説明

標的型癌ナノ治療に用いる、活性剤が負荷された活性化PLGAナノ粒子製剤

本発明は、組成物と、標的型薬物送達用の活性化ポリマーナノ粒子の作製方法とを含み、かかる活性化ポリマーナノ粒子は、標的剤上の任意の求核と選択的に反応して前記標的剤を生分解性ナノシェルの外側表面に配置する求電子剤を少なくとも1つ含むスペーサー化合物と非共有結合している両親媒性安定剤と、生体適合性ポリマーとを含む。ナノシェルには活性化剤が負荷されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して活性剤負荷粒子の分野に関し、より具体的には、PLGA負荷粒子中の活性剤を送達するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定することなく、その背景を活性薬剤の送達との関連で説明する。
【0003】
分子治療に伴う最大の問題の一つに作用部位への治療剤の送達がある。クルクミン等の抗癌剤の場合、患者を保護するために用量を最低レベルに保つ必要がある。しかし、用量を減らすことにより、疾患を完全に治療できない可能性がある。したがって、種々の抗体を結合(conjugate)させて特異的作用部位に薬物送達デバイスを導くことにより、より有利な治療レジームの開発が可能となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、組成物、及び標的型薬物送達用の活性化ポリマーナノ粒子の作製方法を含み、かかる活性化ポリマーナノ粒子は、生体適合性ポリマーと、スペーサー化合物と非共有結合(non-covalently associated)している両親媒性安定剤とを含み、前記スペーサー化合物は、標的剤上の求核剤と選択的に反応して前記標的剤を生分解性ナノシェルの外側表面に配置させる求電子剤を少なくとも1つ有し、前記ナノシェルには活性剤が負荷されている。いくつかの実施形態では、ナノシェルには1又は複数のポリエステル及び1又は複数の両親媒性安定剤が含まれる。ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−乳酸−co−グリコール酸、及びそれらの組合せである。一実施形態において、両親媒性安定剤はポリオールであり、かかるポリオールとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンジオール、ポリテトラヒドロフラン、及びそれらの組合せが例示される。細胞内送達を制御するためにナノシェルは、プラスミドDNA、siRNA、タンパク質、小分子、又は抗癌剤(例えばパクリタキセル、クルクミン)等の活性剤を封入していてもよい。本発明において、ナノシェル組成物は、究極の(ultimate)サイズ及び薬物送達速度の制御、及び/又は全身用量を最小化するためにナノ担体に疾患組織/細胞を選択的に標的化せしめる標的剤の制御に用いられる。
【0005】
ナノシェルには、従来のラジオアイソトープ剤及び化学療法剤と組み合わせた活性剤を負荷してもよい。別の実施形態では、ナノシェルは、グリコール酸に対する乳酸のポリマー比率を予め決めておくことにより、活性剤の制御放出に適用される。また、ナノ粒子は、スペーサー化合物も含んでいてよく、かかるスペーサーはホモ官能性、ヘテロ官能性、多重官能性、単反応性、二反応性、又は多重反応性、水溶性、不水溶性、又は部分水溶性である。本発明に使用される標的剤としては、抗体、小分子、ペプチド、炭水化物、タンパク質、核酸、アプタマー、第2ナノ粒子、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン、受容体、脂質、レクチン、鉄金属、磁性粒子、リンカー、アイソトープ、及びそれらの組合せが例示される。別の活性剤としては、抗癌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗蠕虫剤、栄養素、小分子、siRNA、抗酸化剤、及び抗体が含まれる。具体的な一例として、活性剤は抗癌剤、例えば、クルクミン又はその誘導体である。
【0006】
本発明にはまた、標的化が可能で負荷可能なナノ粒子の作製方法も含まれる。この方法は、第1溶媒中の生体適合性ポリマーと、活性剤とを含む第1乳剤を、例えば、混合、超音波処理、ボルテックス、又はその他の混合法によって形成するステップ;水中の両親媒性安定剤、ナノ粒子の究極のサイズの制御に用いる非溶媒、及び少なくとも1つの求電子剤を含むスペーサー化合物を含む第2溶液を調製するステップ;例えば超音波処理、ボルテックス又はその他の混合法により第1乳剤と第2溶液を混合して、非共有結合したスペーサー化合物を有する、活性化され負荷されたナノ粒子を形成することにより第2乳剤を形成するステップ、前記活性化され負荷されたナノ粒子を分離するステップ、及び非共有結合したスペーサー化合物上の1又は複数の求電子剤において、標的剤を前記粒子に結合させるステップを含む方法である。スペーサー化合物としては、ホモ官能性、ヘテロ官能性、多重官能性、単反応性、二反応性、又は多重反応性、水溶性、不水溶性、又は部分水溶性である化合物が例示される。ナノ粒子用の標的剤は、抗体、小分子、ペプチド、炭水化物、タンパク質、核酸、アプタマー、第2ナノ粒子、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン、受容体、脂質、レクチン、鉄金属、磁性粒子、リンカー、アイソトープ、及びそれらの組合せであってよい。本発明の方法に用いる活性剤としては、例えば抗癌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗蠕虫剤、栄養素、小分子、siRNA、抗酸化剤、及び抗体が含まれる。ナノシェルには、1又は複数のポリエステル及び/又は1又は複数の両親媒性安定剤が含まれていてもよい。本発明に用いるポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−乳酸−co−グリコール酸、及びそれらの組合せが含まれる。両親媒性安定剤の限定されることのない一例としては、ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンジオール、ポリテトラヒドロフラン、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−PPO−PEO)トリブロックコポリマー、及びそれらの組合せが列挙される。ナノシェルは、細胞内送達の制御、及び/又は究極のサイズ及び薬物送達速度の制御用に、プラスミドDNA、siRNA、タンパク質、小分子又は抗癌剤(例えばパクリタキセル、クルクミン)を封入していてもよい。標的剤は、ナノ担体を疾患組織/細胞に対して選択的に標的化せしめることにより全身用量を最小化し、いくつかの実施形態においては、ナノ粒子表面で標的剤を放射標識結合抗体に付着させてもよい。ナノシェルは、従来のラジオアイソトープ剤及び化学療法剤を組み合わせていてもよい活性剤を負荷していてもよく、及び/又はグリコール酸に対する乳酸のポリマー比率を予め決めておくことにより活性剤の制御放出に適用される。具体例の一つでは、活性剤は、クルクミン又はその誘導体等の抗癌剤である。
【0007】
本発明の特徴及び利点をより完全に理解するために、図面と共に本発明の詳細な説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】PLGAナノ粒子からのクルクミン放出を示すグラフである。
【図2】活性化ナノ粒子からの抗体放出に関する比色分析を示すグラフである。
【図3】IgG結合ナノ粒子からのナノ粒子画分のウエスタンブロット分析を示す図である。
【図4】IgG結合ナノ粒子からの上清画分のウエスタンブロット分析を示す図である。
【図5】透過型電子顕微鏡写真(マウスThy−1抗体に結合させた、BSで活性化したPLGAナノ粒子の透過型電子顕微鏡画像)を示す図である。
【図6】Thy−1標識ナノ粒子のウエスタンブロット分析を示す図である。
【図7】(図7A〜7C)Thy−1結合ナノ粒子に暴露させた網膜色素上皮細胞の顕微鏡写真を示す図である。
【図8】(図8A及び8B)本発明の種々の架橋試薬に関するウエスタンブロット分析を示す図である。
【図9】(図9A〜9H)本発明による、ヒト前立腺組織切片におけるPSMA発現を示す図である。
【図10】本発明による、共培養条件下でのマウス抗PSMA抗体(Zymed)の特異性を調べるTIRF分析を示す図である。
【図11】(図11A及び11B)本発明により、PSMA標的化ナノ粒子が、PC−3細胞よりもLNCaP C4−2細胞を優先的に取り込む様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用については以下に詳述するが、本発明は、多種多様な具体的な文脈において実施できる適用可能な多くの発明概念を提供するものであることを理解されたい。本明細書で考察する具体的な実施形態は、本発明を作製及び使用するための具体的方法を例示しているに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0010】
本発明の理解を容易にするために、幾つかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明の関連分野の当業者が通常理解している意味を有する。「a」、「an」、「the」などの用語は、単数の物だけを指すと意図しているのではなく、説明のために具体例で使用し得る部類一般を包含する。本発明における専門用語は、本発明の具体的な実施形態を説明するために使用するが、その用法は、特許請求の範囲で概説される場合を除き、本発明を制限するものではない。
【0011】
生物学的活性剤(例えば抗体)の二次結合のための、クルクミンを負荷した活性化ナノ粒子の製剤に関する詳細な方法
表1(下記)は、クルクミン負荷ナノ粒子を作製するための製剤パラメーターを示す。ナノ粒子は、エタノール又はメタノールを非溶媒として用いて作製した。クルクミン濃度が上昇するに伴い、負荷効率の低下が観察される。ナノ粒子のサイズには僅かな変動がみられる。活性剤を含めてもナノ粒子のサイズ又は負荷能力は影響を受けない。
【0012】
【表1】

【0013】
図1は、PLGAナノ粒子からのクルクミンの放出率を示すグラフである。9mg/mLのクルクミンを負荷したナノ粒子をエッペンドルフチューブに分配し、37℃の回転式オーブン(rotisserie)に配置した(ナノ粒子の最終濃度は1チューブあたり1mg/mL)。9日間にわたり毎日測定した。クルクミン濃度は、430nmにおける吸光度で測定した。
【0014】
図2は、活性化ナノ粒子からの抗体放出に関する比色アッセイを示すグラフである。活性化ナノ粒子5mg/mLをマウスIgGに結合させた。1.5mLのエッペンドルフチューブに1mgずつ均等分配し、37℃の回転式オーブンに配置した。1、3、5、7及び9日後に等量ずつ回収して分析した。上清中の抗体(遊離抗体画分)は、所定時間の経過に伴い増加していることがわかる。ナノ粒子画分中の抗体(ナノ粒子と非共有結合)は、減少していることがわかる。
【0015】
図3は、IgG結合ナノ粒子からのナノ粒子画分に関するウエスタンブロット分析を示す図である。1列目は、天然型の変性マウスIgGを表す。2〜6列目は、それぞれ1、3、5、7及び9日後の時点におけるIgG結合ナノ粒子である。7列目は不活性化ナノ粒子である。8列目は、非結合の活性化ナノ粒子である。
【0016】
図4もIgG結合ナノ粒子からの上清画分(遊離抗体)に関するウエスタンブロット分析を示す図である。1列目は、天然型の変性マウスIgGを表す。2〜6列目は、それぞれ1、3、5、7及び9日後の時点におけるIgG結合ナノ粒子である。
【0017】
図5は、マウスThy−1抗体に結合させたBS3活性化PLGAナノ粒子の透過型電子顕微鏡の画像である。ナノ粒子は、白色球として視覚化されている。マウスThy−1抗体は、コロイド金で標識した抗マウス二次抗体との反応により、ナノ粒子表面で視覚化されている(ナノ粒子表面上で黒点として見える)。
【0018】
図6は、Thy−1標識ナノ粒子に関するウエスタンブロット分析を示す。1列目は、濃度0.5mg/mLにおける天然型の変性非結合マウスThy−1である。2〜6列目は、マウスThy−1が結合したBS3活性化ナノ粒子の濃度が増加していく様子を示している(それぞれ11.5、18.4、23.0、27.6、34.5μgのナノ粒子)。ナノ粒子の濃度増加に伴う、Thy−1存在下における直線的増加が観察される。7列目は、活性化ナノ粒子を示し、ナノ粒子がゲル内へと移動していることを示している。シングルバンドの存在は、活性化ナノ粒子がマウスHRP二次抗体と選択的に結合する能力を表している。
【0019】
図7A〜7Cは、網膜色素上皮細胞をThy−1結合ナノ粒子に暴露したときの効果を示す。ナノ粒子にスルホローダミン101を負荷して視覚化した(赤)。標的化ナノ粒子への暴露の90分後に、Z-Stackを用いる共焦点顕微鏡法を行った。図7A、7B及び7Cは、細胞内の8、10及び13μmにおける直交断面である。黄色の矢印は、細胞表面のナノ粒子濃度部位を示す(赤の頻発点)。青い矢印は、焦点域の増加又は減少による、かかる頻発点の不在を示す。
【0020】
材料。ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)50:50;静脈注射用、1.13dL/gは、Absorbable Polymers International社(アラバマ州、ペルハム)から購入した。分子量30,000〜70,000のポリ(ビニルアルコール)、スルホローダミン101、エタノール、メタノール、及びクロロホルムは、Sigma-Aldrich社(ミズーリ州セントルイス)から購入した。クルクミンは、サウスダコタメディカルセンターのShubash Chauhan博士から贈呈された。マウスThy−1抗体は、Neeraj Agarwal博士(UNTHSC、テキサス州フォートワース)から贈呈された。マウスIgGは、Promega社(カリフォルニア州サンルイスオビスポ)から購入した。
【0021】
ナノ粒子製剤。ナノ粒子は、二重エマルジョン法を改変した手法で製剤化した。この手法では、まず、30mgのポリ(D,L−ラクチド−グリコシド)(PLGA)を1mLのクロロホルムに4℃で溶解した。次に、2%(w/v)ポリ(ビニルアルコール)(PVA)/脱イオン蒸留水の溶液2mLを形成した。PVAを水に可溶化した後、このPVA溶液に非溶媒としてエタノール又はメタノールを1mL加えた。次に、活性剤のスベリン酸ビス−スクシンイミジル(BS3)をPVA/エタノール溶液に濃度1mMで加え、攪拌した。0.5MのNaOHを用いたアルカリ条件下にてクルクミンを水に溶解することにより、10mg/mlのクルクミン貯蔵液を形成した。水性容量で150μLあたり0.5、1.0及び2.0mg/mLの濃度のクルクミンをPLGA/クロロホルム溶液に加えた。第1乳剤は、クルクミン−PLGA/クロロホルム溶液を20秒間ボルテックスし、Branson Sonifier model W-350(Branson社、コネチカット州ダンバリー)を用い、55Wで1分間、先端超音波処理(tip sonication)することにより形成した。次に第1乳剤をBS3/PVA/エタノール溶液に加え、第2乳剤の形成に着手した。ボルテックスを20秒間行い、先端超音波処理を55Wで2分間行うことにより、第2乳剤を完成させた。次に、安定した活性化ナノ粒子を1.5mLのエッペンドルフチューブに均等分配し、18,000gで5分間、遠心分離した。クロロホルム及び残留PVA上清を吸引除去し、先端超音波処理により粒子を1mLのPBS(pH7.2)に再懸濁させた。最懸濁後、ナノ粒子を−80℃下で1時間静置し、一晩凍結乾燥した。凍結乾燥は、250μTの真空中、ATR FD 3.0 system(ATR Inc社、ミズーリ州セントルイス)で行った。凍結乾燥後、ナノ粒子を4℃で保存した。ナノ粒子を使用する際は、エッペンドルフチューブに入れて重量を測定し、1mLのPBS(pH7.2)に再懸濁した。
【0022】
エタノール及びメタノールを用い、3種類の濃度でナノ粒子を作製した場合に、非溶媒を交互に用いたときのサイズ変化を観察する。1mg/ml以下の濃度では、90%を超える取込率が観察された。また、強力なバースト放出が生じているようである。これらの観察結果は、ポリ−乳酸−co−グリコール酸ナノ担体からの小分子放出に関する周知の現象に沿うものである。
【0023】
ナノ粒子表面へのThy−1及びIgGの結合。最懸濁させた活性化ナノ粒子5mgに、250μLのマウスThy−1(0.5mg/ml)を加え、4℃で一晩反応させた。その後、ナノ粒子を直ちに研究に使用し、或いはPLGAポリマーが著しく破壊されないように−20℃に凍結した。
【0024】
粒子表面にマウスIgGを結合させるため、活性化ナノ粒子9mgをPBS(pH7.2)に再懸濁させた。次に、250μLのマウスIgG(0.2mg/mL)を加え、4℃で一晩反応させた。
【0025】
活性化ポリマーナノ粒子を製剤化し、標的型薬物送達系として用いた。かかる系は、任意の求核リガンド(抗体、受容体タンパク質、局在配列、有機分子)を生分解性ナノシェルの外側表面に選択的に付着させることができる。このナノシェルは、FDAが認可したポリマーであるポリ−乳酸−co−グリコール酸から作出されている。ナノシェルが、プラスミドDNA、siRNA、タンパク質、小分子又は化学療法剤(すなわちパクリタキセル及びクルクミン)を封入することを可能とする性質を有しているため、細胞内送達の制御が可能となる。また、ナノシェルの製剤パラメーターを変化させることにより、究極のサイズ及び薬物送達速度を制御することもできる。ナノ担体の標的化により、疾患組織/細胞への局在化が可能となり、全身用量を最小限にできる。また、ナノ粒子表面に結合する抗体を放射標識することもできる。これにより、従来のラジオアイソトープ剤と化学療法剤とを併用するという抗癌治療におけるコンビナトリアルストラテジーが可能となる。治療剤を制御放出させることにより、種々の臨床疾患に対する治療ストラテジーを最適化することができる。
【0026】
本発明の組成物及び方法は多目的に用いられるので、使用者は、ナノシェルの究極のサイズを制御するために種々の溶媒から選択することができる(例えば、細胞内へのナノ粒子取込み性を向上させることはナノ粒子分野の当業者にはよく知られている)。
【0027】
制御放出特性は、乳酸のグリコール酸に対するポリマー比率を変化させることにより達成できた(ナノ粒子分野の当業者に周知である)。これら粒子は、等張緩衝液に再懸濁させた場合は一定時間、4℃で脱水した場合はいつまでも、安定している。
【0028】
本発明は、本発明の粒子を標的とする方法において既存技術とは異なる。リガンドをポリマーナノ粒子に付着させるための最も一般的な方法は、ポリエチレングリコール(PEG)をPLGAポリマー鎖に接合させてPLGA−PEGコポリマーを作製する方法である。アミンの標準的な反応性を用いてPEG分子との連結を行う。本発明の方法においては、第2乳剤の形成過程で市販の架橋剤(BS3、Pierce Biotechnology社、イリノイ州ロックフォード)を内包させることにより、リガンドを付着させる活性粒子を作出する。第2乳剤溶液中のBS3は、PLGA乳剤と、やはり第2乳剤溶液に含まれるPVA安定剤との間の疎水性/親水性相互作用により封鎖される。
【0029】
本発明の組成物及び方法の別の利点は、求核基を有する生物学的に活性な分子であればいずれの分子であっても、暴露されたNHSエステル部分(すなわち求電子剤)との反応によってナノシェル及び/又はナノ粒子に付着せしめることができ、治療目的に無限の範囲の標的化粒子が使用できる点にある。
【0030】
前立腺癌の進行における前立腺特異的膜抗原(PSMA)の細胞マーカーとしての役割:前立腺癌特異的膜抗原(PSMA)は、LNCaP細胞中の7E11モノクローナル抗体によって元来特徴付けられるII型膜内在性糖タンパク質である(Chang SS, Reuter VE, Heston WD, Bander NH, Grauer LS, Gaudin PB. Five different anti-prostate-specific membrane antigen (PSMA) antibodies confirm PSAM expression in tumor-associated neo-vasculature. Cancer Res. 1999;59(13):3192-3198, Liu H, Moy P, Kim S, Xia Y, Rajasekaran A, Navarro V, et al. Monoclonal antibodies to the extracellular domain of prostate-specific membrane antigen also react with tumor vascular endothelium. Cancer Res. 1997;57:3629-3634)。PSMAは、18アミノ酸の短い細胞内セグメント、24アミノ酸で構成される膜透過性領域、及び706アミノ酸と広域にわたる細胞外C末端ドメインからなる(Israeli R, Powell CT, Corr JG, Fair WR, Heston WD. Expression of the prostate-specific membrane antigen. Cancer Res. 1994;54:1807-1811)。PSMAの機能的役割は、現在、研究中であるが、PSMAの構造は、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ及び葉酸ヒドロラーゼIと同じである。
【0031】
PSMAは、抗原に認識されると内在化され得る。前立腺癌の進行と相関するように、PSMAは良性前立腺分泌性腺上皮、前立腺上皮内新生物(PIN)、及び前立腺腺癌で高度に発現される。PSMAの発現量を研究した結果、PSMAは、高度に進行しているPIN及びHRPC癌で最も多く発現していることがわかった。したがって、前立腺癌が進行するにつれてPSMAの発現も増加することが示されているので、前立腺癌治療にPSMAに基づく標的型治療を適用することは魅力的な治療オプションである。PSMA発現と関連する重要な要素は、PSMAが腫瘍関連新生血管においてのみ発現され、正常血管では発現されないことが示されている点である。PSMAとVEGFが同時に発現することも明らかにされている。PSMAは、乳癌、肺癌、卵巣癌、腎臓癌、膀胱癌、腸管癌等の他の固形腫瘍における血管内皮でも発現することが観察されている。
【0032】
前立腺癌のための治療オプション:血清PSA値が上昇し、前立腺癌と診断された後、臨床的な治療介入が開始される。治療介入の基本的形態は、アンドロゲン除去治療である。かかる治療では腫瘍体積が顕著に減少することが示されているが、前立腺癌がホルモン抵抗性として再発する率が高い。伝統的な化学療法も前立腺癌治療に用いられてきた。サリドマイドは、有効な臨床結果を生み出してきたことが示されている。しかし、この療法は、サリドマイドより顕著な前立腺腫瘍縮減作用を有することが示されているパクリタキセル等のタキサンをサリドマイドと併用する併用療法である。しかし、サリドマイドとパクリタキセルを使用する上での不利点は、水可溶性に限界がある点である。そのため、前立腺癌に対する有効薬として機能させるためには、治療薬をより高用量で用いることが必要となる。近年、ドセタキセルが前立腺癌の有効な治療オプションであることがわかってきた。ドセタキセルの長所は、その顕著に亢進された水可溶性である。1種類の化学療法剤を負荷したナノ粒子、又は2種類の化合物(例えばプレドニゾンとタキサン)を組み合わせて含む化学療法剤を負荷したナノ粒子を送達ベクターとして使用することは、容易に達成できることである。Sahoo et al.が行った研究では、パクリタキセル含有ナノ粒子にトランスフェリンを結合させることにより、IC50が5分の1に減少した。
【0033】
PSMAをベースとする抗体療法における使用についても研究した。転移性前立腺癌の治療においてPSMAを放射標識した結果、全身細胞毒性や、転移性疾患の骨部位への局在化能と同様にインビボでの局在化能が認められなかった。毒素と結合したPSMA抗体は迅速に内在化されることが示され、マウスにおいて毒性が認められることなく前立腺腫瘍を根絶した。よって、PSMAを用いた、腫瘍血管系部位を標的とするドセタキセル負荷ナノ粒子の組合せ効果により、前立腺癌の治療に魅力的な薬剤が提供される。
【0034】
表2は、本発明における種々の構造、リンカー、ペイロード、及び官能性を含む表である。
【0035】
【表2】


【0036】
図8は、種々の架橋試薬に関するウエスタンブロット分析を示す:パネルAの1列目は、マウスp21抗体を選択的に付着させるためのDSG(不水溶性;ホモ二官能アミン反応性)の使用を表す。2列目は、クエンチ反応条件下における活性化DSGナノ粒子を表すが、検出可能なバンドがみられないことに留意されたい。3列目は、結合反応における検出に用いた二次HRP抗体との反応を表す(原画像では、かすかなバンドが表示される)。4列目は、マウスアネキシンA2抗体を付着させるためのEGS(水溶性;ホモ二官能アミン反応性)の取込みを表す。5列目は、クエンチ反応条件下における活性化EGSナノ粒子である。6列目は、検出に用いたマウス二次HRPと反応する活性化EGSナノ粒子を表す。パネルB:1列目は、マウスシトクロムCの結合のためのBMPS(不水溶性;アミン及びスルフヒドリル(sulfdhydryls)に対してヘテロ二官能性)の使用を表す。2列目は、アミンでクエンチし、BMPSで活性化したナノ粒子である。3列目は、ウサギVEGF2受容体抗体の結合のためのEMCS(水溶性;アミン及びスルフヒドリルに対してヘテロ二官能性)を表す。4列目は、クエンチし、EMCSで活性化したナノ粒子を示す。BMPS及びEMCSの場合はアミン反応性部位が一箇所のみであるために所与のターゲッティング抗体との反応の程度に限界があり、二次HRP反応の存在を確認することはできない。活性化ナノ粒子の濃度が高くなることにより、活性化ナノ粒子だけを視覚化できる。
【0037】
図9は、ヒト前立腺組織切片におけるPSMAの発現を示す。ヒト前立腺のマイクロアレイスライドをマウス抗PSMA抗体でプローブした。パネルA及びBは、それぞれ正常領域及び癌性領域におけるグリソンスコアが高スコアであることを示している。これらの組織試料の、さらに大倍率の画像をパネルC及びDに示す。パネルE及びFは、それぞれ正常領域及び癌性領域におけるグリソンスコアが低スコアであることを示している。これらの切片のさらに大倍率の画像をパネルG及びHに示す。PSMAは、腫瘍塊の正常切片と比べて癌性切片に限定されて発現され、グリソンスコアが高くなるにつれてPSMAの発現も増加していることが明らかである。
【0038】
図10は、共培養条件下でマウス抗PSMA抗体(Zymed)の特異性を調べるTIRF分析を示す図である。PC−3細胞と、免疫細胞化学法用に固定化したLNCaP C4−2細胞とを共培養した。画像から、LNCaP C4−2細胞株では顕著な細胞反応性がみられるが、PC−3細胞との交差反応性は極めて限定されていることが読み取れる。このアッセイでは、細胞透過化ステップは行わなかった。
【0039】
図11は、PSMAを標的とするナノ粒子が、PC−3細胞よりもLNCaP C4−2細胞を優先的に取り込むことを示している。パネルAでは、PSMAを標的とするナノ粒子にスルホローダミン101(赤)を負荷し、PC−3細胞とLNCaP C4−2細胞との共培養物に一定振動条件下で30分間暴露させた。試料をパラホルムアルデヒドに固定し、共焦点顕微鏡法によって視覚化した。PC-3細胞は黄色い矢印で示し、LNCaP C4−2細胞は緑色の矢印で示している。標的化ナノ粒子が、LNCaP C4−2細胞株に対して優先的取込みを示していることは明らかである。パネルBでは、スルホローダミン101を負荷した活性化ナノ粒子をクエンチしてリガンドの付着を防ぎ、パネルAと同じ共培養条件下で暴露させた。PC-3細胞又はLNCaP C4−2細胞のいずれにおいてもその細胞取込みに明らかな違いはみられない。
【0040】
本明細書で考察した実施形態は全て、本発明のいずれの方法、キット、試薬又は組成物に関しても実施することができ、その逆も可能であることを意図している。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を実現するために使用することができる。
【0041】
本明細書に記載の特定の実施形態は例として示しているのであって、本発明の限定として示しているのでないことは理解されるであろう。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱せずに多様な実施形態で使用することができる。当業者であれば、本明細書に記載の具体的手順と同等な多数の手順を認識するであろうし、又は別の日常的実験を用いて確認することができるであろう。かかる同等な手順は本発明の範囲にあると考えられ、特許請求の範囲に含まれる。
【0042】
本明細書で言及した全ての刊行物及び特許出願は、本発明が属する技術分野における技術者の技術水準を示している。各々の刊行物又は特許出願を参照により本明細書に組み込むと個別に示している場合と同様に、全ての刊行物及び特許出願は参照により本明細書に組み込まれている。
【0043】
特許請求の範囲及び/又は本明細書において、単語「a」又は「an」の使用は、用語「含む(comprising)」と共に使用される場合には「1つ」を意味し得るが、「1又は複数」、「少なくとも1つ」及び「1又は2以上」の意味とも矛盾しない。特許請求の範囲における用語「又は」の使用は、代替物だけを指すことを明確に示していない限り、又は代替物が相互に排他的でない限り、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示では、代替物だけ及び「及び/又は」を指すという定義を支持する。本出願を通して、用語「約」は、装置における誤差に固有の変動、又は値を測定するために用いる方法に固有の変動、或いは試験対象間に存在する変動が値に含まれることを示すために使用される。
【0044】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、単語「含む(comprising)」(及び「comprise」、「comprises」などのcomprisingの任意の形態)、「有する(having)」(及び「have」、「has」などのhavingの任意の形態)、「含む(including)」(及び「includes」、「include」などのincludingの任意の形態)、又は「含有する(containing)」(及び「contains」、「contain」などのcontainingの任意の形態)は、包括的又は非制限的であり、ここに挙げられていない追加の要素又は方法ステップを排除しない。
【0045】
本明細書で使用する場合の用語「又はそれらの組合せ」は、その用語に先立つ列挙項目のあらゆる順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCの少なくとも1つを含み、特定の文脈において順序が重要な場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABの少なくとも1つを含むことも意図している。この例を続ければ、1又は複数の項目又は用語の繰返しを含有する、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等の組合せも明示的に含まれる。当業者であれば、文脈からそうではないことが明らかでない限り、任意の組合せにおける項目又は用語の数が制限されることは通常ないと理解されよう。
【0046】
本明細書に開示し、主張する組成物及び/又は方法は全て、本開示に照らせば過度の実験をせずに作製し、実行することができる。本発明の組成物及び方法を、好適な実施形態に関して説明してきたが、組成物及び/又は方法に対して、並びに本明細書に記載の方法のステップ又は一連のステップにおいて、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱せずに変更を加え得ることは、当業者には明らかであろう。当業者には明らかなそのような全ての類似した代用及び改変は、本明細書に付随する特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨、範囲及び概念に入ると見なされる。
【0047】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的型薬物送達用の活性化ポリマーナノ粒子であって、生体適合性ポリマーと、スペーサー化合物と非共有結合している両親媒性安定剤とを含み、前記スペーサー化合物が、標的剤を生分解性ナノシェルの外側表面に結合させるために前記標的剤上の求核剤と選択的に反応する求電子剤を少なくとも1つ有し、前記ナノシェルに活性剤が負荷されている、粒子。
【請求項2】
ナノシェルが、1又は複数のポリエステル並びに1又は複数の両親媒性安定剤を含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
ポリエステルが、ポリ−乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−乳酸−co−グリコール酸、及びそれらの組合せである、請求項2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
両親媒性安定剤がポリオールである、請求項2に記載のナノ粒子。
【請求項5】
ポリオールが、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンジオール、ポリテトラヒドロフラン、又はポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−PPO−PEO)トリブロックコポリマーの少なくとも1つである、請求項2に記載のナノ粒子。
【請求項6】
ナノシェルが活性剤を封入している、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項7】
ナノシェル組成物が、究極のサイズ及び薬物送達速度を制御するために用いられる、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項8】
標的剤によってナノ担体が疾患組織/細胞を選択的に標的とし、それにより全身用量が最小化される、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項9】
活性剤が負荷されたナノシェルに、従来のラジオアイソトープ剤及び化学療法剤を組み合わせる、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項10】
ナノシェルが、グリコール酸に対する乳酸のポリマー比率を予め決めておくことにより、活性剤の制御放出に適用される、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項11】
スペーサーが、ホモ官能性、ヘテロ官能性、多重官能性、単反応性、二反応性、又は多重反応性、水溶性、不水溶性、又は部分水溶性である、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項12】
スペーサーが、多倍長のスペーサーを含むことによりさらに特定される、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項13】
標的剤が、抗体、小分子、ペプチド、炭水化物、siRNA、タンパク質、核酸、アプタマー、第2ナノ粒子、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン、受容体、脂質、レクチン、鉄金属、磁性粒子、リンカー、アイソトープ、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項14】
活性剤が、抗癌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗蠕虫剤、栄養素、小分子、siRNA、抗酸化剤、及び抗体の少なくとも1つから選択される、{ぜんちゅう}請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項15】
活性剤が、クルクミン又はクルクミノイドを含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項16】
標的とすることが可能で負荷させることが可能なナノ粒子を作製する方法であて、
第1溶媒中の生体適合性ポリマーと、活性剤とを含む第1乳剤を形成するステップ、
水中の両親媒性安定剤、非溶媒、及び少なくとも1つの求電子剤を含むスペーサー化合物を含む第2溶液を調製するステップ、
第1乳剤と第2溶液とを混合して、非共有結合したスペーサー化合物を有する、活性化され負荷されたナノ粒子を形成することにより、第2乳剤を形成するステップ、
前記活性化され負荷されたナノ粒子を分離するステップ、及び
前記非共有結合したスペーサー化合物上の1又は複数の前記求電子剤において、標的剤を前記粒子に結合させるステップ
を含む方法。
【請求項17】
スペーサーが、ホモ官能性、ヘテロ官能性、多重官能性、単反応性、二反応性、又は多重反応性、水溶性、不水溶性、又は部分水溶性である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
スペーサーが、多倍長のスペーサーを含むことによりさらに特定される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
標的剤が、抗体、小分子、ペプチド、炭水化物、タンパク質、核酸、アプタマー、第2ナノ粒子、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン、受容体、脂質、レクチン、鉄金属、磁性粒子、リンカー、アイソトープ、及びそれらの組合せから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
活性剤が、抗癌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗蠕虫剤、栄養素、小分子、siRNA、抗酸化剤、及び抗体の少なくとも1つから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
活性剤が、クルクミン又はクルクミノイドを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
ナノシェルが、ポリエステル及び/又は両親媒性安定剤の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−乳酸−co−グリコール酸、及びそれらの組合せである、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
両親媒性安定剤がポリオールである、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
ポリオールが、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンジオール、ポリテトラヒドロフラン、又はポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−PPO−PEO)トリブロックコポリマーの少なくとも1つである、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
ナノシェルが、細胞内送達を制御するための活性剤を封入している、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
ナノシェル組成物が、究極サイズ及び薬物送達速度を制御するために用いられる、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
標的剤によってナノ担体が疾患組織/細胞を選択的に標的とし、それにより全身用量が最小化される、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
活性剤を負荷されたナノシェルに、従来のラジオアイソトープ剤及び化学療法剤を組み合わせる、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
グリコール酸に対する乳酸のポリマー比率を予め決めておくことにより、ナノシェルが活性剤の制御放出に適用される、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
生体適合性ポリマーと、スペーサー化合物と非共有結合している両親媒性安定剤とを含む標的型薬物送達用の活性化ポリマーナノ粒子と、さらに薬学上許容される担体とを含む薬剤であって、前記スペーサー化合物が、標的剤を生分解性ナノシェルの外側表面に結合させるために前記標的剤上の求核剤と選択的に反応する求電子剤を少なくとも1つ有し、前記ナノシェルに活性剤が負荷されている、薬剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−524859(P2010−524859A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503258(P2010−503258)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/060142
【国際公開番号】WO2008/128123
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(509278081)ユニバーシティー オブ ノース テキサス ヘルス サイエンス センター アット フォートワース (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF NORTH TEXAS HEALTH SCIENCE CENTER AT FORT WORTH
【Fターム(参考)】