説明

樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法

【課題】測定精度及び生産性に優れる樹脂製マイクロチャネルアレイの提供。
【解決手段】一端部に流入口11が形成された本体部131と他端部に向かって本体部131から複数分岐して形成された分岐部132とを有する第1の窪み13と、他端部に流出口12が形成された本体部141と一端部に向かって本体部141から複数分岐して形成された分岐部142とを有しかつ分岐部142が第1の窪みの分岐部132と交互に配置された第2の窪み14と、第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142とを区画する壁部15と、壁部15上に形成され第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142とを連通する微小溝16と、が基板10の前面側に形成された樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。基板10を貫通する流入口11及び流出口12を、射出成形により形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液中の有形成分である赤血球、白血球、血小板の機能を測定、評価することは、健康管理、疾患の診断と治療に極めて重要である。特許文献1には、上記血液成分の測定、評価に用いるマイクロチャネルアレイが開示されている。
【0003】
具体的には、フォトリソグラフ法によってシリコン基板上にパターンニングを行い、ウェット又はドライエッチング法によりシリコン基板上に流路を微細加工する。これは、半導体微細加工技術を応用することにより基板上に赤血球、白血球ないし血小板の形状にそれぞれ適合した種々の形状、大きさの微細流路(マイクロチャネル)を高精度に作成したものである。この技術によって、微細流路の幅と深さの比、間隔等を目的に合わせてデザインでき、また、透明板を介して流路内の実際の流れを直接観察することが可能になった。
【0004】
他方、半導体微細加工技術により製造されたシリコン製マイクロチャネルアレイでは、シリコン基板の材料コストが高価である、1枚毎にフォトリソグラフを行うために加工費が高価となる、1枚毎の微細流路の寸法精度にバラツキを生じる、焼却処理ができない等の問題が存在していた。これらの問題を解決するため、発明者らによる特許文献2には、樹脂製のマイクロチャネルアレイが開示されている。
【特許文献1】特開平3−257366
【特許文献2】特開2005−265634
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイには、測定、評価する血液を流入及び流出するため、マイクロチャネルアレイ基板の背面から微細流路を有する前面に至る2つの貫通孔を有する。従来、この貫通孔は、樹脂製マイクロチャネルアレイ基板をプレス成形、射出成形等により成形後、レーザーカットや機械加工等により形成していた。従来の貫通孔形成方法では、貫通孔の端部にバリ、カエリが発生する。このバリ等により、血液が活性化し、血小板凝集が促進されるため、血液流動が阻害される。そのため、生体内の血液流動が反映されず、測定精度に劣る問題があった。また、バリ等を除去するためには、バフ研磨などの2次加工が必要となり、生産性に劣るうえ、研磨屑が汚染源となる等の問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、測定精度及び生産性に優れるマイクロチャネルアレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、一端部に流入口が形成された本体部と、他端部に向かって当該本体部から複数分岐して形成された分岐部とを有する第1の窪みと、前記他端部に流出口が形成された本体部と、前記一端部に向かって当該本体部から複数分岐して形成された分岐部とを有し、かつ、当該分岐部が前記第1の窪みの分岐部と交互に配置された第2の窪みと、前記第1の窪み及び第2の窪みの分岐部同士を区画する壁部と、前記壁部上に形成され、前記第1の窪み及び第2の窪みの分岐部同士を連通する微小溝とが基板の前面側に形成された樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法であって、前記基板を貫通する前記流入口及び流出口を、射出成形により形成するものである。これにより、貫通孔端部でのバリの発生を防止し、測定精度及び生産性に優れるマイクロチャネルアレイを提供することができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、上記の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法において、前記第1及び第2の窪みと、前記壁部と、前記微小溝とを形成するための第1の金型と、前記流入口及び流出口を形成するための第2の金型とを対向配置し、射出成形することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第3の態様に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、上記の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法において、前記流入口形成によるウェルドラインが、前記第1の窪みの本体部領域内に形成され、かつ、前記流出口形成によるウェルドラインが、前記第2の窪みの本体部領域内に形成されるように、射出成形することを特徴とするものである。これにより、さらに測定精度に優れるマイクロチャネルアレイを提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、測定精度及び生産性に優れるマイクロチャネルアレイを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
図1を用いて、本発明の実施の形態に係る樹脂製マイクロチャネルアレイについて説明する。図1(a)は樹脂製マイクロチャネルアレイの平面図、図1(b)は図1(a)のX−X'断面図、図1(c)は図1(b)の点線円内の拡大図である。マイクロチャネルアレイは、第1の基板10と第2の基板20が重ね合わされて構成される。第1の基板10には、流入口11、流出口12、第一の窪み13、第2の窪み14、壁部15、微小溝16が形成されている。
【0013】
図1(a)に示すように、流入口11は第1の基板10の一端に、流出口12は第1の基板10の他端に形成されている。流入口11及び流出口12は、第1の基板10の背面から微細流路を有する前面に至る貫通孔である。生理食塩水、血液試料や試薬を、流入口11から導入し、流出口12から排出する。従来の製造方法では、第一の窪み13、第2の窪み14、壁部15、微小溝16を備える第1の基板10を射出成形等により成形後、レーザーカットや機械加工等により流入口11及び流出口12を形成していた。このため、流入口11及び流出口12の端部にバリ、カエリが発生していた。本発明に係る製造方法では、流入口11及び流出口12も射出成形により一括して形成するため、バリ、カエリが発生せず、測定精度に優れる。さらに、生産性にも優れる。
【0014】
また、流入口11を備える第1の窪み13及び流出口12を備える第2の窪み14が、第1の基板10に形成されている。
第1の窪み13は、1つの本体部131と複数の分岐部132とからなる。本体部131は、第1の基板10の端部に形成されている。そして、本体部131には、流入口11が形成されている。また、流入口11及び流出口12の中心を結ぶ直線に略垂直な方向から樹脂を射出して成形しているため、流入口11を介して射出側の反対側にウェルドライン17が形成されている。ここで、流入口11形成によるウェルドライン17は、第1の窪みの本体部131領域内に形成されている。そのため、ウェルドライン17が測定に悪影響を及ぼすことが無い。他方、分岐部132は、本体部131から第1の基板10の中央部に向かって延設され、櫛歯状に分岐して形成されている。ここで、ウェルドライン17が分岐部132に及ぶと、測定に悪影響を及ぼし得る。
【0015】
同様に、第2の窪み14は、1つの本体部141と複数の分岐部142とからなる。本体部141は、第1の基板10において、第1の窪み13と反対側の端部に形成されている。そして、本体部141には、流出口12が形成されている。また、流入口11及び流出口12の中心を結ぶ略直線に垂直な方向から樹脂を射出して成形しているため、流出口12を介して射出側の反対側にウェルドライン17が形成されている。ここで、流出口12形成によるウェルドライン17は、第2の窪みの本体部141領域内に形成されている。そのため、ウェルドライン17が測定に悪影響を及ぼすことが無い。他方、分岐部142は、本体部141から第1の基板10の中央部に向かって延設され、櫛歯状に分岐して形成されている。ここで、ウェルドライン17が分岐部142に及ぶと、測定に悪影響を及ぼし得る。
【0016】
ここで、第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142とは交互に配置されている。従って、隣接する第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142との間には、壁部15が形成されることになる。壁部15は、隣接する第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142との間を、完全に区切るものではない。図1(c)に示すように、この壁部15上には、第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142とを連通する多数の微小溝16すなわち微細流路が設けられている。
【0017】
図1(b)に示すように、第1の基板10の第1及び第2の窪み13設けられた側の面には、第2の基板20が重ね合わされ、第1及び第2の窪み13及び微小溝16と第2の基板20との間に空間が形成される。この空間内に、血液試料等を導入し、観察する。
【0018】
ここで、樹脂製マイクロチャネルアレイに導入された血液試料等の流れについて説明する。まず、血液試料等は、流入口11から導入され、第1の窪み13の本体部131から分岐部132に向けて流れる。次に、血液試料等は、壁部15上に設けられた微小溝16を通過し、第2の窪みの分岐部142へと流入する。そして、血液試料等は、第2の窪み14の分岐部142から本体部141へ向けて流れ、流出口12から排出される。ここで、微小溝16を通過する血液試料等に含まれる白血球や血小板等を観察する。
【0019】
流路の幅、深さは、測定対象とする血球成分に応じて、それぞれ1〜50μmの範囲から選択することが好ましく、1〜20μmの範囲内であることがより好ましい。当該流路の幅と深さの比は、対象とする血球成分の形状、変形能に応じて、1:10〜10:1の範囲内から選択することが好ましい。なお、血液は、血球(有形)成分と、血漿(液体)成分とに大別され、血球成分の割合が約40〜45%、血漿成分が約55〜60%である。血球成分において、赤血球が約96%を占め、約4%が白血球と血小板である。サイズは、赤血球が直径約7〜8μm、白血球が約12〜14μm、血小板が約3μmである。
【0020】
樹脂製マイクロチャネルアレイの窪み及び溝によって形成される空間が、流路として機能するには、樹脂製マイクロチャネルアレイと、使用する生理食塩水、血液試料、試薬等の水系液体との濡れ性の差が小さいことが好ましい。濡れ性の差が大きいと、水系液体が流路を流れなくなる可能性が高くなる。また、血液測定を行う前に、例えば、流路内を生理食塩水で満たそうとしても、気泡が混入することにより、対象とする血球成分の通過時間の計測値が再現しない恐れがある。
【0021】
樹脂前面の濡れ性を改質する技術は、化学的処理技術、物理的処理技術に大別される。化学的処理技術としては、薬品処理、溶剤処理、カップリング剤処理、モノマーコーティング、ポリマーコーティング、蒸気処理、前面グラフト化、電気化学的処理、陽極酸化等があげられる。物理的処理技術としては、紫外線照射処理、プラズマ接触処理、プラズマジェット処理、プラズマ重合処理、イオンビーム処理、機械的処理等があげられる。
【0022】
また、一般に細胞は疎水前面に固定化しやすい性質を持つことから、血球細胞においても流路に血球成分が付着し、流れなくなる等、血液測定に大きな支障をきたす可能性がある。そこで、樹脂製マイクロチャネルアレイ前面の水に対する接触角を小さくすることが必要となる。ポリメチルメタクリレートに代表される一般に使用される熱可塑性樹脂においては、通常水に対する接触角が比較的大きい(例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂は約68°、ポリカーボネート樹脂は約70°、ポリスチレン樹脂は84°)ため、接触角を小さく、0.5°以上70°以下とすることが必要となる。さらに、1°以上50°以下がより好ましい。0.5°未満又は70°を超えると、微細な流路への血液試料の導入が難しく、血球細胞の付着による凝集塊の発生によって、血球細胞の通過時間測定等の安定したデータが得られない。
【0023】
血液測定にて、光学系の検出方式等を採用する場合、CCDカメラ等を用いた実態観察を行う場合等において、樹脂製マイクロチャネルアレイ、及び重ね合わせ基板のいずれか、又は両方を、例えば、反射光、又は透過光測定に応じて、透明とすることが必要である。反射光観察では、光学系の側の基板を透明板とし、反対側の基板を不透明にすればよい。不透明な基板とするには、材料選択の段階にて不透明グレードを選択する、又は透明基板の前面、又は背面に、例えば、蒸着法にて、アルミニウム等の無機膜を堆積する方法があげられる。
【0024】
透明板を通して流路を直接観察することができ、流速の調節、停止等の適切な処置がとれる。透明性を規定する光学物性としては、厚さ1mm板において、全光線透過率80%以上、ヘイズ値10%以下が好ましい。また、光学系の検出方式を採用する場合、使用する光の波長に応じて、例えば、紫外線吸収剤の添加されていない材料を使用する、分子構造に環構造を有していない材料を使用する等、適宜選択することが好ましい。
【0025】
本発明に係るマイクロチャネルアレイを構成する樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル・スチレン系共重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、オレフィン系・スチレン系・ウレタン系等の熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、フッソ系樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0026】
これらの樹脂は必要に応じて滑剤、光安定剤、熱安定剤、防曇剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの1種又は2種以上を含有することができる。
【実施例】
【0027】
次に、本発明の実施様態を具体的な実施例で説明する。実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
実施例及び比較例に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法を説明する。まず、ガラス基板上に、有機材料(東京応化工業製「PMER N−CA3000PM」をベースとするレジスト塗布を行った。次に、ガラス基板と所望のマスクパターンに加工したマスクを位置合わせした。次にUV露光装置(キヤノン製「PLA−501F」、波長365nm)を用いて、レジスト層をUV光により露光を行った後、ホットプレートを用いてレジスト層の熱処理を行った。さらに必要に応じ、得られたレジストパターン上へのレジスト塗布、マスク位置合わせ、UV光による露光、熱処理の一連の工程を繰り返した。そして、レジスト層を有する基板を、現像液(東京応化工業製「PMER現像液P−7G」)により現像し、ガラス基板上にレジストパターンを形成した
【0029】
得られたレジストパターンを有するガラス基板前面に、スパッタリングにより、Niをめっきシード層として堆積させた。次に、このレジストパターンを有する基板をNiめっき液に浸け、電気めっきを行い、金属構造体(以下、Ni構造体)を形成した。このNi構造体を射出成形用の固定側金型とした。
【0030】
射出成形される第1の基板10の外形は、横16mm×縦8mm×厚さ1mmであり、直径2mmの流入口11及び流出口12を有する。また、第1の窪み13及び第2の窪み14の深さは85μm、壁部15の高さは80μm、微小溝16の幅は5μm、深さは5μmとした。ここで、壁部15の高さと微小溝16の深さとを加算したものが、第1の窪み13及び第1の窪み14の深さに相当する。さらに、この第1の基板10の前面へ真空蒸着により厚さ100nmのアルミニウムを蒸着し、その上に親水性を付与するため、ホスホリルコリン基を側鎖に有するポリメタクリレートを厚さ100nmで塗布した。
【0031】
この第1の基板10と透明な平板である第2の基板20を接合し、第1の基板10に形成された流入口11から血液を導入し、流出口12から排出を行った。血液の測定は、20cmの水による落差圧を印加して、健常人(33歳男性)の血液100μlの通過時間を測定した。また、血球成分の流動性を光学顕微鏡で観察した。
【0032】
[実施例]
図2には、第1及び第2の窪み13、14に対応する突起33、34及び壁部15に対応する窪み35が形成された上記Ni構造体を配置した射出成形用の固定側金型30を示す。また、図3には、最大径2mmとなる流入口11及び流出口12に対応する突起41、42を切削加工した同可動側金型40を配置した。型閉時には,第1及び第2の窪み13、14に対応する構造体凸11表面と流入口11および流出口12に対応する構造体凸12表面とのクリアランスが1μmとなるように設計した。当該金型にポリメチルメタクリレート(PMMA)を充填し、第1の基板10を得た。
【0033】
図5には、実施例の第1の窪み13の底面と流入口11により構成される端部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。1μm以上のバリなどの突起物は観察されなかった。
【0034】
通過時間は、71秒であり、標準的であった。また、血球成分の流動性については、微小溝16通過前には、血球成分は分散した状態で流動していた。微小溝16通過後には、部分的に、血球特に血小板が、凝集した状態で、流路表面へ付着していた。微小溝16を通過することで、血球成分が活性化されたものと考えられる。
【0035】
[比較例]
射出成形金型の固定側には、実施例と同じ固定側金型30を配置し、他方、可動側には、図4に示すような鏡面状の平坦な金型50を配置した。当該金型にPMMAを充填し、第1及び第2の窪み13、14、壁部15及び溝16の構造を有する樹脂成形品を得た。その後、当該樹脂成形品に流入口11及び流出口12となる直径2mmの貫通孔を、機械加工にて形成し、第1の基板10を得た。
【0036】
図6には、第1の窪み13の底面と流入口11により構成される端部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。最大高さ約70μmのバリが観察された。すなわち、この部分では、高さ85μmの空間が、高さ約15μmの空間にまで、狭められている。ここを血液が通過することになる。
【0037】
通過時間は、83秒であり、通常時よりも約10秒遅かった。また、血球成分の流動性については、微小溝16通過前に、既に、血球成分特に血小板が、凝集した形態での流動し、さらには流路表面へ付着していた。その結果、微小溝16通過後には、凝集した血球の付着が多数観られ。流入口11から導入された血球が、バリと第2の基板20とにより形成される高さ15μmの空間を通過するため、微小溝16通過前に、既に活性化していたものと考えられる。そのため、本来の目的である微小溝16のみによる活性化の観察及び通過時間の正確な測定ができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの模式図である。
【図2】実施例及び比較例に係る樹脂製マイクロチャネルアレイ製造用の射出成形固定型の模式図である。
【図3】実施例に係る樹脂製マイクロチャネルアレイ製造用の射出成形可動型の模式図である。
【図4】比較例に係る樹脂製マイクロチャネルアレイ製造用の射出成形可動型の模式図である。
【図5】実施例に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの流入口端部のSEM写真である。
【図6】比較例に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの流入口端部のSEM写真である。
【符号の説明】
【0039】
10 第1の基板
11 流入口
12 流出口
13 第1の窪み
131 本体部
132 分岐部
14 第2の窪み
141 本体部
142 分岐部
15 壁部
16 微小溝
17 ウェルドライン
20 第2の基板
30 固定型
33 第1の窪み13に対応する突起
34 第2の窪み14に対応する突起
35 壁部15に対応する窪み
40 可動型
41 流入口11に対応する突起
42 流出口12に対応する突起
50 可動型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に流入口が形成された本体部と、他端部に向かって当該本体部から複数分岐して形成された分岐部とを有する第1の窪みと、
前記他端部に流出口が形成された本体部と、前記一端部に向かって当該本体部から複数分岐して形成された分岐部とを有し、かつ、当該分岐部が前記第1の窪みの分岐部と交互に配置された第2の窪みと、
前記第1の窪み及び第2の窪みの分岐部同士を区画する壁部と、
前記壁部上に形成され、前記第1の窪み及び第2の窪みの分岐部同士を連通する微小溝とが基板の前面側に形成された樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法であって、
前記基板を貫通する前記流入口及び流出口を、射出成形により形成する樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の窪みと、前記壁部と、前記微小溝とを形成するための第1の金型と、前記流入口及び流出口を形成するための第2の金型とを対向配置し、射出成形することを特徴とする請求項1に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
【請求項3】
前記流入口形成によるウェルドラインが、前記第1の窪みの本体部領域内に形成され、かつ、前記流出口形成によるウェルドラインが、前記第2の窪みの本体部領域内に形成されるように、射出成形することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−232656(P2008−232656A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68875(P2007−68875)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】