバ基準部材9を載せた台車74を水平方向(図中左方向)に移動させてもよい。この例においては、内部球体92がハウジング部材91と共に移動するようになっているが、内部球体92がハウジング部材85と共に残留するように構成されてもよい。
【0050】
7.EUV光生成装置にレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム
以下において、EUV光生成装置にレーザ光を導入するためにレーザ光の光路を制御するシステムのことを、レーザ光路制御システムという。図5Aは、レーザ光路制御システムが用いられる第4の実施形態を示す平面図であり、図5Bは、図5Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。第4の実施形態においては、レーザ装置30からEUV光生成装置1に供給されるレーザ光の光路を制御するために、レーザ光路制御システムが用いられてもよい。EUV光生成装置1は、第1〜第3の実施形態において説明したものと同様でもよい。図5Bに示すように、EUV光生成装置1がクリーンルームフロアに設置され、レーザ装置30がサブファブフロアに設置されてもよい。
【0051】
レーザ装置30から出力されるレーザ光は、複数の高反射ミラー45〜47及び43によって反射されて、EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内に供給されてもよい。高反射ミラー45及び46は、それぞれ、アクチュエータ部45b及び46bが取り付けられたミラーホルダ45a及び46aに装着されてもよい。以下において、高反射ミラー45及び46、ミラーホルダ45a及び46a、並びに、アクチュエータ部45b及び46bが構成する機構を、レーザ光の進行方向調整機構という。
【0052】
ドライバ48及び49がアクチュエータ部45b及び46bをそれぞれ駆動することにより、アクチュエータ部45b及び46bが高反射ミラー45及び46の姿勢をそれぞれ調整するよう構成されてもよい。レーザ光軸制御部39は、レーザ光計測器37の計測結果から、レーザ光の断面における中心位置等を算出してもよい。レーザ光軸制御部39が、この検出結果に基づいてドライバ48及び49を制御することにより、高反射ミラー45及び46の姿勢が制御されて、レーザ光がチャンバ基準部材9内の所定の位置に所定の角度で供給されてもよい。ここで、レーザ光計測器37、レーザ光軸制御部39、ドライバ48及び49は、レーザ光の進行方向調整機構と共に、レーザ光路制御システムを構成してもよい。
【0053】
8.プリパルスレーザ光が用いられるEUV光生成装置
図6は、プリパルスレーザ光が用いられる第5の実施形態に係るEUV光生成装置の断面図である。第5の実施形態は、プリパルスレーザ光が用いられるように第1〜第3の実施形態を変形したものであり、その他の点に関しては第1〜第3の実施形態と同様でよい。以下においては、少なくとも3つのキネマティックマウントが用いられる第3の実施形態を変形した例について説明する。
【0054】
第5の実施形態においては、1次ターゲットにプリパルスレーザ光を照射して2次ターゲットを生成し、この2次ターゲットにメインパルスレーザ光を照射してプラズマを生成する方式が用いられてもよい。例えば、プリパルスレーザ光を生成するためにYAGレーザ装置が用いられ、メインパルスレーザ光を生成するために炭酸ガス(CO2)レーザ装置が用いられてもよい。
【0055】
ドロップレット形状のターゲットの径やプリパルスレーザ光の光強度等の条件にもよるが、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射すると、プリパルスレーザ光が照射されたターゲットの表面からプリプラズマが生成され得る。プリプラズマとは、ターゲットの内で、プリパルスレーザ光が照射された表面付近の部分がイオン又は中性粒子を含む蒸気になったものをいう。このようなプリプラズマが生成される現象を、レーザアブレーションともいう。
【0056】
あるいは、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射すると、ターゲットが破壊され得る。破壊されたターゲットは、プリプラズマの噴出による反力等によって、プリパルスレーザ光の進行方向に対してほぼ同方向に拡散し得る。
【0057】
このように、ターゲットに対するプリパルスレーザ光の照射により生成されたプリプラズマ及び破壊されたターゲットの内の少なくとも一方を含むターゲットを、以下では拡散ターゲットと称する。
【0058】
次に、プリパルスレーザ光の照射により生成された拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射することにより、拡散ターゲットがプラズマ化し得る。この方式によれば、メインパルスレーザ光のみでターゲットをプラズマ化してEUV光を生成する方式よりも、デブリの発生量を抑制することができると推測される。
【0059】
図6に示すように、チャンバ基準部材9の内部には、レーザ光導入光学系35a、レーザ光集光光学系36、及び、レーザ光計測器37aが設けられてもよい。図6に示すレーザ光導入光学系35aが図4C等に示すレーザ光導入光学系35と異なる点は、メインパルスレーザ光(実線)を導入するための高反射ミラー51に加えて、プリパルスレーザ光(破線)を導入するための高反射ミラー54が追加されていることである。
【0060】
高反射ミラー54は、プリパルスレーザ光を高い反射率で反射してもよい。高反射ミラー51は、メインパルスレーザ光を高い反射率で反射してもよい。高反射ミラー54によって反射されたプリパルスレーザ光は、ビームスプリッタ52aの第1の面(図中右側の面)に入射し、高反射ミラー51によって反射されたメインパルスレーザ光は、ビームスプリッタ52aの第2の面(図中左側の面)に入射してもよい。
【0061】
ビームスプリッタ52aは、第1の面に入射したプリパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー53に向けて反射すると共に、入射したプリパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて透過させてもよい。また、ビームスプリッタ52aは、第2の面に入射したメインパルスレーザ光を高い透過率で高反射ミラー53に向けて透過させると共に、入射したメインパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて反射してもよい。
【0062】
ビームスプリッタ52aによって反射されたプリパルスレーザ光、及び、ビームスプリッタ52aを透過したメインパルスレーザ光は、高反射ミラー53に入射してもよい。高反射ミラー53は、入射したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を、ウインドウ38及びレーザ光集光光学系36に向けて高い反射率で反射してもよい。
【0063】
ビームスプリッタ52aを透過したプリパルスレーザ光、及び、ビームスプリッタ52aによって反射されたメインパルスレーザ光は、レーザ光計測器37aに入射してもよい。レーザ光計測器37aは、入射したプリパルスレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等と、入射したメインパルスレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等とを計測してもよい。ここで、レーザ光計測器37aは、プリパルスレーザ光を計測するためのプリパルスレーザ光計測器と、メインパルスレーザ光を計測するためのメインパルスレーザ光計測器とによって構成されていてもよい。
【0064】
このように、ビームスプリッタ52aによって、プリパルスレーザ光とメインパルスレーザ光とが略同一方向に進行するように調節されるので、ビームスプリッタ52aは、プリパルスレーザ光の進行方向とメインパルスレーザ光の進行方向とを一致させるビームコンバイナーとして機能してもよい。ビームスプリッタ52aの材料としては、ダイアモンドが用いられてもよい。また、ビームスプリッタ52aのプリパルスレーザ光の入射面には、プリパルスレーザ光に対して高い反射率を有し、メインパルスレーザ光に対して高い透過率を有する光学薄膜がコーティングされていてもよい。
【0065】
高反射ミラー53によって反射されたプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、ウインドウ38を介して、レーザ光集光光学系36に入射してもよい。レーザ光集光光学系36において、高反射ミラー61及びレーザ光集光ミラー62は、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を高い反射率で反射してもよい。これにより、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、ターゲット供給装置26からプラズマ生成領域25に供給されるターゲットに集光されてもよい。ターゲットにプリパルスレーザ光を照射することによって拡散ターゲットが生成され、この拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射することによってプラズマが生成され、このプラズマからEUV光が放射され得る。
【0066】
以上において、高反射ミラー51を介してプリパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内に導入され、高反射ミラー54を介してメインパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内に導入されるように構成されてもよい。その場合、ビームスプリッタ52aは、第2の面(図中左側の面)に入射したプリパルスレーザ光を高い透過率で高反射ミラー53に向けて透過させると共に、入射したプリパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて反射してもよい。また、ビームスプリッタ52aは、第1の面(図中右側の面)に入射したメインパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー53に向けて反射すると共に、入射したメインパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて透過させてもよい。
【0067】
第5の実施形態によれば、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射してから拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射する場合においても、EUV集光ミラー23をチャンバ基準部材9に固定することにより、チャンバ基準部材9を基準としてEUV集光ミラー23の位置、姿勢等の精度が高められる。また、EUV集光ミラー23と同様に、レーザ光導入光学系35a及びレーザ光集光光学系36をチャンバ基準部材9に固定することにより、EUV集光ミラー23に対するレーザ光導入光学系35a及びレーザ光集光光学系36の相対的な位置、姿勢等の精度が高められ、相対的な位置、姿勢等の変動が抑制され得る。従って、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光がEUV集光ミラー23の第1の焦点が位置するプラズマ生成領域25に集光される際の位置精度が向上すると共に、EUV光が中間集光点292に集光される際の位置精度が向上し得る。
【0068】
9.EUV光生成装置に2系統のレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム(1)
図7Aは、EUV光生成装置にプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第6の実施形態を示す平面図であり、図7Bは、図7Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。第6の実施形態においては、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132からEUV光生成装置1にそれぞれ供給されるプリパルスレーザ光(破線)及びメインパルスレーザ光(実線)の光路を制御するために、レーザ光路制御システムが用いられてもよい。図7Bに示すように、EUV光生成装置1がクリーンルームフロアに設置され、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132がサブファブフロアに設置されてもよい。
【0069】
メインパルスレーザ装置132から出力されるメインパルスレーザ光は、複数の高反射ミラー45〜47及び43によって反射されて、EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内に供給されてもよい。高反射ミラー45及び46は、それぞれ、アクチュエータ部45b及び46bが取り付けられたミラーホルダ45a及び46aに装着されてもよい。ここで、高反射ミラー45及び46、ミラーホルダ45a及び46a、及び、アクチュエータ部45b及び46bは、メインパルスレーザ光の進行方向調整機構を構成してもよい。
【0070】
ドライバ(メインパルスレーザ光用)148がアクチュエータ部45b及び46bを駆動することにより、アクチュエータ部45b及び46bが高反射ミラー45及び46の姿勢をそれぞれ調整してもよい。レーザ光軸制御部39が、レーザ光計測器37aの計測結果に基づいてドライバ148を制御することにより、高反射ミラー45及び46の姿勢が制御されて、メインパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内の所定の位置に所定の角度で供給されてもよい。
【0071】
プリパルスレーザ装置131から出力されるプリパルスレーザ光は、複数の高反射ミラー145〜147及び143によって反射されて、EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内に供給されてもよい。高反射ミラー145及び146は、高反射ミラー45及び46と同様に、それぞれ、アクチュエータ部が取り付けられたミラーホルダに装着されてもよい。ここで、高反射ミラー145及び146、それらのミラーホルダ、及び、アクチュエータ部は、プリパルスレーザ光の進行方向調整機構を構成してもよい。
【0072】
ドライバ(プリパルスレーザ光用)149が高反射ミラー145及び146のアクチュエータ部を駆動することにより、それらのアクチュエータ部が高反射ミラー145及び146の姿勢をそれぞれ調整してもよい。レーザ光軸制御部39が、レーザ光計測器37aの計測結果に基づいてドライバ149を制御することにより、高反射ミラー145及び146の姿勢が制御されて、プリパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内の所定の位置に所定の角度で供給されてもよい。ここで、レーザ光計測器37a、レーザ光軸制御部39、ドライバ148及び149は、メインパルスレーザ光の進行方向調整機構及びプリパルスレーザ光の進行方向調整機構と共に、レーザ光路制御システムを構成してもよい。
【0073】
EUV光生成装置1の光学系は、第5の実施形態において説明した光学系と同様でもよい。図7Aに示すように、チャンバ基準部材9には、プリパルスレーザ光を導入するために、フレキシブル管144を介して光学ユニット142が取り付けられてもよい。光学ユニット142には、光路管141が接続されると共に、少なくとも1つの高反射ミラー143が配置されてもよい。光路管141を、プリパルスレーザ装置131(図7B)から出力されるプリパルスレーザ光が光学ユニット142に向けて通過してもよい。光学ユニット142において、高反射ミラー143が、光路管141を通過したプリパルスレーザ光をチャンバ基準部材9内の高反射ミラー54に向けて反射することにより、プリパルスレーザ光をレーザ光導入光学系に供給してもよい。
【0074】
さらに、チャンバ基準部材9には、メインパルスレーザ光を導入するために、フレキシブル管44を介して光学ユニット42が取り付けられてもよい。光学ユニット42には、光路管41が接続されると共に、少なくとも1つの高反射ミラー43が配置されてもよい。光路管41を、例えば、メインパルスレーザ装置132から出力されるメインパルスレーザ光が光学ユニット42に向けて通過してもよい。光学ユニット42において、高反射ミラー43が、光路管41を通過したメインパルスレーザ光をチャンバ基準部材9内の高反射ミラー51に向けて反射することにより、メインパルスレーザ光をレーザ光導入光学系に供給してもよい。
【0075】
10.EUV光生成装置に2系統のレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システム(2)
図8Aは、EUV光生成装置にプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を導入するためのレーザ光路制御システムが用いられる第7の実施形態を示す平面図であり、図8Bは、図8Aに示すEUV光生成装置及びレーザ光路制御システムの断面図である。
【0076】
第7の実施形態においては、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132を含むレーザ部130において、光路調節用ミラー133によって、プリパルスレーザ光の光路とメインパルスレーザ光の光路とが略一致するように調節されてもよい。さらに、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132からEUV光生成装置1にそれぞれ供給されるプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光の光路を制御するために、レーザ光路制御システムが用いられてもよい。図8Bに示すように、EUV光生成装置1がクリーンルームフロアに設置され、プリパルスレーザ装置131及びメインパルスレーザ装置132がサブファブフロアに設置されてもよい。
【0077】
レーザ部130に設けられた光路調節用ミラー133は、プリパルスレーザ装置131から出力されるプリパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー45に向けて反射すると共に、メインパルスレーザ装置132から出力されるメインパルスレーザ光を高い透過率で高反射ミラー45に向けて透過させる。これにより、プリパルスレーザ光の光路とメインパルスレーザ光の光路とが略一致するように調節されてもよい。また、光路調節用ミラー133は、図6におけるビームスプリッタ52aと同様の構成であってもよい。
【0078】
さらに、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、高反射ミラー45〜47及び43によって反射されて、EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内に供給されてもよい。高反射ミラー45及び46は、それぞれ、アクチュエータ部45b及び46bが取り付けられたミラーホルダ45a及び46aに装着されてもよい。ここで、高反射ミラー45及び46、ミラーホルダ45a及び46a、及び、アクチュエータ部45b及び46bは、レーザ光の進行方向調整機構を構成してもよい。
【0079】
ドライバ134がアクチュエータ部45b及び46bを駆動することにより、アクチュエータ部45b及び46bが高反射ミラー45及び46の姿勢をそれぞれ調整してもよい。レーザ光軸制御部39が、レーザ光計測器37aの計測結果に基づいてドライバ134を制御することにより、高反射ミラー45及び46の姿勢が制御されて、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光がチャンバ基準部材9内の所定の位置に所定の角度で供給されてもよい。ここで、レーザ光計測器37a、レーザ光軸制御部39、及び、ドライバ134は、レーザ光の進行方向調整機構と共に、レーザ光路制御システムを構成してもよい。
【0080】
EUV光生成装置1のチャンバ基準部材9内において、レーザ光導入光学系は、高反射ミラー54と、光路調節用ミラー(ビームスプリッタ)52bと、高反射ミラー53と、レーザ光計測器37aとを含んでもよい。
【0081】
高反射ミラー54は、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を高い反射率で反射してもよい。高反射ミラー54によって反射されたプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、光路調節用ミラー52bに入射してもよい。光路調節用ミラー52bは、入射したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー53に向けて反射すると共に、入射したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光の一部をレーザ光計測器37aに向けて透過させてもよい。
【0082】
光路調節用ミラー52bによって反射されたプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、高反射ミラー53に入射してもよい。高反射ミラー53は、入射したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光を、ウインドウ38及びレーザ光集光光学系に向けて高い反射率で反射してもよい。レーザ光集光光学系以降の構成及び動作は、第5の実施形態における構成及び動作と同様でもよい。
【0083】
光路調節用ミラー52bを透過したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、レーザ光計測器37aに入射してもよい。レーザ光計測器37aは、入射したプリパルスレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等と、入射したメインパルスレーザ光の断面強度プロファイル、ポインティング、広がり角度等とを計測してもよい。
【0084】
第7の実施形態によれば、レーザ部130においてプリパルスレーザ光の光路とメインパルスレーザ光の光路とが略一致するように調節されるので、第6の実施形態と比較して、レーザ部130とチャンバ基準部材9との間の光路、及び、レーザ光導入光学系の構成を簡略化することができる。
11.補足説明
11.1 レーザ光計測器の実施形態
図9は、レーザ光計測器の一実施形態を示す図である。図9に示すように、レーザ光計測器37は、ビームスプリッタ101と、レンズ102及び103と、ビームプロファイラ104及び105とを含んでもよい。ビームスプリッタ101は、ウェッジ(くさび)型の形状を有してもよく、入射するレーザ光の一部を透過させ、入射するレーザ光の他の一部を反射してもよい。
【0085】
ビームスプリッタ101を透過したレーザ光は、レンズ102を介して、ビームプロファイラ104に入射してもよい。ビームスプリッタ101によって反射されたレーザ光は、レンズ103を介して、ビームプロファイラ105に入射してもよい。図9に示すように、ビームプロファイラ104は、レンズ102の焦点とは異なる位置に配置され、レーザ光の断面強度プロファイルを計測してもよい。ビームプロファイラ105は、焦点距離Fを有するレンズ103の焦点の位置に配置され、レーザ光の集光点におけるプロファイル(ポインティング及び広がり角度)を計測してもよい。
【0086】
レーザ光の断面強度プロファイルの計測結果から、レーザ光の断面における中心位置及び大きさを算出してもよい。また、レーザ光の集光点におけるプロファイルの計測結果から、レーザ光のビームダイバージェンス(波面の曲率)及び進行方向を求めてもよい。
【0087】
11.2 レーザ光の進行方向調整機構の説明
図10は、レーザ光の進行方向調整機構の動作を説明するための図である。2つの高反射ミラー45及び46のそれぞれの姿勢角度(θx、θy)を制御することによって、レーザ光路を所望の光路となるように調整してもよい。ここで、角度θxの方向と角度θyの方向とは、互いに直交してもよい。例えば、2つの高反射ミラー45及び46がそれぞれ装着されるミラーホルダ45a及び46a(図5B)は、互いに直交する2軸を中心として物体を回転させる回転台の一種であるジンバル機構を有してもよい。
【0088】
図11は、レーザ光の進行方向調整機構の別の実施形態を示す図である。図10に示す高反射ミラー45及び46の替わりに、ウェッジ(くさび)型の形状を有し、レーザ光を透過させる2つの基板111及び112が用いられてもよい。レーザ光路に基板111及び112を配置して、レーザ光路を中心に基板111及び112を回転させることによって、レーザ光路を所望の光路となるように調節してもよい。その場合においても、基板111及び112の姿勢角度(θx、θy)を制御するために、ドライバによって駆動されるアクチュエータ部113及び114が設けられてもよい。または、このレーザ光の進行方向調整機構には図10に示す高反射ミラー45及び46を設けて、アクチュエータ部113及び114を駆動することにより、高反射ミラー45及び46の姿勢角度を制御するように構成されてもよい。
【0089】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0090】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0091】
1…EUV光生成装置、11…EUV光生成システム、2…チャンバ、2a…開口部、21…ウインドウ、22…レーザ光集光ミラー、23…EUV集光ミラー、23a…EUV集光ミラーホルダ、24…貫通孔、25…プラズマ生成領域、251、252…EUV光、26…ターゲット供給装置、27…ターゲット、28…ターゲット回収部、29…接続部、291…壁、292…中間集光点(IF)、3…レーザ装置、30…レーザ装置、31〜33…パルスレーザ光、34…レーザ光進行方向制御部、35、35a…レーザ光導入光学系、36…レーザ光集光光学系、37、37a…レーザ光計測器、38…ウインドウ、39…レーザ光軸制御部、4…ターゲットセンサ、41、141…光路管、42、142…光学ユニット、43、45〜47、143、145〜147…高反射ミラー、44、144…フレキシブル管、45a、46a…ミラーホルダ、45b、46b…アクチュエータ部、48、49、134、148、149…ドライバ、5…EUV光生成制御部、51、53、54…高反射ミラー、52、52a…ビームスプリッタ、52b、133…光路調節用ミラー、6…露光装置、6a…マスク照射部、6b…ワークピース照射部、61…高反射ミラー、62…レーザ光集光ミラー、7…移動機構、71…ガイドレール、72…車輪、73…エアシリンダ、74…台車、8…位置決め機構、81…位置決めブロック、82…固定プレート、83…ボルト又はピン、84…位置決め台、85…ハウジング部材、9…チャンバ基準部材、9a、9b…収納室、91…ハウジング部材、92…内部球体、93…Oリングシール、100…キネマティックマウント、101…ビームスプリッタ、102、103…レンズ、104、105…ビームプロファイラ、111、112…基板、113、114…アクチュエータ部、130…レーザ部、131…プリパルスレーザ装置、132…メインパルスレーザ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット物質に少なくとも1つのレーザ光を照射して前記ターゲット物質をプラズマ化することにより極端紫外光を生成するための装置であって、
前記ターゲット物質に照射される前記少なくとも1つのレーザ光を導入するための開口部が設けられたチャンバと、
前記チャンバが搭載された基準部材と、
前記チャンバ内の所定の領域に前記ターゲット物質を供給するためのターゲット供給装置と、
前記ターゲット供給装置によって前記所定の領域に供給される前記ターゲット物質に前記少なくとも1つのレーザ光を集光するためのレーザ光集光光学系と、
前記基準部材に固定され、プラズマ化した前記ターゲット物質から放射される極端紫外光を集光するための集光ミラーと、
を備える装置。
【請求項2】
前記レーザ光集光光学系が、前記基準部材に固定されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記基準部材が、貫通孔を介して前記チャンバの前記開口部に連通する第1の収納室を含み、前記レーザ光集光光学系が、前記第1の収納室内に設けられる、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記基準部材に固定され、外部から供給される少なくとも1つのレーザ光を、前記第1の収納室内に導入するためのレーザ光導入光学系をさらに備える、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記基準部材が、ウインドウを介して前記第1の収納室に隣接する第2の収納室を含み、前記レーザ光導入光学系が、前記第2の収納室内に設けられる、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記基準部材に固定され、前記レーザ光導入光学系に供給される前記少なくとも1つのレーザ光を計測するための計測器をさらに備える、請求項4記載の装置。
【請求項7】
前記基準部材が、前記基準部材を配置するために用いられる少なくとも3つのキネマティックマウントのハウジング部材を含む、請求項1記載の装置。
【請求項1】
ターゲット物質に少なくとも1つのレーザ光を照射して前記ターゲット物質をプラズマ化することにより極端紫外光を生成するための装置であって、
前記ターゲット物質に照射される前記少なくとも1つのレーザ光を導入するための開口部が設けられたチャンバと、
前記チャンバが搭載された基準部材と、
前記チャンバ内の所定の領域に前記ターゲット物質を供給するためのターゲット供給装置と、
前記ターゲット供給装置によって前記所定の領域に供給される前記ターゲット物質に前記少なくとも1つのレーザ光を集光するためのレーザ光集光光学系と、
前記基準部材に固定され、プラズマ化した前記ターゲット物質から放射される極端紫外光を集光するための集光ミラーと、
を備える装置。
【請求項2】
前記レーザ光集光光学系が、前記基準部材に固定されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記基準部材が、貫通孔を介して前記チャンバの前記開口部に連通する第1の収納室を含み、前記レーザ光集光光学系が、前記第1の収納室内に設けられる、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記基準部材に固定され、外部から供給される少なくとも1つのレーザ光を、前記第1の収納室内に導入するためのレーザ光導入光学系をさらに備える、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記基準部材が、ウインドウを介して前記第1の収納室に隣接する第2の収納室を含み、前記レーザ光導入光学系が、前記第2の収納室内に設けられる、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記基準部材に固定され、前記レーザ光導入光学系に供給される前記少なくとも1つのレーザ光を計測するための計測器をさらに備える、請求項4記載の装置。
【請求項7】
前記基準部材が、前記基準部材を配置するために用いられる少なくとも3つのキネマティックマウントのハウジング部材を含む、請求項1記載の装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−69655(P2013−69655A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1052(P2012−1052)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]