説明

機械上の参照位置に対する器具上の位置を決定するためのシステムおよび方法

開示は、一態様において、機械上の参照位置に対する機械上の位置を決定するための方法を記載している。本方法は、座標系における参照位置を決定するステップと、座標系における機械上の第1の所望される位置を決定するステップと、参照位置に対する第1の所望される位置を決定するステップとを含む。本方法は、さらに、第1の相対的な所望される位置を用いて制御システムを更新するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許開示は、一般に、器具制御システムに関し、より具体的には、機械上の参照位置に対する器具上の位置を決定するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道式トラクタ、モータグレーダ、スクレーパ、および/またはバックホーローダなどの土木機械は、ドーザブレードまたはバケットなどの器具を有し、かかる器具は、土地の区画の地形または地勢を変更するために工事現場で用いられる。器具は、工事現場において最終的な表面の輪郭または最終的な勾配を達成するなどの工事現場における工事を行うため、オペレータまたは制御システムにより制御することができる。しかし、オペレータが移動を制御している場合、器具の位置決めは、専門技能と勤勉さとを要求する複雑で時間がかかる仕事である。従って、オペレータの制御を簡略化するため、器具の自律的制御を提供することが望ましいことが多い。
【0003】
器具を自律的に制御するためには、機械上の参照点に対する器具上の少なくとも1つの点の正確な位置を決定することが時として必要である。また、器具上の少なくとも1つの点と機械上の参照点との間の厳密な距離を決定することも時として必要である。器具上の点と機械上の参照点との正確な相対位置および厳密な相対距離を決定することは、位置および距離情報を用いて器具制御システムを較正または更新することを要求する場合もある。
【0004】
従来技術によるシステムは、直定規、巻き尺、下げ振り、および他の手動の方法を用いて位置および距離情報を取得している。いくつかの従来技術によるシステムは、例えば木、岩、旗、および他のかかるマーカなど、機械に対して外方または外部に配置された参照点に対する位置情報を用いて器具制御システムを更新している。例えば、Kalafut他に付与された(特許文献1)(「Kalafut」)は、工事器具が制御可能に取り付けられた工事機械の位置および機首方向を決定するための方法を開示している。(特許文献1)は、参照点を用いて工事機械の位置および機首方向のための参照を提供することを開示している。好適な参照点の例には、「岩、旗、マーカ、木など」が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,418,364号明細書
【発明の概要】
【0006】
しかし、開示された方法では、測定プロセス中に検出することが困難な種々の人的エラーが生じやすいため、(特許文献1)および他の従来技術によるシステムにより開示される方法は、測定距離が大きくないときに十分なものである。加えて、開示された方法および従来技術によるシステムは、2人以上の個人、既知の座標系に対して固定かつ一定の参照点(すなわち、参照点の座標が変化しない)、および/または機械に対して外部の参照点とを要求し得る測定プロセスを含み、機械を外部の参照点に対して繰り返し較正することを要求し得、非常に時間がかかる可能性がある。
【0007】
開示のシステムおよび方法は、上記の問題の1つ以上を克服することを対象とするものである。
【0008】
一態様において、本開示は、機械上の参照位置に対する機械上の位置を決定するための方法を記載している。本方法は、座標系における参照位置を決定するステップと、座標系における機械上の第1の所望される位置を決定するステップと、参照位置に対する第1の所望される位置を決定するステップとを含む。本方法は、さらに、第1の相対的な所望される位置を用いて制御システムを更新するステップを含む。
【0009】
開示は、別の態様において、機械の剛性体に動作的に接続された器具を有する機械上の参照位置に対する機械上の位置を決定するための、機械における器具制御システムを記載している。制御システムは、器具に動作的に接続されたコントローラを含む。コントローラは、座標系における参照位置を決定し、座標系における器具上の第1の所望される位置を決定し、参照位置に対する第1の所望される位置の、第1の相対的な所望される位置を決定し、第1の相対的な所望される位置を用いて器具制御システムを更新するように適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の例示的実施形態による器具制御システムを有する機械の側面図である。
【図2】本開示の例示的実施形態による器具制御システムを有する機械の正面図である。
【図3】本開示の例示的実施形態による器具制御システムを示す。
【図4】本開示の例示的実施形態による器具制御プロセスの一実施形態を示すフロー図である。
【図5】本開示の例示的実施形態による器具制御プロセスの代替の実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、機械上の参照位置に対する器具上の位置を決定するためのシステムおよび方法に関する。機械100の例示的実施形態を図1に概略的に示す。機械100は、採鉱、建設、農業、輸送、または当該技術において既知の他のいずれかの産業などの産業に関連付けられた何らかの種類の作業を行う移動式機械であってもよい。例えば、機械100は、図1に示すトラクタもしくはドーザ、スクレーパ、または当該技術において既知の他のいずれかの機械であってもよい。後続の例示的実施形態の詳細な説明では、ドーザに関して本発明を説明しているが、説明は、他のかかる機械における本発明の使用にも同様に当てはまることは言うまでもない。
【0012】
図示の実施形態において、機械100は、動力源102と、例えば機械100を推進させるおよび/または他の機械のコンポーネントを制御するための1つ以上の入力装置など、機械100を操作するために必要な制御装置を含むオペレータステーションまたは運転室104とを含む。機械100は、さらに、例えば土を移動させるためのブレード、ボウル、リッパ、またはバケットなどの器具106を含む。1つ以上の入力装置は、運転室104内に配設された1つ以上のジョイスティックを含んでもよく、所望される器具106の移動を示すオペレータからの入力を受信するように適合されてもよい。また、運転室104は、オペレータに情報を伝えるディスプレイを有するユーザインタフェースを含んでもよく、キーボード、タッチスクリーン、または機械100、器具106、および/もしくはその他の機械のコンポーネントを制御および/もしくは操作するためにオペレータからの入力を受信するためのいずれかの好適な機構を含んでもよい。
【0013】
器具106は、工事現場の表面に係合し、その表面を貫通し、または切断するように適合されてもよく、さらに、所定の仕事を遂行するために土を移動させるように適合されてもよい。工事現場は、例えば採鉱現場、埋立地、採石場、建設現場、または他のいずれかの種類の工事現場を含んでもよい。土の移動は、工事現場における地形の変更に関連付けられてもよく、例えばグレーディング作業、スクレーピング作業、レベリング作業、バルク材除去作業、または工事現場における他のいずれかの種類の地形変更作業を含んでもよい。
【0014】
図示の実施形態において、器具106は、第1端110と第2端112との間に延在する切断縁108を含む(図2に最良に示す)。器具106の切断縁108の第1端110は、器具106の右先端または右縁を表すかまたは画定してもよく、器具106の切断縁108の第2端112は、器具106の左先端または左縁を表すかまたは画定してもよい。器具106は、運転室104における入力装置に動作的に接続された1つ以上の油圧機構により移動可能であってもよい。
【0015】
油圧機構は、例えば器具106を上げる、器具106を下げる、器具106を左もしくは右に傾ける、または器具106を前もしくは後に傾けるなど、器具106を様々な位置に移動させるための1つ以上の油圧リフトアクチュエータ114と1つ以上の油圧チルトアクチュエータ116とを含んでもよい。図示の実施形態において、機械100は、器具106の各側に1つの油圧リフトアクチュエータ114と1つの油圧チルトアクチュエータ116とを含む。図示の実施形態は、2つの油圧リフトアクチュエータ114を示すが(図2に示すように)、2つの油圧チルトアクチュエータ116の一方のみが示されている(片側のみが示されている)。
【0016】
動力源102は、機械100を支持し、操舵し、および推進させるように適合された地面係合機構118に動力を提供するエンジンである。動力源102は、例えばディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、ガス燃料エンジン、または当該技術において既知の他のいずれかの種類の燃焼エンジンなどのエンジンを具現化してもよい。動力源102は、代替として、例えば燃料電池、電力貯蔵装置、または別の好適な動力源など、非燃焼動力源(図示せず)を具現化してもよい。動力源102は、機械100、器具106、および他の機械100のコンポーネントに動力を提供するための油圧動力に変換されてもよい機械的または電気的な動力出力を発生させてもよい。
【0017】
機械100は、さらに、器具106と地面係合機構118との間に配設されたフレームまたは剛性体120を含む。機械100の剛性体120には、位置データまたは信号を受信および処理するように適合された位置決定システム122が搭載されてもよい。位置決定装置122は、衛星航法(GPS)システム受信機であってもよい。GPS受信機は、当該技術において周知であるように、複数の衛星から信号を受信し、それに応答して、工事現場に対する座標系123、すなわち、現場座標系における受信機の位置を決定する。現場座標系123は、x座標124、y座標126、およびz座標128を有するデカルト系であってもよい。代替の実施形態において、位置決定システム122は、本開示の範囲を逸脱することなく、例えばレーザ参照システムなどの他の種類の位置決めシステムを含んでもよい。
【0018】
機械100は、さらに、入力装置と器具106の移動を制御するための油圧アクチュエータ114、116とに動作的に接続された器具制御システム130を含む。制御システム130は、器具106を工事現場の地勢に係合させるためにオペレータにより所望される器具106の移動に応答して、所定または目標位置に移動するように器具106に指示してもよい。制御システム130は、さらに、例えば工学的もしくは現場設計、生産性もしくは負荷を最大化する方策、または現場設計と生産性方策との組み合わせに部分的に基づいて、自動的に決定された器具106の移動を示す所定または目標位置に移動するように器具106に指示してもよい。
【0019】
自動的に決定された移動信号または命令に応答して厳密に移動するように器具106に指示するため、制御システム130は、機械100に関連付けられたある所定の測定データを要求し得、機械100の操作に関連付けられた他のシステムおよびコンポーネントに対してある所定の較正を行う必要があり得る。図1および図2に示すように、機械100は、垂直寸法測定値Aと、垂直寸法測定値Aが定義される平面に対して直交するかまたは垂直な平面内に定義された第1の水平寸法測定値Bと、第1の水平寸法測定値Bと同じ平面内に定義された第2の水平寸法測定値C(図2に最良に示す)とを含む。機械100は、本開示の範囲を逸脱することなく、例えば水平面または垂直面のいずれかに対して所定の非直交角度または度合(例えば45度の角度)で配向された平面内に定義された寸法測定値など、他の平面において定義された他の寸法測定値を具現化してもよい。
【0020】
図3に示すように、器具制御システム130は、例えば傾斜センサなどの機械100に動作的に接続されるかまたは関連付けられた少なくとも1つのセンサ300と、例えば油圧シリンダ位置センサ、回転角度センサ、または重力参照傾斜センサなどの器具106に動作的に接続されるかまたは関連付けられた少なくとも1つのセンサ302と、コントローラ304とを含む。コントローラ304は、入力装置、位置決定システム122、およびセンサ300、302からの入力を受信するように適合されている。器具制御システム130は、さらに、入力装置、位置決定システム122、およびセンサ300、302からの入力に基づいて器具106の移動を制御または指示するように適合されている。
【0021】
例えば、コントローラ304は、所定または目標勾配プロファイルに沿って切断を行うように器具106に指示してもよい勾配制御システム306から受信した入力信号に応答して、所定または目標位置に移動するように器具106に指示してもよい。例えば勾配制御システム306の信号などの自動的に決定された移動信号に応答して厳密に移動するように器具106に指示するため、コントローラ304は、測定値A、B、およびCを用いて勾配制御システム306を較正して、初期機械条件を確立してもよい。また、コントローラ304は、測定値A、B、およびCを用いて機械センサ300および/または器具センサ302を較正してもよい。
【0022】
図示の実施形態において、コントローラ304は、位置決定システム122から受信した位置信号から測定値A、B、およびCを決定または導出するように適合されている。コントローラ304は、例えば、座標系123における機械100上の参照点132の位置を決定するように適合されてもよい。参照点132または参照位置は、固定体120に搭載されたGPS受信機122の絶対位置を表してもよい。
【0023】
図2に示すように、コントローラ304は、器具106の切断縁108上の1つ以上の所望される点200、202の位置を決定するように適合されてもよい。1つ以上の所望される位置200、202は、器具106の一部分を表してもよい。図示の実施形態において、1つ以上の所望される位置200、202は、それぞれ右縁110および左縁112を表す。代替としてまたは加えて、いくつかの実施形態において、右縁110と左縁112との間に配設された中心点204は、所望される位置を表してもよい。
【0024】
コントローラ304は、さらに、参照点132と1つ以上の所望される位置200、202とに部分的に基づいて、機械100の垂直寸法を表す測定値Aを決定するように適合されてもよい。また、コントローラ304は、参照点132と1つ以上の所望される位置200、202とに部分的に基づいて、機械100の水平寸法を表す測定値Bおよび/または測定値Cを決定するように適合されてもよい。代替としてまたは加えて、コントローラ304は、参照位置132から1つ以上の所望される位置200、202までの距離を表す測定値(図示せず)を決定するように適合されてもよい。コントローラ304は、例えばベクトル演算などの既知のアルゴリズムを用いて、および/または例えばカスタマイズされた運動学方程式などを用いて、測定値A、B、およびCを導出または決定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本明細書に記載の機械上の参照位置に対する器具上の位置を決定するためのシステムおよび方法の産業上の利用可能性は、上述の検討から容易に理解されよう。機械は、軌道式トラクタとして示したが、機械は、例えば採鉱、建設および他の産業アプリケーションに関連付けられた少なくとも1つの作業を行ういずれかの種類の機械であってもよい。その上、本明細書に記載のシステムおよび方法は、多様な機械および仕事に適合させることが可能である。例えば、スクレーパ、バックホーローダ、スキッドステアローダ、ホイールローダ、モータグレーダ、および他の多くの機械が、記載のシステムおよび方法から恩恵を得ることが可能である。
【0026】
ある実施形態によれば、器具制御システム130は、座標系123における機械100上の参照位置132を決定し、座標系123における機械上の第1の所望される位置200および/または機械上の第2の所望される位置202を決定し、参照位置132に対する第1の所望される位置200または第2の所望される位置202の、第1または第2の相対的な所望される位置を決定するように適合されている。
【0027】
制御システム130は、さらに、参照位置132、第1の相対的な所望される位置、または第2の相対的な所望される位置に部分的に基づいて、機械100の垂直寸法を示す測定値Aまたは機械100の水平寸法を示す測定値BもしくはCを決定するように適合されている。制御システム130は、さらに、垂直寸法測定値Aまたは水平寸法測定値BもしくはCを用いて更新されるように適合されている。寸法測定値A、B、またはCを用いて、例えば勾配制御システム306などの他の機械のシステム、ならびに例えば機械のセンサ300および/または器具のセンサ302などの関連付けられたセンサを較正してもよい。
【0028】
代替としてまたは加えて、寸法測定値A、B、またはCは、例えば器具106の切断縁108の摩耗により、時間とともに変化し得る。例えば、第1の所望される位置200または第2の所望される位置202は、右縁110または左縁112が摩耗により変化したことが原因で参照位置132に対して変化し得る。従って、いくつかの実施形態において、制御システム130は、寸法測定値A、B、またはCを過去の寸法測定値と比較し、比較結果に基づいて制御システム130を更新するように適合されている。
【0029】
図4は、器具制御システム130と機械100上の参照位置132に対する器具106上の位置を決定するプロセス(400)との例示的実施形態を示す。コントローラ304は、座標系123における参照位置132を決定するように適合されている(ステップ402)。いくつかの実施形態において、参照位置132は、機械100の剛性体120上の固定または一定の点に関連付けられてもよい。コントローラ304は、GPS受信機122を用いることにより参照位置132を決定してもよい。GPS受信機122は、機械100の剛性体120に搭載されてもよいし、参照位置132における位置データを受信するため剛性体120上に配置されるとともに次いで機械100上の異なる点または場所における位置データを受信するため剛性体120から除去される移動式受信機であってもよい。
【0030】
コントローラ304は、座標系123における機械100上の第1の所望される位置200を決定するように適合されている(ステップ404)。第1の所望される位置200は、例えば器具106の切断縁108の右縁110など、器具106の第1の部分を表してもよい。コントローラ304は、参照位置132に対する第1の所望される位置200の、第1の相対的な所望される位置を決定する(ステップ406)。
【0031】
コントローラ304は、さらに、座標系123における機械100上の第2の所望される位置202を決定するように適合されている(ステップ408)。第2の所望される位置202は、例えば器具106の切断縁108の左縁112など、機械100の第2の部分を表してもよい。コントローラ304は、参照位置132に対する第2の所望される位置202の、第2の相対的な所望される位置を決定する(ステップ410)。
【0032】
コントローラ304は、さらに、機械100の垂直寸法を示す測定値A、機械の第1の水平寸法を示す測定値B、または機械の第2の水平寸法を示す測定値Cを決定するように適合されている(ステップ412)。各寸法測定値A、B、およびCは、参照位置132、第1の相対的な所望される位置、または第2の相対的な所望される位置の少なくとも1つに部分的に基づいている。コントローラ304は、第1の所望される位置200、第2の所望される位置202、第1の相対的な所望される位置、第2の相対的な所望される位置、垂直寸法測定値A、第1の水平寸法測定値B、および第2の水平寸法測定値Cを用いて器具制御システム130を更新する。
【0033】
代替としてまたは加えて、コントローラ304は、第1の相対的な所望される位置を過去の第1の相対的な所望される位置に比較するか、または第2の相対的な所望される位置を過去の第2の相対的な所望される位置に比較するかの少なくとも一方を行い、第1の相対的な所望される位置または第2の相対的な所望される位置の少なくとも一方を比較結果の関数として更新する。加えて、コントローラ304は、寸法測定値A、B、およびCの少なくとも1つを過去の寸法測定値と比較してもよく、比較結果に部分的に基づいて器具制御システム130を更新してもよい。
【0034】
図5は、器具制御システム130と機械100上の参照位置132に対する器具106上の位置を決定するプロセス(500)との代替の例示的実施形態を示す。コントローラ304は、機械100が第1の機械配置にあるときに機械100の剛性体120上の参照位置132を決定するように適合されている(ステップ502)。コントローラ304は、さらに、機械100が第2の機械配置にあるときに第1の所望される位置200を決定するように適合され(ステップ504)、第1の所望される位置200は、機械100の剛性体120に動作的に接続された器具106の右縁110を表す。
【0035】
図示の実施形態において、コントローラ304は、さらに、機械100が第2の機械配置にあるときに第2の所望される位置202を決定し(ステップ506)、第2の所望される位置202は、器具106の第2の縁112を表す。いくつかの実施形態において、機械100が第2の機械配置にあるときに第1の所望される位置200または第2の所望される位置を決定するため、第1の所望される位置200または第2の所望される位置を例えば地面に打ち込まれた杭などを用いてマークし、機械100を第1の機械配置から第2の機械配置まで移動させる。機械100を第1の配置から第2の配置まで移動させることにより、マルチパスエラーおよび信号劣化に関連付けられる精度の課題の解消が促される。これは、周知のように、例えばGPS受信機122が受信機と衛星との間の信号送信に干渉する金属物体(例えば機械)または背が高い物体に近すぎるときに発生し得る。
【0036】
コントローラ304は、さらに、例えば傾斜センサなどの機械100に動作的に接続されたセンサ300からの、ピッチデータまたはロールデータの少なくとも一方を示してもよい信号と、例えば油圧シリンダ位置センサなどの器具106に動作的に接続されたセンサ302からの、シリンダデータを示してもよい信号とを受信するように適合されている(ステップ508)。
【0037】
コントローラ304は、さらに、参照位置132に対する第1の所望される位置200の、第1の相対的な所望される位置を決定する(ステップ510)とともに、参照位置132に対する第2の所望される位置202の、第2の相対的な所望される位置を決定する(ステップ512)ように適合されている。コントローラ304は、機械100の垂直寸法を示す測定値A、機械100の第1の水平寸法を示す測定値B、および機械100の第2の水平寸法を示す測定値Cを決定する(ステップ514)。垂直寸法測定値A、第1の水平寸法測定値B、および第2の水平寸法測定値Cの各々は、参照位置132、第1の相対的な所望される位置、第2の相対的な所望される位置、ピッチ信号、ロール信号、または油圧シリンダデータ信号の少なくとも1つに部分的に基づいている。
【0038】
コントローラ304は、第1および第2の相対的な所望される位置ならびに垂直寸法測定値A、第1の水平寸法測定値B、および第2の水平寸法測定値Cを用いて器具制御システム130を更新する(ステップ516)。代替としてまたは加えて、コントローラ304は、第1の相対的な所望される位置を過去の第1の相対的な所望される位置に比較するか、または第2の相対的な所望される位置を過去の第2の相対的な所望される位置に比較するかの少なくとも一方を行い、第1の相対的な所望される位置または第2の相対的な所望される位置の少なくとも一方を比較結果の関数として更新する。加えて、コントローラ304は、寸法測定値A、B、およびCの少なくとも1つを過去の寸法測定値と比較してもよく、比較結果に部分的に基づいて器具制御システム130を更新してもよい。
【0039】
器具制御システム130、コントローラ304、および勾配制御システム306は、1つ以上の制御モジュール(例えばECM、ECU等)を含んでもよい。1つ以上の制御モジュールは、処理ユニット、メモリ、センサインタフェース、および/または制御信号インタフェース(信号を受信および送信するための)を含んでもよい。処理ユニットは、特定の通信、制御、および/または診断機能を行うために器具制御システム130により用いられる1つ以上の論理および/または処理コンポーネントを表してもよい。例えば、処理ユニットは、器具制御システム130内および/または外の装置間における情報のルーティングを実行するように適合されてもよい。
【0040】
さらに、処理ユニットは、メモリなどの格納装置からのものを含む指令を実行するように適合されてもよい。1つ以上の制御モジュールは、1つ以上の汎用処理ユニットおよび/または専用ユニット(例えばASICS、FPGA等)などの複数の処理ユニットを含んでもよい。特定の実施形態において、処理ユニットの機能性は、一体化されたCPU、メモリ、および1つ以上の周辺装置を含む、一体化されたマイクロプロセッサまたはマイクロコンピュータ内において具現化されてもよい。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、磁気および光学格納装置、ディスク、消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM、EEPROM等)のプログラム可能な消去可能コンポーネント、およびフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを含むがそれらに限定されない、情報を格納可能な1つ以上の既知のシステムを表してもよい。
【0041】
上述の説明は、開示のシステムおよび方法の例を提供していることが理解されよう。しかし、本開示の他の実装は、詳細において上述の例と異なり得ると考えられる。本開示または本開示の例へのすべての参照は、その時点で検討されている特定の例を参照することを意図するものであり、より一般的に本開示の範囲についての何らの限定も示唆することを意図するものではない。特定の特長を区別および批判するすべての文言は、それらの特長が好ましさに欠けることを示すことを意図するものであり、他に指定しない限り、かかる特長を本開示の範囲から完全に排除することを意図するものではない。
【0042】
本明細書における値の範囲の記載は、本明細書において他に指定しない限り、その範囲に該当する各々の別々の値に個々に言及する簡略な方法として役立つことを単に意図するものであり、各々の別々の値は、本明細書において個々に記載されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書において他に指定しない限り、またはその他文脈上明らかに矛盾しない限り、いずれの好適な順序でも行うことが可能である。
【0043】
このため、本開示は、適用法により認められるように本明細書に付帯の請求項に記載の主題のすべての修正形態および均等物を含む。また、すべての可能な変形における上記の要素のいずれの組み合わせも、本明細書において他に指定しない限り、またはその他文脈上明らかに矛盾しない限り、本開示に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械(100)の剛性体(120)に動作的に接続された器具(106)を有する機械(100)上の参照位置(132)に対する機械(100)上の位置を決定するための、機械(100)に配設された器具制御システム(130)であって:
器具(106)に動作的に接続されたコントローラ(304);を備え、コントローラ(304)は:
座標系(123)における参照位置(132)を決定し;
座標系(123)における器具(106)上の第1の所望される位置(200)を決定し;
参照位置(132)に対する第1の所望される位置(200)の、第1の相対的な所望される位置を決定し;
第1の相対的な所望される位置を用いて器具制御システム(130)を更新する;ように適合されている、器具制御システム(130)。
【請求項2】
コントローラ(304)は、さらに:
座標系(123)における器具(106)上の第2の所望される位置(202)を決定し;
参照位置(132)に対する第2の所望される位置(202)の、第2の相対的な所望される位置を決定し;
第2の相対的な所望される位置を用いて器具制御システム(130)を更新する;ように適合されている、請求項1に記載の器具制御システム(130)。
【請求項3】
コントローラ(304)は、さらに:
機械(100)の垂直寸法を示す測定値(A)、機械(100)の第1の水平寸法を示す測定値(B、C)、および機械(100)の第2の水平寸法を示す測定値(B、C)を決定し、垂直寸法測定値(A)、第1の水平寸法測定値(B、C)、および第2の水平寸法測定値(B、C)の各々は、参照位置(132)、第1の相対的な所望される位置、または第2の相対的な所望される位置の少なくとも1つに部分的に基づき;
垂直寸法測定値(A)、第1の水平寸法測定値(B、C)、および第2の水平寸法測定値(B、C)を用いて器具制御システム(130)を更新する;ように適合されている、請求項2に記載の器具制御システム(130)。
【請求項4】
参照位置(132)を決定するステップは、機械(100)の剛性体(120)上の参照位置(132)を決定するステップを含み、第1の所望される位置(200)を決定するステップは、器具(106)の第1の縁(110)を決定するステップを含み、第2の所望される位置(202)を決定するステップは、器具(106)の第2の縁(112)を決定するステップを含む、請求項3に記載の器具制御システム(130)。
【請求項5】
複数のGPS受信機をさらに含み、参照位置(132)を決定するステップは、機械(100)の剛性体(120)に搭載された複数のGPS受信機のうちの1つのGPS受信機(122)を用いるステップを含む、請求項4に記載の器具制御システム(130)。
【請求項6】
コントローラ(304)は、さらに:
第1の相対的な所望される位置を過去の第1の相対的な所望される位置に比較するか、または第2の相対的な所望される位置を過去の第2の相対的な所望される位置に比較するかの少なくとも一方を行い;
第1の相対的な所望される位置または第2の相対的な所望される位置の少なくとも一方を比較結果の関数として更新する;ように適合されている、請求項2に記載の器具制御システム(130)。
【請求項7】
機械(100)上の参照位置(132)に対する機械上の位置を決定するための方法であって:
機械(100)が第1の機械(100)配置にあるときに機械(100)の剛性体(120)上の参照位置(132)を決定するステップと;
機械(100)が第2の機械(100)配置にあるときに第1の所望される位置(200)を決定するステップであって、第1の所望される位置(200)は、機械(100)の剛性体(120)に動作的に接続された器具(106)の第1の縁(110)を表す、ステップと;
機械(100)が第2の機械(100)配置にあるときに第2の所望される位置(202)を決定するステップであって、第2の所望される位置(202)は、器具(106)の第2の縁(112)を表す、ステップと;
機械(100)に動作的に接続されたセンサからの信号を受信するステップであって、信号は、ピッチデータ、ロールデータ、または油圧シリンダデータの少なくとも1つを示す、ステップと;
参照位置(132)に対する第1の所望される位置(200)の、第1の相対的な所望される位置を決定するステップと;
参照位置(132)に対する第2の所望される位置(202)の、第2の相対的な所望される位置を決定するステップと;
機械(100)の垂直寸法を示す測定値(A)、機械(100)の第1の水平寸法を示す測定値(B、C)、および機械(100)の第2の水平寸法を示す測定値(B、C)を決定するステップであって、垂直寸法測定値(A)、第1の水平寸法測定値(B、C)、および第2の水平寸法測定値(B、C)の各々は、参照位置(132)、第1の相対的な所望される位置、第2の相対的な所望される位置、ピッチ信号、ロール信号、または油圧シリンダデータ信号の少なくとも1つに部分的に基づく、ステップと;
第1および第2の相対的な所望される位置ならびに垂直寸法測定値(A)、第1の水平寸法測定値(B、C)、および第2の水平寸法測定値(B、C)を用いて器具制御システム(130)を更新するステップと;を含む、方法。
【請求項8】
参照位置(132)を決定するステップは、機械(100)の剛性体(120)上の参照位置を決定するステップを含み、参照位置(132)、第1の所望される位置(200)、または第2の所望される位置(202)の少なくとも1つを決定するステップは、複数のGPS受信機を用いるステップを含み、参照位置(132)を決定するステップは、機械(100)の剛性体(120)に搭載された複数のGPS受信機のうちの1つのGPS受信機を用いるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
機械(100)の剛性体(120)上の参照位置(132)を決定するステップは、機械(100)が第1の機械(100)配置にあるときに参照位置(132)を決定するステップを含み;
第1の所望される位置(200)を決定するステップまたは第2の所望される位置(202)を決定するステップは、機械(101)が第2の機械(100)配置にあるときに第1または第2の所望される位置(200、202)を決定するステップを含み、第1または第2の所望される位置(200、202)は、表面上のマークとして具現化されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の相対的な所望される位置を過去の第1の相対的な所望される位置に比較するか、または第2の相対的な所望される位置を過去の第2の相対的な所望される位置に比較するかの少なくとも一方を行うステップと;
第1の相対的な所望される位置または第2の相対的な所望される位置の少なくとも一方を比較結果の関数として更新するステップと;をさらに含む、請求項7に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−520593(P2013−520593A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555070(P2012−555070)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2011/025639
【国際公開番号】WO2011/106296
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】