説明

樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、多孔質ポリマーの製造方法、多孔質ポリマー

【課題】母材樹脂中に分散した他の樹脂を含む樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、多孔質ポリマーの製造方法、多孔質ポリマーを提供する。
【解決手段】母材樹脂と、この母材樹脂中に粒子状に分散した末端分岐型共重合体とを含み、前記末端分岐型共重合体は、下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下である樹脂組成物。


(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、多孔質ポリマーの製造方法、多孔質ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、母材となる樹脂に対し、他の樹脂を分散させる方法が求められている。
たとえば、母材となる樹脂中に、様々な機能を有する他の樹脂、たとえば、核剤、染料、滑剤等を分散させ、母材樹脂の物性を高めたり、母材樹脂に対し新たな機能を付与したりする技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/073282号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、母材となる樹脂中に、他の樹脂を分散させることは非常に困難であった。
【0005】
本発明は母材樹脂中に分散した他の樹脂を含む樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、多孔質ポリマーの製造方法、多孔質ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が鋭意検討を行った結果、特許文献1に開示された特定の末端分岐型共重合体を母材樹脂に特定の条件のもと、混合させると、母材樹脂中で、前記特定の末端分岐型共重合体が粒子状に分散することがわかった。
【0007】
本発明は、このような知見に基づくものであり、以下の樹脂組成物等を提供するものである。
【0008】
[1]母材樹脂と、この母材樹脂中に粒子状に分散した末端分岐型共重合体とを含み、
前記末端分岐型共重合体は、下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下である樹脂組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
【0011】
[2][1]に記載の樹脂組成物において、前記末端分岐型共重合体は平均長さ500nm以下の粒子状に分散している樹脂組成物。
[3][1]または[2]に記載の樹脂組成物において、
前記母材樹脂は、極性基を有する樹脂である樹脂組成物。
[4][3]に記載の樹脂組成物において、
前記母材樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂のいずれかである樹脂組成物。
[5][1]乃至[4]のいずれかに記載の樹脂組成物において、
前記末端分岐型共重合体の含有量は、前記母材樹脂100重量部に対し0.01重量部以上、100重量部以下である樹脂組成物。
[6][1]乃至[5]のいずれかに記載の樹脂組成物において、
前記母材樹脂は、結晶性樹脂であり、
前記末端分岐型共重合体は、核剤である樹脂組成物。
[7][1]乃至[6]のいずれかに記載の樹脂組成物において、
一般式(1)で表される末端分岐型共重合体において、XおよびXが、同一または相異なり、一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基または下記一般式(3)
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
または、一般式(4)
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)である樹脂組成物。
【0018】
[8][1]乃至[7]のいずれかに記載の樹脂組成物において、
一般式(1)で表される末端分岐型共重合体において、XまたはXのどちらか一方が下記一般式(5)
【0019】
【化5】

【0020】
(式中、X、X10は同一または相異なり、それぞれポリアルキレングリコール基を表す。Q、Qは同一または相異なり、それぞれ2価のアルキレン基を表す。)である樹脂組成物。
【0021】
[9][1]乃至[8]のいずれかに記載の樹脂組成物において、
一般式(1)で表される末端分岐型共重合体において、X、Xの少なくともいずれか一方が、一般式(6)
【0022】
【化6】

【0023】
(式中、X11はポリアルキレングリコール基を表す。)である樹脂組成物。
【0024】
[10][1]乃至[9]のいずれかに記載の樹脂組成物において、
末端分岐型共重合体が下記一般式(1a)で表される樹脂組成物;
【0025】
【化7】

【0026】
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+mは2以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)。
【0027】
[11][1]乃至[9]のいずれかに記載の樹脂組成物において、
末端分岐型共重合体が下記一般式(1b)で表される樹脂組成物;
【0028】
【化8】

【0029】
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)。
【0030】
[12]母材樹脂中に下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体を粒子状に分散させる樹脂組成物の製造方法。
【0031】
【化9】

【0032】
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
【0033】
[13][12]に記載の樹脂組成物の製造方法において、
前記末端分岐型共重合体が分散した母材樹脂を熱処理して結晶化させる工程を含む樹脂組成物の製造方法。
[14]母材樹脂中に下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体を粒子状に分散させて組成物を得る工程と、
前記組成物から、前記末端分岐型共重合体の少なくとも一部を除去して、多孔質ポリマーを得る工程とを含む多孔質ポリマーの製造方法。
【0034】
【化10】

【0035】
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
[15][14]に記載の製造方法により製造された多孔質ポリマー。
[16]母材樹脂に複数の孔が形成された多孔質ポリマーであり、前記複数の孔のうち一部の孔には、下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体が充填され、前記複数の孔のうち他の一部の孔は空隙である多孔質ポリマー。
【0036】
【化11】

【0037】
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、母材樹脂中に分散した他の樹脂を含む樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、樹脂組成物を使用した多孔質ポリマーの製造方法、多孔質ポリマーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1のSPM観察の結果を示す図である。
【図2】実施例1のSPM観察の結果を示す図である。
【図3】実施例1のTEM観察の結果を示す図である。
【図4】実施例2のTEM観察の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、母材樹脂と、この母材樹脂中に粒子状に分散した末端分岐型共重合体とを含み、
前記末端分岐型共重合体は、下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下である。
【0041】
【化12】

【0042】
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
【0043】
樹脂組成物は、母材樹脂と上記末端分岐型共重合体(以下、単に末端分岐型共重合体という場合もある)とからなるものであってもよく、また、さらに、他の成分を含むものであってもよい。他の成分として、たとえば、染料、顔料等があげられる。この場合には、末端分岐型共重合体は染料、顔料等を分散させるための分散剤として機能することもできる。
たとえば、母材樹脂と、上記末端分岐型共重合体とを混練する際に、染料等を加え、樹脂組成物を製造してもよい。また、あらかじめ、上記末端分岐型共重合体と、染料とを混合し、その後、この混合物を母材樹脂に混ぜて、混練し、樹脂組成物を製造してもよい。
【0044】
[末端分岐型共重合体]
末端分岐型共重合体は、図3,4に示すように、母材樹脂中に粒子状に分散し、末端分岐型共重合体は母材樹脂中に点在し、略均一に分散されている。
ここで、粒子状とは、完全な球形状だけでなく、円柱形状等の柱状のものや、楕円形も含む。また、末端分岐型共重合体は、層状に構成されることはなく、成形、射出条件に応じて多少の配向性は持つものの、互いに並行な層を形成するような明らかな配向は行わないものとする。
粒子の平均長さ(球の場合には、径)は、末端分岐型共重合体を添加したことにより付与される機能の実用性の観点から1nm以上、さらには、10nm以上が好ましい。また、粒子の平均長さ(球の場合には、径)は、分散性の観点から、500nm以下、好ましくは、300nm以下、より好ましくは、100nm以下である。
粒子の大きさや形状は、母材樹脂の種類や、分散時の温度、母材樹脂と末端分岐型共重合体とを混練する際の剪断力等の製造条件により制御することができる。
また、粒子の平均長さは、以下のようにして計測する。
2.5μm×4μmのTEM写真上で任意の100個を選出し、各粒子の最も長い部分の長さを計測する。そして、その平均値を算出し、平均長さとする。
【0045】
樹脂組成物における末端分岐型共重合体の含有量は、母材樹脂100重量部に対し0.01重量部以上、100重量部以下であることが好ましい。
母材樹脂100重量部に対し、末端分岐型共重合体を0.01重量部以上とすることで、末端分岐型共重合体を添加したことの効果が発揮され、たとえば、樹脂組成物の物性が良好となる。
一方で、母材樹脂100重量部に対し、末端分岐型共重合体を100重量部以下とすることで、母材樹脂の物性を損なうことなく発揮させることができる。
なかでも、樹脂組成物における末端分岐型共重合体の含有量は、母材樹脂100重量部に対し、0.01重量部以上、20重量部以下、さらには、0.1重量部以上、10重量部以下であることが好ましい。
【0046】
末端分岐型共重合体は、下記の一般式(1)で表される構造を有する。
【0047】
【化13】

【0048】
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基でありかつ少なくともどちらか一方は水素原子であり、XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
【0049】
一般式(1)で表される末端分岐型共重合体の数平均分子量は2.5×10以下、好ましくは5.5×10〜1.5×10、より好ましくは8×10〜4.0×10である。その数平均分子量は、Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量とXおよびXで表されるポリアルキレングリコール基の数平均分子量とR,RおよびCH分の分子量の和で表される。
【0050】
末端分岐型共重合体の数平均分子量が上記範囲にあると、母材樹脂に対する分散性が良好となる傾向があるため好ましい。
【0051】
一般式(1)のAであるポリオレフィン鎖は、炭素数2〜20のオレフィンを重合したものであることが好ましい。炭素数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンが挙げられる。本発明においては、これらのオレフィンの単独重合体又は共重合体であってもよく、特性を損なわない範囲で他の重合性の不飽和化合物と共重合したものであってもよい。これらのオレフィンの中でも特にエチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましい。
【0052】
一般式(1)中、Aで表されるポリオレフィン鎖の、GPC(Gel Permeation Chromatography)により測定された数平均分子量は、400〜8000であり、好ましくは500〜4000、さらに好ましくは500〜2000である。ここで数平均分子量はポリスチレン換算の値である。
【0053】
Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量が上記範囲にあると、母材樹脂中での分散性が良好となる。
【0054】
一般式(1)においてAで表されるポリオレフィン鎖の、GPCにより測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はなく、通常1.0〜数十であるが、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下である。
一般式(1)においてAで表される基の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲にあると、母材樹脂中での分散性が良好となるとともに、末端分岐型共重合体の粒子形状が均一なものとなる。
【0055】
GPCによる、Aで表される基の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、ミリポア社製GPC−150を用い以下の条件の下で測定できる。
分離カラム:TSK GNH HT(カラムサイズ:直径7.5mm,長さ:300mm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロルベンゼン(和光純薬社製)
酸化防止剤:ブチルヒドロキシトルエン(武田薬品工業社製)0.025質量%
移動速度:1.0ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料注入量:500マイクロリットル
検出器:示差屈折計。
【0056】
なお、Aで表されるポリオレフィン鎖の分子量は、後述の、一方の末端に不飽和基を有するポリオレフィンの分子量を測定し、末端の分子量相当を差し引くことで測定できる。
【0057】
,Rとしては、Aを構成するオレフィンの2重結合に結合した置換基である水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基であり、好ましくは水素原子または炭素数1〜18のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
【0058】
一般式(1)において、X,Xは同一または相異なり、直鎖または分岐の数平均分子量がそれぞれ50〜10000のポリアルキレングリコール基を表すことが好ましい。分岐アルキレングリコール基の分岐態様は、多価の炭価水素基あるいは窒素原子を介した分岐等である。例えば、主骨格の他に2つ以上の窒素原子または酸素原子または硫黄原子に結合した炭化水素基による分岐や、主骨格の他に2つのアルキレン基と結合した窒素原子による分岐等が挙げられる。
【0059】
ポリアルキレングリコール基の数平均分子量が上記範囲にあると、末端分岐型共重合体の分散性が良好となる。
【0060】
一般式(1)において、XおよびXの好ましい例としては、それぞれ同一または相異なり、一般式(2)、
【0061】
【化14】

【0062】
(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Xはポリアルキレングリコール基または下記一般式(3)
【0063】
【化15】

【0064】
(式中、Rはm+1価の炭化水素基を表し、Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表し、mはRとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
または、一般式(4)
【0065】
【化15】

【0066】
(式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)で表される基である。
【0067】
一般式(3)において、Rで表される基としては、炭素数1〜20のm+1価の炭化水素基である。mは1〜10であり、1〜6が好ましく、1〜2が特に好ましい。
【0068】
一般式(1)の好ましい例としては、一般式(1)中、X、Xのどちらか一方が、一般式(4)で表される基である末端分岐型共重合体が挙げられる。さらに好ましい例としては、X、Xのどちらか一方が一般式(4)で表され、他方が、一般式(2)で表される基である末端分岐型共重合体が挙げられる。
【0069】
一般式(1)の別の好ましい例としては、一般式(1)中、XおよびXの一方が、一般式(2)で表される基であり、さらに好ましくはXおよびXの両方が一般式(2)で表される基である末端分岐型共重合体が挙げられる。
一般式(4)で表されるさらに好ましい構造としては、一般式(5)
【0070】
【化16】

【0071】
(式中、X、X10は同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基を表し、Q、Qは同一または相異なり、それぞれ2価の炭化水素基を表す。)で表される基である。
およびXのいずれか一方、好ましくは、両方が一般式(5)で示される構造である。
【0072】
一般式(5)においてQ,Qで表される2価の炭化水素基は、2価のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20のアルキレン基であることがより好ましい。炭素数2〜20のアルキレン基は、置換基を有していてもいなくてもよく、例えば、エチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、ジメチルエチレン基、フェニルエチレン基、クロロメチルエチレン基、ブロモメチルエチレン基、メトキシメチルエチレン基、アリールオキシメチルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。好ましいアルキレン基としては、炭化水素系のアルキレン基であり、特に好ましくは、エチレン基、メチルエチレン基であり、さらに好ましくは、エチレン基である。Q,Qは1種類のアルキレン基でもよく2種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
一般式(2)で表されるXおよびXのさらに好ましい構造としては、一般式(6)
【0073】
【化17】

【0074】
(式中、X11はポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基である。
およびXのいずれか一方、好ましくは、両方が一般式(6)で示される構造である。
【0075】
〜X11で表されるポリアルキレングリコール基とは、アルキレンオキシドを付加重合することによって得られる基である。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドであり、特に好ましくは、エチレンオキシドである。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基としては、これらのアルキレンオキシドの単独重合により得られる基でもよいし、もしくは2種以上の共重合により得られる基でもよい。好ましいポリアルキレングリコール基の例としては、ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、またはポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの共重合により得られる基であり、特に好ましい基としては、ポリエチレングリコール基である。
【0076】
一般式(1)においてX、Xが上記構造を有すると、末端分岐型共重合体の分散性が良好となるため好ましい。
本発明で用いることができる末端分岐型共重合体としては、下記一般式(1a)または(1b)で表される重合体を用いることが好ましい。
【0077】
【化18】

【0078】
式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
【0079】
およびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。
l+mは2以上450以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。
nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す
【0080】
【化19】


【0081】
式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
【0082】
およびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。
l+m+oは3以上450以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。
nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す。
一般式(1b)で表される重合体としては、下記一般式(1c)で表される重合体を用いることがさらに好ましい。
【0083】
【化20】

【0084】
式中、l+m+o、nは一般式(1b)と同様である。
【0085】
ポリエチレン鎖のエチレンユニット数(n)は、一般式(1)におけるポリオレフィン基Aの数平均分子量(Mn)をエチレンユニットの分子量で割ることにより算出した。また、ポリエチレングリコール鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)は、ポリエチレングリコール基付加反応時の重合体原料と使用したエチレンオキシドとの重量比が、重合体原料とポリエチレングリコール基の数平均分子量(Mn)との比に同じであると仮定して算出した。
【0086】
また、n、l+mもしくはl+m+oはH−NMRによって測定することができる。例えば後述する合成例1で得られる末端分岐型共重合体(T−1)においては、一般式(1)におけるポリオレフィン基Aの末端メチル基(シフト値:0.87ppm)の積分値を3プロトン分とした際の、ポリオレフィン基Aのメチレン基(シフト値:1.04−1.71ppm)の積分値およびPEGのアルキレン基(シフト値:3.54−4.16ppm)の積分値から算出することできる。
【0087】
具体的には、メチル基の分子量は15、メチレン基の分子量は14、アルキレン基の分子量は44であることから、各積分値の値よりポリオレフィン基Aおよびアルキレン基の数平均分子量が計算できる。ここで得られたポリオレフィン基Aの数平均分子量をエチレンユニットの分子量で割ることによりnを、アルキレン基の数平均分子量をエチレングリコールユニットの分子量で割ることで、PEG鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)を算出することができる。
【0088】
ポリオレフィン基Aがエチレン―プロピレン共重合体よりなる場合は、IR、13C−NMRなどで測定できるプロピレンの含有率と、H−NMRにおける積分値の両者を用いることでnおよびl+mもしくはl+m+oを算出することができる。H−NMRにおいて、内部標準を用いる方法も有効である。
【0089】
[末端分岐型共重合体の製造方法]
末端分岐型共重合体は、次の方法によって製造することができる。
最初に、目的とする末端分岐型共重合体中、一般式(1)で示されるAの構造に対応するポリマーとして、一般式(7)
【0090】
【化21】

【0091】
(式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合した数平均分子量が400〜8000の基、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基でありかつ少なくともどちらか一方は水素原子を表す。)で示される、片末端に二重結合を有するポリオレフィンを製造する。
このポリオレフィンは、以下の方法によって製造することができる。
【0092】
(1)特開2000−239312号公報、特開2001−2731号公報、特開2003−73412号公報などに示されているようなサリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を重合触媒として用いる重合方法。
(2)チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒を用いる重合方法。
(3)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる重合方法。
(4)ジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒を用いる重合方法。
【0093】
上記(1)〜(4)の方法の中でも、特に(1)の方法によれば、上記ポリオレフィンを収率よく製造することができる。(1)の方法では、上記サリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物の存在下で、前述したオレフィンを重合または共重合することで上記片方の末端に二重結合を有するポリオレフィンを製造することができる。
【0094】
(1)の方法によるオレフィンの重合は、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれによっても実施できる。詳細な条件などは既に公知であり上記特許文献を参照することができる。
【0095】
(1)の方法によって得られるポリオレフィンの分子量は、重合系に水素を存在させるか、重合温度を変化させるか、または使用する触媒の種類を変えることによって調節することができる。
【0096】
次に、上記ポリオレフィンをエポキシ化して、すなわち上記ポリオレフィンの末端の二重結合を酸化して、一般式(8)で示される末端にエポキシ基を含有する重合体を得る。
【0097】
【化22】

【0098】
(式中、A、RおよびRは前述の通り。)
かかるエポキシ化方法は特に限定されるものではないが、以下の方法を例示することができる。
(1)過ギ酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸による酸化
(2)チタノシリケートおよび過酸化水素による酸化
(3)メチルトリオキソレニウム等のレニウム酸化物触媒と過酸化水素による酸化
(4)マンガンポルフィリンまたは鉄ポルフィリン等のポルフィリン錯体触媒と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化
(5)マンガンSalen等のSalen錯体と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化
(6)マンガン−トリアザシクロノナン(TACN)錯体等のTACN錯体と過酸化水素による酸化
(7)タングステン化合物などのVI族遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化
【0099】
上記(1)〜(7)の方法の中でも、活性面で特に(1)および(7)の方法が好ましい。
また、例えばMw400〜600程度の低分子量の末端エポキシ基含有重合体はVIKOLOXTM(登録商標、Arkema社製)を用いることができる。
【0100】
上記方法で得られた一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体に種々の反応試剤を反応させることにより、一般式(9)で表されるようなポリマー末端のα、β位に様々な置換基Y、Yが導入された重合体(重合体(I))を得ることが出来る。
【0101】
【化23】

【0102】
(式中、A、R,Rは前述の通り。Y、Yは同一または相異なり水酸基、アミノ基、または下記一般式(10a)〜(10c)を表す。)
【0103】
【化24】

【0104】
【化25】

【0105】
【化26】

【0106】
(一般式(10a)〜(10c)中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Rはm+1価の炭化水素基を表し、Tは同一または相異なり水酸基、アミノ基を表し、mは1〜10の整数を表す。)
【0107】
例えば、一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体を加水分解することにより、一般式(9)においてY、Yが両方とも水酸基である重合体が得られ、アンモニアを反応させることによりY、Yの一方がアミノ基、他方が水酸基の重合体が得られる。
【0108】
また、一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体と一般式(11a)で示される反応試剤Aとを反応させることにより、一般式(9)においてY、Yの一方が一般式(10a)に示される基で他方が水酸基の重合体が得られる。
【0109】
【化27】

【0110】
(式中、E、R、T、mは前述の通りである。)
【0111】
また、末端エポキシ基含有重合体と一般式(11b)、(11c)で示される反応試剤Bを反応させることにより、一般式(9)においてY、Yの一方が一般式(10b)または(10c)に示される基で他方が水酸基の重合体が得られる。
【0112】
【化28】

【0113】
【化29】

【0114】
(式中、R、T、mは前述の通りである。)
【0115】
一般式(11a)で示される反応試剤Aとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ブタントリオール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン等を挙げることができる。
【0116】
一般式(11b)、(11c)で示される反応試剤Bとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノフェノール、ヘキサメチレンイミン、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、N−(アミノエチル)プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、スペルミジン、スペルミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン等を挙げることができる。
エポキシ体とアルコール類、アミン類との付加反応は周知であり、通常の方法により容易に反応が可能である。
【0117】
一般式(1)は一般式(9)で示される重合体(I)を原料として、アルキレンオキシドを付加重合することにより製造することができる。アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドである。
【0118】
触媒、重合条件などについては、公知のアルキレンオキシドの開環重合方法を利用することができ、例えば、大津隆行著,「改訂高分子合成の化学」,株式会社化学同人,1971年1月,p.172−180には、種々の単量体を重合してポリオールを得る例が開示されている。開環重合に用いられる触媒としては、上記文献に開示されたように、カチオン重合向けにAlCl、SbCl、BF、FeClのようなルイス酸、アニオン重合向けにアルカリ金属の水酸化物またはアルコキシド、アミン類、ホスファゼン触媒、配位アニオン重合向けにアルカリ土類金属の酸化物、炭酸塩、アルコキシドあるいは、Al、Zn、Feなどのアルコキシドを用いることができる。ここで、ホスファゼン触媒としては、例えば、特開平10−77289号公報に開示された化合物、具体的には市販のテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)フォスフォラニリデンアミノ]フォスフォニウムクロリドのアニオンをアルカリ金属のアルコキシドを用いてアルコキシアニオンとしたものなどが利用できる。
【0119】
反応溶媒を使用する場合は、重合体(I)、アルキレンオキシドに対して不活性なものが使用でき、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
【0120】
触媒の使用量はホスファゼン触媒以外については原料の重合体(I)の1モルに対して、0.05〜5モルが好ましく、より好ましくは0.1〜3モルの範囲である。ホスファゼン触媒の使用量は、重合速度、経済性等の点から、重合体(I)の1モルに対して1×10−4〜5×10−1モルが好ましく、より好ましくは5×10−4〜1×10−1モルである。
【0121】
反応温度は通常25〜180℃、好ましくは50〜150℃とし、反応時間は使用する触媒の量、反応温度、オレフィン類の反応性等の反応条件により変わるが、通常数分〜50時間である。
【0122】
一般式(1)の数平均分子量は、前述の通り一般式(8)で示される重合体(I)の数平均分子量と、重合させるアルキレンオキシドの重量から計算する方法や、NMRを用いる方法により算出することができる。
【0123】
(母材樹脂)
母材樹脂としては、様々な樹脂を使用することができるが、上述した末端分岐型共重合体の分散性を考慮すると、極性基を有する樹脂であることが好ましい。母材樹脂に極性基が含有されていることで、上述した末端分岐型共重合体が混練中に自己集合(自己組織化)し、外側に極性基のポリアルキレングリコール基、内側に非極性基のポリオレフィン鎖を持つ粒子を形成して、母材樹脂中に微分散しやすくなる。母材樹脂としては、極性基を有する樹脂の中でも、一般に極性樹脂として知られているものがさらに好ましい。
極性樹脂としては、たとえば、ポリエステル系樹脂,ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリプロピレンオキサイド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリカーボネート系樹脂,ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂,ポリビニルエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂,ポリフェニレンスルフィド樹脂,ポリスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂,ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、アイオノマー等の極性樹脂またはこれらの2種以上の混合物があげられる。
なかでも、上述した末端分岐型共重合体のポリアルキレングリコール基と水素結合を形成しやすい酸素や窒素を含む母材樹脂が、末端分岐型共重合体の分散性を向上する観点から好ましく、たとえば、ポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂およびポリプロピレンオキサイド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。水素結合の形成しやすさの観点から、特には、ポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、たとえば、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどがあげられる。
ポリ(メタ)アクリレート系樹脂としては、メタアクリル酸エステルもしくはアクリル酸エステルを主成分とする樹脂であればとくに制限されず、α−メチルスチレンや無水マレイン酸などが共重合されたポリ(メタ)アクリレート樹脂なども含む。代表的なものにメチルメタクリレートを主成分とするポリメチルメタクリレートがあり、そのほかの成分としてはメタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸フェニル、などのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステルなどがあげられる。
ポリエチレンオキサイド系樹脂およびポリプロピレンオキサイド系樹脂としては、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを主成分とする樹脂であれば特に限定されない。
ポリアミド系樹脂としては、たとえば、PA6、PA12などの開環重合系脂肪族ポリアミド;PA66、PA46、PA610、PA612、PA11などの重縮合系ポリアミド;MXD6、PA6T、PA9T、PA6T/66、PA6T/6、アモルファスPAなどの半芳香族ポリアミド;ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)などの全芳香族ポリアミド、アミド系エラストマーなどがあげられる。
ポリイミド系樹脂としては、たとえば、無水ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテル、ビスマレイミドとジアミノジフェニルメタンなどの組合せから得られたものが挙げられる。
また、ポリアセタール樹脂としては、たとえば、ポリアセタール単独重合体、ホルムアルデヒドとトリオキサンとの共重合体があげられる。
また、ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールAタイプ芳香族ポリカーボネートなどのポリカーボネートなどがあげられる。
【0124】
なお、母材樹脂として結晶性樹脂を使用する場合、上記末端分岐型共重合体を、核剤として機能させることができる。
樹脂組成物を熱処理し、結晶化させる工程で、上記末端分岐型共重合体が核剤として機能し、巨大な結晶が生成されるのを抑制する。これにより透明性の高い樹脂組成物を得ることができる。
【0125】
(樹脂組成物の製造方法)
つぎに、樹脂組成物の製造方法について説明する。
上述した末端分岐型共重合体と、母材樹脂とを混練し、母材樹脂中に末端分岐型共重合体を粒子状に分散させる。
混練する際の温度は、母材樹脂が混練できる温度以上であれば特に限定されないが、末端分岐型共重合体の分散の良好性の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。また、混練する際の温度は、末端分岐型共重合体の熱安定性の観点から好ましくは400℃以下、より好ましくは350℃以下、さらに好ましくは330℃以下である。
混練時間は特に限定されないが、上述した末端分岐型共重合体を母材樹脂中に均一、かつ、微粒子状に分散させる観点から、1分間以上であり、末端分岐型共重合体の熱分解を抑制する観点から300分以下が好ましい。
さらに、末端分岐型共重合体と、母材樹脂とを混練する際には、二軸押出し機を使い高剪断力で混練することが好ましい。このようにすることで、母材樹脂中に末端分岐型共重合体が粒子状に分散しやすくなる。
また、母材樹脂として結晶性樹脂を使用する場合、母材樹脂中に末端分岐型共重合体を粒子状に分散させた後、母材樹脂中に末端分岐型共重合体が粒子状に分散した組成物を熱処理し、結晶化させてもよい。前述したように、末端分岐型共重合体が核剤として機能するため、透明性の高い樹脂組成物を得ることができる。
【0126】
(多孔質ポリマー)
以上のようにして得られた樹脂組成物から、粒子状に分散した末端分岐型共重合体の少なくとも一部を除去し、多孔質ポリマーを得ることができる。
たとえば、樹脂組成物の末端分岐型共重合体のみを溶解し、母材樹脂を溶解させない溶剤を使用し、樹脂組成物から、末端分岐型共重合体を除去する。これにより、末端分岐型共重合体が配置されていた部分が孔となり、多孔質ポリマーを得ることができる。
たとえば、母材樹脂として、ポリ乳酸樹脂を使用している場合には、溶剤として熱シクロヘキサン、熱メチルシクロペンタン等を使用して、母材樹脂を溶解させないで、末端分岐型共重合体のみを除去することができる。
また、母材樹脂としてポリイミド等の高耐熱性樹脂を使用している場合には、焼成により末端分岐型共重合体を除去し、多孔質ポリマーを得ることができる。
この多孔質ポリマーは、すべての末端分岐型共重合体が完全に除去されていてもよい。また、多孔質ポリマーは、母材樹脂に複数の孔が形成され、前記複数の孔のうち一部の孔には、上述した末端分岐型共重合体が充填され、前記複数の孔のうち他の一部の孔は空隙である多孔質ポリマーとしてもよい。
また、樹脂組成物を一定方向に延伸し、多孔質ポリマーを形成してもよい。延伸前には、母材樹脂と末端分岐型共重合体とは接触しているが、母材樹脂が延伸させることで、母材樹脂と、末端分岐型共重合体との間に空隙が形成され、多孔質ポリマーとなる。
【0127】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0128】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
後述する数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)はGPCを用い、本文中に記載した方法で測定した。また、融点(Tm)はDSC(示差走査熱量測定装置)を用い、測定して得られたピークトップ温度を採用した。なお、測定条件によりポリアルキレングリコール部分の融点も確認されるが、ここでは特に断りのない場合ポリオレフィン部分の融点のことを指す。H−NMRについては、測定サンプル管中で重合体を、ロック溶媒と溶媒を兼ねた重水素化−1,1,2,2−テトラクロロエタンに完全に溶解させた後、120℃において測定した。ケミカルシフトは、重水素化−1,1,2,2−テトラクロロエタンのピークを5.92ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。
【0129】
[合成例1]
(ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T−1)の合成)
以下の手順(例えば、特開2006−131870号公報の合成例2参照)に従って、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1)を合成した。
【0130】
充分に窒素置換した内容積2000mlのステンレス製オートクレーブに、室温でヘプタン1000mlを装入し、150℃に昇温した。続いてオートクレーブ内をエチレンで30kg/cmG加圧し、温度を維持した。MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/ml)0.5ml(0.5mmol)を圧入し、次いで下記式(12)の化合物のトルエン溶液(0.0002mmol/ml)0.5ml(0.0001mmol)を圧入し、重合を開始した。エチレンガス雰囲気下、150℃で30分間重合を行った後、少量のメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を、少量の塩酸を含む3リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、片末端二重結合含有エチレン系重合体(P−1)を得た。
【0131】
【化30】

【0132】
500mlセパラブルフラスコに上記片末端二重結合含有エチレン系重合体(P−1)100g(Mn850として,ビニル基108mmol)、トルエン300g、NaWO0.85g(2.6mmol)、CH(nC17NHSO0.60g(1.3mmol)、およびリン酸0.11g(1.3mmol)を仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶融させた。内温を90℃にした後、30%過酸化水素水37g(326mmol)を3時間かけて滴下した後、内温90〜92℃で3時間撹拌した。その後、90℃に保ったまま25%チオ硫酸ナトリウム水溶液34.4g(54.4mmol)を添加して30分撹拌し、過酸化物試験紙で反応系内の過酸化物が完全に分解されたことを確認した。次いで、内温90℃でジオキサン200gを加え、生成物を晶析させ、固体をろ取しジオキサンで洗浄した。得られた固体を室温下、50%メタノール水溶液中で撹拌、固体をろ取しメタノールで洗浄した。更に当該固体をメタノール400g中で撹拌して、ろ取しメタノールで洗浄した。室温、1〜2hPaの減圧下乾燥させることにより、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1)の白色固体96.3gを得た(収率99%,オレフィン転化率100%)。
【0133】
得られた末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1)は、Mw=2058、Mn=1118、Mw/Mn=1.84(GPC)であった。(末端エポキシ基含有率:90mol%)
H−NMR : δ(CCl) 0.88(t, 3H, J = 6.92 Hz), 1.18 − 1.66 (m), 2.38 (dd,1H, J = 2.64, 5.28 Hz), 2.66 (dd, 1H, J = 4.29, 5.28 Hz) 2.80−2.87 (m, 1H)
融点(Tm) 121℃
Mw=2058、Mn=1118、Mw/Mn=1.84(GPC)
【0134】
1000mLフラスコに、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1) 84重量部、ジエタノールアミン39.4重量部、トルエン150重量部 を仕込み、150℃にて4時間撹拌した。その後、冷却しながらアセトンを加え、反応生成物を析出させ、固体を濾取した。得られた固体をアセトン水溶液で1回、更にアセトンで3回撹拌洗浄した後、固体を濾取した。その後、室温にて減圧下乾燥させることにより、重合体(I−1)(Mn=1223、一般式(9)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mn=1075)、R=R=水素原子、Y、Yの一方が水酸基、他方がビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ基)を得た。
H−NMR : δ(CCl) 0.88 (t, 3H, J = 6.6 Hz), 0.95−1.92 (m), 2.38−2.85 (m, 6H), 3.54−3.71 (m, 5H)
融点 (Tm) 121℃
【0135】
窒素導入管、温度計、冷却管、撹拌装置を備えた500mLフラスコに、重合体(I−1)20.0重量部、トルエン100重量部を仕込み、撹拌しながら125℃のオイルバスで加熱し、固体を完全に溶解した。90℃まで冷却後、予め5.0重量部の水に溶解した0.323重量部の85%KOHをフラスコに加え、還流条件で2時間混合した。その後、フラスコ内温度を120℃まで徐々に上げながら、水及びトルエンを留去した。さらに、フラスコ内にわずかな窒素を供給しながらフラスコ内を減圧とし、さらに内温を150℃まで昇温後、4時間保ち、フラスコ内の水及びトルエンをさらに留去した。室温まで冷却後、フラスコ内で凝固した固体を砕き、取り出した。
【0136】
加熱装置、撹拌装置、温度計、圧力計、安全弁を備えたステンレス製1.5L加圧反応器に、得られた固体のうち18.0重量部及び脱水トルエン200重量部を仕込み、気相を窒素に置換した後、撹拌しながら130℃まで昇温した。30分後、エチレンオキシド18.0重量部を加え、さらに5時間、130℃で保った後、室温まで冷却し、反応物を得た。得られた反応物より溶媒を乾燥して除き、末端分岐型共重合体(T−1)(Mn=2446、一般式(1)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mn=1075)、R=R=水素原子、X、Xの一方がポリエチレングリコール、他方が一般式(5)で示される基(Q=Q=エチレン基、X=X10=ポリエチレングリコール))を得た。
H−NMR : δ(CCl) 0.87(3H, t, J= 6.8 Hz), 1.04 − 1.71 (m), 3.10 − 3.40 (m), 3.54 − 4.16 (m)
融点(Tm) 27℃(ポリエチレングリコール)、118℃
【0137】
(実施例1)
ポリ乳酸(三井化学社製 H−400)100重量部に対し末端分岐型共重合体(T−1)5重量部をマイクロコンパウンダー(2軸押し出し機)に加え、混練温度220℃、回転数100rpmで5分混練の後、射出成型ユニットにて射出温度220℃、金型温度60℃で射出成型を行った。得られた角板(30mm×30mm×1.27mm)についてSPM(走査型プローブ顕微鏡)観察を行った(図1)。
【0138】
上記で得られた角板を100℃で30分間加熱し、熱アニール化を行った。得られた熱アニール化物のヘイズは16.2%であった。また、この熱アニール化物についてSPM観察(図2)およびTEM(透過型電子顕微鏡)観察(図3)を行った。
この結果から、末端分岐型共重合体(T−1)が粒子状に均一に分散していることがわかる。また、末端分岐型共重合体(T−1)の粒子の径(平均長さ)は、20nmであった。
粒子の径の測定方法は以下のようである。
2.5μm×4.0μmのTEM写真(熱処理後の角板の断面写真)上で任意の100個を選出し、各粒子の最大長さを測定した。そして、100個の粒子の最大長さの平均値を算出し、末端分岐型共重合体(T−1)の粒子の径(平均長さ)とした。
なお、角板の熱処理前の末端分岐型共重合体(T−1)の粒子の径(平均長さ)と、熱処理後の末端分岐型共重合体(T−1)の粒子の径(平均長さ)とは同じであった。
【0139】
(比較例1)
ポリ乳酸(三井化学社製 H−400)100重量部をマイクロコンパウンダーに加え、Aと同様に射出成型を行った。得られた角板を100℃で30分間加熱し、熱アニール化したもののヘイズは98.8%であった。
比較例1に比べ、実施例1では、角板のヘイズの値が非常にひくく、透明性が高いものとなっている。また、実施例1では、図2からわかるように、数十nmの球晶が形成されており、末端分岐型共重合体(T−1)が核剤として機能していることがわかる。
【0140】
(実施例2)
ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業社製)100重量部に対し末端分岐型共重合体(T−1)5重量部をマイクロコンパウンダーに加え、混練温度240℃、回転数100rpmで5分混練の後、射出成型ユニットにて射出温度240℃、金型温度60℃で射出成型を行った。得られた角板(30mm×30mm×1.27mm)についてTEM観察を行った(図4)。末端分岐型共重合体(T−1)は、母材樹脂であるポリメタクリル酸メチル中に粒子状に均一に分散していることがわかる。
また、末端分岐型共重合体(T−1)の粒子の径(平均長さ)は、33nmであった。
粒子の径の測定方法は実施例1と同じである。
【0141】
(実施例3)
ポリ乳酸(三井化学社製 H−400)100重量部に対し末端分岐型共重合体(T−1)1重量部をマイクロコンパウンダーに加え、混練温度220℃、回転数100rpmで5分混練の後、射出成型ユニットにて射出温度220℃、金型温度60℃で射出成型を行った。得られた角板(30mm×30mm×1.27mm)は、目視で透明であった。
末端分岐型共重合体(T−1)は、母材樹脂であるポリ乳酸中に粒子状に均一に分散していた。
【0142】
(実施例4)
ポリ乳酸(三井化学社製 H−400)100重量部に対し末端分岐型共重合体(T−1)10重量部をマイクロコンパウンダーに加え、混練温度220℃、回転数100rpmで5分混練の後、射出成型ユニットにて射出温度220℃、金型温度60℃で射出成型を行った。得られた角板(30mm×30mm×1.27mm)は、目視で透明であった。
末端分岐型共重合体(T−1)は、母材樹脂であるポリ乳酸中に粒子状に均一に分散していた。
【0143】
(実施例5)
ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業社製)100重量部に対し末端分岐型共重合体(T−1)0.5重量部をマイクロコンパウンダーに加え、混練温度240℃、回転数100rpmで5分混練の後、射出成型ユニットにて射出温度240℃、金型温度60℃で射出成型を行った。得られた角板(30mm×30mm×1.27mm)は、目視で透明であった。
末端分岐型共重合体(T−1)は、母材樹脂であるポリメタクリル酸メチル中に粒子状に均一に分散していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材樹脂と、この母材樹脂中に粒子状に分散した末端分岐型共重合体とを含み、
前記末端分岐型共重合体は、下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下である樹脂組成物。
【化1】

(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂組成物において、
前記末端分岐型共重合体は平均長さ500nm以下の粒子状に分散している樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の樹脂組成物において、
前記母材樹脂は、極性基を有する樹脂である樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂組成物において、
前記母材樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂のいずれかである樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂組成物において、
前記末端分岐型共重合体の含有量は、前記母材樹脂100重量部に対し0.01重量部以上、100重量部以下である樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂組成物において、
前記母材樹脂は、結晶性の樹脂であり、
前記末端分岐型共重合体は、核剤である樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂組成物において、
一般式(1)で表される末端分岐型共重合体において、XおよびXが、同一または相異なり、一般式(2)
【化2】

(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基または下記一般式(3)
【化3】

(式中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
または、一般式(4)
【化4】

(式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)である樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の樹脂組成物において、
一般式(1)で表される末端分岐型共重合体において、XまたはXのどちらか一方が下記一般式(5)
【化5】

(式中、X、X10は同一または相異なり、それぞれポリアルキレングリコール基を表す。Q、Qは同一または相異なり、それぞれ2価のアルキレン基を表す。)である樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の樹脂組成物において、
一般式(1)で表される末端分岐型共重合体において、X、Xの少なくともいずれか一方が、一般式(6)
【化6】

(式中、X11はポリアルキレングリコール基を表す。)である樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の樹脂組成物において、
末端分岐型共重合体が下記一般式(1a)で表される樹脂組成物;
【化7】

(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+mは2以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載の樹脂組成物において、
末端分岐型共重合体が下記一般式(1b)で表される樹脂組成物;
【化8】

(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)。
【請求項12】
母材樹脂中に下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体を粒子状に分散させる樹脂組成物の製造方法。
【化9】

(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
【請求項13】
請求項12に記載の樹脂組成物の製造方法において、
前記末端分岐型共重合体が分散した母材樹脂を熱処理して結晶化させる工程を含む樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
母材樹脂中に下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体を粒子状に分散させて組成物を得る工程と、
前記組成物から、前記末端分岐型共重合体の少なくとも一部を除去して、多孔質ポリマーを得る工程とを含む多孔質ポリマーの製造方法。
【化10】

(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
【請求項15】
請求項14に記載の製造方法により製造された多孔質ポリマー。
【請求項16】
母材樹脂に複数の孔が形成された多孔質ポリマーであり、
前記複数の孔のうち一部の孔には、下記一般式(1)で表され、数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体が充填され、
前記複数の孔のうち他の一部の孔は空隙である多孔質ポリマー。
【化11】

(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−12207(P2011−12207A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158839(P2009−158839)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】