説明

樹脂成形体、曲管射出成形用型及び曲管射出成形方法

【課題】屈曲パイプ部に流体を通すための供給パイプ及び排出パイプを接続しても容器部の経時的な形状変化を抑えることができる樹脂成形体、この樹脂成形体を形成するための曲管射出成形用型及び曲管射出成形方法を提供することを目的とする。
【解決手段】樹脂成形体1は、容器部2と、中空の屈曲パイプ部3と、中空のノズル部4とが一体形成されて、屈曲パイプ部3とノズル部4とが連通されている。屈曲パイプ部3の胴部3aは、容器部2の底部4に接続されており、屈曲パイプ部3の一対の端部3bは、容器部2の側部6の内壁面6aに接続されている。ノズル部4は、側部6の外壁面6bに接続されているとともに、側部6に形成されたフランジ部7に接続されている。そして、フランジ部7には、フランジ部7の肉厚を薄くする肉盗み部10bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器部と屈曲パイプ部とが一体に形成された樹脂成型体、この樹脂成型体を形成するための曲管射出成形用型及び曲管射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屈曲したパイプの樹脂成形体を形成する技術として、RFM(RP TOPLA Floating Core Molding:曲管射出成形)技術が知られている。このRFM技術は、射出成形により容易に曲管を形成する技術である。具体的に説明すると、RFM技術は、樹脂が充填される金型のキャビティにフローティングコアを挿入しておき、キャビティに樹脂が充填されると、加圧ガスや加圧液体によりフローティングコアをキャビティ内で移動させることで、屈曲したパイプを形成するものである。
【0003】
このようなRFM技術の利用例として、特許文献1に、平板部及び側板部を供える容器部と流体を通過させるパイプ部とを一体に射出成形する技術が開示されている。特許文献1に記載された技術は、まず、平板部キャビティにパイプ部キャビティの胴部が接続されるとともに、側板部キャビティにパイプ部キャビティの両端部が接続された金型を用意する。次に、この金型に樹脂を充填した後、パイプ部キャビティ内でフローティングコアを加圧流体により移動させることで、中空のパイプ部を形成する。そして、金型を取り外すと、パイプ部の胴部が平板部に接続され、パイプ部の両端が側板部の内壁面に接続され、側板部の外壁にパイプ部に連通される開口が形成された樹脂成形体が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−052327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された樹脂成形体は、パイプ部に温水や冷水などの液体を通過させるものである。しかしながら、この樹脂成形体は、側板部の外壁にはパイプ部に連通する開口しか形成されていないため、液体を供給する供給パイプ及びパイプ部から液体を排出する排出パイプと樹脂成形体のパイプ部とを直接接続することができない。そこで、従来は、供給パイプ及び排出パイプとパイプ部とを接続するために、側板部に形成された開口に、供給パイプ及び排出パイプと接続するための接続金具を差し込む必要があった。このとき、接続金具と樹脂成形体のパイプ部とのシール性を確保するため、側板部に形成された開口に差し込む接続金具の外径は、パイプ部内径よりも大きい外径とする必要がある。その結果、樹脂成形体の形状が変化してしまう可能性がある。
【0006】
また、このような樹脂成形体は、単独で使用される場合よりも、側板部の周縁面に他部材を接合させて使用される場合が多い。後者の場合、樹脂成形体と他部材との間の気密性を保つために、パッキンを介して樹脂成形体と他部材とを圧着している。すると、樹脂成形体には、圧縮変形されたパッキンの反力が作用するため、時間の経過とともに樹脂成形体が変形していく。
【0007】
このとき、樹脂成形体の全体が樹脂で成形されていれば、樹脂成形体は均一に変形していくが、側板部の開口に接続金具が差し込まれていると、この部分だけ剛性が高くなるため、樹脂成形体の変形が不均一となる。その結果、樹脂成形体と他部材との間のシール性に影響を与える可能性が大きくなる。
【0008】
そこで、本発明は、屈曲パイプ部に流体を通すための供給パイプ及び排出パイプを接続しても容器部の経時的な形状変化を抑えることができる樹脂成形体、この樹脂成形体を形成するための曲管射出成形用型及び曲管射出成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る樹脂成形体は、容器部と、容器部の内壁面に接続された中空の屈曲パイプ部と、容器部の外壁面に接続されて屈曲パイプ部に連通される中空のノズル部と、を有し、容器部、屈曲パイプ部及びノズル部が一体成形されている。
【0010】
本発明に係る樹脂成形体では、中空の屈曲パイプ部が容器部の内壁面に接続され、中空のノズル部が容器部の外壁面に接続され、この屈曲パイプ部とノズル部とが連通されているため、屈曲パイプ部に液体やガスなどの流体を通過させるための供給パイプ及び排出パイプをノズル部に接続することで、ノズル部から屈曲パイプ部に流体を供給するとともに、屈曲パイプ部に供給された流体をノズル部から排出することができる。このとき、ノズル部は容器部の外壁面に接続されて容器部の外壁面から突出しているため、従来のように容器部の外壁面に金具を挿入しなくても、供給パイプ及び排出パイプを樹脂成形体に接続することができ、しかも、容器部の外壁面から離間した位置で供給パイプ及び排出パイプをノズル部に接続することができる。このため、パッキンを介して樹脂成形体と他部材とを圧着したとしても、供給パイプ及び排出パイプとノズル部との接続に起因する容器部の変形が防止されるため、供給パイプ及び排出パイプを接続しても容器部の経時的な形状変化を抑えることができる。しかも、この樹脂成形体は、容器部、屈曲パイプ部及びノズル部が一体成形されているため、屈曲パイプ部に通過させる流体から容器部への熱伝導性が高くなり、更には、部品点数を削減することもできる。
【0011】
この場合、本発明は、外壁面に肉厚部が形成されており、ノズル部は、肉厚部に接続されているものとすることができる。ノズル部は、外壁面から突出しているため、容器部に対する屈曲強度が低くなりがちであるが、このようにノズル部を肉厚部に接続させることで、容器部に対する屈曲強度を高くすることができる。
【0012】
また、本発明は、肉厚部が、他部材と接合されるフランジ部であるものとすることができる。このように、他部材と接合されるフランジ部にノズル部を接続させることで、別途、容器部に肉厚部を形成する必要がなくなるため、製造コストを削減することができる。
【0013】
本発明に係る曲管射出成形用型は、フローティングコアを用いた曲管射出成形法により、外壁面に肉厚部が形成された容器部と、容器部の内壁面に接続された中空の屈曲パイプ部と、肉厚部に接続されて屈曲パイプ部に連通される中空のノズル部と、を有する樹脂成形体を形成するための曲管射出成形用型であって、容器部を形成する樹脂が充填される容器部用キャビティ部と、屈曲パイプ部を形成する樹脂が充填される屈曲パイプ部用キャビティ部と、ノズル部を形成する樹脂が充填されるノズル部用キャビティ部と、容器部用キャビティ部から突出して肉厚部に凹部を形成する凹部形成用突部と、を有する。
【0014】
本発明に係る曲管射出成形用型によれば、容器部用キャビティ部、屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部に溶融樹脂を充填することで、容器部、屈曲パイプ部及びノズル部の外形が形成され、その後、溶融樹脂が曲管射出成形用型の接触面から徐々に硬化してくると、屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部でフローティングコアを加圧移動させることで、屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部の半径方向中心部に充填された溶融樹脂が押し出されて、屈曲パイプ部及びノズル部の中空部が形成される。これにより、外壁面に肉厚部が形成された容器部と、容器部の内壁面に接続された中空の屈曲パイプ部と、肉厚部に接続されて屈曲パイプ部に連通される中空のノズル部とが一体成形された樹脂成形体を形成することができる。
【0015】
ところで、曲管射出成形用型に凹部形成用突部が形成されていないと、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との間の離間距離が広くなる。すなわち、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との間に形成される溶融樹脂の層が厚くなる。これにより、肉厚部では固化していない溶融樹脂の層が厚くなるため、フローティングコアが肉厚部を通過する際に、フローティングコアの周囲に加圧流体がフローティングコアを回り込む隙間が生じてしまう。その結果、この隙間から加圧流体が漏れ出して、フローティングコアに圧力加えることができなくなるため、肉厚部においてフローティングコアが停止してしまう。
【0016】
これに対し、本発明に係る曲管射出成形用型は凹部形成用突部が形成されているため、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との間の離間距離を狭くすることができる。すなわち、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との間に形成される溶融樹脂の層を薄くすることができる。これにより、フローティングコアの周囲に加圧流体がフローティングコアを回り込む隙間が生じるのを防止して、肉厚部においてもフローティングコアに加圧流体の圧力を加えることができるため、肉厚部においてもフローティングコアを適切に移動させることができる。
【0017】
この場合、本発明は、凹部形成用突部が、先端面が凹曲面状に形成されているものとすることができる。このように、凹部形成用突部の先端面を凹曲面状に形成することで、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との離間距離を均一化することができる。これにより、肉厚部においも安定してフローティングコアを移動させることができる。
【0018】
本発明に係る曲管射出成形方法は、フローティングコアを用いた曲管射出成形法により、外壁面に肉厚部が形成された容器部と、容器部の内壁面に接続された中空の屈曲パイプ部と、肉厚部に接続されて屈曲パイプ部に連通される中空のノズル部と、を有する樹脂成形体を形成する曲管射出成形方法であって、容器部を形成する樹脂が充填される容器部用キャビティ部と、屈曲パイプ部を形成する樹脂が充填される屈曲パイプ部用キャビティ部と、ノズル部を形成する樹脂が充填されるノズル部用キャビティ部と、容器部用キャビティ部から突出して肉厚部に凹部を形成する凹部形成用突部と、を有する曲管射出成形用型に樹脂を充填し、屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部でフローティングコアを加圧移動させて、屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部の中心部に充填された樹脂を押し出す。
【0019】
本発明に係る曲管射出成形方法によれば、容器部用キャビティ部、屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部を有する曲管射出成形用型に溶融樹脂を充填することで、容器部、屈曲パイプ部及びノズル部の外形が形成され、その後、(溶融樹脂が曲管射出成形方法の接触面から徐々に硬化してくると)、屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部でフローティングコアを加圧移動させ、屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部の半径方向中心部に充填された溶融樹脂を押し出すことで、屈曲パイプ部及びノズル部の中空部が形成される。これにより、外壁面に肉厚部が形成された容器部と、容器部の内壁面に接続された中空の屈曲パイプ部と、肉厚部に接続されて屈曲パイプ部に連通される中空のノズル部とが一体成形された樹脂成形体を形成することができる。
【0020】
ところで、凹部形成用突部が形成されていない曲管射出成形用型を用いると、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との間の離間距離が広くなる。すなわち、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との間に形成される溶融樹脂の層が厚くなる。これにより、肉厚部では固化していない溶融樹脂の層が厚くなるため、フローティングコアが肉厚部を通過する際に、の周囲に加圧流体がフローティングコアを回り込む隙間が生じてしまう。その結果、この隙間から加圧流体が漏れ出して、フローティングコアに圧力加えることができなくなるため、肉厚部においてフローティングコアが停止してしまう。
【0021】
これに対し、本発明では、凹部形成用突部が形成された曲管射出成形用型を用いるため、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との間の離間距離を狭くすることができる。すなわち、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との間に形成される溶融樹脂の層を薄くすることができる。これにより、フローティングコアの周囲に加圧流体がフローティングコアを回り込む隙間が生じるのを防止して、肉厚部においてもフローティングコアに加圧流体の圧力を加えることができるため、肉厚部においてフローティングコアを適切に移動させることができる。
【0022】
この場合、凹部形成用突部が、先端面が凹曲面状に形成されているものとすることができる。このように、凹部形成用突部の先端面を凹曲面状に形成することで、肉厚部におけるフローティングコアと曲管射出成形用型との離間距離を均一化することができる。これにより、肉厚部においも安定してフローティングコアを移動させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、屈曲パイプ部に流体を通すための供給パイプ及び排出パイプを接続しても容器部の経時的な形状変化を抑えることができる樹脂成形体を提供できるとともに、このような樹脂成形体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係る樹脂成形体の斜視図である。
【図2】図1に示す樹脂成形体の平面図である。
【図3】図1に示す樹脂成形体の底面図である。
【図4】図2に示すIV線方向から見た樹脂成形体の側面図である。
【図5】図2に示すV線方向から見た樹脂成形体の側面図である。
【図6】図2に示すVI−VI線における樹脂成形体の断面図である。
【図7】図2に示すVII−VII線における樹脂成形体の一部断面図である。
【図8】本実施形態に係る曲管射出成形用型の上型を示した底面図である。
【図9】本実施形態に係る曲管射出成形用型の下型を示した平面図である。
【図10】図9に示すX−X線における下型の一部断面図である。
【図11】図8に示す上形と図9に示す下型を重ね合わせた状態を示した正面図である。
【図12】曲管射出成形用型に樹脂を充填する前の状態を示した図である。
【図13】曲管射出成形用型に樹脂を充填した状態を示した図である。
【図14】屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部でフローティングコアを移動させた状態を示した図である。
【図15】本実施形態において、フローティングコアがフランジ部を通過するときの状態を示した図である。
【図16】比較例において、フローティングコアがフランジ部を通過するときの状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明に係る樹脂成形体、曲管射出成形用型及び曲管射出成形方法の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係る樹脂成形体を、車両に搭載されるオイルパンの樹脂成形体に適用し、本発明に係る曲管射出成形用型は、このオイルパンの樹脂成形体を射出成形するための型に適用し、本発明に係る曲管射出成形方法は、このオイルパンの樹脂成形体を射出成形するための方法に適用したものである。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0026】
まず、図1〜図7を参照して、本実施形態に係る樹脂成形体について説明する。図1は、実施形態に係る樹脂成形体の斜視図である。図2は、図1に示す樹脂成形体の平面図である。図3は、図1に示す樹脂成形体の底面図である。図4は、図2に示すIV線方向から見た樹脂成形体の側面図である。図5は、図2に示すV線方向から見た樹脂成形体の側面図である。図6は、図2に示すVI−VI線における樹脂成形体の断面図である。図7は、図2に示すVII−VII線における樹脂成形体の一部断面図である。
【0027】
図1〜図6に示すように、本実施形態に係る樹脂成形体1は、容器部2と、容器部2の内壁面に接続された中空の屈曲パイプ部3と、容器部2の外壁に接続されて屈曲パイプ部3に連通された中空のノズル部4と、を備えている。この樹脂成形体1は、後述する屈曲射出成形方法により、容器部2、屈曲パイプ部3及びノズル部4が一体成形されている。
【0028】
容器部2は、オイルパンの下部を構成してオイルが溜め込まれる容器であり、オイルパンの上部を構成する他部材(不図示)と接合されるものである。この容器部2は、上方が開口した容器の形状に形成されている。具体的に説明すると、容器部2は、矩形の平板状に形成された底部5と、底部5の周縁から上方に立ち上がる平板状の側部6とを備えている。そして、底部5には、屈曲パイプ部3の胴部3aが一体的に接続されており、側部6の内壁面6aには、屈曲パイプ部3の一対の端部3bが一体的に接続されており、側部6の外壁面6bには、2本のノズル部4が一体的に接続されている。なお、側部6の内壁面6aは、容器部2の内側に向けられた側部6の面であり、側部6の外壁面6bは、容器部2の外側に向けられた側部6の面である。
【0029】
この底部5及び側部6は、全体的に均一な肉厚に形成されている。側部6の上端面は、底部5と平行な平面状に形成されている。この側部6には、側部6の上端面に沿って外壁面6bから容器部2の外側に向かって突出するフランジ部7が形成されている。フランジ部7は、側部6の上端部の肉厚を厚くする事により、容器部2の剛性を高めるとともに、他部材と接合する接合面となる部位である。このため、フランジ部7は、外壁面6bに形成されて側部6の肉厚よりも厚くなる肉厚部となる。
【0030】
このフランジ部7には、他部材との接合に用いるボルト(不図示)を挿入するためのボルト穴8が形成されたボルト挿入部9と、接合される他部材との間のシールを行うパッキン(不図示)が嵌め込まれるパッキン溝10と、が形成されている。
【0031】
ボルト挿入部9は、フランジ部7を更に容器部2の外側に延ばした部位であり、所定の間隔で複数個形成されている。
【0032】
パッキン溝10は、フランジ部7の上端面から下方(底部5方向)に窪んだ溝であり、フランジ部7の全周に亘って形成されている。パッキン溝10は、側部6の内壁面6aからパッキン溝10に至るフランジ部7の厚みが底部5や側部6の厚みと略等しくなる位置及び幅に形成されている。また、パッキン溝10は、フランジ部7の容器部2の外側の面からパッキン溝10に至るフランジ部7の厚みが、底部5や側部6の厚みと略等しくなる位置及び幅に形成されている。なお、パッキン溝10の具体的な形状については後述する。
【0033】
なお、容器部2には、容器部2の剛性を高めるために、側部6とフランジ部7とに接続される三角板状のリブ11が複数個形成されている。
【0034】
屈曲パイプ部3は、上述したように、底部5に接続される胴部3aと、内壁面6aに接続される一対の端部3bと、を備えている。この屈曲パイプ部3は、肉厚が略均一で、複雑に屈曲したパイプ状(円管状)に形成されている。そして、一対の端部3bは、底部5に接続されている胴部3aから外壁面6bにフランジ部7が形成される位置までせり上がり、内壁面6aに接続されている。ところで、端部3bと底部5との間に隙間があると、射出成形の際に型を抜くことができない。そこで、底部5における端部3bの下方に配置される底部5の部分5aを盛り上げることで、端部3bと底部5との間の隙間を無くすとともに、端部3bの肉厚の均一化を図っている。
【0035】
ノズル部4は、外壁面6bに接続されており、外壁面6bから突出して容器部2の外側に向けて延びている。ノズル部4は、肉厚が略均一で、直線状に延びるパイプ状(円管状)に形成されており、その内径は、屈曲パイプ部3の内径と同一となっている。このノズル部4は、側部6を挟んで屈曲パイプ部3の端部3bと対向する位置に配置されて、屈曲パイプ部3に連通されている。このため、側部6及びフランジ部7には、ノズル部4と屈曲パイプ部3とを連通する連通孔12が形成されている。そして、ノズル部4は、その上部がフランジ部7に接続されている。このとき、ノズル部4とフランジ部7との接続面積を増加させる観点からは、図面に示すように、フランジ部7を部分的に下方(底部5方向)に延ばし、ノズル部4の上半分をフランジ部7に接続させることが好ましい。但し、ノズル部4は、少なくとも一部がフランジ部7に接続されていればよい。
【0036】
また、ノズル部4には、外壁面6bと反対側に位置する先端部に、屈曲パイプ部3に液体やガスなどの流体を通過させるための供給パイプ(不図示)又は排出パイプ(不図示)を接続するための接続部4aが形成されている。なお、外壁面6bには、2本のノズル部4が接続されているため、一方のノズル部4の接続部4aには供給パイプが接続され、他方のノズル部4の接続部4aには排出パイプが接続される。
【0037】
次に、図7を参照して、パッキン溝10の具体的な形状について説明する。図7に示すように、パッキン溝10は、パッキンが挿入されるパッキン溝部10aと、パッキン溝部10aよりも更に深く窪んでノズル部4及びフランジ部7を所定の肉厚に調整する肉盗み部10bと、を備えている。
【0038】
パッキン溝部10aは、フランジ部7の上端面から下方に窪んでおり、その底面がフランジ部7の上端面と平行な平面状に形成されている。なお、パッキン溝部10aの底面は、ノズル部4に所定の肉厚を残す位置に設定されている。
【0039】
肉盗み部10bは、パッキン溝部10aよりも更に深く窪むことでフランジ部7に形成される凹部である。肉盗み部10bは、ノズル部4の周辺に形成されて、ノズル部4及びフランジ部7の肉厚を薄くして、ノズル部4の下部の肉厚と略同一に調整している。このため、ノズル部4は、肉盗み部10bが形成されることで、フランジ部7に接続されている上部の肉厚が、部分的に下部の肉厚と略同一になっている。
【0040】
次に、図8〜図11を参照して、フローティングコアを用いた曲管射出成形法により、樹脂成形体1を射出成形するための曲管射出成形用型について説明する。図8は、本実施形態に係る曲管射出成形用型の上型を示した底面図である。図9は、本実施形態に係る曲管射出成形用型の下型を示した平面図である。図10は、図9に示すX−X線における下型の一部断面図である。図11は、図8に示す上形と図9に示す下型を重ね合わせた状態を示した正面図である。
【0041】
図8〜図11に示すように、本実施形態に係る曲管射出成形用型20は、樹脂成形体1を形成するための金型であり、この曲管射出成形用型20には、樹脂成形体1を形成する樹脂が充填されるキャビティ部21が形成されている。このキャビティ部21は、容器部2を形成する樹脂が充填される容器部用キャビティ部22と、屈曲パイプ部3を形成する樹脂が充填される屈曲パイプ部用キャビティ部23と、ノズル部4を形成する樹脂が充填されるノズル部用キャビティ部24と、容器部用キャビティ部22から突出してフランジ部7に肉盗み部10bを形成する凹部形成用突部25と、を備えている。更に、曲管射出成形用型20には、ノズル部用キャビティ部24に連結された第一余剰キャビティ部26及び第二余剰キャビティ部27と、第一余剰キャビティ部26に連結されて高圧流体が導入される高圧流体用流路29と、第二余剰キャビティ部27に連結されて押し出された余剰樹脂を収容する余剰樹脂収容部30と、が形成されている。この曲管射出成形用型20は、第一余剰キャビティ部26に保持されたフローティングコア28と、第二余剰キャビティ部27と余剰樹脂収容部30との間を開閉可能に仕切る開閉弁34と、を備えている。
【0042】
この曲管射出成形用型20は、樹脂成形体1の底面側(図3で示される側)を形成する上型20aと、樹脂成形体1の上面側(図2で示される側)を形成する下型20bとに分割されている。
【0043】
図8に示すように、上型20aには、容器部2の底面側の表面形状に合致する形状に形成された容器部用キャビティ部22aと、ノズル部4の底面側の表面形状に合致する形状に形成されたノズル部用キャビティ部24aと、ノズル部用キャビティ部24aに連結された第一余剰キャビティ部26a及び第二余剰キャビティ部27aと、が形成されている。
【0044】
なお、樹脂成形体1を底面側から見ると、屈曲パイプ部3が見えておらず、底部5の部分5aが見えるのみである。このため、上型20aには、屈曲パイプ部用キャビティ部23が形成されておらず、底部5の部分5aに合致する形状が容器部用キャビティ部22aに形成されているのみとなる。なお、この底部5の部分5aを屈曲パイプ部3とした場合は、上型20aに、この屈曲パイプ部3の底面側の表面形状に合致する形状に形成された屈曲パイプ部用キャビティ部23aが形成される。
【0045】
図9及び図10に示すように、下型20bには、容器部2の上面側の表面形状に合致する形状に形成された容器部用キャビティ部22bと、屈曲パイプ部3の上面側の表面形状に合致する形状に形成された屈曲パイプ部用キャビティ部23aと、ノズル部4の上面側の表面形状に合致する形状に形成されたノズル部用キャビティ部24bと、容器部用キャビティ部22bから突出した凹部形成用突部25と、ノズル部用キャビティ部24bに連結された第一余剰キャビティ部26b及び第二余剰キャビティ部27bと、第一余剰キャビティ部26bに連結されてフローティングコア28よりも小径の高圧流体用流路29と、第二余剰キャビティ部27bに連結された余剰樹脂収容部30と、が形成されている。そして、下型20は、第一余剰キャビティ部26bに保持されるフローティングコア28と、第二余剰キャビティ部27bと余剰樹脂収容部30との間を開閉可能に仕切る開閉弁34と、を備えている。
【0046】
フローティングコア28は、加圧流体により屈曲パイプ部用キャビティ部23及びノズル部用キャビティ部24を移動させることにより、屈曲パイプ部用キャビティ部23及びノズル部用キャビティ部24に充填された溶融樹脂の一部を押し出して、屈曲パイプ部3及びノズル部4の中空部を形成すものである。このため、フローティングコア28の外径は、屈曲パイプ部3及びノズル部4の内径となっている。フローティングコア28は、砲弾型形状、三角錐形状、球形状など、様々な形状のものを用いることができる。ただし、効率的に、加圧流体により屈曲パイプ部用キャビティ部23及びノズル部用キャビティ部24を移動させて溶融樹脂を押し出すためには、砲弾形形状であることが好ましい。
【0047】
高圧流体用流路29は、第一余剰キャビティ部26からフローティングコア28が逆流してこないように、その内径が、フローティングコア28の外径よりも小さくなっている。このため、キャビティ部21に射出された樹脂によりフローティングコア28が高圧流体用流路29側に押圧されると、フローティングコア28により高圧流体用流路29が閉ざされるため、キャビティ部21に射出された樹脂が高圧流体用流路29に漏れ出すのが防止される。
【0048】
ここで、図10を参照して、凹部形成用突部25の周囲の形状について説明する。図10に示すように、下型20bの容器部用キャビティ部22bには、フランジ部7を形成するフランジ部形成用型部31と、フランジ部形成用型部31から盛り上がってパッキン溝部10aを形成するパッキン溝部用型部32と、パッキン溝部用型部32から盛り上がって肉盗み部10bを形成する凹部形成用突部25と、が形成されている。フランジ部形成用型部31に対するパッキン溝部用型部32の高さは、パッキン溝部10aの深さに対応した均一な高さとなっている。パッキン溝部用型部32に対する凹部形成用突部25の高さは、上型20aと下型20bとが重ね合わされたときにノズル部4及びフランジ部7が所定の肉厚となる高さとなっている。このため、ノズル部4の上部を形成する凹部形成用突部25の先端面33は、ノズル部4の上部の肉厚を均一にするとともにノズル部4の下部の肉厚と略同一にするために、凹曲面状に形成されている。
【0049】
なお、図8〜図11では図示しなかったが、上型20a及び下型20bには、キャビティ部21に溶融樹脂を射出するためのゲート(不図示)が適切な箇所に形成される。
【0050】
次に、図12〜図14を参照して、樹脂成形体1を形成する曲管射出成形方法について説明する。図12は、曲管射出成形用型に樹脂を充填する前の状態を示した図である。図13は、曲管射出成形用型に樹脂を充填した状態を示した図である。図14は、屈曲パイプ部用キャビティ部及びノズル部用キャビティ部でフローティングコアを移動させた状態を示した図である。
【0051】
まず、図12に示すように、曲管射出成形用型20の上型20aと下型20bとを重ね合わせて、曲管射出成形用型20にキャビティ部21を形成する。このとき、フローティングコア28を、第一余剰キャビティ部26に保持させるとともに、開閉弁34を閉じておく。
【0052】
次に、図13に示すように、曲管射出成形用型20のゲート(不図示)から溶融樹脂をキャビティ部21に射出する。すると、溶融樹脂が、容器部用キャビティ部22、屈曲パイプ部用キャビティ部23、ノズル部用キャビティ部24、第一余剰キャビティ部26及び第二余剰キャビティ部27に充填される。このとき、第一余剰キャビティ部26に溶融樹脂が射出されると、この溶融樹脂がフローティングコア28を高圧流体用流路29側に押圧するため、第一余剰キャビティ部26に射出された溶融樹脂が高圧流体用流路29に漏れ出すことはない。また、開閉弁34が閉じられているため、第二余剰キャビティ部27に充填された溶融樹脂が余剰樹脂収容部30に漏れ出すことはない。
【0053】
射出する樹脂としては、中空体を射出成形可能なあらゆる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができるが、フローティングコア28による中空部の成形性という観点からは、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、AS,ABS等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ナイロン66、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、PET,PBTなどのポリエステル系樹脂、POM、ポリカーボネート、PPS、変性PPE、PMMA樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂など、種々な樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂にガラス繊維、タルク、炭酸カルシウム、カオリンなどの強化材、無機フィラーなどを添加したものでもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂なども、BMCとして知られている射出成形が可能な熱硬化性樹脂であれば用いることができる。さらに、射出する樹脂として、高熱伝導性樹脂等も用いることができる。
【0054】
このようにして溶融樹脂がキャビティ部21に充填されると、この溶融樹脂が曲管射出成形用型20との接触面から内側に向けて徐々に固化していく。そして、屈曲パイプ部3及びノズル部4に充填された溶融樹脂の外周部が固化すると、図14に示すように、開閉弁34を開いて、高圧流体用流路29に高圧流体を圧入する。すると、キャビティ部21に充填された溶融樹脂が、開閉弁34を通って余剰樹脂収容部30に移動することが可能となっているため、フローティングコア28は、この高圧流体の圧力により、キャビティ部21に充填された溶融樹脂を余剰樹脂収容部30に排出させながら、第一余剰キャビティ部26から、ノズル部用キャビティ部24、容器部用キャビティ部22、屈曲パイプ部用キャビティ部23、容器部用キャビティ部22、ノズル部用キャビティ部24を通って、第二余剰キャビティ部27まで移動する。
【0055】
このとき、容器部用キャビティ部22、屈曲パイプ部用キャビティ部23、ノズル部用キャビティ部24、第一余剰キャビティ部26及び第二余剰キャビティ部27に充填された溶融樹脂は、その外周部のみが固化しているものの、その中心部は未だ固化していない。このため、フローティングコア28は、この固化した外周部のみを残して、固化していない中心部の溶融樹脂のみを余剰樹脂収容部30に排出する。これにより、屈曲パイプ部3及びノズル部4の中空部が形成される。
【0056】
その後、キャビティ部21に充填された溶融樹脂が完全に固化すると、上型20aと下型20bとを分離させて、曲管射出成形用型20から固化した成形体を取り出す。このとき、固化した成形体には、第一余剰キャビティ部26及び第二余剰キャビティ部27に充填された溶融樹脂が固化した余剰部分も一体的に形成されている。そこで、この余剰部分を成形体から切り離すことで、樹脂成形体1が完成する。
【0057】
ここで、図15及び図16を参照して、フローティングコア28がフランジ部7を通過するときの状態について説明する。図15は、本実施形態において、フローティングコアがフランジ部を通過するときの状態を示した図である。図16は、比較例において、フローティングコアがフランジ部を通過するときの状態を示した図である。なお、図16に示す比較例は、突部形成用突部が形成されていない曲管射出成形用型を用いた場合を示している。
【0058】
図16に示す比較例のように、曲管射出成形用型20に凹部形成用突部25が形成されていないと、フランジ部7におけるフローティングコア28と曲管射出成形用型20との間の離間距離が広くなる。すなわち、フランジ部7におけるフローティングコア28と曲管射出成形用型20との間に形成される溶融樹脂の層が厚くなる。これにより、フランジ部7では、固化していない溶融樹脂の層が厚くなるため、フローティングコア28がフランジ部7を通過する際に、フローティングコア28の周囲に加圧流体がフローティングコア28を回り込む隙間40が生じてしまう。その結果、この隙間40から加圧流体が漏れ出して、フローティングコア28に圧力を加えることができなくなるため、フランジ部7においてフローティングコアが停止してしまう。
【0059】
これに対し、図15に示すように、本実施形態に係る曲管射出成形用型20は凹部形成用突部25が形成されているため、フランジ部7におけるフローティングコア28と曲管射出成形用型20との間の離間距離を狭くすることができる。すなわち、フランジ部7におけるフローティングコア28と曲管射出成形用型20との間に形成される溶融樹脂の層を薄くすることができる。これにより、フローティングコア28がフランジ部7を通過する際に、フローティングコア28の周囲に加圧流体がフローティングコア28を回り込む隙間が生じるのを防止して、フランジ部7においてもフローティングコア28に加圧流体の圧力を加えることができるため、フランジ部7においてもフローティングコア28を適切に移動させることができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る樹脂成形体1によれば、中空の屈曲パイプ部3の両端が側部6の内壁面6aに接続され、中空のノズル部4が側部6の外壁面6bに接続され、この屈曲パイプ部3とノズル部4とが連通されているため、屈曲パイプ部3に液体やガスなどの流体を通過させるための供給パイプ及び排出パイプをノズル部4に接続することで、ノズル部4から屈曲パイプ部3に流体を供給するとともに、屈曲パイプ部3に供給された流体をノズル部4から排出することができる。このとき、ノズル部4は側部6の外壁面6bに接続されてこの外壁面6bから突出しているため、従来のように容器部の外壁面に金具を挿入しなくても、供給パイプ及び排出パイプを樹脂成形体1に接続することができ、しかも、側部6の外壁面6bから離間した位置で供給パイプ及び排出パイプをノズル部4に接続することができる。このため、パッキンを介して樹脂成形体1と他部材とを圧着したとしても、供給パイプ及び排出パイプとノズル部4との接続に起因する側部6の変形が防止されるため、供給パイプ及び排出パイプを接続しても側部6の経時的な形状変化を抑えることができる。しかも、この樹脂成形体1は、容器部2、屈曲パイプ部3及びノズル部4が一体成形されているため、屈曲パイプ部3に通過させる流体から容器部2への熱伝導性が高くなり、更には、部品点数を削減することもできる。
【0061】
また、側部6形成されたフランジ部7にノズル部4を接続させることで、別途ノズル部4の補強部材を形成することなく、側部6に対するノズル部4の屈曲強度を高くすることができる。
【0062】
また、凹部形成用突部25の先端面33を凹曲面状に形成することで、フランジ部7におけるフローティングコア28と曲管射出成形用型20との離間距離を均一化することができる。これにより、フランジ部7においも安定してフローティングコアを移動させることができる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、容器部が、底部5及び側部6を有して上部が開口された容器であるものとして説明したが、容器部は如何なる形状のものであってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、屈曲パイプ部3及びノズル部4が側部6に接続されるものとして説明したが、屈曲パイプ部3及びノズル部4は、容器部2の内壁面及び外壁面に接続されて互いに連通されていれば、容器部2の如何なる位置において接続されてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、ノズル部4がフランジ部7に接続されるものとして説明したが、ノズル部4の強度が保持できれば、ノズル部4をフランジ部7に接続させなくてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、ノズル部4が接続される肉厚部として、フランジ部7を採用するものとして説明したが、この肉厚部は、容器部に形成される部位であれば如何なる部位であってもよい。例えば、この肉厚部として、リブ11などを採用してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、凹部形成用突部25の先端面33は、凹曲面状に形成されるものとして説明したが、フランジ部7におけるフローティングコア28と曲管射出成形用型20との間に形成される溶融樹脂の層を薄くすることができれば、如何なる形状に形成されてもよい。例えば、凹部形成用突部25の先端面33が多角形に形成されてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、フランジ部7にパッキン溝部10aが形成されるものとして説明したが、フランジ部7には、パッキン溝部10aを形成することなく、肉盗み部10bのみを形成するものとしてもよい。この場合、フローティングコア28がフランジ部7を通過する際に、フローティングコア28の周囲に加圧流体がフローティングコア28を回り込む隙間が生じないように、肉盗み部10bの幅などを設定することが好ましい。
【符号の説明】
【0069】
1…樹脂成形体、2…容器部、3…屈曲パイプ部、3a…胴部、3b…端部、4…ノズル部、4a…接続部、5…底部、5a…底部の部分、6…側部、6a…内壁面、6b…外壁面、7…フランジ部、8…ボルト穴、9…ボルト挿入部、10…パッキン溝、10a…パッキン溝部、10b…肉盗み部、11…リブ、12…連通孔、20…曲管射出成形用型、20a…上型、20b…下型、21…キャビティ部、22…容器部用キャビティ部、22a…容器部用キャビティ部、22b…容器部用キャビティ部、23…屈曲パイプ部用キャビティ部、24…ノズル部用キャビティ部、24a…ノズル部用キャビティ部、24b…ノズル部用キャビティ部、25…凹部形成用突部、26…第一余剰キャビティ部、26a…第一余剰キャビティ部、26b…第一余剰キャビティ部、27…第二余剰キャビティ部、27a…第二余剰キャビティ部、27b…第二余剰キャビティ部、28…フローティングコア、29…高圧流体用流路、29…凹部形成用突部、30…余剰樹脂収容部、31…フランジ部形成用型部、32…パッキン溝部用型部、33…先端面、34…開閉弁、36…先端面、40…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器部と、
前記容器部の内壁面に接続された中空の屈曲パイプ部と、
前記容器部の外壁面に接続されて前記屈曲パイプ部に連通される中空のノズル部と、
を有し、
前記容器部、前記屈曲パイプ部及び前記ノズル部が一体成形されている、
樹脂成形体。
【請求項2】
前記外壁面に肉厚部が形成されており、
前記ノズル部は、前記肉厚部に接続されている、
請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項3】
前記肉厚部は、他部材と接合されるフランジ部である、
請求項2に記載の樹脂成形体。
【請求項4】
フローティングコアを用いた曲管射出成形法により、外壁面に肉厚部が形成された容器部と、前記容器部の内壁面に接続された中空の屈曲パイプ部と、前記肉厚部に接続されて前記屈曲パイプ部に連通される中空のノズル部と、を有する樹脂成形体を形成するための曲管射出成形用型であって、
前記容器部を形成する樹脂が充填される容器部用キャビティ部と、
前記屈曲パイプ部を形成する樹脂が充填される屈曲パイプ部用キャビティ部と、
前記ノズル部を形成する樹脂が充填されるノズル部用キャビティ部と、
前記容器部用キャビティ部から突出して前記肉厚部に凹部を形成する凹部形成用突部と、
を有する曲管射出成形用型。
【請求項5】
前記凹部形成用突部は、先端面が凹曲面状に形成されている、
請求項4に記載の曲管射出成形用型。
【請求項6】
フローティングコアを用いた曲管射出成形法により、外壁面に肉厚部が形成された容器部と、前記容器部の内壁面に接続された中空の屈曲パイプ部と、前記肉厚部に接続されて前記屈曲パイプ部に連通される中空のノズル部と、を有する樹脂成形体を形成する曲管射出成形方法であって、
前記容器部を形成する樹脂が充填される容器部用キャビティ部と、前記屈曲パイプ部を形成する樹脂が充填される屈曲パイプ部用キャビティ部と、前記ノズル部を形成する樹脂が充填されるノズル部用キャビティ部と、前記容器部用キャビティ部から突出して前記肉厚部に凹部を形成する凹部形成用突部と、を有する曲管射出成形用型に樹脂を充填し、
前記屈曲パイプ部用キャビティ部及び前記ノズル部用キャビティ部で前記フローティングコアを加圧移動させて、前記屈曲パイプ部用キャビティ部及び前記ノズル部用キャビティ部の中心部に充填された樹脂を押し出す、
曲管射出成形方法。
【請求項7】
前記凹部形成用突部は、先端面が凹曲面状に形成されている、
請求項6に記載の曲管射出成形方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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