説明

橋脚用排水管

【課題】寒冷地にて使用する橋脚用排水管内で排水が凍結した場合であっても亀裂が生じない外観良好な橋脚用排水管の提供。
【解決手段】橋脚に沿って取付けられる橋脚用排水管5は、橋脚に対向する位置に設けられる裏面部51と、この裏面部51の両端部に両側が接続された断面略円弧状の正面部52とを備え、裏面部51と正面部52とで区切られた空間から流路が構成され、流路側の裏面部51と正面部52の少なくともいずれか一方に非透水性の膨張吸収材54を、裏面部51および正面部52の一部が露出した状態で設ける。そのため、橋脚用排水管5の内部で排水が凍結膨張したとしても、膨張吸収材54が膨張を吸収し、亀裂発生を防止することが出来る。また、正面あるいは斜めから見た場合に正面部52に角部を目視できないから外観が良好となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚に取付けられる排水管であって、特に寒冷地向けの橋脚用排水管に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道等の橋梁上面の雨水等を下方に排水するため、橋梁の裏側より下方に向かう方向に沿って橋脚用排水管が橋脚に設けられている。
この橋脚用排水管として、通常、角柱状に形成される橋脚とのバランスが良く、この橋脚全体の外観が損なわれないような橋脚用排水管が用いられている。
【0003】
この橋脚用排水管として、橋脚に固定された橋脚用金具と互いに係合する排水管用金具が固定される裏面部と、この裏面部の両端部に両側が接続された断面略円弧状の正面部と、この正面部の両端に連続して形成され排水管用金具と橋脚用金具とを覆う延出部とを備えたものがある(特許文献1)。
特許文献1では、正面部が断面円弧状に形成されているので、正面あるいは斜めから見た場合に正面部に角部を目視できないから外観が良好となる。そして、裏面部に設けられた排水管用金具と橋脚に設けられた橋脚用金具とは延出部で覆われているため、これらの金具が正面あるいは斜めから排水管を目視した場合に露出しないから、この点からも外観が良好となる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の橋脚用排水管は寒冷地での使用を想定していないため、寒冷地対策がなされておらず、橋脚用排水管に亀裂が発生し、亀裂部分から排水が漏出してしまうので、排水を排水溝に適切に導くことができなくなってしまうおそれがあった。
橋脚用排水管は屋外で使用されるため、ごみや枯れ葉等が排水管内に入り込んでしまうことがある。そして、ごみ等が排水管内で詰まってしまうと水の流れが悪くなり、最終的には堰き止められ、堰き止められた排水が凍結し、膨張することによって排水管に負荷が掛かり、凍結と融解を繰り返すうちに、排水管に応力が加わるからである。
【0005】
ここで、橋脚用排水管とは用途が異なる水道管においては、断面略円状の水道管の凍結膨張対策として、その水道管の内周面全体に膨張吸収層をライニングするか、その内周面に所定間隔を隔てて帯状の膨張吸収材を配設したものがある(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−205126
【特許文献2】特開2003−254629
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2での凍結膨張対策の対象は、断面が略円状の水道管である。水道管内壁には常に水圧が内壁面に対して均等に加わっているため、水道管の内壁面全体に膨張吸収層をライニングするか、その内壁面に所定の均等な間隔を隔てて帯状の膨張吸収材を配設し、水圧、凍結膨張を均等に受けなければならない。
特許文献1の橋脚用排水管は、水道管とは異なり、管内壁に常に水圧が加わっているわけではなく、橋脚からの排水を適切に行える流路を備えることが必要である。よって流路断面積が膨張吸収層によって不必要に小さくなってしまっては橋脚用排水管としての機能を損なう問題がある。さらに、特許文献1の橋脚用排水管と特許文献2の水道管とでは形状が大きく異なる。
したがって、特許文献2での水道管に対する凍結膨張対策を、特許文献1の橋脚用排水管に対しては採用できないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、排水凍結による亀裂発生を防止することのできる屋外で使用される外観良好な橋脚用排水管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の橋脚用排水管は、橋脚に沿って取付けられる橋脚用排水管であって、前記橋脚に対向する位置に設けられる平板状の裏面部と、この裏面部の両端部に両側が接続された断面略円弧状の正面部とを備え、前記裏面部と前記正面部とで区切られた空間から流路が構成され、前記正面部と前記裏面部との少なくともいずれか一方の前記流路側に非透水性の膨張吸収材を前記正面部および前記裏面部の一部が露出した状態で設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る橋脚用排水管の内部で排水が凍結膨張する際は、流路側から管外側であって、正面部および裏面部に対向する方向に応力が加わる。特に、本発明に係る橋脚用排水管は、正面部が湾曲しているため、当該正面部に応力が集中し易い。
しかし、本発明は、橋脚用排水管の内壁面に非透水性の膨張吸収材を正面部側と裏面部側の少なくともいずれか一方に設けたので、橋脚用排水管内部で排水が凍結膨張したとしても、膨張吸収材が凍結による膨張を吸収する。これによって排水の凍結による膨張が緩和され、橋脚用排水管にかかる負荷が低減し、亀裂発生を防止することが出来る。
また、膨張吸収材を前記正面部と前記面部の一部が露出した状態で設ければよいので、流路断面積が過剰に狭くなることも無く、橋脚用排水管としての機能を確保することができる。
また、本発明では正面部が断面円弧状に形成されているので、正面あるいは斜めから見た場合に正面部に角部を目視できないから外観が良好となる。
【0011】
また、本発明の橋脚用排水管は、前記正面部の両端に連続して延出部が形成され、前記裏面部の前記流路側に前記膨張吸収材が固定具で固定されたことが好ましい。
【0012】
この構成の発明では、膨張吸収材が橋脚用排水管に固定具によって固定されているため、排水等が膨張吸収材に当たった衝撃によって膨張吸収材が剥離してしまうのを防ぐことが出来る。
また、裏面部に設けた膨張吸収材を固定具で固定するため、橋脚用排水管の外壁面へと固定具が露出することもあるが、延出部によって固定具が覆われるため、正面あるいは斜めから橋脚用排水管を目視した場合に固定具が露出しないから、外観が良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1は、鉄道用の橋梁1の正断面図であり、図2は、橋梁1の側断面図である。
図1及び図2において、橋梁1は橋脚2によって支持されている。橋脚2は略角柱状に形成されており、その側面は平面状に形成されている。
橋梁1にはドレンボックス4が設けられており、このドレンボックス4には橋脚用排水管5及び接続用排水管61〜65からなる排水路が接続されている。つまり、橋梁1の上面に降った雨や雪が溶けた水は、ドレンボックス4に集まり、ここから橋脚2の一方の壁面に沿って設けられた橋脚用排水管5及び接続管61〜65の内部を流下して橋脚2の下に設けられた溝に流れる。
【0014】
ドレンボックス4には橋梁1の裏面に取り付けられた第1の接続用排水管61の一端部側が接続され、この第1の接続用排水管61の他端部には第2の接続用排水管62が接続され、この第2の接続用排水管62の他端部には第3の接続用排水管63が接続され、この第3の接続用排水管63の他端部には第4の接続用排水管64が接続され、この第4の接続用排水管64の他端部には橋脚用排水管5が接続され、この橋脚用排水管5は上下2本が直列接続されている。下側に配置された橋脚用排水管5の他端部は第5の接続用排水管65が接続され、この第5の接続用排水管65の他端部が溝に向けて開口されている。
【0015】
図3には橋脚排水管5の詳細な構造が示されている。
図3は橋脚用排水管5の水平断面図である。
図3において、橋脚用排水管5は、橋脚2の壁面に対向配置される断面略直線状の裏面部51と、この裏面部51の両側縁部に両端部が接続された正面部52と、この正面部52の両端にそれぞれ連続して形成された延出部53とを備え、これらの裏面部51、正面部52及び延出部53はガラス繊維強化プラスチック(FRP)から引抜き成形、その他の成形手段によって一体形成されている。裏面部51、正面部52及び延出部53はそれぞれ厚み寸法が略等しい。ここで、正面部52の断面形状は略円弧状であればよく、例えば、半円状でもよい。
裏面部51と正面部52とで区切られた空間は排水を排水溝へと導くための流路である。延出部53は正面部52に対して略直交している。
橋脚用排水管5は複数個(図1、2では2個)上下に連結されているが、橋脚用排水管5の両端には、内側に図示しない接続用ソケットが取り付けられており、このソケットの先端には漏水防止を目的としてゴムパッキン(図示せず)が設けられている。
【0016】
そして、本実施形態では、図3(A)に示すように、排水管流路側の前記正面部52側に非透水性の長尺状に形成された膨張吸収材54が橋脚用排水管5の軸方向に沿って設けられている。そして、膨張吸収材54は、図3(A)に示すように正面部52全体を覆うのではなく正面部52の一部を露出させ、裏面部51の全体を露出させた状態に設けられている。
なお、膨張吸収材54は、裏面部51側に設けても良いし(図3(B)参照)、両方に設けても良い。
また、本実施形態では、橋脚用排水管5は長さ2mのものを用い、膨張吸収材54は幅70mm、厚さ5mm、長さ2mのものを用いた。
ただし、このサイズに限定されるものではなく、橋脚用排水管5の内壁面積に対する膨張吸収材54の取付面積の割合は、片面にのみ取り付ける場合は約4〜20%、両面に取り付ける場合は約8〜40%となるように配設することが望ましい。内壁面全体を覆ってしまうと流路断面積が小さくなってしまい、橋脚用排水管としての機能が損なわれるからである。
【0017】
また、本実施形態では、膨張吸収材54がエチレンと酢酸ビニルの共重合体であって、独立気泡構造を有しているものを用いた。なお、膨張吸収材54は、膨張吸収性および非透水性を有すればよく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製或いはクロロプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴムなどのゴム製のものでも良い。
【0018】
また、膨張吸収材54は両面テープ55で橋脚用排水管5に固定されている。図4は膨張吸収材54を橋脚用排水管5に固定する際の状態を示す図である。
固定する手順としては、まず膨張吸収材54に両面テープ55を貼り、それを橋脚用排水管5の内壁面の正面部52側へと載置する。その後、ローラー57を用いて両面テープ55と橋脚用排水管5との隙間が生じないように押圧して固定する。
【0019】
次に、図5は橋脚用排水管5の内部で排水が凍結した際の橋脚用排水管5の水平断面図である。ここで、凍結前の膨張吸収材54の形状を想像線で示した。
正面部52側に設けられた膨張吸収材54は、その形状を変化させることで、橋脚用排水管5の内部の凍結した排水56によって生ずる体積膨張を吸収し、橋脚用排水管5に加わる応力を緩和させることができる。
【0020】
なお、裏面部51には橋脚2に橋脚用排水管5を固定するための図示しない排水管用金具が所定箇所に複数個固定されている。
また、橋脚2の排水管用金具と対向する位置には図示しない橋脚用金具が固定されている。
【0021】
次に、第1から第5の接続用排水管61〜65の具体的な構造について説明する。
図1に示される通り、第1の接続用排水管61はFRPから直線上に延びた筒状に形成されており、その断面は橋梁1の底面と対向する平板状の裏面部と略円弧状の正面部とが一体に形成された略半円形である。第1の接続用排水管61の一端は蓋で閉塞されており、裏面部の一部にはドレンボックス4との接続用筒部61Aが形成されている。
図6には第2の接続用排水管62から第4の接続用排水管64の構成がそれぞれ示されている。
図6(A)には第2の接続用排水管62が示されている。図6(A)において、第2の接続用排水管62は、その断面は橋梁1の底面と対向する平板状の裏面部と略円弧状の正面部とが一体に形成された略半円形であり、一端部が第1の接続用排水管61と接続される水平部62Aと、この水平部62Aと接続された折曲部62Bと、この折曲部62Bと接続された垂直部62Cとを備えている。これらの部材はFRPから一体形成されている。折曲部62Bは正面側の曲率より裏面側の曲率がやや大きい。
【0022】
図6(B)には第3の接続用排水管63が示されている。図6(B)において、第3の接続用排水管63は、その断面は橋梁1の底面と対向する平板状の裏面部と略円弧状の正面部とが一体に形成された略半円形であり、一端部が第2の接続用排水管62と接続される垂直部63Aと、この垂直部63Aと接続された第1の折曲部63Bと、この第1の折曲部63Bと接続された第1の水平部63Cと、この第1の水平部63Cと接続された第2の折曲部63Dと、この第2の折曲部63Dと接続された第2の水平部63Eとを備えている。これらの部材はFRPから一体形成されている。
第1の折曲部63Bは垂直部63Aと第1の折曲部63Bとの軸線同士を鉛直面内で略直交させるものであり、正面側の曲率より裏面側の曲率がやや大きい。
第2の折曲部63Dは第1の折曲部63Bと第2の折曲部63Dとの軸線同士を水平面内で略直交させるものである。
【0023】
図6(C)には第4の接続用排水管64が示されている。図6(C)において、第4の接続用排水管64は、その断面は裏面部と略円弧状の正面部とが一体に形成された略半円形であり、一端部が第3の接続用排水管63と接続される第1の直線部64Aと、この第1の直線部64Aと接続された折曲部64Bと、この折曲部64Bと接続された第2の直線部64Cとを備えている。これらの部材はFRPから一体形成されている。折曲部64Bは正面側の曲率より裏面側の曲率がやや大きい。
図1において、第5の接続用排水管65は、その断面は裏面部と略円弧状の正面部とが一体に形成された略半円形であり、水平部65Aと垂直部65Bとが折り曲げて形成される。
【0024】
[第1実施形態の効果]
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)橋脚用排水管5の内壁面に非透水性の膨張吸収材54を正面部52側と裏面部51側の少なくともいずれか一方に設けたので、橋脚用排水管5内部で排水が凍結膨張したとしても、膨張吸収材54が凍結による膨張を吸収する。これによって排水の凍結による膨張が緩和され、橋脚用排水管5にかかる負荷が低減し、亀裂発生を防止することが出来る。
また、膨張吸収材54が非透水性であるため、膨張吸収材54への排水の浸透を防止することが出来る。これによって、膨張吸収材54へ浸透した排水が凍結して膨張吸収作用が低下することを防止することが出来る。
【0025】
(2)また、膨張吸収材54を正面部52と裏面部51の一部が露出した状態で設ければよいので、流路断面積が過剰に狭くなることも無く、橋脚用排水管5としての機能を確保することができる。
【0026】
(3)また、橋脚に固定された橋脚用金具と互いに係合する排水管用金具が固定される裏面部51と、この裏面部51の両端部に両側が接続された断面略円弧状の正面部52と、この正面部52の両端に連続して形成され排水管用金具および橋脚用金具を覆う延出部53を備えている。そのため、正面部52が断面円弧状に形成されているので、正面あるいは側方から見た場合に正面部52に角部が目視できず、従来の角部が目立つ断面矩形状の排水管に比べて外観が良好となる。しかも、裏面部51に設けられた排水管用金具と橋脚に設けられた橋脚用金具とは延出部53で覆われているため、これらの金具が露出しないから、この点からも外観が良好となる。
【0027】
(4)また、橋脚用排水管5の内壁面側に長尺状の膨張吸収材54を、橋脚用排水管5の軸方向に沿って配設して固定すればよいため、加工が容易で、低コストで製造できる
【0028】
(5)また、膨張吸収材54がエチレンと酢酸ビニルの共重合体であって、独立気泡構造を有しているので、膨張吸収材54の内部に存在する気泡同士が繋がっていないため、吸水性が小さく、膨張吸収性に優れ、より効果的に凍結膨張を吸収することができる。さらに、独立気泡構造を有しているので、膨張吸収材54自体の密度が小さく、橋脚用排水管5の軽量化を図ることができ、取付やメンテナンスの作業性も向上する。
【0029】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図7に基づいて説明する。
第2実施形態は膨張吸収材54の取付箇所と固定方法が第1実施形態と相違するものであり、他の構成は第1実施形態と同じである。ここで、第2実施形態の説明において第1実施形態と同一の構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
図7(A)は第2実施形態の橋脚用排水管5の水平断面図であり、図7(B)は第2実施形態の橋脚用排水管5の正面断面図である。
第2実施形態では、膨張吸収材54は橋脚用排水管5の内壁面の裏面部51側に、両面テープ55で固定されるとともに、橋脚用排水管5の上端部に固定具58で固定されている。固定具58としては、ビス、ボルト、釘等を用いることができるが、第2実施形態では、固定具58として止水性リブを用いた。このとき、固定具58の一部が橋脚用排水管5の外壁面の裏面部51側に露出している。なお、固定具58は排水と接触するため、防錆性のある材料また、防錆処理を施されたものを用いることが好ましい。
【0030】
このような第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(5)と同様の作用効果を奏することができる他に、以下の作用効果を奏することができる。
(6)膨張吸収材54が橋脚用排水管5に止水性リブからなる固定具58によって固定されているため、両面テープ55と橋脚用排水管5との隙間に排水が侵入して両面テープ55が剥離した場合であっても、膨張吸収材54自体が橋脚用排水管5から離脱してしまうのを防ぐことが出来る。
【0031】
(7)また、橋脚用排水管5に設けられた延出部53によって、橋脚用排水管5の外壁面の裏面部51側に露出した固定具58の一部が覆われるため、正面あるいは斜めから橋脚用排水管5を目視した場合に固定具58が露出しないから、外観が良好となる。
【0032】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、膨張吸収材54を両面テープ55や固定具58を用いて橋脚用排水管5に固定したが、接着剤等その他の固定手段を用いても良い。
そして、前記実施形態では橋脚用排水管5は正面部52、裏面部51が一体形成されたものを用いたが、それぞれを別体で形成した後に、両者を接合させたものであっても良い。別体形成の場合、膨張吸収材54を、例えば正面部52に配設した後に、裏面部51と接合させる製法を採用することもできる。
また、前記実施形態では、橋脚用排水管5に膨張吸収材54を固定したが、接続用排水管61〜65の内壁面の裏面部や正面部に膨張吸収材54を設けても良い。
そして、膨張吸収材54のサイズも前記実施形態に示されたサイズに限定されない。
また、前記実施形態では、長尺状に形成された膨張吸収材54が橋脚用排水管5の軸方向に沿って設けられているが、橋脚用排水管5の長手方向全体にわたって設けられたものでなくても、一定間隔を置いて設けたものであっても良い。
【0033】
そして、橋脚用排水管5と橋脚の取付場所及びその個数は限定されるものではなく、橋脚2の構造や大きさに応じて適宜設定されるものである。
また、前記実施形態では、鉄道用の橋脚について説明したが、道路用、その他の用途で用いられる橋脚にも適用することができる。
【0034】
そして、前記実施形態では、橋脚用排水管5をFRPから形成したが、本発明では、橋脚用排水管5をFRP以外の合成樹脂、例えば、塩ビ(塩化ビニル)から形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は鉄道用や道路用の橋脚に利用することができ、特に寒冷地での使用に適する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態における橋脚用排水管が取り付けられた橋梁の正断面図である。
【図2】前記橋梁の側断面図である。
【図3】橋脚用排水管の水平断面図である。
【図4】橋脚用排水管に膨張吸収材を固定する際の橋脚用排水管の側断面図である。
【図5】橋脚用排水管の内部で排水が凍結した際の橋脚用排水管の水平断面図である。
【図6】接続用排水管の概略構成図である。
【図7】第2実施形態の橋脚用排水管を示す図であり、(A)は水平断面図であり、(B)は(A)におけるB−B線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…橋梁、2…橋脚、5…橋脚排水管、51…裏面部、52…正面部、53…延出部、54…膨張吸収材、58…固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋脚に沿って取付けられる橋脚用排水管であって、
前記橋脚に対向する位置に設けられる平板状の裏面部と、
この裏面部の両端部に両側が接続された断面略円弧状の正面部とを備え、
前記裏面部と前記正面部とで区切られた空間から流路が構成され、
前記正面部と前記裏面部との少なくともいずれか一方の前記流路側に非透水性の膨張吸収材を前記正面部および前記裏面部の一部が露出した状態で設けたことを特徴とする橋脚用排水管。
【請求項2】
請求項1に記載された橋脚用排水管であって、
前記正面部の両端に連続して延出部が形成され、
前記裏面部の前記流路側に前記膨張吸収材が固定具で固定されたことを特徴とする橋脚用排水管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−138645(P2010−138645A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317459(P2008−317459)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(590003825)北海道旅客鉄道株式会社 (94)
【出願人】(395000348)日本ホーバス株式会社 (10)
【Fターム(参考)】