説明

樹脂組成物及び樹脂成形体

【課題】 ガラス転移温度の異なる複数の樹脂を含有する場合であっても、模様の発生が抑制された樹脂成形体を得ることを可能とする樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明の樹脂組成物は、脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステルのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する第2の高分子化合物と、シリコーンオイルとを含むことを特徴とする。シリコーンオイルは、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル及びフェノール変性シリコーンオイルからなる群より選択される一種以上のシリコーンオイルであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及び樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、電気・電子機器用、家電製品用の樹脂成形体の樹脂材料として環境負荷の小さい生分解性樹脂を配合することが検討されている。なかでも、石油を一切使用せずに穀物などから製造できるポリ乳酸が注目されている。しかし、ポリ乳酸は、一般的に石油系の汎用プラスチックに比べて機械的強度が低く、耐熱性も劣る。
【0003】
そこで、樹脂組成物にガラス転移温度の異なる複数の樹脂を含有させることで、物性を改良する技術が開発されている。例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂などの石油系ポリマー及び衝撃改良剤とともにポリ乳酸を配合して耐衝撃強度及び耐熱性を確保しようとする試みがなされている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−48067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガラス転移温度の異なる複数の樹脂を含有する樹脂組成物の場合、成形温度により複数の樹脂の流動性がそれぞれ異なるため、成形された樹脂成形体の外観にマーブル模様などの模様が生じる。
【0006】
本発明は、模様の発生が十分に抑制された樹脂成形体を得ることを可能とする樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステルのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する第2の高分子化合物と、シリコーンオイルとを含むことを特徴とする樹脂組成物にある。
【0008】
請求項2に記載の発明は、シリコーンオイルが、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル及びフェノール変性シリコーンオイルからなる群より選択される一種以上のシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物にある。
【0009】
請求項3に記載の発明は、シリコーンオイルの含有量が、樹脂組成物全量を基準として0.1質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物にある。
【0010】
請求項4に記載の発明は、脂肪族ポリエステルの含有量が、樹脂組成物全量を基準として30質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物にある。
【0011】
請求項5に記載の発明は、脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物にある。
【0012】
請求項6に記載の発明は、第2の高分子化合物がポリカーボネートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物にある。
【0013】
請求項7に記載の発明は、脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステルのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する第2の高分子化合物と、シリコーンオイルとを含むことを特徴とする樹脂成形体にある。
【0014】
請求項8に記載の発明は、樹脂成形体の表面部における脂肪族ポリエステルの質量Asに対する第2の高分子化合物の質量Bsの比率Bs/Asが、樹脂成形体の中心部における脂肪族ポリエステルの質量Acに対する第2の高分子化合物の質量Bcの比率Bc/Acの2倍以下であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂成形体にある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明は、ガラス転移温度の異なる複数の樹脂を含有する場合であっても、本構成を有しない樹脂組成物と比較して、模様の発生が抑制された樹脂成形体を得ることが可能になるという効果を有する。
【0016】
請求項2に記載の発明は、本構成を有しない樹脂組成物と比較して、模様の発生が抑制された樹脂成形体を得ることが可能になるという請求項1に記載の発明を有効に実現することができ、また、耐熱性を一層向上させることができるという効果を有する。
【0017】
請求項3に記載の発明は、本構成を有しない樹脂組成物と比較して、模様の発生が抑制された樹脂成形体を得ることが可能になるという請求項1に記載の発明を有効に実現することができるという効果を有する。
【0018】
請求項4に記載の発明は、本構成を有しない樹脂組成物と比較して、模様の発生が抑制された樹脂成形体を得ることが可能になるという請求項1に記載の発明を有効に実現することができるという効果を有する。
【0019】
請求項5に記載の発明は、本構成を有しない樹脂組成物と比較して、模様の発生が抑制された樹脂成形体を得ることが可能になるという請求項1に記載の発明を有効に実現することができるという効果を有する。
【0020】
請求項6に記載の発明は、本構成を有しない樹脂組成物と比較して、模様の発生が十分に抑制された樹脂成形体を得ることが可能になるという請求項1に記載の発明を有効に実現することができるという効果を有する。
【0021】
請求項7に記載の発明は、ガラス転移温度の異なる複数の樹脂を含有する場合であっても、本構成を有しない樹脂成形体と比較して、模様の発生が十分に抑制されるという効果を有する。
【0022】
請求項8に記載の発明は、本構成を有しない樹脂成形体と比較して、表面に汚れが蓄積しにくいという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0024】
<樹脂組成物>
本実施形態の樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル(A)と、該脂肪族ポリエステルのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する第2の高分子化合物(B)(以下、単に「第2の高分子化合物(B)」と表記する場合もある)と、シリコーンオイルとを含むことを特徴とする。
【0025】
なお、本明細書において、脂肪族ポリエステル(A)及び第2の高分子化合物(B)のガラス転移点とは、以下のようにして測定されるガラス転移点を意味する。即ち、示差熱量測定装置((株)島津製作所製、示唆差走査熱量計 DSC−60)にて毎分10℃の昇温速度条件で熱量スペクトルを測定し、ガラス転移に由来するピークから接線法により求めた2つのショルダー値の中間値(Tgm)をガラス転移点とした。
【0026】
脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステルのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する第2の高分子化合物とを含有する従来の樹脂組成物を成形した場合、相対的に流動性の高い脂肪族ポリエステルが海に、第2の高分子化合物が島(以下、「非相溶ドメイン」という場合がある。)になる海島構造を形成するが、この非相溶ドメインの大きさが成形体内でばらつき、大きいものから小さなものまで大きさの分布を持ちやすいために、成形体の外観にマーブル模様などの不均一模様が生じると本発明者らは考えている。また、従来の樹脂組成物は、この分布のため、成形時に金型からの転写率が低くなり、成形体の表面に汚れが蓄積しやすくなるものと本発明者らは考えている。
【0027】
これに対して、本実施形態の樹脂組成物の場合、シリコーンオイルが配合されることにより、脂肪族ポリエステル(A)及び第2の高分子化合物(B)の界面にシリコーンオイルが存在することで脂肪族ポリエステル(A)と第2の高分子化合物(B)とが規則的に結合することが可能となり、成形体内での非相溶ドメインの大きさの分布が抑えられ、模様の発生が抑えられるものと本発明者らは推察する。なお、シリコーンオイルを離型性向上剤として使用する例はあるが、シリコーンオイルによって非相溶ドメインの大きさの分布を制御するという例はない。このような事情を鑑みると、シリコーンオイルを脂肪族ポリエステル(A)及び第2の高分子化合物(B)の組み合わせに配合することによって得られる上記の作用は予期せぬところであるといえる。
【0028】
また、脂肪族ポリエステル(A)及び第2の高分子化合物(B)を組み合わせることによって脂肪族ポリエステルを含む成形体のガラス転移温度を高くする技術は従来より知られているが、耐衝撃強度などの物性については両者の分散性などに影響を受けやすく、組み合わせの制御だけで十分な耐衝撃強度を確保するのは必ずしも容易ではない。これに対して、本実施形態の樹脂組成物の場合、シリコーンオイルが更に配合されることにより、脂肪族ポリエステル(A)及び第2の高分子化合物(B)の界面にシリコーンオイルが存在することで、成形体内での非相溶ドメインの大きさの分布状態の制御が可能になり、耐衝撃強度も十分向上する。
【0029】
更に、本実施形態の樹脂組成物によれば、成形体は十分な難燃性をも付与される。この理由としては、脂肪族ポリエステル(A)及び第2の高分子化合物(B)の界面にシリコーンオイルが存在することで、シリコーンオイルによる炭化層が成形体内で偏在することなく形成されることとなり、難燃性が発現するためであると考えられる。
【0030】
脂肪族ポリエステル(A)としては、特に制限されないが、生分解性を有するものが好ましく、植物由来の脂肪族ポリエステルがより好ましい。具体的には、ポリ乳酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)などのポリヒドロキシ酪酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンサクシネート、ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンサクシネートアジペート、ポリヘキシレンサクシネート、ポリヘキシレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルの中でも、シリコーンオイルとの親和性の観点から、単位体積あたりの官能基数が多いポリ乳酸が好ましい。これらの脂肪族ポリエステルは1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの脂肪族ポリエステルの2種以上の共重合体を用いてもよい。
【0031】
脂肪族ポリエステル(A)の重量平均分子量は、好ましくは5000以上200000以下、より好ましくは30000以上120000以下である。脂肪族ポリエステルの重量平均分子量が上記下限値未満であると、機械強度が低下する傾向にあり、また、上記上限値を越えると、流動性が低下して成形性が悪くなる傾向にある。
【0032】
なお、樹脂組成物中における脂肪族ポリエステル(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフにて、脂肪族ポリエステルについて測定した重量平均分子量を意味する。ゲルパーミッションクロマトグラフとしては、東ソー社製HLC−8320GPCを用いることができる。また、樹脂組成物中の脂肪族ポリエステル(A)について重量平均分子量を求める場合には、測定用試料を重水素化クロロホルムに0.1質量%の濃度で溶解させ、ゲルパーミッションクロマトグラフにて、溶液から分離された脂肪族ポリエステル(A)について重量平均分子量を測定することができる。
【0033】
脂肪族ポリエステルの含有量は、樹脂組成物全量を基準として、好ましくは30質量%以上90質量%以下、より好ましくは50質量%以上90質量%以下である。脂肪族ポリエステルの含有量が前記下限値未満であると、環境負荷が大きくなる傾向にあり、また、前記上限値を超えると、耐熱性、耐衝撃強度が低下する傾向にある。
【0034】
第2の高分子化合物(B)としては、脂肪族ポリエステルのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する高分子化合物であれば特に制限されないが、ポリカーボネート系高分子化合物、芳香族ポリエステル系高分子化合物、ポリアリレート系高分子化合物、アクリル系高分子化合物、ポリスチレン系高分子化合物、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)系高分子化合物、ポリアミド系高分子化合物、ポリウレタン系高分子化合物などが挙げられる。
【0035】
ポリカーボネート系高分子化合物としては、例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネート、ビスフェノールS型ポリカーボネート、ビフェニル型ポリカーボネート及びそれらの共重合体が挙げられる。芳香族ポリエステル系高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びそれらの共重合体が挙げられる。ポリアリレート系高分子化合物としては、例えば、ビスフェノールA/テレフタル酸型ポリアリレート、ビスフェノールS/テレフタル酸型ポリアリレート、ビフェニル/テレフタル酸型ポリアリレート、ビスフェノールA/ナフタレンジカルボン酸型ポリアリレート及びそれらの共重合体などが挙げられる。アクリル系高分子化合物としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート及びそれらの共重合体などが挙げられる。ABS系高分子化合物としては、例えば、アクリロニトリル(A),ブタジエン(B),スチレン(S)の各成分比が様々なABS樹脂が挙げられる。ポリアミド系高分子化合物としては、6−ナイロン、6,6−ナイロン及びそれらの共重合体などが挙げられる。
【0036】
ポリスチレン系高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂などが挙げられる。また、ポリウレタン系高分子化合物としては、例えば、トリイソシアネートポリウレタン、テトライソシアネートポリウレタンなどが挙げられる。
【0037】
これらの高分子化合物の中でも、脂肪族ポリエステル(A)及びシリコーンオイルとの親和性の観点から、ポリカーボネート系高分子化合物が好ましい。高分子化合物(B)は1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
高分子化合物(B)の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは5000以上100000以下、より好ましくは10000以上50000以下である。高分子化合物(B)の重量平均分子量が上記下限値未満であると、機械的強度が低下する傾向にあり、また、上記上限値を越えると、流動性が悪くなり、成形性が低下する傾向にある。
【0039】
なお、樹脂組成物中における高分子化合物(B)の重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフにて、高分子化合物(B)について測定した重量平均分子量を意味する。ゲルパーミッションクロマトグラフとしては、東ソー社製HLC−8320GPCを用いることができる。また、樹脂組成物中の高分子化合物(B)について重量平均分子量を求める場合には、測定用試料を重水素化クロロホルムに0.1質量%の濃度で溶解させ、ゲルパーミッションクロマトグラフにて、溶液から分離された高分子化合物(B)について重量平均分子量を測定することができる。
【0040】
高分子化合物(B)の含有量は、樹脂組成物全量を基準として、好ましくは10質量%以上60質量%以下、より好ましくは30質量%以上50質量%以下である。高分子化合物の含有量が前記下限値未満であると耐熱性が低下する傾向にあり、また、前記上限値を超えると、金型転写性が低下する傾向、マーブル模様などの外観の模様が発生しやすくなる傾向にある。
【0041】
本実施形態の樹脂組成物における脂肪族ポリエステル(A)と高分子化合物(B)との含有割合(A)/(B)は、質量比で20/80〜80/20の範囲であることが好ましい。脂肪族ポリエステル及び高分子化合物の含有割合を上記範囲内とすることにより、樹脂成形体の植物度を十分高めることができるとともに、耐衝撃強度及び耐熱性が十分高く、不均一模様の発生が十分に抑制された樹脂成形体を高い金型転写率でより確実に得ることができる。
【0042】
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルストレートオイル、メチルフェニルストレートオイル、ジフェニルストレートオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル及びフェノール変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらのうち、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル及びフェノール変性シリコーンオイルなどの変性オイル類が、脂肪族ポリエステル(A)及び高分子化合物(B)との反応性が高く、樹脂成形体における模様の抑制効果及び耐熱性を一層向上できることから好ましい。
【0043】
シリコーンオイルの含有量は、樹脂組成物全量を基準として、好ましくは0.5質量%以上5質量%以下、より好ましくは1質量%以上3質量%以下である。シリコーンオイルの含有量が0.5質量%未満であると、金型転写率や樹脂成形体の難燃性が低下する傾向や、マーブル模様などの外観の模様が発生しやすくなる傾向にある。シリコーンオイルの含有量が5質量%を超えると、樹脂成形体の耐熱性や耐衝撃強度が低下する傾向にある。
【0044】
また、脂肪族ポリエステルの流動性を低下させないという観点から、シリコーンオイルの含有量は、脂肪族ポリエステル(A)100質量部に対して、5質量部以上10質量部以下が好ましい。
【0045】
本実施形態の樹脂組成物は、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤及び無機系難燃剤のうちの1種以上の難燃剤を更に含むことができる。この場合、難燃性に優れているだけでなく、機械的強度が向上した樹脂成形体を得ることが可能となる。リン系難燃剤としては、例えば、縮合リン酸エステル、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アルミニウム、ポリリン酸アンモニウム、赤リン、及び、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛などのホスフィン酸金属塩などが挙げられる。シリコーン系難燃剤としては、例えば、シリコーンパウダー、ポリメチルシロキサン、ポリフェニルシロキサンなどが挙げられる。無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0046】
上記難燃剤の含有量は、樹脂組成物全量を基準として、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。難燃剤の含有量が0.5質量%未満であると、難燃性が低下する傾向にある。一方、難燃剤の含有量が30質量%を超えると、機械的強度と耐熱性が低下する傾向にある。
【0047】
また、本実施形態において、上記難燃剤は縮合リン酸エステルであることが好ましい。縮合リン酸エステルを配合することにより、成形性を向上させることができる。縮合リン酸エステルは、大八化学社製PX−200、PX−201、PX−202、CR−733S、CR−741、CR747などの市販品を用いてもよい。
【0048】
また、本実施形態の樹脂組成物は、加水分解防止剤を更に含むことができる。この場合、耐加水分解性に優れた樹脂成形体が得られるだけでなく、得られる樹脂成形体の耐衝撃強度を向上させることができる。加水分解防止剤としては、例えば、カルボジイミド化合物、オキサゾリンなどが挙げられる。これらのなかでも、反応性が高く、分子鎖が比較的短いカルボジイミド化合物が好ましい。この場合、良好な流動性、成形性を得ることが可能となる。また、カルボジイミド化合物は、1官能のものであっても多官能のものであってもいい。本実施形態においては、2〜4官能のものが、耐熱性、耐衝撃強度、難燃性、及び金型転写性の点で好ましい。
【0049】
加水分解防止剤の含有量は、樹脂組成物全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上4質量%以下、より好ましくは0.25質量%以上1.2質量%以下である。加水分解防止剤の含有量が0.1質量%未満であると、耐加水分解性の向上効果が得られにくくなる。一方、加水分解防止剤の含有量が4質量%を超えると、流動性が低下し、成形性が悪化する傾向にある。
【0050】
また、本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、上記難燃剤及び上記加水分解防止剤以外の添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、離型剤、耐候剤、耐光剤などが挙げられる。
【0051】
本実施形態の樹脂組成物は、例えば、上記脂肪族ポリエステル(A)、高分子化合物(B)、シリコーンオイル、必要に応じて、上記難燃剤、上記加水分解防止剤、及びその他添加剤をそれぞれ所定量準備し、これらを2軸混練装置などの混錬機を用いて混錬することにより、樹脂コンパウンドとして得ることができる。
【0052】
具体的には、混練温度180℃以上260℃以下の条件で混錬することが好ましい。
【0053】
以上説明した本実施形態の樹脂組成物によれば、環境負荷が十分小さく、耐衝撃強度及び耐熱性が十分高く、不均一模様の発生が十分に抑制された樹脂成形体を従来よりも高い金型転写率で得ることが可能になる。よって、本実施形態の樹脂組成物は、例えば、事務機器の筐体、及び各種部品、並びに、家電製品や電子・電気機器の筐体、各種部品などを構成する樹脂成形体を製造する場合に好適である。また、本実施形態の樹脂組成物は、高い植物度を有する場合(例えば、ポリ乳酸が樹脂組成物全量を基準として25質量%以上80質量%以下含有される場合)であっても、上記の効果を奏することができる。
【0054】
<樹脂成形体>
本実施形態の樹脂成形体は、脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステルのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する第2の高分子化合物と、シリコーンオイルと、を含むことを特徴とする。また、本実施形態の樹脂成形体は、上述した本実施形態の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。具体的には、例えば、上記脂肪族ポリエステル(A)、高分子化合物(B)、シリコーンオイル、必要に応じて、上記難燃剤、上記加水分解防止剤及びその他添加剤をそれぞれ所定量準備し、これらを2軸混練装置などの混錬機を用いて混錬することにより樹脂コンパウンドを得る。混錬は、混練温度180℃以上260℃以下の条件が好ましい。
【0055】
次に、この樹脂コンパウンドを、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形などの成形方法により成形して、本実施形態に係る樹脂成形体を得ることができる。本実施形態においては、生産性が高く、金型の転写率が高い理由から、射出成形が好ましい。
【0056】
成形条件は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、例えば、射出成形の場合、射出温度は180℃以上280℃以下、金型温度は20℃以上70℃以下が好ましい。
【0057】
また、本実施形態の樹脂成形体は、樹脂成形体の表面部における脂肪族ポリエステルの質量Asに対する第2の高分子化合物の質量Bsの比率Bs/Asが、樹脂成形体の中心部における脂肪族ポリエステルの質量Acに対する第2の高分子化合物の質量Bcの比率Bc/Acの2倍以下であるものとすることができる。この値は、樹脂成形体の表面部と中心部とで、第2の高分子化合物の島(非相溶ドメイン)の大きさの分布が小さいことを代替的に表現するものである。
【0058】
樹脂成形体の表面部とは、樹脂成形体の表面から樹脂成形体の厚みの10%の深さまでの範囲を意味する。また、樹脂成形体の中心部とは、樹脂成形体の厚みの中間点から厚み方向に樹脂成形体の厚みの±5%の距離までの範囲を意味する。ここで、図面を参照しつつ、樹脂成形体の表面部及び中心部について更に説明する。図3は、本発明の一実施形態の樹脂成形体の断面図である。図3に示す樹脂成形体20は、本実施形態の樹脂組成物を用いて平板状に形成されたものである。図3中、T1は板の厚み(mm)を示し、Cは板の厚みの中間点を結んだ中間線を示す。そして、図3には、一組の樹脂成形体の表面部22及び樹脂成形体の中心部24が示されている。樹脂成形体の表面部22は樹脂成形体の表面からD1(mm)の深さまでの範囲にあり、D1(mm)はT1(mm)の10%である。また、樹脂成形体の中心部24は中間線Cから板の厚み方向にそれぞれD2/2(mm)の範囲にあり、D2(mm)はT1(mm)の10%である。
【0059】
樹脂成形体20の比率Bs/As及び比率Bc/Acは、例えば、下記の方法に従って求めることができる。
【0060】
<比率Bs/As>
樹脂成形体20から、その表面から深さD1(mm)までをミクロトームにて削り取る。削り取る面積は、10mmとすることができる。次に、削り取った樹脂(単位樹脂)から、ゲルパーミッションクロマトグラフ(東ソー社製、HLC−8320GPC)を用い、脂肪族ポリエステル(A)及び高分子化合物(B)をそれぞれ分取する。単位樹脂当たりの脂肪族ポリエステル(A)の重量As及び単位樹脂当たりの高分子化合物(B)の重量Bsをそれぞれ測定し、これらの値から比率Bs/Asを算出することができる。
【0061】
<比率Bc/Ac>
樹脂成形体20を破壊し、樹脂成形体の厚みの中間点からD2/2(mm)の範囲をミクロトームにて削り取る。削り取る面積は、10mmとすることができる。次に、削り取った樹脂(単位樹脂)から、ゲルパーミッションクロマトグラフ(東ソー社製、HLC−8320GPC)を用い、脂肪族ポリエステル(A)及び高分子化合物(B)をそれぞれ分取する。単位樹脂当たりの脂肪族ポリエステル(A)の重量Ac及び単位樹脂当たりの高分子化合物(B)の重量Bcをそれぞれ測定し、これらの値から比率Bc/Acを算出することができる。
【0062】
本実施形態の樹脂成形体は、電子・電気機器、家電製品、事務機器、容器、自動車内装材などの用途に好適に用いることができる。より具体的には、家電製品や電子・電気機器などの筐体、各種部品など、ラッピングフィルム、CD−ROMやDVDなどの収納ケース、食器類、食品トレイ、飲料ボトル、薬品ラップ材などであり、中でも、電子・電気機器の部品に好適である。電子・電気機器の部品は、複雑な形状を有しているものが多く、また重量物であるので極めて高い耐衝撃強度及び面衝撃強度が要求されるが、本実施形態の樹脂成形体によれば、このような要求特性を十分満足する。
【0063】
<事務機器部品>
本実施形態の事務機器部品は、その全部が上記本実施形態の樹脂成形体で構成されていてもよく、その一部が上記本実施形態の樹脂成形体で構成されていてもよい。
【0064】
図1は、樹脂成形体の一実施形態に係る事務機器部品としての樹脂成形体を備える画像形成装置を、前側から見た外観斜視図である。図1の画像形成装置100は、本体装置110の前面にフロントカバー120a,120bを備えている。これらのフロントカバー120a,120bは、操作者が装置内を操作できるよう開閉可能となっている。これにより、操作者は、トナーが消耗したときにトナーを補充したり、消耗したプロセスカートリッジを交換したり、装置内で紙詰まりが発生したときに詰まった用紙を取り除いたりすることができる。図1には、フロントカバー120a,120bが開かれた状態の装置が示されている。
【0065】
本体装置110の上面には、用紙サイズや部数等の画像形成に関わる諸条件が操作者からの操作によって入力される操作パネル130、及び、読み取られる原稿が配置されるコピーガラス132が設けられている。また、本体装置110は、その上部に、コピーガラス132上に原稿を自動的に搬送することができる自動原稿搬送装置134を備えている。更に、本体装置110は、コピーガラス132上に配置された原稿画像を走査して、その原稿画像を表わす画像データを得る画像読取装置を備えている。この画像読取装置によって得られた画像データは、制御部を介して画像形成ユニットに送られる。なお、画像読取装置及び制御部は、本体装置110の一部を構成する筐体150の内部に収容されている。また、画像形成ユニットは、着脱可能なプロセスカートリッジ142として筐体150に備えられている。プロセスカートリッジ142の着脱は、操作レバー144を回すことによって可能となる。
【0066】
本体装置110の筐体150には、トナー収容部146が取り付けられており、トナー供給口148からトナーを補充することができる。トナー収容部146に収容されたトナーは現像装置に供給されるようになっている。
【0067】
一方、本体装置110の下部には、用紙収納カセット140a,140b,140cが備えられている。また、本体装置110には、一対のローラで構成される搬送ローラが装置内に複数個配列されることによって、用紙収納カセットの用紙が上部にある画像形成ユニットまで搬送される搬送経路が形成されている。なお、各用紙収納カセットの用紙は、搬送経路の端部近傍に配置された用紙取出し機構によって1枚ずつ取り出されて、搬送経路へと送り出される。また、本体装置110の側面には、手差しの用紙トレイ136が備えられており、ここからも用紙を供給することができる。
【0068】
画像形成ユニットによって画像が形成された用紙は、本体装置110の一部を構成する筐体152によって支持された相互に当接する2個の定着ロールの間に順次移送された後、本体装置110の外部に排紙される。本体装置110には、用紙トレイ136が設けられている側と反対側に排出トレイ138が複数備えられており、これらのトレイに画像形成後の用紙が排出される。
【0069】
画像形成装置100において、フロントカバー120a,120bは、開閉時の応力及び衝撃、画像形成時の振動、画像形成装置内で発生する熱などの負荷を多く受ける。また、プロセスカートリッジ142は、着脱の衝撃、画像形成時の振動、画像形成装置内で発生する熱などの負荷を多く受ける。また、筐体150及び筐体152は、画像形成時の振動、画像形成装置内で発生する熱などの負荷を多く受ける。更に、これらは、使用者が視認可能であるとともに、トナーやほこりなどが付着しやすい。そのため、本実施形態の樹脂成形体は、画像形成装置100のフロントカバー120a,120b、プロセスカートリッジ142の外装、筐体150、及び筐体152として用いられるのが好適である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本実施形態を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0071】
(実施例1〜15及び比較例1〜5)
表1及び2に示す材料を、表1及び2に示す質量比で、2軸混練装置(東芝機械製、製品名「TEM58SS」)を用いて混錬し、実施例1〜15及び比較例1〜5の樹脂コンパウンドをそれぞれ得た。なお、混錬は、シリンダ温度220℃で行った。
【0072】
表1及び2に示される各材料は、以下のものを使用した。
ポリ乳酸:「テラマックTE−4000」(ユニチカ社製、商品名、重量平均分子量60000、ガラス転移温度58℃)。
ポリカーボネート:「カリバーS−200」(住友化学社製、商品名、重量平均分子量22000、ガラス転移温度140℃)。
シリコーンオイル:「KF−968」(信越シリコーン社製、商品名)。
シリコーンオイル:「KF−877」(信越シリコーン社製、商品名、アミノ変性シリコーン)。
シリコーンオイル:「X−22−2000」(信越シリコーン社製、商品名、エポキシ変性シリコーン)。
シリコーンオイル:「X−22−3701E」(信越シリコーン社製、商品名、カルボキシル変性シリコーン)。
難燃剤:「PX−200」(大八化学社製、商品名、縮合リン酸エステル)。
難燃剤:「AP422」(クラリアント社製、商品名、ポリリン酸アルミニウム)。
難燃剤:「MPP−B」(三和ケミカルズ社製、商品名、ポリリン酸メラミン)。
カルボジイミド:「カルボジライトLA−1」(日清紡社製、商品名)。
タルク:「MS−P」(日本タルク社製、商品名)。
離型剤:「VPG861」(三木化学社製、商品名、ステアリン系離型剤)。
【0073】
<樹脂成形体の作製及びその評価>
上記で得られた樹脂コンパウンドをそれぞれ、射出成形機(日精樹脂工業社製、製品名「NEX150」)を用いてシリンダ温度220℃、金型温度50℃で射出成形し、ISO多目的ダンベル試験片(ISO527引張試験、ISO178曲げ試験に対応した試験片)(試験部厚さ4mm、幅10mm)、及びUL−94におけるVテスト用UL試験片(厚さ0.8mm)を作製した。これらの試験片を用い、下記の方法に従ってシャルピー耐衝撃強度及び熱変形温度の測定と、難燃性試験を実施した。結果を表3に示す。
【0074】
[シャルピー耐衝撃強度]
ISO多目的ダンベル試験片をノッチ加工したものを用い、ISO−179に規定の方法に従って耐衝撃試験装置(東洋精機社製、DG−C)によりシャルピー耐衝撃強度(kJ/m)を測定した。
【0075】
[熱変形温度]
ISO多目的ダンベル試験片をクランプ部切断加工したものを用い、ISO−75に規定の方法に準拠して、0.45MPaおよび1.80MPa荷重時の熱変形温度をそれぞれ測定した。
【0076】
[難燃性試験]
Vテスト用UL試験片を用い、UL−94に規定の方法に準拠して、UL−Vテストを実施した。なお、表中では、難燃グレードを難燃性の高い順にV−0、V−1、V−2として示した。また、表中、「Not−V」は、UL−VテストにおいてVレベル未達であったことを意味する。
【0077】
【表1】



【0078】
【表2】



【0079】
【表3】



【0080】
(実施例16〜29及び比較例6〜10)
実施例1〜15及び比較例1〜5の樹脂コンパウンド(樹脂組成物)を用い、射出成形機(日精樹脂工業社製、製品名「NEX−7000」)により、樹脂温度240℃、金型温度50℃の条件で、図2に示すテストピース(画像形成装置の内装カバー)をそれぞれ成形した。図2(a)は成形したテストピース10を示す斜視図であり、(b)及び(c)はそれぞれ図2(a)における矢印b及び矢印cから見た図を示す。
【0081】
[外観不均一模様の評価]
テストピースの表面を目視にて確認し、下記基準にしたがって外観不均一模様を評価した。
A:外観不均一模様が見られない。
B:成形体表面の全面積のうち5%以内にマーブル模様などの外観不均一模様が見られる。
C:成形体表面の全面積のうち5%を超え10%以内にマーブル模様などの外観不均一模様が見られる。
D:成形体表面の全面積のうち30%以上にマーブル模様などの外観不均一模様が見られる。
【0082】
[金型転写率]
金型の表面粗さRa1及び成形体表面の表面粗さRa2を、レーザー式表面粗さ計を用いて測定し、下記式により金型転写率を算出した。
金型転写率(%)=(Ra2/Ra1)×100
【0083】
[トナー付着]
テストピース(内装カバー)を画像形成装置に装着し、1万枚のプリント試験を実施した。プリント試験は、DocuCenter400用マゼンタトナー(富士ゼロックス社製)で行った。プリント試験後のテストピース(内装カバー)とプリント試験を行っていないテストピースとを目視にて比較し、トナーの付着の有無を判定した。なお、布で10回拭き取りを行ってもなおトナー付着している場合をトナー付着有とした。
【0084】
[成形体における脂肪族ポリエステル(A)に対する第2の高分子化合物(B)の質量比]
【0085】
<表面部質量比(Bs/As)>
テストピースの厚み2.4mmの部分から、その表面から深さ0.24mmまでをミクロトームにて削り取った。削り取った面積は、10mmとした。次に、削り取った樹脂(単位樹脂)から、ゲルパーミッションクロマトグラフ(東ソー社製、HLC−8320GPC)を用い、脂肪族ポリエステル(A)(ポリ乳酸)に相当する重量平均分子量60000付近部及び高分子化合物(B)(ポリカーボネート)に相当する重量平均分子量22000付近部をそれぞれ分取した。単位樹脂当たりの脂肪族ポリエステル(A)の重量As及び単位樹脂当たりの高分子化合物(B)の重量Bsをそれぞれ測定し、これらの値から表面部質量比Bs/Asを算出した。
【0086】
<中心部質量比(Bc/Ac)>
テストピースの厚み2.4mmの部分を破壊し、テストピースの厚みの中間点から±0.12mmの範囲をミクロトームにて削り取った。削り取る面積は、10mmとした。次に、削り取った樹脂(単位樹脂)から、ゲルパーミッションクロマトグラフ(東ソー社製、HLC−8320GPC)を用い、脂肪族ポリエステル(A)(ポリ乳酸)に相当する重量平均分子量60000付近部及び高分子化合物(B)(ポリカーボネート)に相当する重量平均分子量22000付近部をそれぞれ分取した。単位樹脂当たりの脂肪族ポリエステル(A)の重量Ac及び単位樹脂当たりの高分子化合物(B)の重量Bcをそれぞれ測定し、これらの値から中心部質量比Bc/Acを算出した。
【0087】
【表4】



【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】樹脂成形体の一実施形態に係る電子・電気部品を備える画像形成装置の外観斜視図である。
【図2】テストピース(内装カバー)の形状を示す図である。
【図3】樹脂成形体の表面部及び中心部について説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
10…テストピース、100…画像形成装置、110…本体装置、120a,b…フロントカバー、136…用紙トレイ、138…排出トレイ、142…プロセスカートリッジ、150,152…筐体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステルのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する第2の高分子化合物と、シリコーンオイルと、を含む、樹脂組成物。
【請求項2】
前記シリコーンオイルが、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル及びフェノール変性シリコーンオイルからなる群より選択される一種以上のシリコーンオイルである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記シリコーンオイルの含有量が、樹脂組成物全量を基準として0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記脂肪族ポリエステルの含有量が、樹脂組成物全量を基準として30質量%以上90質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記第2の高分子化合物がポリカーボネートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステルのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する第2の高分子化合物と、シリコーンオイルと、を含む、樹脂成形体。
【請求項8】
前記樹脂成形体の表面部における前記脂肪族ポリエステルの質量Asに対する前記第2の高分子化合物の質量Bsの比率Bs/Asが、前記樹脂成形体の中心部における前記脂肪族ポリエステルの質量Acに対する前記第2の高分子化合物の質量Bcの比率Bc/Acの2倍以下である、請求項7に記載の樹脂成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−235193(P2009−235193A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81437(P2008−81437)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】