説明

機能性多孔性多層繊維およびその製造

本発明は、同心状に配置された複数の多孔性層を有する中空または中実の繊維に関し、ここで層の少なくとも1つは非常にアクセスしやすく製造後に機能を維持する官能化されたまたは活性な粒子を含む。高充填の粒子を含む層は、外側層または内側層のいずれかでもよい。他の多孔性層の主たる機能は、繊維に機械的安定性を与えることである。さらにそれはふるいとして機能することができ、望ましくない化合物または化学種が官能化された粒子材料と接触するのを防止する。それが内側層である場合、第2の層は有利には生体適合性材料であってもよい。第2のものが外側層の場合、内側層において100wt%の粒子含有量を達成することができる。高密度の官能化された粒子材料を含み、しかも十分な機械的強度をもつこれらの繊維は、化合物の混合物、特に発酵培養液、組織培養液、植物培養液、細胞培養液、または血液からの化合物の(選択的)吸着、変換、単離または精製に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、同心状に配置された複数の多孔性層を有し、層の1つが非常にアクセスしやすく製造後に機能を維持する官能化されたまたは活性な粒子を含む、中空または中実の繊維に関する。また、本発明は、このような繊維の製造、および化合物の混合物、特に発酵培養液、組織培養液、植物培養液、細胞培養液または血液から化合物を(選択的)吸着、変換、単離または精製するための繊維の使用に関する。
発明の背景
この技術においては、粒子材料の使用を含む多孔性繊維を製造するための方法が知られており、これらは大抵、繊維に望ましいポロシティを導入する追加のプロセス工程を必要とする。粒子材料を含む繊維を製造する工程の後、非多孔性繊維から粒子材料を除去するか、または非多孔性繊維を延伸して多孔性繊維をもたらす。後者の場合にのみ、ある種の(収着)機能を有する粒子を含む微小多孔性繊維が得られる。
それに関連する不利益は、それらのプロセスが最終製品となる繊維の形成後の追加のプロセス工程を含み、最終製品となるために採用される必要のある実際のプロセス工程に応じて、好適な出発材料を追加のプロセス工程の条件を維持し得る特性とともに選択しなければならないことである。明らかに、そのような要求は、用いることができるポリマー材料と粒子材料の種類に対して制限を加える。粒子材料の充填度は、所望のポロシティを達成するためのマトリックス材料の十分な延伸を達成するのに必要とされる力により制限されることがある。粒子含有材料の延伸により、粒子材料は形成すべき多孔性構造から脱落することがある。溶融押出を含むプロセスにおいては、マトリックスポリマーを溶融させるのに必要な温度を維持し得る粒子材料のみが適用できる。それらの温度が200℃を遥かに上回ることはまれではない。
DD−A−233,385は、一段転相(one-step phase inversion)すなわちいわゆる湿潤紡糸プロセスを含む多孔性繊維の製造方法を開示している。押出の直後、繊維は凝結浴に入る。粒子を加えて高温での乾燥の間にポロシティを維持する。粒子のアクセス性と機能性はそこではあまり重要ではない。最終製品の特性および挙動は、用いられるポリマーの化学構造により本質的に決定されると述べられている。
DD A 233,385による方法の欠点は、60wt%未満の溶媒を含む凝結浴の中での直接紡糸は緻密な外表面と限定された粒子のアクセス性をもたらすということである。しかし、溶媒の量の増加は、紡糸プロセスの制御の困難をもたらす。初期繊維の脱混合の遅延のために、固化は時間がかかりすぎる。
前述の問題は、製造後でもアクセス性があり活性な、官能化されたまたは活性の粒子を含む多孔性ポリマー繊維の製造のためのWO−A−2004/003268による方法を用いて解決される。
しかし、その中で開示されている繊維は、粒子材料の限定された充填度を有するにすぎない。繊維の機械的強度の弱さおよびその限定された加工性は、糸、ワイヤまたはヤーンを共押出することにより部分的に克服することができ、75wt%の粒子含有量は十分な機械的強度をもつ繊維をもたらすことが報告されている。多くの用途について、最大の機能性を有する機械的に安定な繊維が望まし。それらの場合には、WO−A−2004/003268の方法を用いても明らかに達成できない、おそらく100%にさえなる高い数値まで充填度を高めることが望ましいであろう。
発明の概要
本発明の目的は、第1の多孔性層とそれと同心に配置された隣接する第2の多孔性層とを有する繊維であって、前記第1の多孔性層は粒子材料を含み、前記第2の多孔性層はポリマー材料を含み、これらの層の細孔は流体に対して少なくとも透過性である繊維を提供することである。
ポリマー材料の第2の多孔性層の共押出は、機械的不安定性に煩わされることなしに、当該技術において開示されるものより遥かに大きな粒子含有量をもつ官能化された繊維を生じ得ることがわかっている。糸またはヤーンの適用に対する追加の多孔性層の利益は、繊維の構成が官能化された粒子が外側にあるものに限定されないということである。安定性を与える第2層の存在のために、より高い粒子含有量を達成でき、さらに繊維の全重量に基づいて計算されるある全粒子密度をもつ本発明による繊維は、同一の粒子密度を有する一層繊維に対してより優れた機械的安定性を有する。
本発明によれば、第2の層は内側層または外側層のどちらでもあり得る。流体およびガスについての第2層の透過性のために、第2層がシェル層である場合には、粒子を含むコアがいまだアクセスでき、粒子は機能を維持する。実際、ポリマーの種類および第2の層のポロシティは、コア構造の中で望ましくない化学種のためのふるいとして外側層を用いる、および/または応用の条件に対する繊維の適合性をマッチさせることができるように、有利に微調整できる。さらに、シェル層としての第2層によりもたらされる向上した機械的安定性により、内部に最大の官能性をもつ繊維を生じることができる。
本発明の更なる目的は、このような繊維を製造するための方法であって、前記方法は、少なくとも2つの同心に配置された出口開口を有する紡糸ヘッドを用いる共押出工程を含み、ここで粒子材料を含む流れ(A)およびポリマー材料のための溶媒中のポリマー材料の流れ(B)を2つの隣接する出口開口を通して別々にかつ同時に供給し、その後、2つの流れを転相工程にかける方法を提供することである。
発明の詳細な説明
したがって、本発明の一態様において、繊維は第1の多孔性層と第2の多孔性層を具備する。本発明の目的のためには、いずれの層も外側層となり得る。もし第1の多孔性層が外側層であるなら、図1に示される構造が得られる。第2の多孔性層が外側層である場合には、繊維の断面は図2のそれに類似する。いずれの場合でも、第2の多孔性層は繊維に機械的安定性を与える。
第2の多孔性層が外側層である場合、第1の多孔性層は、層の全重量に基づいて計算して、0〜95wt%のポリマーマトリックスおよびその中に封入された100〜5wt%の粒子材料を含むことが好ましい。したがって、本発明の一実施形態においては、多孔性繊維は最大充填の粒子材料を有し、これは第1の多孔性層が層の全重量のうち100%の粒子材料を含むことを意味する。繊維コアでの高い粒子物体含有量は、ポリマーシェル層なしには不可能であろう。より好ましくは、内側の第1の多孔性層は、5〜95wt%のポリマーマトリックスおよび95ないし5wt%の粒子材料を含み、最も好ましくは、5〜50wt%のポリマー材料および95〜50wt%の粒子材料を含む。これらの数値は層の乾燥重量に基づく。
しかし、第1の多孔性層が外側層である場合、それは好ましくは第1の多孔性層の全乾燥重量に基づいて計算して5〜95wt%のポリマーマトリックスおよびその中に封入された95〜5wt%の粒子材料を含む。本発明の繊維は、5〜50wt%のポリマーマトリックスおよび95〜50wt%の粒子材料を含む外側の第1の多孔性層を含むことがさらにより好ましい。
第1の多孔性層がポリマーマトリックスを含む本発明の態様において、ポリマーマトリックスはエラストマー、コポリマー、ポリマーの混合物、コポリマーの混合物またはポリマーとコポリマーの混合物を含むポリマーであり得る。好ましいポリマー材料は、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン−コ−ビニルアルコール、ポリビニリデンフルオリド、およびセルロースエステルである。しかし、本発明はこれらのポリマー材料に限定されず、他の好適な材料は当業者に明らかであろう。また、例えば、スルホン酸エステル化ポリマーのような化学的および/または物理的修飾されたポリマーを用いてもよい。また、2以上のポリマーの混合物を用いてもよい。
本明細書で用いる「粒子材料」という用語は、規則的(例えば球状)または不規則的形状を有する官能化されたまたは活性な粒子、並びに断片、繊維および金属粉末、例えば粉末ポリスチレンのようなプラスチック粉末を含む粉末、標準相シリカ、ヒュームドシリカおよび活性炭を包含することを意図する。100μmまでの平均粒径(直径)を有する粒子を用いてもよい。平均粒径は50μm未満であることが好ましく、1ないし35μmの範囲が好ましく、20μmより小さいことが好ましい。
「官能化されたまたは活性な粒子」とは、触媒的および/または(選択的)吸着特性、すなわち、特定の分子、特に、ペプチド、たんぱく質、核酸または他の生物学的化合物のような巨大分子についての親和性またはそれらとの相互作用を有する粒子と理解される。最も好適な粒子は、多孔性マトリックス形態と組み合わせて、高速吸着速度、容量および用途相応の選択性を有し、好適な薬剤を用いると分子の脱着を可能にする。特定の分子にとって好適な吸着性粒子の親和性は、疎水性、親水性または荷電した官能基、特にイオン交換官能基、分子(インプリントされた)認識、エピトープ認識、異性体選択的または他の特定の相互作用の観点から規定できる。「官能化されたまたは活性な粒子」という用語は、遺伝学的に修飾されているか修飾されていない、いずれかの生物細胞または生物を含むものとも理解され、その場合巨大分子の機能性がある。巨大分子の機能性がある限り、それらの細胞または生物の一部または全部が繊維を製造すると死滅するかもしれない。それらの細胞または生物またはその少なくとも大部分は、その性能を維持して、繊維製造後に物質を吸着または変換させることが好ましい。
更なる実施形態において、粒子材料を、大きさの分別のために、または光学的に活性な化合物の分離もしくは異性体の分離のために官能化するか、または逆相クロマトグラフィーで用いてもよい。光学的に活性な化合物の分離または異性体の分離は、選択的親和性に基づくであろう。
別の実施形態において、粒子は官能化されて反応混合物中で成分として機能し、特に触媒として反応を促進させる。また、吸着と触媒反応を組み合わせることが望ましいであろう。特に触媒は生物学的触媒でもよい。
好適な吸着用粒子は当業者に明らかであり、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂、架橋されたポリビニルピロリドン粒子(PVPP)、例えば修飾されていないかC2、C4、C6、C8もしくはC18またはイオン交換官能基により誘導されたシリカタイプ粒子、ゼオライト、TiO2、Al23などのようなセラミック粒子、磁性コロイダル粒子、修飾されていないか例えばスルホン酸、第4級アミンなどで誘導された多孔性スチレンまたはスチレンジビニルベンゼンタイプの粒子のような多孔性または非多孔性ポリマー粒子、分子がインプリントされた粒子および(均質な)触媒粒子を含む。
更なる実施形態において、粒子材料は、繊維製造後に次の官能化によりその機能を変更してもよい。例えばイオン交換粒子は、次の架橋反応により粒子上にとどまるたんぱく質を吸着してもよい。たんぱく質により修飾されたイオン交換(IEX)粒子は、元の吸着機能とは異なる機能を有する。別の例は、例えば、多孔性マトリックスの内側の官能化された粒子上の(均質)触媒の不動化である。
繊維を、毒性または存在すべきでない(小さな)有機化合物を除去することにより無毒化または精製のための手段として適用する場合、例えば活性炭のような吸着性粒子材料を用いてもよい。
典型的には第1の多孔性層の細孔のサイズは20μm以下であり、好ましくは5μm未満である。細孔径は用途に依存するけれども、細孔径は加工の間の粒子損失を回避するために粒径を超えないほうがよい。
第2の多孔性層は、第1の多孔性層のポリマーマトリックスと同一か別のポリマーを含む。再び、本発明はあるポリマー材料に限定されず、他の好適な材料は当業者に明らかであろう。このポリマー層の主たる機能は、繊維に機械的強度を与えることである。第2に、特に、第1の多孔性層の官能化された粒子材料へのアクセスを維持するために、層を繊維の外側層に選ぶ場合に、着目している化合物または化学種に対して層が透過性であることが好ましい。一実施形態において、第2の層を繊維の内側層に選ぶ場合、第2の層のポロシティはあまり重要ではなく、機械的強度を与える層は非多孔性でもよい。別の実施形態において、第2の多孔性層はポリマーマトリックス中に封入された官能化されたまたは活性な粒子も含み、それによって1つまたは異なるポリマーマトリックスに異なる官能性または異なるポリマーマトリックス中の官能化された粒子材料を有する多孔性繊維をもたらす。
前述のように、第2の多孔性層を外側層に選択した場合、繊維に好ましい特徴を与えるポリマーの種類を選択することが有益であろう。一般的に、食品中にある成分と共存し得るポリマーを用いることが有益である。好ましくは、そのようなポリマーは、食品成分との相互作用が少ないことを示し、このことは供給流からの成分との非選択的相互作用を防止する。より好ましくは、生体適合性であり、特に血液適合性である第2の多孔性層のポリマーが選択される。ポリウレタンまたはポリカーボネートとポリウレタンのコポリマーまたはポリ乳酸は、例えば、この目的のために好適である。別の実施形態において、ポリマーは血漿タンパク質および核酸のような生物ポリマーと繊維の表面との非特異的相互作用を防止する。
第2の多孔性層の細孔径は、繊維製造において調節可能なパラメーターである。本発明の一態様において、第2の多孔性層の平均細孔径は、ふるいとして機能する第1の多孔性層のサイズより小さく選択することができる。好ましくは、第2の多孔性層の平均細孔径は第1の多孔性層の平均細孔径の75%未満であり、さらにより好ましくは50%未満である。平均細孔径は(SEM、ESEMのような)顕微鏡法によって測定することができる。このような第2の多孔性層の障壁またはふるい分け特性は、望ましくない化合物または化学種が繊維の官能化された粒子物体と接触することを防止する。官能化された粒子のサイズ(遮蔽性)または親和性のために繊維の内部の化合物または化学種の存在は望ましくないであろうし、いずれにしても繊維の官能化能力を減少させる。本発明の一実施形態において、第2の多孔性層の平均細孔径は赤血球のサイズより小さく、典型的にはほぼ7μm、好ましくは5μm未満が好ましい。別の実施形態において、第2の多孔性層の平均細孔径は第1の多孔性層の細孔のサイズより大きい。
本発明は第3の多孔性層を含む多孔性繊維も包含し、この場合、第2と第3の多孔性層は第1の多孔性層をはさむ。この第3の多孔性層は、他の層と同一か異なるポリマー材料を含む。第2の多孔性層のように、第3の多孔性層が機械的強度を与えてもよく、繊維の環境との適合性を改善する。一実施形態において、第3の層は第1の多孔性層のような粒子材料を含み、それにより中に封入されたより多くの官能基を有する繊維を提供する。
ここで用いられる「繊維」という用語は、中空と中実の繊維を含む。用途の種類に応じて、中空か中実かいずれかのコアを有する繊維の好適な形態を選択する。例えば、多孔性ポリマー層を通し、その後に粒子材料を含む多孔性層を通し、再び多孔性ポリマー層を通して、繊維の内側から繊維の外側に、またはその逆に、供給流を流動させる中空繊維モジュールを製造することができる(図4)。繊維の層を通るそのような流れは圧力降下を引き起こす。この圧力降下は、小さな粒径を用いた場合、特に比較的高濃度、特に100%の場合、粒子層の厚さと多孔性に依存する。繊維の優れた機械的安定性および最適な官能基量(最大限、即ち100%に近い粒子充填)のために、2つのポリマー層の間に第1の多孔性層をはさむことが好ましいであろう。どんな順序でも、第1と第2の多孔性層のみを含む中空繊維も本発明の範囲内にある。
典型的な繊維直径は、10μmないし3mm、好ましくは少なくとも50μmであり、一方でほとんどの場合に0.1ないし2mm、好ましくは少なくとも0.5mmの直径を有する繊維を用いることが有益である。粒子材料を含む第1の多孔性層が内側層を形成する場合、0.5mm未満の層厚さを有することが好ましい。
本発明の更なる目的は、共押出工程および転相工程を含むそのような繊維を製造するための方法を提供することである。
「共押出」とは、多数の開口を有する紡糸ヘッドを用いる別々の材料の同時押出と理解される。
「転相」とは、以下のことにより誘起され得る相分離と理解される。すなわち、均質溶液の温度の変化(熱相分離)、非揮発性非溶媒を含むポリマー溶液からの溶媒の蒸発(蒸発誘起相分離)、非溶媒蒸気の浸透(蒸気誘起相分離)、または非溶媒浴中での均質ポリマー溶液の浸漬(浸漬誘起相分離)。本発明の方法においては後者が好ましい。
本発明の方法においては、WO−A−2004/003268の第11ページ第2行から第20行に記載される二段転相法を用いることが好ましい。要約すると、凝結浴に入れる前に初期繊維の外側が選択された媒質と接触し、層の外部の組成に変化をもたらす。これが相分離プロセスの第1段階とみなされる。繊維が凝結浴に入るとき、初期繊維はさらに相分離し、構造が固定される。これが相分離の第二段階とみなされる。
WO−A−93/12868に記載される三層紡糸口金を用いて、第1工程で液体、蒸気、ガスまたは蒸気/ガス混合物の流れを第3の最も外側の出口開口を通して供給し、外側の多孔性層の細孔径の制御を可能にする。しかし、内壁の細孔径が制御された中空繊維の製造方法を提供することは、本発明の範囲内であるとみなされる。その場合、液体、蒸気またはガスの流れは、代わりに、紡糸ヘッドの最も内側の出口開口を通して供給される。
単純なチューブインオリフィス紡糸口金も本発明の方法で用いることができるが、繊維表面のポロシティを変化させる上であまり柔軟性がない。というのは、第1の凝結工程で外側層のポロシティを制御するために残される出口開口が存在しないためである。外側表面のポロシティを制御するために三層紡糸口金を用いる代わりに、雰囲気が蒸気、ガスまたは蒸気/ガス混合物の連続流により制御される「チムニー(煙突)」すなわち閉じたボックスにより初期繊維を紡糸してもよい。高温凝結浴を用いる場合、凝結浴からの蒸気の蒸発を外側層細孔構造に影響を与えるために用いることもできる。
共押出工程において、粒子材料を含む流れ(A)およびポリマー材料のための溶媒中のポリマー材料の流れ(B)を2つの隣接する出口開口を通して別々にかつ同時に供給する。流れ(A)および流れ(B)は、それぞれ、繊維の第1と第2の多孔性層を最終的にはもたらす。
流れ(A)は、流れ(A)の全重量に基づいてポリマーマトリックスの0〜50wt%を含む混合物であることが好ましい。粒子の好適な量は、用いるポリマーの種類と濃度に依存する。一般的に、粒子の量は1ないし95重量%で変化するであろう。したがって、流れ(A)は0%から50重量%のポリマー材料および1%から100重量%の粒子材料を含み、残部は溶媒であり、その重量は流れ(A)の全重量に基づいている。より好ましくは、流れ(A)は、0.5wt%から50wt%のポリマー材料および1wt%から95wt%の粒子材料を含む。したがって、単一の製造工程で第2の多孔性シェル層の中に封入される100wt%官能性粒子材料を含み、好ましくは0.5mm未満の内径を有する細い繊維寸法を選択する繊維を製造することができる。
より好ましくは、流れ(A)は3〜50wt%、最も好ましくは5〜20wt%のポリマー材料を含む。好ましくは、マトリックスポリマー濃度は12重量%未満、より好ましくは10重量%未満である。流れ(A)中の粒子の量は、より好ましくは乾燥重量に基づいて、流れ(A)の1ないし97wt%、典型的には30wt%を超え、さらにより好ましくは40wt%を超え、最も好ましくは50〜90重量%である。好ましい濃度は用いる特定のポリマーと粒子材料および得るべき繊維の第1の多孔性層中の粒子の望ましい量に依存する。
流れ(B)は3から50wt%、好ましくは5〜25wt%のポリマー材料を含む。一実施形態において、さらに、流れ(A)により1から95wt%の官能化された粒子材料を流れ(B)に供給し、それによってポリマーマトリックス中に封入された粒子材料の2つの隣接層を有する多孔性繊維を得る。この場合、両層の粒子材料および/またはポリマーマトリックスは異なっていてもよい。流れ(A)および流れ(B)の両方とも、ポリマー材料を好適な溶媒に溶解するのがよいということが当てはまる。したがって、溶媒の種類はポリマーの選択に依存する。転相プロセスの観点からは、好ましくは水と良好に混和する溶媒を用いる。非溶媒との組み合わせでも、1以上の溶媒を用いてもよい。好適な溶媒は、限定されないが、N−メチル−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセタミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミド(FA)、テトラヒドロフラン(THF)、ε−カプロラクタム、ブチロラクトン、特に4−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノンおよびトリエチルホスホネートを含む。好ましい溶媒は、NMP、DMAc、DMF、DMSO、THF、ε−カプロラクタムおよび4−ブチロラクトンである。流れ(A)と流れ(B)の中のポリマーの選択は互いに独立になされるので、溶媒も異なっていてもよい。
溶媒および非溶媒ならびにあらゆる性質の添加成分の混合物を、いずれかの層の構造の形態に影響を与えるように凝結浴中に加えてもよい。例えば、巨視的なボイドの形成を減少もしくは防止するためにおよび/または疎水性を導入するために細孔形成剤として、および細孔連結促進剤として粘度に影響を与えるような添加剤を、流れ(A)および/または流れ(B)に加えてもよい。可能な添加剤は、限定されないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、デキストラン、グリセロール、ジエチレングリコール、オクタノールのような(高級)アルコール、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸のようなカルボン酸即ち有機酸、LiClおよびCaCl2のような塩を含む。所望の特性を有する繊維を製造するために(非)溶媒、添加剤の好適な(混合物)およびプロセス条件を評価し、適用することは当業者の裁量の範囲内にある。添加剤および/または非溶媒は、溶媒を部分的に置換し、0.01ないし50重量%の範囲で変化することができる。
封入された粒子材料を有する第1の多孔性層が内側層を形成する繊維を得るべきである場合には、流れ(A)を流れ(B)の内側で、第2の多孔性層が繊維の外側層である実施形態の逆の紡糸ヘッドを通して供給する。
中空コアおよび/または第3またはより高次の層が必要とされる実施形態については、必要とされる数の出口開口を備えた紡糸ヘッドに適合させること、および流れが開口を通過するのに必要な順序を選択することは当業者に明らかである。中空コアを作るためには、例えば、最も内側の開口を通る穿孔液体の流れ(C)、すなわちニードルを適用することが当該技術において知られている。繊維が第3のポリマー層を保持するために必要とされる場合、この層は流れ(B)と同じ条件と制限が適用される流れ(D)から形成される。それらの場合、共押出工程において、ポリマー材料のための溶媒の中のポリマー材料の流れ(D)は流れ(A)および流れ(B)と共押出され、流れ(A)が供給される出口開口は流れ(B)および(D)が供給される出口開口の間にはさまれ、その後に3つの流れが転相される。
上述のように、転相工程は好ましくは凝結媒体を含む。水は好ましい凝結媒体である。可能な凝結媒体および非溶媒の他の例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトンである。
【0002】
繊維で望ましいポロシティを得るために、温度、製造速度、湿度、空気間隙長さ、延伸速度および取り出し速度のような物理的なプロセスパラメーターの変化と組み合わせて非溶媒および溶媒の組み合わせを用いる。
上述のように、繊維壁のポロシティは主として第1の工程において繊維のシェル層を最終的に形成する流れに隣接する出口開口を通る液体、蒸気またはガスの流れの動きにより制御される。凝結浴に入る前の流れの組成と接触時間の選択は、シェル層が緻密になるか多孔性になるかを決定する。シェル層を最終的に形成する流れが好適な湿度の空気と接触すると、外側の層の表面は緻密になる。封入された粒子の最適なアクセス性の利益のために、好適な媒体を紡糸の間シェル層を最終的に形成する流れに沿って流すべきである。好ましくは、媒体はポリマーのための溶媒と非溶媒の液体混合物である。好ましくは、非溶媒は水である。
代わりに、ポリマーのための非溶媒を含むガス流を適用することができる。しかし、蒸気を用いる場合、蒸気経路への溶媒の注入が非溶媒の蒸気の内向きの拡散と比較して小さいことの結果として、繊維のシェル層を最終的に形成する流れが非揮発性溶媒を含むことを条件とする。2種類の非溶媒または溶媒と非溶媒の蒸気の混合物を繊維形成に影響を与えるために用いてもよい。ガス流または蒸気流の場合、好ましくは、非溶媒は水蒸気である。当業者は、第1の転相効果を生み出すためのガス流中の水蒸気の望ましい量を容易に決定することができる。
第1の多孔性層のポロシティは、参照により本明細書に組み込まれるWO−A−2004/003268の第10ページ第4〜26行に詳細に説明されているポリマー材料の濃度、添加剤の量と種類、粒子材料のサイズ、含有量および官能性を変化させることにより制御することができる。機能性の変化は、粒子の内部、粒子上、または粒子の官能基の変化を意味する。
このように製造された多孔性繊維は、例えば熱処理、化学処理(例えば酸化または特定の添加剤による劣化加速とその後の洗浄)、延伸または更なる官能化工程のような後処理を経て粒子を活性化させ、繊維の多孔性構造を固定し、多孔性繊維の細孔径を減少または増加することができる。用いるポリマーおよび粒子に応じて、当業者は好適な温度または温度範囲を決定して熱処理に適用できるであろう。
しかし、本発明の方法により製造される繊維はそのまま、繊維がモジュール中に含まれる本発明の別の実施形態で用いることができる。好適には、そのようなモジュールは、ハウジングの内部に充填されたらせん状に巻かれた繊維マット、ハウジングの内部に縦方向に充填された繊維の束、ハウジングの内部に横方向に流れる繊維形態、ハウジングの内部の並列または交差モードのスプールとして巻かれる繊維、またはハウジングの内部のいずれか他の規則的または不規則的な繊維充填形態を含む。本発明の方法により製造される任意に細かく分割された形態の繊維を含む他のボディも本発明の範囲内にある。そのようなボディは例えばクロマトグラフィーのためのカラムを含む。
本発明の多孔性繊維および多孔性繊維のモジュールは、粒子の選択に応じて広範な用途、ポロシティおよび第2の多孔性層の組成についての選択肢を有する。それらは、化合物の混合物、特に発酵培養液、組織培養液、植物培養液、細胞培養液、酪農製品または血液からの化合物の(選択的)吸着、変換、単離および/または精製、または反応混合物中の触媒の不動化のために用いることができる。本発明では、官能化された粒子へのアクセスを受ける、または繊維と環境、特に生物学的環境の相容性を促進するために、着目している化合物を篩い分けて予備選択する第2の多孔性層の能力を簡便に適用することができる。例えば、用途は、ペプチドとたんぱく質の単離、親和性に基づく分離のための固定された配位子、クロマトグラフィー、反応のための固定された触媒と酵素、放出と生成物の保護などを含む。当業者は、好適なポリマー材料と望ましい用途に応じて任意の添加剤と組み合わせて好適な粒子と粒子の官能化を選択できるであろう。特に関心のある用途は、一般的に発酵培養液、組織培養液、植物培養液、または細胞培養液からのモノクローナル抗体を含む所望のたんぱく質の単離、触媒と酵素の反応、無毒化、生成物保護および放出系である。
【0003】
例1
以下の組成を有する均質ポリマー溶液1を、9.5wt%のポリエーテルスルホン(ウルトラソンE6020P)、24wt%のポリエチレングリコール400、4.5wt%のPVP、6.8wt%の乾燥セファロースFF(34μm)、6wt%の水および49.2wt%のN−メチルピロリドン(NMP)を混合することにより調製した。加えて、以下の組成を有する均質ポリマー溶液2を、16wt%のポリエーテルスルホン(ウルトラソンE6020P)、38.75wt%のポリエチレングリコール400、38.75wt%のN−メチルピロリドンおよび6.5wt%の水を混合することにより調製した。
両方の溶液を、以下の寸法、IDチューブ=0.4mm、ODチューブ=0.6mm、IDmmオリフィス=1.2mmを有するチューブインオリフィス紡糸口金を通して同時に押出した。溶液1を紡糸口金のチューブを通して5.1ml/minの流量で押出し、溶液2を紡糸口金のオリフィスを通して0.51ml/minの流量で押出した。45mmの空気間隙を通過した後、二層初期繊維を水浴に入れた。ここで相分離が起こる。すべての溶液を室温のままにした。
得られた繊維の断面を図5に示す。繊維のコア層(層1)をより拡大したものは明らかに封入されたセファロース粒子を有する極度の開構造を示す。図6Aを参照されたい。外側層(層2)を拡大したものは、この層も多孔性であり全くセファロース粒子を含まないことを明らかに示す。図6Bを参照されたい。これらの写真から、層2は層1より顕著に緻密な構造を有するので、層1のみからなる繊維と比較してより優れた機械的強度を繊維に与えることが容易に理解できる。層1は層1の全乾燥重量に基づいて40wt%の粒子含有量を有する。湿潤状態では、その重量は粒子による水の吸収のために層のほぼ83wt%となる。
【0004】
比較例1
例1により調製された繊維を、匹敵する量の粒子を有する層1のみからなる繊維と比較した。それに対して、例1による溶液1を、以下の寸法、IDチューブ=0.4mm、ODチューブ=0.6mm、IDmmオリフィス=1.2mmを有するチューブインオリフィス紡糸口金のチューブを通して室温で押し出した。押出速度は1.75ml/minであった。25mmの空気間隙の通過後、初期繊維は相分離が起こる室温の水浴に入る。
このように得られた繊維を、引張試験機(タイプ ツゥイック Z020)で測定した機械的安定性の観点から本発明による繊維と比較した。クランプ(LE位置)の間の距離は15mmであり、弾性率速度は10mm/minであった。予備充填は0.1cNであり、予備充填速度は10mm/minであった。層1のみからなる繊維は乾燥状態で1.3±0.2MPaの破壊時引張応力および13.9±0.8%の破壊時延伸を有し、湿潤状態(20wt%エタノール溶液)で破壊時引張応力は1.05MPaであり、破壊時延伸は19.4±1.1%である。二層からなる繊維(図5に示される)は乾燥状態で1.9±0.2MPaの破壊時引張応力および28.9±0.3%の破壊時延伸を有し、湿潤状態(20wt%エタノール溶液)で破壊時引張応力は1.41±0.05MPa、破壊時延伸は45.8±4.7%である。
【0005】
例2
例1で規定したのと同じ溶液を、以下の寸法、IDチューブ=0.4mm、ODチューブ=0.6、IDmmオリフィス=1.2mmを有するチューブインオリフィス紡糸口金を通して同時に押出した。溶液2を紡糸口金のチューブを通して5.1ml/minの流量で押出し、溶液1を紡糸口金のオリフィスを通して0.51ml/minの流量で押出した。45mmの空気間隙の通過の後、二層初期繊維は相分離が起こる水浴に入った。これは、層2であるコア層(セファロース粒子がない)および層1である外側層(層1の全重量に基づいて40wt%のセファロース粒子を有する)を有する二層繊維をもたらす。
例3
以下の組成を有する均質ポリマー溶液3を調製した。15wt%のビオネート(登録商標)80A(ポリマー・テクノロジー・グループ社からのポリカーボネート系ポリウレタン)、2wt%のPVP K90および83wt%のN−メチルピロリドン(NMP)。
【0006】
例1による溶液1と溶液3とを以下の寸法、IDチューブ=0.4mm、ODチューブ=0.6mm、IDmmオリフィス=1.2mmを有するチューブインオリフィス紡糸口金を通して同時に押出した。溶液1を紡糸口金のチューブを通して5.1ml/minの流量で押出し、溶液3を紡糸口金のオリフィスを通して0.51ml/minの流量で押出した。45mmの空気間隙を通過した後、二層初期繊維は相分離が起こる水浴に入った。すべての溶液は室温であった。
これは、封入されたセファロース粒子を含むきわめて多孔性のコア層(層1)および繊維の外側の層2を有する、図5で示されるもの(例1により調製された)と同様の二層繊維をもたらし、得られた繊維は多孔性で生体適合性であった。
例4
溶液4を、以下の成分、1gの乾燥セファロースFF(34μm)、2.3gの水および9.2gのNMPを混合することにより調製した。
例1の溶液2および溶液4を以下の寸法、IDチューブ=0.4mm、ODチューブ=0.6mm、IDmmオリフィス=1.2mmを有するチューブインオリフィス紡糸口金を通して同時に押出した。溶液4を紡糸口金のチューブを通して5.1ml/minの流量で押出し、溶液2を紡糸口金のオリフィスを通して0.51ml/minの流量で押出した。65mmの空気間隙を通過した後、二層初期繊維は相分離が起こる水浴に入った。すべての溶液は室温であった。これは、繊維のコアに封入された純粋な粒子の層を有する多孔性ポリエーテルスルホンの中空繊維をもたらす。図7を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】内側多孔性ポリマー層2と封入された粒子材料を有するポリマーマトリックスからなる外部多孔性層1とを有する本発明の多孔性繊維の断面の模式図である。
【図2】封入された粒子材料を有するポリマーマトリックスからなる内側多孔性層1と外部多孔性ポリマー層2を有する本発明の多孔性繊維の断面の模式的図である。
【図3】内側多孔性層1が100wt%粒子材料からなるという差がある、図2のそれと同様な多孔性繊維の断面の模式図である。
【図4】中空コア4と、ポリマー材料の第2と第3の多孔性層(2および3)の間にはさまれた粒子材料を有するポリマーマトリックスからなる多孔性層1とを有する多孔性繊維の断面の模式図である。
【図5】封入された34μmの40wt%(乾燥)のセファロース粒子材料を有するPEG/ポリエーテルスルホンマトリックスの内側多孔性層と、外部多孔性PEG/ポリエーテルスルホン層とを示す、実験的に製造された繊維の断面の100倍拡大図である。
【図6a】図5に示される共押出二層繊維の内側層の断面の1000倍拡大図である。
【図6b】図5に示される繊維の外側層の断面の10,000倍拡大図を示す。
【図7】多孔性PEG/ポリエーテルスルホン外側層により取り囲まれた内側にセファロース粒子材料のみを有する実験的に製造された繊維の断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の多孔性層とそれと同心に配置された隣接する第2の多孔性層とを有する繊維であって、前記第1の多孔性層は粒子材料を含み、前記第2の多孔性層はポリマー材料を含み、これらの層の細孔は流体に対して少なくとも透過性である繊維。
【請求項2】
繊維は第3の多孔性層を含み、第2と第3の多孔性層は第1の多孔性層をはさみ、前記第3の多孔性層はポリマー材料を含む請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
第2の多孔性層は外側層であり、第1の多孔性層は層の全重量に基づいて計算して0〜95wt%のポリマーマトリックスとその中に封入された100〜5wt%の粒子材料とを含む請求項1または2に記載の繊維。
【請求項4】
第2の多孔性層のポリマー材料は生体適合性、好ましくは血液適合性である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項5】
第2の多孔性層の平均細孔径は第1の多孔性層のそれより小さい請求項1ないし4のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項6】
第2の多孔性層の平均細孔径は赤血球のサイズより小さい請求項1ないし5のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項7】
第1の多孔性層は外側層であり、前記第1の多孔性層は第1の多孔性層の全重量に基づいて計算して5〜95wt%のポリマーマトリックスとその中に封入された95〜5wt%の粒子材料を含む請求項1に記載の繊維。
【請求項8】
繊維は中空コアを有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項9】
粒子材料は触媒特性および/または(選択的)吸着特性を有する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の繊維の製造方法であって、前記方法は、少なくとも2つの同心に配置された出口開口を有する紡糸ヘッドを用いる共押出工程を含み、ここで粒子材料を含む流れ(A)およびポリマー材料のための溶媒中のポリマー材料の流れ(B)を2つの隣接する出口開口を通して別々にかつ同時に供給し、その後、2つの流れを転相させ、好ましくはここで2つの流れを二段階転相プロセスにかけて多孔性層を有する繊維を得る方法。
【請求項11】
流れ(A)は0〜50wt%のポリマーマトリックスと1〜100wt%の粒子材料とを含む混合物である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
流れ(B)は3ないし50wt%のポリマー材料を含む請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
二段階転相プロセスは、液体、蒸気またはガスの流れ(C)を第3の最も外側の出口開口を通して供給する三層紡糸口金を用い、外側の多孔性層の細孔径の制御を可能にすることを含む請求項10ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
流れ(A)を流れ(B)の内側の紡糸ヘッドを通して供給する請求項10ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ポリマー材料のための溶媒中のポリマー材料の流れ(D)を共押出し、流れ(A)を供給する出口開口を、流れ(B)および(D)を供給する出口開口の間にはさみ、その後、3つの流れを転相させて、3つの多孔性層を有する繊維を得る請求項10ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
転相の工程に続けて、熱処理、化学処理、延伸、または更なる官能化工程の工程を行い、粒子を活性化させるか、繊維の多孔性構造を固定するか、または多孔性繊維の細孔径を減少させる請求項10ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
化合物の混合物、特に発酵培養液、組織培養液、植物培養液、細胞培養液、酪農製品または血液からの、化合物の(選択的)吸着、変換、単離または精製のための請求項1ないし9のいずれか1項に記載の繊維の使用。
【請求項18】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の繊維を含むモジュールであって、前記モジュールは、ハウジングの内部に充填されたらせん状に巻かれた繊維マット、ハウジングの内部に長さ方向に充填された繊維の束、ハウジングの内部の横方向流れの繊維構成、ハウジングの内部の並流または交差モードのスプールとして巻かれた繊維、またはハウジングの内部の他の規則的または不規則的な繊維充填構成を含むモジュール。
【請求項19】
化合物の混合物、特に発酵培養液、組織培養液、植物培養液、細胞培養液、酪農製品または血液からの、化合物の(選択的)吸着、変換、単離および/または精製のための請求項1ないし9のいずれか1項に記載の繊維または請求項18に記載のモジュールの使用。
【請求項20】
反応混合物中の触媒の不動化のための請求項1ないし9のいずれか1項に記載の繊維または請求項18に記載のモジュールの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−510083(P2008−510083A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527080(P2007−527080)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000593
【国際公開番号】WO2006/019293
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(507053910)
【Fターム(参考)】