説明

機器移設有無検知装置及びその機器移設有無検知装置を備えた機器

【解決手段】工作機械にジャイロセンサ12を取り付けている。工作機械を設置場所から分離して移設する際に生じる工作機械の向きの変更に着目し、その向きの変更を工作機械の回転としてジャイロセンサ12により検出する。ジャイロセンサ12からの検出データから得られた工作機械の回転データに基づき移設の有無を判別することができる回転検知ユニット8を設けている。回転検知ユニット8は、工作機械の最大回転振れ角度が規定値を超えた場合に工作機械の移設であると判別する。また、検知開始時刻と検知終了時刻との間の回転角度を記録した履歴データを利用して工作機械の移設を判別することができる。
【効果】移設有無の判別を行い易くして工作機械の不正輸出管理機能を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、所定の設置場所に据え付けられた工作機械等の機器が、別の設置場所への移設目的等で必要以上に動かされたり、所定の設置場所から分離されて別の設置場所へ移設されたりした場合などに、そのような機器の動きを検出して移設か否かを判別することができる機器移設有無検知装置、並びに、そのような機器移設有無検知装置を備えた機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1では、工作機械の移動や地震等により機器に振動が加えられた際にその振動を振動検出装置本体により検出し、その振動検出に基づき機器の起動を禁止または停止する。従って、振動発生後に機器のメンテナンスを効率良く行うことができる。
【特許文献1】特開2003−35595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、高精度な或いは高機能な機械は、不正輸出の管理を厳しくしなければならないことが定められたり、決められた条件で設置することがメーカー側から求められたりしているため、そのような機械の移設管理は重要である。
【0004】
しかし、上記特許文献1にかかる振動検出装置本体は、例えば、機械加工中に発生する振動の誤検出や地震による振動の検出など、所定条件範囲にあるすべての振動を検出するため、機械の移設による振動の発生か否かを判別することが困難である。
【0005】
この発明は、移設有無の判別を行い易くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1,2,3,4,5,6,7,8に示す第1実施形態、図1,2,3,9,5,12,10,11,8,13に示す第2実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
【0007】
請求項1の発明にかかる機器移設有無検知装置は、第1実施形態及び第2実施形態に対応し、下記のように構成されている。
設置場所に据え付けることができるとともにその設置場所から分離することができる機器(例えば工作機械1等の機械)に回転検出用素子12を取り付けている。例えばその機器1を設置場所から分離して移設する際に生じる機器1の向きYの変更に伴う機器1の回転をこの回転検出用素子12により検出する。この回転検出用素子12からの検出データから得られた機器1の回転データに基づき移設の有無を判別することができる移設判別手段8を設けている。
【0008】
請求項1の発明では、機器1が設置場所から移設されれば、機器1の運搬途中で機器1の向きYが変更されることに着目し、その向きYの変更を機器1の回転として回転検出用素子12により検出するので、移設有無の判別が行い易くなる。
【0009】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1,2実施形態に対応)において、前記回転検出用素子はジャイロセンサ12である。請求項2の発明では、機器1の向きYの変更に伴う機器1の回転を容易に検出することができる。
【0010】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明(主に第1実施形態に対応)において、前記機器1の回転データは機器1の向きYの変更に伴い生じる回転角度の差である最大回転振れ角度θmであり、前記移設判別手段8はその最大回転振れ角度θmが規定値θrを超えたか否かを読んで規定値θrを超えた場合に機器1の移設であると判別する。請求項3の発明では、機器1の移設は機器1の回転のうち最大回転振れ角度θmとして反映されるので、移設有無の判別が行い易くなる。なお、第2実施形態においても第1実施形態と同様な移設判別を行うことができる。
【0011】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項4の発明(主に第2実施形態に対応)において、前記機器1の回転データは機器1の向きYの変更に伴い生じる回転角度であり、前記移設判別手段8は、電源ON/OFF回路15を備え、その電源ON/OFF回路15に対し電源ON指令aを行うとともに移設判別のための回転角検知を開始する検知開始時期と、その電源ON/OFF回路15に対し電源OFF指令dを行うとともに移設判別のための回転角検知を終了する検知終了時期との間で、この回転角度を記録した履歴データを備えている。請求項4の発明では、機器1の移設は検知開始時期と検知終了時期との間の各種回転角度に関する履歴データとして反映されるので、移設有無の判別を検知後に行うことができる。なお、第1実施形態においても第2実施形態と同様な履歴データを備えることができる。
【0012】
請求項4の発明を前提とする請求項5の発明(主に第2実施形態に対応)において、前記移設判別手段は前記履歴データに基づき機器1の移設であると判別する。請求項5の発明では、検知開始時期と検知終了時期との間の各種回転角度に関する履歴データを利用して移設有無の判別が行い易くなる。なお、第1実施形態においても第2実施形態と同様な移設判別を行うことができる。
【0013】
請求項3または請求項4または請求項5の発明を前提とする請求項6の発明(第1,2実施形態に対応)において、前記回転角度は、設置場所に据え付けられる機器1の据付部3に沿った水平線Hに対し直角をなす鉛直線Vを中心とする回転方向Xの角度である。請求項6の発明では、機器1の移設は機器1の回転のうち鉛直線Vを中心とする回転方向Xの角度として反映されるので、移設有無の判別が行い易くなる。
【0014】
請求項1から請求項6のうちいずれかの請求項の発明を前提とする請求項7の発明(第1,2実施形態に対応)において、前記移設判別手段8は、電源ON/OFF回路15を備え、機器1の状態変化に伴い開始状態を検出して、その電源ON/OFF回路15に対し電源ON指令aを行なうとともに移設判別のための回転角検知を開始する。また、請求項1から請求項6のうちいずれかの請求項の発明を前提とする請求項8の発明(第1,2実施形態に対応)において、前記移設判別手段8は、電源ON/OFF回路15を備え、機器1の状態変化に伴い終了状態を検出して、その電源ON/OFF回路15に対し電源OFF指令dを行なうとともに移設判別のための回転角検知を終了する。ちなみに、例えば、機器1の状態変化としては、主に移設に関連して機器1に生じる振動の有無や、主に移設に関連して行なう機器1に対する電源供給の遮断の有無や、移設時に生じる機器1の回転の有無などを挙げることができる。請求項7の発明では機器1の状態変化に伴い移設判別のための回転角検知を開始し、請求項8の発明では機器1の状態変化に伴い移設判別のための回転角検知を終了した。従って、回転角検知のための電源を節約することができる。
【0015】
請求項1または請求項2または請求項4または請求項5または請求項6の発明を前提とする請求項9の発明(第2実施形態に対応)において、前記機器1にはその機器1に生じる振動を検出する振動センサ23を取り付け、前記移設判別手段8は、電源ON/OFF回路15を備え、機器1に対する電源供給を遮断した状態でこの振動センサ23からの検出データにより得られた振動検出信号eに基づき、その電源ON/OFF回路15に対し電源ON指令aを行うとともに移設判別のための回転角検知を開始する。請求項9の発明では、機器1を移設するために機器1を運搬する際、機器1に振動が生じる可能性があるため、その振動検出を条件に移設判別のための回転角検知を開始した。従って、回転角検知のための電源を節約することができる。
【0016】
請求項9の発明を前提とする請求項10の発明(第2実施形態に対応)にかかる移設判別手段8においては、振動センサ23による機器1の振動の検出が規定時間を超えて継続して行なわれない場合、かつ、回転検出用素子12による機器1の回転データの検出が規定時間を超えて継続して行なわれない場合、電源ON/OFF回路15に対する電源OFF指令dがなされる。請求項10の発明では、移設判別のための回転角検知の開始後に機器1の振動及び回転が規定時間を超えて継続して行なわれない場合、移設判別のための回転角検知を終了した。従って、回転角検知のための電源を節約することができる。
【0017】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項6の発明を前提とする請求項11の発明(第1実施形態に対応)において、前記移設判別手段8は、電源ON/OFF回路15を備え、機器1の移設であると判別した場合、その電源ON/OFF回路15に対し電源OFF指令dを行うとともに移設判別を終了する。請求項11の発明では、移設有無の判別が明らかになれば、その段階で移設判別を中止して移設有無の判別のための電源を節約することができる。
【0018】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項6の発明を前提とする請求項12の発明(第1実施形態に対応)において、前記移設判別手段8は、電源ON/OFF回路15を備え、機器1に対する電源供給を遮断した場合にその電源ON/OFF回路15に対し電源ON指令aを行うとともに移設判別を開始し、機器1に対する電源供給を遮断した状態で機器1の移設であると判別した場合または機器1に対する電源供給を復帰させた場合にその電源ON/OFF回路15に対し電源OFF指令dを行うとともに移設判別を終了する。請求項12の発明では、例えば電源ケーブル16を機器1に接続した状態で電源ケーブル16を機器1から外して機器1に対する電源供給を遮断した場合には移設準備に取り掛かっている可能性が生じるために移設判別を開始し、例えば電源ケーブル16を機器1から外した状態で電源ケーブル16を機器1に接続して機器1に対する電源供給を復帰させた場合には移設が完了している可能性が生じるために移設判別を終了した。また、移設有無の判別が明らかになれば、その段階で移設判別を中止した。従って、移設有無の判別のための電源を節約することができる。
【0019】
請求項13の発明(第1,2実施形態に対応)において、機器1は、請求項1から請求項12のうちいずれかの請求項に記載の機器移設有無検知装置と、機器本体2に設けた移設有無処理部2aとを備え、この機器移設有無検知装置の移設判別手段8は、この機器本体2の移設有無処理部2aからの要求に応じて移設の有無の判別に関する情報を機器本体2の移設有無処理部2aに送信し、この機器本体2の移設有無処理部2aは、機器本体2に対し本体電源を供給した場合に、移設判別手段8に備えた電源ON/OFF回路15に対し電源ON指令cを行なうとともに移設の有無の判別に関する情報を受信し、機器1の移設であると判別した場合、機器本体2の運転を制限する。請求項13の発明では、移設判別手段8と機器本体2側との間で移設有無情報を通信させることができるので、機器1の移設があれば、不正の有無にかかわらずとにかく機器本体2の運転を制限し、機器1の不正利用を防止することができる。
【0020】
請求項13の発明を前提とする請求項14の発明(第1,2実施形態に対応)において、前記機器本体2の移設有無処理部2aは、予め決められた解除操作を行なった場合、機器本体2の運転制限を解除する。請求項14の発明では、予め決められた解除操作を行なえる者による機器1の利用を不正利用でないとして許容することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、機器移設有無検知装置において、機器1の運搬途中で機器1の向きYの変更を機器1の回転としてジャイロセンサ12等の回転検出用素子により検出するので、移設有無の判別を行い易くして、機器1の不正輸出管理機能を高めることができる。また、移設時に機器移設有無検知装置で使用する充電源の節約機能を高めることができる。さらに、このような機器移設有無検知装置を備えた機器1において、移設判別手段8から機器本体2側へ移行させた移設有無情報に基づき、機器本体2の運転制限とその解除とを行なえるようにして機器1の不正利用を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず、本発明の第1実施形態にかかる機器移設有無検知装置について図1,2,3,4,5,6,7,8を参照して説明する。
図2に示す機器としての工作機械1は、図1(a)(b)に示すように、機械本体2の底部にある据付部3で当初の設置場所4に対し水平に据え付けられている。この機械本体2の背面側には制御盤5及び電源投入口6が設けられ、この機械本体2の正面側には操作盤7が設けられている。この制御盤5内には図4に示す移設判別手段としての回転検知ユニット8が組み込まれている。図1(c)に示すように、この回転検知ユニット8は、機械本体2に設けた移設有無処理部2aとの間で移設の有無の判別に関する通信処理を図6に示すように行なう。
【0023】
この回転検知ユニット8において、マイクロプロセッサユニットとしてのMPU9には、フラッシュメモリ10や入出力インターフェースとしてのI/O11が接続されているとともに、回転検出用素子としてのジャイロセンサ12がADコンバータ13を介して接続され、さらに電源供給回路14における電源ON/OFF回路15が接続されている。このジャイロセンサ12は、従来周知のものから選択され、図1(a)(b)に示すように当初の設置場所4に据え付けられた工作機械1の据付部3に沿った水平線Hに対し直角をなす鉛直線Vを中心とする回転方向Xで、工作機械1の向きYの変更に伴う工作機械1の回転を検出する。また、この電源供給回路14においては、電源投入口6に電源ケーブル16が接続された状態で工作機械1に本体電源が入力されると、主電源端子部17に主電源(DC電源)が供給される。この主電源端子部17は電源切替回路18に接続されているとともに、その主電源端子部17によりバッテリ充電回路19を介して充電される二次電池20がこの電源切替回路18に接続されている。前記電源ON/OFF回路15には主電源端子部17からの主電源または二次電池20からの充電源がこの電源切替回路18を介して入力される。この電源切替回路18は、主電源端子部17に主電源が供給された場合に主電源を電源ON/OFF回路15に供給し、主電源端子部17に主電源が供給されていない場合に二次電池20からの充電源を電源ON/OFF回路15に供給する。この主電源端子部17にはリレーコイル21が接続され、電源ON/OFF回路15に接続された常閉接点22は、このリレーコイル21の励磁または消磁により開閉する。MPU9は、ジャイロセンサ12等からの入力信号に基づき、図5,6,7,8に示すフローチャートに従って機能し、各種データをフラッシュメモリ10に記憶させる。
【0024】
図1(a)(b)に示すように当初の設置場所4に据え付けられた工作機械1で、電源投入口6から電源ケーブル16が外されたり、電源ケーブル16が電源投入口6に接続されたままでも地震等により停電したりブレーカーが遮断されたりした場合、また、図2に示すように工作機械1が当初の設置場所4から分離されたりした場合、工作機械1に対する本体電源の供給が遮断されるとともに、主電源(DC電源)の供給が遮断される。その遮断時、リレーコイル21の消磁により常閉接点22が閉じて電源ON/OFF回路15にON指令aが送られ、二次電池20からの充電源が電源切替回路18及び電源ON/OFF回路15を介してMPU9に供給される。
【0025】
図5に示す回転検知ユニット処理においては、例えば図2に示すように工作機械1が移設目的で当初の設置場所4から分離された際に工作機械1に対する本体電源の供給が遮断されると、MPU9は、二次電池20からの充電源によりONされた後に、主電源端子部17からI/O11を介して入力された主電源確認信号bに基づきステップS1で主電源確認を行ない、主電源がOFFであると判断した場合、工作機械1の回転データを検知するためにステップS2で図7に示す検知処理に移る。また、例えば図3に示すように工作機械1が当初の設置場所4から運搬途中の設置場所に仮置きされた場合や最終の設置場所に移設されて据え付けられた場合に電源ケーブル16が電源投入口6に再び接続された状態で工作機械1に本体電源が供給されると、図8に示す本体電源ON処理によって、MPU9は、電源ON指令cに基づき主電源によりONされた後に、主電源端子部17からI/O11を介して入力された主電源確認信号bに基づきステップS1で主電源確認を行ない、主電源がONであると判断した場合、回転検知ユニット8から機械本体2側へデータを移行させるためにステップS3で図6に示す通信処理に移る。
【0026】
図2に示すように工作機械1が移設目的で当初の設置場所4から分離された後に運搬車両などに載せられて当初の設置場所4から運搬途中の設置場所や最終の設置場所へ運搬される際に、図3に示すように工作機械1は鉛直線Vを中心とする回転方向Xで向きYを変更するため、図7に示す検知処理において、ジャイロセンサ12により工作機械1の向きYの変更に伴う工作機械1の回転を検出する。ステップS4で、MPU9は、過去の状態信号から移設の有無を判断し、移設がないと判断した場合にステップS5に移る。ステップS5で、MPU9は、Val=0、Max=0、Min=0にそれぞれリセットし、ステップS6に移る。ちなみに、ValとMaxとMinとは図7の記載のように定義され、Maxは回転方向Xの両向きのうち一方の正向きの回転データであるとともに、Minは回転方向Xの両向きのうち正向きに対する反対向きの回転データである。ステップS6で、MPU9は、ジャイロセンサ12からの検出データから得られた工作機械1の回転データを回転角度Δαとして取り込み、ステップS7に移る。ステップS7で、MPU9は、Val=Val+Δαを行い、ステップS8に移る。ちなみに、Valは検知開始時の角度を0°とした時の回転角度であり、移設検知を判定するための内部データとして用いられる。MPU9は、ステップS8でValとMaxとを比較し、ValがMaxを超えていると判断した場合に、ステップS9でValをMaxとして更新し、ステップS10に移る。前記ステップS8で、MPU9は、ValがMaxを超えていないと判断した場合にも、ステップS10に移る。MPU9は、ステップS10でValとMinとを比較し、ValがMin未満であると判断した場合に、ステップS11でValをMinとして更新し、ステップS12に移る。前記ステップS10で、MPU9は、ValとMinとを比較し、ValがMin未満でないと判断した場合にも、ステップS12に移る。MPU9は、ステップS12でMaxとMinとの差である図3の最大回転触れ角度θm(=Max−Min)と規定値θr(移設に伴う回転として判断し得る十分な回転触れ角度)とを比較し、θmがθrを超えていないと判断した場合に、ステップS13に移る。ステップS13で、図5に示す回転検知ユニット処理のステップS1と同様に主電源確認を行ない、主電源がOFFであると判断した場合、電源ケーブル16が電源投入口6から外されて移設の可能性があるために前記ステップS6に戻って工作機械1の回転データ検出を繰り返す。MPU9は、ステップS12でθmがθrを超えていると判断した場合に、ステップS14で移設ありの状態信号をセットし、ステップS15に移る。前記ステップS4で、MPU9は、過去の状態信号から移設の有無を判断し、移設があったと判断した場合には前述した工作機械1の回転データ検出を行なわずにステップS15に移る。前記ステップS13で、MPU9は、主電源がONであると判断した場合、ステップS15に移る。ステップS15で、MPU9は、OFF指令dをI/O11を介して電源ON/OFF回路15に送り、MPU9に対する電源の供給を遮断して検知処理を終了する。すなわち、ステップS4〜S15では、各回の検知処理ごとにMax及びMinを更新して最大回転触れ角度θm(=Max−Min)を検出し、その最大回転触れ角度θmが規定値θrを超えない限り何回でも検知処理を繰り返すが、最大回転触れ角度θmが規定値θrを一旦超えれば、検知処理が終了する。
【0027】
図6に示す通信処理は、前述したように、例えば工作機械1が当初の設置場所4から運搬途中の設置場所に仮置きされた場合や最終の設置場所に移設されて据え付けられた場合に電源ケーブル16が電源投入口6に再び接続された状態で工作機械1に本体電源が供給された場合に行なわれる。工作機械1に本体電源が供給されると、機械本体2の移設有無処理部2a側からの電源ON指令cにより電源ON/OFF回路15がONしてMPU9に電源切替回路18を介して主電源が供給される。ステップS16で移設有無の状態信号がMPU9から機械本体2の移設有無処理部2aへ送られると、ステップS17で、MPU9は、移設の有無を判断し、移設があったと判断した場合にステップS18に移る。ステップS18で、MPU9は、機械本体2の移設有無処理部2aから移設有無の状態リセット指令があったと判断した場合にステップS19に移る。ステップS19で、MPU9は、移設ありの状態信号をリセットし、ステップS20に移る。ステップS18で、MPU9は、機械本体2の移設有無処理部2aから移設有無の状態リセット指令がなかったと判断した場合にその判断を繰り返す。前記ステップS17で、MPU9は、移設がなかったと判断した場合にもステップS20に移る。ステップS20で、MPU9からの電源OFF指令dにより電源ON/OFF回路15がOFFしてMPU9への主電源供給が遮断され、通信処理が終了する。すなわち、ステップS16〜S20では、移設ありの状態信号を機械本体2の移設有無処理部2aへ送信した後、移設があった際にMPU9は機械本体2の移設有無処理部2aからの指令により移設有無の状態信号をリセットして通信処理を終了するとともに、移設がない場合にもMPU9は通信処理を終了する。
【0028】
最後に、機械本体2を利用できるようにするために図8に示す本体電源ON処理が行なわれる。工作機械1に本体電源が供給されると、ステップS21で、機械本体2の移設有無処理部2a側から回転検知ユニット8側に電源ON指令cが出力され、ステップS22に移る。回転検知ユニット8側では、この電源ON指令cにより電源ON/OFF回路15がONしてMPU9に電源切替回路18を介して主電源が供給される。ステップS22で、前述した通信処理が回転検知ユニット8と機械本体2の移設有無処理部2aとの間で行なわれ、ステップS23に移る。ステップS23で、機械本体2の移設有無処理部2aは、移設の有無を判断し、移設があったと判断した場合にステップS24に移る。ステップS24で、機械本体2の移設有無処理部2aは、操作盤7に設けたアラームや表示画面などにより移設を知らせるととともに運転制限を行ない、ステップS25に移る。例えば、運転制限としては、自動運転による起動を禁止することなどを挙げることができる。ステップS25で、その運転制限を解除する解除操作を行ない、ステップS26に移る。例えば、解除操作としては、キー付きスイッチにより操作することや解除用スイッチを操作した際にパスワードを入力することなどを挙げることができる。ステップS26で、機械本体2の移設有無処理部2aは、この解除操作が正しい手順で行なわれたか否かを判断し、正しい手順で行なわれたと判断した場合にステップS27に移る。例えば、正しい手順としては、前述した解除操作を行なったことなどを挙げることができる。ステップS26で、機械本体2の移設有無処理部2aは、この解除操作が正しい手順で行なわれなかったと判断した場合にステップS25に戻ってこの判断を繰り返す。ステップS27で、前述した通信処理が回転検知ユニット8と機械本体2の移設有無処理部2aとの間で行なわれ、図6のステップS18で機械本体2の移設有無処理部2aから移設有無の状態リセット指令を待って待機している回転検知ユニット8に対し、機械本体2の移設有無処理部2aがその移設有無の状態リセット指令を送信し、ステップS28に移る。ステップS28で、機械本体2の移設有無処理部2aは、操作盤7に設けたアラームや表示画面を解除するとともに運転制限を解除し、本体電源ON処理が終了する。前記ステップS23で、機械本体2の移設有無処理部2aは、移設がなかったと判断した場合にもステップS28で本体電源ON処理を終了する。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態にかかる機器移設有無検知装置について第1実施形態との相違点を中心に図1,2,3,9,5,12,10,11,8,13を参照して説明する。ちなみに、図1,2,3,5,8は第1実施形態と同様な図面を利用し、図9が図4に、図12が図6に、図10,11が図7にそれぞれ対応する。
【0030】
図9に示す回転検知ユニット8においては、電源ON/OFF回路15に接続された常閉接点22に対し振動センサ23が直列接続されている。この振動センサ23は、従来周知のものから選択され、規定値以上の振動を感知するとOFFからONに切り替わる。工作機械1に対する本体電源の供給が遮断されるとともに、主電源(DC電源)の供給が遮断されて、リレーコイル21の消磁により常閉接点22が閉じた状態で、規定値以上の振動が生じて振動センサ23がONになると、電源ON/OFF回路15に電源ON指令aが送られ、二次電池20からの充電源が電源切替回路18及び電源ON/OFF回路15を介してMPU9に供給される。MPU9は、ジャイロセンサ12等からの入力信号に基づき、図5,12,10,11,8に示すフローチャートに従って機能し、各種データをフラッシュメモリ10に記憶させる。
【0031】
図5に示す回転検知ユニット処理や図8に示す本体電源ON処理は第1実施形態と同様であるが、第2実施形態においては第1実施形態と比較して図10,11に示す検知処理や図12に示す通信処理が変更されている。
【0032】
図7に示す第1実施形態の検知処理においては、通常、最終の設置場所で初めて工作機械1に本体電源が供給されて通信処理が行なわれると考えられるため、運搬途中の一以上の設置場所に工作機械1が静止状態で長時間留まっていたとしても、工作機械1が当初の設置場所4から運搬されて最終の設置場所で移設されるまでの間は連続的に検知処理が行なわれる。図10,11に示す第2実施形態の検知処理においては、当初の設置場所4から運搬途中の一以上の設置場所を経て最終の設置場所に至る場合、運搬途中で一箇所の設置場所に工作機械が静止状態で長時間留まっていても、その設置時間が長い場合には検知処理を行なわず、そのような運休設置場所間の移設ごとに1回の検知処理を行なうようにしている。すなわち、当初の設置場所4(運休設置場所)と1回目の運休設置場所との間で1回目の検知処理を行い、1回目の運休設置場所と2回目の運休設置場所との間で2回目の検知処理を行い、(n−1)回目の運休設置場所とn回目の設置場所(運休設置場所)との間のn回目の検知処理を行なう。
【0033】
ステップ29で、MPU9は、n=n+1、i=0、j=0、検知角度=0、Maxデータ(n)=0、Minデータ(n)=0、Val=0、Max=0、Min=0にそれぞれリセットするとともに検知開始時期としての検知開始時刻(n)をセットし、ステップ30に移る。ちなみに、iとjとValとMaxとMinとは図10の記載のように定義され、Maxは回転方向Xの両向きのうち一方の正向きの回転データであるとともに、Minは回転方向Xの両向きのうち正向きに対する反対向きの回転データである。また、検知開始時刻(n)、検知終了時刻(n)、Maxデータ(n)、Minデータ(n)、検知角度(n)は、第n回目の検知処理を行った結果得られた履歴データである。ステップ30で、MPU9は、ジャイロセンサ12からの検出データから得られた工作機械1の回転データを回転角度Δαとして取り込み、ステップS31に移ってデータ更新処理(ステップS32〜41)を行なう。
【0034】
ステップS32で、MPU9は、検知角度=検知角度+Δαを行い、ステップS33に移る。ちなみに、検知角度は検知開始時の角度を0°とした時の回転角度であり、前記履歴データの算出のために用いられる。MPU9は、ステップS33で検知角度とMaxデータ(n)とを比較し、検知角度がMaxデータ(n)を超えていると判断した場合に、ステップS34で検知角度をMaxデータ(n)として更新し、ステップS35に移る。前記ステップS33で、MPU9は、検知角度がMaxデータ(n)を超えていないと判断した場合にも、ステップS35に移る。MPU9は、ステップS35で検知角度とMinデータ(n)とを比較し、検知角度がMinデータ(n)未満であると判断した場合に、ステップS36で検知角度をMinデータ(n)として更新し、ステップS37に移る。前記ステップS35で、MPU9は、検知角度とMinデータ(n)とを比較し、検知角度がMinデータ(n)未満でないと判断した場合にも、ステップS37に移る。すなわち、このステップS32〜S36では、各回のデータ更新処理ごとにMaxデータ(n)及びMinデータ(n)を更新する。
【0035】
ステップS37で、MPU9は、Val=Val+Δαを行い、ステップS38に移る。ちなみに、Valは最後に回転ありと判定した時の角度を0°とした時の回転角度であり、回転ありまたは回転なしを判定するための内部データとして用いられる。MPU9は、ステップS38でValとMaxとを比較し、ValがMaxを超えていると判断した場合に、ステップS39でValをMaxとして更新し、ステップS40に移る。前記ステップS38で、MPU9は、ValがMaxを超えていないと判断した場合にも、ステップS40に移る。MPU9は、ステップS40でValとMinとを比較し、ValがMin未満であると判断した場合に、ステップS41でValをMinとして更新し、ステップS42に移る。前記ステップS40で、MPU9は、ValとMinとを比較し、ValがMin未満でないと判断した場合にも、ステップS42に移る。すなわち、このステップS37〜S41では、各回のデータ更新処理ごとにMax及びMinを更新する。
【0036】
工作機械1の運搬時等に工作機械1に振動が加わるため、ステップS42で、MPU9は、振動センサ23がONになった際に生じる振動信号をI/O11を介して検出して振動の有無を確認し、振動があったと判断した場合にステップS43に移り、振動がなかったと判断した場合にステップS44に移る。ステップS43で、MPU9は、振動があったためにj=0にリセットしてステップS45に移る。ステップS44で、MPU9は、振動非検知をカウントしてステップS45に移る。ステップS45で、MPU9は、MaxとMinとの差である最大回転触れ角度θm(=Max−Min)と規定値θrとを比較し、θmがθrを超えているために工作機械1の回転があったと判断した場合にステップS46に移り、θmがθrを超えていないと判断した場合にステップS47に移る。ステップS46で、MPU9は、工作機械1の回転があったとしてi-=0、Val=0、Max=0、Min=0にそれぞれリセットし、ステップS48に移る。ステップS47で、MPU9は、回転非検知をカウントしてステップS48に移る。ステップS48で、jが規定値を超えているか否かとiが規定値を超えているか否かとを判断し、jとiとのうちいずれもが規定値を超えていると判断した場合にステップS49に移る。すなわち、振動非検知カウントjや回転非検知カウントiは時間に換算できるため、振動センサ23による工作機械1の振動の検出が規定値としての規定時間を超えて継続して行なわれない場合、かつ、ジャイロセンサ12による工作機械1の回転データの検出が規定値としての規定時間を超えて継続して行なわれない場合には、ステップS49で、検知角度(n)のセットと検知終了時期としての検知終了時刻(n)のセットと電源OFF出力を行ない、検知処理が終了する。前記ステップS48で、MPU9は、振動センサ23による工作機械1の振動の検出やジャイロセンサ12による工作機械1の回転データの検出が規定値としての規定時間内に行なわれたために、jとiとのうち少なくともいずれかが規定値を超えていないと判断した場合、ステップ30に戻って検知処理を繰り返す。すなわち、ステップS29〜S49では、各回の検知処理ごとにMax及びMinを更新して最大回転触れ角度θm(=Max−Min)を検出し、その最大回転触れ角度θmが規定値θrを超えて工作機械1の回転があっても、また、工作機械1の振動があっても、工作機械1の回転データの検出や工作機械1の振動の検出が規定時間内で行われている限り何回でも検知処理を繰り返すが、それらが規定時間を越えれば検知処理が終了する。
【0037】
図12に示す通信処理は、第1実施形態と同様に、工作機械1に本体電源が供給された場合に行なわれる。工作機械1に本体電源が供給されると、機械本体2の移設有無処理部2a側からの電源ON指令cにより電源ON/OFF回路15がONしてMPU9に電源切替回路18を介して主電源が供給される。ステップS50で、MPU9は、過去の状態信号から移設の有無を判断し、移設がないと判断した場合に、ステップS51に移る。
【0038】
例えば、図13に示す履歴データでは、検知開始時刻と検知終了時刻とで区切られる1回目〜n回目までの各検知処理でそれぞれMaxデータ(n)とMinデータ(n)と検知角度とが表示され、それらを基にして、例えば、1回目〜n回目までの各検知処理における検知角度を順次加算したΣ検知角度や、今回のMaxデータ(n)に前回のΣ検知角度を加算したMaxデータ(n)の絶対値換算や、今回のMinデータ(n)に前回のΣ検知角度を加算したMinデータ(n)の絶対値換算や、各回のMaxデータ(n)の絶対値換算のうち最大の最終判定値や、各回のMinデータ(n)の絶対値換算のうち最小の最終判定値を演算している。なお、図13に示す履歴データは、工作機械1の操作盤7で表示画面に表示したり、または紙にプリントしたりすることができる。
【0039】
ステップS51で、MPU9は、前記履歴データを基に、例えば図7の検知処理におけるステップS12と同様にして移設判断処理を行ない、ステップS52に移る。第1実施形態では図7の検知処理内で移設判断処理を行なっているが、第2実施形態では図12の通信処理内で移設判断処理を行なっており、検知処理と通信処理との違いはあるものの、図5の回転検知ユニット処理内で移設判断処理を行なう点は第1実施形態と第2実施形態とで互いに共通している。ちなみに、ステップS12におけるMaxとMinはそれぞれMaxデータ(n)とMinデータ(n)の絶対値換算のうち最大と最小の最終判定値に該当する。また、各回の検知処理で検知開始時刻と検知終了時刻との間の検知時間が規定時間よりも小さい場合には、最初の振動を検知した後に回転を検出できなかったことを意味するため、MPU9はその場合のデータを無視するようにしてもよい。
【0040】
ステップS52で、MPU9は移設があったと判断した場合にステップS53に移る。ステップS53で、MPU9は、移設ありの状態信号をセットし、ステップS54に移る。MPU9は、前記ステップS50で過去の状態信号から移設の有無を判断し、移設があったと判断した場合や、前記ステップS52で移設がなかったと判断した場合にもステップS54に移る。ステップS54で、移設有無の状態信号がMPU9から機械本体2の移設有無処理部2aへ送られると、ステップS55で、MPU9は、移設の有無を判断し、移設があったと判断した場合にステップS56に移る。ステップS56で、MPU9は、機械本体2の移設有無処理部2aから移設有無の状態リセット指令があったと判断した場合にステップS57に移る。ステップS57で、MPU9は、移設ありの状態信号をリセットし、ステップS58に移る。ステップS56で、MPU9は、機械本体2の移設有無処理部2aから移設有無の状態リセット指令がなかったと判断した場合にその判断を繰り返す。前記ステップS55で、移設がなかった場合にもMPU9はステップS58に移る。ステップS58で、n=0にして検知処理を初期化し、ステップS59に移る。ステップS59で、MPU9からの電源OFF指令dにより電源ON/OFF回路15がOFFしてMPU9への主電源供給が遮断され、通信処理が終了する。
【0041】
前記各実施形態ではジャイロセンサ12により水平面上の回転を検出したが、鉛直面上の回転を検出してもよい。また、ジャイロセンサ12以外に、例えば、2軸の加速度センサから角速度を計算する方法や、地磁気センサを用いて回転を検出する方法などを採用してもよい。さらに、工作機械1以外の機器、例えば測定装置やレーザー発振器などについて、移設管理を行なうようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)は第1実施形態及び第2実施形態にかかる機器移設有無検知装置を備えた工作機械を当初の設置場所に据え付けた状態を示す側面図であり、(b)は同じく平面図であり、(c)は同じく機器移設有無検知装置の回転検知ユニットと機械本体の移設有無処理部との通信を示す電気ブロック回路図である。
【図2】その工作機械を当初の設置場所から別の設置場所へ移設する目的で分離させた状態を示す斜視図である。
【図3】その工作機械を別の設置場所に移設する際に工作機械が向きの変更により回転する状態を示す平面図である。
【図4】第1実施形態にかかる機器移設有無検知装置において回転検知ユニットを示す電気ブロック回路図である。
【図5】第1実施形態及び第2実施形態にかかる機器移設有無検知装置において回転検知ユニット処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態にかかる機器移設有無検知装置において回転検知ユニット処理の通信処理を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態にかかる機器移設有無検知装置において回転検知ユニット処理の検知処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態及び第2実施形態にかかる機器移設有無検知装置において工作機械本体の電源ON処理を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態にかかる機器移設有無検知装置において回転検知ユニットを示す電気ブロック回路図である。
【図10】第2実施形態にかかる機器移設有無検知装置において回転検知ユニット処理の検知処理を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態にかかる機器移設有無検知装置において上記検知処理のデータ更新処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態にかかる機器移設有無検知装置において回転検知ユニット処理の通信処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態にかかる機器移設有無検知装置において履歴データを示す表である。
【符号の説明】
【0043】
1…機器としての工作機械、2…機器本体としての機械本体、2a…機械本体の移設有無処理部、3…工作機械の据付部、8…移設判別手段としての回転検知ユニット、12…回転検出用素子としてのジャイロセンサ、15…電源ON/OFF回路、23…振動センサ、X…工作機械の回転方向、Y…工作機械の向き、θm…工作機械の最大回転振れ角度、H…水平線、V…鉛直線、a,c…電源ON指令、b…主電源確認信号、d…電源OFF指令、e…振動検出信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置場所に据え付けることができるとともにその設置場所から分離することができる機器に回転検出用素子を取り付け、その機器の向きの変更に伴う機器の回転をこの回転検出用素子により検出し、この回転検出用素子からの検出データから得られた機器の回転データに基づき移設の有無を判別することができる移設判別手段を設けたことを特徴とする機器移設有無検知装置。
【請求項2】
前記回転検出用素子はジャイロセンサであることを特徴とする請求項1に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項3】
前記機器の回転データは機器の向きの変更に伴い生じる回転角度の差である最大回転振れ角度であり、前記移設判別手段はその最大回転振れ角度が規定値を超えたか否かを読んで規定値を超えた場合に機器の移設であると判別することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項4】
前記機器の回転データは機器の向きの変更に伴い生じる回転角度であり、前記移設判別手段は、電源ON/OFF回路を備え、その電源ON/OFF回路に対し電源ON指令を行なうとともに移設判別のための回転角検知を開始する検知開始時期と、その電源ON/OFF回路に対し電源OFF指令を行なうとともに移設判別のための回転角検知を終了する検知終了時期との間で、この回転角度を記録した履歴データを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項5】
前記移設判別手段は前記履歴データに基づき機器の移設であると判別することを特徴とする請求項4に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項6】
前記回転角度は、設置場所に据え付けられる機器の据付部に沿った水平線に対し直角をなす鉛直線を中心とする回転方向の角度であることを特徴とする請求項3または請求項4または請求項5に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項7】
前記移設判別手段は、電源ON/OFF回路を備え、機器の状態変化に伴い開始状態を検出して、その電源ON/OFF回路に対し電源ON指令を行なうとともに移設判別のための回転角検知を開始することを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれかの請求項に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項8】
前記移設判別手段は、電源ON/OFF回路を備え、機器の状態変化に伴い終了状態を検出して、その電源ON/OFF回路に対し電源OFF指令を行なうとともに移設判別のための回転角検知を終了することを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれかの請求項に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項9】
前記機器にはその機器に生じる振動を検出する振動センサを取り付け、前記移設判別手段は、電源ON/OFF回路を備え、機器に対する電源供給を遮断した状態でこの振動センサからの検出データにより得られた振動検出信号に基づき、その電源ON/OFF回路に対し電源ON指令を行なうとともに移設判別のための回転角検知を開始することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項4または請求項5または請求項6に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項10】
前記移設判別手段においては、振動センサによる機器の振動の検出が規定時間を超えて継続して行なわれない場合、かつ、回転検出用素子による機器の回転データの検出が規定時間を超えて継続して行なわれない場合に、電源ON/OFF回路に対する電源OFF指令がなされることを特徴とする請求項9に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項11】
前記移設判別手段は、電源ON/OFF回路を備え、機器の移設であると判別した場合、その電源ON/OFF回路に対し電源OFF指令を行なうとともに移設判別を終了することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項6に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項12】
前記移設判別手段は、電源ON/OFF回路を備え、機器に対する電源供給を遮断した場合にその電源ON/OFF回路に対し電源ON指令を行なうとともに移設判別を開始し、機器に対する電源供給を遮断した状態で機器の移設であると判別した場合または機器に対する電源供給を復帰させた場合にその電源ON/OFF回路に対し電源OFF指令を行なうとともに移設判別を終了することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項6に記載の機器移設有無検知装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のうちいずれかの請求項に記載の機器移設有無検知装置と、機器本体に設けた移設有無処理部とを備え、この機器移設有無検知装置の移設判別手段は、この機器本体の移設有無処理部からの要求に応じて移設の有無の判別に関する情報を機器本体の移設有無処理部に送信し、この機器本体の移設有無処理部は、機器本体に対し本体電源を供給した場合に、移設判別手段に備えた電源ON/OFF回路に対し電源ON指令を行なうとともに移設の有無の判別に関する情報を受信し、機器の移設であると判別した場合、機器本体の運転を制限することを特徴とする機器移設有無検知装置を備えた機器。
【請求項14】
前記機器本体の移設有無処理部は、予め決められた解除操作を行なった場合、機器本体の運転制限を解除することを特徴とする請求項13に記載の機器移設有無検知装置を備えた機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−334395(P2007−334395A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162037(P2006−162037)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000114787)ヤマザキマザック株式会社 (80)
【Fターム(参考)】