構造物の変形測定用装置及びそれを用いた構造物の変形測定方法
本発明は、構造物の変形率測定用装置及びそれを用いた構造物の変形率測定方法に関する。さらに詳しくは、本発明の構造物の変形率測定用装置は、一定の間隔で配列されたナノ粒子を含有する光結晶層を含む。本発明によると、様々な産業構造物が使用荷重などにより変形された場合、当該部分の構造色変化または磁束変化を測定することによって、より簡単、且つ容易に構造物の正確な変形有無及び変形率を測定でき、これにより構造物の過多変形による安全事故の発生を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物変形測定用装置及びそれを用いた構造物の変形測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築、土木、機械分野などによく使用される構造物は使用中に荷重により変形が生じる。このような変形は、様々な荷重間の組み合わせによって現れるが、構造物が既に受けていた荷重に対する変形の程度を測定することは、構造物の状態を判断する場合に非常に重要な根拠となる。
【0003】
近頃は、このような構造物の変形を測定する方法に対する開発が持続的に研究されてきたが、従来には、構造物の変形を測定するために、種々の複雑な電気的な装置を導入し、変形を測定していたことから、複雑、且つ作業が煩わしいという問題があった。
【0004】
即ち、従来の構造物の変形測定方法は、主に電気抵抗の変化を用いたフォイル形式の変形測定により構造物の変形を測定したが、このような電気装置は費用が嵩み、使用において不便、且つ複雑であったため、より簡単で、正確に構造物の変形率を測定できる変形測定方法の開発に対する必要性が大きくなりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2008−0104791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した技術開発の必要性を充足するためのものであり、構造物の変形率をより簡単で、正確に測定できる構造物変形測定用装置及びそれを用いた構造物の変形測定方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するための手段として、基材;及び前記基材上に形成され、一定の間隔で配列されたナノ粒子を含有する光結晶層;を含む構造物の変形率測定用装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、前記の課題を解決するための別の手段として、光結晶層を基材上に形成する第1工程;前記光結晶層が形成された基材を変形測定対象構造物の表面に付着させる第2工程;及び前記光結晶層の構造色変化または磁束変化を測定する第3工程;を含む構造物の変形率測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構造物変形率測定用装置及びそれを用いた構造物の変形率測定方法によると、第一に、複雑な電気装置を使用することなく、様々な産業構造物の表面に光結晶及び/又は磁性体を含む光結晶層を均一に塗布することによって、構造物の変形をより容易、且つ簡単に確認することができるという長所がある。
【0010】
第二に、磁性体の磁束変化により構造物の変形を正確に測定でき、補修施工の基準となる変形程度を正確に把握でき、これにより構造物の過多変形による事故の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置を製造する過程を示す模式図である。
【図2】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体の粒子間の距離変化による光学波長変化観察と電流の測定を示す。
【図3】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体を示したサイズ別の透過電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体溶液をサンプリングした後、電場をかけて整列した透過電子顕微鏡写真と走査電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体のコアサイズによる磁性ナノ粒子の磁気的強度を測定したグラフである。
【図6】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体熱中量分析法(TGA)の結果を示したグラフである。
【図7】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体の結晶性分析のためのX線回折分析(XRD)グラフである。
【図8】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが混合された形態で固形化された柔軟な光結晶写真である。
【図9】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが固形化された柔軟な光結晶に関する写真であり、ストレスを加える前の写真と加えた後の色変化写真である。
【図10】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが固形化された柔軟な光結晶複合体にストレスを加える前、後、そして磁性敏感ナノ粒子除去後の反射光測定グラフである。
【図11】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが固形化された柔軟な光結晶複合体にストレスを加える前と磁性敏感ナノ粒子除去後の切断面走査電子顕微鏡写真である。
【図12】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが固形化された柔軟な光結晶複合体に電圧を印加し、ストレスを加える前と後の電流を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、基材;及び前記基材上に形成されて、一定の間隔で配列されたナノ粒子を含有する光結晶層;を含む構造物の変形率測定用装置に関するものである。
【0013】
以下、本発明の構造物の変形率測定用装置を詳細に説明する。
【0014】
本発明において、前記基材は、構造物の変形測定に用いられる一般的なテープをいずれも含み、特に制限されないが、好ましくは応力に敏感な(stress-sensitive)テープを使用できる。
【0015】
即ち、前記基材として、応力に敏感なテープを使用する場合、その片面に前記光結晶層が均一に塗布され、その他面が構造物の表面に接着されるので、構造物に変形が生じた場合、これに敏感に反応して、構造物と共に変形されることで、前記光結晶層に含まれたナノ粒子間の間隔に変化を引き起こし、これにより変形が生じた光結晶層部分の構造色及び磁束が変わるようになり、構造物の変形の程度を正確に測定することができる。
【0016】
本発明の前記ナノ粒子において、粒子間の一定の間隔の大きさは、前記ナノ粒子が光結晶性を示す限り、特に制限されなく、好ましくは1nm〜10nmであってもよい。本発明において、前記ナノ粒子間の間隔が1nm未満であれば、接着剤の役割を果たす物質(例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート)がナノ粒子間に入ることができないので、変形が生じたとき、光結晶が壊れる現象が発生する問題があり、前記間隔が10nmを超えると、トンネル効果が限界値を外れるため、電気的信号を観察できない問題が発生することがある。
【0017】
本明細書で使われる用語の「光結晶」とは物質の光学的な性質を利用できる構造を有しているか、構造を有するように作られた物質をいう。即ち、光結晶は一定の間隔を有した粒子の配列によって形成される。
【0018】
本発明において、前記ナノ粒子は、その直径が特に制限されるものではなく、使用用途に応じて適宜選択できるが、好ましくは50nm〜300nmであってもよい。本発明において、前記ナノ粒子の直径が50nm未満のとき、可視光線領域を外れて紫外線(UV)領域に進入するようになるので、肉眼で変形程度を観察することは難しくなり、前記直径が300nmを超えると、赤外線(IR)領域帯に進入するようになるので、肉眼で光の変化を観察することは難しくなる。
【0019】
本発明において、前記光結晶性を示すナノ粒子の具体的な種類は特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリシロキサン、両親媒性のポリスチレン/メタアクリレートブロック共重合体及び磁性体よりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0020】
本発明において、前記ポリスチレンには、ポリアルファ(α)メチルスチレンなどが挙げられ、前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルの具体的な種類には、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリ−1−メタシクロヘキシルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリクロロベンジルメタクリレート、ポリ−1−フェニルエチルメタクリレート、ポリ−1,2−ジフェニルエチルメタクリレート、ポリジフェニルメチルメタクリレート、ポリフルフリルメタクリレート、ポリ−1−フェニルシクロヘキシルメタクリレート、ポリペンタクロロフェニルメタクリレート及びポリペンタブロモフェニルメタクリレートよりなる群から選択された一つ以上であってもよく、前記ポリ(メタ)アクリルアミドには、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられ、前記ポリシロキサンには、ポリジメチルシロキサンなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0021】
本発明において、ポリスチレンは、高分子の物性が変わるガラス転移温度が95℃であるので、周辺温度変化に影響を受けず、汎用的に使用することができ、320℃〜330℃以上で分解能を有するので、耐久性に優れるという長所があり、構造物の変形を測定するための光結晶層に含有されるナノ粒子として好ましく用いられる。
【0022】
本発明において、前記ポリスチレン/メタアクリレートブロック共重合体は、ポリスチレンとメチルアクリレートとを反応させて合成したものであり、強度に優れ、光結晶層に含まれた状態で構造物の表面に付着される場合、より優れた耐久性を提供することができ、ポリスチレン/メチルアクリレートブロック共重合体を加水分解反応することによって、両親媒性のポリスチレン/メチルアクリレートブロック共重合体を得ることができる。
【0023】
本発明において、前記両親媒性のポリスチレン/メチルアクリレートブロック共重合体は、ポリスチレン100重量部に対して、メチルアクリレート5重量部〜50重量部を含有してもよく、好ましくはポリスチレン100重量部に対して、メチルアクリレート10重量部〜12重量部を含有していてもよい。本発明において、前記メチルアクリレートが前記ポリスチレン100重量部に対して、5重量部未満であれば、負電荷に荷電された粒子表面の斥力が低減されることによって、光結晶構造の配列が難しくなるおそれがあり、前記含量が50重量部を超えると、鎖が長くなるので凝固現象が生じるおそれがある。
【0024】
また、本発明において、前記ポリスチレン/メタアクリレートブロック共重合体は、重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは20,000〜30,000であってもよい。本発明において、前記重量平均分子量が20,000未満であれば、直径が50nm以上のナノ粒子を製造することが難しく、その効率が落ちるおそれがあり、前記重量平均分子量が30,000を超えると、直径が300nmを超えるナノ粒子が製造されるので、やはり効用面で適しない。
【0025】
一方、本発明において、光結晶層に含有されたナノ粒子の一種類である前記磁性体は磁性を示す粒子であればいずれも含んでいても良く、特に制限されないが、例えば、金属物質、磁性物質及び磁性合金よりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0026】
本発明の前記「磁性体」は磁気の流れを示す磁束が流れる物質であり、強磁性体はこのような磁束がよりスムーズに流れる。
【0027】
本発明において、前記磁性体が光結晶を形成した状態で、試験電圧を印加した場合、電子のトンネル効果によりエネルギー電位差の壁を貫いて電子が移動するようになる。これを通じて電気的信号を得ることができる。
【0028】
本発明において、前記磁束が流れる道(磁路)に電子がエネルギー電位差を克服できない程度の欠陥が生じれば、電気的信号の絶縁が発生し、一定の間隔で均一に配列された強磁性体光結晶の表面に変形が生じた場合、表層部での磁束は途絶えるようになる。
【0029】
従って、前記変形が発生した欠陥部の空間へと漏れる磁束を測定することによって、磁束の変化量を確認することができる。即ち、一定の間隔で配列された磁性体がある変形によって間隔の変化が生じた場合、当該部分の磁束の変化量を測定することによって変形が生じた程度を正確に測定することができる。
【0030】
従って、一定の間隔で配列された磁性体を含む光結晶層が構造物の表面に均一に付着された場合、簡単な磁力検出器などを利用して構造物の変形の程度を正確に測定できる。
【0031】
本発明において、前記金属物質の具体的な種類は特に限定されず、例えば、Pt、Pd、Ag、Cu及びAuよりなる群から選択された一つ以上が挙げられ;前記磁性物質の具体的な種類も、また特に限定されず、例えば、Co、Mn、Fe、Ni、Gd、Mo、MM’2O4及びMxOy(ここで、M及びM’はそれぞれ独立して、Co、Fe、Ni、Zn、GdまたはCrを表し、0<x≦3、0<y≦5)よりなる群から選択された一つ以上が挙げられ;前記磁性合金の具体的な例には、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe及びNiFeCoよりなる群から選択された一つ以上が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0032】
本発明において、前記磁性体は、強磁性ナノ粒子のクラスター及び前記クラスターを囲んでいるコーティング層を含む形態であってもよい。
【0033】
前記磁性体がクラスター形態の集合体からなる場合、磁性効率がさらに向上され、磁束の変化を測定することがより容易になり、このようなクラスター形態の強磁性ナノ粒子に前記親水性コーティング層を形成する場合、水に分散が可能であり、一定の間隔で配列することが容易になる。
【0034】
一方、本発明において、前記強磁性ナノ粒子は、磁性体中で特に磁性の強い物質はいずれも含んでいてもよく、特に制限されないが、例えば、鉄、マンガン及びコバルトよりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0035】
本発明において、前記強磁性ナノ粒子のクラスター形態を製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば、下記の方法を通じて製造され得る。
【0036】
即ち、前記強磁性ナノ粒子のクラスターは、(1)強磁性ナノ粒子を有機溶媒に溶解して、油相を製造する工程;(2)両親媒性化合物を水性溶媒に溶解して、水相を製造する工程;(3)前記油相及び水相を混合して、エマルジョンを形成する工程;及び(4)前記エマルジョンから油相を分離する工程;を含む方法で製造することができる。
【0037】
本発明において、前記強磁性ナノ粒子を製造する方法も特に限定されなく、例えば、(a)溶媒の存在下に、磁性ナノ粒子シード、ナノ粒子前駆体及び有機性表面安定剤を反応させる工程;及び(b)前記反応物を熱分解する工程;を含む方法で製造することができる。
【0038】
前記工程(a)は有機性表面安定剤が含まれた溶媒にナノ粒子前駆体を投入し、ナノ粒子表面に有機性表面安定剤を配位させる工程である。
【0039】
本発明において、前記工程(a)で用いられる溶媒は、ナノ粒子前駆体表面に有機性表面安定剤が配位された錯化合物の熱分解温度に近接する高い沸点を有することが好ましく、このような溶媒の例には、エーテル系化合物、ヘテロ環化合物、芳香族化合物、スルホキシド化合物、アミド化合物、アルコール、炭素数1〜20の炭化水素及び水よりなる群から選択された一つ以上が挙げられる。
【0040】
本発明において、前記溶媒の具体的な種類には、オクチルエーテル(octyl ether)、ブチルエーテル(butyl ether)、ヘキシルエーテル(hexyl ether)またはデシルエーテル(decyl ether)などのエーテル系化合物;ピリジンまたはテトラヒドロフラン(THF)などのヘテロ環化合物;トルエン、キシレン、メシチレン、またはベンゼンなどの芳香族化合物;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド化合物;ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド化合物;オクチルアルコール、またはデカノールなどのアルコール;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンまたはヘキサデカンなどの炭化水素または水が挙げられる。
【0041】
本発明において、前記磁性ナノ粒子シードは、磁性を有するナノ粒子シードとして使用できる物質であれば、いずれも含んでいてもよく、その具体的な種類が特に限定されないが、例えば、FePt、Co、Mn、Fe、Ni、Gd及びMoよりなる群から選択された一つ以上が挙げられる。
【0042】
本発明で用いられるナノ粒子前駆体の具体的な種類は特に限定されなく、その例には、金属と、−CO、−NO、−C5H5、アルコキシド(alkoxide)またはその他の公知のリガンドとが結合された金属化合物が挙げられ、具体的には、ペンタカルボニル鉄( Fe(CO)5 )(iron pentacarbonyl)、フェロセン(ferrocene)、またはマンガンカルボニル(Mn2(CO)10)などの金属カルボニル系の化合物;または鉄アセチルアセトネート(Fe(acac)3)などの金属アセチルアセトネート系の化合物などの各種有機金属化合物が挙げられる。また、前記ナノ粒子前駆体として、金属とCl−及びNO3−などの公知のアニオンが結合された金属イオンを含む金属塩が挙げられ、その例には、トリクロロ化鉄(FeCl3)、ジクロロ化鉄(FeCl2)または硝酸鉄(Fe(NO3)3)などが挙げられる。
【0043】
もし、合金ナノ粒子及び複合ナノ粒子などを合成しようとする場合には、前記2種以上の金属のナノ粒子前駆体の混合物を用いればよい。
【0044】
本発明の工程(a)で用いられる有機性表面安定剤の具体的な種類は特に限定されず、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムハライド(alkyltrimethylammonium halide)、飽和または不飽和脂肪酸、トリアルキルホスフィンオキシド(trialkylphosphine oxide)、アルキルアミン(alkylamine)、アルキルチオール(alkyl thiol)、ナトリウムアルキルスルフェート(sodium alkyl sulfate)及びナトリウムアルキルホスフェート(sodium alkyl phosphate)よりなる群から選択された一つ以上が挙げられる。
【0045】
本発明において、前記工程(a)の反応条件は特に制限されず、ナノ粒子前駆体及び表面安定剤の種類に応じて適宜調節することができる。例えば、前記反応は室温またはその以下の温度でも行うことができ、通常的には約30〜200℃の範囲で加熱及び維持させることが好ましい。
【0046】
本発明において、前記工程(b)は、ナノ粒子前駆体表面に有機性表面安定剤が配位された錯化合物を熱分解して、ナノ粒子を成長させる工程である。この時、反応条件に応じて均一サイズ及び形状のナノ粒子を形成することができ、前記熱分解温度は、ナノ粒子前駆体及び表面安定剤の種類に応じて適宜調節することができる。好ましくは、約50〜500℃で反応させることが好適である。前記工程(b)で製造されたナノ粒子は公知の手段を通して分離及び精製することができる。
【0047】
本発明において、前述した工程(a)及び(b)を通して強磁性ナノ粒子を製造することができ、前述した工程(1)〜(4)の方法を通して強磁性ナノ粒子のクラスター形態を製造することができる。
【0048】
本発明において、前記強磁性ナノ粒子を利用してクラスター形態を製造する前記方法の具体的な条件は特に限定されない。即ち、本発明の強磁性ナノ粒子クラスターは、クロロホルムなどのような油相;超純水などのような水相;及びポリビニルアルコールなどのような両親媒性化合物を使用し、この分野の通常のエマルジョン法を通して製造することができる。また、前記磁性ナノクラスターの製造時には、オレイン酸カリウム(potassium oleate)またはオレイン酸ナトリウム(sodium oleate)のような石鹸;エアロゾルOT(aerosol OT)、コール酸塩ナトリウム(sodium cholate)またはカプリル酸ナトリウム(sodium caprylate)のようなアニオン性洗剤(anionic detergent);塩化セチルピリジウム(cetylpyridynium chloride)、臭化アルキルトリメチルアンモニウム(alkyltrimethylammonium bromide)、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)または臭化セチルジメチルエチルアンモニウム(cetyldimethylethylammonium bromide)のようなカチオン性洗剤;N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルフェート(N-alkyl-N,N-dimethylammonio-1-propanesulfate)またはCHAPSのような陽性イオン性洗剤(zwitterionic detergent);ポリオキシエチレンエステル(polyoxyethylene ester)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(polyoxyethylenesorbitan ester)、ソルビタンエステル(sorbitan ester)または各種のトリトン(triton)(例えば、TX−100またはTX−114)のような非イオン性洗剤の1種または2種以上の混合物のような適切な界面活性剤の存在下に遂行できる。このような界面活性剤は、水相と油相と間の表面張力(interfacial tension)を減少させ、エマルジョン内に分散された油相または水相が熱力学的に安定な状態で存在できるようにする。
【0049】
本発明において、前記強磁性ナノ粒子クラスターの直径は特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができるが、好ましくは40nm〜250nmであってもよい。
【0050】
本発明において、前述するように、前記磁性体は、強磁性ナノ粒子クラスター及び前記クラスターを囲んでいるコーティング層を含む形態であってもよく、前記親水性コーティング層でコーティングされることによって磁性体としての配列がより容易になる。
【0051】
本発明において、前記コーティング層には、負電荷または正電荷を有し、粒子間に斥力を発生できる物質であればいずれも含んでいてもよく、その具体的な種類は特に限定されないが、例えば、シリカ、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルイミド、ポリビニルピロリドン、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子樹脂よりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0052】
本発明において、前記光結晶層の厚さは特に限定されず、好ましくは5μm〜10μmであってもよい。本発明において、前記光結晶層の厚さが5μm未満であれば、光結晶の特性を示すだけの強度が観察できないおそれがあり、前記厚さが10μmを超えると、敏感度に影響を与え、光結晶の特性がなくなるおそれがある。
【0053】
本発明において、前記光結晶層は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂内にナノ粒子が一定の間隔で配列された形態であってもよい。
【0054】
本発明において、前記熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂は、ナノ粒子と適切な配合を通してナノ粒子間に一定の間隔を保持できるようにし、光結晶が形成されるようにする。
【0055】
本発明で用いられる熱硬化性樹脂の具体的な種類は特に限定されず、この分野で一般的に通用されるものを使用できる。本発明においては、具体的な例として、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ヨウ素樹脂及びメラミン樹脂などが挙げられる。
【0056】
本発明で用いられる光硬化性樹脂の具体的な種類も、また、特に限定されず、例えば、ポリウレタンアクリレート、ポリイソプレン系アクリレートまたはそのエステル化物、テルペン系水素添加樹脂、ブタジエン重合体、ビスフェノールジアクリレート系樹脂及びポリエチレングリコールジアクリレートよりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0057】
本発明は、また光結晶層を基材上に形成する第1工程;前記光結晶層が形成された基材を変形測定対象構造物の表面に付着する第2工程;及び前記光結晶層の構造色変化または磁束変化を測定する第3工程;を含む構造物の変形率測定方法に関するものである。
【0058】
本発明の一態様に係る構造物の変形率測定方法によると、まず、前述するように、基材表面に光結晶層形成用樹脂を塗布し、熱または光線を照射することによって基材表面に光結晶層を形成する。
【0059】
本発明において、前記基材の具体的な種類は特に制限されず、前記基材は構造物の変形測定に使用できる一般的なテープを全て含み、構造物に付着して使用できる様々な素材であってもよい。好ましくは応力に敏感で(stress-sensitive)、付着性のあるテープが挙げられる。
【0060】
従って、本発明に係る測定方法の第1工程では、前記光結晶層を基材上に形成することができる。
【0061】
次いで、本発明に係る測定方法の第2工程では、前記基材を変形測定対象構造物の表面に付着できる。本明細書で使用する用語の「変形測定対象構造物」とは、変形の有無を測定しようとする対象構造物であり、建物、橋などの建築及び土木に係わる構造物や航空機、船舶などの機械構造物などであってもよい。
【0062】
前記のように、構造物の表面に光結晶層が形成された基材を付着すれば、本発明の第3工程で前記構造物の変形によって変わる前記光結晶層の構造色変化及び磁束変化を測定し、前記構造物の変形の有無及び変形の程度を測定することができる。
【0063】
本発明において、前記光結晶層を製造する方法は特に制限されないが、例えば、下記の方法で製造することができる。
【0064】
本発明において、光結晶層の製造方法には、強磁性ナノ粒子クラスター及びコーティング層前駆体を混合する第a工程;前記コーティング層前駆体を使用して、強磁性ナノ粒子クラスターにコーティング層を形成する第b工程;前記コーティング層が形成された強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂とを混合する第c工程;及び前記混合物に熱または光線を加え、光結晶層を製造する第d工程;を含む光結晶層製造方法が挙げられる。
【0065】
本発明において、前記コーティング層前駆体には、シリカ、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルイミド、ポリビニルピロリドン、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子樹脂よりなる群から選択された一つ以上が挙げられる。
【0066】
以下、本発明の光結晶層製造方法の一態様に係り、コーティング層前駆体としてシリカ前駆体を使用する場合について具体的に説明する。
【0067】
本発明の前記光結晶層製造方法において、第a工程は強磁性ナノ粒子クラスター及びシリカ前駆体を混合する工程であり、これにより、前記シリカ前駆体の強磁性ナノ粒子クラスターとの結合及び加水分解反応を誘導する。前記第a工程で、強磁性ナノ粒子クラスターは、本発明のナノ粒子の中空コア部を形成するための鋳型(template)としての役割を果たす。本発明では、このように、強磁性ナノ粒子クラスターを鋳型として使用することによって、従来に比べて大きなサイズの中空をナノ粒子の内部に形成することができ、また前記中空サイズの自由な制御が可能になるという長所を有する。
【0068】
本発明において、前記第a工程は、溶媒下で前記強磁性ナノ粒子クラスター及びシリカ前駆体を混合することによって行われ、前記溶媒の具体的な種類は特に限定されず、この分野で通用される各種の水性及び有機溶媒を使用することができるが、好ましくは、水とアルコールの混合溶媒を使用することができる。
【0069】
本発明において、前記混合溶媒中の水は添加されたシリカ前駆体の加水分解反応を進める役割を果たすが、この工程で、本発明の第b工程で縮合及びゲル化反応を行うことができるヒドロキシル基がシリカ前駆体内のケイ素原子として導入されるようになる。通常、シリカ前駆体は水によく溶解されないため、アルコールのような適切な有機溶媒と混合して使用する。前記で、アルコールは水とシリカ前駆体の両者を溶解することができ、これにより、水とシリカ前駆体を均質に混合し、加水分解反応を行うことができる。このとき、水とアルコールの混合割合は特に制限されず、この分野で通常的な知識を有する者は適切な混合割合を容易に選択できる。
【0070】
本発明において、前記第a工程のシリカ前駆体は、強磁性ナノ粒子クラスター上にシリカセル部を形成することができるのであれば、特に制限されないが、テトラメトキシシラン(tetramethoxy silane)またはテトラエトキシシラン(tetraethoxy silane)のようなアルコキシシランを使用することが好ましく、このうち、テトラエトキシシランを使用することがより好ましい。
【0071】
本発明の第a工程では、前記アルコキシシランの使用量を調節し、目的とするセル部の厚さを制御することができる。前記使用量は、この分野で通常の知識を有する者によって適宜選択され得る。本発明の第a工程で、シリカ前駆体の加水分解反応を行う方法は特に限定されず、例えば、還流(reflux)条件下で撹拌する一般的な方法で遂行できる。また、本発明の第a工程では、酸性触媒(例えば、HCl、CH3COOH等)または塩基触媒(例えば、KOH、NH4OHなど)などの適切な触媒を添加し、前記加水分解反応を促進することができる。
【0072】
本発明において、前記第b工程は、前記加水分解シリカ前駆体の縮合を介したゲル化反応を遂行して、強磁性ナノ粒子クラスターにシリカセル部を形成する工程であり、これにより、加水分解前駆体はクラスター表面にシロキサン結合(−Si−O−Si−)を形成することで、縮合及びゲル化される。
【0073】
本発明において、前記縮合反応は、脱水縮合及びアルコール縮合反応に分類され得る。脱水縮合反応では、第a工程の加水分解反応時に、前駆体に導入されたヒドロキシル基(OH)間の結合を通してシロキサン結合を形成しながら、水が除去される。また、アルコール縮合反応では、前記ヒドロキシル基とアルコキシ基(OR)との結合を通してシロキサン結合を形成しながら、アルコールが除去される。本発明において、前記縮合及びゲル化反応を行う方法は特に限定されず、例えば、混合物を適切な温度条件下で撹拌することによって遂行することができる。
【0074】
本発明の第c工程は、シリカセル部が形成された強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を混合する工程である。シリカ強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂との適切な配合を通して、1nm〜10nmの一定の間隔を有する磁性測定光結晶が作られるようになる。この時、強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂との混合割合を特に限定すればよく、例えば、前記混合物は熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂100重量部に対して、前記クラスター0.05重量部〜20重量部を含むことができる。前記混合物が前記の含量比を外れれば、前記シリカ強磁性ナノ粒子クラスター間に形成された一定の間隔が、電流を測定するのは難しい間隔になるおそれがある。
【0075】
本発明の第d工程は、前記第c工程で得られた適正混合物に熱または光線を加え、光結晶層を形成する工程である。前記の含量割合を通して得られた混合物に熱または光線を露出すると、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が架橋現象を起こし、これにより、シリカ強磁性ナノ粒子クラスターの間隔を繋ぐ接着剤の役割を果たすことになる。
【0076】
本発明において、前記熱意温度範囲は特に制限されず、用いられる熱硬化性樹脂に応じて適宜選択できるが、好ましくは100℃〜250℃、より好ましくは100℃〜200℃であってもよい。
【0077】
本発明において、前記光線の波長範囲は特に制限されないが、好ましくは300nm〜700nmであってもよい。
【0078】
また、前記混合物の光線露出時間は特に制限されないが、好ましくは10秒以上であってもよい。前記光線露出時間の上限は特に限定されなく、必要に応じて調節でき、好ましくは1分以下、より好ましくは30秒以下であってもよい。前記光線露出時間が10秒未満であれば、前記混合物の光硬化性樹脂内で完全な光感応が起きず、硬化が進まないおそれがある。
【0079】
添付された図2に示されるように、均一に配列された磁性体の間隔に変形が生じた場合、薄い表層部の磁束は強磁性体の表面上の空間へと漏れて行くようになる。この変形部の空間へと漏れて行く磁束が多いほど、磁束の変化を容易に観察でき、これを利用して変形測定が可能になる。
【0080】
従って、本発明の光結晶層を含む構造物の変形率測定用装置が付着された構造物は、一部に変形が生じる場合、前記変形された部分から空間へと漏れて行く磁束の変化を観察でき、これを測定することによって簡単で、正確な変形率を測定することができる。
【0081】
[実施例]
以下、本発明に係る実施例及び本発明に係らない比較例を通して本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲が下記に示す実施例により何ら制限されるものではない。
【実施例1】
【0082】
下記の各工程を通して磁性敏感度も有した光結晶層を含む構造物の変形率測定用装置を製造した。添付図1に製造過程の模式図を示す。
【0083】
(1)磁性ナノ粒子の製造
ベンジルエーテル溶媒20mL内に、 鉄トリアセチルアセトネート0.2モル、1,2−ヘキサデカンジオール1モル、ドデシル酸0.6モル及びドデシルアミン0.6モルを添加し、次いで150℃で30分間加熱した後、290℃で30分間加熱し、12nmのマグネタイト(Fe3O4)を製造した。製造されたマグネタイト(磁性ナノ粒子)は、純粋のエタノールを使用して精製されており、前記精製されたマグネタイトの透過電子顕微鏡(TEM)写真を図3に示す。
【0084】
(2)強磁性ナノ粒子クラスターの製造
前記精製されたマグネタイト(磁性ナノ粒子)を使用して、油相/水相エマルジョン(O/W emulsion)方法で強磁性ナノ粒子クラスター(以下、MNCsと称する)を製造した。具体的には、セチルトリメチルアンモニウムブロミド200mgを水相の超純水20mLに溶解し、前記製造された磁性ナノ粒子5mgを油相のクロロホルムに溶解して、エマルジョンを製造した。製造されたエマルジョンを約6時間撹拌し、油相を除去し、遠心分離を3回繰り返して不純物を除去し、200nmに凝集された高感度の強磁性ナノ粒子クラスターを製造した。
【0085】
(3)シリカがコーティングされた強磁性ナノ粒子クラスターの製造
前記製造された強磁性ナノ粒子クラスター5mgが含まれた水相1mL溶液に、アルコール縮合反応のためにエタノール4mLを混合した。また、前記反応の促進のために、アンモニア溶液0.1mLを入れた後、テトラエチルオルトシリケート溶液60μLをゆっくり入れた。これを27℃で、12時間反応して強磁性ナノ粒子クラスターの表面にシリカコーティング層を形成した。製造されたシリカ強磁性ナノ粒子クラスターは遠心分離で分離して得た。
【0086】
(4)シリカ強磁性ナノ粒子クラスターと光硬化性樹脂との混合
前記得られたシリカ強磁性ナノ粒子クラスターを、磁性を介して分離した後、光硬化性樹脂のポリエチレングリコールジアクリレート100重量部に前記クラスター0.5重量部を分散した。
【0087】
(5)シリカ強磁性ナノ粒子クラスターが含有された柔軟な光結晶層の製造
前記シリカ強磁性ナノ粒子クラスターと光硬化性樹脂との混合物を基材表面に硬化した後、厚さが1cmになるように塗布し、波長が355nmの光線を30秒間照射し、光硬化性樹脂を硬化することによって、光結晶層を製造した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物変形測定用装置及びそれを用いた構造物の変形測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築、土木、機械分野などによく使用される構造物は使用中に荷重により変形が生じる。このような変形は、様々な荷重間の組み合わせによって現れるが、構造物が既に受けていた荷重に対する変形の程度を測定することは、構造物の状態を判断する場合に非常に重要な根拠となる。
【0003】
近頃は、このような構造物の変形を測定する方法に対する開発が持続的に研究されてきたが、従来には、構造物の変形を測定するために、種々の複雑な電気的な装置を導入し、変形を測定していたことから、複雑、且つ作業が煩わしいという問題があった。
【0004】
即ち、従来の構造物の変形測定方法は、主に電気抵抗の変化を用いたフォイル形式の変形測定により構造物の変形を測定したが、このような電気装置は費用が嵩み、使用において不便、且つ複雑であったため、より簡単で、正確に構造物の変形率を測定できる変形測定方法の開発に対する必要性が大きくなりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2008−0104791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した技術開発の必要性を充足するためのものであり、構造物の変形率をより簡単で、正確に測定できる構造物変形測定用装置及びそれを用いた構造物の変形測定方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するための手段として、基材;及び前記基材上に形成され、一定の間隔で配列されたナノ粒子を含有する光結晶層;を含む構造物の変形率測定用装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、前記の課題を解決するための別の手段として、光結晶層を基材上に形成する第1工程;前記光結晶層が形成された基材を変形測定対象構造物の表面に付着させる第2工程;及び前記光結晶層の構造色変化または磁束変化を測定する第3工程;を含む構造物の変形率測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構造物変形率測定用装置及びそれを用いた構造物の変形率測定方法によると、第一に、複雑な電気装置を使用することなく、様々な産業構造物の表面に光結晶及び/又は磁性体を含む光結晶層を均一に塗布することによって、構造物の変形をより容易、且つ簡単に確認することができるという長所がある。
【0010】
第二に、磁性体の磁束変化により構造物の変形を正確に測定でき、補修施工の基準となる変形程度を正確に把握でき、これにより構造物の過多変形による事故の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置を製造する過程を示す模式図である。
【図2】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体の粒子間の距離変化による光学波長変化観察と電流の測定を示す。
【図3】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体を示したサイズ別の透過電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体溶液をサンプリングした後、電場をかけて整列した透過電子顕微鏡写真と走査電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体のコアサイズによる磁性ナノ粒子の磁気的強度を測定したグラフである。
【図6】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体熱中量分析法(TGA)の結果を示したグラフである。
【図7】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体の結晶性分析のためのX線回折分析(XRD)グラフである。
【図8】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが混合された形態で固形化された柔軟な光結晶写真である。
【図9】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが固形化された柔軟な光結晶に関する写真であり、ストレスを加える前の写真と加えた後の色変化写真である。
【図10】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが固形化された柔軟な光結晶複合体にストレスを加える前、後、そして磁性敏感ナノ粒子除去後の反射光測定グラフである。
【図11】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが固形化された柔軟な光結晶複合体にストレスを加える前と磁性敏感ナノ粒子除去後の切断面走査電子顕微鏡写真である。
【図12】本発明の一態様に係る構造物の変形率測定用装置に組み込まれた磁性体と光硬化性樹脂とが固形化された柔軟な光結晶複合体に電圧を印加し、ストレスを加える前と後の電流を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、基材;及び前記基材上に形成されて、一定の間隔で配列されたナノ粒子を含有する光結晶層;を含む構造物の変形率測定用装置に関するものである。
【0013】
以下、本発明の構造物の変形率測定用装置を詳細に説明する。
【0014】
本発明において、前記基材は、構造物の変形測定に用いられる一般的なテープをいずれも含み、特に制限されないが、好ましくは応力に敏感な(stress-sensitive)テープを使用できる。
【0015】
即ち、前記基材として、応力に敏感なテープを使用する場合、その片面に前記光結晶層が均一に塗布され、その他面が構造物の表面に接着されるので、構造物に変形が生じた場合、これに敏感に反応して、構造物と共に変形されることで、前記光結晶層に含まれたナノ粒子間の間隔に変化を引き起こし、これにより変形が生じた光結晶層部分の構造色及び磁束が変わるようになり、構造物の変形の程度を正確に測定することができる。
【0016】
本発明の前記ナノ粒子において、粒子間の一定の間隔の大きさは、前記ナノ粒子が光結晶性を示す限り、特に制限されなく、好ましくは1nm〜10nmであってもよい。本発明において、前記ナノ粒子間の間隔が1nm未満であれば、接着剤の役割を果たす物質(例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート)がナノ粒子間に入ることができないので、変形が生じたとき、光結晶が壊れる現象が発生する問題があり、前記間隔が10nmを超えると、トンネル効果が限界値を外れるため、電気的信号を観察できない問題が発生することがある。
【0017】
本明細書で使われる用語の「光結晶」とは物質の光学的な性質を利用できる構造を有しているか、構造を有するように作られた物質をいう。即ち、光結晶は一定の間隔を有した粒子の配列によって形成される。
【0018】
本発明において、前記ナノ粒子は、その直径が特に制限されるものではなく、使用用途に応じて適宜選択できるが、好ましくは50nm〜300nmであってもよい。本発明において、前記ナノ粒子の直径が50nm未満のとき、可視光線領域を外れて紫外線(UV)領域に進入するようになるので、肉眼で変形程度を観察することは難しくなり、前記直径が300nmを超えると、赤外線(IR)領域帯に進入するようになるので、肉眼で光の変化を観察することは難しくなる。
【0019】
本発明において、前記光結晶性を示すナノ粒子の具体的な種類は特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリシロキサン、両親媒性のポリスチレン/メタアクリレートブロック共重合体及び磁性体よりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0020】
本発明において、前記ポリスチレンには、ポリアルファ(α)メチルスチレンなどが挙げられ、前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルの具体的な種類には、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリ−1−メタシクロヘキシルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリクロロベンジルメタクリレート、ポリ−1−フェニルエチルメタクリレート、ポリ−1,2−ジフェニルエチルメタクリレート、ポリジフェニルメチルメタクリレート、ポリフルフリルメタクリレート、ポリ−1−フェニルシクロヘキシルメタクリレート、ポリペンタクロロフェニルメタクリレート及びポリペンタブロモフェニルメタクリレートよりなる群から選択された一つ以上であってもよく、前記ポリ(メタ)アクリルアミドには、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられ、前記ポリシロキサンには、ポリジメチルシロキサンなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0021】
本発明において、ポリスチレンは、高分子の物性が変わるガラス転移温度が95℃であるので、周辺温度変化に影響を受けず、汎用的に使用することができ、320℃〜330℃以上で分解能を有するので、耐久性に優れるという長所があり、構造物の変形を測定するための光結晶層に含有されるナノ粒子として好ましく用いられる。
【0022】
本発明において、前記ポリスチレン/メタアクリレートブロック共重合体は、ポリスチレンとメチルアクリレートとを反応させて合成したものであり、強度に優れ、光結晶層に含まれた状態で構造物の表面に付着される場合、より優れた耐久性を提供することができ、ポリスチレン/メチルアクリレートブロック共重合体を加水分解反応することによって、両親媒性のポリスチレン/メチルアクリレートブロック共重合体を得ることができる。
【0023】
本発明において、前記両親媒性のポリスチレン/メチルアクリレートブロック共重合体は、ポリスチレン100重量部に対して、メチルアクリレート5重量部〜50重量部を含有してもよく、好ましくはポリスチレン100重量部に対して、メチルアクリレート10重量部〜12重量部を含有していてもよい。本発明において、前記メチルアクリレートが前記ポリスチレン100重量部に対して、5重量部未満であれば、負電荷に荷電された粒子表面の斥力が低減されることによって、光結晶構造の配列が難しくなるおそれがあり、前記含量が50重量部を超えると、鎖が長くなるので凝固現象が生じるおそれがある。
【0024】
また、本発明において、前記ポリスチレン/メタアクリレートブロック共重合体は、重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは20,000〜30,000であってもよい。本発明において、前記重量平均分子量が20,000未満であれば、直径が50nm以上のナノ粒子を製造することが難しく、その効率が落ちるおそれがあり、前記重量平均分子量が30,000を超えると、直径が300nmを超えるナノ粒子が製造されるので、やはり効用面で適しない。
【0025】
一方、本発明において、光結晶層に含有されたナノ粒子の一種類である前記磁性体は磁性を示す粒子であればいずれも含んでいても良く、特に制限されないが、例えば、金属物質、磁性物質及び磁性合金よりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0026】
本発明の前記「磁性体」は磁気の流れを示す磁束が流れる物質であり、強磁性体はこのような磁束がよりスムーズに流れる。
【0027】
本発明において、前記磁性体が光結晶を形成した状態で、試験電圧を印加した場合、電子のトンネル効果によりエネルギー電位差の壁を貫いて電子が移動するようになる。これを通じて電気的信号を得ることができる。
【0028】
本発明において、前記磁束が流れる道(磁路)に電子がエネルギー電位差を克服できない程度の欠陥が生じれば、電気的信号の絶縁が発生し、一定の間隔で均一に配列された強磁性体光結晶の表面に変形が生じた場合、表層部での磁束は途絶えるようになる。
【0029】
従って、前記変形が発生した欠陥部の空間へと漏れる磁束を測定することによって、磁束の変化量を確認することができる。即ち、一定の間隔で配列された磁性体がある変形によって間隔の変化が生じた場合、当該部分の磁束の変化量を測定することによって変形が生じた程度を正確に測定することができる。
【0030】
従って、一定の間隔で配列された磁性体を含む光結晶層が構造物の表面に均一に付着された場合、簡単な磁力検出器などを利用して構造物の変形の程度を正確に測定できる。
【0031】
本発明において、前記金属物質の具体的な種類は特に限定されず、例えば、Pt、Pd、Ag、Cu及びAuよりなる群から選択された一つ以上が挙げられ;前記磁性物質の具体的な種類も、また特に限定されず、例えば、Co、Mn、Fe、Ni、Gd、Mo、MM’2O4及びMxOy(ここで、M及びM’はそれぞれ独立して、Co、Fe、Ni、Zn、GdまたはCrを表し、0<x≦3、0<y≦5)よりなる群から選択された一つ以上が挙げられ;前記磁性合金の具体的な例には、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe及びNiFeCoよりなる群から選択された一つ以上が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0032】
本発明において、前記磁性体は、強磁性ナノ粒子のクラスター及び前記クラスターを囲んでいるコーティング層を含む形態であってもよい。
【0033】
前記磁性体がクラスター形態の集合体からなる場合、磁性効率がさらに向上され、磁束の変化を測定することがより容易になり、このようなクラスター形態の強磁性ナノ粒子に前記親水性コーティング層を形成する場合、水に分散が可能であり、一定の間隔で配列することが容易になる。
【0034】
一方、本発明において、前記強磁性ナノ粒子は、磁性体中で特に磁性の強い物質はいずれも含んでいてもよく、特に制限されないが、例えば、鉄、マンガン及びコバルトよりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0035】
本発明において、前記強磁性ナノ粒子のクラスター形態を製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば、下記の方法を通じて製造され得る。
【0036】
即ち、前記強磁性ナノ粒子のクラスターは、(1)強磁性ナノ粒子を有機溶媒に溶解して、油相を製造する工程;(2)両親媒性化合物を水性溶媒に溶解して、水相を製造する工程;(3)前記油相及び水相を混合して、エマルジョンを形成する工程;及び(4)前記エマルジョンから油相を分離する工程;を含む方法で製造することができる。
【0037】
本発明において、前記強磁性ナノ粒子を製造する方法も特に限定されなく、例えば、(a)溶媒の存在下に、磁性ナノ粒子シード、ナノ粒子前駆体及び有機性表面安定剤を反応させる工程;及び(b)前記反応物を熱分解する工程;を含む方法で製造することができる。
【0038】
前記工程(a)は有機性表面安定剤が含まれた溶媒にナノ粒子前駆体を投入し、ナノ粒子表面に有機性表面安定剤を配位させる工程である。
【0039】
本発明において、前記工程(a)で用いられる溶媒は、ナノ粒子前駆体表面に有機性表面安定剤が配位された錯化合物の熱分解温度に近接する高い沸点を有することが好ましく、このような溶媒の例には、エーテル系化合物、ヘテロ環化合物、芳香族化合物、スルホキシド化合物、アミド化合物、アルコール、炭素数1〜20の炭化水素及び水よりなる群から選択された一つ以上が挙げられる。
【0040】
本発明において、前記溶媒の具体的な種類には、オクチルエーテル(octyl ether)、ブチルエーテル(butyl ether)、ヘキシルエーテル(hexyl ether)またはデシルエーテル(decyl ether)などのエーテル系化合物;ピリジンまたはテトラヒドロフラン(THF)などのヘテロ環化合物;トルエン、キシレン、メシチレン、またはベンゼンなどの芳香族化合物;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド化合物;ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド化合物;オクチルアルコール、またはデカノールなどのアルコール;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンまたはヘキサデカンなどの炭化水素または水が挙げられる。
【0041】
本発明において、前記磁性ナノ粒子シードは、磁性を有するナノ粒子シードとして使用できる物質であれば、いずれも含んでいてもよく、その具体的な種類が特に限定されないが、例えば、FePt、Co、Mn、Fe、Ni、Gd及びMoよりなる群から選択された一つ以上が挙げられる。
【0042】
本発明で用いられるナノ粒子前駆体の具体的な種類は特に限定されなく、その例には、金属と、−CO、−NO、−C5H5、アルコキシド(alkoxide)またはその他の公知のリガンドとが結合された金属化合物が挙げられ、具体的には、ペンタカルボニル鉄( Fe(CO)5 )(iron pentacarbonyl)、フェロセン(ferrocene)、またはマンガンカルボニル(Mn2(CO)10)などの金属カルボニル系の化合物;または鉄アセチルアセトネート(Fe(acac)3)などの金属アセチルアセトネート系の化合物などの各種有機金属化合物が挙げられる。また、前記ナノ粒子前駆体として、金属とCl−及びNO3−などの公知のアニオンが結合された金属イオンを含む金属塩が挙げられ、その例には、トリクロロ化鉄(FeCl3)、ジクロロ化鉄(FeCl2)または硝酸鉄(Fe(NO3)3)などが挙げられる。
【0043】
もし、合金ナノ粒子及び複合ナノ粒子などを合成しようとする場合には、前記2種以上の金属のナノ粒子前駆体の混合物を用いればよい。
【0044】
本発明の工程(a)で用いられる有機性表面安定剤の具体的な種類は特に限定されず、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムハライド(alkyltrimethylammonium halide)、飽和または不飽和脂肪酸、トリアルキルホスフィンオキシド(trialkylphosphine oxide)、アルキルアミン(alkylamine)、アルキルチオール(alkyl thiol)、ナトリウムアルキルスルフェート(sodium alkyl sulfate)及びナトリウムアルキルホスフェート(sodium alkyl phosphate)よりなる群から選択された一つ以上が挙げられる。
【0045】
本発明において、前記工程(a)の反応条件は特に制限されず、ナノ粒子前駆体及び表面安定剤の種類に応じて適宜調節することができる。例えば、前記反応は室温またはその以下の温度でも行うことができ、通常的には約30〜200℃の範囲で加熱及び維持させることが好ましい。
【0046】
本発明において、前記工程(b)は、ナノ粒子前駆体表面に有機性表面安定剤が配位された錯化合物を熱分解して、ナノ粒子を成長させる工程である。この時、反応条件に応じて均一サイズ及び形状のナノ粒子を形成することができ、前記熱分解温度は、ナノ粒子前駆体及び表面安定剤の種類に応じて適宜調節することができる。好ましくは、約50〜500℃で反応させることが好適である。前記工程(b)で製造されたナノ粒子は公知の手段を通して分離及び精製することができる。
【0047】
本発明において、前述した工程(a)及び(b)を通して強磁性ナノ粒子を製造することができ、前述した工程(1)〜(4)の方法を通して強磁性ナノ粒子のクラスター形態を製造することができる。
【0048】
本発明において、前記強磁性ナノ粒子を利用してクラスター形態を製造する前記方法の具体的な条件は特に限定されない。即ち、本発明の強磁性ナノ粒子クラスターは、クロロホルムなどのような油相;超純水などのような水相;及びポリビニルアルコールなどのような両親媒性化合物を使用し、この分野の通常のエマルジョン法を通して製造することができる。また、前記磁性ナノクラスターの製造時には、オレイン酸カリウム(potassium oleate)またはオレイン酸ナトリウム(sodium oleate)のような石鹸;エアロゾルOT(aerosol OT)、コール酸塩ナトリウム(sodium cholate)またはカプリル酸ナトリウム(sodium caprylate)のようなアニオン性洗剤(anionic detergent);塩化セチルピリジウム(cetylpyridynium chloride)、臭化アルキルトリメチルアンモニウム(alkyltrimethylammonium bromide)、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)または臭化セチルジメチルエチルアンモニウム(cetyldimethylethylammonium bromide)のようなカチオン性洗剤;N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルフェート(N-alkyl-N,N-dimethylammonio-1-propanesulfate)またはCHAPSのような陽性イオン性洗剤(zwitterionic detergent);ポリオキシエチレンエステル(polyoxyethylene ester)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(polyoxyethylenesorbitan ester)、ソルビタンエステル(sorbitan ester)または各種のトリトン(triton)(例えば、TX−100またはTX−114)のような非イオン性洗剤の1種または2種以上の混合物のような適切な界面活性剤の存在下に遂行できる。このような界面活性剤は、水相と油相と間の表面張力(interfacial tension)を減少させ、エマルジョン内に分散された油相または水相が熱力学的に安定な状態で存在できるようにする。
【0049】
本発明において、前記強磁性ナノ粒子クラスターの直径は特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができるが、好ましくは40nm〜250nmであってもよい。
【0050】
本発明において、前述するように、前記磁性体は、強磁性ナノ粒子クラスター及び前記クラスターを囲んでいるコーティング層を含む形態であってもよく、前記親水性コーティング層でコーティングされることによって磁性体としての配列がより容易になる。
【0051】
本発明において、前記コーティング層には、負電荷または正電荷を有し、粒子間に斥力を発生できる物質であればいずれも含んでいてもよく、その具体的な種類は特に限定されないが、例えば、シリカ、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルイミド、ポリビニルピロリドン、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子樹脂よりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0052】
本発明において、前記光結晶層の厚さは特に限定されず、好ましくは5μm〜10μmであってもよい。本発明において、前記光結晶層の厚さが5μm未満であれば、光結晶の特性を示すだけの強度が観察できないおそれがあり、前記厚さが10μmを超えると、敏感度に影響を与え、光結晶の特性がなくなるおそれがある。
【0053】
本発明において、前記光結晶層は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂内にナノ粒子が一定の間隔で配列された形態であってもよい。
【0054】
本発明において、前記熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂は、ナノ粒子と適切な配合を通してナノ粒子間に一定の間隔を保持できるようにし、光結晶が形成されるようにする。
【0055】
本発明で用いられる熱硬化性樹脂の具体的な種類は特に限定されず、この分野で一般的に通用されるものを使用できる。本発明においては、具体的な例として、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ヨウ素樹脂及びメラミン樹脂などが挙げられる。
【0056】
本発明で用いられる光硬化性樹脂の具体的な種類も、また、特に限定されず、例えば、ポリウレタンアクリレート、ポリイソプレン系アクリレートまたはそのエステル化物、テルペン系水素添加樹脂、ブタジエン重合体、ビスフェノールジアクリレート系樹脂及びポリエチレングリコールジアクリレートよりなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0057】
本発明は、また光結晶層を基材上に形成する第1工程;前記光結晶層が形成された基材を変形測定対象構造物の表面に付着する第2工程;及び前記光結晶層の構造色変化または磁束変化を測定する第3工程;を含む構造物の変形率測定方法に関するものである。
【0058】
本発明の一態様に係る構造物の変形率測定方法によると、まず、前述するように、基材表面に光結晶層形成用樹脂を塗布し、熱または光線を照射することによって基材表面に光結晶層を形成する。
【0059】
本発明において、前記基材の具体的な種類は特に制限されず、前記基材は構造物の変形測定に使用できる一般的なテープを全て含み、構造物に付着して使用できる様々な素材であってもよい。好ましくは応力に敏感で(stress-sensitive)、付着性のあるテープが挙げられる。
【0060】
従って、本発明に係る測定方法の第1工程では、前記光結晶層を基材上に形成することができる。
【0061】
次いで、本発明に係る測定方法の第2工程では、前記基材を変形測定対象構造物の表面に付着できる。本明細書で使用する用語の「変形測定対象構造物」とは、変形の有無を測定しようとする対象構造物であり、建物、橋などの建築及び土木に係わる構造物や航空機、船舶などの機械構造物などであってもよい。
【0062】
前記のように、構造物の表面に光結晶層が形成された基材を付着すれば、本発明の第3工程で前記構造物の変形によって変わる前記光結晶層の構造色変化及び磁束変化を測定し、前記構造物の変形の有無及び変形の程度を測定することができる。
【0063】
本発明において、前記光結晶層を製造する方法は特に制限されないが、例えば、下記の方法で製造することができる。
【0064】
本発明において、光結晶層の製造方法には、強磁性ナノ粒子クラスター及びコーティング層前駆体を混合する第a工程;前記コーティング層前駆体を使用して、強磁性ナノ粒子クラスターにコーティング層を形成する第b工程;前記コーティング層が形成された強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂とを混合する第c工程;及び前記混合物に熱または光線を加え、光結晶層を製造する第d工程;を含む光結晶層製造方法が挙げられる。
【0065】
本発明において、前記コーティング層前駆体には、シリカ、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルイミド、ポリビニルピロリドン、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子樹脂よりなる群から選択された一つ以上が挙げられる。
【0066】
以下、本発明の光結晶層製造方法の一態様に係り、コーティング層前駆体としてシリカ前駆体を使用する場合について具体的に説明する。
【0067】
本発明の前記光結晶層製造方法において、第a工程は強磁性ナノ粒子クラスター及びシリカ前駆体を混合する工程であり、これにより、前記シリカ前駆体の強磁性ナノ粒子クラスターとの結合及び加水分解反応を誘導する。前記第a工程で、強磁性ナノ粒子クラスターは、本発明のナノ粒子の中空コア部を形成するための鋳型(template)としての役割を果たす。本発明では、このように、強磁性ナノ粒子クラスターを鋳型として使用することによって、従来に比べて大きなサイズの中空をナノ粒子の内部に形成することができ、また前記中空サイズの自由な制御が可能になるという長所を有する。
【0068】
本発明において、前記第a工程は、溶媒下で前記強磁性ナノ粒子クラスター及びシリカ前駆体を混合することによって行われ、前記溶媒の具体的な種類は特に限定されず、この分野で通用される各種の水性及び有機溶媒を使用することができるが、好ましくは、水とアルコールの混合溶媒を使用することができる。
【0069】
本発明において、前記混合溶媒中の水は添加されたシリカ前駆体の加水分解反応を進める役割を果たすが、この工程で、本発明の第b工程で縮合及びゲル化反応を行うことができるヒドロキシル基がシリカ前駆体内のケイ素原子として導入されるようになる。通常、シリカ前駆体は水によく溶解されないため、アルコールのような適切な有機溶媒と混合して使用する。前記で、アルコールは水とシリカ前駆体の両者を溶解することができ、これにより、水とシリカ前駆体を均質に混合し、加水分解反応を行うことができる。このとき、水とアルコールの混合割合は特に制限されず、この分野で通常的な知識を有する者は適切な混合割合を容易に選択できる。
【0070】
本発明において、前記第a工程のシリカ前駆体は、強磁性ナノ粒子クラスター上にシリカセル部を形成することができるのであれば、特に制限されないが、テトラメトキシシラン(tetramethoxy silane)またはテトラエトキシシラン(tetraethoxy silane)のようなアルコキシシランを使用することが好ましく、このうち、テトラエトキシシランを使用することがより好ましい。
【0071】
本発明の第a工程では、前記アルコキシシランの使用量を調節し、目的とするセル部の厚さを制御することができる。前記使用量は、この分野で通常の知識を有する者によって適宜選択され得る。本発明の第a工程で、シリカ前駆体の加水分解反応を行う方法は特に限定されず、例えば、還流(reflux)条件下で撹拌する一般的な方法で遂行できる。また、本発明の第a工程では、酸性触媒(例えば、HCl、CH3COOH等)または塩基触媒(例えば、KOH、NH4OHなど)などの適切な触媒を添加し、前記加水分解反応を促進することができる。
【0072】
本発明において、前記第b工程は、前記加水分解シリカ前駆体の縮合を介したゲル化反応を遂行して、強磁性ナノ粒子クラスターにシリカセル部を形成する工程であり、これにより、加水分解前駆体はクラスター表面にシロキサン結合(−Si−O−Si−)を形成することで、縮合及びゲル化される。
【0073】
本発明において、前記縮合反応は、脱水縮合及びアルコール縮合反応に分類され得る。脱水縮合反応では、第a工程の加水分解反応時に、前駆体に導入されたヒドロキシル基(OH)間の結合を通してシロキサン結合を形成しながら、水が除去される。また、アルコール縮合反応では、前記ヒドロキシル基とアルコキシ基(OR)との結合を通してシロキサン結合を形成しながら、アルコールが除去される。本発明において、前記縮合及びゲル化反応を行う方法は特に限定されず、例えば、混合物を適切な温度条件下で撹拌することによって遂行することができる。
【0074】
本発明の第c工程は、シリカセル部が形成された強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を混合する工程である。シリカ強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂との適切な配合を通して、1nm〜10nmの一定の間隔を有する磁性測定光結晶が作られるようになる。この時、強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂との混合割合を特に限定すればよく、例えば、前記混合物は熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂100重量部に対して、前記クラスター0.05重量部〜20重量部を含むことができる。前記混合物が前記の含量比を外れれば、前記シリカ強磁性ナノ粒子クラスター間に形成された一定の間隔が、電流を測定するのは難しい間隔になるおそれがある。
【0075】
本発明の第d工程は、前記第c工程で得られた適正混合物に熱または光線を加え、光結晶層を形成する工程である。前記の含量割合を通して得られた混合物に熱または光線を露出すると、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が架橋現象を起こし、これにより、シリカ強磁性ナノ粒子クラスターの間隔を繋ぐ接着剤の役割を果たすことになる。
【0076】
本発明において、前記熱意温度範囲は特に制限されず、用いられる熱硬化性樹脂に応じて適宜選択できるが、好ましくは100℃〜250℃、より好ましくは100℃〜200℃であってもよい。
【0077】
本発明において、前記光線の波長範囲は特に制限されないが、好ましくは300nm〜700nmであってもよい。
【0078】
また、前記混合物の光線露出時間は特に制限されないが、好ましくは10秒以上であってもよい。前記光線露出時間の上限は特に限定されなく、必要に応じて調節でき、好ましくは1分以下、より好ましくは30秒以下であってもよい。前記光線露出時間が10秒未満であれば、前記混合物の光硬化性樹脂内で完全な光感応が起きず、硬化が進まないおそれがある。
【0079】
添付された図2に示されるように、均一に配列された磁性体の間隔に変形が生じた場合、薄い表層部の磁束は強磁性体の表面上の空間へと漏れて行くようになる。この変形部の空間へと漏れて行く磁束が多いほど、磁束の変化を容易に観察でき、これを利用して変形測定が可能になる。
【0080】
従って、本発明の光結晶層を含む構造物の変形率測定用装置が付着された構造物は、一部に変形が生じる場合、前記変形された部分から空間へと漏れて行く磁束の変化を観察でき、これを測定することによって簡単で、正確な変形率を測定することができる。
【0081】
[実施例]
以下、本発明に係る実施例及び本発明に係らない比較例を通して本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲が下記に示す実施例により何ら制限されるものではない。
【実施例1】
【0082】
下記の各工程を通して磁性敏感度も有した光結晶層を含む構造物の変形率測定用装置を製造した。添付図1に製造過程の模式図を示す。
【0083】
(1)磁性ナノ粒子の製造
ベンジルエーテル溶媒20mL内に、 鉄トリアセチルアセトネート0.2モル、1,2−ヘキサデカンジオール1モル、ドデシル酸0.6モル及びドデシルアミン0.6モルを添加し、次いで150℃で30分間加熱した後、290℃で30分間加熱し、12nmのマグネタイト(Fe3O4)を製造した。製造されたマグネタイト(磁性ナノ粒子)は、純粋のエタノールを使用して精製されており、前記精製されたマグネタイトの透過電子顕微鏡(TEM)写真を図3に示す。
【0084】
(2)強磁性ナノ粒子クラスターの製造
前記精製されたマグネタイト(磁性ナノ粒子)を使用して、油相/水相エマルジョン(O/W emulsion)方法で強磁性ナノ粒子クラスター(以下、MNCsと称する)を製造した。具体的には、セチルトリメチルアンモニウムブロミド200mgを水相の超純水20mLに溶解し、前記製造された磁性ナノ粒子5mgを油相のクロロホルムに溶解して、エマルジョンを製造した。製造されたエマルジョンを約6時間撹拌し、油相を除去し、遠心分離を3回繰り返して不純物を除去し、200nmに凝集された高感度の強磁性ナノ粒子クラスターを製造した。
【0085】
(3)シリカがコーティングされた強磁性ナノ粒子クラスターの製造
前記製造された強磁性ナノ粒子クラスター5mgが含まれた水相1mL溶液に、アルコール縮合反応のためにエタノール4mLを混合した。また、前記反応の促進のために、アンモニア溶液0.1mLを入れた後、テトラエチルオルトシリケート溶液60μLをゆっくり入れた。これを27℃で、12時間反応して強磁性ナノ粒子クラスターの表面にシリカコーティング層を形成した。製造されたシリカ強磁性ナノ粒子クラスターは遠心分離で分離して得た。
【0086】
(4)シリカ強磁性ナノ粒子クラスターと光硬化性樹脂との混合
前記得られたシリカ強磁性ナノ粒子クラスターを、磁性を介して分離した後、光硬化性樹脂のポリエチレングリコールジアクリレート100重量部に前記クラスター0.5重量部を分散した。
【0087】
(5)シリカ強磁性ナノ粒子クラスターが含有された柔軟な光結晶層の製造
前記シリカ強磁性ナノ粒子クラスターと光硬化性樹脂との混合物を基材表面に硬化した後、厚さが1cmになるように塗布し、波長が355nmの光線を30秒間照射し、光硬化性樹脂を硬化することによって、光結晶層を製造した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材;及び
前記基材上に形成され、一定の間隔で配列されたナノ粒子を含有する光結晶層;
を含む構造物の変形率測定用装置。
【請求項2】
ナノ粒子は、1nm〜10nmの一定の間隔で配列されている請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項3】
ナノ粒子は、直径が50nm〜300nmである請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項4】
ナノ粒子は、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリシロキサン、両親媒性のポリスチレン/メタアクリレートブロック共重合体及び磁性体よりなる群から選択された一つ以上である請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項5】
磁性体は、金属物質、磁性物質及び磁性合金よりなる群から選択された一つ以上である請求項4に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項6】
金属物質は、Pt、Pd、Ag、Cu及びAuよりなる群から選択された一つ以上である請求項5に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項7】
磁性物質は、Co、Mn、Fe、Ni、Gd、Mo、MM’2O4及びMxOyよりなる群から選択された一つ以上(ここで、M及びM’は、それぞれ独立して、Co、Fe、Ni、Zn、GdまたはCrを表し、0<x≦3、0<y≦5である)である請求項5に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項8】
磁性合金は、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe及びNiFeCoよりなる群から選択された一つ以上である請求項5に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項9】
磁性体は、強磁性ナノ粒子クラスター;及び前記クラスターを囲んでいるコーティング層;を含む形態である請求項4に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項10】
コーティング層は、シリカ、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルイミド、ポリビニルピロリドン、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子樹脂よりなる群から選択された一つ以上である請求項9に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項11】
光結晶層は、厚さが5μm〜10μmである請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項12】
光結晶層は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂内にナノ粒子が一定の間隔で配列されたものである請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項13】
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ヨウ素樹脂及びメラミン樹脂よりなる群から選択された一つ以上である請求項12に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項14】
光硬化性樹脂は、ポリウレタンアクリレート、ポリイソプレン系アクリレートまたはそのエステル化物、テルペン系水素添加樹脂、ブタジエン重合体、ビスフェノールジアクリレート系樹脂及びポリエチレングリコールジアクリレートよりなる群から選択された一つ以上である請求項12に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項15】
光結晶層を基材上に形成する第1工程;
前記光結晶層が形成された基材を変形測定対象構造物の表面に付着させる第2工程;及び
前記光結晶層の構造色変化または磁束変化を測定する第3工程;
を含む構造物の変形率測定方法。
【請求項16】
光結晶層は、
強磁性ナノ粒子クラスター及びコーティング層前駆体を混合する第a工程;
前記コーティング層前駆体を使用して、強磁性ナノ粒子クラスターにコーティング層を形成する第b工程;
前記コーティング層が形成された強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂とを混合する第c工程;及び
前記混合物に熱または光線を加えて、光結晶層を製造する第d工程;
を含む製造方法で製造された請求項15に記載の構造物の変形率測定方法。
【請求項1】
基材;及び
前記基材上に形成され、一定の間隔で配列されたナノ粒子を含有する光結晶層;
を含む構造物の変形率測定用装置。
【請求項2】
ナノ粒子は、1nm〜10nmの一定の間隔で配列されている請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項3】
ナノ粒子は、直径が50nm〜300nmである請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項4】
ナノ粒子は、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリシロキサン、両親媒性のポリスチレン/メタアクリレートブロック共重合体及び磁性体よりなる群から選択された一つ以上である請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項5】
磁性体は、金属物質、磁性物質及び磁性合金よりなる群から選択された一つ以上である請求項4に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項6】
金属物質は、Pt、Pd、Ag、Cu及びAuよりなる群から選択された一つ以上である請求項5に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項7】
磁性物質は、Co、Mn、Fe、Ni、Gd、Mo、MM’2O4及びMxOyよりなる群から選択された一つ以上(ここで、M及びM’は、それぞれ独立して、Co、Fe、Ni、Zn、GdまたはCrを表し、0<x≦3、0<y≦5である)である請求項5に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項8】
磁性合金は、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe及びNiFeCoよりなる群から選択された一つ以上である請求項5に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項9】
磁性体は、強磁性ナノ粒子クラスター;及び前記クラスターを囲んでいるコーティング層;を含む形態である請求項4に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項10】
コーティング層は、シリカ、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルイミド、ポリビニルピロリドン、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子樹脂よりなる群から選択された一つ以上である請求項9に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項11】
光結晶層は、厚さが5μm〜10μmである請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項12】
光結晶層は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂内にナノ粒子が一定の間隔で配列されたものである請求項1に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項13】
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ヨウ素樹脂及びメラミン樹脂よりなる群から選択された一つ以上である請求項12に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項14】
光硬化性樹脂は、ポリウレタンアクリレート、ポリイソプレン系アクリレートまたはそのエステル化物、テルペン系水素添加樹脂、ブタジエン重合体、ビスフェノールジアクリレート系樹脂及びポリエチレングリコールジアクリレートよりなる群から選択された一つ以上である請求項12に記載の構造物の変形率測定用装置。
【請求項15】
光結晶層を基材上に形成する第1工程;
前記光結晶層が形成された基材を変形測定対象構造物の表面に付着させる第2工程;及び
前記光結晶層の構造色変化または磁束変化を測定する第3工程;
を含む構造物の変形率測定方法。
【請求項16】
光結晶層は、
強磁性ナノ粒子クラスター及びコーティング層前駆体を混合する第a工程;
前記コーティング層前駆体を使用して、強磁性ナノ粒子クラスターにコーティング層を形成する第b工程;
前記コーティング層が形成された強磁性ナノ粒子クラスターと熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂とを混合する第c工程;及び
前記混合物に熱または光線を加えて、光結晶層を製造する第d工程;
を含む製造方法で製造された請求項15に記載の構造物の変形率測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−519274(P2012−519274A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551993(P2011−551993)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001299
【国際公開番号】WO2010/098647
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(507215161)延世大學校産學協力財団 (4)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRY−ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION YONSEI UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】Yonsei University,134,Sinchon−dong,Seodaemun−gu,Seoul 120−743,Republic of Korea
【出願人】(511208885)テクノバリュー カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TECHNOVALUE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】701,World Meridian Biz Center,15−1,Yangpyeongdong 3−ga,Yeongdeungpo−gu,Seoul 150−103,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001299
【国際公開番号】WO2010/098647
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(507215161)延世大學校産學協力財団 (4)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRY−ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION YONSEI UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】Yonsei University,134,Sinchon−dong,Seodaemun−gu,Seoul 120−743,Republic of Korea
【出願人】(511208885)テクノバリュー カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TECHNOVALUE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】701,World Meridian Biz Center,15−1,Yangpyeongdong 3−ga,Yeongdeungpo−gu,Seoul 150−103,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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