説明

機能プログラムを利用して機能を実行する機能実行装置

【課題】 新たに機能プログラムをメモリに格納すべき場合において、メモリ内の複数のプログラムを適切に処理する機能実行装置を実現する。
【解決手段】 第1の機能プログラムを格納するための残容量をROM14が有さない場合において、合計利用回数がゼロである第2の機能プログラムがROM14内に格納されていれば、第1の解放部48は、ROM14内から第2の機能プログラムを削除する。一方、第2の機能プログラムが存在しない場合であり、かつ、利用回数がゼロでなく最も少ない第3の機能プログラムを格納している他の多機能機70が存在する場合には、第2の解放部52は、ROM14内から第3の機能プログラムを削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、機能プログラムを利用して機能を実行する機能実行装置に関する。特に、ネットワークに複数の機能実行装置が接続されるシステムにおいて利用される機能実行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の機能プログラムを格納するメモリを備え、メモリに格納された複数の機能プログラムを利用して複数の機能を実行する機能実行装置が開示されている。この機能実行装置は、新たな機能プログラムをメモリに格納すべき場合であって、メモリが当該新たな機能プログラムを格納する残容量を有していない場合には、利用回数の少ない機能プログラムを削除する。その結果、上記の新たな機能プログラムを格納する残容量がメモリ内に確保された場合に、機能実行装置は、上記の新たな機能プログラムをメモリに格納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−66859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の機能実行装置によると、利用回数の少ない機能プログラムを自動的に削除する。例えば、削除された機能プログラムを利用して機能が実行されることをユーザが希望する場合には、ユーザは、その機能プログラムをメモリに再び格納させる作業を実行しなければならない。本明細書では、このような作業をユーザが実行しなければならない状況が発生するのを抑制することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される技術は、ネットワークに接続される機能実行装置として具現化される。機能実行装置は、第1のメモリと、機能実行部と、第2のメモリと、第1の判断部と、格納制御部と、第2の判断部と、第1の解放部と、特定部と、第3の判断部と、第2の解放部と、を備える。第1のメモリは、複数の機能プログラムを格納する。機能実行部は、複数の機能プログラムを利用して、複数の機能を実行する。第2のメモリは、複数の機能プログラムのそれぞれについて、当該機能プログラムの利用回数を格納する。第1の判断部は、第1の機能プログラムを第1のメモリに新たに格納すべき場合に、第1の機能プログラムを格納するための残容量を第1のメモリが有するのか否かを判断する第1の判断処理を実行する。格納制御部は、第1の判断処理において肯定的に判断される場合に、第1の機能プログラムを外部から取得し、第1の機能プログラムを第1のメモリに格納する。第2の判断部は、第1の判断処理において否定的に判断される場合に、第2のメモリの格納内容に基づいて、利用回数がゼロである第2の機能プログラムが第1のメモリに格納されているのか否かを判断する第2の判断処理を実行する。第1の解放部は、第2の判断処理において肯定的に判断される場合に、第1のメモリ内の上記の第2の機能プログラムが格納されている第1の領域を解放する。特定部は、第1の判断処理において否定的に判断される場合に、第2のメモリの格納内容に基づいて、利用回数がゼロでなく最も少ない第3の機能プログラムを特定する。第3の判断部は、第2の判断処理において否定的に判断される場合に、特定された上記の第3の機能プログラムを格納している他の機能実行装置であって、ネットワークに接続されている他の機能実行装置が存在するのか否かを判断する第3の判断処理を実行する。第2の解放部は、第3の判断処理において肯定的に判断される場合に、第1のメモリ内の上記の第3の機能プログラムが格納されている第2の領域を解放する。格納制御部は、さらに、第1の領域又は第2の領域が解放される場合に、第1の機能プログラムを外部から取得し、第1の機能プログラムを第1のメモリに格納する。
【0006】
この構成によると、第1の機能プログラムを格納するための残容量を第1のメモリが有さない場合において、利用回数がゼロである第2の機能プログラムが第1のメモリ内に格納されていれば、第1の解放部は、第2の機能プログラムが格納される第1の領域を解放する。この結果、第1のメモリの残容量が大きくなり、第1のメモリが第1の機能プログラムを格納し得る。第2の機能プログラムを利用して実行される機能は、ユーザが過去に一度も利用していないものであるために、第2の機能プログラムを利用して機能が実行されることをユーザが希望する可能性は低い。従って、第2の機能プログラムを第1のメモリに再び格納させる作業をユーザが実行しなければならない状況が発生するのを抑制することができる。一方、利用回数がゼロである第2の機能プログラムが存在しない場合には、第3の判断部は、利用回数がゼロでなく最も少ない第3の機能プログラムを格納している他の機能実行装置が存在するのか否かを判断する。第3の機能プログラムを格納している他の機能実行装置が存在する場合には、第2の解放部は、第3の機能プログラムが格納されている第2の領域を解放する。この結果、第1のメモリの残容量が大きくなり、第1のメモリが第1の機能プログラムを格納し得る。第3の機能プログラムを格納している他の機能実行装置が存在する場合には、上記の他の機能実行装置は、第3の機能プログラムを利用して機能を実行することができる。そのため、第3の機能プログラムを利用して機能が実行されることをユーザが希望する場合には、ユーザは、上記の他の機能実行装置に当該機能を実行させることができる。従って、第3の機能プログラムが格納されている第2の領域が解放されても、第3の機能プログラムを第1のメモリに再び格納させる作業をユーザが実行しなければならない状況が発生するのを抑制することができる。
【0007】
第1の判断部は、第1の領域又は第2の領域が解放される場合に、第1の判断処理を再び実行してもよい。この構成によると、第1の領域又は第2の領域の解放によって、第1の機能プログラムを格納するための残容量が第1のメモリ内に確保されたか否かを判断することができる。再び実行される第1の判断処理で否定的に判断される場合に、利用回数がゼロである他の第2の機能プログラム、又は、利用回数が少ない他の第3の機能プログラムが格納されている領域が解放されてもよい。
【0008】
第3の判断処理において否定的に判断される場合に、第2の解放部は、第2の領域を解放しなくてもよい。この場合、特定部は、第2のメモリの格納内容に基づいて、利用回数が次に少ない新たな第3の機能プログラムを特定してもよい。第3の判断処理において否定的に判断される状況は、機能実行装置自身のみが第3の機能プログラムを格納していることを意味する。そのような場合において、第3の機能プログラムが格納されている第2の領域が解放されると、その後に、第3の機能プログラムを利用して機能が実行されることをユーザが希望する場合に、ユーザは、第3の機能プログラムを第1のメモリに再び格納させる作業を実行しなければならない。上記の構成によると、第3の判断処理において否定的に判断される場合に、第3の機能プログラムが格納されている第2の領域が解放されない。従って、上記の作業をユーザが実行しなければならない状況が発生するのを抑制することができる。さらに、上記の構成によると、第1の機能プログラムを第1メモリ内に格納するための残容量を確保するために、利用回数が次に少ない新たな第3の機能プログラムを特定することができる。
【0009】
第2のメモリは、さらに、複数の機能プログラムのうちの少なくとも1つの機能プログラムについて、当該機能プログラムを利用して実行される機能に関連する関連情報を格納してもよい。また、上記の機能実行装置は、第3の判断処理において肯定的に判断される場合であり、かつ、第3の機能プログラムについて特定の関連情報が第2のメモリに格納されている場合に、上記の他の機能実行装置に上記の特定の関連情報を送信する関連情報送信部をさらに備えてもよい。この構成によると、関連情報送信部は、第3の機能プログラムを格納している上記の他の機能実行装置に、第3の機能プログラムを利用して実行される機能に関連する上記の特定の関連情報を送信することができる。これにより、例えば、ユーザは、上記の他の機能実行装置の操作部を操作することによって、上記の特定の関連情報を上記の他の機能実行装置に入力せずに済む。
【0010】
第2のメモリは、さらに、第1のアドレス情報を格納してもよい。また、上記の機能実行装置は、第3の判断処理において肯定的に判断される場合に、第1のアドレス情報を送信先として所定の通知を送信する通知送信部をさらに備えてもよい。この構成では、例えば、ユーザは、自身が使用する端末装置に対応する第1のアドレス情報を機能実行装置に登録することができる。この場合、ユーザは、上記の所定の通知を見ることによって、機能実行装置において第3の機能プログラムを利用した機能の実行が不可能になったことを知ることができる。
【0011】
第2のメモリは、複数の機能プログラムのうちの少なくとも1つの機能プログラムについて、複数のユーザに対応する複数のユーザ情報を格納してもよい。複数のユーザ情報のそれぞれは、ユーザのアドレス情報と、当該ユーザの指示に従って当該1つの機能プログラムを利用して特定の機能を実行したのか否かを示す実績情報と、を含んでいてもよい。通知送信部は、第3の判断処理において肯定的に判断される場合であり、かつ、第3の機能プログラムについて、肯定的な実績情報を含む第1のユーザ情報が格納されている場合に、第1のユーザ情報に含まれる上記の第1のアドレス情報を送信先として上記の所定の通知を送信してもよい。この構成によると、第3の機能プログラムを利用して機能を実行することを実際に指示したユーザに対応する第1のアドレス情報を送信先として、上記の所定の通知が送信される。実際に指示したユーザは、機能実行装置において第3の機能プログラムを利用した機能の実行が不可能となったことを知ることができる。
【0012】
通知送信部は、第3の判断処理において肯定的に判断される場合であり、かつ、第3の機能プログラムについて、否定的な実績情報を含む第2のユーザ情報が格納されている場合に、第2のユーザ情報に含まれる第2のアドレス情報を送信先として上記の所定の通知を送信しないようにしてもよい。この構成によると、第3の機能プログラムを利用して機能を実行することを指示していないユーザに対応するアドレス情報を送信先として、上記の所定の通知が送信されない。機能実行装置が上記の所定の通知を送信するための処理負荷を低減することができる。
【0013】
上記の機能実行装置では、ユーザの指示に従って、複数の機能プログラムの中から、削除されるべきでない特定の機能プログラムを選択する第1の選択部をさらに備えてもよい。第2の判断部は、第2の機能プログラムが、複数の機能プログラムのうちの上記の特定の機能プログラム以外の機能プログラム群に含まれているか否かを判断することによって、前記第2の判断処理を実行してもよい。特定部は、第1の判断処理において否定的に判断される場合に、複数の機能プログラムのうちの上記の特定の機能プログラム以外の機能プログラム群の中から、利用回数が最も少ない第3の機能プログラムを特定してもよい。この構成によると、ユーザの指示によって選択された上記の特定の機能プログラムが削除されず、上記の特定の機能プログラムを第1メモリ内に維持することができる。仮に、利用回数がゼロである機能プログラム、又は、利用回数が少ない機能プログラムであっても、削除されないことをユーザが望む機能プログラムを第1メモリ内に維持することができる。
【0014】
第2のメモリの格納内容に基づいて、複数の機能プログラムの中から、利用回数が所定回数以上である特定の機能プログラムを選択する第2の選択部をさらに備えてもよい。第2の判断部は、第2の機能プログラムが、複数の機能プログラムのうちの上記の特定の機能プログラム以外の機能プログラム群に含まれているか否かを判断することによって、第2の判断処理を実行してもよい。特定部は、第1の判断処理において否定的に判断される場合に、複数の機能プログラムのうちの上記の特定の機能プログラム以外の機能プログラム群の中から、利用回数が最も少ない前記第3の機能プログラムを特定してもよい。この構成によると、利用回数が所定回数以上である機能プログラムを第1メモリ内に維持することができる。
【0015】
なお、上記の機能実行装置を実現するための制御方法、及び、コンピュータプログラムも新規で有用である。また、上記の機能実行装置と上記の他の機能実行装置とを含むシステムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】機能実行システムの構成の一例を示す。
【図2】ユーザ情報テーブルの一例を示す。
【図3】関連情報テーブルの一例を示す。
【図4】多機能機処理のフローチャートを示す。
【図5】図4の続きのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
(システムの構成)
図面を参照して第1実施例を説明する。図1は、本実施例の機能実行システム2の概略図を示す。機能実行システム2は、LAN4と、PTSN6と、インターネット8と、複数個の多機能機10、70と、PC80と、Webサーバ90と、を備える。多機能機10、70、及びPC80は、いずれもLAN4に接続され、LAN4を介して相互に通信可能である。また、多機能機10、70、及びPC80は、LAN4を介して、インターネット8にアクセスすることができる。多機能機10、70、及びPC80は、インターネット8に接続されているWebサーバ90と通信可能である。
【0018】
(多機能機の構成)
多機能機10の構成について説明する。多機能機70は、多機能機10と同様の構成を有する。多機能機10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、電子メール通信機能、FAX機能、インターネットFAX機能、Webサーバ機能、無線通信機能、ScanToFTP(Scan To File Transfer Protocol)機能等の多機能を備える。多機能機10は、制御部12と、ROM14(ここでは、書き換え可能なROM(例えばEEPROM))と、NV−RAM16と、D−RAM18と、印刷実行部20と、表示部22と、スキャン実行部24と、操作部26と、ネットワークインターフェイス28と、PSTN(Public Switched Telephone Networks)インターフェイス30と、無線通信インターフェイス32と、を備える。
【0019】
制御部12は、ROM14に格納された機能プログラム64を含む各種プログラムに従って処理を実行する。制御部12が上記の各種プログラムに従って処理を実行することによって、各部40〜62の機能が実現される。各部40〜62が実行する処理については後で説明する。ROM14は、多機能機10にプリンタ機能等の上記各機能を実行させるための複数の機能プログラム64を格納する。NV−RAM16は、不揮発性のメモリである。NV−RAM16は、機能情報テーブル66(図2参照)及び関連情報テーブル68(図3参照)を格納する。D−RAM18は、揮発性のメモリである。D−RAM18は、ROM14から読み出された各種プログラムを展開するためのワーク領域(図示省略)を有する。
【0020】
印刷実行部20は、インクジェットヘッド方式、レーザ方式等の印刷機構を備え、制御部12からの指示に従って印刷を行う。表示部22は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。スキャン実行部24は、CIS、CCD等のスキャン機構を備え、スキャン対象物をスキャンすることによって画像データを生成する。操作部26は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部26を操作することによって、様々な指示を多機能機10に入力することができる。ネットワークインターフェイス28は、LAN4に接続されている。PSTNインターフェイス30は、PSTN6に接続されている。無線通信インターフェイス32は、無線通信を実行するためのインターフェイスである。
【0021】
(他のデバイスの構成)
PC80は、図示省略の表示部、操作部(キーボード、マウス等)を備える。ユーザは、PC80を利用して、他のデバイス(多機能機10、70、Webサーバ90等)にアクセスすることができる。Webサーバ90は、各種機能プログラムを格納しており、外部からの要求に応じて、機能プログラムを供給する。
【0022】
(機能情報テーブル66の構成)
機能情報テーブル66について、図2を参照して説明する。機能情報テーブル66は、複数の機能プログラム64のそれぞれについて、当該機能プログラムに対応する機能情報100、102を含む。1つの機能情報(例えば100)が1つの機能プログラムに対応する。各機能情報100、102は、機能プログラム識別情報104(例えば「F1」等)、及び、保護フラグ106(「ON」又は「OFF」)を含む。機能プログラム識別情報104は、ROM14に格納された複数の機能プログラム64を識別するための識別情報である。保護フラグ106は、機能プログラム識別情報104に対応する機能プログラムが、ROM14内から削除されないように保護するためのフラグである。例えば、図2の機能情報100のように、保護フラグ106「ON」に対応付けられた機能プログラム識別情報104(「F1」)に対応する機能プログラムは、ROM14から削除される対象とはならない。一方、機能情報102のように、保護フラグ106「OFF」に対応付けられた機能プログラム識別情報104(「F2」)に対応する機能プログラムは、ROM14から削除される対象になり得る。保護フラグ106の機能の詳細については後述する。
【0023】
各機能情報100、102は、複数のユーザ情報120〜124、126〜130を含む。各ユーザ情報120等は、ユーザID108と、パスワード110と、メールアドレス112と、利用回数114と、が関連付けられた情報である。ユーザID108は、ユーザを識別するための識別情報である(例えば、「U1」等)。パスワード110は、ユーザの認証を行うためのパスワードである(例えば「P1」等)。メールアドレス112は、電子メールアドレスである(例えば「E1」等)。利用回数114は、機能プログラム識別情報104に対応する機能プログラムの利用回数を示す情報である(例えば「0」、「10」等)。本実施例では、利用回数114が示す数字は、所定期間(例えば1年間)内の利用回数を意味する。例えば、ユーザID「U1」に対応するユーザは、操作部26を操作することによって、自身のユーザID「U1」と、所望のパスワード「P1」と、自身の電子メールアドレスと、を多機能機10に入力する。これにより、「F1」に対応するユーザ情報120と、「F2」に対応するユーザ情報126と、が機能情報テーブル66内に生成される。この段階では、利用回数114は、「0」に設定される。
【0024】
(関連情報テーブル68の構成)
続いて、関連情報テーブル68について、図3を参照して説明する。関連情報テーブル68は、複数の機能プログラム64のそれぞれについて、当該機能プログラム64に対応する組合せ情報140〜148を含む。各組合せ情報140〜148は、機能プログラム識別情報150と、関連情報152と、が関連付けられた情報である。機能プログラム識別情報150は、図2における機能プログラム識別情報104と同様の識別情報である(例えば「F1」等)。なお、図2及び図3の例では、「F1」は、FAX機能を多機能機10に実行させるための機能プログラムに対応する識別情報である。同様に、「F2」、「F3」、「F4」、「F5」は、それぞれ、インターネットFAX機能、ScanToFTP機能、無線LAN機能、Webサーバ機能、を多機能機10に実行させるための機能プログラムに対応する識別情報である。関連情報152は、各機能プログラムを利用して実行される機能の実行に関連する各種情報を示す。図3の例では、組合せ情報140は、プログラム識別情報「F1(FAX機能)」に対応する関連情報152として、FAX番号テーブル154を含む。FAX番号テーブル154は、複数のFAX番号を含む。組合せ情報142は、「F2(インターネットFAX機能)」に対応する関連情報152として、メールアドレステーブル156を含む。メールアドレステーブル156は、複数のメールアドレスを含む。また、組合せ情報144は、「F3(ScanToFTP機能)」に対応する関連情報152として、ファイルサーバURLテーブル158を含む。ファイルサーバURLテーブル158は、スキャンデータの送信先である複数のサーバに対応する複数のURLを含む。なお、「F4(無線LAN機能)」、「F5(Webサーバ)」は、機能の実行に関連する情報を有さないため、組合せ情報146、148は、関連情報152を含まない。ユーザは、操作部26を操作することによって、上記の各テーブル154、156、158に含まれるべき情報(例えばFAX番号)を多機能機10に入力することができる。これにより、上記の各テーブル154、156、158が、関連情報テーブル68内に生成される。
【0025】
(多機能機が実行する処理)
続いて、多機能機10の制御部12が実行する各処理について詳しく説明する。なお、他の多機能機70の制御部(図示省略)も、多機能機10の制御部12と同様に処理を実行する。
【0026】
(多機能機処理)
図4、図5は、多機能機10の制御部12が実行する処理のフローチャートを示す。多機能機10の電源がONされると、多機能機10の制御部12は、新たな機能プログラム(以下「第1の機能プログラム」と呼ぶ)をROM14に格納する旨の指示(格納指示)が受信されることを監視する(S20)。ユーザは、例えば、PC80を操作することによって、Webサーバ90に格納されている第1の機能プログラムを多機能機10にインストールする旨の指示をPC80に入力することができる。この場合、PC80は、LAN4を介して、Webサーバ90のURLと、上記の第1の機能プログラムに対応する機能プログラム識別情報と、を含む格納指示を多機能機10に送信する。多機能機10のネットワークインターフェイス28(図1参照)によって上記の格納指示が受信されると、制御部12はS20でYESと判断する。S20でYESの場合、制御部12は、第1の機能プログラムの容量を示す容量情報を要求する信号をWebサーバ90に送信する。Webサーバ90は、第1の機能プログラムの容量情報を多機能機10送信する。これにより、制御部12は、Webサーバ90から第1の機能プログラムの容量情報を取得する(S22)。
【0027】
次いで、第1の判断部42(図1参照)は、ROM14が第1の機能プログラムを格納するための残容量を有するのか否か判断する(S24)。具体的には、ROM14の現在の残容量と、S22で取得された容量情報と、を比較し、ROM14の現在の残容量が第1の機能プログラムの容量情報より大きいか否かを判断する。ROM14の現在の残容量が第1の機能プログラムの容量情報より大きい場合、第1の判断部42は、S24でYESと判断し、S40に進む。一方、ROM14の現在の残容量が第1の機能プログラムの容量情報より小さい場合、第1の判断部42は、S24でNOと判断し、S26に進む。
【0028】
S26では、制御部12は、ROM14に現在格納されている各機能プログラムの合計利用回数を算出する。具体的には、制御部12は、機能情報テーブル66(図2)から、機能プログラム識別情報「F1」に関連づけられている複数個の利用回数114を読み込みそれらの合計利用回数を算出する。図2の例では、機能プログラム識別情報「F1」に対応する機能プログラムは、ユーザ「U1」、「U3」がそれぞれ「0」回、ユーザ「U2」が「10」回利用している(機能情報100参照)。即ち、機能プログラム識別情報「F1」の機能プログラムの合計利用回数は「10」となる。同様に、制御部12は、他の機能プログラム識別情報「F2」等の機能プログラムの合計利用回数を算出する。例えば、機能プログラム識別情報「F2」の機能プログラムの合計利用回数は「2」である。
【0029】
次いで、制御部12は、ROM14に現在格納されている各機能プログラムの保護フラグを読み込む(S28)。具体的には、制御部12は、機能情報テーブル66から、各機能プログラム識別情報104に関連付けられている保護フラグ106の「ON」又は「OFF」を読み込む。
【0030】
次いで、第2の判断部(図1参照)は、合計利用回数がゼロの機能プログラムがROM14内に存在するか否かを判断する(S30)。具体的には、第2の判断部46(図1参照)は、S28で読み込んだ保護フラグが「OFF」である複数の機能プログラムの中に、S26で算出した合計利用回数がゼロである機能プログラム(以下「第2の機能プログラム」と呼ぶ)が存在するか否かを判断する。即ち、第2の判断部46は、S28で読み込んだ保護フラグが「ON」である機能プログラム以外の複数の機能プログラムの中に第2の機能プログラムが存在するか否かの判断を行う。
【0031】
S30でYESの場合、第2の判断部42は、複数の第2の機能プログラムが存在するか否か判断する(S32)。ここでYESの場合、第2の判断部42は、複数の第2の機能プログラムの中から、容量(プログラム量)が最大の第2の機能プログラムを特定する(S34)。S32でNOの場合(1つの第2の機能プログラムしか存在しない場合)、又は、S34を終えた場合、S36に進む。
【0032】
S36では、第1の解放部48は、第2の機能プログラムをROM14から削除する。
ROM14から削除される第2の機能プログラムは、S34で特定された1つの第2の機能プログラム、又は、S32でNOの場合における1つの第2の機能プログラムである。また、第1の解放部48は、図2の機能情報テーブル66から、第2の機能プログラムを示す機能プログラム識別情報104を含む機能情報(例えば100等)を削除する。さらに、第1の解放部48は、図3の関連情報テーブル68から、第2の機能プログラムを示す機能プログラム識別情報150を含む組合せ情報(例えば140等)を削除する。S36を終えると、S38に進む。
【0033】
S30でNOの場合、図5のS50に進む。S50では、特定部50(図1参照)は、S26で算出した合計利用回数が最少の機能プログラムを特定する。具体的には、第2の判断部(図1参照)は、S28で読み込んだ保護フラグが「OFF」である複数の機能プログラムの中から、S26で算出した合計利用回数がゼロでなく最少である機能プログラム(以下「第3の機能プログラム」と呼ぶ)を特定する。即ち、特定部50は、S28で読み込んだ保護フラグが「ON」である機能プログラム以外の複数の機能プログラムの中から、第3の機能プログラムを特定する。次いで、特定部50は、合計利用回数が同じである複数の第3の機能プログラムが存在するか否か判断する(S52)。ここでYESの場合、特定部50は、複数の第3の機能プログラムの中から、容量(プログラム量)が最大の第3の機能プログラムを特定する(S54)。S52でNOの場合(1つの第3の機能プログラムしか存在しない場合)、又は、S54を終えた場合、S56に進む。
【0034】
S56では、第3の判断部54(図1参照)は、S50又はS54で特定された1つの第3の機能プログラム(以下では「特定の第3の機能プログラム」と呼ぶ)を格納する他の多機能機が存在するのか否かの判断を行う。具体的には、まず、第3の判断部54は、LAN4を介して、特定のコマンドをブロードキャストする。この結果、LAN4に接続された他の多機能機70は、自身のノード名と、自身が格納している複数の機能プログラムの全ての機能プログラム識別情報と、を含む応答を多機能機10に返信する。第3の判断部54は、他の多機能機70からの応答に含まれる複数の機能プログラム識別情報の中に、上記の特定の第3の機能プログラムに対応する機能プログラム識別情報があるのか否かを判断する。
【0035】
S56でYESの場合、関連情報送信部56(図1参照)は、上記の特定の第3の機能プログラムに対応する機能プログラム識別情報を含む機能情報(例えば、図2の102)を機能情報テーブル66から特定すると共に、上記の特定の第3の機能プログラムに対応する組合せ情報(例えば、図3の142)を関連情報テーブル68から特定する。関連情報送信部56(図1参照)は、特定した機能情報及び組合せ情報を上記の他の多機能機70に送信する(S60)。従って、例えば、図2、図3の例において、上記の特定の第3の機能プログラムの機能プログラム識別情報が「F2」である場合、関連情報送信部56は、図2の機能情報102、及び図3の組合せ情報142を他の多機能機70に送信する。これによって、多機能機70は、ユーザ情報126〜130、及び、関連情報であるメールアドレステーブル156を受信する。多機能機70は、多機能機70内の機能情報テーブル(図示省略)内に上記のユーザ情報126〜130を上記の機能プログラム識別情報「F2」と関連付けて格納するとともに、他の多機能機70の関連情報テーブル(図示省略)内に上記のメールアドレステーブル156を上記の機能プログラム識別情報「F2」と関連付けて格納する。
【0036】
S60を終えると、次いで、通知送信部58(図1参照)は、ユーザに所定の通知を送信する(S62)。具体的には、通知送信部58は、まず、図2の機能情報テーブル66内から、上記の特定の第3の機能プログラムに対応する機能プログラム識別情報に関連付けられたユーザ情報(例えば126〜130)を特定する。次いで、通知送信部58は、特定したユーザ情報の中から、利用回数114が「1」以上である(ゼロでない)ユーザ(例えば、ユーザ情報128、130のユーザ「U2」、「U3」)のメールアドレス112(「E2」、「E3」)を特定する。利用回数114が「1」以上である(ゼロでない)ユーザは、上記の特定の第3の機能プログラムを利用して機能を実行させることを指示した実績のあるユーザを意味する。さらに、通知送信部58は、特定したメールアドレス(「E2」、「E3」)を送信先として所定の通知を送信する。従って、上記の特定の第3の機能プログラムを利用して機能を実行させることを指示した実績のあるユーザに対して、上記の所定の通知が送信されることとなる。所定の通知は、多機能機10において上記の特定の第3の機能プログラムを利用して機能が実行させることができなくなる旨の情報を含む。この情報は、例えば、多機能機10に関連する情報(例えば多機能機10のノード名、IPアドレス、ロケーション情報等)と、上記の特定の第3の機能プログラムに対応する機能名(例えばi−FAX)と、を含む。また、上記の所定の通知は、多機能機70が上記の特定の第3の機能プログラムを利用して機能を実行させることが可能である旨の情報を含む。この情報は、例えば、多機能機70に関連する情報(例えば多機能機70のノード名、IPアドレス、ロケーション情報等)と、上記の特定の第3の機能プログラムに対応する機能名(例えばi−FAX)と、を含む。
【0037】
次いで、第2の解放部52(図1参照)は、上記の特定の第3の機能プログラムをROM14から削除するとともに、S60で多機能機70に送信された機能情報(例えば102)、組合せ情報(例えば142)を、それぞれ、図2の機能情報テーブル66、図3の関連情報テーブル68から削除する(S64)。S64を終えると、図4のS38に進む。
【0038】
S56でNOの場合、制御部12は、S28で読み込んだ保護フラグが「OFF」である複数の機能プログラムのうち、すべての機能プログラムを上記の第3の機能プログラムとして特定したか否かを判断する(S66)。S66でYESの場合は、削除可能な第3の機能プログラムがROM14内に存在せず、ROM14内からいずれの機能プログラムを削除することもできないことを意味する。この場合、制御部12は、エラー処理を行う(S68)。具体的には、制御部12は、PC80にエラー通知を送信する。これにより、PC80の表示部(図示省略)にエラーを示す情報が表示される。S68を終えると、処理が終了する。一方、S66でNOの場合、S50に戻る。S50では、特定部50は、上記の特定の第3の機能プログラム以外の機能プログラム群の中から、新たな第3の機能プログラムを特定する。制御部12は、特定した新たな第3の機能プログラムについて、上記のS52〜S56の処理を再び実行する。
【0039】
図4のS38では、第1の判断部42は、S24と同様に、ROM14が第1の機能プログラムを格納するための残容量を有するのか否か判断する。即ち、第1の判断部42は、S36における第2の機能プログラムの削除、又は、図5のS64における上記の特定の第3の機能プログラムの削除によって、ROM14内に第1の機能プログラムを格納するための残容量が確保されたのか否かを判断する。S38でNOの場合、S26に戻る。この結果、上記のS26以降の処理が再び実行される。例えば、S36で第2の機能プログラムが削除された後に、S26以降の処理が再び実行される場合には、利用回数がゼロである他の第2の機能プログラムが存在することを条件として、制御部12は、上記の他の第2の機能プログラムを削除する。また、例えば、S64で上記の特定の第3の機能プログラムが削除された後に、S26以降の処理が再び実行される場合には、多機能機70に格納されている他の第3の機能プログラムが存在することを条件として、制御部12は、上記の他の第3の機能プログラムを削除する。
【0040】
S38でYESの場合、S40に進む。S40では、格納制御部44(図1参照)は、ROM14内に格納すべき第1の機能プログラムを、Webサーバ90からダウンロードする。次いで、格納制御部44は、ダウンロードした第1の機能プログラムをROM14に格納する(S42)。第1の機能プログラムがROM14に格納されると、制御部12は、機能情報テーブル66内に、第1の機能プログラムに対応する機能情報(例えば図2の102)の欄を作成し、第1の機能プログラムを識別する機能プログラム識別情報104(例えば「F2」)と、保護フラグ106とを書き込む。なお、保護フラグ106は、初期状態では「OFF」として書き込まれる。また、ユーザID108、パスワード110、メールアドレス112は、第1の機能プログラムのROM14への格納後に、ユーザが所定の登録操作を行うことによって、機能情報(例えば102)内に書き込まれる。ユーザID108、パスワード110、メールアドレス112が書き込まれると、初期値「0」の利用回数114が関連付けられる。さらに、制御部12は、関連情報テーブル68内に、新たな組合せ情報(例えば図3の140)の欄を作成し、上記の第1の機能プログラムを識別する機能プログラム識別情報150(例えば「F2」)を格納する。ここで格納される機能プログラム識別情報150に対応づけられる関連情報152は、ユーザが所定の登録操作を行うことによって書き込まれる。S42を終えると、制御部12は、第1の機能プログラムの格納(インストール)が完了した旨の完了通知をPC80に送信する(S44)。S44を終えると、制御部12は、多機能機処理を終了する。
【0041】
(機能実行処理)
続いて、機能実行処理について説明する。この機能実行処理は、機能実行部40(図1参照)が、ユーザの指示に従って、ROM14に格納される機能プログラムを利用して実行する処理である。ここでは、まず、FAX送信処理を説明する。ユーザは、操作部26を操作することによって、所定の開始操作を行うことができる。上記の所定の開始操作が行われると、制御部12は、表示部22にFAX番号テーブル154(図3参照)を表示させる。ユーザは、表示されたFAX番号テーブル154から、ユーザが希望するFAX送信先のFAX番号を選択することができる。なお、ユーザは、多機能機10の操作部26を操作することによって、FAX番号を直接入力してもよい。次いで、ユーザは、操作部26を操作することによって、自己のユーザID及びパスワードを多機能機10に入力する。機能実行部40は、まず、ユーザの認証を行う。具体的には、機能実行部40は、入力されたユーザID及びパスワードの組合せが、機能情報テーブル66内に格納されているか否かを判断する。入力されたユーザID及びパスワードの組合せが格納されている場合(ユーザ認証が成功した場合)には、機能実行部40は、FAX機能に対応する機能プログラム(機能プログラム識別情報「F1」に対応する機能プログラム)をROM14内から読み出し、D−RAM18内に展開する。機能実行部40は、D−RAM18内の「F1」に対応する機能プログラムを利用して、スキャンの実行をスキャン実行部24に指示し、入力された上記のFAX番号にスキャンデータを送信する。次いで、機能実行部40は、図2の機能情報テーブル66内の「F1」に対応する利用回数114であって、選択されたユーザID108(例えば「U2」)に関連付けられた利用回数114に「1」を加算する。これにより、機能実行処理(FAX送信処理)が終了する。
【0042】
続いて、ScanToFTP処理を説明する。ユーザは、多機能機10の操作部26を操作することによって、所定の開始操作を行うことができる。上記の所定の開始操作が行われると、制御部12は、表示部22にファイルサーバURLテーブル158(図3参照)を表示させる。ユーザは、表示されたファイルサーバURLテーブル158から、ユーザが希望するスキャンデータ送信先のサーバURLを選択することができる。次いで、ユーザは、操作部26を操作することによって、自己のユーザID及びパスワードを多機能機10に入力する。機能実行部40は、まず、FAX送信処理の場合と同様に、ユーザの認証を行う。ユーザ認証が成功した場合には、機能実行部40は、ScanToFTP機能に対応する機能プログラム(機能プログラム識別情報「F3」に対応する機能プログラム)をROM14内から読み出し、D−RAM18内に展開する。機能実行部40は、D−RAM18内の「F3」に対応する機能プログラムを利用して、スキャンの実行をスキャン実行部24に指示し、入力された上記のサーバURLにスキャンデータを送信する。次いで、機能実行部40は、図2の機能情報テーブル66内の「F3」に対応する利用回数114であって、入力されたユーザID108に関連付けられた利用回数114に「1」を加算する。これにより、機能実行処理(ScanToFTP処理)が終了する。なお、機能実行部40は、他の機能(iFAX等)についても、同様に、ユーザの認証を実行し、当該機能に対応する機能プログラムを利用して当該機能を実行し、利用回数のインクリメントを実行する。
【0043】
(保護フラグ設定処理)
続いて、保護フラグ設定処理について説明する。この保護フラグ設定処理は、第1の選択部60(図1参照)が、ユーザの指示に従って、図2の機能情報テーブル66内の各機能プログラム識別情報104に対応する保護フラグ106の「ON」と「OFF」とを切り替える処理である。ユーザが所定の開始操作(例えば多機能機10の操作部26での操作、PC80での操作等)を行うと、制御部12は、多機能機10の表示部22又はPC80の表示部(図示省略)に所定の設定画面を表示させる。設定画面内には、多機能機10のROM14に格納される各機能プログラムに対応する機能プログラム識別情報と、保護フラグとが関連付けられて表示される。設定画面において、ユーザが、保護フラグの「ON」又は「OFF」の変更を指示すると、第1の選択部60は、ユーザの指示の内容に従って、図2の機能情報テーブル66内の各機能プログラム識別情報104に対応する保護フラグ106の「ON」と「OFF」とを切り替える。その後、ユーザが所定の終了操作を行うと、制御部12は、保護フラグ設定処理を終了する。
【0044】
(保護フラグ自動切り替え処理)
続いて、保護フラグ自動切り替え処理について説明する。この保護フラグ自動切り替え処理は、第2の選択部62(図1参照)が、ROM14に格納される複数の機能プログラムの中から、利用回数が所定回数以上である特定の機能プログラムの保護フラグ106を自動的に「ON」に切り替える処理である。ユーザは、予め所定の登録操作を行うことにより、機能プログラムの保護フラグ106を自動的に「ON」に切り替える閾値となる所定の利用回数を登録しておくことができる。なお、本実施例では、保護フラグ106を自動的に「ON」に切り替える閾値となる所定の利用回数(例えば、10回)は、機能プログラム毎の全ユーザの合計利用回数である。多機能機10の電源がONされると、第2の選択部62は、機能プログラム識別情報104毎の全ユーザの利用回数114の合計(合計利用回数)が、ユーザが予め登録した所定の利用回数以上となったか否かを監視する。特定の機能プログラム識別情報104(例えば、図2の「F1」)の全ユーザの利用回数114の合計が、上記の所定の利用回数以上(例えば10回以上)となった場合、第2の選択部62は、上記の特定の機能プログラム識別情報104に対応する保護フラグ106を「OFF」から「ON」に切り替える。なお、上記の特定の機能プログラム識別情報104に対応する保護フラグ106が既に「ON」に設定されていた場合、第2の選択部62は保護フラグ106の切り替えは行わない。
【0045】
上記の説明から明らかなように、第1実施例の多機能機10、多機能機70が、本発明の機能実行装置、他の機能実行装置の一例である。また、第1実施例のROM14、NV−RAM16が、それぞれ本発明の第1のメモリ、第2のメモリの一例である。図2のメールアドレス112が、本発明のアドレス情報の一例である。また、図2のユーザ情報120〜124、126〜130が、本発明の複数のユーザに対応する複数のユーザ情報の一例である。図2の利用回数114が、本発明の実績情報の一例である。図4のS24、S38の処理が、本発明の第1の判断処理の一例である。図4のS30〜S34が、本発明の第2の判断処理の一例である。図5のS56が、本発明の第3の判断処理の一例である。
【0046】
第1実施例について詳しく説明した。図4のS36に示されるように、多機能機10は、合計利用回数がゼロである第2の機能プログラムがROM14内に格納されている場合、ROM14内から第2の機能プログラムを削除する。従って、第2の機能プログラムを第1のメモリに再び格納させる作業をユーザが実行しなければならない状況が発生するのを抑制することができる。一方、図5のS64に示されるように、利用回数がゼロでなく最も少ない第3の機能プログラムを格納している他の多機能機70が存在する場合、多機能機10は、ROM14内から第3の機能プログラムを削除する。この結果、ROM14の残容量が大きくなり、ROM14が第1の機能プログラムを格納し得る。また、第3の機能プログラムを利用して機能が実行されることをユーザが希望する場合には、ユーザは、上記の他の多機能機70に当該機能を実行させることができる。従って、第3の機能プログラムが削除されても、第3の機能プログラムをROM14に再び格納させる作業をユーザが実行しなければならない状況が発生するのを抑制することができる。
【0047】
図4のS38に示されるように、多機能機10は、第2の機能プログラム又は第3の機能プログラムが削除される場合に、第1の機能プログラムを格納するための十分な残容量がROM14内にあるか否かを再び判断することができる。そのため、十分な残容量がROM14内に確保されなかった場合、利用回数がゼロである他の第2の機能プログラム、又は、利用回数が少ない他の第3の機能プログラムを削除する処理を行うことができる。
【0048】
図5のS66でNOの場合のように、多機能機10は、第3の機能プログラムを格納している他の多機能機70が存在しない場合に、合計利用回数が次に少ない新たな第3の機能プログラムを特定する。そのため、第3の機能プログラムを格納している他の多機能機70が存在しない場合であっても、第3の機能プログラムを削除することなくROM14内に維持することができる。その一方で、第1の機能プログラムをROM14内に格納するための残容量を確保するべく、利用回数が次に少ない新たな第3の機能プログラムを特定することもできる。
【0049】
図5のS60に示されるように、多機能機10は、第3の機能プログラムを格納している他の多機能機70が存在する場合に、他の多機能機70に関連情報152(図2参照)を含む組合せ情報140等を送信する。ユーザが他の多機能機70において関連情報152を格納させる操作を行う必要がない。
【0050】
図5のS62に示されるように、通知送信部58は、第3の機能プログラムを格納している他の多機能機70が存在する場合に、利用回数114が「1」以上のユーザのメールアドレスを送信先として所定の通知を送信する。多機能機10によって第3の機能プログラムを利用した機能の実行が不可能となる旨を、多機能機10によって第3の機能プログラムを利用して機能を実行した実績のあるユーザに知らせることができる。一方、利用回数114がゼロであるユーザには上記の所定の通知は送信しない。多機能機10が上記の所定の通知を送信するための処理負荷を低減することができる。
【0051】
また、多機能機10は、ユーザの指示に従って、複数の機能プログラムの中から、削除されるべきでない特定の機能プログラムを選択して、保護フラグ106を「ON」に設定することができる。保護フラグ106が「ON」に設定された機能プログラムは、図4及び図5の処理において削除の対象から外される。利用回数がゼロの機能プログラム又は最も少ない機能プログラムであっても、当該機能プログラムの保護フラグ106が「ON」に設定されていれば、当該機能プログラムをROM14内に維持することができる。また、第2の選択部62は、合計利用回数が所定回数以上である機能プログラムの保護フラグ106を自動的に「ON」に切り替える。合計利用回数が所定回数以上である機能プログラムをROM14内に維持することができる。
【0052】
(第2実施例)
第2実施例について説明する。第1実施例では、合計利用回数がゼロの第2の機能プログラムが存在しない場合に(S30:NO)、特定部50が、合計利用回数が最も少ない第3の機能プログラムを特定する処理を行っている(S50)。しかしながら、本実施例では、以下のように処理を実行してもよい。即ち、制御部12は、まず、S26において、ROM14に格納される複数の機能プログラムの中から、合計利用回数が最少(ゼロも含む)の機能プログラムを特定する。次いで、制御部12は、特定された機能プログラムの利用回数が何回であるのかを判定する。回数がゼロであった場合には、第2の判断部46が当該機能プログラムを第2の機能プログラムと判断する。その場合、第1の解放部48は図4のS36と同様に第2の機能プログラムをROM14から削除する。一方、回数がゼロでなかった場合には、特定部50が当該機能プログラムを第3の機能プログラムとして特定する。第3の判断部54は図5のS56と同様に、第3のプログラムを格納する他の多機能機が存在するか否かの判断を行う。本実施例も、本発明の「第2の判断部」の構成、及び、「特定部」の構成に含まれる。
【0053】
上記の各実施例の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施例では、第2の機能プログラム又は第3の機能プログラムをROM14内から削除することによって、ROM14を解放する(図4のS36、図5のS64参照)が、第2の機能プログラムを格納するROM14内の領域、又は、第3の機能プログラムを格納するROM14内の領域を、上書き可能な状態にすることによって、ROM14を解放してもよい。
【0054】
(2)図2における利用回数114に格納される回数は、上記の各実施例のように所定期間(例えば1年間)の利用回数には限られず、例えば、過去の全期間の積算利用回数であってもよい。
【0055】
(3)図1のROM14は、複数のメモリから構成されていてもよい。従って、例えば、多機能機10は、「F1」に対応する機能プログラムを格納するためのROMと、「F2」に対応する機能プログラムを格納するための他のROMと、備えていてもよい。この構成の場合、上記の2つのROMが、本発明の「第1のメモリ」を構成する。また、NV−RAM16は、複数のメモリから構成されていてもよい。従って、例えば、多機能機10は、図2の機能情報テーブル66を格納する不揮発性メモリと、図3の関連情報テーブル68を格納する他の不揮発性メモリと、を備えていてもよい。この場合、上記の2つの不揮発性メモリが、本発明の「第2のメモリ」を構成する。
【0056】
(4)図5のS62において、通知送信部58は、上記の特定の第3の機能プログラムの利用実績のあるユーザに限らず、すべてのユーザに対して上記の所定の通知を送信するようにしてもよい。
【0057】
(5)保護フラグ自動切り替え処理における、保護フラグ106を自動的に「ON」に切り替える閾値となる所定の利用回数は、機能プログラム毎の全ユーザの合計利用回数に代えて、いずれかのユーザの利用回数、としてもよい。
【0058】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0059】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0060】
2:機能実行システム、4:LAN、6:PSTN、8:インターネット、10、70:多機能機、12:制御部、14:ROM、16:NV−RAM、18:D−RAM、20:印刷実行部、22:表示部、24:スキャン実行部、26:操作部、28:ネットワークインターフェイス、30:PSTNインターフェイス、32:無線通信インターフェイス、40:機能実行部、42:第1の判断部、44:格納制御部、46:第2の判断部、48:第1の解放部、50:特定部、52:第2の解放部、54:第3の判断部、56:関連情報送信部、58:通知送信部、60:第1の選択部、62:第2の選択部、80:PC、90:Webサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続される機能実行装置であって、
複数の機能プログラムを格納する第1のメモリと、
前記複数の機能プログラムを利用して、複数の機能を実行する機能実行部と、
前記複数の機能プログラムのそれぞれについて、当該機能プログラムの利用回数を格納する第2のメモリと、
第1の機能プログラムを前記第1のメモリに新たに格納すべき場合に、前記第1の機能プログラムを格納するための残容量を前記第1のメモリが有するのか否かを判断する第1の判断処理を実行する第1の判断部と、
前記第1の判断処理において肯定的に判断される場合に、前記第1の機能プログラムを外部から取得し、前記第1の機能プログラムを前記第1のメモリに格納する格納制御部と、
前記第1の判断処理において否定的に判断される場合に、前記第2のメモリの格納内容に基づいて、利用回数がゼロである第2の機能プログラムが前記第1のメモリに格納されているのか否かを判断する第2の判断処理を実行する第2の判断部と、
前記第2の判断処理において肯定的に判断される場合に、前記第1のメモリ内の前記第2の機能プログラムが格納されている第1の領域を解放する第1の解放部と、
前記第1の判断処理において否定的に判断される場合に、前記第2のメモリの格納内容に基づいて、利用回数がゼロでなく最も少ない第3の機能プログラムを特定する特定部と、
前記第2の判断処理において否定的に判断される場合に、特定された前記第3の機能プログラムを格納している他の機能実行装置であって、前記ネットワークに接続されている前記他の機能実行装置が存在するのか否かを判断する第3の判断処理を実行する第3の判断部と、
前記第3の判断処理において肯定的に判断される場合に、前記第1のメモリ内の前記第3の機能プログラムが格納されている第2の領域を解放する第2の解放部と、を備え、
前記格納制御部は、さらに、前記第1の領域又は前記第2の領域が解放される場合に、前記第1の機能プログラムを外部から取得し、前記第1の機能プログラムを前記第1のメモリに格納する、機能実行装置。
【請求項2】
前記第1の判断部は、前記第1の領域又は前記第2の領域が解放される場合に、前記第1の判断処理を再び実行する、請求項1に記載の機能実行装置。
【請求項3】
前記第3の判断処理において否定的に判断される場合に、
前記第2の解放部は、前記第2の領域を解放せず、
前記特定部は、前記第2のメモリの格納内容に基づいて、利用回数が次に少ない新たな第3の機能プログラムを特定する、請求項1又は2に記載の機能実行装置。
【請求項4】
前記第2のメモリは、さらに、前記複数の機能プログラムのうちの少なくとも1つの機能プログラムについて、当該機能プログラムを利用して実行される機能に関連する関連情報を格納し、
前記第3の判断処理において肯定的に判断される場合であり、かつ、前記第3の機能プログラムについて特定の関連情報が前記第2のメモリに格納されている場合に、前記他の機能実行装置に前記特定の関連情報を送信する関連情報送信部、をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の機能実行装置。
【請求項5】
前記第2のメモリは、さらに、第1のアドレス情報を格納し、
前記第3の判断処理において肯定的に判断される場合に、前記第1のアドレス情報を送信先として所定の通知を送信する通知送信部、をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の機能実行装置。
【請求項6】
前記第2のメモリは、前記複数の機能プログラムのうちの少なくとも1つの機能プログラムについて、複数のユーザに対応する複数のユーザ情報を格納し、
前記複数のユーザ情報のそれぞれは、ユーザのアドレス情報と、当該ユーザの指示に従って前記1つの機能プログラムを利用して特定の機能を実行したのか否かを示す実績情報と、を含み、
前記通知送信部は、前記第3の判断処理において肯定的に判断される場合であり、かつ、前記第3の機能プログラムについて、肯定的な実績情報を含む第1のユーザ情報が格納されている場合に、前記第1のユーザ情報に含まれる前記第1のアドレス情報を送信先として前記所定の通知を送信する、請求項5に記載の機能実行装置。
【請求項7】
前記通知送信部は、前記第3の判断処理において肯定的に判断される場合であり、かつ、前記第3の機能プログラムについて、否定的な実績情報を含む第2のユーザ情報が格納されている場合に、前記第2のユーザ情報に含まれる第2のアドレス情報を送信先として前記所定の通知を送信しない、請求項6に記載の機能実行装置。
【請求項8】
ユーザの指示に従って、前記複数の機能プログラムの中から、削除されるべきでない特定の機能プログラムを選択する第1の選択部をさらに備え、
前記第2の判断部は、前記第2の機能プログラムが、前記複数の機能プログラムのうちの前記特定の機能プログラム以外の機能プログラム群に含まれているか否かを判断することによって、前記第2の判断処理を実行し、
前記特定部は、前記第1の判断処理において否定的に判断される場合に、前記複数の機能プログラムのうちの前記特定の機能プログラム以外の機能プログラム群の中から、利用回数が最も少ない前記第3の機能プログラムを特定する、請求項1から7のいずれか1項に記載の機能実行装置。
【請求項9】
前記第2のメモリの格納内容に基づいて、前記複数の機能プログラムの中から、利用回数が所定回数以上である特定の機能プログラムを選択する第2の選択部をさらに備え、
前記第2の判断部は、前記第2の機能プログラムが、前記複数の機能プログラムのうちの前記特定の機能プログラム以外の機能プログラム群に含まれているか否かを判断することによって、前記第2の判断処理を実行し、
前記特定部は、前記第1の判断処理において否定的に判断される場合に、前記複数の機能プログラムのうちの前記特定の機能プログラム以外の機能プログラム群の中から、利用回数が最も少ない前記第3の機能プログラムを特定する、請求項1から8のいずれか1項に記載の機能実行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−76234(P2011−76234A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225009(P2009−225009)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】