説明

極細繊維把持装置、把持方法および極細繊維試験装置

【課題】ナノファイバー等の極細繊維の試料を容易に作成できる。
【解決手段】スライダ機構上で、プラント針57、58の中心がほぼ一致した状態で、プラント針57および58の先端が密着される。ガイド用ワイヤを上部ホルダ108、プラント針57、58、下部ホルダ109を貫通させる。その後、ガイド用ワイヤの一端に試料繊維の先端を接着し、ガイド用ワイヤを引っ張り、試料繊維を貫通させる。試料繊維をプラント針57および58のそれぞれの先端に接着し、ガイド用ワイヤおよび不要な試料繊維を切断して除去する。試料繊維が取り付けられ、ホルダ連結具によってホルダが連結された把持装置がスライダ機構51から取り外されて試験装置に対して装着される。試験装置に装着後にホルダ連結具が取り外される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、極細繊維例えばナノファイバーの力学的試験を行うために使用される極細繊維把持装置、把持方法および極細繊維試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナノファイバーは、直径が数nm〜数100nm、長さが直径の100倍以上のファイバー状物質と定義されている。かかる繊維径がマイクロ・ナノスケールのナノファイバー(極細繊維)は、先進材料として注目され、さまざまな産業分野で利用されてきている。例えばエンジンフィルタ、超軽量多機能防災のファブリック、抗菌マスク、半導体クリーンルーム用フィルタ、電子デバイス材料、人工血管や人工筋などを製造するための再生医療用培地等で利用されている。
【0003】
ナノファイバーの使用環境は、大気中だけにとどまらず、液中でも使用されるので、各環境下における長寿命化が求められている。したがって、ナノファイバーの力学的特性
(引っ張り、摩擦、曲げ等に対する強度評価)を高精度に測定することが望まれている。具体的には、JIS(Japan Industrial Standard)規格において、繊維に関する引っ張り
強度試験法が規定されている。この強度試験法を実施するための試料の作成が必要とされる。
【0004】
従来の試験方法として、複数のナノファイバーをまとめて試料としたり、表面に樹脂を被覆して強度を増したものを試料とすることが知られている。しかしながら、1本のナノファイバーの力学的特性を正確に測定することが困難であった。例えば下記の特許文献1には、1本のナノファイバーの力学的特性を測定することができる試験装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−085737号公報
【0006】
特許文献1に記載の装置では、上部クランプおよび下部クランプのそれぞれの細孔にナノファイバーの両端を挿入し、接着剤で固定することによって、試験装置に対してナノファイバーを取り付けている。
【0007】
しかしながら、極細のナノファイバーをクランプに固定する作業は、面倒であり、取り付け作業中にナノファイバーが切断したりする問題があった。特に、真っ直ぐでないくせを持ったナノファイバーを取り付けるのは大変であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、予め把持装置例えば台紙に対して試料のナノファイバーを固定し、台紙を試験装置に取り付ける方法が知られている。台紙を使用する方法は、ナノファイバーを直接上部クランプおよび下部クランプに取り付ける方法に比してナノファイバーを固定する作業がより容易となる。しかしながら、ナノファイバーの両端の固定位置を結ぶ方向が試験装置の引っ張り方向と完全に一致するように、ナノファイバーの両端を台紙に固定する作業が面倒であった。さらに、試験中に接着部においてナノファイバーLが破断してしまう問題があった。
【0009】
したがって、この発明の目的は、台紙を使用することなく、簡単な作業で、試料用極細繊維を試験装置に固定できる極細繊維把持装置、把持方法および極細繊維試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、この発明は、中心に第1の貫通孔を有する円筒状の第1のホルダと、
第1の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、第1のホルダの端面に設けられた第1の針と、
中心に第2の貫通孔を有する円筒状の第2のホルダと、
第2の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、第2のホルダの端面に設けられた第2の針と、
第1および第2の針の中心がほぼ一致した状態でもって、第1および第2のホルダの少なくとも一方をスライド自在に保持するスライダ機構と、
第1および第2の針の先端間の距離を一定に保持した状態で、第1および第2のホルダを連結するホルダ連結具とを備え、
スライダ機構によって第1および第2の針の先端を近接させた状態でもって、第1の貫通孔、第1の針の中心孔、第2の針の中心孔、および第2の貫通孔を試料用極細繊維を通過させ、
第1および第2のホルダの一方を設定距離スライドさせ、ホルダ連結具でもって第1および第2のホルダを連結し、試料用極細繊維を第1および第2の針の先端にそれぞれ接着し、試料用極細繊維の接着後に連結された第1および第2のホルダを試験装置に装着し、
試験装置に装着後にホルダ連結具を取り外すことを特徴とする極細繊維把持装置である。
【0011】
この発明は、中心に第1の貫通孔を有する円筒状の第1のホルダと、
第1の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、第1のホルダの端面に設けられた第1の針と、
中心に第2の貫通孔を有する円筒状の第2のホルダと、
第2の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、第2のホルダの端面に設けられた第2の針と、
第1および第2の針の中心がほぼ一致した状態でもって、第1および第2のホルダの少なくとも一方をスライド自在に保持するスライダ機構と、
第1および第2の針の先端間の距離を一定に保持した状態で、第1および第2のホルダを連結するホルダ連結具とを使用し、
スライダ機構によって第1および第2の針の先端を近接させた状態でもって、第1の貫通孔、第1の針の中心孔、第2の針の中心孔、および第2の貫通孔を試料用極細繊維を通過させ、
第1および第2のホルダの一方を設定距離スライドさせ、ホルダ連結具でもって第1および第2のホルダを連結し、試料用極細繊維を第1および第2の針の先端にそれぞれ接着し、試料用極細繊維の接着後に連結された第1および第2のホルダを試験装置に装着し、
試験装置に装着後にホルダ連結具を取り外すことを特徴とする極細繊維把持方法である。
【0012】
この発明は、中心に第1の貫通孔を有する円筒状の第1のホルダと、
第1の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、第1のホルダの端面に設けられた第1の針と、
中心に第2の貫通孔を有する円筒状の第2のホルダと、
第2の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、第2のホルダの端面に設けられた第2の針と、
第1および第2の針の先端間に固定された試料用極細繊維に対して、引っ張り力を与える駆動部と、
試料用極細繊維に引っ張り力が与えられる時の荷重変化を測定する測定手段とを備え、
試料用極細繊維を第1および第2のホルダに把持する把持装置は、
第1および第2の針の中心がほぼ一致した状態でもって、第1および第2のホルダの少なくとも一方をスライド自在に保持するスライダ機構と、
第1および第2の針の先端間の距離を一定に保持した状態で、第1および第2のホルダを連結するホルダ連結具とを備え、
スライダ機構によって第1および第2の針の先端を近接させた状態でもって、第1の貫通孔、第1の針の中心孔、第2の針の中心孔、および第2の貫通孔を試料用極細繊維を通過させ、
第1および第2のホルダの一方を設定距離スライドさせ、ホルダ連結具でもって第1および第2のホルダを連結し、試料用極細繊維を第1および第2の針の先端にそれぞれ接着し、試料用極細繊維の接着後に連結された第1および第2のホルダを試験装置に装着し、
試験装置に装着後にホルダ連結具を取り外すことを特徴とする極細繊維試験装置である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、予め水平状態で試料用極細繊維の両端を試験装置の針の先端間に固定することができ、試料用極細繊維の取り付け作業が簡単となり、取り付け精度を高くすることができる。さらに、この発明は、くせのある試料用極細繊維であっても、針の中空部を通すことによって、真っ直ぐに取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、以下に説明する一実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0015】
<一実施の形態>
「試験装置の概略的構成」
この発明によるナノファイバー把持装置を適用できる試験装置について、図1を参照して説明する。図1に示すように、試験装置本体101には、荷重センサー例えば電子天秤が収納されている。電子天秤は、0.01mg程度(または0.1mg以上)の分解能を有する。電子天秤に限らず、同程度の分解能を有する荷重センサーを使用しても良い。図示しないが、電源を供給する電源コードが本体101から導出され、パーソナルコンピュータと接続するためのインターフェース例えばRS−232Cインターフェースが本体101に対して接続されている。
【0016】
試験装置本体101に対して一対の支柱102aおよび102bが所定の間隔の位置に垂直に設けられ、支柱102aおよび102bの先端の間に梁103がかけ渡されている。梁310の下部に取り付け板104が設けられる。取り付け板104の下側に電子天秤の秤量面上のマグネット部105が配されている。秤量面上のマグネット部105は、マグネットの磁力で載置された把持装置107の下部ホルダ109を固定するようになされている。
【0017】
秤量面上のマグネット部105の上方に位置するように、取り付け板104の下部に上下方向に変位する可動部106(昇降ステージ)が取り付けられる。可動部106は、駆動源としてのモータを有する。可動部106が有するバイス部によって把持装置107の第1のホルダとしての上部ホルダ108が固定される。上部ホルダ108が可動部106によって上下方向に所定の速度で変位される。可動部106は、パーソナルコンピュータによってリモートコントロール可能とされ、パーソナルコンピュータにインストールされたプログラムにしたがって、可動部106の昇降動作がなされる。
【0018】
上部ホルダ108は、貫通孔を有する円筒状のもので、その端面の中心に取り付け用の針57が設けられている。第2のホルダとしての下部ホルダ109は、上部ホルダ108と同様に、貫通孔を有する円筒状のもので、その端面の中心に針58が設けられている。針57および58としては、例えば注射針(ブラント針)を使用できる。上部ホルダ108の貫通孔と針57の中心孔とが連続して通じている。下部ホルダ109の貫通孔と針58の中心孔とが連続して通じている。
【0019】
上部ホルダ108が有する針57の中心の延長線と、下部ホルダ109が有する針58の中心の延長線とが一致される。針57および針58に対して試料用ナノファイバー110の両端がそれぞれ固定される。把持装置107、並びに把持装置107に対するナノファイバー110の固定方法の詳細については、後述する。
【0020】
試験装置本体101の前面パネル111に対して電源スイッチ112等のスイッチが設けられている。前面パネル111に測定された荷重の数値を表示する表示部を設けても良い。
【0021】
図2は、試験装置による測定結果の一例である。例えば試料として炭素繊維(繊維径:5.3μm)を使用した。試験の条件は、試料長が25mm、引っ張り速度が10μm/s
である。上部ホルダ108を上方向に変位させ、試料が引っ張られるにしたがって、荷重が変化する。そして、試料が破断した時に、荷重が急激に変化する。この試験によって試料の引っ張り強度を試験できる。さらに、変位−荷重のカーブの傾きから試料の弾性率を測定することができる。よりさらに、応力緩和およびクリープを試験することが可能である。
【0022】
「把持装置」
図3に示すように、把持装置107は、試験装置に装着する前にスライダ機構51上に水平状態に置かれて試料110を固定するようになされる。スライダ機構51は、平行するレール52aおよび52bによってスライドブロック53がスライド自在に支持され、固定ブロック54とスライドブロック53との間の距離が任意に設定可能とされている。針57および58の中心がほぼ一致した状態で、固定ブロック54に上部ホルダ108が置かれ、スライドブロック53上に下部ホルダ109が置かれる。
【0023】
上部ホルダ108および下部ホルダ109がニードルアダプタソケット55および56をそれぞれ有する。ニードルアダプタソケット55および56のそれぞれの重量が所定の値とされている。下部ホルダ109のニードルアダプタソケット56の重量は、試料繊維を引っ張った時に、少なくとも、試料繊維が破断するまで浮かび上がらないように選定される。ニードルアダプタソケット55および56の対向する面にそれぞれ注射針状の針57および58が突出されている。
【0024】
図4、図5および図8に示すように、針57および58がニードルアダプタ59および60にそれぞれねじ込みで取り付けられ、ニードルアダプタ59および60がニードルアダプタソケット55および56にそれぞれねじ込みで取り付けられる。スライダ機構51上において、針57および58の互いの中心が一致するようになされている。
【0025】
ニードルアダプタソケット55および56には、それぞれOリング61および62が設けられている。Oリング61および62は、液中試験用のスリーブ63の内周面と密着し、液漏れを防止するためのものである。スリーブ63は、例えば透明なアクリル樹脂製の円筒である。試料取り付け時、並びに液中試験を行わない時には、図1、図5、図6等に示すように、ニードルアダプタソケット55に設けられたOリング61によって、係止されている。液中試験時には、図11に示すように、ニードルアダプタソケット56に設けられたOリング62によって、係止されるように、下げられる。
【0026】
針57および58のそれぞれの先端に試料繊維の両端が固定される。試料繊維の長さとして複数の長さが可能とされている。例えば25mm、15mm、10mm、5mmの試料長が設定可能とされている。複数の試料長の設定を可能とするために、図4に示すように、ニードルアダプタ59の後面側にエクステンション64が配置される。
【0027】
エクステンション64は、ニードルアダプタ59の後面の凸部と嵌合する凹部65と、ニードルアダプタソケット55の中心の中空孔に嵌合する凸部66とを有している。凸部66を除くエクステンション64の全長Lによって所望の試料長を設定するようになされている。
【0028】
エクステンション64を使用しない場合には、図5に示すように、針57および58の先端間の距離、すなわち、試料繊維110の長さが最大の25mmとされる。図6Aに示すように、(L=10mm)のエクステンション64aを使用することによって、試料長を15mmに設定できる。図6Bに示すように、(L=15mm)のエクステンション64bを使用することによって、試料長を10mmに設定できる。(L=20mm)のエクステンション64cを使用することによって、試料長を5mmに設定できる。
【0029】
「把持装置107に対する試料繊維の取り付け手順」
最初に、図3に示すように、スライダ機構51のスライドブロック53に下部ホルダ109の基部を取り付け、固定ブロック54に上部ホルダ108の基部を取り付ける。これらのスライドブロック53および固定ブロック54には、段差等による位置決め機構が設けられており、取り付けが完了した状態で、針57の中心の延長方向および針58の中心の延長方向が一致するようになされる。所望の試料長に応じてエクステンション64が適宜使用される。
【0030】
次に、スライドブロック53を固定ブロック54に近づけるようにスライドさせ、針57および58の先端が密着される。この状態において、極細ワイヤ、ピアノ線等のガイド用ワイヤを上部ホルダ108の貫通孔、針57の中心孔、針58の中心孔、下部ホルダ109の貫通孔を貫通させる。その後、ガイド用ワイヤの一端に試料繊維の先端をシアノアクリレート、紫外線硬化樹脂等で接着する。ガイド用ワイヤを貫通させる前に試料繊維を接着しても良い。
【0031】
試料繊維の接着完了後、ガイド用ワイヤを引っ張り、試料繊維を上部ホルダ108の貫通孔、針57の中心孔、針58の中心孔、下部ホルダ56の貫通孔を通過させる。次に、スライドブロック53を固定ブロック54から離れる方向に、最大の移動位置まで移動させる。エクステンション64a,64b,64cを使用しているので、試料長にかかわらず、上部ホルダ108と下部ホルダ109との間隔を一定とでき、最大の移動位置が一定となる。
【0032】
その後、試料繊維を針57および58のそれぞれの先端に接着し、ガイド用ワイヤおよび不要な試料繊維を切断して除去する。試験装置に対して把持装置を取り付ける時に、試料繊維が破断するおそれを防止するために、針57および58のそれぞれの先端に接着された試料繊維が多少の弛みを持つようにしても良い。
【0033】
このように、試料繊維が取り付けられた把持装置をスライダ機構51から取り外して試験装置に対して装着する。この場合、図7に示すように、上部ホルダ108の両側面と、下部ホルダ109の両側面との間に、ホルダ連結具67aおよび67bが取り付けられる。ホルダ連結具67aおよび67bは、板状のもので、ボルト68a,68bおよび69a,69bによって、上部ホルダ108の側面および下部ホルダ109の側面に固定されている。ボルト68a,68bおよび69a,69bは、例えばローレット付きボルトである。
【0034】
ホルダ連結具67aおよび67bによって、上部ホルダ108と下部ホルダ109とが一体化される。上述したように、エクステンション64a,64b,64cを使用して複数の試料長に対応しているので、試料長が異なっても1種類の長さのホルダ連結具67aおよび67bを使用すれば良い。ホルダ連結具67aおよび67bによって、針57,58および試料繊維が一直線上に位置した状態が保持され、この状態を保ったままで、把持装置を試験装置に装着できる。
【0035】
図8は、把持装置107を構成する部品を分解して示す。上述したように、把持装置107は、上部ホルダ108および下部ホルダ109からなる。針57がニードルアダプタ59に取り付けられ、ニードルアダプタ59がニードルアダプタソケット61に取り付けられる。ニードルアダプタソケット61に透明なスリーブ63が係止されており、液中試験時には、下方に下げられ、下部ホルダ109に係止される。
【0036】
針58がニードルアダプタ60に取り付けられ、ニードルアダプタ60がニードルアダプタソケット62に取り付けられる。針57および58の先端間に試料繊維を取り付ける作業は、スライダ機構上で行われる。試料繊維の取り付けが完了すると、上部ホルダ108および下部ホルダ109がホルダ連結具67a,67b,68a,68bによって連結される。連結状態でもって試験装置に対して装着される。
【0037】
図9に示すように、秤量面上のマグネット部105の所定位置に下部ホルダ109の底面を載置する。図示しないが、下部ホルダ109の底面を位置決めするための突起等がマグネット部105に形成されている。その後、上下方向可動部によって、上下方向可動部に取り付けられたバイス部70を下降させ、万力部によって固定する。最後にホルダ連結具67aおよび67bを取り外す。
【0038】
ホルダ連結具が取り外された状態が図10に示される。さらに、液中試験を行う場合には、図11に示すように、スリーブ63が下部ホルダ109のOリング62に係止される位置まで下降してからホルダ連結具67aおよび67bが取り外される。そして、スリーブ63内に試験用の液体が注入され、試験繊維110が液中に浸される。
【0039】
「変形例」
上述したこの発明の一実施の形態では、針内に試料繊維を引き込むのにガイド用ワイヤを使用した。代わりに、針の先端を密着させて上部ホルダまたは下部ホルダの孔から空気吸入を行い、流入空気によって試料繊維を針内に導入する方法を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明を適用できる試験装置の一例の概略的説明に使用する斜視図である。
【図2】試験装置による試験結果の一例を示すグラフである。
【図3】この発明の一実施の形態におけるスライダ機構およびホルダをスライダ機構上に載せた状態を示す斜視図である。
【図4】この発明の一実施の形態における針の取り付け構成を示す斜視図である。
【図5】この発明の一実施の形態における上部ホルダ、下部ホルダおよび針の取り付け構成を示す断面図である。
【図6】この発明の一実施の形態における上部ホルダ、下部ホルダ、針およびエクステンションの取り付け構成を示す断面図である。
【図7】この発明の一実施の形態におけるスライダ機構上で上部ホルダおよび下部ホルダを連結した状態を示す斜視図である。
【図8】この発明の一実施の形態における上部ホルダ、下部ホルダ、針、スリーブ、およびホルダ連結具を分解して示す斜視図である。
【図9】試料繊維を取り付けた把持装置を試験装置に取り付ける時の状態を示す斜視図である。
【図10】試料繊維を取り付けた把持装置を試験装置に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】試料繊維を取り付けた把持装置を試験装置に取り付け、液中試験を行う場合の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
51・・・スライダ機構
57、58・・・針
61、62・・・Oリング
64a、64b、64c・・・エクステンション
67a、67b・・・ホルダ連結具
101・・・試験装置本体
105・・・秤量面上のマグネット部
107・・・把持装置
108・・・上部ホルダ
109・・・下部ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に第1の貫通孔を有する円筒状の第1のホルダと、
上記第1の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、上記第1のホルダの端面に設けられた第1の針と、
中心に第2の貫通孔を有する円筒状の第2のホルダと、
上記第2の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、上記第2のホルダの端面に設けられた第2の針と、
上記第1および第2の針の中心がほぼ一致した状態でもって、上記第1および第2のホルダの少なくとも一方をスライド自在に保持するスライダ機構と、
上記第1および第2の針の先端間の距離を一定に保持した状態で、上記第1および第2のホルダを連結するホルダ連結具とを備え、
上記スライダ機構によって上記第1および第2の針の先端を近接させた状態でもって、上記第1の貫通孔、上記第1の針の中心孔、上記第2の針の中心孔、および上記第2の貫通孔を試料用極細繊維を通過させ、
上記第1および第2のホルダの一方を設定距離スライドさせ、上記ホルダ連結具でもって上記第1および第2のホルダを連結し、上記第1および第2の針の先端にそれぞれ上記試料用極細繊維を接着し、
上記試料用極細繊維の接着後に連結された上記第1および第2のホルダを試験装置に装着し、
上記試験装置に装着後に上記ホルダ連結具を取り外すことを特徴とする極細繊維把持装置。
【請求項2】
上記第1および第2の針と上記第1および第2のホルダとの間に異なる長さのエクステンションを配することによって、上記第1および第2のホルダの間隔を一定としたままで上記試料用極細繊維の長さを変更する請求項1記載の極細繊維把持装置。
【請求項3】
上記試料用極細繊維の一端をガイド用線の一端に取り付け、上記スライダ機構によって上記第1および第2の針の先端を近接させた状態でもって、上記ガイド用線および上記極細繊維を上記第1の貫通孔、上記第1の針の中心孔、上記第2の針の中心孔、および上記第2の貫通孔を通過させて試料用極細繊維を通過させる請求項1記載の極細繊維把持装置。
【請求項4】
中心に第1の貫通孔を有する円筒状の第1のホルダと、
上記第1の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、上記第1のホルダの端面に設けられた第1の針と、
中心に第2の貫通孔を有する円筒状の第2のホルダと、
上記第2の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、上記第2のホルダの端面に設けられた第2の針と、
上記第1および第2の針の中心がほぼ一致した状態でもって、上記第1および第2のホルダの少なくとも一方をスライド自在に保持するスライダ機構と、
上記第1および第2の針の先端間の距離を一定に保持した状態で、上記第1および第2のホルダを連結するホルダ連結具とを使用し、
上記スライダ機構によって上記第1および第2の針の先端を近接させた状態でもって、上記第1の貫通孔、上記第1の針の中心孔、上記第2の針の中心孔、および上記第2の貫通孔を試料用極細繊維を通過させ、
上記第1および第2のホルダの一方を設定距離スライドさせ、上記ホルダ連結具でもって上記第1および第2のホルダを連結し、上記第1および第2の針の先端にそれぞれ上記試料用極細繊維を接着し、
上記試料用極細繊維の接着後に連結された上記第1および第2のホルダを試験装置に装着し、
上記試験装置に装着後に上記ホルダ連結具を取り外すことを特徴とする極細繊維把持方法。
【請求項5】
上記第1および第2の針と上記第1および第2のホルダとの間に異なる長さのエクステンションを配することによって、上記第1および第2のホルダの間隔を一定としたままで上記試料用極細繊維の長さを変更する請求項1記載の極細繊維把持方法。
【請求項6】
上記試料用極細繊維の一端をガイド用線の一端に取り付け、上記スライダ機構によって上記第1および第2の針の先端を近接させた状態でもって、上記ガイド用線および上記極細繊維を上記第1の貫通孔、上記第1の針の中心孔、上記第2の針の中心孔、および上記第2の貫通孔を通過させて試料用極細繊維を通過させる請求項1記載の極細繊維把持方法。
【請求項7】
中心に第1の貫通孔を有する円筒状の第1のホルダと、
上記第1の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、上記第1のホルダの端面に設けられた第1の針と、
中心に第2の貫通孔を有する円筒状の第2のホルダと、
上記第2の貫通孔とその中心孔が連続して通じるように、上記第2のホルダの端面に設けられた第2の針と、
上記第1および第2の針の先端間に固定された試料用極細繊維に対して、引っ張り力を与える駆動部と、
上記試料用極細繊維に引っ張り力が与えられる時の荷重変化を測定する測定手段とを備え、
上記試料用極細繊維を上記第1および第2のホルダに把持する把持装置は、
上記第1および第2の針の中心がほぼ一致した状態でもって、上記第1および第2のホルダの少なくとも一方をスライド自在に保持するスライダ機構と、
上記第1および第2の針の先端間の距離を一定に保持した状態で、上記第1および第2のホルダを連結するホルダ連結具とを備え、
上記スライダ機構によって上記第1および第2の針の先端を近接させた状態でもって、上記第1の貫通孔、上記第1の針の中心孔、上記第2の針の中心孔、および上記第2の貫通孔を試料用極細繊維を通過させ、
上記第1および第2のホルダの一方を設定距離スライドさせ、上記ホルダ連結具でもって上記第1および第2のホルダを連結し、上記第1および第2の針の先端にそれぞれ上記試料用極細繊維を接着し、
上記試料用極細繊維の接着後に連結された上記第1および第2のホルダを試験装置に装着し、
上記試験装置に装着後に上記ホルダ連結具を取り外すことを特徴とする極細繊維試験装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate