説明

横型回転乾燥機

【課題】回転乾燥機本体の回転時の軸方向変形を抑制することにより、回転乾燥機本体内で加熱管を支持する支持部材の付け根部分における疲労亀裂の発生を抑制することができる横型回転乾燥機を提供すること。
【解決手段】筒状の回転乾燥機本体2内に軸方向に沿う多数の加熱管が、該回転乾燥機本体2の内面から突出する多数の支持部材によって支持され、該回転乾燥機本体2の一端から受け入れた被乾燥物を回転しながら前記加熱管の熱によって乾燥させ、他端から排出する横型回転乾燥機1であって、前記回転乾燥機本体2の外周面に、該回転乾燥機本体2の軸方向に沿う複数の補強部材23が、周方向に一定の間隔をおいて設けられていることを特徴とする横型回転乾燥機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は横型回転乾燥機に関し、詳しくは、回転乾燥機本体内に多数の支持部材によって支持される加熱管が配列された横型回転乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横型回転乾燥機として、例えば図6に示すものが知られている(特許文献1)。
【0003】
この回転乾燥機100は、円筒状の回転乾燥機本体101を有している。回転乾燥機本体101は、その一端(図示左端)に被乾燥物(例えば湿潤状態の粉体や粒体等)の供給口102を有し、他端(図示右端)に被乾燥物の排出口103を有しており、外周面に設けられた二つのタイヤ104を介して、軸方向に間隔をおいてそれぞれ二つずつ配置された支点ローラ105上に、供給口102側よりも排出口103側が下位となるように傾斜させて回転可能に横置きされている。
【0004】
回転乾燥機本体101は、二つのタイヤ104間に環状の大歯車106を備えており、これと噛合するピニオン(図示せず)を介して電動機107の駆動力が伝達されることにより所定の速度で回転し、供給口102から内部に受け入れた被乾燥物を、回転乾燥機本体101の内部に軸方向に沿って配置された多数の加熱管108と接触させると共に、被乾燥物を排出口103に向けて移動させることによって連続的に乾燥を行うようになっている。
【0005】
回転乾燥機本体101の内部に配置された加熱管108は、回転乾燥機本体101の軸芯部を除く内周部分全体に沿って環状に配列され、多数の支持部材109U、109Lによって支持されている。支持部材109U、109Lは、回転乾燥機本体101の内面から軸芯部に向けて突出するように設けられており、支持部材109Uのグループと、これら支持部材109Uのグループに対して、回転乾燥機本体101の軸方向に所定の間隔をおき、且つ、周方向に位相をずらせた支持部材109Lのグループとによって構成されている。
【0006】
ところで、近年の大型化の要請により、回転乾燥機本体101の直径が3600mm以上となるものが現われ、これによって回転乾燥機本体101の回転時の変形に起因すると考えられる疲労亀裂の発生が問題となってきている。
【0007】
すなわち、回転乾燥機本体101内で加熱管108を支持している支持部材109U、109Lの付け根部分(回転乾燥機本体101の内面との固着部分)や、この付け根部分に対応する回転乾燥機本体101の壁面に疲労亀裂が発生することがあった。これは回転乾燥機本体101の回転時の歪みが、支持部材109U、109Lの付け根部分に応力集中することによって発生するものと考えられる。
【0008】
これに対処するため、特許文献1では、図7に示すように、各支持部材109U、109Lの突出端を棒状体110を介して互いに連結させることで、回転乾燥機本体101の回転時の変形を抑制するようにしている。この方法によれば、FEM解析の結果でも、支持部材109U、109Lの付け根部分に発生する応力集中を効果的に抑制できることが確かめられた。
【0009】
しかし、発明者らが更に検討したところ、この方法では、被乾燥物の種類や乾燥状態によっては、棒状体110の部位が被乾燥物の移動の障害となる場合があった。しかも、棒状体110は回転乾燥機本体の内部に設けられるため、既設の回転乾燥機本体に適用することができないという問題もあった。
【0010】
同様の疲労亀裂の問題に対処する技術として、支持部材の取付け位置またはその近傍を通るように、回転乾燥機本体の内周面又は外周面に、周方向全体に亘る補強リングを設けることで、支持部材の付け根部分を補強することも知られている(特許文献2)。
【0011】
しかし、回転乾燥機本体の内周面に補強リングを設ける構成では、上記同様、既設の回転乾燥機本体には適用できない問題がある。
【0012】
一方、外周面に補強リングを設ける構成では、既設の回転乾燥機本体にも適用でき、支持部材の付け根部分の疲労亀裂の発生を抑止するために有効であると考えられるが、本発明者らが検討したところによると、次のような新たな問題があることがわかった。
【0013】
すなわち、回転乾燥機本体の回転時の変形には、大きく分けて軸方向変形と断面変形とがある。軸方向変形は、図6に示されるように、回転乾燥機本体101がその軸方向におけるタイヤ104の部位を支点とする二点において単純支持されていることにより、回転乾燥機本体101の自重と被乾燥物の重量とにより、これら支点間の中央部に最大の曲げモーメントが掛ることによって発生する。
【0014】
一方、断面変形は、図7に示されるように、回転乾燥機本体101がタイヤ104の部位において、二つの支点ローラ105によって二点支持されていることにより、回転乾燥機本体101の軸方向と直交する断面で見た場合、これら二つの支点ローラ105間の中央部で、円形ではなく歪んだ形で回転することによって発生する。
【0015】
上記特許文献1、2の技術は、いずれも支持部材の突出端又はその付け根部分を周方向に沿って補強を行うものであり、断面変形に対処するためのものである。特許文献2のように回転乾燥機本体の外周面に補強リングを設けた場合でも、その補強リングは、回転乾燥機本体の周方向に設けられるだけであるため、軸方向変形には全く対処できない。
【0016】
回転乾燥機本体はその軸回りに回転するので、軸方向に見た場合、頂部では圧縮応力、底部では引張応力が発生するために応力振幅は大きくなる。このため、回転乾燥機本体の回転時に繰り返し軸方向変形が発生することで、長期間に亘って稼動を行うと、支持部材と回転乾燥機本体の内面との接合部位で、あるいは補強リングを設けたとしても該補強リングと回転乾燥機本体の内面との接合部位で、疲労亀裂が発生するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2009−243721号公報
【特許文献2】特開2006−57880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明者らは、このような疲労亀裂の発生の問題について鋭意検討した結果、回転乾燥機本体の回転時の軸方向変形を抑制するだけでも、支持部材の付け根部分における疲労亀裂の発生を抑制できることを見出し、本発明に至った。
【0019】
そこで、本発明は、回転乾燥機本体の回転時の軸方向変形を抑制することにより、回転乾燥機本体内で加熱管を支持する支持部材の付け根部分における疲労亀裂の発生を抑制することができる横型回転乾燥機を提供することを課題とする。
【0020】
本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題は以下の各発明によって解決される。
【0022】
(請求項1)
筒状の回転乾燥機本体内に軸方向に沿う多数の加熱管が、該回転乾燥機本体の内面から突出する多数の支持部材によって支持され、該回転乾燥機本体の一端から受け入れた被乾燥物を回転しながら前記加熱管の熱によって乾燥させ、他端から排出する横型回転乾燥機であって、
前記回転乾燥機本体の外周面に、該回転乾燥機本体の軸方向に沿う複数の補強部材が、周方向に一定の間隔をおいて設けられていることを特徴とする横型回転乾燥機。
【0023】
(請求項2)
前記補強部材の座屈を防止するための座屈防止部材が、隣接する前記補強部材間を連結するように前記回転乾燥機本体の周方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1記載の横型回転乾燥機。
【0024】
(請求項3)
前記座屈防止部材は、前記回転乾燥機本体の全周に亘って形成されていることを特徴とする請求項2記載の横型回転乾燥機。
【0025】
(請求項4)
前記座屈防止部材は、前記回転乾燥機本体の周方向に沿って不連続となるように設けられていることを特徴とする請求項2記載の横型回転乾燥機。
【0026】
(請求項5)
前記座屈防止部材は、前記回転乾燥機本体の外周面から間隙をおいて離間していることを特徴とする請求項2、3又は4記載の横型回転乾燥機。
【0027】
(請求項6)
前記座屈防止部材は、前記回転乾燥機本体の軸方向に沿って間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の横型回転乾燥機。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、軸方向に沿う複数の補強部材によって回転乾燥機本体の剛性を高めて回転時の軸方向変形を抑制する簡単な構成によって、回転乾燥機本体内で加熱管を支持する支持部材の付け根部分における疲労亀裂の発生を抑制することができる。
【0029】
また、回転乾燥機本体の外周に軸方向に沿う複数の補強部材を設けるだけで済むため、既設の回転乾燥機本体にも容易に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る横型回転乾燥機の一例を示す側面図
【図2】図1中の(ii)−(ii)線断面図
【図3】座屈防止部材の他の一例を示す部分断面図
【図4】座屈防止部材の更に他の一例を示す部分断面図
【図5】(a)〜(d)は補強部材の他の例を示す部分断面図
【図6】従来の横型回転乾燥機を示す側面図
【図7】図6の(vi)−(vi)線断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る横型回転乾燥機の一例を示す側面図、図2は、図1中の(ii)−(ii)線断面図である。
【0033】
横型回転乾燥機1の主要部を構成している筒状の回転乾燥機本体2は、図6と同様、外周面に設けられた二つのタイヤ3を介して、軸方向に間隔をおいてそれぞれ二つずつ配置された支点ローラ4上に回転可能に載置されている。回転乾燥機本体2の一端(図1中の左端)には、内部に被乾燥物を導入するための供給口5が連設されていると共に、他端(図1中の右端)には、被乾燥物を排出するための排出口6が連設されている。回転乾燥機本体2は、軸方向に間隔をおいて配置された支点ローラ4上に、供給口5側よりも排出口6側が下位となるように傾斜させて横置きされている。
【0034】
二つのタイヤ3は、回転乾燥機本体2の軸方向に間隔をおいて配置されており、その間に、一方のタイヤ3(ここでは排出口6側に位置するタイヤ3)に近接するように環状の大歯車7が回転乾燥機本体2の全周に亘って設けられている。この大歯車7は、電動機8の駆動によって回転するピニオン(図示せず)と噛み合っており、電動機8の駆動によって回転乾燥機本体2を所定の速度で回転させる。これにより、回転乾燥本体2は、供給口5から受け入れた被乾燥物を回転しながら排出口6に向けて移動させるようになっている。
【0035】
図2に示すように、回転乾燥機本体2は、その内部に軸方向に亘って延びる多数の加熱管21を備えている。これらの加熱管21は、回転乾燥機本体2の軸芯部を除く内周部分全体に環状に配置されており、回転乾燥機本体2の端部側から内部に蒸気等の加熱媒体が供給されることによって加熱され、供給口5から受け入れられた被乾燥物と接触することによって乾燥させる。ここに示す加熱管21は、回転乾燥機本体2の軸方向と直交する断面で見た場合、直径の異なる二つの円周上に、それぞれ周方向に等間隔で配置されることで、内外二層となるように設けられている。
【0036】
これら加熱管21は、回転乾燥機本体2の内周面に設けられた多数の支持部材22U、22Lを貫通することによって、該支持部材22U、22Lによって支持されている。各支持部材22U、22Lは、回転乾燥機本体2の軸芯部に向けて突出する扇形状の平板からなり、回転乾燥機本体2の周方向に沿うように配置され、複数枚(ここでは3枚)が周方向に等間隔となるように設置されている。
【0037】
支持部材22U、22Lは、ここでは周方向に設置される3枚を一組として、回転乾燥機本体2の上流側(供給口5側)の支持部材22Uと下流側(排出口6側)の支持部材22Lとが、回転乾燥機本体2の軸方向から見た場合、互いに重複しないように、位相をずらせて配置されている。すなわち、一方の支持部材22Uは、図2に示すように、回転乾燥機本体2の最上部を基点にして周方向に120°間隔で設けられ、他方の支持部材22Lは、回転乾燥機本体1の最下部を基点にして周方向に120°間隔で設けられており、更に、これら支持部材22U、22Lを組として、回転乾燥機本体2の軸方向に所定の間隔をおいて複数組の支持部材22U、22Lが配設され、それぞれ加熱管21を支持している。
【0038】
これら支持部材22U、22Lは、図示する扇形状のものに限るものではない。例えば、蒲鉾形などの他の形状であってもよく、また、1枚の支持部材22U、22Lで支持する加熱管21の数も特に限定されないが、取り扱い性や加熱管の配置具合などを考慮すると、図示する扇形状が好ましい。
【0039】
ここで、回転乾燥機本体2の外周面には、本発明の補強部材の一例である補強リブ23が設けられている。この補強リブ23は、回転乾燥機本体2の軸方向に沿って複数設けられていると共に、周方向に一定の間隔をおいて設けられている。各補強リブ23は、回転乾燥機本体2の軸方向に延びる長尺状の平板からなり、長尺側の一辺が回転乾燥機本体2の外周面に溶接されることによって、該外周面から放射状に突出するように設けられている。ここでは周方向に等間隔となるように16本の補強リブ23が設けられているが、その本数は特に限られるものではなく、回転乾燥機本体2の直径に応じて適宜決定される。
【0040】
補強リブ23が設けられる範囲は、回転乾燥機本体2の回転時に軸方向変形による応力振幅が最も大きくなる範囲に亘って設けられる。例えば、図1に示すように、回転乾燥機本体2の軸方向に間隔をおいてタイヤ3が配置され、これら二つのタイヤ3がそれぞれ二つずつの支点ローラ4を支点として回転乾燥機本体2が二点支持されるものにあっては、これらタイヤ3間において回転時の軸方向変形による応力振幅が最も大きくなるため、これら二つのタイヤ3間において、該タイヤ3間の中心を含む範囲に亘って設けられればよい。
【0041】
ここでは下流側のタイヤ3に近接するように大歯車7が設けられているため、補強リブ23は、上流側のタイヤ3と大歯車7との間に亘って設けられているが、各補強リブ23に作用する軸方向変形の応力が、これら上流側のタイヤ3及び大歯車7に及ばないように、上流側のタイヤ3及び大歯車7から、例えば300mm〜500mmの間隔をあけて設けられている。
【0042】
回転乾燥機本体2は、このように複数本の補強リブ23が軸方向に沿って設けられることによって、軸方向の剛性が高められ、その結果、回転時の軸方向変形が抑制される。このため、回転乾燥機本体2の回転時に支持部材22U、22Lと回転乾燥機本体2の内面との接合部位に応力集中することが避けられ、この接合部位又はその近傍の部位における疲労亀裂の発生が抑止される。
【0043】
本発明者の実験によると、図1に示すように上流側のタイヤ3と大歯車7との間隔が21000mm、板厚が16mm、直径(外径)が3600mmの回転乾燥機本体2に、タイヤ3と大歯車7間に、該タイヤ3及び大歯車7からそれぞれ500mmずつ離間させて、高さ120mm×厚さ12mmのSUSからなる16本の補強リブ23を、周方向に等間隔となるように放射状に設けたところ、断面2次モーメントが30%向上し、発生する応力を30%低下させることができ、回転乾燥機本体2と支持部材22U、22Lとの接合部位に対する応力集中が低減されることが確認された。
【0044】
回転乾燥機本体2の剛性を高めるには、回転乾燥機本体2を構成する板厚を厚くする方法も考えられるが、全体の自重が大きくなり、それを支えるための構造体の補強も必要となり、全体として高コストとなってしまう問題がある。しかし、本発明によれば、回転乾燥機本体2の外周面に、その軸方向に沿って複数本の補強部材(補強リブ23)を設けるだけの簡単な構成付加で済むため、全体の自重増加を抑制でき、低コストで済むと共に、既設の回転乾燥機本体にも容易に適用可能となる利点がある。
【0045】
本発明においては、このように複数本の軸方向に沿う補強リブ23を設けるだけで回転乾燥機本体2の回転時の軸方向変形を抑制し、疲労亀裂の発生を抑止することができるが、回転時に回転乾燥機本体2に繰り返し作用する断面変形によって補強リブ23が座屈することを防止するため、図1、図2に示すように、回転乾燥機本体2の周方向に隣接する補強リブ23間を連結するように、該回転乾燥機本体2の周方向に沿って座屈防止部材を更に設けることが好ましい。
【0046】
ここでは回転乾燥機本体2の全周に亘って、座屈防止部材の一例である座屈防止リブ24を形成している。すなわち、座屈防止リブ24は、回転乾燥機本体2の周方向に沿って隣接する補強リブ23間の全てに設けられている。
【0047】
座屈防止リブ24は、補強リブ23と同程度の厚みを有する扇形状の平板からなり、回転乾燥機本体2の外周面から突出し、該回転乾燥機本体2の周方向に沿うように配置され、該周方向に隣接する補強リブ23間を橋渡しして一体に連結するように、該補強リブ23及び回転乾燥機本体2の外周面にそれぞれ溶接されることによって設けられている。
【0048】
この座屈防止リブ24により、周方向に隣接する補強リブ23同士は、互いの間隔が一定となるように補強され、補強リブ23が回転乾燥機本体2の周方向に沿って傾倒して座屈してしまうことが防止される。しかも、座屈防止リブ24が設けられることにより、回転乾燥機本体2の回転時に作用する断面変形も抑制されるため、回転乾燥機本体2の剛性を更に向上させることができる。
【0049】
このような座屈防止リブ24は、図1に示すように、回転乾燥機本体2の軸方向に沿って所定の間隔をおいて複数設けられていることが、回転乾燥機本体2の全長に亘って補強リブ23の座屈を防止でき、また回転乾燥機本体2の剛性を更に向上させることができるために好ましい。
【0050】
本発明において、この座屈防止部材の一例である座屈防止リブ24は、従来(特許文献2)の補強リングのように回転乾燥機本体2の内面から突出する支持部材22U、22Lの付け根部分を補強するためのものではなく、回転乾燥機本体2の軸方向に沿う補強リブ23の座屈防止が目的である。従来の補強リングを回転乾燥機本体の外周面に設ける場合は、その内部にある目視できない支持部材の配設位置に合わせて設ける必要があるため、特に既設の回転乾燥機本体に適用する場合等に位置合わせ作業が極めて困難であるという問題があるが、本発明によれば、既設の回転乾燥機本体に適用する場合でも、内部の支持部材22U、22Lの配設位置と無関係に設けることができ、従来のような困難な作業は要求されない。
【0051】
また同様に、座屈防止リブ24は補強リブ23の座屈防止が目的であるため、回転乾燥機本体2の周方向に隣接する補強リブ23間を連結するように設けられればよく、必ずしも回転乾燥機本体2の外周面に対して固定されていなくてもよい。従って、図3に示すように、座屈防止リブ24は回転乾燥機本体2の外周面から間隙Sをおいて離間するように設けることもできる。この場合でも、回転乾燥機本体2の周方向に隣接する補強リブ23の間隔を一定に保持する機能を発揮し、該補強リブ23の座屈防止を図ることができると共に、これら補強リブ23を介して回転乾燥機本体2の断面変形に対する剛性を高める効果が得られる。
【0052】
図1、図2に示した座屈防止リブ24は、回転乾燥機本体2の全周に亘って形成されており、回転乾燥機本体2の全周に亘って補強リブ23の座屈を防止することができるために最も好ましい態様であるが、座屈防止リブ24は、回転乾燥機本体2の周方向に隣接する補強リブ24間を一定間隔に保つように連結していればよい。従って、例えば図4に示すように、座屈防止リブ24は、回転乾燥機本体2の周方向に沿って不連続となるように設けてもよい。
【0053】
すなわち、二本の補強リブ23間において回転乾燥機本体2の軸方向に所定の間隔をおいて設けられる複数の座屈防止リブ24は、それと隣接する補強リブ23間では、回転乾燥機本体2の周方向の同一位置には配置されず、回転乾燥機本体2の軸方向にずれて配置されている。従って、各補強リブ23間の座屈防止リブ24は、回転乾燥機本体2の軸方向に見た場合、千鳥状となるように配置される。
【0054】
このような態様でも、座屈防止リブ24は、回転乾燥機本体2の周方向に隣接する補強リブ23の間隔を一定に保持する機能を発揮し、該補強リブ23の座屈防止を図ることができると共に、これら補強リブ23を介して回転乾燥機本体2の剛性を高める効果が得られる。
【0055】
更に、この図4に示す座屈防止リブ24の態様においても、図3と同様に、回転乾燥機本体2の外周面との間は、間隙Sをおいて離間していてもよい。
【0056】
以上の説明では、本発明における補強部材として、長尺状の平板からなる補強リブ23を例示したが、本発明における補強部材はこのようなリブ状の補強部材に限らず、図5に例示するように様々な断面形状の補強部材を用いることができる。
【0057】
図5(a)は、断面コの字形状に形成された構造材からなる補強部材25を用いた例である。
【0058】
図5(b)は、断面H字形状に形成された構造材からなる補強部材26を用いた例である。
【0059】
図5(c)は、断面くの字形状に形成された構造材からなる補強部材27を用いた例である。
【0060】
図5(d)は、断面O形状に形成された構造材からなる補強部材28を用いた例である。この補強部材28は、中空形状であるが中実形状の棒状体であってもよい。
【0061】
これら図5に示される各補強部材25〜28は、補強リブ23と異なり、回転乾燥機本体2の周方向に沿って傾倒し難く、その構造のみによってある程度の座屈防止を図ることができる。しかし、このような補強部材25〜28に、回転乾燥機本体2の周方向に沿う座屈防止部材を更に設けることは、補強部材25〜28の補強と、この補強部材25〜28を介した回転乾燥機本体2の断面変形に対する剛性を高める効果とが得られるために好ましい。
【0062】
なお、図1〜図5に示す各態様において、座屈防止部材として座屈防止リブ24を用いているが、本発明における座屈防止部材も、このようなリブ状の座屈防止部材に限らない。例えば図5(a)〜(d)にそれぞれ示した補強部材25〜28と同様の断面構造を持つ構造体からなる座屈防止部材を用いてもよい。
【0063】
この図5(a)〜(d)に示した座屈防止リブ24も、図3と同様に、回転乾燥機本体2の外周面との間は、間隙Sをおいて離間していてもよく、また、図5(a)〜(d)にそれぞれ示した補強部材25〜28と同様の断面構造を持つ構造体からなる座屈防止部材を用いる場合も、図3と同様に、回転乾燥機本体2の外周面との間は、間隙Sをおいて離間していてもよい。
【0064】
更に、図5(a)〜(d)にそれぞれ示した補強部材25〜28と同様の断面構造を持つ構造体からなる座屈防止部材を用いる場合も、図4と同様に、座屈防止部材は、回転乾燥機本体2の周方向に沿って不連続となるように設けてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1:横型回転乾燥機
2:回転乾燥機本体
21:加熱管
22U、22L:支持部材
23:補強リブ(補強部材)
24:座屈防止リブ
25〜28:補強部材
3:タイヤ
4:支点ローラ
5:供給口
6:排出口
7:大歯車
8:電動機
S:間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の回転乾燥機本体内に軸方向に沿う多数の加熱管が、該回転乾燥機本体の内面から突出する多数の支持部材によって支持され、該回転乾燥機本体の一端から受け入れた被乾燥物を回転しながら前記加熱管の熱によって乾燥させ、他端から排出する横型回転乾燥機であって、
前記回転乾燥機本体の外周面に、該回転乾燥機本体の軸方向に沿う複数の補強部材が、周方向に一定の間隔をおいて設けられていることを特徴とする横型回転乾燥機。
【請求項2】
前記補強部材の座屈を防止するための座屈防止部材が、隣接する前記補強部材間を連結するように前記回転乾燥機本体の周方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1記載の横型回転乾燥機。
【請求項3】
前記座屈防止部材は、前記回転乾燥機本体の全周に亘って形成されていることを特徴とする請求項2記載の横型回転乾燥機。
【請求項4】
前記座屈防止部材は、前記回転乾燥機本体の周方向に沿って不連続となるように設けられていることを特徴とする請求項2記載の横型回転乾燥機。
【請求項5】
前記座屈防止部材は、前記回転乾燥機本体の外周面から間隙をおいて離間していることを特徴とする請求項2、3又は4記載の横型回転乾燥機。
【請求項6】
前記座屈防止部材は、前記回転乾燥機本体の軸方向に沿って間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の横型回転乾燥機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−193902(P2012−193902A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58485(P2011−58485)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】