樹脂被覆ローラの製造装置及び製造方法
【課題】 薄肉の樹脂被覆ローラの表面を、結晶化度を低くし、高耐久の加熱定着ローラを簡便な方法で製造できる加熱定着ローラの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】 円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備え、樹脂被覆ローラの前記樹脂離型層を平滑化する樹脂被覆ローラAの製造装置において、前記樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑手段55と、この押圧平滑手段55をローラ軸方向に並進移動させる並進移動手段56と、前記樹脂被覆ローラAを加熱する加熱手段57と、前記樹脂被覆ローラAを急冷する急冷手段58と、加工後のローラをストックするストック手段59と、制御手段61とを含む。
【解決手段】 円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備え、樹脂被覆ローラの前記樹脂離型層を平滑化する樹脂被覆ローラAの製造装置において、前記樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑手段55と、この押圧平滑手段55をローラ軸方向に並進移動させる並進移動手段56と、前記樹脂被覆ローラAを加熱する加熱手段57と、前記樹脂被覆ローラAを急冷する急冷手段58と、加工後のローラをストックするストック手段59と、制御手段61とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が熱可塑性樹脂で被覆された円筒形状物の表面の平滑化に応用可能である樹脂被膜ローラの表面の平滑化技術に関するもので、とくに、加熱定着ローラ表面のフッ素樹脂膜の製造装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、電子写真を用いた画像形成装置の定着部に用いられる定着ローラとして、熱可塑性樹脂を芯金に被覆した構成を備えているものが知られている(例えば、特許文献1乃至6参照)。
特許文献1乃至6には、弾性回転体の製造方法が開示されているが、それらは冷却方法を水に浸没させる方法のみに限定している。また、本出願人の先行する技術としては薄肉芯金を表面平滑化するバニッシュ工法がある。
上述した熱可塑性樹脂の材質としては、トナーに対する離型性、及びトナー定着温度(通常180〜200度)での連続耐久性などが要求されるため、PFA樹脂を主成分とする離型性樹脂(例えば、テフロン(登録商標)等)が用いられることが多い。
トナーに対する離型性を得るために、前記樹脂面は、粗さRz 1〜3μm、うねり2〜4μm程度の平滑性が要求される。この平滑性に加え、前記樹脂面をその溶融温度以上に熱した後で急速冷却することで、樹脂皮膜の結晶化度が低くなり、樹脂被膜の強度が上がる結果、耐久性が向上することが知られている。
【特許文献1】特公平06−051373号公報
【特許文献2】特許第2646263号
【特許文献3】特公平06−082257号公報
【特許文献4】特公平07−019101号公報
【特許文献5】特公平07−019102号公報
【特許文献6】特公平07−019103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、全表面に対して均一に行われない場合、結晶化度が不均一な箇所を起点としてトナーの固着や、オフセットの発生を誘因してしまうという問題がある。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、薄肉の樹脂被覆ローラの表面を、結晶化度を低くし、高耐久の加熱定着ローラを簡便な方法で製造できる加熱定着ローラの製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備えた樹脂被覆ローラの該樹脂離型層を平滑化する樹脂被覆ローラの製造装置において、前記樹脂被覆ローラの両端部を支持するチャック手段と、該チャック手段によって保持された前記樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑手段と、この押圧平滑手段を前記樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させる並進移動手段と、前記樹脂被覆ローラを加熱する加熱手段と、前記樹脂被覆ローラを急冷する急冷手段と、加工後の樹脂被覆ローラをストックするストック手段と、制御手段と、を含むことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記押圧平滑手段を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記押圧平滑手段を中空回転軸の外周に取り付けるとともに、前記押圧平滑手段を加熱する加熱手段を前記中空回転軸中に設けることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記押圧平滑手段、及びこの押圧平滑手段をローラ軸方向に並進移動させる並進移動手段を複数備えることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記押圧平滑手段が円筒形状の部材であり、その胴部外周面に湾曲面を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、複数の前記押圧平滑手段を一つの前記中空回転軸の外周に隣接して配置したことを特徴とする。
請求項7の発明は、前記樹脂被覆ローラの表面温度を測定する温度計を、前記押圧平滑手段と樹脂被覆ローラ芯金の当接箇所に相当する前記樹脂被覆ローラの温度が測定できる場所に設けるとともに、当接温度を一定温度に制御する制御手段を備えることを特徴とする。
請求項8の発明は、前記加熱手段を前記樹脂被覆ローラの内部に設けたことを特徴とする。
請求項9の発明は、前記加熱手段が前記樹脂被覆ローラの内部に設けた赤外線ハロゲンヒータであることを特徴とする。
請求項10の発明は、前記樹脂被覆ローラ内部の加熱手段を複数備えるとともに、その加熱分布が前記樹脂被覆ローラの軸方向に対して、相互に異なる加熱パターンを有することを特徴とする。
請求項11の発明は、前記複数の加熱手段の加熱パターンを、前記樹脂被覆ローラの軸方向に対して重ならないように軸方向にずらしたことを特徴とする。
【0005】
請求項12の発明は、前記加熱手段は、給電電極と、該加熱手段を前記樹脂被覆ローラの軸方向に可動させる直動案内手段と、を備えるとともに、該給電電極と接離自在な他の給電電極を介して前記加熱手段へ電力を供給する電力供給手段を有することを特徴とする。
請求項13の発明は、前記樹脂被覆ローラの沿面に加熱手段を備えることを特徴とする。
請求項14の発明は、前記急冷手段が、圧縮空気を前記樹脂被覆ローラの表面に噴射することによって、前記加熱定着ローラを急冷することを特徴とする。
請求項15の発明は、前記圧縮空気の噴射手段が、前記樹脂被覆ローラ軸方向の全長にわたって均一な噴射が得られるスリット状のノズルを備えることを特徴とする。
請求項16の発明は、円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備える樹脂被覆ローラの該樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造方法において、加工前の前記樹脂被覆ローラをストックするストック手段から、前記樹脂被覆ローラを回転自在に保持するチャック手段に搬送するステップと、該チャック手段により保持した前記樹脂被覆ローラを回転駆動しつつ該樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に押圧平滑手段を回転自在に連れ回り当接させつつ前記樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させるステップと、前記樹脂被覆ローラを加熱するステップと、前記樹脂被覆ローラを急冷するステップと、加工後の前記樹脂被覆ローラを前記チャック手段から排出してからストック手段に搬送するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、薄肉の樹脂被覆ローラの表面を、結晶化度を低くし、高耐久の加熱定着ローラを連続して製造できる加熱定着ローラの製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の製造装置により製造される加熱定着ローラの構成を実施の形態として部分拡大図とともに示す断面図である。図1において、樹脂被覆ローラである加熱定着ローラAは離型層1、プライマ層2及び芯金3から構成される。
図2は本発明による樹脂被覆ローラの樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置を示す正面図である。図3は図2の製造装置の右側面図である。図4は図2の製造装置の上面図である。
図2乃至図4に示すように、本製造装置は、樹脂被覆ローラ(加熱定着ローラ)Aをストックするストック装置4(図4参照)と、ストックされた加熱定着ローラAを加工位置まで搬送する投入ローダ5(図3参照)と、樹脂被覆ローラを回転自在にチャックする主軸6、及び、従動軸7と、主軸6を回転駆動するモータ27を備えている。主軸と従動軸7はチャック手段を構成している。
【0008】
製造装置は、また、主軸6との間で樹脂被覆ローラAをチャックするために従動軸7を前進・後退させるためのアクチュエータ8と、アクチュエータ8を直線移動させる際のガイドとなる直動ガイド9と、樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑コロ10と、この平滑コロ10をローラ軸方向に並進移動させるアクチュエータ11と、樹脂被覆ローラを芯金3(図1参照)の内部で加熱させるヒータ12を備えている。平滑コロ10を備えたユニット全体(押圧平滑手段55)がアクチュエータ11のテーブルにネジ止め固定されている。
製造装置は、さらに、ヒータ12(従動軸7内に配設)を芯金3の内部に搬送するためのアクチュエータ13及びその直動ガイド14と、樹脂被覆ローラにスリット状の圧縮エアを噴出するノズル15と、加工後の加熱定着ローラを排出するローダ16と、加工後の樹脂被覆ローラをストックするストック装置17と、排出後の樹脂被覆ローラをストック装置17に移載する移載装置18を備えている。
即ち、ストック装置4からローラAを受け取って主軸6と従動軸7との間にチャックさせる構成を備える。そのための投入ローダ5は、エアシリンダによって矢印で示す軸方向へ直線的に進退するクランパ5aを備え、クランパ5aを開放してストック装置4上のローラAをクランプしてから、主軸6と従動軸7の間に移動させてチャックさせてから離脱させる。排出ローダ16もエアシリンダによって直線動作するクランパ16aを備え、主軸6と従動軸7によってチャックされていたローラAの平滑処理が完了した後にクランパ16aによって受け取ってストック装置17へ排出する。
【0009】
図5は押圧平滑手段を加熱する加熱手段の周辺を示す概略上面図である。図6は図5の加熱手段の周辺を示す概略正面図である。図7は図5の加熱手段の周辺を示す右側面図である。
図5乃至図7では、押圧平滑コロ10と、この押圧平滑コロ10を回転自在に支持する中空軸19、ベアリング、ベアリング軸と、中空軸19の中空内部にこの中空軸19内壁と接しないように配置される加熱ヒータ20と、この加熱ヒータ20を保持する保持部材21と、押圧平滑コロ10を保持部材21を介して取り付けたベース22と、ベース22を回転軸22aと90°をなす方向に揺動自在に支持するベアリング23を示している。
また、図5乃至図7では、押圧平滑コロ10を樹脂被覆ローラに並進(図7中の矢印方向へ移動)して当接させるため、直動ガイド24、アクチュエータ25と、押圧平滑コロユニット全体を樹脂被覆ローラの軸方向に自在に移動させるアクチュエータ26と、押圧平滑コロ10の温度を測定する非接触温度計28と、押圧平滑コロ10と樹脂被覆ローラの接触個所の温度を測定する非接触温度計29とから構成される。
符号25aは軸、及び付勢バネを示し、この付勢バネによって平滑コロ10に押圧力を付与する。26は、押圧平滑コロユニット全体をローラAの軸方向へ進退させる一軸のアクチュエータである。アクチュエータ25は、直動案内24上に配置されたコロ10、ベース、コロの温度を測定する非接触温度計28、ワークの温度を測定する非接触温度計29、加圧力センサS1等を前進させる空気圧アクチュエータである。
なお、押圧平滑コロユニットとは、押圧平滑手段55と言い換えることができる。
非接触触温度計28、29と、平滑コロ10及びローラAとの対応関係、位置関係は図7に示す通りである。
図6において、押圧平滑コロ10を内部から加熱する加熱ヒータ20とは別に、コロ10を冷却する冷却ノズルが配置されている。更にコロ10に隣接配置されたスペーサ10aは、放射温度計による測定ターゲットとなる。即ち、金属光沢面は放射温度計によって測定できないので、黒体塗料を塗ったターゲットであるスペーサ10aを狙って温度を測定する。
【0010】
図8は押圧平滑コロの形状を示す概略断面図である。図9は2個並列に配置している押圧平滑コロを示す概略断面図である。押圧平滑コロ10の胴部に曲率が設けられている。
この曲率は、R50〜R300までの任意の値を設定することができ、これによって、押圧平滑コロ10が樹脂被覆ローラに当接したとき発生する、僅かな平行度のずれの影響を受けなくすることができる。
図10(a)は加熱ヒータユニットを示す詳細図であり、(b)はその要部断面図である。図10において、ワークとしてのローラAをその内部から加熱するための加熱ヒータユニットは、加熱ヒータ41(図2に示したヒータ12に相当)と、この加熱ヒータ41の固定部材39とこの固定部材39の剛性を補強するための補強部材40a、40bと、加熱ヒータ41の配線部材38と、加熱ヒータ41に電力を供給するための電極37とを備えている。
この加熱ヒータ41は、図示しない給電電極と接離自在な給電電極を介して加熱手段へ電力を供給する図示しない電力供給手段を備えている。
加熱ヒータユニットは、更に電極37と加熱ヒータ41の固定部材39を一体に結合させるための部材36a、36bと、電極37及び38を正確に位置決めするための案内・位置決め部材35及び32と、電極34の配線部材33と、案内・位置決め部材32を固設するための固設部材31とを備えている。
【0011】
図11は加熱ヒータ41の配光を説明する概略図である。加熱ヒータ41は2本備えるものとし、一方の加熱ヒータ41がこの加熱ヒータの左側にのみ配光を有するものとし、他方の加熱ヒータ41がこの加熱ヒータの右側にのみ配光を有するものとする。各々の配光は、その分布がオーバーラップしないようにしている。
ヒータ41は、取り付け部材41aを介して直動案内部材(レール42、ガイドブロック43a、43b)にネジ止めされている。
加熱ヒータ41は、図10(b)に示すように補強部材40a、40bの内側中に2本配置されている。
図12は加熱ヒータを樹脂被覆(加熱定着)ローラの軸方向に並進可動自在にするための並進移動機構を示す概略断面図である。並進移動部は、直動案内レール42と、ガイドブロック43a、43bと、これらのガイドブロック43a、43bを固設するためのブラケット44及び45と、加熱ヒータ41と直動案内レール42を一体結合させるためのブラケット46、ガイドブロック47とから構成される。
図13(a)は加熱定着ローラの沿面に備える加熱手段を示す概略正面図であり、(b)は冷却時、或いは加熱時における急冷ノズル30と加熱ヒータ48とローラAとの位置関係を示す図である。
急冷ノズル30はエア供給管と接続されており、ローラAの軸方向と平行な稜線に沿って形成したスリット状の噴出口(ノズル)から冷気をローラ表面(軸方向全長)に向けて噴射する。
図14は図13の加熱手段を示す右側面である。ローラAの芯金3(図1)内部に設けた加熱ヒータの他に、上下動自在に案内支持された加熱ヒータ48を、加熱定着ローラの沿面に配置することができるようにしてある。
この構成によって室温加熱定着の加熱定着ローラAを急速に加工温度まで昇温させることができる。
急冷ノズル30と加熱ヒータ48は、図14に示した進退手段によってワークとしてのローラAに向けて進退できるように構成されている。
【0012】
図15は本発明の樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置の全体構成を説明するブロック図である。図15において、円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備える樹脂被覆ローラの樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置が示される。
この樹脂被覆ローラの製造装置50は加工前のローラをストックするストック手段51と、樹脂被覆ローラを回転自在に保持する保持手段52と、樹脂被覆ローラを回転駆動する回転駆動手段53と、加工前の樹脂被覆ローラをストックするストック手段51から回転自在に保持する保持手段52まで、樹脂被覆ローラを搬送する搬送手段54とを備えている。
樹脂被覆ローラの製造装置50は、また、樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑手段55と、この押圧平滑手段55をローラ軸方向に並進移動させる並進移動手段56と、樹脂被覆ローラを加熱する加熱手段57と、樹脂被覆ローラを急冷する急冷手段58とを備えている。
樹脂被覆ローラの製造装置50は、さらに、加工後の樹脂被覆ローラAをストックするストック手段59と、樹脂被覆ローラを回転自在に保持する保持手段52から加工後の樹脂被覆ローラをストックするストック手段59まで、樹脂被覆ローラを搬送する搬送手段60と、制御装置61とから構成される。
【0013】
本発明の樹脂ローラの製造装置を用いた樹脂ローラの製造方法では、円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備える樹脂被覆ローラAの該樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造方法において、加工前の樹脂被覆ローラAをストックするストック手段4から、樹脂被覆ローラを回転自在に保持するチャック手段6、7に搬送するステップと、該チャック手段6、7により保持した樹脂被覆ローラを回転駆動しつつ該樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に押圧平滑手段10を回転自在に連れ回り当接させつつ樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させるステップと、樹脂被覆ローラを加熱ヒータ12、48により加熱するステップと、樹脂被覆ローラを急冷手段30により急冷するステップと、加工後の樹脂被覆ローラをチャック手段から排出してからストック手段17に搬送するステップと、を備えている。
本発明装置、及び本発明方法によれば、樹脂被覆ローラ表面の結晶化度が低く、かつ、平滑度が高い加熱定着ローラを製造することができる。押圧平滑手段を効率良く加熱する加熱手段を提供することができる。加工時間を短縮し、平滑度がさらに向上する効果がある。
本発明によれば、加熱温度精度を向上させることによって、樹脂被覆ローラの表面の平滑度の均一性を向上させ、樹脂被覆ローラを効率良く加熱でき、加熱速度をより速くし、しかも、温度制御性を低下させない効果がある。
本発明によれば、薄肉の樹脂被覆ローラの表面を結晶化度を低くし、高耐久の加熱定着ローラを形成する樹脂被覆ローラを連続して製造できる樹脂被覆ローラの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の製造装置により製造される加熱定着ローラの構成を実施の形態として部分拡大図とともに示す断面図。
【図2】本発明による樹脂被覆ローラの樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置を示す正面図。
【図3】図2の製造装置の右側面図。
【図4】図2の製造装置の上面図。
【図5】押圧平滑手段を加熱する加熱手段の周辺を示す概略上面図。
【図6】図5の加熱手段の周辺を示す概略正面図。
【図7】図5の加熱手段の周辺を示す右側面図。
【図8】押圧平滑コロの形状を示す概略断面図。
【図9】2個並列に配置している押圧平滑コロを示す概略断面図。
【図10】加熱ヒータユニットを示す詳細図。
【図11】加熱ヒータの配光を説明する概略図。
【図12】加熱ヒータを樹脂被覆(加熱定着)ローラの軸方向に並進可動自在にするための並進移動機構を示す図。
【図13】加熱定着ローラの沿面に備える加熱手段を示す概略正面図。
【図14】図13の加熱手段を示す右側面図。
【図15】本発明の樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置の全体構成を説明するブロック図。
【符号の説明】
【0015】
A 加熱定着ローラ(樹脂被覆ローラ)、1 離型層、3 芯金、10 押圧平滑コロ、50 樹脂被覆ローラの製造装置、51 ストック手段(加工前のローラをストックする)、52 保持手段、53 回転駆動手段、54 搬送手段、55 押圧平滑手段、56 並進移動手段、57 加熱手段、58 急冷手段、59 ストック手段(加工後の樹脂被覆ローラをストックする)、60 搬送手段、61 制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が熱可塑性樹脂で被覆された円筒形状物の表面の平滑化に応用可能である樹脂被膜ローラの表面の平滑化技術に関するもので、とくに、加熱定着ローラ表面のフッ素樹脂膜の製造装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、電子写真を用いた画像形成装置の定着部に用いられる定着ローラとして、熱可塑性樹脂を芯金に被覆した構成を備えているものが知られている(例えば、特許文献1乃至6参照)。
特許文献1乃至6には、弾性回転体の製造方法が開示されているが、それらは冷却方法を水に浸没させる方法のみに限定している。また、本出願人の先行する技術としては薄肉芯金を表面平滑化するバニッシュ工法がある。
上述した熱可塑性樹脂の材質としては、トナーに対する離型性、及びトナー定着温度(通常180〜200度)での連続耐久性などが要求されるため、PFA樹脂を主成分とする離型性樹脂(例えば、テフロン(登録商標)等)が用いられることが多い。
トナーに対する離型性を得るために、前記樹脂面は、粗さRz 1〜3μm、うねり2〜4μm程度の平滑性が要求される。この平滑性に加え、前記樹脂面をその溶融温度以上に熱した後で急速冷却することで、樹脂皮膜の結晶化度が低くなり、樹脂被膜の強度が上がる結果、耐久性が向上することが知られている。
【特許文献1】特公平06−051373号公報
【特許文献2】特許第2646263号
【特許文献3】特公平06−082257号公報
【特許文献4】特公平07−019101号公報
【特許文献5】特公平07−019102号公報
【特許文献6】特公平07−019103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、全表面に対して均一に行われない場合、結晶化度が不均一な箇所を起点としてトナーの固着や、オフセットの発生を誘因してしまうという問題がある。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、薄肉の樹脂被覆ローラの表面を、結晶化度を低くし、高耐久の加熱定着ローラを簡便な方法で製造できる加熱定着ローラの製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備えた樹脂被覆ローラの該樹脂離型層を平滑化する樹脂被覆ローラの製造装置において、前記樹脂被覆ローラの両端部を支持するチャック手段と、該チャック手段によって保持された前記樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑手段と、この押圧平滑手段を前記樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させる並進移動手段と、前記樹脂被覆ローラを加熱する加熱手段と、前記樹脂被覆ローラを急冷する急冷手段と、加工後の樹脂被覆ローラをストックするストック手段と、制御手段と、を含むことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記押圧平滑手段を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記押圧平滑手段を中空回転軸の外周に取り付けるとともに、前記押圧平滑手段を加熱する加熱手段を前記中空回転軸中に設けることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記押圧平滑手段、及びこの押圧平滑手段をローラ軸方向に並進移動させる並進移動手段を複数備えることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記押圧平滑手段が円筒形状の部材であり、その胴部外周面に湾曲面を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、複数の前記押圧平滑手段を一つの前記中空回転軸の外周に隣接して配置したことを特徴とする。
請求項7の発明は、前記樹脂被覆ローラの表面温度を測定する温度計を、前記押圧平滑手段と樹脂被覆ローラ芯金の当接箇所に相当する前記樹脂被覆ローラの温度が測定できる場所に設けるとともに、当接温度を一定温度に制御する制御手段を備えることを特徴とする。
請求項8の発明は、前記加熱手段を前記樹脂被覆ローラの内部に設けたことを特徴とする。
請求項9の発明は、前記加熱手段が前記樹脂被覆ローラの内部に設けた赤外線ハロゲンヒータであることを特徴とする。
請求項10の発明は、前記樹脂被覆ローラ内部の加熱手段を複数備えるとともに、その加熱分布が前記樹脂被覆ローラの軸方向に対して、相互に異なる加熱パターンを有することを特徴とする。
請求項11の発明は、前記複数の加熱手段の加熱パターンを、前記樹脂被覆ローラの軸方向に対して重ならないように軸方向にずらしたことを特徴とする。
【0005】
請求項12の発明は、前記加熱手段は、給電電極と、該加熱手段を前記樹脂被覆ローラの軸方向に可動させる直動案内手段と、を備えるとともに、該給電電極と接離自在な他の給電電極を介して前記加熱手段へ電力を供給する電力供給手段を有することを特徴とする。
請求項13の発明は、前記樹脂被覆ローラの沿面に加熱手段を備えることを特徴とする。
請求項14の発明は、前記急冷手段が、圧縮空気を前記樹脂被覆ローラの表面に噴射することによって、前記加熱定着ローラを急冷することを特徴とする。
請求項15の発明は、前記圧縮空気の噴射手段が、前記樹脂被覆ローラ軸方向の全長にわたって均一な噴射が得られるスリット状のノズルを備えることを特徴とする。
請求項16の発明は、円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備える樹脂被覆ローラの該樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造方法において、加工前の前記樹脂被覆ローラをストックするストック手段から、前記樹脂被覆ローラを回転自在に保持するチャック手段に搬送するステップと、該チャック手段により保持した前記樹脂被覆ローラを回転駆動しつつ該樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に押圧平滑手段を回転自在に連れ回り当接させつつ前記樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させるステップと、前記樹脂被覆ローラを加熱するステップと、前記樹脂被覆ローラを急冷するステップと、加工後の前記樹脂被覆ローラを前記チャック手段から排出してからストック手段に搬送するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、薄肉の樹脂被覆ローラの表面を、結晶化度を低くし、高耐久の加熱定着ローラを連続して製造できる加熱定着ローラの製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の製造装置により製造される加熱定着ローラの構成を実施の形態として部分拡大図とともに示す断面図である。図1において、樹脂被覆ローラである加熱定着ローラAは離型層1、プライマ層2及び芯金3から構成される。
図2は本発明による樹脂被覆ローラの樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置を示す正面図である。図3は図2の製造装置の右側面図である。図4は図2の製造装置の上面図である。
図2乃至図4に示すように、本製造装置は、樹脂被覆ローラ(加熱定着ローラ)Aをストックするストック装置4(図4参照)と、ストックされた加熱定着ローラAを加工位置まで搬送する投入ローダ5(図3参照)と、樹脂被覆ローラを回転自在にチャックする主軸6、及び、従動軸7と、主軸6を回転駆動するモータ27を備えている。主軸と従動軸7はチャック手段を構成している。
【0008】
製造装置は、また、主軸6との間で樹脂被覆ローラAをチャックするために従動軸7を前進・後退させるためのアクチュエータ8と、アクチュエータ8を直線移動させる際のガイドとなる直動ガイド9と、樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑コロ10と、この平滑コロ10をローラ軸方向に並進移動させるアクチュエータ11と、樹脂被覆ローラを芯金3(図1参照)の内部で加熱させるヒータ12を備えている。平滑コロ10を備えたユニット全体(押圧平滑手段55)がアクチュエータ11のテーブルにネジ止め固定されている。
製造装置は、さらに、ヒータ12(従動軸7内に配設)を芯金3の内部に搬送するためのアクチュエータ13及びその直動ガイド14と、樹脂被覆ローラにスリット状の圧縮エアを噴出するノズル15と、加工後の加熱定着ローラを排出するローダ16と、加工後の樹脂被覆ローラをストックするストック装置17と、排出後の樹脂被覆ローラをストック装置17に移載する移載装置18を備えている。
即ち、ストック装置4からローラAを受け取って主軸6と従動軸7との間にチャックさせる構成を備える。そのための投入ローダ5は、エアシリンダによって矢印で示す軸方向へ直線的に進退するクランパ5aを備え、クランパ5aを開放してストック装置4上のローラAをクランプしてから、主軸6と従動軸7の間に移動させてチャックさせてから離脱させる。排出ローダ16もエアシリンダによって直線動作するクランパ16aを備え、主軸6と従動軸7によってチャックされていたローラAの平滑処理が完了した後にクランパ16aによって受け取ってストック装置17へ排出する。
【0009】
図5は押圧平滑手段を加熱する加熱手段の周辺を示す概略上面図である。図6は図5の加熱手段の周辺を示す概略正面図である。図7は図5の加熱手段の周辺を示す右側面図である。
図5乃至図7では、押圧平滑コロ10と、この押圧平滑コロ10を回転自在に支持する中空軸19、ベアリング、ベアリング軸と、中空軸19の中空内部にこの中空軸19内壁と接しないように配置される加熱ヒータ20と、この加熱ヒータ20を保持する保持部材21と、押圧平滑コロ10を保持部材21を介して取り付けたベース22と、ベース22を回転軸22aと90°をなす方向に揺動自在に支持するベアリング23を示している。
また、図5乃至図7では、押圧平滑コロ10を樹脂被覆ローラに並進(図7中の矢印方向へ移動)して当接させるため、直動ガイド24、アクチュエータ25と、押圧平滑コロユニット全体を樹脂被覆ローラの軸方向に自在に移動させるアクチュエータ26と、押圧平滑コロ10の温度を測定する非接触温度計28と、押圧平滑コロ10と樹脂被覆ローラの接触個所の温度を測定する非接触温度計29とから構成される。
符号25aは軸、及び付勢バネを示し、この付勢バネによって平滑コロ10に押圧力を付与する。26は、押圧平滑コロユニット全体をローラAの軸方向へ進退させる一軸のアクチュエータである。アクチュエータ25は、直動案内24上に配置されたコロ10、ベース、コロの温度を測定する非接触温度計28、ワークの温度を測定する非接触温度計29、加圧力センサS1等を前進させる空気圧アクチュエータである。
なお、押圧平滑コロユニットとは、押圧平滑手段55と言い換えることができる。
非接触触温度計28、29と、平滑コロ10及びローラAとの対応関係、位置関係は図7に示す通りである。
図6において、押圧平滑コロ10を内部から加熱する加熱ヒータ20とは別に、コロ10を冷却する冷却ノズルが配置されている。更にコロ10に隣接配置されたスペーサ10aは、放射温度計による測定ターゲットとなる。即ち、金属光沢面は放射温度計によって測定できないので、黒体塗料を塗ったターゲットであるスペーサ10aを狙って温度を測定する。
【0010】
図8は押圧平滑コロの形状を示す概略断面図である。図9は2個並列に配置している押圧平滑コロを示す概略断面図である。押圧平滑コロ10の胴部に曲率が設けられている。
この曲率は、R50〜R300までの任意の値を設定することができ、これによって、押圧平滑コロ10が樹脂被覆ローラに当接したとき発生する、僅かな平行度のずれの影響を受けなくすることができる。
図10(a)は加熱ヒータユニットを示す詳細図であり、(b)はその要部断面図である。図10において、ワークとしてのローラAをその内部から加熱するための加熱ヒータユニットは、加熱ヒータ41(図2に示したヒータ12に相当)と、この加熱ヒータ41の固定部材39とこの固定部材39の剛性を補強するための補強部材40a、40bと、加熱ヒータ41の配線部材38と、加熱ヒータ41に電力を供給するための電極37とを備えている。
この加熱ヒータ41は、図示しない給電電極と接離自在な給電電極を介して加熱手段へ電力を供給する図示しない電力供給手段を備えている。
加熱ヒータユニットは、更に電極37と加熱ヒータ41の固定部材39を一体に結合させるための部材36a、36bと、電極37及び38を正確に位置決めするための案内・位置決め部材35及び32と、電極34の配線部材33と、案内・位置決め部材32を固設するための固設部材31とを備えている。
【0011】
図11は加熱ヒータ41の配光を説明する概略図である。加熱ヒータ41は2本備えるものとし、一方の加熱ヒータ41がこの加熱ヒータの左側にのみ配光を有するものとし、他方の加熱ヒータ41がこの加熱ヒータの右側にのみ配光を有するものとする。各々の配光は、その分布がオーバーラップしないようにしている。
ヒータ41は、取り付け部材41aを介して直動案内部材(レール42、ガイドブロック43a、43b)にネジ止めされている。
加熱ヒータ41は、図10(b)に示すように補強部材40a、40bの内側中に2本配置されている。
図12は加熱ヒータを樹脂被覆(加熱定着)ローラの軸方向に並進可動自在にするための並進移動機構を示す概略断面図である。並進移動部は、直動案内レール42と、ガイドブロック43a、43bと、これらのガイドブロック43a、43bを固設するためのブラケット44及び45と、加熱ヒータ41と直動案内レール42を一体結合させるためのブラケット46、ガイドブロック47とから構成される。
図13(a)は加熱定着ローラの沿面に備える加熱手段を示す概略正面図であり、(b)は冷却時、或いは加熱時における急冷ノズル30と加熱ヒータ48とローラAとの位置関係を示す図である。
急冷ノズル30はエア供給管と接続されており、ローラAの軸方向と平行な稜線に沿って形成したスリット状の噴出口(ノズル)から冷気をローラ表面(軸方向全長)に向けて噴射する。
図14は図13の加熱手段を示す右側面である。ローラAの芯金3(図1)内部に設けた加熱ヒータの他に、上下動自在に案内支持された加熱ヒータ48を、加熱定着ローラの沿面に配置することができるようにしてある。
この構成によって室温加熱定着の加熱定着ローラAを急速に加工温度まで昇温させることができる。
急冷ノズル30と加熱ヒータ48は、図14に示した進退手段によってワークとしてのローラAに向けて進退できるように構成されている。
【0012】
図15は本発明の樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置の全体構成を説明するブロック図である。図15において、円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備える樹脂被覆ローラの樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置が示される。
この樹脂被覆ローラの製造装置50は加工前のローラをストックするストック手段51と、樹脂被覆ローラを回転自在に保持する保持手段52と、樹脂被覆ローラを回転駆動する回転駆動手段53と、加工前の樹脂被覆ローラをストックするストック手段51から回転自在に保持する保持手段52まで、樹脂被覆ローラを搬送する搬送手段54とを備えている。
樹脂被覆ローラの製造装置50は、また、樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑手段55と、この押圧平滑手段55をローラ軸方向に並進移動させる並進移動手段56と、樹脂被覆ローラを加熱する加熱手段57と、樹脂被覆ローラを急冷する急冷手段58とを備えている。
樹脂被覆ローラの製造装置50は、さらに、加工後の樹脂被覆ローラAをストックするストック手段59と、樹脂被覆ローラを回転自在に保持する保持手段52から加工後の樹脂被覆ローラをストックするストック手段59まで、樹脂被覆ローラを搬送する搬送手段60と、制御装置61とから構成される。
【0013】
本発明の樹脂ローラの製造装置を用いた樹脂ローラの製造方法では、円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備える樹脂被覆ローラAの該樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造方法において、加工前の樹脂被覆ローラAをストックするストック手段4から、樹脂被覆ローラを回転自在に保持するチャック手段6、7に搬送するステップと、該チャック手段6、7により保持した樹脂被覆ローラを回転駆動しつつ該樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に押圧平滑手段10を回転自在に連れ回り当接させつつ樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させるステップと、樹脂被覆ローラを加熱ヒータ12、48により加熱するステップと、樹脂被覆ローラを急冷手段30により急冷するステップと、加工後の樹脂被覆ローラをチャック手段から排出してからストック手段17に搬送するステップと、を備えている。
本発明装置、及び本発明方法によれば、樹脂被覆ローラ表面の結晶化度が低く、かつ、平滑度が高い加熱定着ローラを製造することができる。押圧平滑手段を効率良く加熱する加熱手段を提供することができる。加工時間を短縮し、平滑度がさらに向上する効果がある。
本発明によれば、加熱温度精度を向上させることによって、樹脂被覆ローラの表面の平滑度の均一性を向上させ、樹脂被覆ローラを効率良く加熱でき、加熱速度をより速くし、しかも、温度制御性を低下させない効果がある。
本発明によれば、薄肉の樹脂被覆ローラの表面を結晶化度を低くし、高耐久の加熱定着ローラを形成する樹脂被覆ローラを連続して製造できる樹脂被覆ローラの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の製造装置により製造される加熱定着ローラの構成を実施の形態として部分拡大図とともに示す断面図。
【図2】本発明による樹脂被覆ローラの樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置を示す正面図。
【図3】図2の製造装置の右側面図。
【図4】図2の製造装置の上面図。
【図5】押圧平滑手段を加熱する加熱手段の周辺を示す概略上面図。
【図6】図5の加熱手段の周辺を示す概略正面図。
【図7】図5の加熱手段の周辺を示す右側面図。
【図8】押圧平滑コロの形状を示す概略断面図。
【図9】2個並列に配置している押圧平滑コロを示す概略断面図。
【図10】加熱ヒータユニットを示す詳細図。
【図11】加熱ヒータの配光を説明する概略図。
【図12】加熱ヒータを樹脂被覆(加熱定着)ローラの軸方向に並進可動自在にするための並進移動機構を示す図。
【図13】加熱定着ローラの沿面に備える加熱手段を示す概略正面図。
【図14】図13の加熱手段を示す右側面図。
【図15】本発明の樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造装置の全体構成を説明するブロック図。
【符号の説明】
【0015】
A 加熱定着ローラ(樹脂被覆ローラ)、1 離型層、3 芯金、10 押圧平滑コロ、50 樹脂被覆ローラの製造装置、51 ストック手段(加工前のローラをストックする)、52 保持手段、53 回転駆動手段、54 搬送手段、55 押圧平滑手段、56 並進移動手段、57 加熱手段、58 急冷手段、59 ストック手段(加工後の樹脂被覆ローラをストックする)、60 搬送手段、61 制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備えた樹脂被覆ローラの該樹脂離型層を平滑化する樹脂被覆ローラの製造装置において、前記樹脂被覆ローラの両端部を回転自在に保持するチャック手段と、該チャック手段によって保持された前記樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑手段と、この押圧平滑手段を前記樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させる並進移動手段と、前記樹脂被覆ローラを加熱する加熱手段と、前記樹脂被覆ローラを急冷する急冷手段と、加工後の樹脂被覆ローラをストックするストック手段と、制御手段と、を含むことを特徴とする樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項2】
前記押圧平滑手段を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項3】
前記押圧平滑手段を中空回転軸の外周に取り付けるとともに、前記押圧平滑手段を加熱する加熱手段を前記中空回転軸中に設けることを特徴とする請求項2記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項4】
前記押圧平滑手段、及びこの押圧平滑手段をローラ軸方向に並進移動させる並進移動手段を複数備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項5】
前記押圧平滑手段が円筒形状の部材であり、その胴部外周面に湾曲面を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項6】
複数の前記押圧平滑手段を一つの前記中空回転軸の外周に隣接して配置したことを特徴とする請求項5記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項7】
前記樹脂被覆ローラの表面温度を測定する温度計を、前記押圧平滑手段と樹脂被覆ローラ芯金の当接箇所に相当する前記樹脂被覆ローラの温度が測定できる場所に設けるとともに、当接温度を一定温度に制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項8】
前記加熱手段を前記樹脂被覆ローラの内部に設けたことを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項9】
前記加熱手段が前記樹脂被覆ローラの内部に設けた赤外線ハロゲンヒータであることを特徴とする請求項8記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項10】
前記樹脂被覆ローラ内部の加熱手段を複数備えるとともに、その加熱分布が前記樹脂被覆ローラの軸方向に対して、相互に異なる加熱パターンを有することを特徴とする請求項8または9記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項11】
前記複数の加熱手段の加熱パターンを、前記樹脂被覆ローラの軸方向に対して重ならないように軸方向にずらしたことを特徴とする請求項10記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項12】
前記加熱手段は、給電電極と、該加熱手段を前記樹脂被覆ローラの軸方向に可動させる直動案内手段と、を備えるとともに、該給電電極と接離自在な他の給電電極を介して前記加熱手段へ電力を供給する電力供給手段を有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項13】
前記樹脂被覆ローラの沿面に加熱手段を備えることを特徴とする請求項10記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項14】
前記急冷手段が、圧縮空気を前記樹脂被覆ローラの表面に噴射することによって、前記加熱定着ローラを急冷することを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項15】
前記圧縮空気の噴射手段が、前記樹脂被覆ローラ軸方向の全長にわたって均一な噴射が得られるスリット状のノズルを備えることを特徴とする請求項14記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項16】
円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備える樹脂被覆ローラの該樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造方法において、加工前の前記樹脂被覆ローラをストックするストック手段から、前記樹脂被覆ローラを回転自在に保持するチャック手段に搬送するステップと、該チャック手段により保持した前記樹脂被覆ローラを回転駆動しつつ該樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に押圧平滑手段を回転自在に連れ回り当接させつつ前記樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させるステップと、前記樹脂被覆ローラを加熱するステップと、前記樹脂被覆ローラを急冷するステップと、加工後の前記樹脂被覆ローラを前記チャック手段から排出してからストック手段に搬送するステップと、を備えることを特徴とする樹脂被覆ローラの製造方法。
【請求項1】
円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備えた樹脂被覆ローラの該樹脂離型層を平滑化する樹脂被覆ローラの製造装置において、前記樹脂被覆ローラの両端部を回転自在に保持するチャック手段と、該チャック手段によって保持された前記樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に回転自在に連れ回り当接する押圧平滑手段と、この押圧平滑手段を前記樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させる並進移動手段と、前記樹脂被覆ローラを加熱する加熱手段と、前記樹脂被覆ローラを急冷する急冷手段と、加工後の樹脂被覆ローラをストックするストック手段と、制御手段と、を含むことを特徴とする樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項2】
前記押圧平滑手段を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項3】
前記押圧平滑手段を中空回転軸の外周に取り付けるとともに、前記押圧平滑手段を加熱する加熱手段を前記中空回転軸中に設けることを特徴とする請求項2記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項4】
前記押圧平滑手段、及びこの押圧平滑手段をローラ軸方向に並進移動させる並進移動手段を複数備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項5】
前記押圧平滑手段が円筒形状の部材であり、その胴部外周面に湾曲面を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項6】
複数の前記押圧平滑手段を一つの前記中空回転軸の外周に隣接して配置したことを特徴とする請求項5記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項7】
前記樹脂被覆ローラの表面温度を測定する温度計を、前記押圧平滑手段と樹脂被覆ローラ芯金の当接箇所に相当する前記樹脂被覆ローラの温度が測定できる場所に設けるとともに、当接温度を一定温度に制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項8】
前記加熱手段を前記樹脂被覆ローラの内部に設けたことを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項9】
前記加熱手段が前記樹脂被覆ローラの内部に設けた赤外線ハロゲンヒータであることを特徴とする請求項8記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項10】
前記樹脂被覆ローラ内部の加熱手段を複数備えるとともに、その加熱分布が前記樹脂被覆ローラの軸方向に対して、相互に異なる加熱パターンを有することを特徴とする請求項8または9記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項11】
前記複数の加熱手段の加熱パターンを、前記樹脂被覆ローラの軸方向に対して重ならないように軸方向にずらしたことを特徴とする請求項10記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項12】
前記加熱手段は、給電電極と、該加熱手段を前記樹脂被覆ローラの軸方向に可動させる直動案内手段と、を備えるとともに、該給電電極と接離自在な他の給電電極を介して前記加熱手段へ電力を供給する電力供給手段を有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項13】
前記樹脂被覆ローラの沿面に加熱手段を備えることを特徴とする請求項10記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項14】
前記急冷手段が、圧縮空気を前記樹脂被覆ローラの表面に噴射することによって、前記加熱定着ローラを急冷することを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項15】
前記圧縮空気の噴射手段が、前記樹脂被覆ローラ軸方向の全長にわたって均一な噴射が得られるスリット状のノズルを備えることを特徴とする請求項14記載の樹脂被覆ローラの製造装置。
【請求項16】
円筒形状基体の表層上に樹脂離型層を備える樹脂被覆ローラの該樹脂離型層を平滑化するための樹脂被覆ローラの製造方法において、加工前の前記樹脂被覆ローラをストックするストック手段から、前記樹脂被覆ローラを回転自在に保持するチャック手段に搬送するステップと、該チャック手段により保持した前記樹脂被覆ローラを回転駆動しつつ該樹脂被覆ローラ表層上の樹脂離型層に押圧平滑手段を回転自在に連れ回り当接させつつ前記樹脂被覆ローラの軸方向に並進移動させるステップと、前記樹脂被覆ローラを加熱するステップと、前記樹脂被覆ローラを急冷するステップと、加工後の前記樹脂被覆ローラを前記チャック手段から排出してからストック手段に搬送するステップと、を備えることを特徴とする樹脂被覆ローラの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−163089(P2006−163089A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356079(P2004−356079)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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