説明

機能性食品

【課題】 栄養価が高く、脳の老化を防止する服用し易い機能性食品を提供すること、また、カプセルに充填し易く、また、水に分散させても顆粒状を維持して飲みやすい機能性食品を提供すること。
【解決手段】 粉末状明日葉と、粉末状イチョウ葉エキスを含有する機能性食品であって、特にカプセル剤の場合、粉末状明日葉の粒度分布は、350μm以上が5%以下、350μm〜50μmが60%以上であり、顆粒剤の場合、粉末状明日葉の粒度分布が、100μm以上が5%以下、100μm〜10μmが70%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状明日葉と粉末状イチョウ葉エキスを含有する機能性食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
伊豆諸島原産の明日葉は、セリ科に属し、生命力が強く、栄養価の高い植物として知られている。具体的には豊富なビタミンA(βカロチン)、ビタミンC、葉酸、ビタミンB、Bのビタミン群やカルシウム、カリウム、鉄等のミネラルが豊富に含まれている。近年、明日葉の葉、茎、根に神経成長因子(NGF)が含まれていることが報告されており(平成13年、日本生薬学会、タカラバイオ)。また明日葉を含有する健康食品や機能性食品も多数提案されている。例えば特開2003−235503号公報には、有臭の天然食品素材に煎茶エキスと明日葉を配合した機能性食品が開示されている。
【0003】
一方、イチョウは中国から日本にかけての東アジアに分布する樹木であり、そのイチョウから採れるイチョウ葉エキスはドイツ、フランスでは耳鳴りやめまいの治療薬として使用されており、また日本では健康食品として利用されている。例えば特開2002−233332号公報には、イチョウ葉エキス及びグルタチオンを含む、高い抗酸化活性を有する組成物が開示されている。
【特許文献1】特開2003−235503号公報(請求項2)
【特許文献2】特開2002−233332号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、粉末状明日葉と粉末状イチョウ葉エキスを含有する機能性食品は知られていない。また、粉末状明日葉と粉末状イチョウ葉エキスを含有する機能性食品がカプセル剤の場合、カプセルに粉末状明日葉と粉末状イチョウ葉エキスの混合粉末が円滑に充填できない場合がある。更に粉末状明日葉と粉末状イチョウ葉エキスを含有する機能性食品が顆粒剤である場合、顆粒状を保てなくなったり、顆粒状にできても、顆粒を水に分散させると粉の沈降が早く飲みにくいものとなる等の問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、栄養価が高く、脳の老化を防止する服用し易い機能性食品を提供することにあり、また、カプセルに充填し易く、また、水に分散させても顆粒状を維持して飲みやすい機能性食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、粉末状明日葉と粉末状イチョウ葉エキスを含有する機能性食品が、栄養価が高く、脳の老化を防止する服用し易いものであること、また、粉末状明日葉と粉末状イチョウ葉エキスの混合粉末において、特定の粒度分布を有する粉末状明日葉を配合させたものが、カプセル剤の場合はカプセルに充填し易く、また、顆粒剤の場合は水に分散させても顆粒状を維持して飲みやすいことなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明(1)は、粉末状明日葉と、粉末状イチョウ葉エキスを含有する機能性食品を提供するものである。
【0008】
また、本発明(2)は、カプセル剤、又は顆粒剤である前記機能性食品を提供し、また、本発明(3)は、カプセル剤は、カプセルに充填される粉末状明日葉の粒度分布が、350μm以上が5%以下、350μm〜50μmが60%以上である前記機能性食品を提供し、また、本発明(4)は、顆粒剤は、粉末状明日葉の粒度分布が、100μm以上が5%以下、100μm〜10μmが70%以上である前記機能性食品を提供し、また、本発明(5)は、前記粉末状のイチョウ葉エキスは、フラボノイド配糖体20%以上、テルペンラクトン類が5%以上、ギンコール酸が1ppm以下のものである前記機能性食品を提供し、また、本発明(6)は、粉末状イチョウ葉エキス100重量部に対して、粉末状明日葉の配合量が、500〜2500重量部である前記機能性食品を提供し、また、本発明(7)は1日当りの摂取量が、粉末状明日葉500mg以上、且つイチョウ葉エキス90mg以上である前記機能性食品を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粉末状明日葉と、粉末状イチョウ葉エキスを含有する機能性食品は、栄養価が高く、脳の老化を防止すると共に、服用し易い。また、特定の粒度分布を有する粉末状明日葉を使用すれば、カプセル状で用いる場合はカプセルに充填し易く、また、顆粒状で用いる場合は水に分散させても顆粒状を維持して飲みやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において用いる粉末状明日葉は、明日葉の粉末状物である。明日葉はセリ科シシウド属の多年草であり伊豆諸島、本州南部から九州までの暖林帯に自生しているものが使用でき、根葉の葉柄が緑色で背丈が2mくらいまで伸びる青茎系と呼ばれる品種のものが好ましい。粉末状明日葉は、明日葉を乾燥殺菌処理した後、粉砕することで得られる。なお、粉砕後、必要に応じて公知の方法の分級工程を行ってもよい。
【0011】
カプセルに充填される粉末状明日葉の粒度分布は、350μm以上が5%以下、好ましくは2%以下、350μm〜50μmが60%以上、好ましくは75%以上である。粉末状明日葉の粒度分布が当該範囲にあるものは、イチョウ葉エキスと混合して用いる際、カプセルに所定の量が容易に充填できるため、生産効率が向上する。粒子径350μm以上が5%を超えると、カプセルに所定の量を充填し難くなる。カプセルに所定の量が充填できなくなると、再度の分級作業が必要となり、生産効率が顕著に低下する。50μm以下が40%を超えると、粉が舞い易く、充填機の内壁にも付着し易く作業性が悪くなる。また、粉の流動性が悪くなり、空気を抱き込んだ塊状になるため、かさも増え、充填量が不十分になり、所定量充填するために粉を押し込む作業等が発生する。
【0012】
顆粒剤の場合、粉末状明日葉の粒度分布は、100μm以上が5%以下、好ましくは2%以下、100μm〜10μmが70%以上、好ましくは80%以上である。粉末状明日葉の粒度分布が当該範囲にあるものは、顆粒状にし易く、また水に分散して服用する場合にも、顆粒状を維持し沈降し難いため飲み易い。100μm以上が5%を超えると、粒子径の大きいものが多くなり、崩壊し易くなって、顆粒状を保てなくなる。また、例え顆粒状を保ったとしても、水に分散して飲用する場合、粉が早期に沈殿して飲み難くなる。
【0013】
本発明で用いる粉末状イチョウ葉エキスとしては、例えばフラボノイド配糖体20%以上、テルペンラクトン類5%以上、ギンコール酸1ppm以下のものが使用できる。フラボノイド配糖体及びテルペンラクトン類は粉末状イチョウ葉エキスの有効成分であり、脳循環代謝の改善に効果があることが知られている。一方、ギンコール酸は、検出されないほど、微量であるため、ギンコール酸に起因するアレルギーを引き起こすこともない。このような粉末状イチョウ葉エキスは例えば特開2000−128792号公報に記載の方法で得ることができる。また、市販品を使用してもよい。
【0014】
本発明の機能性食品の剤型としては、特に制限されないが、通常カプセル剤又は顆粒剤である。カプセル剤や顆粒剤は慣用されている方法により製造することができる。また、本発明の機能性食品は、上記必須成分の他、亜鉛、葉酸等の食品添加物を更に配合されたものであってもよい。また、本発明の機能性食品は、例えば健康食品として供給することができる。
【0015】
本発明の機能性食品において、粉末状明日葉と粉末状イチョウ葉エキスの混合比率としては、特に制限されないが、粉末状明日葉は、粉末状イチョウ葉エキス100重量部に対して、500〜2500重量部であることが好ましく、更に1日当りの摂取量が、粉末状明日葉500mg以上、且つイチョウ葉エキス90mg以上とすることで、栄養価が高く、脳の老化を防止する機能を発現する。具体的には、内容量200mgのカプセルを1日、4〜6粒を目安に水などで飲めばよい。
【0016】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0017】
明日葉の新芽を採取し、乾燥殺菌処理をし、粉砕し、粒度分布が350μm以上が1%、350μm〜50μmが75%、50μm未満が24%である粉末状明日葉を得た。粉末状イチョウ葉エキスはフラボノイド配糖体20%以上、テルペンラクトン類が5%以上、ギンコール酸が1ppm以下の市販品を使用した。各原料を1カプセル当り、粉末状明日葉180mg、粉末状イチョウ葉エキス20mg、葉酸100μg及び亜鉛含有パン酵母(亜鉛含有量2%)0.3gとなるように事前に混合した。次いで、これら粉末状混合物をハードカプセル充填機を用いてゼラチンハードカプセル(サイズ2号)に充填した。その結果、粉末状混合物は目標の量である200mgをカプセルに容易に充填できた。
【0018】
比較例1
粒度分布が、350μm以上が0%、350μm〜50μmが40%、50μm未満が60%である粉末状明日葉を使用した以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果、粉末状混合物のカプセル充填時間は実施例1に比べて2倍の時間がかかり、また、200mg/カプセルの設定に対して、180mgまでしか充填できなかった。
【実施例2】
【0019】
明日葉の新芽を採取し、乾燥殺菌処理をし、粉砕し、粒度分布が100μm以上が1%、100μm〜10μmが83%、10μm未満が16%である粉末状明日葉を得た。粉末状イチョウ葉エキスはフラボノイド配糖体20%以上、テルペンラクトン類が5%以上、ギンコール酸が1ppm以下の市販品を使用した。粉末状明日葉30,000g、粉末状イチョウ葉エキス500gを事前に混合し、バインダーとして、デキストリン200g及び水100gを更に添加し、攪拌機で攪拌後、乾燥させ、顆粒状とした。その結果、顆粒状にする加工は円滑に行われた。
【0020】
比較例2
粒度分布が、100μm以上が45%、100μm〜10μmが45%、10μm未満が10%である粉末状明日葉を使用した以外は、実施例2と同様の方法で行った。その結果、顆粒状にする加工は円滑に行われたものの、顆粒を水に分散させると、粉の沈殿は実施例2より早く、飲み難い飲料となった。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の機能性食品は、栄養価が豊富であり、神経成長因子(NGF)の産生を促したり生存を維持する機能と、損傷した細胞の修復や脳の老化防止作用を発現させることができ、また、聴力回復剤、めまい改善剤、耳鳴り改善剤としての機能を発揮する。このため、健康食品として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状明日葉と、粉末状イチョウ葉エキスを含有することを特徴とする機能性食品。
【請求項2】
カプセル剤、又は顆粒剤であることを特徴とする請求項1記載の機能性食品。
【請求項3】
カプセル剤は、カプセルに充填される粉末状明日葉の粒度分布が、350μm以上が5%以下、350μm〜50μmが60%以上であることを特徴とする請求項2記載の機能性食品。
【請求項4】
顆粒剤は、粉末状明日葉の粒度分布が、100μm以上が5%以下、100μm〜10μmが70%以上であることを特徴とする請求項2記載の機能性食品。
【請求項5】
前記粉末状イチョウ葉エキスは、フラボノイド配糖体20%以上、テルペンラクトン類が5%以上、ギンコール酸が1ppm以下のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の機能性食品。
【請求項6】
粉末状イチョウ葉エキス100重量部に対して、粉末状明日葉の配合量が、500〜2500重量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の機能性食品。
【請求項7】
1日当りの摂取量が、粉末状明日葉500mg以上、且つイチョウ葉エキス90mg以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の機能性食品。




【公開番号】特開2006−25630(P2006−25630A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205436(P2004−205436)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】