説明

構造体の上および外で部材の固定/解放が可能な装置

本発明は、ラッチの可動部を収容するハウジングを備えた構造体の上/外で、前記ラッチを備える部材の固定/解放を可能とする装置に関し、この装置は、シリンダ(1)の回転軸の周りに回転可能で、前記部材のラッチと相互作用可能な手段(2)を備えた上端部を持つ第1の中空ロッドを同軸上に収容する円筒形のシリンダ(1)、および、前記シリンダの回転軸の周りにおよび沿って、それぞれ回転運動および並進運動が可能で、操作できる固定位置と開放位置にラッチの可動部を作動させるようにラッチの可動部と相互作用可能な手段(3)を備えた上端部を持つ第1の中空ロッド内の第2同軸ロッド(18)と、シリンダの回転と同軸に、2つのロッドをそれぞれ、互いに独立に回転可能とする手段(4、5、6、7、9、11)と、前記第2ロッドの回転を可能とする手段(10)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチの可動部を収容しかつ可動部と協力するに適したハウジングを備えた構造体上または構造体外にそれぞれ前記ラッチを備えた要素を固定または解放可能な装置に関する。
【0002】
本発明は、より一般的には、より大型の構造体内の要素または決められた構成部品の標準的な交換を行うに設計された半自動設置に関する。より具体的には、純粋に電気エネルギーを動力源とし、熱的動力源のない自動車のバッテリの標準的交換を目的としている。
【背景技術】
【0003】
一方では、石油の強まる不足、他方では、環境保護政策を導入する政治的希望から、自動車のメーカーにおいて、車両の推進に用いられる熱エネルギーを電気エネルギーに置き換えることが望まれるようになった。しかし、前記のメーカーが直面しなければならない主要な困難のうちの一つは、これまで用いられた電気バッテリの範囲が限定され、バッテリの充電に特に長時間を要することであった。
【0004】
従って、この困難を回避するために、バッテリが装着されている自動車内の1個または複数個のバッテリを再充電するのでは無く、バッテリが切れるかほぼ切れた時に、専用のステーションにおいて、バッテリの標準的交換を実施し、前記ステーションはそのように交換されたバッテリをその後再充電するという発想が発展している。
【0005】
しかしながら、通常は、数百キログラムという前記バッテリの重さの故に、車両中へのバッテリの効果的な取り付けを確保することが必要で、従って、上記に特定された順序で、1個又または複数個のバッテリを前記車両から取り出し、取り付けの効率を確保しながら充電されたバッテリの取り付けを行なうか、一方、バッテリの解放の効率を確保しつつ、バッテリの解放を比較的短時間で行なうことも必要である。なぜなら、こうした一般的な解決策を実行可能にするためには、このようなバッテリの標準的な交換に必要な典型的な時間は5分間未満と想定されるからである。
【0006】
従って、前記バッテリの車両内への取付けの厳密な仕様を遵守しつつ,このような短時間に、使用済みバッテリの解放、および、充電されたバッテリの固定を実行するという問題が生ずる。特に、これらバッテリの相当な重量に配慮して、バッテリの固定および解放の機構が重要であることは容易に理解されよう。
【0007】
本発明の目的は、この自動車内のバッテリの固定/解放の機能、そして、より一般的には、構造体へ設置し、かつ構造体から分離するように設計された何らかの要素の固定/解放の機能を実行することが可能な装置を提案することにある。
【0008】
現時点では、このような装置は知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、ラッチの可動部分を収容可能なハウジングを備えた構造体の上/外に前記ラッチを備えた要素を固定/解放する機能を実行可能な装置である。従って、本発明の課題は、構造体に要素を取り付けることが可能なラッチを作動させることができる装置である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この装置は:
−シリンダの回転軸と相関して回転可能な第1の中空ロッドを同軸に収納する円筒状シリンダであって、そのシリンダの上端部に、前記要素のラッチ、さらに具体的には前記ラッチの下方結合部と相互作用可能な手段と、それぞれ前記シリンダの回転軸に沿ってあるいはその周りを、並進運動あるいは回転運動が可能な、第1の中空ロッドの内部と同軸または内部に沿って同軸な第2のロッドが設けられ、前記シリンダの上端部は、ラッチの可動部を固定または解放する操作位置、通常回転運動を引き起こす操作位置に動かすことができるように、ラッチの可動部と相互作用可能な手段を備える円筒状シリンダと、
−前記2個のロッドのそれぞれを、シリンダの回転軸と相関して互いに独立した回転を確保する手段と、
−第2ロッドの並進運動を確保する手段
を有する。
【0011】
換言すれば、本発明は、ラッチを作動させる、さらに具体的には、ラッチの固定および解放をより精密に行なわせるに必要な種々の機能を、これら操作が行なわれる順序の特質を考慮して、全く同一の装置に組み入れることから構成されている。これは、従って、ラッチから取り外すことのでき、かつ、一旦適切な位置に置かれると、ラッチの底部結合のため部品と相互作用する手段によって、ラッチと相互作用可能な装置を実現する。
【0012】
本発明の1つの特徴によれば、それぞれの連結アームからなる2個のロッドを回転させる手段は、それぞれ、電気モータによって作動され、問題のロッドに結合された連結アームからなり、2つの連結アームは、互いに平行であり、シリンダの回転軸と実質的に垂直な方向の2つの平面上に配向している。従って、それぞれの連結アームに、そして結果的には、それらが結合しているロッドに独立の運動を与えることができる。
【0013】
本発明のその他の特徴によれば、連結アームのそれぞれのロッドへの結合は、シリンダの内部で行なわれる。シリンダはこの目的のために、その側壁部に開口部を持ち、その開口部は、連結アームに必要な空間間隔と、結果的にロッドの回転に必要な角度とを与えるに適した寸法を持つ。
【0014】
本発明のその他の特徴によれば、シリンダの回転軸に沿った第2ロッドの並進運動は、それ自体が電気モータによって回転される、並進運動に必要な方向に垂直な回転軸を持つカムによって作動される、問題のロッドと同一軸方向の押圧手段によって行なわれる。この第2ロッドの並進運動は、シリンダの回転軸に垂直な平面に延びる連結アームに与えられる運動とは独立に与えられる。この並進運動は、第2ロッドを経由してラッチに相当な圧力を加えなければならないので、選ばれる電気モータは、シリンダの回転軸に垂直な平面に延びる連結アームを作動する電気モータより、より強力な電気モータである。
【0015】
すべての運動が独立であることは、運動を与えるために用いられるモータのそれぞれを可能な限り適切に設計することを可能とし、ラッチの固定/解放を確保する装置の価格を低減させることに役立つ。
【0016】
本発明が実施される方法および本発明から生ずる利点は、添付された図面を参照して説明される非限定的な実施の形態として示される以下の記載に例示された実施の形態からよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明による装置の斜視方向からの模式的描写である。
【図2】図2は、本発明による装置の上面図である。
【図3】図3は、本発明による装置の矢印方向の断面図である。
【図4】図4aおよび図4bは、本発明の装置の第2ロッドが、それぞれ、操作可能な後退した位置と突出した位置にある2つの位置を模式的に示す図である。
【図5】図5は、本発明の装置の上端部の詳細を示す斜視方向模式図である。
【図6】図6は、固定/解放することが望まれる構造体を備える1種のラッチを有する本発明の装置の相互作用を示す斜視方向模式図である。
【図7】図7は、固定/解放することが望まれる構造体を備える1種のラッチを有する本発明の装置の相互作用を示す斜視方向模式図である。
【図8】図8は、固定/解放することが望まれる構造体を備える1種のラッチを有する本発明の装置の相互作用を示す斜視方向模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、電気駆動自動車のバッテリを固定および解放する範囲で用いられる問題の種類の装置に関連してより具体的に記述される。
【0019】
然しながら、本発明はこの単独の応用のみに限定されることの無いことを理解されたい。
【0020】
図1から図3に関して示されているものは本発明による装置の種々の説明図である。
【0021】
基本的に、装置は、それぞれ、バッテリを保持したり自動車からこのバッテリを外す、あるいは一方、充電されたバッテリ又は新しいバッテリを保持し、前記自動車内のこの目的で用意されたハウジング内に装着するために、シリンダ1を上昇または下降させるため、例えば、上昇装置に固定された基板8上に基盤が固定された剛体の円筒状シリンダ1からなる。
【0022】
このシリンダ1は、その上端部に手段30が装着された回転部材2を含み、この場合、手段30の数は2個であり、反対方向に対向しており、操作する必要があるバッテリが従って装着されたラッチの相当部材と相互作用するように設計されている。この部材2の中央部、従って、シリンダ1の上端部に、下記により詳細に記述する並進運動の可能なその他の部材3がある。
【0023】
シリンダ1の底面の近傍で、基板8に2個の電気モータ7および9が取りつけられ、モータ7は連結アーム4,5,6全てを作動させ、モータ9は、連結アーム11,13を作動させる。連結アームの一部は、シリンダ1を画成する側壁中に作られた開口部12で,前記シリンダ中に入り込んでいる。これら連結アームの操作および構造は,下記により詳細に記述される。
【0024】
最後に、底面は、モータ7及び9のシャフトに対して垂直に配向した作動シャフトを持つ別の電気モータ10を有する。
【0025】
再度言及するが、これらの様々な特徴は以下の図面の解析においてより明瞭となろう。
【0026】
より詳細に図3を参照すると、シリンダ1は、該シリンダ1と同軸の第1中空ロッド23を有する。このロッド23は、その先端がバッテリのラッチと相互作用する部材2に固定され、その下端部でスリーブ24の位置で連結アーム4と相互作用する。従って、モータ7の作用によって限定された間隔で連結アーム4は,シリンダの回転軸と同軸にロッド23を回転させ、結果として、部材2を回転させる。
【0027】
さらに装置は、中空ロッド23に対して同軸方向に別のロッド18を有する。このロッド18は従って中心軸をなすが、連結アーム11とモータ9とに結合された連結アーム13によってシリンダ1の回転軸方向に回転可能である。従って、それはスリーブ22によって前記連結アーム13と接続し、組立体は、図3に見られるように連結アーム4とスリーブ24の下部に位置している。
【0028】
ボールとの当接および回転ベアリングによって、ロッド18は、下部にあってシリンダ内に組み込まれたカム15との相互作用によってシリンダの回転軸に沿って並進運動が可能なピストン16の作用を受ける。カムはモータ10のシャフト14によって回転される。この場合、シャフト14は、シリンダ1の回転軸に対して垂直である。従って、このピストン16は、ロッド18を並進方向に動かすことができ、従って、例えば、図4bに見られるように,部材3がシリンダから突き出される。換言すれば、ロッド18は、並進運動および回転運動のいずれにおいても作動可能であり、かつ,これらの運動は、2個の別々のモータ,即ちこの場合、モータ9と10によって起されるため、これら2つの運動は独立している。
【0029】
さらに、ロッド18に加えられる並進運動の後に広がる平面から連結アーム13の相対的な間隔を与えるために、ロッド18は回り継ぎ手上に設置され、従って、部材3に与えたい並進運動と両立する、典型的に5から10mmの間の間隔が与えられる。
【0030】
図5に関連し示すものは、シリンダの先端部のより詳細な図である。図に特に見られるように、ラッチと相互作用する部材2は、バッテリが提供されるラッチ32から突設された突起またはニップル33と相互作用するように設計された2つの開口部30を持つ。
【0031】
部材33は、中央部に、ラッチ32に組み込まれ、ラッチの可動部34が上に配置されたシャフト35を経由して広がる整合された突起部(図示していない)と相互に作用するように設計された凹部31を有する。
【0032】
バッテリのラッチ32から伸びる突起またはニップル33と相互作用するように設計された2つの開口部30は、部材3をシリンダの外に伸ばすために、ピストン16がロッド18を並進方向に動かすとき、バッテリを保持することを可能とする。従って、装置の操作原理が記述される時説明されるように、吊り上げたバッテリを車両の装着具上に設置することを可能にする。
【0033】
本発明の装置の操作原理は、図4a、4b、および図6から8に関連して詳細に記述する。
【0034】
図4aにおいて、ロッド18の底位置にあり、部材3と部材2の上端部とが、ほぼ密着する状態とされる。この構成において、そして本発明の装置が、バッテリのラッチ32(図6に示されるように)と接触している時、ロッド23の回転運動が引き起こされて部材2が回転し、その結果、ラッチのニップル33と開口部30が係合する。この結果から図7に示す構成が導かれる。
【0035】
ラッチが本発明の装置に接続されると、ピストン16の押圧要素がモータ10によって活性化され、部材3を押圧し、ラッチ32の可動部34のより顕著な突出を誘導する。ラッチ32の可動部34がより突出されるように公称圧力より高い圧力を印加することは可能であり、その結果、前記可動部は可動範囲の上限に達する。ついで、モータ9および連結アーム11および13によって、前記ロッド18に回転運動を与え、可動部34を4分の1回転させ、ついで、可動部34を自動車中に、この目的で準備されたハウジングと相互に作用させる。モータ10と関連部材を用いて可動部34を低下させることによってロッキング運動が継続し、その結果、前記可動部34は車両中に配置されたハウジング内に置かれる。バッテリはその後、残存応力が組立体中に存在するため、車両上に引張状態で設置される。この結果、重量が数百キログラムに達するバッテリをより良く保持することが可能になる。
【0036】
上述の例のように、初期に、ラッチ32の可動部34は例えばバネによって予め加圧されており、図6に示すように、低い位置にあることを特筆すべきである。例えば、バネといった予備加圧手段を圧縮できるようにするために、公称圧力の2倍から5倍の間の圧力の印加を決めることも可能である。
【0037】
本発明の固定/解放装置は、その後、既に上記した要素を用いて、部材2を反対方向へさらに回転させることによって、ラッチから開放される。
【0038】
バッテリの固定がこうして達成されると、工程は反対方向に進み、ラッチ32から装置を解放し、最終的にバッテリから装置が解放される。
【0039】
バッテリの解放は、上述の種々の工程を反対に進めることにより、同じ原理を適用して行なうことができる。
【0040】
本発明の装置のすべての価値は、装着の容易さ、および固定と解放機能の容易さを通して理解することができる。
【0041】
上述に関わらず、シリンダの上端部に種々の種類の部材2および3を適用することができる。シリンダは、特定のラッチとの相互作用に適合するような上部要素と底部とを組み合わせるクランプ40を装着する利点があり、底部は、このために画一化可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッチ(32)の可動部を収容可能なハウジングを備えた構造体の上/外で、前記ラッチを備えた要素の固定/解放のための装置であって:
−シリンダ(1)の回転軸と相関して回転可能な第1の中空ロッド(23)を同軸に収納する円筒状シリンダ(1)であって、そのシリンダの上端部に、前記要素のラッチ(32)と相互作用可能な手段(2)と、それぞれ前記シリンダの回転軸に沿ってあるいはその周りを、並進運動あるいは回転運動が可能な、第1の中空ロッド(23)の内部と同軸または内部に沿って同軸な第2のロッド(18)が設けられ、前記シリンダの上端部は、ラッチの可動部を固定または解放する操作位置に動かすことができるように、ラッチ(32)の可動部と相互作用可能な手段(3)を備える円筒状シリンダ(1)と、
−前記2個のロッド(18、23)のそれぞれの、シリンダの回転軸と相関して互いに独立した回転を確保する手段(4,5,6,7,9、11,13)と、
−第2ロッド(18)の並進運動を確保する手段(10、14、15、16)
を備える装置。
【請求項2】
ラッチ(32)の可動部(34)が、前記手段(3)の作用の下で回転運動が維持されていることを特徴とする、請求項1に記載のラッチ(32)を備えた要素の固定/解放のための装置。
【請求項3】
2個のロッド(18、23)の回転を確保する手段は、電気モータ(7,9)によって作動され、かつ問題のロッドと結合したそれぞれの連結アームからなり、2つの連結アームは、互いにほぼ平行で、かつシリンダの回転軸とほぼ垂直の2個の平面上に配向されていることを特徴とする、請求項1および2に記載のラッチ(32)を備えた要素の固定/解放のための装置。
【請求項4】
それぞれのロッド(18,23)への連結アームの結合は,シリンダの内部で行われ、シリンダは、この目的のために、その側壁部に開口部(12)を備え、その開口部は連結アームの所望の空間距離と、結果としてロッドの回転に所望の角度とを与えるに適した寸法を持つことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のラッチ(32)を備えた要素の固定/解放のための装置。
【請求項5】
シリンダ(1)の回転軸に沿った第2ロッド(18)の並進運動は、それ自体が電気モータ(10)によって回転する、並進運動の所望の方向に垂直な回転軸を持つカム(15)によって作動される問題のロッドと同一軸の押圧手段またはピストン(16)によって行なわれることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のラッチ(32)を備えた要素の固定/解放のための装置。
【請求項6】
自動車の内外でバッテリを固定/解放するための装置であって、前記バッテリは、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の、この目的のために前記車両内に備えられたハウジングと相互作用可能な可動部(34)を備えるラッチ(32)を備える、自動車の内外でバッテリを固定/解放するための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−523983(P2012−523983A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505213(P2012−505213)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050761
【国際公開番号】WO2010/122267
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】