説明

機械装置用潤滑油の劣化診断装置、機械装置用潤滑油の劣化診断方法

【課題】潤滑油の劣化をより早期に検出することができる機械装置用潤滑油の劣化診断装置、機械装置用潤滑油の劣化診断方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る機械装置用潤滑油の劣化診断装置10は、機械装置15から排出される天然成分由来の潤滑油16の一部を抜き出す潤滑油分取ライン11と、潤滑油分取ライン11で抜き出した潤滑油16中に含まれる異物を除去する不純物分離装置12と、潤滑油分取ライン11により抜き出した潤滑油16中に含まれる過酸化物を測定する潤滑油性状計測装置13と、潤滑油性状計測装置13で得られた測定結果から機械装置15の運転制御の判定を行う制御装置14と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油の酸化劣化指標として過酸化物価を用い、潤滑油の劣化を早期に診断し、装置の安定した運転の維持を図る機械装置用潤滑油の劣化診断装置、機械装置用潤滑油の劣化診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
舶用ディーゼルエンジン、フォークリフトなどの産業用車両、プラントなど機械装置に用いられる潤滑油の品質および純度が維持されることは、機械装置の耐久性を維持させるために極めて重要である。機械装置においては、配管等を経由して燃料が潤滑油に混入する場合がある。燃料が潤滑油に混入すると、潤滑油の中に夾雑物等の異物成分が生成し、スカッフィング等の磨耗を引き起こし、機械装置に備えられる機器損傷が起こる可能性が高くなる。また、機械装置の内部の潤滑を目的とする潤滑油の本来の機能を果たせなくなる。このため、定期的な潤滑油の交換または定期抜き取り検査によって、潤滑油中の異物の量と、その成分を分析し、機器の摩耗が発生する危険性を迅速に検出する必要がある。
【0003】
潤滑油等の油の劣化指標として、例えば、酸化(全酸価)が用いられている。潤滑油に対して優れた耐摩耗性、耐スコーリング性、および耐表面疲労寿命性を付与するため、全酸価を指標にして、潤滑油に添加する潤滑油添加剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−109873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この全酸価で示される酸化反応は持続的に起こり、急速に立ち上がる反応ではないため、その値は緩やかに増加していく傾向にある。そのため、全酸価において潤滑油の劣化を判別するには、酸化がかなり進んだ段階を検出することになるため、潤滑油の劣化の判定が遅い、という問題がある。即ち、酸化劣化の診断が遅いと、潤滑油の粘性が増加し、酸化に伴う腐食性物質の蓄積することになるため、機械装置の磨耗を加速し、機械装置の劣化を引き起こす。
【0006】
潤滑油等の油の劣化指標として、全酸価を用いると、潤滑油の劣化の判定が遅いため、その対策を実施するまでの間に多くの損失を招いているのが現状である。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑み、潤滑油の劣化をより早期に検出することができる機械装置用潤滑油の劣化診断装置、機械装置用潤滑油の劣化診断方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、機械装置から排出される天然成分由来の潤滑油の一部を抜き出す潤滑油分取手段と、前記潤滑油分取手段により抜き出した前記潤滑油中に含まれる過酸化物を測定する潤滑油性状計測手段と、前記潤滑油性状計測手段で得られた測定結果から前記機械装置の運転制御の判定を行う潤滑油性状診断手段と、を有することを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断装置である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記潤滑油分取手段で抜き出した潤滑油中に含まれる異物を除去する不純物分離手段を有することを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断装置である。
【0010】
第3の発明は、第1または2の発明において、前記潤滑油性状計測手段が、電位差滴定法または化学発光法を用いた装置であることを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断装置である。
【0011】
第4の発明は、機械装置から排出される天然成分由来の潤滑油の一部を抜き出す潤滑油分取工程と、抜き出した潤滑油中に含まれる過酸化物を測定する潤滑油性状計測工程と、前記潤滑油性状計測工程で得られた測定結果から前記機械装置の運転制御の判定を行う潤滑油性状診断工程と、を有することを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断方法である。
【0012】
第5の発明は、第4の発明において、前記抜き出した潤滑油中に含まれる異物を除去する不純物分離工程を有することを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断方法である。
【0013】
第6の発明は、第4または5の発明において、前記潤滑油性状計測手段として、電位差滴定法または化学発光法を用いることを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、潤滑油の劣化をより早期に検出することができる。このため、エンジンなど機械装置の設置現場などで所定期間経過毎に定期的に短時間で潤滑油の検査を行うことが可能となり、得られた情報に基づいて潤滑油の交換を適正な時期に早期に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施例に係る機械装置用潤滑油の劣化診断装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、潤滑油の全酸価および過酸化物価の経過を示す説明図である。
【図3】図3は、潤滑油性状計測装置で得られた検出結果に基づいて機械装置の運転制御を行う潤滑油性状診断フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための実施例につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0017】
本発明による実施例1に係る機械装置用潤滑油の劣化診断装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係る機械装置用潤滑油の劣化診断装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施例に係る機械装置用潤滑油の劣化診断装置10は、潤滑油分取ライン(潤滑油分取手段)11と、不純物分離装置(不純物分離手段)12と、潤滑油性状計測装置(潤滑油性状計測手段)13と、制御装置14とを有する。
【0018】
機械装置15内には、機器の潤滑を目的として潤滑油16が供給される。機械装置15から排出される潤滑油16は、潤滑油循環ラインL11を通過して機械装置15に再度、供給される。機械装置15とは、発電・化学・廃棄物処理プラント、産業機械などの機械設備、又は車両や船舶などの輸送用機械、フォークリフトなどの産業用車両に用いられるディーゼルエンジンなど各種エンジン、変速機若しくはこれらの内部に用いられる機械設備などをいう。
【0019】
潤滑油16とは、一般に機械の摺動部等の機械要素間の摩擦を低減させ、発熱及び焼き付き等を防止するために使用される油をいう。潤滑油16は、室温で液体状であるオイル及び増ちょう剤を分散させて室温で半固体または固体状にしたグリース等を含む。本実施例では、潤滑油16は、天然成分由来のオイルであり、二重結合を有する潤滑油であれば好適に用いることができる。天然成分由来の潤滑油16としては、例えば、オレイン酸メチルや脂肪酸エステル系のものが挙げられる。
【0020】
潤滑油分取ライン11は、機械装置15から排出される潤滑油16の一部を潤滑油循環ラインL11から抜き出すラインである。潤滑油分取ライン11には、調節弁V11が設けられている。潤滑油循環ラインL11から抜き出される潤滑油16の量は、調節弁V11により調整される。制御装置14は、機械装置の運転時間が定期検査時間を超えたと判断したら、潤滑油分取ライン11の調節弁V11を開放し、機械装置15から排出される潤滑油16の一部を潤滑油循環ラインL11から抜き出し、不純物分離装置12に送給する。
【0021】
不純物分離装置12は、を潤滑油循環ラインL11から抜き出した潤滑油16中に含まれる異物など不純物を除去するものである。不純物分離装置12としては、例えば、遠心分離機等が挙げられる。潤滑油16を潤滑油回収容器に収容し、遠心分離(例えば、5,000rpm×5分)にかけた後、その上澄み液を分取する。不純物分離装置12において、潤滑油16中に含まれる鉛や金属微粒子等の異物を予め除去しておくことで、潤滑油16の過酸化物を計測する際にこれら異物に起因して生じる誤差を低減することができる。不純物分離装置12において、潤滑油16中に含まれる異物など不純物を除去した後、潤滑油16は潤滑油性状計測装置13に送給される。
【0022】
潤滑油性状計測装置13は、潤滑油分取ラインL11から抜き出した潤滑油16中に含まれる過酸化物を測定するものである。潤滑油性状計測装置13としては、例えば、電位差滴定法、化学発光(ケミルミネッセンス:Chemiluminescence)法などを用いた装置が挙げられる。
【0023】
電位差滴定法とは、潤滑油16にヨウ化カリウムを加えて潤滑油16に含まれる過酸化物を還元し、このときに遊離したヨウ素をチオ硫酸ソーダ溶液で滴定する方法である。
【0024】
電位差滴定法を用いた場合、このときの過酸化物価(PerOxide Value:POV)は、油脂が空気中の酸素を取り込んで生成するハイドロパーオキサイド(過酸化物)をヨウ化カリウムと反応させ、遊離したヨウ素をチオ硫酸ソーダ溶液で滴定し、試料1kgに対するミリ当量数(単位:meq/kg)で表したものである。
【0025】
具体的には、試料の所定量を量り採り、共栓三角フラスコに入れてクロロホルム・氷酢酸混液(2:3)を加えて溶解する。均一に溶解しないときは、さらにクロロホルムと氷酢酸との混合溶液(クロロホルムと氷酢酸との比率は、2対3程度とする)を加える。次いで、共栓三角フラスコ内の空気を窒素ガスを通じながら飽和ヨウ化カリウム溶液を所定量加え、所定時間混合した後、デンプン試液を指示薬として、0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。別に同様に操作して空試験を行い補正する。このとき、過酸化物価は、下記式(1)により求める。
過酸化物価(meq/kg)=((a×F)/S)×10・・・(1)
(ただし、Sは試料の採取量(g)、aは、0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液の消費量(ml)、Fは、0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液の力価である。)
【0026】
化学発光法とは、潤滑油16の酸化劣化により生成される過酸化物が分解するときに化学発光が起こることを利用し、酸化安定性能の評価や酸化劣化度を検出するものである。化学発光法を用いた場合、このときの過酸化物価(POV)は、潤滑油16の酸化劣化により生成される過酸化物が分解するときに生じる発光量で表したものである。
【0027】
図2は、潤滑油の全酸価および過酸化物価の経過を示す説明図である。図2に示すように、機械装置15の稼動累積時間が300時間程度で全酸価は1程度であり、機械装置15の稼動累積時間が400時間程度で全酸価は2程度を示した。これに対し、過酸化物価は、機械装置15の稼動累積時間が300時間程度で10程度を示し、機械装置15の稼動累積時間が400時間程度で、過酸化物価は50程度にまで上昇した。よって、潤滑油16の劣化具合を判定する際、潤滑油16の劣化具合の指標として全酸価を用いるよりも過酸化物価を用いた場合の方が、潤滑油16の劣化具合を早期に検出することができることが確認された。
【0028】
全酸価の値は、初期ではなかなか上がらず、ある時間を経過して徐々に増加していくもので、これを潤滑油の診断の指標に用いた場合、潤滑油16の劣化がかなり進行した段階で漸く検出される。即ち、全酸価は潤滑油16が劣化して加水分解され、結果的に形成された遊離脂肪酸を計測するため、劣化の初期段階の検出としては応答性が悪く、潤滑油16の劣化への対応が遅くなる。これに対し、過酸化物価はその反応特性から反応性の高い部分への酸素付加反応を反映したものであり、過酸化物価の値の立ち上がりが早い。特に、この過酸化物価は潤滑油の二重結合部分に挟まれたメチレン基や二重結合部分に酸素分子(O2)が付加して進行するものであり、反応性が高い部分にO2が付加した結果によるものである。そのため、過酸化物価は潤滑油16の劣化反応の初期過程、即ち立ち上がり増加部分を捉える反応といえる。また、過酸化物価は、潤滑油16の劣化による加水分解物の計測ではなく、潤滑油16内の分子への酸素付加反応であるため、潤滑油16の劣化の初期診断として有効である。
【0029】
潤滑油性状計測装置13は、潤滑油の酸化の評価を水素原子の引き抜きや酸素原子の付与ではなく、酸素(O2)が付与される反応、即ち反応性が高い部分へのO2付加結果による過酸化反応物を検出するものである。このため、従来のように、全酸化を判定する場合に比べ、潤滑油劣化の判定をより早期に行うことができる。特に、過酸化物価は金属の磨耗によるFeや潤滑油16の部分酸化により発生するH22等により促進される。このため、熱や酸素の巻き込み、Feの溶解等の酸化要因が多く含まれる環境下での潤滑油16の劣化を早期に診断することができる。
【0030】
潤滑油性状計測装置13は、測定した潤滑油16の過酸化物価の測定結果を制御装置14に伝達する。また、潤滑油性状計測装置13で測定された潤滑油16は、潤滑油循環ラインL11に送給される。
【0031】
(潤滑油の劣化の診断方法)
制御装置14は、潤滑油性状計測装置13で得られた検出結果から潤滑油16の劣化を診断し、機械装置15の運転制御の判定を行う。図3は、潤滑油性状計測装置13で得られた検出結果に基づいて機械装置15の運転制御を行う潤滑油性状診断フローの一例を示す図である。
【0032】
図3に示すように、潤滑油性状計測装置13で潤滑油16の過酸化物価が測定され、測定結果が制御装置14に伝達される(ステップS11)。制御装置14は、潤滑油性状計測装置13で得られた過酸化物価が所定値(例えば、50meq/kg)を以上か否かを判定する(ステップS12)。過酸化物価が所定値以上でないと判定された場合(ステップS12:No)には、機械装置15の運転を継続して行い(ステップS13)、所定時間経過後に再度、潤滑油性状計測装置13で潤滑油16の過酸化物価を測定する。一方、過酸化物価が所定値以上であると判定された場合(ステップS12:Yes)には、潤滑油16が劣化していると判断し、潤滑油16の交換および潤滑油添加剤(酸化防止剤)の添加を表示する(ステップS14)。
【0033】
次いで、潤滑油16の交換を選択したか否かを判定する(ステップS15)。潤滑油16の交換を選択したと判定した場合(ステップS15:Yes)には、機械装置15の運転を停止する(ステップS16)。一方、潤滑油16の交換を選択したと判定しない場合(ステップS15:No)には、潤滑油添加剤(酸化防止剤)の添加を選択したか否かを判定する(ステップS17)。
【0034】
潤滑油添加剤(酸化防止剤)の添加を選択したと判定しなかった場合(ステップS17:No)には、潤滑油添加剤(酸化防止剤)を添加せず、潤滑油16の交換および潤滑油添加剤(酸化防止剤)の添加が必要であると判定した後の機械装置15の稼働時間の累計が所定時間(例えば、300時間)経過した後(ステップS18)、強制的に機械装置15の稼動(装置運転)を停止する(ステップS19)。なお、機械装置15の運転の強制停止は必ずしも行う必要はなく、機械装置15の運転の稼動状態を調整し、制御するようにしてもよい。
【0035】
一方、滑油添加剤(酸化防止剤)の添加を選択したと判定した場合(ステップS17:Yes)には、潤滑油添加剤を潤滑油16に添加する。機械装置15の稼働時間の累計が所定時間(例えば、300時間)経過した後(ステップS21)、制御装置14は、潤滑油性状計測装置13に、再度、潤滑油16の過酸化物価を測定するように指示し、潤滑油性状計測装置13は、潤滑油16の過酸化物価を測定する(ステップS22)。潤滑油性状計測装置13で測定された過酸化物価が、最初の過酸化物価の第1の所定値よりも高い第2の所定値(例えば、60meq/kg)以上か否か判定する(ステップS23)。第2の所定値は、例えば第1の所定値の過酸化物価の2割増加した値の範囲内とする。
【0036】
制御装置14は、過酸化物価が第2の所定値以上でないと判定した場合(ステップS23:No)には、機械装置15の運転を継続して行い(ステップS24)、所定時間経過後に再度、潤滑油の過酸化物価を測定する。一方、過酸化物価が第2の所定値以上であると判定した場合(ステップS23:Yes)には、潤滑油16が劣化し、交換が必要と判断し、強制的に機械装置15の運転を停止する(ステップS25)。なお、機械装置15の運転の強制停止は必ずしも行う必要はなく、機械装置15の運転の稼動状態を調整し、制御するようにしてもよい。
【0037】
上記の強制稼動停止の設定時間は、潤滑油16の種類や使用温度に応じて、任意に設定できるものであり、特に所定の固定された値や時間に限定されるものではない。
【0038】
このように、本実施例に係る機械装置用潤滑油の劣化診断装置10によれば、制御装置14は潤滑油性状計測装置13で得られた検出結果に基づいて潤滑油16の性状の診断を行い、潤滑油16が劣化しているか否かを早期に検出することができる。制御装置14は、潤滑油16が劣化していることを早期に検出することで、潤滑油16を補充または入替操作、機械装置15の運転制御など必要な対策を早期に施すことができる。
【0039】
過酸化物価は、食品(魚油)や植物油などの酸価劣化評価に主に使われているが、化学反応の観点からも二重結合を有する天然成分由来の潤滑油に対して好適に用いることができる。このため、潤滑油16が天然成分由来のであれば、過酸化物価は、機械装置15などの工業用の潤滑油の劣化指標として活用することができる。よって、本実施例に係る機械装置用潤滑油の劣化診断装置10は、機械装置15の運転中において、従来のように全酸化を測定し、潤滑油16が劣化していることが検出されるまでに長期間を要することがなく、潤滑油性状計測装置13で得られた分析結果から潤滑油16の劣化の有無を早期に検出することができる。したがって、潤滑油16の劣化を早期に検出することで、制御装置14を通して機械装置15の運転制御や、潤滑油16の補充または交換に即座に反映することができる。この結果、潤滑油16の劣化による機械装置15全体への影響を早期に診断し、機械装置15の安定した運転の維持を図ることができる。
【0040】
このため、所定期間経過毎に定期的に短時間で潤滑油16の劣化の検査を早期に行うことが、機械装置15の設置現場で可能となり、得られた情報に基づいて機械装置15の運転制御や、潤滑油16の補充または交換を早期に行うことが可能となる。これにより、機械装置15の運転中における潤滑油16の劣化状況を早期に把握することで、機械装置15に用いられる機器の故障やトラブルを未然に防止する対策を講じることが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
10 機械装置用潤滑油の劣化診断装置
11 潤滑油分取ライン(潤滑油分取手段)
12 不純物分離装置(不純物分離手段)
13 潤滑油性状計測装置(潤滑油性状計測手段)
14 制御装置
15 機械装置
16 潤滑油
L11 潤滑油循環ライン
V11 調節弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械装置から排出される天然成分由来の潤滑油の一部を抜き出す潤滑油分取手段と、
前記潤滑油分取手段により抜き出した前記潤滑油中に含まれる過酸化物を測定する潤滑油性状計測手段と、
前記潤滑油性状計測手段で得られた測定結果から前記機械装置の運転制御の判定を行う潤滑油性状診断手段と、
を有することを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記潤滑油分取手段で抜き出した潤滑油中に含まれる異物を除去する不純物分離手段を有することを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記潤滑油性状計測手段が、電位差滴定法または化学発光法を用いた装置であることを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断装置。
【請求項4】
機械装置から排出される天然成分由来の潤滑油の一部を抜き出す潤滑油分取工程と、
抜き出した潤滑油中に含まれる過酸化物を測定する潤滑油性状計測工程と、
前記潤滑油性状計測工程で得られた測定結果から前記機械装置の運転制御の判定を行う潤滑油性状診断工程と、
を有することを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記抜き出した潤滑油中に含まれる異物を除去する不純物分離工程を有することを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断方法。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記潤滑油性状計測手段として、電位差滴定法または化学発光法を用いることを特徴とする機械装置用潤滑油の劣化診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−132686(P2012−132686A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282472(P2010−282472)
【出願日】平成22年12月18日(2010.12.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】