説明

樹脂ワニスの製造方法及び樹脂ワニス

【課題】 樹脂の不溶解成分の発生及び無機充填材の均一分散を確保しつつ、高濃度で高粘度の樹脂ワニスを製造する。
【解決手段】 スラリー化されていないメチルイソブチルケトンに、重量平均分子量が小さい第1のシアネート樹脂を混合撹拌した後、エポキシ樹脂を混合撹拌して第1の溶液を得る。この第1の溶液に、ビフェニル樹脂及び重量平均分子量が大きい第2のシアネート樹脂を混合撹拌して樹脂溶液を得る。この樹脂溶液中にシリカを逐次添加して、シリカ配合の樹脂溶液を超音波分散及び超音波濾過して樹脂ワニスを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル機器用半導体パッケージ等の先端基板用の樹脂ワニス及びその製造方法に関し、特に、粘度及び濃度をより一層高めつつも、機能性フィラーとしての無機微粒子を均一にかつ効率よく分散することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
先端基板用の樹脂ワニスには、機械的特性、電気的特性、化学的特性等を付与するために、シリカ等の無機微粒子(無機充填材)を機能性フィラーとして混合することが多い。これらの機能性フィラーは、直径がμmオーダーの微粒子状であるため、エポキシ樹脂等の基材樹脂に混合した場合に凝集等しやすく、ワニス中に均一に分散させることが必ずしも容易ではなかった。
【0003】
この点を考慮して、従来の樹脂ワニスは、特に、無機微粒子等の機能性フィラーを多量に混合させる場合には、有機成分であるエポキシ樹脂等の基材樹脂との混合性を高めるために、図4に示すように、シリカ等の機能性フィラーを、スラリー化されたメチルイソブチルケトン(MIBK)等の有機溶媒に予め分散させたスラリー組成物に調製した上で(例えば、特許文献1参照)、これに、エポキシ樹脂等の基材樹脂及びビフェニル樹脂等の高耐熱賦与エポキシ硬化剤を混合して溶解させることにより樹脂溶液とし、次いで、適宜、この樹脂溶液にシアネート樹脂等の耐熱特性賦与樹脂を混合して溶解させることにより、製造されていた(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、先端基板においては、この熱硬化性樹脂ワニスのガラスクロスへの含浸厚みや、銅箔面に対する塗工厚みが不均一となると、誘電率が不安定になり、高速信号化した場合にノイズが発生したりして、その特性が低下するおそれがある。このため、これらの厚みのコントロール性や精度を向上させるために、先端基板用の樹脂ワニスには、近年、現行よりも一層、高粘度で、かつ、高濃度の性状が求められるに至っている。
【0005】
しかし、上述した従来の製造方法において、機能性フィラーの濃度を高めて高濃度の樹脂ワニスにすべく、機能性フィラーの混合量を増加させると、基材樹脂が有機溶媒に充分に溶解せず、樹脂ワニスとしての歩止まりが低下すると共に、スラリー化された有機溶媒の粘度が上昇して基材樹脂との混合精度や混合作業性が低下し、その結果、機能性フィラーを均一に分散させることが、より一層困難となる傾向があった。そのため、現行の方法では、固形分濃度で70%程度、粘度にして1ポイズ程度の樹脂ワニスとすることが限界であった。
【0006】
また、従来の製造方法による樹脂ワニスでは、このように、機能性フィラーの濃度が低いために、製造後の樹脂ワニス中における有機溶媒の残存成分の割合が相対的に大きくなり、有機溶媒成分を大量に消費することから、コストや環境への負荷の面においても、更なる改良が望まれていた。
【0007】
更に、上述した従来の製造方法では、機能性フィラーを、予めスラリー状にされた有機溶媒中へ分散するため、高濃度の樹脂ワニスとするためには、各成分を混合分散した後に、このスラリー化成分を除去等して、濃縮する工程を経る必要があったため、工程の複雑化及び長時間化を将来しており、生産性を低下させる一因とも成っていた。
【特許文献1】特開2002−285003号公報
【特許文献2】特開2006−36916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、粘度及び濃度をより一層高めつつも、樹脂の不溶解成分の発生を回避すると共に機能性フィラーとしての無機微粒子を均一にかつ効率よく分散することができる樹脂ワニスの製造方法、及び、そのような樹脂ワニスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、無機充填材が混合された樹脂ワニスの製造方法において、樹脂成分を有機溶媒中に予め溶解させて樹脂溶液とし、この樹脂溶液中に無機充填材を添加して混合した後、この無機充填材が混合された樹脂溶液に超音波振動エネルギーを付与して各成分を分散させ、更に無機充填材が混合された樹脂溶液を超音波振動エネルギーが付与された濾過フィルターにより濾過して、得られた濾液を樹脂ワニスとすることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、樹脂成分をスラリー化されていない有機溶媒中に予め溶解させて樹脂溶液とすることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、第1の耐熱特性賦与樹脂を有機溶媒中に混合して溶解させた後、基材樹脂を有機溶媒中に混合して溶解させて第1の溶液とした後、この第1の溶液中に高耐熱賦与基材樹脂硬化剤を混合して溶解させて、樹脂溶液を精製し、樹脂溶液に無機充填材を添加することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第3の解決手段において、第1の溶液中に、高耐熱賦与基材樹脂硬化剤に加え更に第1の耐熱特性賦与樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の耐熱特性賦与樹脂も混合して溶解させることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第1乃至第4のいずれかの解決手段において、有機溶媒として、メチルイソブチルケトンその他のケトン類を使用することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第3乃至第5のいずれかの解決手段において、基材樹脂として、エポキシ樹脂を使用することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第3乃至第6のいずれかの解決手段において、耐熱特性賦与樹脂として、シアネート樹脂を使用することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第3乃至第7のいずれかの解決手段において、高耐熱賦与基材樹脂硬化剤として、ビフェニル樹脂を使用することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第3乃至第8のいずれかの解決手段において、第1の耐熱特性賦与樹脂の重量平均分子量が600〜1000であり、混合する場合には第2の耐熱特性賦与樹脂の重量平均分子量が1500〜3000であることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第1乃至第9のいずれかの解決手段において、無機充填材を樹脂ワニス全体に対して17.5重量部〜51.5重量部の割合で添加することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0019】
本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、上記第1乃至第10のいずれかの解決手段において、無機充填材の平均粒子径が0.01〜5.0μmの範囲のいずれかであることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0020】
本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、上記第1乃至第11のいずれかの解決手段において、濾過フィルターの目開き径が5μm〜20μmであることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法を提供するものである。
【0021】
本発明は、上記の課題を解決するための第13の手段として、上記第1乃至第12のいずれかの解決手段である樹脂ワニスの製造方法により得られたものであることを特徴とする樹脂ワニスを提供するものである。
【0022】
本発明は、上記の課題を解決するための第14の手段として、上記第13の解決手段において、樹脂ワニスに対する無機充填材の固形分濃度が30%以上90%以下であることを特徴とする樹脂ワニスを提供するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、樹脂成分を、有機溶媒に充分に溶解させた後に、無機充填材を添加しているため、後述する実施例に示すように、無機充填材の添加量を多く設定して高粘度及び高密度の樹脂ワニスとすることができると共に、無機充填材の添加後において、更に、超音波振動エネルギーにより分散しているため、高粘度及び高密度の樹脂ワニスとしても、各成分、特に、無機充填材を均一に分散させることができ、更に、超音波振動エネルギーを利用して濾過してるため、異物や無機充填材の凝集微粒子を除去して高濃度の樹脂ワニスとすることができる実益がある。
【0024】
この場合、特に、本発明によれば、上記のように、予めスラリー化した有機溶媒に分散させる必要がないため、有機溶媒成分の除去による濃縮等の工程を経ることなく、簡易に短時間で、高濃度の樹脂ワニスとすることができる実益がある。
【0025】
また、本発明によれば、上記のように、樹脂成分の有機溶媒への溶解性等を考慮して、各成分を適切な順序で、混合、溶解させているため、各成分の相溶性が高まり、樹脂成分が有機溶媒中で不溶解のまま残存することを抑制することができ、充分に溶解された樹脂成分に無機充填材を添加することができるため、樹脂ワニスを、適切に、高濃度化及び高粘度化することができる実益がある。
【0026】
更に、本発明によれば、後に示す実施例から解るように、従来は、固形分濃度で70%程度であった無機充填材の濃度を、最大で90%まで、粘度にして5ポイズ程度の高粘度にまで向上させることができ、樹脂ワニスの含浸や塗布の厚みのコントロール性、ひいては、厚みの精度を向上させることができ、先端基板等に適用した場合に、その特性を適切に確保することができる実益がある。
【0027】
加えて、本発明によれば、上記のように、適切に高濃度の樹脂ワニスとすることができるため、樹脂ワニス中に残存する有機溶媒成分の割合が低下し、有機溶媒の消費量を抑制することができるため、コストや環境面への負荷を低減することができる実益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1は、本発明の樹脂ワニスの製造方法の概略工程を示し、本発明においては、図1に示すように、樹脂成分を有機溶媒中に予め溶解させて樹脂溶液とし、この樹脂溶液中に無機充填材を添加して混合した後、この無機充填材が混合された樹脂溶液に超音波振動エネルギーを付与して各成分を分散させ、更に無機充填材が混合された樹脂溶液を超音波振動エネルギーが付与された濾過フィルターにより濾過して、得られた濾液を樹脂ワニスとする。
【0029】
<1.有機溶媒>
本発明において用いられる有機溶媒としては、例えば、後述する樹脂成分に対して良好な溶解性を示すもの、例えば、A)トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、B)ジイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、C)1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチルー1−ブタノール、イソペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類、D)メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を上げることができ、これらを単独で、又は、2種以上混合したものを用いることができる。これらの有機溶媒の中でも、ケトン類を好適に使用することができ、中でも、特に、メチルイソブチルケトン(以下、必要に応じて、MIBKと称する。)が好適である。
【0030】
本発明においては、図1に示すように、これらのMIBK等の有機溶媒を、スラリー化することなく使用する。即ち、通常、後述するシリカ等の無機充填剤を多量に混合させる場合には、有機成分であるエポキシ樹脂等の基材樹脂との混合性を高めるために、図4に示すように、シリカ等を、スラリー化されたメチルイソブチルケトン(MIBK)等の有機溶媒に予め分散させたスラリー組成物に調製した上で、エポキシ樹脂等と混合する必要があったが、本発明においては、後述するように、各成分を適切な順序で混合し、充分に溶解させ、また、超音波振動エネルギーを利用して分散、濾過するため、有機溶媒をスラリー化することなく、樹脂ワニスを高濃度化することができる。そのため、従来の製造方法と異なり、有機溶媒成分の除去による濃縮等の工程を経ることなく、簡易に短時間で、高濃度の樹脂ワニスとすることができる。
【0031】
<2.樹脂溶液の精製>
本発明においては、樹脂成分を有機溶媒中に予め溶解させて樹脂溶液とする際に、図1に示すように、第1の耐熱特性賦与樹脂を有機溶媒中に混合して溶解させた後、基材樹脂を有機溶媒中に混合して溶解させて第1の溶液とした後、この第1の溶液中に高耐熱賦与基材樹脂硬化剤と、更に必要に応じて第1の耐熱特性賦与樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の耐熱特性賦与樹脂を混合して溶解させて、樹脂溶液を精製する。
【0032】
これは、スラリー化されていない有機溶媒を使用する本発明においては、各樹脂成分の混合順序が適切でないと、一部の樹脂成分が不溶解の残存するおそれがあるためである。各樹脂成分の有機溶媒への溶解性等を考慮して、本発明の上記の手順(順序)で混合すれば、後述する実施例に示すように、各成分の相溶性が高まり、充分に溶解された樹脂成分に無機充填材を添加して、樹脂ワニスを、適切に高濃度化及び高粘度化することができる。
【0033】
<2−1.基材樹脂>
この場合、基材樹脂としては、後述する無機充填剤に親和する基として水酸基を有し、有機溶媒に親和する基としてフェニル機を有している熱硬化性樹脂、具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を、必要に応じて適宜選択して、単独で、又は、2種以上混合して使用することができる。
【0034】
この場合、エポキシ樹脂としては、例えば、1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、2)フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂を使用することができ、その他、3)ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペフルオレン型エポキシ樹脂等を使用することもできる。
【0035】
フェノール樹脂としては、例えば、1)フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂型フェノール樹脂、アラルキル変性フェノールノボラック型フェノール樹脂、アラルキル変性クレゾールノボラック型フェノール樹脂、アラルキル変性ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂等のノボラック型フェノール樹脂を使用することができ、その他、2)未変性レゾール型フェノール樹脂、桐油やアマニ油やクルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂を使用することもできる。
【0036】
<2−2.耐熱特性賦与樹脂>
また、耐熱特性賦与樹脂は、本発明の樹脂ワニスをガラスクロス等に含浸させて先端基板とした場合等に、耐熱特性(高Tg)を賦与するために混合されるもので、例えば、シアネート樹脂(シアネート樹脂のプレポリマーを含む)を使用することができる。このシアネート樹脂は、先端基板の熱膨張係数を低減することができる他、先端基板の電気的特性(低誘電率、低誘電正接)、機械的強度の向上にも資するため、好適である。
【0037】
このシアネート樹脂は、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。このようなシアネート樹脂としては、具体的には、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂を挙げることができる。
【0038】
これらの中でも、特に、ノボラック型シアネート樹脂は、架橋密度の増加による耐熱性の向上と、樹脂ワニスの難燃性を向上させることができるので、好適である。これは、ノボラック型シアネート樹脂は、硬化反応後にトリアジン環を形成し、また、その構造上ベンゼン環の割合が高く、炭化しやすいためであると考えられる。また、ガラスクロスに含浸させて先端基板とした場合に、基板に剛性を賦与する上でも好ましく、特に、加熱時における剛性に優れるため、半導体素子実装時の信頼性にも優れる点でも好適といえる。
【0039】
この耐熱特性賦与樹脂としてのシアネート樹脂は、重量平均分子量が所定数である1種類を単独で使用することもできるし、重量平均分子量が異なる2種以上を併用することもできる。この場合、少なくとも、1種類のシアネート樹脂を使用する場合には、重量平均分子量が比較的小さい600〜1000の範囲のものを使用することが好ましい。これは、分子量が小さい樹脂の方が、有機溶媒への溶解性が良好だからである。
【0040】
同様に、2種以上の異なる重量平均分子量を有するシアネート樹脂を使用する場合にも、少なくとも、第1のシアネート樹脂A(図1参照)は比較的少ない600〜1000の範囲の重量平均分子量であるものを使用し、第2のシアネート樹脂B(図1参照)としては、第1のシアネート樹脂よりも多い1500〜3000の範囲の重量平均分子量であるものとすることが好ましい。なお、このシアネート樹脂等の重量平均分子量は、例えば、GPC等により測定することができる。
【0041】
また、この場合に、特に、本発明では、図1に示すように、これらの重量平均分子量の異なる第1のシアネート樹脂Aと第2のシアネート樹脂Bとを、図4に示す従来技術のように同時に混合するのではなくではなく、重量平均分子量の小さい第1のシアネート樹脂Aを先に混合して充分に溶解させて第1の溶液とした後に、重量平均分子量の大きい第2のシアネート樹脂Bを、第1の溶液中に混合分散する。これは、分子量の少ない樹脂の方が有機溶媒への溶解性が良好である性質を利用して、先に充分に溶解させることにより、後から混合される高分子樹脂との相溶性や溶解性を予め高める効果を発揮させるためである。これにより、各樹脂成分を充分に溶解させることができるため、後に多量の無機充填材を添加して高濃度化、高粘度化させても、樹脂ワニス中に不溶解樹脂が残存するのを回避することができる。
<2−3.高耐熱賦与基材樹脂硬化剤>
【0042】
また、高耐熱賦与基材樹脂硬化剤は、樹脂ワニス中の基材樹脂の硬化反応を促進すると共に高耐熱性を賦与するもので、例えば、ビフェニル樹脂を使用することができる。このビフェニル樹脂としては、種々の樹脂を挙げることができるが、具体的には、基材樹脂との関係で相対的に選定することができ、例えば、基材樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、高耐熱賦与エポキシ樹脂硬化剤としてビフェニル型フェノール樹脂を使用することができる。
【0043】
<3.無機充填剤>
無機充填材は、樹脂ワニスに機械的特性、電気的特性、化学的特性等を付与するためのもので、図1に示すように、上記各成分により樹脂溶液を精製した後に、この樹脂江浮き中に逐次添加して混合する。
【0044】
この無機充填材としては、例えば、1)タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、2)酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、3)水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、4)硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩又は亜硫酸塩、5)ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、6)窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、7)チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。
【0045】
無機充填材としては、これらの中野1種類を単独で使用することもできるし、2種類以上を併用することもできる。これらの中でも、特に、シリカが好ましく、溶融シリカ(奥に、球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。その形状は、破砕状、球状等があるが、溶融性やガラスクロス等への含浸性等を考慮すると球状シリカとすることが好ましい。
【0046】
この球状シリカ等の無機充填材の平均粒子径には、特に限定はないが、0.01〜5.0μm、特に、0.1〜2.0μmが好ましい。この場合、平均粒子径が単分散の無機充填材を使用することもできるし、多分酸の無機充填材を使用することもできるが、特に、適切な粘度調整や分散作業性、また、後述する濾過フィルターとの関係を考慮すると、本発明においては、特に平均粒子径が0.5μm程度の単分散の無機充填材とすることが望ましい。なお、この平均粒子径は、例えば、粒度分布計(HORIBA製、LA−500等)により測定することができる。
【0047】
また、この無機充填材の添加量は、設定する樹脂ワニス中における固形分濃度により決定することができるが、実際の実用レベルで要求される固形分濃度は、最小値で約30%程度、最高値で90%程度である。この場合、最小値である約30%程度の固形分濃度とするためには、後述する実施例に示すように、無機充填材を樹脂ワニス全体に対して17.5重量部の割合で添加することにより対応することができる。一方、最高値である90%とするためには、同じく後述する実施例に示すように、51.5重量部の割合で添加することにより対応することができる。
【0048】
この場合、特筆すべきは、従来、樹脂ワニス中への不溶解成分の残存を回避しつつ、可能な範囲で無機充填材の固形分濃度を高めた場合でも、70%程度の固形分濃度が上限であったところ、本発明においては、後述する実施例に示すように、その70%程度超の高濃度の固形分濃度を確保するために、48.6重量部以上の無機充填材を添加しても、不溶解成分の残存を回避しつつ、樹脂ワニスとすることができることである。従って、本発明における無機充填材の添加量は、特に、従来は困難であった70%超の高濃度の固形分濃度を確保するために必要な多量の無機充填材を添加する場合、具体的には、樹脂ワニス全体に対して48.6重量部〜51.5重量部の無機充填材も添加する場合に、特に有益である。もっとも、実用レベルで要求されることがある70%未満の固形分濃度を確保するために必要な添加量にも対応することができるのは勿論であり、この場合であっても、簡易な作業で樹脂成分を充分に溶解させて、不溶解成分の残存を回避することができるメリットは存在する。
【0049】
<4.混合の方法>
なお、上記の有機溶媒への各種樹脂成分や無機充填材等の混合方法には、特に限定はなく、従来から知られている適宜の手段を使用することができる。具体的には、例えば、ディスパーザーのような通常の撹拌混合装置の他、高速撹拌装置、高圧衝突装置等を使用して、混合撹拌することにより行うことができる。
【0050】
以上の無機充填材が混合された樹脂溶液の精製の好ましい一例を、図1を参照しながら具体的に説明すると、図1に示すように、まずは、有機溶媒であるスラリー化されていないMIBK中に、第1のシアネート樹脂Aを混合して撹拌し、次いで、基材樹脂であるエポキシ樹脂を混合して、充分に溶解するまで撹拌して、第1の溶液を調製する。その後、この第1の溶液中に、ビフェニル樹脂と、重量平均分子量が大きい第2のシアネート樹脂を混合し、充分に溶解するまで撹拌して、樹脂溶液を精製する。このようにして不溶解成分が残存していない樹脂溶液に、無機充填材としてのシリカを所定量に達するまで逐次添加しながら撹拌して、無機充填材が混合された樹脂溶液とする。
【0051】
<5.超音波分散・濾過>
以上のようにして、無機充填材が混合された樹脂溶液を得た後は、図2及び図3に示すように、この無機充填材が混合された樹脂溶液1に、超音波発振機10により、超音波振動エネルギーを付与して各成分を分散させ、更に無機充填材が混合された樹脂溶液1を超音波振動エネルギーが付与された濾過フィルター12により濾過して、得られた濾液を樹脂ワニスとする。
【0052】
具体的には、まず、図2(A)に示すように、無機充填材が混合された樹脂溶液1を分散槽14に供給し、この分散槽14に超音波発振機10の超音波照射部10Aを挿入して、無機充填材が混合された樹脂溶液1に超音波振動エネルギーを付与する。これにより、無機充填材が混合された樹脂溶液1の各成分が充分に分散され、特に、微粒子状のシリカ等の無機充填材も、凝集等することなく、樹脂溶液1中に均一に分散される。
【0053】
次いで、この無機充填材が混合された樹脂溶液1を、図2(B)に示すように、下方に濾過フィルター12を備えた濾過槽16に供給し、同様に、超音波発振機10の超音波照射部10Aを濾過槽16に挿入して、無機充填材が混合された樹脂溶液1に超音波振動エネルギーを付与する。この場合、超音波振動エネルギーは、図2(B)に示すように、直接的には、無機充填材が混合された樹脂溶液1に付与されるが、この無機充填材が混合された樹脂溶液1を介して、濾過フィルター12自体にも超音波振動エネルギーが伝達されて、濾過フィルター12も超音波振動するため、効率よく濾過を行うことができる。
【0054】
この場合、異物や、また仮に無機充填材の凝集塊が残存していたとしても、これらの異物等が濾過フィルター12を通過せずに除去されるため、濾過フィルター12を通過した濾液を樹脂ワニスとすることにより、高濃度の樹脂ワニスを製造することができる。
【0055】
なお、この濾過フィルター12としては、金属製の網状フィルターや細孔フィルター等を使用することができ、その濾過目(通過孔)の目開き径は、除去することが必要な大きさの目的物に合わせて設定することができ、一般的には、5μm〜20μmの目開き径に設定すれば、異物や凝集塊等を適切に除去することができる。
【0056】
また、図2(A)に示す超音波分散と、図2(B)に示す超音波濾過とは、各々の工程をバッチ的に行うこともできるが、分散槽14と濾過槽16とを連結して連続的に処理することもできる。
【実施例】
【0057】
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
まず、実施例1として、メチルイソブチルケトン11.7重量部に、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30、重量平均分子量約700)19.6重量部を高速攪拌機を用いて3分間攪拌溶解して、第1の溶液を調製した。この第1の溶液に、次いで、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H、エポキシ当量275)9.7重量部を高速攪拌機を用いて60間攪拌溶解し、更にビフェニル型フェノール樹脂(明和化成工業株式会社製、MEH−7851−3H、水酸基当量230)7.5重量部を高速攪拌機を用いて30分間溶解し微黄色透明な樹脂溶液を精製した。この樹脂溶液に予め150℃雰囲気の熱風乾燥機中で1時間処理した溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製SO−25R、平均粒径0.5μm)51.5重量部を逐次添加し、高速攪拌機を用いて30分間攪拌混合して、シリカ配合の樹脂溶液を得た。その後、このシリカ配合の樹脂溶液を高速剪断方式分散機(エムテクニックス社製クレアミックスCLM−0.8S)を用いて15,000rpmで3分間分散させた。
【0058】
次に、図3に示す超音波式濾過装置により、公称5μmの目開き径の金網で濾過を行い濾液(樹脂ワニス)を得た。なお、図3に示す超音波濾過装置は、株式会社三進電子製の超音波発振機10を使用した。この超音波発振機10は、出力50kw、周波数が20kHz、振幅が40μm、超音波照射部10Aの長さが60mmであり、超音波照射部10Aの先端を濾過フィルター12から3mm程度上方に離れた位置に配置して、超音波振動エネルギーを付与した。また、濾過槽16の内径は35mmであり、その下方に、アサダメッシュ株式会社製の直径50mmの金網(TD−325/2400、材質はSUS−316)を濾過フィルター12として使用した。このスペックは、いずれも実施例1乃至3において共通である。
【0059】
(実施例2)
次に、実施例2として、メチルイソブチルケトン16.7重量部に、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30、重量平均分子量約700)18.5重量部を高速攪拌機を用いて3分間攪拌溶解し、第1の溶液を調製した。この第1の溶液に、次いで、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H、エポキシ当量275)9.1重量部を高速攪拌機を用いて60間攪拌溶解し、更に、ビフェニル型フェノール樹脂(明和化成工業株式会社製、MEH−7851−3H、水酸基当量230)7.1重量部を高速攪拌機を用いて30分間溶解し微黄色透明な樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に予め150℃雰囲気の熱風乾燥機中で1時間処理した溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製SO−25R、平均粒径0.5μm)48.6重量部を逐次添加し、高速攪拌機を用いて30分間攪拌混合しシリカ配合の樹脂溶液を得た。その後、このシリカ配合の樹脂溶液を高速剪断方式分散機(エムテクニックス社製クレアミックスCLM−0.8S)を用いて15,000rpmで3分間分散させた。次に、実施例1と同じく図3に示す超音波式濾過装置により、公称5μmの目開き径の金網で濾過を行い濾液(樹脂ワニス)を得た。
【0060】
(実施例3)
更に、実施例3として、メチルイソブチルケトン70.0重量部に、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30、重量平均分子量約700)6.7重量部を高速攪拌機を用いて3分間攪拌溶解し、第1の溶液を調製した。この第1の溶液に、次いで、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H、エポキシ当量275)3.3重量部を高速攪拌機を用いて60間攪拌溶解し、更に、ビフェニル型フェノール樹脂(明和化成工業株式会社製、MEH−7851−3H、水酸基当量230)2.5重量部を高速攪拌機を用いて30分間溶解し微黄色透明な樹脂溶液を精製した。この樹脂溶液に予め150℃雰囲気の熱風乾燥機中で1時間処理した溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製SO−25R、平均粒径0.5μm)17.5重量部を逐次添加し、高速攪拌機を用いて30分間攪拌混合して、シリカ配合の樹脂溶液を得た。その後、このシリカ配合の樹脂液を高速剪断方式分散機(エムテクニックス社製クレアミックスCLM−0.8S)を用いて15,000rpmで3分間分散させた。次に、実施例1、2と図3に示す超音波式濾過装置により、公称5μmの目開き径の金網で濾過を行い濾液(樹脂ワニス)を得た。
【0061】
(実施例の評価)
上記各実施例により得られた樹脂ワニスの無機充填材の固形分濃度は、溶融シリカの重量部を51.5に設定した実施例1が90%、同じく48.6に設定した実施例2が70%、同じく17.5に設定した実施例3が30%であった。特に、高濃度の実施例1の粘度は、5ポイズ程度と充分な粘度を確保することができた。この場合、いずれの実施例においても、樹脂成分の適切な混合順序により樹脂の不溶解成分は見られず、また、特に実施例1及び実施例2のように高濃度及び高粘度の樹脂ワニスとしても超音波分散及び超音波濾過によりシリカの凝集塊は存在しないことが確認された。このことから、実用レベルで要求される固形分濃度を確保することができ、特に、従来は達成が困難であった樹脂の不溶解成分の発生を回避しつつ70%以上の高濃度の固形分濃度や高粘度を確保した樹脂ワニスを製造できることが確認された。
【0062】
一方、本発明の効果が優れていることを確認するために設定した比較例について説明する。
(比較例1)
本発明の実施例1と同様に、メチルイソブチルケトン11.7重量部に溶融シリカ(株式会社アドマッテクス社製SO−25R、平均粒径0.5μm)51.5重量部を逐次添加して、高速攪拌機を用いて30分間混合し、次に高速剪断方式分散機(エムテクニックス社製クレアミックスCLM−0.8S)を用いて粘性の高いスラリーを得た。このスラリーにノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30、重量平均分子量約700)19.6重量部を高速攪拌機を用いて60分間攪拌溶解し、次にビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H、エポキシ当量275)9.7重量部を高速攪拌機を用いて180間攪拌した。
【0063】
この比較例1の樹脂ワニスの状態を確認したところ、各樹脂成分の完全溶解状態は得られなかった。この場合、この比較例1の各成分の重量部は、実施例1と同じ設定である。このことから、同じ成分割合であっても、大量のシリカを配合した場合には、無機充填材をスラリー化された有機溶媒中に予め分散する従来の方法では、不溶解樹脂が残存する一方、本発明の製造方法、特に、本発明の各成分の混合順序であれば、不溶解成分が残存すること意味する。
【0064】
(比較例2)
また、比較例2として、メチルイソブチルケトン11.7重量部に、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H、エポキシ当量275)9.7重量部を高速攪拌機を用いて180分攪拌混合したが、固形樹脂は溶解できなかった。この比較例2のメチルイソブチルケトン(有機溶媒)と、ビフェニル型エポキシ樹脂(基材樹脂)の重量部割合は、実施例1と同様である。このことから、有機溶媒や基材樹脂の重量部を等しく設定しても、有機溶媒に最初に基材樹脂のみを直接混合しても、充分や溶解状態を確保することはできず、本発明のように、初めに分子量の比較的少ない第1のシアネート樹脂を混合して、高分子樹脂の相溶性を高めてから、基材樹脂を混合しなければ、各樹脂成分の不溶解は充分には回避できないことが解る。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の樹脂ワニスは、半導体パッケージにおいてICチップを実装するプリント配線板として加工される銅張積層板の製造、具体的には、例えば、ガラスクロス等に含浸させて先端基板用のプリプレグとすることや、銅箔に積層される絶縁フィルムとすること等、特に、電子部品への製造に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の樹脂ワニスの製造工程を示す概略図である。
【図2】図2は本発明において超音波振動エネルギーを付与する状態を示す概略図であり、同図(A)は超音波分散を行う状態を示す概略断面図、同図(B)は超音波濾過を行う状態を示す概略断面図である。
【図3】本発明に使用される超音波濾過装置の概略構成図である。
【図4】従来の樹脂ワニスの製造工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0067】
1 樹脂溶液
10 超音波発振機
10A 超音波照射部
12 濾過フィルター
14 分散槽
16 濾過槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機充填材が混合された樹脂ワニスの製造方法において、樹脂成分を有機溶媒中に予め溶解させて樹脂溶液とし、前記樹脂溶液中に前記無機充填材を添加して混合した後、前記無機充填材が混合された樹脂溶液に超音波振動エネルギーを付与して前記各成分を分散させ、更に前記無機充填材が混合された樹脂溶液を超音波振動エネルギーが付与された濾過フィルターにより濾過して、得られた濾液を樹脂ワニスとすることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記樹脂成分をスラリー化されていない前記有機溶媒中に予め溶解させて樹脂溶液とすることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法であって、第1の耐熱特性賦与樹脂を前記有機溶媒中に混合して溶解させた後、基材樹脂を前記有機溶媒中に混合して溶解させて第1の溶液とした後、前記第1の溶液中に高耐熱賦与基材樹脂硬化剤を混合して溶解させて、前記樹脂溶液を精製し、前記樹脂溶液に前記無機充填材を添加することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記第1の溶液中に、前記高耐熱賦与基材樹脂硬化剤に加え更に前記第1の耐熱特性賦与樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の耐熱特性賦与樹脂も混合して溶解させることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記有機溶媒として、メチルイソブチルケトンその他のケトン類を使用することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記基材樹脂として、エポキシ樹脂を使用することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項7】
請求項3乃至請求項6のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記耐熱特性賦与樹脂として、シアネート樹脂を使用することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記高耐熱賦与基材樹脂硬化剤として、ビフェニル樹脂を使用することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項9】
請求項3乃至請求項8のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記第1の耐熱特性賦与樹脂の重量平均分子量が600〜1000であり、混合する場合には前記第2の耐熱特性賦与樹脂の重量平均分子量が1500〜3000であることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記無機充填材を前記樹脂ワニス全体に対して17.5重量部〜51.5重量部の割合で添加することを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記無機充填材の平均粒子径が0.01〜5.0μmの範囲のいずれかであることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法であって、前記濾過フィルターの目開き径が5μm〜20μmであることを特徴とする樹脂ワニスの製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載された樹脂ワニスの製造方法により得られたものであることを特徴とする樹脂ワニス。
【請求項14】
請求項13に記載された樹脂ワニスであって、前記樹脂ワニスに対する前記無機充填材の固形分濃度が30%以上90%以下であることを特徴とする樹脂ワニス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−24761(P2008−24761A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196423(P2006−196423)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】