説明

樹脂成形体製造装置及び樹脂成形体製造方法

【課題】嵩密度の小さい合成樹脂の粉砕材から樹脂成形体を製造することができる樹脂成形体製造装置及び樹脂成形体製造方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を、加熱溶融しながら押出口側へ樹脂を押出す樹脂融解押出機構1と、樹脂融解押出機構1の溶融樹脂押出口側に設置され、樹脂融解押出機構1から押し出された溶融樹脂を吐出するダイス2とを備えた樹脂成形体製造装置である。投入される粉砕材を攪拌する攪拌機24が内装された攪拌機付ホッパー5と、攪拌機24にて攪拌されてホッパーの下端部の開口部から落下する粉砕材を樹脂融解押出機構内に送出する強制押込機構6とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材から樹脂成形体を成形する樹脂成形体製造装置及び樹脂成形体製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック等の合成樹脂を原料として樹脂成形体を製造する方法がある(特許文献1)。すなわち、原料としての合成樹脂を押出装置に投入することにより、合成樹脂を溶融させて溶融樹脂を形成し、この溶融樹脂を押し出して所望の形状に加工する。
【0003】
このようにして成形される樹脂成形体としては、例えば、エア緩衝材がある(特許文献2)。エア緩衝材は、2枚のプラスチックフィルムを袋状とし、エアを注入して膨らませたものである。エア緩衝材は、製品等を梱包して輸送する際に、梱包箱内で製品等が移動したり、衝撃で破損または変形したりすることを防止するために、梱包箱と製品等との間に介在されるものである。
【特許文献1】特許3149130号公報
【特許文献2】特開2002−283443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、押出装置に投入できる合成樹脂としては、主にレジン(チップ状の樹脂)又は再生レジン等があるが、これらのものはコスト高である。これに対して、使用済みのフィルム状プラスチックの粉砕材、糸状・微細粒状の固形プラスチックの廃材等は低コストにて入手できる。ところが、使用済みのフィルム状プラスチックの粉砕材、糸状・微細粒状の固形プラスチックの廃材等の粉砕材は嵩密度が小さい。このため、嵩密度の小さい合成樹脂の粉砕材を押出装置に投入しようとすると、押出装置の入口でブリッジを形成して押出装置内に原料となる合成樹脂を投入することができず、また、押出装置内に投入しても、十分な樹脂量が押し出されないという問題がある。これにより、嵩密度が小さい合成樹脂から樹脂成形体を製造するのが困難であった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて、嵩密度の小さい合成樹脂の粉砕材から樹脂成形体を製造することができる樹脂成形体製造装置及び樹脂成形体製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の樹脂成形体製造装置は、合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を、加熱溶融しながら押出口側へ樹脂を押出す樹脂融解押出機構と、前記樹脂融解押出機構の溶融樹脂押出口側に設置され、前記樹脂融解押出機構から押し出された溶融樹脂を吐出するダイスとを備えた樹脂成形体製造装置であって、投入される粉砕材を攪拌する攪拌機が内装された攪拌機付ホッパーと、攪拌機にて攪拌されてホッパーの下端部の開口部から落下する粉砕材を前記樹脂融解押出機構内に送出する強制押込機構とを備えたものである。
【0007】
本発明の樹脂成形体製造装置によれば、攪拌機付ホッパーを備えているので、この攪拌機付ホッパー内に合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を投入すると、粉砕材は攪拌機にて攪拌されて、ホッパー内でブリッジを生じるのを防止することができる。これにより、粉砕材は、ホッパーの下端部の開口部からスムーズに強制押込機構に落下する。ホッパーから強制押込機構に供給された粉砕材は、強制押込機構にて樹脂融解押出機構内に強制的に送出することができる。
【0008】
前記強制押込機構を、シリンダ機構にて構成することができる。これにより、膨張した粉砕材を強制押込機構にて圧縮することができて、粉砕材の嵩密度を大きくすることができ、樹脂融解押出機構内に十分な量の粉砕材を投入することができる。
【0009】
前記樹脂成形体は、エアが注入された小袋部が長手方向に沿って所定ピッチで配置されるエア緩衝材であって、前記ダイスから吐出される溶融樹脂に圧縮空気を吹き出して袋体を長手方向に沿って連続形成する圧縮空気吹出手段と、袋体の周壁を密着させて前記袋体を長手方向に沿って所定ピッチで区画する密着手段とを設けることができる。これにより、前記ダイスから吐出される溶融樹脂に圧縮空気を供給することができて、溶融樹脂を袋体とすることができる。また、密着手段を設けることにより、ダイスから連続的に落下する袋体の周壁を、所定間隔毎に密着させて区分けすることができる。このため、樹脂成形体を、エアが注入された小袋部が長手方向に沿って所定ピッチで配置されるエア緩衝材とすることができる。
【0010】
前記密着手段は、袋体を所定間隔毎に挟持して密着部を形成する第1型と第2型とを備え、前記第1型側と第2型側との少なくとも一方に、前記密着部を冷却する冷却手段を設けることができる。小袋部の全長を長くしたい場合は、第1型及び第2型が袋体を挟む頻度を減少させ、小袋部の全長を短くしたい場合は、第1型及び第2型が袋体を挟む頻度を増加させる。これにより、種々の長さの小袋部を有する樹脂成形体を1つの装置で成形することができる。また、密着部を形成するのとほぼ同時に、冷却手段が密着部を冷却することができて、袋体が第1型及び第2型に溶着するのを防止することができる。
【0011】
本発明の樹脂成形体製造方法は、合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を加熱溶融しながら押出して、ダイスに通過させることにより樹脂成形体を成形する樹脂成形体製造方法であって、合成樹脂の廃材を粉砕して粉砕材を形成し、この粉砕材をホッパー内で攪拌した後、ホッパーの下端部の開口部から粉砕材を樹脂融解押出機構内に強制押込機構によって圧縮送出し、前記樹脂融解押出機構内で加熱溶融しながら樹脂を押出して樹脂融解押出機構からダイスへ供給して、このダイスから樹脂成形体を吐出させて樹脂成形体を成形するものである。
【0012】
本発明の他の樹脂成形体製造方法は、合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を加熱溶融しながら押出した溶融樹脂に、エアが注入されて小袋部が長手方向に沿って所定ピッチで配置されるエア緩衝材である樹脂成形体を成形する樹脂成形体製造方法であって、合成樹脂の廃材を粉砕して粉砕材を形成し、この粉砕材をホッパー内で攪拌した後、ホッパーの下端部の開口部から粉砕材を樹脂融解押出機構内に強制押込機構によって圧縮送出し、前記樹脂融解押出機構内で加熱溶融しながら樹脂を押出して樹脂融解押出機構からダイスへ供給して、ダイスから吐出される樹脂内に圧縮空気を供給して、エアが注入された袋体を形成し、その袋体の周壁を長手方向に沿って所定ピッチで区画していき前記エア緩衝材を成形するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の樹脂成形体製造装置は、合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を、樹脂融解押出機構内に強制的に送出することができるため、嵩密度の小さい合成樹脂の粉砕材から直接樹脂成形体を製造することができる。すなわち、使用済みのフィルム状プラスチックの粉砕材、糸状・微細粒状の固形プラスチック等の粉砕材を、樹脂融解押出機構に投入することができるため、これらのものから直接樹脂成形体を製造することができて、コスト低減を図ることができる。
【0014】
樹脂融解押出機構内に十分な量の粉砕材を投入することができるため、嵩密度の小さい合成樹脂の粉砕材から樹脂成形体を安定して製造することができる。
【0015】
嵩密度の小さい合成樹脂の粉砕材から直接エア緩衝材を成形することができる。すなわち、袋体の内部に空気が充填され、十分な緩衝機能を備えた緩衝材を容易に製造することができる。
【0016】
種々の長さの小袋部を有するエア緩衝材を1つの装置で成形することができるため、コストの低減を図ることができる。また、溶融樹脂が第1型及び第2型に溶着するのを防止することができるため、高品質な樹脂成形体を製造することができるとともに、不良品を少なくすることができて歩留まり率を高くすることができる。
【0017】
本発明の樹脂成形体製造方法は、嵩密度の小さい合成樹脂の粉砕材から樹脂成形体を安定して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0019】
本発明の樹脂成形体製造装置は、図1や図2に示すように、使用済みのフィルム状プラスチックの粉砕材、糸状・微細粒状の固形プラスチックの廃材等を細かく粉砕して粉砕材とする粉砕機80に連結されており、粉砕材が投入される攪拌機付ホッパー5と、攪拌機付ホッパー5の下端部の開口部から落下する粉砕材を送出する強制押込機構6と、強制押込機構6から送出された粉砕材を、加熱溶融しながら押出口側へ押出す樹脂融解押出機構1と、溶融樹脂及び空気を供給するダイス2と、溶融樹脂の周壁を密着させる密着手段3と、ダイス2から供給された溶融樹脂を冷却して樹脂成形体を成形する冷却機構4とを備えている。
【0020】
攪拌機付ホッパー5は、図3に示すように、ホッパー本体部20と、ホッパー本体部20に内装される攪拌機24と、攪拌機24に取付けられるギアードモータ25とを備える。ホッパー本体部20は、筒状の大径部21と、大径部21の下端縁から下方に向かって徐々に縮径するテーパ部22と、テーパ部22の下端縁から鉛直方向に延びる小径部23を有している。攪拌機24は、鉛直方向に沿って延びるシャフト26と、このシャフト26に付設される撹拌体27とを備える。撹拌体27は、一対の撹拌棒27a、27aからなる第1撹拌羽28と、平板状の第2撹拌羽27bとを備える。第1撹拌羽28は、上部側に3段設けられ、第2撹拌羽27bは、下部に1枚設けられている。なお、下部には、第2撹拌羽27bと略180度反対位置に撹拌棒27cが設けられている。ギアードモータ25がシャフトを回転させることにより、ホッパー内の粉砕材は撹拌され、第2撹拌羽27bにガイドされて下部に落下する。
【0021】
強制押込機構6は、圧縮空気の押圧力にて押圧するシリンダ機構29にて構成されており、本実施形態ではエアシリンダを使用している。図4に示すように、シリンダ機構29は、ピストン31が収容されたシリンダ本体32と、シリンダ本体32から突出されるピストンロッド33とを備え、ピストンロッド33が筒体30内に挿入されている。この筒体30の先端側と、前記ホッパー本体部20の小径部23の開口部とが連通している。また、筒体30の先端開口部と、後述する樹脂融解押出機構1とが連通している。これにより、ホッパーの粉砕材が、強制押込機構6の筒体30内の先端側に落下して、粉砕材を樹脂融解押出機構1に送出することができる。
【0022】
樹脂融解押出機構1は、図1に示すように、粉砕材を溶融させて溶融樹脂を形成する筒状の溶融炉12と、融解炉12内部の溶融樹脂を押出口側(先端側)へ押出すスクリュー駆動電動機13を備えている。図示例の融解炉12は、筒状の融解炉本体の外周にコイルを巻きつけた発熱部16を備えている。スクリュー駆動電動機13は、融解炉12の内部に挿入されたスクリュー(図示省略)と、モータ17と、モータ17の駆動軸に取付けられ、モータ17の回転駆動力をスクリューに伝達する減速機18を備えている。
【0023】
融解炉12の押出口側に装着されたダイス2の底面には、図5に示すように、樹脂成形体の周壁の断面形状に相当する形状(図示例では円形)を有する溶融樹脂吐出口41が所定間隔で4つ設けられている。また、ダイス2には、圧縮空気吹出手段40が設けられている。すなわち、各溶融樹脂吐出口41の中央部には、圧縮空気吹出手段40の吹出口42が夫々設けられている。圧縮空気吹出手段40は、図示省略の圧縮空気供給源に連結されており、エア調整バルブ43の調整にて圧縮空気の供給圧を調整しつつ、圧縮空気供給源から圧縮空気を供給する。
【0024】
密着手段3は、ダイス2の下方(溶融樹脂の吐出方向)に設けられ、図6や図7に示すように、ダイス2から吐出した溶融樹脂を両側から挟んで密着部50を形成する第1型(凹型)51と第2型(凸型)52とを備えている。この第1型51と第2型52は、一対のエアシリンダ53、54のピストンロッド48、49の先端に取付けられており、第1型51には冷却手段55を設けている。すなわち、第1型51に送風路が形成されており、この送風路を介して第1型側から樹脂成形体側に冷却風を送風するものである。冷却風の供給源としては、前記圧縮空気吹出手段40の圧縮空気供給源と同一のものとしてもよく、また、別途設けてもよい。
【0025】
密着手段3の下方には、樹脂成形体を外側から冷却する冷却機構4が設けられている。この冷却機構4は、樹脂融解押出機構1のモータ17の下方に設けられたブロアー56と、樹脂融解押出機構1を支持する骨組57と、骨組57から左右に分かれるダクト59と、左右のダクト59に連結されるエアリング61とから構成されている。そして、ブロアー56からエアリング61までは、骨組57及びダクト59を介して連通している。そして、エアリング61の下方には、樹脂成形体を引き出す送り機構60が設けられている。この送り機構60としては、一対のローラから構成されており、樹脂成形体を挟んで引き出すものとしており、成形した樹脂成形体を保護するため、ローラの外周にクッション材を巻回している。
【0026】
次に、この樹脂成形体製造装置を用いて、樹脂成形体を成形する方法を説明する。なお、樹脂成形体としては、プラスチックフィルムを袋状として内部にエアを封入したエア緩衝材を例示するが、これに限られるものではない。
【0027】
まず、使用済みのフィルム状プラスチックの粉砕材、糸状・微細粒状の固形プラスチックの廃材等を、粉砕機80にて細かく粉砕して粉砕材を生成する。粉砕材のメッシュサイズとしては、例えばφ6mmである。
【0028】
次に、粉砕材を、粉砕機から攪拌機付ホッパー5にエア搬送して、攪拌機付ホッパー5内に粉砕材を投入する。そして、ギアードモータ25を作動させて攪拌機24を回転させ、粉砕材を攪拌する。攪拌機付ホッパー5の小径部23の開口部から落下する粉砕材が、強制押込機構6の筒体30内の先端側に充填される。
【0029】
強制押込機構6のピストンロッド33を、樹脂融解押出機構側に押圧する。これにより、筒体30内の先端側に充填された粉砕材は、ピストンロッド33の押圧力にて押圧され、樹脂融解押出機構1側へ押圧される。これにより、膨張した粉砕材を強制押込機構6にて圧縮することができて、粉砕材の嵩密度を大きくすることができ、樹脂融解押出機構内に十分な量の粉砕材を投入することができる。
【0030】
次に、溶融炉12の発熱部16の温度を上昇させて、樹脂融解押出機構1に投入された粉砕材を溶融させて溶融樹脂69を形成する。これと同時に、モータ17を作動させて、スクリュー駆動電動機13のスクリューにより、溶融樹脂69を融解炉12の基端部から先端側(押出口側)へ送る。すなわち、粉砕材を加熱溶融しながら、樹脂融解押出機構1の押出口側から押し出す。
【0031】
そして、押出された溶融樹脂69をダイス2の溶融樹脂吐出口41から押し出すと、溶融樹脂69が円筒状となって落下する。この溶融樹脂69の押出しと同時に、エア調整バルブ43を調整して圧縮空気の供給圧を調整しつつ、圧縮空気吹出手段40から圧縮空気を吹き出す。これにより、溶融樹脂69からエアが注入された袋体70が4列同時に成形される。
【0032】
袋体70が密着手段3を落下する際、図7に示すように、第1型51と第2型52が、所定時間毎に袋体70を両側から挟む。これにより、袋体70の周壁を密着させて区画する密着部50を形成し、袋体70の長手方向に沿って所定ピッチで小袋部72が形成される。この密着部50の形成とほぼ同時に、第1型51側に設けられた冷却手段55にて密着部50に冷却風を当てる。
【0033】
このようにして形成された袋体70を、冷却機構4の冷却リング61を通過させて冷却する。すなわち、ブロアー56を作動させて冷却エアを発生させると、冷却エアは骨組57を通って、左右のダクト59に分かれて冷却リング61から袋体70に供給される。これにより袋体70を冷却することができる。
【0034】
そして、袋体70を、送り機構60である一対のローラ間を通過させて引き出す。これにより、プラスチックフィルムを袋状として内部にエアを封入したエア緩衝材を形成することができる。
【0035】
このように、本発明では、攪拌機付ホッパー5を備えているので、この攪拌機付ホッパー内に合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を投入すると、粉砕材は攪拌機24にて攪拌されて、ホッパー内でブリッジを生じるのを防止することができる。これにより、粉砕材は、ホッパー5の下端部の開口部からスムーズに強制押込機構に落下する。ホッパー5から強制押込機構6に供給された粉砕材は、強制押込機構6にて樹脂融解押出機構内に強制的に送出することができる。このため、嵩密度の小さい合成樹脂の粉砕材から直接樹脂成形体を製造することができる。すなわち、使用済みのフィルム状プラスチックの粉砕材、糸状・微細粒状の固形プラスチック等の粉砕材を、樹脂融解押出機構1に投入することができるため、これらのものから直接樹脂成形体を製造することができて、コスト低減を図ることができる。
【0036】
前記強制押込機構6を、圧縮空気の押圧力にて押圧するエアシリンダにて構成することができる。これにより、膨張した粉砕材を強制押込機構にて圧縮することができて、粉砕材の嵩密度を大きくすることができ、樹脂融解押出機構内に十分な量の粉砕材を投入することができるため、嵩密度の小さい合成樹脂の粉砕材から樹脂成形体を安定して製造することができる。
【0037】
溶融樹脂吐出口41から吐出される溶融樹脂69に圧縮空気を供給することができて、溶融樹脂69を袋体70とすることができる。また、密着手段3を設けることにより、溶融樹脂吐出口41から連続的に落下する袋体の周壁を、所定間隔毎に密着させて区分けすることができる。このため、樹脂成形体を、袋体に空気が注入されたエア緩衝材とすることができ、袋体の内部に空気が充填され、十分な緩衝機能を備えた緩衝材を容易に製造することができる。
【0038】
小袋部72の全長を長くしたい場合は、第1型51及び第2型52が袋体70を挟む頻度を減少させ、小袋部72の全長を短くしたい場合は、第1型51及び第2型52が袋体70を挟む頻度を増加させる。これにより、種々の長さの小袋部72を有するエア緩衝材を1つの装置で成形することができるため、コストの低減を図ることができる。また、密着部50を形成するのとほぼ同時に、冷却手段55が密着部50を冷却することができて、袋体70が第1型51及び第2型52に溶着するのを防止することができるため、高品質な樹脂成形体を製造することができるとともに、不良品を少なくすることができて歩留まり率を高くすることができる。
【0039】
次に、本発明の樹脂成形体製造装置の他の実施形態を説明する。この場合、図8に示すように、ダイス2の底面には、溶融樹脂吐出口41が周方向に間欠的に4つ配設されている。各溶融樹脂吐出口41の中央部に、夫々圧縮空気の吹出口42を設けている。このようにして成形したエア緩衝材は、図9に示すように、気房94a〜94d、95が設けられたものとなる。これにより、中央が空洞になっているので、各気房94a〜94d、95を隔てる樹脂に掛かる引張荷重の集中を軽減することができるので、外側から押圧されて変形するような場合や気房94a〜94d、95に過剰に空気が封入されてエア緩衝材が膨張する場合でも、エア緩衝材が破損し難くなる。また、1つの気房が破損しても、他の気房が緩衝機能を発揮することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、強制押込機構6としては、エアシリンダに限定されず、油圧シリンダ、電動シリンダ等種々のものを採用できる。また、スパイラル押出しにて粉砕材を押出すこともできる。溶融樹脂吐出口41や圧縮空気吹出手段40の数としては、1つ以上有していればよく、4つに限られるものではない。また、溶融樹脂吐出口41の形状としては、円形のものに限られず、楕円形、三角形、四角形、多角形等種々の形状を採用することができる。さらに、溶融樹脂吐出口41を複数設ける場合は、その配置も任意とすることができる。
【0041】
また、密着手段3としては、第1型51及び第2型52に針状体を設けて密着部50にミシン目等を入れて、密着部50から分離しやすいようにしてもよい。これによって、任意の長さのエア緩衝材にカットすることができる。この場合、小袋部72ごとに一つずつカットすることもできる。第2型(凸型)52側にエッチング加工等にて、密着部50に所望のマークを刻印するための型を形成することもできる。この場合、密着部50の形成と同時にマークを転写することができて、作業性に優れる。溶融樹脂69は第1型(凹型)51に溶着し易いため、第1型51に冷却手段55を設けるのが望ましいが、第2型52に冷却手段55を設けることもでき、第1型51と第2型52との両方に冷却手段55を設けることもできる。
【0042】
樹脂成形体を製造する合成樹脂の粉砕材には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂など、熱可塑性を備えた樹脂を用いることができる。また、再生樹脂や、紙くず、木くず、乾燥した草の粉を樹脂に混ぜたものを用いることもできる。さらには、ホッパーに投入できるものとしては、粉砕材に限らず、従来同様にレジンや再生レジンとすることができる。
【0043】
樹脂成形体としては、エア緩衝材に限られず、合成樹脂を原料として押出し成形で成形するものであれば、発泡フォーム、板、パイプ、ブローボトル、インジェクション等種々の形状ものとすることができる。また、溶融樹脂69の押出速度、圧縮空気の供給速度、圧縮空気の供給量、密着手段3による密着のタイミングなどを変更することにより、成形される樹脂成形体の形状及び形態を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の樹脂成形体製造装置の側面図である。
【図2】前記図1の樹脂成形体製造装置の正面図である。
【図3】前記図1の樹脂成形体製造装置の攪拌機付ホッパーの簡略断面図である。
【図4】前記図1の樹脂成形体製造装置の強制押込機構の簡略図である。
【図5】前記図1の樹脂成形体製造装置のダイスの底面図である。
【図6】前記図1の樹脂成形体製造装置にて製造される樹脂成形体の製造工程を示す図である。
【図7】前記図1の樹脂成形体製造装置にて製造される樹脂成形体の製造工程を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態の樹脂成形体製造装置のダイスの底面図である。
【図9】前記図8の樹脂成形体製造装置にて製造される樹脂成形体の正面図及び断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 樹脂融解押出機構
2 ダイス
3 密着手段
5 攪拌機付ホッパー
6 強制押込機構
24 攪拌機
40 圧縮空気吹出手段
51 第1型
52 第2型
55 冷却手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を、加熱溶融しながら押出口側へ樹脂を押出す樹脂融解押出機構と、前記樹脂融解押出機構の溶融樹脂押出口側に設置され、前記樹脂融解押出機構から押し出された溶融樹脂を吐出するダイスとを備えた樹脂成形体製造装置であって、
投入される粉砕材を攪拌する攪拌機が内装された攪拌機付ホッパーと、攪拌機にて攪拌されてホッパーの下端部の開口部から落下する粉砕材を前記樹脂融解押出機構内に送出する強制押込機構とを備えたことを特徴とする樹脂成形体製造装置。
【請求項2】
前記強制押込機構を、シリンダ機構にて構成したことを特徴とする請求項1の樹脂成形体製造装置。
【請求項3】
前記樹脂成形体は、エアが注入された小袋部が長手方向に沿って所定ピッチで配置されるエア緩衝材であって、
前記ダイスから吐出される溶融樹脂に圧縮空気を吹き出して袋体を長手方向に沿って連続形成する圧縮空気吹出手段と、袋体の周壁を密着させて前記袋体を長手方向に沿って所定ピッチで区画する密着手段とを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2の樹脂成形体製造装置。
【請求項4】
前記密着手段は、袋体を所定間隔毎に挟持して密着部を形成する第1型と第2型とを備え、前記第1型側と第2型側との少なくとも一方に、前記密着部を冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする請求項3の樹脂成形体製造装置。
【請求項5】
合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を加熱溶融しながら押出して、ダイスに通過させることにより樹脂成形体を成形する樹脂成形体製造方法であって、
合成樹脂の廃材を粉砕して粉砕材を形成し、この粉砕材をホッパー内で攪拌した後、ホッパーの下端部の開口部から粉砕材を樹脂融解押出機構内に強制押込機構によって圧縮送出し、前記樹脂融解押出機構内で加熱溶融しながら樹脂を押出して樹脂融解押出機構からダイスへ供給して、このダイスから樹脂成形体を吐出させて樹脂成形体を成形することを特徴とする樹脂成形体製造方法。
【請求項6】
合成樹脂の廃材が粉砕されてなる粉砕材を加熱溶融しながら押出した溶融樹脂に、エアが注入されて小袋部が長手方向に沿って所定ピッチで配置されるエア緩衝材である樹脂成形体を成形する樹脂成形体製造方法であって、
合成樹脂の廃材を粉砕して粉砕材を形成し、この粉砕材をホッパー内で攪拌した後、ホッパーの下端部の開口部から粉砕材を樹脂融解押出機構内に強制押込機構によって圧縮送出し、前記樹脂融解押出機構内で加熱溶融しながら樹脂を押出して樹脂融解押出機構からダイスへ供給して、
ダイスから吐出される樹脂内に圧縮空気を供給して、エアが注入された袋体を形成し、その袋体の周壁を長手方向に沿って所定ピッチで区画していき前記エア緩衝材を成形することを特徴とする樹脂成形体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−113275(P2009−113275A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287271(P2007−287271)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(591004799)株式会社シンワコーポレーション (11)
【Fターム(参考)】