説明

樹脂組成物および人工大理石

【課題】アクリル樹脂特有の優れた質感や耐候性が維持され、準不燃性能を備え、燃焼時に有毒ガスを発生させない人工大理石の提供。
【解決手段】無機充填材(I)70〜90質量%および樹脂成分(II)10〜30質量
%を含んでなる人工大理石用の樹脂組成物。無機充填材(I)は、水酸基又は結晶水を含
み、かつ、体積基準のメジアン径が0.2〜500μmの粒子であって、体積累積分布10%径(Dv10)と体積累積分布90%径(Dv90)の比がDv90/Dv10>10の条件を満たす。樹脂成分(II)は、メタクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとその重合体との混合物(a)、アクリル酸エステル(b)、および分子内に2つ以上の重合性不飽和結合を有する架橋性単量体(c)を含み、かつ、(a)成分100質量部に対して、(b)成分が0.5〜20質量部および(c)成分が1〜20質量部含有される。この樹脂組成物を硬化させてなる人工大理石。人工大理石と金属板以外の不燃材料との合板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は準不燃性能を有する人工大理石および人工大理石用の樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチン天板や洗面台トップに用いられている人工大理石は天然大理石よりも施工、加工の面で容易であることと、任意の意匠性を施せるなどの観点から広く用いられてきている。中でもアクリル系人工大理石は他の人工大理石に比べて優れた質感、耐候性を有しているため高く評価されているが、火災時に熱分解が起こりやすいため難燃性付与が困難とされている。
【0003】
アクリル系人工大理石の多くはその組成中に無機充填材を含んでおり、中でも水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が多く用いられている。これら金属水酸化物は水酸基あるいは結晶水を含んでいるため200℃以上の温度で脱水分解反応を起こすと同時にその気化熱で熱を吸収することから樹脂の難燃剤として広く用いられている。
【0004】
メタクリル酸メチルを主成分とするアクリル系人工大理石の難燃化に関する技術として、特許文献1が知られているが、この技術で得られるのはISO 5660 に拠るところの「難燃性」レベルであり、より上位の「準不燃」性能を付与するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3160531号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、準不燃性能を備えたアクリル系人工大理石を提供することにあり、またこの人工大理石の製造に適した樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、以下の本発明〔1〕〜〔3〕を完成した。
【0008】
〔1〕無機充填材(I)70〜90質量%および樹脂成分(II)10〜30質量%を
含んでなる人工大理石用の樹脂組成物であって、
前記無機充填材(I)は、水酸基又は結晶水を含み、かつ、体積基準のメジアン径が0
.2〜500μmの粒子であって、体積累積分布10%径(Dv10)と体積累積分布90%径(Dv90)の比がDv90/Dv10>10の条件を満たし、
前記樹脂成分(II)は、メタクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとその重合体との混合物(a)(以下(a)成分という。)、アクリル酸エステル(b)(以下(b)成分という。)、および分子内に2つ以上の重合性不飽和結合を有する前記(a)および(b)以外の単量体(c)(以下(c)成分という。)を含み、かつ、(a)成分100質量部に対して、(b)成分が0.5〜20質量部および(c)成分が1〜20質量部含有されてなる樹脂組成物。
【0009】
〔2〕前記〔1〕に記載の樹脂組成物を硬化させてなる人工大理石。
【0010】
〔3〕前記〔2〕に記載の人工大理石と、金属板以外の不燃材料との合板。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、準不燃性能を備えたアクリル系人工大理石が提供される。またこの人工大理石の製造に適した樹脂組成物が提供される。
【0012】
本発明の人工大理石は、コーンカロリーメーターによる発熱性試験(ISO 5660準拠)において準不燃材料の規格である以下の(1)〜(3)の条件を満たすことができるものである。
(1)加熱開始後10分間の加熱時間内での総発熱量が8MJ/m2以下である。
(2)加熱開始後10分間の最高発熱速度が200kW/m2以下である。
(3)加熱開始後10分間に裏面まで貫通する亀裂及び穴が生じない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<無機充填材(I)>
本発明において用いられる水酸基又は結晶水を含む無機充填材(I)としては、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。またこの無機充填材(I)はその表面
をシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ステアリン酸等で処理したものであってもよい。なお、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)は、酸化アルミニウムが結晶水を取り込んだ構造(2Al2(OH)3・3H2O)としても表記されることから、水酸基と結晶水のいずれをも含む無機充填材である。また、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムも水酸化アルミニウムと同様に、水酸基と結晶水のいずれをも含む無機充填材である。
【0014】
無機充填材(I)は人工大理石用の樹脂組成物中に70〜90質量%、好ましくは75
〜85質量%含有される。このような高充填型の樹脂組成物は、一般には、原料調合が難しく、満足な成形材料として用いることができないものになる傾向にあるが、体積基準のメジアン径が0.2〜500μmの粒子であって、体積累積分布10%径(Dv10)と体積累積分布90%径(Dv90)の比がDv90/Dv10>10を満たす粒子を用いることによって、これらの問題を解消することができる。粒径の比は好ましくはDv90/Dv10>15である。
【0015】
尚、体積基準のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布計を用いてレーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
【0016】
体積累積分布10%径(Dv10)とは、レーザー回折式粒度分布計を用いてレーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値10%での粒径を意味する。体積累積分布90%径(Dv90)とは、レーザー回折式粒度分布計を用いてレーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値90%での粒径を意味する。
【0017】
体積基準のメジアン径、Dv90およびDv10は、例えば、堀場製作所(株)製レーザー回折式粒度分布計LA−950を用いて測定することができる。
【0018】
この無機充填材(I)は、1品種を単独で、または、2種類以上を併用して用いること
ができる。例えば水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムとの併用、また平均粒径1μmの無機充填材と平均粒径10μmもしくは100μmの無機充填材を併用する等、種類の異なる無機充填材の混合物や、粒径の異なる無機充填材の混合物を用いることもできる。
【0019】
<樹脂成分(II)>
樹脂成分(II)の主成分である(a)成分は、メタクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとその重合体との混合物である。
【0020】
メタクリル酸エステルとしては、以下のものが挙げられる。メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等。なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましい。これらのメタクリル酸エステルは単独で、あるいは2種類以上を併用して使用することができる。
【0021】
(a)成分としては、メタクリル酸エステルとその重合体の混合物である所謂シラップを使用するのが好ましい。シラップは、メタクリル酸エステルを70〜95質量%、その重合体を5〜30質量%の割合で含むものが好ましい。特に、メタクリル酸メチルを70〜95質量%、その重合体を5〜30質量%の割合で含むものが好ましい。シラップの製造方法としてはメタクリル酸エステルを重合させ、完全に重合が完結する前に重合禁止剤等を添加する方法や、予め懸濁重合、塊状重合等で得られたポリメタクリル酸エステルのビーズやカレットをメタクリル酸エステルに溶解する方法が挙げられるが、特にこれらに限られない。
【0022】
樹脂成分(II)として使用される(b)成分は、アクリル酸エステルである。(b)成分の具体例としては以下のものが挙げられる。アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル等。これらのアクリル酸エステルは単独で、あるいは2種類以上を併用して使用することができる。
【0023】
(b)成分の使用量は、(a)成分100質量部に対して0.5〜20質量部であり、好ましく1〜15質量部、より好ましくは2〜10質量部である。0.5質量部以上使用することにより、得られる樹脂組成物の難燃性を向上させることができ、20質量部以下使用することにより、得られる樹脂組成物の物性低下を抑えることができる。
【0024】
樹脂成分(II)として使用される(c)成分は、分子内に2つ以上の重合性不飽和結合を有する、前記(a)および(b)以外の単量体である。分子内に2つの重合性不飽和結合を有する(c)成分の具体例としては以下の架橋性単量体が挙げられる。ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール等。また本発明では分子内に3つ以上の重合性不飽和結合を有する(c)成分を用いることによって、より優れた性能を発現させることができる。分子内に3つ以上の重合性不飽和結合を有する(c)成分の具体例としては以下の架橋性単量体が挙げられる。トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリス(2−アクリル酸エチル)イソシアヌル酸[商品名:ファンクルFA−731A(日立化成工業(株)製)]、4官能型ウレタン(メタ)アクリレート[商品名:NKオリゴ U−4HA(新中村化学工業(株)製)]、6官能型ウレタン(メタ)アクリレート[商品名:NKオリゴ U−6HA(新中村化学工業(株)製)]、15官能型ウレタンアクリレート[商品名:NKオリゴ U−15HA(新中村化学工業(株)製)]等。これらは単独で、あるいは2種類以上を併用して使用することができる。
【0025】
(c)成分の使用量は(a)成分100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、より好ましくは4〜10質量部である。1質量部以上使用することにより、樹脂組成物の難燃性を向上させることができ、20質量部以下使用することにより、得られる樹脂組成物の物性低下を抑えることができる。
【0026】
樹脂成分(II)のその他成分としては、上記のメタクリル酸エステルと共重合可能なものを使用することができる。具体例としてはスチレンやアクリロニトリル、酢酸ビニル及びそれらの誘導体等、更にはその分子鎖内に1以上の重合性不飽和結合を有する高分子等が挙げられるが、アクリル系人工大理石の質感を損なわないためには、その使用量は(a)成分100質量部に対して0〜2質量部に留めることが好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物には、樹脂成分(II)を硬化させるために重合開始剤、触媒を使用することができる。触媒としては以下のものが挙げられる。過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物系化合物や、アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}及びその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)及びその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]等のアゾ化合物。上記触媒を用いて常温または加温して重合硬化させることが可能であるが、常温で重合硬化させる場合は、助触媒としてメルカプタン、アミン系化合物、スルフィン酸類、コバルト系化合物、水等を添加することも可能である。
【0028】
本発明の樹脂組成物においては上述の各成分以外にも、従来より人工大理石の添加成分として知られている各種成分を使用できる。例えば白色顔料として酸化チタンや硫化亜鉛、黄色顔料として酸化鉄イエロー、黒色顔料としてカーボンブラックや酸化鉄ブラック、赤色顔料として酸化鉄レッド、青色顔料としてウルトラマリンブルーやフタロシアンブルー等の各種顔料を使用することができる。また紫外線吸収剤、光安定化剤、難燃剤、離型剤、流動化剤や増粘剤、チキソ性付与剤、重合禁止剤、界面活性剤、酸化防止剤等を使用することができる。
【0029】
<人工大理石>
本発明の樹脂組成物は上述した成分を重合硬化させて人工大理石に成形することができるが、その方法としてはバッチ式注型法やバッチ式プレス成形法、連続式キャスト成形法等が挙げられる。
【0030】
また人工大理石の表面に石目調模様あるいは砂目調模様等の意匠性を付与する場合には、予め同材質の人工大理石を粒状に粉砕し、これを本発明の樹脂組成物に混合し、重合硬化、成形する方法が挙げられる。さらには硬化後、表面を研削処理することもできる。
【0031】
また本発明の人工大理石は、単独で使用することもできるが、下地材等の基材に積層して使用することもできる。下地材としては繊維混入珪酸カルシウム板やセメント系珪酸カルシウム板、石膏ボード等のISO1182、ISO5660準拠の不燃性能試験において不燃材料として認定されているものが挙げられるが、不燃性能を有するもので金属板以外のものであれば特に限定されない。
【0032】
また人工大理石用の樹脂組成物と下地材を用いて合板を製造する際に使用する接着剤としては、その組成、品質は特に限定されるものではなく、瞬間接着型のものや1液形変性シリコーン系型、2液形変性エポキシ系等、市販されているものを幅広く使用することができる。またそれぞれの接着面には予め市販のプライマーにて処理することにより接着強度を向上させることもできる。
【実施例】
【0033】
以下実施例により、本発明をより具体的に説明する。実施例において、「%」は質量%を意味し、「部」は質量部を意味する。評価方法は以下の通りである。
【0034】
〔1.粒径の測定〕
無機充填材(I)の体積基準のメジアン径、Dv90およびDv10は、堀場製作所(株)製レーザー回折式粒度分布計LA−950により測定した。なお、測定に際しては、LA−950の測定セルホルダーに専用の乾式セルを設置し、当該セルの下部吸引口より20〜30リットル/秒の空気吸引量で吸引しながら無機充填剤(I)2〜3mgを乾式セルのサンプル口に投入した。
【0035】
〔2.発熱性試験〕
ISO5660に準拠して発熱性試験を実施した。加熱開始後10分間の総発熱量、最高発熱速度を測定し、加熱開始10分後のサンプル裏面まで到達する穴及び亀裂の有無を目視で観察した。
【0036】
〔実施例1〕
無機充填材(I)として水酸化アルミニウム粉末(HS−341、昭和電工(株)製、体積基準のメジアン径=17μm、Dv90/Dv10=21)800gと、(a)成分として20%のポリメタクリル酸メチルと80%のメタクリル酸メチルの混合物からなるシラップ170.6g、(b)成分としてアクリル酸n−ブチル7.1g(シラップ100部に対して4部)、(c)成分としてジメタクリル酸エチレングリコール17.8g(シラップ100部に対して10部)に、触媒としてt−ブチルパーオキシマレイン酸(LUPERCO PMA25、Arkema Inc.製)3.5gを混合、ミキサーで攪拌して混合スラリーを得た。
【0037】
得られた混合スラリーを減圧容器内で脱泡した後、助触媒としてグリコールジメルカプトアセテート(GDMA 淀化学(株)製)0.6g及び脱イオン水0.4gを添加し、攪拌した後、ポリビニルアルコールフィルム(以下、PVAフィルムと略す)を敷き、予め40℃に温調した縦300、横300、深さ11mmの型枠中に注入し、その上からPVAフィルムを貼り付けた。更にその上にウレタン保温シートを敷き20分間程硬化させた後、厚み11〜12mmのシート状硬化物を得た。この硬化物から縦99、横99、厚み10mmサイズの試験用サンプルシートを得、発熱性試験に供した。その結果を表2に示す。
【0038】
〔実施例2〜4〕
表1に示す種類および質量比の無機充填材、並びに、表2に示す原料調合組成比の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート状硬化物および試験用サンプルシートを得た。それぞれの発熱性試験の結果を表2に示す。
【0039】
〔実施例5〕
無機充填材(I)を表1に示す種類および質量比のものに替えた以外は実施例1と同様にして得られた縦99、横99、厚み10mmのシートと、石膏ボード(縦99、横99、厚み12.5mm、不燃材料、タイガーボードGB−R 吉野石膏(株)製)を2液硬化型エポキシ接着剤(セメダインPM200、セメダイン(株)製、6g/m2程使用)を用いて接着し、合板を製造した。その発熱性試験の結果を表2に示す。
【0040】
〔実施例6〕
無機充填材(I)を表1に示す種類および質量比のものに替えた以外は実施例4と同様にして得られた縦99、横99、厚み10mmのシートと、石膏ボード(縦99、横99、厚み12.5mm、不燃材料、タイガーボードGB−R、吉野石膏(株)製)を2液硬化型エポキシ接着剤(セメダインPM200、セメダイン(株)製、6g/m2程使用)を用いて接着し、合板を製造した。その発熱性試験の結果を表2に示す。
【0041】
〔比較例1〕
表1に示す種類の無機充填材を用いたこと以外は実施例3と同様にしてシート状硬化物および試験用サンプルシートを得た。それぞれの発熱性試験の結果を表2に示す。
【0042】
以上より、Dv90/Dv10>10の条件を満足する特定の無機充填材を含む実施例の人工大理石用の樹脂組成物を硬化させて得られる人工大理石は、準不燃性能を備えることが分かった。一方、Dv90/Dv10>10の条件を満足しない無機充填材を含む比較例の人工大理石用の樹脂組成物を硬化させて得られる人工大理石は、準不燃性能を備えていないことが分かった。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機充填材(I)70〜90質量%および樹脂成分(II)10〜30質量%を含んで
なる人工大理石用の樹脂組成物であって、
前記無機充填材(I)は、水酸基又は結晶水を含み、かつ、体積基準のメジアン径が0
.2〜500μmの粒子であって、体積累積分布10%径(Dv10)と体積累積分布90%径(Dv90)の比がDv90/Dv10>10の条件を満たし、
前記樹脂成分(II)は、メタクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとその重合体との混合物(a)、アクリル酸エステル(b)、および分子内に2つ以上の重合性不飽和結合を有する前記(a)および(b)以外の単量体(c)を含み、かつ、(a)成分100質量部に対して、(b)成分が0.5〜20質量部および(c)成分が1〜20質量部含有されてなる樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂組成物を硬化させてなる人工大理石。
【請求項3】
請求項2に記載の人工大理石と、金属板以外の不燃材料との合板。

【公開番号】特開2013−14490(P2013−14490A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150195(P2011−150195)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(591122886)エムアールシー・デュポン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】