説明

機能パネル及び機能パネル取付用部材

【課題】ドリル又はドリルネジによる穿孔を安定的に行うことができる機能パネル及び機能パネル取付用部材を提供する。
【解決手段】機能パネルは、太陽光発電パネル15と太陽熱温水パネルの少なくとも一方を含み、機能パネルの外周枠を構成するフレーム部材17の外表面の長手方向の全長に亙って延び且つ施工現場にてドリル又はドリルネジで穴加工を施す部位を通り、ドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝20を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能パネル及び機能パネル取付用部材に関し、施工現場にて穴加工する為のドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝が形成された機能パネル及び機能パネル取付用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽光発電パネルや太陽熱温水パネルなどの種々の機能パネルが、地上や屋上や傾斜屋根などの水平な又は傾斜した設置面上に金属製の取付架台を介して設置されている。この取付架台は、設置面に固定具などを介して固定される複数の縦ラックと、これら縦ラックの上に固定される複数の横ラックとで構成されている。機能パネルは、その外周を保持する金属製の外周枠を備えている。
【0003】
機能パネルを取付架台に設置するためには、先ずは、複数の機能パネルを取付架台に載置して固定する。このとき、複数の機能パネルを横方向に並べたパネル列の各々は、2条の横ラックにより両端支持する状態に設置される。次に、複数の横ラックに間カバーが夫々取り付けられ、両端の横ラックには軒カバー及び棟カバーが夫々取り付けられる。尚、機能パネルとして太陽光発電パネルを設置するときには、太陽光発電パネルの外周枠を取付架台を介してアース接地する作業が行われる。
【0004】
ところで、複数の横ラックの各々に上記のような種々のカバー部材を取り付ける為に、ドリルネジをカバー部材に貫通して、横ラックのカバー取付部に螺合させることで横ラックにカバー部材を固定している。また、太陽光発電パネルをアース接地する場合には、アースネジを予めアース接地されている横ラックの挿通穴に挿通又は横ラックを穿孔して貫通して、パネルの外周枠を構成するフレーム部材に螺合させて、アースネジを介して取付架台とパネルの外周枠とを電気的に接続している。このようにドリルネジを使用して穴加工の対象部位を穿孔して螺合することで、2つの金属板部材を固定する取付方法が、種々の特許文献により開示されている。
【0005】
例えば、特許文献1の太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付構造においては、太陽電池モジュールの枠体に固定金具を固定する為に、枠体の側面に固定金具を配置して、この固定金具の側面と枠体の側面とを、ビスにより穿孔して螺合することで枠体に固定金具を固定している。更に、モジュールに固定金具を介して化粧用カバーを取り付ける為に、化粧用カバーの表面から固定金具に対してビスを穿孔して螺合することで、化粧用カバーを固定金具に取り付けている。
【0006】
特許文献2の機能パネルの取付方法においては、機能パネルを載置するための取付架台を構成する桟材(ラック)を、支持瓦に設けられた1対の固定片間に挿入して、1対の固定片の上端部に形成された内側に屈折した係合部を桟材の側面の複数の凹凸部に係合させる。次に、固定片の側面を貫通して桟材の内部に達するネジ孔を形成し、このネジ孔にビスを螺合することで、固定具に桟材を固定している。尚、前記ネジ孔を形成する代わりにドリルネジを用いて固定片と桟材に穿孔しながら螺合する方法も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4383190号公報
【特許文献2】特開2006−57357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の特許文献1,2のように、種々のドリルネジを用いて固定対象の2枚の金属板部材を穿孔して固定する場合に、施工現場では、作業者が直接ドリルネジを工具で回転させる必要がある。しかし、ドリルネジの頭部にドライバーなどの工具を係合し、穴加工を施す対象部材の側面にドリルネジの先端を当接させたときに、このドリルネジの先端を確実に固定することができず、所期の姿勢から滑らせてしまうという問題がある。
【0009】
このため、ドリルネジを穴加工対象部位に対して垂直姿勢にて取り付けなければならない場合、ドリルネジの先端が滑って傾斜姿勢になっていることに気づかずに、所期の位置からずれた状態で穿孔してしまい、固定対象部材を確実に固定することができない可能性がある。また、作業者の不注意によりドリルネジの先端を滑らせてしまい、その先端で機能パネルの表面を傷つける虞があり、機能パネルの品質低下を招く虞がある。
【0010】
本発明の目的は、ドリル又はドリルネジによる穿孔を安定的に行うことができる機能パネル及び機能パネル取付用部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の機能パネルは、太陽光発電パネルと太陽熱温水パネルの少なくとも一方を含む機能パネルにおいて、前記機能パネルの外周枠を構成するフレーム部材の外表面に、施工現場にてドリル又はドリルネジで穴加工を施す部位を通る係合溝であって、前記フレーム部材の長手方向の全長に亙って延び且つドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝を形成したことを特徴としている。
【0012】
請求項2の機能パネル取付用部材は、太陽光発電パネルと太陽熱温水パネルの少なくとも一方を含む機能パネルを取り付ける為の機能パネル取付用部材において、前記機能パネル取付用部材の外表面に、施工現場にてドリル又はドリルネジで穴加工を施す部位を通る係合溝であって、前記機能パネル取付用部材の長手方向の全長に亙って延び且つドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝を形成したことを特徴としている。
【0013】
請求項3の機能パネル取付用部材は、請求項2の発明において、前記係合溝は、断面V字状の溝であることを特徴としている。
【0014】
請求項4の機能パネル取付用部材は、請求項2又は3の発明において、前記係合溝は、前記フレーム部材を押し出し成形する際に形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、機能パネルの外周枠を構成するフレーム部材の外表面に、施工現場にてドリル又はドリルネジで穴加工を施す部位を通る係合溝であって、フレーム部材の長手方向の全長に亙って延び且つドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝を形成したので、施工現場にて、作業者はドリル又はドリルネジの先端を、穴加工を施す部位の係合溝に係合するだけで、その先端の上下方向への移動を規制して位置ズレを防止し、ドリル又はドリルネジによる穿孔を安定的に行うことができる。
【0016】
従って、穿孔を安定的に行えるので、施工時間を短縮できるうえ、ドリル又はドリルネジの先端を係合溝に係合するだけで先端を固定可能なので、ドリル又はドリルネジの先端が滑ることもなく、機能パネルの表面が損傷するのを防止でき、機能パネルの品質低下を防止できる。
【0017】
請求項2の発明によれば、機能パネル取付用部材の外表面に、施工現場にてドリル又はドリルネジで穴加工を施す部位を通る係合溝であって、前記機能パネル取付用部材の長手方向の全長に亙って延び且つドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝を形成したので、請求項1と同様の効果を奏する。
【0018】
請求項3の発明によれば、係合溝は、断面V字状の溝であるので、ドリル又はドリルネジの先端を確実に係合することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、係合溝は、前記フレーム部材を押し出し成形する際に形成するので、下穴加工などの追加工が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例に係る太陽光発電パネルと取付架台の要部縦断側面図である。
【図2】機能パネルの斜視図である。
【図3】図2のA部拡大斜視図である。
【図4】実施例2に係る太陽光発電パネルと取付架台の要部縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明するが、以下の実施例では、太陽光発電パネル15にアースビス41を取り付ける場合に本発明を適用した例について説明する。
【実施例1】
【0022】
先ず、水平な又は傾斜状の屋根面からなる設置面Sに太陽光発電パネル15を設置する為の金属製の取付架台1について説明する。
図1に示すように、取付架台1は、縦方向(図1の左右方向)向きに延び且つ横方向(図1の紙面直交方向)に所定間隔おきに設置される複数の縦ラック2と、これらの複数の縦ラック2上に配置されて横方向向きに延び且つ縦方向に所定間隔おきに設置される複数の横ラック3とを主体として構成されている。この取付架台1は、地上や屋上や傾斜屋根の上に設置される。
【0023】
縦ラック2と横ラック3は、夫々、アルミニウム押し出し材の条材からなる。縦ラック2と横ラック3の表面には防蝕の為の酸化アルミニウムを主成分とする絶縁被膜が形成されている。縦ラック2と横ラック3の各交差部において、横ラック3は縦ラック2に対して1対の位置決め金具4により固定されている。横方向に延びる各列の複数の横ラック3は、各継目において導電接続片を介して導電接続され、その各列の横ラック接続体は導電線により予め地面にアース接地されている。
【0024】
横ラック3は、前記位置決め金具4で固定される底板5と、この底板5に垂直に一体形成され横方向に延びる1対のリブ6a,6bと、この1対のリブ6a,6b上に形成された横支持板7と、この横支持板7に垂直に一体形成された1対の縦支持板8a,8bと、この1対の縦支持板8a,8b上に形成され横方向に延びる上支持板9などを有する。
【0025】
1対の縦支持板8a,8bのうちの右側縦支持板8bの右端面下部には、縦支持板8bの全長に亙って凸部8cが形成され、この凸部8cと横支持板7との間に、発電パネル15のフレーム部材17の下部外周部が挿入可能な溝部8dが形成されている。
【0026】
上支持板9の右側部分は縦支持板8bより右側に突出して、この右側部分には、発電パネル15のフレーム部材17の縦支持部19が当接されたり棟カバー35の係止部36aが係止されるL字状受部9aが一体形成されている。上支持板9の下側であって1対の縦支持板8a,8b間には、横方向に延びる中段板11が一体形成されている。
【0027】
上支持板9と中段板11の上下方向に貫通状に形成されたレール溝12であって、上支持板9と中段板11の横方向の全長に亙ってレール溝12が形成されている。このレール溝12には、後述する固定機構21の締結ボルト23が挿入される。中段板11には、固定機構21のナット部材24の横方向へのスライド移動を許容し且つ縦方向の移動を規制する1対の規制部11aがレール溝12を挟んで対向状に横方向の全長に亙って形成されている。
【0028】
各発電パネル15の横方向の所定部位(例えば、中間点)に対応する位置において、1対の縦支持板8a,8bの中段部には、アース接地用のアースビス41が挿通される1対のビス挿通穴8e,8fが形成されている。このビス挿通穴8e,8fは、設置面Sと平行に形成されている。このビス挿通穴8e,8fは、アースビス41のネジ軸部42よりも僅かに大径に形成され、アースビス41を挿通した状態においてネジ軸部42の外周側には僅かな隙間が形成される。
【0029】
次に、太陽光発電パネル15について説明する。
図1〜図3に示すように、発電パネル15は、パネル本体16と、このパネル本体16の外周枠を構成するフレーム部材17などから構成されている。本実施例のフレーム部材17はアルミニウム製のものであるが、アルミニウム以外の軽合金製とすることも可能である。フレーム部材17の表面には酸化アルミニウムの絶縁性被膜が形成されている。この発電パネル15は、例えば、1.3m×1.0m程度のサイズに構成されている。発電パネルは、4〜5mm程度の厚さに形成され、太陽光のエネルギーを直接電力に変換するものである。
【0030】
フレーム部材17は、底板部18と、この底板部18から垂直に延びる縦板部19とを有する。底板部18の外周部分は縦板部19より外周側へ突出し、この外周部分の先端部には上方に開口された浅い溝状の係合部18aが形成されている。縦板部19の上端部の内周部の係合溝19aには、パネル本体16の外周部が係合されている。縦板部19のうちの横ラック3の縦支持板8a,8bに対向する縦板部19の右端面の中段部には、挿通穴8e,8fに対応する高さ位置に係合溝20が形成されている。
【0031】
ここで、係合溝20について説明する。
図1〜図3に示すように、係合溝20は、断面V字状の溝であり、発電パネル15の外周枠を構成するフレーム部材17の外表面に形成されている。係合溝20は、施工現場にてドリル又はドリルネジで穴加工を施す部位を通り、フレーム部材17の長手方向の全長に亙って延び且つドリル又はドリルネジの先端が係合可能なように形成されている。係合溝20は、例えば、深さは0.5mm程度、幅1〜3mm程度に形成されている。この係合溝20は、フレーム部材17を押し出し成形する際に形成される。尚、係合溝20は、外周枠を構成するフレーム部材17の縦板部19の外表面の全周に亙って形成しても良いし、横ラック3に対応する縦板部19にのみ形成しても良い。係合溝20は、断面V字状に形成しているが、特にこの形状に限定する必要はなく、断面U字状に形成しても良いし、他の形状に形成しても良い。
【0032】
次に、発電パネル15を取付架台1に固定する固定機構21について説明する。
図1に示すように、フレーム部材17の底板部18の右端部分が横ラック3の横支持板7の左端部分上に載置支持され、このフレーム部材17の係合部18aが、フレーム部材17の横方向の両端付近において、固定機構21により横ラック3に固定されている。固定機構21は、接続金具22と、締結ボルト23と、ナット部材24などを有する。
【0033】
接続金具22は、フレーム部材17の縦板部19の右端面に沿うように配置された縦支持部26と、この縦支持部26の上端部から水平方向に延び且つ横ラック3の上支持板9に載置された横支持部27とから一体形成されている。尚、複数の横ラック3のうちの縦方向両端の横ラック3のうちの一方には、前記固定機構21により発電パネル15の代わりに軒カバーが固定される。
【0034】
縦支持部26の下端部をフレーム部材17の係合部18aに係合して、締結ボルト23を、横支持部27の挿通穴27aを挿通して横ラック3のレール溝12内に収容されているナット部材24に螺合して、横支持部27を横ラック3の上支持板9に固定することで、フレーム部材17を横ラック3に固定する。
【0035】
横支持部27の上面の縦方向の両端部には、間カバー31を取り付ける為の1対の取付板部28a,28bが上方に突出状に一体形成されている。間カバー31は、下方開口状の断面コ字状に形成され、この間カバー31の内側が、1対の取付板部28a,28bの外側に係合されて固定されている。間カバー31は、複数の横ラック3の夫々に装着される。
【0036】
複数のカバー部材取付金具32が、横ラック3の底板5の右端部分に横方向に所定の間隔を空けて取り付けられている。カバー部材取付金具32は、底板5を挟持固定可能な固定部32aと、この固定部32aに垂直に形成されてその上端部が横支持板7の近傍部にまで延びる孔形成板部32bとを有している。この孔形成板部32bには、カバー部材取付用のビス部材33が螺合可能なネジ孔32cが形成されている。カバー部材取付金具32は、後述する棟カバーの挿通孔37aに対応するように配置されている。
【0037】
図1に示すように、横ラック3に棟カバー35が取り付けられている。棟カバー35は、その大部分が断面三角形状に形成された本体部36と、この本体部36の下端面右部から下方に延びる取付板部37と、前記本体部36の上端部から左方に延びる天井板部38などを有し、天井板部38が間カバー31の上面に載置され、本体部36の底面が横支持板7の上面に載置されている。本体部36の左端面上部には、横方向の全長に亙って形成された係止部36aが形成され、この係止部36aが横ラック3の上支持板9のL字状受部9aに係合し、ビス部材33を取付板部37に設けられた挿通孔37aに挿通し、カバー部材取付金具32のネジ孔32cに螺合されている。
【0038】
次に、アースビス41について説明する。
図1に示すように、アースビス41は、取付架台1の横ラック3と発電パネル15のフレーム部材17を電気的に接続する為のものである。アースビス41は、細長いネジ軸部42と、ネジ軸部42の基端部の頭部43とを有する。ネジ軸部42の先端部には穿孔用のドリル部45が形成されている。ドリル部45には、通常のドリルの先端と同様に、捩れた形状の複数の刃と溝が形成されている。
【0039】
アースビス41の頭部43の上面には、ドライバーで操作する為の十字溝(図示略)が形成されている。頭部43の座面には、円錐状の複数の突起(図示略)が周方向に等間隔に形成されている。アースビス41は、右側縦支持板8bとフレーム部材17間の間隔よりも長く形成され、アースビス41の外径は、例えば4mm〜5mm程度である。ドリルネジ部45の長さは例えば10〜20mmである。但し、前記のサイズに限定される訳ではない。
【0040】
ここで、アースビス41の取付方法について説明する。
以上説明したように、設置面S上に取付架台1を介して複数の発電パネル15を設置した状態において、前記各発電パネル15に対応するビス挿通穴8e,8fを予め横ラック3の縦支持板8a,8bに形成しておき、各発電パネル15の外周枠を構成するフレーム部材17のうち前記の横ラック3の1対の縦支持板8a,8bに対向する縦板部19には係合溝20を予め形成しておく。
【0041】
各発電パネル15毎に、前記ビス挿通穴8e,8fにアースビス41を挿通させ、アースビス41の先端のドリル部45をフレーム部材17の係合溝20に係合させる。次に、ドライバーなどの工具を頭部43の十字溝に係合させて、アースビス41を回転させて、このアースビス41のドリル部45によりフレーム部材17に穿孔しながら、ネジ軸部42を螺合させる。このとき、フレーム部材17を穿孔しながら螺合させるので、アースビス41とフレーム部材17とを電気的に確実に導通させることができる。
【0042】
一方、アースビス41の頭部43の座面が横ラック3の右側縦支持板8bの表面に強力に当接する状態になるまで、アースビス41のネジ軸部42を螺合させ、頭部43の座面に形成した複数の突起により、縦支持板8bの金属被膜を破りながら締結回転させる。こうして、アースビス41の頭部43を横ラック3の縦支持板8bの素地部分に電気的に導通させることができる。
【0043】
このように、各発電パネル15のフレーム部材17をアースビス41のネジ軸部42に電気的に接続し、アースビス41の頭部43を横ラック3の縦支持板8bに電気的に接続するので、予めアース接地されている取付架台1を介して、全部の発電パネル15をアース接地することができる。
【0044】
次に、本発明の係合溝20が形成された発電パネル15の効果について説明する。
発電パネル15の外周枠を構成するフレーム部材17の外表面に、施工現場にてアースビス41のドリル部45(ドリル又はドリルネジに相当)で穴加工を施す部位を通る係合溝20であって、フレーム部材17の長手方向の全長に亙って延び且つアースビス41のドリル部45の先端が係合可能な係合溝20を形成したので、施工現場にて、作業者はアースビス41のドリル部45の先端を、穴加工を施す部位の係合溝20に係合するだけで、その先端の上下方向への移動を規制して位置ズレを防止し、アースビス41のドリル部45による穿孔を安定的に行うことができる。
【0045】
従って、穿孔を安定的に行えるので、施工時間を短縮できるうえ、アースビス41のドリル部45を係合溝20に係合することで先端を固定可能なので、先端が滑ることもなく、発電パネル15の表面が損傷するのを防止でき、発電パネル15の品質低下を防止できる。
【0046】
係合溝20は、断面V字状の溝であるので、アースビス41のドリル部45の先端を確実に係合することができる。係合溝20は、フレーム部材17を押し出し成形する際に形成するので、下穴加工などの追加工が不要になる。
【実施例2】
【0047】
次に、上記の取付架台1を部分的に変更した実施例2について説明するが、実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。尚、実施例2の取付架台1Aが、機能パネル取付用部材に相当する。
【0048】
図4に示すように、取付架台1Aにおいて、前記実施例1のカバー部材取付金具32を省略して、横ラック3Aの右端部には、カバー部材取付用の縦板部7aが横ラック3Aの全長に亙って下方に突出状に一体形成されている。この縦板部7aの下端部は、底板5の近傍部にまで延びている。この縦板部7aのうちの棟カバー35の取付板部37の挿通孔37aに対向する縦板部7aの右端面の中段部には、挿通孔37aに対応する高さ位置に係合溝20Aが形成されている。つまり、横ラック3Aの縦板部7aの外表面に、施工現場にてドリル又はドリルネジで穴加工を施す部位を通る係合溝20Aであって、横ラック3Aの長手方向の全長に亙って延び且つドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝20Aを形成している。
【0049】
係合溝20Aは、断面V字状の溝である。これら係合溝20Aは、横ラック3Aを押し出し成形する際に形成される。この係合溝20Aは、係合溝20と同様に、例えば、深さは0.5mm程度、幅1〜3mm程度に形成されている。
【0050】
カバー部材取付用のビス41Aは、取付架台1Aの横ラック3Aに棟カバー35の取付板部37を固定する為のものである。ビス41Aは、ネジ軸部42Aと、このネジ軸部42Aの基端部の頭部43Aとを有する。ネジ軸部42Aの先端部には穿孔用のドリル部45Aが形成されている。ドリル部45Aには、通常のドリルの先端と同様に、捩れた形状の複数の刃と溝が形成されている。
【0051】
棟カバー35を横ラック3Aに取り付ける場合、予め複数の挿通孔37aを棟カバー35の取付板部37に形成しておき、横ラック3のカバー部材取付用の縦板部7aに係合溝20Aを予め形成しておく。次に、施工現場にて、前記挿通孔37aにビス41Aを挿通させ、ビス41Aのドリル部45Aにより縦板部7aに穿孔しながらネジ軸部42Aを螺合させる。このとき、縦板部7aを穿孔しながら螺合させるので、ビス41Aにより棟カバー35を横ラック3Aに確実に固定することができる。その他の構成、作用及び効果は実施例1と同様なので説明は省略する。
【0052】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
[1]前記実施例1では、アースビス41を取り付ける場合に係合溝20を適用した例を、前記実施例2では、棟カバー35を横ラック3Aに取り付ける場合に係合溝20Aを適用した例を説明しているが、これらに限定する必要はなく、上記の太陽光発電パネルや太陽熱温水パネルを含む機能パネルにアースビスを取り付ける場合やカバー部材を取り付ける場合に係合溝を適用しても良い。つまり、施工現場にて穴加工を施す必要となる部位に対して、予めドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝を形成しておけば良い。
【0053】
[2]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例の種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、水平な又は傾斜した設置面上に配置される機能パネル取付部材に対して、又はこの機能パネル取付部材に設置される種々の構造の機能パネルに対して適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
S 設置面
1,1A 取付架台(機能パネル取付用部材)
15 太陽光発電パネル(機能パネル)
17 フレーム部材(外周枠)
20,20A 係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネルと太陽熱温水パネルの少なくとも一方を含む機能パネルにおいて、
前記機能パネルの外周枠を構成するフレーム部材の外表面に、施工現場にてドリル又はドリルネジで穴加工を施す部位を通る係合溝であって、前記フレーム部材の長手方向の全長に亙って延び且つドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝を形成したことを特徴とする機能パネル。
【請求項2】
太陽光発電パネルと太陽熱温水パネルの少なくとも一方を含む機能パネルを取り付ける為の機能パネル取付用部材において、
前記機能パネル取付用部材の外表面に、施工現場にてドリル又はドリルネジで穴加工を施す部位を通る係合溝であって、前記機能パネル取付用部材の長手方向の全長に亙って延び且つドリル又はドリルネジの先端が係合可能な係合溝を形成したことを特徴とする機能パネル取付用部材。
【請求項3】
前記係合溝は、断面V字状の溝であることを特徴とする請求項2に記載の機能パネル取付用部材。
【請求項4】
前記係合溝は、前記機能パネル取付用部材を押し出し成形する際に形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の機能パネル取付用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−7396(P2012−7396A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144816(P2010−144816)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】