説明

機械式駐車装置の入出庫方法

【課題】 複数の入庫予約が入っているときに出庫予約を行っても、出庫の利用者を待たせることなく出庫の予約を優先して自動的に割り込ませることができる機械式駐車装置の入出庫方法を提供すること。
【解決手段】 予約データエリアに入力されたデータの順番にかかわらず出庫予約データエリアの先頭の予約データの存在により当該出庫予約データを作業データエリアに移動して当該出庫予約データに基づく出庫を優先して行うように構成してある。
これにより、出庫待ちの利用者を過大に待たせることなく入出庫作業を順次行うことができ、円滑に入出庫の処理を行うことができるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は機械式駐車装置の入出庫方法に関し、入庫口と出庫口とが別々に設けられたいわゆる通り抜け式の機械式駐車装置で、入庫操作および出庫操作の順番にかかわらず出庫を優先させるよう運転制御できるようにし、出庫の待ち時間を短縮できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
地上や地下の空間部を有効に利用して多数の車両を立体的に順次収容して管理する駐車場のひとつに機械式駐車装置が採用されており、契約者を対象とするマンションやオフィスビル等の集合住宅や、不特定多数を対象とするデパート、遊技場等の施設に付属させて設けられている。
【0003】
このような機械式駐車装置としては、例えば地上に設けられる立体駐車場のエレベータ方式、垂直循環方式の機械式駐車装置などや地下に設けられて昇降用のリフトと移動台車とを組み合わせた平面往復方式の機械式駐車装置などがあり、入出庫の効率化を図るため、例えば図7に駐車スペースを省略して示すように、入庫口1と出庫口2とを別々に設けて通り抜けることができるようにしたものがある。
【0004】
この入出庫口1,2を別々に設けた通り抜け式の機械式駐車装置では、入庫口1と出庫口2とに入口操作盤3と出口操作盤4を設けておき、駐車場の利用者やオペレータが入庫の際には入口操作盤3を操作し、出庫の場合には出口操作盤4を操作することで、図8に制御系統のブロックを示すように、制御装置5を介して機械式駐車装置が自動運転制御され、入庫や出庫が行われるようになっている。
【0005】
例えば、不特定多数の利用を対象とする通り抜け式の機械式駐車装置では、図9にフローを示すように、入庫しようとする場合には、S101:利用者は、駐車場入口にて駐車券発券機より駐車券を受け取る。この駐車券には、入庫年月日や入庫時間が書き込まれる。これにより、機械式駐車装置の制御装置(例えば、マイコンやPCが内蔵される)では、ゲートを開くように操作指令が出力され、ゲートが開く。
S102:次に、利用者は入庫口の手前まで走行して車両を止め、駐車券をオペレータに渡したり、利用者自身で、入庫口の近傍に設置してある入口操作盤のリーダーに駐車券を挿入し、必要に応じて車種に応じた車種ボタンを選択操作する。
S103:すると、駐車券に格納すべき棚番号が割り付けられて書き込まれるとともに、必要に応じて車種データが書き込まれた後、駐車券が返却される。
この駐車券の挿入と同時に、機械式駐車装置では、制御装置から入庫準備作業の指令が出力され、入出庫フロアにパレットが移動されたのち、入庫口のパネルドアが開かれる。
S104:利用者は、パレット上に入庫した後、利用者および同乗者が降車する。
S105:利用者が退出したことを確認してオペレータまたは利用者がパネルドアを閉じる操作を行う。
S106:こうして安全が確認された後、扉が閉まることで入庫作業が完了する。
【0006】
一方、出庫しようとする場合には、事前料金精算の場合を例に説明する。
S111:料金精算機に駐車券を挿入し、料金を精算した後、精算済であることが書き込まれた駐車券を受け取る。
S112:利用者は、駐車券を出庫口近傍の出庫操作盤のリーダーに挿入したり、オペレータに渡して出庫操作盤のリーダーに挿入する。
すると、出庫操作盤では、棚番号を読み取り、そのデータを制御装置に出力し、制御装置を介して読み取った棚番号のパレットを入出庫フロアに移動する出庫作業開始の指令が出力される。
S113:そして、入出庫フロアに車両が移動された後、安全が確認され、出庫口のパネルドアが開かれる。
S114:利用者は入出庫フロア内に入室し、車両に乗車して出庫口から出庫する。
S115:出庫が完了した後、オペレータまたは、利用者あるいは所定時間経過後にパネルドアが閉じられる。これにより、制御装置では、出庫した駐車券に関する棚番号や車種データが消去される。
こうして入庫から出庫までの利用者の操作および入出庫の制御を含むすべての操作が完了する。
【0007】
このような入庫および出庫の操作は、図10に示すように、入庫操作盤3および出庫操作盤4から順次入庫予約、出庫予約が制御装置5(例えば、内蔵されたメモリ)の予約データエリア6に受け付けられ、これらの操作の順番に入出庫作業予約を複数(例えば2件程度)制御装置の作業データエリア7が受け付けて並行作業を行うことで入出庫動作を処理し、作業が完了すると順次予約データエリア6の入庫予約や出庫予約のデータを入力された順番に受け付けて、入庫あるいは出庫の作業予約を処理することが行われている(例えば特許文献1、2など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−6690号公報
【特許文献2】特開2007−198046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、このような入庫口、出庫口それぞれの入庫操作盤、出庫操作盤で入庫予約・出庫予約を受け付け、受け付けられた順番で入庫作業や出庫作業を処理すると、入庫予約が複数連続して受け付けられた状態では出庫予約を受け付けても入庫予約作業が完了しないと出庫予約に基づく作業が行われず、出庫しようとする利用者が過大に待たされる場合が生じるという問題がある。特に、入庫口で利用者が入出庫フロアへの入庫を行うことなく、乗り捨て方式とされオペレータが利用者に代わって乗車して入庫させるようにする機械式駐車装置の場合には、入庫しようとする利用者の待ち時間に比べ出庫する利用者の待ち時間だけが大きな問題となっている。
【0010】
この発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、複数の入庫予約が入っているときに出庫予約を行っても、出庫の利用者を待たせることなく出庫の予約を優先して自動的に割り込ませることができる機械式駐車装置の入出庫方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載の機械式駐車装置の入出庫方法は、入庫口と出庫口とが別々に設けられた機械式駐車装置の入出庫方法であって、入出庫を管理する制御装置に、入口操作盤から入力される順番に従って入庫予約データを記録する入庫予約データエリアと、出口操作盤から入力される順番に従って出庫予約データを記録する出庫予約データエリアと、前記入口操作盤および前記出口操作盤から入力される入庫予約データおよび出庫予約データを入力される順番に従って記録する予約データエリアを設ける一方、前記入庫予約データエリアのデータ、前記出庫予約データエリアのデータおよび前記予約データエリアのデータを読み込んで入出庫作業を行う作業の順番を処理し入庫または出庫が完了した後読み込みデータを消去する入出庫の作業データエリアを設け、この作業データエリアには、前記予約データエリアに入力されたデータの順番にかかわらず前記出庫予約データエリアの先頭の予約データの存在により当該出庫予約データを作業データエリアに移動して当該出庫予約データに基づく出庫を優先して入出庫の順番を定めるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
この発明の請求項2記載の機械式駐車装置の入出庫方法は、請求項1記載の構成に加え、前記作業データエリアには、次の入出庫作業を行うため、前記出庫予約データエリアの先頭から2番目のデータが存在する場合には予め移動しておき、前記先頭の作業データエリアの入出庫完了によるデータが消去された後繰り上げて出庫を優先して入出庫の順番を定めるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
この発明の請求項3記載の機械式駐車装置の入出庫方法は、請求項1または2記載の構成に加え、前記操作盤の前記入庫予約データエリア、前記出庫予約データエリアおよび前記予約データエリアに入力操作された順番の順序データとともに、車種データを入力記録しておき、前記作業データエリアには、前記出庫予約データエリアの先頭のデータを移動して処理するのに代え、前記予約データエリアに入力記録されたデータの順番に従って移動して入出庫処理を行うとともに、前記出庫予約データエリアのデータに基づく出庫処理を行う場合には、当該出庫処理を行う出庫予約データエリアの車種データと前記入庫予約データエリアの先頭の車種データとを比較して入庫可能と判定した場合には、入庫予約データエリアの先頭のデータを作業データエリアに移動して出庫完了後入庫予約データを繰り上げて入庫処理を割り込ませるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
この発明の請求項4記載の機械式駐車装置の入出庫方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記機械式駐車装置を、1車種のみ入庫可能に構成し、前記作業データエリアには、入力記録されたデータの順番に従って移動された入庫予約データエリアのデータおよび出庫予約データエリアのデータに基づく入出庫処理を行うとともに、出庫予約データエリアのデータに基づく出庫処理が行われた後は、入庫予約データの存在により当該入庫予約データを移動して入庫処理を割り込ませるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明の請求項1記載の機械式駐車装置の入出庫方法によれば、入庫口と出庫口とが別々に設けられた機械式駐車装置の入出庫方法であって、入出庫を管理する制御装置に、入口操作盤から入力される順番に従って入庫予約データを記録する入庫予約データエリアと、出口操作盤から入力される順番に従って出庫予約データを記録する出庫予約データエリアと、前記入口操作盤および前記出口操作盤から入力される入庫予約データおよび出庫予約データを入力される順番に従って記録する予約データエリアを設ける一方、前記入庫予約データエリアのデータ、前記出庫予約データエリアのデータおよび前記予約データエリアのデータを読み込んで入出庫作業を行う作業の順番を処理し入庫または出庫が完了した後読み込みデータを消去する入出庫の作業データエリアを設け、この作業データエリアには、前記予約データエリアに入力されたデータの順番にかかわらず前記出庫予約データエリアの先頭の予約データの存在により当該出庫予約データを作業データエリアに移動して当該出庫予約データに基づく出庫を優先して入出庫の順番を定めるようにしたので、予約データエリアに入力されたデータの順番にかかわらず出庫予約データエリアの先頭の予約データの存在により当該出庫予約データを作業データエリアに移動して当該出庫予約データに基づく出庫を優先して行うことができ、出庫待ちの利用者を過大に待たせることなく入出庫作業を順次行うことができ、円滑に入出庫の処理を行うことができる。
【0016】
この発明の請求項2記載の機械式駐車装置の入出庫方法によれば、前記作業データエリアには、次の入出庫作業を行うため、前記出庫予約データエリアの先頭から2番目のデータが存在する場合には予め移動しておき、前記先頭の作業データエリアの入出庫完了によるデータが消去された後繰り上げて出庫を優先して入出庫の順番を定めるようにしたので、出庫予約データエリアの先頭から2番目のデータが存在する場合には予め作業データエリアに移動しておくことで、連続した出庫予約に対しても円滑かつ自動的に出庫作業を行うことができる。
【0017】
この発明の請求項3記載の機械式駐車装置の入出庫方法によれば、前記操作盤の前記入庫予約データエリア、前記出庫予約データエリアおよび前記予約データエリアに入力操作された順番の順序データとともに、車種データを入力記録しておき、前記作業データエリアには、前記出庫予約データエリアの先頭のデータを移動して処理するのに代え、前記予約データエリアに入力記録されたデータの順番に従って移動して入出庫処理を行うとともに、前記出庫予約データエリアのデータに基づく出庫処理を行う場合には、当該出庫処理を行う出庫予約データエリアの車種データと前記入庫予約データエリアの先頭の車種データとを比較して入庫可能と判定した場合には、入庫予約データエリアの先頭のデータを作業データエリアに移動して出庫完了後入庫予約データを繰り上げて入庫処理を割り込ませるようにしたので、予約データエリアに入力されたデータの順番にかかわらず出庫予約データエリアの先頭の予約データの存在により当該出庫予約データを作業データエリアに移動して当該出庫予約データに基づく出庫を優先して行うことができ、出庫待ちの利用者を過大に待たせることなく入出庫作業を順次行うことができ、円滑に入出庫の処理を行うことができるとともに、優先して行った出庫作業処理の完了後、次の出庫作業に先立って入庫可能な車種に応じて入庫予約に基づく入庫処理を行うことで、空になったパレットを戻すことなく、そのまま入庫に利用することができ、入庫待ちや出庫待ちの利用者の待ち時間を増大することもなく、一層効率良く機械式駐車装置を運転することができる。
【0018】
この発明の請求項4記載の機械式駐車装置の入出庫方法によれば、前記機械式駐車装置を、1車種のみ入庫可能に構成し、前記作業データエリアには、入力記録されたデータの順番に従って移動された入庫予約データエリアのデータおよび出庫予約データエリアのデータに基づく入出庫処理を行うとともに、出庫予約データエリアのデータに基づく出庫処理が行われた後は、入庫予約データの存在により当該入庫予約データを移動して入庫処理を割り込ませるようにしたので、優先して行った出庫作業処理の完了後、次の出庫作業に先立って入庫予約に基づく入庫処理を行うことで、空になったパレットを戻すことなく、そのまま入庫に利用することができ、入庫待ちや出庫待ちの利用者の待ち時間を増大することもなく、一層効率良く機械式駐車装置を運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の機械式駐車装置の入出庫方法の一実施の形態にかかる説明図である。
【図2】この発明の機械式駐車装置の入出庫方法の一実施の形態にかかる制御装置のブロック図である。
【図3】この発明の機械式駐車装置の入出庫方法の一実施の形態にかかる通常モードのフローチャートである。
【図4】この発明の機械式駐車装置の入出庫方法の一実施の形態にかかる出庫優先モードのフローチャートである。
【図5】この発明の機械式駐車装置の入出庫方法の他の一実施の形態にかかる説明図である。
【図6】この発明の機械式駐車装置の入出庫方法の他の一実施の形態にかかる入庫割込みを組合わせたフローチャートである。
【図7】この発明の機械式駐車装置の入出庫方法が適用される機械式駐車装置の駐車スペースを省略した入出庫口部分の概略説明図である。
【図8】この発明の機械式駐車装置の入出庫方法が適用される機械式駐車装置の制御系の概略ブロック図である。
【図9】この発明の機械式駐車装置の入出庫方法が適用される機械式駐車装置の入庫および出庫の概略フロー図である。
【図10】従来の機械式駐車装置の入出庫方法の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の機械式駐車装置の入出庫方法の一実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
この発明の機械式駐車装置の入出庫方法が適用される機械式駐車装置には、図7で説明しように、入庫口1と出庫口2とが別々に設けられて通り抜けることができるようにしてあり、入庫口1に入口操作盤3が設けられるとともに、出庫口2に出口操作盤4が設けてある。なお、機械式駐車装置は、図示省略したが、例えば地上に設けられる立体駐車場のエレベータ方式、垂直循環方式の機械式駐車装置などや地下に設けられて昇降用のリフトと移動台車とを組み合わせた平面往復方式の機械式駐車装置などのいずれでも良く、これまでの機械式駐車装置の場合と同様に、図8に示した制御系統のブロックを示す制御装置5などを介して自動運転制御され、図9に示したフロー図にしたがって入庫や出庫が行われるようになっている。
【0021】
この機械式駐車装置の入出庫方法では、複数の入庫の予約が入っていても出庫の予約を優先的に受け付けて自動的に割り込ませて出庫待ちの利用者を過大に待たせることなく入出庫を行うことができるようにしてある。
このため、制御装置5には、図2に示すように、演算処理部5aとして例えばマイコンやPCが内蔵されるとともに、記憶部5bとして例えばメモリが内蔵されており、図1に示すように、入口操作盤3による入庫予約データが入力・記憶される入庫予約データエリア11が設けられて、入口操作盤3から入力される入庫予約データの順番に入庫予約データが記憶される。
【0022】
また、出口操作盤4による出庫予約データが入力・記憶される出庫予約データエリア12が設けられて、出口操作盤4から入力される出庫予約データの順番に出庫予約データが記憶される。
さらに、制御装置5には、予約データエリア13が設けられ、入口操作盤3および出口操作盤4から入力される入庫予約データおよび出庫予約データを入出庫を区別することなく、入力操作順である受け付けた順番に入力・記憶することができるようにしてある。
また、制御装置5には、作業データエリア14が設けられ、入出庫作業予約を複数、図示例では、2件を受け付けて入出庫作業動作(機械式駐車装置の運転制御)を処理し、作業が完了すると消去した後、順次、入庫予約・出庫予約を繰り上げて受け付け、入出庫作業予約を処理する。
【0023】
これら入庫予約データエリア11、出庫予約データエリア12および予約データエリア13に入力・記憶されるデータは、少なくとも入力操作された順番により生成された順序データであれば良く、駐車券に書き込まれた棚番号のデータや車種を区別する車種データをこれらデータエリア11〜13に入力・記憶する必要はなく、制御装置5で駐車券のデータとリンクさせることでこれらのデータを利用できるようにすれば良い。
【0024】
したがって、例えば図1に示すように、入口操作盤3からの入庫予約が5件連続した後、出口操作盤4から出庫予約が3件行われた場合には、入庫予約データエリア11に入庫予約データ1〜5の5件が順に入力・記憶されるとともに、予約データエリア13に入庫予約データ1〜5が入力・記憶され、出庫予約データエリア12に出庫予約データ6〜8(出庫予約データとして1番から3番である)の3件が順に入力・記憶されるとともに、予約データエリア13の6から8番目に出庫予約データ6〜8が入力記憶される。
【0025】
通常の運転モードでの入出庫作業の順番は、制御装置5の処理部5aで、記憶部5bの予約データエリア13に入力・記憶された順番にしたがって、作業データエリア14に予約データを受け付け、入出庫作業の処理が行われ、機械式駐車装置の自動運転が行われる結果、上記の例の場合には、入庫処理が5件行われた後、6番目以降の出庫が3件行われる。
【0026】
この通常モードでの入出庫は、図3にフローチャートを示すように、S11:通常の入出庫処理であるか出庫優先処理を判定する。
S12:予約データエリア13の先頭のデータを作業データエリア14の作業データエリアAに受け付ける。
S13:これにより、予約データエリア13の先頭のデータに応じて入庫又は出庫が行われる。
S14:入出庫作業の開始とともに、予約データエリア13の2番目のデータの有無を判定する。
S15:予約データエリア13に2番目のデータが存在すれば、これを作業データエリア14の作業データエリアBに受け付ける。
S16:予約データエリア13に2番目のデータが存在しない場合には、入出庫作業を終了する。
S17:次に作業データエリアAのデータに基づく入出庫の完了を確認する。
S18:入出庫が完了した後、作業データエリアBのデータを作業データエリアAに繰り上げる。
S19:この繰り上げた作業データに基づく入出庫を処理する。
S20:この後、予約データエリア13の予約データの有無を判定することから繰り返すことで、入出庫処理が予約データエリア13に入力・記憶された順番に処理される。
【0027】
しかし、この機械式駐車装置の入出庫方法では、制御装置5に出庫優先モードへの設定変更により、制御装置5の処理部5aでは、出庫予約データエリア12にデータが入力・記憶されているかを判定処理し、データが存在する場合には、入庫予約データエリア11のデータの存在にかかわらず、優先して作業データエリア14に出庫予約データエリア12の先頭のデータを受け付ける。
すなわち、図1に示す例の場合には、6番目に予約された出庫予約データ6が作業データエリア14の最初の処理を行うデータAとして出庫作業処理が行われる。
なお、こうして予約データに基づく順番が定められた後の機械式駐車装置の具体的な自動運転制御は、予約データとリンクした当該駐車券のデータに基づいて制御装置で行われ、これまでの自動運転による出庫の制御と同様にして行われるものであり、ここでは、省略する。
【0028】
また、作業データエリア14の2件目の処理のため、制御装置5の処理部では、出庫予約データエリア12に2番目のデータが入力・記憶されているかを判定処理し、2番目のデータが存在する場合には、入庫予約データエリア11のデータの存在にかかわらず、優先して作業データエリア14に出庫予約データエリア12の2番目のデータを受け付ける。
すなわち、図1に示す例の場合には、7番目に予約された出庫予約データ7が作業データエリア14の2番目の処理を行うデータBとして出庫作業処理が行われるように受け付けられる。
したがって、図1に示す例の場合には、6番目の出庫予約データ6に基づく出庫が完了し、データが消去されると、2番目の出庫予約データ7が繰り上げて受け付けられて出庫処理が行われるとともに、その次の入出庫作業のため、3番目の出庫予約データ8(データ6の処理後は、2番目のデータとなっている)が受け付けられる。
【0029】
この出庫優先モードでの入出庫は、図4にフローチャートを示すように、S31:出庫予約データエリア12の先頭のデータの有無を判定する。この場合、予約データエリア13の予約データの順序をなんら考慮しない。
S32:出庫予約データエリア12の先頭のデータを作業データエリア14の作業データエリアAに受け付ける。なお、既に作業データエリアAに入庫予約データが受け付けられて入庫作業を行っている場合には、作業データエリアBに予約を受け付ける。
S33:これにより、出庫予約データエリア12の先頭のデータに応じて出庫処理が行われる。
S34:出庫作業の開始とともに、出庫予約データエリア12の2番目のデータの有無を判定する。
S35:出庫予約データエリア12に2番目のデータが存在すれば、これを作業データエリア14の作業データエリアBに受け付ける。なお、既に作業データエリアBに入庫予約データが受け付けられて入庫作業を行っている場合には、入庫作業後、作業データエリアBに予約を受け付ける。
S36:出庫予約データエリア12に2番目のデータが存在しない場合には、出庫優先の作業を終了する。
S37:次に作業データエリアAのデータに基づく出庫の完了を確認する。
S38:出庫が完了した後、作業データエリアBのデータを作業データエリアAに繰り上げる。
S39:この繰り上げた作業データに基づく出庫を処理する。
S40:この後、出庫予約データエリア12の予約データの有無を判定することから繰り返すことで、予約データエリア13に入力・記憶された入庫または出庫のデータの順番にかかわらず、出庫処理が出庫予約データエリア12に入力・記憶された順番に応じて優先的に処理される。
【0030】
このような機械式駐車装置の入出庫方法によれば、複数の入庫予約が入っているときに出庫予約を行っても、出庫の利用者を待たせることなく出庫の予約を優先して、自動的に割り込ませることができる。これにより、出庫待ちの利用者を過大に待たせることがなく、入出庫作業を順次行わせることで円滑性良く入出庫作業を行うことが可能となる。特に、入庫口で利用者が入出庫フロアへの入庫を行うことなく、乗り捨て方式とされオペレータが利用者に代わって乗車して入庫させるようにする機械式駐車装置の場合には、入庫しようとする利用者の待ち時間に比べ出庫する利用者の待ち時間だけが大きな問題となることを解消できる。
また、作業データエリアに次の入出庫処理のためのデータを受け付けておくことで、一層円滑に入出庫作業のための処理を行うことができる。
【0031】
次に、出庫を優先して行う入出庫と組み合わせて行う機械式駐車装置の入出庫方法について、説明する。
上記に説明した機械式駐車装置の入出庫方法では、入庫予約の有無にかかわらず出庫予約がある場合には、出庫処理が優先して行われるが、この場合に、出庫処理が2件連続すると、1件目の出庫が完了すると、出庫口2の出庫バースには、空のパレットが存在し、この空パレットを格納する作業を行った後でなければ、次の出庫を行うことができない。
そこで、この機械式駐車装置の入出庫方法では、空パレットを利用して入庫作業を割り込ませて行うようにする。
【0032】
このため、制御装置5では、入口操作盤3および出口操作盤4からのそれぞれの入庫予約データエリア11、出庫予約データエリア12および予約データエリア13に入力操作された順番の順序データとともに、車種データを入力記憶しておく。この車種データはこれらの入庫予約データエリア11、出庫予約データエリア12および予約データエリア13への順序データとともに、入力記憶させる場合に限らず、駐車券のデータとリンクさせることで、駐車券のデータから読み取ることができるようにしておくこともできる。
【0033】
こうして車種データを入力記憶させておき、たとえば図5に示すように、制御装置5で作業データエリア14に出庫予約データ1を作業データエリアAに受け付けるとともに、制御装置5の処理部5aでは、受け付けた出庫予約データ1に基づく出庫処理を行う出庫予約データエリア12のデータ1の車種データと入庫予約データエリア11の先頭のデータ3の車種データとを比較して一致するか否かを判定し、一致する場合には、入庫可能と判定する。
【0034】
すると、入庫予約データエリア11の先頭の入庫予約データ3を作業データエリア14の作業データエリアBに移動してAの出庫完了後、この入庫予約データ3をエリアBからエリアAに繰り上げて入庫処理を割り込ませるようにし、入庫予約データ3に基づく入庫処理を行うための作業指令を出力する。
この入庫作業指令に基づく機械式駐車装置の具体的な自動運転制御は、予約データとリンクした当該駐車券のデータに基づいて制御装置5で行われ、これまでの自動運転による入庫の制御と同様にして行われるものであり、ここでは、省略する。
【0035】
なお、出庫予約の車種データと入庫予約の車種データが一致せず、出庫による空パレットを利用して入庫ができない場合には、すでに説明したように、出庫優先モードによる出庫が行われたり、通常の予約操作の順番に基づく入出庫処理が行われる。
【0036】
また、機械式駐車装置の格納車種が一車種のみの場合には、出庫が行われた空パレットには、必ず入庫させることが可能であることから、作業データエリア14に出庫予約データが受け付けられた場合には、制御装置5の処理部5aは、入庫予約データエリア11にデータが存在するか否かを判断し、存在する場合には、作業データエリア14に次の入出庫処理のために受け付け、入庫処理を行う。
【0037】
この入庫割り込みモードでの入出庫について、通常の入出庫処理に組合わせた場合の例である図6にフローチャートにしたがって説明する。なお、出庫優先モードとの組合わせの場合には、出庫処理であるか否かの判定後からの処理が行われる。
S51:予約データエリア13の先頭のデータを作用データエリア14の作業データエリアAに受け付ける。
S52:受け付けたデータが入庫予約データであるか、出庫予約データであるかを判定する。
S53:作業データエリアAに受け付けたデータが出庫予約データである場合には、入庫割込み処理が開始される。
S54:作業データエリアAに受け付けたデータが入庫予約データである場合には、通常の入出庫処理が行われる。
S55:作業データエリア14のエリアAの出庫予約データ1の車種データと入庫予約データエリア11の入庫予約データ3の車種データとを比較し、一致するか否かを判定する。
S56:車種が一致して入庫可能と判定した場合には、入庫予約データエリア11の先頭の入庫予約データ3を作業データエリア14の作業データエリアBに受け付ける。
S57:車種が一致しない場合には、通常の入出庫処理が行われ、作業を終了する。
S58:次に作業データエリアAのデータに基づく出庫の完了を確認する。
S59:出庫が完了した後、作業データエリアBのデータを作業データエリアAに繰り上げて、入庫処理を開始する。
S60:この割り込ませた作業データに基づく入庫が完了した後、予約データエリア13からの先頭のデータの受けつけに戻り、繰り返し入出庫を処理する。
【0038】
なお、機械式駐車装置の運用方法として、すでに説明した入庫車両を乗り捨てる乗り捨て方式の場合には、入庫の利用者の順番が問題とならないことから、制御装置の処理部で、出庫が行われる車種データと同一の車種の入庫予約データと一致する入庫予約を判定・選択し、一致した入庫予約データを作業データエリア14に次の入出庫のために受け付けるようにすることもできる。
【0039】
このような機械式駐車装置の入出庫方法によれば、予約データエリアに入力されたデータの順番にかかわらず出庫予約データエリアの先頭の予約データの存在により当該出庫予約データを作業データエリアに移動して当該出庫予約データに基づく出庫を優先して行うことができ、出庫待ちの利用者を過大に待たせることなく入出庫作業を順次行うことができ、円滑に入出庫の処理を行うことができるとともに、優先して行った出庫作業処理の完了後、次の出庫作業に先立って入庫可能な車種に応じて入庫予約に基づく入庫処理を行うことで、空になったパレットを戻すことなく、そのまま入庫に利用することができ、入庫待ちや出庫待ちの利用者の待ち時間を増大することもなく、一層効率良く機械式駐車装置を運転することができる。
【0040】
なお、上記実施の形態では、機械式駐車装置の入出庫方法について説明した が、車両に代えて荷物の入出庫を行う自動倉庫での入出庫に適用できるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 入庫口
2 出庫口
3 入口操作盤
4 出口操作盤
5 制御装置
5a 処理部
5b 記憶部
8 中央監視盤
11 入庫予約データエリア
12 庫予約データエリア
13 予約データエリア
14 作業データエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入庫口と出庫口とが別々に設けられた機械式駐車装置の入出庫方法であって、
入出庫を管理する制御装置に、入口操作盤から入力される順番に従って入庫予約データを記録する入庫予約データエリアと、出口操作盤から入力される順番に従って出庫予約データを記録する出庫予約データエリアと、前記入口操作盤および前記出口操作盤から入力される入庫予約データおよび出庫予約データを入力される順番に従って記録する予約データエリアを設ける一方、
前記入庫予約データエリアのデータ、前記出庫予約データエリアのデータおよび前記予約データエリアのデータを読み込んで入出庫作業を行う作業の順番を処理し入庫または出庫が完了した後読み込みデータを消去する入出庫の作業データエリアを設け、
この作業データエリアには、前記予約データエリアに入力されたデータの順番にかかわらず前記出庫予約データエリアの先頭の予約データの存在により当該出庫予約データを作業データエリアに移動して当該出庫予約データに基づく出庫を優先して入出庫の順番を定めるようにしたことを特徴とする機械式駐車装置の入出庫方法。
【請求項2】
前記作業データエリアには、次の入出庫作業を行うため、前記出庫予約データエリアの先頭から2番目のデータが存在する場合には予め移動しておき、前記先頭の作業データエリアの入出庫完了によるデータが消去された後繰り上げて出庫を優先して入出庫の順番を定めるようにしたことを特徴とする請求項1記載の機械式駐車装置の入出庫方法。
【請求項3】
前記操作盤の前記入庫予約データエリア、前記出庫予約データエリアおよび前記予約データエリアに入力操作された順番の順序データとともに、車種データを入力記録しておき、
前記作業データエリアには、前記出庫予約データエリアの先頭のデータを移動して処理するのに代え、前記予約データエリアに入力記録されたデータの順番に従って移動して入出庫処理を行うとともに、前記出庫予約データエリアのデータに基づく出庫処理を行う場合には、当該出庫処理を行う出庫予約データエリアの車種データと前記入庫予約データエリアの先頭の車種データとを比較して入庫可能と判定した場合には、入庫予約データエリアの先頭のデータを作業データエリアに移動して出庫完了後入庫予約データを繰り上げて入庫処理を割り込ませるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の機械式駐車装置の入出庫方法。
【請求項4】
前記機械式駐車装置を、1車種のみ入庫可能に構成し、前記作業データエリアには、入力記録されたデータの順番に従って移動された入庫予約データエリアのデータおよび出庫予約データエリアのデータに基づく入出庫処理を行うとともに、出庫予約データエリアのデータに基づく出庫処理が行われた後は、入庫予約データの存在により当該入庫予約データを移動して入庫処理を割り込ませるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の機械式駐車装置の入出庫方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−38283(P2011−38283A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185484(P2009−185484)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】