説明

欠陥解析システム、記録媒体、欠陥解析方法、及び工程管理方法

【課題】 短時間で致命率を算出することができ、且つその算出精度を高めることができる欠陥解析システム、記録媒体、欠陥解析方法、及び工程管理方法を提供すること。
【解決手段】 シリコン(半導体)ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によってシリコンウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップS1と、新規欠陥の個数を計数するステップS2と、新規欠陥の個数を計数した後に、シリコンウエハ1の上に第1、第2一層目銅配線(導電パターン)11a、11bを形成して、ボルテージコントラスト法により新規欠陥と位置が一致する銅配線11a、11bの不良箇所の個数を計数するステップS3と、新規欠陥と不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、上記一つの工程における新規欠陥の致命率RFを算出するステップS4とを有することを特徴とする欠陥解析方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥解析システム、記録媒体、欠陥解析方法、及び工程管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置は、シリコンウエハに対して成膜工程やエッチング工程等の様々な工程を行うことにより作製されるが、その各々の工程では、塵の付着といった欠陥がシリコンウエハに入る場合が多々ある。半導体装置の製造工程では、このような欠陥が最終的な歩留まりにどのような影響を与えるかを把握することにより、半導体装置の生産性が低下しないように工程を管理する必要がある。
【0003】
そのような工程管理方法の一例が特許文献1に開示されている。以下に、特許文献1の工程管理方法について、図1、図2を参照して説明する。図1は、従来例に係る工程管理方法について説明する模式図であり、各工程A〜Dにおいて欠陥を検出するための欠陥検出器から出力された画像(ウエハマップ)101〜104を連ねて示した図である。
【0004】
図1に示されるように、工程A〜Dではそれぞれ欠陥105〜108が検出されるが、例えば欠陥106は、工程Bより前の工程Aでは検出されず、工程Bを行ったことによって新たに発生した欠陥であり、新規欠陥と呼ばれる。これ以外の欠陥105、107、108も、それぞれ工程A、C、Dにおける新規欠陥である。
【0005】
新規欠陥105〜108は、その全てが工程Dの後にも残るというわけではなく、その一部のみが工程Dに残る。更に、工程Dの後に残った新規欠陥105〜108のうち、そのうちの一部のみが歩留まりに影響を与える。つまり、新規欠陥105〜108は、出来上がりの半導体装置の電気的特性を規格外にして不良にするものと、電気的特性には大きく影響せずに良、不良には無関係のものとに分類されることになる。そして、ある工程の新規欠陥が出来上がりの半導体装置を不良とする確率をその新規欠陥の致命率と呼ぶ。
【0006】
図2(a)は、工程Bにおけるウエハマップ102の平面図であり、出来上がりの半導装置の電気的特性が規格内に収まって良品となるチップを白抜きの四角で示し、特性が規格外となって不良品となるチップをハッチングで示している。
【0007】
このようなチップを、(i)新規欠陥106無し・良品、(ii)新規欠陥106無し・不良品、(iii)新規欠陥106有り・良品、(iv)新規欠陥106有り・不良品に分類すると、図2(b)のようになる。
【0008】
特許文献1では、このような分類を行い、工程Bにおける新規欠陥6の致命率の百分率を次の式(1)のように算出している。
【0009】
【数1】

【特許文献1】特開平11−264797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、ある工程における新規欠陥の中には、ウエハマップの面内に均一に現れず、ウエハマップの一部分に局在して現れる欠陥がある。例えば、エッチング工程では、エッチングレートの均一性が悪いために、ウエハの周辺におけるエッチレートが他の部分よりも低く、ウエハ周辺でのコンタクトホールが未開口になる場合がある。図1の工程Aがそのエッチング工程であるとすると、図3(a)に示すように、工程Aの新規欠陥(コンタクトホール未開口)105がウエハマップ102の周囲に局在する。
【0011】
また、CVD等の成膜工程において、装置の不具合によってウエハの中心付近にのみ塵が付着する場合がある。図1の工程Bがこの成膜工程であるとすると、図3(a)のように、工程Bの新規欠陥(塵)106がウエハマップ102の中心付近に局在することになる。
【0012】
図3(a)の例では、工程Aの新規欠陥105、すなわちコンタクトホールの未開口は、最終的な半導体装置を確実に不良にするため、新規欠陥105のあるチップが全て不良となり、歩留まりに大きなインパクトを持つ。
【0013】
一方、工程Bの新規欠陥106は、塵の付着であり、塵のサイズが小さければ歩留まりにそれほどインパクトを与えない。従って、新規欠陥106のあるチップの全てが不良とはならず、その一部のみが不良となる。
【0014】
このような場合、図2と同じ手順に従って各チップを既述の(i)〜(iv)の種類に分類すると図3(b)のようになる。
【0015】
ところが、式(1)を用いて図3(b)の場合の致命率の百分率を求めると−150%となってしまい、実現不可能な負の値となってしまう。
【0016】
このように、特許文献1の方法では、歩留まりに大きなインパクトを持つ新規欠陥105の面内分布と、歩留まりにそれ程インパクトの無い新規欠陥106の面内分布とが大きくことなる場合、致命率を正確に算出することが困難となる。
【0017】
また、特許文献1の第7実施形態には、ウエハマップの面内で特定の分布をしている新規欠陥の致命率を求めている。しかし、図4に示すように、工程Bにおける新規欠陥106が、ウエハマップ102の周辺に多いものの、中央付近にも散在している場合、特定の分布をしている部分とそうでない部分との線引きが困難であり、正確な致命率が算出できない。
【0018】
しかも、新規欠陥106が全てのチップに出ている場合、既述の(i)新規欠陥106無し・良品、及び(ii)新規欠陥106無し・不良品のカテゴリーに分類されるチップの数が0となるので、式(1)で致命率を算出できなくなってしまう。
【0019】
更に、この方法では、チップが不良であるか否かを判定するために、工程A〜Eのすべてが終了した後に、半導体装置に対して電気的なテストを行うので、致命率を算出するまでに長時間を必要とし、致命率を各工程に遂次フィードバックするのが難しい。
【0020】
本発明の目的は、短時間で致命率を算出することができ、且つその算出精度を高めることができる欠陥解析システム、記録媒体、欠陥解析方法、及び工程管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一観点によれば、半導体ウエハの欠陥を検出して少なくとも該欠陥の位置データを出力する検査装置と、前記半導体ウエハの上に形成された導電パターンの不良箇所をボルテージコントラスト法により検出する走査型電子顕微鏡と、前記検査装置の前記位置データに基づいて、前記半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出し、該新規欠陥の個数を計数し、前記新規欠陥と位置が一致する前記不良箇所の個数を計数し、前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出する制御部とを有する欠陥解析システムが提供される。
【0022】
また、本発明の別の観点によれば、検査装置が出力する半導体ウエハの欠陥の位置データに基づいて、前記半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、前記新規欠陥の個数を計数するステップと、走査型電子顕微鏡を使用したボルテージコントラスト法により、前記半導体ウエハの上に形成された導電パターンの不良箇所を検出し、前記新規欠陥と位置が一致する該不良箇所の個数を計数するステップと、前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出するステップとをコンピュータに実行させるプログラムが記録された記録媒体が提供される。
【0023】
そして、本発明の更に別の観点によれば、半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、前記新規欠陥の個数を計数するステップと、前記新規欠陥の個数を計数した後に、前記半導体ウエハの上に導電パターンを形成して、ボルテージコントラスト法により前記新規欠陥と位置が一致する前記導電パターンの不良箇所の個数を計数するステップと、前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出するステップとを有する欠陥解析方法が提供される。
【0024】
本発明によれば、上記の複数の工程のうち、一つの工程における新規欠陥の個数を計数し、この新規欠陥と位置が一致する不良箇所の個数を計数するので、これら新規欠陥と不良箇所のそれぞれの個数用いて算出される致命率は、上記の一つの工程のみの影響を受け、これ以外工程の影響は受けない。
【0025】
従って、上記の一つの工程以外で発生した新規欠陥の分布や、その新規欠陥が歩留まりに与えるインパクトの大きさ等に影響を受けることなく、上記一つの工程における致命率が精度良く算出される。
【0026】
また、ボルテージコントラスト法により導電パターンを検査した後にその致命率がすぐさま算出されるので、特許文献1のように半導体装置を完成させてから電気的テストを行う場合と比較して、致命率を算出するのに要する時間を短縮することができる。
【0027】
そして、致命率としては、例えば不良箇所の新規欠陥に対する割合が採用される。このような致命率は、その定義から負になることが無いので、本発明では特許文献1と比較して致命率の算出精度が高められる。
【0028】
しかも、上記した一つの新規欠陥が半導体ウエハの全面に出ており、各チップに少なくとも一個の新規欠陥が存在する場合、既述のように特許文献1では致命率を算出できないが、上記した本発明における定義によればこの場合でも致命率を算出することができる。
【0029】
そして、本発明の他の特徴によれば、半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記新規欠陥の個数を計数するステップと、前記新規欠陥の個数を求めた後に、前記半導体ウエハの上に導電パターンを形成して、ボルテージコントラスト法により前記新規欠陥と位置が一致する前記導電パターンの不良箇所の個数を計数するステップと、前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出するステップと、複数のチップが多面取りされる製品用半導体ウエハに対して前記一つの工程を行った後、前記一つの工程によって前記製品用半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、前記製品用半導体ウエハの前記新規欠陥の個数を前記チップ毎に計数するステップと、前記製品用半導体ウエハのチップ毎の前記新規欠陥の個数と、前記致命率とに基づいて、前記一つの工程における前記新規欠陥が原因で前記製品用半導体ウエハに発生すると予測される不良チップの総数を算出するステップとを有する工程管理方法が提供される。
【0030】
特許文献1では半導体装置が完成させた後に電気的なテストを施して致命率を算出しているが、本発明では、ボルテージコントラスト法により導電パターンを検査した後にその致命率がすぐさま算出されるので、算出した致命率をリアルタイムに各工程にフィードバックすることが可能となる。その結果、致命率が悪いために良品チップが不足になると予測された場合、各工程に新しい製品用半導体ウエハを投入することで、良品チップの生産性を高めることできる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、複数の工程のうち、一つの工程における新規欠陥の個数を計数し、この新規欠陥と位置が一致する不良箇所の個数を計数するので、一つの工程以外で発生した新規欠陥の影響を受けずに、上記一つの工程における致命率を算出することができる。
【0032】
また、不良箇所の新規欠陥に対する割合を致命率として採用するので、致命率が負にならず、致命率の算出精度を高めることができる。
【0033】
更に、ボルテージコントラスト法により導電パターンを検査した後にその致命率がすぐさま算出されるので、算出した致命率をリアルタイムに各工程にフィードバックすることで、良品チップの生産性を高めることできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
(1)第1実施形態
LSI等の半導体装置は、シリコン(半導体)ウエハに対して成膜工程やエッチング工程等の様々な工程を行うことにより作製されるが、それぞれの工程において配線等の導電パターンに不良箇所が発生する場合がある。そこで、本実施形態では、そのような不良箇所が存在しているか否かを確認するため、TEG(Test Element Group)と呼ばれる試験用の小領域をシリコンウエハに形成する。
【0036】
以下に、このTEGの作製方法について説明する。図5〜図8は、本実施形態で使用されるTEGを作製するのに行われる工程を順に示す断面図である。
【0037】
最初に、図5(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0038】
まず、シラン(SiH4)を反応ガスとして使用するプラズマCVD法(化学的気相成長法)によりシリコンウエハ1の上に第1層間絶縁膜2として二酸化シリコン膜を厚さ約650nmに形成した後、フォトリソグラフィ法によりこの第1層間絶縁膜2をパターニングして、シリコンウエハ1に至る深さの第1、第2ホール2a、2bを形成する。
【0039】
次に、この第1、第2ホール2a、2b内と第1層間絶縁膜2の上とに、スパッタ法によりTiN膜を厚さ10nmに形成してそれをグルー膜3とする。さらに、六フッ化タングステンを反応ガスとして使用するCVD法によりグルー膜3の上にタングステン膜4を形成し、このタングステン膜4で第1、第2ホール2a、2bを埋め込む。
【0040】
その後に、第1層間絶縁膜2の上の余分なグルー膜3とタングステン膜4とをCMP法(化学機械研磨法)により研磨して除去する。その結果、グルー膜3とタングステン膜4とは、第1、第2ホール2a、2bの中にのみ第1、第2導電性プラグ5a、5bとして残されることになる。
【0041】
以下では、このCMP工程のことをA工程と呼ぶことにする。
【0042】
次に、図5(b)に示すように、例えば減圧化学的気相成長法(Low Pressure CVD)により窒化シリコン膜を厚さ約30nmに形成してそれをキャップ膜6とする。なお、窒化シリコン膜に代えて、シリコンカーバイド(SiC)膜をキャップ膜6として形成してもよい。以下、この工程をB工程と呼ぶ。
【0043】
続いて、図6(a)に示すように、塗布型低誘電率材料であるSiLK(ダウ・ケミカル社製)をキャップ膜6の上にスピンコートした後、ベーク、キュアすることにより、厚さが
約130nm程度で比誘電率が2.6程度の低誘電率の第2層間絶縁膜7を形成する。以下、この工程をC工程と呼ぶ。
【0044】
次いで、図6(b)に示すように、フォトレジストを第2層間絶縁膜7の上に形成した後、そのフォトレジストを露光、現像することにより、平面形状が櫛歯状の第1窓8aと、後述するコンタクトチェーンの配線形状を有する第2窓8bとを備えたレジストパターン8を形成する。以下、この工程をD工程と呼ぶ。
【0045】
続いて、図7(a)に示すように、レジストパターン8をマスクにして第2層間絶縁膜7とキャップ膜6とをエッチングすることにより、第1配線溝7aと、複数の第2配線溝7bとを形成する。各配線溝7a、7bのうち、第1配線溝7aと一部の第2配線溝7bの底部には、それぞれ第1、第2導電性プラグ5a、5bの上面が露出する。以下、この工程をE工程と呼ぶ。
【0046】
次に、図7(b)に示すように、バリアメタル膜9としてスパッタ法によりTiN膜を厚さ10nmに形成する。なお、TiN膜に代えて、Ta膜やTaN膜をバリアメタル膜9として形成してよい。以下、この工程をF工程と呼ぶ。
【0047】
次いで、図8(a)に示すように、バリアメタル膜9の上に不図示の銅シード層をスパッタ法により形成した後、この銅シード層の上に電解銅めっき膜10を形成して、この電解銅めっき膜10により第1、第2配線溝7a、7bを完全に埋め込む。以下、この工程をG工程と呼ぶ。
【0048】
続いて、図8(b)に示すように、第2層間絶縁膜7の上の余分なバリアメタル膜9と電解銅めっき膜10とをCMP法により研磨して除去する。その結果、バリアメタル膜9と電解銅めっき膜10とは、第1、第2配線溝7a、7bの中にのみ第1、第2一層目銅配線(導電パターン)11a、11bとして残されることになる。以下、この工程をH工程と呼ぶ。
【0049】
以上により本実施形態で使用されるTEGが完成したことになる。
【0050】
図10は、上記の一層目配線11a、11bのうち、第1一層目銅配線11aの平面図である。これに示されるように、第1一層目銅配線11aは櫛歯状に形成される。
【0051】
なお、上記のTEGを構成する一層目銅配線11a、11bをチップのどこに形成するかは特に限定されない。図12(a)〜(c)は、一層目銅配線11a、11bTEGの形成領域の例について示す平面図である。
【0052】
各配線11a、11bは、図12(a)に示すように、デバイスチップ50の一部領域50aに形成してもよい。又は、図12(b)に示すように、デバイスチップとは別に検査専用チップ51をシリコンウエハ1に設け、この検査専用チップ51の一部領域51aに各配線11a、11bを形成してもよい。或いは、図12(c)に示すように、デバイスチップ50間のスクライブ領域52の一部領域52aに各配線11a、11bを形成してもよい。
【0053】
さらに、配線の層数も一層に限定されず、図9に示すような多層配線構造であってもよい。
【0054】
図9のような多層配線構造を得るには、まず、第2層間絶縁膜7と第1、第2一層目銅配線11a、11bのそれぞれの上に、既述のSiLKを用いて低誘電率の第3層間絶縁膜12を厚さ約450nm程度に形成する。続いて、デュアルダマシン法を用いることにより、第1一層目銅配線11aの上の第3層間絶縁膜12に第3ホール12aと第3配線溝12cを形成すると共に、第2一層目銅配線11bの上の第3層間絶縁膜12に第4ホール12bと第4配線溝12dとを形成する。
【0055】
続いて、各ホール12a、12b内と各配線溝12c、12dのそれぞれの中と第3層間絶縁膜12の上面に、TiN膜よりなるバリアメタル膜と電解銅めっき膜とを形成した後、CMP法によりこれらの膜を第3層間絶縁膜12の上面から除去し、第3、第4ホール12a、12bの中に第3、第4導電性プラグ13a、13bとして残すと共に、第3、第4配線溝12c、12dの中に第1、第2二層目銅配線13c、13dとして残す。
【0056】
この後は、第3層間絶縁膜12、第3、第4導電性プラグ13a、13b、及び第1、第2二層目銅配線13c、13dの形成方法を更に4回繰り返して行い、図9に示すような多層配線構造を完成させる。この例では、第4〜第7層間絶縁膜14、16、18、20が積層され、デュアルダマシン法により、その各々に4層目〜7層目銅配線15b、15c、17c、17d、19b、19c、21c、21dが埋め込まれると共に、上下の配線を接続する導電性プラグ13c、17a、17b、19a、21a、21bが埋め込まれる。
【0057】
図11は、上記した各層の銅配線のうち、第2一層目銅配線11bと第2二層目銅配線13dの平面図である。同図に示されるように、これらの銅配線11b、13dは、第4導電性プラグ13bを介して一列にチェーン状に連なっているが、このような配線パターンはコンタクトチェーンと呼ばれる。
【0058】
(2)第2実施形態
次に、上記のようなTEGが形成されたシリコンウエハ1の欠陥を解析する欠陥解析システムについて説明する。
【0059】
図13は、本実施形態に係る欠陥解析システムの構成図である。
【0060】
この欠陥解析システム40は、検査装置42、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)43、及び制御部41に大別される。
【0061】
このうち、検査装置42は、既述したTEGの層間絶縁膜や銅配線層における塵、パターン不良、しみ、及びスクラッチ(引っかき傷)等の欠陥を光学的に検出し、その欠陥の種類データ、サイズデータ、及び位置データとを含む欠陥情報信号SDを制御部41に出力する。検査装置42の測定原理は特に限定されない。例えば、レーザ光や白色光をウエハ1に照射し、その反射光の画像信号を各チップ毎に得て、隣り合うチップの画像信号の差信号から欠陥を検出する「Die to Die検査」を採用しても良い。或いは、既述した櫛歯状の第1一層目銅配線層11aや、コンタクトチェーンを構成する第2一層目銅配線11bのように、決まったパターンを反復して得られたパターンについては、反射光の画像信号から繰り返しパターンに相当する信号を減算することにより欠陥を検出する「アレイ検査」を採用してもよい。
【0062】
上記した「Die to Die検査」や「アレイ検査」を行う検査装置としては、例えば、ケーエルエー・テンコール株式会社製の「AIT1,2,3」、「ステルス」や、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の「IS26」、「IS27」がある。
【0063】
また、この検査装置には第1モニタ42aが付属しており、適当な変換ソフトによって欠陥情報信号SDを変換して可視化された画像がその第1モニター42aに写される。その画像は、ウエハを示す円内に欠陥を擬似的に描画してなり、ウエハマップと呼ばれる。
【0064】
制御部41は、例えば半導体工場内の工程管理用のコンピュータであり、上記の検査装置42からの欠陥情報信号SDを受け、それを欠陥検査結果ファイル45の形でRAM等の記憶部41aに格納する。欠陥検査結果ファイル45のフォーマットは特に限定されない。例えば、図14に示すように、欠陥の位置データSL、種類データSK、及び大きさデータSSを用いてウエハ毎にマップ45bを作成し、それにウエハの識別番号IDを付けて欠陥検査結果ファイル45としてもよい。
【0065】
また、記憶部41aには、CD-ROM等の記録媒体44に記録された欠陥解析プログラムがローディングされ、使用の際には、制御部41がその欠陥解析プログラムを参照し、後述の欠陥解析を実行することになる。なお、上記の記録媒体44には、後述の各実施形態に係る欠陥解析方法や工程管理方法等のプログラムが記録されている。
【0066】
一方、SEM43は、制御部41の欠陥検査結果ファイル45を参照して、ボルテージコントラスト法により、このファイル45によって示される欠陥の位置の導電パターンに電気的な不良箇所があるか否かを検出する。
【0067】
ボルテージコントラスト法とは、導電パターンに電子線を照射して帯電させることにより、帯電量に応じた電位を導電パターンに持たせ、電位によって二次電子の発生率が異なってSEM像の明るさが変わることを利用して、導電パターンに断線等の欠陥があるか否かを検出するものである。
【0068】
図15(a)は、図9に示した第3層間絶縁膜12に配線溝12c、12dを形成する際に使用するレジストパターン60をSEM43で観察して得られた像であり、そのレジストパターン60には塵61が付着している。
【0069】
一方、図15(b)は、上記のレジストパターン60を除去し、コンタクトチェーンを構成する第2二層目銅配線13d(図9参照)を形成した後に、SEM43を使用して図15(a)と同じ領域をボルテージコントラスト法により観察して得られた像である。この像において、明るく見える第2二層目銅配線13dは、第2導電性プラグ5b(図9参照)を通じてシリコンウエハ1と同じ接地電位になっている部分である。一方、暗く見える第2二層目銅配線13dは、第4導電性プラグ13bのコンタクト不良等によって浮遊電位となっている部分である。このように、ボルテージコントラスト法では、像の明暗によって導電パターンに発生した断線等の不良箇所を検出することができる。
【0070】
また、図10で示した櫛歯状の第1一層目銅配線11aをこのボルテージコントラスト法で観察すると、断線している箇所から先の配線11aが暗く見え、それにより配線11aに断線があるか否かを確認することができる。
【0071】
図13のSEM43では、このようなボルテージコントラスト法で判明した導電パターンの不良箇所の位置信号SFを制御部41に出力する。
【0072】
また、このSEM43には、検査装置42と同様に第2モニタ43aが付属しており、検査が行われた導電パターン等のSEM像がその第2モニタ43aに映し出される。
【0073】
(3)第3実施形態
次に、上記の欠陥解析システム40を使用した欠陥解析方法について、図16を参照しながら説明する。図16は、本実施形態に係る欠陥解析方法を示すフローチャートである。
【0074】
この欠陥解析方法においては、シリコンウエハ1に対して行われる複数の工程のうちの一つの工程で発生した新規欠陥がチップを不良にせしめる確率、すなわち致命率を算出する。複数の工程のどの工程における致命率を算出するかは特に限定されない。本実施形態では、図5〜8で説明したA〜H工程のうち、E工程、すなわち配線溝7a、7bの形成工程で発生した新規欠陥の致命率を算出する。
【0075】
まず、図16のステップS1では、E工程を終了したシリコンウエハ1を検査装置42で検査し、得られた欠陥情報信号SDを制御部41の記憶部41aに格納する。その後、制御部41では、この欠陥情報信号SDに基づいて、E工程で新たに発生した欠陥を新規欠陥として抽出する。
【0076】
新規欠陥の抽出の仕方は特に限定されないが、例えば一つ前のD工程における欠陥情報信号SDと、上記のE工程における欠陥情報信号SDとを参照することにより、E工程によって発生した欠陥のなかから、D工程で発生していた欠陥の近傍を除く領域に発生した欠陥のみを抽出し、それを新規欠陥とするのが好ましい。
【0077】
また、この場合の近傍としては、検査装置42で測定される欠陥の位置の測定誤差の範囲を採用するのが好ましい。このようにすると、D工程で発生してE工程まで残存する欠陥(キャリーオーバーした欠陥)が新規欠陥の候補から外れるので、E工程の新規欠陥を精度良く抽出することができる。
【0078】
なお、上記の測定誤差の範囲は、典型的には半径40μmの円内に収まる。
【0079】
次いで、ステップS2に移行し、制御部41において、ステップS1で得られた新規欠陥の個数Xを計数する。
【0080】
続いて、既述のF〜H工程を行い、第1、第2一層目銅配線11a、11bを形成した後、ステップS3に移行する。そのステップS3では、SEM43が制御部41の欠陥検査結果ファイル45を参照しながら、ステップS1で抽出された新規欠陥と位置が一致する一層目銅配線11a、11bをボルテージコントラスト法により検査する。そして、これにより一層目銅配線11a、11bに不良箇所が見つかった場合、その不良箇所の位置信号SFがSEM43から制御部41に出力される。制御部41では、この位置信号SFに基き、ステップS1で見つかった新規欠陥と位置が一致する一層目銅配線11a、11bの不良箇所の個数Yを計数する。
【0081】
次に、ステップS4に移行し、
【0082】
【数2】

により、不良箇所の個数Yの新規欠陥の個数Xに対する割合を致命率RFとして算出する。
【0083】
以上により、E工程の新規欠陥によってチップが不良となる確率、即ち致命率RFが求まったことになる。
【0084】
なお、上記のステップS3では、ステップS1で見つかった新規欠陥の位置にある一層目銅配線11a、11bをSEM43で測定したが、新規欠陥があまりに多い場合、この測定に長時間を要する恐れがある。そこで、この場合は、ステップS1で見つかった新規欠陥の中から一部の新規欠陥のみをサンプリングして、その新規欠陥と位置が一致するような一層目銅配線11a、11bの不良箇所を得ることにより、SEM43における測定時間を短縮させるのが好ましい。
【0085】
更に、一枚のシリコンウエハを使用するのではなく、1ロットのシリコンウエハを使用し、全ウエハの不良箇所の個数の和をYとし、全ウエハの新規欠陥の個数をXとして、上記した式(1)に従って致命率RFを算出してもよい。このようにすると、致命率RFの母数が大きくなるので、致命率RFの統計的な信頼性を高めることができる。
【0086】
また、上記ではA〜H工程のうちのE工程における致命率を算出したが、上記と同様の方法を採用してA〜D、F〜H工程の致命率を算出してもよい。図17は、その致命率を算出する際に用いる新規欠陥の個数をA〜H工程のそれぞれについてグラフ化した図である。
【0087】
以上説明した本実施形態によれば、新規欠陥の個数Xと、ボルテージコントラスト法により発見された不良箇所の個数Yとを用いて、式(2)に従って致命率RFを極めて容易に算出することができる。
【0088】
図18は、E工程での新規欠陥のみを示すウエハマップの一例であり、黒丸で表された新規欠陥が20個検出された場合を示している。そして、図19は、ボルテージコントラスト法により得られたシリコンウエハ1のSEM像であり、白丸で表された12個の不良箇所が存在する場合を示している。図18、図19の例では、上記の式(2)に従い、致命率RFを12/20 = 0.6と容易に求めることができる。
【0089】
しかも、本実施形態によれば、図16のステップS2においてA〜H工程のうちのE工程のみの新規欠陥の個数Xを計数し、ステップS3において、この新規欠陥と位置が一致する不良箇所の個数Yを計数するので、これらX、Yを用いて算出される致命率RFは、E工程のみの影響を受け、これ以外のA〜D、F〜H工程の影響は受けない。そのため、例えばA工程の新規欠陥が歩留まりにインパクトがあり、その新規欠陥がシリコンウエハ1の周辺に多く分布し、E工程で発生した新規欠陥が歩留まりにインパクトが少なく、シリコンウエハ1の中央付近に多く分布する場合でも、得られた致命率RFはE工程のみを反映したものとなり、特許文献1よりも正確な致命率を算出することができる。
【0090】
更に、この致命率RFは、その定義から負になることが無いので、特許文献1と比較して精度良く致命率を算出することが可能となる。
【0091】
また、E工程の新規欠陥がシリコンウエハ1の全面に出ており、各チップに少なくとも一個の新規欠陥が存在する場合、既述のように特許文献1では致命率を算出できないが、本実施形態における定義によればこの場合でも致命率を算出することができる。
【0092】
そして、本実施形態では、半導体装置を完成させなくてもステップS4において致命率RFを算出することができる。従って、半導体装置を完成させた後に電気的なテストを施して致命率を算出する特許文献1と比較して、本実施形態では致命率を算出するのに要する時間を短縮することができる。
【0093】
(4)第4実施形態
上記した第3実施形態では、欠陥のサイズに着目しなかったが、本実施形態のようにサイズ毎に致命率を算出してもよい。この場合、制御部42は、ステップS1で得られた欠陥情報信号SDに含まれる欠陥のサイズデータを基にし、記述のステップS4において、新規欠陥のサイズ毎に致命率RFを算出する。
【0094】
例えば、サイズが0.5μm以上の新規欠陥がE工程において15個あり、ボルテージコントラスト法によってそのうちの10個が不良箇所であると判明した場合、式(2)によれば、この新規欠陥の致命率が10/15=0.667となる。
【0095】
更に、新規欠陥のサイズを1μm以上、1.5μm以上とし、それぞれについて致命率を求めると、表1のようになる。
【0096】
【表1】

表1から理解されるように、サイズが大きい程チップへの影響が大きくなり、致命率が増加する。
【0097】
更に、1μm以上の欠陥では致命率が1になっているので、新規欠陥のうちサイズが1μm以上の欠陥はそのチップを必ず不良にすることになり、1μm以上の欠陥は歩留まりを必ず低下させることになるので、半導体装置の製造工程の管理上1μm欠陥は見逃すことができないということがわかる。
【0098】
なお、表1では、新規欠陥のサイズを0.5μm毎に区切ったが、この間隔を変更したり、必要に応じて不等間隔に区切ってもよい。
【0099】
或いは、上記のように具体的なサイズの値によってではなく、大、中、小といった大雑把な区分のそれぞれに応じて致命率RFを算出してもよい。
【0100】
更に、サイズに代えて、サイズと正の相関のある指標、例えば検査装置42が計測する新規欠陥の散乱光強度毎に致命率RFを算出するようにしてもよい。
【0101】
なお、上記した新規欠陥のサイズは、光学的な欠陥装置42が算出するものであって、電子顕微鏡のようにサイズの測定精度が高い装置で実測する場合とは異なる値になることがある。
【0102】
(5)第5実施形態
第4実施形態では、新規欠陥のサイズ毎に致命率を算出した。これに代えて、本実施形態では、塵、パターン不良、しみ、及びスクラッチ(引っかき傷)等の新規欠陥の種類毎に致命率を算出する。この場合、制御部42は、第3実施形態のステップS1で得られた欠陥情報信号SDに含まれる欠陥の種類データSKを基にし、既述のステップS4において、新規欠陥の種類毎に致命率RFを算出する。
【0103】
例えば、E工程において新規欠陥が20個検出され、そのうちの10個が塵、3個がパターン不良、5個がしみ、2個がスクラッチであったとする。そして、ボルテージコントラスト法でこれらの新規欠陥を測定した結果、塵による10個の新規欠陥のうちの8個、パターン不良による3個の新規欠陥のうちの3個、しみによる5個の新規欠陥のうちの1個、及びスクラッチによる2個の新規欠陥のうちの0個に不良箇所が発見されたとする。この場合、それぞれの種類毎の致命率は、塵が8/10で0.8、パターン不良が2/2で1、しみが1/5で0.2、スクラッチが0/2で0となる。
【0104】
これにより、新規欠陥の種類によって致命率がどう変わるのかを把握することができる。
【0105】
(6)第6実施形態
第4、5実施形態では、新規欠陥のサイズや種類毎に致命率RFを算出した。これに対し、本実施形態では、次の工程への残り易さ(キャリーオーバのされ易さ)によって新規欠陥を区分し、その区分毎に致命率RFを算出する。
【0106】
これを行うには、例えば、A〜H工程の全てを終了した後に、E工程の新規欠陥の中から、次のF工程の後に残ったものを抽出し、抽出された新規欠陥の致命率RFを既述のステップS4において算出する。これにより、E工程の新規欠陥のうち、F工程まで残った欠陥の致命率RFを算出することができる。同様に、上記のE工程の新規欠陥の中から、E工程の二つ後のG工程の後に残ったものを抽出することにより、E工程の新規欠陥の中でF工程まで残った欠陥の致命率RFを算出することができる。
【0107】
このようにして得られた致命率RFの例を表2に示す。
【0108】
【表2】

これにより、ある一つの工程で発見された新規欠陥の致命率RFを、後の工程への残り易さ毎に算出することが可能となる。
【0109】
(7)第7実施形態
次に、上記の第3実施形態で得られた致命率RFを用いて不良チップの数を予測する工程管理方法について、図20を参照しながら説明する。図20は、本実施形態に係る工程管理方法を示すフローチャートである。
【0110】
まず最初のステップS5では、複数のチップが多面取りされる製品用シリコンウエハに対して上記のE工程を行った後、検査装置42においてその製品用シリコンウエハの欠陥を検出し、これにより得られた欠陥情報信号SDを制御部41の記憶部41aに記憶させる。記憶部41aには、E工程よりも前の工程、例えばD工程を終了した後の欠陥情報信号SDが格納されており、制御部41aは、これらE工程とD工程のそれぞれの欠陥情報信号SDを使用して、既述のステップS1の処理を行うことにより、E工程において製品用シリコンウエハに新規に発生した新規欠陥を抽出する。
【0111】
次いで、ステップS6に移行し、制御部41において、ステップS5で抽出されたE工程の新規欠陥の個数を計数する。
【0112】
続いて、ステップS7に移行して、既述のステップS4で算出された致命率RFと、ステップS5で計数された新規欠陥の個数とに基づいて、E工程における新規欠陥が原因で製品用ウエハに発生すると予測される不良チップの総数Fallを算出する。
【0113】
不良チップFallの総数を算出するステップS7の処理内容は特に限定されないが、本実施形態では図21に示すフローに従って処理を行う。
【0114】
まず、ステップS8において、製品用シリコンウエハの全チップのうち、チップ内における新規欠陥の個数がn個(n∈N:自然数)となったチップの総数Mnを計数する。この計数処理は、既述のステップS5において記憶部41aに格納されていた欠陥情報信号SDを使用して制御部41自身が行う。
【0115】
次いで、ステップS9に移行して、
【0116】
【数3】

により、E工程における新規欠陥が原因でチップ内にn個の欠陥が発生して不良となる不良チップの個数の期待値Fnを制御部41が算出する。
【0117】
続いて、ステップS10に移行して、
【0118】
【数4】

により、前記不良チップの総数Fallを算出し、一連の処理を終了する。
【0119】
次に、このステップS8〜S10で算出される値の一例について説明する。
【0120】
図22は、ステップS5で取得した欠陥情報信号SDを可視化して得られたウエハマップの一例を示す平面図であり、E工程の新規欠陥を黒丸で示してある。また、以下では、第1実施形態で説明した図18、図19の例のように、致命率RFが0.6であるとする。
【0121】
この場合、図22に示されるように、新規欠陥の個数が1個のチップの総数M1は14、新規欠陥の個数が2個のチップの総数M2は2、そして新規欠陥の個数が3個のチップの総数M3は1である。従って、式(3)によれば、チップ内に1個の欠陥が発生して不良となる不良チップの期待値F1は14チップ×0.6=8.4チップ、チップ内に2個の欠陥が発生して不良となる不良チップの期待値F2は2チップ×(1-0.4×0.4)=1.68チップ、チップ内に3個の欠陥が発生して不良となる不良チップの期待値F3は1チップ×(1-0.4×0.4×0.4)=0.936チップとなる。
【0122】
従って、E工程における新規不良が原因でこの製品ウエハに発生すると予測される不良チップの総数は、式(4)に従い、8.4チップ+1.68チップ+0.936チップ=11.016チップとなる。
【0123】
なお、本実施形態は上記に限定されない。例えば、上記のE工程の他に、A〜D、F〜H工程における不良チップの総数を上記と同様に求め、それらを加算することにより、複数の工程(A〜H工程)を通して発生する不良チップの総数を算出するようにしてもよい。
【0124】
或いは、一つの工程(例えばE工程)において製品用シリコンウエハを1ロット処理した後、上記の総数Fallをその1ロットの全ての製品用シリコンウエハについて算出して加算することにより、E工程における新規欠陥が原因で不良となると予測される不良チップの1ロットにおける総数を算出するようにしてもよい。この場合、E工程だけでなく、上記の総数FallをA〜Hの工程のそれぞれについて算出して加算することにより、これらの工程を通った1ロットの製品用シリコンウエハに発生すると予測される不良チップの総数を得てもよい。
【0125】
また、製品用シリコンウエハの不良にならないと予測されるチップ内に存在する新規欠陥については、それを欠陥と見做さなくてもよい。
【0126】
(8)第8実施形態
実際の半導体工場では客先に納入すべきチップ(半導体装置)の個数が予め決められている。しかし、チップが完成する前にその歩留まりを予め予測しておかないと、全ての工程を終了後にチップの個数が不足していると初めて分かる場合があり、客先へのチップの納入時期が遅れてしまうことがある。
【0127】
そこで、本実施形態では、第7実施形態で求めた1ロットで発生する不良チップの総数に基づき、上記の歩留まりを次のように予め予測する。図23は、本実施形態に係る工程管理方法について示すフローチャートである。
【0128】
まず、図23のステップS15において、1ロットの製品シリコンウエハにおける総チップ数から、第6実施形態で求めた不良チップの該1ロットにおける総数を減算することにより、一つの工程、例えばE工程を終了した後の1ロットの製品ウエハにおいて良品になると予測される良品チップの総数を算出する。
【0129】
次に、ステップS16に移行し、良品チップの総数が予定の数、例えば客先への納入個数よりも不足するか否かを判断する。
【0130】
そして、ステップS16において、良品チップの総数が予定よりも不足していない(NO)と判断された場合は、特に何も行わずに工程管理を終了する。
【0131】
一方、ステップS16において、良品チップの総数が予定よりも不足している(YES)と判断された場合は、ステップS17に移行し、D工程まで終了していて不足分の良品チップを補うだけのロット数の製品用シリコンウエハをE工程に新たに投入する。
【0132】
これによれば、A〜H工程の全ての工程を終了する前に、ステップS16において良品チップ数が足りているか否かを判断するので、足りないと判断された場合にすぐさま不足分のチップを補うことができ、半導体工場の生産性が高められ、客先へのチップの納入が遅れるのを防止することができる。
【0133】
(9)第9実施形態
本実施形態に係る工程管理方法では、致命率RFを複数の工程(A〜H工程)のそれぞれについて算出することにより、新規欠陥が不良チップの数に与える影響の大きさを複数の工程間で比較する。致命率RFの算出方法は第3実施形態と同様であり、得られた致命率RFの一例をまとめると次の表3のようになる。
【0134】
【表3】

表3の例では、D工程における致命率RFが最も高く、D工程の新規欠陥が歩留まりに大きなインパクトを与えることが分かる。
【0135】
続いて、一枚の製品ウエハに対してA工程〜H工程を行い、第7実施形態のステップS5に従って、各工程で発生した新規欠陥を抽出する。その新規欠陥の個数Nをまとめると、例えば表4のようになる。
【0136】
【表4】

次に、各工程における新規欠陥の個数Nと致命率RFとの積を算出することにより、各工程における新規欠陥が原因で発生すると予測される不良チップの数を各工程毎に算出すると、表5のようになる。
【0137】
【表5】

表5から明らかなように、不良チップ数は、E、C、B、A、D、Fと降順になっている。
【0138】
表4の新規欠陥の数だけに着目したのではF工程が歩留まりに最もインパクトがあるように見えてしまうが、表5のように不良チップまで算出すると、歩留まりに最もインパクトがあるのがE工程であることが判明し、歩留まり向上させるために改善が求められる工程に優先順位をつけることができる。
【0139】
その後、A〜H工程のうち、不良チップ数が最も悪いE工程に対して改善を行うことにより、チップの歩留まりを向上させることができる。
【0140】
上記のE工程に対して行われる改善としては、例えば、E工程で使用される半導体装置の保守作業が上げられる。その保守作業では、例えば塵の個数を減らすべく、チャンバのクリーニング等が行われる。
【0141】
(10)第10実施形態
第8実施形態では、A〜H工程のそれぞれに対して不良チップ数を求め、歩留まり向上させるために改善が求められる工程に優先順位をつけた。これに対し、本実施形態では、一枚の製品ウエハの全チップに対し、そのチップが不良となる期待値を算出する。図24は、本実施形態に係る工程管理方法を示すフローチャートである。
【0142】
例えば、第7実施形態で説明した方法により各工程の致命率RFが次の表6のように求まっている場合を考える。
【0143】
【表6】

まず、図24のステップS11において、第7実施形態のステップS5と同様の方法を採用し、一つの工程(例えばE工程)において第iチップに発生した新規欠陥の個数Niを求める。
【0144】
次いで、ステップS12に移行して、上記の新規欠陥が原因で製品用シリコンウエハの第iチップが不良となる期待値fiを、
【0145】
【数5】

により求める。
【0146】
続いて、ステップS13に移行し、上記の期待値fiを複数の工程(A〜H工程)の全てにおいて算出して加算することにより、これらの工程を経た後に第iチップが不良となる期待値Fiを算出する。
【0147】
その後、ステップS14に移行し、上記のFiを全てのチップに対し算出して加算することにより、製品用シリコンウエハに発生すると予測される不良チップの総数Fallを算出する。
【0148】
例えば、致命率が表6で与えられている場合、上記の期待値Fiと不良チップの総数Fallは次の表7のようになる。
【0149】
【表7】

このような方法を採用することにより、不良チップの総数Fallを簡単に算出することができる。
【0150】
以下に、本発明の特徴について付記する。
【0151】
(付記1) 半導体ウエハの欠陥を検出して少なくとも該欠陥の位置データを出力する検査装置と、
前記半導体ウエハの上に形成された導電パターンの不良箇所をボルテージコントラスト法により検出する走査型電子顕微鏡と、
前記検査装置の前記位置データに基づいて、前記半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出し、該新規欠陥の個数を計数し、該新規欠陥と位置が一致する前記不良箇所の個数を計数し、前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出する制御部と、
を有することを特徴とする欠陥解析システム。
【0152】
(付記2) 前記制御部は、前記不良箇所の前記新規欠陥に対する割合を前記致命率として算出することを特徴とする付記1に記載の欠陥解析システム。
【0153】
(付記3) 検査装置が出力する半導体ウエハの欠陥の位置データに基づいて、前記半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記新規欠陥の個数を計数するステップと、
走査型電子顕微鏡を使用したボルテージコントラスト法により、前記半導体ウエハの上に形成された導電パターンの不良箇所を検出し、前記新規欠陥と位置が一致する該不良箇所の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。
【0154】
(付記4) 前記致命率を算出するステップは、前記一つの工程の後の工程への前記新規欠陥の残り易さ毎に前記致命率を算出することを特徴とする付記3に記載の記憶媒体。
【0155】
(付記5) 複数のチップが多面取りされる製品用半導体ウエハに対して前記一つの工程を行った後、前記検査装置が出力する前記製品用半導体ウエハの欠陥の位置データに基づいて、前記一つの工程によって前記製品用半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記製品用半導体ウエハの前記新規欠陥の個数を前記チップ毎に計数するステップと、
前記チップ毎の前記新規欠陥の個数と、前記致命率とに基づいて、前記一つの工程における前記新規欠陥が原因で前記製品用半導体ウエハに発生すると予測される不良チップの総数を算出するステップとが記録されたことを特徴とする付記3に記載の記録媒体。
【0156】
(付記6) 複数のチップが多面取りされる製品用半導体ウエハに対して前記一つの工程を行った後、前記検査装置が出力する前記製品用半導体ウエハの欠陥の位置データに基づいて、前記一つの工程によって前記製品用半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出し、第iチップに発生した新規欠陥の総数Niを求めるステップと、
前記新規欠陥が原因で前記製品用ウエハの第iチップが不良となる期待値fiを、
【0157】
【数6】

により求めるステップと、
前記期待値fiを前記複数の工程の全てにおいて算出して加算することにより、前記複数の工程を経た後に前記第iチップが不良となる期待値Fiを算出するステップと、
前記Fiを全てのチップに対し算出して加算することにより、前記製品ウエハに発生すると予測される不良チップの総数Fallを算出するステップとを有することを特徴とする付記3に記載の記憶媒体。
【0158】
(付記7) 半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記新規欠陥の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥の個数を計数した後に、前記半導体ウエハの上に導電パターンを形成して、ボルテージコントラスト法により前記新規欠陥と位置が一致する前記導電パターンの不良箇所の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出するステップと、
を有することを特徴とする欠陥解析方法。
【0159】
(付記8) 前記致命率を算出するステップにおいて、前記不良箇所の前記新規欠陥に対する割合を前記致命率として採用することを特徴とする付記7に記載の欠陥解析方法。
【0160】
(付記9) 光学式検査装置を用いて前記新規欠陥を検出し、走査型電子顕微鏡を用いて前記ボルテージコントラスト法を行うことを特徴とする付記7に記載の欠陥解析方法。
【0161】
(付記10) 前記導電パターンとして櫛歯状のパターン、又はコンタクトチェーンを形成することを特徴とする付記7に記載の欠陥解析方法。
【0162】
(付記11) 前記半導体ウエハのデバイスチップの一部領域、前記半導体ウエハの検査専用チップ内、又は前記半導体ウエハのスクライブ領域に前記導電パターンを形成することを特徴とする付記7に記載の欠陥解析方法。
【0163】
(付記12) 前記新規欠陥のサイズ毎、又は種類毎に前記致命率を算出することを特徴とする付記7に記載の欠陥解析方法。
【0164】
(付記13) 光学式欠陥検査装置を用いて前記新規欠陥を検出し、該光学式欠陥検査装置が計測する前記新規欠陥の散乱光強度毎に前記致命率を算出することを特徴とする付記7に記載の欠陥解析方法。
【0165】
(付記14) ボルテージコントラスト法により前記導電パターンの不良箇所を検出するステップにおいて、全ての前記不良箇所の中から一部の不良箇所のみをサンプリングすることを特徴とする付記7に記載の欠陥解析方法。
【0166】
(付記15) 前記新規欠陥を抽出するステップは、前記一つの工程によって発生した欠陥のなかから、前記一つの工程よりも前に行われた工程で発生した欠陥の近傍を除く領域に発生した欠陥を前記新規欠陥として抽出することを特徴とする付記7に記載の欠陥解析方法。
【0167】
(付記16) 前記近傍として、前記新規欠陥の位置の測定誤差の範囲を採用することを特徴とする付記15に記載の欠陥解析方法。
【0168】
(付記17) 前記致命率を前記複数の工程のそれぞれについて算出することにより、前記新規欠陥が不良チップの数に与える影響の大きさを前記複数の工程間で比較することを特徴とする付記7に記載の欠陥解析方法。
【0169】
(付記18) 半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記新規欠陥の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥の個数を求めた後に、前記半導体ウエハの上に導電パターンを形成して、ボルテージコントラスト法により前記新規欠陥と位置が一致する前記導電パターンの不良箇所の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出するステップと、
複数のチップが多面取りされる製品用半導体ウエハに対して前記一つの工程を行った後、前記一つの工程によって前記製品用半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記製品用半導体ウエハの前記新規欠陥の個数を前記チップ毎に計数するステップと、
前記製品用半導体ウエハのチップ毎の前記新規欠陥の個数と、前記致命率とに基づいて、前記一つの工程における前記新規欠陥が原因で前記製品用半導体ウエハに発生すると予測される不良チップの総数を算出するステップと
を有することを特徴とする工程管理方法。
【0170】
(付記19) 前記不良チップの総数を算出するステップは、
前記新規欠陥の個数がn個となった前記チップの総数mを計数するステップと、
【0171】
【数7】

により、前記一つの工程における新規欠陥が原因でチップ内にn個の欠陥が発生して不良となる不良チップの個数の期待値Fnを算出するステップと、
【0172】
【数8】

により、前記不良チップの総数Fallを算出するステップと
を有することを特徴とする付記18に記載の工程管理方法。
【0173】
(付記20) 前記製品用ウエハの不良にならないと予測されるチップ内に存在する前記新規欠陥を欠陥と見做さないことを特徴とする付記18に記載の工程管理方法。
【0174】
(付記21) 前記一つの工程において前記製品用半導体ウエハを1ロット処理した後、前記総数Fallを前記1ロットの全ての前記製品用半導体ウエハについて算出して加算することにより、前記一つの工程における新規欠陥が原因で不良となると予測される不良チップの前記1ロットにおける総数を算出するステップを有することを特徴とする付記19に記載の工程管理方法。
【0175】
(付記22) 前記1ロットにおける総チップ数から、前記不良チップの該1ロットにおける総数を減算することにより、前記一つの工程を終了した後の前記1ロットの製品ウエハにおいて良品になると予測される良品チップの総数を算出するステップと、
前記良品チップの総数が予定の数よりも不足するか否かを判断するステップと、
前記良品チップの総数が予定の数よりも不足すると判断された場合、不足分の良品チップを補うだけのロット数の製品ウエハを前記一つの工程に投入するステップとを有することを特徴とする付記18に記載の工程管理方法。
【0176】
(付記23) 前記不良チップの総数Fallを前記複数の工程のそれぞれについて算出して加算することにより、前記1ロットの製品用半導体ウエハを前記複数の工程で処理した場合に発生すると予測される不良チップの総数を得ることを特徴とする付記19に記載の工程管理方法。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】図1は、従来例に係る工程管理方法について説明する模式図である。
【図2】図2(a)は、半導体装置の製造工程の一工程で発生した新規欠陥を示すウエハマップの平面図であり、図2(b)は、従来例に係る工程管理方法における致命率の算出方法を説明するための平面図である。
【図3】図3(a)は、半導体装置の製造工程において、新規欠陥の分布が二つの工程において異なる場合のウエハマップの平面図であり、図3(b)は、図3(a)の分布の場合の、従来例に係る工程管理方法における致命率の算出方法を説明するための平面図である。
【図4】図4は、半導体装置の製造工程の一工程で発生した新規欠陥が、特定の分布をしているか否かを判断するのが困難な場合のウエハマップの平面図である。
【図5】図5(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係るTEG(試験用の小領域)の製造方法を工程順に示す断面図(その1)である。
【図6】図6(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係るTEGの製造方法を工程順に示す断面図(その2)である。
【図7】図7(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係るTEGの製造方法を工程順に示す断面図(その3)である。
【図8】図8(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係るTEGの製造方法を工程順に示す断面図(その4)である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態に係る多層配線構造のTEGの製造方法を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第1実施形態に係る第1一層目銅配線の平面図である。
【図11】図11は、本発明の第1実施形態に係る第2一層目銅配線と第2二層目銅配線の平面図である。
【図12】図12は、本発明の第1実施形態に係るTEGの形成領域の例について示す平面図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態に係る欠陥解析システムの構成図である。
【図14】図14は、本発明の第2実施形態に係る欠陥解析システムで使用される欠陥検査結果ファイルの例を示す図である。
【図15】図15(a)は、本発明の第2実施形態において得られたSEM像を基にして描いた図であり、図15(b)は、本発明の第2実施形態においてボルテージコントラスト法によって得られた像を基にして描いた図である。
【図16】図16は、本発明の第3実施形態に係る欠陥解析方法を示すフローチャートである。
【図17】図17は、本発明の第3実施形態において致命率を算出する際に用いる新規欠陥の個数をA〜H工程のそれぞれについてグラフ化した図である。
【図18】図18は、本発明の第3実施形態において、E工程での新規欠陥のみを示すウエハマップの一例を示す平面図である。
【図19】図19は、本発明の第3実施形態において、ボルテージコントラスト法により得られたシリコンウエハのSEM像である。
【図20】図20は、本発明の第7実施形態に係る工程管理方法を示すフローチャートである。
【図21】図21は、本発明の第7実施形態において、不良チップの総数を算出する方法を示すフローチャートである。
【図22】図22は、本発明の第7実施形態において、欠陥情報信号SDを可視化して得られたウエハマップの一例を示す平面図である。
【図23】図23は、本発明の第8実施形態に係る工程管理方法を示すフローチャートである。
【図24】図24は、本発明の第9実施形態に係る工程管理方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0178】
1…シリコンウエハ、2…第1層間絶縁膜、2a、2b…第1、第2ホール、3…グルー膜、4…タングステン膜、5a、5b…第1、第2導電性プラグ、6…キャップ膜、7…第2層間絶縁膜、7a、7b…第1、第2配線溝、8…レジストパターン、8a、8b…第1、第2窓、9…バリアメタル膜、10…電解銅めっき膜、11a、11b…第1、第2一層目銅配線、12…第3層間絶縁膜、12a、12b…第3、第4ホール、12c、12d…第3、第4配線溝、13a、13b…第3、第4導電性プラグ、13c、13d…第1、第2二層目銅配線、14…第4層間絶縁膜、16…第5層間絶縁膜、18…第6層間絶縁膜、20…第7層間絶縁膜、15b、15c…4層目銅配線、17c、17d…5層目銅配線、19b、19c…6層目銅配線、21c、21d…7層目銅配線、13c、17a、17b、19a、21a、21b…導電性プラグ、40…欠陥解析システム、41…制御部、42…検査装置、42a…第1モニタ、43…SEM、43a…第2モニタ、44…記録媒体、45…欠陥検査結果ファイル、45b…マップ、50…デバイスチップ、50a…デバイスチップの一部領域、51…検査専用チップ、51a…検査専用チップの一部領域、52…スクライブ領域、52a…スクライブ領域の一部領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの欠陥を検出して少なくとも該欠陥の位置データを出力する検査装置と、
前記半導体ウエハの上に形成された導電パターンの不良箇所をボルテージコントラスト法により検出する走査型電子顕微鏡と、
前記検査装置の前記位置データに基づいて、前記半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出し、該新規欠陥の個数を計数し、該新規欠陥と位置が一致する前記不良箇所の個数を計数し、前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出する制御部と、
を有することを特徴とする欠陥解析システム。
【請求項2】
検査装置が出力する半導体ウエハの欠陥の位置データに基づいて、前記半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記新規欠陥の個数を計数するステップと、
走査型電子顕微鏡を使用したボルテージコントラスト法により、前記半導体ウエハの上に形成された導電パターンの不良箇所を検出し、前記新規欠陥と位置が一致する該不良箇所の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。
【請求項3】
半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記新規欠陥の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥の個数を計数した後に、前記半導体ウエハの上に導電パターンを形成して、ボルテージコントラスト法により前記新規欠陥と位置が一致する前記導電パターンの不良箇所の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出するステップと、
を有することを特徴とする欠陥解析方法。
【請求項4】
前記致命率を算出するステップにおいて、前記不良箇所の前記新規欠陥に対する割合を前記致命率として採用することを特徴とする請求項3に記載の欠陥解析方法。
【請求項5】
半導体ウエハに対して行われる複数の工程のうちの一つの工程によって前記半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記新規欠陥の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥の個数を求めた後に、前記半導体ウエハの上に導電パターンを形成して、ボルテージコントラスト法により前記新規欠陥と位置が一致する前記導電パターンの不良箇所の個数を計数するステップと、
前記新規欠陥と前記不良箇所のそれぞれの個数の計数値を用いて、前記一つの工程における前記新規欠陥の致命率を算出するステップと、
複数のチップが多面取りされる製品用半導体ウエハに対して前記一つの工程を行った後、前記一つの工程によって前記製品用半導体ウエハに新たに発生した新規欠陥を抽出するステップと、
前記製品用半導体ウエハの前記新規欠陥の個数を前記チップ毎に計数するステップと、
前記製品用半導体ウエハのチップ毎の前記新規欠陥の個数と、前記致命率とに基づいて、前記一つの工程における前記新規欠陥が原因で前記製品用半導体ウエハに発生すると予測される不良チップの総数を算出するステップと
を有することを特徴とする工程管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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