説明

楽曲配信システム、楽曲編集装置、楽曲再生装置、楽曲記憶装置およびプログラム

【課題】オーディオ信号が再生される条件やオーディオ信号の再生の態様に合わせて、各オーディオ信号間のバランスをコントロールすることを可能とする技術を提供する。
【解決手段】カラオケ楽曲配信サーバから配信された楽曲データに含まれる各パートの演奏データ(パート信号S1〜6)の各々について、以下のような処理が別々に施される。すなわち、チャンネル選択部111において指示されたパート信号Sが除去(マイナスワン)され、イコライザ113では周波数特性が変換され、コンプレッサ115では圧縮され、アンプ116では信号レベルが調整される。その結果、楽曲データに含まれる各パートのバランス、および楽曲間でのバランスが歌唱者の所望の態様に調整された楽曲データを生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲配信システム、楽曲編集装置、楽曲再生装置、楽曲記憶装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音楽放送などのオーディオ配信においては、配信側で複数のチャンネルのオーディオ信号を配信する技術が知られている。その場合、チャンネル数が2のステレオのオーディオ信号を配信する技術に加え、チャンネル数が3以上のマルチチャンネルのオーディオ信号を配信する技術も知られている。
さて、配信されるオーディオ信号は、楽曲のジャンル(ロック、ジャズ、演歌…)によって、各楽曲で平均的な音量や音質などが異なる。また、1つの楽曲中においても、楽曲の進行に伴う楽器構成の変化などにより、各チャンネルのオーディオ信号の音量や音質などが異なる。その結果、楽曲間やチャンネル間でオーディオ信号の音量や音質などがアンバランスであることに起因する違和感を聴取者に生じさせることがある。
【0003】
そのため、ジャンルが異なる楽曲を連続して配信する場合や、複数のチャンネルのオーディオ信号を配信する場合には、楽曲間やチャンネル間でオーディオ信号の音量や音質のバランスを取るための処理である「マスタリング」が必要であった。
【0004】
さて、特許文献1には、低音を不必要にカットしたり再生音の歪み感を増加させたりすることなく、小口径のスピーカ等で再生する場合においても音量感を増加させることができ、聴感上の音質を向上させることが可能な音響信号処理装置が開示されている。
【特許文献1】特開2007−104407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1にも示されているように、従来のマスタリングにおいては、各チャンネルのオーディオ信号は、「配信側が想定した条件」で単純にミックスされて聴取されることを想定してマスタリングされていた。この場合、「配信側が想定した条件」とは、所定の音響特性を有する空間において、所定の特性を有する再生装置で該オーディオ信号が再生される、との条件を意味する。
【0006】
従って、「配信側が想定した条件」において上記マスタリングされたオーディオ信号が再生された場合には、配信側が意図した通りの印象を聴取者に与える。しかし、上記オーディオ信号が再生される条件によっては、配信側の意図とは異なる印象を聴取者に与えることがあった。
【0007】
例えば、上記オーディオ信号を室内で再生する場合と屋外で再生する場合とでは、各チャンネルのオーディオ信号は異なる音響特性の変化を受けることから、それら複数のチャンネルのオーディオ信号をまとめて聴取した場合に、チャンネル間でオーディオ信号の音量や音質などのバランスが崩れてしまうことがあった。また、上記オーディオ信号を放音するスピーカの特性(振動板面積や振幅など)によっても、チャンネル間でオーディオ信号の音量や音質などがアンバランスになってしまうことがあった。
【0008】
また、複数のチャンネルのオーディオ信号がそれぞれ異なるタイプの音(歌唱音声・種々の楽器の演奏音)を表すマルチチャンネルの楽曲を配信する場合、楽曲に含まれる複数のチャンネルのオーディオ信号から特定のチャンネルのオーディオ信号を除いて再生する、所謂マイナスワンを実現する技術が知られている。該マイナスワンが実現された場合、マイナスワンされていない他のチャンネルのオーディオ信号間でバランスが崩れてしまうことがあり、マイナスワンされるチャンネルや該チャンネルをマイナスワンするタイミングと連動して、他のチャンネル間でオーディオ信号の音量や音質のバランスをダイナミックに変化させることが望まれていた。例えば、間奏部分においては歌唱音声のパートが抜けることから、他のパートをもっと大きな音量で聞きたい、などの要望である。しかし従来の楽曲配信の態様では、そのような要望に応えることは出来なかった。
【0009】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、オーディオ信号が再生される条件やオーディオ信号の再生の態様に合わせて、各オーディオ信号間のバランスをコントロールすることを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る楽曲配信システムは、楽曲配信サーバ、および楽曲受信装置を有する楽曲配信システムであって、前記楽曲配信サーバは、前記楽曲受信装置から特定の楽曲データを指定する楽曲指定データを受信する受信手段と、楽曲データを供給する供給手段と、前記受信手段が受信した楽曲指定データにより指定された楽曲データを前記供給手段から供給を受け出力する出力手段とを有し、前記楽曲受信装置は、前記楽曲指定データを前記楽曲配信サーバに送信する送信手段と、前記出力手段から出力された楽曲データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定の増幅率で各演奏データを増幅するアンプと、前記アンプにおける増幅率を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、前記アンプがレベルを調整した前記各パートの演奏データを再生する再生手段とを有することを特徴とする。
なお、上記の構成において、前記楽曲受信装置は、前記各演奏データと該各演奏データの増幅に係る増幅率とが対応付けて書き込まれたテンプレートを複数記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記各テンプレートのいずれかを選択する選択手段とを有し、前記指定手段は、前記アンプにおける各演奏データの増幅に係る増幅率を、前記選択手段により選択されたテンプレートに書き込まれた増幅率に基づいて指定しても良い。
【0011】
また、本発明に係る楽曲配信システムは、楽曲配信サーバ、および楽曲受信装置を有する楽曲配信システムであって、前記楽曲配信サーバは、前記楽曲受信装置から特定の楽曲データを指定する楽曲指定データを受信する受信手段と、楽曲データを供給する供給手段と、前記受信手段が受信した楽曲指定データにより指定された楽曲データを前記供給手段から供給を受け出力する出力手段とを有し、前記楽曲受信装置は、前記楽曲指定データを前記楽曲配信サーバに送信する送信手段と、前記出力手段から出力された楽曲データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、周波数特性を変換するイコライザと、前記イコライザにおいて、周波数ごとのゲインを各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、前記イコライザが周波数特性を変換した前記各パートの演奏データを再生する再生手段とを有することを特徴とする。
なお、上記の構成において、前記楽曲受信装置は、前記各演奏データと周波数ごとのゲインとが対応付けて書き込まれたテンプレートを複数記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記各テンプレートのいずれかを選択する選択手段とを有し、前記指定手段は、前記イコライザにおける各演奏データの周波数特性の変換に係るパラメータを、前記選択手段により選択されたテンプレートに書き込まれた周波数ごとのゲインに基づいて指定しても良い。
【0012】
また、本発明に係る楽曲配信システムは、楽曲配信サーバ、および楽曲受信装置を有する楽曲配信システムであって、前記楽曲配信サーバは、前記楽曲受信装置から特定の楽曲データを指定する楽曲指定データを受信する受信手段と、楽曲データを供給する供給手段と、前記受信手段が受信した楽曲指定データにより指定された楽曲データを前記供給手段から供給を受け出力する出力手段とを有し、前記楽曲受信装置は、前記楽曲指定データを前記楽曲配信サーバに送信する送信手段と、前記出力手段から出力された楽曲データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定のパラメータに従って各演奏データを圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサにおける圧縮の態様を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、前記コンプレッサが圧縮した前記各パートの演奏データを再生する再生手段とを有することを特徴とする。
なお、上記の構成において、前記楽曲受信装置は、前記各演奏データと該各演奏データの圧縮に係るパラメータ値とが対応付けて書き込まれたテンプレートを複数記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記各テンプレートのいずれかを選択する選択手段とを有し、前記指定手段は、前記コンプレッサにおける各演奏データの圧縮に係るパラメータを、前記選択手段により選択されたテンプレートに書き込まれたパラメータ値に基づいて指定しても良い。
【0013】
また、本発明に係る楽曲配信システムは、上記の構成において、前記楽曲配信サーバは、収音し、対応する信号を生成する1または複数の収音手段を有し、前記供給手段は、前記収音手段が生成した信号を供給しても良い。
また、本発明に係る楽曲配信システムは、上記の構成において、前記楽曲配信サーバは、1または複数のパートを含む楽曲データを記憶する記憶手段を有し、前記供給手段は、前記記憶手段から読み出した楽曲データを供給しても良い。
また、本発明に係る楽曲配信システムは、上記の構成において、前記楽曲配信サーバは、ユーザの操作により楽音信号を生成する1または複数の電子楽器を有し、前記供給手段は、前記電子楽器が生成した信号を供給しても良い。
【0014】
本発明に係る楽曲編集装置は、楽曲データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定の増幅率で増幅するアンプと、前記アンプにおける増幅率を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、前記アンプにより増幅された各演奏データを出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る楽曲編集装置は、楽曲データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、周波数特性を変換するイコライザと、前記イコライザにおいて、各周波数ごとのゲインを各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、前記イコライザにより周波数特性が変換された各演奏データを出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る楽曲編集装置は、楽曲データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定のパラメータに従って圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサにおける圧縮の態様を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、前記コンプレッサにより圧縮された各演奏データを出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る楽曲再生装置は、上記いずれかに記載の楽曲編集装置と、前記出力手段により出力された各パートの演奏データを再生する再生手段とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る楽曲記憶装置は、上記いずれかに記載の楽曲編集装置と、前記出力手段により出力された各パートの演奏データを記憶する記憶手段とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、楽曲データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定の増幅率で増幅するアンプと、前記アンプにおける増幅率を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、前記アンプにより増幅された各演奏データを出力する出力手段として機能させることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、楽曲データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、周波数特性を変換するイコライザと、前記イコライザにおいて、各周波数ごとのゲインを各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、前記イコライザにより周波数特性が変換された各演奏データを出力する出力手段として機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、楽曲データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定のパラメータに従って圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサにおける圧縮の態様を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、前記コンプレッサにより圧縮された各演奏データを出力する出力手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る楽曲配信システム、楽曲編集装置、楽曲再生装置、楽曲記憶装置およびプログラムによれば、オーディオ信号が再生される条件やオーディオ信号の再生の態様に合わせて、各オーディオ信号間のバランスをコントロールすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、本発明の一実施形態に係る楽曲配信システムについて説明する。楽曲配信システムは、楽曲が聴取される際の各種条件に応じて楽曲データをマスタリングし、該楽曲データを配信するシステムである。
【0024】
(A:構成)
(A−1:全体構成)
図1は、楽曲配信システム1の全体構成を示した図である。楽曲配信システム1は、受信装置10−1、10−2、10−3と、配信装置20と、それらの通信装置を接続する通信網30とを有する。受信装置10−1、10−2、10−3は、例えば、それぞれ別のカラオケボックスに設置された通信カラオケ端末であり、配信装置20は、該通信カラオケ端末に楽曲データを配信するカラオケ楽曲配信サーバである。受信装置10−1、10−2、10−3は互いに同じ構成を有し、以下の説明において互いに区別する必要がない場合には、受信装置10と総称する。
【0025】
(A−2:データ通信)
通信網30は例えばインターネット網であり、受信装置10と配信装置20の間で所定の通信プロトコルに従って行われるデータ通信を仲介する。本実施形態で用いられている通信プロトコルは、アプリケーション層の通信プロトコルとしては、RTP(Real-time Transport Protocol)が用いられており、トランスポート層の通信プロトコルとしては、UDP(User Datagram Protocol)が用いられており、ネットワーク層の通信プロトコルとしてはIP(Internet Protocol)が用いられている。受信装置10−1、10−2、10−3、および配信装置20には、IPアドレスが割り振られており、通信網30において一元的に識別される。
【0026】
なお、RTPとは、音声データや映像データをend-to-endでリアルタイムに送受信する通信サービスを提供するための通信プロトコルであり、その詳細はRFC1889に規定されている。RTPにおいては、RTPパケットを生成し送受信することにより上記通信装置同士でデータの授受が行われる。
【0027】
図2に示すように、RTPパケットは、IPにおけるデータ転送単位であるパケットやTCPにおけるデータ転送単位であるセグメントと同様に、ヘッダ部とペイロード部とで構成されている。ヘッダ部には、タイムスタンプ、送信元識別子および送信先識別子の3種類のデータが書き込まれる。ここで、タイムスタンプとは、時刻(例えば、受信装置10と配信装置20がデータ通信を開始してから経過した時間)を示すデータである。また、送信元識別子および送信先識別子には、上記各通信装置に割り振られたIPアドレスが用いられる。ペイロード部には、所定時間(本実施形態では20ミリ秒)分の音声データが書き込まれる。
【0028】
(A−3:受信装置10)
次に、受信装置10の構成を図3を参照して説明する。
CPU(Central Processing Unit)11は、ROM(Read Only Memory)12に記憶されている制御プログラムを読み出して、RAM(Random Access Memory)13をワーキングエリアとして実行することにより、受信装置10の各部を制御する。またRAM13は、CPU11が実行するマスタリングに係る各種パラメータを記憶し、CPU11はRAM13に書き込まれたパラメータ値に基づいて各種処理を実行する。
【0029】
操作部14は、楽曲に関する各種のリクエストを入力するためのリモコンや、配信装置20から配信された楽曲のマスタリングに係る各種設定を行うためのキーボードやマウスである。上記リモコンは、楽曲を選択するための数字ボタンや、選択した楽曲を歌唱を付けて再生させる(通常演奏)か、歌唱を抜いて再生させる(カラオケ伴奏)か、を選択するための歌唱ミュートボタンを有する。操作部14は、操作された内容を表す操作信号をCPU11へ出力する。
【0030】
表示部15は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置であり、CPU11の制御の下で、楽曲の歌詞を背景画像にオーバーラップさせたカラオケ画面や、楽曲データのマスタリングに係る各種設定を行うための操作画面を表示する。
【0031】
図4は、表示部15に表示された操作画面の一例を示した図である。操作画面は、後述する複数の信号(図中S1〜6で表す)のマスタリングに係る各種パラメータを調整するための複数の操作子からなる。図4には、上記複数の信号のうち1つの信号(S1)についての操作画面が示されている。同図に示すように、操作画面は、イコライザ操作部15A、コンプレッサ操作部15B、およびアンプ操作部15Cの3つの操作部を有する。
【0032】
イコライザ操作部15Aには、処理の対象となる信号をイコライザによりイコライジングする際のパラメータ(周波数ごとのゲイン)が示されている。
コンプレッサ操作部15Bには、処理の対象となる信号をコンプレッサにより圧縮する際のパラメータ(スレッショルド、レシオ、アタックタイム、リリースタイムの4つのパラメータ)が示されている。なお、スレッショルドとは、圧縮を行うレベル(dB)の閾値である。レシオとは、スレッショルドを超える音を圧縮する割合である。アタックタイムとは、入力された信号がスレッショルドを超えてからレシオで決められた割合に圧縮されるまでの時間である。リリースタイムとは、入力された信号が再びスレッショルド以下になってから圧縮が止むまでの時間である。
アンプ操作部15Cには、処理の対象となる信号をアンプにより増幅する際のパラメータ(増幅率)が示されている。
【0033】
以上の操作部において、各パラメータ値を調整するスライダは、操作部14のマウスにより操作されるポインタ151で操作可能であり、各パラメータ値は、ポインタ151により操作された値へ調整される。表示部15において設定された各パラメータ値は、RAM13に書き込まれる。
【0034】
マイクロホン16は、収音した音をアナログ信号に変換する。
音声処理部17は、A/Dコンバータ17A、D/Aコンバータ17B、およびミキサ17Cを有する。A/Dコンバータ17Aは、マイクロホン16が生成したアナログ信号をA/D変換し、デジタルデータに変換して出力する。D/Aコンバータ17Bは、受取ったデジタルデータをD/A変換し、アナログ信号に変換して出力する。ミキサ17Cは、受取った複数のデータをミキシングして出力する。
スピーカ18は、音声処理部17から受取ったアナログ信号に基づいて音を放音する。
【0035】
通信部19は、通信網30に有線接続されている。この通信部19は、CPU11から受取ったRTPパケットを下位層の通信プロトコルにしたがって順次カプセル化することにより得られるIPパケットを通信網30へ送出する。なお、カプセル化とは、上記RTPパケットをペイロード部に書き込んだUDPセグメントを生成し、さらに、そのUDPセグメントをペイロード部に書き込んだIPパケットを生成することである。また、通信部19は、通信網30を介してIPパケットを受信し、該IPパケットに対して上記カプセル化とは逆の処理を行うことにより、そのIPパケットにカプセル化されているRTPパケットを読み出してCPU11へ出力する。
以上に説明した受信装置10の各部はバスにより接続され、互いにデータのやり取りを行う。以上が受信装置10の構成である。
【0036】
(A−4:配信装置20)
次に、配信装置20の構成を図5を参照して説明する。
CPU21は、ROM22に記憶されている制御プログラムを読み出して、RAM23をワーキングエリアとして実行することにより、配信装置20の各部を制御する。
【0037】
記憶部24は、例えばHDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置であり、複数の楽曲データを記憶している。
図6は、各楽曲データの内容を模式的に示した図である。各楽曲データは大別して、楽曲の属性を表すプロファイルデータと演奏データと歌詞データとを有している。
【0038】
プロファイルデータには、楽曲に割り振られた曲番号を表す曲番号データ、楽曲の曲名を表す曲名データ、楽曲のジャンルを示すジャンルデータ、楽曲の演奏時間を示す演奏時間データ、楽曲を構成する各パートの音の種類表す構成楽器データ、およびデフォルト値データが含まれている。
【0039】
ジャンルデータには、例えばハードロック/ヘビーメタル、ジャズ、フォーク、演歌、クラシックなどと書き込まれている。
構成楽器データには、演奏データの各パートの楽器名が(歌唱の場合には、歌唱と)書き込まれている。
デフォルト値データには、受信装置10のCPU11が有するイコライザ、コンプレッサ、およびアンプの各機能に係るパラメータについて、デフォルトで設定される「初期値」が書き込まれている。具体的には上記パラメータとして、イコライジングにおける周波数ごとのゲインと、コンプレッサにおけるスレッショルド、レシオ、アタックタイム、リリースタイムと、アンプにおける増幅率とが書き込まれている。該デフォルト値データに示されたパラメータ値に基づいてマスタリングされた楽曲データは、配信側が想定する条件で再生された場合に各パートの演奏のバランスが最適となるように、各パラメータ値は設定されている。
【0040】
演奏データは、楽曲の各パートの音(楽器の演奏音、および歌唱音声)を表すデータである。演奏データは、WAVE形式や、MP3(MPEG-1 Audio Layer-3)形式のデータである。本実施形態において、上記演奏データには、メインボーカル(V)、コーラス(C)、ギター(G)、ベース(B)、キーボード(K)、およびドラムス(D)の6つのパートが含まれる。
なお、記憶部24に記憶されている楽曲データにおいて、各パートの演奏データはマスタリングされていない。すなわち、各パートの演奏データは単独では模範的な演奏であるが、他のパートの演奏データと間で、音量や音質の相対的なバランスが調整されていない。従って、それら複数のパートの演奏データを単純にミックスしても不自然な演奏となる。
【0041】
歌詞データには、歌詞の内容(文字)が、表示すべきタイミング、表示部15の画面において表示すべき位置、および楽曲の進行に伴い表示態様を変える所謂ワイプ処理をするタイミングと対応付けられて記されている。
【0042】
通信部25は、通信網30に有線接続されている。この通信部25は、CPU21から受取ったRTPパケットを下位層の通信プロトコルにしたがって順次カプセル化することにより得られるIPパケットを通信網30へ送出する。なお、カプセル化とは、上記RTPパケットをペイロード部に書き込んだUDPセグメントを生成し、さらに、そのUDPセグメントをペイロード部に書き込んだIPパケットを生成することである。また、通信部25は、通信網30を介してIPパケットを受信し、該IPパケットに対して上記カプセル化とは逆の処理を行うことにより、そのIPパケットにカプセル化されているRTPパケットを読み出してCPU21へ出力する。
以上に説明した配信装置20の各部はバスにより接続され、互いにデータのやり取りを行う。以上が配信装置20の構成である。
【0043】
(B:動作)
次に、受信装置10および配信装置20が実行する処理について説明する。以下の動作例では、受信装置10のユーザ(以下、歌唱者)により、選択した楽曲を歌唱パートも含めて再生させること(通常演奏)をリクエストされた場合と、歌唱パートを抜いて再生させること(カラオケ伴奏)をリクエストされた場合について、それぞれ説明する。
【0044】
(B−1;リクエスト)
図7は、受信装置10が実行する処理の流れを示したフローチャートである。また、図8は、受信装置10におけるデータの流れを示したブロック図である。
【0045】
歌唱者は、受信装置10に演奏させたい楽曲の曲番号を、操作部14の数字ボタンを押下し入力する。また歌唱者は、選択した各楽曲について、歌唱ミュートボタンのON/OFFを操作し、通常演奏またはカラオケ伴奏を選択する。
なお、本動作例においては、2つの楽曲の演奏をリクエストする。そして、1曲目の曲番号の入力時には歌唱ミュートボタンをOFF(通常演奏)にし、2曲目の曲番号入力時には歌唱ミュートボタンをON(カラオケ伴奏)にする。
【0046】
操作部14は、歌唱者に入力された曲番号、および該曲番号と対応する歌唱ミュートボタンのON/OFFを含む操作信号をCPU11に出力し、CPU11は該操作信号を受取る(ステップSA100)。
CPU11は、歌唱ミュートボタンがON/OFFいずれを選択されたかを示すデータを曲番号と対応させてRAM13に書き込む。また、CPU11は、操作部14から受取った操作信号に基づいて、選択された曲番号および歌唱ミュートボタンのON/OFFを含む「リクエスト信号」を生成し、通信部19に出力する。通信部19は、通信網30を介してリクエスト信号を配信装置20に送信する。
【0047】
(B−2;楽曲データの編集)
ここで、受信装置10からリクエスト信号を受取った配信装置20が実行する処理について説明する。図9は、配信装置20が実行する処理の流れを示したフローチャートである。また、図10は、配信装置20におけるデータの流れを示したブロック図である。以下では、図9のフローチャートの流れに従い、図10を参照しながら説明する。
【0048】
図10に示すように、通信部25は、受信装置10から受取ったリクエスト信号をCPU21に出力し、CPU21は該リクエスト信号を受信する(ステップSB100)。
【0049】
CPU21は、該受取ったリクエスト信号に含まれる曲番号と対応する曲番号データを有する楽曲データを特定する。そしてCPU21は、該特定した楽曲データのプロファイルデータに含まれる曲名データ、ジャンルデータ、演奏時間データ、構成楽器データ、およびデフォルト値データを、「制御データ」として、楽曲の開始までに通信部25に出力する。通信部25は、CPU21から制御データを受取ると、通信網30を介して受信装置10に送信する(ステップSB110)。
【0050】
ステップSB110の処理が完了すると、CPU21は、受取ったリクエスト信号で指定される楽曲データに含まれる演奏データを、楽曲の進行に伴って記憶部24から読み出す(ステップSB120)。読み出された各パートの演奏データ、すなわち、メインボーカルパート、コーラスパート、ギターパート、ベースパート、キーボードパート、ドラムスパートの演奏データは、通信部25に出力される。また、CPU21は、歌詞データを楽曲の進行と共に読出し、通信部25に出力する。
通信部25は、以上のデータを受取ると、順次受信装置10に送信する(ステップSB130)。
図11には、以上のようにして配信装置20から受信装置10に送信されるデータをまとめて示す。制御データは、楽曲の演奏開始までに送信されるデータであり、演奏データおよび歌詞データは、楽曲の演奏に伴って送信されるデータである。
【0051】
(B−3;楽曲の演奏)
ここで再び、受信装置10が実行する処理を、図7および図8を参照して説明する。
受信装置10は、まず配信装置20から制御データを受信する(ステップSA110)。CPU11は、ステップSA110において受信した制御データに含まれるデフォルト値データをRAM13に書き込み、後述するイコライザ、コンプレッサ、アンプの各機能に係るパラメータの初期値を設定する(ステップSA120)。
【0052】
なお、上述したように、制御データに記されたパラメータのデフォルト値は、配信側が想定した条件で楽曲データを再生した場合に最適となるパラメータであり、各受信装置10が置かれた条件に対して最適化されたものではない。本ステップSA120において設定されるパラメータ値は初期値として一旦設定される値であり、後述するように歌唱者により適宜再設定が可能である。以下の説明においては、各種パラメータが該初期値に設定され、歌唱者により再設定されていない場合について説明する。
【0053】
CPU11は、楽曲の進行に伴って、各パートの演奏データ、および歌詞データ(図示略)を配信装置20から受信する(ステップSA130)。
CPU11は、受信した演奏データに対し、以下のように一連の音響処理を施す。CPU11は、図8において破線で示されるように、チャンネル選択部111、ノーマライズ部112、イコライザ113、ノイズ除去部114、コンプレッサ115、およびアンプ116を有する。以下では、CPU11に入力された各パートの演奏データに対する各音響処理について説明する。
【0054】
チャンネル選択部111は入力チャンネル213−1〜6を有し、それぞれの入力チャンネルには、メインボーカルパート、コーラスパート、ギターパート、ベースパート、キーボードパート、およびドラムスパートの演奏データが入力される。それら各パートの演奏データを、以下ではパート信号S1〜6とする。なお、パート信号S1〜6を互いに区別する必要がない場合は、「パート信号S」と総称する。
なお、入力チャンネル213−1〜6は、図面においては端子のように表現しているが、該表示は信号系統を示すために便宜上端子様に表現したものである。
【0055】
チャンネル選択部111は、歌唱ミュートボタンがON/OFFいずれを選択されたかを示すデータをRAM13から読み出し、該データに基づいてパート信号Sを選択し(ステップSA140)、該選択したパート信号Sをノーマライズ部112に出力する。具体的には、歌唱ミュートボタンがOFFである場合、チャンネル選択部111は、受取った全てのパート信号Sをノーマライズ部112に出力する。一方、歌唱ミュートボタンがONである場合、チャンネル選択部111は、配信装置20から受取った制御データに含まれる構成楽器データを参照し、入力されたパート信号S1〜6からメインボーカルの歌唱を表すパート信号を特定する。そして、チャンネル選択部111は、該特定されたパートを除く他の全てのパート信号Sをノーマライズ部112に出力する。
本実施例においては、1曲目において歌唱ミュートボタンはOFFが選択されたため、パート信号S1〜6がノーマライズ部112に出力される。一方、2曲目において歌唱ミュートボタンはONが選択されたため、メインボーカルを表すパート信号S1を除くパート信号S2〜6がノーマライズ部112に出力される。
【0056】
ノーマライズ部112は、チャンネル選択部111から受取った各パート信号Sの信号レベルをノーマライズ(標準化)する(ステップSA150)。なお、ノーマライズとは、各パート信号の音量を、音がひずまない範囲内での最大レベルに調整する処理である。ノーマライズ部112は、ノーマライズされたパート信号Sをノイズ除去部114に出力する。
【0057】
イコライザ113は、ノーマライズ部112から受取った各パート信号Sの周波数特性を変換する(ステップSA160)。すなわちイコライザ113は、ステップSA120において設定された、周波数帯域ごとに設定されたゲインで信号レベルを調整することにより、各パート信号Sの周波数特性を変換する。イコライジング処理された各パート信号Sは、ノイズ除去部114に出力される。
【0058】
ノイズ除去部114は、イコライザ113から受取った各パート信号Sに含まれるノイズを除去する(ステップSA170)。本処理には、特定の周波数帯域(例えば、所定の値より高い周波数成分)の信号を除去する方法など、従来から知られているノイズ除去の方法を適用すれば良い。なお、後述するコンプレッサ115による処理には全体の音量を上げる工程が含まれ、該工程において微小なノイズさえも増幅されて耳障りになる傾向がある。従って、たとえ微小なノイズであったとしても、コンプレッサをかける前にノイズを除去しておくのが望ましい。
【0059】
コンプレッサ115は、各パート信号Sの音量のダイナミックレンジ(音量差)を圧縮する(ステップSA180)。該処理は、各パート信号Sを「力強い迫力ある音」にする目的で行われる。コンプレッサ115は、ステップSA120で設定された、スレッショルド、レシオ、アタックタイム、リリースタイムの4つのパラメータにより、各パート信号Sを圧縮する。コンプレッサ115により処理された各パート信号Sは、アンプ116に出力される。
【0060】
アンプ116は、コンプレッサ115から受取った各パート信号SのレベルをステップSA120において設定されたパラメータ値に従って調整する(ステップSA190)。レベルが調整された各パート信号Sは、音声処理部17に出力される。
【0061】
音声処理部17において、ミキサ17Cは、CPU11から受取った各パート信号Sをミキシングして、D/Aコンバータ17Bに出力する。D/Aコンバータ17Bは、各パート信号Sをアナログ信号に変換し、スピーカ18に出力する。
スピーカ18は、音声処理部17から受取った信号を放音する。また、CPU11は、受信した歌詞データに基づいて、表示部15のカラオケ画面に歌詞テロップを表示する(ステップSA200)。
ステップSA200の処理が終了すると、CPU11は、カラオケの演奏が終了次第、本処理を終了する。
【0062】
(B−4;パラメータの再設定)
さて、上述の説明において、マスタリングの各処理におけるパラメータ値は配信装置20から受取った制御データに含まれるデフォルト値データに従って設定される場合について説明した。しかし、歌唱者は、楽曲データの演奏前および演奏中に、上記各処理に係る各パラメータのデフォルト値を適宜再設定することが可能である。歌唱者は、受信装置10が置かれた条件で最も好ましいと感じる楽曲が生成されるようにパラメータ値を入力する。該パラメータ値が入力されると、入力内容を示す操作信号が操作部14からCPU11に出力され、RAM13に書き込まれたパラメータ値が更新され、以降の処理は該更新されたパラメータ値に従って行われる。
【0063】
本動作例において、歌唱者は、1曲目および2曲目の楽曲データのマスタリングに係る各パラメータ値を、以下に示す3つの例のように再設定する。なお、これらの再設定方法は例示であり、他に種々の再設定方法が可能である。
(例1)カラオケ伴奏が指示された2曲目の楽曲をインストゥルメンタルの楽曲として演奏させたい場合、楽曲の旋律をもっとも良く示しているパート(例えば、キーボードを表すパート)のパート信号Sに係るアンプの増幅率を、デフォルト値よりも大きく調整する。そのようにすることで、最終的に放音される演奏音において、キーボードの演奏音が他のパートの演奏音に対して相対的に大きなレベルとなり、該楽曲はキーボードによる旋律が強調されたインストゥルメンタルの楽曲として演奏される。
【0064】
(例2)歌唱者が、デフォルト値として配信側が設定した値による演奏において、ドラムスパートによる低音が耳障りであると感じる場合、アンプ116においてパート信号S6の増幅に係るパラメータ値をデフォルト値よりも小さく設定しても良い。また、別の方法としては、イコライザ113において、全てのパート信号Sの低い周波数成分のレベルを低下させるよう、イコライジングに係るパラメータ値を調整しても良い。
【0065】
(例3)低い音量レベルで楽曲を再生する必要がある場合や、スピーカ18が小さいために低音を放音する能力が低い場合などでは、各周波数成分の中でも特に低音が聴取されにくくなる傾向がある。そのような場合、例えばベースパートやドラムスパートのパート信号の増幅に係るパラメータ値を高く設定したり、イコライザ113のイコライジングに係るパラメータ値を調整して、低音のパートの演奏音や低音の周波数成分を強調しても良い。
【0066】
(例4)例えば1曲目の楽曲のジャンルがハードロックであり、2曲目の楽曲のジャンルがジャズであるなど、楽曲の平均的な音量レベルが楽曲間で大きく異なる場合、それぞれの楽曲を独立した状況で聴取すれば自然な音量レベルで聴取されるとしても、該楽曲を連続して聴取する歌唱者にとっては、2曲目の楽曲が放音された際に実際以上に小さな音量であるかのように聞こえてしまうなど、楽曲間でアンバランスな印象を与えてしまうことがある。このような場合、歌唱者は、1曲目の楽曲において、全てのパート信号Sに対するアンプ116の増幅率を低く設定し、演奏音全体の音量レベルを低く設定すると共に、2曲目の楽曲において、全てのパート信号Sに対するアンプ116の増幅率を高く設定し、演奏音全体の音量レベルを高く設定しても良い。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る楽曲配信システム1によれば、歌唱者は、楽曲を放音させる条件(空間の音響特性や、再生装置の特性)、および歌唱者の嗜好に応じて、各パラメータ値を自在に調整することができ、複数のパートからなる楽曲において、各パートの全体の音におけるバランスを適切に調整することができる。また、楽曲間でのバランスも調整することができる。
従って、楽曲を放音する条件が配信側が想定した条件と異なる場合にも、パート間や楽曲間の音量や音質などがアンバランスになり違和感を生じさせたりすることを防ぐことが出来る。また、仮に楽曲を放音させる条件が配信側が想定した条件である場合においても、それぞれ異なる嗜好を持つ各歌唱者は、自身が最も良いと感じるバランスに各パート・各楽曲の演奏を調整することができる。
【0068】
(C:変形例)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
【0069】
(1)上記実施形態においては、楽曲配信システム1はカラオケ楽曲の配信システムである場合について説明した。すなわち、配信装置20はカラオケ楽曲の配信サーバであり、受信装置10は通信カラオケ端末であった。しかし、楽曲配信システム1は、カラオケ楽曲の配信システムに限られるものではなく、本発明は各種の音データを配信するシステムに適用可能である。
【0070】
(2)上記実施形態においては、通信網30に受信装置10が3つ接続される場合について説明したが、1つ、2つ、または4つ以上設けられるとしても良い。
【0071】
(3)上記実施形態においては、通信網30はインターネット網である場合について説明したが、LAN(Local Area Network)などであっても良い。要は、所定の通信プロトコルに従って通信装置同士が行うデータ通信を仲介するものであれば良い。また、受信装置10および配信装置20は有線で通信網30に接続されている場合について説明したが、通信網30が例えば無線LANなどの無線パケット通信網であり、受信装置10および配信装置20が、この無線パケット通信網に接続されていても良い。
【0072】
(4)上記実施形態では、音声データの送受信に係るアプリケーション層の通信プロトコルとしてRTPを用いる場合について説明したが、他の通信プロトコルを用いても良い。要は演奏データをリアルタイムに送受信するための通信プロトコルであれば良い。
【0073】
(5)上記実施形態においては、配信装置20は、記憶部24に格納された楽曲データに含まれる各パートの演奏データをパート信号Sとして用いる場合について説明した。しかし、楽曲データを記憶する手段は、HDDなどの記憶手段に限られない。例えば配信装置20が各種の記録媒体に記録されたデータを読み出し出力する再生装置を更に備え、該再生装置により記録媒体から読み出したデータをパート信号Sとして用いても良い。
【0074】
(6)上記実施形態において、楽曲データに含まれる演奏データはWAVE形式やMP3形式のデータとしたが、データの形式はこれに限定されるものではない。演奏データは、各パートの演奏を表すデータであればどのような形式のデータであってもよい。
【0075】
(7)上記実施形態においては、演奏データに6つのパートが含まれる場合について説明した。しかし、パートの数は6つに限定されるものではなく、いずれの数でも良い。パート数が複数である場合には、複数のパートの演奏データの間のバランスを調整することができるし、パート数が1または複数である場合には、楽曲間でバランスを調整することができる。
【0076】
(8)上記実施形態においては、配信装置20の記憶部24に、各種音響処理に係るパラメータ値のデフォルト値を表すデフォルト値データが格納されており、受信装置10に配信される場合について説明した。しかし、デフォルト値データは必ずしも予め記憶部24に格納されている必要はない。デフォルト値データが予め記憶部24に格納されていない場合には、受信装置10の歌唱者が一旦操作部14を操作して適当なパラメータを設定し、楽曲を受信して試聴しながら、その都度再設定しても良い。
【0077】
(9)上記実施形態においては、操作部14の歌唱ミュートボタンがONされると、メインボーカルパートのパート信号S1が楽曲から除かれて再生される場合について説明した。しかし、特定のパート信号Sを除く方法は、該歌唱ミュートボタンの押下に限られない。例えば、アンプ116に設定された特定のパート信号Sに対する増幅率を0にすることにより、特定のパート信号Sを楽曲の演奏から除くこともできる。
【0078】
(10)上記実施形態においては、操作部14の歌唱ミュートボタンをON/OFFすることにより、メインボーカルパートのパート信号S1を楽曲から除いて再生する場合について説明した。しかし、楽曲から除かれるパート信号Sはパート信号S1に限定されず、他のいずれのパート信号Sでも良い。例えば、楽曲データの放音に合わせてギターの演奏を行う場合、ギターのパートのパート信号S3を除いて再生しても良い。その場合、歌唱ミュートボタンに代えてまたは併せて、該除かれるパート信号と対応付けたミュートボタン(例えば、「ギターミュートボタン」)を操作部14に設けておいても良い。
【0079】
(11)上記実施形態においては、各パート信号Sを、主にイコライザ、コンプレッサ、およびアンプの3つの機能を用いて変換する場合について説明した。しかし、これら3つの処理を全て施さなくても良く、いずれか1つ、または2つを用いても良い。イコライザのみ用いられた場合には、例えば周波数特性が特に異なる楽曲の周波数特性を変換することにより楽曲間で周波数特性を類似させ、複数の楽曲間で統一感を持たせたりしても良い。また、コンプレッサのみ用いられた場合には、迫力がない楽曲に対して圧縮処理を施すことにより迫力を出しても良い。また、アンプのみ用いられた場合には、上記実施形態において(例1)に示されたように各パートに対するアンプの増幅率を調整し、パート間や楽曲間でバランスを取っても良い。
【0080】
(12)上記実施形態においては、受信装置10および配信装置20に特徴的な機能をソフトウェアモジュールで実現する場合について説明したが、上記各機能を担うハードウェアモジュールを組み合わせて本発明に係る楽曲配信システム1の各装置を構成するようにしても良い。
【0081】
(13)上記実施形態においては、本発明に係る受信装置10および配信装置20に特徴的な機能を実現するためのプログラムを、それぞれROM12およびROM22に予め書き込んでおく場合について説明したが、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、RAM、ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に上記プログラムを記録して配布するとしても良く、インターネット網などの電気通信回線経由のダウンロードにより上記プログラムを配布するようにしても良い。
【0082】
(14)上記実施形態においては、受信装置10においてパート信号間のバランスが調整されたパート信号Sが「放音」される場合について説明した。しかし、受信装置10においてパート信号間のバランスが調整されたパート信号Sを記憶するための手段(磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、RAM、ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に上記音声データを書き込む書込手段、および上記音声データを記憶するHDDなどの大容量記憶装置)を設け、歌唱者が所望する態様でバランスが調整された楽曲データを該記憶手段に記憶しても良い。すなわち、図8において、ミキサ17Cから出力された出力信号を上記記憶手段に記憶させても良い。そのように本発明に係る楽曲配信システム1を変形して利用すれば、歌唱者の所望の態様で各パートの演奏データのバランスが調整された楽曲データを生成する楽曲データ生成装置が実現可能である。
【0083】
(15)上記実施形態においては、図4に示されるように、イコライザ113によるイコライジングの態様は、周波数ごとのゲインにより設定される場合について説明した。その場合、イコライジングの「パターン」を選択することにより、より簡易にイコライジングの態様を設定することができるようにしても良い。例えば、低音を強調するモード、高音を強調するモード、低音と高音を強調するモード、低音と高音を低減するモードなど、複数のモードの各々に対して、予め周波数帯域ごとのゲインを設定・記憶しておき、イコライジングの際には、歌唱者により選択されたモードに応じた各周波数帯域ごとのゲインを読出してイコライザ113に設定するようにしても良い。
【0084】
(16)上記実施形態においては、図4に示されるように、コンプレッサ115による圧縮の態様は、スレッショルド、レシオ、アタック、およびリリースの4つのパラメータにより設定される場合について説明した。しかし、より簡易に設定が可能となるように、スレッショルドおよびレシオのみ設定を可能とするなど、それら複数のパラメータのいずれか1つまたは複数のパラメータが設定可能としても良い。
【0085】
(17)上記実施形態においては、受信装置10のCPU11が実行する各音響処理に係るパラメータについて、デフォルト値データに基づいて初期値が設定されると共に、該初期値は歌唱者により再設定が可能である場合について説明した。しかし、それらパラメータの全てまたは複数についての設定値が書き込まれた複数のテンプレートを予め受信装置10のROM12またはRAM13に格納しておくと共に、操作部14には該テンプレートのいずれかを選択可能な操作子を設け、歌唱者によりいずれかのテンプレートが選択されると、該選択されたテンプレートに記された値が各パラメータに設定されるようにしても良い。その場合、各パラメータの初期値が制御データに代えて該テンプレートに基づいて設定されるとしても良いし、制御データに基づいて設定された初期値を該テンプレートに記された値に更新するようにしても良い。また、テンプレートに基づいて設定された値を更に操作部14の操作に基づいて更新可能であるようにしても良い。
【0086】
また、受信装置10がおかれた音響空間の特性に基づいて各パラメータの値が自動的に設定されるようにしても良い。上記音響空間の特性とは、例えば残響時間の長さ、音響空間の広がり(空間の体積)などである。
まず、残響時間の長さに基づいて各パラメータの値が設定される場合について説明する。受信装置10に、収音した音を表す音信号を生成するマイクロホンを設けると共に、ROM12またはRAM13に例えばインパルス音などの音データを格納しておく。そして、各パラメータの値を設定するにあたっては、上記インパルス音をスピーカ18に放音させ、上記マイクロホンで収音する。そして、該マイクロホンにより生成された音信号のレベルを経時的に測定し、レベルが所定の閾値を下回るのに要した時間(残響時間)を測定する。そして、ROM12またはRAM13には更に、残響時間に対して各パラメータの設定値が対応されて書き込まれたテーブルを格納しておき、該テーブルにおいて上記測定された残響時間と対応するパラメータの設定値が各パラメータに設定されるようにしても良い。
また、上記の構成において、音データを所定の周波数の音(例えば超音波)を表す音データとし、該音データを放音してから反射音がマイクロホンにより検出されるのに要した時間(反射時間)を測定することにより音響空間の広がり(体積)を見積もり、該音響空間の広がりに応じて各パラメータの値が設定されるようにしても良い。その場合、ROM12またはRAM13には、反射時間に対して、各パラメータの設定値が対応されて書き込まれたテーブルを格納しておき、該テーブルにおいて上記測定された反射時間と対応するパラメータの設定値が各パラメータに設定されるようにしても良い。
【0087】
また、受信装置10が再生する楽曲の特性に基づいて各パラメータの値が自動的に設定されるようにしても良い。上記楽曲の特性とは、楽曲のジャンルやテンポなどである。その場合、それらの楽曲の特性を示すデータを制御データに含ませておいて、受信装置10は、該制御データから楽曲の特性を判断するようにしても良いし、受信装置10は、受取った演奏データを解析することにより楽曲の特性を判断しても良い。受信装置10は、ROM12またはRAM13に、楽曲の特性と各パラメータを対応付けるテーブルを格納するか、楽曲の特性から各パラメータの値を算出するためのアルゴリズムを有する制御プログラムをROM12に格納し、上記特定された楽曲の特性と、上記テーブルまたはプログラムとから、各パラメータの値を算出し設定するようにしても良い。
【0088】
(18)上記実施形態においては、配信装置20は、記憶部24に格納された楽曲データを読み出して配信する場合について説明した。しかし、配信装置20に複数のマイクロホンを設け、該マイクロホンの各々に各パートの音声を収音させ、該収音した音声を上記演奏データの各パートの代わりに用いても良い。そのようにすれば、受信装置10を利用する歌唱者に生演奏を配信する楽曲配信システムを実現することができる。
また、そのような場合、マイクロホンにより複数パートの音声データを生成する方法に代えて、配信装置20は複数の入力系統を備え、該複数の入力系統に対して、各種電子楽器などを接続することにより複数の系統の音声データの入力を受けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】楽曲配信システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】RTPパケットの構成を示す図である。
【図3】受信装置10の構成を示すブロック図である。
【図4】表示部15の表示内容の一例を示した図である。
【図5】配信装置20の構成を示すブロック図である。
【図6】楽曲データの構成を示した図である。
【図7】受信装置10の処理の流れを示す図である。
【図8】受信装置10におけるデータの流れを示す図である。
【図9】配信装置20の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】配信装置20におけるデータの流れを示す図である。
【図11】配信装置20が配信するデータを示した図である。
【符号の説明】
【0090】
1…楽曲配信システム、10、10−1、10−2、10−3…受信装置、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…操作部、15…表示部、16…マイクロホン、17…音声処理部、17A…A/Dコンバータ、17B…D/Aコンバータ、17C…ミキサ、18…スピーカ、19…通信部、20…配信装置、21…CPU、22…ROM、23…RAM、24…記憶部、25…通信部、30…通信網、111…チャンネル選択部、112…ノーマライズ部、113…イコライザ、114…ノイズ除去部、115…コンプレッサ、116…アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲配信サーバ、および楽曲受信装置を有する楽曲配信システムにおいて、
前記楽曲配信サーバは、
前記楽曲受信装置から特定の楽曲データを指定する楽曲指定データを受信する受信手段と、
楽曲データを供給する供給手段と、
前記受信手段が受信した楽曲指定データにより指定された楽曲データを前記供給手段から供給を受け出力する出力手段と
を有し、
前記楽曲受信装置は、
前記楽曲指定データを前記楽曲配信サーバに送信する送信手段と、
前記出力手段から出力された楽曲データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定の増幅率で各演奏データを増幅するアンプと、
前記アンプにおける増幅率を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、
前記アンプがレベルを調整した前記各パートの演奏データを再生する再生手段と
を有することを特徴とする楽曲配信システム。
【請求項2】
楽曲配信サーバ、および楽曲受信装置を有する楽曲配信システムにおいて、
前記楽曲配信サーバは、
前記楽曲受信装置から特定の楽曲データを指定する楽曲指定データを受信する受信手段と、
楽曲データを供給する供給手段と、
前記受信手段が受信した楽曲指定データにより指定された楽曲データを前記供給手段から供給を受け出力する出力手段と
を有し、
前記楽曲受信装置は、
前記楽曲指定データを前記楽曲配信サーバに送信する送信手段と、
前記出力手段から出力された楽曲データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、周波数特性を変換するイコライザと、
前記イコライザにおいて、周波数ごとのゲインを各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、
前記イコライザが周波数特性を変換した前記各パートの演奏データを再生する再生手段と
を有することを特徴とする楽曲配信システム。
【請求項3】
楽曲配信サーバ、および楽曲受信装置を有する楽曲配信システムにおいて、
前記楽曲配信サーバは、
前記楽曲受信装置から特定の楽曲データを指定する楽曲指定データを受信する受信手段と、
楽曲データを供給する供給手段と、
前記受信手段が受信した楽曲指定データにより指定された楽曲データを前記供給手段から供給を受け出力する出力手段と
を有し、
前記楽曲受信装置は、
前記楽曲指定データを前記楽曲配信サーバに送信する送信手段と、
前記出力手段から出力された楽曲データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定のパラメータに従って各演奏データを圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサにおける圧縮の態様を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、
前記コンプレッサが圧縮した前記各パートの演奏データを再生する再生手段と
を有することを特徴とする楽曲配信システム。
【請求項4】
前記楽曲受信装置は、
前記各演奏データと該各演奏データの増幅に係る増幅率とが対応付けて書き込まれたテンプレートを複数記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記各テンプレートのいずれかを選択する選択手段と
を有し、
前記指定手段は、前記アンプにおける各演奏データの増幅に係る増幅率を、前記選択手段により選択されたテンプレートに書き込まれた増幅率に基づいて指定する
ことを特徴とする請求項1に記載の楽曲配信システム。
【請求項5】
前記楽曲受信装置は、
前記各演奏データと周波数ごとのゲインとが対応付けて書き込まれたテンプレートを複数記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記各テンプレートのいずれかを選択する選択手段と
を有し、
前記指定手段は、前記イコライザにおける各演奏データの周波数特性の変換に係るパラメータを、前記選択手段により選択されたテンプレートに書き込まれた周波数ごとのゲインに基づいて指定する
ことを特徴とする請求項2に記載の楽曲配信システム。
【請求項6】
前記楽曲受信装置は、
前記各演奏データと該各演奏データの圧縮に係るパラメータ値とが対応付けて書き込まれたテンプレートを複数記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記各テンプレートのいずれかを選択する選択手段と
を有し、
前記指定手段は、前記コンプレッサにおける各演奏データの圧縮に係るパラメータを、前記選択手段により選択されたテンプレートに書き込まれたパラメータ値に基づいて指定する
ことを特徴とする請求項3に記載の楽曲配信システム。
【請求項7】
前記楽曲配信サーバは、収音し、対応する信号を生成する1または複数の収音手段を有し、
前記供給手段は、前記収音手段が生成した信号を供給する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の楽曲配信システム。
【請求項8】
前記楽曲配信サーバは、1または複数のパートを含む楽曲データを記憶する記憶手段を有し、
前記供給手段は、前記記憶手段から読み出した楽曲データを供給する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の楽曲配信システム。
【請求項9】
前記楽曲配信サーバは、ユーザの操作により楽音信号を生成する1または複数の電子楽器を有し、
前記供給手段は、前記電子楽器が生成した信号を供給する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の楽曲配信システム。
【請求項10】
楽曲データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定の増幅率で増幅するアンプと、
前記アンプにおける増幅率を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、
前記アンプにより増幅された各演奏データを出力する出力手段と
を有することを特徴とする楽曲編集装置。
【請求項11】
楽曲データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、周波数特性を変換するイコライザと、
前記イコライザにおいて、各周波数ごとのゲインを各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、
前記イコライザにより周波数特性が変換された各演奏データを出力する出力手段と
を有することを特徴とする楽曲編集装置。
【請求項12】
楽曲データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定のパラメータに従って圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサにおける圧縮の態様を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、
前記コンプレッサにより圧縮された各演奏データを出力する出力手段と
を有することを特徴とする楽曲編集装置。
【請求項13】
請求項10ないし12のいずれかに記載の楽曲編集装置と、
前記出力手段により出力された各パートの演奏データを再生する再生手段と
を有することを特徴とする楽曲再生装置。
【請求項14】
請求項10ないし12のいずれかに記載の楽曲編集装置と、
前記出力手段により出力された各パートの演奏データを記憶する記憶手段と
を有することを特徴とする楽曲記憶装置。
【請求項15】
コンピュータを、
楽曲データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定の増幅率で増幅するアンプと、
前記アンプにおける増幅率を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、
前記アンプにより増幅された各演奏データを出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータを、
楽曲データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、周波数特性を変換するイコライザと、
前記イコライザにおいて、各周波数ごとのゲインを各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、
前記イコライザにより周波数特性が変換された各演奏データを出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項17】
コンピュータを、
楽曲データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った楽曲データに含まれる1または複数のパートの演奏データの各々について、所定のパラメータに従って圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサにおける圧縮の態様を各演奏データの少なくとも1以上について個別に指定する指定手段と、
前記コンプレッサにより圧縮された各演奏データを出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−31357(P2009−31357A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192357(P2007−192357)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】