説明

機器類

【課題】装置本体に補助装置をセットした際、補助装置のピンが装置本体の筺体に嵌合して抜けなくなることを防ぐ。
【解決手段】装置本体をなす筐体に開口5を設け、補助装置の装置本体と向かい合う面には1つ又は複数のピン6を設ける。ピン6は尖頭状の部位のすぐ下側の直筒状部分の上部側部位に溝7を形成する。装置本体に補助装置をセットした際、開口5とピン6を嵌合する位置に設けることで、セット後は開口5の突片部5aが変形してピン6の溝7に喰いつく形態となり、装置本体1と補助装置2は離れなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に補助装置をセットして、機能アップや利便性を向上させる装置や家具等、さらには複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の画像形成装置(本願ではこれらを機器類と称する)に関する。
【背景技術】
【0002】
装置本体の機能をアップさせたり利便性を向上するために、補助装置とセットで連結して設置する場合がある。例えば、棚の上や横に棚を増設したり、1段ベッドを2段ベッドにする、テレビの下にテレビ台をセットするなどの例がある。これらの補助装置の連結を実施しなかったり確実に実施しなかった場合、人が装置にぶつかったり地震や装置の移動の際に装置本体と補助装置が分離し、転落したり破損したりする恐れがある。
【0003】
また画像形成装置などでは、装置本体と補助装置が電源で機能を発揮し、装置本体と補助装置がハーネスや信号線で連結されている場合、それらを外さずに装置本体と補助装置を分離してしまうとハーネスや信号線が切れたり装置内部の部品が破損してしまうという不具合がある。
【0004】
特許文献1には、画像形成装置と後処理装置の固定手段について、固定と解除のいずれもが手動で行われ、画像形成装置と後処理系装置を水平に連結する発明が開示されている。また特許文献2には、プリンタ本体の下にオプションを重ねた時、オプションの取手を隠すことで両方を同時に持ち上げられないようにして、プリンタ本体の落下を防止するようにした発明が開示されている。
【0005】
また特許文献3には、画像読み取り装置を画像形成装置本体にスライドさせて結合し、画像形成装置組立時の精度と組付け強度向上をはかった発明が開示されている。特許文献4には、装置本体の運搬用の把手の出没によって、装置を設置するテーブルとの固定と解除を行うものが開示されている。さらに、特許文献5には、給紙、搬送、保持ユニットに対して作像部を着脱可能としたものが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置本体に補助装置をセットすると自動的に連結し離れなくすることと、その分離に係る新規な機器類、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の機器類は、補助装置の上、横、又は下に設置され筺体とカバーを具備する装置本体と、該補助装置の前記装置本体と向かい合う面に設けられたピン部材と、前記装置本体の前記補助装置と向かい合う面に開けられたピン部材が入る開口と、を具備した機器類において、前記補助装置と前記装置本体をセットした後、前記補助装置の前記ピン部材に前記装置本体の前記筺体が抜けなくなるように嵌合させてなることを特徴とする。
【0008】
本発明の機器類は、前記補助装置のピン部材に嵌合して抜けなくなる部材が、前記筺体から外せる部材であることを特徴とする。
【0009】
本発明の機器類は、前記補助装置の前記ピン部材に嵌合して抜けなくなる前記部材を、前記装置本体の前記筺体に対してスライド移動可能備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の機器類は、前記部材の近傍の前記装置本体のカバーや前記筺体に、レバーや穴が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の機器類は、前記装置本体が電源により駆動する装置であって、前記補助装置の前記ピン部材に嵌合して抜けなくなる前記部材に駆動手段を連結し、該駆動手段の動作のためのスイッチや操作部を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明の機器類は、前記装置本体が画像形成装置の装置本体、前記補助装置が該画像形成装置の装置本体にセットされる周辺機器であることを特徴とする。
【0013】
本発明の機器類は、前記装置本体に補助装置をセットして構成する家具等であることを特徴とする。
【0014】
本発明の機器類は、前記装置本体に補助装置をセットして構成する装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装置本体に補助装置をセットした際、補助装置のピンが装置本体の筺体に嵌合して抜けなくなることにより、人が装置にぶつかったり地震や装置の移動の際に装置本体と補助装置が分離し、転落したり破損したりする恐れを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1を示す分解斜視図
【図2】図1の装置の装置本体の構成を示す断面図
【図3】図1の装置の補助装置に設けるピンの構造を示す図
【図4】本発明の実施例2を示す図
【図5】本発明の実施例3を示す図
【図6】本発明の実施例4を示す図
【図7】本発明の実施例5を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、装置本体に補助装置をセットした際、補助装置のピンが装置本体の筺体に嵌合して抜けなくなる。このことにより、前述の不具合を回避するものである。
【0018】
ただし、前記本発明の実施形態では、装置の移動やさらなる補助装置の増設の際に装置本体と補助装置を分離する必要がある。そのため本発明の他の実施形態では、装置本体の筺体に具備された別の部材に補助装置のピンが嵌合する。このことにより、装置本体と補助装置を分離しようとする際、装置本体の筺体に具備された部材を外すことで分離が可能となる。
【0019】
しかしこの実施形態では、装置本体と補助装置をセットする際に部材の嵌合部分が変形し、再使用できなくなる可能性がある。そこで本発明は、装置本体の筺体に設けられた別の部材がスライド移動することによって補助装置のピンに嵌合して抜けなくなる構成とするものである。嵌合する部分の部材に変形がないため装置本体と補助装置を分離した後でも確実に部材の再使用が可能となる。
【0020】
ただしこれらの発明では、装置本体と補助装置を分離する際に装置本体のカバーや装置本体内の部品等を外して嵌合している部材にアクセスする必要がある。そこで本発明においては、装置本体のスライド移動する部材の近傍のカバーや筺体に穴を設け、その穴からスライド移動して嵌合している部材を戻すことを可能とし、装置本体のカバーを付けたまま、嵌合している部材の解除、装置本体と補助装置の分離を容易にしている。
【0021】
また本発明は、装置本体が電源で動作するものの時、上述した部材の戻し動作をソレノイドやモータなどのメカトロ部品にて行うようにして、動作を装置本体側の操作部やスイッチから操作できる構成とし、さらに容易に装置本体と補助装置を分離できるようにしている。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0023】
<実施例1>
図1に本発明の実施例1を示す。この実施例1において、装置本体1には補助装置をセットできる。装置本体1の下には補助装置2(a)、装置本体1の横には補助装置2(b)、装置本体1の上には補助装置2(c)といった取り付け形態が考えられる。補助装置2(以下では特に必要なければ符号にa〜cを付さずに説明する)は、1つの場合も複数の場合もある。さらに、補助装置2(b)の下にさらに同種の補助装置2(b)というように並列に重ねてセットすることも可能である。
【0024】
装置本体1には、図2に示す筐体3、カバー4及び図示しない装置本体1の機能を発揮するための部品からなる。筐体3には、図3(b)のような開口5が設けられている。一方、補助装置2の装置本体1と向かい合う面には、図3(a)に示すように、1つ又は複数のピン6が設けられている。ピン6は尖頭状の部位のすぐ下側の直筒状部分の上部側部位に溝7が形成されている。
【0025】
装置本体1に補助装置2をセットした際、開口5とピン6を嵌合する位置に設けることで、セット後は図3(c)に示すように開口5の突片部5a(図示の例では略円形の開口5の内側へ突出するように突片部5a、5aが形成してある)が変形してピン6の溝7に喰いつく形態となり、装置本体1と補助装置2は離れなくなる。筐体3とピン6を金属で構成すれば喰いつきが強固となり、装置本体1や補助装置2が重いものであっても適用できる。ピン6と開口5の形状は、喰いつきが成立すれば円形に限らず、四角や三角、その他の異形状でも良い。また、設計の都合によっては、装置本体1にピン6、補助装置2に開口5を設けても良い。
【0026】
すなわちこの実施例では、装置本体1に補助装置2をセットした際、補助装置2のピン6が装置本体1の筺体3に嵌合して抜けなくなることにより、人が装置にぶつかったり地震や装置の移動の際に装置本体1と補助装置2が分離し、転落したり破損したりする恐れを回避できる。
【0027】
<実施例2>
図4に本発明の実施例2を示す。この実施例2において、図4(a)に示される形状に折り曲げた部材8がネジ等の締結部品で筐体3に固定されており、この部材8に設けた開口9には、1ヶ所又は複数の爪部10(先の実施例の突片部5aより円周方向の幅が狭い)が設けられている。
【0028】
そして図4(b)、(c)に示されるように、補助装置2のピン11の尖頭状部分には爪部10に喰いつく部分11aと、半径が小さくて喰いつかない部分11bが構成されている。溝7は先の実施例と同様に設けられている。
【0029】
この実施例でも、装置本体1と補助装置2をセットした際は、実施例1と同様に、開口9の爪部10が変形してピン11の溝7に喰いつく形態となり、装置本体1と補助装置2は離れなくなる。ここで、部材8の締結部品を外し、部材8をピン11を中心に回転させることで爪10がピン11の半径が小さい部分11bにくるので部材8を外し得る。すなわち、装置本体1と補助装置2を分離することが可能となっている。
【0030】
<実施例3>
本発明の実施例3を図5に示す。この実施例3においては、図示のように、部材12が、装置本体1の筐体3に対してスライドするように構成されている。スライドする手段としては、部材12に設けた長穴13を段付きネジで押さえる方法や、レールを使った方法などが考えられるが、適宜の公知の手段を用いればよい。
【0031】
部材12には、幅の異なる連結穴14が設けられ、さらにスプリング15によって図中矢印B方向に付勢されている。補助装置2には、先の実施例と同様に溝16を形成したピン17が設けられている。溝16の径をP2、ピン17の径をP1、連結穴14の小さい方の幅寸法をQ2、大きい方の幅寸法をQ1とするとき、Q1>P1>Q2>P2の関係が成り立つように構成する。さらに、装置本体1と補助装置2が嵌合する際、ピン17の先端が連結穴14のポイントSとなるように構成する。
【0032】
そのためピン17が連結穴14に入る際、ピン17の先端斜面に案内されて部材12は図中の矢印A方向に移動する。ピン17が完全に連結穴14に入る、すなわち、溝16の位置に部材12がくると、スプリング15の付勢力により部材12は図中の矢印B方向にスライド移動し、ピン17の溝16に嵌合するものである。装置本体1と補助装置2を分離する際は、部材12を図中の矢印A方向に押してやれば良い。
【0033】
すなわち、装置本体1の筺体3に設けられた別体の部材12がスライド移動することによって補助装置2のピン11に嵌合して抜けなくなる構成とするもので、嵌合する部分の部材に変形がないため、装置本体1と補助装置2を分離した後でも確実に部材12の再使用が可能となる。
【0034】
<実施例4>
本発明の実施例4を図6に示す。図6における部材18は、先の実施例で示した部材12とほぼ同様の構造を有するが、さらにレバー19を備えている。レバー19の他端は、カバー4に設けられた穴20を貫通している。すなわち、装置本体1における部材18は、カバー4を外さずに動かすことができる。そのため、装置本体1のカバー4を付けたまま、嵌合している部材18を解除し、装置本体1と補助装置2を容易に分離することができる。
【0035】
<実施例5>
本発明の実施例4を図7に示す。この実施例は、先に説明した実施例4の駆動源に電動の手段を用いて実施するもので、先の実施例で示した部材12とほぼ同様の構造を有する部材21は、レバー22が回転自由な支点23で支持されている。レバー22は、装置本体1の筐体3に固定した支点24を中心に回転する。レバー22の点23と反対側の端部25には、筐体3に固定されたソレノイド26が具備されている。ソレノイド26は、図示しないスイッチや装置本体1の操作部からの信号でONとなる。ソレノイド26がONすると、レバー22は図中矢印C方向に回転し、部材21は矢印A方向に移動し、装置本体1と補助装置2が分離可能となる。すなわち装置本体1が電源で動作し、部材21の戻し動作をソレノイドやモータなどのメカトロ部品にて実施するので、容易に装置本体1と補助装置2を分離することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明を、プリンタやPPCのような画像形成装置に採用する場合、補助装置としては、画像形成装置の下に設置される給紙バンクやテーブル、画像形成装置の横に設置される給紙バンクやソータ、ステープラのような紙の後処理系装置、画像形成装置の上に設置される原稿送り装置や圧板のような原稿処理装置などの周辺機器が考えられる。なお、画像形成装置によっては、ユーザーが周辺機器を含めて設置を実施する場合がある。各種の補助装置である周辺機器を装置本体である画像形成装置に設置したと同時に嵌合し離れなくなると、前述した転倒や画像形成装置の破損を防止できる。
【0037】
なお本発明をプリンタやファクシミリ、PPCといった画像形成装置の用いる場合、上述した実施例の装置本体1が画像形成装置、補助装置2(a)は給紙バンクやテーブル、補助装置2(b)はソータやステープラ、補助装置2(c)はADFや圧板といった周辺機器となる。
【0038】
また補助装置2に上述した装置本体1の開口や部材を設ければ、複数の補助装置2を重ねて連結することも可能となる。したがって、補助装置である周辺機器を仮にユーザーがセットしたとしても、固定のし忘れが無く安全である。
【符号の説明】
【0039】
1:装置本体
2(2(a)、2(b)、2(c)):補助装置
3:筐体
4:カバー
5:開口
5a:開口の突片部
6:ピン
7:溝
8:部材
9:開口
10:爪部
11:ピン
11a:ピンの大径の部分
11b:同小径の部分
12:部材
13:長穴
14:連結穴
15:スプリング
16:溝
17:ピン
18:部材
19:レバー
20:穴
21:部材
22:レバー
23、24:支点
25:端部
26:ソレノイド
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2002-278159号公報
【特許文献2】特開2004-8261号公報
【特許文献3】特開2003-209647号公報
【特許文献4】特開平11-15225号公報
【特許文献5】特開2002-244529号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助装置の上、横、又は下に設置され筺体とカバーを具備する装置本体と、
該補助装置の前記装置本体と向かい合う面に設けられたピン部材と、
前記装置本体の前記補助装置と向かい合う面に開けられたピン部材が入る開口と、
を具備した機器類において、
前記補助装置と前記装置本体をセットした後、前記補助装置の前記ピン部材に前記装置本体の前記筺体が抜けなくなるように嵌合させてなることを特徴とする機器類。
【請求項2】
請求項1に記載の機器類において、
前記補助装置のピン部材に嵌合して抜けなくなる部材が、前記筺体から外せる部材であることを特徴とする機器類。
【請求項3】
請求項2に記載の機器類において、
前記補助装置の前記ピン部材に嵌合して抜けなくなる前記部材を、前記装置本体の前記筺体に対してスライド移動可能備えることを特徴とする機器類。
【請求項4】
請求項3に記載の機器類において、
前記部材の近傍の前記装置本体のカバーや前記筺体に、レバーや穴が設けられていることを特徴とする機器類。
【請求項5】
請求項3に記載の機器類において、
前記装置本体が電源により駆動する装置であって、
前記補助装置の前記ピン部材に嵌合して抜けなくなる前記部材に駆動手段を連結し、
該駆動手段の動作のためのスイッチや操作部を設けたことを特徴とする機器類。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の機器類であって、
前記装置本体が画像形成装置の装置本体、前記補助装置が該画像形成装置の装置本体にセットされる周辺機器であることを特徴とする機器類。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の機器類であって、
前記装置本体に補助装置をセットして構成する家具等であることを特徴とする機器類。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載の機器類であって、
前記装置本体に補助装置をセットして構成する装置であることを特徴とする機器類。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−180314(P2011−180314A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43730(P2010−43730)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】