説明

樹脂積層板の製造方法

【課題】製造効率および製品品質を確保しつつ、十分な軽量化、薄肉化を達成可能な樹脂積層板の製造方法を提供する。
【解決手段】2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シート120A、120Bを互いに所定間隔を隔てて、環状ピンチオフ部のまわりにはみ出す形態で、一対の金型の間に位置決めする段階と、一方のシートと、一方のシートの外表面に対向する一方の金型のキャビティとの間に密閉空間を形成する段階と、一方の金型の側から前記密閉空間を吸引して、一方の金型のキャビティに対して一方のシートの外表面を押し当てることにより、一方のシートを賦形して、凹部を形成する段階と、一対の金型を型締めして、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの周縁同士を、および一方のシートに形成された凹部の頂部を他方のシートの内表面に、溶着する段階と、を有し、両シートの厚みが実質的に等しい樹脂積層板を製造することを特徴とする樹脂積層板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂積層板の製造方法に関し、より詳細には、製造効率および製品品質を確保しつつ、十分な軽量化、薄肉化を達成可能な樹脂積層板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の内装材や建材、物流・包装材として、いわゆる樹脂積層板が採用されている。
樹脂積層板は、樹脂製の表面材と樹脂製の裏面材とを有し、裏面材には先端部が表面材の内面に突き合わされる凹部が設けられる。特に、外観が重視される自動車の内装材や建材の場合には、表面材の表側には不織布が貼着される。
この樹脂積層板の製造方法には、従来から種々の方法が採用されている。
第1に、溶融樹脂を用いて一体押出中空成形により製造する技術が採用されている。
このような方法により製造された樹脂積層板によれば、単に内部に中空部を有するだけの二重壁中空構造に比べ、表面材と裏面材とを連結する凹部により、剛性、特に面材に対して鉛直方向の荷重に対する圧縮剛性を確保することが可能である。
【0003】
第2に、特許文献1に開示されているように、一方が表面に多数の突起部が千鳥模様状に配置されたロールである一対のロールの間に、個別に押出された2枚の溶融状態のシートを所定押圧力のもとで通して、一方のシートに凹部を形成するとともに、凹部の底面を他方のシートの内面に突き合わせる形態で2枚のシートを溶着し、さらに一方のシートの凹部の開口が形成された側の面に別のシートを溶着させる技術であり、凹部を形成したシートの表側および裏側それぞれに対してシートを溶着させる3層構造をなす。
【0004】
第3に、特許文献2に開示されているように、第2の方法と異なり、それぞれ表面に多数の突起部が千鳥模様状に配置されたロールである一対のロールの間に、個別に押出された2枚の溶融状態のシートを所定押圧力のもとで通して、それぞれのシートに凹部を形成するとともに、それぞれのシートの対応する凹部の底面同士を溶着する形態で2枚のシートを溶着し、さらにそれぞれシートの反対側の面に別のシートを溶着させる技術であり、シートそれぞれの凹部の開口が形成された側の面に対してシートを溶着させる4層構造をなす。
以上のような溶融状態のシートを押出して樹脂積層板を製造する技術には、以下のような技術的問題点が存する。
【0005】
すなわち、製造効率を確保しつつ、方向性のない十分な強度を有する樹脂積層板を得ることが困難な点である。より詳細には、第1の方法ないし第3の方法に共通の押し出し成形特有の問題として、シートの押出し方向の端部は開放状態となることから、熱シール処理等の端面処理が必須となるため、その分余分な工程が必要となり、全体の製造効率が低下する。さらに、千鳥状に凹部が形成されるシートと別のシートとの溶着、または、それぞれ千鳥状に凹部が形成されるシート同士の溶着はそれぞれ、一対のローラーの間をローラーにより送り出されながら通過する際の押圧力により行われるに過ぎず、十分な溶着時間を確保することが難しく、それによる溶着不足が原因で樹脂積層板として十分な強度を確保することが困難となり、品質劣化を引き起こす。
この点、連続的な押出成形ではなく、ブロー成形によれば、上記のような端面処理に伴う製造効率の低下、および溶着不足に伴う強度不足を回避することが可能である。
特許文献3は、このようなブロー成形による方法を開示する。
特許文献3によれば、溶融状態の筒状のパリソンを用いて、裏面壁には先端部が表面壁の内面に突合せ溶着される凹部を設けるとともに、表面壁の外表面には、表装材を貼着する点が開示されている。
しかしながら、このように筒状のパリソンを用い吹き込み圧をかけて成形するブロー成形によれば、別の技術的問題点が引き起こされる。
すなわち、周方向に肉厚の均一な筒状のパリソンを用い吹き込み圧をかけて成形することに起因して、樹脂積層板の十分な軽量化、薄肉化が困難な点である。
【0006】
より詳細には、筒状のパリソンは、通常ダイコア間の環状のスリットから押し出しされることからその厚みは周方向に略一様であり、一方、分割形式の一対の金型を型締めした際、金型内の密閉空間から吹き込み圧をかけることからパリソンの金型に対する押圧力はパリソンの全面に亘って一様であるところ、凹部を形成する一方の金型に押圧されるパリソンは、凹部の深さ、開口径に応じたブロー比との関係でパリソンが引き伸ばされて局所的な薄肉部が生じる一方、他方の金型には凹部を形成しないことから、このような薄肉部が生じない。
この点から、筒状パリソンの厚みは、一方の金型の側の薄肉部に合わせて設定する必要があり、それにより他方の金型の側には、余分な厚みのシートが形成されることになる。
このように、周方向の肉厚が略均一な筒状パリソンを利用する場合は、ブロー成形後に複数の凹部を有する壁面と凹部が形成されない壁面とで不可避的に厚みの違いを生じ、これに起因して、樹脂積層板の十分な軽量化、薄肉化を達成することができない。
この点、特許文献4によれば、筒状のパリソンに基づく2枚の溶融状態のシートを用いて、内部に空洞部を有するとともに、互いに対向する二面に、複数の凹部がその底面部が互いに背向するように形成される熱可塑性樹脂の板状体を製造する方法が開示されている。
しかしながら、特に、おもて面の外観が重視される自動車の内装材や建材向けの樹脂積層板の場合には、おもて面を形成する一方のシートには、不織布等の化粧材を貼着する必要があることから、一方のシートに凹部を形成する凹部を設けて表面に多数の凹部の開口を形成するのは避けるのが好ましい。
【特許文献1】特許第4327275号
【特許文献2】特許第4192138号
【特許文献3】特開平11−105113
【特許文献4】特開平7−171877
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の技術的問題点にかんがみ、本発明の目的は、製造効率および製品品質を確保しつつ、十分な軽量化、薄肉化を達成可能な樹脂積層板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明の樹脂積層板の製造方法は、
一方の金型のキャビティに対して、他方の金型に向かって突起する複数の突起体を設けた分割形式の一対の金型を設けるとともに、それぞれの厚みを調整した2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを準備する段階と、
2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを互いに所定間隔を隔てて、環状ピンチオフ部のまわりにはみ出す形態で、分割形式の一対の金型の間に位置決めする段階と、
一方のシートと、一方のシートの外表面に対向する一方の金型のキャビティとの間に密閉空間を形成する段階と、
一方の金型の側から前記密閉空間を吸引して、一方の金型のキャビティに対して一方のシートの外表面を押し当てることにより、一方のシートを賦形して、凹部を形成する段階と、
一対の金型を型締めして、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの周縁同士を、および一方のシートに形成された凹部の頂部を他方のシートの内表面に、それぞれ溶着する段階と、を有し、
それにより、両シートの厚みが実質的に等しい樹脂積層板を製造する構成としている。
【0009】
以上の構成を有する樹脂積層板の製造方法によれば、それぞれ厚み調整をした2枚の熱可塑性樹脂製シートを分割形式の金型の間に位置決めしたうえで、一方の樹脂製シートとそれに対向する金型のキャビティとの間に密閉空間を形成して、金型の側から密閉空間内を吸引することにより、従来のブロー成形によれば円筒状のパリソンを用いて吹き込み圧によりキャビティに沿った形状に賦形するところ、一方の金型のキャビティのみに複数の突起体が設けられているため、突起体を有するキャビティ側でパリソンが大きく引き伸ばされる反面、突起体を有しないキャビティ側では比較的パリソンが引き伸ばされずにそれぞれの肉厚に差が生じるという問題が引き起こされていたところ、このような問題を解決することにより、必要な強度を確保する限度で2枚の樹脂製シートそれぞれの厚みを個別に最大限まで薄肉化することが可能であり、それにより製造効率および製品品質を確保しつつ、十分な軽量化、薄肉化を達成可能である。
また、前記型締め段階後に、型締めされた一対の金型内に形成された密閉空間から吹き込み圧をかけることにより、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートそれぞれを対応する金型のキャビティに対して押し当てて、両シートを賦形することができる。
さらに、溶融状態のシート状の2条のパリソンを下方に垂下する形態で、一対の分割形式の金型の間に向かって押し出す段階を有するのでもよい。
さらに、前記突起体は、上下方向に互いに所定の間隔を隔ててキャビティの表面に複数列設けられ、それぞれの列の突起体の少なくとも一部は、キャビティの表面において水平方向に亘って延びる帯状をなすのがよい。
また、前記突起体は、キャビティ上で千鳥模様状に配置されているのがよい。
さらにまた、前記突起体は、他方の金型に向かって先細の正六角形の角錐台形状を有するのがよい。
加えて、前記他方のシートは、その外表面に化粧材が貼着されたシートであるのがよい。
さらに、前記吸引段階は、前記一方の金型の周縁に型締め方向に移動自在に外嵌する外枠を前記一方のシートの外表面に向かって移動させる段階を有し、前記一方のシートの外表面、前記外枠の内周面および前記一方の金型のキャビティにより密閉空間を構成するのがよい。
さらにまた、一対の金型を型締めを通じて、それぞれのピンチオフ部同士を当接させることにより、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの周縁同士を溶着させてパーティングラインを形成するとともに、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの間に密閉中空部を形成するのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る樹脂積層板100の製造方法の実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、樹脂積層板100は、おもて面側シート120Aと裏面側シート120Bと、おもて面側シート120Aの外表面150に貼り合わされた化粧材シート140とから構成され、樹脂積層板100は、化粧材シート140、おもて面側シート120A、および裏面側シート120Bの3層の積層構造である。なお、図1において、樹脂積層板100の内部構造を明瞭に示すために、樹脂積層板100の周端部まわりを省略して示している。
【0011】
おもて面側シート120Aおよび裏面側シート120Bそれぞれの厚み(肉厚)、および車両用内装品100としての全体厚み(板厚)は、車両用内装品100の用途に応じて適宜定めればよい。軽量性の観点から肉厚は1.5mm以下、好ましくは1.0mm以下であり、板厚は15mm以下、好ましくは10mm以下である。
裏面側シート120Bは、それぞれの底部が、おもて面側シート120Aの化粧材シート140が接着される外表面150と反対側の面である内表面170に接着される多数の凹部200を有し、多数の凹部200の深さが、積層構造板100の厚みを実質的に構成する。多数の凹部200それぞれは、裏面側シート120Bの内表面180とおもて面側シート120Aの内表面170との間を延びるリブ122により、内表面側で突出するように内方に向かって先細に構成され、複数の凹部200はそれぞれ、有底であり、最先細部に突き合わせ面240を有し、突き合わせ面240がおもて面側シート120Aの内表面170に接着されるようにしている。
複数の凹部200の数は、樹脂積層板100の用途により適宜設定すればよいが、数が多いほど重量に比して高い剛性を得ることができる。
【0012】
図1に示すように、複数の凹部200はそれぞれ、裏面側シート120Bの外表面220における開口260が正六角形の角錐台であり、外表面220上で開口260がハニカム状に配置されていることが好ましい。すなわち、外表面220上で、隣り合う開口260の対向する辺同士が平行となるように配置されている。これにより、外表面220に最も密に複数の凹部200を配置することが可能である。また、外表面200上で、隣り合う正六角形の角錐台形状の開口260の角同士が近接するように配置することも可能である。開口260の角同士が近接するように均等に配置することで、このような金型を製作するうえで切削加工が容易となる。複数の凹部200それぞれの開口260の大きさ、凹部200の深さおよび隣り合う凹部200同士の間隔について、開口260の大きさが小さく、凹部200の深さが深く、隣合う凹部200同士の間隔が小さいほど、積層板100全体としての重量に比して高い剛性を得ることができる。
図3に示すように、おもて面側シート120Aと裏面側シート120Bとの間には、密閉中空部280が形成されており、密閉中空部280が積層構造板100の周端面において、裏面側シート120Bの外周壁により閉じられている。
変形例として、複数の凹部200は、外表面220において均等に分散配置させるのが好ましいが、その形状は、円錐形状、円錐台形状、円筒形状、角柱形状、角錐形状、半球形状など多種の形状から適宜選択すればよい。
【0013】
裏面側シート120Bが、後に説明するように、2つの分割形式の金型50の間に位置決めした溶融状態の2枚のシート状パリソンPを2つの分割形式の金型50を型締することにより成形される場合、積層板100の用途に応じて、おもて面側シート120Aと裏面側シート120Bとの間の所望の位置に密閉中空部280を有するとともに所望の表面形状を呈するように形成する一方、おもて面側シート120Aと裏面側シート120Bとを溶着し、積層板100の用途に応じた外形あるいは表面形状および内部構造を所望に実現可能な積層板100を提供することが可能である。特に、おもて面側シート120Aおよび裏面側シート120B同士の周縁面が互いに溶着することにより、パーティングラインPLが形成される。

次に、このような積層板100の成形装置について、以下に説明する。
【0014】
図4に示すように、積層板100の成形装置10は、押出装置12と、押出装置12の下方に配置された型締装置14とを有し、押出装置12から押出された溶融状態のシート状パリソンPを型締装置14に送り、型締装置14により溶融状態のシート状パリソンPを成形するようにしている。ここに、2枚の熱可塑性樹脂それぞれを押し出して、型締装置14まで送るまでの装置は、同様であるので、一方のみ説明し、他方については同様な参照番号を付することによりその説明は省略する。
【0015】
押出装置12は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、ホッパー16が付設されたシリンダー18と、シリンダー18内に設けられたスクリュー(図示せず)と、スクリューに連結された油圧モーター20と、シリンダー18と内部が連通したアキュムレータ22と、アキュムレータ22内に設けられたプランジャー24とを有し、ホッパー16から投入された樹脂ペレットが、シリンダー18内で油圧モーター20によるスクリューの回転により溶融、混練され、溶融状態の樹脂がアキュムレータ室22に移送されて一定量貯留され、プランジャー24の駆動によりTダイ28に向けて溶融樹脂を送り、押出スリット34を通じて所定の長さの連続的なシート状パリソンPが押し出され、間隔を隔てて配置された一対のローラー30によって挟圧されながら下方へ向かって送り出されて分割金型32の間に垂下される。これにより、後に詳細に説明するように、シート状パリソンPが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型32の間に配置される。
【0016】
押出装置12の押出の能力は、成形する樹脂成形品の大きさ、シート状パリソンPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から適宜選択する。より具体的には、実用的な観点から、間欠押出における1ショットの押出量は好ましくは1〜10kgであり、押出スリット34からの樹脂の押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは700kg/時以上である。また、シート状パリソンPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から、シート状パリソンPの押出工程はなるべく短いのが好ましく、樹脂の種類、MFR値、メルトテンション値に依存するが、一般的に、押出工程は40秒以内、より好ましくは10〜20秒以内に完了するのがよい。このため、熱可塑性樹脂の押出スリット34からの単位面積、単位時間当たりの押出量は、50kg/時cm以上、より好ましくは150kg/時cm以上である。
【0017】
一対のローラー30の回転により一対のローラー30間に挟み込まれたシート状パリソンPを下方に送り出すことで、シート状パリソンPを延伸薄肉化することが可能であり、押し出されるシート状パリソンPの押出速度と一対のローラー30によるシート状パリソンPの送り出し速度との関係を調整することにより、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することが可能であるから、樹脂の種類、特にMFR値およびメルトテンション値、あるいは単位時間当たりの押出量に対する制約を小さくすることが可能である。
【0018】
図4に示すように、Tダイ28に設けられる押出スリット34は、鉛直下向きに配置され、押出スリット34から押し出されたシート状パリソンPは、そのまま押出スリット34から垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリット34は、その間隔を可変とすることにより、シート状パリソンPの厚みを変更することが可能である。
【0019】
一対のローラー30について説明すれば、一対のローラー30は、押出スリット34の下方において、各々の回転軸が互いに平行にほぼ水平に配置され、一方が回転駆動ローラー30Aであり、他方が被回転駆動ローラー30Bである。より詳細には、図3に示すように、一対のローラー30は、押出スリット34から下方に垂下する形態で押し出されるシート状パリソンPに関して、線対称となるように配置される。
【0020】
それぞれのローラーの直径およびローラーの軸方向長さは、成形すべきシート状パリソンPの押出速度、シートの押出方向長さおよび幅、ならびに樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよいが、後に説明するように、一対のローラー30間にシート状パリソンPを挟み込んだ状態で、ローラーの回転によりシート状パリソンPを円滑に下方に送り出す観点から、回転駆動ローラー30Aの径は、被回転駆動ローラー30Bの径より若干大きいのが好ましい。ローラーの径は50〜300mmの範囲であることが好ましく、シート状パリソンPとの接触においてローラーの曲率が大きすぎてもまた、小さすぎてもシート状パリソンPがローラーへ巻き付く不具合の原因となる。
一方、型締装置14も、押出装置12と同様に、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、2つの分割形式の金型32A,Bと、金型32A,Bを溶融状態のシート状パリソンPの供給方向に対して略直交する方向に、開位置と閉位置との間で移動させる金型駆動装置とを有する。
【0021】
図4に示すように、2つの分割形式の金型32A,Bは、キャビティ116を対向させた状態で配置され、それぞれキャビティ116が略鉛直方向沿うように配置される。それぞれのキャビティ116の表面には、溶融状態のシート状パリソンPに基づいて成形される成形品の外形、および表面形状に応じて突起体119が設けられる。
より詳細には、裏面側シート120Bを成形する一方の金型32Aのキャビティ116Aの表面には、裏面側シート120Bの外表面に凹部200を形成するように、凹部200と相補形状の突起体119が、他方の金型32Bのキャビティ116Bに向かって突出するように設けられている。
複数の突起体119のキャビティ116Aの表面上における配置として、上下方向に互いに所定の間隔を隔ててキャビティ116Aの表面に複数列設け、それぞれの列の突起体119は、キャビティ116Aの表面において水平方向に亘って延びる帯状をなしてもよい。これにより、凹部200が凹溝として形成される。また、複数の突起体119は、キャビティ116Aの表面において千鳥模様状に配置されていてもよい。
【0022】
2つの分割形式の金型32A,Bそれぞれにおいて、キャビティ116のまわりには、ピンチオフ部118が形成され、このピンチオフ部118は、キャビティ116のまわりに環状に形成され、対向する金型32A,Bに向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型32A,Bを型締する際、それぞれのピンチオフ部118の先端部が当接し、2枚の溶融状態のシート状パリソンP1、P2は、その周縁にパーティングラインPLが形成されるように溶着され、中空部を閉塞する外周壁が形成される。
【0023】
金型32Aの外周部には、型枠33Aが密封状態で摺動可能に外嵌し、図示しない型枠移動装置により、型枠33Aが、金型32Aに対して相対的に移動可能としている。より詳細には、型枠33Aは、金型32Aに対して金型32Bに向かって突出することにより、金型32A,B間に配置されたシート状パリソンP1の側面に当接可能である。
【0024】
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型32A,Bはそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型32A,Bの間に、2枚の溶融状態のシート状パリソンPが配置可能なようにされ、一方閉位置において、2つの分割金型32A,Bのピンチオフ部118が当接し、環状のピンチオフ部118が互いに当接することにより、2つの分割金型32A,B内に密閉空間が形成されるようにしている。開位置から閉位置への各金型32A,Bの移動について、閉位置、すなわち、ピンチオフ部118同士が互いに当接する位置は、2枚の溶融状態のシート状パリソンP1、P2間で、両シート状パリソンP1、P2から等距離の位置とし、各金型32A,Bが金型駆動装置により駆動されてその位置に向かって移動するようにしている。
なお、一方のシート状パリソンP1用の押出装置および一対のローラーと、他方の一方のシート状パリソンP2用の押出装置および一対のローラーとは、この閉位置に関して対称に配置されている。
【0025】
図6に示すように、分割金型32Aの内部には、真空吸引室80が設けられ、真空吸引室80は吸引穴82を介してキャビティ116Aに連通し、真空吸引室80から吸引穴82を介して吸引することにより、キャビティ116Aに向かってシート状パリソンP1を吸着させて、キャビティ116Aの外表面に沿った形状に賦形するようにしている。より詳細には、キャビティ116Aの外表面に設けた突起体119により、裏面側シート120Bの材料であるシート状パリソンP1の外表面117に凹部200を形成するようにしている。
一方、分割金型32Bには、金型32A、Bを型締したときに両金型により形成される密閉空間内から吹き込み圧をかけることが可能なように、従来既知のブローピン(図示せず)が設置されている。
【0026】
おもて面側シート120Aおよび裏面側シート120Bの材料であるシート状パリソンP1、P2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、または非晶性樹脂などから形成されたシートからなる。より詳細には、シート状パリソンP1、P2は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で金型への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。
【0027】
より具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分以下、さらに好ましくは0.3〜1.5g/10分のもの、またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等の非晶性樹脂であって、200℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度200℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0〜60g/10分、さらに好ましくは30〜50g/10分でかつ、230℃におけるメルトテンション(株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラーに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示す)が50mN以上、好ましくは120mN以上のものを用いて形成される。
【0028】
また、シート状パリソンP1、P2には衝撃により割れが生じることを防止するため、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30wt%未満、好ましくは15wt%未満の範囲で添加されていることが好ましい。具体的には水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴムおよびその混合物が好適であり、スチレン含有量が30wt%未満、好ましくは20wt%未満であり、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)は1.0〜10g/10分、好ましくは5.0g/10分以下で、かつ1.0g/10分以上あるものがよい。
さらに、シート状パリソンP1、P2には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
具体的にはシリカ、マイカ、ガラス繊維等を成形樹脂に対して50wt%以下、好ましくは30〜40wt%添加する。
【0029】
おもて面側シート120Aの材料であるシート状パリソンP2の表面に化粧材シート140を設ける場合において、化粧材シート140とは、外観性向上、装飾性、成形品と接触する物(例えば、カーゴフロアボードの場合、ボード上面に載置される荷物など)の保護を目的として構成されるものである。化粧材シート140の材質は、繊維表皮材、シート状表皮材、フィルム状表皮材等が適用される。かかる繊維表皮材の素材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル、ビニロン等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等の再生繊維、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、又はこれらのブレンド繊維が挙げられる。
【0030】
これらの中でも、触感、耐久性及び成形性の観点から、ポリプロピレン又はポリエステルであることが好ましく、ポリエステルであることがより好ましい。繊維表皮材に用いられる糸は、例えば、ポリエステル:(3〜5)デニール×(50〜100)mm等の繊度が3〜15デニール、繊維長さが2〜5インチ程度のステープルの紡績糸と、細い柔軟なフィラメントを束にしたポリエステル:約150〜1000デニール/30〜200フィラメント=約5デニール×30〜200本等のマルチフィラメント、又は、ポリエステル:400〜800デニール/1フィラメント等の太いモノ・フィラメントと、を組み合わせて用いることが好ましい。
【0031】
化粧材シート140の組織としては、不織布、織物、編物、それらを起毛した布地等が挙げられる。なお、織物には、織組織が縦糸、横糸が順次上下に交絡する平組織のほか、何本かの糸を跳び越して交絡する種々の変化織も含まれる。これらの中でも、伸びに対する方向性がないため、立体形状に成形し易く、且つ表面の触感、風合いに優れることから、不織布であることが好ましい。ここで、不織布とは、繊維を平行に又は交互させて積上げるか又はランダムに散布してウエブを形成し、次いでウエブとなった繊維を接合してなる布状品を意味する。これらの中でも、成形品の立体形状再現性及び外観特性の観点から、ニードルパンチ法により製造された不織布であることが好ましい。また、ニードルパンチ法にて得られた不織布は、織物に比べて強度が小で伸度が大であり任意方向に対する変形度合いが大きいので、不織布としての強度を向上させると共に寸法の安定化を図るために、織布にバインダーを付着させる、又は、ウエブと不織布を重ね針でパンチさせておくことがより好ましい。これらのことから、化粧材シート140は、ポリプロピレン不織布又はポリエステル不織布であることがより好ましい。この場合、化粧材シート140自体が熱可塑性であるので、剥離回収後、加熱して変形させることによって、別の用途に用いることも可能である。例えば主体樹脂層をポリプロピレンにて構成し、化粧材シート140をポリプロピレン不織布で構成すると、成形品の主体樹脂層と化粧材シート140とが同じ素材であることから、リサイクルが容易になる。
【0032】
一方、化粧材シート140がポリエステル不織布であると、ポリプロピレンにて構成した主体樹脂層と繊維表皮材との融点が異なるので、成形品に化粧材シート140を接着する際、熱により変質、変形したり、正しい位置に接着できない等の不具合が生じるのを抑制できる。また、この場合、成形性、剛性、外観及び耐久性にも優れる。また、化粧材シート140の引張強度は、立体形状再現性及び成形性の観点から、15kg/cm
2以上であることが好ましく、伸度は、30%以上であることが好ましい。なお、かかる引張強度及び伸度の値は、温度20℃においてJIS−K−7113に準拠して測定したものである。シート状表皮材、フィルム状表皮材としては、熱可塑性エラストマ−、エンボス加工された樹脂層、印刷層が外面に付された樹脂層、合成皮革、滑り止め用メッシュ形状の表皮層等が使用できる。
【0033】
以上の構成を有する積層板100の成形装置10を利用した積層板100の製造方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
まず、図4において、溶融混練した熱可塑性樹脂をアキュムレータ22内に所定量貯留し、Tダイ28に設けられた所定間隔の押出スリット34から、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出すことにより、熱可塑性樹脂はスウェルし、溶融状態のシート状に下方に垂下するように所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
【0034】
次いで、一対のローラー30を開位置に移動し、押出スリット34の下方に配置された一対のローラー30同士の間隔をシート状パリソンPの厚みより広げることにより、下方に押し出された溶融状態のシート状パリソンPの最下部が一対のローラー30間に円滑に供給されるようにする。なお、ローラー30同士の間隔をシート状パリソンPの厚みより広げるタイミングは、押し出し開始後でなく、ワンショットごとに二次成形が終了時点で行ってもよい。
次いで、一対のローラー30同士を互いに近接させて閉位置に移動し、一対のローラー30同士の間隔を狭めてシート状パリソンPを挟み込み、ローラーの回転によりシート状パリソンPを下方に送り出す。
次いで、図4に示すように、押出方向に一様な厚みを形成したシート状パリソンPを一対のローラー30の下方に配置された分割金型32A,B間に配置する。これにより、シート状パリソンPは、ピンチオフ部118のまわりにはみ出す形態で位置決めされる。
以上の工程を、2枚のシート状パリソンP1、P2それぞれについて行い、おもて面側シート120Aの材料であるシート状パリソンP2と、裏面側シート120Bの材料であるシート状パリソンP1とを互いに間隔を隔てた状態で、分割金型32A,B間に配置する。
この場合、2枚のシート状パリソンP1、P2はそれぞれ、互いに独立に、押し出しスリット34の間隔、あるいは一対のローラー30の回転速度を調整することにより、分割金型32A,B間に配置される際の厚みを調整可能である。
【0035】
より詳細には、裏面側シート120Bの材料であるシート状パリソンP1については、複数の凹部200が形成されることから成形時に金型キャビティの突起体に沿って引き伸ばされて、凹部200を設けないおもて面側シート120Aの材料であるシート状パリソンP2に比べて薄肉化される傾向にあるところ、後に説明するように、分割金型32A,Bを型締めすることにより、裏面側シート120Bとおもて面側シート120Aとを溶着して積層板100を完成した際、裏面側シート120Bの厚みとおもて面側シート120Aの厚みとが実質的に同じとなるように、裏面側シート120Bの材料であるシート状パリソンP1については、たとえば押し出しスリット34Aの間隔を押し出しスリット34Bの間隔より広げることにより、より厚くしておくことが可能である。
次いで、図5に示すように、型枠33Aを金型32Aに対して、裏面側シート120Bの材料であるシート状パリソンP1に向かって、金型32Aに対向するシート状パリソンP1の外表面117に当たるまで移動させる。
なお、化粧材シート14は、適宜金型上方に保持させてキャビティ面に沿って予め垂下させておけばよい。この化粧材シート14の配置のタイミングは、金型32を型締するまでに行えばよい。
【0036】
次いで、図5および図6に示すように、金型32Aのキャビティ116A、型枠33Aの内周面102、および金型32Aに対向するシート状パリソンP1の外表面117により構成された第1密閉空間84を通じて、真空吸引室80から吸引穴82を介して吸引することにより、シート状パリソンP1をキャビティ116Aに対して押し付けて、キャビティ116Aの凹凸表面に沿った形状にシート状パリソンP1を賦形する。これにより、裏面側シート120Bとして、複数の凹部200を形成する。
【0037】
次いで、図7に示すように、シート状パリソンP1の外表面117に当接する型枠33Aをそのままの位置に保持した状態でシート状パリソンP1を吸引保持しつつ、それぞれの環状のピンチオフ部118A,B同士が当接するまで両金型32A,Bを互いに近づく向きに移動させる。この場合、ピンチオフ部118A,B同士の型締方向の当接位置は、互いに離間する2枚のシート状パリソンP1,P2の間となるところ、図7に示すように、ピンチオフ部118A,B同士が当接することにより、2枚のシート状パリソンP1,P2は互いの周縁部同士が溶着固定されるとともに、裏面側シート120Bの表面に形成された多数の凹部200の突き合わせ平面部240がおもて面側シート120Aの内表面に溶着される。
これにより、裏面側シート120Bとおもて面側シート120Aとの間に密閉中空部280を形成する。
次いで、図8に示すように、分割金型32A,Bを型開きして、成形された積層板100を取り出し、ピンチオフ部118A,Bの外側のバリ部分Bを切断し、これで成形が完了する。
【0038】
以上のように、溶融状態のシート状パリソンPを間欠的に押し出すたびに、以上のような工程を繰り返すことにより、シート状の積層板100を次々に成形することが可能であり、押出成形により熱可塑性樹脂を間欠的に溶融状態のシート状パリソンPとして押し出し、真空成形または圧空成形により押し出されたシート状パリソンPを金型を用いて所定の形状に賦形することが可能である。
【0039】
以上の構成を有する樹脂積層板100の製造方法によれば、従来技術、例えば円筒状のパリソンを用いたブロー成形のように円筒状パリソンの円周方向の肉厚を調整することが困難な場合に、金型の型締め後にパリソン内に吹き込み圧を付加すると、ブロー比に応じて成形後のシートの厚みが局所的に薄肉化される問題が引き起こされてしまうという問題を解消することが可能である。つまり、それぞれ独立に厚み調整をした2枚の熱可塑性樹脂製シートを分割形式の金型32A、Bの間に位置決めしたうえで、一方の樹脂製シートとそれに対向する金型のキャビティ116との間に密閉空間を形成して、金型の側から密閉空間内を吸引することにより、熱可塑性樹脂シートがそれぞれのキャビティ形状に沿って引き伸ばされる程度に応じて、必要な強度および成形性を確保する限度で2枚の樹脂製シートそれぞれの厚みを個別に最大限まで薄肉化することが可能であり、それにより製造効率および製品品質を確保しつつ、十分な軽量化、薄肉化を達成可能である。
【0040】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば種々の修正あるいは変更が可能である。たとえば、本実施形態においては、分割金型の型締前の吸引により賦形する、ものとして説明したが、それに限定されることなく、たとえばシートの表面に賦形する模様の態様に応じて、分割金型の型締後に吹き込み圧をかけてもよいし、金型32Aと金型32Bとにより内部に形成された第2密閉空間86を通じてシート状パリソンP1,P2を加圧するとともに、第1密閉空間84を通じて金型32Aの側からシート状パリソンP1を引き続き吸引するものとしてもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、押し出された溶融状態のシート状パリソンを利用して、積層板100としてダイレクトに賦形・成形するものとして説明したが、それに限定されることなく、賦形・成形するのに必要な溶融状態を実現する限り、いったん押出成形し、冷却した熱可塑性樹脂製シートを再度加熱して溶融状態とした材料を利用して賦形・成形を行ってもよい。
【0042】
さらに、本実施形態においては、おもて面側シート120Aを一対の金型の間に配置する際、金型上方に保持させてキャビティ面に沿って垂下させるものとして説明したが、それに限定されることなく、化粧材シート140をたとえば金型Bから吸引することによりキャビティ116B内に配置した状態で金型を型締めするものでもよいし、おもて面側シート120Aに化粧材シート140が予め接着された状態で配置されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る樹脂積層板の斜視図である。
【図2】図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る樹脂積層板の全体図である。
【図4】本発明の実施形態に係る成形装置とともに、溶融樹脂シートが分割金型の間に配置された状態を示す側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る成形装置において、分割金型の外枠を溶融樹脂シートの側面に当接させている状態を示す概略側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る成形装置において、溶融樹脂シートを賦形している状況を示す概略部分断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る成形装置において、分割金型を型締めした状態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る成形装置において、分割金型を型開きした状態を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
P シート状パリソンP
PL パーティングライン
10 成形装置
12 押出装置
14 型締装置
16 ホッパー
18 シリンダー
20 油圧モーター
22 アキュムレータ
24 プランジャー
28 Tダイ
30 ローラー
32 分割金型
33 型枠
34 押出スリット
80 真空吸引室
82 真空吸引穴
84 第1密閉空間
86 第2密閉空間
100 積層板
102 内周面
116 キャビティ
117 外表面
118 ピンチオフ部
119 突起体
120 シート
140 化粧材シート
150 おもて面側シートの外表面
170 おもて面側シートの内表面
180 裏面側シートの内表面
200 凹部
220 裏面側シートの外表面
240 突き合わせ面
260 開口
280 密閉中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の金型のキャビティに対して、他方の金型に向かって突起する複数の突起体を設けた分割形式の一対の金型を設けるとともに、それぞれの厚みを調整した2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを準備する段階と、
2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを互いに所定間隔を隔てて、環状ピンチオフ部のまわりにはみ出す形態で、分割形式の一対の金型の間に位置決めする段階と、
一方のシートと、一方のシートの外表面に対向する一方の金型のキャビティとの間に密閉空間を形成する段階と、
一方の金型の側から前記密閉空間を吸引して、一方の金型のキャビティに対して一方のシートの外表面を押し当てることにより、一方のシートを賦形して、突起体に沿うように引き伸ばす段階と、
一対の金型を型締めして、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの周縁同士を、および一方のシートの突起体先端に対応する頂部を他方のシートの内表面に、それぞれ溶着する段階と、を有し、
それにより、樹脂積層板を製造することを特徴とする樹脂積層板の製造方法。
【請求項2】
前記型締め段階後に、型締めされた一対の金型内に形成された密閉空間から吹き込み圧をかけることにより、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートそれぞれを対応する金型のキャビティに対して押し当てて、両シートを賦形する、請求項1に記載の樹脂積層板の製造方法。
【請求項3】
溶融状態のシート状の2条のパリソンを下方に垂下する形態で、一対の分割形式の金型の間に向かって押し出す段階を有する、請求項1に記載の樹脂積層板の製造方法。
【請求項4】
前記突起体は、上下方向に互いに所定の間隔を隔ててキャビティの表面に複数列設けられ、それぞれの列の突起体の少なくとも一部は、キャビティの表面において水平方向に亘って延びる帯状をなす、請求項1に記載の樹脂積層板の製造方法。
【請求項5】
前記突起体は、キャビティ上で千鳥模様状に配置されている、請求項4に記載の樹脂積層板の製造方法。
【請求項6】
前記突起体は、他方の金型に向かって先細の正六角形の角錐台形状を有する、請求項4または請求項5に記載の樹脂積層板の製造方法。
【請求項7】
前記他方のシートは、その外表面に化粧材が貼着されたシートである、請求項1に記載の樹脂積層板の製造方法。
【請求項8】
前記吸引段階は、前記一方の金型の周縁に型締め方向に移動自在に外嵌する外枠を前記一方のシートの外表面に向かって移動させる段階を有し、前記一方のシートの外表面、前記外枠の内周面および前記一方の金型のキャビティにより密閉空間を構成する、請求項1に記載の樹脂積層板の製造方法。
【請求項9】
一対の金型を型締めを通じて、それぞれのピンチオフ部同士を当接させることにより、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの周縁同士を溶着させてパーティングラインを形成するとともに、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの間に密閉中空部を形成する、請求項1に記載の樹脂積層板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−136523(P2011−136523A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299074(P2009−299074)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】