横孔掘削装置
【課題】 障害物との干渉を回避するために穿孔方向を掘削途中で変更できる横孔掘削装置を提供する。
【解決手段】ほぼ水平に配設された掘削ドリル2と、該掘削ドリル2の根本側端部に連結された駆動装置3とを備えた横孔掘削装置1において、前記掘削ドリル2は、棒状のロッド本体4と、該ロッド本体4の外周に該ロッド本体4から分離して設けられたスプリングスクリュウ5からなり、前記ロッド本体4は前記スプリングスクリュウ5とともに弾性的に湾曲可能であり、前記駆動装置3は、前記スプリングスクリュウ5に回転を伝達し、前記ロッド本体4への回転伝達を遮断されたスクリュウ回転手段(モータ45)を有する。
【解決手段】ほぼ水平に配設された掘削ドリル2と、該掘削ドリル2の根本側端部に連結された駆動装置3とを備えた横孔掘削装置1において、前記掘削ドリル2は、棒状のロッド本体4と、該ロッド本体4の外周に該ロッド本体4から分離して設けられたスプリングスクリュウ5からなり、前記ロッド本体4は前記スプリングスクリュウ5とともに弾性的に湾曲可能であり、前記駆動装置3は、前記スプリングスクリュウ5に回転を伝達し、前記ロッド本体4への回転伝達を遮断されたスクリュウ回転手段(モータ45)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅家庭用のガス、電気、水道等のパイプラインを宅地内に引き込むに先立ち、地中に略水平方向に配管用孔を形成するための横孔掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用のガスや水道の引込管を本管から分岐して宅地内に引き込む場合、例えば通路に沿って敷設されている本管の位置に立坑を設け、この立坑から宅地側に向けて掘削ドリルやオーガ等の穿孔装置により横孔を掘削する。この横孔に引込管を挿通し本管に接続する。引込管を接続する場合、引込管は、まず開口した横孔の宅地側端部で掘削ドリル等の先端に連結される。掘削ドリル等を戻すときに同時に引込管を宅地側から道路側へ引張り立坑内へ引き出す。立坑内に引出された引込管は本管に接続される。
【0003】
このように、本管の立坑側から横孔を穿設することにより、宅地と道路間の地表のアスファルトの歩道や、側溝を破壊することなく宅地への配管工事が可能になり工事期間が短縮され作業が効率よくできる。
【0004】
このような横孔を穿設するための従来の横孔掘削装置の掘削ドリルやオーガ等の穿孔手段は、先端の掘削手段用の刃部分の後部に排土用のスクリュウが一体形成されたものである。先端の刃部分はスクリュウと一体的に回転しながら地中を前進する。例えば排土用オーガスクリュウを備えた横孔掘削用の推進装置が特許文献1に記載されている。
【0005】
その特許文献1に記載された装置は、先端の掘削用オーガビットとこれと一体のオーガスクリュウを同時に回転させながら前進するものであり、オーガスクリュウの外周に管部材を設け、この管部材に外接して埋設管を嵌め込み、オーガを前進させながら管部材とともに埋設管を地中に押し込む。
【0006】
このオーガスクリュウは、螺旋状のスクリュウ翼が棒状の中心軸部の外周に一体に形成されたもので、中心軸部とスクリュウ翼は一体に回転する。この中心軸部の先端にオーガビットが固定される。従来のオーガスクリュウは剛体であり、定められた方向に直進する。特許文献1の装置では高さ方向の位置決め手段としてジャッキが用いられるが、一旦位置が定まると途中で方向を変えることはできない。
【0007】
すなわち、従来の横孔掘削装置は、スクリュウが剛体であり、螺旋翼と中心軸部が一体で先端の掘削刃部分と共に全体が一体的に回転する。また、従来のスクリュウは剛体であるため、一定の方向に直進し、途中で曲がって進路を変えることはできない。
【0008】
このため、従来の横孔掘削装置を用いた場合、掘削ドリルやオーガが地中を進行中に先端が既存の埋設管に当たると、方向変更ができないためそのまま前進して埋設管を破壊してしまう。
【0009】
一方、家庭用引込管より幾分径の太いガス、石油、水道等のパイプラインを地中に敷設するに際しては、地上建築物が邪魔となり、埋設管を埋めるための溝や孔を開削できない場合がある。このような場合には、建物などの既設構造物下方の埋設予定部分の近傍に発進用立坑を掘り、立坑内に掘削装置を配置して立坑より地中略水平方向に孔を掘削し、このようにしてできた配管埋設用横孔に埋設管を押込むようにしている。
【0010】
掘削装置は主として、前方の地層を掘削するオーガビットと、オーガビットによって掘削された土(以下、掘削土と呼ぶ)を後方に排出するためのオーガスクリュウと、このオーガスクリュウを回転させる回転手段とにより構成されている。また、このオーガビットに代わるものとしてその先端より高圧水を噴射することにより前方の土を流動化させ、泥状になった掘削土をオーガスクリュウによって後方に排出するボーリング装置も既に知られている。
【0011】
また、掘削装置には、推進始端の拡大部・後方壁に反力板を設け、この中に埋設管を貫通させると共に、埋設管の後端に当てた推進板を、反力板より後方に延びる複数の棒状部材と螺合させ、推進板の移動によって埋設管を地中に推進させる簡易推進装置も提案されている。(例えば前述の特許文献1参照)。
【0012】
ところで、上述したこれらの装置は、その先端のオーガビットや高圧水噴射ノズルを含め、全体が剛体として形成され、その穿孔方向は穿孔開始孔より直線状に延び、途中で曲がることはない。このため、仮に、地中穿孔過程において装置先端部が、掘削困難な障害物(例えば、既に埋設されているパイプライン、屈強な岩盤・石など)に当たるような場合には、穿孔作業を中断して再度新たな掘削経路を模索しなければならず、この場合、それまでの穿孔作業が全く無駄になってしまう。換言すれば、地中穿孔工事は、掘削やボーリングに先立ちその穿孔対象となる地中の内部の配管状況や岩盤等を綿密に調査した上で行わなければならず、ライフライン等が複雑化する昨今ではその調査自体も時間と手間を要し、調査精度自体もおのずと限界がある。
【0013】
【特許文献1】特願平8−165891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような現状に鑑み、装置先端が上記障害物に当たるような場合でも、容易にその穿孔方向を変更でき、もって障害物との干渉を回避可能とした横孔掘削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ほぼ水平に配設された掘削ドリルと、該掘削ドリルの根本側端部に連結された駆動装置とを備えた横孔掘削装置において、前記掘削ドリルは、棒状のロッド本体と、該ロッド本体の外周に該ロッド本体から分離して設けられたスプリングスクリュウからなり、前記ロッド本体は前記スプリングスクリュウとともに弾性的に湾曲可能であり、前記駆動装置は、前記スプリングスクリュウに回転を伝達し、前記ロッド本体への回転伝達を遮断されたスクリュウ回転手段を有することを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ロッド本体は、先端に水噴射ノズルを備えた先頭ロッドと、該先頭ロッドの後端に、掘削長さに応じた本数を着脱可能に連結した所定長の連結ロッドとにより構成され、前記各ロッドは、軸方向に沿って弾性材を介して連結された管部材からなり、前記先頭ロッドは、前記水噴射ノズルを装着したコーン状のヘッドを有し、該ヘッドにヘッド方向を変えるためのワイヤが連結されたことを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ロッド本体の内部に、前記水噴射ノズルに接続するホースと、前記ワイヤが挿通することを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記各ロッドは、外周部に各ロッドに対応した長さのスプリングスクリュウ、内部に各ロッドに対応した長さの前記ホース及びワイヤを有し、前記ロッド本体は、ロッド同士を連結するとともに、前記各ロッドが有するスプリングスクリュウ、ホース、ワイヤを連結して形成されたことを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれかの発明において、前記各ロッドの各管部材は、外周側の上下両側面に軸方向の溝が形成され、隣接する管部材同士を架け渡して前記溝に嵌合する板バネを装着し、該板バネにより、水平配置した各ロッドの上下方向の湾曲を可能にするとともに、隣接する管部材同士のねじれを防止したことを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項2〜5のいずれかの発明において、前記駆動装置は、前記掘削ドリルを水平方向に押圧する移動台と、該移動台上に固定した前記連結ロッドを接続するためのロッド結合管と、該ロッド結合管の外周にベアリングを介して装着された回転板と、該回転板に固定された前記スプリングスクリュウ結合用の連結スクリュウと、前記ワイヤを引張り操作するワイヤ操作装置と、前記モータと前記回転板とを連結する回転伝達手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明は、請求項3〜6のいずれかの発明において、前記ホースに接続された高圧水ポンプを備え、前記水噴射ノズルから噴射された水を泥水溜りに回収し、回収した泥水を複数のフィルタを介して高圧水ポンプから前記水噴射ノズルに再供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、掘削ドリルの中心軸部を形成するロッド本体の外周にロッド本体から分離して弾性を有するスプリングスクリュウが設けられ、ロッド本体及びスプリングスクリュウは共に弾性的に湾曲可能であるため、掘削進行中に既存の埋設管に当たった場合に埋設管の曲面に沿って容易に進路変更でき、埋設管を破壊することがない。又、掘削ドリルの中心軸部であるロッド本体は回転せずその外周のスプリングスクリュウのみが回転して掘削及び排土作用を行うため、非回転のロッド本体内部を通して例えば水噴射用のホースや先頭部の方向変更用のワイヤ等を配設することができコンパクトな構成が得られる。又、消費電力の低減が図られる。
【0023】
請求項2の発明によれば、掘削ドリルの中心軸部を構成するロッド本体は、先頭ロッドとこれに連続する所定長の連結ロッドからなるため、掘削進行中に順次連結ロッドを継ぎ足して狭い立坑内から長い横孔を穿設できる。又、先頭ロッドに備わる水噴射ノズルから高圧水を噴射することにより土質を軟らかくして掘削することができ、掘削負荷抵抗が軽くなる。また、ヘッドに方向を変えるためのワイヤが連結されるため、ワイヤを引張ることによりヘッドを首振り動作させて進路を変更し既存埋設管を避けることができる。
【0024】
請求項3の発明によれば、非回転のロッド本体内部に水噴射用のホースとヘッド方向変更用ワイヤが挿通するため、コンパクトな構成で信頼性の高い機能が得られる。
【0025】
請求項4の発明によれば、先頭ロッド及び連結ロッドは夫々各ロッドに対応した長さのスプリングスクリュウ、ホース及びワイヤを有するため、連結ロッドを継ぎ足す場合、連結ロッド端部の管部材同士と、スプリングスクリュウ同士と、ホース同士と、ワイヤ同士の4つの部材同士を連結することにより確実に連結ロッドを接続してロッド本体を順次長くすることができる。
【0026】
請求項5の発明によれば、管部材の上下両側面に形成された軸方向の溝内に板バネが装着されるため、この板バネによりロッドが上下方向に湾曲可能になって既存埋設管に当たったときに埋設管の上又は下に方向変更して埋設管を越えることができる。又、板バネにより、ロッドのねじれが防止されるため、上下の曲り方向が確実に保たれる。
【0027】
請求項6の発明によれば、掘削ドリルの最後尾の連結ロッドに接続されるロッド結合管の外周にベアリングを介して回転板を装着し、この回転板に連結ロッドのスプリングスクリュウを結合するための連結スクリュウを固定し、該回転板とモータを例えばチェーン等で連結することにより、ロッド結合管を固定したまま外周の連結スクリュウのみを回転駆動することができる。これにより、掘削ドリルのロッド本体を非回転状態で外周のスプリングスクリュウのみを回転することができる。この状態で移動台を押して掘削方向に移動させることにより掘削ドリルが地中を穿孔しながら前進する。この移動台上に先頭ロッドの方向変更用ワイヤの操作装置を載せ、高圧水のホースを高圧水ポンプに接続することにより掘削ドリルの駆動装置を移動台上にコンパクトに形成することができる。
【0028】
請求項7の発明によれば、先頭ロッドの水噴射ノズルから噴射された水は、掘削した土とともに泥水状態で横孔の穿孔開始開口端部に戻り、この泥水は立坑内の泥水溜りに回収される。この泥水は複数のフィルタを通して高圧水ポンプにより再び先頭ロッドの水噴射ノズルに供給され再循環する。これにより、泥水から土塊が除去され、ポンプ機能を劣化させることなく、限られた量の水を効率よく使用して土質を軟化させ掘削効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の実施形態の基本構成図である。
横孔掘削装置1は、ほぼ水平に配置された掘削ドリル2と、この掘削ドリル2の根本側端部に連結された駆動装置3とにより構成される。掘削ドリル2は、棒状のロッド本体4と、このロッド本体4の外周にロッド本体表面から分離して装着されたスプリングスクリュウ5からなる。ロッド本体4は、先端に水噴射ノズル6を備えた先頭ロッド7と、この先頭ロッド7の後端に掘削長さに応じた本数を着脱可能に連結した一定長さの複数の連結ロッド8とにより構成される。
【0030】
各連結ロッド8は、軸方向に沿って複数の(この例では3個ずつの)弾性材9を介して連結された4つの管部材10からなる(図3参照)。
駆動装置3は、移動台11に搭載され、矢印Aのように水平方向に往復可能であり、掘削時に掘削ドリル2を地中に押圧して穿孔する。この駆動装置3は、高圧水ポンプ12と水噴射ノズル6とを接続するためのホース接続手段13と、先頭ロッド7の方向変更用ワイヤの操作手段14と、最後尾の連結ロッド8を接続するロッド連結手段15と、ロッド本体4を回転させることなくスプリングスクリュウ5のみを回転させるスクリュウ回転手段16とを備える。
【0031】
図2は、先頭ロッドの構成図である。
先頭ロッド7は、先端に水噴射ノズル6が装着されたコーン状のヘッド17とその後方に各々弾性材9を介して接続された大径管部材10a、中間管部材10b及び連結用管部材10cとにより構成される。弾性材9はコイルスプリングからなり、両端部が夫々ヘッド17及び管部材10a,10b,10cの端面に溶接して固定される。
【0032】
ヘッド17の端面の上下部分にヘッドの上下首振り動作用の押圧棒18が備わる。押圧棒18の後端部は、大径管部材10a内に設けられたレバー19の一端に連結される。レバー19の他端にワイヤ20が連結される。ワイヤ20の端部に輪20aが形成される。
【0033】
ワイヤ20を後方に引張ることにより、レバー19を介して押圧棒18がヘッド17の上部又は下部を押圧し、ヘッド17を下方又は上方に向ける。レバー19の軸19aの位置に応じたレバー比を適宜設定することにより小さな引張力でヘッド17の向きを変えることができる。ワイヤ20の引張力を解除すれば、弾性材9の弾性復帰力によりヘッド17は中心方向を向く位置に戻る。レバー19に復帰用スプリングを別途設けても良い。
2本の押圧棒18同士は、図示したように、クロスして配設される。このようなクロス配置により、ヘッド17の上下首振り動作による方向変更時に、押圧棒18が管部材の内面に干渉することがなくなり、方向変更動作が支障なくできる。
【0034】
水噴射ノズル6に高圧水供給用のホース21が接続される。ホース21の後端部には連結用のカプラ21aが備わる。
先頭ロッド7の外周にはスプリングスクリュウ5が装着される。先頭ロッド7の内部を挿通して前記ワイヤ20及びホース21が配設される。
【0035】
スプリングスクリュウ5は大径管部材10aの部分で径が拡大している。このように先頭部分のスプリングスクリュウ5を拡径して形成することにより、後部に順次連結ロッド8(図3参照)を継ぎ足して地中を推進させるときに、掘削負荷抵抗はほとんど先頭の拡径部のスプリングスクリュウ5で担持され、後部に順次連結された連結ロッドのスプリングスクリュウ5の掘削負荷抵抗が軽減される。これにより、掘削長さが延びた場合でも、回転動力を上昇させることなくほぼ一定の小さな動力で安定して掘削作業を行うことができる。
【0036】
図3は連結ロッドの構成図である。
連結ロッド8は、両端の連結用管部材10cと2個の中間管部材10bとからなり、管部材10b、10b間及び10b,10c間に前述の先頭ロッド7と同様に弾性材9が溶接固定される。連結ロッド8の外周にスプリングスクリュウ5が装着され、内部に2本のワイヤ20及び1本のホース21が挿通する。連結ロッド8の外形及びその外周のスプリングスクリュウ5の径は、先頭ロッド7(図2)の後端部の管部材10c及びその外周のスプリングスクリュウと同じである。
【0037】
ホース21の一方の端部にカプラ21aが備わる。ホース21の他端部は切放し状態である。切放しのホース21の端部を相手側のカプラに差し込むことによりホース同士が連結される。
このような連結ロッド8を先頭ロッド7に連結する場合及び連結ロッド8同士を連結する場合、2本のワイヤ20と、ホース21と、連結用管部材10cとスプリングスクリュウ5とを夫々連結して連結ロッド8を順次継ぎ足す(図5参照)。
【0038】
図4(A)(B)は連結ロッドの上面図である。
(A)に示すように、連結ロッド8の各管部材10b,10cの上下両面(図は上面のみ)には軸方向の溝22が位置を揃えて形成される。隣接する管部材10c,10b間及び10b,10b同士間を架け渡して溝22内に板バネ23が嵌め込まれる。板バネ23の両端部は夫々ボルト24を介して管部材10b,10cに対してスライド可能に保持される。
【0039】
このような板バネ23を装着することにより、連結ロッド8は上下方向にのみ弾性材9の作用で湾曲可能になる。また、各管部材10b,10c同士のねじれが防止され各管部材の上下方向は常に一定の向きに保たれる。このような板バネ23は先頭ロッド7にも設けられる。
(B)は板バネ23の別の装着構造を示す。この例では、管部材10bの端部上面に円周の一部に沿った円弧溝110を形成する。この円弧溝110に円弧状のカバー材111を装着し、溶接により円弧溝110の底面に固定する。このカバー材111と軸方向の溝22の底面との間の隙間に板バネ23を差し込んで両方の管部材10b間に架渡す。この後、板バネ23の両端から若干距離を隔てた位置の溝22の底面にネジ112を螺着させる。このネジ112が板バネ23の抜け止め用のストッパとなる。
【0040】
図5はロッド同士の連結構造を示す。
(A)はワイヤ20の連結構造を示す。ワイヤ20の両端部に輪20aが形成される。輪20a同士は、コイル状の連結リング25により連結される。
(B)はホース21の連結構造を示す。ホース21の一方の端部に備わるカプラ21aに相手側のホース21’の端部を差込むことにより、両ホース21,21’が連結される。
【0041】
(C)は連結用管部材10c,10c同士の連結構造を示す。一方の管部材10cは雄筒26を有し、相手側の管部材10cに雌筒28が形成される。雄筒26を雌筒28に差込んだ後、円周方向に位置合わせされた状態でネジ孔30を通して1本のボルト(不図示)により両管部材10c同士を固定する。
(D)はスプリングスクリュウ同士の連結構造を示す。連結すべきスプリングスクリュウ5,5の端部の2〜3巻きを相互に重ね合わせ、予め形成してある孔31を通してコイルスプリング32を介してリベットボルト33を押し込む。リベットボルト33の端部が反対側に突出したら、その端部に設けてある孔(不図示)にクリップピン34を挿入して、スプリングスクリュウ5,5同士を固定する。このようなリベットボルト33は例えば3ヶ所に設けられる。
【0042】
以上の(A)〜(D)のように4つの部材を連結することにより、連結ロッド8が順次継ぎ足される。なお、連結部材は図示した例に限らず、他の適当な方法で連結しても良い。
【0043】
図6は駆動装置の構成図である。
掘削ドリル2(図1参照)の最後尾の連結ロッド8及びスプリングスクリュウ5に駆動装置が連結される。連結ロッド8のワイヤ20、ホース21、管部材10c及びスプリングスクリュウ5の連結構造は、前述の図5(A)〜(D)の連結構造と同じである。
【0044】
駆動装置3は、移動台11上に搭載される。移動台11は、ガイドレール35上で矢印Aのように水平に往復移動する。例えばガイドレール35にラックギヤを形成し、これに噛み合うピニオンギヤを移動台11に設けて移動台11が往復動作するように構成しても良い。
【0045】
移動台11上に支持枠36が固定され、この支持枠36にロッド結合管37がボルト38により固定される。ロッド結合管37は、前述の連結用管部材10cと同様の構造で軸方向の長さを長くしたものである。このロッド連結管37に最後尾連結ロッド8の管部材10cが連結固定される。
連結ロッド8内を挿通する2本のワイヤ20は、それぞれ図5(A)の連結構造を介して操作レバー39aを有するワイヤ操作具39に連結される。操作レバー39aの操作により2本のうち一方のワイヤ20を引張って先頭ロッド7のヘッド17(図2)の上下の向きを変える。
【0046】
連結ロッド8のホース21の端部に設けられたカプラ21aに、高圧水ポンプ12に接続されたホース40が連結される。
ロッド結合管37の外周にベアリング41を介して回転板42が装着される。回転板42に結合用スクリュウ43が固定される。この結合用スクリュウ43にスプリングスクリュウ5の後端部が図5(D)の連結構造を介して連結される。
【0047】
移動台11上にモータ45が設置される。このモータ45の出力軸に連結して駆動スプロケット44が設けられる。回転板42の外周に被駆動スプロケット45が設けられる。駆動スプロケット44と被駆動スプロケット45はチェーン等の回転駆動伝達手段47を介して連結される。なお、図ではスプロケット44,45同士が位置ずれして描いてあるが、実際には同じ位置に配設され、チェーンが架け渡される。
【0048】
モータ45が回転すると、チェーンで連結されたスプロケット44,45を介して回転板42が回転する。ロッド結合管37に対してはこの回転力はベアリング41により遮断され、ロッド結合管37は回転力を受けない。これにより回転板42に連結されたスプリングスクリュウ5のみが回転し、連結ロッド8は回転しない。
【0049】
以下、図面を参照して、本発明に係る横孔掘削装置の実施形態を更に説明する。図7は本発明の横孔掘削装置を穿孔対象となる工事現場に配置した実施形態の説明図である。
【0050】
歩道Sを隔てて宅地用ピットHPと道路側ピットRPが地面鉛直方向に掘削される。歩道Sには、例えばU字型側溝UGや路肩L字型側溝LGが地表に露出して設けられている。本発明に係る横孔掘削装置51は、駆動装置52が道路側ピットRPの底PBに配置され、ピット底PBには更に、穿孔された孔(後述する)より排出される泥水を一時貯水するための泥水溜り53が設けられる。Aは車道である。駆動装置52は、この道路側ピットPRより歩道Sを隔てて宅地用ピットHPへと伸びる孔を形成するために道路側ピットPRに配置されるものである。
【0051】
駆動装置52は、ギヤ付きレール54(図6のガイドレール35)の上に水平方向に移動可能に設置され、ギヤ付きレール54は道路側ピットRPの底PBに対し位置決め手段(例えば、ジャッキ等)55を介して載置される。駆動装置52は、ギヤ付きレール54のラックギヤ56と噛合するギヤ付車輪(ピニオン)57を備えた台車58と、台車58上に載置されたモータ(回転手段)59と、台車58をギヤ付きレール54に沿って水平方向に移動するため作業者によって回転されるハンドル61とを有する。駆動装置52はさらに、モータ59の先端部に掘削ドリル62を備える。
【0052】
掘削ドリル62は、その先端側に位置するパイプ状の先頭ロッド63と、先頭ロッド63の後端に接続されるパイプ状の連結ロッド64と、これらロッド63、64を螺旋状に巻回するように形成されたスプリングスクリュウ65とから構成される。連結ロッド64の後端は、駆動装置52に固定される。連結ロッド64及びスプリングスクリュウ65は、前述のように穿孔工事の進行に伴って順次、継ぎ足される。
【0053】
図示するように、先頭ロッド63はその先端側が円錐形のコーン状となっており、その周囲に位置するスプリングスクリュウ65(部分)もロッド63の外径に倣って、先端側に向かって徐々に縮径する。また、先頭ロッド63はその先端に高圧水噴射ノズル67を備えており、ノズル67先端から前方に高圧水を噴射する。
【0054】
高圧水は、例えば路上等に設置されたジェット噴射装置68からホース69を介してノズル67に供給される。ホース69は、駆動装置52の内部を通り、さらにロッド63、64内部を通って噴射ノズル67に接続される。
【0055】
本装置51による穿孔作動に伴い、形成中の孔より排出される泥水を回収する泥水溜り53には、小型の水中ポンプ70が設置される。泥水をろ過するため水中ポンプ70にはフィルタ付き取水口71が設けられる。ポンプ70によってろ過された泥水はホース72を介して、路上に設置された貯水タンク73に供給される。尚、ホース72の先端(貯水タンク73側)に、さらにフィルタ74が設けられる。このようにして回収された水は、更に、貯水タンク73よりジェット噴射装置68へホース75を介して、ジェット噴射装置68に供給される。給水ホース75の入口にも泥水をろ過するためのフィルタ76が設けられる。このように本発明の掘削装置1は、噴射ノズル67から噴射された高圧水を回収してジェット噴射装置68に供給し、再度ノズル67に供給する水循環方式を採用している。これにより、掘削装置1の作動に伴う水の消費量を少なくすることができる。以上が、本発明による掘削装置1の構成である。尚、図7において、77は穿孔作業に先立ち、先頭ロッド63を地中へ円滑に導くためのロッド導入管、78はロッド導入管77の端部フランジ77aを道路側ピットRPの側壁に固定する固定ピンである。
【0056】
掘削ドリル62の具体的構造を以下、説明する。図8は、掘削ドリル62よりスプリングスクリュウ65を除いた先頭ロッド63及び連結ロッド64の外観図であって、本図は1本の先頭ロッド63と、これに連続して直列接続される2本の連結ロッド64を示している。しかしながら、前述したように連結ロッド64は、それ自体穿孔長さに応じて次々と接続されるものであり、その数は本発明の特徴として限定されるものではない。
【0057】
先頭ロッド63及び連結ロッド64は共に、複数の管部材80と、管部材80間に介装された複数の弾性材81とから構成される。各弾性材81は、その軸方向両端が管部材80の端面に溶接される。さらに弾性材81を挟んで隣接する2つの管部材80同士は、板バネ(図4の板バネ23)を介して連結される。前述のようにこの板バネは、弾性材81の捩れを防止するために、また各ロッド63、64の横方向(図面に対し垂直方向)曲りを防止するために、弾性材81を介した管部材80同士の接続部1つにつき、管部材直径方向に対向して上下に2つ設けられる。
【0058】
図9は、ロッド63、64における板バネ82の装着部を拡大し、その上方から見た図である。コイルスプリングからなる弾性材81を挟む2つの管部材80には、その外周面83上を管部材の長手方向に沿って延びる、板バネ82収納のための溝84が形成される。また、溝84の底部84aには、後述するボルト受け入れのためのねじ孔(不図示)が端面85より適当な距離をおいて形成される。他方、板バネ82には、その両端部近傍にボルト挿通用長孔86が形成される。管部材80への板バネ固定のため、ボルト87が板バネ82のボルト挿通用長孔86を介して、管部材80のねじ穴にねじ込まれる。ボルト87の頭部と板バネ82との間に、ワッシャ88が挟み込まれる。板バネ82にボルト挿通用長孔86を設けたこと、及びワッシャ88を介在させた状態で板バネ82を管部材80に固定したことにより、板バネ82は、管部材80の溝84内で管軸方向に若干のスライドが可能となり、これにより弾性材81を介した管部材80同士の接続部は、弾性材81と板バネ82の弾性をもって、図10の(a)、(b)に示すように矢印A,B方向に撓むことが可能となる。
なお、板バネ保持構造は、図9の例に限らず、前述の図4(B)のように、板バネ23の上から円弧状のカバー材111で覆って、板バネを溝22内でスライド可能に保持してもよい。
【0059】
図11は、連結ロッド64と、これより前方の先頭ロッド63(又は、先行する連結ロッド64)の接続部89を示す断面図である。連結ロッド64の先端の管部材80aには、その端部に管外径よりも小さい径の縮径部90が形成される。連結ロッド64と先頭ロッド63の接続、或いは連結ロッド64同士の接続にあたっては、この縮径部90を、先頭ロッド63(又は先行する連結ロッド64)の最後端に位置する管部材80bの内周面91に形成された拡径部92に挿入し、さらに拡径部92に形成された孔93にボルト94を挿入し、連結ロッド64の縮径部90の外周面95に押圧又は螺着する。これにより、1本のボルト94を用いて、両管部材80a,80b同士を円周方向に位置合せするとともに確実に結合できる。尚、図11において97は、連結ロッド64の縮径部90に形成されるネジ孔である。
【0060】
図12は、スプリングスクリュウ65の先端部分を示している。本実施形態では、スプリングスクリュウ65は、ロッド63、64毎に分割され、最終的にはこれらを直列状に接続してなる。スプリングスクリュウ65は、先頭ロッド63の周囲を螺旋状に巻回する先頭部分105と、後続の連結ロッド64に対応しその周囲を螺旋状に巻回する1つ又はそれ以上の後続連結部分106とによって構成される。先頭部分105は、先頭ロッド64の外形に倣い、その先端より後方に向かって徐々に拡径し大径管部材98の周囲で最大となり、ここから管部材80の周囲に向けて徐々に縮径する。他方、後続の連結部分106は、連結ロッド64の最前方に位置する管部材80a(図8参照)から最後方の管部材80bにかけてその周囲を包囲するように螺旋状に延び、ロッド64の外径に倣って略一定の外径を有して形成される。先頭部分105と後続の連結部分106は、前述の図5(D)で説明したように、双方の重ね合せ部分に周方向に形成された複数の孔(不図示)にボルト107を挿入固定することにより連結される。尚、図12には示されないが、後続の連結部分106同士の連結も又、上記接続と同様にボルト(不図示)を用いて行われる。なお、ボルトを用いずに、前述の図5(D)クリップピンの差込みによる連結構造を用いれば、短時間で容易に連結作業ができる。
【0061】
前述したように、スプリングスクリュウ65は、その最後尾となる連結部分106の最後端が、駆動装置52の出力側(例えば、回転盤)に接続され、モータ59の駆動によりスプリングスクリュウ65全体がロッド63、64周囲で回転する。スプリングスクリュウ65は、高圧水噴射ノズル67からの高圧水によって軟化された土(泥)を掘削するとともに掘削土をスクリュ自体の回転によってロッド63、64の後方に運搬する。
【0062】
また、スプリングスクリュウの断面は、図13に示すようにスクリュウ軸方向端面108a、108bが扁平化し、スクリュウ軸方向の厚さ寸法aより径方向幅寸法bが大きくなるように形成される。これは、スプリングスクリュウ65による掘削土の搬送機能を向上させる目的によるものである。先頭ロッド63のヘッド99の外周のスプリングスクリュウ65には、その外周部分に鋸歯状の刻みを設けても良い。これにより掘削力が高まる。
【0063】
以上のように構成される掘削装置51の使用方法を、図7を参照して以下説明する。
まず、駆動装置52を道路側ピットRPの底PBに設置した状態において、ロッド導入管77を穿孔対象となる道路側ピットRPの側壁に装着する。作業者(不図示)は、ロッド導入管77の入口に対し、駆動装置52の掘削ドリル62の先端を合わせ、ハンドル61を操作して台車58をピットRPの側壁に向けて前進させる。これにより、掘削ドリル62の先端はロッド導入管77内に挿入され、未穿孔の土に当たる。このような状態で、作業者は台車58上に載置されたモータ59とジェット噴射装置68を駆動開始させる。この結果、先頭ロッド63のノズル77から高圧水が勢いよく噴射され、前方の土が軟化し、スプリングスクリュウ65で掘削される。掘削された土は高圧水と混合し、流状化(泥化)する。そして流状化した土は、スプリングスクリュウ65によってロッド導入管77内部からの入口側へと運搬され、最終的にはロッド導入管77の入口から落下して、下方に配置された泥水溜り53に溜められる。泥水溜り53に溜められた泥水は、泥水溜り53に設置されたポンプ70を作動することによりろ過され、その後は前述したように、ホース72、貯水タンク73、ホース75を経てジェット噴射装置68に供給され、再利用される。
【0064】
作業者は再びハンドル61を操作して台車58をさらに前進させる。ノズル67からの高圧水の噴射は続行され、軟化した地中をスプリングスクリュウ65が掘削しながら前進する。掘削土はスプリングスクリュウ65により掘削穴から除去される。このようにして台車58がレール54上を前進し、レール前端近傍に位置するようになったら、ここで作業者は、駆動装置52の作動(即ち、ノズル67からの高圧水噴射とスプリングスクリュウ65の回転)を一時中断し、ハンドル61を操作して台車58を元の位置に戻した後、掘削ドリル62を一旦駆動装置52から取り外す。尚、この際、前述したワイヤW及びホース69も一時、駆動装置52側から切り離される。次に新たな連結ロッド64と、これに対応するスプリングスクリュウ65を用意し、これらを先行する連結ロッド64とスプリングスクリュウ65の各後端に接続すると共に、新たなワイヤW及びホース69も先行するワイヤW及びホース69に接続し、これら継ぎ足された各部材の後端を、前述の図6で説明したように駆動装置側に接続する。これにより、掘削ドリル62は継ぎ足された1本の連結ロッド64分だけ全長を増し、それだけロッド導入管77を通して地中を奥深く進行できることになる。穿孔作業は、以上のような工程を繰り返すことで、掘削ドリル62の全長を順次増加させながらその先端を地中水平方向に推進させ、最終的に目的地点までの配管用通路を形成するものである。また、この穿孔過程において掘削ドリル先端が、更なる直進を妨げるような既設配管や障害物等に当たった場合には、ワイヤ操作具103を操作してヘッド99を上・下いずれかの方向に傾斜させる。これにより、掘削ドリル62の先端部は、障害物との衝突を回避して推進方向を変えることができ、またロッド63、64も、隣接する管部材80の間に弾性材81を有するため、ヘッド99に追随して、その進行方向を変えることが可能となる。加えて、本実施形態の掘削ドリル62は、先端部が仮に障害物に当たらずとも、意図的にワイヤ操作具103を操作することで、ヘッド99の推進方向を上下方向に変えることができ、例えば図7に示すように、ヘッド99先端が宅地用ピットHP近傍まで来た状態において、その推進方向を上向きに変え、目的とする宅地用ピットHPと開通させることができる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、先頭ロッド63及び後続の連結ロッド64及びこれらの周囲のスプリングスクリュウ65は可撓性を有して形成されるために、既設配管等に当たったときに、自動的に又は作業現場側からの遠隔操作によって先頭ロッド63の推進方向を変えることができ、これまでの直進穿孔工事の障害となっていた既設配管の破壊や障害物による工事中断、やり直しといった問題を回避できる。また、本実施形態による掘削装置は掘削のために一度使用した水を再度利用するため、コストや環境上にも有利である。更に、先頭ロッド63の部分に最大径の管部材96を有するため、後続の連結ロッド64の移動が円滑であり、作業者による台車58の移動の負担及びスプリングスクリュウ65の抵抗が軽いという利点がある。
【0066】
尚、図示した実施形態では、台車58の移動や先頭ロッド63の方向変更は全て人力によるものであったが、その他の駆動手段(例えば、モータやアクチュエータ)によってなされるようにしても良い。また本実施形態では、噴射された高圧水をろ過して再度使用する、所謂水循環式の穿孔装置であったが、環境上問題がない限りにおいて、一旦掘削に使用した水をそのまま廃棄するようにしても良い。また、本実施形態では、土質軟化用高圧水を使用したが、水以外の流体を使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、宅地への引込管用の横孔掘削装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による実施形態の基本構成図。
【図2】先頭ロッドの構成図。
【図3】連結ロッドの構成図。
【図4】連結ロッドの上面図。
【図5】掘削ドリル構成部材の連結構造図。
【図6】駆動装置の構成図。
【図7】本発明による横孔掘削装置を掘削工事現場に設置した概略図。
【図8】本発明に係る先頭ロッドおよび連結ロッドの外観図。
【図9】図8に示す管部材同士の接続部を拡大して示す外観図。
【図10】図8に示す連結ロッドの湾曲状態を示す説明図。
【図11】図8に示す先頭ロッドと連結ロッドの接続部を示す断面図。
【図12】本発明のスプリングスクリュウの部分的外観図。
【図13】図12に示すスプリングスクリュウの断面図。
【符号の説明】
【0069】
1:横孔掘削装置、2:掘削ドリル、3:駆動装置、4:ロッド本体:5:スプリングスクリュウ、6:水噴射ノズル、7::先頭ロッド、8:連結ロッド、9:弾性材、10:管部材、10a:大径管部材、10b:中間管部材、10c:連結用管部材、11:移動台、12:高圧水ポンプ、17:ヘッド、18:押圧棒、19:レバー、20:ワイヤ、20a:輪、21:ホース、21a:カプラ、22:溝、23:板バネ、24:ボルト、25:連結リング、26:雄筒、17:突起、28:雌筒、29:凹部、30:孔、31:孔、32:コイルスプリング、33:リベットボルト、34:クリックピン、35:ガイドレール、36:支持棒、37:ロッド結合管、38:ボルト、39:ワイヤ操作具、39a:操作レバー、40:ホース、41:ベアリング、42:回転板、43:結合用スクリュウ、44:駆動スプロケット、45:被駆動スプロケット、47:回転伝達手段、51:横孔掘削装置、52:駆動装置本体、53:泥水溜り、54:ギヤ付きレール(運搬手段)、55:ジャッキ、56:ラックギヤ、57:ギヤ付車輪、58:台車、59:モータ、61:ハンドル、62:掘削ドリル、63:先頭ロッド、64:連結ロッド、65:スプリングスクリュウ、67:高圧水噴射ノズル、68:ジェット噴射装置、69:ホース、70:水中ポンプ、71:フィルタ付き取水口、72:ホース、73:貯水タンク、74:フィルタ、75:ホース、76:フィルタ、77:ロッド導入管、78:ピン、80,80a,80b:管部材、81:弾性材、82:板バネ、83:外周面、84:溝、85:端面、86:ボルト挿通用長孔、87:ボルト、88:ワッシャ、89:接続部、90:縮径部、91:内周面、92:拡径部、93:孔、94:ボルト、95:縮径部外周面、97:ネジ孔、98:大径管部材、99:ヘッド、103:ワイヤ操作具、107:ボルト、108a,108b:軸方向端面、S:歩道、HP:宅地用ピット、RP:道路側ピット、UG:U字型側溝、LG:L字型側溝、PB:ピット底、W:ワイヤ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅家庭用のガス、電気、水道等のパイプラインを宅地内に引き込むに先立ち、地中に略水平方向に配管用孔を形成するための横孔掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用のガスや水道の引込管を本管から分岐して宅地内に引き込む場合、例えば通路に沿って敷設されている本管の位置に立坑を設け、この立坑から宅地側に向けて掘削ドリルやオーガ等の穿孔装置により横孔を掘削する。この横孔に引込管を挿通し本管に接続する。引込管を接続する場合、引込管は、まず開口した横孔の宅地側端部で掘削ドリル等の先端に連結される。掘削ドリル等を戻すときに同時に引込管を宅地側から道路側へ引張り立坑内へ引き出す。立坑内に引出された引込管は本管に接続される。
【0003】
このように、本管の立坑側から横孔を穿設することにより、宅地と道路間の地表のアスファルトの歩道や、側溝を破壊することなく宅地への配管工事が可能になり工事期間が短縮され作業が効率よくできる。
【0004】
このような横孔を穿設するための従来の横孔掘削装置の掘削ドリルやオーガ等の穿孔手段は、先端の掘削手段用の刃部分の後部に排土用のスクリュウが一体形成されたものである。先端の刃部分はスクリュウと一体的に回転しながら地中を前進する。例えば排土用オーガスクリュウを備えた横孔掘削用の推進装置が特許文献1に記載されている。
【0005】
その特許文献1に記載された装置は、先端の掘削用オーガビットとこれと一体のオーガスクリュウを同時に回転させながら前進するものであり、オーガスクリュウの外周に管部材を設け、この管部材に外接して埋設管を嵌め込み、オーガを前進させながら管部材とともに埋設管を地中に押し込む。
【0006】
このオーガスクリュウは、螺旋状のスクリュウ翼が棒状の中心軸部の外周に一体に形成されたもので、中心軸部とスクリュウ翼は一体に回転する。この中心軸部の先端にオーガビットが固定される。従来のオーガスクリュウは剛体であり、定められた方向に直進する。特許文献1の装置では高さ方向の位置決め手段としてジャッキが用いられるが、一旦位置が定まると途中で方向を変えることはできない。
【0007】
すなわち、従来の横孔掘削装置は、スクリュウが剛体であり、螺旋翼と中心軸部が一体で先端の掘削刃部分と共に全体が一体的に回転する。また、従来のスクリュウは剛体であるため、一定の方向に直進し、途中で曲がって進路を変えることはできない。
【0008】
このため、従来の横孔掘削装置を用いた場合、掘削ドリルやオーガが地中を進行中に先端が既存の埋設管に当たると、方向変更ができないためそのまま前進して埋設管を破壊してしまう。
【0009】
一方、家庭用引込管より幾分径の太いガス、石油、水道等のパイプラインを地中に敷設するに際しては、地上建築物が邪魔となり、埋設管を埋めるための溝や孔を開削できない場合がある。このような場合には、建物などの既設構造物下方の埋設予定部分の近傍に発進用立坑を掘り、立坑内に掘削装置を配置して立坑より地中略水平方向に孔を掘削し、このようにしてできた配管埋設用横孔に埋設管を押込むようにしている。
【0010】
掘削装置は主として、前方の地層を掘削するオーガビットと、オーガビットによって掘削された土(以下、掘削土と呼ぶ)を後方に排出するためのオーガスクリュウと、このオーガスクリュウを回転させる回転手段とにより構成されている。また、このオーガビットに代わるものとしてその先端より高圧水を噴射することにより前方の土を流動化させ、泥状になった掘削土をオーガスクリュウによって後方に排出するボーリング装置も既に知られている。
【0011】
また、掘削装置には、推進始端の拡大部・後方壁に反力板を設け、この中に埋設管を貫通させると共に、埋設管の後端に当てた推進板を、反力板より後方に延びる複数の棒状部材と螺合させ、推進板の移動によって埋設管を地中に推進させる簡易推進装置も提案されている。(例えば前述の特許文献1参照)。
【0012】
ところで、上述したこれらの装置は、その先端のオーガビットや高圧水噴射ノズルを含め、全体が剛体として形成され、その穿孔方向は穿孔開始孔より直線状に延び、途中で曲がることはない。このため、仮に、地中穿孔過程において装置先端部が、掘削困難な障害物(例えば、既に埋設されているパイプライン、屈強な岩盤・石など)に当たるような場合には、穿孔作業を中断して再度新たな掘削経路を模索しなければならず、この場合、それまでの穿孔作業が全く無駄になってしまう。換言すれば、地中穿孔工事は、掘削やボーリングに先立ちその穿孔対象となる地中の内部の配管状況や岩盤等を綿密に調査した上で行わなければならず、ライフライン等が複雑化する昨今ではその調査自体も時間と手間を要し、調査精度自体もおのずと限界がある。
【0013】
【特許文献1】特願平8−165891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような現状に鑑み、装置先端が上記障害物に当たるような場合でも、容易にその穿孔方向を変更でき、もって障害物との干渉を回避可能とした横孔掘削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ほぼ水平に配設された掘削ドリルと、該掘削ドリルの根本側端部に連結された駆動装置とを備えた横孔掘削装置において、前記掘削ドリルは、棒状のロッド本体と、該ロッド本体の外周に該ロッド本体から分離して設けられたスプリングスクリュウからなり、前記ロッド本体は前記スプリングスクリュウとともに弾性的に湾曲可能であり、前記駆動装置は、前記スプリングスクリュウに回転を伝達し、前記ロッド本体への回転伝達を遮断されたスクリュウ回転手段を有することを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ロッド本体は、先端に水噴射ノズルを備えた先頭ロッドと、該先頭ロッドの後端に、掘削長さに応じた本数を着脱可能に連結した所定長の連結ロッドとにより構成され、前記各ロッドは、軸方向に沿って弾性材を介して連結された管部材からなり、前記先頭ロッドは、前記水噴射ノズルを装着したコーン状のヘッドを有し、該ヘッドにヘッド方向を変えるためのワイヤが連結されたことを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ロッド本体の内部に、前記水噴射ノズルに接続するホースと、前記ワイヤが挿通することを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記各ロッドは、外周部に各ロッドに対応した長さのスプリングスクリュウ、内部に各ロッドに対応した長さの前記ホース及びワイヤを有し、前記ロッド本体は、ロッド同士を連結するとともに、前記各ロッドが有するスプリングスクリュウ、ホース、ワイヤを連結して形成されたことを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれかの発明において、前記各ロッドの各管部材は、外周側の上下両側面に軸方向の溝が形成され、隣接する管部材同士を架け渡して前記溝に嵌合する板バネを装着し、該板バネにより、水平配置した各ロッドの上下方向の湾曲を可能にするとともに、隣接する管部材同士のねじれを防止したことを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項2〜5のいずれかの発明において、前記駆動装置は、前記掘削ドリルを水平方向に押圧する移動台と、該移動台上に固定した前記連結ロッドを接続するためのロッド結合管と、該ロッド結合管の外周にベアリングを介して装着された回転板と、該回転板に固定された前記スプリングスクリュウ結合用の連結スクリュウと、前記ワイヤを引張り操作するワイヤ操作装置と、前記モータと前記回転板とを連結する回転伝達手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明は、請求項3〜6のいずれかの発明において、前記ホースに接続された高圧水ポンプを備え、前記水噴射ノズルから噴射された水を泥水溜りに回収し、回収した泥水を複数のフィルタを介して高圧水ポンプから前記水噴射ノズルに再供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、掘削ドリルの中心軸部を形成するロッド本体の外周にロッド本体から分離して弾性を有するスプリングスクリュウが設けられ、ロッド本体及びスプリングスクリュウは共に弾性的に湾曲可能であるため、掘削進行中に既存の埋設管に当たった場合に埋設管の曲面に沿って容易に進路変更でき、埋設管を破壊することがない。又、掘削ドリルの中心軸部であるロッド本体は回転せずその外周のスプリングスクリュウのみが回転して掘削及び排土作用を行うため、非回転のロッド本体内部を通して例えば水噴射用のホースや先頭部の方向変更用のワイヤ等を配設することができコンパクトな構成が得られる。又、消費電力の低減が図られる。
【0023】
請求項2の発明によれば、掘削ドリルの中心軸部を構成するロッド本体は、先頭ロッドとこれに連続する所定長の連結ロッドからなるため、掘削進行中に順次連結ロッドを継ぎ足して狭い立坑内から長い横孔を穿設できる。又、先頭ロッドに備わる水噴射ノズルから高圧水を噴射することにより土質を軟らかくして掘削することができ、掘削負荷抵抗が軽くなる。また、ヘッドに方向を変えるためのワイヤが連結されるため、ワイヤを引張ることによりヘッドを首振り動作させて進路を変更し既存埋設管を避けることができる。
【0024】
請求項3の発明によれば、非回転のロッド本体内部に水噴射用のホースとヘッド方向変更用ワイヤが挿通するため、コンパクトな構成で信頼性の高い機能が得られる。
【0025】
請求項4の発明によれば、先頭ロッド及び連結ロッドは夫々各ロッドに対応した長さのスプリングスクリュウ、ホース及びワイヤを有するため、連結ロッドを継ぎ足す場合、連結ロッド端部の管部材同士と、スプリングスクリュウ同士と、ホース同士と、ワイヤ同士の4つの部材同士を連結することにより確実に連結ロッドを接続してロッド本体を順次長くすることができる。
【0026】
請求項5の発明によれば、管部材の上下両側面に形成された軸方向の溝内に板バネが装着されるため、この板バネによりロッドが上下方向に湾曲可能になって既存埋設管に当たったときに埋設管の上又は下に方向変更して埋設管を越えることができる。又、板バネにより、ロッドのねじれが防止されるため、上下の曲り方向が確実に保たれる。
【0027】
請求項6の発明によれば、掘削ドリルの最後尾の連結ロッドに接続されるロッド結合管の外周にベアリングを介して回転板を装着し、この回転板に連結ロッドのスプリングスクリュウを結合するための連結スクリュウを固定し、該回転板とモータを例えばチェーン等で連結することにより、ロッド結合管を固定したまま外周の連結スクリュウのみを回転駆動することができる。これにより、掘削ドリルのロッド本体を非回転状態で外周のスプリングスクリュウのみを回転することができる。この状態で移動台を押して掘削方向に移動させることにより掘削ドリルが地中を穿孔しながら前進する。この移動台上に先頭ロッドの方向変更用ワイヤの操作装置を載せ、高圧水のホースを高圧水ポンプに接続することにより掘削ドリルの駆動装置を移動台上にコンパクトに形成することができる。
【0028】
請求項7の発明によれば、先頭ロッドの水噴射ノズルから噴射された水は、掘削した土とともに泥水状態で横孔の穿孔開始開口端部に戻り、この泥水は立坑内の泥水溜りに回収される。この泥水は複数のフィルタを通して高圧水ポンプにより再び先頭ロッドの水噴射ノズルに供給され再循環する。これにより、泥水から土塊が除去され、ポンプ機能を劣化させることなく、限られた量の水を効率よく使用して土質を軟化させ掘削効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の実施形態の基本構成図である。
横孔掘削装置1は、ほぼ水平に配置された掘削ドリル2と、この掘削ドリル2の根本側端部に連結された駆動装置3とにより構成される。掘削ドリル2は、棒状のロッド本体4と、このロッド本体4の外周にロッド本体表面から分離して装着されたスプリングスクリュウ5からなる。ロッド本体4は、先端に水噴射ノズル6を備えた先頭ロッド7と、この先頭ロッド7の後端に掘削長さに応じた本数を着脱可能に連結した一定長さの複数の連結ロッド8とにより構成される。
【0030】
各連結ロッド8は、軸方向に沿って複数の(この例では3個ずつの)弾性材9を介して連結された4つの管部材10からなる(図3参照)。
駆動装置3は、移動台11に搭載され、矢印Aのように水平方向に往復可能であり、掘削時に掘削ドリル2を地中に押圧して穿孔する。この駆動装置3は、高圧水ポンプ12と水噴射ノズル6とを接続するためのホース接続手段13と、先頭ロッド7の方向変更用ワイヤの操作手段14と、最後尾の連結ロッド8を接続するロッド連結手段15と、ロッド本体4を回転させることなくスプリングスクリュウ5のみを回転させるスクリュウ回転手段16とを備える。
【0031】
図2は、先頭ロッドの構成図である。
先頭ロッド7は、先端に水噴射ノズル6が装着されたコーン状のヘッド17とその後方に各々弾性材9を介して接続された大径管部材10a、中間管部材10b及び連結用管部材10cとにより構成される。弾性材9はコイルスプリングからなり、両端部が夫々ヘッド17及び管部材10a,10b,10cの端面に溶接して固定される。
【0032】
ヘッド17の端面の上下部分にヘッドの上下首振り動作用の押圧棒18が備わる。押圧棒18の後端部は、大径管部材10a内に設けられたレバー19の一端に連結される。レバー19の他端にワイヤ20が連結される。ワイヤ20の端部に輪20aが形成される。
【0033】
ワイヤ20を後方に引張ることにより、レバー19を介して押圧棒18がヘッド17の上部又は下部を押圧し、ヘッド17を下方又は上方に向ける。レバー19の軸19aの位置に応じたレバー比を適宜設定することにより小さな引張力でヘッド17の向きを変えることができる。ワイヤ20の引張力を解除すれば、弾性材9の弾性復帰力によりヘッド17は中心方向を向く位置に戻る。レバー19に復帰用スプリングを別途設けても良い。
2本の押圧棒18同士は、図示したように、クロスして配設される。このようなクロス配置により、ヘッド17の上下首振り動作による方向変更時に、押圧棒18が管部材の内面に干渉することがなくなり、方向変更動作が支障なくできる。
【0034】
水噴射ノズル6に高圧水供給用のホース21が接続される。ホース21の後端部には連結用のカプラ21aが備わる。
先頭ロッド7の外周にはスプリングスクリュウ5が装着される。先頭ロッド7の内部を挿通して前記ワイヤ20及びホース21が配設される。
【0035】
スプリングスクリュウ5は大径管部材10aの部分で径が拡大している。このように先頭部分のスプリングスクリュウ5を拡径して形成することにより、後部に順次連結ロッド8(図3参照)を継ぎ足して地中を推進させるときに、掘削負荷抵抗はほとんど先頭の拡径部のスプリングスクリュウ5で担持され、後部に順次連結された連結ロッドのスプリングスクリュウ5の掘削負荷抵抗が軽減される。これにより、掘削長さが延びた場合でも、回転動力を上昇させることなくほぼ一定の小さな動力で安定して掘削作業を行うことができる。
【0036】
図3は連結ロッドの構成図である。
連結ロッド8は、両端の連結用管部材10cと2個の中間管部材10bとからなり、管部材10b、10b間及び10b,10c間に前述の先頭ロッド7と同様に弾性材9が溶接固定される。連結ロッド8の外周にスプリングスクリュウ5が装着され、内部に2本のワイヤ20及び1本のホース21が挿通する。連結ロッド8の外形及びその外周のスプリングスクリュウ5の径は、先頭ロッド7(図2)の後端部の管部材10c及びその外周のスプリングスクリュウと同じである。
【0037】
ホース21の一方の端部にカプラ21aが備わる。ホース21の他端部は切放し状態である。切放しのホース21の端部を相手側のカプラに差し込むことによりホース同士が連結される。
このような連結ロッド8を先頭ロッド7に連結する場合及び連結ロッド8同士を連結する場合、2本のワイヤ20と、ホース21と、連結用管部材10cとスプリングスクリュウ5とを夫々連結して連結ロッド8を順次継ぎ足す(図5参照)。
【0038】
図4(A)(B)は連結ロッドの上面図である。
(A)に示すように、連結ロッド8の各管部材10b,10cの上下両面(図は上面のみ)には軸方向の溝22が位置を揃えて形成される。隣接する管部材10c,10b間及び10b,10b同士間を架け渡して溝22内に板バネ23が嵌め込まれる。板バネ23の両端部は夫々ボルト24を介して管部材10b,10cに対してスライド可能に保持される。
【0039】
このような板バネ23を装着することにより、連結ロッド8は上下方向にのみ弾性材9の作用で湾曲可能になる。また、各管部材10b,10c同士のねじれが防止され各管部材の上下方向は常に一定の向きに保たれる。このような板バネ23は先頭ロッド7にも設けられる。
(B)は板バネ23の別の装着構造を示す。この例では、管部材10bの端部上面に円周の一部に沿った円弧溝110を形成する。この円弧溝110に円弧状のカバー材111を装着し、溶接により円弧溝110の底面に固定する。このカバー材111と軸方向の溝22の底面との間の隙間に板バネ23を差し込んで両方の管部材10b間に架渡す。この後、板バネ23の両端から若干距離を隔てた位置の溝22の底面にネジ112を螺着させる。このネジ112が板バネ23の抜け止め用のストッパとなる。
【0040】
図5はロッド同士の連結構造を示す。
(A)はワイヤ20の連結構造を示す。ワイヤ20の両端部に輪20aが形成される。輪20a同士は、コイル状の連結リング25により連結される。
(B)はホース21の連結構造を示す。ホース21の一方の端部に備わるカプラ21aに相手側のホース21’の端部を差込むことにより、両ホース21,21’が連結される。
【0041】
(C)は連結用管部材10c,10c同士の連結構造を示す。一方の管部材10cは雄筒26を有し、相手側の管部材10cに雌筒28が形成される。雄筒26を雌筒28に差込んだ後、円周方向に位置合わせされた状態でネジ孔30を通して1本のボルト(不図示)により両管部材10c同士を固定する。
(D)はスプリングスクリュウ同士の連結構造を示す。連結すべきスプリングスクリュウ5,5の端部の2〜3巻きを相互に重ね合わせ、予め形成してある孔31を通してコイルスプリング32を介してリベットボルト33を押し込む。リベットボルト33の端部が反対側に突出したら、その端部に設けてある孔(不図示)にクリップピン34を挿入して、スプリングスクリュウ5,5同士を固定する。このようなリベットボルト33は例えば3ヶ所に設けられる。
【0042】
以上の(A)〜(D)のように4つの部材を連結することにより、連結ロッド8が順次継ぎ足される。なお、連結部材は図示した例に限らず、他の適当な方法で連結しても良い。
【0043】
図6は駆動装置の構成図である。
掘削ドリル2(図1参照)の最後尾の連結ロッド8及びスプリングスクリュウ5に駆動装置が連結される。連結ロッド8のワイヤ20、ホース21、管部材10c及びスプリングスクリュウ5の連結構造は、前述の図5(A)〜(D)の連結構造と同じである。
【0044】
駆動装置3は、移動台11上に搭載される。移動台11は、ガイドレール35上で矢印Aのように水平に往復移動する。例えばガイドレール35にラックギヤを形成し、これに噛み合うピニオンギヤを移動台11に設けて移動台11が往復動作するように構成しても良い。
【0045】
移動台11上に支持枠36が固定され、この支持枠36にロッド結合管37がボルト38により固定される。ロッド結合管37は、前述の連結用管部材10cと同様の構造で軸方向の長さを長くしたものである。このロッド連結管37に最後尾連結ロッド8の管部材10cが連結固定される。
連結ロッド8内を挿通する2本のワイヤ20は、それぞれ図5(A)の連結構造を介して操作レバー39aを有するワイヤ操作具39に連結される。操作レバー39aの操作により2本のうち一方のワイヤ20を引張って先頭ロッド7のヘッド17(図2)の上下の向きを変える。
【0046】
連結ロッド8のホース21の端部に設けられたカプラ21aに、高圧水ポンプ12に接続されたホース40が連結される。
ロッド結合管37の外周にベアリング41を介して回転板42が装着される。回転板42に結合用スクリュウ43が固定される。この結合用スクリュウ43にスプリングスクリュウ5の後端部が図5(D)の連結構造を介して連結される。
【0047】
移動台11上にモータ45が設置される。このモータ45の出力軸に連結して駆動スプロケット44が設けられる。回転板42の外周に被駆動スプロケット45が設けられる。駆動スプロケット44と被駆動スプロケット45はチェーン等の回転駆動伝達手段47を介して連結される。なお、図ではスプロケット44,45同士が位置ずれして描いてあるが、実際には同じ位置に配設され、チェーンが架け渡される。
【0048】
モータ45が回転すると、チェーンで連結されたスプロケット44,45を介して回転板42が回転する。ロッド結合管37に対してはこの回転力はベアリング41により遮断され、ロッド結合管37は回転力を受けない。これにより回転板42に連結されたスプリングスクリュウ5のみが回転し、連結ロッド8は回転しない。
【0049】
以下、図面を参照して、本発明に係る横孔掘削装置の実施形態を更に説明する。図7は本発明の横孔掘削装置を穿孔対象となる工事現場に配置した実施形態の説明図である。
【0050】
歩道Sを隔てて宅地用ピットHPと道路側ピットRPが地面鉛直方向に掘削される。歩道Sには、例えばU字型側溝UGや路肩L字型側溝LGが地表に露出して設けられている。本発明に係る横孔掘削装置51は、駆動装置52が道路側ピットRPの底PBに配置され、ピット底PBには更に、穿孔された孔(後述する)より排出される泥水を一時貯水するための泥水溜り53が設けられる。Aは車道である。駆動装置52は、この道路側ピットPRより歩道Sを隔てて宅地用ピットHPへと伸びる孔を形成するために道路側ピットPRに配置されるものである。
【0051】
駆動装置52は、ギヤ付きレール54(図6のガイドレール35)の上に水平方向に移動可能に設置され、ギヤ付きレール54は道路側ピットRPの底PBに対し位置決め手段(例えば、ジャッキ等)55を介して載置される。駆動装置52は、ギヤ付きレール54のラックギヤ56と噛合するギヤ付車輪(ピニオン)57を備えた台車58と、台車58上に載置されたモータ(回転手段)59と、台車58をギヤ付きレール54に沿って水平方向に移動するため作業者によって回転されるハンドル61とを有する。駆動装置52はさらに、モータ59の先端部に掘削ドリル62を備える。
【0052】
掘削ドリル62は、その先端側に位置するパイプ状の先頭ロッド63と、先頭ロッド63の後端に接続されるパイプ状の連結ロッド64と、これらロッド63、64を螺旋状に巻回するように形成されたスプリングスクリュウ65とから構成される。連結ロッド64の後端は、駆動装置52に固定される。連結ロッド64及びスプリングスクリュウ65は、前述のように穿孔工事の進行に伴って順次、継ぎ足される。
【0053】
図示するように、先頭ロッド63はその先端側が円錐形のコーン状となっており、その周囲に位置するスプリングスクリュウ65(部分)もロッド63の外径に倣って、先端側に向かって徐々に縮径する。また、先頭ロッド63はその先端に高圧水噴射ノズル67を備えており、ノズル67先端から前方に高圧水を噴射する。
【0054】
高圧水は、例えば路上等に設置されたジェット噴射装置68からホース69を介してノズル67に供給される。ホース69は、駆動装置52の内部を通り、さらにロッド63、64内部を通って噴射ノズル67に接続される。
【0055】
本装置51による穿孔作動に伴い、形成中の孔より排出される泥水を回収する泥水溜り53には、小型の水中ポンプ70が設置される。泥水をろ過するため水中ポンプ70にはフィルタ付き取水口71が設けられる。ポンプ70によってろ過された泥水はホース72を介して、路上に設置された貯水タンク73に供給される。尚、ホース72の先端(貯水タンク73側)に、さらにフィルタ74が設けられる。このようにして回収された水は、更に、貯水タンク73よりジェット噴射装置68へホース75を介して、ジェット噴射装置68に供給される。給水ホース75の入口にも泥水をろ過するためのフィルタ76が設けられる。このように本発明の掘削装置1は、噴射ノズル67から噴射された高圧水を回収してジェット噴射装置68に供給し、再度ノズル67に供給する水循環方式を採用している。これにより、掘削装置1の作動に伴う水の消費量を少なくすることができる。以上が、本発明による掘削装置1の構成である。尚、図7において、77は穿孔作業に先立ち、先頭ロッド63を地中へ円滑に導くためのロッド導入管、78はロッド導入管77の端部フランジ77aを道路側ピットRPの側壁に固定する固定ピンである。
【0056】
掘削ドリル62の具体的構造を以下、説明する。図8は、掘削ドリル62よりスプリングスクリュウ65を除いた先頭ロッド63及び連結ロッド64の外観図であって、本図は1本の先頭ロッド63と、これに連続して直列接続される2本の連結ロッド64を示している。しかしながら、前述したように連結ロッド64は、それ自体穿孔長さに応じて次々と接続されるものであり、その数は本発明の特徴として限定されるものではない。
【0057】
先頭ロッド63及び連結ロッド64は共に、複数の管部材80と、管部材80間に介装された複数の弾性材81とから構成される。各弾性材81は、その軸方向両端が管部材80の端面に溶接される。さらに弾性材81を挟んで隣接する2つの管部材80同士は、板バネ(図4の板バネ23)を介して連結される。前述のようにこの板バネは、弾性材81の捩れを防止するために、また各ロッド63、64の横方向(図面に対し垂直方向)曲りを防止するために、弾性材81を介した管部材80同士の接続部1つにつき、管部材直径方向に対向して上下に2つ設けられる。
【0058】
図9は、ロッド63、64における板バネ82の装着部を拡大し、その上方から見た図である。コイルスプリングからなる弾性材81を挟む2つの管部材80には、その外周面83上を管部材の長手方向に沿って延びる、板バネ82収納のための溝84が形成される。また、溝84の底部84aには、後述するボルト受け入れのためのねじ孔(不図示)が端面85より適当な距離をおいて形成される。他方、板バネ82には、その両端部近傍にボルト挿通用長孔86が形成される。管部材80への板バネ固定のため、ボルト87が板バネ82のボルト挿通用長孔86を介して、管部材80のねじ穴にねじ込まれる。ボルト87の頭部と板バネ82との間に、ワッシャ88が挟み込まれる。板バネ82にボルト挿通用長孔86を設けたこと、及びワッシャ88を介在させた状態で板バネ82を管部材80に固定したことにより、板バネ82は、管部材80の溝84内で管軸方向に若干のスライドが可能となり、これにより弾性材81を介した管部材80同士の接続部は、弾性材81と板バネ82の弾性をもって、図10の(a)、(b)に示すように矢印A,B方向に撓むことが可能となる。
なお、板バネ保持構造は、図9の例に限らず、前述の図4(B)のように、板バネ23の上から円弧状のカバー材111で覆って、板バネを溝22内でスライド可能に保持してもよい。
【0059】
図11は、連結ロッド64と、これより前方の先頭ロッド63(又は、先行する連結ロッド64)の接続部89を示す断面図である。連結ロッド64の先端の管部材80aには、その端部に管外径よりも小さい径の縮径部90が形成される。連結ロッド64と先頭ロッド63の接続、或いは連結ロッド64同士の接続にあたっては、この縮径部90を、先頭ロッド63(又は先行する連結ロッド64)の最後端に位置する管部材80bの内周面91に形成された拡径部92に挿入し、さらに拡径部92に形成された孔93にボルト94を挿入し、連結ロッド64の縮径部90の外周面95に押圧又は螺着する。これにより、1本のボルト94を用いて、両管部材80a,80b同士を円周方向に位置合せするとともに確実に結合できる。尚、図11において97は、連結ロッド64の縮径部90に形成されるネジ孔である。
【0060】
図12は、スプリングスクリュウ65の先端部分を示している。本実施形態では、スプリングスクリュウ65は、ロッド63、64毎に分割され、最終的にはこれらを直列状に接続してなる。スプリングスクリュウ65は、先頭ロッド63の周囲を螺旋状に巻回する先頭部分105と、後続の連結ロッド64に対応しその周囲を螺旋状に巻回する1つ又はそれ以上の後続連結部分106とによって構成される。先頭部分105は、先頭ロッド64の外形に倣い、その先端より後方に向かって徐々に拡径し大径管部材98の周囲で最大となり、ここから管部材80の周囲に向けて徐々に縮径する。他方、後続の連結部分106は、連結ロッド64の最前方に位置する管部材80a(図8参照)から最後方の管部材80bにかけてその周囲を包囲するように螺旋状に延び、ロッド64の外径に倣って略一定の外径を有して形成される。先頭部分105と後続の連結部分106は、前述の図5(D)で説明したように、双方の重ね合せ部分に周方向に形成された複数の孔(不図示)にボルト107を挿入固定することにより連結される。尚、図12には示されないが、後続の連結部分106同士の連結も又、上記接続と同様にボルト(不図示)を用いて行われる。なお、ボルトを用いずに、前述の図5(D)クリップピンの差込みによる連結構造を用いれば、短時間で容易に連結作業ができる。
【0061】
前述したように、スプリングスクリュウ65は、その最後尾となる連結部分106の最後端が、駆動装置52の出力側(例えば、回転盤)に接続され、モータ59の駆動によりスプリングスクリュウ65全体がロッド63、64周囲で回転する。スプリングスクリュウ65は、高圧水噴射ノズル67からの高圧水によって軟化された土(泥)を掘削するとともに掘削土をスクリュ自体の回転によってロッド63、64の後方に運搬する。
【0062】
また、スプリングスクリュウの断面は、図13に示すようにスクリュウ軸方向端面108a、108bが扁平化し、スクリュウ軸方向の厚さ寸法aより径方向幅寸法bが大きくなるように形成される。これは、スプリングスクリュウ65による掘削土の搬送機能を向上させる目的によるものである。先頭ロッド63のヘッド99の外周のスプリングスクリュウ65には、その外周部分に鋸歯状の刻みを設けても良い。これにより掘削力が高まる。
【0063】
以上のように構成される掘削装置51の使用方法を、図7を参照して以下説明する。
まず、駆動装置52を道路側ピットRPの底PBに設置した状態において、ロッド導入管77を穿孔対象となる道路側ピットRPの側壁に装着する。作業者(不図示)は、ロッド導入管77の入口に対し、駆動装置52の掘削ドリル62の先端を合わせ、ハンドル61を操作して台車58をピットRPの側壁に向けて前進させる。これにより、掘削ドリル62の先端はロッド導入管77内に挿入され、未穿孔の土に当たる。このような状態で、作業者は台車58上に載置されたモータ59とジェット噴射装置68を駆動開始させる。この結果、先頭ロッド63のノズル77から高圧水が勢いよく噴射され、前方の土が軟化し、スプリングスクリュウ65で掘削される。掘削された土は高圧水と混合し、流状化(泥化)する。そして流状化した土は、スプリングスクリュウ65によってロッド導入管77内部からの入口側へと運搬され、最終的にはロッド導入管77の入口から落下して、下方に配置された泥水溜り53に溜められる。泥水溜り53に溜められた泥水は、泥水溜り53に設置されたポンプ70を作動することによりろ過され、その後は前述したように、ホース72、貯水タンク73、ホース75を経てジェット噴射装置68に供給され、再利用される。
【0064】
作業者は再びハンドル61を操作して台車58をさらに前進させる。ノズル67からの高圧水の噴射は続行され、軟化した地中をスプリングスクリュウ65が掘削しながら前進する。掘削土はスプリングスクリュウ65により掘削穴から除去される。このようにして台車58がレール54上を前進し、レール前端近傍に位置するようになったら、ここで作業者は、駆動装置52の作動(即ち、ノズル67からの高圧水噴射とスプリングスクリュウ65の回転)を一時中断し、ハンドル61を操作して台車58を元の位置に戻した後、掘削ドリル62を一旦駆動装置52から取り外す。尚、この際、前述したワイヤW及びホース69も一時、駆動装置52側から切り離される。次に新たな連結ロッド64と、これに対応するスプリングスクリュウ65を用意し、これらを先行する連結ロッド64とスプリングスクリュウ65の各後端に接続すると共に、新たなワイヤW及びホース69も先行するワイヤW及びホース69に接続し、これら継ぎ足された各部材の後端を、前述の図6で説明したように駆動装置側に接続する。これにより、掘削ドリル62は継ぎ足された1本の連結ロッド64分だけ全長を増し、それだけロッド導入管77を通して地中を奥深く進行できることになる。穿孔作業は、以上のような工程を繰り返すことで、掘削ドリル62の全長を順次増加させながらその先端を地中水平方向に推進させ、最終的に目的地点までの配管用通路を形成するものである。また、この穿孔過程において掘削ドリル先端が、更なる直進を妨げるような既設配管や障害物等に当たった場合には、ワイヤ操作具103を操作してヘッド99を上・下いずれかの方向に傾斜させる。これにより、掘削ドリル62の先端部は、障害物との衝突を回避して推進方向を変えることができ、またロッド63、64も、隣接する管部材80の間に弾性材81を有するため、ヘッド99に追随して、その進行方向を変えることが可能となる。加えて、本実施形態の掘削ドリル62は、先端部が仮に障害物に当たらずとも、意図的にワイヤ操作具103を操作することで、ヘッド99の推進方向を上下方向に変えることができ、例えば図7に示すように、ヘッド99先端が宅地用ピットHP近傍まで来た状態において、その推進方向を上向きに変え、目的とする宅地用ピットHPと開通させることができる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、先頭ロッド63及び後続の連結ロッド64及びこれらの周囲のスプリングスクリュウ65は可撓性を有して形成されるために、既設配管等に当たったときに、自動的に又は作業現場側からの遠隔操作によって先頭ロッド63の推進方向を変えることができ、これまでの直進穿孔工事の障害となっていた既設配管の破壊や障害物による工事中断、やり直しといった問題を回避できる。また、本実施形態による掘削装置は掘削のために一度使用した水を再度利用するため、コストや環境上にも有利である。更に、先頭ロッド63の部分に最大径の管部材96を有するため、後続の連結ロッド64の移動が円滑であり、作業者による台車58の移動の負担及びスプリングスクリュウ65の抵抗が軽いという利点がある。
【0066】
尚、図示した実施形態では、台車58の移動や先頭ロッド63の方向変更は全て人力によるものであったが、その他の駆動手段(例えば、モータやアクチュエータ)によってなされるようにしても良い。また本実施形態では、噴射された高圧水をろ過して再度使用する、所謂水循環式の穿孔装置であったが、環境上問題がない限りにおいて、一旦掘削に使用した水をそのまま廃棄するようにしても良い。また、本実施形態では、土質軟化用高圧水を使用したが、水以外の流体を使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、宅地への引込管用の横孔掘削装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による実施形態の基本構成図。
【図2】先頭ロッドの構成図。
【図3】連結ロッドの構成図。
【図4】連結ロッドの上面図。
【図5】掘削ドリル構成部材の連結構造図。
【図6】駆動装置の構成図。
【図7】本発明による横孔掘削装置を掘削工事現場に設置した概略図。
【図8】本発明に係る先頭ロッドおよび連結ロッドの外観図。
【図9】図8に示す管部材同士の接続部を拡大して示す外観図。
【図10】図8に示す連結ロッドの湾曲状態を示す説明図。
【図11】図8に示す先頭ロッドと連結ロッドの接続部を示す断面図。
【図12】本発明のスプリングスクリュウの部分的外観図。
【図13】図12に示すスプリングスクリュウの断面図。
【符号の説明】
【0069】
1:横孔掘削装置、2:掘削ドリル、3:駆動装置、4:ロッド本体:5:スプリングスクリュウ、6:水噴射ノズル、7::先頭ロッド、8:連結ロッド、9:弾性材、10:管部材、10a:大径管部材、10b:中間管部材、10c:連結用管部材、11:移動台、12:高圧水ポンプ、17:ヘッド、18:押圧棒、19:レバー、20:ワイヤ、20a:輪、21:ホース、21a:カプラ、22:溝、23:板バネ、24:ボルト、25:連結リング、26:雄筒、17:突起、28:雌筒、29:凹部、30:孔、31:孔、32:コイルスプリング、33:リベットボルト、34:クリックピン、35:ガイドレール、36:支持棒、37:ロッド結合管、38:ボルト、39:ワイヤ操作具、39a:操作レバー、40:ホース、41:ベアリング、42:回転板、43:結合用スクリュウ、44:駆動スプロケット、45:被駆動スプロケット、47:回転伝達手段、51:横孔掘削装置、52:駆動装置本体、53:泥水溜り、54:ギヤ付きレール(運搬手段)、55:ジャッキ、56:ラックギヤ、57:ギヤ付車輪、58:台車、59:モータ、61:ハンドル、62:掘削ドリル、63:先頭ロッド、64:連結ロッド、65:スプリングスクリュウ、67:高圧水噴射ノズル、68:ジェット噴射装置、69:ホース、70:水中ポンプ、71:フィルタ付き取水口、72:ホース、73:貯水タンク、74:フィルタ、75:ホース、76:フィルタ、77:ロッド導入管、78:ピン、80,80a,80b:管部材、81:弾性材、82:板バネ、83:外周面、84:溝、85:端面、86:ボルト挿通用長孔、87:ボルト、88:ワッシャ、89:接続部、90:縮径部、91:内周面、92:拡径部、93:孔、94:ボルト、95:縮径部外周面、97:ネジ孔、98:大径管部材、99:ヘッド、103:ワイヤ操作具、107:ボルト、108a,108b:軸方向端面、S:歩道、HP:宅地用ピット、RP:道路側ピット、UG:U字型側溝、LG:L字型側溝、PB:ピット底、W:ワイヤ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ水平に配設された掘削ドリルと、該掘削ドリルの根本側端部に連結された駆動装置とを備えた横孔掘削装置において、
前記掘削ドリルは、棒状のロッド本体と、該ロッド本体の外周に該ロッド本体から分離して設けられたスプリングスクリュウからなり、
前記ロッド本体は前記スプリングスクリュウとともに弾性的に湾曲可能であり、
前記駆動装置は、前記スプリングスクリュウに回転を伝達し、前記ロッド本体への回転伝達を遮断されたスクリュウ回転手段を有することを特徴とする横孔掘削装置。
【請求項2】
前記ロッド本体は、先端に水噴射ノズルを備えた先頭ロッドと、該先頭ロッドの後端に、掘削長さに応じた本数を着脱可能に連結した所定長の連結ロッドとにより構成され、前記各ロッドは、軸方向に沿って弾性材を介して連結された管部材からなり、前記先頭ロッドは、前記水噴射ノズルを装着したコーン状のヘッドを有し、該ヘッドにヘッド方向を変えるためのワイヤが連結されたことを特徴とする請求項1に記載の横孔掘削装置。
【請求項3】
前記ロッド本体の内部に、前記水噴射ノズルに接続するホースと、前記ワイヤが挿通することを特徴とする請求項2に記載の横孔掘削装置。
【請求項4】
前記各ロッドは、外周部に各ロッドに対応した長さのスプリングスクリュウ、内部に各ロッドに対応した長さの前記ホース及びワイヤを有し、前記ロッド本体は、ロッド同士を連結するとともに、前記各ロッドが有するスプリングスクリュウ、ホース、ワイヤを連結して形成されたことを特徴とする請求項3に記載の横孔掘削装置。
【請求項5】
前記各ロッドの各管部材は、外周側の上下両側面に軸方向の溝が形成され、隣接する管部材同士を架け渡して前記溝に嵌合する板バネを装着し、該板バネにより、水平配置した各ロッドの上下方向の湾曲を可能にするとともに、隣接する管部材同士のねじれを防止したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の横孔掘削装置。
【請求項6】
前記駆動装置は、前記掘削ドリルを水平方向に押圧する移動台と、該移動台上に固定した前記連結ロッドを接続するためのロッド結合管と、該ロッド結合管の外周にベアリングを介して装着された回転板と、該回転板に固定された前記スプリングスクリュウ結合用の連結スクリュウと、前記ワイヤを引張り操作するワイヤ操作装置と、前記モータと前記回転板とを連結する回転伝達手段とを備えたことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の横孔掘削装置。
【請求項7】
前記ホースに接続された高圧水ポンプを備え、前記水噴射ノズルから噴射された水を泥水溜りに回収し、回収した泥水を複数のフィルタを介して前記高圧水ポンプに戻し、該高圧水ポンプから前記水噴射ノズルに再供給することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の横孔掘削装置。
【請求項1】
ほぼ水平に配設された掘削ドリルと、該掘削ドリルの根本側端部に連結された駆動装置とを備えた横孔掘削装置において、
前記掘削ドリルは、棒状のロッド本体と、該ロッド本体の外周に該ロッド本体から分離して設けられたスプリングスクリュウからなり、
前記ロッド本体は前記スプリングスクリュウとともに弾性的に湾曲可能であり、
前記駆動装置は、前記スプリングスクリュウに回転を伝達し、前記ロッド本体への回転伝達を遮断されたスクリュウ回転手段を有することを特徴とする横孔掘削装置。
【請求項2】
前記ロッド本体は、先端に水噴射ノズルを備えた先頭ロッドと、該先頭ロッドの後端に、掘削長さに応じた本数を着脱可能に連結した所定長の連結ロッドとにより構成され、前記各ロッドは、軸方向に沿って弾性材を介して連結された管部材からなり、前記先頭ロッドは、前記水噴射ノズルを装着したコーン状のヘッドを有し、該ヘッドにヘッド方向を変えるためのワイヤが連結されたことを特徴とする請求項1に記載の横孔掘削装置。
【請求項3】
前記ロッド本体の内部に、前記水噴射ノズルに接続するホースと、前記ワイヤが挿通することを特徴とする請求項2に記載の横孔掘削装置。
【請求項4】
前記各ロッドは、外周部に各ロッドに対応した長さのスプリングスクリュウ、内部に各ロッドに対応した長さの前記ホース及びワイヤを有し、前記ロッド本体は、ロッド同士を連結するとともに、前記各ロッドが有するスプリングスクリュウ、ホース、ワイヤを連結して形成されたことを特徴とする請求項3に記載の横孔掘削装置。
【請求項5】
前記各ロッドの各管部材は、外周側の上下両側面に軸方向の溝が形成され、隣接する管部材同士を架け渡して前記溝に嵌合する板バネを装着し、該板バネにより、水平配置した各ロッドの上下方向の湾曲を可能にするとともに、隣接する管部材同士のねじれを防止したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の横孔掘削装置。
【請求項6】
前記駆動装置は、前記掘削ドリルを水平方向に押圧する移動台と、該移動台上に固定した前記連結ロッドを接続するためのロッド結合管と、該ロッド結合管の外周にベアリングを介して装着された回転板と、該回転板に固定された前記スプリングスクリュウ結合用の連結スクリュウと、前記ワイヤを引張り操作するワイヤ操作装置と、前記モータと前記回転板とを連結する回転伝達手段とを備えたことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の横孔掘削装置。
【請求項7】
前記ホースに接続された高圧水ポンプを備え、前記水噴射ノズルから噴射された水を泥水溜りに回収し、回収した泥水を複数のフィルタを介して前記高圧水ポンプに戻し、該高圧水ポンプから前記水噴射ノズルに再供給することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の横孔掘削装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図4】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−336318(P2006−336318A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162729(P2005−162729)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(502426577)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(502426577)
【Fターム(参考)】
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