説明

欠点検査装置

【課題】従来のコイン型電池用ガスケットの人による目視での欠点および外観の全数検査を無くし、特に二次電池用ガスケットの微小欠点を自動で精度良く効率的に検査判定するための欠点検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の欠点検査装置は、射出成形品であるコイン型電池用ガスケットの表裏面を反転させることなく、複数のカメラにより表裏両面の撮影が可能な検査部位構造を有する回転テーブルからなることを特徴とし、その撮影画像からガスケットの良否を判定、選別する機構を具備し、自動で精度良く効率的に検査判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイン型電池用ガスケットの欠点および外観、特に内周のバリ、異物、クラック、ひげ等の欠点および変形、ヒケ等の外観を自動で精度良く効率的に検査判定し、かつ良否判定品を選別することのできる欠点検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コイン型電池用ガスケットは種類も多く、大きさおよび形状は異なり、現状は人による目視での全数検査が一般的である。しかるに携帯電話等の二次電池用ガスケットはより小さく、数量が膨大になってきている現状では、人件費コストもさることながら熟練の検査員でも微小欠点のある製品を見分けることが非常に難しい状況である。
本発明に関する従来技術として特許文献に記載されたものとしては、例えば微小なチップ状の電子部品の外観検査機として、特開2000−203713公報、特開2000−266521公報に見ることができる。該公報には、微細電子部品をあらゆる角度から外観検査する方法が記載され本発明と同様回転テーブルを使用しているが、一方向では検査出来ない部分の検査については、検体を反転あるいは回転させることが必要であり、非常に複雑な装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−203713公報
【特許文献2】特開2000−266521公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコイン型電池用ガスケットの人による目視での全数検査を無くし、特に二次電池用ガスケットの微小欠点を自動で精度良く効率的に検査判定するための欠点検査装置を提供することにある。
【0005】
本発明に類似する従来技術としては、微小なチップ状の電子部品の外観検査機として特開2000−203713公報、特開2000−266521公報に見ることができるが、この従来技術は一方向では検査出来ない部分の検査については、検体を反転あるいは回転させることが必要であり、非常に複雑な装置にならざるを得ないとの問題がある。
【0006】
本発明は上記従来の事情および問題を鋭意検討し、コイン型電池用ガスケットの欠点および外観を精度よく効率的に検査判定し、かつ良否判定品を選別することのできる欠点検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の欠点検査装置は、コイン型電池用ガスケットを同一表裏面で整列させて順次1個ずつ供給する供給機構と、この供給機構から供給されたガスケットを保持して搬送しながら、該ガスケットの表裏面を反転させることなく複数のカメラにより表裏両面の撮影が可能な検査部位構造を有する回転テーブルからなる搬送機構と、撮影画像からその外観の良否を判定する画像処理機構および良否判定品を選別する機構を具備することを特徴とする。
【0008】
回転テーブルからなる搬送機構は、所定角度ごとの回転テーブル先端位置にガスケットを載せる薄いガラスプレートと特定のガスケット保持構造からなる検査部位を有し、該所定角度ずつ間欠回転するための駆動装置からなることを特徴とする。ガスケットはガラスプレート上で特定の保持構造により固定されることから、上下双方からガスケットを撮影、観察することが可能となる。
【0009】
複数のカメラを回転テーブルの任意の所定角度位置の上下に設置することにより、ガスケットの表裏面をガスケットを反転させることなく撮影することが可能であると同時に、更に別のカメラを異なる任意の所定角度位置に設置することで、より複数の欠点の良否を判定することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、ガスケットの表裏面を反転することなく、非常に効率的に欠点および外観検査評価が可能となり、更にはガスケットを連続的に高速に搬送しながら検査を実行することができる上、装置全体の構成の大幅な簡素化が図られ実用上多大なる効果が奏せられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例により図面を用いて説明する。
図1図6は、本発明の実施例の説明図である。図1はコイン型二次電池用ガスケットの形状の一例を示す概略図、図2はガスケットの形状の一例を示す切断面図である。図3は本発明の実施例としての欠点検査装置の概略的な構成を示す全体図である。図4は回転テーブルの正面図であり、図5は回転テーブル先端の検査部位の正面図、図6は回転テーブル先端の検査部位の側面図である。
【0012】
図1および図2に示すようにコイン型二次電池用ガスケットは、外径4.5mm、内径2.9mm、高さ0.6mmのドーナツ形で非常に小さいが複雑な形状であり、電池の液漏防止に使用されることからクラックのないことは言うに及ばず、高い成形品精度が要求される。
【0013】
図3は本ガスケットの欠点検査装置の概略的な構成を示す全体図である。供給容器1から供給された本ガスケットはパーツフィーダー2でガスケット表裏面が一定方向に揃えられ、直線フィーダー3を通じて回転テーブル4先端の検査部位5に間欠的に精度良く供給される。供給されたガスケットは、検査部位5の透明ガラスプレート13上を経てガスケット保持部14で一定位置に保持されながら回転テーブル4の間欠的搬送機構より搬送され、CCDカメラA、CCDカメラBの所定位置で上部からガスケットの表面画像が撮影され、またCCDカメラCの所定位置で下部から透明ガラスプレートを通してガスケットの裏面画像が撮影される。これらの撮影画像は画像処理10により既に設定された標準画像データと自動的に比較処理され、この画像処理検査結果が選別処理11に送られ、良否判定品を選別する指示が出される。回転テーブル4の検査部位からの空気圧によるガスケット排出時に、良品と不良品の排出場所を分けることにより選別処理される。所定位置であればガスケットの供給および排出箇所を除き、回転テーブルの上下を問わず、任意の所定位置に任意の数のCCDカメラの設定が可能であり、より精度良く欠点および外観検査が可能となる。
【0014】
図4は回転テーブル4の正面図であり、本回転テーブルには内角18度毎の先端に検査部位12が20ヶ所ある一例である。本欠点検査装置は回転テーブル先端の検査部位数と検査部位数と連動した該所定角度ずつ間欠回転するための駆動装置からなり、CCDカメラの設定位置も連動する。本回転速度は0.6秒/18度で作動し、1時間当たり6000個のガスケット検査が可能である。
【0015】
図5は回転テーブル先端の検査部位12の正面図であり、透明ガラスプレート13およびガスケット保持部14の構造を示す。ガスケット16は保持部突起15により精度良く保持され、各CCDカメラにより撮影観察される。
【0016】
図6は回転テーブル4の先端検査部位12を回転テーブルの外周方向から見た側面図であり、透明ガラスプレート17は支持部(板バネ構造)18により保持される構造であり、容易に着脱できる。検査部位12に上面から下面を貫通する空隙部20を設けることにより、検査部位の上方向からのガスケット19の表面状況の撮影観察のみならず、下方向から透明ガラスプレートを通してガスケット19の裏面の状況を下部に設置したCCDカメラで撮影観察することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、コイン型電池用ガスケットの欠点および外観検査、特に二次電池用ガスケットの微小欠点を自動で精度良く効率的に検査判定し、良否判定品を選別するための欠点検査装置に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コイン型二次電池用ガスケットの形状の一例を示す概略図
【図2】ガスケットの形状の一例を示す切断面図
【図3】欠点検査装置の概略的な構成を示す全体図
【図4】回転テーブルの正面図
【図5】回転テーブル先端の検査部位の正面図
【図6】回転テーブル先端の検査部位の側面図
【符号の説明】
【0019】
1 供給容器
2 パーツフィーダー
3 直線フィーダー
4 回転テーブル
5 回転テーブル先端の検査部位
6 駆動部との連結部位
7 CCDカメラA(上部)
8 CCDカメラB(上部)
9 CCDカメラC(下部)
10 画像処理部
11 選別処理部
12 回転テーブル先端の検査部位
13 透明ガラスプレート
14 ガスケット保持部
15 ガスケット保持部突起
16 ガスケット
17 透明ガラスプレート
18 ガラス板支持部(板バネ構造)
19 ガスケット
20 空隙部
21 回転テーブル本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形品であるコイン型電池用ガスケットを同一表裏面で整列させて順次1個ずつ供給する供給機構と、この供給機構から供給されたガスケットを保持して搬送しながら、該ガスケットの表裏面を反転させることなく複数のカメラにより表裏両面の撮影が可能な検査構造部位を有する回転テーブルからなる搬送機構と、撮影画像からその欠点および外観の良否を判定する画像処理機構および良否判定品を選別する機構を具備することを特徴とする欠点検査装置。
【請求項2】
前記回転テーブルからなる搬送機構は、所定角度ごとの回転テーブル先端位置にガスケットを載せる薄いガラスプレートと特定のガスケット保持構造からなる検査部位を有し、該所定角度ずつ間欠回転するための駆動装置からなることを特徴とする請求項1に記載の欠点検査装置。
【請求項3】
前記複数のカメラは、回転テーブルの任意の所定角度位置の上下に設置し、ガスケットの表裏面をガスケットを反転させることなく撮影することが可能であり、更に別のカメラを異なる任意の所定角度位置に設置することで、より複数の欠点の良否を判定することができることを特徴とする請求項1に記載の欠点検査装置。
【請求項4】
前記コイン型電池用ガスケットの中で、特にコイン型二次電池用ガスケットの検査に最適な請求項1に記載の欠点検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−69131(P2009−69131A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263771(P2007−263771)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000248336)株式会社幸立工業 (3)
【出願人】(507285795)株式会社ベラテック・ウチ (2)
【Fターム(参考)】