説明

横型製袋充填包装機

【課題】包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行う通常時接触保持動作型ローラ装置の開閉を作業員が一つの操作をすることにより、一括して行える横型製袋充填包装機の提供。
【解決手段】包装材のセット作業を行うときに、作業員が紙送りローラ1の開閉を開閉レバー4により行うという一つの操作をするだけで、包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行う通常時接触保持動作型ローラ装置である紙引きローラ23、センタシール装置20の圧着ローラ26、第二の紙引きローラ29が一括して開閉動作をするので、作業が容易かつ確実に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
図6(a)横型製袋充填包装機を側面から見た概略図、図6(b)横型製袋充填包装機を上面から見た概略図、に示すように横型製袋充填包装機は、包装材ロールFrから引き出された帯状包装材Fwを製袋器22により筒状に成形し、水平に移送される筒状包装材中に物品Pを所定間隔毎に順次受渡し供給すると共に、前記物品が供給された筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面にバーヒータ25と圧着ローラ26から構成されるセンタシール装置20により、センタシールを施し、更に筒状包装材Ftの物品を挟む前後に夫々エンドシール装置21により、エンドシール・切断を施してなるピロー包装体Bpを製造する。包装材の搬送は、製筒器22より上流の紙送りローラ1と製筒器22より下流の紙引き装置23とセンタシール装置20より下流の第二の紙引き装置29の協働によって包装材の搬送を行う(例えば特許文献1を参照のこと)。
【0003】
図6で示した通り、製筒器22より上流には紙送りローラ1が位置する。図7を用いて紙送りローラ1について説明する。図7(a)は開いた状態、図7(b)は閉じた状態を示す。図7(a)、図7(b)に示すように金属製のロール1aと周面にゴムを巻き付けたゴムロール1bからなる一対のロールによって構成され帯状包装材を挟圧しつつたがいに逆方向に回転することで帯状包装材Fwを搬送する役割を持ち、サーボモータ2により駆動され一定の速度で回転し、帯状包装材Fwを搬送する。また、紙送りローラ1は帯状包装材Fwをセットする作業を行うために開閉可能に構成されている。閉じた状態にあってはスプリング等の付勢手段3aにより密着するようになっている。開閉は開閉レバー4とカム5aにより行われる。この一対のロールにより帯状包装材Fwを搬送する技術は、包装機械のみならず、印刷機などでも用いられる周知の技術である(例えば特許文献2を参照のこと)。
【0004】
図6で示した通り、製筒器22より下流には紙引きローラ23が位置する。図8を用いて紙引きローラ23について説明する。図8(a)は閉じた状態、図8(b)は開いた状態を示す。図8(a)、図8(b)に示すように筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟持する一対のロールが開閉可能に構成され、閉じた状態では互いに接触し、開いた状態では互いに離間する。閉じた状態にあってはスプリング等の付勢手段3bにより密着するようになっている。開閉は開閉レバー27とカム5bにより行われる。紙引きローラ23は、サーボモータ24による駆動部を備え筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟圧しつつたがいに逆方向に回転することで筒状包装材Ftをセンタシール装置20へと搬送する役割を持つ。
【0005】
図6で示した通り、紙引きローラ23の下流には、センタシール装置20が位置する。センタシール装置20には、ヒータを内蔵した略直方体形状の一対のバーヒータ25を筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟むように配置し、該重合面と軽く接触する程度の隙間を保つことにより、該隙間を通過する筒状フィルムにおける長手方向端縁部の重合面を軟化させ次段に配置した圧着ローラ26で軟化された重合面を挟圧することにより、センタシールを施すものがある(例えば特許文献3を参照のこと)。この場合の圧着ローラは、図9(a)、図9(b)に示すように、一対のロールが開閉可能に構成され、閉じた状態では互いに接触し、開いた状態では互いに離間する。閉じた状態にあってはスプリング等の付勢手段3cにより密着するようになっている。これは、上述のように前段のバーヒータ25により加熱され軟化した状態にある筒状フィルムFtにおける長手方向端縁部の重合面を挟圧しシールを施すためである。また、圧着ローラ26は回転駆動するためのアクチュエータを持たず、包装材の搬送機能は備えていない。圧着ローラ26は、加熱手段を持たないので、機械のメンテナンスや包装材のセットの際以外は閉じた状態におかれる。これは、機械の停止中や機械運転中の空袋防止動作中等のフィルムの搬送が停止された状態で、挟圧した状態であっても熱によりフィルムを傷めることがないからである。圧着ローラは、上記のように、閉じた状態であることが多いので、開閉を手動により行われる構成が一般的である。開閉は開閉レバー28とカム5cにより行われる。図9(a)は閉じた状態、図9(b)は開いた状態を示す。
【0006】
図6で示した通り、センタシール装置20の下流側には第二の紙引きローラ29が位置する。第二の紙引きローラ29について図10を用いて説明する。第二の紙引きローラ29は、センタシール装置21が包装材の搬送能力を持たないため、上流の紙引きローラ23と等速もしくはやや早く回転し、安定して下流のエンドシール装置21への包装材の搬送を実現するために設置される。構造は紙引きローラ23と同じである。第二の紙引きローラ29は、筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟持する一対のロールである。駆動は、独立したサーボモータ31で行うか又は、紙引きローラのサーボモータから伝導することによって行われる。紙引きローラ23と同様に、開閉可能に構成され、閉じた状態では互いに接触し、開いた状態では互いに離間する。閉じた状態にあってはスプリング等の付勢手段3dにより密着するようになっている。開閉は開閉レバー30とカム5dにより行われる。
【0007】
また、横型製袋充填包装機のセンタシール装置20には、上述したバーヒータ25と圧着ローラ26を用いる方式の他に、ヒータをロール内に内蔵したロールを回転させてセンタシールを行う回転式センタシール装置46がある(例えば特許文献4参照のこと)。図11に示すように、この方式は、バーヒータ25と圧着ロール26がなく、上述の第二の紙引きローラ29にヒータを内蔵したヒートロール32でセンタシールを行うものである。このヒートロール32で筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟圧及び加熱することでセンタシールを行う。この回転式センタシール装置の場合、ヒータを内蔵しているため、機械の運転中、停止中を問わず包装材の搬送が停止しているときは離間し、包装材の搬送が行われているときは接触する動作を行う包装材搬送時接触型のローラ装置となり、開閉の為のアクチュエータ33を備えている。包装材搬送状態信号36に基づき制御装置35が開閉の為のアクチュエータ33にヒートローラ開閉信号34を出力することで開閉動作を行っている。
【0008】
以上のように、横型製袋充填包装機は、一対のロールから構成され、包装材を挟持しながら互いに回転することで包装材の搬送又はシールする働きを持つローラ装置を複数備えており、ヒータを内蔵しているか否かにより、包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行う
通常時接触保持動作型ローラ装置と機械の運転中、停止中を問わず包装材の搬送が停止しているときは離間し、包装材の搬送が行われているときは接触する動作を行う包装材搬送時接触型のローラ装置とに分類できる。通常時接触保持動作型ローラ装置は、上記のように包装材のセット作業のときにそれぞれ別々に手動操作によって開閉操作が行われている。
【0009】
包装材のセット作業は、通常時接触保持動作型ローラ装置(上流から紙送りローラ、紙引きローラ、センタシール装置の圧着ローラ、第2の紙引きローラ)を順に手動操作により開いていき包装材をセットしたら、すべての通常時接触保持動作型ローラ装置を閉じていくことで成立する。作業員が数多くの通常時接触保持動作型ローラ装置の開閉作業を行うことは煩雑な作業であり、ローラ装置の閉じ忘れなども発生しやすい。ローラ装置を閉じ忘れたまま運転しようとすると、機械の運転ができないか、できても包装材の搬送が不安定となり、生産に支障をきたすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平7−110645号公報 第5頁左欄第8行目から第24行目まで
【特許文献2】特開平10−235955号公報 段落4の第5行目目から第17行目及び図6
【特許文献3】実公平5−18129号公報 第3頁左欄の第1行目から第29行目
【特許文献4】特開2003−95224号公報 段落2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行う通常時接触保持動作型ローラ装置の開閉を作業員が一つの操作をすることにより、一括して行える横型製袋充填包装機が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第一の発明は、包装材ロールから引き出された帯状包装材を製袋器により筒状に成形し、水平に移送される筒状包装材中に物品を所定間隔毎に順次受渡し供給すると共に、前記物品が供給された筒状包装材における長手方向端縁部の重合面にセンタシール装置により、センタシールを施し、更に筒状包装材の物品を挟む前後に夫々エンドシール装置により、エンドシール・切断を施してなるピロー包装体を製造する。横型製袋充填包装機において、
一対のロールから構成され、包装材を挟持しながら互いに回転することで包装材の搬送又はシールする働きを持つローラ装置を複数備えており、
複数ある前記ローラ装置のうち、包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行うことが求められている通常時接触保持動作型ローラ装置が複数あり、
前記通常時接触保持動作型ローラ装置が、オペレータの一つの操作によって一括して開閉動作を行う一括動作機能を備えたことを特徴とする横型製袋充填包装機である。
【0013】
第一の発明によれば、横型製袋充填包装機のオペレータは1つの操作をするだけで、複数ある包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行うことが求められている通常時接触保持動作型ローラ装置の開閉作業を行うことができる。
【0014】
第二の発明は、第一の発明に係わるものであり、複数の前記通常時接触保持動作型ローラ装置が、
1つは、製筒器の上流に位置する紙送りローラであり、
1つは、製筒器の下流に位置する紙引きローラであり、
1つは、前記紙引きローラの下流にある、ヒータを内蔵しない圧着ローラであり、
1つは、前記圧着ローラの下流に位置する第二の紙引きローラであることを特徴とする横型製袋充填包装機である。
【0015】
第二の発明によれば、第一の発明が適用される横型製袋充填包装機は、前記通常時接触保持動作型ローラ装置として、製筒器の上流に位置する紙送りローラ、製筒器の下流に位置する紙引きローラ、前記紙引きローラの下流にあるヒータを内蔵しない圧着ローラ、前記圧着ローラの下流に位置する第二の紙引きローラを備えていることを特徴とする、ヒータを内蔵した略直方体形状の一対のバーヒータ25を筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟むように配置し、該重合面と軽く接触する程度の隙間を保つことにより、該隙間を通過する筒状フィルムにおける長手方向端縁部の重合面を軟化させ次段に配置した圧着ローラ26で軟化された重合面を挟圧することにより、センタシールを施す方式のセンタシール装置を備えた横型製袋充填包装機とすることができる。
【0016】
第三の発明は、第一の発明に係わるものであり、複数の前記通常時接触保持動作型ローラ装置が、
1つは、製筒器の上流に位置する紙送りローラであり、
1つは、製筒器の下流に位置する紙引きローラであることを特徴とする横型製袋充填包装機である。
【0017】
第三の発明によれば、第一の発明が適用される横型製袋充填包装機は、前記通常時接触保持動作型ローラ装置として、製筒器の上流に位置する紙送りローラ、製筒器の下流に位置する紙引きローラ備えていることを特徴とする、ヒータをロール内に内蔵したロールを回転させてセンタシールを行う回転式センタシール装置の横型製袋充填包装機とすることができる。
【0018】
第四の発明は、第一の発明から第三の発明に係わるものであり、 前記一括動作機能が、複数ある前記接触保持動作型ローラ装置のうち1つのみが手動開閉機構と開閉状態を検出するセンサを備え、他の前記接触保持動作型ローラ装置は開閉の為のアクチュエータを備え、前記手動開閉機構が操作されるとその動作状態をセンサが検出して制御装置に送り、前記制御装置がその状態に合わせて他の前記接触保持動作型ローラ装置に備えられた前記アクチュエータを動作させて他の前記接触保持動作型ローラ装置の開閉が行われることであることを特徴とした請求項1から請求項3に記載の横型製袋充填包装機。
【0019】
第四の発明によれば、第一から第三の発明が適用される横型製袋充填包装機は、前記接触保持動作型ローラ装置のうち、1つのみが手動開閉機構を備え、他は開閉用のアクチュエータを備えており、横型製袋充填包装機のオペレータが、手動開閉機構を備えた接触保持動作型ローラ装置のみを操作することで、他のアクチュエータを備えた接触保持動作型ローラ装置が同期して開閉動作する一括動作機能を備えることができる。
【0020】
第五の発明は、第一の発明から第三の発明に係わるものであり、前記一括動作機能が、複数ある前記接触保持動作型ローラ装置のすべてが開閉の為のアクチュエータを備え、別に用意された操作スイッチを操作することにより、前記操作スイッチの状態が制御装置に送られ、前記制御装置が前記操作スイッチの状態に合わせてすべての前記接触保持動作型ローラ装置に備えられた前記アクチュエータを動作させて、すべての前記接触保持動作型ローラ装置の開閉が行われることであることを特徴とした横型製袋充填包装機である。
【0021】
第五の発明によれば、第一から第三の発明が適用される横型製袋充填包装機は、前記接触保持動作型ローラ装置はすべて開閉用のアクチュエータを備えており、横型製袋充填包装機のオペレータが、操作スイッチを操作するだけでアクチュエータを備えた接触保持動作型ローラ装置が一括して開閉動作する一括動作機能を備えることができる。
【0022】
第六の発明は、第一の発明又は第四の発明又は第五の発明に係わるもので、前記アクチュエータが、サーボモータ等の制御可能なモータ又はエアシリンダ等の流体シリンダ又は電磁ソレノイド又は通常のモータであることを特徴とする横型製袋充填包装機である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の横型製袋充填包装機は、包装材のセット作業を行うときに、作業員が一つの操作をするだけで、包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行う通常時接触保持動作型ローラ装置の開閉が一括して行えるので、作業が容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の横型製袋充填包装機の概略図である。
【図2】エアシリンダを開閉のアクチュエータとしたロール装置の例を示した図である。
【図3】開閉状態検出センサの設置位置を説明した図である。
【図4】本発明を適用したヒータ内蔵回転式のセンタシール装置の横型製袋充填包装機の概略図である。
【図5】変形例の横型製袋充填包装機の概略図である。
【図6】従来例の横型製袋充填包装機の概略図である。
【図7】従来例の紙送りローラの斜視図である。
【図8】従来例の紙引きローラの図である。
【図9】従来例のセンタシール装置の圧着ロールの図である。
【図10】従来例の第二紙引きローラの図である。
【図11】従来例のヒータ内蔵回転式のセンタシール装置の横型製袋充填包装機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を、横型製袋充填包装機に適用した場合の実施例について図を用いて説明する。図1は、本発明が実施された横型製袋充填包装機の概略図で、図1(a)は側面から見た概略図、図1(b)は上面から見た概略図である。巻取りロールFrから引き出された帯状包装材Fwは、サーボモータ2によって駆動された鉄ロール1aとゴムロール1bとから構成される紙送りローラ1によって下流に搬送され、製筒器22により湾曲され長手方向の縁部を重合され、筒状包装材Ftが成形される。筒状包装材Ftは、被包装品Pが図示しない供給コンベヤにより筒内に搬送されるとともに筒状包装材Ftの重合部を鋏持する一対のロールから構成された紙引きローラ23が回転することにより、さらに下流へと搬送される。紙引きローラ23は紙引きロール駆動用サーボモータ24により回転駆動されている。紙引きローラ23の下流にあるセンタシール装置20は、筒状包装材Ftの重合面にセンタシールを施す。センタシール装置20は、ヒータを内蔵した略直方体形状の一対のバーヒータ25を筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟むように配置し、該重合面と軽く接触する程度の隙間を保つことにより、該隙間を通過する筒状フィルムにおける長手方向端縁部の重合面を軟化させ次段に配置したヒータを内蔵しない圧着ローラ26で軟化された重合面を挟圧することにより、センタシールを施す。その後、サーボモータ31により上流の紙引きローラ23と等速もしくはやや早く回転する第二の紙引きローラ29により、センタシール部を挟持され下流のエンドシール装置21へと搬送される。エンドシール装置21は被包装品Pを内蔵した筒状包装材Ftを筒状包装材Ft内部の被包装品Pを挟む前後の位置に夫々エンドシール・切断を施して、ピロー包装体Bpを製造する。エンドシール装置21は内部に図示しないカッタを内蔵しており、これにより切断を行う。
【0026】
以上のように、横型製袋充填包装機は、一対のロールから構成され、包装材を挟持しながら互いに回転することで包装材の搬送又はシールする働きを持つローラ装置を複数備えており、これらのロール装置は、ヒータを内蔵していないため、機械の停止時や機械運転中の空袋防止動作時等の包装材の搬送が停止している場合でも包装材を挟圧していても該包装材を熱の影響により傷めることがないので、包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには機械の運手状態にかかわらず、閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行うことが求められており、いわば通常時接触保持動作型ローラ装置と称することができる。通常時接触保持動作型ローラ装置は、上流から紙送りローラ、紙引きローラ、センタシール装置の圧着ローラ、第2の紙引きローラがある。以下にこれらの通常時接触保持動作型ローラ装置について説明する。
【0027】
製筒器22より上流に位置する紙送りローラ1は、本実施例の場合従来例と同じ構造なので、従来例を示す図7を用いて構成について説明する。図7は紙送りローラ1を包材の搬送方向から見た概略図であり、図7(a)は紙送りローラ1が開いた状態を包材の搬送方向から見た斜視図であり、図7(b)は紙送りローラ1が閉じた状態を包材の搬送方向から見た斜視図である。図6に示すように金属製のロール1aと周面にゴムを巻き付けたゴムロール1bからなる一対のロールによって構成され帯状包装材を挟圧しつつたがいに逆方向に回転することで帯状包装材Fwを搬送する役割を持ち、サーボモータ2により駆動され一定の速度で回転し、帯状包装材Fwを搬送する。また、紙送りローラは帯状包装材Fwをセットする作業を行うために開閉可能に構成されている。閉じた状態にあってはスプリング等の付勢手段3aにより密着するようになっている。開閉は開閉レバー4とカム5aにより行われる。この開閉機構には、図1に示すように開閉状態を検出するセンサ38が設けられ、紙送りローラ1の開閉の状態を開閉状態信号39として、制御装置35へと送っている。
【0028】
製筒器22より下流に位置する紙引きローラ23は、筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟持する一対の金属製のロールが開閉可能に構成され、閉じた状態では互いに接触し、開いた状態では互いに離間する。開閉はアクチュエータ37aにより行われる。アクチュエータ37aは、制御装置35から出力される開閉指令信号39により動作する。紙引きローラ23は、サーボモータ24による駆動部を備え筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟圧しつつたがいに逆方向に回転することで筒状包装材Ftをセンタシール装置20へと搬送する役割を持つ。
【0029】
センタシール装置20には、ヒータを内蔵した略直方体形状の一対のバーヒータ25を筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟むように配置し、該重合面と軽く接触する程度の隙間を保つことにより、該隙間を通過する筒状フィルムにおける長手方向端縁部の重合面を軟化させ次段に配置した圧着ローラ26で軟化された重合面を挟圧することにより、センタシールを施す。この場合の圧着ローラは、一対の金属製のロールが開閉可能に構成され、閉じた状態では互いに接触し、開いた状態では互いに離間する。圧着ローラ26は回転駆動するための駆動源を持たず、包装材の搬送機能は備えていない。圧着ローラ26は、アクチュエータ37bにより開閉動作を行う。アクチュエータ37bは、制御装置35から出力される開閉指令信号39により動作する。
【0030】
センタシール装置20の下流側には第二の紙引きローラ29が位置する。第二の紙引きローラ29は、センタシール装置20が包装材の搬送能力を持たないため、上流の紙引きローラ23と等速もしくはやや早く回転し、安定して下流のエンドシール装置21への包装材の搬送を実現するために設置される。第二の紙引きローラ29は、筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟持する一対の金属製のロールである。駆動は、独立したサーボモータ31で行われる。紙引きローラ23と同様に、開閉可能に構成され、閉じた状態では互いに接触し、開いた状態では互いに離間する。第二の紙引きローラ29は、アクチュエータ37cにより開閉動作を行う。アクチュエータ37cは、制御装置35から出力される開閉指令信号39により動作する。
【0031】
上述のように、本実施例の横型製袋充填包装機の通常時接触保持動作型ローラ装置は、製筒器22より上流に位置する紙送りローラ1のみが手動による開閉を行い、その開閉状態を検出するセンサ38が設けられ、紙送りローラ1の開閉の状態を開閉状態信号39として、制御装置35へと送るよう構成されている。その他の製筒器22より下流に位置する通常時接触保持動作型ローラ装置即ち、紙引きローラ23、センタシール装置20の圧着ローラ26、第二の紙引きローラ29はそれぞれアクチュエータ37a,37b,37cによる開閉機構を持ち制御装置35から出力される開閉指令信号39により動作する。
【0032】
制御装置35は、横型製袋充填包装機の動きを制御する装置であり、センサ38からの開閉状態信号39の状態から紙送りローラ1の開閉状態を把握し、その状態に変化があった時に同期するように開閉指令信号39をアクチュエータ37a,37b,37cに送りことで、紙引きローラ23、センタシール装置20の圧着ローラ26、第二の紙引きローラ29の開閉状態を紙送りローラ1の開閉状態に合わせるよう制御する機能を有している。また、機械運転中に紙送りローラ1が開かれた場合のような操作が誤って行われた場合に機械を警報停止させ包装不良を防ぐ機能を追加してもよい。さらに各アクチュエータ37a、37b、37cに状態監視センサを設け、開閉状態を確認し以上があった場合、機械を警報停止させるようにすることもできる。
【0033】
次に、アクチュエータ37a,37b,37cの具体的構成について説明する。開閉に用いるアクチュエータは、サーボモータ等の制御可能なモータ又はエアシリンダ等の流体シリンダ又は電磁ソレノイド又は通常のモータ等どのようなものを使用しても可能であるが、本実施例では、エアシリンダを使用している。圧着ローラ26の場合を例にして、その構成について図2を用いて説明する。圧着ローラ26は、支持体43に回転自在に設置されている。支持体43a,43bはスライド軸42に摺動可能に取り付けられている。支持体43a,43bは下部でエアシリンダ41a,41bが連結されており、エアシリンダ41a,41bの動作により、スライド軸42上を摺動する。これにより、圧着ローラ26が開閉動作する。紙引きローラ23、第二の紙引きローラ29の構造もこれに準じたものとなっているので説明は省略する。
【0034】
紙送りローラ1の開閉の状態を検出するセンサ38は、図3に示すようにカム5aの状態を検出して、紙送りローラ1の開閉の状態を監視する。本実施例では、センサ38は、近接センサを用いており、図3(a)の紙送りローラ1が開いた状態であれば、センサ38がONし、図3(b)の紙送りローラ1が閉じた状態であれば、センサ38がOFFする位置に設置してある。
【0035】
以上のような構成にすることにより、包装材のセット作業を行うときに、作業員が紙送りローラ1の開閉を開閉レバー4により行うという一つの操作をするだけで、包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行う通常時接触保持動作型ローラ装置である紙引きローラ23、センタシール装置20の圧着ローラ26、第二の紙引きローラ29が一括して開閉動作をするので、作業が容易かつ確実に行うことができる。
【0036】
本実施例の横型製袋充填包装機のセンタシール装置20は、バーヒータ25と圧着ローラ26によって行う方式であるが、本発明は、図4に示すような第二の紙引きローラ29にヒータを内蔵したヒートロール33でセンタシールを行う形式のものにも適用できる。図4(a)は側面から見た概略図、図4(b)は上面から見た概略図である。このヒートロール33で筒状包装材Ftにおける長手方向端縁部の重合面を挟圧及び加熱することでセンタシールを行う。回転式センタシール装置32の場合、ヒータを内蔵しているため、機械の運転中、停止中を問わず包装材の搬送が停止しているときは離間し、包装材の搬送が行われているときは接触する動作を行う包装材搬送時接触型のローラ装置となり、開閉の為のアクチュエータ33を備えている。包装材搬送状態信号36に基づき制御装置35が開閉の為のアクチュエータ33にヒートローラ開閉信号34を出力することで開閉動作を行っている。従って、通常時接触保持動作型ローラ装置は紙送りローラ1と紙引きローラ23の2つとなる。図4に示す通り、紙送りローラ1を手動開閉とし、その開閉状態を検出するセンサ38が設け、紙送りローラ1の開閉の状態を開閉状態信号39を制御装置35へと送るよう構成し、製筒器22より下流に位置する紙引きローラ23、にアクチュエータ37dを設け、制御装置35から出力される開閉指令信号39により動作するように構成すれば、バーヒータ25と圧着ローラ26によって行う方式で説明したのと同様な効果が得られる。
【0037】
本発明の別の実施形態について図5を用いて説明する。図5(a)は側面から見た概略図、図5(b)は上面から見た概略図である。これは、紙送りローラ1にも開閉の為のアクチュエータ37dを設け、別に用意した操作スイッチ44を設け、操作スイッチ44の動作信号45を制御装置35に送り、通常時接触保持動作型ローラ装置である紙送りローラ1、紙引きローラ23、センタシール装置20の圧着ローラ26、第二の紙引きローラ29が開閉が一括して開閉動作をするものである。操作スイッチ44は、機械の操作しやすい場所に配設しても、図示しない機械の操作や状態表示を行うタッチパネル表示器上に配設してもよい。この方式を用いれば、包装材のセット作業を行うときに、作業員が操作スイッチ44を操作するという一つの操作をするだけで、包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行う通常時接触保持動作型ローラ装置である紙送りローラ1、紙引きローラ23、センタシール装置20の圧着ローラ26、第二の紙引きローラ29が一括して開閉動作をするので、作業が容易かつ確実に行うことができる。また、この操作スイッチ44を別に設ける実施形態は、図4に示すような第二の紙引きローラ29にヒータを内蔵したヒートロール33でセンタシールを行う形式のものにも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
1 紙送りローラ 1a 金属ロール
1b ゴムロール 2 紙送りモータ駆動用サーボモータ
3a,3b,3c,3d スプリング等の付勢手段
4 紙送りローラ開閉レバー
5a,5b,5c,5d カム
20 センタシール装置
21 エンドシール装置 22 製筒器
23 紙引きローラ 24 紙引きローラ駆動用サーボモータ
25 バーヒータ 26 圧着ローラ
27 紙引きローラ開閉レバー 28 圧着ローラ開閉レバー
29 第二の紙引きローラ 30 第二の紙引きローラ開閉レバー
31 第二の紙引きローラ駆動用サーボモータ
32 ヒートローラ 33 ヒートローラ開閉アクチュエータ
34 ヒートローラ開閉指令信号 35 制御装置
36 包装材搬送状態信号
37a,37b,37c,37d 通常時接触保持動作型ローラ装置のアクチュエータ
38 開閉検出センサ 39 開閉状態信号
40 開閉指令信号 41a,41b エアシリンダ
42 スライド軸 43a,43b 支持体
44 操作スイッチ 45 スイッチの動作信号
46 回転式センタシール装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材ロールから引き出された帯状包装材を製袋器により筒状に成形し、水平に移送される筒状包装材中に物品を所定間隔毎に順次受渡し供給すると共に、前記物品が供給された筒状包装材における長手方向端縁部の重合面にセンタシール装置により、センタシールを施し、更に筒状包装材の物品を挟む前後に夫々エンドシール装置により、エンドシール・切断を施してなるピロー包装体を製造する横型製袋充填包装機において、
一対のロールから構成され、包装材を挟持しながら互いに回転することで包装材の搬送又はシールする働きを持つローラ装置を複数備えており、
複数ある前記ローラ装置のうち、包装材のセット作業のときにのみ開いて包装材から離間し、その他のときには閉じて包装材と接触し挟持する状態を保つ動作を行うことが求められている通常時接触保持動作型ローラ装置が複数あり、
前記通常時接触保持動作型ローラ装置が、オペレータの一つの操作によって一括して開閉動作を行う一括動作機能を備えたことを特徴とする横型製袋充填包装機。
【請求項2】
複数の前記通常時接触保持動作型ローラ装置が、
1つは、製筒器の上流に位置する紙送りローラであり、
1つは、製筒器の下流に位置する紙引きローラであり、
1つは、前記紙引きローラの下流にある、ヒータを内蔵しない圧着ローラであり、
1つは、前記圧着ローラの下流に位置する第二の紙引きローラであることを特徴とする請求項1に記載の横型製袋充填包装機。
【請求項3】
複数の前記通常時接触保持動作型ローラ装置が、
1つは、製筒器の上流に位置する紙送りローラであり、
1つは、製筒器の下流に位置する紙引きローラであることを特徴とする請求項1に記載の横型製袋充填包装機。
【請求項4】
前記一括動作機能が、複数ある前記接触保持動作型ローラ装置のうち1つのみが手動開閉機構と開閉状態を検出するセンサを備え、他の前記接触保持動作型ローラ装置は開閉の為のアクチュエータを備え、前記手動開閉機構が操作されるとその動作状態を前記センサが検出して制御装置に送り、前記制御装置がその状態に合わせて他の前記接触保持動作型ローラ装置に備えられた前記アクチュエータを動作させて他の前記接触保持動作型ローラ装置の開閉が行われることであることを特徴とした請求項1から請求項3に記載の横型製袋充填包装機。
【請求項5】
前記一括動作機能が、複数ある前記接触保持動作型ローラ装置のすべてが開閉の為のアクチュエータを備え、別に用意された操作スイッチを操作することにより、前記操作スイッチの状態が制御装置に送られ、前記制御装置が前記操作スイッチの状態に合わせてすべての前記接触保持動作型ローラ装置に備えられたアクチュエータを動作させすべての前記接触保持動作型ローラ装置の開閉が行われることであることを特徴とした請求項1から請求項3に記載の横型製袋充填包装機。
【請求項6】
前記アクチュエータが、サーボモータ等の制御可能なモータ又はエアシリンダ等の流体シリンダ又は電磁ソレノイド又は通常のモータであることを特徴とする請求項1又は請求項4又は請求項5に記載の横型製袋充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−171676(P2012−171676A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37812(P2011−37812)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】