説明

機能性カーボン材料

本発明は、表面C−C二重結合上で行われる付加化学によって機能化されている、フラーレン分子または曲面カーボンナノ構造体のような、カーボン材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、あらゆる目的のために本明細書の一部として全体を援用される、2004年8月20日出願の米国仮特許出願第60/603,215号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、1つもしくはそれ以上の表面C−C二重結合上で行われる付加化学によって機能化されているカーボン材料に関する。
【背景技術】
【0003】
カーボン材料の機能化は、生物活性のために使用される様々な異なる側鎖で置換されたフラーレンを開示する特許文献1に記載されているもののようなシステムから公知である。特許文献2は、プロトンを移動させることができる側基で誘導体化された炭素質材料を開示している。特許文献3はフッ素化カーボンナノチューブを開示している。上記のような材料の入手可能性にもかかわらず、1つもしくはそれ以上の表面C−C二重結合上で、フッ素化システムで行われる付加反応によって機能化されるカーボン材料が依然として必要とされている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,448,412号明細書
【特許文献2】米国特許第6,495,290号明細書
【特許文献3】米国特許第6,645,455号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、式
−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−T
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
aが0もしくは1であり、
bが0〜10であり、
cが0もしくは1であり、
dが1〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Tが独立して、−COH、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよびPO基よりなる群から選択され、
各Jが独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
nが20〜1000の整数であり、そして
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であるフラーレン分子である。
【0006】
本発明の別の実施形態は、式
−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)]−Q
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
各Qが独立して、−COG、−CN、−SOF基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
nが20〜1000の整数であり、そして
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であるフラーレン分子である。
【0007】
本発明のさらなる実施形態は、式
−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Q
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
bが1〜10であり、
dが1〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Qが独立して、−COG、−CN、−SOF基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
nが20〜1000の整数であり、そして
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であるフラーレン分子である。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態は、式
−C(F)−C(−)(F)−[C(F)−C(F)(R)]−[C(F)]−Q
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
bが0〜10であり、
dが1〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Qが独立して、−COG、−CN、−SOF基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
nが20〜1000の整数であり、そして
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であるフラーレン分子である。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態、式
−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Z
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、ナノ構造体の不飽和πシステムとの4員環の形成によってナノ構造体に共有結合している炭素原子を含んでなる曲面カーボンナノ構造体であって、式中、
aが0もしくは1であり、
bが0〜10であり、
cが0もしくは1であり、
dが1〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Zが独立して、−COH、−COG、−CN、−SOF、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
各Jが独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、そして
mは、ナノ構造体中の炭素原子の数が偶整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分までの整数であり、またはmは、ナノ構造体中の炭素原子の数が奇整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分マイナス0.5までの整数であるナノ構造体である。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態は、式
−[C(F)]−O−[C(F)−CFR]−O−[C(F)]−Z
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの個々の炭素原子に共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
aが0もしくは1であり、
bが0〜10であり、
cが0もしくは1であり、
dが1〜10であり、
eが0〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Zが独立して、−COH、−COG、−CN、−SOF、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
各Jが独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
nが20〜1000の整数であり、
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であり、そして
水素およびハロゲンから選択されたp個の基がそれぞれ、フラーレンの個々の炭素原子に共有結合しており、ここでpが0〜mの整数である、フラーレン分子である。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は、式
−[C(F)]−O−[C(F)−CFR]−O−[C(F)]−Z
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、ナノ構造体中の個々の炭素原子に共有結合している炭素原子を含んでなる曲面カーボンナノ構造体であって、式中、
aが0もしくは1であり、
bが0〜10であり、
cが0もしくは1であり、
dが1〜10であり、
eが0〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Zが独立して、−COH、−COG、−CN、−SOF、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
各Jが独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
mは、ナノ構造体中の炭素原子の数が偶整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分までの整数であり、またはmは、ナノ構造体中の炭素原子の数が奇整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分マイナス0.5までの整数であり、そして
水素およびハロゲンから選択されたp個の基がそれぞれ、ナノ構造体の個々の炭素原子に共有結合しており、ここでpが0〜mの整数である、ナノ構造体である。
【0012】
組成物は、上記のフラーレン分子および上記の曲面カーボンナノ構造体から、またはそれらのどちらか1つもしくは両方およびポリマーおよび/またはVIII族金属で形成されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明では、不飽和を有するカーボン材料が1つもしくはそれ以上の表面C−C二重結合上で行われる付加化学によって機能化される。
【0014】
本発明で機能化されるカーボン材料は、相当な炭素含有率を有する、6員環を含有する、1つもしくはそれ以上のグラファイト平面の湾曲を示し(一般に、炭素原子の位置によって形成される六角形間に5員環を含めることによって)、そしておよそナノメートルの少なくとも1つの寸法を有するものである。かかるカーボン材料の例には、フラーレン分子および曲面カーボンナノ構造体が挙げられるが、それらに限定されない。曲面カーボンナノ構造体には、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレンナノ粒子およびカーボンブラックが含まれるが、それらに限定されず、曲面カーボンナノ構造体にはフラーレン分子は含まれない。
【0015】
フラーレンはカーボンの球形同素体であり、全体的にsp−混成状態の偶数の炭素原子よりなる閉じたケージ分子の形を取る。それは純カーボンの第3の形を構成し、他の2つはダイヤモンドおよびグラファイトである。フラーレンは典型的にはそれぞれ12の五角形を有するが、異なる数の六角形を有する。最も豊富な化学種は、切頂(truncated)二十面体(可能な最大対称構造体)であり、12の五角形および20の六角形を有するC60分子である。フラーレン族の第2の最も豊富な化学種はC70である。C60化学種は、Nature、318巻(1985)、162−164ページで、「Carbon Vapor Produced by Laser Irradiation of Graphite, a ‘Carbon Vaporization’ Technique(グラファイトのレーザー照射によって生み出されたカーボン蒸気、‘カーボン気化’技術)」にクロトー(Kroto)らによって最初に報告された。
【0016】
例えば、C24、C30、C60、C70、C76、C78、C84、C90、C94、C96およびC120をはじめとする400個以下の炭素原子を含有するフラーレンもまた特定されてきた。いわゆる「巨大フラーレン」は、C2n(ここで、nは50もしくはそれ以上である)と特徴付けられるかもしれない。巨大フラーレンは、カーボン気化システムでより小さいフラーレンと一緒に形成されるかもしれない。例えば、米国特許第5,985,232号明細書(それはあらゆる目的のために本明細書の一部として全体を援用される)に報告されているように、すべて偶数の、そしてフラーレンであると解釈されるC632以下の炭素クラスターが、グラファイトのレーザー気化からの蒸気の分子ビーム質量分析計(MBMS)分析で観察された。炭素棒の電気気化からの煤の溶媒抽出物の質量分析は、C188、C208およびC266であると解釈される化学種を示した。主としてC60よりなる結晶の透過電子顕微鏡法(TEM)は、略C130であると推定される一見楕円形のフラーレンを示した。カーボンの電気気化からの煤の抽出物の走査トンネル顕微鏡法(STM)は、C330以下のフラーレンに相当するかもしれない、1〜2nm直径の球形を示した。
【0017】
フラーレンには、単層ケージだけでなく積み重なったまたは平行の層よりなる複層ケージもまた含まれる。
【0018】
フラーレンは、一般に、グラファイトを除去する(ablate)ためにレーザーを用いて、炉中でグラファイトを焼いてまたは不活性雰囲気中で2つのグラファイト電極にわたってアークを発生させることによって合成される。他の方法には、負イオン/脱着化学イオン化(negative ion/desorption chemical ionization)、およびフラーレン形成性燃料の燃焼が含まれる。燃焼は、大量生産のために典型的に用いられる方法である。各方法において、総フラーレン部分が集められた総物質の典型的には5〜15%で、煤が残りの総物質の80%〜95%で、様々な量の煤、他の不溶性凝縮物質、C60、C70ならびにそれより高いおよびそれより低い番号付きのフラーレン、ならびに多環芳香族炭化水素(PAH)の混合物を含んでなる凝縮性物質が集められる。
【0019】
他の場合には、フラーレンは、2、3〜数トルの希ガスの存在下での抵抗加熱またはアーク加熱による固体グラファイト棒の高温気化によって製造されてきた。気化によって生み出された煤は、気化条件に依存して様々なレベルのフラーレンを含有する。フラーレンを製造するためのクロトーによって記載された方法は、集束パルスレーザーを用いてグラファイトの回転固体ディスクからカーボンを高密度ヘリウム流れ中へ気化させる工程を伴った。当該方法は、レーザーブラストによって形成されたカーボン蒸気からのフラーレン分子の成長およびアニーリングのための温度制御ゾーンを利用しなかった。
【0020】
国際公開第92/04279号パンフレットは、フラーレン、主としてC60を含有するブラック煤物質を形成するための不活性クエンチングガス存在下でのグラファイトの抵抗またはアーク加熱を伴うフラーレンの製造方法を開示している。
【0021】
米国特許第5,316,636号明細書は、真空中でのカーボンターゲットの電子ビーム蒸発によるフラーレンの製造方法を開示している。蒸発した炭素原子またはクラスターは、帯電し加熱される、または中性で冷却される収集基材上へ蒸着される。生じたカーボン煤はフラーレンを回収するために抽出される。この方法は、C70およびそれより高いフラーレンに富むカーボン煤を生み出す。
【0022】
米国特許第5,300,203号明細書は、フラーレンが、カーボンをレーザービームで気化させ、そしてフラーレン成長および形成を促進するよう選択された条件に気化カーボンを維持することによって効率よく生み出され得ることを開示している。フラーレン生成のこの方法は、1つもしくはそれ以上の金属原子を取り囲むフラーレン、および1つもしくはそれ以上の炭素原子がホウ素または窒素で置換されたフラーレンをはじめとする新化合物を形成するために用いられてもよい。
【0023】
60およびC70は、ハワード(Howard)ら(Nature、352(1991)、139−141ページ)によって火炎中で首尾よく合成され、集められた。フラーレン構造体であるとの解釈に一致する高分子量イオン性化学種の証拠は、低圧のプレミックスされたベンゼンおよびアセチレン炎中で観察された[バウム(Baum)ら著、Ber.Bunsenges.Phys.Chem.、96(1992)、841−857ページ]。
【0024】
分子量に依存して、フラーレンは(例えば、トルエンまたはキシレンに)可溶であり、従って溶媒抽出可能であるかもしれない。フラーレンを精製するために最も一般に用いられる手順は、かなりの量の有機溶媒を用いる。溶媒は、先ず不溶性煤および他の不溶性凝縮物質からフラーレン混合物を抽出するために使用され、次に個々のフラーレンを精製するおよび分離するために使用される。典型的には、凝縮物質の異なる構成成分は濾過またはある類似の分離技術によって集められ、可溶性成分はトルエンのような有機溶媒を使用する超音波処理またはソックスレー抽出のような高エネルギーインプット抽出法によって抽出される。抽出溶液は次に、粒子状物質を除去するために典型的には濾過され、次に、個々のフラーレン化学種を他のフラーレン化学種から分離するだけでなく、PAHおよび脂肪族化学種のような可溶性不純物からフラーレンを分離する高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製される。
【0025】
フラーレンは、カーボン・ナノテクノロジーズ社(Carbon Nanotechnologies Incorporated)、MERコーポレーション(MER Corporation)、ナノ−Cコーポレーション(Nano−C Corporation)、TDAリサーチ社(TDA Research Inc.)、フラーレン・インターナショナル社(Fullerene International Corp.)、およびルナ・イノベーションズ(Luna Innovations)のような供給業者から商業的に入手されてもよい。
【0026】
曲面カーボンナノ構造体には、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレンナノ粒子およびカーボンブラックが含まれるが、それらに限定されない。CNTまたはナノ粒子におけるナノ接頭辞はナノメートル範囲の寸法を意味する。
【0027】
遷移金属触媒を用いて、カーボンは、半フラーレン半球体、すなわちフラーレンカーボンの回転楕円状キャップで両端を完全にしばしばシールされている単層または複層円筒チューブへと集合するであろう。キャップと側壁との間に円錐形の変わり目があるかもしれない。これらのチューブは、カーボンの一次元単結晶と考えられてもよいCNTである。CNTは、少量の5員環炭素環、そして幾つかの場合には7員環炭素環と共に、主として6員環炭素環で構成されたケージ様カーボン構造を有する。
【0028】
CNTは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)に対する約0.6ナノメートル(nm)からSWNTまたは複層カーボンナノチューブ(MWNT)に対する3nm、5nm、10nm、30nm、60nmまたは100nmまでの範囲の直径を有してもよい。CNTは、長さが50nmから1ミリメートル(mm)、1センチメートル(cm)、3cm、5cm、もしくはそれ以上までの範囲であってもよい。CNTは典型的には約10より大きい長い軸対他の寸法のアスペクト比を有するであろう。一般に、アスペクト比は10〜2000である。
【0029】
SWNTはシングルシェルを有する。しかしMWNTでは、内部ナノチューブは多数の同心のおよび次第により大きいチューブまたは異なる直径の粒子によって取り囲まれてもそれら内に「ネスト化(nested)」されてもよく、従って「ネスト化ナノチューブ」として知られる。MWNTは2、5、10、50または任意のより大きい数の壁を有してもよい(同心CNT)。このように、最小直径チュ−ブはより大きい直径のチューブによってカプセル化され、それは順繰りに別のより大きい直径のナノチューブによってカプセル化される、等々である。
【0030】
SWNTは、MWNTが隣接チューブ壁での不飽和炭素原子価間の架橋により容易に形成される欠陥部位を提供する近接壁を有するので、MWNTより欠陥なしである可能性がはるかに高い。SWNTはより少ない欠陥を有するので、それらはより強く、より導電性である。
【0031】
本発明に使用されるCNTを定義するときに、使用される命名方式は、「Science of Fullerness and Carbon Nanotubes(フラーレンおよびカーボンナノチューブの科学)」、第19章、756−760ページ[Academic Press、San Diego、1996年(ISBN 0−12−221820−5)]にドレッセルハウス(Dresselhaus)らによって記載されているものである。SWNTは2つの指数(n、m)によって互いに区別され、ここで、nおよびmは、それが円筒の表面上へラップされ、そしてエッジが一緒にシールされるときにそれがチューブを完全なものにし、かつ、エッジが一緒にシールされるように六角形「亀甲網(chicken wire)」グラファイトのシングルストリップをどのようにカットするかを表現する整数である。2つの指数が同じである、m=nである場合、チューブがチューブ軸に垂直にカットされるとき、六角形の側面のみが露出され、チューブエッジの外周周りのそれらのパターンがn回繰り返されるアームチェアのアームおよびシートに似ているので、得られるチューブは「アームチェア」(またはn,n)型のものであるといわれる。
【0032】
ほとんどのCNTは、現在製造されるところでは、絡み合ったチューブの形にある。生成物中の個々のチューブは、直径、キラリティおよび壁の数の点で異なる。さらに、長いチューブはファンデルワールス力によって一緒に保持された「ロープ」へ凝集する強い傾向を示す。これらのロープは、ナノチューブの大きい表面積のために形成され、1ロープ中に数十から数百のナノチューブを含有することができる。
【0033】
CNTは様々な方法によって製造されてもよく、そして、さらに、商業的に入手可能である。CNT合成の方法には、グラファイトのレーザー気化[テス(Thess)ら、Science、273(1996)、483ページ]、アーク放電[ジャーネット(Journet)ら、Nature、388(1997)、756ページ]、およびHiPCo(高圧一酸化炭素)法[ニコラエフ(Nikolaev)ら、Chem.Phys.Lett.313(1999)、91−97ページ]が含まれる。CNTの他の製造方法には、化学蒸着[コン(Kong)ら、Chem.Phys.Lett.292(1998)、567−574ページ、およびカッセル(Cassell)ら、J.Phys.Chem.103(1999)、6484−6492ページ]、および溶液中および固体基材上の両方での触媒法[ヤン リ(Yan Li)ら、Chem.Mater.13(2001−3)1008−1014ページ、およびA.カッセル(A.Cassell)ら、J.Am.Chem.Soc.121(1999)、7975−7976ページ]が含まれる。
【0034】
米国特許第6,645,455号明細書に報告されているように、VIB族の1つもしくはそれ以上の遷移金属[例えばクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)]またはVIIIB族遷移金属[例えば鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)および白金(Pt)]は、一酸化炭素のような炭素含有ガス、ならびに芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはそれらの混合物;非芳香族炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレンまたはそれらの混合物;および酸素含有炭化水素、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メタノール、エタノールまたはそれらの混合物をはじめとする炭化水素と接触させたときにCNTおよび/またはロープの成長を触媒する。1つもしくはそれ以上のVIBまたはVIIIB族遷移金属の混合物もまた、SWNTおよびSWNTのロープを選択的に生み出す。
【0035】
CNTおよび/またはCNTのロープのさらなる製造方法は、触媒としての機能を果たすナノメートル−スケールの遷移金属粒子と接触したナノチューブの「ライブエンド」がある触媒プロセスによって成長中のCNTの1つもしくはそれ以上のライブエンドにカーボン蒸気を供給する工程を含む。ナノチューブのライブエンドは、高温のアニーリングゾーンで炭素含有原料ガスと接触して維持される。蒸気形のカーボンは、レーザービームが加熱ゾーンに維持されるカーボンターゲットに衝突する装置によって供給されてもよい。あるいはまた、カーボンは、一酸化炭素、ならびに芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはそれらの混合物;非芳香族炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレンまたはそれらの混合物;および酸素含有炭化水素、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メタノール、エタノールまたはそれらの混合物をはじめとする炭化水素のような炭素含有原料ガスで、アニーリングゾーン中で触媒粒子の直接作用によってライブエンドに加えられてもよい。
【0036】
CNTの特に有用な形は、高圧一酸化炭素不均化法によって製造されるものである(これらのCNTは本明細書では「HiPCO」CNTと呼ばれる)。これらのCNTは、触媒シードを含む汚染物質を除去するために化学処理されてきた。様々なアプローチが、下記の1つもしくはそれ以上に本質的に基づき、それらを精製するために取られてきた:酸化性酸または酸の混合物(硝酸および/または硫酸、および/または塩酸)での酸化法、濾過、遠心分離またはクロマトグラフィーによる分離。
【0037】
それらの原子構造に依存してCNTは金属性か半導体性かのどちらかを有してもよい。チューブの外周に平行に走るC−C結合を有するチューブは、アームチェア構造にあり、金属性であり、高い電気および熱伝導率を有する。チューブの軸に平行に走る結合を有するチューブは、ジグザグ構造にあり、一般に半導体的である。さらに、螺旋状のキラル構造を有する、そしてしばしば半導体的であるチューブが存在する。これらの特性は、チューブの小さい寸法と組み合わせて、それらをナノデバイスの製造での使用に特に魅力的なものにする。しかしながら、様々な製造方法から得られたナノチューブサンプルにおけるチューブ直径、キラル角度および凝集状態の多様性は、かかる努力を妨げるものである。高度に分極性の滑らかな面を持ったチューブは大きなファンデルワールス結合エネルギーの平行束またはロープを容易に形成するので、凝集が特に問題になる。この束化はチューブの電子構造をかき乱し、サイズまたはタイプによってチューブを分離するまたはそれらを個々の高分子化学種として使用する試みを妨害する。CNTのほとんどの集団は凝集しているので、一様な長さ、直径、キラリティまたは他の物理的特性を有するナノチューブの別個の集団を得るという目的のためにこの状況に対処することは重要である。
【0038】
本明細書の一部として全体を援用される米国特許出願第10/716,347号明細書は、CNTを分散させるおよび可溶化する能力を有する、ナノチューブ−核酸錯体の形成をもたらす核酸分子の安定化溶液の使用によって別個の特性を有する集団への分散されたカーボンナノチューブの手軽で安価な分離のための方法を報告している。これらの核酸結合CNTの分離は次に一般的なクロマトグラフ手段に基づいて行われる。
【0039】
交流誘電泳動を用いる懸濁液中の半導体的SWNTからの金属性SWNTの分離方法はScience、301(2003)、344〜347ページにクルプケ(Krupke)らによって報告されている。
【0040】
曲面カーボンナノ構造体の他の有用な形には、フラーレンナノ粒子およびカーボンブラックが含まれる。フラーレンナノ粒子の一タイプは、それが二次元で湾曲しているので、十分な量の真のフラーレンキャラクターを有する。それは典型的には、およそナノメートルの少なくとも1つの寸法を有する、開いたまたは閉じたケージカーボン構造であり、5員および6員炭素環、そして幾つかの場合には4員および/または7員炭素環で構成されている。粒子の寸法は、分子と典型的に関係があるものをしばしば超えるが、ナノ粒子内の原子相互作用は典型的には事実上共有結合的である。
【0041】
幾つかの場合には、ナノ粒子は、それがシングルシェルを有するときのような、あらゆる軸に沿っておよそ同じ寸法のものである。他の場合には、ナノ粒子は形状が多面体であっても、約0.34nm(グラファイトの層間隔に近い)だけ隔てられた複合多面体シェルの形を取ってもよい。
【0042】
多面体は、その表面が隣接平面間の滑らかに連続する曲面接合で構成されるが、略回転楕円形状を示すと考えられてもよい。その表面がおよそ一定の曲率のものであり、そしてその表面があらゆるポイントで中心から等距離である真の球形とは違って、用語「回転楕円」は、略球状であるが、1つもしくはそれ以上の軸に沿って長い構造体を記載するために用いられる。これらの回転楕円状多面体は、エッジ(そこで2つの面が交わる)および頂点(そこで3つの面が交わる)で比較的高い曲率を有する。
【0043】
多シェルの多面体は、内部シェルがより大きい寸法の多面体シェル内に囲まれているので、「ネスト化されている」と見なされてもよく、用語「シェル」はネスト化構造体を形成するように並べることができる湾曲したフラーレン表面をいう。J.Phys.Chem.91(1987)、3466−3467ページにイイジマ(Iijima)によって報告されているように、カーボンのネスト化回転楕円状多面体シェルは10−7トルでのアーク放電から沈積したカーボン中に観察された。中心シェルは約1nm直径からそれよりはるかに大きい直径までの範囲であり、幾つかは約C3700およびそれより大に同等の1−および2−層状巨大フラーレンを含有した。約70シェル以下の本質的に球状のタマネギ構造体は、アーク放電装置から集められたカーボン煤の強い電子ビーム照射によって製造されてきた。直径が5〜20nmのネスト化球体および多面体回転楕円体ならびに略三角形、四角形、五角形および六角形断面の他の多面体も、フラーレンナノ粒子としてまた知られており、有用である。
【0044】
他のタイプのフラーレンナノ粒子は、主に、6員環のみを含有する、従って一次元のみに湾曲しているグラフェンシートの曲率に起因する形状を有する。グラファイトキャラクターの大きな領域のエッジは、円錐、切頂円錐(「ランプの傘」)、長球面、三角形状もしくはドーナツ形状、または凹面および凸面湾曲の両方を有する他の複雑な形状のような形状を形成するために5員環の形成によってしばしば一緒に留められるが、必ずしもそうではない。グラファイトキャラクターの領域に加えて、これらのナノ粒子はしばしば、構造が6員および5員炭素環の両方を含有するという意味で真のフラーレンキャラクターを有する領域を含有するであろう。5員環はしばしば埋め込まれ、そこで構造は少なくとも部分的に閉じたようになり、5員環は、さもなければ平面のグラファイトネットワークに好ましくない欠陥を導入する。
【0045】
フラーレンナノ粒子の別の形は、実質的なフラーレンキャラクターを有する湾曲したグラフェンシートで構成されたカーボンの小球より典型的になるフラーレン煤の中身である。小球は通常のカーボンブラックおよびサーマルブラック(細分されたカーボン)に似た、すなわち5nm〜1000nmの範囲の寸法を有する。フラーレンキャラクターは、カーボンの湾曲したシートをもたらす5員および6員炭素環の存在によって強調される。フラーレン煤は、類似ジオメトリーの他のカーボンシート内に積み重ねられてもネスト化されてもよい湾曲したカーボンシートの小球で構成される。
【0046】
煤は、それから煤が形成される材料の組成に依存して主としてカーボンを含有するが水素、酸素および他の元素を含む固体微粒子の炭素質物質である。燃焼発生煤は、火炎に存在する微量の他の元素だけでなく、かなりの量の水素および幾らかの酸素を含有する。カーボン気化、または他のフラーレン合成法で製造される煤は、より少ない量の酸素および水素ならびにカーボン原料物質の純度に依存して様々な量の他の元素を含有するかもしれない。煤構造体は主として、形成条件に依存して、平面であるまたは湾曲しているかもしれない多環芳香族炭化水素(「PAH」)の層よりなり、各形状の幾らかは様々な量で存在するかもしれない。層は、形成プロセス初期の非晶質構造から、高温での滞留時間が延びるにつれて、次第に結晶様の構造、グラファイト(平面層)、フラーレン(湾曲した層)、または両方の幾らかのいずれかまでの範囲の様々な程度の相互整列を示す。煤粒子は、一次粒子または小球(spherules)と呼ばれる略回転楕円状単位の凝集体(aggregate)または集積体(agglomerate)である。凝集体当たりの小球の数は、1程度に小さくてもまたは100もしくはそれ以上程度に大きくてもよく、凝集体の形状は、形成条件に依存して、小球のシングルストランド鎖から分岐鎖およびブドウ様クラスターまでの範囲であることができる。煤は、形状が全方向に類似の寸法のタマネギ様ナノ粒子をはじめとする、回転楕円状形状から長い形状の範囲である、多重ネスト化または平行層または壁を有する様々な閉じたケージおよび開いたケージ・ナノ粒子を含むかもしれない。
【0047】
フラーレンナノ粒子は、準大気圧(sub−atmospheric)のバーナー室での不飽和炭化水素燃料および酸素の火炎燃焼によって製造されてもよい。フラーレンナノ粒子を含有する火炎の凝縮物(condensibles)は、ポスト火炎位置で固体または液体として集められる。凝縮物は、火炎内でまたは収集工程中に形成されたナノ粒子を含むかもしれないし、それらが火炎を出るときに集められる蒸気を含むかもしれない。代表的な燃料には、エチレン、インデン、ベンゼン、トルエン、クレゾール、キシレン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、チオフェン、ピリジン、ピリジジン、ピラジン、ピリミジン、インドール、インドリン、フラン、ナフタレン、インダン、アントラセン、ピレン、クリセンおよびスチレンが含まれる。
【0048】
燃料は、約1700〜2100Kの範囲の温度で炎を上げて燃やされてもよい。バーナー室圧力は約20〜300トルの範囲にあってもよく、より好ましくは約80〜200トルであり、希釈剤濃度は0〜約50容量%の範囲にあってもよく、カーボン対酸素比(C/O)は約0.85〜1.10の範囲にあってもよい。好適な希釈剤には、アルゴン、窒素、二酸化炭素、スチーム、煙道ガスおよびそれらの混合物が含まれる。
【0049】
トルエンのような有機溶媒がフラーレンナノ粒子の凝縮凝集体を精製し、そして有用な製品を回収するために使用されてもよい。溶媒は、先ず可溶性粒子を不溶性粒子から抽出し、次にまた可溶性フラクションの個々の成分を精製するためにも使用される。ナノ粒子の凝縮凝集体の異なる構成成分は濾過または同等技術によって集められ、可溶性成分はトルエンのような有機溶媒を使用する超音波処理またはソックスレー抽出のような高エネルギーインプット抽出法によって抽出される。抽出溶液は次に、いかなる望ましくない物質も除去するために典型的には濾過され、次に、成分を可溶性不純物から分離し、そして個々の成分を互いに分離する高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製される。不溶性成分はサイズによって分離されてもよい。
【0050】
フラーレンナノ粒子の製造および回収方法は、そのそれぞれが本明細書の一部として全体を援用される、米国特許第5,985,232号明細書および米国特許出願公開第2004/057,896号明細書にさらに記載されている。フラーレンナノ粒子はナノ−Cコーポレーション、マサチューセッツ州ウェストウッド(Westwood MA)のような供給業者から商業的に入手可能である。
【0051】
カーボンブラックは高度に分散した非晶質元素状炭素の粉体形である。それは球形およびそれらの融合凝集体の形の細分されたコロイド状物質である。カーボンブラックのタイプは一次粒子のサイズ分布、ならびにそれらの凝集および集積の程度によって特徴付けられる。平均一次粒子径は10〜400nmの範囲であるが、平均凝集体径は100〜800nmの範囲である。カーボンブラックは、一般的によくあることだが誤って煤の形と見なされる。カーボンブラックは制御された条件下に製造されるが、煤はランダムに形成され、それらはタール、アッシュ含有率および不純物に基づいて区別することができる。カーボンブラックは、重質石油留出物および残留油、コールタール製品、天然ガスおよびアセチレンのような炭化水素混合物の制御された気相熱分解および/または熱クラッキングによって製造される。アセチレンブラックはアセチレンの燃焼に由来するカーボンブラックのタイプである。溝ブラックはスチールプレートまたは溝形鉄(それに名前が由来する)にガス炎を衝突させることによって製造され、それから沈積物が周期的にバラバラにされる。ファーネスブラックは、耐火性内張りファーネスで製造されたカーボンブラックに時々適用される用語である。その特性が他のカーボンブラックとは著しく異なるランプブラックは、固形分を集めるための沈降室を備えた閉鎖システム中で重質油または他の炭素質物質を燃やすことによって製造される。サーマルブラックは、それが熱分解して比較的粗いカーボンブラックを形成する加熱された煉瓦格子組みに天然ガスを通すことによって製造される。今日生産される全カーボンブラックの90%以上がファーネスブラックである。カーボンブラックは、キャボット・コーポレーション(Cabot Corporation)のような多数の供給業者から商業的に入手可能である。
【0052】
本発明では、機能化はカーボンナノ構造体の1つもしくはそれ以上の表面C−C二重結合上で行われる付加化学によって達成される。付加反応を行うための好適な一方法は、フルオロシクロブタン環を形成するためのフルオロアルケンのそれ自体および他のアルケンとのそれのようなシクロ付加反応である。これは、本明細書では「2+2」付加と呼ばれる。別の好適な方法は、C−C二重結合へのフッ素化ラジカルの付加である。これらのタイプの方法は、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds(有機フッ素化合物の化学)」、第2版、Ellis Horwood社、1976年にフドリッキー(Hudlicky)によって記載されている。
【0053】
本発明の一実施形態では、かかるシクロ付加法は、フラーレン分子を式
CF=CF−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−T I
(式中、
aは0もしくは1であり、
bは0〜10であり、
cは0もしくは1であり、
dは1〜10であり、
各Rは独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Tは独立して、−COH、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよびPO基よりなる群から選択され、
各Jは独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択される)
で一般的に示される化合物と共に加熱することによって引き起こされる反応で行われてもよい。式Iで示される化合物は、米国特許第3,282,875号明細書および米国特許第3,641,104号明細書に記述されるやり方で製造されてもよい。
【0054】
上記の反応は、式
−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−T II
で一般的に示されるm個の官能性分岐がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合している、そしてa、b、c、d、RおよびTが上記のようなものであるn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子を生み出すであろう。
【0055】
フラーレンおよび式Iの化合物の両方でのC=C結合の開き、結果として起こる2+2シクロ付加から生じた結合は4員環を作り出す。環それ自体は式IIに示されていないが、その存在は、その中に示される−C(F)残基およびC(−)残基の不完全結合によって示唆される。4員環のこの同じグラフィック表現はまた式IV、VI、VIIIおよびXにも用いられる。
【0056】
他の代わりの実施形態では、
aおよびbは両方とも0であってもよく、cは0もしくは1(好ましくは1)であってよく、dは1〜4もしくは1〜2であってもよく、
aは1であってもよく、cは1であってもよく、bおよび/またはdは1〜4もしくは1〜2であってもよく、
a、bおよびcはすべて0であってもよく、dは1〜4もしくは1〜2であってもよく、
aは0であってもよく、cは1であってもよく、bは1〜4もしくは1〜2であってもよく、dは2〜4であってもよく、
aおよびbが両方とも0である場合、cは0もしくは1(好ましくは1)であってよく、dは1〜4もしくは1〜2であってもよく、Tは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよく、
aが1であり、そしてcが1である場合、bおよび/またはdは1〜4もしくは1〜2であってもよく、RはCFであってもよく、Tは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよく、
a、bおよびcがすべて0である場合、dは1〜4もしくは1〜2であってもよく、Tは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよく、および/または
aが0であり、そしてcが1である場合、bは1〜4もしくは1〜2であってもよく、RはCFであってもよく、dは2〜4であってもよく、Tは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよい。
【0057】
本発明の別の実施形態では、シクロ付加法は、フラーレン分子を式
CF=CF−O−[C(F)]−Q III
(式中、
各Qは独立して、−COG、−CN、−PO、および−SOF基よりなる群から選択され、そして
各Gは独立して、F、Cl、C〜CアルコキシルおよびC〜C12アリールオキシ基から選択される)
で一般的に示される化合物と共に加熱することによって引き起こされる反応で行われてもよい。式IIIで示される化合物は、米国特許第4,358,545号明細書に記述されるやり方で製造されてもよい。
【0058】
上記の反応は、式
−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)]−Q IV
で一般的に示されるm個の官能性分岐がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合している、そしてQが上記のようなものであるn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子を生み出すであろう。
【0059】
他の代わりの実施形態では、Qは−SOF基であってもよい。
【0060】
本発明のさらなる実施形態では、シクロ付加法は、フラーレン分子を式
CF=CF−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Q V
(式中、
bは1〜10であり、
dは1〜10であり、
各Rは独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Qは独立して、−COG、−CN、−PO、および−SOF基よりなる群から選択され、
各Gは独立して、F、Cl、C〜CアルコキシルおよびC〜C12アリールオキシ基から選択される)
で一般的に示される化合物と共に加熱することによって引き起こされる反応で行われてもよい。式Vで示される化合物は、米国特許第3,282,875号明細書および米国特許第3,641,104号明細書に記述されるやり方で製造されてもよい。
【0061】
上記の反応は、式
−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Q VI
で一般的に示されるm個の官能性分岐がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合している、そしてb、d、RおよびQが上記のようなものであるn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子を生み出すであろう。
【0062】
他の代わりの実施形態では、bおよび/またはdは1〜4もしくは1〜2であってもよく、RはCF基であってもよく、および/またはQは−SOF基であってもよい。
【0063】
本発明のさらに別の実施形態では、シクロ付加法は、フラーレン分子を式
CF=CF−[C(F)−C(F)(R)]−[C(F)]−Q VII
(式中、
bは0〜10であり、
dは1〜10であり、
各Rは独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Qは独立して、−COG、−CN、−PO、および−SOF基よりなる群から選択され、
各Gは独立して、F、Cl、C〜CアルコキシルおよびC〜C12アリールオキシ基から選択される)
で一般的に示される化合物と共に加熱することによって引き起こされる反応で行われてもよい。式VIIで示される化合物は、国際公開第00/24709号パンフレットに記述されるやり方で製造されてもよい。
【0064】
上記の反応は、式
−C(F)−C(−)(F)−[C(F)−C(F)(R)]−[C(F)]−Q VIII
で一般的に示されるm個の官能性分岐がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合している、そしてb、d、RおよびQが上記のようなものであるn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子を生み出すであろう。
【0065】
他の代わりの実施形態では、bおよび/またはdは1〜4もしくは1〜2であってもよく、RはCF基であってもよく、および/またはQは−SOF基であってもよい。
【0066】
本発明のさらに別の実施形態では、シクロ付加法は、曲面カーボンナノ構造体を式
CF=CF−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Z
IX
(式中、
aは0もしくは1であり、
bは0〜10であり、
cは0もしくは1であり、
dは1〜10であり、
各Rは独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Zは独立して、−COH、−COG、−CN、−SOF、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、
各Jは独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Gは独立して、F、Cl、C〜CアルコキシルおよびC〜C12アリールオキシ基から選択される)
の化合物と共に加熱することによって引き起こされる反応で行われてもよい。式IXで示される化合物は、米国特許第3,282,875号明細書および米国特許第3,641,104号明細書に記述されるやり方で製造されてもよい。
【0067】
上記の反応は、式
−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Z X
で一般的に示される官能性分岐であって、官能性分岐が化合物の不飽和πシステムとの4員環の形成によって曲面カーボンナノ構造体に共有結合している、そしてa、b、c、d、RおよびZが上記のようなものである官能性分岐を有するm個の炭素原子を含んでなる曲面カーボンナノ構造体を生み出すであろう。
【0068】
他の代わりの実施形態では、
aおよびbは両方とも0であってもよく、cは0もしくは1(好ましくは1)であってよく、dは1〜4もしくは1〜2であってもよく、
aは1であってもよく、cは1であってもよく、bおよび/またはdは1〜4もしくは1〜2であってもよく、
a、bおよびcはすべて0であってもよく、dは1〜4もしくは1〜2であってもよく、
aは0であってもよく、cは1であってもよく、bは1〜4もしくは1〜2であってもよく、dは2〜4であってもよく、
aおよびbが両方とも0である場合、cは0もしくは1(好ましくは1)であってよく、dは1〜4もしくは1〜2であってもよく、Zは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよく、
aが1であり、そしてcが1である場合、bおよび/またはdは1〜4もしくは1〜2であってもよく、RはCFであってもよく、Zは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよく、
a、bおよびcがすべて0である場合、dは1〜4もしくは1〜2であってもよく、Zは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよく、および/または
aが0であり、そしてcが1である場合、bは1〜4もしくは1〜2であってもよく、RはCFであってもよく、dは2〜4であってもよく、Zは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよい。
【0069】
上述の方法のいかなるものも、フラーレン分子を、それぞれ、式I、III、V、またはVIIに示されるような化合物の1つと共に加熱することによって、または曲面カーボンナノ構造体を式IXに示されるような化合物と共に加熱することによって行われてもよい。本方法は約100℃〜約350℃の範囲の、好ましくは約150℃〜約300℃の範囲の、より好ましくは約200℃〜約300℃の範囲の温度で行われる。本反応は溶媒なしで、または有機またはハロカーボン溶媒(1,2,4−トリクロロベンゼンのような)を使って、式I、III、V、VIIまたはIX化合物の自生圧力下に、約1時間〜約96時間の範囲の、好ましくは約1時間〜約18時間の範囲の時間行われてもよい。典型的には反応は、圧力を測定するための圧力計、および温度を測定するための内部熱電対付きのシールされたステンレススチール圧力容器中で実施される。
【0070】
上記の反応の任意のものからの生成物は一般に、先ずいかなる過剰の式I、III、V、VIIもしくはIX化合物および任意の溶媒(使用された場合)のすべて、またはほとんどを減圧下に蒸発させる、留去する、または濾過して取り除くことによって単離される。生成物が不溶性である場合には、生成物は濾過によって集められ、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンまたはヘキサフルオロベンゼンのような有機またはハロ有機溶媒で洗浄されてもよい。生成物は残留溶媒および/または試剤を除去するために減圧下に加熱される。あるいはまた、生成物はテトラヒドロフラン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンまたはヘキサフルオロベンゼンのような有機またはハロカーボン溶媒に再溶解され(または溶解され)、次に濾過される。溶媒は次に減圧下に蒸発させられる。生成物が可溶である場合、ヘキサンのような有機またはハロ有機溶媒の添加は濾過による生成物の収集を可能にする、または−78℃への冷却はそれを集め得る形で生成物を沈澱させるであろう。結果は、出発化合物の残基として、それに4員環によってそれぞれ式II、IV、VIおよびVIIIで示されるような官能性分岐が結合した機能化フラーレン分子、または出発化合物の残基として、それに4員環によって式Xで示されるような官能性分岐が結合した機能化曲面カーボンナノ構造体である。
【0071】
カーボンナノ構造体への付加反応を行うための他の好適な方法には、(1)フルオロアルキル化有機化合物の製造について知られている、そして例えば、J.Fluorine Chem.、53巻(1991)53〜60ページにハビビ(Habibi)らによって記載されているような光分解法、および(2)フルオロアルキル化有機化合物の製造について知られている、そして例えば、J.Chem.Soc.、(1952)、3483ページにハスゼルジン(Haszeldine)らによって記載されているような熱分解法が含まれる。
【0072】
本発明の一実施形態では、かかる光分解または熱分解法はフラーレン分子または曲面カーボンナノ構造体を式
X−[C(F)]−O−[C(F)−CFR]−O−[C(F)]−Z
XI
で、または式
[Z−[C(F)]−O−[C(F)−CFR]−O−[C(F)]−CO−O−]- XII
(式中、
aは0もしくは1であり、
bは0〜10であり、
cは0もしくは1であり、
dは1〜10であり、
eは1〜10であり、
各Rは独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Zは独立して、−COH、−COG、−CN、−SOF、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、
各Gは独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基よりなる群から選択され、
各Jは独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Xは独立して、BrおよびI基から選択される)
で一般的に示される化合物と反応させることによって行われてもよい。
【0073】
式XIで示される化合物は、チャン(Zhang)ら著、Huaxue Shijie、31(1990)、272ページ、および(b)バージジア(Bargigia)ら著、J.Fluorine Chem.、19(1982)、403ページに記述されるやり方で製造されてもよい。式XIIで示される化合物は、米国特許第5,962,746号明細書に記述されるやり方で製造されてもよい。
【0074】
上記の反応は、式
−[(CF)]−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Z XIII
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレン中の炭素原子に共有結合しており、そしてa、b、c、d、e、RおよびZが上記のようなものであるn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子を生み出すであろう。
【0075】
上記の反応は、式
−[(CF)]−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Z XIV
で一般的に示される官能性分岐を有する炭素原子を含んでなる曲面カーボンナノ構造体であって、各官能性分岐が曲面カーボンナノ構造体中の炭素原子に共有結合しており、そしてa、b、c、d、e、RおよびZが上記のようものであるカーボンナノ構造体を生み出すであろう。
【0076】
式XIIIの官能性分岐を含有するフラーレン分子か、式XIVの官能性分岐を含有する曲面カーボンナノ構造体かのどちらかの他の代わりの実施形態では、
aおよびbは両方とも0であってもよく、cは0もしくは1(好ましくは1)であってよく、dおよび/またはeは1〜4もしくは1〜2であってもよく、
aは1であってもよく、cは1であってもよく、b、dおよび/またはeは1〜4もしくは2であってもよく、
a、bおよびcはすべて0であってもよく、dおよび/またはeは1〜4もしくは1〜2であってもよく、
aは0であってもよく、cは1であってもよく、bおよび/またはeは1〜4もしくは1〜2であってもよく、dは2〜4であってもよく、
aおよびbが両方とも0である場合、cは0もしくは1(好ましくは1)であってよく、dおよび/またはeは1〜4もしくは1〜2であってもよく、Zは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよく、
aが1であり、そしてcが1である場合、b、dおよび/またはeは1〜4もしくは1〜2であってもよく、RはCFであってもよく、Zは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよく、
a、bおよびcがすべて0である場合、dおよび/またはeは1〜4もしくは1〜2であってもよく、Zは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよく、および/または
aが0であり、そしてcが1である場合、bおよび/またはeは1〜4もしくは1〜2であってもよく、RはCFであってもよく、dは2〜4であってもよく、Tは−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく、JはFまたはCF基であってもよい。
【0077】
本発明に従って機能化フラーレン分子または曲面カーボンナノ構造体を製造するための光分解アルキル化法の利用は、フラーレン分子または曲面カーボンナノ構造体と式XIまたはXIIの化合物との溶液またはスラリーを、有機またはハロカーボン溶媒を用いてまたは用いずに約10分〜約48時間、通常約10分〜約2時間の範囲の期間、そして酸素の不存在下に二窒素のような不活性ガス雰囲気下に水銀ランプまたは紫外および可視光の他の源で光分解することを伴う。好適な有機またはハロカーボン溶媒の例には、ヘキサフルオロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、デュポン製のフレオン(Freon)TM113フルオロカーボンが挙げられる。
【0078】
本発明に従って機能化フラーレン分子または曲面カーボンナノ構造体を製造するための熱フルオロアルキル化法の利用は、フラーレン分子または曲面カーボンナノ構造体を式XIの化合物と約160℃〜約350℃の範囲の、好ましくは約180℃〜約300℃の範囲の温度で加熱することを伴う。反応は、1,2,4−トリクロロベンゼンまたはヘキサフルオロベンゼンのような有機またはハロカーボン溶媒を用いてまたは用いずに、約1時間〜約96時間の範囲の、好ましくは約1時間〜約48時間の範囲の期間自生圧力下で行われてよい。典型的には反応は、圧力計、温度を測定するための内部熱電対、および装置を加圧するための窒素ガス入口を備えたガラス製フィッシャー−ポーター(Fisher−Porter)ボトル中で実施される。
【0079】
あるいはまた、フラーレン分子または曲面カーボンナノ構造体は式XIIの化合物と、ハロカーボン溶媒(デュポン製フレオンTM113フルオロカーボンのような)中で不活性ガス雰囲気下(窒素のような)に自生圧力で約25℃〜約100℃の範囲の温度で約1時間〜約96時間反応させられてもよい。
【0080】
上記反応からの生成物は一般に、先ず、いかなる過剰の式XIもしくはXIIの化合物、ハロゲンおよび使用された任意の溶媒のすべてもしくはほとんどを減圧下に留去する、またはそれらから濾別することによって単離される。可溶性生成物の場合には、生成物はデュポン製フレオンTM113フルオロカーボン、CClFCClF、またはヘキサフルオロベンゼンのようなハロカーボンに溶解され、濾過される。生成物がそれに可溶ではない有機またはハロカーボン溶媒が濾液に加えられ、生成物は、上澄みのデカンテーション、または濾過による生成物の収集によって単離され、その後乾燥される。あるいはまた、ハロカーボンは減圧下に除去されて生成物をもたらし、それは有機溶媒で洗浄され、次に乾燥される。不溶性生成物の場合には、生成物は濾過によって集められ、塩化メチレン、アセトン、デュポン製フレオンTM113フルオロカーボン、CClFCClF、またはヘキサフルオロベンゼンのような有機またはハロカーボン溶媒で洗浄される。得られた生成物は、残留溶媒または試薬を除去するために減圧下に加熱される。
【0081】
それぞれ、式II、IV、VI、VIIIまたはXIIIで示されるような官能性分岐を有するフラーレン分子の場合で、
各nは独立して、約20〜1000の整数であり、
各mは独立して、nが偶整数である場合約1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合約1〜(n−1)/2の整数であり、そして
水素およびハロゲンから選択されたp個の基はそれぞれまた、pが0〜mの整数であるフラーレン分子の個々の炭素原子に共有結合していてもよい。
【0082】
他の代わりの実施形態では、各nは独立して、60、70もしくは84、またはそれらの任意の2つもしくはそれ以上の混合のような、60〜100であってもよい。
【0083】
それぞれ、式XまたはXIVに示されるような官能性分岐を有する曲面カーボンナノ構造体の場合には、
mは、ナノ構造体中の炭素原子の数が偶整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分までの整数であり、またはmは、ナノ構造体中の炭素原子の数が奇整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分マイナス0.5までの整数であり、そして
水素およびハロゲンから選択されたp個の基はそれぞれまた、ナノ構造体の個々の炭素原子に共有結合していてもよく、ここでpが0〜mの整数である。
【0084】
(a)フラーレン分子と反応させられる、それぞれ、式III、V、VIIまたはXIに示されるような化合物、
(b)それぞれ、式IV、VI、VIIIまたはXIIIに示されるような官能性分岐を有するフラーレン分子、
(c)曲面カーボンナノ構造体と反応させられる、それぞれ、式IXまたはXIIに示されるような化合物、または
(d)それぞれ、式XまたXIVに示されるような官能性分岐を有する曲面カーボンナノ構造体
のいずれかの場合で、末端−SOF基は、メチルまたはエチルアルコールのような水性アルコール中のLi、Na、KまたはCsのようなアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩のような塩基での処理によって、−SOM基(ここで、Mはアルカリカチオンである)を製造するために加水分解されてもよい。末端−SOF基はまた、上記のような塩基での処理、引き続く酸性化によってスルホン酸基−SOHへ変換することもできる。機能化曲面カーボンナノ構造体がそうであるかもしれないように、−SOM機能化物質が水に可溶でない場合、酸処理単独、引き続く濾過および洗浄が有効である。機能化フラーレン物質がそうであるかもしれないように、−SOM機能化物質が水に可溶である場合、イオン交換カラムの通過がアルカリカチオンをHカチオンと交換するのに適切である。
【0085】
それぞれ、式II、IV、VI、VIIIもしくはXIIIに示されるような官能性分岐を有するフラーレン分子の場合か、それぞれ、式XもしくはXIVに示されるような官能性分岐を有する曲面カーボンナノ構造体の場合かのいずれかで、Tはあるいはまた−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択されてもよく;Jは二者択一的にFまたはCFから選択されてもよく;用語アリールは、フェニルかナフチル環かのどちらか上の置換基が例えばCアルキル、ハロゲンもしくはCアルコキシであってもよい、フェニル、ナフチル、置換フェニル、または置換ナフチルのような、環部分に6〜14個の炭素を含有する単環式、二環式または三環式芳香族基を意味する。さらに、用語アルコキシは、酸素原子によって結合したアルキルアルコールの残基を意味する。用語アルキルは、直鎖および分岐鎖基の両方、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、およびそれらの様々な分岐鎖異性体を意味する。鎖は、例えば、二重および三重結合を含有する、線状または環式、飽和または不飽和であってもよい。アルキル鎖は、例えば、1つもしくはそれ以上のハロゲン、酸素、シリルまたは他の置換基で遮断されても置換されてもよい。用語アリールオキシは酸素原子によって結合されたアリールアルコールの残基を意味する。
【0086】
本発明の別の態様は、上記のような、機能化フラーレン分子および機能化曲面カーボンナノ構造体と、(i)お互いに、(ii)VIII族金属(Ru、Rh、Pd、Os、Irおよび/またはPt)、特にPtおよび/またはRuのような1つもしくはそれ以上の触媒金属、および/または(iii)フッ素化の様々な程度を有してもよいコポリマーをはじめとする、1つもしくはそれ以上のポリマーとの混合による組成物の形成である。VIII族金属および本発明の機能化カーボン材料を含有する組成物を調製することが望まれる場合、官能基前駆体をカーボン材料と反応させて機能化を達成する前にカーボン材料にVIII族金属を含浸させることが望ましいかもしれない。
【0087】
一般に、いかなるフィルム形成ポリマーも本発明の組成物での使用に好適である。好ましいポリマーは、高温および/または厳しい化学環境に耐えることができるもの、実質的にまたは完全にフッ素化されているもの、および/またはイオン官能性を有するもの(「アイオノマー」)である。有用なイオン官能性には、スルホネート、カルボキシレート、ホスホネート、イミド、スルホンイミドまたはスルホンアミド基のような、プロトンを運ぶことができるカチオン交換基の存在が含まれる。
【0088】
本発明の組成物を形成するために使用されるポリマーは非フッ素化であっても、かなりフッ素化されていてもまたは過フッ素化されていてもよい。かなりフッ素化されたポリマーは、C−H結合の少なくとも60パーセントの水素の代わりにフッ素が置換されたものである。
【0089】
本発明の組成物での使用に好適な様々なポリマーの例は下記の1つもしくはそれ以上である:
ポリエチレン、
ポリプロピレン、
ポリ(フェニレンエーテル)、
ポリ(フェニレンスルフィド)、
芳香族ポリスルホン、
芳香族ポリイミドもしくはポリエーテルイミド、
ポリベンゾイミダゾール、または
次のモノマーの1つもしくはそれ以上から製造されたポリマー
テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、およびそれらの混合物を含むようなフッ素化ビニルもしくはビニリデンモノマー、
スルホン化α,β,β−トリフルオロスチレンもしくはp−スルホニルフルオリド−α,β,β−トリフルオロスチレン(例えば、米国特許第5,422,411号明細書に記載されているような)のようなフッ素化スチレン、
好適なスルホン化がスルホン酸基またはスルホン酸基のアルカリ金属もしくはアンモニウム塩の存在から得られる、スルホン化アリールエーテル(エーテル)ケトン、または
ビニルフルオロスルホン酸、もしくはスルホニルフルオリドのようなその類似体。
【0090】
好適なビニルフルオロスルホン酸または類似体の例には、CF=CFR−SOH(ここで、RはH、F、および分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリールよりなる群から選択される)、CF=CF−O−[C(F)]−SOF、およびCF=CF−O−CF−[CF(CF)]−O−[C(F)]−SOFが挙げられる。
【0091】
コポリマーが望まれる場合、それは、テトラフルオロエチレンのように置換されている、またはイオン性もしくは他の官能性を有するビニルまたはエチレン系化合物のようなコモノマーを使用して形成されてもよい。
【0092】
上に名前を挙げられるようなポリマー、または上に名前を挙げられたモノマーの1つもしくはそれ以上から製造されるポリマーは、当該技術分野で公知の方法によって製造されてもよい。例えば、テトラフルオロエチレンは、ほとんどまたは全く分散剤を使用せずに、激しいかき混ぜを用いて水性媒体中で重合させることができる。フッ化ビニリデンは、懸濁剤および連鎖調整剤の存在下にオイル可溶性フリーラジカル開始剤を用いて水性懸濁液で重合させることができる。ポリ(フェニレンエーテル)は、ハロゲン化銅塩およびピリジンのような触媒を用いて、2,6−ジメチルフェノールのようなフェノールモノマーの酸化カップリングによって製造することができる。ポリ(フェニレンスルフィド)は、双極性非プロトン性溶媒中でp−ジクロロベンゼンと硫化ナトリウムとから製造することができる。芳香族ポリスルホンは、非プロトン性溶媒中130〜160℃で4,4’−ジクロロフェニルスルホンとビスフェノールとから製造することができる。芳香族ポリイミドは、双極性非プロトン性溶媒中でフェニレンジアミンのような芳香族ジアミンとピロメリット酸二酸無水物のような芳香族二酸無水物とから製造することができる。芳香族ポリエーテルイミドは、ビスフェノキシド塩と芳香族ジニトロビスイミドとから製造することができる。スチレンは、過酸化物のような開始剤を使用するフリーラジカル付加によって重合させられてもよい。ポリ(エーテルケトン)は、エーテルに富むかケトンに富むかのどちらかであってもよく、開始剤によって促進される溶液もしくはマスで環式エステルケトン化合物の重合によって、または溶液中ルイス酸でテレフタロイルクロリドと4,4’−ジフェノキシベンゾフェノンとの反応によって、またはp−フェノキシベンゾイルクロリドそれ自体の重縮合によって製造されてもよい。ビニルフロオロスルホン酸または類似体は、アゾ開始剤のような開始剤を使用して中程度の熱で液体媒体中重合させられてもよい。
【0093】
本発明の組成物での使用に好適な他のポリマー、およびかかるポリマーの他の製造方法は、サバドゴ(Savadogo)著、J.Power Source、127(2004)、135ページ;クローアー(Kreuer)著、J.Membrane Sci.、185(2001)、29ページ;ジョーンズ(Jones)ら著、J.Membrane Sci.、185(2001)、41ページ;およびヘイトナー−ワーギン(Heitner−Wirguin)著、J. Membrane Sci.、120(1996)、1ページのような出所に記載されている。
【0094】
本発明の組成物は、機能化フラーレン分子および/または機能化曲面カーボンナノ構造体を、ドラムタンブラー、ダブルコーンブレンダー、リボンブレンダー、シグマブレードミキサー、バンバリー(Banbury)ミキサー、混練機または押出機のような当該技術分野で典型的に用いられるような任意の混合手段によってVIII族金属および/またはポリマーと混合することによって形成されてもよい。フィルムは、加熱された表面上への溶媒キャスティング、または押出物の熱プレス成形のような当該技術分野で典型的に用いられるような任意のフィルム形成法によって本発明の組成物から製造されてもよい。
【0095】
本発明の機能化フラーレン分子、機能化曲面カーボンナノ構造体、および組成物ならびにそれから製造されたフィルムは、燃料電池、バッテリー、電極、触媒またはセンサーのような様々な用途で使用されるかもしれない。
【0096】
本発明の有利な効果は、下に記載されるような一連の実施例によって例示される。実施例がベースにしている本発明の実施形態はあくまで例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0097】
フラーレンへの[2+2]シクロ付加
実施例1 パーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドでのC60のシクロ付加
70ccステンレススチール反応器へC60(50mg、CNIから購入した)、20mLの1,2,4−トリクロロベンゼンおよび3gのパーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドを装入する。反応器を−50℃に冷却し、次に排気し、窒素で満たす。反応器を200℃に18時間加熱する。溶媒を真空下に除去して茶色固体を残す。MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量分析は、720に質量を、および282(モノマーの質量)の倍数である質量を720に追加された多数の生成物を示す。溶液19F NMRスペクトルは、ビニルエーテル分子のC60との結合が2+2機能化タイプのものであることを裏付ける。固体状態19F NMRは−105,−109ppm(JAB=208Hz;CNT−CF−);−118.8ppm(CNT−CF−CF−);−76.5,−83.7ppm(JAB=150Hz;−O−CF−);−111.6ppm(−CF−SOF);および+45.5ppm(SOF)を与える。
【0098】
実施例2 C60−スルホニルフルオリドの加水分解
実施例1からのスルホニルフルオリド機能化C60(20〜30mg)を5/4/1のHO/MeOH/DMSO中の20%KOH溶液10mLに懸濁させ、80℃で3時間加熱する。均一溶液を10%硝酸でpH7に中和する。中和された混合物を、メタノールおよび水で洗浄したカチオン交換樹脂カラム(バイオ−ラッド(Bio−rad):AG 50W X8樹脂、100〜200メッシュ CAS[69011−20−7]、およそ20g、1.5cm×22cm)に通す。溶出された物質を凍結乾燥して24.8mgの茶色固体をもたらす。
【0099】
CNTへの[2+2]シクロ付加
基本手順
CNT材料、引き続き指定量の溶媒、引き続きパーフルオロオレフィンを70mLステンレススチール反応器へ装入する。反応器を−50℃に冷却し、次に排気し、窒素で満たす。反応器を200℃に指定時間加熱する。生成物を0.2μmのPTFE膜上に濾過によって集める。固体をデュポン製のバートレル(Vertrel)(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒、ヘキサン、アセトン、塩化メチレンおよびジメチルホルムアミド(「DMF」)を含む溶媒で洗浄する。得られた固体を真空下に乾燥させる。
【0100】
実施例3
窒素ドライボックス中で10ccステンレススチール反応器へ24.0mgの精製HiPco SWNT[カーボン・ナノチューブス社、テキサス州ヒューストン(Carbon Nanotubes Inc.,Houston,Texas(「CNI」)から購入し、高真空下に250℃で16時間乾燥した]および0.500mLのCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOF(“PSEPVE”)を装入する。容器を窒素下に密閉し、振盪しながら200℃で24時間加熱する。反応後に、容器を真空ラインに取り付け、内容物を高真空下に室温で4時間ポンピングする。内容物を次に、真空ラインアダプターを備えたガラスアンプルへ移し、次に高真空下に100℃で2時間、次に200℃で2時間加熱する、35.0mgの生成物を回収する。高純度N下のTGAは、約200℃で始まる46%の減量を示す(図1のチャートAを参照されたい)。
【0101】
反応を215℃で同一量の反応体で繰り返す。反応器を真空ラインに取り付け、ドライアイスで冷却し、高真空下に排気する。容器を真空下に密閉し、215℃で24時間振盪する。反応後に、容器を真空ラインに取り付け、揮発性生成物をコールドトラップに集める。NMR分析は、転位したPSEPVEの存在をほとんど示す。真空下175℃で2時間乾燥後に、32.5mgの物質を回収する。高純度N下のTGAは、49%の減量を示す(図1のチャートBを参照されたい)。
【0102】
実施例4 パーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドでのSWNTの[2+2]シクロ付加
70ccステンレススチール反応器へ精製HiPCO SWNT(50mg、CNIから購入した)、20mLの1,2,4−トリクロロベンゼンおよび3gのパーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドを装入する。反応器を−50℃に冷却し、次に排気し、窒素で満たす。反応器を200℃に18時間加熱する。反応混合物を0.2μmのPTFE膜上で濾過し、デュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒(4回)、ヘキサン、アセトン、塩化メチレンおよびDMFで洗浄する。固体を真空オーブン中110℃で乾燥させて70mgの黒色固体をもたらす。TGA/IRは、300〜400℃前後で最大で、46%の減量を示す。サンプルのラマン(Raman)スペクトルは2541、1834、1752、1588(接線モード)、1549、1274(不規則モード)、および263(ラジアルモード)にCNTに特徴的なピークを示す。固体状態F19 NMRは−80ppm(OCF),−110ppm(−OCFCF−),および47ppm(SOF)前後を中心にしてバンドを示す。
【0103】
実施例5 パーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドでのSWNTの[2+2]シクロ付加
70ccステンレススチール反応器へ精製HiPCO SWNT(20mg、CNIから購入した)および3gのパーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドを装入する。反応器を−50℃に冷却し、次に排気し、窒素で満たす。反応器を200℃に18時間加熱する。反応混合物を0.2μmのPTFE膜上で濾過し、次にデュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒(4回)、ヘキサン、アセトン、塩化メチレンおよびDMFで洗浄する。固体を真空オーブン中110℃で乾燥させて固体をもたらす。TGAは、312℃前後で最大で、41%の減量を示す。
【0104】
実施例6 パーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドでのSWNTの[2+2]シクロ付加
ステンレススチール反応器へ精製HiPCO SWNT(200mg、CNIから購入した)、50mLの1,2,4−トリクロロベンゼンおよび13gのパーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドを装入する。反応器を−50℃に冷却し、次に排気し、窒素で満たす。反応器を200℃に18時間加熱する。反応混合物を0.2μmのPTFE膜上で濾過し、デュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒(4回)、塩化メチレン、DMF(4回)、およびアセトンで洗浄する。固体を真空オーブン中110℃で乾燥させて70mgの黒色固体をもたらす。TGAは200℃より上で12%の減量を示す。
【0105】
実施例7 パーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドでのSWNTの[2+2]シクロ付加
70ccステンレススチール反応器へ精製HiPCO SWNT(100mg、CNIから購入した)、5mLの1,2,4−トリクロロベンゼンおよび6gのパーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドを装入する。反応器を−50℃に冷却し、次に排気し、窒素で満たす。反応器を200℃に18時間加熱する。反応混合物を0.2μmのPTFE膜上で濾過し、デュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒(4回)、塩化メチレン、DMF(4回)、およびアセトンで洗浄する。固体を真空オーブン中100℃で2日間、次に真空下200℃で4時間乾燥させて0.10gの黒色固体をもたらす。TGAは200℃より上で16%の減量を示す。
【0106】
実施例8 PSEPVEでのSWNTの[2+2]シクロ付加
70ccステンレススチール反応器へ精製HiPCO SWNT(50mg、CNIから購入した)、および2.4gのPSEPVE(パーフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサオクタ−7−エン)スルホニルフルオリド、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOF)を装入する。反応器を−50℃に冷却し、次に排気し、窒素で満たす。反応器を200℃に10時間加熱する。反応混合物を0.2μmのPTFE膜上で濾過し、デュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒(4回)、塩化メチレン、DMF(4回)、およびアセトンで洗浄する。固体を真空下200℃で4時間乾燥させて0.10gの黒色固体をもたらす。TGAは320℃を中心にして18%の減量を示した。
【0107】
実施例9 MWNTのCF=CFOCFCFSOFとの反応
20mLのトリクロロベンゼン中0.15gのMWNT(清華大学、中国(Tsing Hua University,China)によって供給された)、9.0gのCF=CFOCFCFSOFの懸濁液をオートクレーブ中N下に200℃で20時間加熱する。反応混合物を濾過し、CHCN、MeOHおよびCFClCFClで3回洗浄し、真空オーブン中120℃で一晩乾燥させる。0.157gの黒色固体を得る。TGAは400℃まで加熱したときに8.3%減量を示す。
【0108】
CNT−スルホニルフルオリドの加水分解のための基本手順
スルホニルフルオリド機能化CNT(0.2g)を5/4/1のHO/MeOH/DMSO中の20%KOH溶液30mLに懸濁させ、80℃で3時間加熱する。不均一溶液を濾過する。固体を脱イオン蒸留水で4回洗浄する。固体を次に10%HNOに再懸濁させ、60℃で3時間加熱する。得られた固体を次に濾過し、濾液のpHが中性になるまで脱イオン蒸留水で洗浄する。洗浄した固体を次に真空オーブン中80〜110℃で2日間乾燥させ、次に真空下に3日間ポンピングする。収量は0.17gである。IR(KBrペレット)cm−1は、3434(中,幅広い,−SOH),1752(弱),1520−1570(弱−中),1162[強,−(CF]を示す。
【0109】
実施例10 CNT−スルホニルフルオリドの加水分解
実施例6に記載されたように製造したスルホニルフルオリド機能化CNT(0.2g)を5/4/1のHO/MeOH/DMSO中の20%KOH溶液30mLに懸濁させる。混合物を20分間超音波処理し、次に80℃で3時間加熱する。不均一溶液を濾過する。濾液は色が僅かに琥珀色である。固体を脱イオン蒸留水(「dd水」)で4回洗浄する。固体を次に30mLの10%HNOに再懸濁させ、20分間超音波処理し、60℃で3時間加熱する。得られた固体を次に濾過し、濾液のpHが中性になるまで脱イオン蒸留水で洗浄する。洗浄した固体を次に真空オーブン中100℃で4日間乾燥させる。収量は0.16gである。
【0110】
実施例11 CNT−スルホニルフルオリドの加水分解
実施例7からのCNTのスルホニルフルオリド付加体(0.094g)を5/4/1混合物HO/MeOH/DMSO中の20%KOH溶液20mLに懸濁させる。混合物を30分間超音波処理し、次に80℃で3時間加熱する。不均一溶液を濾過する。濾液は色が僅かに琥珀色である。固体をdd水で4回洗浄する。固体を次に20mLの10%HNOに再懸濁させ、20分間超音波処理し、60℃で3時間加熱する。得られた固体を次に濾過し、濾液のpHが中性になるまでdd水で洗浄する。洗浄した固体を次に真空下200℃で乾燥させ、真空オーブン中100℃で1日間さらに乾燥させる。収量は0.076gである。TGAは200℃より上で(366℃前後を中心にして)13%減量を示す。
【0111】
CNTへのラジカル付加
実施例12 HFPO−二量体過酸化物とのSWNT反応
精製HiPCO SWNT[CNI製の0.13g(10.8ミリモル)]を250mL丸底フラスコに量り取る。フラスコを窒素で満たす。これに、デュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒中の35mL0.16M(5.6ミリモル)HFPO二量体過酸化物溶液[ビス(パーフルオロ−2−プロポキシプロパノイル)ペルオキシド]を加える。反応物を窒素下室温で12時間撹拌する。これに、別の35mLの0.16M HFPO二量体過酸化物を加え、反応物をもう7時間撹拌し、その時点で別の17mLの0.16M HFPO二量体過酸化物溶液を加える。加えられたHFPO二量体過酸化物の総量は87mLの0.16M溶液(13.9ミリモル)である。固体を濾過によって集め、デュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒、ヘキサン、アセトン、塩化メチレンおよびDMFで洗浄し(色が黄色)、真空下に乾燥させる。固体の収量は0.14gである。固体のTGAは2つのこぶ:200℃前後で7%減量、および200℃前後で12%減量を示す。ラマン:2541,1834,1752,1588(ナノチューブの接線モード)、1549、1274(不規則モード、sp炭素による)、326,305,および263cm−1
【0112】
実施例13 HFPO−二量体過酸化物とのSWNT反応
精製HiPCO SWNT[CNI製の24mg(2.1ミリモル)]をおよそ2〜5mLのデュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒に懸濁させ、20分間超音波処理する。懸濁液を20mL丸底チューブへ移し、ドライアイスで冷却する。これに、6mLの0.16M HFPO二量体過酸化物(0.96ミリモル)を加える。混合物を室温で一晩撹拌する。固体を0.2μmのPTFE膜上で濾過し、DMF、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、およびアセトンで洗浄する。固体を次にクロロホルムに懸濁させ、15%HClで洗浄する。固体を0.45μmのPTFE膜上に集め、真空下に乾燥させる。TGAは13%減量(300℃前後に幅広いこぶ、および420℃前後を中心にして鋭い変化)を示す。
【0113】
本実施例を粗HiPCO SWNT[CNI製の36mg(3ミリモル)]および9mLの0.16M HFPO二量体過酸化物(1.44ミリモル)で繰り返して24mgの黒色固体をもたらす。TGAは6.5%減量[420℃前後を中心にした鋭い変化(5.3%)の周りに幅広いショルダー、および500℃前後に鋭い変化(1.2%)]を示す。
【0114】
実施例14 ヨウ化パーフルオロオクチルとのSWNT反応
30mLのパーフルオロテトラデカヒドロフェナントレン(bp.210℃)中の精製HiPCO SWNT[CNI製の10mg(0.83ミリモル)]の懸濁液を室温で20分間超音波処理する。懸濁液、引き続きヨウ化パーフルオロオクチル(MW 545.97、0.66g、1.2ミリモル)を肉厚ガラス反応器へ装入し、凍結−ポンプ−解凍(3サイクル)によって脱酸素し、次に窒素下にシールする。容器を200℃で7時間加熱する。反応内容物を冷却し、得られた懸濁液を0.2μmのPTFE膜上で濾過する。固体をデュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒、ヘキサン、塩化メチレン、DMFおよびアセトンで洗浄する。単離された固体は7.6mgの重さがある。TGAは21%減量(2つの幅広いこぶ:320℃前後を中心にして16%、および570℃前後に5%)を示す。
【0115】
実施例15 ヨウ化パーフルオロオクチルとのSWNT反応
30mLのパーフルオロテトラデカヒドロフェナントレン(bp.210℃)中の精製HiPCO SWNT[CNI製の10mg(0.83ミリモル)]の懸濁液を室温で10分間超音波処理する。懸濁液、引き続きヨウ化パーフルオロオクチル(MW 545.97、0.66g、1.2ミリモル)を肉厚ガラス反応器へ装入し、凍結−ポンプ−解凍(3サイクル)によって脱酸素し、次に窒素下にシールする。容器を200℃で7時間加熱する。反応容器を室温に冷却し、別の0.66gのヨウ化パーフルオロオクチルを加える。反応混合物を200℃でもう7時間加熱する。追加のヨウ化パーフルオロオクチルの添加、引き続く200℃で7時間の加熱のこのプロセスを3回繰り返す。使用されたヨウ化パーフルオロオクチルの総量は5×0.66g(6ミリモル)である。反応内容物を冷却し、得られた懸濁液を0.2μmのPTFE膜上で濾過する。固体をデュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒、ヘキサン、塩化メチレン、DMFおよびアセトンで洗浄する。単離された固体:7.1mg。TGAは30%減量(2つの幅広いこぶ:300℃前後を中心にして17%、および500℃前後を中心にして13%)を示す。
【0116】
実施例16 ヨウ化パーフルオロヘキシルとの無溶媒SWNT反応
10ccステンレススチール反応器へ48.2mgの精製カーボンナノチューブ(CNI製、高真空下に250℃で16時間乾燥した)および0.85mLの1−ヨード−パーフルオロヘキサンを装入する。反応器をドライアイスで30分間冷却してヨウ化物を凍結させ、次に高真空に排気する。容器を次に真空下に密閉し、振盪しながら330℃で4時間加熱する。反応後に、反応器を室温で2時間高真空下にポンピングして揮発性副生物を除去する。反応器の内容物を、真空アダプターを備えたガラスアンプルへ移す。生成物入りアンプルを、反応で形成された分子ヨウ素の完全な除去を確実にするために高真空下に320℃で30分間保持する。64.5mgの物質を回収する(すなわち質量で34%増加)。高純度N下のTGAは、およそ300℃で始まる27%の減量を示した。
【0117】
実施例17 ヨウ化パーフルオロヘキシルとのSWNT反応
10mLのパーフルオロテトラデカヒドロフェナントレン(bp.210℃)中の粗HiPCO SWNT[CNI製の6mg(0.50ミリモル)]の懸濁液を室温で10分間超音波処理する。懸濁液、引き続きヨウ化パーフルオロヘキシル(MW 446、1.25g、2.8ミリモル)を肉厚ガラス反応器へ装入し、凍結−ポンプ−解凍(3サイクル)によって脱酸素し、次に窒素下にシールする。容器を200℃で7時間加熱する。反応容器を室温に冷却し、別の1.25gのヨウ化パーフルオロオクチルを加える。反応混合物を200℃でもう7時間加熱する。追加のヨウ化パーフルオロオクチルの添加、引き続く200℃で7時間の加熱のこのプロセスをもう2回繰り返す。使用されたヨウ化パーフルオロオクチル試薬の総量は1.25g(7時間)、1.25g(7時間)、1.6g(18時間)、1.4g(9時間)、または合計5.5gのヨウ化パーフルオロヘキシル(12.3ミリモル)である。反応内容物を冷却し、得られた懸濁液を0.2μmのPTFE膜上で濾過する。固体をデュポン製のバートレル(登録商標)XFヒドロフルオロカーボン溶媒、ヘキサン、塩化メチレン、DMFおよびアセトンで洗浄する。単離された固体:10mg。TGAは32%減量(180〜400℃に3つの幅広いこぶ)を示す。
【0118】
実施例18 パーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドとの反応によるバルカン(Vulcan)XC 72Rカーボンブラックの表面改質
窒素グローブボックス中で石英バイアル(10mmのOD、〜6cm高さ、真空システムへの取り付けおよびトーチでのシーリングオフを容易にするための5mmのOD延長付き)へ11.6mgのバルカンXC 72Rカーボン(キャボット・コーポレーション、高真空下250℃で25時間乾燥した)および100μLのパーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドを装入する。内容物を空気にさらすことなく、バイアルをOリングアダプターによって真空マニホールドに取り付ける。バイアルを液体窒素中に浸漬し、排気し、トーチを使って頸部でシールする、それを円筒チューブ炉中に200℃で66時間保持する。この時間の終わりに、バイアルを頸部で開き、真空下175℃で1時間乾燥させるためにもう一度真空マニホールドに取り付ける。高純度窒素を使用するTGA(10℃/分)は、200℃より上で始まる17%減量を示す。未処理XC 72Rカーボンブラックの類似のTGAは800℃まで感知できる重量変化を全く示さない。200℃で64時間反応させられる9.8mgの乾燥バルカン・カーボンブラックおよび30μLのパーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドでの実験の繰り返しは、12%のTGA減量をもたらす。TGAによって明らかにされるナノチューブと比較してより低い百分率減量は、バルカン・カーボンブラックのより大きい粒度、ナノチューブと比較してより低い表面曲率、および反応に利用可能な炭素原子のより小さい分率によって部分的に説明されるかもしれない。
【0119】
実施例19 パーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドとの反応によるPtナノ粒子を担持するTKK TEC10カーボンブラックの表面改質
窒素グローブボックス中で石英バイアル(10mmのOD、〜6cm高さ、真空システムへの取り付けおよびトーチでのシーリングオフを容易にするための5mmのOD延長付き、真空下に110℃で16時間乾燥した)へ10.1mgのTKK TEC10 E50E Pt内蔵カーボンブラック(田中貴金属グループ(TANAKA PRECIOUS METALS Group)、高真空下250℃で20時間乾燥した)および39.8mgのパーフルオロ(3−オキソ−ペンタ−4−エン)スルホニルフルオリドを装入する。内容物を空気にさらすことなく、バイアルをOリングアダプターによって真空マニホールドに取り付ける。バイアルを液体窒素中に浸漬し、排気し、凍結−解凍ポンピングによって脱ガスし、トーチを使って頸部でシールする、それを円筒チューブ炉中に200℃で68時間保持する。この時間の終わりに、バイアルを頸部で開き、真空下175℃で1時間乾燥させるためにもう一度真空マニホールドに取り付ける。高純度窒素を使用するTGA(10℃/分)は、200℃より上で始まる28%減量を示す。未処理TKKカーボンブラックの類似のTGAは600℃までに7%未満の減量を示す。
【0120】
組成物およびフィルムの形成
実施例20
小さいバイアルに実施例10からの5mgの機能化SWNT、102mgのデュポン製の凍結乾燥ナフィオン(Nafion)(登録商標)1100フッ素化ポリマーおよび2mLのn−BuOHを装入する。得られた混合物を室温で40時間撹拌し、黒色分散系を得る。分散系をフード中でガラス板上へ注ぐ。n−BuOHのほとんどを蒸発させた後、ガラス板を真空オーブン中165〜170℃で1.5時間加熱する。黒色フィルムを剥離し、10%HNOで室温で一晩処理し、脱イオン水で中性まで洗浄して1ミル厚さのフィルムを与える。面内導電率は25%相対湿度下120℃で783mS/cmである。
【0121】
実施例21
小さいバイアルに実施例12からの12mgの機能化SWNT、100mgのデュポン製の凍結乾燥ナフィオン(登録商標)1100フッ素化ポリマーならびに2mLのn−ブタノールおよび6mLの水を装入する。得られた混合物を室温で72時間撹拌し、黒色分散系を得る。分散系をフード中でガラス板上へ注ぐ。n−BuOHのほとんどを蒸発させた後、ガラス板を真空オーブン中130〜190℃で1時間加熱する。黒色フィルムを剥離し、10%HNOで室温で一晩処理し、脱イオン水で中性まで洗浄して1ミル厚さのフィルムを与える。面内導電率は95%相対湿度下室温で18327mS/cmである。
【0122】
実施例22
およそ20mLのシンチレーションバイアル中で、18mgのPt/Ru触媒(ジョンソン・マッセイ(Johnson Mathey)から購入した、HiSPEC 6020)、実施例10からの2mgの機能化SWNTおよび1mLのデュポン製のナフィオン(登録商標)1100フッ素化ポリマーの4.8重量%溶液(2:1:1水、1−プロパノール、2−プロパノール)を組み合わせ、超音波浴中で30分間超音波処理して触媒インクを形成する。25μLの当該溶液を、1cm×5cmカーボン紙電極ストリップの1cm面積上へ充填し、フード中で一晩乾燥するに任せる。メタノール酸化に対する乾燥インク混合物の活性を、0.5MのHSOおよび1MのCHOH溶液中で、標準半電池電気化学実験で測定する。分極曲線[電流(I)対電位(V)]は、本混合物が飽和カロメル参照電極に対しておよそ0.2Vの開始電位でメタノールを酸化することを示唆する。
【0123】
本発明の材料または組成物がある種の成分を含んでなる、含む、含有する、有する、それよりなる、それで構成されると記述されるまたは記載される場合、その記述または記載がそれと反対を明確に規定しない限り、明確に記述されるまたは記載されるものに加えて1つもしくはそれ以上の成分が材料または組成物中に存在してもよいことは理解されるべきである。しかしながら、代わりの実施形態では、本発明の材料または組成物はある種の成分より本質的になると記述されてもまたは記載されてもよく、その実施形態では、動作原理または材料もしくは組成物の際立った特性を実質的に変えるであろう成分はその中に存在しない。さらなる代わりの実施形態では、本発明の材料または組成物はある種の成分よりなると記述されてもまたは記載されてもよく、その実施形態では不純物以外の成分はその中に存在しない。
【0124】
不定冠詞「a」または「an」が本発明の材料または組成物中の成分の存在の記述または記載に関して用いられる場合、記述または記載がそれと反対を明確に規定しない限り、かかる不定冠詞の使用が材料または組成物中の成分の存在を数の上で1に限定しないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】実施例3で製造されるような2つの異なるサンプルについて行われた熱重量分析の結果のグラフである。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−T
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
aが0もしくは1であり、
bが0〜10であり、
cが0もしくは1であり、
dが1〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Tが独立して、−COH、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよびPO基よりなる群から選択され、
各Jが独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
nが20〜1000の整数であり、そして
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であるフラーレン分子。
【請求項2】
Tが−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、そしてJがFまたはCF基である請求項1に記載のフラーレン分子。
【請求項3】
nが60〜100である請求項1に記載のフラーレン分子。
【請求項4】

−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)]−Q
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
各Qが独立して、−COG、−CN、−SOF基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
nが20〜1000の整数であり、そして
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であるフラーレン分子。
【請求項5】
Qが−SOFである請求項4に記載のフラーレン分子。
【請求項6】
nが60〜100である請求項4に記載のフラーレン分子。
【請求項7】

−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Q
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
bが1〜10であり、
dが1〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Qが独立して、−COG、−CN、−SOF基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
nが20〜1000の整数であり、そして
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であるフラーレン分子。
【請求項8】
Qが−SOFである請求項7に記載のフラーレン分子。
【請求項9】
nが60〜100である請求項7に記載のフラーレン分子。
【請求項10】

−C(F)−C(−)(F)−[C(F)−C(F)(R)]−[C(F)]−Q
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの不飽和πシステムとの4員環の形成によってフラーレンに共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
bが0〜10であり、
dが1〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Qが独立して、−COG、−CN、−SOF基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
nが20〜1000の整数であり、そして
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であるフラーレン分子。
【請求項11】
Qが−SOFである請求項10に記載のフラーレン分子。
【請求項12】
nが60〜100である請求項10に記載のフラーレン分子。
【請求項13】

−C(F)−C(−)(F)−O−[C(F)−C(F)(R)]−O−[C(F)]−Z
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、ナノ構造体の不飽和πシステムとの4員環の形成によってナノ構造体に共有結合している炭素原子を含んでなる曲面カーボンナノ構造体であって、式中、
aが0もしくは1であり、
bが0〜10であり、
cが0もしくは1であり、
dが1〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Zが独立して、−COH、−COG、−CN、−SOF、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
各Jが独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、そして
mは、ナノ構造体中の炭素原子の数が偶整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分までの整数であり、またはmは、ナノ構造体中の炭素原子の数が奇整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分マイナス0.5までの整数である曲面カーボンナノ構造体。
【請求項14】
Zが−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、そしてJがFまたはCF基である請求項13に記載の曲面カーボンナノ構造体。
【請求項15】
CNTである請求項13に記載の曲面カーボンナノ構造体。
【請求項16】
CNTが導電性である請求項15に記載の曲面カーボンナノ構造体。
【請求項17】
カーボンブラックである請求項13に記載の曲面カーボンナノ構造体。
【請求項18】

−[C(F)]−O−[C(F)−CFR]−O−[C(F)]−Z
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、フラーレンの個々の炭素原子に共有結合しているn個の炭素原子を含んでなるフラーレン分子であって、式中、
aが0もしくは1であり、
bが0〜10であり、
cが0もしくは1であり、
dが1〜10であり、
eが0〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Zが独立して、−COH、−COG、−CN、−SOF、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
各Jが独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
nが20〜1000の整数であり、
mは、nが偶整数である場合1〜n/2の整数であり、またはnが奇整数である場合1〜(n−1)/2の整数であり、そして
水素およびハロゲンから選択されたp個の基がそれぞれ、フラーレンの個々の炭素原子に共有結合しており、ここでpが0〜mの整数である、フラーレン分子。
【請求項19】
Zが−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、そしてJがFまたはCF基である請求項18に記載のフラーレン分子。
【請求項20】
nが60〜100である請求項18に記載のフラーレン分子。
【請求項21】

−[C(F)]−O−[C(F)−CFR]−O−[C(F)]−Z
で一般的に示されるm個の基がそれぞれ、ナノ構造体中の個々の炭素原子に共有結合している炭素原子を含んでなる曲面カーボンナノ構造体であって、式中、
aが0もしくは1であり、
bが0〜10であり、
cが0もしくは1であり、
dが1〜10であり、
eが0〜10であり、
各Rが独立して、H、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
各Zが独立して、−COH、−COG、−CN、−SOF、−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、
各Gが独立して、F、Cl、C〜CアルコキシおよびC〜C12アリールオキシ基から選択され、
各Jが独立して、F、メチル、分岐鎖または直鎖過フッ素化C〜C10アルキル、フェニルおよび過フッ素化アリール基よりなる群から選択され、
mは、ナノ構造体中の炭素原子の数が偶整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分までの整数であり、またはmは、ナノ構造体中の炭素原子の数が奇整数である場合には、1から、ナノ構造体中の炭素原子の数の半分マイナス0.5までの整数であり、そして
水素およびハロゲンから選択されたp個の基がそれぞれ、ナノ構造体の個々の炭素原子に共有結合しており、ここでpが0〜mの整数である、曲面カーボンナノ構造体。
【請求項22】
Zが−SOH、−SONH、−SONHSOJおよび−PO基よりなる群から選択され、そしてJがFまたはCF基である請求項21に記載の曲面カーボンナノ構造体。
【請求項23】
CNTである請求項21に記載の曲面カーボンナノ構造体。
【請求項24】
CNTが導電性である請求項23に記載の曲面カーボンナノ構造体。
【請求項25】
カーボンブラックである請求項21に記載の曲面カーボンナノ構造体。
【請求項26】
請求項1、4、7、10または18のいずれか一項に記載のフラーレン分子、および請求項13または21に記載の曲面カーボンナノ構造体を含んでなる組成物。
【請求項27】
請求項1、4、7、10または18のいずれか一項に記載のフラーレン分子、およびポリマーを含んでなる組成物。
【請求項28】
請求項1、4、7、10または18のいずれか一項に記載のフラーレン分子、およびVIII族金属を含んでなる組成物。
【請求項29】
VIII族金属をさらに含んでなる請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
請求項13または21に記載の曲面カーボンナノ構造体およびポリマーを含んでなる組成物。
【請求項31】
請求項13または21に記載の曲面カーボンナノ構造体およびVIII族金属を含んでなる組成物。
【請求項32】
VIII族金属をさらに含んでなる請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1、4、7、10または18のいずれか一項に記載のフラーレン分子、請求項13または21に記載の曲面カーボンナノ構造体、およびポリマーを含んでなる組成物。
【請求項34】
請求項1、4、7、10または18のいずれか一項に記載のフラーレン分子、請求項13または21に記載の曲面カーボンナノ構造体、およびVIII族金属を含んでなる組成物。
【請求項35】
VIII族金属をさらに含んでなる請求項33に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−510733(P2008−510733A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528097(P2007−528097)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/029972
【国際公開番号】WO2006/023921
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】