説明

機器ユニット及び電子機器システム

【課題】車両、電車内、或いは工事現場といった振動が発生する環境で使用しても電子機器と機器ユニットとの接続不良を防止することができる機器ユニット及び該機器ユニットと電子機器とを備えた電子機器システムを提供する。
【解決手段】車載機器10の開口12及び接続コネクタは、無線LANモジュール20の筐体22の一部が車載機器10の開口12を通じてその筐体11内部に挿入された状態で接続コネクタ同士が互いに接続されるように設けられている。また、無線LANモジュール20の筐体22は、挿入方向と平行な外面に挿入方向に沿って設けられ、車載機器10の開口12縁部を挟む少なくとも複数の固定突部22aを有する。さらに、筐体22は、左右方向Y3に分割した複数の第1分割部品22b及び22cから構成され、第1分割部品22b及び22cは、互いに左右方向Y3にスライド可能に嵌合されるように設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器ユニット及び電子機器システムに係り、特に、電子機器と電気的に連動して動作する機器ユニット及び該機器ユニットと電子機器とを備えた電子機器システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両、電車といった輸送機内、工事現場内など振動が発生し易い環境で電子機器を使用する場面は数多くある。例えば、車両にはCD、MDプレイヤー、DVDプレイヤー、FM、AMチューナーや、カーナビゲーション装置などと言った様々な電子機器が搭載され、車両内でこれら電子機器を利用することができる。また、これら電子機器は単独で使用することは少なく、他の電子機器と接続して使用することが多い。
【0003】
例えば電子機器がCDプレイヤーであった場合、他の電子機器であるスピーカ装置と接続してCDプレイヤーからの音楽情報をスピーカ装置で再生することがある。上述したCDプレイヤー、スピーカー装置は電子機器として働き、各電子機器間の情報(電子機器がCDプレイヤーとスピーカ装置との場合は音楽情報)の送受信を無線で行うための無線LANモジュールなどの機器ユニットが接続できるようになっているものもある。無線LANモジュールは電子機器から出力される情報を無線で送信したり、無線で送信された情報を受信して電子機器に出力するアンテナや送受信回路といった電子部品を有する機器ユニットである。
【0004】
一般に、上述した電子機器と機器ユニットとの接続は、両端に接続端子が設けられた接続コードを介して行われる。しかしながら、接続コードになんらかの衝撃が直接的に加わると接続コードの接触不良や、脱落が発生するという問題があった。また、上述したような振動が発生する環境下で長期間、各々別々の場所に電子機器と機器ユニットを設置しておくと接続コードの接触不良や、脱落が発生するという問題があった。
【特許文献1】特開2004−95875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、車両、電車内、或いは工事現場といった振動が発生する環境で使用しても電子機器と機器ユニットとの接続不良を防止することができる機器ユニット及び該機器ユニットと電子機器とを備えた電子機器システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、電子機器と電気的に連動して動作する電子部品を収容する筐体を有し、該筐体の一部が前記電子機器の筐体に設けられた開口を通じて前記電子機器の筐体内に挿入された状態で前記電子機器と電気的に接続される機器ユニットであって、前記機器ユニットは、前記電子機器の開口に対する挿入方向と平行な外面に前記挿入方向に沿って設けられ、前記電子機器の開口縁部を挟む少なくとも2つ以上の固定突部を有することを特徴とする機器ユニットに存する。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、機器ユニットの筐体は、電子機器の開口に対する挿入方向と平行な外面に挿入方向に沿って設けられ、電子機器の開口縁部を挟む少なくとも2つ以上の固定突部を有する。従って、機器ユニットに設けた2つ以上の固定突部により電子機器の開口縁部を挟むことにより、機器ユニットを電子機器に対して強固に固定することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、電子機器と電気的に連動して動作する電子部品を収容する筐体を有し、該筐体の一部が前記電子機器の筐体に設けられた開口を通じて前記電子機器の筐体内に挿入された状態で前記電子機器と電気的に接続される機器ユニットであって、前記機器ユニットの筐体は、前記電子機器の開口に対する挿入方向と直交する第1分割方向に分割した複数の第1分割部品から構成され、前記第1分割部品は、前記第1分割方向に隣接する第1分割部品同士が互いに前記第1分割方向にスライド可能に嵌合されるように設けたことを特徴とする機器ユニットに存する。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、機器ユニットの筐体は、電子機器の開口に対する挿入方向と直交する第1分割方向に分割した複数の第1分割部品から構成される。第1分割部品は、第1分割方向に隣接する第1分割部品同士が互いに第1分割方向にスライド可能に嵌合されるように設けた。
【0010】
以上の構成によれば、機器ユニットの筐体の第1分割方向長さを自由自在に変えることができる。これにより、電子機器の開口の第1分割方向長さに合わせて機器ユニットの筐体の第1分割方向長さを調整すれば、機器ユニットの筐体の第1分割方向に対向する両面を電子機器の開口縁部によって隙間なく挟むことができ、機器ユニットを電子機器に対して強固に固定することができる。また、機器ユニットの筐体内に収容される電子部品を搭載した基板の寸法に合わせて機器ユニットの筐体の第1分割方向長さを調整すれば、基板の第1分割方向両端を機器ユニットの筐体で隙間なく挟むことができ、基板を機器ユニットの筐体に強固に固定することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の機器ユニットであって、前記第1分割部品は各々、前記挿入方向及び前記第1分割方向の両方向に直交する第2分割方向に分割した複数の第2分割部品から構成され、前記第2分割部品は、前記第2分割方向に隣接する第2分割部品同士が互いに第2分割方向にスライド可能に嵌合されるように設けたことを特徴とする請求項2記載の機器ユニットに存する。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、第1分割部品は各々、挿入方向及び第1分割方向の両方向に直交する第2分割方向に分割した複数の第2分割部品から構成される。第2分割部品は、第2分割方向に隣接する第2分割部品同士が互いに第2分割方向にスライド可能に嵌合されるように設けた。
【0013】
以上の構成によれば、機器ユニットの筐体の第1及び第2分割方向の2方向における長さを自由自在に変えることができる。これにより、機器ユニットの筐体の2方向とも電子機器の開口に合わせて長さ調整すれば、機器ユニットの筐体の2方向に各々対向する両面を電子機器の開口縁部によって隙間なく挟むことができ、機器ユニットを電子機器に対して強固に固定することができる。また、2方向のうち一方を機器ユニットの筐体内に収容される電子部品を搭載した基板に合わせて調整し、他方を電子機器の開口に合わせて調整すれば、機器ユニットを電子機器に対して強固に固定することができると共に、基板を電子機器に対して強固に固定することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記分割方向に互いに隣接する分割部品の一方が当該分割方向に沿って離間して設けた複数の嵌合突部を有し、前記他方が前記嵌合突部と嵌合する当該分割方向に沿って離間して設けた複数の嵌合溝を有することを特徴とする請求項2又は3記載の機器ユニットに存する。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、分割方向に互いに隣接する分割部品の一方がその分割方向に沿って離間して設けた複数の嵌合突部を有する。他方が嵌合突部と嵌合するその分割方向に沿って離間して設けた複数の嵌合溝を有する。従って、嵌合突部と嵌合溝とを嵌合させることによりピンなどを用いずに分割部品同士を固定することができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、電子部品を収容する筐体、該筐体に設けられた開口及び該開口を通じて露出される接続コネクタを各々有し、前記接続コネクタ同士が互いに接続される電子機器及び該電子機器と電気的に連動した動作を行う機器ユニットを備えた電子機器システムにおいて、前記電子機器の開口及び接続コネクタは、前記機器ユニットの筐体の一部が前記電子機器の開口を通じて前記電子機器の筐体内部に挿入された状態で前記接続コネクタ同士が互いに接続されるように設けられていることを特徴とする電子機器システムに存する。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、電子機器の開口及び接続コネクタは、機器ユニットの筐体の一部が電子機器の開口を通じてその筐体内部に挿入された状態で接続コネクタ同士が互いに接続されるように設けられている。従って、接続コネクタ同士の接続部が電子機器の筐体内部に収容されるため、接続部に直接的に衝撃が加わることがなくなる。また、電子機器の開口から機器ユニットの筐体の一部が突出した状態となっているため、振動が生じても電子機器の開口によって機器ユニットの移動が制限される。つまり、機器ユニットが電子機器に強固に固定された状態となる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、機器ユニットに設けた2つ以上の固定突部により電子機器の開口縁部を挟むことにより、機器ユニットを電子機器に対して強固に固定することができるので、車両、電車内、或いは工事現場といった振動が発生する環境で使用しても電子機器及び機器ユニットの接続不良を防止することができるより確実に電子機器及び機器ユニットの接続不良を防止することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、機器ユニットの筐体の第1分割方向長さを自由自在に変えることができる。これにより、電子機器の開口の第1分割方向長さに合わせて機器ユニットの筐体の第1分割方向長さを調整すれば、機器ユニットの筐体の第1分割方向に対向する両面を電子機器の開口縁部によって隙間なく挟むことができ、機器ユニットを電子機器に対して強固に固定することができる。また、機器ユニットの筐体内に収容される電子部品を搭載した基板の寸法に合わせて機器ユニットの筐体の第1分割方向長さを調整すれば、基板の第1分割方向両端を機器ユニットの筐体で隙間なく挟むことができ、基板を機器ユニットの筐体に強固に固定することができるので、車両、電車内、或いは工事現場といった振動が発生する環境で使用しても電子機器及び機器ユニットの接続不良を防止することができるより確実に電子機器及び機器ユニットの接続不良を防止することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、機器ユニットの筐体の第1及び第2分割方向の2方向における長さを自由自在に変えることができる。これにより、機器ユニットの筐体の2方向とも電子機器の開口に合わせて長さ調整すれば、機器ユニットの筐体の2方向に各々対向する両面を電子機器の開口縁部によって隙間なく挟むことができ、機器ユニットを電子機器に対して強固に固定することができる。また、2方向のうち一方を機器ユニットの筐体内に収容される電子部品を搭載した基板に合わせて調整し、他方を電子機器の開口に合わせて調整すれば、機器ユニットを電子機器に対して強固に固定することができると共に、基板を電子機器に対して強固に固定することができるので、より確実に電子機器及び機器ユニットの接続不良を防止することができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、嵌合突部と嵌合溝とを嵌合させることによりピンなどを用いずに分割部品同士を固定することができるので、スライドの固定作業が容易となり、コストダウンを図ることができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、接続コネクタ同士の接続部が電子機器の筐体内部に収容されるため、接続部に直接的に衝撃が加わることがなくなる。また、電子機器の開口から機器ユニットの筐体の一部が突出した状態となっているため、振動が生じても電子機器の開口によって機器ユニットの移動が制限される。つまり、機器ユニットが電子機器に強固に固定された状態となるので、車両、電車内、或いは工事現場といった振動が発生する環境で使用しても電子機器及び機器ユニット同士の接続不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の電子機器システムの一実施の形態を示す分解斜示図であり、図2は図1に示す電子機器システムの部分斜示図である。図3は、図1の電子機器システムを構成する機器ユニットとしての無線LANモジュール20の正面斜示図である。図4及び図5は、図3に示す無線LANモジュール20の背面分解斜示図及び背面図である。図6は、図2に示す電子機器システムのI−I線部分断面図である。
【0024】
図1に示すように、電子機器システムは、電子機器としての車載機器10と、機器ユニットとしての無線LANモジュール20とを備えている。上述した車載機器10は、車両に搭載される例えばCD、MDプレイヤー、DVDプレイヤーなどの電子機器である。車載機器10は、電子部品(図示せず)を収容する樹脂製の筐体11(電子機器の筐体)、該筐体11に設けられた開口12及び開口12を通じて露出される接続コネクタ13を有している。上記接続コネクタ13は筐体11内部に収容され、開口12から突出していない。本実施形態では、車載機器10の筐体11は略箱型に形成されており、この筐体11正面の鉛直方向Y1下側端部には略矩形状の開口12が設けられている。
【0025】
無線LANモジュール20は、上述した車載機器10に接続され、車載機器10間の情報を無線で伝送するためのものである。無線LANモジュール20は、図1、図4及び図5に示すように、アンテナや送受信回路といった車載機器10と電気的に連動して動作する電子部品を搭載した基板21、この基板21を収容する樹脂製の筐体22(機器ユニットの筐体)、筐体22の背面に設けられた開口23(図4及び図5)及び開口23を通じて露出される接続コネクタ24を有している。
【0026】
接続コネクタ24は基板21上に搭載されている。また、接続コネクタ24は開口23から少なくとも一部が突出するように設けられている。本実施形態では、無線LANモジュール20の筐体22は略箱形に形成されており、この筐体22の背面全体に開口23が設けられている。また、基板21は略矩形状に設けられており、その厚み方向が鉛直方向Y1となるように筐体22内に収容されている。
【0027】
また、車載機器10の開口12及び接続コネクタ13は、図2に示すように、無線LANモジュール20の筐体22の一部が車載機器10の開口12を通じてその筐体11内部に挿入された状態で接続コネクタ13、24が互いに接続されるように設けられている。より詳しく説明すると、無線LANモジュール20の筐体22の背面側が車載機器10の筐体11の内部に挿入され、かつ無線LANモジュール20の筐体22の正面側が車載機器10の開口12から突出した状態で、接続コネクタ13、24が互いに接続される。
【0028】
以上の構成によれば、接続コネクタ13、24同士の接続部が車載機器10の筐体11内部に収容されるため、接続部に直接的に衝撃が加わることがなくなる。また、車載機器10の開口12から無線LANモジュール20の筐体22の一部が突出した状態となっているため、振動が生じても車載機器10の開口12周縁によって無線LANモジュール20の移動が制限される。つまり、無線LANモジュール20が車載機器10に固定された状態となるので、車両、電車内、或いは工事現場といった振動が発生する環境で使用しても車載機器10、無線LANモジュール20同士の接続不良を防止することができる。
【0029】
また、上述した無線LANモジュール20の筐体22は、図3に示すように、開口12に対する無線LANモジュールの挿入方向Y2と平行な外側面、言い換えると図面左右方向Y3に対向する一対の外側面に挿入方向Y2に沿って離間して設けた複数の固定突部22aを有している。本実施形態では、一対の外側面に10個づつ固定突部22aが設けられている。各固定突部22aは、図6に示すように、可撓性部材から形成されると共に、挿入方向Y2における中心に近づくに従って突起高さが高くなるテーパ22a1が形成され、鉛直方向Y1から見て略三角形状となっている。
【0030】
また、車載機器10の筐体11内部に無線LANモジュール20を挿入して互いの接続コネクタ13、24同士を接続した状態で、図6に示すように、複数の固定突部22aのうち2つの固定突部22aが車載機器10の開口12縁部を挟む。この固定突部22aにより、車載機器10に対する無線LANモジュール20の挿入方向Y2の動きが規制され、無線LANモジュール20を車載機器10に対して強固に固定することができる。
【0031】
また、本実施形態に示すように2つより多く、すなわち3つ以上固定突部22aを設けることにより、様々な開口12−接続コネクタ13間距離の車載機器10に適用することができる。つまり、車載機器10の開口12−接続コネクタ13間距離に合わせて固定突部22aの位置が互いに異なる筐体22を複数設ける必要がなく、コストダウンを図ることができる。また、固定突部22aにテーパ22a1を設けることにより、固定突部22aが撓み易くなり、筐体22の筐体11内への挿入が簡単となる。
【0032】
また、図2〜図5に示すように、無線LANモジュール20の筐体22は、接続コネクタ13、24の挿入方向Y2と直交する左右方向Y3(第1分割方向)に分割した第1分割部品22b、22cから構成されている。左右方向Y3に互いに隣接する第1分割部品22b、22cは、互いに左右方向Y3にスライド可能に嵌合されるように設けられている。
【0033】
以上の構成によれば、無線LANモジュール20の左右方向Y3長さを自由自在に変えることができる。これにより、無線LANモジュール20の筐体22内に収容される基板21の寸法に合わせて無線LANモジュール20の左右方向Y3長さを調整することができる。詳しく説明すると、基板21の左右方向Y3長さと筐体22の左右方向Y3に対向する一対の内側面間距離とがほぼ一致するように調整する。このように調整することで、図5に示すように、基板21の左右方向Y3両端が筐体22の内側面により隙間なく挟まれ、基板21の筐体22に対する左右方向Y3の動きが規制され、基板21の筐体22に対する固定を強固にすることができる。
【0034】
また、無線LANモジュール20の筐体22には、図4及び図5に示すように、左右方向Y3に対向する一対の内側面のうち一方に挿入方向Y2に沿って延在する溝22eが設けられている。この溝22eの溝幅は基板21の板厚と同じか、若干大きめに形成されている。基板21は、図5に示すように、基板21の左右方向Y3一端を溝22e内に収容した状態で、筐体22内に収容されている。これにより、基板21の筐体22に対する鉛直方向Y1の動きが規制され、基板21の筐体22に対する固定をより強固にすることができる。上述したように基板21の筐体22に対する固定を強固にすることにより、この基板21に搭載された接続コネクタ24と車載機器10の接続コネクタ13の接続不良を防止することができる。
【0035】
また、上述した無線LANモジュール20の左右方向Y3長さを自由自在に変えることができる構成によれば、車載機器10の開口12の左右方向Y3長さであるL1(図1及び図2)に合わせて無線LANモジュール20の筐体22の左右方向Y3長さを調整することができる。詳しく説明すると、車載機器10の長さL1と筐体22の左右方向Y3に対向する一対の外側面間距離とがほぼ一致するように調整する。このように調整することで、図2に示すように、筐体22の左右方向Y3に対向する一対の外側面が開口12の左右方向Y3の両縁部で隙間なく挟まれ、無線LANモジュール20の車載機器10に対する左右方向Y3の動きが規制され、基板21の筐体22に対する固定を強固にすることができる。
【0036】
なお、本実施形態によれば、筐体22の左右方向Y3長さを基板21に合わせて調整すれば、開口12の左右方向Y3の長さL1にも合うように基板21及び開口12が設けられている。また、筐体22の左右方向Y3長さの調整終了後は、第1分割部品22b、22cの両者にピン30を挿入して、両者を固定する。以上の構成によれば、様々な大きさの基板21、様々な大きさの開口12の車載機器10に適用することができる。つまり、基板21や、車載機器10の開口12の大きさに合わせてサイズの異なる筐体22を複数設ける必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【0037】
また、ピン30で第1分割部品22b、22cを固定した後、筐体22を開口12から筐体11内部に挿入する。このとき固定突部22aが筐体11の開口12周縁部に当接するが、筐体22を挿入方向Y2の車載機器10側に向かって押すと固定突部22aが撓み、固定突部22aが筐体11内部に挿入される。接続コネクタ13、24同士が接続すると筐体22を挿入方向Y2の車載機器10側に向かって押しても筐体22は移動しなくなる。また、筐体22の左右方向Y3両面を押すと両面が撓み筐体11の開口12縁部と固定突部22aとの係止が解除され、そのまま挿入方向Y2の筐体22側に向かって引くと筐体22を筐体11から外すことができる。
【0038】
なお、上述した実施形態では、無線LANモジュール20の筐体22の左右方向Y3長さが調整できるようになっていた。しかしながら、図7及び図8に示すように筐体22の挿入方向Y2及び左右方向Y3の両方向に直交する鉛直方向Y1(第2分割方向)にも長さ調整できるようにしてもよい。図7は他の実施形態における電子機器システムの部分正面図であり、図8は図7に示す電子機器システムを構成する無線LANモジュール20の分解斜視図である。
【0039】
同図に示すように、筐体22において、第1分割部品22bは鉛直方向Y1にさらに分割した2つの第2分割部品22b1及び22b2から構成され、第1分割部品22cは鉛直方向Y1にさらに分割した2つの第2分割部品22c1及び22c2から構成されている。鉛直方向Y1に隣接する第2分割部品22b1及び22b1、第2分割部品22c1及び22c2同士は互いに鉛直方向Y1にスライド可能に嵌合されるように設けられている。
【0040】
以上の構成によれば、無線LANモジュール20の鉛直方向Y1長さを自由自在に変えることができる。これにより、車載機器10の開口12の鉛直方向Y1長さであるL2(図7)に合わせて無線LANモジュール20の筐体22の鉛直方向Y1長さを調整することができる。詳しく説明すると、筐体22の鉛直方向Y1に対向する一対の外側面間距離と開口12の鉛直方向Y1の長さL1とがほぼ一致するように調整する。このように調整することにより、図7に示すように、筐体22の鉛直方向Y1に対向する一対の外側面が開口12の鉛直方向Y1の両縁部で挟まれ、無線LANモジュール20の車載機器10に対する鉛直方向Y1の動きが規制される。
【0041】
つまり、無線LANモジュール20の2方向(鉛直方向Y1及び左右方向Y3)とも車載機器10の開口12の大きさに合わせて長さ調整することができ、無線LANモジュール20の車載機器10に対する固定をさらに強化することができる。
【0042】
また、上述した本実施形態によれば、筐体22の左右方向Y3の長さを基板21に合わせて調整すれば、開口12にも合うようになっている。しかしながら、基板21に合わせて筐体22の左右方向Y3の長さを調整すると、筐体22の左右方向Y3の長さが開口12の左右方向Y3の長さL1よりも小さくなることがある。これだと、開口23による筐体22の左右方向Y3の移動規制が緩くなると共に、固定突部22aによって開口12縁部を挟めなくなってしまう恐れがある。
【0043】
しかし、上述した2方向調整可能な無線LANモジュール20を用いれば、左右方向Y3は基板21に合わせて調整し、鉛直方向Y1は開口12に合わせて調整することができる。このため、無線LANモジュール20の車載機器10に対する固定及び基板21の筐体22に対する固定の両方をより強固にすることができるので、より確実に車載機器10と無線LANモジュール20との接続不良を防止することができる。また、この場合、筐体22の基板21と直交する方向、すなわち鉛直方向Y1に対向する一対の外側面に固定突部22aを設ければ、無線LANモジュール20の車載機器10に対する固定を確実に行うことができる。
【0044】
また、上述した実施形態によれば、第1分割部品22b及び22c間の固定、第2分割部品22a1及び22a2間、第2分割部品22b1及び22b2間の固定はピン30を挿入することにより行っていた。しかしながら、本発明はこれに限らず、例えば、筐体22にスライド方向に沿った長孔を設けてピン30で留めることも考えられる。
【0045】
また、図9に示すように、第1分割部品22bの外側面に第1分割部品22b及び22cのスライド方向である左右方向Y3に沿って離間して複数の嵌合溝22gを設ける。また、第1分割部品22cの内側面に嵌合溝22gと嵌合する複数の嵌合突部22hを左右方向Y3に沿って離間して設けることが考えられる。嵌合溝22gは半球状で、外周から中心に向かうに従って溝深さが深くなるように形成されている。一方、嵌合突部22hも同様に半球状で、外周から中心に向かうに従って突起高さが高くなるように形成されている。
【0046】
以上のように、嵌合溝22g及び嵌合突部22hを設けることにより、互いの嵌合溝22gと嵌合突部22hとを嵌合させて互いを固定することができる。この場合、ピン30を用いないで簡単に第1分割部品22b及び22c同士を固定することができる。
【0047】
また、図9に示す実施形態では、第1分割部品22bの外側面に嵌合溝22gを設け、第1分割部品22cの内側面に嵌合突部22hを設けていた。しかしながら、発明はこれに限らず、第1分割部品22bの外側面に嵌合突部22hを、第1分割部品22cの内側面に嵌合溝22hを設けてもよい。つまり、互いに隣接する第1分割部品22b及び22cの一方に嵌合溝22gを設け、他方に嵌合突部22hを設ければよい。第2分割部品22b1及び22b2、第2分割部品22c1及び22c2についても同様に鉛直方向Y1に沿って複数の嵌合溝22g、嵌合突部22hを設ければピンを用いずに第2分割部品22b1及び22b2、第2分割部品22c1及び22c2同士を固定することができる。
【0048】
また、図9に示す実施形態では半球状の嵌合溝22g及び嵌合突部22hを設けていた。しかしながら、本発明はこれに限らず、嵌合溝22g及び嵌合突部22hの形状としては互いに嵌合する形状であればよく、例えば円錐状であってもよい。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、無線LANモジュール20の筐体22の大きさが調整可能であったが、開口12の大きさに合わせて筐体22を形成すれば調整可能になっていなくてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態によれば、筐体22に固定突部22aを設けていた。しかしながら、本発明はこれに限らず固定突部22aを設けなくてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態によれば、固定突部22aは筐体22の左右方向Y3に対向する一対の面の両方に設けられていたが、本発明はこれに限らず一対の面のうち一方に設け、他方に設けなくてもよい。また、鉛直方向Y1に対向する一対の面の少なくとも一方の面に設けてもよい。
【0052】
また、上述した実施形態によれば、左右方向Y3、鉛直方向Y1共に2つに分割されていたが、本発明の筐体22の分割数はこれに限らず3つでも4つでもよい。
【0053】
また、上述した実施形態によれば、電子機器として車載機器10を用い、機器ユニットとして無線LANモジュール20とを用いて説明していたが、本発明はこれに限らず互いに電気的に接続される電子機器及び機器ユニットであればよい。
【0054】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の電子機器システムの一実施の形態を示す分解斜示図である。
【図2】図1に示す電子機器システムの部分斜示図である。
【図3】図1の電子機器システムを構成する機器ユニットとしての無線LANモジュール20の正面斜示図である。
【図4】図3に示す無線LANモジュール20の背面分解斜示図である。
【図5】図3に示す無線LANモジュール20の背面図である。
【図6】図2に示す電子機器システムのI−I線部分断面図である。
【図7】他の実施形態における電子機器システムの部分正面図である。
【図8】図7に示す電子機器システムを構成する無線LANモジュール20の分解斜視図である。
【図9】(a)は他の実施形態における部分断面図であり、(b)及び(c)は(a)に示す筐体22の部分斜示図である。
【符号の説明】
【0056】
10 車載機器(電子機器)
11 筐体(電子機器の筐体)
12 開口
13 接続コネクタ
20 無線LANモジュール(機器ユニット)
21 基板
22 筐体(機器ユニットの筐体)
22a 固定突部
22b 第1分割部品
22c 第1分割部品
22g 嵌合溝
22h 嵌合突部
23 開口
24 接続コネクタ
Y1 鉛直方向(第2分割方向)
Y2 挿入方向
Y3 左右方向(第1分割方向)
22a1 第2分割部品
22a2 第2分割部品
22b1 第2分割部品
22b2 第2分割部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と電気的に連動して動作する電子部品を収容する筐体を有し、該筐体の一部が前記電子機器の筐体に設けられた開口を通じて前記電子機器の筐体内に挿入された状態で前記電子機器と電気的に接続される機器ユニットであって、
前記機器ユニットは、前記電子機器の開口に対する挿入方向と平行な外面に前記挿入方向に沿って設けられ、前記電子機器の開口縁部を挟む少なくとも2つ以上の固定突部を有することを特徴とする機器ユニット。
【請求項2】
電子機器と電気的に連動して動作する電子部品を収容する筐体を有し、該筐体の一部が前記電子機器の筐体に設けられた開口を通じて前記電子機器の筐体内に挿入された状態で前記電子機器と電気的に接続される機器ユニットであって、
前記機器ユニットの筐体は、前記電子機器の開口に対する挿入方向と直交する第1分割方向に分割した複数の第1分割部品から構成され、
前記第1分割部品は、前記第1分割方向に隣接する第1分割部品同士が互いに前記第1分割方向にスライド可能に嵌合されるように設けたことを特徴とする機器ユニット。
【請求項3】
請求項2記載の機器ユニットであって、
前記第1分割部品は各々、前記挿入方向及び前記第1分割方向の両方向に直交する第2分割方向に分割した複数の第2分割部品から構成され、
前記第2分割部品は、前記第2分割方向に隣接する第2分割部品同士が互いに第2分割方向にスライド可能に嵌合されるように設けたことを特徴とする請求項2記載の機器ユニット。
【請求項4】
前記分割方向に互いに隣接する分割部品の一方が当該分割方向に沿って離間して設けた複数の嵌合突部を有し、前記他方が前記嵌合突部と嵌合する当該分割方向に沿って離間して設けた複数の嵌合溝を有することを特徴とする請求項2又は3記載の機器ユニット。
【請求項5】
電子部品を収容する筐体、該筐体に設けられた開口及び該開口を通じて露出される接続コネクタを各々有し、前記接続コネクタ同士が互いに接続される電子機器及び該電子機器と電気的に連動した動作を行う機器ユニットを備えた電子機器システムにおいて、
前記電子機器の開口及び接続コネクタは、前記機器ユニットの筐体の一部が前記電子機器の開口を通じて前記電子機器の筐体内部に挿入された状態で前記接続コネクタ同士が互いに接続されるように設けられていることを特徴とする電子機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−128948(P2007−128948A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318133(P2005−318133)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】