説明

樹枝状ポリウレタンコーティング

本明細書における発明は、表面保護用樹枝状ポリマー組成物、および、それらから形成された、架橋された表面保護用コーティングに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護用ポリマーコーティングに関する。詳細には、本発明は、それらに限定しないが、自動車、船舶、航空産業等に見られる塗装表面を保護するためのクリアポリマーコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
表面、特に環境に曝露される塗装表面は、水、雪、氷、熱、泥、スモッグ、湿気、鳥の糞、すす、塩、ケミカルアタック、酸性雨等の要因により損傷を受けるおそれがある。特に、自動車、船、航空機等の塗装表面では影響が大きい。塗装表面は、表面清浄によるマイクロスクラッチングや、太陽光への長期間曝露による紫外線劣化に起因するグロス(光沢・ツヤ)の損失が生じやすい。
【0003】
上記の問題は、当然ながら、その製品が常に環境に曝露される産業界では周知のことである。自動車産業では、例えば、一般的に塗装表面に保護用クリアコートを塗付して、自動車塗料への環境による曝露の影響を軽減させている。自動車産業で使用されるクリアコートの多くは、ポリアクリル酸/メラミン樹脂、ゲルコートエポキシを基材とする熱硬化性アクリル(TSA)を含むアクリル樹脂か、または近年増加中の一液形または二液形ポリウレタンの液体コーティングおよび粉体コーティングである。しかし、これらのコーティングおよび他の従来のコーティングは、依然として、清浄やメンテナンス、風化、環境条件、製造および配送工程、さらに言えば、通常使用の結果として、擦り傷、掻き傷、またはその他の損傷を非常に受けやすい。
【0004】
表面、特に塗装表面を既存の技術よりもさらに十分に保護する改良された保護用コーティングが望まれている。本願は、かかるコーティングを提供する。
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明の一態様はコーティング組成物であって:
ヒドロキシル機能性樹枝状ポリマー;
任意の、アクリルポリオール;
ヒドロキシル機能性ポリマーおよび/またはヒドロキシル機能性フッ素系界面活性剤に任意に被包される、複数の金属酸化物ナノ粒子;
任意の、立体的(sterically)ヒンダードアミン系光安定剤;
任意の、紫外線吸収剤;
触媒;および
上記の材料が溶解される、またはナノ粒子の場合には分散される、第1溶媒;
を有する第1の成分と:
架橋剤;および
上記第1溶媒と同じであっても異なってもよい第2溶媒;
を有する第2の成分とを備え:
上記の第1および第2の成分が混合されて上記コーティング組成物が形成される。
本発明の一態様では、ヒドロキシル機能性樹枝状ポリマーは、40乃至80のヒドロキシル官能価を有する。
本発明の一態様では、ヒドロキシル機能性樹枝状ポリマーは、BOLTORN H−40(米国登録商標)である。
本発明の一態様では、アクリルポリオールは、2乃至6のヒドロキシル官能価を有する。
本発明の一態様では、アクリルポリオールは、G−CURE 108BL70(米国登録商標)である。
本発明の一態様では、ヒドロキシル機能性フッ素系界面活性剤は、ZONYL 8857A(米国登録商標)である。
本発明の一態様では、複数の金属酸化物ナノ粒子は、酸化アルミニウムナノ粒子、酸化亜鉛ナノ粒子、および両者の組合せからなるグループから選択される。
本発明の一態様では、酸化アルミニウムナノ粒子は、NANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子である。
本発明の一態様では、酸化亜鉛ナノ粒子は、NANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子である。
本発明の一態様では、複数の金属酸化物ナノ粒子は、複数のNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子と複数のNANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子との混合物を備える。
本発明の一態様では、ヒドロキシル機能性ポリマーは、ヒドロキシル機能性シリコーンアクリレートである。
本発明の一態様では、ヒドロキシル機能性シリコーンアクリレートは、BYK CLEANSIL 3700(米国登録商標)である。
本発明の一態様では、立体的ヒンダードアミン系光安定剤は、TINUVIN 292(米国登録商標)である。
本発明の一態様では、紫外線吸収剤は、TINUVIN 1130(米国登録商標)である。
本発明の一態様では、第1溶媒は、無水アセトンおよびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートである。
本発明の一態様では、架橋剤は、ポリイソシアネートである。
本発明の一態様では、ポリイソシアネートは、DESMODUR N−3300(米国登録商標)である。
本発明の一態様では、触媒は、ジブチル錫ジアセテートである。
本発明の一態様では、架橋剤は、メラミンホルムアルデヒド樹脂である。
本発明の一態様では、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、ヘキサ(メトキシメチル)メラミンである。
本発明の一態様では、ヘキサ(メトキシメチル)メラミンホルムアルデヒド樹脂は、CYMEL 303(米国登録商標)およびRESIMENE 747(米国登録商標)からなるグループから選択される。
本発明の一態様では、第2溶媒は、アセトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物、またはメチルエチルケトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物である。
【0006】
本発明の一態様はコーティング組成物であって:
BOLTORN H40(米国登録商標)ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル;
G−cure 108BL70(米国登録商標)アクリルポリオール;
BYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)に被包された複数のNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子;
BYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)に被包された複数のNANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子;
TINUVIN 292(米国登録商標)立体的ヒンダードアミン系光安定剤;
TINUVIN 1130(米国登録商標)紫外線吸収剤;
ジブチル錫ジアセテート触媒;および
無水アセトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第1の成分と:
DESMODUR N−3300(米国登録商標)ポリイソシアネート;および
アセトンまたはメチルエチルケトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物と;
を有する第2の成分とを備え:
上記の第1および第2の成分が混合されて上記コーティング組成物が形成される。
本発明の一態様では、上記コーティング組成物は、ZONYL 8857A(米国登録商標)ヒドロキシル機能性フッ素系界面活性剤をさらに備える。
【0007】
本発明の一態様はコーティング組成物であって:
BOLTORN H40(米国登録商標)ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル;
G−CURE 108BL70(米国登録商標)アクリルポリオール;
BYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)ヒドロキシル機能性シリコーンポリアクリレートに被包された複数のNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子;
BYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)ヒドロキシル機能性シリコーンポリアクリレートに被包された複数のNANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子;
TINUVIN 292(米国登録商標)立体的ヒンダードアミン系光安定剤;
TINUVIN 1130(米国登録商標)紫外線吸収剤;
酸触媒;および
無水アセトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第1の成分と:
CYMEL 303(米国登録商標)またはRESIMENE 747(米国登録商標)メラミンホルムアルデヒド樹脂;および
アセトンまたはメチルエチルケトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第2の成分とを備え:
上記の第1および第2の成分が混合されて上記コーティング組成物が形成される。
本発明の一態様では、上記コーティング組成物の酸触媒はスルホン酸である。
本発明の一態様では、上記スルホン酸は、p-トルエンスルホン酸とドデシルベンジルスルホン酸からなるグループから選択される。
本発明の一態様では、上記コーティング組成物は、ZONYL 8857A(米国登録商標)ヒドロキシル機能性フッ素系界面活性剤をさらに備える。
【0008】
本発明の一態様は、表面保護用コーティングであって、基材表面上に堆積させて硬化および乾燥させた後の上記のコーティング組成物のいずれかを備える。
【0009】
本発明の一態様は、基材表面に表面保護コーティングを形成する方法であって:
上記コーティング組成物のいずれかを提供する工程と;
第1および第2の成分を混合しておよそ1時間を経ないうちに基材表面上にコーティング組成物を堆積させる工程と;および
堆積したコーティング組成物を硬化させる工程と;を備える。
本発明の一態様では、上記の方法において、硬化させる工程は、堆積したコーティング組成物を加熱する工程を備える。
【0010】
本発明の一態様はコーティング組成物であって:
BOLTORN H40(米国登録商標)ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル;
G−cure 108BL70(米国登録商標)アクリルポリオール;
ZONYL 8857A(米国登録商標)に被包された複数のNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子;
ZONYL 8857A(米国登録商標)に被包された複数のNANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子;
TINUVIN 292(米国登録商標)立体的ヒンダードアミン系光安定剤;
TINUVIN 1130(米国登録商標)紫外線吸収剤;
ジブチル錫ジアセテート触媒;および
無水アセトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第1の成分と:
DESMODUR N−3300(米国登録商標)ポリイソシアネート;および
アセトンまたはメチルエチルケトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第2の成分とを備え:
上記の第1および第2の成分が混合されて上記コーティング組成物が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは図1Bとともに、本発明のコーティング組成物の自浄作用を示す図である。
【図1B】図1Bは図1Aとともに、本発明のコーティング組成物の自浄作用を示す図である。
【0012】
表1は、本発明の表面保護用コーティングの実施例であるZYVERE(米国登録商標)を現在入手可能な市販コーティングと比較した研究室試験結果の概要である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、架橋樹枝状ポリマーを備える表面保護用コーティング、およびその生成方法に関する。現時点における好適な実施形態では、上記樹枝状ポリマーはヒドロキシル機能性を有する。ヒドロキシル機能性樹枝状ポリマーは、如何なるヒドロキシル官能価を有していても構わないが、現時点では約40乃至約80であることが好ましい。
【0014】
ここで用いられるように、用語「ヒドロキシル機能性」および「ヒドロキシル官能価」は、示された官能基であって、典型的にこれらの基と反応する試薬と反応可能な多官能分子上の官能基の種類と数を指す。例えば、樹枝状ポリマーに関しては、それはポリマーのn次世代(nth generation)の有効な官能基の数を指す。従って、それに限定されないが、例えば、ヒドロキシル官能価60を有する樹枝状ポリマーは、ヒドロキシル基と反応する試薬と反応するポリマーの外「表面」上の有効な60個のヒドロキシル基を有すると理解されよう。
【0015】
実施形態によっては、コーティングとしての有益な特性の更なる向上のために、コーティングは分散されたナノ粒子をも含む。ナノ粒子は、官能基を有するポリマーでコートすること、またはポリマー内に被包することができ(本明細書ではこれらの用語は区別無く使用される)、その場合、その官能基はデンドリマーの官能基と反応する試薬と同じ試薬と反応する能力を有する。こうして、ナノ粒子は架橋に関与することになり、樹脂コーティングの不可欠な部分となる。従って、本発明のコーティングの調合に用いるために現時点で好ましいヒドロキシル機能性樹枝状ポリマーを選択する場合、ナノ粒子を被包するのに用いるポリマーもヒドロキシル機能性を有することが好ましい。現時点で好ましいナノ粒子を被包するヒドロキシル機能性ポリマーは、ヒドロキシル機能性シリコーンアクリルポリオールである。
【0016】
上記コーティングは2つの成分を混合することにより形成され、成分のうちの一方は、ヒドロキシル機能性樹脂先行物質とオプションの添加成分とを備え、成分のうちの他方は、ヒドロキシル基と反応する能力を有する架橋剤を備える。上記2つの成分は、混合する際に、常温条件下で硬化させてもよく、または代替として、本明細書に記載する従来の処理方法を用いて熱硬化条件下で硬化させてもよい。
【0017】
現時点で好ましい架橋剤は、ヒドロキシル基と反応してウレタンの形成を可能にするポリイソシアネートである。使用可能な他の架橋剤は、ヒドロキシル基と反応してアセタールの形成を可能にするメラミンホルムアルデヒド樹脂である。
【0018】
本発明の様々な実施形態は、以下のものに限定しないが、相手先ブランド製造(OEM)自動車上塗り塗料、自動車補修用上塗り塗料、自動車補修用カスタムペイント、車両市場、産業機器、船舶用上塗り塗料、軍需関連、航空関連、コンシューマ製品等の用途への使用に適している。本コーティングは、長期光沢維持能力、超高撥水性、優れた引っかき抵抗性、および放塵特性を有する非常に硬質の保護表面を提供する。コーティング表面は自浄特性を持つことができ、完全に硬化したコーティング表面を水滴が転がるとき、水滴は埃や汚れを取り込んで洗浄された表面が残される。
【0019】
本発明のコーティングは、例えば自動車産業で使用されるような、現行の多目的保護用コーティングを超えた多くの長所を示す。例えば、先行するコーティング組成物、すなわち上記の2つの成分が混合されてまだ硬化していない時の組成物は、比較的高い固体成分含有量(例えば、50乃至65%)および低粘性を有し、組成物を基材へ塗付し易くする。さらに、硬化したコーティングは、以下に限定しないが、長期耐候性、自浄放塵特性、極めて高い引っかき抵抗性(ASTM D3363に基づく鉛筆硬度6Hに相当)、高耐薬品性(メチルエチルケトン(MEK)による摩擦1500回以上で表面損傷なし(ASTM D4752))、疎水性(水接触角90乃至100度に達するか、または超える)、高グロス(ASTM D523に基づく値92.2)、優れたグロス維持能力、および長期紫外線保護性能等の特有の物理特性を有する。例えば、本発明の実施形態は、Ceramiclear(米国登録商標)(PPG, Pittsburgh, PA)よりも高い引っかき抵抗性を有することを示した。
【0020】
ここで用いられるように、「先行する組成物」とは、上記の2つの成分が混合された後得られる組成物であって、基材表面上に堆積する寸前であるがまだ硬化していない組成物をいう。
【0021】
先行する組成物は、はけ塗り、浸し塗り、吹き付け等の一般的な自動車塗装手法を用いて基材のベースコートに塗付できる。相手先ブランド製造業(OEM)により一般的に使用されている大容量低圧(HVLP)、小容量低圧(LVLP)、圧縮空気吹き付け、および電動吹き付け装置を使用できる。塗付後、先行する組成物は外気または熱硬化により硬化されてもよい。
【0022】
本明細書におけるコーティングの湿った塗膜体は、約1乃至約2ミル(25乃至50ミクロン)の厚さの範囲であり、乾いた塗膜体は約2乃至約4ミル(50乃至100ミクロン)の厚さの範囲である。得られるコーティングは、従来のコーティングに比べて優れた平滑性、流れおよび垂れ耐性を持つ高いグロス表面を形成する。
【0023】
「湿った塗膜体」とは、表面上に吹き付けられた後、まだ液状の状態で存在する、先行する組成物を指す。上記組成物が硬化して固化したとき、それを「乾いた塗膜体」と称する。「平滑性」とは、コーティングが水平になる、またはより平坦につまりガラス状表面になることをいう。「流れ」とは、コーティングが吹き付けられる際に表面を流れ易いことをいう。「垂れ耐性」とは、たるみまたは流出なしにコーティングが鉛直方向に吹き付けられることをいう。ナノ粒子が、コーティングが塗付される際に垂直面に垂れる、つまり滴り落ちるのを防ぐので、本明細書による組成物から得られるコーティングは、優れた垂れ耐性を示す。
【0024】
本発明のコーティングは、SELF−CLEANING ACTION(米国登録商標)作用を有し、その作用とは、コートされた表面から、埃の粒子の蓄積を除去および減らすとともに、水滴をはじくコーティング能力をいう。その自浄作用により、従来のクリアコーティングによる表面よりも浄化および維持のし易いクリアコーティング表面が形成される。
【0025】
どのような固定理論にもとらわれることなく、コーティング組成物の自浄作用は、本発明のコーティング表面における酸化亜鉛ナノ粒子の光触媒特性に起因すると考えられる。それと同時に、その表面は、酸化亜鉛による紫外線の吸収により、紫外線で誘発される基材の劣化からも保護される。本明細書のコーティングは、基材表面に放塵特性を付与することもでき、その特性により完全に硬化してコートされた表面への埃、すす、および他の汚染物質の付着が低減または阻止される。その上、埃、すす、塗料、インク等の不要な堆積つまり残留物は、拭き取りにより比較的容易に除去できる。再び、どのような固定理論にもとらわれることなく、上記の放塵特性は、少なくとも部分的には、コーティング組成物およびシリコーンポリアクリレート等のポリマーに被包された酸化アルミニウムまたは酸化亜鉛のナノ粒子における樹枝状骨格樹脂構造に依ると考えられる。
【0026】
さらに、コーティング組成物は、白亜化を阻止することにより塗装表面の色を回復できる。「白亜化」は、風化や長時間陽光に曝露されることによる紫外線劣化により、表面においてコーティングが分解する際に生じる。ナノ粒子およびナノ構造樹脂粒子は、紫外線劣化の結果徐々に白亜化した、劣化した塗装を含む基材内の小さな窪みに侵入する能力がある。本コーティング組成物は、クリア(透明)で耐黄変性を有する。
【0027】
本コーティングの自浄特性は、少なくとも部分的には、本発明のコーティング組成物の疎水性にも依ると考えられる。疎水性コーティングは、コートされた基材から水滴をはじく。水滴は、玉状になり、完全に硬化した本発明の組成物から転がり易い。滴が表面上を移動するにあたり、埃や他の表面汚染物質を取り込むことにより本明細書におけるコーティングの自浄特性がさらに増強されると考えられる。この現象の図解による説明が図1Aおよび図1Bに示されている。図1Aは、表面汚染物質が存在する露出表面上の水滴を示す。図1Bは、本発明の商業ベースの実施形態であるZyvere(米国登録商標)ナノコーティングでコートされた表面上の水滴を示す。図1Bでは、水滴がコートされた表面を転がるにつれて、コートされた表面から表面汚染物質を取り込みながら搬送する。
【0028】
本発明のコーティングの疎水性は、表面の浄化および維持をも助長する。例えば、コートされた基材の乾燥が加速されて「スポッティング(斑点)」の低減または除去をもたらす。表面処理された酸化アルミニウムのナノ粒子は、さらに疎水性を高め、また引っかき抵抗性を高める。疎水性は、樹枝状骨格樹脂構造および被包された酸化亜鉛ナノ粒子に拠っても高められる。
【0029】
一般的な自動車用ポリウレタンコーティングは、2乃至6個のヒドロキシル基のヒドロキシル官能価を有するアクリルポリオールを用いて合成される。ポリオールは、同様に2乃至6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートによって硬化される。硬化時間を早めるためにジブチル錫触媒が通常使用される。さらに、表面平滑剤、流れ添加剤、着色用顔料、および種々の溶媒を含む添加剤が、流れ、平滑性および硬化時間を促進するために一般に添加される。
【0030】
現時点における本発明の好適な実施形態では、樹枝状ポリマーは、約40乃至約80のヒドロキシル官能価を有する樹枝状ポリエステルである。樹枝状ポリエステルの分子量は、約5,000乃至10,000の範囲を取り得る。具体的には、ヒドロキシル官能価が60であるBOLTORN H−40(米国登録商標)が現時点では好ましい。ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステルは、2乃至6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネート架橋剤を用いて架橋できる。現時点で好ましいポリイソシアネートは、DESMODUR N−3300(米国登録商標)である。硬化時間を早めるためにジブチル錫触媒を使用できる。
【0031】
現時点で好ましいポリイソシアネート架橋剤の代替は、それに限定はしないが、例えば、CYMEL 303(米国登録商標)またはRESIMENE 747(米国登録商標)等のメラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤である。メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤は、通常、強酸触媒を必要とする。本発明のコーティングの調合に用いる現時点で好ましい酸触媒は有機酸であり、具体的には、ここでもそれに限定しないが、例えば、p-トルエンスルホン酸やドデシルベンジルスルホン酸等の有機スルホン酸である。
【0032】
本発明の2成分システムの第1の成分を形成するために、樹枝状ポリエステルは、それらに限定しないが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルnアミルケトン、エチレングリコールnプロピルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールnプロピルエーテルアセテート等の好適な溶媒で溶解できる。
【0033】
本発明の実施形態によっては、完成樹脂組成物は、樹枝状ポリエステルに加えて2乃至6のヒドロキシル官能価を有するアクリルポリオールをも含むことができる。アクリルポリオールの追加により、コーティング組成物の固さおよび脆弱性を低減し易くなる。
【0034】
現時点における好適な実施形態では、コーティング組成物は、架橋されたコーティング組成物中に分散された金属ナノ粒子をも含むことができる。そのようなナノ粒子の代表例には、それらに限定されないが、酸化アルミニウム(Al)ナノ粒子および/または酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子が含まれる。酸化アルミニウムナノ粒子は、約10乃至約500nmの範囲の粒子サイズを持つことができ、現時点で好ましくは約20乃至約60nmである。現時点で好ましい酸化アルミニウムナノ粒子は、市販のNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子である。同様に、酸化亜鉛ナノ粒子は、約10乃至約500nmの範囲の粒子サイズを持つことができ、現時点で好ましくは約50乃至約70nmである。現時点で好ましい酸化亜鉛ナノ粒子は、市販のNANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子である。AlおよびZnのナノ粒子は、本明細書の他の部分に記載されているコーティング組成物に望ましい特性を付与する。本発明の一実施形態では、ナノ粒子は溶媒中に分散されて、懸濁液を形成する。次に、ナノ粒子懸濁液は、上述の他の先行する成分を含む溶液と混合することができる。先行する組成物成分とナノ粒子とを含む懸濁液は、次に架橋剤と混合されて、最終的に、硬化後、分散ナノ粒子を含む高度に架橋されたポリウレタンコーティングとなる。
【0035】
本発明の現時点で特に好適な実施形態では、アルミニウムおよび亜鉛のナノ粒子はポリマーに被包される。好ましいことに、ポリマーはナノ粒子に対して高粘着性を示す。さらに、ポリマーは、選択した架橋剤と架橋する能力のある官能基を保有することができる。例えば、選択した架橋剤がポリイソシアネートまたはメラミンホルムアルデヒドの場合、被包ポリマーをヒドロキシル機能性ポリマーとすることができる。従って、被包ポリマーは架橋反応に関与する能力を有し、それによりナノ粒子を完成架橋コーティング樹脂組成物内のデンドリマーに固定することができる。現時点で好ましい架橋剤としては、それに限定しないが、BYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)等のヒドロキシル機能性シリコーンポリアクリレートがある。被包された酸化アルミニウムおよび/または酸化亜鉛のナノ粒子は、引っかき抵抗性を向上させ、疎水性を高め、コーティングの表面自浄特性を高める。本発明のコーティングは、酸化アルミニウムおよび酸化亜鉛の双方のナノ粒子を備えることが現時点では好ましい。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態は、ヒドロキシル機能性フッ化炭素、すなわちそれに限定しないが、現時点では具体的にはフッ素系界面活性剤ZONYL 8857A(米国登録商標)(DuPont)等のヒドロキシル機能性フッ素化メタクリレートポリマーをも含む。ZONYL 8857A(米国登録商標)は、追加の撥油撥水性およびより強力な浄化能力を完成コーティングに提供する。ここで述べられている他のヒドロキシル機能性添加剤と同様に、ヒドロキシル機能性フッ化炭素は完成樹脂の架橋に関与することになる。なぜならば、選択した架橋剤がポリイソシアネートであれ、メラミンホルムアルデヒド樹脂であれ、あるいは他の好適な架橋剤であれ、ヒドロキシル機能性フッ化炭素もまた選択した架橋剤と反応するからである。選択にあたっては、全樹脂重量に対する重量比で約0.2乃至0.3%のフッ素系界面活性剤の添加が、現時点では好ましい。幾つかの実施形態では、ヒドロキシ機能性フッ化炭素ポリマーは、ヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレートとともにコーティング組成物に含まれている。他の実施形態では、ヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレートの代わりに用いられる。
【0037】
実施形態によっては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)をコーティング組成物に含めることができる。HALSは、ポリマーの光誘起型劣化に対する効果的安定剤として当業者に周知である。現時点で好ましいHALSは、TINUVIN 292(米国登録商標)である。
【0038】
実施形態によっては、紫外線吸収剤をコーティング組成物に含めることができ、その実例としては、それに限定しないが、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールがあり、市販ではTINUVIN 1130(米国登録商標)として入手可能である。
【0039】
上記の添加成分の各々は、現時点では、架橋剤を含む第2の成分と混合される前に、先行する組成物のうちの第1の成分に含めるのが好ましい。1つ以上の添加成分が、選択した架橋剤と反応しないことが既知であるか、または反応しないことが示された場合、当然ながら、それは2成分システムのうちの第2の成分に含めることができる。
【0040】
樹枝状ポリエステルは、架橋されたコーティングの引っかき抵抗性、耐候性、耐薬品性、疎水性、表面固さ、および紫外線抵抗性を向上させる。樹枝状ポリマーは、高度に分岐した樹枝状構造を持ち、その最も外側の枝部は、本実施例における複数のヒドロキシル基のような、多数の活性官能基を備えることができる。これらのヒドロキシル基は、アクリルポリオールが組成物に含まれている場合はそのヒドロキシル基とともに、および、フッ素系界面活性剤が組成物に含まれていればフッ素系界面活性剤とともに、ならびに、ヒドロキシ機能性ポリマーでコートされたAlおよびZnのナノ粒子とともに、ポリイソシアネート架橋剤と反応して三次元樹脂構造を創成することができる。結果として得られるデンドリマー含有樹枝構造は、アクリルジオールまたはアクリルトリオール、およびジイソシアネート架橋剤またはポリイソシアネート架橋剤から合成される一般的な自動車用ポリウレタンコーティングよりも引っかき抵抗性および耐候性が遥かに高いコーティングを生成する。
【0041】
本発明の基本組成物はクリアであって、表面の外観に他の特別な影響を与えることなく保護するのに使用できるが、本発明の幾つかの実施形態では、種々のペイント用顔料を樹脂組成物に添加してカラーマスキング、艶消し外観、または「暗闇の中の輝き」的効果を創成できる。
【0042】
本発明の例示的な架橋樹枝状ポリウレタンクリアコーティングは、下記に示す反応混合物から形成できる。記号「サイドA」および「サイドB」は、本明細書のコーティング組成物の別個の成分を指し、それら成分は使用にあたり、別の容器に収納し使用する直前に混合する。
a)約40乃至約80のヒドロキシル官能価を有する高固体(40乃至60重量%)ヒドロキシル機能性ポリエステルデンドリマー(サイドAに使用)。樹枝状ポリエステルは、ナノ粒子がヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレートおよび/またはフッ素系界面活性剤でコートされていない場合、ナノ粒子のバインダーとして機能できる。樹枝状ポリエステルは、アセトンまたは他の好適な溶媒中で溶解でき、それにより粘性が低減される。アセトンはVOC免除溶媒である。アセトンは無色溶媒であり、蒸発速度1のn−ブチルアセテートに比較して高い蒸発速度3.8を持つ。
b)2乃至約6のヒドロキシル官能価を有する高固体(40乃至60重量%)ヒドロキシル機能性アクリルポリオール(サイドAに使用)。
c)好適な溶媒(それに限定しないが、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)中に被包された、約20乃至約40nmの平均粒子サイズの酸化アルミニウムナノ粒子の分散媒または懸濁液。酸化アルミニウムナノ粒子は、2乃至約4のヒドロキシル官能価を有するヒドロキシル機能性シリコーンポリアクリレートおよび/またはフッ素系界面活性剤に被包される(サイドAに使用)。
d)好適な溶媒(それに限定しないが、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)中に被包された、約50乃至約70nmの平均粒子サイズの酸化亜鉛ナノ粒子の分散媒または懸濁液(サイドAに使用)。酸化亜鉛ナノ粒子も、また、上述の2乃至約4のヒドロキシル官能価を有するヒドロキシル機能性シリコーンポリアクリレートおよび/または上述のフッ素系界面活性剤に被包される。
e)ジブチル錫ジアセテートポリウレタン触媒(サイドAに使用)。
f)立体的ヒンダードアミン系光安定剤(サイドAに使用)。
g)ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(サイドAに使用)。
h)2乃至約6のイソシアネート官能価を有する高固体(40乃至60重量%)ポリイソシアネート架橋剤(サイドBに使用)。一般的なポリイソシアネートは、イソシアネート(NCO)含有量が15乃至20%である。本発明の実施形態は、NCO含有量20%を超えるポリイソシアネートの使用を含む。
【0043】
架橋可能な先行する組成物(樹枝状ポリエステル、アクリルポリオール、ヒドロキシル機能性フッ素系界面活性剤、ヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレート、およびポリイソシアネート)は、下記で説明するような処理技術を用いて混合される。混合された先行物から得られた組成物は、架橋する前は、低粘性溶液(または、ナノ粒子が存在する場合は、分散媒)である。架橋後のコーティングは、高架橋密度のクリアコーティングとなる。
【0044】
本発明のコーティングの全般的な機能および特性は、以下の因子によって決まる:使用するバインダーの種類、バインダー濃度および固体レベル、分岐の程度と種類、架橋の程度、官能性/反応性、NCO含有量、NCO/OH比、ヒドロキシル含有量、触媒の種類と濃度、溶媒の選択と特性、コーティング内添加剤の種類、反応基の含有量、および原材料の物理的状態。
【0045】
一般的に、特定反応物のヒドロキシル含有量が高いほど、コーティング組成物はより固く、耐薬品性がより高くなる。対照的に、ヒドロキシル含有量が低いほど、得られる架橋コーティング組成物はより軟らかく、より柔軟になる。一般的に、分岐の程度が高度になるほど、架橋密度が高まり、結果として、耐薬品性、引っかき抵抗性、および耐候性が高くなる。また一般的に、ポリイソシアネート架橋剤のNCO含有量が高いほど、コーティング組成物はより固く、耐薬品性がより高くなる。本明細書に記載する例示的実施形態は、高NCO含有量を用い、柔軟性および耐候性が高く、引っかき抵抗性が高いコーティングを生成する。
【0046】
現時点で好ましいヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステルは、それに限定しないが、2,2−ジメチロールプロピオン酸等のポリヒドロキシ機能性エステルから作られる。樹枝状ポリエステル粒子のドメインサイズは、約1乃至約20nmの範囲である。走査電子顕微鏡法(SEM)、小角中性子散乱(SANS)、および小角X線散乱(SAXS)による研究から、樹脂の網状構造の大部分に渡りこれらのドメインの一様な三次元分布が存在することが解ってきている。樹枝状機能性ポリエステルから合成される架橋コーティング組成物は、塗装された金属、塗装されたプラスチック面、ガラス、ある種のプラスチック素材、ガラス繊維、およびその他の材料を含む様々な基材に付着する。
【0047】
用語「デンドリマー」とは、樹枝状分岐構造を有するポリマーを指す。架橋を最大にして架橋コーティングの性能を最適化するために、ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル、アクリルポリオール、ポリイソシアネート、およびヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレート樹脂の化学量論比を変更してもよい。選択した反応比は、使用したポリイソシアネート樹脂の当量に比例する樹枝状ポリエステル、アクリルポリオール、およびヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレートの当量から算出できる。樹枝状ポリマーは、小規模の分岐または無分岐のポリマーに比べて多数の反応基を与える高度に分岐した構造によって特徴付けられる。樹枝状ポリマーは、高分子量においても処理し易くする優れた流れ特性をもたらす球状構造を持つ傾向がある。高濃度の反応基は、広範囲の最終用途に対する特性の個別対応をし易くする。樹枝状ポリエステルは、高度な分子均一性、比較的狭い分子量分布、特定のサイズおよび形状特性、および高度に官能化された末端面つまり末端基を有する。
【0048】
樹枝状ポリマーの合成は、中央開始剤中核部(central initiator core)で開始する一連の繰り返しステップを含む。後続の各成長ステップは、より大きな分子直径、2倍の数の反応表面部位、および先行世代のほぼ2倍の分子量を持つポリマーの新しい「世代(generation)」を示す。本発明の実施形態で使用される例示の樹枝状ポリマーは、40乃至80のヒドロキシル官能価を有する第4世代デンドリマーである。密に分岐した脂肪族構造および樹枝状ポリエステルの高官能性は、揮発性有機化合物(VOC)含有量が少ない溶媒を用いた合成を可能にし、反応混合物の急速乾燥を可能にする。密に分岐した脂肪族構造および樹枝状ポリエステルの高官能性は、また、優れた引っかき抵抗性、優れた柔軟性、撥水性、および優れた耐薬品性を有する架橋された組成物の合成をも可能にする。
【0049】
本発明のコーティングの調合において、ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステルは、架橋の構成要素として、またエラストマー架橋剤として用いられる。ポリイソシアネートと架橋するヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステルを使用して本発明の高度に架橋されたポリウレタンを生成することにより、得られる樹脂のガラス転移温度Tgを上昇させ易くなる。通常は、ガラス転移温度が高いほど、ショア硬度テスト等の手法で測定されるコーティング表面のかたさは増す。
【0050】
架橋を最大にして架橋されたコーティングの性能を最適化するために、アクリルポリオール、ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル、ヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレートおよび/またはフッ素系界面活性剤の化学量論比をポリイソシアネートと対応させてもよい。反応比は、ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル、アクリルポリオール、およびヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレートの当量およびポリイソシアネートの当量から算出できる。アクリル樹脂は、塗料、金属、木、およびプラスチックを覆う高固体クリアコーティングとして従来から使用されている。
【0051】
ジブチル錫ジアセテート等の触媒は、通常は2成分ポリウレタンコーティングに使用され、特に脂肪族ポリイソシアネートを含むコーティングにおいて硬化時間を短縮する。ジブチル錫ジラウレート、亜鉛オクトアート、およびトリエチレンジアミン等の種々の他の化合物も、また、2成分コーティングおよび1成分湿気硬化型の双方に対する好適な代替触媒として使用できる。
【0052】
ナノ粒子は、いくつかの方法において、コーティングの特性を改善することができる。例えば、アルミナやシリカ等の硬質粒子がコーティングに含まれると、引っかきおよび摩擦抵抗性が向上することは周知である。ただし、直径数ミクロンの大きな粒子を使用すると、例えばクリアコーティングのグロスや透明度が損なわれ、その上、コーティングの柔軟性または強度が著しく劣化する等の望ましくない結果を招くおそれがある。
【0053】
一方で、ナノ粒子は総じてこのような不利益な作用を及ぼさず、ミクロンサイズの粒子より優れた利点を有する。ナノ粒子とは、約1乃至約500nmの大きさの粒子をいう。アルミナや亜鉛等の特定のナノ粒子は、引っかき抵抗性を向上させるが、他のコーティング特性へは殆ど影響を及ぼさない傾向を持つ。特に、コーティングのグロス、透明度、および柔軟性は、変化しないか、またはナノ粒子による実質的な影響を受けない。
【0054】
ナノ粒子によるコーティング特性の向上は、コーティング中におけるナノ粒子の、均一または実質的に均一な分散および安定により促進される。ナノ粒子は、液体有機担体中に程よく分散された分散媒の市販品として入手可能である。ナノ分散媒は、当業者に公知の方法を用いて適切なせん断力を加えながらコーティング反応混合物に添加できる。
【0055】
本明細書に記載する樹枝状ポリウレタンクリアコーティングには、アルミニウムおよび亜鉛の酸化金属ナノ粒子が用いられる。実施形態によっては、粒子は全く凝集しないか、または実質的に凝集しない。この酸化金属ナノ粒子は、物理蒸着合成(Physical Vapor Synthesis,PVS)プロセスを用いて製造できる。このプロセスでは、高温で蒸気を発生させるために固体先行物(典型的には金属)にアークエネルギーを印加する。次に反応ガスを蒸気に添加し、その後管理された速度で冷却して凝結させてナノ粒子を形成する。PVSプロセスにより生成されるナノ材料には、分離した、無孔質または実質的に無孔質の明確に結晶性を持つ粒子が含まれる。この手法では、平均サイズが8乃至75nmからの範囲の粒子が作られる。
【0056】
酸化アルミニウムナノ粒子および酸化亜鉛ナノ粒子のいずれか、または双方を架橋ポリウレタンコーティングに組み込むことにより、コーティング組成物の引っかき抵抗性および堅牢性を向上させ易くなる。酸化アルミニウムナノ粒子は、約1乃至約500nmの均一な、または実質的に均一な粒子サイズ分布を有することができ、現時点では約20乃至約40nmが好ましい。酸化亜鉛ナノ粒子は、約1乃至約500nmの均一な、または実質的に均一な粒子サイズ分布を有することができ、現時点では約50乃至約70nmが好ましい。ナノ粒子は、架橋された組成物による補強により引っかき抵抗性を改善できる。ナノ粒子は、反応混合物内にナノ粒子の液体の分散媒を含ませることによりポリマー組織全体に渡り組み込むことができる。酸化アルミニウムナノ粒子または酸化亜鉛ナノ粒子は、それに限定しないが、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート中の分散媒として使用できる。プロピレングリコールメチルエーテルアセテートは、nブチルアセテートを1として0.3倍の蒸発速度を持つ無色溶媒である。プロピレングリコールメチルエーテルアセテートは、上述の反応成分に対して優れた溶解特性を有する。
【0057】
実施形態によっては、ナノ粒子は、表面が処理される、すなわちヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレート樹脂および/またはフッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)内へ被包される。ヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレートは、コーティング組成物の樹脂組織内へ架橋できる。被包ポリマーの架橋は、引っかき抵抗性を高め、コーティング組成物の表面の疎水性を高める作用を有する。さらに、組み込みナノ粒子は、コーティング組成物の自浄作用を創成または強化する。ナノ粒子によるコーティングの引っかき抵抗性の向上は、ナノ粒子がシリコーンポリアクリレートおよび/またはフッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)内に被包される場合、劇的に促進される傾向がある。シリコーンポリアクリレートおよび/またはヒドロキシル機能性フッ素化メタクリレートフッ素系界面活性剤は、引っかきおよび摩擦抵抗性、長期撥水性、および滑りきず抵抗性の改善を含む、ナノ粒子の全体的な性能を大幅に向上させる傾向がある。ナノ粒子は、光学的透明度、グロス、色、または他の物理的コーティング特性に重大な影響を及ぼすことなく、長期の引っかき、きず、および/または摩擦の抵抗性を生じさせる。これらの粒子は、低アスペクト比、高表面純度および化学的純度、および管理された界面化学的特性を有する。ナノ粒子は、分散性を向上させるために、シラン、シリコーン、またはフッ素系界面活性剤で被包できる。ヒドロキシル機能性シリコーンポリアクリレートまたはヒドロキシ機能性フッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)でナノ粒子を処理した表面は、表面コーティングの性能を劇的に向上させることが実験的に観察されている。
【0058】
コーティング組成物に酸化亜鉛ナノ粒子を組み込むことにより、コートされた基材の紫外線劣化を軽減または防止し易くなり、コーティング表面への埃の付着を軽減または防止し易くなる。これらの作用は、酸化亜鉛ナノ粒子の電子が紫外線被曝により励起される光触媒プロセスによる。この光触媒プロセスは、基材の黄変を軽減または防止する。酸化亜鉛分散媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートで希釈される。
【0059】
上記のように、ヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレートおよび/またはヒドロキシ機能性フッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)を使用して、酸化アルミニウムまたは酸化亜鉛のナノ粒子を表面処理することにより、架橋ポリマー組織全体に渡り、疎水、落書き防止、および自浄放塵の作用を生み出すことができる。ヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレート樹脂またはヒドロキシル機能性フッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)は、上述の他の反応成分と架橋して、疎水および放塵特性を持つ恒久的なコーティングを生成する。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために供されるに過ぎず、方法の如何を問わず本発明の範囲を制限する意図はなく、またそう解釈されるものではない。
【0061】
[実施例1]
実施例1は、2成分樹枝状ポリウレタンクリアコーティングの調合を示す。パートAは樹脂成分に言及し、パートBは架橋剤成分または「活性剤」成分に言及し、架橋剤成分は本明細書ではしばしば活性剤成分と互換的に参照される。パートAとパートBは、容積比で1:1で混合される。
ステップ1:パート(A)
200mlの密封した丸底フラスコには、4乃至6グラムのBOLTORN H40(米国登録商標)ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル(スウェーデン、パーストープ市、Perstorp Specialty Chemicals社)および12グラムの無水アセトンが入れられている。上記の材料を5乃至10分間攪拌する。
ステップ2:パート(A)
別の100ml丸底フラスコには、20乃至30グラムのG CURE 108BL70(米国登録商標)(オハイオ州、シンシナティ市、Cognis Polymers社)が入れられている。このフラスコを混合用主容器として用いてパート(A)樹脂を生成する。
ステップ3:パート(A)
ステップ2で説明した100ml丸底フラスコを用いて、ステップ1で説明した樹枝状ポリエステル溶液15乃至20グラムを添加して、樹枝状ポリエステル溶液が完全に分散するまで混合物を40乃至60秒間攪拌する。
ステップ4:パート(A)
ステップ3で説明した100ml丸底フラスコを用いて、0.25乃至0.3グラムのジブチル錫ジアセテート(オハイオ州、クリーブランド市、OMG Group製、DBTA(dibutyltin diacetate))を添加して触媒が溶解するまで混合物を40乃至60秒間攪拌する。
ステップ5:パート(A)
別の50ml丸底フラスコには、3.5乃至5.5グラムのNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ分散媒(ドイツ、ヴェッセル市、BYK Chemie社製、10%の酸化アルミニウムナノ粒子(20乃至40nm)と90%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)が入れられている。続いて、上記フラスコに、0.5乃至0.8グラムの酸化亜鉛ナノ分散媒(NANOBYK 3840(米国登録商標)、ドイツ、ヴェッセル市、BYK Chemie社製、10%の酸化亜鉛ナノ粒子(50乃至60nm)と90%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)を入れる。続いて、0.25乃至0.7グラムのBYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)(ドイツ、ヴェッセル市、BYK Chemie社)を添加して、完全に分散されるまで混合物を40乃至60秒間攪拌する。ナノ粒子に高親和性を示すヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレート樹脂は、ナノ粒子に付着しそれを被包して、シリコーンポリアクリレート殻を有するナノ粒子コア構造を形成する。
ステップ6:パート(A)
ステップ4で説明した100ml丸底フラスコを用いて、ステップ5で説明したナノ粒子分散媒液を4乃至6グラム添加して、ヒドロキシ機能性シリコーンポリアクリレートで表面処理したナノ粒子の分散媒が混ぜ合わせた混合物全体に十分に分散されるまで40乃至60秒間攪拌する。
ステップ7:パート(A)
続いて、ステップ6で説明した100ml丸底フラスコに0.3乃至0.5グラムの立体的ヒンダードアミン系光安定剤(TINUVIN 292(米国登録商標)、ニューヨーク州、タリータウン市、Ciba Specialty Chemicals社)を添加し、続いて、0.8乃至1.3グラムのヒドロキシフェニル−ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(TINUVIN 1130(米国登録商標)、ニューヨーク州、タリータウン市、Ciba Specialty Chemicals社)を添加する。上記材料が完全に分散されるまで混合物を40乃至60秒間攪拌する。パートA樹脂バインダー溶液が完成する。ステップ7で、パートB活性剤溶液の完成溶液と容積比1:1で混ぜ合わせる準備が整う。
ステップ8:パート(B)
別の100ml丸底フラスコに、8乃至15グラムのDESMODUR N−3300(米国登録商標)(ドイツ、レバークーゼン市、Bayer Material Sciences社、DESMODUR N−100(米国登録商標)も使用可)を入れる。
ステップ9:パート(B)
ステップ8で説明した100ml丸底フラスコに、15乃至22グラムのメチルエチルケトンまたはアセトンを入れて粘性を減ずる。続いて混合物を40乃至60秒間攪拌する。
ステップ10:パート(B)
続いて、ステップ9で説明した100ml丸底フラスコに、3乃至5グラムの蒸発速度0.3のプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを入れて、粘性を減じてコーティング組成物の蒸発速度を遅くする。続いて、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが完全に分散するまで混合物を40乃至60秒間攪拌する。
ステップ11
ステップ7で説明した100ml丸底フラスコを用いて、ステップ10で説明した全材料(27乃至32グラム)をステップ7で説明した46乃至50グラムの材料に混ぜ合わせ、混ぜ合わせた混合物が完全に分散するまで40乃至60秒間攪拌する。ステップ11には完成コーティング組成物の全ての原材料が含まれる。
【0062】
次の実施例は、樹枝状ポリウレタンナノコンポジットをベースとするコーティングの塗布情報である。ZYVERE(米国登録商標)は、本コーティングの一実施形態に対応する登録商標である。
【0063】
A. 一般的注意事項
活性剤(架橋剤)は、感湿性を有する。容器を密閉して湿気の混入を避けること。表面は完全に乾燥させ、水分が残っていないこと。ZYVERE(米国登録商標)は、一般のベースコートの塗装に重ねて塗付できる。
1.ZYVERE(米国登録商標)クリアナノコーティングの出来栄えは、表面の前処理の程度に比例する。コーティング前は、表面は非常に清浄で極度に乾燥した状態でなければならない。適した非水性洗浄剤またはウレタン級溶媒で、埃、グリース、遊離粒子、ワックス等を除去すること。
2.パネル表面は、コーティング前に、ランダムオービタルサンダーの、P800グリット(grit)またはそれ以上細かい目のサンドペーパーでこするか、またはGray Scotch−brite Pad(訳注:アメリカ3M社の紙やすり)でやすりがけすること。
3.ステップ1を繰り返し、続いて、表面を十分に乾燥させてからきれいなタッククロスで表面を払うこと。
4.適した基材(コーティング前にやすりがけおよび洗浄を行う必要がある):OEMエナメル、ウレタンベースコート、単層ウレタン、アクリルエナメル、アクリルラッカー、ポリカーボネート、ファイバーグラス、ガラス、セラミック、およびほとんどの塗装プラスチック
【0064】
B. 2成分システムの塗布方法:
1.確実に適切な付着がなされるように、表面を1500乃至2000グリットの紙やすりまたは000スチールウールで軽く水砥ぎすること。
2.コーティング前は、表面は非常に清浄でかつ乾燥した状態でなければならない。適した溶媒で、埃、グリース、遊離粒子、およびワックスを含む如何なる異物も除去すること。
3.確実に適切な硬化がなされるように、気温が72乃至80°F(19乃至27°C)、かつ湿度が50乃至65%の状態では、換気したスプレー室内で使用すること。
4.容量比1:1で同容量のZYVERE(米国登録商標)樹脂(パートA)とZYVERE(米国登録商標)活性剤(パートB)とを混合すること、例えば、100mlの樹脂パート+100mlの活性剤パート。
5.専用HVLP/LVLP塗料吹き付け器を使用して、ZYVERE(米国登録商標)混合物を塗付すること。流体の先端:1.3乃至1.4mmまたは同等量 空気圧:HVLP/LVLPガンの口金で8乃至10PSI
6.5乃至7インチの吹き付け距離で、最初に連続した1つの中間的コートを塗付して、次に1つの完全なコート(2層)を塗付すること。各層の塗付の間隔を5乃至10分間空けるとともに、5乃至10分経ってから焼付けして平坦化および溶媒蒸発を行うこと。
7.混合成分の可使時間(pot life)は60分である。
8.推奨焼付け条件は、150乃至170°F(金属温度)で30分間、+2時間冷却。
9.72°Fでの通気乾燥硬化:30分間無塵環境を保つ。4時間以内に処理する。72°Fで48時間以内にバフ研磨する(バフ研磨する前に表面固さを調べる)。
10.洗浄:アセトン、MEK、ドワノールPMAまたはMIBKを使用して覆われた面や吹き付け器を洗浄できる。
【0065】
C. 塗付におけるパラメータ
1.ガン圧:HVLP/LVLPガンの口金で8乃至10PSIに設定。通常は、ガンにおける空気圧を50乃至55PSIに調整する。
2.流体の先端:1.3乃至1.4mmまたは同等量
3.吹き付け間隔:コートの塗付の間隔は5乃至10分
4.混合:容量比1:1
5.塗膜体:コート厚1.4乃至1.8ミル
6.乾燥後完成塗膜厚:2乃至3ミル
7.推奨熱硬化条件:
a.バフ研磨:150乃至170°F(金属温度)で30分+2時間常温放置
b.赤外線加熱:中波15分間、短波8分間
8.通気硬化時間:72°Fで可使時間は60分である
a.無塵環境:72°Fで30分
b.触れるまでの乾燥時間:72°Fで2時間
c.テープ時間:72°Fで5乃至6時間
d.赤外線加熱:中波15分間、短波8分間
e.バフ研磨:72°Fで48時間
9.塗付情報:5乃至7インチの吹き付け距離で、最初に連続した1つの中間的コートを塗付して、次に1つの完全なコート(2層)を塗付する。各コートの塗付の間、溶媒蒸発および平坦化を行う。最初の塗付から5乃至10分以内に次のコートを塗付して、後に生じる可能性のある剥がれを防止する。10分間経ってから焼付けする。
10.重要事項:吹き付けガンの使用後は、ラッカーシンナーや洗浄溶剤で直ちに洗浄すること。石油スピリットの使用は避けること。
11.確実に適切な噴霧を行うためには、製造器具一式で測定可能な空気を確認することが肝要である。
【0066】
C. 硬化作業の段取り:
硬化時間は、ベースコートカラーの推奨乾燥塗膜厚1.0乃至1.5ミルおよびZyvereクリアナノコーティングの推奨乾燥塗膜厚2.0乃至3.0ミルに基づく。
【0067】
D. バフ研磨における注意事項:
1.熱硬化(現時点で好ましい条件): ZYVERE(米国登録商標)を150乃至170°F(金属温度)で30分間硬化させ、やすりがけまたはバフ研磨の前に2時間常温放置する。
2.通気硬化:ZYVERE(米国登録商標)を通常環境条件下で48時間硬化させた後、やすりがけまたはバフ研磨を行う。
3.必要に応じて、1500乃至2000のグリットの紙やすりで研磨する。
4.高品質の微粒(micro)仕上げ剤を使用して研磨パッドでバフ研磨を行い、次に微粒仕上げ用グレイズを用いる。
【0068】
[実施例3]
ZYVERE(米国登録商標)コーティングは、Eastern Michigan University(イースタンミシガン大学)においてStonebridge Technical Services社によってテストされた。その結果は表1に要約され、本明細書に記載するコーティングが、本調合物中のナノ粒子を使用しているPPG社CERAMICLEAR(米国登録商標)(米国公開特許出願第2003/0162876号および第2003/0162015号)を含む最も近い自動車用OEM修理用ポリウレタンクリアコーティングと比較して遥かに優れた性能を与えることを実証している。
【0069】
本明細書に記載するコーティング組成物は、低粘性の特徴により、吹き付けをし易くするとともに、塗装金属、アルミニウム、塗装プラスチック、ある種のプラスチック、ファイバーグラス、木、エポキシ、アクリル系および多くのポリウレタン系ベース塗装、パウダーコーティング等を含む種々の基材への化学的接着を容易にする。本コーティング組成物は、常温(約18℃)でNo.2(#2)ザーンカップ(Zahn Cup)を15乃至18秒間用いて測定されるコーティング粘度で特徴付けられる。
【0070】
【表1】

【0071】
[関連出願]
本願は、2007年3月15日に出願された米国仮特許出願第60/918,517号(および2008年3月14日に出願された米国特許出願第12/049,075号)の利益を請求するものであり、前記出願は、どの図面も含めて、本明細書にそっくりそのまま記載されているかのように、完全に取り込まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって:
ヒドロキシル機能性樹枝状ポリマー;
任意の、アクリルポリオール;
ヒドロキシル機能性ポリマーおよび/またはヒドロキシル機能性フッ素系界面活性剤に任意に被包される、複数の金属酸化物ナノ粒子;
任意の、立体的ヒンダードアミン系光安定剤;
任意の、紫外線吸収剤;
触媒;および
上記の材料が溶解される、またはナノ粒子の場合には分散される、第1溶媒;
を有する第1の成分と:
架橋剤;および
前記第1溶媒と同じであっても異なってもよい第2溶媒;
を有する第2の成分とを備え:
前記第1および第2の成分が混合されて、前記コーティング組成物が形成される、
コーティング組成物。
【請求項2】
前記ヒドロキシル機能性樹枝状ポリマーが、40乃至80のヒドロキシル官能価を有する、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項3】
前記ヒドロキシル機能性樹枝状ポリマーが、BOLTORN H−40(米国登録商標)である、
請求項2のコーティング組成物。
【請求項4】
前記アクリルポリオールが、2乃至6のヒドロキシル官能価を有する、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項5】
前記アクリルポリオールが、G−CURE 108BL70(米国登録商標)である、
請求項4のコーティング組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシル機能性フッ素系界面活性剤が、ZONYL 8857A(米国登録商標)である、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項7】
前記複数の金属酸化物ナノ粒子は、酸化アルミニウムナノ粒子、酸化亜鉛ナノ粒子、および両者の組合せからなるグループから選択される、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項8】
前記酸化アルミニウムナノ粒子が、NANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子である、
請求項7のコーティング組成物。
【請求項9】
前記酸化亜鉛ナノ粒子が、NANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子である、
請求項7のコーティング組成物。
【請求項10】
前記複数の金属酸化物ナノ粒子は、複数のNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子と複数のNANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子との混合物を備える;
請求項1のコーティング組成物。
【請求項11】
前記ヒドロキシル機能性ポリマーが、ヒドロキシル機能性シリコーンアクリレートである、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項12】
前記ヒドロキシル機能性シリコーンアクリレートが、BYK CLEANSIL 3700(米国登録商標)である、
請求項11のコーティング組成物。
【請求項13】
前記立体的ヒンダードアミン系光安定剤が、TINUVIN 292(米国登録商標)である、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項14】
前記紫外線吸収剤が、TINUVIN 1130(米国登録商標)である、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項15】
前記第1溶媒は、無水アセトンおよびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートである、請求項1のコーティング組成物。
【請求項16】
前記架橋剤が、ポリイソシアネートである、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項17】
前記ポリイソシアネートが、DESMODUR N−3300(米国登録商標)である、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項18】
前記触媒が、ジブチル錫ジアセテートである、
請求項17のコーティング組成物。
【請求項19】
前記架橋剤が、メラミンホルムアルデヒド樹脂である、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項20】
前記メラミンホルムアルデヒド樹脂が、ヘキサ(メトキシメチル)メラミンである、
請求項19のコーティング組成物。
【請求項21】
前記ヘキサ(メトキシメチル)メラミンホルムアルデヒド樹脂は、CYMEL 303(米国登録商標)およびRESIMENE 747(米国登録商標)からなるグループから選択される、
請求項20のコーティング組成物。
【請求項22】
前記第2溶媒は、アセトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物、またはメチルエチルケトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物である、
請求項1のコーティング組成物。
【請求項23】
請求項1のコーティング組成物であって:
BOLTORN H40(米国登録商標)ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル;
G−cure 108BL70(米国登録商標)アクリルポリオール;
BYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)に被包された複数のNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子;
BYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)に被包された複数のNANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子;
TINUVIN 292(米国登録商標)立体的ヒンダードアミン系光安定剤;
TINUVIN 1130(米国登録商標)紫外線吸収剤;
ジブチル錫ジアセテート触媒;および
無水アセトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第1の成分と:
DESMODUR N−3300(米国登録商標)ポリイソシアネート;および
アセトンまたはメチルエチルケトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第2の成分とを備え:
前記第1および第2の成分が混合されて、前記コーティング組成物が形成される、
コーティング組成物。
【請求項24】
ZONYL 8857A(米国登録商標)ヒドロキシル機能性フッ素系界面活性剤をさらに備える;
請求項23のコーティング組成物。
【請求項25】
請求項1のコーティング組成物であって:
BOLTORN H40(米国登録商標)ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル;
G−CURE 108BL70(米国登録商標)アクリルポリオール;
BYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)ヒドロキシル機能性シリコーンポリアクリレートに被包された複数のNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子;
BYK SILCLEAN 3700(米国登録商標)ヒドロキシル機能性シリコーンポリアクリレートに被包された複数のNANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子;
TINUVIN 292(米国登録商標)立体ヒンダードアミン系光安定剤;
TINUVIN 1130(米国登録商標)紫外線吸収剤;
酸触媒;および
無水アセトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第1の成分と:
CYMEL 303(米国登録商標)またはRESIMENE 747(米国登録商標)メラミンホルムアルデヒド樹脂;および
アセトンまたはメチルエチルケトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第2の成分とを備え:
前記第1および第2の成分が混合されて、前記コーティング組成物が形成される、
コーティング組成物。
【請求項26】
前記酸触媒が、スルホン酸である、
請求項25のコーティング組成物。
【請求項27】
前記スルホン酸は、p-トルエンスルホン酸とドデシルベンジルスルホン酸からなるグループから選択される、
請求項26のコーティング組成物。
【請求項28】
ZONYL 8857A(米国登録商標)ヒドロキシル機能性フッ素系界面活性剤をさらに備える、
請求項25のコーティング組成物。
【請求項29】
基材表面上に堆積させて、硬化および乾燥させた後の請求項1のコーティング組成物を備える;
表面保護用コーティング。
【請求項30】
基材表面上に表面保護コーティングを形成する方法であって:
請求項1のコーティング組成物を供給する工程と;
前記第1および第2の成分を混合して、およそ1時間を経ないうちに前記基材上に前記コーティング組成物を堆積させる工程と;および
前記堆積したコーティング組成物を硬化させる工程とを備える;
方法。
【請求項31】
前記硬化させる工程は、前記堆積したコーティング組成物を加熱する工程を備える;
請求項30の方法。
【請求項32】
請求項1のコーティング組成物であって:
BOLTORN H40(米国登録商標)ヒドロキシル機能性樹枝状ポリエステル;
G−cure 108BL70アクリルポリオール;
ZONYL 8857A(米国登録商標)に被包された複数のNANOBYK 3610(米国登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子;
ZONYL 8857A(米国登録商標)に被包された複数のNANOBYK 3840(米国登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子;
TINUVIN 292(米国登録商標)立体ヒンダードアミン系光安定剤;
TINUVIN 1130(米国登録商標)紫外線吸収剤;
ジブチル錫ジアセテート触媒;および
無水アセトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第1の成分と:
DESMODUR N−3300(米国登録商標)ポリイソシアネート;および
アセトンまたはメチルエチルケトンとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとの混合物;
を有する第2の成分とを備え;
前記第1および第2の成分が混合されて、前記コーティング組成物が形成される、
コーティング組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2010−521564(P2010−521564A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553839(P2009−553839)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/057242
【国際公開番号】WO2008/113075
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(509258474)ナノビア テクノロジーズ,インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOVERE TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】4023 S.Old US23,Suite 101,Brighton,Michigan 48114,United States of America
【Fターム(参考)】