横穴空洞部の充填方法
【課題】空間が狭小の場合でも空洞部に充填することが可能な横穴空洞部の充填方法を提供する。
【解決手段】チューブ11Aの外面にポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを重ねて取り外し可能に固定し、チューブ11Aとポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを巻き取り、チューブ11Aをチューブ反転送り出し装置50Aで反転させながら横穴空洞部80Aの奥に挿入することにより、ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aをチューブ11A内に位置させ、次にポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを後退させながらポリウレタン原料吐出用チューブ21Aからポリウレタン原料を横穴空洞部80A内に吐出し、発泡させる。
【解決手段】チューブ11Aの外面にポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを重ねて取り外し可能に固定し、チューブ11Aとポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを巻き取り、チューブ11Aをチューブ反転送り出し装置50Aで反転させながら横穴空洞部80Aの奥に挿入することにより、ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aをチューブ11A内に位置させ、次にポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを後退させながらポリウレタン原料吐出用チューブ21Aからポリウレタン原料を横穴空洞部80A内に吐出し、発泡させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横穴空洞部にポリウレタン樹脂を充填する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃坑や防空壕、トンネル覆工コンクリートの背面に存在する空洞、土の流出により生じた空間等の横穴空洞部に対して、今後の小崩落防止や風化防止、土の流出防止などを目的とした間詰め補強の方法として、軽量で相応な圧縮強さを維持できるポリウレタン樹脂を現場で発泡させて空洞部に充填する方法が知られている(特許文献1、2)。また、トンネル背面に存在する空洞の充填方法として、トンネル支保工から空洞に向けて突出させた袋体の内部に充填材を充填して緩衝体を形成する作業を、トンネル側壁部から天端部に向けて順次実施し、空洞内に緩衝体の束からなる緩衝ゾーンを形成する方法が提案されている(特許文献3)。
【0003】
しかし、従来の方法では、以下のa〜dのような場合、品質を維持しながらウレタン樹脂を空洞部に充填することが困難であった。
a.人が入れず、注入孔が一箇所で、かつ傾斜や凹凸が内部にある狭小の筒状空間(例えば、直径50mm〜500mm、長さ15m〜30mの空間)に充填する場合。
b.満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所がある空洞部に充填する場合。
c.空洞部内の既存設備(例えば、電線用管、給排水管、電話線用塩化ビニル樹脂管など)が脆く、空洞部に吐出したポリウレタン原料の発泡圧により設備が破損するおそれがある空洞部に充填する場合。
d.ポリウレタン原料の発泡熱によって影響を受ける既存設備(例えば、電線用管、給排水管、電話線用塩化ビニル樹脂管など)が存在する空洞部に充填する場合。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−282796号公報
【特許文献2】特開2006−2562号公報
【特許文献3】特開2007−146522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、空間が狭小の場合でも充填することが可能な横穴空洞部の充填方法の提供を目的とする。また、さらには満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所が空洞部にある場合や、空洞部内の既存設備が脆かったり、熱による影響を受けたりする場合にも、空洞部に充填することが可能な横穴空洞部の充填方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、一端が閉じ他端が開口したチューブの外面に、ポリウレタン原料吐出用チューブを重ねて取り外し可能に固定し、前記チューブとポリウレタン原料吐出用チューブを、加圧ケース内の回転軸に前記チューブの閉じた一端側から巻き取り、前記チューブの開口端の周縁については、前記加圧ケースに形成されているチューブ送り出し用開口部を塞ぐように固定し、前記加圧ケース内に気体を吹き込むことにより、前記チューブ送り出し用開口部で前記チューブを内外反転させると共に前記チューブの反転した内側に前記ポリウレタン原料吐出用チューブを折り返しながら、前記チューブと共に前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記回転軸から前記横穴空洞部内へ送り出し、前記チューブと前記折り返しにより前記チューブ内となった前記ポリウレタン原料吐出用チューブとを、前記送り出しによって前記横穴空洞部の奥まで挿入した後、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの前記横穴空洞部入り口側端部からポリウレタン原料を前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に供給し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの前記横穴空洞部奥側端部から前記チューブ内にポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部奥から後退させて前記チューブから抜き取り、前記横穴空洞部の前記チューブ内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、一端が閉じ他端が開口したチューブを加圧ケース内の回転軸に前記閉じた一端側から巻き取り、前記チューブの開口端の周縁については、前記加圧ケースに形成されているチューブ送り出し用開口部を塞ぐように固定し、前記加圧ケース内に気体を吹き込むことにより、前記チューブ送り出し用開口部で前記チューブを内外反転させながら前記回転軸から前記横穴空洞部内へ送り出し、前記送り出しによって前記チューブの閉じた一端側を前記横穴空洞部の奥まで挿入した後、前記チューブの開口端から硬質プラスチック製のポリウレタン原料吐出用チューブを、前記チューブ内に挿入して前記チューブの閉じた一端側内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端を配置すると共に、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端を前記横穴空洞部入り口に位置させ、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端側からポリウレタン原料吐出用チューブ内にポリウレタン原料を供給し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端から前記チューブ内にポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部内から後退させて前記チューブから抜き取り、前記横穴空洞部の前記チューブ内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、可撓性のポリウレタン原料吐出用チューブを一端側から渦巻き状に巻き、前記渦巻き状に巻いたポリウレタン原料吐出用チューブを横穴空洞部の入り口内に位置させ、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き外方側端部から、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に気体を圧入することにより、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き状部分を延伸させて前記横穴空洞部の奥に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端を挿入し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端からポリウレタン原料を前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に供給し、前記横穴空洞部内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端からポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部内から後退させて抜き取り、前記横穴空洞部内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記ポリウレタン原料吐出用チューブにポリウレタン原料を供給する際、前記ポリウレタン原料と共に加圧気体を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、チューブを反転させながら横穴空洞部内に挿入することにより、ポリウレタン原料吐出用チューブをチューブと共に横穴空洞部内に挿入することができるため、狭い空間でもチューブ及びポリウレタン原料吐出用チューブを挿入することができ、作業も簡単である。さらに、チューブ内にポリウレタン原料を吐出してチューブ内で発泡させるため、満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所が空洞部内にある場合でも、ポリウレタン原料が海水や雨水等と接触することがなく、ポリウレタン原料の発泡が阻害されるおそれがない。また、横穴空洞部内に挿入したチューブ内にポリウレタン原料を吐出して発泡させるため、ポリウレタン原料が発泡時に横穴空洞部内の既存設備と直接接触することがなく、発泡圧による既存設備の破損を防止したり発泡熱による影響を抑えたりすることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、チューブを反転させながら横穴空洞部内に挿入した後、チューブ内に硬質プラスチック製のポリウレタン原料吐出用チューブを挿入するため、狭い空間でもチューブ及びポリウレタン原料吐出用チューブを挿入することができる。さらに、チューブ内にポリウレタン原料を吐出してチューブ内で発泡させるため、満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所がある場合でも、ポリウレタン原料が海水や雨水等と接触することがなく、ポリウレタン原料の発泡が阻害されるおそれがない。また、横穴空洞部内に挿入したチューブ内にポリウレタン原料を吐出して発泡させるため、ポリウレタン原料が発泡時に横穴空洞部内の既存設備と接触することがなく、発泡圧による既存設備の破損を防止したりや発泡熱による影響を抑えたりすることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、渦巻き状に巻いたポリウレタン原料吐出用チューブ内に、渦巻き外方側端部から気体を圧入してポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き部を延伸させることにより、横穴空洞部内にポリウレタン原料吐出用チューブを挿入するため、狭い空間でもポリウレタン原料吐出用チューブを横穴空洞部内の奥まで挿入することができ、ポリウレタン原料吐出用チューブを介してポリウレタン原料を横穴空洞部内に吐出することにより、容易に横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、ポリウレタン原料が加圧気体により加圧されてポリウレタン原料吐出用チューブ内を横穴空洞部内方側端部へ向けて圧送されるため、ポリウレタン原料吐出用チューブが長い場合、すなわち横穴空洞部が長い場合にも、ポリウレタン原料吐出用チューブの先端からポリウレタン原料を横穴空洞部内に吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】請求項1の一実施例におけるチューブとポリウレタン原料吐出用チューブの概略断面図である。
【図2】同実施例における回転軸に巻き取られたチューブとポリウレタン原料吐出用チューブの概略断面図である。
【図3】同実施例における加圧ケース内にチューブとポリウレタン原料吐出用チューブを収納した状態を示す概略断面図である。
【図4】同実施例におけるチューブの反転時を示す概略断面図である。
【図5】同実施例におけるチューブ及びポリウレタン原料吐出用チューブの送り出し時を示す概略断面図である。
【図6】同実施例におけるポリウレタン原料の吐出時及びポリウレタン樹脂の充填完了後を示す概略断面図である。
【図7】請求項2の一実施例におけるチューブの概略断面図である。
【図8】同実施例における回転軸に巻き取られたチューブの概略断面図である。
【図9】同実施例における加圧ケース内にチューブを収納した状態を示す概略断面図である。
【図10】同実施例におけるチューブの反転時を示す概略断面図である。
【図11】同実施例におけるチューブの送り出し時を示す概略断面図である。
【図12】同実施例におけるポリウレタン原料の吐出時及びポリウレタン樹脂の充填完了後を示す概略断面図である。
【図13】請求項3の一実施例におけるポリウレタン原料出用チューブの概略断面図である。
【図14】同実施例におけるポリウレタン原料出用チューブを渦巻き状に巻いた状態を示す概略断面図である。
【図15】同実施例におけるポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き状部分の延伸時を示す概略断面図である。
【図16】同実施例におけるポリウレタン原料の吐出時及びポリウレタン樹脂の充填完了後を示す概略断面図である。
【図17】各実施例におけるポリウレタン原料注入ガンノズルとポリウレタン原料吐出用チューブとの接続構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の横穴空洞部の充填方法について図面を用いて説明する。横穴空洞部は、トンネル覆工コンクリートの背面に存在する空洞や土の流出により生じた空間等からなる。
まず、請求項1の発明の実施例(以下第1実施例とする。)について図1〜図6及び図17を用いて説明する。請求項1の発明は、図4に示すように、ポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部80Aの最小径DAが15cm以上であって、長さ(深さ)LAが作業スペースの長さSAよりも大の場合、あるいは横穴空洞部80Aの内部が極端に歪曲し、直線状のポリウレタン原料吐出用パイプでは空洞部内への挿入が困難な場合に特に好適である。
【0016】
第1実施例では、図1に示すようにチューブ11Aの外面にポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを重ねて取り外し可能に固定して用いられる。
前記チューブ11Aは、一端13Aが閉じ、他端15Aが開口したものからなる。前記チューブ11Aは、横穴空洞部の長さ(深さ)に対応する長さを有し、且つ膨張した際に横穴空洞部の内壁に当接する径を有するものからなる。前記チューブ11Aの材質は、チューブ11A内に気体を圧入することによりチューブ11Aが膨張可能な伸縮性を有する材質、例えばゴム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等からなり、エア圧0.6〜0.8MPaに耐えることができ、且つ、耐熱温度が150℃以上のものが好ましい。
【0017】
ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、可撓性を有するもの、例えば塩化ビニル樹脂やポリエチレン製のチューブからなり、両端23A,25Aが開口し、前記チューブ11Aと同じ長さのものからなる。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの径は10mm〜30mm程度が好ましい。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、前記チューブ11Aの外面に重ね、かつ前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの両端位置を前記チューブ11Aの両端位置に合わせて、取り外し可能な固定手段27Aで前記チューブ11Aに固定される。前記取り外し可能な固定手段27Aとしては、粘着剤や粘着テープ等が好適である。図示の例では粘着テープが用いられている。
【0018】
前記チューブ11Aとポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、重ねられた状態で前記チューブ11Aの閉じた一端13A側から、図2に示すように回転軸53Aに巻き取られる。前記回転軸53Aは、図3に示すように、チューブ反転送り出し装置50Aの加圧ケース51A内に収容される。前記加圧ケース51Aは、内部に前記回転軸(回転ドラムとも称される)53Aが設けられ、壁面55Aには気体圧入口57Aとチューブ送り出し用開口部59Aが形成されている。前記加圧ケース51Aは、前記気体圧入口57Aから圧入された気体が前記チューブ送り出し用開口部59Aから吹き出すものであればよく、形状等は限定されない。前記回転軸53Aは前記チューブ11Aが開口端15A側から引っ張られることにより、前記チューブ11A及びポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを引き出す方向に回転し、前記チューブ11A及びポリウレタン原料吐出用チューブ21Aをチューブ送り出し用開口部59Aから送り出し可能になっている。前記気体圧入口57Aには、図示しない気体供給装置(エアコンプレッサー等)が接続される。また、前記チューブ送り出し用開口部59Aは、横穴空洞部の入り口よりも小さな穴形状で形成されている。前記チューブ送り出し用開口部59Aには、前記チューブ11Aの開口端15Aの周縁が拡径するようにして固定され、前記チューブの開口側他端15A側で前記チューブ送り出し用開口部59Aが塞がれている。なお、前記チューブ反転送り出し装置50Aは、管内ライニング工法等に多用されているものであり(特開2000−94521号公報、実開平1−108719号公報等参照)、周知の構成からなる。
【0019】
前記チューブ送り出し用開口部59Aを、図4の(4−A)のように、横穴空洞部80Aの入り口81A内方へ向けて位置させ、前記気体圧入口57Aから加圧ケース51A内に加圧気体(圧搾空気等)を圧入する。前記加圧ケース51A内への気体の圧入によって、図4の(4−B)のように、前記チューブ送り出し用開口部59Aでは前記チューブ11Aの開口側他端15Aの付近が外方(送り出し方向、すなわち横穴空洞部80Aの奥方)へ押圧されてチューブ11Aの内外面が反転し、反転したチューブ11A内に前記加圧ケース51Aから気体が圧入されることにより、図5の(5−A)乃至(5−C)のように、前記回転軸53Aからチューブ11Aが送り出され、かつ膨張して拡径しながら横穴空洞部80Aの奥まで挿入される。
【0020】
前記、前記チューブ11Aの送り出しの際、反転前の前記チューブ11Aの外面に重ねられている前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、前記チューブ11Aの内外面反転により、前記チューブ11Aの反転した内側(反転前の外側)に折り返されながら、前記チューブ11Aと共に前記回転軸53Aから引き出されて前記横穴空洞部80A内に送り出される。そして、前記チューブ11Aと前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの全てが送り出されることによって、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、図5の(5−C)のように、反転したチューブ11A内に位置し、かつ一端23Aが前記横穴空洞部80Aの奥に挿入され、他端25Aが前記横穴空洞部80Aの入り口側に位置する状態となる。
【0021】
次に、前記チューブ11Aの開口側他端15Aを前記加圧ケース51Aのチューブ送り出し用開口部59Aから外し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aにおける横穴空洞部入り口側の前記他端25Aを引っ張る等により、前記チューブ11Aから前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aから取り外す。その後、図6の(6−A)に示すように、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Aの横穴空洞部入り口側の前記他端25Aをポリウレタン原料供給装置の供給口90に接続し、前記ポリウレタン原料供給装置から前記ポリウレン原料吐出用チューブ21A内にポリウレタン原料Pを供給し、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Aにおける前記一端23Aから横穴空洞部80A内のチューブ11A内に吐出する。前記ポリウレタン原料供給装置の供給口90は、図17に示すように、公知のポリウレタン原料供給装置の注入ガンノズル91にエアミキシングチャンバー93が取り付けられた構成からなり、前記エアミキシングチャンバー93に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの横穴空洞部入り口側の他端25Aが接続される。前記エアミキシングチャンバー93には加圧気体供給装置(図示せず)から加圧気体(例えば圧縮空気)が供給され、前記注入ガンノズル91から供給されるポリウレタン原料が加圧されて前記ポリウレン原料吐出用チューブ21A内に圧送され、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Aの一端23Aから横穴空洞部80A内のチューブ11A内に吐出される。ポリウレタン原料としては、ポリオール成分(A成分)とイソシアネート成分(B成分)とよりなる公知の硬質ポリウレタン発泡原料が好適である。
【0022】
前記チューブ11A内へのポリウレタン原料Pの吐出は、図6の(6−A)及び(6−B)のように、横穴空洞部80Aの奥から入り口側へ前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの一端(先端)23Aを後退させながら行う。それによって、前記ポリウレタン原料Pをチューブ11A内に、横穴空洞部80Aの奥から順に吐出することができる。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの後退は、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを前記横穴空洞部80Aの入り口付近で環状や8の字状等に巻くことにより行われる。前記チューブ11A内のポリウレタン原料Pは発泡し、図6の(6−C)に示すようにポリウレタン樹脂P1となり、前記横穴空洞部80A内に充填される。
【0023】
請求項2の発明の実施例(以下第2実施例とする。)について図7〜図12及び図17を用いて説明する。請求項2の発明は、図10に示すように、ポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部80Bの最小径DBが15cm以上であって、長さ(深さ)LBが作業スペースの長さSBよりも短く、横穴空洞部80Bの内部に極端な歪曲が少ない場合に特に好適である。
【0024】
第2実施例では、図7に示すように、一端13Bが閉じ、他端15Bが開口したチューブ11Bが用いられる。前記チューブ11Bは、横穴空洞部の長さ(深さ)に対応する長さを有し、且つ膨張した際に横穴空洞部の内壁に当接する径を有するものからなる。前記チューブ11Bの材質は、チューブ11B内に気体を圧入することによりチューブ11Bが膨張可能な伸縮性を有する材質、例えばゴム等からなり、エア圧0.6〜0.8MPaに耐えることができ、且つ、耐熱温度が150℃以上のものが好ましい。
【0025】
前記チューブ11Bは、閉じた一端13B側から、図8に示すように回転軸53Bに巻き取られる。前記回転軸53Bは、図9に示すように、チューブ反転送り出し装置50Bの加圧ケース51B内に収容される。前記加圧ケース51Bは、内部に前記回転軸(回転ドラムとも称される)53Bが設けられ、壁面55Bには気体圧入口57Bとチューブ送り出し用開口部59Bが形成されている。前記加圧ケース51Bは、前記気体圧入口57Bから圧入された気体が前記チューブ送り出し用開口部59Bから吹き出すものであればよく、形状等は限定されない。前記回転軸53Bは前記チューブ11Bが開口側他端15B側から引っ張られることにより、前記チューブ11Bを引き出す方向に回転し、前記チューブ11Bをチューブ送り出し用開口部59Bから送り出し可能になっている。前記気体圧入口57Bには、図示しない気体供給装置(エアコンプレッサー等)が接続される。また、前記チューブ送り出し用開口部59Bは、横穴空洞部の入り口よりも小さな穴形状で形成されている。前記チューブ送り出し用開口部59Bには前記チューブ11Bの開口側他端15B周縁が拡径するようにして固定され、前記チューブの開口側他端15B側で前記チューブ送り出し用開口部59Bが塞がれている。なお、前記チューブ反転送り出し装置50Bは、管内ライニング工法等に多用されているものであり(特開2000−94521号公報、実開平1−108719号公報等参照)、周知の構成からなる。
【0026】
前記チューブ送り出し用開口部59Bを、図10の(10−A)のように、横穴空洞部80Bの入り口81B内方へ向けて位置させ、前記気体圧入口57Bから加圧ケース51B内に加圧気体(圧搾空気等)を圧入する。前記加圧ケース51B内への気体の圧入によって、図10の(10−B)のように、前記チューブ送り出し用開口部59Bでは前記チューブ11Bの開口側他端15Bの付近が外方(送り出し方向、すなわち横穴空洞部80Bの奥方)へ押圧されてチューブ11Bの内外面が反転し、反転したチューブ11B内に前記加圧ケース51Bから気体が圧入されることにより、図11の(11−A)乃至(11−C)のように、前記回転軸53Bからチューブ11Bが送り出され、かつ膨張して拡径しながら横穴空洞部80Bの奥まで挿入される。
【0027】
次に、前記チューブ11Bの開口側他端15Bを前記チューブ反転送り出し装置50Bのチューブ送り出し用開口部59Bから外し、図12の(12−A)のように該チューブ11Bの開口他端15B側から、硬質プラスチック(例えば硬質塩化ビニル樹脂等)からなるポリウレタン原料吐出用チューブ21Bを前記横穴空洞部80Bのチューブ11B内に挿入する。そして、前記横穴空洞部80B内の奥に位置するチューブ11Bの閉じた一端13B側内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの一端(先端)23Bを配置すると共に、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの他端25Bを前記横穴空洞部80B外に位置させる。
【0028】
その後、前記横穴空洞部80B外に位置する前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの横穴空洞部入り口側の他端25Bをポリウレタン原料供給装置の供給口90に接続し、前記ポリウレタン原料供給装置から前記ポリウレン原料吐出用チューブ21B内にポリウレタン原料Pを供給し、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Bにおける前記一端(先端)23Bから横穴空洞部80B内のチューブ11B内に吐出する。前記ポリウレタン原料供給装置の供給口90は、図17に示すように、公知のポリウレタン原料供給装置の注入ガンノズル91にエアミキシングチャンバー93が取り付けられた構成からなり、前記エアミキシングチャンバー93に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの横穴空洞部入り口側の他端25Bが接続される。前記エアミキシングチャンバー93には加圧気体供給装置(図示せず)から加圧気体(例えば圧縮空気)が供給され、前記注入ガンノズル91から供給されるポリウレタン原料が加圧されて前記ポリウレン原料吐出用チューブ21B内に圧送され、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Bの一端23Bから横穴空洞部80B内のチューブ11B内に吐出される。ポリウレタン原料としては、ポリオール成分(A成分)とイソシアネート成分(B成分)とよりなる公知の硬質ポリウレタン発泡原料が好適である。
【0029】
前記チューブ11B内へのポリウレタン原料Pの吐出は、図12の(12−A)及び(12−B)のように、横穴空洞部80Bの奥から入り口側へ前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの一端(先端)23Bを後退させながら行う。それによって、前記ポリウレタン原料Pをチューブ11B内に、横穴空洞部80Bの奥から順に吐出することができる。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの後退は、前記ポリウレタン原料供給装置の供給口90をポリウレタン原料吐出用チューブ21Bと共に横穴空洞部80Bから後退させることにより行われる。前記チューブ11B内のポリウレタン原料Pは発泡し、図8の(8−C)のようにポリウレタン樹脂P1となって前記横穴空洞部80B内に充填される。
【0030】
請求項3の発明の実施例(以下第3実施例とする。)について図13〜図17を用いて説明する。請求項3の発明は、図15に示すように、ポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部80Cの径DCが15cm以下の場合に特に好適である。
【0031】
第3実施例では、図13に示すように、両端23C,25Cが開口したポリウレン原料吐出用チューブ21Cが用いられる。前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Cは、図15に示すように、ポリウレタン樹脂が充填される横穴空洞部80Cの長さ(深さ)に対応する長さを有し、且つ横穴空洞部の最小径DC以下の径を有し、可撓性を有する管、例えば塩化ビニル樹脂製やポリエチレン製のチューブからなる。
【0032】
前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cは、図14に示すように、一端23C側から渦巻き状に巻かれる。渦巻き状部分29Cの径Eは、横穴空洞部80Cの径DCより小にされる。前記渦巻き状に巻いたポリウレタン原料吐出用チューブ21Cを、図15の(15−A)のように、横穴空洞部80Cの入り口側端部(入り口81C)内に渦巻き状部分29Cを横穴空洞部80Cの奥方へ向けて位置させ、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの渦巻き外方側端部(渦巻き中心側一端23Cとは反対側の他端)25Cから、図15の(15−B)のように、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21C内に気体(加圧空気等)を圧入することにより、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの渦巻き状部分29Cを横穴空洞部の内方へ延伸させ、図15の(15−C)のように、前記横穴空洞部80Cの奥に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの一端(先端)23Cを挿入する。
【0033】
その後、図16の(16−A)のように、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Cにおける前記横穴空洞部80C外に位置する横穴空洞部入り口側の他端25Cをポリウレタン原料供給装置の供給口90に接続し、前記ポリウレタン原料供給装置から前記ポリウレン原料吐出用チューブ21C内にポリウレタン原料Pを供給し、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Cにおける前記一端(先端)23Cから横穴空洞部80C内に吐出する。前記ポリウレタン原料供給装置の供給口90は、図17に示すように、公知のポリウレタン原料供給装置の注入ガンノズル91にエアミキシングチャンバー93が取り付けられた構成からなり、前記エアミキシングチャンバー93に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの横穴空洞部入り口側の他端25Cが接続される。前記エアミキシングチャンバー93には加圧気体供給装置(図示せず)から加圧気体(例えば圧縮空気)が供給され、前記注入ガンノズル91から供給されるポリウレタン原料が加圧されて前記ポリウレン原料吐出用チューブ21C内に圧送され、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Cの一端23Cから横穴空洞部80C内に吐出される。ポリウレタン原料としては、ポリオール成分(A成分)とイソシアネート成分(B成分)とよりなる公知の硬質ポリウレタン発泡原料が好適である。
【0034】
前記横穴空洞部80C内へのポリウレタン原料Pの吐出は、図16の(16−B)のように、横穴空洞部80Cの奥から入り口側へ前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの一端(先端)23Cを後退させながら行う。それによって、前記ポリウレタン原料Pを横穴空洞部80Cの奥から順に吐出することができる。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの後退は、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cを前記横穴空洞部80Cの入り口付近で環状や8の字状等に巻くことにより行われる。前記横穴空洞部80C内のポリウレタン原料Pは発泡し、図16の(16−C)に示すようにポリウレタン樹脂P1となって前記横穴空洞部80C内に充填される。
【0035】
前記のように、第1実施例及び第2実施例によれば、狭い空間でもチューブ及びポリウレタン原料吐出用チューブを容易に横穴空洞部内に挿入してポリウレタン樹脂を充填することができる。さらに、チューブ内にポリウレタン原料を吐出してチューブ内で発泡させるため、満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所がある場合でも、ポリウレタン原料が海水や雨水等と接触することがなく、ポリウレタン原料の発泡が阻害されるおそれがない。また、横穴空洞部内に挿入したチューブ内にポリレタン原料を吐出して発泡させるため、ポリウレタン原料が発泡時に横穴空洞部内の既存設備と接触することがなく、既存設備の破損を防止したり熱による影響を抑えたりすることができる。
【0036】
一方、第3実施例によれば、狭い空間でもポリウレタン原料吐出用チューブを横穴空洞部内の奥まで挿入することができ、ポリウレタン原料吐出用チューブを介してポリウレタン原料を横穴空洞部内に吐出することにより、容易に横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填することができる。
【符号の説明】
【0037】
11A,11B チューブ
21A,21B,21C ポリウレタン原料吐出用チューブ
51A,51B 加圧ケース
59A,59B チューブ送り出し用開口部
80A,80B,80C 横穴空洞部
P ポリウレタン原料
P1 ポリウレタン樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、横穴空洞部にポリウレタン樹脂を充填する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃坑や防空壕、トンネル覆工コンクリートの背面に存在する空洞、土の流出により生じた空間等の横穴空洞部に対して、今後の小崩落防止や風化防止、土の流出防止などを目的とした間詰め補強の方法として、軽量で相応な圧縮強さを維持できるポリウレタン樹脂を現場で発泡させて空洞部に充填する方法が知られている(特許文献1、2)。また、トンネル背面に存在する空洞の充填方法として、トンネル支保工から空洞に向けて突出させた袋体の内部に充填材を充填して緩衝体を形成する作業を、トンネル側壁部から天端部に向けて順次実施し、空洞内に緩衝体の束からなる緩衝ゾーンを形成する方法が提案されている(特許文献3)。
【0003】
しかし、従来の方法では、以下のa〜dのような場合、品質を維持しながらウレタン樹脂を空洞部に充填することが困難であった。
a.人が入れず、注入孔が一箇所で、かつ傾斜や凹凸が内部にある狭小の筒状空間(例えば、直径50mm〜500mm、長さ15m〜30mの空間)に充填する場合。
b.満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所がある空洞部に充填する場合。
c.空洞部内の既存設備(例えば、電線用管、給排水管、電話線用塩化ビニル樹脂管など)が脆く、空洞部に吐出したポリウレタン原料の発泡圧により設備が破損するおそれがある空洞部に充填する場合。
d.ポリウレタン原料の発泡熱によって影響を受ける既存設備(例えば、電線用管、給排水管、電話線用塩化ビニル樹脂管など)が存在する空洞部に充填する場合。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−282796号公報
【特許文献2】特開2006−2562号公報
【特許文献3】特開2007−146522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、空間が狭小の場合でも充填することが可能な横穴空洞部の充填方法の提供を目的とする。また、さらには満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所が空洞部にある場合や、空洞部内の既存設備が脆かったり、熱による影響を受けたりする場合にも、空洞部に充填することが可能な横穴空洞部の充填方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、一端が閉じ他端が開口したチューブの外面に、ポリウレタン原料吐出用チューブを重ねて取り外し可能に固定し、前記チューブとポリウレタン原料吐出用チューブを、加圧ケース内の回転軸に前記チューブの閉じた一端側から巻き取り、前記チューブの開口端の周縁については、前記加圧ケースに形成されているチューブ送り出し用開口部を塞ぐように固定し、前記加圧ケース内に気体を吹き込むことにより、前記チューブ送り出し用開口部で前記チューブを内外反転させると共に前記チューブの反転した内側に前記ポリウレタン原料吐出用チューブを折り返しながら、前記チューブと共に前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記回転軸から前記横穴空洞部内へ送り出し、前記チューブと前記折り返しにより前記チューブ内となった前記ポリウレタン原料吐出用チューブとを、前記送り出しによって前記横穴空洞部の奥まで挿入した後、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの前記横穴空洞部入り口側端部からポリウレタン原料を前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に供給し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの前記横穴空洞部奥側端部から前記チューブ内にポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部奥から後退させて前記チューブから抜き取り、前記横穴空洞部の前記チューブ内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、一端が閉じ他端が開口したチューブを加圧ケース内の回転軸に前記閉じた一端側から巻き取り、前記チューブの開口端の周縁については、前記加圧ケースに形成されているチューブ送り出し用開口部を塞ぐように固定し、前記加圧ケース内に気体を吹き込むことにより、前記チューブ送り出し用開口部で前記チューブを内外反転させながら前記回転軸から前記横穴空洞部内へ送り出し、前記送り出しによって前記チューブの閉じた一端側を前記横穴空洞部の奥まで挿入した後、前記チューブの開口端から硬質プラスチック製のポリウレタン原料吐出用チューブを、前記チューブ内に挿入して前記チューブの閉じた一端側内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端を配置すると共に、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端を前記横穴空洞部入り口に位置させ、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端側からポリウレタン原料吐出用チューブ内にポリウレタン原料を供給し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端から前記チューブ内にポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部内から後退させて前記チューブから抜き取り、前記横穴空洞部の前記チューブ内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、可撓性のポリウレタン原料吐出用チューブを一端側から渦巻き状に巻き、前記渦巻き状に巻いたポリウレタン原料吐出用チューブを横穴空洞部の入り口内に位置させ、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き外方側端部から、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に気体を圧入することにより、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き状部分を延伸させて前記横穴空洞部の奥に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端を挿入し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端からポリウレタン原料を前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に供給し、前記横穴空洞部内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端からポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部内から後退させて抜き取り、前記横穴空洞部内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記ポリウレタン原料吐出用チューブにポリウレタン原料を供給する際、前記ポリウレタン原料と共に加圧気体を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、チューブを反転させながら横穴空洞部内に挿入することにより、ポリウレタン原料吐出用チューブをチューブと共に横穴空洞部内に挿入することができるため、狭い空間でもチューブ及びポリウレタン原料吐出用チューブを挿入することができ、作業も簡単である。さらに、チューブ内にポリウレタン原料を吐出してチューブ内で発泡させるため、満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所が空洞部内にある場合でも、ポリウレタン原料が海水や雨水等と接触することがなく、ポリウレタン原料の発泡が阻害されるおそれがない。また、横穴空洞部内に挿入したチューブ内にポリウレタン原料を吐出して発泡させるため、ポリウレタン原料が発泡時に横穴空洞部内の既存設備と直接接触することがなく、発泡圧による既存設備の破損を防止したり発泡熱による影響を抑えたりすることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、チューブを反転させながら横穴空洞部内に挿入した後、チューブ内に硬質プラスチック製のポリウレタン原料吐出用チューブを挿入するため、狭い空間でもチューブ及びポリウレタン原料吐出用チューブを挿入することができる。さらに、チューブ内にポリウレタン原料を吐出してチューブ内で発泡させるため、満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所がある場合でも、ポリウレタン原料が海水や雨水等と接触することがなく、ポリウレタン原料の発泡が阻害されるおそれがない。また、横穴空洞部内に挿入したチューブ内にポリウレタン原料を吐出して発泡させるため、ポリウレタン原料が発泡時に横穴空洞部内の既存設備と接触することがなく、発泡圧による既存設備の破損を防止したりや発泡熱による影響を抑えたりすることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、渦巻き状に巻いたポリウレタン原料吐出用チューブ内に、渦巻き外方側端部から気体を圧入してポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き部を延伸させることにより、横穴空洞部内にポリウレタン原料吐出用チューブを挿入するため、狭い空間でもポリウレタン原料吐出用チューブを横穴空洞部内の奥まで挿入することができ、ポリウレタン原料吐出用チューブを介してポリウレタン原料を横穴空洞部内に吐出することにより、容易に横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、ポリウレタン原料が加圧気体により加圧されてポリウレタン原料吐出用チューブ内を横穴空洞部内方側端部へ向けて圧送されるため、ポリウレタン原料吐出用チューブが長い場合、すなわち横穴空洞部が長い場合にも、ポリウレタン原料吐出用チューブの先端からポリウレタン原料を横穴空洞部内に吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】請求項1の一実施例におけるチューブとポリウレタン原料吐出用チューブの概略断面図である。
【図2】同実施例における回転軸に巻き取られたチューブとポリウレタン原料吐出用チューブの概略断面図である。
【図3】同実施例における加圧ケース内にチューブとポリウレタン原料吐出用チューブを収納した状態を示す概略断面図である。
【図4】同実施例におけるチューブの反転時を示す概略断面図である。
【図5】同実施例におけるチューブ及びポリウレタン原料吐出用チューブの送り出し時を示す概略断面図である。
【図6】同実施例におけるポリウレタン原料の吐出時及びポリウレタン樹脂の充填完了後を示す概略断面図である。
【図7】請求項2の一実施例におけるチューブの概略断面図である。
【図8】同実施例における回転軸に巻き取られたチューブの概略断面図である。
【図9】同実施例における加圧ケース内にチューブを収納した状態を示す概略断面図である。
【図10】同実施例におけるチューブの反転時を示す概略断面図である。
【図11】同実施例におけるチューブの送り出し時を示す概略断面図である。
【図12】同実施例におけるポリウレタン原料の吐出時及びポリウレタン樹脂の充填完了後を示す概略断面図である。
【図13】請求項3の一実施例におけるポリウレタン原料出用チューブの概略断面図である。
【図14】同実施例におけるポリウレタン原料出用チューブを渦巻き状に巻いた状態を示す概略断面図である。
【図15】同実施例におけるポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き状部分の延伸時を示す概略断面図である。
【図16】同実施例におけるポリウレタン原料の吐出時及びポリウレタン樹脂の充填完了後を示す概略断面図である。
【図17】各実施例におけるポリウレタン原料注入ガンノズルとポリウレタン原料吐出用チューブとの接続構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の横穴空洞部の充填方法について図面を用いて説明する。横穴空洞部は、トンネル覆工コンクリートの背面に存在する空洞や土の流出により生じた空間等からなる。
まず、請求項1の発明の実施例(以下第1実施例とする。)について図1〜図6及び図17を用いて説明する。請求項1の発明は、図4に示すように、ポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部80Aの最小径DAが15cm以上であって、長さ(深さ)LAが作業スペースの長さSAよりも大の場合、あるいは横穴空洞部80Aの内部が極端に歪曲し、直線状のポリウレタン原料吐出用パイプでは空洞部内への挿入が困難な場合に特に好適である。
【0016】
第1実施例では、図1に示すようにチューブ11Aの外面にポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを重ねて取り外し可能に固定して用いられる。
前記チューブ11Aは、一端13Aが閉じ、他端15Aが開口したものからなる。前記チューブ11Aは、横穴空洞部の長さ(深さ)に対応する長さを有し、且つ膨張した際に横穴空洞部の内壁に当接する径を有するものからなる。前記チューブ11Aの材質は、チューブ11A内に気体を圧入することによりチューブ11Aが膨張可能な伸縮性を有する材質、例えばゴム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等からなり、エア圧0.6〜0.8MPaに耐えることができ、且つ、耐熱温度が150℃以上のものが好ましい。
【0017】
ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、可撓性を有するもの、例えば塩化ビニル樹脂やポリエチレン製のチューブからなり、両端23A,25Aが開口し、前記チューブ11Aと同じ長さのものからなる。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの径は10mm〜30mm程度が好ましい。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、前記チューブ11Aの外面に重ね、かつ前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの両端位置を前記チューブ11Aの両端位置に合わせて、取り外し可能な固定手段27Aで前記チューブ11Aに固定される。前記取り外し可能な固定手段27Aとしては、粘着剤や粘着テープ等が好適である。図示の例では粘着テープが用いられている。
【0018】
前記チューブ11Aとポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、重ねられた状態で前記チューブ11Aの閉じた一端13A側から、図2に示すように回転軸53Aに巻き取られる。前記回転軸53Aは、図3に示すように、チューブ反転送り出し装置50Aの加圧ケース51A内に収容される。前記加圧ケース51Aは、内部に前記回転軸(回転ドラムとも称される)53Aが設けられ、壁面55Aには気体圧入口57Aとチューブ送り出し用開口部59Aが形成されている。前記加圧ケース51Aは、前記気体圧入口57Aから圧入された気体が前記チューブ送り出し用開口部59Aから吹き出すものであればよく、形状等は限定されない。前記回転軸53Aは前記チューブ11Aが開口端15A側から引っ張られることにより、前記チューブ11A及びポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを引き出す方向に回転し、前記チューブ11A及びポリウレタン原料吐出用チューブ21Aをチューブ送り出し用開口部59Aから送り出し可能になっている。前記気体圧入口57Aには、図示しない気体供給装置(エアコンプレッサー等)が接続される。また、前記チューブ送り出し用開口部59Aは、横穴空洞部の入り口よりも小さな穴形状で形成されている。前記チューブ送り出し用開口部59Aには、前記チューブ11Aの開口端15Aの周縁が拡径するようにして固定され、前記チューブの開口側他端15A側で前記チューブ送り出し用開口部59Aが塞がれている。なお、前記チューブ反転送り出し装置50Aは、管内ライニング工法等に多用されているものであり(特開2000−94521号公報、実開平1−108719号公報等参照)、周知の構成からなる。
【0019】
前記チューブ送り出し用開口部59Aを、図4の(4−A)のように、横穴空洞部80Aの入り口81A内方へ向けて位置させ、前記気体圧入口57Aから加圧ケース51A内に加圧気体(圧搾空気等)を圧入する。前記加圧ケース51A内への気体の圧入によって、図4の(4−B)のように、前記チューブ送り出し用開口部59Aでは前記チューブ11Aの開口側他端15Aの付近が外方(送り出し方向、すなわち横穴空洞部80Aの奥方)へ押圧されてチューブ11Aの内外面が反転し、反転したチューブ11A内に前記加圧ケース51Aから気体が圧入されることにより、図5の(5−A)乃至(5−C)のように、前記回転軸53Aからチューブ11Aが送り出され、かつ膨張して拡径しながら横穴空洞部80Aの奥まで挿入される。
【0020】
前記、前記チューブ11Aの送り出しの際、反転前の前記チューブ11Aの外面に重ねられている前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、前記チューブ11Aの内外面反転により、前記チューブ11Aの反転した内側(反転前の外側)に折り返されながら、前記チューブ11Aと共に前記回転軸53Aから引き出されて前記横穴空洞部80A内に送り出される。そして、前記チューブ11Aと前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの全てが送り出されることによって、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aは、図5の(5−C)のように、反転したチューブ11A内に位置し、かつ一端23Aが前記横穴空洞部80Aの奥に挿入され、他端25Aが前記横穴空洞部80Aの入り口側に位置する状態となる。
【0021】
次に、前記チューブ11Aの開口側他端15Aを前記加圧ケース51Aのチューブ送り出し用開口部59Aから外し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aにおける横穴空洞部入り口側の前記他端25Aを引っ張る等により、前記チューブ11Aから前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aから取り外す。その後、図6の(6−A)に示すように、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Aの横穴空洞部入り口側の前記他端25Aをポリウレタン原料供給装置の供給口90に接続し、前記ポリウレタン原料供給装置から前記ポリウレン原料吐出用チューブ21A内にポリウレタン原料Pを供給し、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Aにおける前記一端23Aから横穴空洞部80A内のチューブ11A内に吐出する。前記ポリウレタン原料供給装置の供給口90は、図17に示すように、公知のポリウレタン原料供給装置の注入ガンノズル91にエアミキシングチャンバー93が取り付けられた構成からなり、前記エアミキシングチャンバー93に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの横穴空洞部入り口側の他端25Aが接続される。前記エアミキシングチャンバー93には加圧気体供給装置(図示せず)から加圧気体(例えば圧縮空気)が供給され、前記注入ガンノズル91から供給されるポリウレタン原料が加圧されて前記ポリウレン原料吐出用チューブ21A内に圧送され、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Aの一端23Aから横穴空洞部80A内のチューブ11A内に吐出される。ポリウレタン原料としては、ポリオール成分(A成分)とイソシアネート成分(B成分)とよりなる公知の硬質ポリウレタン発泡原料が好適である。
【0022】
前記チューブ11A内へのポリウレタン原料Pの吐出は、図6の(6−A)及び(6−B)のように、横穴空洞部80Aの奥から入り口側へ前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの一端(先端)23Aを後退させながら行う。それによって、前記ポリウレタン原料Pをチューブ11A内に、横穴空洞部80Aの奥から順に吐出することができる。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aの後退は、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Aを前記横穴空洞部80Aの入り口付近で環状や8の字状等に巻くことにより行われる。前記チューブ11A内のポリウレタン原料Pは発泡し、図6の(6−C)に示すようにポリウレタン樹脂P1となり、前記横穴空洞部80A内に充填される。
【0023】
請求項2の発明の実施例(以下第2実施例とする。)について図7〜図12及び図17を用いて説明する。請求項2の発明は、図10に示すように、ポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部80Bの最小径DBが15cm以上であって、長さ(深さ)LBが作業スペースの長さSBよりも短く、横穴空洞部80Bの内部に極端な歪曲が少ない場合に特に好適である。
【0024】
第2実施例では、図7に示すように、一端13Bが閉じ、他端15Bが開口したチューブ11Bが用いられる。前記チューブ11Bは、横穴空洞部の長さ(深さ)に対応する長さを有し、且つ膨張した際に横穴空洞部の内壁に当接する径を有するものからなる。前記チューブ11Bの材質は、チューブ11B内に気体を圧入することによりチューブ11Bが膨張可能な伸縮性を有する材質、例えばゴム等からなり、エア圧0.6〜0.8MPaに耐えることができ、且つ、耐熱温度が150℃以上のものが好ましい。
【0025】
前記チューブ11Bは、閉じた一端13B側から、図8に示すように回転軸53Bに巻き取られる。前記回転軸53Bは、図9に示すように、チューブ反転送り出し装置50Bの加圧ケース51B内に収容される。前記加圧ケース51Bは、内部に前記回転軸(回転ドラムとも称される)53Bが設けられ、壁面55Bには気体圧入口57Bとチューブ送り出し用開口部59Bが形成されている。前記加圧ケース51Bは、前記気体圧入口57Bから圧入された気体が前記チューブ送り出し用開口部59Bから吹き出すものであればよく、形状等は限定されない。前記回転軸53Bは前記チューブ11Bが開口側他端15B側から引っ張られることにより、前記チューブ11Bを引き出す方向に回転し、前記チューブ11Bをチューブ送り出し用開口部59Bから送り出し可能になっている。前記気体圧入口57Bには、図示しない気体供給装置(エアコンプレッサー等)が接続される。また、前記チューブ送り出し用開口部59Bは、横穴空洞部の入り口よりも小さな穴形状で形成されている。前記チューブ送り出し用開口部59Bには前記チューブ11Bの開口側他端15B周縁が拡径するようにして固定され、前記チューブの開口側他端15B側で前記チューブ送り出し用開口部59Bが塞がれている。なお、前記チューブ反転送り出し装置50Bは、管内ライニング工法等に多用されているものであり(特開2000−94521号公報、実開平1−108719号公報等参照)、周知の構成からなる。
【0026】
前記チューブ送り出し用開口部59Bを、図10の(10−A)のように、横穴空洞部80Bの入り口81B内方へ向けて位置させ、前記気体圧入口57Bから加圧ケース51B内に加圧気体(圧搾空気等)を圧入する。前記加圧ケース51B内への気体の圧入によって、図10の(10−B)のように、前記チューブ送り出し用開口部59Bでは前記チューブ11Bの開口側他端15Bの付近が外方(送り出し方向、すなわち横穴空洞部80Bの奥方)へ押圧されてチューブ11Bの内外面が反転し、反転したチューブ11B内に前記加圧ケース51Bから気体が圧入されることにより、図11の(11−A)乃至(11−C)のように、前記回転軸53Bからチューブ11Bが送り出され、かつ膨張して拡径しながら横穴空洞部80Bの奥まで挿入される。
【0027】
次に、前記チューブ11Bの開口側他端15Bを前記チューブ反転送り出し装置50Bのチューブ送り出し用開口部59Bから外し、図12の(12−A)のように該チューブ11Bの開口他端15B側から、硬質プラスチック(例えば硬質塩化ビニル樹脂等)からなるポリウレタン原料吐出用チューブ21Bを前記横穴空洞部80Bのチューブ11B内に挿入する。そして、前記横穴空洞部80B内の奥に位置するチューブ11Bの閉じた一端13B側内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの一端(先端)23Bを配置すると共に、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの他端25Bを前記横穴空洞部80B外に位置させる。
【0028】
その後、前記横穴空洞部80B外に位置する前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの横穴空洞部入り口側の他端25Bをポリウレタン原料供給装置の供給口90に接続し、前記ポリウレタン原料供給装置から前記ポリウレン原料吐出用チューブ21B内にポリウレタン原料Pを供給し、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Bにおける前記一端(先端)23Bから横穴空洞部80B内のチューブ11B内に吐出する。前記ポリウレタン原料供給装置の供給口90は、図17に示すように、公知のポリウレタン原料供給装置の注入ガンノズル91にエアミキシングチャンバー93が取り付けられた構成からなり、前記エアミキシングチャンバー93に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの横穴空洞部入り口側の他端25Bが接続される。前記エアミキシングチャンバー93には加圧気体供給装置(図示せず)から加圧気体(例えば圧縮空気)が供給され、前記注入ガンノズル91から供給されるポリウレタン原料が加圧されて前記ポリウレン原料吐出用チューブ21B内に圧送され、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Bの一端23Bから横穴空洞部80B内のチューブ11B内に吐出される。ポリウレタン原料としては、ポリオール成分(A成分)とイソシアネート成分(B成分)とよりなる公知の硬質ポリウレタン発泡原料が好適である。
【0029】
前記チューブ11B内へのポリウレタン原料Pの吐出は、図12の(12−A)及び(12−B)のように、横穴空洞部80Bの奥から入り口側へ前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの一端(先端)23Bを後退させながら行う。それによって、前記ポリウレタン原料Pをチューブ11B内に、横穴空洞部80Bの奥から順に吐出することができる。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Bの後退は、前記ポリウレタン原料供給装置の供給口90をポリウレタン原料吐出用チューブ21Bと共に横穴空洞部80Bから後退させることにより行われる。前記チューブ11B内のポリウレタン原料Pは発泡し、図8の(8−C)のようにポリウレタン樹脂P1となって前記横穴空洞部80B内に充填される。
【0030】
請求項3の発明の実施例(以下第3実施例とする。)について図13〜図17を用いて説明する。請求項3の発明は、図15に示すように、ポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部80Cの径DCが15cm以下の場合に特に好適である。
【0031】
第3実施例では、図13に示すように、両端23C,25Cが開口したポリウレン原料吐出用チューブ21Cが用いられる。前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Cは、図15に示すように、ポリウレタン樹脂が充填される横穴空洞部80Cの長さ(深さ)に対応する長さを有し、且つ横穴空洞部の最小径DC以下の径を有し、可撓性を有する管、例えば塩化ビニル樹脂製やポリエチレン製のチューブからなる。
【0032】
前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cは、図14に示すように、一端23C側から渦巻き状に巻かれる。渦巻き状部分29Cの径Eは、横穴空洞部80Cの径DCより小にされる。前記渦巻き状に巻いたポリウレタン原料吐出用チューブ21Cを、図15の(15−A)のように、横穴空洞部80Cの入り口側端部(入り口81C)内に渦巻き状部分29Cを横穴空洞部80Cの奥方へ向けて位置させ、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの渦巻き外方側端部(渦巻き中心側一端23Cとは反対側の他端)25Cから、図15の(15−B)のように、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21C内に気体(加圧空気等)を圧入することにより、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの渦巻き状部分29Cを横穴空洞部の内方へ延伸させ、図15の(15−C)のように、前記横穴空洞部80Cの奥に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの一端(先端)23Cを挿入する。
【0033】
その後、図16の(16−A)のように、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Cにおける前記横穴空洞部80C外に位置する横穴空洞部入り口側の他端25Cをポリウレタン原料供給装置の供給口90に接続し、前記ポリウレタン原料供給装置から前記ポリウレン原料吐出用チューブ21C内にポリウレタン原料Pを供給し、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Cにおける前記一端(先端)23Cから横穴空洞部80C内に吐出する。前記ポリウレタン原料供給装置の供給口90は、図17に示すように、公知のポリウレタン原料供給装置の注入ガンノズル91にエアミキシングチャンバー93が取り付けられた構成からなり、前記エアミキシングチャンバー93に前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの横穴空洞部入り口側の他端25Cが接続される。前記エアミキシングチャンバー93には加圧気体供給装置(図示せず)から加圧気体(例えば圧縮空気)が供給され、前記注入ガンノズル91から供給されるポリウレタン原料が加圧されて前記ポリウレン原料吐出用チューブ21C内に圧送され、前記ポリウレン原料吐出用チューブ21Cの一端23Cから横穴空洞部80C内に吐出される。ポリウレタン原料としては、ポリオール成分(A成分)とイソシアネート成分(B成分)とよりなる公知の硬質ポリウレタン発泡原料が好適である。
【0034】
前記横穴空洞部80C内へのポリウレタン原料Pの吐出は、図16の(16−B)のように、横穴空洞部80Cの奥から入り口側へ前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの一端(先端)23Cを後退させながら行う。それによって、前記ポリウレタン原料Pを横穴空洞部80Cの奥から順に吐出することができる。前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cの後退は、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ21Cを前記横穴空洞部80Cの入り口付近で環状や8の字状等に巻くことにより行われる。前記横穴空洞部80C内のポリウレタン原料Pは発泡し、図16の(16−C)に示すようにポリウレタン樹脂P1となって前記横穴空洞部80C内に充填される。
【0035】
前記のように、第1実施例及び第2実施例によれば、狭い空間でもチューブ及びポリウレタン原料吐出用チューブを容易に横穴空洞部内に挿入してポリウレタン樹脂を充填することができる。さらに、チューブ内にポリウレタン原料を吐出してチューブ内で発泡させるため、満潮時に海水に浸る箇所や、雨水、湧き水などが侵入する箇所がある場合でも、ポリウレタン原料が海水や雨水等と接触することがなく、ポリウレタン原料の発泡が阻害されるおそれがない。また、横穴空洞部内に挿入したチューブ内にポリレタン原料を吐出して発泡させるため、ポリウレタン原料が発泡時に横穴空洞部内の既存設備と接触することがなく、既存設備の破損を防止したり熱による影響を抑えたりすることができる。
【0036】
一方、第3実施例によれば、狭い空間でもポリウレタン原料吐出用チューブを横穴空洞部内の奥まで挿入することができ、ポリウレタン原料吐出用チューブを介してポリウレタン原料を横穴空洞部内に吐出することにより、容易に横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填することができる。
【符号の説明】
【0037】
11A,11B チューブ
21A,21B,21C ポリウレタン原料吐出用チューブ
51A,51B 加圧ケース
59A,59B チューブ送り出し用開口部
80A,80B,80C 横穴空洞部
P ポリウレタン原料
P1 ポリウレタン樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、
一端が閉じ他端が開口したチューブの外面に、ポリウレタン原料吐出用チューブを重ねて取り外し可能に固定し、前記チューブとポリウレタン原料吐出用チューブを、加圧ケース内の回転軸に前記チューブの閉じた一端側から巻き取り、
前記チューブの開口端の周縁については、前記加圧ケースに形成されているチューブ送り出し用開口部を塞ぐように固定し、
前記加圧ケース内に気体を吹き込むことにより、前記チューブ送り出し用開口部で前記チューブを内外反転させると共に前記チューブの反転した内側に前記ポリウレタン原料吐出用チューブを折り返しながら、前記チューブと共に前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記回転軸から前記横穴空洞部内へ送り出し、
前記チューブと前記折り返しにより前記チューブ内となった前記ポリウレタン原料吐出用チューブとを、前記送り出しによって前記横穴空洞部の奥まで挿入した後、
前記ポリウレタン原料吐出用チューブの前記横穴空洞部入り口側端部からポリウレタン原料を前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に供給し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの前記横穴空洞部奥側端部から前記チューブ内にポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部奥から後退させて前記チューブから抜き取り、前記横穴空洞部の前記チューブ内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする横穴空洞部の充填方法。
【請求項2】
横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、
一端が閉じ他端が開口したチューブを加圧ケース内の回転軸に前記閉じた一端側から巻き取り、
前記チューブの開口端の周縁については、前記加圧ケースに形成されているチューブ送り出し用開口部を塞ぐように固定し、
前記加圧ケース内に気体を吹き込むことにより、前記チューブ送り出し用開口部で前記チューブを内外反転させながら前記回転軸から前記横穴空洞部内へ送り出し、前記送り出しによって前記チューブの閉じた一端側を前記横穴空洞部の奥まで挿入した後、
前記チューブの開口端から硬質プラスチック製のポリウレタン原料吐出用チューブを、前記チューブ内に挿入して前記チューブの閉じた一端側内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端を配置すると共に、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端を前記横穴空洞部入り口に位置させ、
前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端側からポリウレタン原料吐出用チューブ内にポリウレタン原料を供給し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端から前記チューブ内にポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部内から後退させて前記チューブから抜き取り、前記横穴空洞部の前記チューブ内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする横穴空洞部の充填方法。
【請求項3】
横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、
可撓性のポリウレタン原料吐出用チューブを一端側から渦巻き状に巻き、前記渦巻き状に巻いたポリウレタン原料吐出用チューブを横穴空洞部の入り口内に位置させ、
前記ポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き外方側端部から、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に気体を圧入することにより、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き状部分を延伸させて前記横穴空洞部の奥に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端を挿入し、
前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端からポリウレタン原料を前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に供給し、前記横穴空洞部内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端からポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部内から後退させて抜き取り、前記横穴空洞部内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする横穴空洞部の充填方法。
【請求項4】
前記ポリウレタン原料吐出用チューブにポリウレタン原料を供給する際、前記ポリウレタン原料と共に加圧気体を供給することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の横穴空洞部の充填方法。
【請求項1】
横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、
一端が閉じ他端が開口したチューブの外面に、ポリウレタン原料吐出用チューブを重ねて取り外し可能に固定し、前記チューブとポリウレタン原料吐出用チューブを、加圧ケース内の回転軸に前記チューブの閉じた一端側から巻き取り、
前記チューブの開口端の周縁については、前記加圧ケースに形成されているチューブ送り出し用開口部を塞ぐように固定し、
前記加圧ケース内に気体を吹き込むことにより、前記チューブ送り出し用開口部で前記チューブを内外反転させると共に前記チューブの反転した内側に前記ポリウレタン原料吐出用チューブを折り返しながら、前記チューブと共に前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記回転軸から前記横穴空洞部内へ送り出し、
前記チューブと前記折り返しにより前記チューブ内となった前記ポリウレタン原料吐出用チューブとを、前記送り出しによって前記横穴空洞部の奥まで挿入した後、
前記ポリウレタン原料吐出用チューブの前記横穴空洞部入り口側端部からポリウレタン原料を前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に供給し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの前記横穴空洞部奥側端部から前記チューブ内にポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部奥から後退させて前記チューブから抜き取り、前記横穴空洞部の前記チューブ内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする横穴空洞部の充填方法。
【請求項2】
横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、
一端が閉じ他端が開口したチューブを加圧ケース内の回転軸に前記閉じた一端側から巻き取り、
前記チューブの開口端の周縁については、前記加圧ケースに形成されているチューブ送り出し用開口部を塞ぐように固定し、
前記加圧ケース内に気体を吹き込むことにより、前記チューブ送り出し用開口部で前記チューブを内外反転させながら前記回転軸から前記横穴空洞部内へ送り出し、前記送り出しによって前記チューブの閉じた一端側を前記横穴空洞部の奥まで挿入した後、
前記チューブの開口端から硬質プラスチック製のポリウレタン原料吐出用チューブを、前記チューブ内に挿入して前記チューブの閉じた一端側内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端を配置すると共に、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端を前記横穴空洞部入り口に位置させ、
前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端側からポリウレタン原料吐出用チューブ内にポリウレタン原料を供給し、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端から前記チューブ内にポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部内から後退させて前記チューブから抜き取り、前記横穴空洞部の前記チューブ内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする横穴空洞部の充填方法。
【請求項3】
横穴空洞部内にポリウレタン樹脂を充填する横穴空洞部の充填方法において、
可撓性のポリウレタン原料吐出用チューブを一端側から渦巻き状に巻き、前記渦巻き状に巻いたポリウレタン原料吐出用チューブを横穴空洞部の入り口内に位置させ、
前記ポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き外方側端部から、前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に気体を圧入することにより、前記ポリウレタン原料吐出用チューブの渦巻き状部分を延伸させて前記横穴空洞部の奥に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端を挿入し、
前記ポリウレタン原料吐出用チューブの他端からポリウレタン原料を前記ポリウレタン原料吐出用チューブ内に供給し、前記横穴空洞部内に前記ポリウレタン原料吐出用チューブの一端からポリウレタン原料を吐出しながら、前記ポリウレタン原料吐出用チューブを前記横穴空洞部内から後退させて抜き取り、前記横穴空洞部内で前記ポリウレタン原料を発泡させることを特徴とする横穴空洞部の充填方法。
【請求項4】
前記ポリウレタン原料吐出用チューブにポリウレタン原料を供給する際、前記ポリウレタン原料と共に加圧気体を供給することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の横穴空洞部の充填方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−209630(P2010−209630A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59030(P2009−59030)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(598055862)イノアック特材株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(598055862)イノアック特材株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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