橋梁の構造およびその架け替え方法
【課題】 例えば鉄道橋の架け替えまたは橋下スペ−スの拡張ないし道路の拡幅に好適で、それらの工事を活線下で行なえ、かつその際軌道桁や仮設時の受梁を工事桁として利用し、利用後は新設橋梁の構造部材として利用して、それらの解体・撤去の不合理を解消し、施工の合理化と工期の短縮化および工費の低減を図るとともに、構成を簡潔化して新設橋梁の軽量化を図り、更に桁製作ヤ−ド若しくは架設ヤ−ドの確保を容易かつ縮小し得るようにした、橋梁の構造およびその架け替え方法を提供すること。
【解決手段】 新設橋梁43の新設架道桁25,26と、該架道桁25,26の外側に配置する主桁34,35とを有する。
前記主桁34,35の間に架設し、かつ前記架道桁25,26を支持可能な桁材21,38と、を備えた橋梁の構造であること。
前記新設架道桁25,26を新設橋梁43の工事桁として利用する。
前記桁材21,38を新設架道桁25,26の受梁として利用可能にする。
それらの利用後は残置して、新設橋梁43を構成した。
【解決手段】 新設橋梁43の新設架道桁25,26と、該架道桁25,26の外側に配置する主桁34,35とを有する。
前記主桁34,35の間に架設し、かつ前記架道桁25,26を支持可能な桁材21,38と、を備えた橋梁の構造であること。
前記新設架道桁25,26を新設橋梁43の工事桁として利用する。
前記桁材21,38を新設架道桁25,26の受梁として利用可能にする。
それらの利用後は残置して、新設橋梁43を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道橋梁の架け替えまたは橋梁下スペ−スの拡張ないし道路の拡幅に好適で、それらの工事を活線下で行なえ、かつその際軌道桁や仮設時の受梁を工事桁として利用し、利用後は新設橋梁の構造部材として利用して、それらの解体・撤去の不合理を解消し、施工の合理化と工期の短縮化並びに工費の低減を図るとともに、構成を簡潔化して新設橋梁の軽量化を図り、更に桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易かつ縮小し得るようにした、橋梁の構造およびその架け替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば老朽化や輸送量増加等によって鉄道橋の架け替えの必要を生じた場合、その架け替え工事は、代替輸送路の確保が困難な場合が多いため、鉄道の運行を確保しながら行なわれることが多い。
そのような架け替え工事の手法として、一般的に仮線施工や桁横取架設工法等が採られる。このうち、仮線施工は現在線の側部に仮線路を設置し、該仮線路に鉄道車両を迂回させて運行し、現在線を撤去して橋梁を新設施工し、また桁横取架設工法は現在線の側部で橋桁を製作し、橋桁の完成後、現在線を撤去し、新設の橋梁を横取架設するようにしている。
【0003】
しかし、仮線施工は、仮線用地の確保が困難であったり、用地の借料や買収等に伴なって工費が嵩み、また桁横取架設工法は、桁製作ヤ−ドの確保と桁横取設備を要して、工費が増大するという問題がある。
【0004】
一方、架け替え工事の他の手法として、工事桁や仮設橋脚を用いて鉄道線路を支持しながら、橋桁や橋脚を順次架け替えていく方法がある。
例えば、レンガア−チ橋をコンクリ−ト橋へ架け替える方法として、工事桁をレンガア−チ橋のスパン方向に施工し、鉄道線路を支持するとともに、レンガア−チ橋の橋脚を残して工事桁を支持し、既設の橋桁部を切断・撤去する一方、新設橋脚を施工し、該新設橋脚の間に仮設橋脚を施工し、これら新設および仮設橋脚で工事桁を支持し、既設橋脚を解体・撤去するとともに、新設橋桁を施工し、該橋桁の施工後に工事桁を解体・撤去して鉄道線路を新設橋桁に据え付け、橋の完成後、仮設橋脚を解体・撤去して、鉄道橋の架け替えを行なうようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
こうして施工した鉄道橋の新設橋脚によるスパンは、レンガア−チ橋の既設橋脚によるスパンよりも長くなっており、それだけ橋下スペ−スを拡張し橋下の道路を拡幅し得るが、既設の橋桁部を切断・撤去後、新設橋桁を施工するまでの間、工事桁の強度が不足するため、新設橋脚の間に仮設橋脚の施工を要し、それだけ工期が長期化し工費が高騰する不合理がある。
【0006】
そこで、工事桁をレンガア−チ橋のスパン方向に施工し、鉄道線路を支持するとともに、レンガア−チ橋の既設橋脚を残して工事桁を支持し、既設の橋桁部を切断・撤去する一方、新設橋脚を施工し、該新設橋脚と既設橋脚とで工事桁を支持する。
次に、鉄道線路の両側に主桁をスパン方向に配置し、該主桁を新設橋脚に支持させるとともに、主桁の間に多数の横桁を架設し、工事桁を横桁で支持させた後、既設橋脚を解体・撤去し、主桁と横桁と新設橋脚とをコンクリ−トで一体化し、橋桁を形成後、工事桁を解体・撤去して鉄道線路を橋桁に据え付けるようにしている(例えば、特許文献1参照)
【0007】
しかし、前記改善した架け替え方法は、工事桁とその施工および撤去作業、並びに多数の横桁とその架設作業を要し、作業が煩雑で工期の長期化と工費の高騰および橋梁の重量化を招き、また主桁と横桁と新設橋脚とをコンクリ−トを打設して一体化するため、工期の長期化と工費の高騰を助長し、一方、橋梁の構造も主桁の中間位置に新設橋脚を配置しているため、橋下スペ−スが半減され、その拡張や橋下道路の拡幅が制約されるという問題があった。
【0008】
一方、橋桁のスパンを大きくする方法として、複数の主桁を幅方向に接合し、これらを横ケ−ブルで連結して橋桁を形成するとともに、前記主桁は鉄骨を内臓したコンクリ−ト製の複数の桁材を長さ方向に接合し、これらをプリストレスを付与した内ケ−ブルで連結して構成し、桁高を抑制し橋桁の自重を減少させることによって、スパンを大きくさせるようにした桁橋がある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
しかし、前記桁橋は複数の主桁に多数の横ケ−ブルと内外ケ−ブルとを貫挿して連結するため、工事が煩雑で工費の高騰を助長するとともに、長さ方向に接合した複数の主桁を、鉄骨を介し内外ケ−ブルで連結する構造上、橋の利用を確保しながら架け替えを行なうことが難しく、しかも曲げモ−メントに対する強度上の不安があって、その利用は低荷重用の小形桁橋に限られる問題があった。
【0010】
【特許文献1】特開2002−97608号公報
【特許文献2】特開2003−184029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような問題を解決し、例えば鉄道橋梁の架け替えまたは橋梁下スペ−スの拡張ないし道路の拡幅に好適で、それらの工事を活線下で行なえ、かつその際軌道桁や仮設時の受梁を工事桁として利用し、利用後は新設橋梁の構造部材として利用して、それらの解体・撤去の不合理を解消し、施工の合理化と工期の短縮化並びに工費の低減を図るとともに、構成を簡潔化して新設橋梁の軽量化を図り、更に桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易かつ縮小し得るようにした、橋梁の構造およびその架け替え方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、新設橋梁の新設架道桁と、該架道桁の外側に配置する主桁と、該主桁の間に架設し、かつ前記架道桁を支持可能な桁材と、を備えた橋梁の構造において、新設架道桁を新設橋梁の工事桁として、また前記桁材を新設架道桁の受梁としてそれぞれ利用可能にするとともに、それらの利用後は残置して新設橋梁を構成し、それらの利用後の解体・撤去の不合理を解消するとともに、その有効利用を図って、工期の短縮と工費の低減を図るようにしている。
請求項2の発明は、左右一対の新設架道桁を連結継手を介して連結し、新設架道を構成することで、新設架道の組み立ての容易化と、その小形軽量化を図るようにしている。
請求項3の発明は、前記新設架道桁を桁材上に載架し、それらの間の構成部材の介在をなくして構成を簡潔化し、橋梁の小形軽量化を図るようにしている。
【0013】
請求項4の発明は、前記新設架道桁のスパン方向の端部を前記桁材で支持し、該桁材と前記主桁とを連結するとともに、前記主桁を新設架道桁よりも長尺に形成し、該主桁をスパン方向の最外側端部で支持して、桁材の使用個数を低減し、その設置の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減並びに軽量化を図るとともに、桁材を架設する仮橋脚の使用個数とその設置の手間を軽減し、その分主桁下の橋台または橋脚スパンを拡張して、当該スペ−スの利用を促し、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられるようにしている。
請求項5の発明は、前記桁材と主桁とをPC桁またはRC桁で構成し、これらを堅牢かつ安価に製作するようにしている。
請求項6の発明は、前記新設架道桁を軌道桁とし、前記新設架道桁に直接レ−ルを敷設し、枕木の敷設を省略し、その分工期の短縮化と工費の低減を図るとともに、新設橋梁の軽量化を図るようにしている。
【0014】
請求項7の発明は、既設構造物に沿って仮橋脚を立設後、新設架道桁を施工し、該新設架道桁を前記仮橋脚に支持させた後、前記既設構造物を解体・撤去し、前記新設架道桁に沿って橋台または橋脚を立設し、これらの間に主桁を架設するとともに、該主桁に新設架道桁を支持させた後、前記仮橋脚を解体・撤去する橋梁の架け替え方法において、前記仮橋脚を新設架道桁の端部に立設し、該仮橋脚に架設した桁材に前記新設架道桁を支持し、該桁材を受梁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置するとともに、前記新設架道桁を新設橋梁の工事桁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置し、仮橋脚の立設数を低減し、立設工事の手間を軽減するとともに、新設架道桁と桁材の合理的な利用を図って、工期の短縮化と工費の低減を図る一方、施工区間の仮橋脚を撤去して、撤去後のスペ−スの拡張とその有効利用を促し、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられるようにしている。
【0015】
請求項8の発明は、前記既設構造物を撤去後、新設架道桁の外側で、かつ前記施工区間の両端部に橋台または橋脚を立設し、該橋台または橋脚間に前記主桁を架設し、該主桁に桁材の両端部を連結し、主桁に新設架道桁を支持させた後、前記施工区間の仮橋脚を解体・撤去し、橋台または橋脚の立設数を低減し、その立設工事の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減を図るとともに、施工区間の仮橋脚を解体・撤去して、撤去後のスペ−スの拡張とその有効利用を促し、当該スペ−スの利用範囲を拡大して、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられるようにしている。
【0016】
請求項9の発明は、単一の仮橋脚に二つの桁材を架設し、該桁材に隣接する新設架道桁の端部を支持させ、仮橋脚の立設数を低減し、その立設工事の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減を図るようにしている。
請求項10の発明は、前記既設構造物を撤去後、その撤去スペ−スを桁製作ヤ−ドまたは桁材の架設ヤ−ドの利用を図るようにして、施工現場での桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易にし、工費の低減を図るとともに、施工現場での主桁等の製作や架設を促すようにしている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、新設架道桁を新設橋梁の工事桁として、また前記桁材を新設架道の受梁としてそれぞれ利用可能にするとともに、それらの利用後は残置して新設橋梁を構成したから、それらの利用後の解体・撤去の不合理を解消するとともに、その有効利用を図って、工期の短縮と工費の低減を図ることができる。
請求項2の発明は、左右一対の新設架道桁を連結継手を介して連結し、新設架道を構成したから、新設架道の組み立ての容易化と、その小形軽量化を図ることができる。
請求項3の発明は、前記新設架道桁を桁材上に載架したから、それらの間の構成部材の介在をなくして構成を簡潔化し、橋梁の小形軽量化を図ることができる。
【0018】
請求項4の発明は、前記新設架道桁のスパン方向の端部を前記桁材で支持し、該桁材と前記主桁とを連結するとともに、前記主桁を新設架道桁よりも長尺に形成し、該主桁をスパン方向の最外側端部で支持したから、桁材の使用個数を低減し、その設置の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減並びに軽量化を図るとともに、桁材を架設する仮橋脚の使用個数とその設置の手間を軽減し、その分主桁下の橋台または橋脚スパンを拡張して、当該スペ−スの利用を促し、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられる効果がある。
請求項5の発明は、前記桁材と主桁とをPC桁またはRC桁で構成したから、これらを堅牢かつ安価に製作することができる。
請求項6の発明は、前記新設架道桁を軌道桁とし、前記新設架道桁に直接レ−ルを敷設したから、枕木の敷設を省略し、その分工期の短縮化と工費の低減を図れるとともに、新設橋梁の軽量化を図ることができる。
【0019】
請求項7の発明は、仮橋脚を新設架道桁の端部に立設し、該仮橋脚に架設した桁材に前記新設架道桁を支持し、該桁材を受梁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置するとともに、前記新設架道桁を新設橋梁の工事桁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置するから、仮橋脚の立設数を低減し、立設工事の手間を軽減するとともに、新設架道桁と桁材の合理的な利用を図って、工期の短縮化と工費の低減を図る一方、施工区間の仮橋脚を撤去後のスペ−スの拡張とその有効利用を促し、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられる効果がある。
【0020】
請求項8の発明は、前記既設構造物を撤去後、新設架道桁の外側で、かつ前記施工区間の両端部に橋台または橋脚を立設し、該橋台または橋脚間に前記主桁を架設し、該主桁に桁材の両端部を連結し、主桁に新設架道桁を支持させた後、前記施工区間の仮橋脚を解体・撤去するから、橋台または橋脚の立設数を低減し、その立設工事の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減を図るとともに、施工区間の仮橋脚を解体・撤去して、撤去後のスペ−スの拡張とその有効利用を促し、当該スペ−スの利用範囲を拡大して、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられる効果がある。
【0021】
請求項9の発明は、単一の仮橋脚に二つの桁材を架設し、該桁材に隣接する新設架道桁の端部を支持させるから、仮橋脚の立設数を低減し、その立設工事の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減を図ることができる。
請求項10の発明は、前記既設構造物を撤去後、その撤去スペ−スを桁製作ヤ−ドまたは桁材の架設ヤ−ドの利用を図るようにしたから、施工現場での桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易にし、工費の低減を図れるとともに、施工現場での主桁等の製作や架設を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を地上構造物である鉄道用高架橋の架け替えおよび高架橋下の道路の拡幅に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図3は本発明の施工前における高架橋の状況を示している。
同図において1は地上構造物である既設の鉄道用の橋梁で、該橋梁1は地盤2上に左右一対に立設された複数の既設の橋脚3と、該橋脚3の上端部に架設された横梁4と、隣接する横梁4間を連結する橋桁5と、横梁4上に支持されたRC製、つまり鉄筋コンクリ−ト製の既設の架道桁である床版6とで構成され、該床版6上に既設の架道である軌道7が敷設されている。
【0023】
前記既設の軌道7は図3のように、砕石や砂利等を盛り上げた道床8と、該道床8上に配置した枕木9と、該枕木9に締結具10を介して取り付けたレ−ル11とで構成されている。
前記橋梁1の中間部の橋脚3a,3aの間隔は、他の橋脚3の間隔よりも若干幅広に形成され、それらの横梁4,4に掛止片12,12が突設され、該掛止片12,12間に既設の架橋桁13が架設されている。
図中、14は前記橋脚3a,3a間の地盤2上に形成された車道で、その両側にガ−ドレ−ル等の防護材15を介して、歩道16が設けられている。
【0024】
図4および図5は本発明を施工した高架橋の完成状況を示し、図6乃至図15は本発明に用いた新設の架道桁と、新設橋梁43の施工手順を示している。
本発明による新設橋梁43の架け替えは、鉄道の活線状態を確保しながら施工され、これは前記橋脚3a,3aの略4倍広い施工区間Zにおける既設軌道7の撤去と、同区間Zにおける新設橋梁43の架け替えと、道路14の拡幅とを含んでいる。
前記施工区間Zにおける既設軌道7の撤去に際しては、先ず既設の橋脚3,3の間に杭17を打ち込み、杭17上に型鋼を枠組みした仮橋脚18を立設し、また施工区間Zの両端部に埋設した基礎アンカ−19上に、仮支柱20を立設している。
【0025】
一方、前記仮橋脚18および仮支柱20の立設と前後して、それらの直上に位置する床版6の対応位置に貫通穴(図示略)を形成し、各貫通穴に仮橋脚18および仮支柱20の上端部を挿入し、かつその上端部を床版6上に突出させ、その上端部にPC製または型鋼製の桁材である受梁21,22を同高位置に架設している。
このうち、PC製の受梁21の長さは、後述の新設架道桁の幅員よりも長尺に形成され、その両端部が架道桁の外側に突出し、その突出端部に受梁21の配筋(図示略)が表出しており(図9参照)、また型鋼製の受梁22は橋梁1の架け替え後に仮支柱20と一緒に撤去するようにしている。図中、23は仮橋脚18の上端部に架設した型鋼製の架枠である。
【0026】
このような状況の下で、床版6上の既設軌道7の枕木9と締結装置11を撤去するとともに、重機(図示略)を介して枕木跡の道床8の中央部を開削し、その掘削穴24に軌道桁である架道桁25,26を向き合わせて収容し、これを前記受梁21,22で支持している。
前記架道桁25,26は、図6のように略L字形断面の左右一対のPC桁、つまりPC鋼材27によってプリストレスを付与した鉄筋コンクリ−トで構成され、その段部25a,26aに前記レ−ル11を直接敷設し、枕木9を省略している。
実施形態では、複数の架道桁25,26を施工区間Zに亘って連結して敷設しているが、これを長尺な単体で構成しても良く、そのようにすることで連結の手間が軽減する。
【0027】
前記架道桁25,26は若干離間して対向配置され、その対向端面の間に複数の連結継手28を等間隔に配置している。
前記連結継手28は図6のように、I型鋼の両側に側板29を溶接して略箱形に形成され、該側板29にPC鋼材30を挿入可能な透孔(図示略)を形成し、該側板29にPC鋼材30,30の一端を掛け止め、かつその他端を架道桁25,26の外端部に配置し、そのネジ部にナット(共に図示略)をねじ込んで緊締し、架道桁25,26を連結している。
【0028】
前記架道桁25,26にレール11を敷設後、施工区間Zにおける床版6上の残りの砂利を除去し、既設構造物を構成する橋脚3、床版6および橋桁5を解体・撤去し、仮橋脚18の周辺に桁製作ヤ−ドないし桁の架設ヤ−ドを確保し、主桁34,35を製作し架設するようにしている。
そして、前記架道桁25,26の敷設と前後し、または前記床版6および橋桁5の解体・撤去後、仮支柱20,20より内側の地盤2に杭31を打ち込んでいる。
前記杭31上に基礎アンカ−32を構築し、該アンカ−32上に橋台33,33を立設し、その上端部を架道桁25,26の前後側端部直下に位置付け、それらの間に左右一対のPC製の主桁34,35を支持している。
【0029】
前記主桁34,35は略縦長矩形断面に形成され、その長さは架道桁25,26の略3倍で、橋台33,33間のスパンと略同長に形成されていて、その外側面の中間部に凹溝34a,35aが形成されている。
前記主桁34,35の桁高Hは架道桁25,26の桁高の略3倍に形成され、その剛性を増大させるとともに、その上端部を架道桁25,26の上端部と略同高に配置している
【0030】
前記主桁34,35の前後端部と、PC製の受梁21と桁材である横梁38の対向位置に、略矩形の大小の連結窓36,37が形成され、これらの連結窓36,37に主34,35の配筋(図示略)が縦横に表出している。
そして、前記連結窓36,37の配筋(図示略)に、前記受梁21の端部に表出した配筋(図9参照)と、横梁38の両端部に表出した配筋(図示略)とを係合し、かつ各連結窓36,37にコンクリ−トを打設して、主桁34,35間にPC製の受梁21と横梁38とを連結している。
【0031】
この場合の連結状況は図10および図11のようで、新設軌道を構成する架道桁25,26が主桁34,35の上部に位置する上路構造であるが、施工条件に応じて中路または下路構造を採用することも可能である。
図中、39は架道桁25,26と受梁21および横梁38との間に介挿した緩衝板、40は横梁38と橋台33との間に介挿した緩衝板である。
【0032】
こうして、主桁34,35に受梁21と横梁38とを連結し、主桁34,35の荷重を橋台33に受け渡したところで、前記施工区間の仮橋脚18と仮支柱20と架枠23とを解体・撤去し、主桁34,35直下の橋梁下スペ−ス41を開放かつ拡張する。
実施形態では橋脚3a,3aの間隔の略4倍に拡張し、当該スペ−ス41を道路スペ−スに充当し、該スペ−スに二車線の車道14と歩道16とを建設している。
この他、図中42は鉄道車両ないし建築限界、43は新設橋梁である。
なお、この実施形態では地上構造物として橋梁1を採用しているが、橋梁1の代わりに盛土(図示略)を採用し、該盛土上に軌道7を敷設した既設構造物に本発明を適用することも可能である。
【0033】
このように構成した本発明の橋梁の架け替え方法によって、実際に新設橋梁43を架け替える場合は、鉄道の活線状態を確保しながら施工する。
前記施工方法は、施工区間Zにおける既設軌道7の撤去と、同区間Zにおける新設橋梁43の架け替えと、橋梁下スペ−ス41の道路14の拡幅とを含んでいる。
先ず、施工区間Zの既設軌道7の撤去に際しては、既設の橋脚3,3の間に杭17を打ち込み、杭17上に型鋼を枠組みした仮橋脚18を立設し、また施工区間Zの両端部に埋設した基礎アンカ−19上に、仮支柱20を立設する。
【0034】
一方、前記仮橋脚18および仮支柱20の立設と前後して、それらの直上に位置する床版6の対応位置に所定の貫通穴(図示略)を形成し、各貫通穴に仮橋脚18に架設した架枠23と仮支柱20の上端部とを挿入し、これらを床版6上に突出する。
そして、それらの上端部に床版6の上方から、工事桁としてPC製または型鋼製の受梁21,22を同高位置に架設し、架設後、当該部周辺を一旦埋め戻し、鉄道車両42の走行に備える。
【0035】
前記PC製の受梁21の長さは、架道桁25,26の幅員よりも長尺で、その端部に受梁21の配筋が図9ように表出し、該受梁21は後述のように架け替え後の新設橋梁43の構成部材として使用され、一方、前記受梁22は新設橋梁43の架け替え後に仮支柱20と一緒に撤去される。
【0036】
この場合、受梁21,22は各架道桁25,26の両端部に配置され、中間部に配置されていないから、多数の受梁を設置する従来の工法に比べて、受梁21の数量と設置の手間並びに重量を低減するとともに、隣接する一対の受梁21を仮橋脚18で支持しているから、仮橋脚18の設置数とその立設の手間が低減され、その分仮橋脚18,18のスパンが広がって後述する桁製作ヤ−ドの確保が容易になる。
【0037】
このような状況の下で、既設軌道7を撤去する場合は、床版6上の既設軌道7の枕木9と締結装置11を撤去し、また枕木9を撤去後の道床8の中央部を重機(図示略)で開削し、その掘削穴24に重機を用いて架道桁25,26を個々に収容し、かつこれらを互いに向き合わせ、これを前記受梁21,22で支持する。この状況は図7のようである。
【0038】
前記架道桁25,26は、図6のように略L字形断面の左右一対のPC桁で構成され、その段部25a,26aに前記レ−ル11を、架道桁25,26に設けた締結装置10を介して直接敷設する。
この状況は図8のようで、実施形態では、複数の架道桁25,26を施工区間Zに亘って連結して敷設しているが、これを長尺な単体で構成しても良く、そのようにすることで連結の手間が削減する。
【0039】
前記架道桁25,26は若干離間して対向配置され、その対向端面の間に複数の連結継手28を等間隔に配置する。
前記連結継手28は図6のように、I型鋼の両側に側板29を溶接して略箱形に形成され、該側板29にPC鋼材30を挿入可能な透孔(図示略)を形成しており、該側板29にPC鋼材30,30の一端を掛け止め、かつその他端を架道桁25,26の外端部に配置し、そのネジ部にナット(共に図示略)をねじ込んで緊締し、架道桁25,26を連結する。
【0040】
こうして、架道桁25,26にレール11を敷設し、これらを受梁21,22に受け渡し後、床版6上の道床8の砂利、砕石等を除去し、施工区間Zに位置する既設構造物である床版6と橋桁5、橋脚3、(盛土がある場合は盛土)を解体・撤去したところで、仮橋脚18の周辺に桁製作ヤ−ドまたはその架設ヤ−ドを確保し、主桁34,35を製作する
この場合、施工現場で前記ヤ−ドを確保できない場合は、その近接位置または工場等で主桁34,35を製作し、これを施工現場へ搬送する。
【0041】
そして、前記架道桁25,26の敷設と前後し、または前記床版6および橋桁5の解体・撤去後、仮支柱20,20より内側の地盤2に杭31を打ち込む。
前記杭31上に基礎アンカ−32を構築し、該アンカ−32上に橋台33,33を立設し、その上端部を架道桁25,26の前後側端部直下に位置付け、それらの間に左右一対のPC製の主桁34,35を支持する。
【0042】
前記桁製作ヤ−ドで主桁34,35を製作後、その架設ヤ−ドにおいて重機で吊り上げまたはジャッキアップし、受梁21および横桁38の外端部に位置付ける。この状況は図9のようである。
前記主桁34,35は略縦長矩形断面に形成され、その中間部の外面に凹溝34a,35aが形成され、その桁高Hは架道桁25,26の桁高の略3倍に形成され、その剛性を増大させるとともに、その長さは架道桁25,26の略3倍長で、橋台33,33間のスパンと略同長に形成し、その上端部を架道桁25,26の上端部と略同高に配置している
【0043】
前記主桁34,35は、その前後端部と受梁21の対向位置に略矩形の大小の連結窓36,37が形成され、これらの連結窓36,37に主桁34,35の配筋(図示略)が縦横に表出し、一方、受梁21と横梁38の両端部に配筋が表出している。
【0044】
そこで、主桁34,35に受梁21と横梁38とを連結する場合は、連結窓36,37の配筋(図示略)に、受梁21の端部に表出した配筋(図9参照)と、横梁38の両端部に表出した配筋(図示略)とを係合し、かつ各連結窓36,37にコンクリ−トを打設して、これらを一体に連結する。
【0045】
前記連結状況は図10および図11のようで、軌道7を構成する架道桁25,26が主桁34,35の上部に位置する上路構造であるが、施工条件に応じて中路または下路構造を採用することも可能である。
【0046】
こうして、主桁34,35に受梁21と横梁38とを連結し、主桁34,35の荷重を橋台33に受け渡したところで、前記施工区間Zの仮橋脚18と仮支柱20と架枠23とを解体・撤去し、主桁34,35直下の橋梁下スペ−ス41を開放かつ拡張する。
この場合、実施形態では主桁34,35の両端部を橋台33で支持し、その中間部に橋脚や橋台を配置していないから、その分橋梁下スペ−ス41が有効に拡張される。
実施形態では、橋梁下スペ−ス41が架け替え前の橋脚3a,3aの間隔の略4倍に拡張され、当該スペ−ス41を道路スペ−スに充当して、該スペ−スに二車線の車道14と歩道16とが建設される。
【0047】
このように本発明の橋梁の架け替えは、レ−ル11を現位置に存置したまま、既設の橋梁1を、架道桁25,26、受梁21、横桁38、主桁34,35等で構成する新たな橋梁に架け替えているから、従来の仮線施工や桁横取架設工法を採ることなく、施工時における鉄道車両42の運行を確保でき、しかも仮線施工や桁横取架設工法における仮線用地の確保や、広大な桁製作ヤ−ドおよび架設ヤ−ドの確保を要せず、工費の高騰と設備費の低減を図れる。
【0048】
しかも、前記架け替えに際しては、軌道桁である架道桁25,26を仮設工事桁として利用するから、新たな工事桁を要せず合理的かつ安価に施工できるとともに、架け替え後は橋梁の構成部材として利用するため、従来の工事桁のように架け替え後の解体・撤去を要さず、その分工期を短縮し工費を低減できる。
【0049】
こうして架け替えた新設橋梁43は、架道を構成する架道桁25,26と、受梁21および横桁38と、主桁34,35と、橋台33とで構成され、前記主桁34,35のスパン方向の端部に受梁21,22と横桁38とを架設し、これらを一体に連結するとともに、前記主桁34,35のスパン方向の最外側端部のみ橋台33または橋脚で支持している
【0050】
したがって、桁材である受梁21,22と横桁38の使用個数を低減し、その設置の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減並びに軽量化を図れるとともに、受梁21を架設する仮橋脚18の使用個数とその設置の手間を軽減し、また主桁下の橋台33または橋脚スパンを拡張して、当該スペ−スの利用範囲を拡大して、例えば主桁下の道路等の拡幅に応じられる。
なお、前述の実施形態は受梁21,22と主桁34,35とをPC桁で構成し、それらを前述のように連結しているが、受梁21,22と主桁34,35とをRC桁で構成し、それらを連結金具とボルト・ナット等を用いて連結することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
このように本発明の橋梁の構造およびその架け替え方法は、例えば工事を活線下で行なえ、かつその際軌道桁や仮設時の受梁を工事桁として利用し、利用後は新設橋梁の構造部材として利用して、それらの解体・撤去の不合理を解消し、施工の合理化と工期の短縮化並びに工費の低減を図るとともに、構成を簡潔化して新設橋梁の軽量化を図り、更に桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易かつ縮小し得るようにしたから、例えば鉄道橋梁の架け替えまたは橋梁下スペ−スの拡張ないし道路の拡幅に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の施工前の既設橋梁の状況を示す正面図である。
【図2】図1の平面図で、若干拡大して示している。
【図3】本発明の施工前の軌道の要部を示す断面図である。
【図4】本発明を施工した新設橋梁の状況を示す正面図である。
【図5】図4の平面図で、若干拡大して示している。
【図6】本発明に適用した架道桁の組み立て状態を示す斜視図である。
【0053】
【図7】本発明による施工状態を示す断面図で、既設軌道を撤去し、同位置に受梁を敷設し、新設軌道の架道桁を設置している状況を示している。
【図8】本発明による施工状態を示す断面図で、既設軌道を撤去し、同位置に受梁を敷設し、新設軌道の架道桁を設置後、レ−ルを敷設している状況を示している。
【図9】本発明による施工状態を示す断面図で、既設軌道を撤去し、同位置に受梁を敷設し、新設軌道の架道桁を設置しレ−ルを敷設後、受梁に主桁を連結する状況を示している。
【図10】図5のA−A線に沿う拡大断面図である。
【0054】
【図11】図5のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図12】図10のC−C線に沿う部分断面図である。
【図13】本発明による施工状態を示す正面図で、施工区間に複数の仮橋脚を立設し、既設橋梁を撤去し、新設橋梁の架道桁を敷設している状況を示している。
【図14】本発明による施工状態を示す正面図で、施工区間に複数の仮橋脚を立設し、既設橋梁を撤去し、新設橋梁の架道桁を敷設後、仮支柱と橋台とを立設している状況を示している。
【図15】本発明による施工状態を示す正面図で、施工区間に複数の仮橋脚を立設し、既設橋梁を撤去し、新設橋梁の架道桁を敷設後、仮支柱と橋台とを立設し、橋台間に主桁を架設している状況を示している。
【符号の説明】
【0055】
1 地上構造物(既設橋梁)
3 既設橋脚
5 既設橋桁
6 既設架道桁(床版)
7 既設架道(軌道)
11 レ−ル
21 桁材(受梁)
25,26 新設架道桁
28 連結継手
33 橋台
34,35 主桁
38 桁材(横桁)
43 新設橋梁
Z 施工区間
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道橋梁の架け替えまたは橋梁下スペ−スの拡張ないし道路の拡幅に好適で、それらの工事を活線下で行なえ、かつその際軌道桁や仮設時の受梁を工事桁として利用し、利用後は新設橋梁の構造部材として利用して、それらの解体・撤去の不合理を解消し、施工の合理化と工期の短縮化並びに工費の低減を図るとともに、構成を簡潔化して新設橋梁の軽量化を図り、更に桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易かつ縮小し得るようにした、橋梁の構造およびその架け替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば老朽化や輸送量増加等によって鉄道橋の架け替えの必要を生じた場合、その架け替え工事は、代替輸送路の確保が困難な場合が多いため、鉄道の運行を確保しながら行なわれることが多い。
そのような架け替え工事の手法として、一般的に仮線施工や桁横取架設工法等が採られる。このうち、仮線施工は現在線の側部に仮線路を設置し、該仮線路に鉄道車両を迂回させて運行し、現在線を撤去して橋梁を新設施工し、また桁横取架設工法は現在線の側部で橋桁を製作し、橋桁の完成後、現在線を撤去し、新設の橋梁を横取架設するようにしている。
【0003】
しかし、仮線施工は、仮線用地の確保が困難であったり、用地の借料や買収等に伴なって工費が嵩み、また桁横取架設工法は、桁製作ヤ−ドの確保と桁横取設備を要して、工費が増大するという問題がある。
【0004】
一方、架け替え工事の他の手法として、工事桁や仮設橋脚を用いて鉄道線路を支持しながら、橋桁や橋脚を順次架け替えていく方法がある。
例えば、レンガア−チ橋をコンクリ−ト橋へ架け替える方法として、工事桁をレンガア−チ橋のスパン方向に施工し、鉄道線路を支持するとともに、レンガア−チ橋の橋脚を残して工事桁を支持し、既設の橋桁部を切断・撤去する一方、新設橋脚を施工し、該新設橋脚の間に仮設橋脚を施工し、これら新設および仮設橋脚で工事桁を支持し、既設橋脚を解体・撤去するとともに、新設橋桁を施工し、該橋桁の施工後に工事桁を解体・撤去して鉄道線路を新設橋桁に据え付け、橋の完成後、仮設橋脚を解体・撤去して、鉄道橋の架け替えを行なうようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
こうして施工した鉄道橋の新設橋脚によるスパンは、レンガア−チ橋の既設橋脚によるスパンよりも長くなっており、それだけ橋下スペ−スを拡張し橋下の道路を拡幅し得るが、既設の橋桁部を切断・撤去後、新設橋桁を施工するまでの間、工事桁の強度が不足するため、新設橋脚の間に仮設橋脚の施工を要し、それだけ工期が長期化し工費が高騰する不合理がある。
【0006】
そこで、工事桁をレンガア−チ橋のスパン方向に施工し、鉄道線路を支持するとともに、レンガア−チ橋の既設橋脚を残して工事桁を支持し、既設の橋桁部を切断・撤去する一方、新設橋脚を施工し、該新設橋脚と既設橋脚とで工事桁を支持する。
次に、鉄道線路の両側に主桁をスパン方向に配置し、該主桁を新設橋脚に支持させるとともに、主桁の間に多数の横桁を架設し、工事桁を横桁で支持させた後、既設橋脚を解体・撤去し、主桁と横桁と新設橋脚とをコンクリ−トで一体化し、橋桁を形成後、工事桁を解体・撤去して鉄道線路を橋桁に据え付けるようにしている(例えば、特許文献1参照)
【0007】
しかし、前記改善した架け替え方法は、工事桁とその施工および撤去作業、並びに多数の横桁とその架設作業を要し、作業が煩雑で工期の長期化と工費の高騰および橋梁の重量化を招き、また主桁と横桁と新設橋脚とをコンクリ−トを打設して一体化するため、工期の長期化と工費の高騰を助長し、一方、橋梁の構造も主桁の中間位置に新設橋脚を配置しているため、橋下スペ−スが半減され、その拡張や橋下道路の拡幅が制約されるという問題があった。
【0008】
一方、橋桁のスパンを大きくする方法として、複数の主桁を幅方向に接合し、これらを横ケ−ブルで連結して橋桁を形成するとともに、前記主桁は鉄骨を内臓したコンクリ−ト製の複数の桁材を長さ方向に接合し、これらをプリストレスを付与した内ケ−ブルで連結して構成し、桁高を抑制し橋桁の自重を減少させることによって、スパンを大きくさせるようにした桁橋がある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
しかし、前記桁橋は複数の主桁に多数の横ケ−ブルと内外ケ−ブルとを貫挿して連結するため、工事が煩雑で工費の高騰を助長するとともに、長さ方向に接合した複数の主桁を、鉄骨を介し内外ケ−ブルで連結する構造上、橋の利用を確保しながら架け替えを行なうことが難しく、しかも曲げモ−メントに対する強度上の不安があって、その利用は低荷重用の小形桁橋に限られる問題があった。
【0010】
【特許文献1】特開2002−97608号公報
【特許文献2】特開2003−184029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような問題を解決し、例えば鉄道橋梁の架け替えまたは橋梁下スペ−スの拡張ないし道路の拡幅に好適で、それらの工事を活線下で行なえ、かつその際軌道桁や仮設時の受梁を工事桁として利用し、利用後は新設橋梁の構造部材として利用して、それらの解体・撤去の不合理を解消し、施工の合理化と工期の短縮化並びに工費の低減を図るとともに、構成を簡潔化して新設橋梁の軽量化を図り、更に桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易かつ縮小し得るようにした、橋梁の構造およびその架け替え方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、新設橋梁の新設架道桁と、該架道桁の外側に配置する主桁と、該主桁の間に架設し、かつ前記架道桁を支持可能な桁材と、を備えた橋梁の構造において、新設架道桁を新設橋梁の工事桁として、また前記桁材を新設架道桁の受梁としてそれぞれ利用可能にするとともに、それらの利用後は残置して新設橋梁を構成し、それらの利用後の解体・撤去の不合理を解消するとともに、その有効利用を図って、工期の短縮と工費の低減を図るようにしている。
請求項2の発明は、左右一対の新設架道桁を連結継手を介して連結し、新設架道を構成することで、新設架道の組み立ての容易化と、その小形軽量化を図るようにしている。
請求項3の発明は、前記新設架道桁を桁材上に載架し、それらの間の構成部材の介在をなくして構成を簡潔化し、橋梁の小形軽量化を図るようにしている。
【0013】
請求項4の発明は、前記新設架道桁のスパン方向の端部を前記桁材で支持し、該桁材と前記主桁とを連結するとともに、前記主桁を新設架道桁よりも長尺に形成し、該主桁をスパン方向の最外側端部で支持して、桁材の使用個数を低減し、その設置の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減並びに軽量化を図るとともに、桁材を架設する仮橋脚の使用個数とその設置の手間を軽減し、その分主桁下の橋台または橋脚スパンを拡張して、当該スペ−スの利用を促し、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられるようにしている。
請求項5の発明は、前記桁材と主桁とをPC桁またはRC桁で構成し、これらを堅牢かつ安価に製作するようにしている。
請求項6の発明は、前記新設架道桁を軌道桁とし、前記新設架道桁に直接レ−ルを敷設し、枕木の敷設を省略し、その分工期の短縮化と工費の低減を図るとともに、新設橋梁の軽量化を図るようにしている。
【0014】
請求項7の発明は、既設構造物に沿って仮橋脚を立設後、新設架道桁を施工し、該新設架道桁を前記仮橋脚に支持させた後、前記既設構造物を解体・撤去し、前記新設架道桁に沿って橋台または橋脚を立設し、これらの間に主桁を架設するとともに、該主桁に新設架道桁を支持させた後、前記仮橋脚を解体・撤去する橋梁の架け替え方法において、前記仮橋脚を新設架道桁の端部に立設し、該仮橋脚に架設した桁材に前記新設架道桁を支持し、該桁材を受梁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置するとともに、前記新設架道桁を新設橋梁の工事桁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置し、仮橋脚の立設数を低減し、立設工事の手間を軽減するとともに、新設架道桁と桁材の合理的な利用を図って、工期の短縮化と工費の低減を図る一方、施工区間の仮橋脚を撤去して、撤去後のスペ−スの拡張とその有効利用を促し、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられるようにしている。
【0015】
請求項8の発明は、前記既設構造物を撤去後、新設架道桁の外側で、かつ前記施工区間の両端部に橋台または橋脚を立設し、該橋台または橋脚間に前記主桁を架設し、該主桁に桁材の両端部を連結し、主桁に新設架道桁を支持させた後、前記施工区間の仮橋脚を解体・撤去し、橋台または橋脚の立設数を低減し、その立設工事の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減を図るとともに、施工区間の仮橋脚を解体・撤去して、撤去後のスペ−スの拡張とその有効利用を促し、当該スペ−スの利用範囲を拡大して、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられるようにしている。
【0016】
請求項9の発明は、単一の仮橋脚に二つの桁材を架設し、該桁材に隣接する新設架道桁の端部を支持させ、仮橋脚の立設数を低減し、その立設工事の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減を図るようにしている。
請求項10の発明は、前記既設構造物を撤去後、その撤去スペ−スを桁製作ヤ−ドまたは桁材の架設ヤ−ドの利用を図るようにして、施工現場での桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易にし、工費の低減を図るとともに、施工現場での主桁等の製作や架設を促すようにしている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、新設架道桁を新設橋梁の工事桁として、また前記桁材を新設架道の受梁としてそれぞれ利用可能にするとともに、それらの利用後は残置して新設橋梁を構成したから、それらの利用後の解体・撤去の不合理を解消するとともに、その有効利用を図って、工期の短縮と工費の低減を図ることができる。
請求項2の発明は、左右一対の新設架道桁を連結継手を介して連結し、新設架道を構成したから、新設架道の組み立ての容易化と、その小形軽量化を図ることができる。
請求項3の発明は、前記新設架道桁を桁材上に載架したから、それらの間の構成部材の介在をなくして構成を簡潔化し、橋梁の小形軽量化を図ることができる。
【0018】
請求項4の発明は、前記新設架道桁のスパン方向の端部を前記桁材で支持し、該桁材と前記主桁とを連結するとともに、前記主桁を新設架道桁よりも長尺に形成し、該主桁をスパン方向の最外側端部で支持したから、桁材の使用個数を低減し、その設置の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減並びに軽量化を図るとともに、桁材を架設する仮橋脚の使用個数とその設置の手間を軽減し、その分主桁下の橋台または橋脚スパンを拡張して、当該スペ−スの利用を促し、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられる効果がある。
請求項5の発明は、前記桁材と主桁とをPC桁またはRC桁で構成したから、これらを堅牢かつ安価に製作することができる。
請求項6の発明は、前記新設架道桁を軌道桁とし、前記新設架道桁に直接レ−ルを敷設したから、枕木の敷設を省略し、その分工期の短縮化と工費の低減を図れるとともに、新設橋梁の軽量化を図ることができる。
【0019】
請求項7の発明は、仮橋脚を新設架道桁の端部に立設し、該仮橋脚に架設した桁材に前記新設架道桁を支持し、該桁材を受梁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置するとともに、前記新設架道桁を新設橋梁の工事桁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置するから、仮橋脚の立設数を低減し、立設工事の手間を軽減するとともに、新設架道桁と桁材の合理的な利用を図って、工期の短縮化と工費の低減を図る一方、施工区間の仮橋脚を撤去後のスペ−スの拡張とその有効利用を促し、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられる効果がある。
【0020】
請求項8の発明は、前記既設構造物を撤去後、新設架道桁の外側で、かつ前記施工区間の両端部に橋台または橋脚を立設し、該橋台または橋脚間に前記主桁を架設し、該主桁に桁材の両端部を連結し、主桁に新設架道桁を支持させた後、前記施工区間の仮橋脚を解体・撤去するから、橋台または橋脚の立設数を低減し、その立設工事の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減を図るとともに、施工区間の仮橋脚を解体・撤去して、撤去後のスペ−スの拡張とその有効利用を促し、当該スペ−スの利用範囲を拡大して、例えば新設橋梁下の道路等の拡幅に応じられる効果がある。
【0021】
請求項9の発明は、単一の仮橋脚に二つの桁材を架設し、該桁材に隣接する新設架道桁の端部を支持させるから、仮橋脚の立設数を低減し、その立設工事の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減を図ることができる。
請求項10の発明は、前記既設構造物を撤去後、その撤去スペ−スを桁製作ヤ−ドまたは桁材の架設ヤ−ドの利用を図るようにしたから、施工現場での桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易にし、工費の低減を図れるとともに、施工現場での主桁等の製作や架設を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を地上構造物である鉄道用高架橋の架け替えおよび高架橋下の道路の拡幅に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図3は本発明の施工前における高架橋の状況を示している。
同図において1は地上構造物である既設の鉄道用の橋梁で、該橋梁1は地盤2上に左右一対に立設された複数の既設の橋脚3と、該橋脚3の上端部に架設された横梁4と、隣接する横梁4間を連結する橋桁5と、横梁4上に支持されたRC製、つまり鉄筋コンクリ−ト製の既設の架道桁である床版6とで構成され、該床版6上に既設の架道である軌道7が敷設されている。
【0023】
前記既設の軌道7は図3のように、砕石や砂利等を盛り上げた道床8と、該道床8上に配置した枕木9と、該枕木9に締結具10を介して取り付けたレ−ル11とで構成されている。
前記橋梁1の中間部の橋脚3a,3aの間隔は、他の橋脚3の間隔よりも若干幅広に形成され、それらの横梁4,4に掛止片12,12が突設され、該掛止片12,12間に既設の架橋桁13が架設されている。
図中、14は前記橋脚3a,3a間の地盤2上に形成された車道で、その両側にガ−ドレ−ル等の防護材15を介して、歩道16が設けられている。
【0024】
図4および図5は本発明を施工した高架橋の完成状況を示し、図6乃至図15は本発明に用いた新設の架道桁と、新設橋梁43の施工手順を示している。
本発明による新設橋梁43の架け替えは、鉄道の活線状態を確保しながら施工され、これは前記橋脚3a,3aの略4倍広い施工区間Zにおける既設軌道7の撤去と、同区間Zにおける新設橋梁43の架け替えと、道路14の拡幅とを含んでいる。
前記施工区間Zにおける既設軌道7の撤去に際しては、先ず既設の橋脚3,3の間に杭17を打ち込み、杭17上に型鋼を枠組みした仮橋脚18を立設し、また施工区間Zの両端部に埋設した基礎アンカ−19上に、仮支柱20を立設している。
【0025】
一方、前記仮橋脚18および仮支柱20の立設と前後して、それらの直上に位置する床版6の対応位置に貫通穴(図示略)を形成し、各貫通穴に仮橋脚18および仮支柱20の上端部を挿入し、かつその上端部を床版6上に突出させ、その上端部にPC製または型鋼製の桁材である受梁21,22を同高位置に架設している。
このうち、PC製の受梁21の長さは、後述の新設架道桁の幅員よりも長尺に形成され、その両端部が架道桁の外側に突出し、その突出端部に受梁21の配筋(図示略)が表出しており(図9参照)、また型鋼製の受梁22は橋梁1の架け替え後に仮支柱20と一緒に撤去するようにしている。図中、23は仮橋脚18の上端部に架設した型鋼製の架枠である。
【0026】
このような状況の下で、床版6上の既設軌道7の枕木9と締結装置11を撤去するとともに、重機(図示略)を介して枕木跡の道床8の中央部を開削し、その掘削穴24に軌道桁である架道桁25,26を向き合わせて収容し、これを前記受梁21,22で支持している。
前記架道桁25,26は、図6のように略L字形断面の左右一対のPC桁、つまりPC鋼材27によってプリストレスを付与した鉄筋コンクリ−トで構成され、その段部25a,26aに前記レ−ル11を直接敷設し、枕木9を省略している。
実施形態では、複数の架道桁25,26を施工区間Zに亘って連結して敷設しているが、これを長尺な単体で構成しても良く、そのようにすることで連結の手間が軽減する。
【0027】
前記架道桁25,26は若干離間して対向配置され、その対向端面の間に複数の連結継手28を等間隔に配置している。
前記連結継手28は図6のように、I型鋼の両側に側板29を溶接して略箱形に形成され、該側板29にPC鋼材30を挿入可能な透孔(図示略)を形成し、該側板29にPC鋼材30,30の一端を掛け止め、かつその他端を架道桁25,26の外端部に配置し、そのネジ部にナット(共に図示略)をねじ込んで緊締し、架道桁25,26を連結している。
【0028】
前記架道桁25,26にレール11を敷設後、施工区間Zにおける床版6上の残りの砂利を除去し、既設構造物を構成する橋脚3、床版6および橋桁5を解体・撤去し、仮橋脚18の周辺に桁製作ヤ−ドないし桁の架設ヤ−ドを確保し、主桁34,35を製作し架設するようにしている。
そして、前記架道桁25,26の敷設と前後し、または前記床版6および橋桁5の解体・撤去後、仮支柱20,20より内側の地盤2に杭31を打ち込んでいる。
前記杭31上に基礎アンカ−32を構築し、該アンカ−32上に橋台33,33を立設し、その上端部を架道桁25,26の前後側端部直下に位置付け、それらの間に左右一対のPC製の主桁34,35を支持している。
【0029】
前記主桁34,35は略縦長矩形断面に形成され、その長さは架道桁25,26の略3倍で、橋台33,33間のスパンと略同長に形成されていて、その外側面の中間部に凹溝34a,35aが形成されている。
前記主桁34,35の桁高Hは架道桁25,26の桁高の略3倍に形成され、その剛性を増大させるとともに、その上端部を架道桁25,26の上端部と略同高に配置している
【0030】
前記主桁34,35の前後端部と、PC製の受梁21と桁材である横梁38の対向位置に、略矩形の大小の連結窓36,37が形成され、これらの連結窓36,37に主34,35の配筋(図示略)が縦横に表出している。
そして、前記連結窓36,37の配筋(図示略)に、前記受梁21の端部に表出した配筋(図9参照)と、横梁38の両端部に表出した配筋(図示略)とを係合し、かつ各連結窓36,37にコンクリ−トを打設して、主桁34,35間にPC製の受梁21と横梁38とを連結している。
【0031】
この場合の連結状況は図10および図11のようで、新設軌道を構成する架道桁25,26が主桁34,35の上部に位置する上路構造であるが、施工条件に応じて中路または下路構造を採用することも可能である。
図中、39は架道桁25,26と受梁21および横梁38との間に介挿した緩衝板、40は横梁38と橋台33との間に介挿した緩衝板である。
【0032】
こうして、主桁34,35に受梁21と横梁38とを連結し、主桁34,35の荷重を橋台33に受け渡したところで、前記施工区間の仮橋脚18と仮支柱20と架枠23とを解体・撤去し、主桁34,35直下の橋梁下スペ−ス41を開放かつ拡張する。
実施形態では橋脚3a,3aの間隔の略4倍に拡張し、当該スペ−ス41を道路スペ−スに充当し、該スペ−スに二車線の車道14と歩道16とを建設している。
この他、図中42は鉄道車両ないし建築限界、43は新設橋梁である。
なお、この実施形態では地上構造物として橋梁1を採用しているが、橋梁1の代わりに盛土(図示略)を採用し、該盛土上に軌道7を敷設した既設構造物に本発明を適用することも可能である。
【0033】
このように構成した本発明の橋梁の架け替え方法によって、実際に新設橋梁43を架け替える場合は、鉄道の活線状態を確保しながら施工する。
前記施工方法は、施工区間Zにおける既設軌道7の撤去と、同区間Zにおける新設橋梁43の架け替えと、橋梁下スペ−ス41の道路14の拡幅とを含んでいる。
先ず、施工区間Zの既設軌道7の撤去に際しては、既設の橋脚3,3の間に杭17を打ち込み、杭17上に型鋼を枠組みした仮橋脚18を立設し、また施工区間Zの両端部に埋設した基礎アンカ−19上に、仮支柱20を立設する。
【0034】
一方、前記仮橋脚18および仮支柱20の立設と前後して、それらの直上に位置する床版6の対応位置に所定の貫通穴(図示略)を形成し、各貫通穴に仮橋脚18に架設した架枠23と仮支柱20の上端部とを挿入し、これらを床版6上に突出する。
そして、それらの上端部に床版6の上方から、工事桁としてPC製または型鋼製の受梁21,22を同高位置に架設し、架設後、当該部周辺を一旦埋め戻し、鉄道車両42の走行に備える。
【0035】
前記PC製の受梁21の長さは、架道桁25,26の幅員よりも長尺で、その端部に受梁21の配筋が図9ように表出し、該受梁21は後述のように架け替え後の新設橋梁43の構成部材として使用され、一方、前記受梁22は新設橋梁43の架け替え後に仮支柱20と一緒に撤去される。
【0036】
この場合、受梁21,22は各架道桁25,26の両端部に配置され、中間部に配置されていないから、多数の受梁を設置する従来の工法に比べて、受梁21の数量と設置の手間並びに重量を低減するとともに、隣接する一対の受梁21を仮橋脚18で支持しているから、仮橋脚18の設置数とその立設の手間が低減され、その分仮橋脚18,18のスパンが広がって後述する桁製作ヤ−ドの確保が容易になる。
【0037】
このような状況の下で、既設軌道7を撤去する場合は、床版6上の既設軌道7の枕木9と締結装置11を撤去し、また枕木9を撤去後の道床8の中央部を重機(図示略)で開削し、その掘削穴24に重機を用いて架道桁25,26を個々に収容し、かつこれらを互いに向き合わせ、これを前記受梁21,22で支持する。この状況は図7のようである。
【0038】
前記架道桁25,26は、図6のように略L字形断面の左右一対のPC桁で構成され、その段部25a,26aに前記レ−ル11を、架道桁25,26に設けた締結装置10を介して直接敷設する。
この状況は図8のようで、実施形態では、複数の架道桁25,26を施工区間Zに亘って連結して敷設しているが、これを長尺な単体で構成しても良く、そのようにすることで連結の手間が削減する。
【0039】
前記架道桁25,26は若干離間して対向配置され、その対向端面の間に複数の連結継手28を等間隔に配置する。
前記連結継手28は図6のように、I型鋼の両側に側板29を溶接して略箱形に形成され、該側板29にPC鋼材30を挿入可能な透孔(図示略)を形成しており、該側板29にPC鋼材30,30の一端を掛け止め、かつその他端を架道桁25,26の外端部に配置し、そのネジ部にナット(共に図示略)をねじ込んで緊締し、架道桁25,26を連結する。
【0040】
こうして、架道桁25,26にレール11を敷設し、これらを受梁21,22に受け渡し後、床版6上の道床8の砂利、砕石等を除去し、施工区間Zに位置する既設構造物である床版6と橋桁5、橋脚3、(盛土がある場合は盛土)を解体・撤去したところで、仮橋脚18の周辺に桁製作ヤ−ドまたはその架設ヤ−ドを確保し、主桁34,35を製作する
この場合、施工現場で前記ヤ−ドを確保できない場合は、その近接位置または工場等で主桁34,35を製作し、これを施工現場へ搬送する。
【0041】
そして、前記架道桁25,26の敷設と前後し、または前記床版6および橋桁5の解体・撤去後、仮支柱20,20より内側の地盤2に杭31を打ち込む。
前記杭31上に基礎アンカ−32を構築し、該アンカ−32上に橋台33,33を立設し、その上端部を架道桁25,26の前後側端部直下に位置付け、それらの間に左右一対のPC製の主桁34,35を支持する。
【0042】
前記桁製作ヤ−ドで主桁34,35を製作後、その架設ヤ−ドにおいて重機で吊り上げまたはジャッキアップし、受梁21および横桁38の外端部に位置付ける。この状況は図9のようである。
前記主桁34,35は略縦長矩形断面に形成され、その中間部の外面に凹溝34a,35aが形成され、その桁高Hは架道桁25,26の桁高の略3倍に形成され、その剛性を増大させるとともに、その長さは架道桁25,26の略3倍長で、橋台33,33間のスパンと略同長に形成し、その上端部を架道桁25,26の上端部と略同高に配置している
【0043】
前記主桁34,35は、その前後端部と受梁21の対向位置に略矩形の大小の連結窓36,37が形成され、これらの連結窓36,37に主桁34,35の配筋(図示略)が縦横に表出し、一方、受梁21と横梁38の両端部に配筋が表出している。
【0044】
そこで、主桁34,35に受梁21と横梁38とを連結する場合は、連結窓36,37の配筋(図示略)に、受梁21の端部に表出した配筋(図9参照)と、横梁38の両端部に表出した配筋(図示略)とを係合し、かつ各連結窓36,37にコンクリ−トを打設して、これらを一体に連結する。
【0045】
前記連結状況は図10および図11のようで、軌道7を構成する架道桁25,26が主桁34,35の上部に位置する上路構造であるが、施工条件に応じて中路または下路構造を採用することも可能である。
【0046】
こうして、主桁34,35に受梁21と横梁38とを連結し、主桁34,35の荷重を橋台33に受け渡したところで、前記施工区間Zの仮橋脚18と仮支柱20と架枠23とを解体・撤去し、主桁34,35直下の橋梁下スペ−ス41を開放かつ拡張する。
この場合、実施形態では主桁34,35の両端部を橋台33で支持し、その中間部に橋脚や橋台を配置していないから、その分橋梁下スペ−ス41が有効に拡張される。
実施形態では、橋梁下スペ−ス41が架け替え前の橋脚3a,3aの間隔の略4倍に拡張され、当該スペ−ス41を道路スペ−スに充当して、該スペ−スに二車線の車道14と歩道16とが建設される。
【0047】
このように本発明の橋梁の架け替えは、レ−ル11を現位置に存置したまま、既設の橋梁1を、架道桁25,26、受梁21、横桁38、主桁34,35等で構成する新たな橋梁に架け替えているから、従来の仮線施工や桁横取架設工法を採ることなく、施工時における鉄道車両42の運行を確保でき、しかも仮線施工や桁横取架設工法における仮線用地の確保や、広大な桁製作ヤ−ドおよび架設ヤ−ドの確保を要せず、工費の高騰と設備費の低減を図れる。
【0048】
しかも、前記架け替えに際しては、軌道桁である架道桁25,26を仮設工事桁として利用するから、新たな工事桁を要せず合理的かつ安価に施工できるとともに、架け替え後は橋梁の構成部材として利用するため、従来の工事桁のように架け替え後の解体・撤去を要さず、その分工期を短縮し工費を低減できる。
【0049】
こうして架け替えた新設橋梁43は、架道を構成する架道桁25,26と、受梁21および横桁38と、主桁34,35と、橋台33とで構成され、前記主桁34,35のスパン方向の端部に受梁21,22と横桁38とを架設し、これらを一体に連結するとともに、前記主桁34,35のスパン方向の最外側端部のみ橋台33または橋脚で支持している
【0050】
したがって、桁材である受梁21,22と横桁38の使用個数を低減し、その設置の手間を軽減して、工期の短縮化と工費の低減並びに軽量化を図れるとともに、受梁21を架設する仮橋脚18の使用個数とその設置の手間を軽減し、また主桁下の橋台33または橋脚スパンを拡張して、当該スペ−スの利用範囲を拡大して、例えば主桁下の道路等の拡幅に応じられる。
なお、前述の実施形態は受梁21,22と主桁34,35とをPC桁で構成し、それらを前述のように連結しているが、受梁21,22と主桁34,35とをRC桁で構成し、それらを連結金具とボルト・ナット等を用いて連結することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
このように本発明の橋梁の構造およびその架け替え方法は、例えば工事を活線下で行なえ、かつその際軌道桁や仮設時の受梁を工事桁として利用し、利用後は新設橋梁の構造部材として利用して、それらの解体・撤去の不合理を解消し、施工の合理化と工期の短縮化並びに工費の低減を図るとともに、構成を簡潔化して新設橋梁の軽量化を図り、更に桁製作ヤ−ドまたは架設ヤ−ドの確保を容易かつ縮小し得るようにしたから、例えば鉄道橋梁の架け替えまたは橋梁下スペ−スの拡張ないし道路の拡幅に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の施工前の既設橋梁の状況を示す正面図である。
【図2】図1の平面図で、若干拡大して示している。
【図3】本発明の施工前の軌道の要部を示す断面図である。
【図4】本発明を施工した新設橋梁の状況を示す正面図である。
【図5】図4の平面図で、若干拡大して示している。
【図6】本発明に適用した架道桁の組み立て状態を示す斜視図である。
【0053】
【図7】本発明による施工状態を示す断面図で、既設軌道を撤去し、同位置に受梁を敷設し、新設軌道の架道桁を設置している状況を示している。
【図8】本発明による施工状態を示す断面図で、既設軌道を撤去し、同位置に受梁を敷設し、新設軌道の架道桁を設置後、レ−ルを敷設している状況を示している。
【図9】本発明による施工状態を示す断面図で、既設軌道を撤去し、同位置に受梁を敷設し、新設軌道の架道桁を設置しレ−ルを敷設後、受梁に主桁を連結する状況を示している。
【図10】図5のA−A線に沿う拡大断面図である。
【0054】
【図11】図5のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図12】図10のC−C線に沿う部分断面図である。
【図13】本発明による施工状態を示す正面図で、施工区間に複数の仮橋脚を立設し、既設橋梁を撤去し、新設橋梁の架道桁を敷設している状況を示している。
【図14】本発明による施工状態を示す正面図で、施工区間に複数の仮橋脚を立設し、既設橋梁を撤去し、新設橋梁の架道桁を敷設後、仮支柱と橋台とを立設している状況を示している。
【図15】本発明による施工状態を示す正面図で、施工区間に複数の仮橋脚を立設し、既設橋梁を撤去し、新設橋梁の架道桁を敷設後、仮支柱と橋台とを立設し、橋台間に主桁を架設している状況を示している。
【符号の説明】
【0055】
1 地上構造物(既設橋梁)
3 既設橋脚
5 既設橋桁
6 既設架道桁(床版)
7 既設架道(軌道)
11 レ−ル
21 桁材(受梁)
25,26 新設架道桁
28 連結継手
33 橋台
34,35 主桁
38 桁材(横桁)
43 新設橋梁
Z 施工区間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新設橋梁の新設架道桁と、該架道桁の外側に配置する主桁と、該主桁の間に架設し、かつ前記架道桁を支持可能な桁材と、を備えた橋梁の構造において、新設架道桁を新設橋梁の工事桁として、また前記桁材を新設架道桁の受梁としてそれぞれ利用可能にするとともに、それらの利用後は残置して新設橋梁を構成したことを特徴とする橋梁の構造。
【請求項2】
左右一対の新設架道桁を連結継手を介して連結し、新設架道を構成した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項3】
前記新設架道桁を桁材上に載架した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項4】
前記新設架道桁のスパン方向の端部を前記桁材で支持し、該桁材と前記主桁とを連結するとともに、前記主桁を新設架道桁よりも長尺に形成し、該主桁をスパン方向の最外側端部で支持した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項5】
前記桁材と主桁とをPC桁またはRC桁で構成した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項6】
前記新設架道桁を軌道桁とし、前記新設架道桁に直接レ−ルを敷設した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項7】
既設構造物に沿って仮橋脚を立設後、新設架道桁を施工し、該新設架道桁を前記仮橋脚に支持させた後、前記既設構造物を解体・撤去し、前記新設架道桁に沿って橋台または橋脚を立設し、これらの間に主桁を架設するとともに、該主桁に新設架道桁を支持させた後、前記仮橋脚を解体・撤去する橋梁の架け替え方法において、前記仮橋脚を新設架道桁の端部に立設し、該仮橋脚に架設した桁材に前記新設架道桁を支持し、該桁材を受梁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置するとともに、前記新設架道桁を新設橋梁の工事桁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置することを特徴とする橋梁の架け替え方法。
【請求項8】
前記既設構造物を撤去後、新設架道桁の外側で、かつ前記施工区間の両端部に橋台または橋脚を立設し、該橋台または橋脚間に前記主桁を架設し、該主桁に桁材の両端部を連結し、主桁に新設架道桁を支持させた後、前記施工区間の仮橋脚を解体・撤去する請求項7記載の橋梁の架け替え方法。
【請求項9】
単一の仮橋脚に二つの桁材を架設し、該桁材に隣接する新設架道桁の端部を支持させる請求項7記載の橋梁の架け替え方法。
【請求項10】
前記既設構造物を撤去後、その撤去スペ−スを桁製作ヤ−ドまたは桁材の架設ヤ−ドに利用する請求項7記載の橋梁の架け替え方法。
【請求項1】
新設橋梁の新設架道桁と、該架道桁の外側に配置する主桁と、該主桁の間に架設し、かつ前記架道桁を支持可能な桁材と、を備えた橋梁の構造において、新設架道桁を新設橋梁の工事桁として、また前記桁材を新設架道桁の受梁としてそれぞれ利用可能にするとともに、それらの利用後は残置して新設橋梁を構成したことを特徴とする橋梁の構造。
【請求項2】
左右一対の新設架道桁を連結継手を介して連結し、新設架道を構成した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項3】
前記新設架道桁を桁材上に載架した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項4】
前記新設架道桁のスパン方向の端部を前記桁材で支持し、該桁材と前記主桁とを連結するとともに、前記主桁を新設架道桁よりも長尺に形成し、該主桁をスパン方向の最外側端部で支持した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項5】
前記桁材と主桁とをPC桁またはRC桁で構成した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項6】
前記新設架道桁を軌道桁とし、前記新設架道桁に直接レ−ルを敷設した請求項1記載の橋梁の構造。
【請求項7】
既設構造物に沿って仮橋脚を立設後、新設架道桁を施工し、該新設架道桁を前記仮橋脚に支持させた後、前記既設構造物を解体・撤去し、前記新設架道桁に沿って橋台または橋脚を立設し、これらの間に主桁を架設するとともに、該主桁に新設架道桁を支持させた後、前記仮橋脚を解体・撤去する橋梁の架け替え方法において、前記仮橋脚を新設架道桁の端部に立設し、該仮橋脚に架設した桁材に前記新設架道桁を支持し、該桁材を受梁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置するとともに、前記新設架道桁を新設橋梁の工事桁として利用し、その利用後に新設橋梁の構成部材として残置することを特徴とする橋梁の架け替え方法。
【請求項8】
前記既設構造物を撤去後、新設架道桁の外側で、かつ前記施工区間の両端部に橋台または橋脚を立設し、該橋台または橋脚間に前記主桁を架設し、該主桁に桁材の両端部を連結し、主桁に新設架道桁を支持させた後、前記施工区間の仮橋脚を解体・撤去する請求項7記載の橋梁の架け替え方法。
【請求項9】
単一の仮橋脚に二つの桁材を架設し、該桁材に隣接する新設架道桁の端部を支持させる請求項7記載の橋梁の架け替え方法。
【請求項10】
前記既設構造物を撤去後、その撤去スペ−スを桁製作ヤ−ドまたは桁材の架設ヤ−ドに利用する請求項7記載の橋梁の架け替え方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−112086(P2006−112086A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299157(P2004−299157)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【Fターム(参考)】
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