説明

機器用端子

【解決手段】外部電線を電気装置に接続するための機器用端子(1)が提案される。電流トランス(12)を具備する電流トランスモジュール(10)は機器用端子に一体化される。電流トランスの入力は電気装置の顧客側端子接続部に接続され、電流トランスの出力は機器用端子の接触要素(18)を介して電気装置のモジュールに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置に設けられたコンタクトに電線を電気的に接続するために、電線を把持するため端子ハウジングに受容される端子要素と、電気装置のコンタクトを電気的に接続する接触要素とを具備する機器用端子に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器、例えばエネルギー分配網用の保護機器等の電気場機器等に外部電線を接続するための機器用端子が公知である。機器用端子は、従来から、外部電線、例えば挿入開口の領域に設けられた電線を把持する端子のために、挿入開口を有するハウジングを具備する。端子は、従来から、例えば電気装置の回路に接続可能な接触子に接続される。この種の機器用端子はまた、電気機器の壁に設置されることが多く、外部電線から電気装置の内部に電流路を導くのに使用される。
【0003】
電力自動化の分野に使用される電気機器は、その内部に電流トランスを有することが多い。電流トランスは、電気装置と電流が関連した特性を評価するために電力分配網に接続するために使用される。電流トランスは通常、磁気計測トランスである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電力トランスを有する電気機器用の端子を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、上述したタイプの機器用端子により達成される。本発明に従った機器用端子は、電流トランスが端子ハウジングに一体化され、電流トランスの入力は機器用端子の端子要素に接続され、電流トランスの出力は機器用端子の接触要素に接続されている。電流トランスは機器用端子に一体化されるので、モジュールに電流トランスを直接実装することの欠点が防止される。印刷回路基板上に電流トランスを実装することにより、重い機械的負荷を印刷回路基板上に載置すると、特に電気装置が振動する際に印刷回路基板の撓みを生じさせ得る。この撓みのため、特殊な金属板支持が必要になる。また、保護機器等の敏感な電気機器のハウジング内部のトランスのEMC特性は、重要である。本発明に従った機器用端子において、電流トランスが以前必要とされたモジュール上の実装面無しで済ますことができるので、装置ハウジングの寸法を小さくでき、又は実装面に他の部品を受けることができる。また、モジュールも純粋に装備装置用に設計することができ、この結果、生産性が増大する。電流トランスは最早、電気装置の電子回路に近接してハウジング内に配置されないので、不利なEMCの影響を回避する。顧客にとって、接続された電線を含む電流トランスと共に機器用端子を除去できるので、保守が簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施形態を添付図面に図示し、以下に詳細に説明する。
【0007】
図1及び図2に図示された機器用端子1は、ハウジングシェル2及びカバープレート3を具備する端子ハウジングを具備する。ハウジングシェル2及びカバープレート3は、突起及び凹部等のロック要素4を介して共にロックすることができるので、相互ロック接続を介して取り付けられる。
【0008】
ハウジングシェル2は、隔壁により分割された複数の収容室5に分割される。これらの収容室には電流トランスモジュール10が挿入され、インタロック嵌めで固定される。図2は、ハウジングシェル2に既に一体化された3個の電流トランスモジュールを示す。1個の電流トランスモジュール10は、ハウジングシェル2の外側に分解状態で示される。電流トランスモジュール10は端子取付け部6を具備する。端子取付け部6に、例えば端子ブロック、把持枠又は他の把持部材の形態の端子要素が、外部電線の電気接続用に埋め込まれる。これらの端子要素は、被接続電線がカバープレート3の開口を通って端子取付け部6の挿入開口7内に挿入されるように構成され、埋め込まれる端子要素上又はその端子要素内に端子ねじ8を介して取り付けられ、これにより、導電接続される。
【0009】
図3(A)及び図3(B)は、個々の電流トランスモジュール10のそれぞれ斜視図及びより詳細な分解斜視図である。電流トランスモジュール10は、図2によればハウジングシェル2の収容室5内に挿入できる。
【0010】
電流トランスモジュール10はトランスハウジング11に受容された電流トランス12を具備する。電流トランス12は、開口を通って環状コアの周囲に2次巻線12aが巻かれた環状コア電流トランスとして構成される。開口のコアには、電流トランス12の1次巻線12bが案内される。図示されている電流トランスモジュール10には、トランスハウジング11が環状コアに少なくとも部分的に適合している。環状コアは、その端部がトランスハウジング11内に受容されている。有利な一実施形態において、電流トランスの環状コアは鉄/コバルト合金からなる。ファキュームシュメルツェ社(Vacuumschmelze GmbH & Co. KG)から市販され、大きな透磁性を示す使用可能な材料Vitrovacが、実際上は好適である。
【0011】
1次巻線12bは、電流トランス12への入力として機能する端部13を有する金属板帯すなわち金属板条として構成される。1次巻線12bの金属板条の端部13が通って外部へ案内されるスロット14は、トランスハウジング11の中央に形成される。端部13は、トランスハウジング11上に成形された各突起15によりスロット14内に固定される。このため、1次巻線12bは、環状コア及び2次巻線12aの中心に位置する。スロット14は、トランスハウジング11の上側に向かって開放しており、電流トランスモジュール10の実装の際に金属板条の導入を可能にする。
【0012】
図3(B)に見られるように、電流トランス12の2次巻線12aは、トランス12の出力として機能する電気接続ケーブル17を具備する。接続ケーブル17は、電流トランスモジュール10の実装の際にトランスハウジング11を通って案内され、ばねコンタクトの形態の接触要素18に接続される。図3(A)に見られるように、実装後、接触要素18は、トランスハウジング11の下側にロックされる。接触要素18は、例えば接触条の形態で直接プラグコネクタに関連してもよい。プラグコネクタには印刷回路基板を挿入してもよい。この場合、電流トランス12の2次巻線12aと、印刷回路基板上に延びる例えば導体条の形態のコンタクトとの間の接触要素18を介して電気接続が形成される。
【0013】
電流トランス12の2次側に生ずるスパークを防止するために、負荷抵抗19を設けてもよい。必要であれば、このような抵抗は、並列に配置され接触要素18に対して横断方向に各接触要素18に接続され、トランスハウジング11の下部領域に配置される。
【0014】
図2に見られるように、電流トランスモジュール10は、一旦組み立てられると、端子ハウジングのハウジングシェル2内に差し込まれ、ロック要素4でカバープレート3をロックすることによりハウジングシェル2に固定される。
【0015】
図4において、機器用端子1が、他のプラグコネクタ要素21と共に電気装置の後壁22に実装される。明確化のために、電気装置の側壁は部分的に破断して図示される。
【0016】
機器用端子1は、後壁22を部分的に貫通するので、電気装置内に配置された印刷回路基板(概略的に図示)の形態のモジュール23用の可能な接続部を与える。図4によれば、印刷回路基板の端面は、ハウジングシェル2の下側の、図5でより明確になる凹部24内に挿入される。接触要素18(図3に図示)は、凹部24内に配置されるので、印刷回路基板23を受容するために、凹部24と共にハウジングシェル2上にプラグコネクタを形成する。
【0017】
機器用端子1は、電気装置の後壁22に取り付けられたばねロック要素25内にロックすることができるので、ハウジングシェル2に対して横方向に取り付けられたロック突起20により分離可能に固定される。
【0018】
機器用端子6に一体化された電流トランス12は、独特のトランスとして公知のもの、すなわち例えばホールセンサ又は光電子トランス等の電子トランスであってもよいし、或いは1次巻線及び2次巻線を有する電磁電流トランスの形態の従来の電流トランスであってもよい。後者の場合、電磁電流トランスの1次巻線12bは機器用端子6の端子要素に接続され、電磁電流トランスの2次巻線12aは機器用端子6の接触要素18に接続される。電磁電流トランスは広く利用可能であり、ほぼ線形の変換特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に従った、電流トランスが一体化された機器用端子の斜視図である。
【図2】図1の機器用端子の分解斜視図である。
【図3】(A)図1及び図2の機器用端子に一体化できる電流トランスを示す斜視図、(B)(A)の電流トランスの分解斜視図である。
【図4】機器の後壁に実装された図1及び図2の機器用端子を斜視図である。
【図5】図1及び図2の機器用端子を下から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 機器用端子
2 ハウジングシェル(端子ハウジング)
3 カバープレート(端子ハウジング)
10 電流トランスモジュール
11 トランスハウジング
12 電流トランス
12a 2次巻線
12b 1次巻線
13 端部
18 接触要素
19 負荷抵抗
20 ロック突起(ロック要素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置に設けられたコンタクトに電線を接続するための機器用端子(1)であって、前記電線を把持するために端子ハウジング(2,3)に受容される端子要素と、前記電気装置の前記コンタクトの電気接続用の接触要素(18)とを具備する機器用端子において、
前記端子ハウジングに電流トランス(12)が一体化され、
前記電流トランスの入力は前記端子要素に接続され、
前記電流トランスの出力は前記接触要素に接続されていることを特徴とする機器用端子。
【請求項2】
前記電流トランス(12)は、分離したトランスハウジング(11)内に受容されて電流トランスモジュール(10)を形成し、
前記トランジスタハウジングは、インタロック嵌めで前記端子ハウジングに固定されることを特徴とする請求項1記載の機器用端子。
【請求項3】
前記端子ハウジング(2,3)は、前記電気装置に分離可能に固定するためのロック要素(20)を具備することを特徴とする請求項1又は2記載の機器用端子。
【請求項4】
前記端子ハウジングは、ハウジングシェル(2)と、該ハウジングシェルにロックされるカバープレート(3)とを具備することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の機器用端子。
【請求項5】
前記接触要素(18)はばねコンタクトとして構成され、
該ばねコンタクトに、前記電気装置内の前記コンタクトが電気的に直接接続されることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の機器用端子。
【請求項6】
前記ばねコンタクトは、前記電気装置に挿入される印刷回路基板の端部を受容するためのプラグコネクタの部品であることを特徴とする請求項5記載の機器用端子。
【請求項7】
前記電流トランス(12)は1次巻線(12b)及び2次巻線(12a)を具備する電磁電流トランスであり、前記1次巻線は前記端子要素に接続され、前記2次巻線は前記接触要素に接続されていることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の機器用端子。
【請求項8】
前記電流トランスは環状コアトランスとして構成されていることを特徴とする請求項7記載の機器用端子。
【請求項9】
前記電流トランスの環状コアは鉄/コバルト合金からなることを特徴とする請求項8記載の機器用端子。
【請求項10】
前記電流トランスの前記1次巻線(12b)は金属板条として構成され、
前記1次巻線の端部(13)は、該1次巻線を中心に配置するために前記トランスハウジング(11)の少なくとも1個のスロット(14)を通って案内されることを特徴とする請求項7ないし9のうちいずれか1項記載の機器用端子。
【請求項11】
前記2次巻線(12a)の前記端子に接続された少なくとも1個の負荷抵抗(19)が前記トランスハウジングに受容されていることを特徴とする請求項7ないし10のうちいずれか1項記載の機器用端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−536540(P2007−536540A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512004(P2007−512004)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004801
【国際公開番号】WO2005/106505
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(501090342)タイコ エレクトロニクス アンプ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンク (65)
【出願人】(594164357)ジーメンス アクチエンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】