説明

樹脂組成物の製造方法

微粒子や低温で分解しやすい添加剤を樹脂中に均一に混練することが可能な樹脂組成物の製造方法を提供する。まず、熱可塑性樹脂と添加剤とを予備加熱して混合し、この混合物を加熱状態のままで混練工程に移行する。そして、前記混合物を加熱混練し、押出成形等により成形して目的の樹脂組成物を得る。本発明では、前記混合物が加熱状態のまま混練工程に移行することにより、微粒子状の添加剤も凝集しにくく、均一に混練することが可能である。また、混練時の加熱温度を従来よりはるかに低くできるため、低温で分解しやすい添加剤の混練も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
従来、電線用被膜等の用途には、難燃性を有する樹脂である塩化ビニルが広く用いられていたが、近年は、環境問題への配慮から、それらの用途からハロゲンを含むポリマーが廃止される傾向がある。
前記のような用途において、塩化ビニルに代えてハロゲンを含まないポリマーを用いるための方法の一つとして、ポリオレフィン樹脂に水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機難燃剤を混練する方法がある。しかし、無機難燃剤は、難燃性を高めるために大量に添加すると樹脂の機械的強度の低下等を招くため、難燃性と機械的強度との両立が重要である。特に、無機難燃剤が樹脂中に均一に混練されないと、難燃性が十分に発揮されなかったり、機械的強度の低下を招いたりするおそれがある。
無機難燃剤として例えば前記水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等を使用する場合、可能な限り粒径が細かく均一なものを使用すれば、樹脂組成物の機械的強度も低下し難く、また、比表面積が大きくなるために、より少ない添加量でも難燃性を発揮することができると考えられる。しかし、実際には、粉末は粒径が細かくなるほど吸湿等により凝集を引き起こしやすいため、樹脂中に均一に混練することは難しく、やはり難燃性が発揮されなかったり機械的強度が低下したりするおそれがある。また、水酸化アルミニウムは、難燃剤としてはコストも低く、難燃性発揮等の性能も優れている物質であるが、比較的低い温度で分解してしまうため、特にポリプロピレン等の融点の高い樹脂中に混練するのは困難を伴う。
【発明の開示】
したがって、本発明の目的は、例えば、微粒子や低温で分解しやすい添加剤を樹脂中に均一に混練することが可能な樹脂組成物の製造方法を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂と添加剤とを加熱混練する混練工程を含む樹脂組成物の製造方法であって、前記混練工程に先立ち、前記熱可塑性樹脂と添加剤とを予備加熱して混合する予備工程をさらに含み、この予備工程で得られた混合物を前記予備工程終了時の温度を保って、または、前記予備工程終了時の温度よりも温度を下げた加熱状態で前記混練工程に移行し混練する製造方法である。
【図面の簡単な説明】
図1は、天然水酸化マグネシウムの粒度分布を示すグラフである。
図2は、図1の天然水酸化マグネシウムを粉砕した後の粒度分布を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
次に、本発明の実施形態について説明する。
熱可塑性樹脂と添加剤との混練に先立ち両者を混合することは従来から行われていたが、加熱された混合物は取扱いが難しいため、混練工程に移行する際は室温で押出機等に投入して混練していた。そのため、前記のように添加剤粒子の凝集が起こり均一な混練が困難な場合があった。また、凝集した添加剤粒子が熱伝導を阻害するため、混練する際に前記押出機等の加熱温度を樹脂の融点よりもかなり高くする必要があり、そのため添加剤の熱分解を引き起こしてしまうおそれがあった。
しかし、本発明の製造方法は、前記混合物を加熱状態のままで前記混練工程に移行し混練するため、添加剤粒子の凝集を引き起こしにくい。この理由としては、前記混合物が加熱により脱水されているため吸湿による凝集がないこと等が考えられる。また、本発明の製造方法では、混練する際にあらかじめ前記混合物全体が加熱されているため、従来の方法と比較すると、混練する際の加熱がわずかで済む。そのため温度による添加剤の分解を引き起こしにくい。なお、上述の通り、前記混合物を前記混練工程に移行する際は、前記予備工程終了時の温度を保ったまま前記混練工程に移行しても良いが、適度に温度を下げた加熱状態で前記混練工程に移行しても良い。例えば、高温で長時間放置すると分解してしまう添加剤を使用する場合は、添加剤が分解せず、しかも混練しやすい程度の温度に下げて前記混練工程に移行することが好ましい。具体的には、前記予備工程終了時の前記混合物の温度をX(℃)とし、前記混練工程移行時の前記混合物の温度をY(℃)とした場合に、下記式(I)の条件を満たすことが好ましい。
0≦(X−Y)≦100 (I)
(X−Y)の値は、より好ましくは50以下、特に好ましくは20以下である。
前記添加剤は、例えば、無機難燃剤を含むことが好ましい。
前記無機難燃剤においては、数平均粒子径Mnと重量平均粒子径Mwとの比Mn/Mwが0.2〜1.0の範囲であることがより好ましく、Mn/Mwが0.4〜1.0の範囲であることが特に好ましい。また、粒子径0.70〜15.0μmの粒子の含有率が90.0%以上であることがより好ましく、粒子径1.0〜10.0μmの粒子の含有率が90.0%以上であることがさらに好ましく、粒子径1.0〜10.0μmの粒子の含有率が95.0%以上であることが特に好ましい。このように粒径のばらつきを少なく、さらに粒子を細かくすることにより、樹脂組成物の混練状態が均一となり、さらに難燃性が発揮されやすくなり、機械的強度も低下しにくくなる。
また、前記無機難燃剤は、対向する二つのロータをそれぞれ同一方向または逆方向に回転させて生じた流体剪断力により粉砕した微細粒子であることがより好ましい。このような方法で粉砕することにより、粒径のばらつきが少ない微細粒子を得ることができる。このような方法を使用できる機器としては、特に限定されないが、例えば、日機装株式会社の商品名トルネードミル250型および400型等がある。前記粉砕方法は、流体剪断力を利用した粉砕方法であり、粒子が機器本体とほとんど衝突することがないため、ジェットミル、回転ミル等を用いる従来の粉砕方法と比較して、粒径が細かく揃った粒子が得やすい。
前記無機難燃剤と前記熱可塑性樹脂との混合比は特に限定されないが、重量比で、前記無機難燃剤1に対し前記熱可塑性樹脂が例えば0.5〜1000、好ましくは5〜20の範囲である。また、前記無機難燃剤の種類も特に限定されず、任意であるが、例えば、金属水酸化物、金属炭酸塩、赤リンおよび膨張黒鉛からなる群から選択される少なくとも一種類を含むことが好ましく、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、赤リンおよび膨張黒鉛からなる群から選択される少なくとも一種類を含むことがより好ましい。なお、赤リンおよび膨張黒鉛は、単独で難燃剤として使用しても良いが、例えば、赤リンおよび膨張黒鉛の少なくとも一方を金属水酸化物および金属炭酸塩の少なくとも一方と併用しても良い。金属水酸化物や金属炭酸塩を単独で使用した場合と比べ、赤リンおよび膨張黒鉛の少なくとも一方を併用すると、金属水酸化物や金属炭酸塩の使用量が低減可能であり樹脂組成物の物性がさらに向上する等の効果が得られるため好ましい。この場合、赤リンおよび膨張黒鉛の少なくとも一方の使用量は特に限定されないが、例えば前記熱可塑性樹脂に対し0.1〜20重量%である。例えば、水酸化マグネシウムと膨張黒鉛とを併用すると、膨張黒鉛を用いない場合と比較して水酸化マグネシウム使用量を80%程度に抑えることも可能であり、樹脂組成物の機械的強度等もさらに向上させることができる。
本発明の製造方法に使用する熱可塑性樹脂の融点は、例えば70〜350℃、好ましくは80〜270℃、より好ましくは100〜200℃である。また、前記熱可塑性樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、熱可塑性エラストマー(サーモプラスチックエラストマー、TPE)および熱可塑性ウレタン(サーモプラスチックウレタン、TPU)からなる群から選択される少なくとも一種類を含むことが好ましい。なお、ポリオレフィンは熱可塑性オレフィン(サーモプラスチックオレフィン、TPO)と呼ばれることがある。TPOはオレフィンの単独重合体でも共重合体でも良く、具体的には、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびPEとPPの共重合体等を用いることができる。
前記ポリオレフィンは、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)のうち少なくとも一方を含むことがより好ましく、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸およびポリヒドロキシブチレート(PHB)からなる群から選択される少なくとも一種類を含むことがより好ましい。
なお、前記熱可塑性樹脂に生分解性が要求される場合は生分解性樹脂を使用することが好ましい。生分解性樹脂としては、例えばポリエステル系生分解性樹脂が好ましく、より好ましくはポリ乳酸系生分解性樹脂、特に好ましくはポリ乳酸およびポリヒドロキシブチレートである。
本発明の製造方法により製造される樹脂組成物は、例えば、前記無機難燃剤が水酸化マグネシウムを含むことが好ましく、その水酸化マグネシウムが前記のような粒径が微細で均一な粒子であることがより好ましい。また、その他の例として、前記無機難燃剤が水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを含むことが好ましく、その水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムのうち少なくとも一方が、前記のような粒径が微細で均一な粒子であることがより好ましい。さらにその他の例として、前記無機難燃剤が膨張黒鉛および水酸化マグネシウムを含むことが好ましい。これら樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂の好ましい具体例は前記の通りであるが、例えばポリプロピレンを含むことが耐熱性および機械的強度等の観点から特に好ましい。
上記のような樹脂組成物は、本発明の製造方法以外で製造しても良いが、本発明の製造方法で製造すれば、熱分解しやすい水酸化アルミニウム粒子や凝集しやすい微粒子を樹脂中に均一に混練することが可能であり、高い難燃性および機械的強度を得ることができる。また、これら樹脂組成物の用途は特に限定されないが、例えば電線用被膜として使用することが好ましく、この被膜を含む電線は、耐熱性、耐衝撃性、耐摩耗性等が優れている。
本発明の製造方法により混練することのできる添加剤は無機難燃剤に限定されず、それ以外にも種々の添加剤を用いることが可能である。例えば、前記添加剤が、鉱石粉末、有機物質、植物組織由来粉末、炭素粉末、無機塩および顔料からなる群から選択される少なくとも一種類を含むことが好ましく、トルマリン粉砕物、酒石酸、ワサビ粉砕物、大豆かす粉砕物、唐辛子粉砕物、コショウ粉砕物、松茸粉砕物、椎茸粉砕物、木粉、紙粉砕物、茶殻粉砕物、コーヒーかす粉砕物、カーボンブラック、タルク、木炭粉砕物、竹炭粉砕物、カカオ豆殼粉砕物、有機顔料、無機顔料および炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種類を含むことがより好ましい。木粉、紙、茶殻等は加熱により炭化や燃焼を引き起こしてしまうため、樹脂中に混練することは難しいが、本発明の製造方法によれば、混練中の加熱を最小限に抑えることができるため、例えばポリプロピレン等の融点の高い樹脂中に混練することも可能になる。なお、木炭としては例えば備長炭が好ましい。
本発明の製造方法により製造される樹脂組成物およびそれを用いた樹脂製品は、従来は樹脂組成物中に含ませることが困難であった微粒子状の添加剤や熱に弱い添加剤をも含ませることができるため、添加剤の種類に応じて特有の様々な効果が得られる。例えば、添加剤として無機難燃剤を用いる場合に関しては前記の通りである。
別の一例として、廃木材等を粉砕して本発明の製造方法により樹脂中に混練することにより、廃木材を樹脂組成物用充填剤として有効利用し、機械的強度に優れた樹脂組成物を製造することができるため、廃木材の有効なリサイクルが可能となる。
さらに別の一例として、従来の方法では樹脂中への混練が難しかった茶殻粉砕物を混練することで、抗菌性や芳香性を有する樹脂組成物を製造すること等も可能である。さらに別の一例として、ワサビ粉砕物を混練することで、防カビ、抗菌、消臭、防虫、鮮度保持等の効果を有する樹脂組成物の製造等も可能であり、このような樹脂組成物およびそれを用いた樹脂製品は、食品用、ペット用等に使用可能である。茶殻やワサビ粉砕物等は、細かい小片や微粒子からなるためそのままでは取扱いが面倒であるが、樹脂中に混練することにより利便性が大幅に向上する、保存性が向上する等の利点がある。これらを樹脂組成物中に含ませることは、本発明により可能となった。このように、そのままでは取扱いが面倒でありしかも従来技術では樹脂組成物中に含ませることが困難であった物質を樹脂組成物中に含ませて利便性等を向上させることができるのが本発明の利点の一つである。
その他にも、本発明の樹脂組成物およびそれを用いた樹脂製品は、前記の通り添加剤の種類に応じて特有の様々な効果が得られる。
本発明の製造方法は、具体的には、例えば以下のようにして実施することができる。しかし、本発明はこれに限定されない。
すなわち、まず、熱可塑性樹脂と添加剤とを予備加熱して混合する予備工程を行なう。この予備工程に使用する機器は特に限定されないが、例えば、三井鉱山株式会社の商品名ヘンシェルミキサーという機器を用いて行なうことができる。
前記予備工程における加熱温度は特に限定されないが、前記添加剤が分解しにくく、しかも後の混練工程が行ないやすいという観点から、例えば100〜250℃、好ましくは120〜230℃、より好ましくは140〜200℃である。また、この温度は、前記の観点から、例えば、前記熱可塑性樹脂の融点と等しいか、または融点よりも若干低い温度が好ましい。具体的には、前記予備工程における加熱温度をZ(℃)とし、前記熱可塑性樹脂の融点をT(℃)とした場合に、Zが下記式(II)の範囲であることが好ましい。
(T−50)≦Z≦T (II)
そして、より好ましくは(T−30)≦Z≦Tであり、特に好ましくは(T−10)≦Z≦Tである。
前記予備工程における加熱温度Z(℃)は、ポリオレフィンを用いる場合は、例えば50〜220℃、好ましくは70〜200℃、より好ましくは90〜190℃であり、ポリプロピレンを用いる場合は、例えば80〜200℃、好ましくは100〜180℃、より好ましくは120〜180℃であり、ポリエチレンを用いる場合は、例えば60〜180℃、好ましくは80〜160℃、より好ましくは100〜160℃である。攪拌速度も特に限定されないが、均一な混合を効率的に行い、混合物の温度むら等をなくすために、可能な範囲でなるべく高速であることが好ましい。前記攪拌速度は、前記ヘンシェルミキサーを用いる場合は、例えば400〜1000rpmである。加熱混合時間も特に限定されず、熱可塑性樹脂および添加剤の種類等に応じて適宜設定すれば良いが、むらなく加熱および混合する観点から、例えば2〜60分、好ましくは4〜45分、特に好ましくは5〜30分である。熱可塑性樹脂は、添加剤との均一な混合が行ないやすいという理由により、パウダーを使用することが好ましいが、その他、ペレット等の形態で使用しても均一な混合を行なうことが十分可能である。
次に、前記予備工程で得られた混合物をただちに、または適度に温度を下げて混練工程に移行する。混練工程移行時の前記混合物の温度は特に限定されず、熱可塑性樹脂と添加剤の種類等により適宜設定すれば良いが、例えば30〜200℃、好ましくは40〜180℃、より好ましくは50〜160℃である。混練工程移行時の前記混合物の好ましい温度は、前記添加剤の種類に応じて、例えば以下の通りである。すなわち、例えば、前記混合物が添加剤として無機難燃剤を含む場合は、50〜150℃が好ましく、60〜140℃がより好ましく、70〜130℃が特に好ましい。水酸化マグネシウムを含む場合は50〜150℃が好ましく、60〜140℃がより好ましく、70〜130℃が特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムとを含む場合は50〜130℃が好ましく、60〜120℃がより好ましく、70〜110℃が特に好ましい。植物組織由来粉末を含む場合は、30〜100℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、40〜80℃が特に好ましい。木粉を含む場合は50〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましく、50〜80℃が特に好ましい。特に、木粉、茶殻粉砕物、ワサビ粉砕物等の植物組織由来粉末を混練する場合、前記植物組織由来粉末を高温で長時間放置しておくと炭化や燃焼等を起こしてしまうため、適温まで冷却してから前記混練工程に移行することが好ましい。なお、上記混合物において、熱可塑性樹脂の好ましい具体例は前記の通りであり、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンのうち少なくとも一方を含むことがより好ましい。
そして、前記混合物を加熱混練し、押出成形等により成形して目的の樹脂組成物を得る。この時使用する機器は特に限定されないが、例えば、スクリュー成形機、プランジャー成形機、シート成形機、異形押出機、インフレーション成形機、プレス成形機、カレンダー成形機等を適宜使用することができる。成形方法も特に限定されないが、例えば、ストランドカット法、ホットカット法、セミアンダーウォーターカット法、ウォーターカット法、シートカット法等を適宜使用することができる。なお、前記加熱混練の際、前記混合物中に、さらにその他の添加剤、例えば低分子量の滑剤等を添加しても良い。
前記加熱混練時の加熱温度は特に限定されないが、例えば80〜350℃、好ましくは90〜280℃、より好ましくは100〜210℃である。この温度の好ましい範囲は熱可塑性樹脂と添加剤の種類等によっても異なるが、ポリプロピレンと水酸化マグネシウム、またはポリプロピレンと木粉の組み合わせの場合は、例えば160〜300℃、好ましくは160〜280℃、より好ましくは170〜250℃である。本発明は、前記混合物があらかじめ予備加熱されていることにより、前記加熱混練時の加熱を最小限にすることができる。例えば、前記混合物全体があらかじめ熱可塑性樹脂の軟化温度より若干低い温度まで加熱され、熱可塑性樹脂と添加剤とが均一に混合された状態として前記加熱混練工程に移行することが好ましい。このような状態であれば、前記加熱混練工程において、スクリュー押出機等の内部で若干加圧するのみで前記熱可塑性樹脂を溶融させ、前記混合物を混練状態に変化させることも可能である。前記混練状態に変化させた混合物をそのままスクリュー押出機等から押出せば、成形が完了する。本発明では、このようにして、従来の混練方法よりもはるかに低温で、かつ攪拌をほとんど行なわずに混練することもできる。
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
以下のような方法により、ポリプロピレン(PP)に木粉が混練された樹脂組成物を製造した。すなわち、まず、攪拌機を準備した。この攪拌機は、前記ヘンシェルミキサーの内面全面に波形形状の凹凸を形成してメッキ加工を施し、さらにプーリーを交換して回転数を通常の1.7倍に上げたものであり、通常のヘンシェルミキサーと同様の方法により使用することができる。
次に、この攪拌機を200℃に加熱した後、その内部に、乾燥木粉51kg(100メッシュパス品、かさ密度約0.23g/cm)およびPPペレット49kg(出光石油化学株式会社、商品名PN640、かさ密度約0.62g/cm)を投入し、攪拌を開始した。攪拌が進むとともに、溶融したPPペレットがヘンシェルミキサー内面の前記凹凸と衝突し、メルトフィルム(PPの微少な薄膜)が形成されていった。次第にメルトフィルムが形成され、PPメルトフィルムと木粉との均一な攪拌混合物が形成されたところで攪拌を止めた。このとき、前記攪拌混合物のかさ密度は0.3〜0.4g/cm、温度は100〜300℃の範囲であった。そして、この攪拌混合物をただちにクーリングミキサーに投入し、冷却した。冷却は、前記攪拌混合物を攪拌用羽根で攪拌しながら、クーリングミキサーのジャケットをチラ装置(水冷装置)で冷却することにより行なった。
そして、前記攪拌混合物の温度が100℃となったところで、あらかじめ100℃に加熱したスクリュー成形機(ナカタニ機械社製、商品名NVC−100)に投入し、ホットカット法により押出造粒して目的の樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物は、木粉の含有率が51重量%である。なお、押出造粒の条件は、C1〜C7=180、D=200、スクリュー回転数120rpm、吐出量170kg/hに設定した。この樹脂組成物は、目視による表面観察により、ポリプロピレンと木粉とが均一に混練されていることを確認した。
【実施例2〜16】
実施例1に記載の条件を種々変化させ、様々な木粉含有樹脂組成物を製造した。製造は、下記(1)〜(3)のうち少なくとも一つの条件を用いる他は実施例1と同様にして行なった。
(1) 木粉含有率を51重量%に代えて20重量%、30重量%または40重量%とする。
(2) PPに代えてポリエチレン(PE)またはリサイクルバンパー(RB)を用いる。
(3) スクリュー成形機に代えてプランジャー成形機を用いる。
これら実施例2〜16の樹脂組成物は、実施例1と同様、樹脂と木粉とが均一に混練されていることを確認した。
上記実施例1〜16の樹脂組成物について、引張強度(MPa)、曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(MPa)およびIzod衝撃値(kJ/m)を測定した。また、比較例1および2として、木粉を混合する前のポリプロピレン(ポリプロバージン)およびリサイクルバンパーについても同様の測定を行なった。引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率の測定条件は、支点間距離5cm、チャート速度5cm/min、曲げ速度0.5cm/minで行なった。下記表1にその結果を示す。各測定値は、それぞれ3回ずつ測定した値の平均値である。実施例番号の後に記載のPP、PEおよびRBは、それぞれポリプロピレン、ポリエチレンおよびリサイクルバンパーを使用したことを示し、その後に記載の数字は木粉の含有量(重量%)を、さらにその後のsおよびpはそれぞれスクリュー成形機およびプランジャー成形機を用いて成形したことを示す。例えば、(PP、51、s)は、木粉を全体の51重量%含むポリプロピレン組成物であり、スクリュー成形機で成形したことを示す。

表1から分かる通り、PPまたはRBを用いた場合、木粉を20〜51重量%混練しても、混練前とさほど変わらない引張強度および曲げ強度が得られた。さらに、曲げ弾性率については、混練前よりも大幅に向上していた。すなわち、上記実施例1〜16の樹脂組成物は、本発明の製造方法で製造したことにより、均一かつ密な組織状態が得られたため、機械的強度が高くなったと考えられる。また、スクリュー成形機を用いてもプランジャー成形機を用いても同様に良好な結果が得られることが分かった。なお、前記ヘンシェルミキサーで加熱攪拌した混合物を室温まで冷却して成形機に投入し混練した場合、成形機を加熱してポリプロピレンを溶融させようとした際に木粉の炭化が起こり、混練が成功しなかった。
【実施例17〜20】
次に、ポリプロピレンおよび水酸化マグネシウム粉末を含む樹脂組成物を製造した。すなわち、まず、水酸化マグネシウム(中国産天然水酸化マグネシウム、富士タルク工業株式会社より購入)を準備し、次に、これを前記トルネードミル250型を用いて粉砕し、微細水酸化マグネシウム粉末を作製した。粉砕は、前記トルネードミル250型の設定条件を、ローター径250mm、羽根数6枚、モーター容量7.5kW×2、ローター回転数7000rpmに設定して行なった。
なお、前記水酸化マグネシウムの粉砕前および粉砕後の粒度分布を、日機装株式会社の商品名Model 9320−X100という機器を用いて測定した。図1に粉砕前の、図2に粉砕後の測定結果をそれぞれグラフで示す。併せて、前記各図に示す測定結果の概要を以下に数値で示す。




さらに、図1のグラフの粒度分布を下記表2に、図2のグラフの粒度分布を下記表3にそれぞれ示す。


図1、図2、表2および表3から分かる通り、粉砕前は粒径が約1〜100μmの広範囲に分散していたが、粉砕後は粒径1.0〜10.0μmの範囲に95.0%以上の粒子が集中しており、粒径が細かく揃った粉末が得られた。
そして、この微細水酸化マグネシウム粉末およびポリプロピレンペレットを用いて前記樹脂組成物を製造した。すなわち、木粉51重量%に代えて前記微細水酸化マグネシウム粉末30重量%、35重量%または40重量%を混合することと、スクリュー成形機投入直前の攪拌混合物温度を80℃とすることと、スクリュー成形機の加熱温度を170℃とすること以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。前記微細水酸化マグネシウム粉末含有量が30重量%、35重量%および40重量%のものをそれぞれ実施例17、18および19とする。さらに、前記微細水酸化マグネシウム粉末に代えて市販の難燃剤用水酸化マグネシウム粉末(協和化学株式会社、商品名キスマ5A)を40重量%混合する以外は実施例17〜19と同様にして樹脂組成物を製造した。これを実施例20とする。これら実施例17〜20の樹脂組成物は、実施例1と同様、ポリプロピレンと水酸化マグネシウムとが均一に混練されていることを確認した。
上記実施例17〜20の樹脂組成物について、密度(g/cm)、メルトインデックス(MI、g/10min)、引張強度(MPa)、曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(MPa)、Izod衝撃値(kJ/m)および難燃性(酸素指数、mm)を測定した。引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率の測定条件は、支点間距離5cm、チャート速度5cm/min、曲げ速度0.5cm/minで行なった。また、難燃性測定は、UL94水平燃焼試験法を用い、MST0210−03射出成形法により成形した試験片を使用して、V=mm/minで行なった。下記表4にその結果を示す。各測定値は、それぞれ3回ずつ測定した値の平均値である。

表4から分かる通り、実施例17〜20の樹脂組成物は、いずれも高い難燃性および機械的強度を備えていた。特に、実施例17〜19は、Izod衝撃値が20.1〜23.3と衝撃に強く、さらに、実施例17より、難燃剤添加量を30重量%まで減らしても高い難燃性が得られることが分かった。これらは、市販の難燃剤用水酸化マグネシウムよりもさらに粒径が細かく均一な粉末を用いたことによる効果である。すなわち、本発明の製造方法を用いることにより、難燃剤の微細粉末を樹脂中に均一に混練し、難燃性と機械的強度との両立を実現することができた。さらに、難燃剤添加量を減らすことによるコスト節減の効果も得られる。なお、前記ヘンシェルミキサーで加熱攪拌した混合物を室温まで冷却して成形機に投入し混練した場合、本実施例のような均一な混練は困難であった。特に前記微細水酸化マグネシウムを含む混合物では、微細粉末の凝集が起こり、均一な混練ができなかった。
(実施例21および22)
次に、ポリプロピレン、水酸化マグネシウム粉末および水酸化アルミニウム粉末を用いて樹脂組成物を製造した。すなわち、前記微細水酸化マグネシウム粉末に代えて、前記天然水酸化マグネシウム粉末および水酸化アルミニウム粉末(昭和電工株式会社、商品名ハイジライト)をそれぞれ30重量%および10重量%混合する以外は実施例17〜20と同様にして樹脂組成物を製造した。これを実施例21とする。さらに、前記天然水酸化マグネシウム粉末および前記水酸化アルミニウム粉末の混合量をそれぞれ20重量%ずつとする以外は実施例21と同様にして樹脂組成物を製造した。これを実施例22とする。これら実施例21および22の樹脂組成物は、実施例1と同様、ポリプロピレン、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムが均一に混練されていることを確認した。また。これら実施例21および22について、実施例17〜20と同様にして各物性値を測定した。表5にその結果を示す。

表5から分かる通り、実施例21および22の樹脂組成物は、実用に適する高い難燃性および機械的強度を有していた。すなわち、本発明の製造方法を用いることにより、熱分解しやすい水酸化アルミニウムを融点の高いポリプロピレン中に均一に混練し、高い難燃性および機械的強度を発揮することができた。なお、前記ヘンシェルミキサーで加熱攪拌した混合物を室温まで冷却して成形機に投入し混練した場合、成形機を加熱してポリプロピレンを溶融させようとした際に水酸化アルミニウムの分解が起こり、混練が成功しなかった。
【産業上の利用の可能性】
以上説明した通り、本発明の製造方法によれば、微粒子や低温で分解しやすい添加剤を樹脂中に均一に混練することが可能である。本発明の製造方法によれば、熱分解しやすい水酸化アルミニウム粒子や凝集しやすい微細水酸化マグネシウム粒子等の無機難燃剤を樹脂中に均一に混練し、高い難燃性および機械的強度を得ることができる。このような樹脂組成物は、様々な用途に使用することができるが、例えば電線用被膜として好適であり、この被膜を含む電線は耐熱性、耐衝撃性、耐摩耗性等に優れ柔軟性がある。さらに、本発明の製造方法により混練することのできる添加剤は無機難燃剤に限定されず、それ以外にも種々の添加剤を用いることが可能である。例えば、廃木材等を粉砕して本発明の製造方法により樹脂中に混練することにより、廃木材を樹脂組成物用充填剤として有効利用し、機械的強度に優れた樹脂組成物を製造することができるため、廃木材の有効なリサイクルが可能となる。また、従来の方法では樹脂中への混練が難しかったワサビや茶殼の粉砕物を混練することで、抗菌性や芳香性を有する樹脂組成物を製造すること等も可能である。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と添加剤とを加熱混練する混練工程を含む樹脂組成物の製造方法であって、前記混練工程に先立ち、前記熱可塑性樹脂と添加剤とを予備加熱して混合する予備工程をさらに含み、この予備工程で得られた混合物を前記予備工程終了時の温度を保って前記混練工程に移行し混練する製造方法。
【請求項2】
熱可塑性樹脂と添加剤とを加熱混練する混練工程を含む樹脂組成物の製造方法であって、前記混練工程に先立ち、前記熱可塑性樹脂と添加剤とを予備加熱して混合する予備工程をさらに含み、この予備工程で得られた混合物を前記予備工程終了時の温度よりも温度を下げた加熱状態で前記混練工程に移行し混練する製造方法。
【請求項3】
前記予備工程終了時の前記混合物の温度をX(℃)とし、前記混練工程移行時の前記混合物の温度をY(℃)とした場合に、下記式(I)の条件を満たす請求の範囲1または2に記載の製造方法。
0≦(X−Y)≦100 (I)
【請求項4】
前記予備工程における加熱温度が100〜250℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記混練工程移行時の前記混合物の温度が30〜200℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記混練工程における温度が80〜350℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記添加剤が、無機難燃剤を含む請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記無機難燃剤において、数平均粒子径Mnと重量平均粒子径Mwとの比Mn/Mwが0.2〜1.0の範囲である請求の範囲7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記無機難燃剤において、粒子径0.70〜15.0μmの粒子の含有率が90.0%以上である請求の範囲7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記無機難燃剤が、対向する二つのロータをそれぞれ同一方向または逆方向に回転させて生じた流体剪断力により粉砕した微細粒子である請求の範囲7に記載の製造方法。
【請求項11】
前記無機難燃剤と前記熱可塑性樹脂との混合比が、重量比で、前記無機難燃剤1に対し前記熱可塑性樹脂0.5〜1000の範囲である請求の範囲7に記載の製造方法。
【請求項12】
前記無機難燃剤と前記熱可塑性樹脂との混合比が、重量比で、前記無機難燃剤1に対し前記熱可塑性樹脂5〜20の範囲である請求の範囲7に記載の製造方法。
【請求項13】
前記無機難燃剤が、金属水酸化物、金属炭酸塩、赤リンおよび膨張黒鉛からなる群から選択される少なくとも一種類を含む請求の範囲7に記載の製造方法。
【請求項14】
前記無機難燃剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、赤リンおよび膨張黒鉛からなる群から選択される少なくとも一種類を含む請求の範囲7に記載の製造方法。
【請求項15】
前記熱可塑性樹脂の融点が、70〜350℃である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項16】
前記予備工程における加熱温度をZ(℃)とし、前記熱可塑性樹脂の融点をT(℃)とした場合に、Zが下記式(II)の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
(T−50)≦Z≦T (II)
【請求項17】
前記添加剤が、鉱石粉末、有機物質、植物組織由来粉末、炭素粉末、無機塩および顔料からなる群から選択される少なくとも一種類を含む請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項18】
前記添加剤が、トルマリン粉砕物、酒石酸、ワサビ粉砕物、大豆かす粉砕物、唐辛子粉砕物、コショウ粉砕物、松茸粉砕物、椎茸粉砕物、木粉、紙粉砕物、茶殻粉砕物、コーヒーかす粉砕物、カーボンブラック、タルク、木炭粉砕物、竹炭粉砕物、カカオ豆殼粉砕物、有機顔料、無機顔料および炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種類を含む請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項19】
前記添加剤が無機難燃剤を含み、前記混合物の前記混練工程移行時の温度が50〜150℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項20】
前記添加剤が水酸化マグネシウムを含み、前記混合物の前記混練工程移行時の温度が50〜150℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項21】
前記添加剤が水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムを含み、前記混合物の前記混練工程移行時の温度が50〜130℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項22】
前記添加剤が植物組織由来粉末を含み、前記混合物の前記混練工程移行時の温度が30〜100℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項23】
前記添加剤が木粉を含み、前記混合物の前記混練工程移行時の温度が50〜100℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項24】
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、熱可塑性エラストマー(サーモプラスチックエラストマー、TPE)および熱可塑性ウレタン(サーモプラスチックウレタン、TPU)からなる群から選択される少なくとも一種類を含む請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項25】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)のうち少なくとも一方を含み、前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸およびポリヒドロキシブチレート(PHB)からなる群から選択される少なくとも一種類を含む請求の範囲24に記載の製造方法。
【請求項26】
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンであり、前記予備工程における加熱温度が50〜220℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項27】
前記熱可塑性樹脂がポリプロピレンであり、前記予備工程における加熱温度が80〜200℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項28】
前記熱可塑性樹脂がポリエチレンであり、前記予備工程における加熱温度が60〜180℃の範囲である請求の範囲1または2に記載の製造方法。
【請求項29】
請求の範囲1または2に記載の製造方法により製造される樹脂組成物。
【請求項30】
請求の範囲29に記載の樹脂組成物を用いた樹脂製品。
【請求項31】
請求の範囲7に記載の製造方法により製造される樹脂組成物。
【請求項32】
前記無機難燃剤が水酸化マグネシウムを含む、請求の範囲31に記載の樹脂組成物。
【請求項33】
前記無機難燃剤が水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを含む、請求の範囲31に記載の樹脂組成物。
【請求項34】
前記無機難燃剤が膨張黒鉛および水酸化マグネシウムを含む、請求の範囲31に記載の樹脂組成物。
【請求項35】
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、熱可塑性エラストマー(サーモプラスチックエラストマー、TPE)および熱可塑性ウレタン(サーモプラスチックウレタン、TPU)からなる群から選択される少なくとも一種類を含む請求の範囲31に記載の樹脂組成物。
【請求項36】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)のうち少なくとも一方を含み、前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸およびポリヒドロキシブチレート(PHB)からなる群から選択される少なくとも一種類を含む請求の範囲35に記載の樹脂組成物。
【請求項37】
電線用被膜として使用する請求の範囲31に記載の樹脂組成物。
【請求項38】
請求の範囲37に記載の樹脂組成物により形成された被膜を含む電線。

【国際公開番号】WO2004/033538
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【発行日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542838(P2004−542838)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012863
【国際出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【出願人】(592248455)fA.M株式会社 (3)
【Fターム(参考)】