説明

機器、自動搬送装置、画像形成装置

【課題】画像形成装置やその周辺機器等の各種機器が内蔵するモータ等の巻線使用部品毎の使用状況をそれぞれ機器自身に記憶させておき、リサイクル時にその記憶データを活用できるようにする。
【解決手段】電源投入後、CPU1はタイマを起動し、タイマの割り込み毎にモータ2やソレノイド3等の巻線使用部品が動作しているかどうかを判断し、動作していれば経過時間をメモリ4へ転送する。例えば、1秒毎に割り込みが発生すれば、1秒ずつ累積の起動時間をメモリ4に加算していく。例えばモータ2を回転させた時に保存するデータとして、例えばモータ回転数が0〜1000ppsの間は何分駆動しているかがわかるようにする。1001pps以上の駆動時間も記憶を蓄積する。各種メカトロ部品の使用状況が後から確認でき、あまり使用されていなかった部品や製品を特定でき、リサイクル使用の可否判別が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機や印刷機等の画像形成装置の周辺機器、特に自動搬送装置として用いられる機器に関し、詳細にはモータ等の巻線使用部品の再利用、リサイクルを図るために利用可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機や印刷機等の画像形成装置については、従来は機械全体や、自動搬送装置等の周辺機器の使用頻度程度しか把握できないのが現状である。特にモータ等の巻線使用部品、換言すれば各種メカトロ部品は、その使用状況が確認できないため、リサイクル使用の可否判断が難しく、あまりリサイクルされていなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2005-339167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した従来の問題点にかんがみ、画像形成装置やその周辺機器等の各種機器が内蔵するモータ等の巻線使用部品毎の使用状況を、巻線使用部品毎にそれぞれ単独で機器自身に記憶させておき、リサイクル時にその記憶データを活用できるようにすることで、部品の再利用化を進め、環境保全に役立てるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る機器は、モータ等の巻線使用部品を一以上利用してなる機器であって、前記巻線使用部品毎の実使用情報を記憶保持する素子や回路等の記憶手段を前記機器の制御回路や制御装置等の制御手段に備え、前記機器制御用の通信信号を共用して前記記憶手段から前記巻線使用部品についての前記実使用情報を引き出し得るようにしてなることを特徴とする。もちろん巻線使用部品はモータには限定されない。また対象とする機器には、機器自身が動作を行うものも、行わないものも含む。記憶手段は、適宜公知のメモリを用いることができるが、どのような記憶手段であっても採用は可能である。また記憶する情報である実使用情報には、使用に関わるすべての、あるいは各種の情報が含まれる。さらに制御手段としては、チップ化されているもの、非チップ化のもの等々種々のものを採用できる。
【0006】
本発明の請求項2に係る機器は、請求項1の機器において、電源投入後、該機器内部でいずれか一つ以上の巻線使用部品が動作していた場合、該動作のための総通電時間を前記記憶手段に記憶及び加算することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る機器は、請求項1の機器において、電源投入後、該機器内部で複数の前記巻線使用部品が動作しているとき、それら巻線使用部品それぞれについて、独立したスピード、動作時間を、前記記憶手段に記憶及び加算することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る機器は、請求項1の機器において、電源投入後、モータ以外の前記巻線使用部品のそれぞれ独立した駆動回数を、前記記憶手段に記憶及び加算することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る機器は、請求項1の機器において、電源投入後、該機器内部でいずれか一つ以上の巻線使用部品が動作していた場合、該動作のための総通電時間を前記記憶手段に記憶及び加算し、また該機器内部で複数の前記巻線使用部品が動作しているとき、それら巻線使用部品それぞれについて、独立したスピード、動作時間を、前記記憶手段に記憶及び加算し、またモータ以外の前記巻線使用部品のそれぞれ独立した駆動回数を、前記記憶手段に記憶及び加算するものであって、これら記憶及び加算する情報を、前記記憶手段の全て独立した2箇所以上の記憶領域に書き込むことを特徴とする。
【0010】
そして本発明の自動搬送装置は、請求項1から5のいずれかの機器であって、用紙等の物品の自動搬送を行うものであることを特徴とする。
【0011】
また本発明の複写機や印刷機等の画像形成装置は、請求項6の自動搬送装置を用いてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、モータ等の巻線使用部品、すなわちメカトロ部品等と称される各種部品の使用状況が使用後に確認でき、それによって殆ど使用されていなかった部品等の特定ができ、それらをリサイクル使用できるものと判断し、かつ実際にリサイクル品として再利用する判断が容易に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明に係る機器、具体的には、外観は図示を省略したが用紙等の自動搬送装置の全体ブロック図である。図中1は自動搬送装置全体を制御するためのプロセッサ(CPU)で、図中2で示すモータを回転させたり、ソレノイド3の巻線類を駆動させたりする制御が行える制御手段となっている。
【0015】
図中4は記憶素子で、図示の例ではバックアップに電源を必要としない、書き込み可能なE−Square P−ROMとしてあるが、もちろん本発明はこれに限定されず、種々の記憶素子、記憶装置でも採用できる。もちろん記憶方法もどのような方法でもよい。図示の例では、CPU1は、記憶素子4に対して自由に書き込み、読み込みが可能としている。図中5、6は、周辺機器装置が接続されるユニット(例えば、複写機やプリンター等)である。図示の例ではユニット5は識別コードAにより、ユニット6は識別コードBにより、CPU1が識別できるようにしてある。
【0016】
図2により本実施例の動作を説明する。まず電源投入後(ステップ1)、CPU1は内部の図示しないタイマを起動し、タイマの割り込み(ステップ2)毎に巻線使用部品(以下、巻線類という)が動作しているかどうかを判断し(ステップ3)、動作していれば経過時間をメモリ4へ転送する(ステップ4)。例えば、1秒毎に割り込みが発生すれば、1秒ずつ累積の起動時間をメモリ4に加算していく。タイマの割り込みが細かい等の理由により、割り込み毎に時間の加算が難しい場合は、数回に1回だけカウントする等して間引いて加算してもよい。また時間としてカウントしても、回数としてカウントしても、最終的に通電されていた時間が判れば、どのようなデータ形式でも構わない。
【0017】
図3は、モータ2を回転させた時に保存するデータの一例を示す図である。この例では、例えばモータ回転数が0〜1000ppsの間は16進数で“A0分”(=10進で160分)駆動していることがわかる。この例は各メモリアドレスに時間で記憶する例を表しているが、最終的な駆動時間が判れば回数等のデータでも構わないことは記述の通りである。同様に1001pps以上の駆動時間も蓄積されていることが判る。これらのデータは、モータ2の1個につきデータベースを1個対応させるようにしても、あるいはその他の方法でも必要に応じてシステムを構築できるものであれば構わない。
【0018】
図4はさらに具体的な動作例を表す図である。モータ2が起動すると(ステップ1)、CPU1はタイマを起動(ステップ2)、モータ2の回転時間をメモリ4の図3に示すような記憶領域(図示の例ではC1000)に書き込んで記憶データを更新していく。これはタイマの割り込み毎に、回転数に合わせた領域の時間データ更新として(図示の例ではC1000=C1000+1とインクリメントするようになっているが、この例には限定されない)、モータが停止するまで続く(ステップ3、4、5)。これによって、例えば各モータ2がどの様な条件で、どの程度回っていたかが判るようになる。
【0019】
図5は、モータ2以外の巻線類の駆動回数を記憶した、メモリ4の領域内容を示す図である。この図では、10進表示でソレノイドAが1001回動作していること等々を示している。
【0020】
図6は具体的なカウント例を示す。CPU1がソレノイドA(図1ではソレノイドは1個のみ示すが、図5に示すように複数個あるものとして説明する)を駆動した場合(ステップ1)、メモリ4の記憶領域のアドレスM001を1カウントアップし(ステップ2)、トータルの動作回数を蓄積していく。
【0021】
図7は、図5の応用例を示したものである。ここでは駆動回数を扱う場合で説明するが、もちろん他のデータを扱っても良い。図5の例の場合、データの書き込み中に電源が切られた場合、累積したデータがいわゆるデータ化けを起してしまう怖れがある。そこで図7の例では、同じデータの書き込み領域を複数個持たせてある。
【0022】
図8が、図7の例の実際の動作フロー図である。例として、ソレノイドAを駆動した場合を挙げるが、もちろんそれ以外でも同様である。ソレノイドAを駆動した時(ステップ1)、図5の場合と同様にメモリアドレスM001を更新するが、その前に書き込みが完了したことを示すフラグ(書き込みチェック)を“0”にしておく(ステップ2)。データ更新後、フラグを“1”にする(ステップ3)ことにより、正常に書換えたことが判る(ステップ4)。その後、全く同じデータを別領域(メモリアドレスN001)にも書き込むようにする(ステップ5〜7)。このようにすることで、基本的には絶えず同じデータ(駆動回数についてのデータ)がメモリ4内の2箇所に存在することになる。図7に示すのは、ソレノイドBについて書き込みに失敗している例である。すなわち、メモリアドレスM002は書き込みチェックが“0”となっているため、前回書き込みが不良であったことを示している。この場合は、書き込みチェックが“1”となっているN002が最後に書き込まれた正常データであるから、メモリアドレスM002をメモリアドレスN002のデータで上書きをすることにより、データ復旧が可能となっている。
【0023】
すなわち、各種メカトロ部品の使用状況が後から確認でき、あまり使用されていなかった部品や製品を特定でき、リサイクル使用の可否判別が容易になる。機器の総通電時間が判るようにすれば、機器そのものが使用されていた時間等が判り、通電時間によって影響される部品のリサイクル使用可否を容易に確認できる。またモータ等の巻線使用部品1個1個の使用条件、使用時間が判るので、これもリサイクル使用の可否判断の容易さを向上させ得る。さらに、各種巻線使用部品の駆動回数が判れば、リサイクル使用できるレベルの使用状況だったかどうかが確認できる。またさらに、データの保存を2箇所以上に複製して行えば、そのチェックデータを付けることで、データ書き込み中の電源オフに対しても累積情報が消えてしまわないため、リサイクル使用が可能かどうかに係るデータの信頼性が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る機器である自動搬送装置の全体ブロック図
【図2】本発明の第1実施例の動作を説明するフロー図
【図3】本発明の第1実施例でモータを回転させた時に保存するデータの一例を示す図
【図4】本発明の第1実施例のさらに具体的な動作を説明するフロー図
【図5】モータ以外の巻線使用部品の駆動回数を記憶したメモリの領域内容例を示す図
【図6】図5のメモリ内容を構築するための具体的なカウント例を示す図
【図7】図5の応用例を示す図
【図8】図7の例の実際の動作フロー図
【符号の説明】
【0025】
1 プロセッサ(CPU)
2 モータ
3 ソレノイド
4 記憶素子
5、6 周辺機器装置が接続されるユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ等の巻線使用部品を一以上利用してなる機器であって、前記巻線使用部品毎の実使用情報を記憶保持する素子や回路等の記憶手段を前記機器の制御回路や制御装置等の制御手段に備え、前記機器制御用の通信信号を共用して前記記憶手段から前記巻線使用部品についての前記実使用情報を引き出し得るようにしてなることを特徴とする機器。
【請求項2】
請求項1の機器において、電源投入後、該機器内部でいずれか一つ以上の巻線使用部品が動作していた場合、該動作のための総通電時間を前記記憶手段に記憶及び加算することを特徴とする機器。
【請求項3】
請求項1の機器において、電源投入後、該機器内部で複数の前記巻線使用部品が動作しているとき、それら巻線使用部品それぞれについて、独立したスピード、動作時間を、前記記憶手段に記憶及び加算することを特徴とする機器。
【請求項4】
請求項1の機器において、電源投入後、モータ以外の前記巻線使用部品のそれぞれ独立した駆動回数を、前記記憶手段に記憶及び加算することを特徴とする機器。
【請求項5】
請求項1の機器において、電源投入後、該機器内部でいずれか一つ以上の巻線使用部品が動作していた場合、該動作のための総通電時間を前記記憶手段に記憶及び加算し、また該機器内部で複数の前記巻線使用部品が動作しているとき、それら巻線使用部品それぞれについて、独立したスピード、動作時間を、前記記憶手段に記憶及び加算し、またモータ以外の前記巻線使用部品のそれぞれ独立した駆動回数を、前記記憶手段に記憶及び加算するものであって、これら記憶及び加算する情報を、前記記憶手段の全て独立した2箇所以上の記憶領域に書き込むことを特徴とする機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの機器が用紙等の物品の自動搬送を行うものであることを特徴とする自動搬送装置。
【請求項7】
請求項6の自動搬送装置を用いてなることを特徴とする複写機や印刷機等の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−331317(P2007−331317A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168238(P2006−168238)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】