説明

横架材の支持構造

【課題】横架材に対して局所的な荷重が掛かることを有効に回避する横架材の支持構造を提供する。
【解決手段】横架材2の支持構造A、具体的には端部脚31が横架材2を支持する支持構造Aは、端面2aに凹部23を有する横架材2と、脚本体33及び当該脚本体33の上部に剛結し前記凹部23に挿入し得る挿入凸部34並びに前記横架材2の端面2aに取り付け得る取付面部35を有する脚体3と、前記凹部23及び前記挿入凸部34とを挿入方向に緊締する緊締機構Xとを少なくとも具備していることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板などを取り付けている横架材を支持する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天板付家具等において、天板を支持している横架材を脚体によって下方から支持するが種々提案されている。
【0003】
具体的には、横架材の長手方向両端部を下方から脚体によって支持することにより、脚体を上方から圧縮する方向に横架材の荷重が加わることにより、脚体がより大きな荷重に耐え得る構成としているものがあげられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−159713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献に記載したようなものであると、横架材の両端下側面に横架材並びに横架材が支持している天板等の荷重が局所的に集中してしまうため、横架材の両端部分の強度を他の箇所よりも、例えば厚みを厚くするか、格別の部材によって補強しなければならない。そうなると、必然的に横架材の重量がより嵩むものとなったり、横架材を構成する部品点数の増大を招来する事となったりしてしまう。
【0005】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、横架材に対して局所的な荷重が掛かることを有効に回避する横架材の支持構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係る横架材の支持構造は、端面に凹部を有する横架材と、脚本体及び当該脚本体の上部に剛結し前記凹部に挿入し得る挿入凸部並びに前記横架材の端面に取り付け得る取付面を有する脚体と、前記凹部及び前記挿入凸部とを挿入方向に緊締する緊締機構とを少なくとも具備していることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、横架材を端面から支持する構造とすることにより横架材の荷重が横架材の下方に局所的に集中してしまうことを有効に回避することができる。そして脚体は横架材の荷重を脚本体の上部から受けることとなるため、横架材の荷重を好適に受けることができる。結果として、より大きな荷重に耐えうる横架材の支持構造を実現することができる。
【0008】
横架材を脚体に正確に位置付ける手順を有効に回避するとともに横架材を脚体に正確に位置付けるためには、緊締機構による緊締動作に応じて前記横架材の位置決めを行なう位置決め手段を、さらに有するものとすることが望ましい。
【0009】
位置決め手段を設ける為の好適な一態様として、位置決め手段を脚体に設けたものとし、緊締動作に応じて横架材を案内する案内面を有するものを挙げることができる。
【0010】
そして、緊締動作を速やかに行ない得るものとするとともに正確な位置決めを行ない得るものとするためには、案内面を、緊締動作における終端位置近辺に設けることが好ましい。
【0011】
そして、より正確な位置決めを行なうためには、位置決め手段を、横架材の上下方向の位置決めを行なう上下位置決め手段と、横方向の位置決めを行なう横位置決め手段とを設けることが好ましい。
【0012】
上下位置決め手段の具体的な態様としては、前記脚本体の上端に設けた突起を挙げることができ、横位置決め手段の具体的な態様として挿入凸部に設けたものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、横架材の荷重が横架材の下方に局所的に集中してしまうことを有効に回避することができるとともに、横架材の荷重を好適に受けることができる。その結果として、より大きな荷重に耐えうる横架材の支持構造を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態に係るデスク1は、図1及び図2に示めされるものである。
【0016】
このデスク1は、図1に示すように、水平方向に延伸する横架材22を長手方向に複数連結しているものであって、複数の横架材2の端部を支持する端部脚31と、連結部に設けた中間脚32とからなる脚体3を有するものとしている。また、端部脚には端脚羽根61を、中間脚には中脚羽根62をそれぞれ一対取り付けている。さらに、複数連結した横架材2に沿ってスライド移動自在に支持されたブラケット4と、ブラケット4に一端部を支持させた可動天板5と、横架材2に沿ってスライド移動不能に支持された天板固定支持体4Xと、天板固定支持体4Xに一端部を支持させた固定天板5Xとを備えたものとしている。また本実施形態では図1に示すように、横架材2に沿ってスライド移動自在に支持されたオプション可動支持体に支持させたデスクトップパネルOPを取り付けることも可能である。また、本実施形態では横架材2を2台連設して形成した態様を示すものであるが、横架材2を一本のみでデスク1を構成したり、三本以上の横架材2をそれぞれ連結してデスク1を構成したりしてもよい。
【0017】
ここで本実施形態に係る横架材2の支持構造A(以下支持構造Aと記す)A、具体的には端部脚31が横架材2を支持する支持構造Aは、端面2aに凹部23を有する横架材2と、後述する脚本体たる端部脚本体33及び当該端部脚本体33の上部に剛結し凹部23に挿入し得る後述する挿入凸部34並びに横架材2の端面2aに取り付け得る後述する取付面部35を有する脚体3と、凹部23及び挿入凸部34とを挿入方向に緊締する後述する緊締機構Xとを少なくとも具備していることを特徴とするものである。
【0018】
以下、斯かる支持構造Aについて、横架材2並びに端部脚31の構成とともに説明する。
【0019】
横架材2は、図1及び図3に示すように上レール部21と、側レール部22と、端面2a設けた凹部23とを有している。
【0020】
上レール部21は、図1及び図3に示すように、オプション部材OPをスライド移動可能に支持するためのものであり、本実施形態では、4本の溝にそれぞれ別々のオプション部材OPを溝に沿ってスライド移動可能に取り付け得るものとなっており、複数の溝にそれぞれ取り付けたそれぞれのオプション部材OPは、例えば互いに引き違い可能にスライド移動させる事も可能である。
【0021】
側レール部22は、可動天板5を支持するブラケット4及び固定天板5Xを支持する天板固定支持体4Xを取り付けるためのものである。
【0022】
凹部23は、上内側面部24と下内側面部25と、ねじ止め部26とを有している。上内側面部24及び下内側面部25は、それぞれ横架材2の内面においてそれぞれ異なる所定寸法として図示する距離a、bだけそれぞれ離間させて対面させた立面によって構成されている。そして、後述する挿入凸部34に接することにより、端部脚31に対する位置決めを行ない得るように設定することで、後述する横位置決め手段Y1を構成するものである。ねじ止め部26は、後述する横位置決め手段Y1をそれぞれ構成するものであり、具体的には、横架材2の内方に設けた4箇所のリブの内面を雌ねじ加工することによって構成している。
【0023】
端部脚31は、図3及び図4に示すように、端部脚本体33と、挿入凸部34と、取付面部35とを有している。
【0024】
端部脚本体33は、図3及び図4に示すように、支持面部331と、位置決め突起332とを主に有している支持面部331は上方に取付面部35及び挿入凸部34とを例えば溶接といった剛結によって取り付け、支持しているものである。位置決め突起332は、本実施形態に係る上下位置決め手段Y2を構成するものであり、支持面部331における支持面部331近傍に取り付けられた円錐台形状の突起である。そして当該円錐台形状における側傾斜面を案内面332aとしている。
【0025】
挿入凸部34は、図3及び図4に示すように、起立板部341と、突出部342とを主に有している。起立板部341は、コの字状に折曲げた板金を主体としているものであり、支持面部331によって下方を、取付面部35によって側方を例えば溶接によって剛結されてなるものである。そして、上端部の一部を水平に折曲げることにより、上端片341aを形成するとともに、上端片341aの先端の端面を、取付け面部に向かって幅広となるようにテーパ状に形成した案内面341bとし、取付面部35における上段片の幅寸法を、上記上内側面部24における立面の離間寸法と同じ寸法aに設定している。突出部342は、起立板部341の上下方向略中央から側方へ突出するものであり、起立板部341並びに取付面部35に例えば溶接により剛結されてなるものである。そして、取付面部35との接合箇所における上下方向略中央には、幅方向に部分的に膨出する膨出部342aを形成している。そして膨出部342aの表面を案内面342bとしている。ここで膨出部342a間の最も幅広な箇所における幅寸法は、上記下内側面部25における立面の離間寸法と同じ寸法bに設定している。また図4に示すように、突出部342の先端付近には2つのナットが溶接されたナット穴が形成されている。当該ナット穴は、緊締機構Xによる緊締動作の後、横架材2に対して上下方向にねじ止めし得るものとなっている。
【0026】
取付面部35は、図3及び図4に示すように、取付面部35の主体をなす取付面板351と、取付面板351に形成されたボルト挿通孔352とを主に有している。取付面板351は、支持面部331から立ち上がるとともに挿入凹部23に対して剛結されることにより、端部脚31に対して強固に剛結されたものとなっている。
【0027】
また端部脚本体33は、図3及び図4に示すように、当該端部脚本体33の幅方向中央において、下端から上端付近まで上下方向に連通する連通溝333と、当該連通溝333に着脱可能に取り付け得る、想像線で示す断面コの字状の主配線樋334と上部配線樋335とをさらに有している。他方、端部脚本体33の上端部両端付近には、図示しない配線ダクトを取り付け得るダクト取付穴336を形成している。そして、例えば下方から導かれた配線を前記配線ダクトへ導入しようとする場合には、配線連通溝333に主配線樋334並びに上部配線樋335をそれぞれ取り外した状態とし、配線を連通溝333内に好適に収容するとともに、主配線樋334のみを取り付ける事により配線挿通空間Sに配線を好適に収容して、取り外した状態となっている上部配線樋335の取付部分から配線を前記配線ダクトへ導入する態様となっている。
【0028】
そして緊締機構Xは、図3に示すように、ボルトBと、ボルト挿通孔352と、ねじ止め部26とによって構成されている。すなわち、ボルト挿通孔352を通過させてねじ止め部26にねじ止めする緊締動作によって端部脚31に対して横架材2を確実に緊締し得るものとなっている。
【0029】
しかして、本実施形態に係る支持構造Aは、緊締機構Xによる緊締動作に応じて前記横架材2の位置決めを行なう位置決め手段である横位置決め手段Y1及び上下位置決め手段Y2を、さらに有するものとしている。
【0030】
以下、斯かる位置決め手段並びに緊締動作における当該位置決め手段について詳述する。
【0031】
位置決め手段は、本実施形態では、横方向の位置決めを行なう横位置決め手段Y1と上下位置決め手段Y2とによって構成している。
【0032】
そして、それぞれの案内面332a、案内面341b、案内面342bは、図4及び図5に示すように、取付面部35近傍、すなわち緊締機構Xによる緊締動作における終端位置近辺に設けたものとしている。そうすることにより、図5(a)に示すように、緊締動作における殆どの動作範囲において、案内面332a、案内面341b、案内面342bと横架材2とが接することがないため、横架材2と端部脚31が強く擦れることなく緊締動作を進めることができる。そして、同図(b)に示すように、緊締動作の終端付近において、案内面332a、案内面341b、案内面342bがそれぞれ横架材2の対応箇所に接し、緊締動作終了時には、同図(c)に示すように、横位置決め手段Y1及び上下位置決め手段Y2により正確に位置決めがなされた状態で、正確に取り付けられることとなる。
【0033】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る支持構造Aによれば、横架材2を端面2aから支持する構造とすることにより横架材2の荷重が横架材2の下方に局所的に集中してしまうことを有効に回避することができる。そして脚体3は横架材2の荷重を脚本体33の上部から受けることとなるため、横架材2の荷重を好適に受けることができる。結果として、より大きな荷重に耐え得る横架材2の支持構造Aを実現することができる。
【0034】
特に斯かる支持構造Aによって横架材2を強固に支持しているため、同実施形態のように2本の横架材2の一端を斯かる支持構造Aによって支持したものであれば、例えば図1に示した態様とは異なり横架材2の連結箇所に配置した中間脚32に脚羽根62を取り付けない態様としても、確実に横架材2を支持し得るものとなっている。
【0035】
横架材2を脚体3に正確に位置付ける手順を有効に回避するとともに横架材2を脚体3に正確に位置付けるため、緊締機構Xによる緊締動作に応じて前記横架材2の位置決めを行なう位置決め手段、すなわち横位置決め手段Y1及び上下位置決め手段Y2を有するものとなっている。
【0036】
位本実施形態では位置決め手段を脚体3に設けたものとし、緊締動作に応じて横架材2を案内する案内面332a、案内面341b、案内面342bを設けることによりスムーズな位置決めを可能なものとしている。
【0037】
そして、緊締動作を速やかに行ない得るものとするとともに正確な位置決めを行ない得るものとするため本実施形態では、案内面332a、案内面341b、案内面342bを、緊締動作における終端位置近辺に設けている。
【0038】
そして、より正確な位置決めを行なうため本実施形態では、位置決め手段を、横架材2の上下方向の位置決めを行なう上下位置決め手段Y2と、横方向の位置決めを行なう横位置決め手段Y1とを設けたものとしている。上下位置決め手段Y2の具体的な態様としては、脚本体33の上端に設けた突起332として、横架材を好適に乗り上げさせる構成とするとともに、横位置決め手段Y1の具体的な態様として挿入凸部34に設けることにより、位置決めにより擦れる位置が外方から目立つこともない。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では横架材として、天板やデスクトップパネルを支持する所謂横架フレームを採用した一例を示したものであるが、本発明は横架材一般に対して広範に適用する事が可能である。勿論、パネルやパーティション等といった他の家具に対しても適用する事が可能である。
【0041】
さらには、上記実施形態では緊締機構を横架材の延出方向に動作させて締結するものとしたが、締結動作の方向は斯かる方向に限られることはなく、上下方向、横方向、斜めやねじれの方向等、種々の方向に設定することができる。
【0042】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
【図2】同実施形態に係る要部外観図。
【図3】同実施形態に係る構成説明図。
【図4】同実施形態に係る模式的な平面図。
【図5】同実施形態に係る作用説明図。
【符号の説明】
【0044】
2…横架材
2a…端面
23…凹部
3…脚体
31…端部脚
33…脚本体
332…突起
332a…案内面
34…挿入凸部
341b…案内面
342b…案内面
35…取付面部
A…支持構造
Y1…横位置決め手段
Y2…上下位置決め手段
X…緊締機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面に凹部を有する横架材と、
脚本体及び当該脚本体の上部に剛結し前記凹部に挿入し得る挿入凸部並びに前記横架材の端面に取り付け得る取付面を有する脚体と、
前記凹部及び前記挿入凸部とを挿入方向に緊締する緊締機構とを少なくとも具備していることを特徴とする横架材の支持構造。
【請求項2】
前記緊締機構による緊締動作に応じて前記横架材の位置決めを行なう位置決め手段を、さらに有するものとしている請求項1記載の横架材の支持構造。
【請求項3】
前記位置決め手段を前記脚体に設けたものとし、前記緊締動作に応じて前記横架材を案内する案内面を有するものとしている請求項2記載の横架材の支持構造。
【請求項4】
前記案内面を、前記緊締動作における終端位置近辺に設けている請求項3記載の横架材の支持構造。
【請求項5】
前記位置決め手段を、前記横架材の上下方向の位置決めを行なう上下位置決め手段と、横方向の位置決めを行なう横位置決め手段とを有するものとしている請求項2、3又は4記載の横架材の支持構造。
【請求項6】
前記上下位置決め手段を、前記脚本体の上端に設けた突起としている請求項5記載の横架材の支持構造。
【請求項7】
前記横位置決め手段を、前記挿入凸部に設けたものとしている請求項5又は6記載の横架材の支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−248919(P2008−248919A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87555(P2007−87555)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】